説明

電荷輸送材料、有機電界発光素子及び該素子を用いたことを特徴とする発光装置、表示装置または照明装置

【課題】高温保管後の効率が高く、最高到達輝度が高い電荷輸送材料および有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】下記式の化合物からなる電荷輸送材料を用いる。(R101、R102はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子又はシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。AA1〜AA9は夫々独立にCH(CHの水素原子はR102で置換されていてもよい)又は窒素原子を表す)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電荷輸送材料、有機電界発光素子及び該素子を用いたことを特徴とする発光装置、表示装置または照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子(以下、「素子」、「有機EL素子」ともいう)は、低電圧駆動で高輝度の発光が得られることから活発に研究開発が行われている。有機電界発光素子は、一対の電極間に有機層を有し、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機層において再結合し、生成した励起子のエネルギーを発光に利用するものである。
【0003】
近年、イリジウム(Ir)錯体や白金(Pt)錯体などの燐光発光材料を用いることにより、素子の高効率化が進んでいる。また、発光材料をホスト材料中にドープした発光層を用いるドープ型素子が広く採用されている。
発光層に用いられるホスト材料やその他の有機層に含有される電荷輸送材料の開発も盛んに行われている。
例えば、特許文献1は、トリフェニレン構造を有する化合物を用いた有機電界発光素子を開示しており、メタ位に置換基(非縮環のアリール、ヘテロアリール)を有するフェニレンが結合した化合物を用いた有機電界発光素子が記載されている。
【0004】
一方、近年では有機電界発光素子をはじめとする各種表示装置類は、幅広く使用されてきており、様々な環境下で安定して長期間動作することが求められている。例えば、自動車への車載用途などでは、日中の走行時または駐車時にその車内はかなりの高温となることから高温保管後にも特性が変化しないことも求められている。また、有機電界発光素子は、従来の発光装置と同程度以上に駆動時に熱を発する点からも、このような高温保管後に特性が変化しないことが重要視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2010−535806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに対し、本発明者らが特許文献1に記載の化合物を用いた有機電界発光素子の特性を検討した結果、高温保管後の効率が低くなり、耐熱性の観点で不十分であったことに加え、最高到達輝度が低いという課題が新たに見つかった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、高温保管後の効率が高く、最高到達輝度が高い電荷輸送材料および有機電界発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討した結果、特許文献1に具体的に記載されている化合物に対して、トリフェニレン構造と単環の芳香環構造を含む化合物が特定の連結様式で連結し、かつ、化合物内における単環の芳香環の個数を多くすることで、高温保管後の効率が高く、最高到達輝度が高い電荷輸送材料および有機電界発光素子が提供されることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は下記の手段により達成することができる。
【0010】
[1] 下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とする電荷輸送材料。
【化1】

(一般式(1)において、R101およびR102はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。ただし、R101およびR102の中に縮環アリール構造と縮環ヘテロアリール構造は含まれない。R101およびR102の中に含まれる単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)の合計は5個以上。n101は0〜11の整数、n102は0〜9の整数を表し、複数のR101およびR102は同一でも異なっていてもよい。AA1〜AA9はそれぞれ独立にCH(CHの水素原子はR102で置換されていてもよい)または窒素原子を表す。)
[2] 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする[1]に記載の電荷輸送材料。
【化2】

(一般式(2)において、R111はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。R231〜R234はそれぞれ独立にアルキル基、フッ素原子、シリル基またはアミノ基を表す。R235〜R238はそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表す。ただし、R111およびR231〜R238の中に縮環アリール構造と縮環ヘテロアリール構造は含まれない。R111およびR231〜R238の中に単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が合計で3〜6個含まれる。n111は0〜11の整数を表し、y31〜y33およびy35〜y37はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、y34およびy38は0〜5の整数を表す。複数のR111およびR231〜R238は同一でも異なっていてもよい。AB1〜AB17はそれぞれ独立にCH(CHの水素原子はR231〜R238で置換されていてもよい)または窒素原子を表し、6員環の芳香環を構成する環員である。)
[3] 前記一般式(2)における前記AB3がCHを表し、該AB3の水素原子が前記R235の少なくとも1つによって置換されていることを特徴とする[2]に記載の電荷輸送材料。
[4] 前記一般式(1)におけるn101が0であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
[5] 前記一般式(1)におけるR101またはR102が、フッ素原子、フルオロアルキル基、シクロアルキル基、シリル基、アルキルシリル基、アリールシリル基、または、シクロアルキレン基もしくはケイ素原子連結基を含む置換基であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
[6] 前記一般式(1)に含まれる全ての単環の芳香環が、炭素原子骨格の6員環であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
[7] 前記一般式(1)で表される化合物が炭素原子および水素原子のみからなることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
[8] 前記一般式(1)で表される化合物の分子量が1200以下であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
[9] 前記一般式(1)で表される化合物が、単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が単結合を介して4個以上連続して結合している部分構造を少なくとも1つ有し、前記部分構造中において、パラ位で連続して連結している前記単環の芳香環の個数が3個以下であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
[10] 基板と、該基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極と、該電極間に配置された有機層とを有し、前記有機層が、燐光発光材料と[1]〜[9]のいずれか一項に記載の電荷輸送材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
[11] 前記燐光発光材料が下記一般式(E−1)で表されることを特徴とする[10]に記載の有機電界発光素子。
【化3】

(一般式(E−1)中、x1及びZ2はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。A1はZ1と窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。B1はZ2と炭素原子と共に5又は6員環を形成する原子群を表す。(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。nE1は1〜3の整数を表す。)
[12] 前記一般式(E−1)で表される燐光発光材料が下記一般式(E−2)で表されることを特徴とする[10]または[11]に記載の有機電界発光素子。
【化4】

(一般式(E−2)中、AE1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子、または、REで置換された炭素原子を表す。REは水素原子又は置換基を表す。(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。nE2は1〜3の整数を表す。)
[13] 前記一般式(E−1)で表される燐光発光材料の極大発光波長が500nm〜700nmであることを特徴とする[10]〜[12]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
[14] 前記有機層が、前記燐光発光材料を含む発光層とその他の有機層を有し、前記発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする[10]〜[13]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
[15] 前記有機層が、前記燐光発光材料を含む発光層とその他の有機層を有し、該その他の有機層が、前記発光層と前記陰極との間に配置されたホールブロック層を含み、且つ、該ホールブロック層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする[10]〜[14]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
[16] 極大発光波長が500nm〜550nmであることを特徴とする[10]〜[15]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
[17] [10]〜[16]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする発光装置、表示装置または照明装置。
[18] 下記一般式(1)で表される化合物。
【化5】

(一般式(1)において、R101およびR102はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。ただし、R101およびR102の中に縮環アリール構造と縮環ヘテロアリール構造は含まれない。R101およびR102の中に単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が合計で5個以上含まれる。n101は0〜11の整数、n102は0〜9の整数を表し、複数のR101およびR102は同一でも異なっていてもよい。AA1〜AA9はそれぞれ独立にCH(CHの水素原子はR102で置換されていてもよい)または窒素原子を表す。)
【発明の効果】
【0011】
本発明における一般式(1)で表される化合物を用いることにより、高温保管後の効率が高く、最高到達輝度が高い電荷輸送材料および有機電界発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る発光装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明に係る照明装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0014】
[電荷輸送材料]
本発明の電荷輸送材料は、下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とする。
【化6】

(一般式(1)において、R101およびR102はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。ただし、R101およびR102の中に縮環アリール構造と縮環ヘテロアリール構造は含まれない。R101およびR102の中に単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が合計で5個以上含まれる。n101は0〜11の整数、n102は0〜9の整数を表し、複数のR101およびR102は同一でも異なっていてもよい。AA1〜AA9はそれぞれ独立にCH(CHの水素原子はR102で置換されていてもよい)または窒素原子を表す。)
本発明の電荷輸送材料はこのような構成を有することで、いかなる理論に拘泥するものでもないが、効率や駆動耐久性を損なうことなくガラス転移温度Tgを高めることができ、さらに分子励起状態、ラジカルカチオン状態、ラジカルアニオン状態になったときに分子内の広域なπ共役系に励起状態や電荷拡がるため、高温保管後の素子特性に優れ、高輝度駆動による電荷や励起子の負荷集中に対しても安定に駆動できる。そのため、本発明の電荷輸送材料を用いた有機電界発光素子は、高温保管後の効率や最高到達輝度にも優れる。
【0015】
前記一般式(1)で表される本発明の電荷輸送材料は、電子写真、有機トランジスタ、有機光電変換素子(エネルギー変換用途、センサー用途等)、有機電界発光素子等の有機エレクトロニクス素子に好ましく用いることができ、有機電界発光素子に用いるのが特に好ましい。
【0016】
本発明の電荷輸送材料は、前記一般式(1)で表される化合物を含有する薄膜にも用いることができる。該薄膜は、前記組成物を用いて蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等の湿式製膜法により形成することができる。薄膜の膜厚は用途によっていかなる厚みでもよいが、好ましくは0.1nm〜1mmであり、より好ましくは0.5nm〜1μmであり、更に好ましくは1nm〜200nmであり、特に好ましくは1nm〜100nmである。
【0017】
以下、前記一般式(1)で表される化合物からなる電荷輸送材料の好ましい範囲について説明する。
なお、本発明において、前記一般式(1)の説明における水素原子(H)は同位体(重水素原子、D)も含み、また更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明において、「置換基」というとき、その置換基は置換されていてもよい。例えば、本発明で「アルキル基」と言う時、フッ素原子で置換されたアルキル基(例えばトリフルオロメチル基)やアリール基で置換されたアルキル基(例えばトリフェニルメチル基)なども含むが、「炭素数1〜6のアルキル基」と言うとき、置換されたものも含めた全ての基として炭素数が1〜6であることを示す。
本発明において、フッ素原子、フルオロアルキル基、シクロアルキル基、シリル基、アルキルシリル基、アリールシリル基または、シクロアルキレン基もしくはケイ素原子連結基を含む置換基のことを「特定置換基」とも言う。なお、アルキル基とアリール基で置換されたシリル基も前記特定置換基に含まれる。
但し、本明細書中において、「シクロアルキレン基」とは、1,4−シクロヘキサンジイル、1,3−シクロヘキサンジイル、1,2−シクロヘキサンジイル、シクロペンタン等の総称を意味し、シクルアルケンから水素原子を1つ抜き取った環を意味するものではない。
【0018】
<一般式(1)のR101およびR102
前記一般式(1)中、R101およびR102はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。ただし、R101およびR102の中に縮環アリール構造と縮環ヘテロアリール構造は含まれない。R101およびR102の中に単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が合計で5個以上含まれる。なお、前記一般式(1)における、前記単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)の環員は、該単環の芳香環中、窒素原子が3個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましく、1個以下であることが特に好ましく、0個であることがより特に好ましい。
前記一般式(1)中、R101およびR102の中に単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が合計で5個以上含まれることにより、本発明の効果を奏することができる。R101およびR102の中に含まれる前記単環の芳香環は、5〜8個であることが蒸着適正の観点から好ましく、5〜7個であることがより好ましく、5〜6個であることが特に好ましい。
【0019】
前記R101およびR102がアルキル基である場合、該アルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、一般的には炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜6、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、t−ブチル基およびシクロヘキシル基のいずれかであり、特に好ましくはメチル基、イソプロピル基およびt−ブチル基のいずれかであり、より特に好ましくはメチル基、t−ブチル基である。
【0020】
前記R101およびR102としてのアルキル基は、さらにアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を置換基として有していてもよい。その中でも、アリール基、ヘテロアリール基またはフッ素原子で置換されていることが好ましい。
前記R101およびR102としてのアルキル基がフッ素原子で置換されている場合、全ての水素原子がフッ素原子で置換されてパーフルオロアルキル基を形成することがより好ましく、−CF2CF2CF3基またはトリフロロメチル基を形成することが特に好ましく、トリフロロメチル基を形成することがより特に好ましい。
一方、前記R101およびR102としてのアルキル基がアリール基またはヘテロアリール基で置換されている場合、該アリール基またはヘテロアリール基が単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)であることが好ましい。また、この場合、前記R101およびR102としてのアルキル基が複数の単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)で置換されていることが好ましい。
前記R101およびR102としてのアルキル基がさらにアルキル基で置換されている場合、該さらなる置換基であるアルキル基はメチル基であることが好ましい。
前記R101およびR102としてのアルキル基は、第4級炭素となるように置換されていることがより好ましい。
【0021】
前記R101およびR102がシリル基である場合、該シリル基は置換されていることが好ましく、該置換基としては、アルキル基およびアリール基が好ましい。前記R101およびR102としてのシリル基がアルキル基またはアリール基で置換されている場合、全ての水素原子がアルキル基またはアリール基で置換されてトリアルキルシリル基またはトリアリールシリル基を形成することがより好ましく、トリメチルシリル基またはトリフェニルシリル基を形成することが特に好ましい。なお、該トリアリールシリル基はそのアリール基部分がさらに置換されていてもよく、その場合はアリール基で置換されていることが好ましく、フェニル基で置換されていることがより好ましい。
【0022】
前記R101およびR102がヘテロアリール基である場合、該ヘテロアリール基としては、窒素原子を含む5又は6員のヘテロ環が好ましい。前記窒素原子を含む5又は6員のヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。本発明の電荷輸送材料を有機電界発光素子に用いる場合は、錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点から、その中でもピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であることがより好ましく、特に好ましくはピリジン環、イミダゾール環、ピラジン環であり、更に好ましくはピリジン環またはイミダゾール環であり、最も好ましくはピリジン環である。但し、前記R101およびR102は、ヘテロアリール基よりもアリール基であることが好ましい。
【0023】
前記R101およびR102がアリール基である場合、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、ナフチル、アントリルなどが挙げられる。前記R101およびR102は単環のアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
【0024】
前記R101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基は、さらにアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子、シリル基またはアミノ基を置換基として有していてもよい。
前記R101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基に、アルキル基、フッ素原子またはシリル基が置換する場合、該置換基としてのアルキル基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基の好ましい範囲は、R101およびR102がアルキル基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基である場合と同様である。前記R101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基にアルキル基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基が置換する場合、これらの置換基の個数は前記R101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基に対して1〜3個であることが好ましく、1または2個であることがより好ましく、1個であることが特に好ましい。
前記R101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基に、アミノ基が置換する場合、該アミノ基はアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基でまたさらに置換されていることが好ましく、該アミノ基は第3級アミンであることがより好ましい。この場合の該アミノ基をまたさらに置換するアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基の好ましい範囲は、前述するR101およびR102としてのアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基の好ましい範囲と同様である。
前記R101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基に対して、アリール基またはヘテロアリール基が置換する場合、置換によって形成されるアリール基とアリーレン基、または、ヘテロアリール基とヘテロアリーレン基が、いずれも単環どうしであることが好ましく、いずれも6員環の単環であることがより好ましい。
【0025】
前記R101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基に対して、アリール基またはヘテロアリール基が置換して、6員環の単環であるアリール基とアリーレン基、または、ヘテロアリール基とヘテロアリーレン基、あるいはこれらの連結基や置換基が互いに組み合わさって連結している場合、これらの6員環の単環が単結合で複数連結した1価の置換基(単結合で連結した6員環の単環の数は、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜5個、特に好ましくは2〜4個)であることが好ましい。例えば、6員環の単環であるアリール基とアリーレン基が連結置換基を形成している場合の好ましい構造は、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、キンクフェニル基等が挙げられる。
前記6員環の単環が単結合で複数連結した1価の置換基は、単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が単結合を介して4個以上連続して結合している部分構造を少なくとも1つ有し、前記部分構造中において、パラ位で連続して連結している前記単環の芳香環の個数が3個以下であることが好ましい。すなわち、前記6員環の単環が単結合で複数連結した1価の置換基は、パラ位置換フェニル環を3つよりは多く含まないことが好ましい。
これらのうち、前記6員環の単環が単結合で複数連結した1価の置換基は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基(特にp−ターフェニル基または3,5−ジフェニルフェニルが好ましく、p−ターフェニル基がより好ましい)のいずれかが好ましく、ビフェニル基またはターフェニル基のいずれかがより好ましく、ビフェニル基が最も好ましい。上記の例はヘテロアリール基とヘテロアリーレン基が連結する場合も同様の構造である。
【0026】
前記R101がアリール基またはヘテロアリール基である場合、前記R101は、下記一般式(3)で表されるであることが特に好ましい。
【0027】
【化7】

(上記式中、AA11〜AA33はそれぞれ独立にCHまたは窒素原子を表し、6員環の芳香環を構成する環員である。R201〜R204はそれぞれ独立にアルキル基、フッ素原子またはシリル基を表し、y1〜y3はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、y4は0〜5の整数を表す。R205〜R208はそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表し、y5〜y8はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。但し、y1とy5の和、y2とy6の和およびy3とy7の和は最大で4であり、y4とy8の和は最大で5である。x1、x2およびx3はそれぞれ独立に0または1を表し、x1≦x2≦x3である。)
【0028】
前記一般式(3)中、R201〜R204の好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR101およびR102としてのアルキル基、フッ素原子またはシリル基の好ましい範囲と同様である。その中でも、R201〜R204はアルキル基またはフッ素原子であることが好ましく、メチル基、n−プロピル基またはフッ素原子であることがより好ましい。
前記一般式(3)中、R205〜R208の好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基の好ましい範囲と同様である。その中でも、R205〜R208はアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
【0029】
前記一般式(3)中、y5〜y8の和、すなわちR101中における6員環の芳香環の枝分かれの個数は、0または1であることが好ましく、0であることが特に好ましい。
【0030】
前記一般式(3)中、x1〜x3が1である場合、y1〜y3は0であることが好ましく、y4は0〜2であることが好ましく、y5〜y8が0であることが好ましい。このとき、R201はアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基またはn−プロピル基であることがより好ましい。
前記一般式(3)中、x1が0であり、x2およびx3が1である場合、y1は0〜2であることが好ましく、y2〜y8がいずれも0であることが好ましい。このとき、R201はアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
前記一般式(3)中、x1およびx2が0であり、x3が1である場合、y1〜y6が0であり、y7が1であり、y8が0であることが好ましい。このとき、R207はアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
前記一般式(3)中、x1〜x3が0である場合、y1〜y3は0であることが好ましく、y4は0または1であることが好ましく、y5〜y8が0であることが好ましい。このとき、R201はフッ素原子であることが好ましい。
【0031】
前記一般式(3)中、AA11〜AA33によって構成される6員環の芳香環のうち、窒素原子を含む環が1個以下であることが好ましく、0個であることがより好ましい。
【0032】
前記一般式(3)中、各6員環の芳香環の連結に制限はないが、メタ位またはパラ位で連結していることが好ましく、少なくともx1で表される6員環の芳香環と、x2で表される6員環の芳香環はメタ位で連結していることがより好ましく、全ての6員環の芳香環がメタ位で連結していることが特に好ましい。
【0033】
次に、前記R102がアリール基またはヘテロアリール基である場合、前記R102は、下記一般式(4)で表される置換基であることが特に好ましい。
【0034】
【化8】

(上記式中、AA41〜AA69はそれぞれ独立にCHまたは窒素原子を表し、6員環の芳香環を構成する環員である。R211〜R215はそれぞれ独立にアルキル基、フッ素原子、シリル基またはアミノ基を表し、y11〜y14はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、y15は0〜5の整数を表す。R216〜R220はそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表し、y16〜y20はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。但し、y11とy16の和、y12とy17の和、y13とy18の和およびy14とy19の和は最大で4であり、y15とy20の和は最大で5である。x11、x12、x13およびx14はそれぞれ独立に0または1を表し、x11≦x12≦x13≦x14である。)
【0035】
前記一般式(4)中、R211〜R215の好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR101およびR102としてのアルキル基、フッ素原子またはシリル基の好ましい範囲と同様である。但し、置換または無置換のアミノ基であってもよい。その中でも、R211〜R215はアルキル基、フッ素原子、シリル基またはアミノ基であることが好ましく、アルキル基、フッ素原子またはシリル基であることがより好ましい。
前記一般式(4)中、R216〜R220の好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基の好ましい範囲と同様である。その中でも、R216〜R220はアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
【0036】
前記一般式(4)中、y16〜y20の和、すなわちR102中における6員環の芳香環の枝分かれの個数は、0〜2であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
【0037】
前記一般式(4)中、x11〜x14が1である場合、y11は0であることが好ましく、y12は0または1であることが好ましく、y13〜y20は0であることが好ましい。y12が1のとき、R212はアルキル基であることが好ましく、フッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましく、パーフルオロアルキル基であることがより好ましく、炭素数3のパーフルオロアルキル基であることが特に好ましい。
前記一般式(4)中、x11が0であり、x12〜x14が1である場合、y12は0または1であることが好ましく、y13は0であることが好ましく、y14は0または1であることが好ましく、y15およびy17は0であることが好ましく、y18は0または1であることが好ましく、y19およびy20は0であることが好ましい。このとき、R212およびR214はそれぞれ独立にアルキル基であることが好ましく、t−ブチル基であることがより好ましい。R218はアリール基であることが好ましく、フッ素原子で置換されたアリール基であることが好ましく、パーフルオロアリール基であることがより好ましく、炭素数6のパーフルオロアリール基であることが特に好ましい。
前記一般式(4)中、x11およびx12が0であり、x13およびx14が1である場合、y13は0または1であることが好ましく、y14は0であることが好ましく、y15は0または1であることが好ましく、y18およびy19が0または1であることが好ましく、y20が0であることが好ましい。このとき、R213はアルキル基、フッ素原子またはシリル基であることが好ましく、フッ素原子で置換されたアルキル基、フッ素原子またはアルキル基で置換されたシリル基であることがより好ましく、パーフルオロメチル基、フッ素原子、またはトリメチルシリル基であることが特に好ましい。R215はアルキル基であることが好ましく、イソプロピル基であることがより好ましい。R218およびR219はそれぞれ独立にアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
前記一般式(4)中、x11〜X13が0であり、x14が1である場合、y14が0〜2であることが好ましく、y15が0〜2であることが好ましく、y19が0〜2であることが好ましく、y20が0であることが好ましい。このとき、R214はアルキル基またはシリル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基またはアルキル基で置換されたシリル基であることがより好ましく、メチル基、イソプロピル基またはジメチルフェニルシリル基であることが特に好ましい。R215はアルキル基、シリル基またはアミノ基であることが好ましく、炭素数1〜4の直鎖または分枝のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基で置換されたシリル基またはアリール基で置換されたアミノ基であることがより好ましく、トリフェニルメチル基、メチルフェニルエチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、t−ブチル基、シクロへキシル基、トリフェニルシリル基または3',5'−ジメチルビフェニレン置換のアミノ基が特に好ましい。R215はアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
前記一般式(4)中、x11〜X14が0である場合、y15が0〜2であることが好ましく、y20が0であることが好ましい。このとき、R215はアルキル基であることが好ましく、メチル基またはt−ブチル基であることがより好ましい。
【0038】
前記一般式(4)中、AA41〜AA69によって構成される6員環の芳香環のうち、窒素原子を含む環が1個以下であることが好ましく、0個であることがより好ましい。
【0039】
前記一般式(4)中、各6員環の芳香環の連結に制限はないが、メタ位またはパラ位で連結していることが好ましく、少なくともx11で表される6員環の芳香環と、x12で表される6員環の芳香環はパラ位で連結していることがより好ましい。但し、6員環の芳香環がパラ位で連結する個数は3個以下であることが好ましい。
【0040】
前記一般式(1)におけるR101は、フッ素原子、フルオロアルキル基、シクロアルキル基、シリル基、アルキルシリル基、アリールシリル基または、シクロアルキレン基もしくはケイ素原子連結基を含む置換基(前記特定置換基)のうち、いずれを含む態様でもよいが、前記特定置換基を1つも含まない態様でもよい。本発明では、前記一般式(1)におけるR101がフッ素原子、フルオロアルキル基またはアルキルシリル基を含む態様、あるいは、前記特定置換基を1つも含まない態様が好ましく、前記特定置換基を1つも含まない態様がより好ましい。
【0041】
前記一般式(1)におけるR101はアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基の中でも、置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、前記一般式(3)で表されるアリール基がより好ましく、前記一般式(3)におけるX1が0であり、X2およびX3が1であるアリール基が特に好ましく、前記一般式(3)におけるy1〜y8がすべて0であるアリール基より特に好ましく、無置換のm−ターフェニレンであることがさらにより特に好ましい。
【0042】
前記一般式(1)におけるR102は、フッ素原子、フルオロアルキル基、シクロアルキル基、シリル基、アルキルシリル基、アリールシリル基または、シクロアルキレン基もしくはケイ素原子連結基を含む置換基(前記特定置換基)のうち、いずれを含む態様でもよいが、本発明では、前記一般式(1)におけるR102がフッ素原子、フルオロアルキル基、シクロアルキル基またはアルキルシリル基を含む態様が好ましく、シクロアルキル基、アルキルシリル基またはアリールシリル基を含む態様がより好ましく、アルキルシリル基またはアリールシリル基を含む態様が特に好ましい。
【0043】
前記一般式(1)におけるR102はアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基の中でも、置換基を有してもよいヘテロアリール基または置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、前記一般式(4)で表されるアリール基が特に好ましい。
【0044】
前記一般式(3)または(4)中、前記6員環の単環は、パラ位で連結する個数は3個以下であることが好ましい。例えば、p−ターフェニレン基の末端に、さらに6員環の単環が連結する場合は、メタ位またはオルト位で連結することが好ましく、メタ位で連結することがより好ましい。
【0045】
<一般式(1)のn101およびn102>
前記一般式(1)においてn101は0〜11の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることが特に好ましく、0であることがより特に好ましい。
前記一般式(1)においてn101が0ではない場合、前記R101がトリフェニレン環構造に置換する位置については特に制限はないが、前記一般式(1)においてトリフェニレン環がビフェニレン構造と連結している環以外に置換基R101を有することが好ましい。
【0046】
前記一般式(1)においてn102は0〜7の整数を表し、1〜6の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることが特に好ましく、1〜2の整数であることがより特に好ましい。
前記一般式(1)においてn102が0ではない場合、前記R102がビフェニレン構造に置換する位置については特に制限はないが、前記一般式(1)のビフェニレン構造中においてトリフェニレン構造と結合していない側の6員環の単環に少なくとも1つの置換基R102を有することが好ましく、トリフェニレン環構造と結合している側の6員環の単環及びトリフェニレン構造と結合していない側の6員環の単環の両方に少なくとも1つの置換基R102を有することが好ましい。
さらに、トリフェニレン環構造と結合している側の6員環の単環及びトリフェニレン構造と結合していない側の6員環の単環の両方に少なくとも1つの単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)を有することが特に好ましい。
【0047】
本発明の電荷輸送材料は、前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表されることが好ましい。
【0048】
【化9】

【0049】
一般式(2)において、R111はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。R231〜R234はそれぞれ独立にアルキル基、フッ素原子、シリル基またはアミノ基を表す。R235〜R238はそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表す。ただし、R111およびR231〜R238の中に縮環アリール構造と縮環ヘテロアリール構造は含まれない。R111およびR231〜R238の中に単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が合計で3〜6個含まれる。n111は0〜11の整数を表し、y31〜y33およびy35〜y37はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、y34およびy38は0〜5の整数を表す。複数のR111およびR231〜R238は同一でも異なっていてもよい。AB1〜AB17はそれぞれ独立にCH(CHの水素原子はR231〜R238で置換されていてもよい)または窒素原子を表し、6員環の芳香環を構成する環員である。
【0050】
前記一般式(2)におけるR111およびn111の好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR101およびn101の好ましい範囲とそれぞれ同じである。
【0051】
前記一般式(2)中、AB1〜AB17を含む各6員環の単環の好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基の好ましい範囲と同様である。
【0052】
前記一般式(2)中、R231〜R234の好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR101およびR102としてのアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基の好ましい範囲と同様である。但し、R231〜R234は置換または無置換のアミノ基であってもよい。その中でも、R231〜R234はアルキル基、アリール基、フッ素原子またはシリル基であることが好ましく、シリル基であることがより好ましい。
前記一般式(2)中、R235〜R238の好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR101およびR102としてのアリール基またはヘテロアリール基の好ましい範囲と同様である。その中でも、R235〜R238はアリール基であることが好ましく、p−ターフェニレン基であることがより好ましい。
【0053】
前記一般式(2)中、y35〜y38の和は、0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましく、0〜1であることが特に好ましい。
【0054】
前記一般式(2)中、y31は0または1であることが好ましい。このとき、R231はアルキル基またはシリル基であることが好ましく、メチル基またはアリール基置換のシリル基であることがより好ましく、メチル基またはトリフェニルシリル基であることが特に好ましく、トリフェニルシリル基(但し、さらに置換基として1または2のフェニル基を有することも好ましい)であることがより特に好ましい。
前記一般式(2)中、y32は0〜3であることが好ましく、0または1であることが好ましい。このとき、R232はアルキル基、フッ素原子、シリル基またはアミノ基であることが好ましく、無置換またはフッ素原子で置換されたアルキル基、フッ素原子、アルキル基またはアリール基で置換されたシリル基またはフェニル基で置換されたアミノ基であることがより好ましく、メチル基、フッ素原子、トリフロロメチル基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基またはアミノ基が2個のフェニルで置換された基であることが特に好ましく、メチル基、フッ素原子またはトリメチルシリル基であることがより好ましい。
前記一般式(2)中、y33は0または1であることが好ましい。このとき、R233はシリル基であることが好ましく、アルキル基およびアリール基の少なくとも一方で置換されたシリル基であることがより好ましく、アルキル基およびアリール基で置換されたシリル基であることが特に好ましく、メチル基およびフェニル基で置換されたシリル基であることがより特に好ましい。
前記一般式(2)中、y34は0または1であることが好ましい、このとき、R234はアルキル基、シリル基またはアミノ基であることが好ましく、アルキル基またはアリール基もしくはフェニル基で置換されたシリル基であることがより好ましく、エチル基(さらに置換基を有していてもよい)、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基またはアミノ基が2個のビフェニル(さらにメチル基を置換基として有していてもよい)で置換された基であることがより特に好ましい。
【0055】
前記一般式(2)中、y35は0または1であることが好ましい。このとき、R235はアリール基であることが好ましく、フェニル基、ビフェニル基、m−ターフェニル基、p−ターフェニル基またはこれらの基がさらに置換された基であることがより好ましい。前記さらなる置換基としては、アルキル基、フッ素原子、シリル基またはアリール基が好ましく、トリフロロメチル基、トリフェニルメチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、トリメチルシリル基、フェニル基がより好ましい。
前記一般式(2)中、y36は0または1であることが好ましい。このとき、R236はアリール基であることが好ましく、フェニル基、ジメチルフェニル基、ビフェニル基が2個のフェニル基で置換された基、p−ターフェニレン基であることがより好ましく、フェニル基、またはp−ターフェニレン基であることが特に好ましい。
前記一般式(2)中、y37は0であることが好ましい。
前記一般式(2)中、y38は0または1であることが好ましい。このとき、R238はアリール基であることが好ましく、フェニル基、ビフェニル基、p−ターフェニレン基であることがより好ましい。
【0056】
前記一般式(2)中、AB1〜AB17によって構成される6員環の芳香環のうち、窒素原子を含む環が1個以下であることが好ましく、0個であることがより好ましい。
【0057】
前記一般式(2)中、各6員環の芳香環の連結に制限はないが、メタ位またはパラ位で連結していることが好ましい。
本発明では、前記一般式(2)における前記AB3がCHを表し、該AB3の水素原子が前記R235の少なくとも1つによって置換されていることが好ましい。
【0058】
前記一般式(1)で表される化合物は、前記一般式(1)に含まれる全ての単環の芳香環が、炭素原子骨格の6員環であることが好ましく、炭素原子および水素原子のみからなることがさらに好ましい。
【0059】
さらに、前記一般式(1)で表される化合物は、単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が単結合を介して4個以上連続して結合している部分構造を少なくとも1つ有し、前記部分構造中において、パラ位で連続して連結している前記単環の芳香環の個数が3個以下であることが、緑色の燐光発光材料を用いる観点から好ましい。なお、この記載はパラ位で連続して連結している前記単環の芳香環の個数が4個である態様を本発明から除外するものではなく、パラ位で連続して連結している前記単環の芳香環の個数が4個である化合物は赤色の燐光発光材料を用いる観点からは好ましい。
よりさらに、前記一般式(1)で表される化合物は、トリフェニレン環を構成する縮環の部分構造であるフェニル環を含め、パラ位で連続して連結している芳香環の個数が3個以下であることが好ましい。
【0060】
前記一般式(1)で表される化合物の膜状態でのT1エネルギーは、2.39eV(55.0kcal/mol)以上3.25eV(75.0kcal/mol)以下であることが好ましく、2.47eV(57.0kcal/mol)以上3.04eV(70.0kcal/mol)以下であることがより好ましく、2.52eV(58.0kcal/mol)以上2.82eV(65.0kcal/mol)以下であることが更に好ましい。特に、発光材料として燐光発光材料を用いる場合には、T1エネルギーが上記範囲となることが好ましい。
【0061】
1エネルギーは、材料の薄膜の燐光発光スペクトルを測定し、その短波長端から求めることができる。例えば、洗浄した石英ガラス基板上に、材料を真空蒸着法により約50nmの膜厚に成膜し、薄膜の燐光発光スペクトルを液体窒素温度下でF−7000日立分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定する。得られた発光スペクトルの短波長側の立ち上がり波長をエネルギー単位に換算することによりT1エネルギーを求めることができる。
【0062】
本発明の電荷輸送材料では、前記一般式(1)で表される化合物の分子量は、1200以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましく、750以上1000以下であることが更に好ましく、750以上900以下であることが特に好ましく、750以上850以下であることが最も好ましい。分子量をこの範囲とすることで、膜質が良好で、昇華精製・蒸着適性に優れた材料が得られる。
【0063】
有機電界発光素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、一般式(1)で表される化合物のガラス転移温度(Tg)は80℃以上400℃以下であることが好ましく、100℃以上400℃以下であることがより好ましく、120℃以上400℃以下であることが更に好ましい。
【0064】
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0065】
【化10】

【0066】
【化11】

【0067】
【化12】

【0068】
【化13】

【0069】
上記一般式(1)で表される化合物は、特開2004−43349号公報、特開2004−83481号公報、US2006/0280965、WO2009/021107、特開2009−114068号公報、特表2010−535806号公報等に記載の方法や、その他公知の反応を組み合わせて合成できる。
合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
【0070】
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板と、該基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極と、該電極間に配置された有機層とを有し、前記有機層が、燐光発光材料と本発明の電荷輸送材料、すなわち前記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。
【化14】

(一般式(1)において、R101およびR102はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。ただし、R101およびR102の中に縮環アリール構造と縮環ヘテロアリール構造は含まれない。R101およびR102の中に単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が合計で5個以上含まれる。n101は0〜11の整数、n102は0〜9の整数を表し、複数のR101およびR102は同一でも異なっていてもよい。AA1〜AA9はそれぞれ独立にCH(CHの水素原子はR102で置換されていてもよい)または窒素原子を表す。)
【0071】
本発明の有機電界発光素子の構成は、特に制限されることはない。図1に、本発明の有機電界発光素子の構成の一例を示す。図1の有機電界発光素子10は、基板2上に、一対の電極(陽極3と陰極9)の間に有機層を有する。
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
以下、本発明の有機電界発光素子の好ましい態様について、基板、電極、有機層、保護層、封止容器、駆動方法、発光波長、用途の順で詳細に説明する。
【0072】
<基板>
本発明の有機電界発光素子は、基板を有する。
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0073】
<電極>
本発明の有機電界発光素子は、前記基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極を有する。
発光素子の性質上、一対の電極である陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明若しくは半透明であることが好ましい。
【0074】
(陽極)
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
【0075】
(陰極) 陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0076】
<有機層>
本発明の有機電界発光素子は、前記電極間に配置された有機層を有し、前記有機層が、燐光発光材料と前記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。
前記有機層は、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記半透明電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記透明電極又は前記半透明電極上の全面又は一面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明の有機電界発光素子における、有機層の構成、有機層の形成方法、有機層を構成する各層の好ましい態様および各層に使用される材料について順に説明する。
【0077】
(有機層の構成)
本発明の有機電界発光素子では、前記有機層が、電荷輸送層を含むことが好ましい。前記電荷輸送層とは、有機電界発光素子に電圧を印加した際に電荷移動が起こる層をいう。具体的には正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層又は電子注入層が挙げられる。前記電荷輸送層が正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層又は発光層であれば、低コストかつ高効率な有機電界発光素子の製造が可能となる。
本発明の有機電界発光素子では、前記燐光発光材料を含む発光層とその他の有機層を有し、前記発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。さらに、本発明の有機電界発光素子では、前記有機層が、前記燐光発光材料を含む発光層とその他の有機層を有すことがより好ましい。但し、本発明の有機電界発光素子は、前記有機層が発光層とその他の有機層を有する場合であっても、必ずしも明確に層間が区別されなくてもよい。
【0078】
本発明の有機電界発光素子は、前記有機層が燐光発光材料と前記一般式(1)で表される化合物を含む。このとき、前記燐光発光材料と前記一般式(1)で表される化合物が含まれる場所に特に制限はない。本発明では、前記有機層が、前記燐光発光材料を含む発光層とその他の有機層を有し、前記発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することがより好ましい。このとき、前記一般式(1)で表される化合物が、発光層のホスト材料(以下、ホスト化合物とも言う)として用いられることが好ましい。
【0079】
前記一般式(1)で表される化合物は、有機電界発光素子の陰極と陽極の間のいずれの有機層に含有されてもよい。
前記一般式(1)で表される化合物を含有してもよい有機層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層(正孔ブロック層、電子ブロック層など)などを挙げることができ、好ましくは、発光層、励起子ブロック層、電荷ブロック層、電子輸送層、電子注入層のいずれかであり、より好ましくは発光層、励起子ブロック層、電荷ブロック層、又は電子輸送層であり、特に好ましくは発光層、ホールブロック層、電子ブロック層であり、より特に好ましくは発光層又は正孔ブロック層であり、さらにより特に好ましくは発光層である。
【0080】
前記一般式(1)で表される化合物は、発光層に含有される場合、発光層の全質量に対して0.1〜99質量%含まれることが好ましく、1〜95質量%含まれることがより好ましく、10〜95質量%含まれることがより好ましい。
【0081】
前記一般式(1)で表される化合物を用いる発光材料の極大発光波長は、400〜700nmであることが好ましく、500〜700nmであることがより好ましく、500〜650nmであることが特に好ましく、500〜550nmであることがより特に好ましく、520〜550nmであることが最も好ましい。
【0082】
また、前記一対の電極間に、前記電子輸送層または正孔ブロック層(より好ましくは正孔ブロック層)を有し、前記電子輸送層または前記正孔ブロック層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することも好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は、発光層以外の有機層に含有される場合、該有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0083】
これらの有機層は、それぞれ複数層設けてもよく、複数層設ける場合には同一の材料で形成してもよいし、層毎に異なる材料で形成してもよい。
【0084】
(有機層の形成方法)
本発明の有機電界発光素子において、各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、スピンコート法、バーコート法等の湿式製膜法(溶液塗布法)のいずれによっても好適に形成することができる。
本発明の有機電界発光素子は、前記一対の電極間に配置された有機層が、少なくとも一層の前記一般式(1)で表される化合物を含む組成物の蒸着により形成された層を含むことが好ましい。
【0085】
(発光層)
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。但し、本発明における前記発光層は、このようなメカニズムによる発光に必ずしも限定されるものではない。本発明の有機電界発光素子における発光層は、少なくとも一種の燐光発光材料を含有することが好ましい。
【0086】
本発明の有機電界発光素子における前記発光層は、前記発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と前記発光材料の混合層とした構成でもよい。前記発光材料の種類は一種であっても二種以上であってもよい。前記ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。前記ホスト材料は一種であっても二種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、前記発光層は、電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
【0087】
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよく、それぞれの層に同じ発光材料やホスト材料を含んでもよいし、層毎に異なる材料を含んでもよい。発光層が複数の場合、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
【0088】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0089】
本発明の有機電界発光素子は、前記発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましい態様であり、前記発光層のホスト材料として前記一般式(1)で表される化合物を用いることがより好ましい態様である。ここで、本明細書中、ホスト材料とは、発光層において主に電荷の注入、輸送を担う化合物であり、また、それ自体は実質的に発光しない化合物のことである。ここで「実質的に発光しない」とは、該実質的に発光しない化合物からの発光量が好ましくは素子全体での全発光量の5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、更に好ましくは1%以下であることを言う。
以下、前記発光層の材料として、前記発光材料、前記一般式(1)で表される化合物以外のその他のホスト材料について順に説明する。なお、前記一般式(1)で表される化合物は、本発明の有機電界発光素子において前記発光層以外に用いられてもよい。
【0090】
(発光材料)
本発明における発光材料としては、燐光発光材料、蛍光発光材料等いずれも用いることができる。
本発明における発光層は、色純度を向上させるためや発光波長領域を広げるために2種類以上の発光材料を含有することができる。発光材料の少なくとも一種が燐光発光材料であることが好ましい。
本発明では、発光層に含有される少なくとも一種の燐光発光材料に加えて、発光材料として、蛍光発光材料や、発光層に含有される燐光発光材料とは異なる燐光発光材料を用いることができる。
これら蛍光発光材料や燐光発光材料については、例えば、特開2008−270736号公報の段落番号[0100]〜[0164]、特開2007−266458号公報の段落番号[0088]〜[0090]に詳述されており、これら公報の記載の事項を本発明に適用することができる。
【0091】
本発明に使用できる燐光発光材料としては、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259、WO07/095118、WO10/111175、WO10/027583、WO10/028151等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい発光材料としては、イリジウム(Ir)錯体、白金(Pt)錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、及びCe錯体等の燐光発光性金属錯体化合物が挙げられる。特に好ましくは、イリジウム(Ir)錯体、白金(Pt)錯体、又はRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むイリジウム(Ir)錯体、白金(Pt)錯体、又はRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、イリジウム(Ir)錯体、白金(Pt)錯体が特に好ましく、イリジウム(Ir)錯体が最も好ましい。
【0092】
本発明における発光層に含有される燐光発光材料としては、以下に示す一般式(E−1)で表されるイリジウム(Ir)錯体、又は以下の一般式(C−1)で表される白金(Pt)錯体を用いることが好ましい。
【0093】
一般式(E−1)で表されるイリジウム(Ir)錯体について説明する。
【0094】
【化15】

【0095】
一般式(E−1)中、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。
1はZ1と窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。
1はZ2と炭素原子と共に5又は6員環を形成する原子群を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E1は1〜3の整数を表す。nE1が2または3の場合、Z1、Z2、A1及びB1を含む配位子が2つまたは3つ存在することになるが、2つまたは3つ存在する該配位子は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0096】
E1は1〜3の整数を表し、好ましくは2又は3であり、さらに好ましくは3である。
1及びZ2はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。Z1及びZ2として好ましくは炭素原子である。
【0097】
1はZ1と窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。A1、Z1及び窒素原子を含む5又は6員のヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。
錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点から、A1、Z1及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、より好ましくはピリジン環、イミダゾール環、ピラジン環であり、更に好ましくはピリジン環、イミダゾール環であり、最も好ましくはピリジン環である。
【0098】
前記A1、Z1及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては下記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては下記置換基群Bが適用できる。炭素上の置換基として好ましくはアルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、フッ素原子である。
【0099】
《置換基群A》
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントリルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(ヘテロアリール基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
【0100】
《置換基群B》
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントリルなどが挙げられる。)、シアノ基、ヘテロ環基(ヘテロアリール基も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレノフェニル、テルロフェニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、前記置換基群Aから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。また、置換基に置換した置換基に置換した置換基は更に置換されてもよく、さらなる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
【0101】
置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、短波長化させる場合には電子供与性基、フッ素原子、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、フッ素原子、アリール基、ヘテロアリール基などが選択される。また長波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばシアノ基、ペルフルオロアルキル基などが選択される。
【0102】
窒素上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、アリール基が好ましい。
前記置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。これら形成される環は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の炭素原子上の置換基、窒素原子上の置換基が挙げられる。
【0103】
1はZ2と炭素原子を含む5又は6員環を表す。B1、Z2及び炭素原子で形成される5又は6員環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点からB1、Z2及び炭素原子で形成される5又は6員環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラゾール環であり、更に好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。
【0104】
前記B1、Z2及び炭素原子で形成される5又は6員環は置換基を有していてもよく、炭素原子上の置換基としては前記置換基群Aが、窒素原子上の置換基としては前記置換基群Bが適用できる。炭素上の置換基として好ましくはアルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、シアノ基、フッ素原子である。
【0105】
置換基は発光波長や電位の制御のために適宜選択されるが、長波長化させる場合には電子供与性基、芳香環基が好ましく、例えばアルキル基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基などが選択される。また短波長化させる場合には電子求引性基が好ましく、例えばフッ素原子、シアノ基、ペルフルオロアルキル基などが選択される。
【0106】
窒素上の置換基として好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、錯体の安定性の観点からアルキル基、アリール基が好ましい。前記置換基同士は連結して縮合環を形成していてもよく、形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。これら形成される環は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の炭素原子上の置換基、窒素原子上の置換基が挙げられる。
また前記A1、Z1及び窒素原子で形成される5又は6員のヘテロ環の置換基と、前記B1、Z2及び炭素原子で形成される5又は6員環の置換基とが連結して、前述と同様の縮合環を形成していてもよい。
【0107】
(X−Y)で表される配位子としては、従来公知の金属錯体に用いられる種々の公知の配位子があるが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社 山本明夫著 1982年発行等に記載の配位子(例えば、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロアリール配位子(例えば、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)が挙げられる。
【0108】
*はイリジウム(Ir)への配位位置を表す。
(X−Y)で表される配位子としては下記一般式(l−1)〜(l−13)が好ましいが、本発明はこれらに限定されない。
【0109】
【化16】

【0110】
*は一般式(E−1)におけるイリジウム(Ir)への配位位置を表す。Rx、Ry及びRzはそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。GはC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子、または置換基を表す。
Rx、Ry及びRzが置換基を表す場合、該置換基としては前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。好ましくは、Rx、Rzはそれぞれ独立にアルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、アリール基のいずれかであり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、フッ素原子、置換されていても良いフェニル基であり、最も好ましくはメチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子、フェニル基である。Ryは好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、アリール基のいずれかであり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、置換されていても良いフェニル基であり、最も好ましくは水素原子、メチル基のいずれかである。これら配位子は素子中で電荷を輸送したり励起によって電子が集中する部位ではないと考えられるため、Rx、Ry、Rzは化学的に安定な置換基であれば良く、本発明の効果にも影響を及ぼさない。
一般式(I−13)におけるRl1〜Rl7は置換基群Aから選ばれる置換基を表すことが好ましく、更に置換基Aを有していてもよい。
GはC−R又は窒素原子を表す。Rが置換基を表す場合、該置換基としては前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
l1〜Rl7およびGがC−Rを表す場合のRは、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基を有していてもよい。
l1〜Rl7の好ましい範囲は、後述の一般式(E−3)におけるRT1〜RT7の好ましい範囲と同様である。
Gとして好ましくはC−Rであり、Rとして好ましくは水素原子、アリール基であり、より好ましくは水素原子、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等)、であり、特に好ましくは水素原子、フェニル基である。
【0111】
(X−Y)としてより好ましくは(l−1)、(l−4)、(l−13)であり、特に好ましくは(l−1)、(l−13)である。これらの配位子を有する錯体は、対応する配位子前駆体を用いることで公知の合成例と同様に合成できる。例えば国際公開2009−073245号46ページに記載の方法と同様に合成する事ができる。
【0112】
一般式(E−1)で表されるイリジウム(Ir)錯体の好ましい態様は、一般式(E−2)で表されるイリジウム(Ir)錯体である。
【0113】
【化17】

【0114】
一般式(E−2)中、AE1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−REを表す。
Eは水素原子又は置換基を表す。
(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。
E2は1〜3の整数を表す。
【0115】
E1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子又はC−REを表す。REは水素原子又は置換基を表し、RE同士が互いに連結して環を形成していてもよい。形成される環としては、前述の一般式(E−1)において述べた縮合環と同様のものが挙げられる。REで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
E1〜AE4として好ましくはC−REであり、AE1〜AE4がC−REである場合に、AE3のREとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、又はシアノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はフッ素原子であり、特に好ましく水素原子、又はフッ素原子であり、AE1、AE2及びAE4のREとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、又はシアノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はフッ素原子であり、特に好ましく水素原子である。
【0116】
E5〜AE8として好ましくはC−REであり、AE5〜AE8がC−REである場合に、REとして好ましくは水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルオキシ基、シアノ基、又はフッ素原子であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、又はフッ素原子であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、トリフルオロメチル基、又はフッ素原子である。また可能な場合は置換基同士が連結して縮環構造を形成してもよい。発光波長を短波長側にシフトさせる場合、AE6が窒素原子であることが好ましい。
(X−Y)、及びnE2は一般式(E−1)における(X−Y)、及びnE1と同義であり好ましい範囲も同様である。
【0117】
前記一般式(E−2)で表される化合物のより好ましい形態は、下記一般式(E−3)で表される化合物である。
【0118】
【化18】

【0119】
一般式(E−3)中、RT1、RT2、RT3、RT4、RT5、RT6及びRT7は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−CO2R、−C(O)R、−NR2、−NO2、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基を有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
AはCR'又は窒素原子を表し、R'は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−CO2R、−C(O)R、−NR2、−NO2、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基を有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
T1〜RT7、及びR'は、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基を有していてもよい。これらのうち、RT1とRT7、又はRT5とRT6で縮環してベンゼン環を形成する場合が好ましく、RT5とRT6で縮環してベンゼン環を形成する場合が特に好ましい。
(X−Y)は、モノアニオン性の二座配位子を表す。nE3は1〜3の整数を表す。
【0120】
アルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基Aを挙げることができる。RT1〜RT7、及びR'で表されるアルキル基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、シクロヘキシル基、t−ブチル基等が挙げられ、メチル基が特に好ましい。
シクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基Aを挙げることができる。RT1〜RT7、及びR'で表されるシクロアルキル基として、好ましくは環員数4〜7のシクロアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数5〜6のシクロアルキル基であり、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
T1〜RT7、及びR'で表されるアルケニル基としては好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、1−イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。
T1〜RT7、及びR'で表されるアルキニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばエチニル、プロパルギル、1−プロピニル、3−ペンチニルなどが挙げられる。
【0121】
T1〜RT7、及びR'で表されるペルフルオロアルキル基は、前述のアルキル基の全ての水素原子がフッ素原子に置き換えられたものが挙げられる。
【0122】
T1〜RT7、及びR'で表されるアリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が特に好ましい。
【0123】
T1〜RT7、及びR'で表されるヘテロアリール基としては、好ましくは、炭素数5〜8のヘテロアリール基であり、より好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ピロリル基、インドリル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、ベンズオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、チアジアゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリニル基、スルホラニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、7ピリドインドリル基などが挙げられる。好ましい例としては、ピリジル基、ピリミジニル基、イミダゾリル基、チエニル基であり、より好ましくは、ピリジル基、ピリミジニル基である。
【0124】
T1〜RT7、及びR'として好ましくは、水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロアルキル基、ジアルキルアミノ基、フルオロ基、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロ基、アリール基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基である。
【0125】
T1〜RT7、及びR'は任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基を有していてもよい。形成されるシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールの定義及び好ましい範囲はRT1〜RT7、及びR'で定義したシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基と同じである。
またAがCR'を表すと共に、RT1〜RT7、及びR'のうち、0〜2つがアルキル基又はフェニル基で、残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、RT1〜RT7、及びR'のうち、0〜2つがアルキル基で、残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、RT1〜RT7、及びR'のうち、0〜2つがメチル基で、残りが全て水素原子である場合が最も好ましい。
【0126】
E3は2又は3であることが好ましい。錯体中の配位子の種類は1〜2種類から構成されることが好ましく、更に好ましくは2種類である。
(X−Y)は、一般式(E−1)における(X−Y)と同義であり好ましい範囲も同様である。
【0127】
前記一般式(E−3)で表される化合物の好ましい形態の一つは、下記一般式(E−4)で表される化合物である。
【0128】
【化19】

【0129】
一般式(E−4)におけるRT1〜RT4、A、(X−Y)及びnE4は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT4、A、(X−Y)及びnE3と同義であり、好ましい範囲も同様である。R1'〜R5'はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−CO2R、−C(O)R、−NR2、−NO2、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基を有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
1'〜R5'は、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基を有していてもよい。
また、R1'〜R5'における好ましい範囲は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT7、R'と同様である。またAがCR'を表すと共に、RT1〜RT4、R'、及びR1'〜R5'のうち、0〜2つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、RT1〜RT4、R'、及びR1'〜R5'のうち、0〜2つがアルキル基で残りが全て水素原子である場合が更に好ましい。
【0130】
前記一般式(E−3)で表される化合物の好ましい別の形態は、下記一般式(E−5)で表される化合物である。
【0131】
【化20】

【0132】
一般式(E−5)におけるRT2〜RT6、A、(X−Y)及びnE5は、一般式(E−3)におけるRT2〜RT6、A、(X−Y)及びnE3と同義であり、好ましい範囲も同様である。R6'〜R8'はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−CO2R、−C(O)R、−NR2、−NO2、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基を有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
T5、RT6、R6'〜R8'は、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基を有していてもよい。
また、R6'〜R8'における好ましい範囲は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT7、R'と同様である。またAがCR'を表すと共に、RT2〜RT6、R'、及びR6'〜R8'のうち、0〜2つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、RT2〜RT6、R'、及びR6'〜R8'のうち、0〜2つがアルキル基で残りが全て水素原子である場合が更に好ましい。
【0133】
一般式(E−4)又は(E−5)で表される燐光発光材料を用いる場合、一般式(1)で表される化合物は、発光層又は正孔ブロック層に含有されることが好ましく、発光層に含有されることがより好ましい。
【0134】
一般式(E−1)で表される化合物の好ましい別の形態は、下記一般式(E−6)で表される場合である。
【0135】
【化21】

【0136】
一般式(E−6)中、R1a〜R1kは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−CO2R、−C(O)R、−NR2、−NO2、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基を有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
1a〜R1kは、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基を有していてもよい。
(X−Y)は、モノアニオン性の二座配位子を表す。
E6は1〜3の整数を表す。
【0137】
一般式(E−6)において、R1a〜R1kの好ましい範囲は、一般式(E−3)におけるRT1〜RT7、R'におけるものと同様である。またR1a〜R1kのうち、0〜2つがアルキル基又はフェニル基で残りが全て水素原子である場合が特に好ましく、R1a〜R1kのうち、0〜2つがアルキル基で残りが全て水素原子である場合が更に好ましい。
1jとR1kとが連結し単結合を形成する場合が特に好ましい。
(X−Y)、及びnE6の好ましい範囲は、一般式(E−3)における(X−Y)、及びnE3と同様である。
【0138】
一般式(E−6)で表される化合物のより好ましい形態は、下記一般式(E−7)で表される場合である。
【0139】
【化22】

【0140】
一般式(E−7)中、R1a〜R1iは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ペルフルオロアルキル基、トリフルオロビニル基、−CO2R、−C(O)R、−NR2、−NO2、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基を有していてもよい。Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
1a〜R1kは、任意の2つが互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、該縮合4〜7員環は更に置換基を有していてもよい。
(X−Y)は、モノアニオン性の二座配位子を表す。
E7は1〜3の整数を表す。
【0141】
一般式(E−7)中、R1a〜R1iの定義や好ましい範囲は一般式(E−6)におけるR1a〜R1iと同様である。またR1a〜R1iのうち、0〜2つがアルキル基又はアリール基で残りが全て水素原子である場合が特に好ましい。(X−Y)、及びnE7の定義や好ましい範囲は一般式(E−3)における(X−Y)、及びnE3と同様である。
【0142】
一般式(E−6)又は(E−7)で表される燐光発光材料を用いる場合、一般式(1)で表される化合物は、発光層又は正孔ブロック層に含有されることが好ましい。
【0143】
前記一般式(E−3)で表される化合物の好ましい形態の一つは、下記一般式(E−8)で表される化合物である。
【化23】

【0144】
一般式(E−8)におけるRT1〜RT7は、一般式(E−3)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Rl1〜Rl7およびGは、配位子(l−13)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R'は水素原子又は置換基群Aから選ばれる置換基を表す。R'として好ましくは、水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロアルキル基、ジアルキルアミノ基、フッ素原子、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、フッ素原子、アリール基であり、更に好ましくは水素原子である。nE8は1〜3の整数を表し、2又は1であることが好ましい。
【0145】
前記一般式(E−3)で表される化合物の好ましい形態の一つは、下記一般式(E−9)で表される化合物である。
【化24】

【0146】
一般式(E−9)におけるRT1、RT3〜RT7は、一般式(E−3)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Rl1〜Rl7およびGは、配位子(l−13)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R'は水素原子又は置換基群Aから選ばれる置換基を表す。R'として好ましくは、水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロアルキル基、ジアルキルアミノ基、フッ素原子、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、フッ素原子、アリール基であり、更に好ましくは水素原子である。nE9は1〜3の整数を表し、2又は1であることが好ましい。Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0147】
一般式(E−1)で表される化合物の好ましい具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
【0148】
【化25】

【0149】
【化26】

【0150】
【化27】

【0151】
上記一般式(E−1)で表される化合物として例示した化合物は、特開2009−99783号公報に記載の方法や、米国特許7279232号等に記載の種々の方法で合成できる。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶等による精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により、有機不純物を分離できるだけでなく、無機塩や残留溶媒等を効果的に取り除くことができる。
【0152】
一般式(E−1)で表される化合物は、発光層に含有されることが好ましいが、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。
【0153】
発光層中の一般式(E−1)で表される化合物は,発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、5質量%〜20質量%含有されることが更に好ましい。
【0154】
一般式(1)および(2)のいずれかで表される化合物と、一般式(E−1)〜(E−9)のいずれかで表される化合物を発光層中で組み合わせて使用することが、本発明では特に好ましい。
【0155】
燐光発光材料として用いることができる白金(Pt)錯体として好ましくは、下記一般式(C−1)で表される白金(Pt)錯体である。
【0156】
【化28】

【0157】
(式中、Q1、Q2、Q3及びQ4はそれぞれ独立に白金(Pt)に配位する配位子を表す。L1、L2及びL3はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。)
【0158】
一般式(C−1)について説明する。Q1、Q2、Q3及びQ4はそれぞれ独立に白金(Pt)に配位する配位子を表す。この時、Q1、Q2、Q3及びQ4と白金(Pt)の結合は、共有結合、イオン結合、配位結合などいずれであっても良い。Q1、Q2、Q3及びQ4中の白金(Pt)に結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が好ましく、Q1、Q2、Q3及びQ4中の白金(Pt)に結合する原子の内、少なくとも一つが炭素原子であることが好ましく、二つが炭素原子であることがより好ましく、二つが炭素原子で、二つが窒素原子であることが特に好ましい。
炭素原子で白金(Pt)に結合するQ1、Q2、Q3及びQ4としては、アニオン性の配位子でも中性の配位子でもよく、アニオン性の配位子としてはビニル配位子、芳香族炭化水素環配位子(例えばベンゼン配位子、ナフタレン配位子、アントラセン配位子、フェナントレン配位子など)、ヘテロ環配位子(例えばフラン配位子、チオフェン配位子、ピリジン配位子、ピラジン配位子、ピリミジン配位子、ピリダジン配位子、トリアジン配位子、チアゾール配位子、オキサゾール配位子、ピロール配位子、イミダゾール配位子、ピラゾール配位子、トリアゾール配位子及び、それらを含む縮環体(例えばキノリン配位子、ベンゾチアゾール配位子など))が挙げられる。中性の配位子としてはカルベン配位子が挙げられる。
【0159】
1、Q2、Q3及びQ4で表される基は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い(Q3とQ4が連結した場合、環状四座配位子の白金(Pt)錯体になる)。
【0160】
1、Q2、Q3及びQ4で表される基として好ましくは、炭素原子で白金(Pt)に結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子で白金(Pt)に結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子で白金(Pt)に結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子、アルキルオキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シリルオキシ配位子であり、より好ましくは、炭素原子で白金(Pt)に結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子で白金(Pt)に結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子で白金(Pt)に結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子、アリールオキシ配位子であり、更に好ましくは炭素原子で白金(Pt)に結合する芳香族炭化水素環配位子、炭素原子で白金(Pt)に結合する芳香族ヘテロ環配位子、窒素原子で白金(Pt)に結合する含窒素芳香族ヘテロ環配位子、アシルオキシ配位子である。
【0161】
1、L2及びL3は、単結合又は二価の連結基を表す。L1、L2及びL3で表される二価の連結基としては、アルキレン基(メチレン、エチレン、プロピレンなど)、アリーレン基(フェニレン、ナフタレンジイル)、ヘテロアリーレン基(ピリジンジイル、チオフェンジイルなど)、イミノ基(−NR−)(フェニルイミノ基など)、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、ホスフィニデン基(−PR−)(フェニルホスフィニデン基など)、シリレン基(−SiRR'−)(ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基など)、又はこれらを組み合わせたものが挙げられる。ここで、R及びR'としては各々独立してアルキル基、アリール基等が挙げられる。これらの連結基は、更に置換基を有していてもよい。
錯体の安定性及び発光量子収率の観点から、L1、L2及びL3として好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、イミノ基、オキシ基、チオ基、シリレン基であり、より好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、イミノ基であり、更に好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基であり、更に好ましくは、単結合、メチレン基、フェニレン基であり、更に好ましくは単結合、ジ置換のメチレン基であり、更に好ましくは単結合、ジメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、ジイソブチルメチレン基、ジベンジルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基、シクロペンタンジイル基、フルオレンジイル基、フルオロメチルメチレン基である。
1は特に好ましくはジメチルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキサンジイル基であり、最も好ましくはジメチルメチレン基である。
2及びL3として最も好ましくは単結合である。
【0162】
一般式(C−1)で表される白金(Pt)錯体のうち、より好ましくは下記一般式(C−2)で表される白金(Pt)錯体である。
【0163】
【化29】

【0164】
(式中、L21は単結合又は二価の連結基を表す。A21、A22はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。Z21、Z22はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z23、Z24はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。)
【0165】
一般式(C−2)について説明する。L21は、前記一般式(C−1)中のL1と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0166】
21、A22はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。A21、A22の内、少なくとも一方は炭素原子であることが好ましく、A21、A22が共に炭素原子であることが、錯体の安定性の観点及び錯体の発光量子収率の観点から好ましい。
【0167】
21、Z22は、それぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z21、Z22で表される含窒素芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環などが挙げられる。錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点から、Z21、Z22で表される環として好ましくは、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、より好ましくはピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環であり、更に好ましくはピリジン環、ピラゾール環であり、特に好ましくはピリジン環である。
【0168】
23、Z24は、それぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。Z23、Z24で表される含窒素芳香族ヘテロ環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。錯体の安定性、発光波長制御及び発光量子収率の観点からZ23、Z24で表される環として好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チオフェン環であり、より好ましくはベンゼン環、ピリジン環、ピラゾール環であり、更に好ましくはベンゼン環、ピリジン環である。
【0169】
一般式(C−2)で表される白金(Pt)錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−4)で表される白金(Pt)錯体である。
【0170】
【化30】

【0171】
(一般式(C−4)中、A401〜A414はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L41は単結合又は二価の連結基を表す。)
【0172】
一般式(C−4)について説明する。
401〜A414はそれぞれ独立にC−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。
Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
401〜A406として好ましくはC−Rであり、R同士が互いに連結して環を形成していても良い。A401〜A406がC−Rである場合に、A402、A405のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子であり、特に好ましくは水素原子、フッ素原子である。A401、A403、A404、A406のRとして好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子、シアノ基であり、より好ましくは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、フッ素原子であり、特に好ましく水素原子である。
41は、前記一般式(C−1)中のL1と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0173】
407〜A414としては、A407〜A410とA411〜A414のそれぞれにおいて、N(窒素原子)の数は、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。発光波長を短波長側にシフトさせる場合、A408及びA412のいずれかが窒素原子であることが好ましく、A408とA412が共に窒素原子であることが更に好ましい。
【0174】
一般式(C−2)で表される白金(Pt)錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−5)で表される白金(Pt)錯体である。
【0175】
【化31】

【0176】
(一般式(C−5)中、A501〜A512は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L51は単結合又は二価の連結基を表す。)
【0177】
一般式(C−5)について説明する。A501〜A506及びL51は、前記一般式(C−4)におけるA401〜A406及びL41と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0178】
507、A508及びA509とA510、A511及びA512は、及びそれぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、前記置換基群Aとして挙げたものが適用できる。
【0179】
一般式(C−1)で表される白金(Pt)錯体のうち、より好ましい別の態様は下記一般式(C−6)で表される白金(Pt)錯体である。
【0180】
【化32】

【0181】
(式中、L61は単結合又は二価の連結基を表す。A61はそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子を表す。Z61、Z62はそれぞれ独立に含窒素芳香族ヘテロ環を表す。Z63はそれぞれ独立にベンゼン環又は芳香族ヘテロ環を表す。Yは白金(Pt)に結合するアニオン性の非環状配位子である。)
【0182】
一般式(C−6)について説明する。L61は、前記一般式(C−1)中のL1と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0183】
61は炭素原子又は窒素原子を表す。錯体の安定性の観点及び錯体の発光量子収率の観点からA61は炭素原子であることが好ましい。
【0184】
61、Z62は、それぞれ前記一般式(C−2)におけるZ21、Z22と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Z63は、前記一般式(C−2)におけるZ23と同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0185】
Yは白金(Pt)に結合するアニオン性の非環状配位子である。非環状配位子とは白金(Pt)に結合する原子が配位子の状態で環を形成していないものである。Y中の白金(Pt)に結合する原子としては、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましく、窒素原子、酸素原子がより好ましく、酸素原子が最も好ましい。
炭素原子で白金(Pt)に結合するYとしてはビニル配位子が挙げられる。窒素原子で白金(Pt)に結合するYとしてはアミノ配位子、イミノ配位子が挙げられる。酸素原子で白金(Pt)に結合するYとしては、アルコキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、アシルオキシ配位子、シリルオキシ配位子、カルボキシル配位子、リン酸配位子、スルホン酸配位子などが挙げられる。硫黄原子で白金(Pt)に結合するYとしては、アルキルメルカプト配位子、アリールメルカプト配位子、ヘテロアリールメルカプト配位子、チオカルボン酸配位子などが挙げられる。
Yで表される配位子は、置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aとして挙げたものが適宜適用できる。また置換基同士が連結していても良い。
【0186】
Yで表される配位子として好ましくは酸素原子で白金(Pt)に結合する配位子であり、より好ましくはアシルオキシ配位子、アルキルオキシ配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シリルオキシ配位子であり、更に好ましくはアシルオキシ配位子である。
【0187】
一般式(C−6)で表される白金(Pt)錯体のうち、より好ましい態様の一つは下記一般式(C−7)で表される白金(Pt)錯体である。
【0188】
【化33】

【0189】
(式中、A701〜A710は、それぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。L71は単結合又は二価の連結基を表す。Yは白金(Pt)に結合するアニオン性の非環状配位子である。)
【0190】
一般式(C−7)について説明する。L71は、前記一般式(C−6)中のL61と同義であり、また好ましい範囲も同様である。A701〜A710は一般式(C−4)におけるA401〜A410と同義であり、また好ましい範囲も同様である。Yは一般式(C−6)におけるYと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0191】
一般式(C−1)で表される白金(Pt)錯体として具体的には、特開2005−310733号公報の〔0143〕〜〔0152〕、〔0157〕〜〔0158〕、〔0162〕〜〔0168〕に記載の化合物、特開2006−256999号公報の〔0065〕〜〔0083〕に記載の化合物、特開2006−93542号公報の〔0065〕〜〔0090〕に記載の化合物、特開2007−73891号公報の〔0063〕〜〔0071〕に記載の化合物、特開2007−324309号公報の〔0079〕〜〔0083〕に記載の化合物、特開2006−93542号公報の〔0065〕〜〔0090〕に記載の化合物、特開2007−96255号公報の〔0055〕〜〔0071〕に記載の化合物、特開2006−313796号公報の〔0043〕〜〔0046〕が挙げられ、その他以下に例示する白金(Pt)錯体が挙げられる。
【0192】
【化34】

【0193】
【化35】

【0194】
【化36】

【0195】
一般式(C−1)で表される白金(Pt)錯体化合物は、例えば、Journal of Organic Chemistry 53,786,(1988)、G.R.Newkome et al.)の、789頁、左段53行〜右段7行に記載の方法、790頁、左段18行〜38行に記載の方法、790頁、右段19行〜30行に記載の方法及びその組み合わせ、Chemische Berichte 113,2749(1980)、H.Lexyほか)の、2752頁、26行〜35行に記載の方法等、種々の手法で合成できる。
例えば、配位子、又はその解離体と金属化合物を溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキサイド系溶媒、水などが挙げられる)の存在下、若しくは、溶媒非存在下、塩基の存在下(無機、有機の種々の塩基、例えば、ナトリウムメトキシド、t−ブトキシカリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウムなどが挙げられる)、若しくは、塩基非存在下、室温以下、若しくは加熱し(通常の加熱以外にもマイクロウェーブで加熱する手法も有効である)得ることができる。
【0196】
本発明の有機電界発光の前記発光層における一般式(C−1)で表される化合物の含有量は発光層中1〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが更に好ましい。
【0197】
前記蛍光発光材料の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン、フルオランテン、ルブレン、クリセン、又はペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、及びこれらの誘導体などを挙げることができる。
以下に蛍光発光材料の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0198】
【化37】

【0199】
【化38】

【0200】
【化39】

【0201】
【化40】

【0202】
【化41】

【0203】
【化42】

【0204】
【化43】

【0205】
本発明の有機電界発光素子の前記発光層における蛍光発光材料の含有量は発光層中1〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。
【0206】
本発明において、一般式(1)で表される化合物とのクエンチ防止の点から、発光材料の極大発光波長は、400〜700nmであることが好ましく、500〜700nmであることがより好ましく、520〜650nmであることが更に好ましく、520〜550nmであることが最も好ましい。
一般式(E−3)で表される燐光発光材料の極大発光波長は、複数のRT1〜RT7、及びR'で共同して環形成しない場合にはおよそ500〜550nmの範囲、一般式(E−4)又は(E−5)で表される燐光発光材料の極大発光波長は、およそ550〜650nmの範囲である。
【0207】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0208】
本発明の有機電界発光素子における発光層は、発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でもよい。発光材料の種類は一種であっても二種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は一種であっても二種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料と正孔輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよく、それぞれの層に同じ発光材料やホスト材料を含んでもよいし、層毎に異なる材料を含んでもよい。発光層が複数の場合、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
【0209】
(ホスト材料)
ホスト材料とは、発光層において主に電荷の注入、輸送を担う化合物であり、また、それ自体は実質的に発光しない化合物のことである。ここで「実質的に発光しない」とは、該実質的に発光しない化合物からの発光量が好ましくは素子全体での全発光量の5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、更に好ましくは1%以下であることを言う。
ホスト材料としては、一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
【0210】
その他の本発明有機電界発光素子に用いることのできるホスト材料としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、縮環芳香族炭化水素化合物(アントラセン、ピレン、フルオレン、ナフタレン、フェナントレン、トリフェニレン等)、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。
これらのうち、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アリールアミン、縮環芳香族炭化水素化合物、金属錯体が特に好ましい。
【0211】
本発明の有機電界発光素子における発光層において、併用することができるホスト材料としては、正孔輸送性ホスト材料であっても、電子輸送性ホスト材料であってもよい。
【0212】
発光層において、前記ホスト材料の膜状態での三重項最低励起エネルギー(T1エネルギー)が、前記燐光発光材料のT1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。ホスト材料のT1が燐光発光材料のT1より0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
ホスト材料の膜状態でのT1が燐光発光材料のT1より小さいと発光を消光してしまうためホスト材料には燐光発光材料より大きなT1が求められる。また、ホスト材料のT1が燐光発光材料より大きい場合でも、両者のT1差が小さい場合には一部、燐光発光材料からホスト材料への逆エネルギー移動が起こるため、効率低下や耐久性低下の原因となる。従って、T1が十分に大きく、化学的安定性及びキャリア注入・輸送性の高いホスト材料が求められている。
【0213】
また、本発明有機電界発光素子における発光層におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して15質量%以上95質量%以下であることが好ましい。発光層に、一般式(1)で表される化合物を含む複数種類のホスト化合物を含む場合、一般式(1)で表される化合物は全ホスト化合物中50質量%以上99質量%以下であることが好ましい。
【0214】
(その他の層)
本発明の有機電界発光素子は、前記発光層以外のその他の層を有していてもよい。
前記有機層が有していてもよい前記発光層以外のその他の有機層として、正孔注入層、正孔輸送層、ブロック層(正孔ブロック層、励起子ブロック層など)、電子輸送層などが挙げられる。前記具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ブロック層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
本発明の有機電界発光素子は、(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層を少なくとも一層含むことが好ましい。前記(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層としては、陽極側から正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層を挙げることができる。
本発明の有機電界発光素子は、(B)前記陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層少なくとも一層含むことが好ましい。前記(B)前記陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層としては、陰極側から電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層を挙げることができる。
具体的には、本発明の有機電界発光素子の好ましい態様の一例は、図1に記載される態様であり、前記有機層として、陽極側3から正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7及び電子輸送層8がこの順に積層されている態様である。
以下、これら本発明の有機電界発光素子が有していてもよい前記発光層以外のその他の層について、説明する。
【0215】
(A)陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層
まず、(A)前記陽極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層について説明する。
【0216】
(A−1)正孔注入層、正孔輸送層
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
正孔注入層、正孔輸送層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0165〕〜〔0167〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0217】
正孔注入層には電子受容性ドーパントを含有することが好ましい。正孔注入層に電子受容性ドーパントを含有することにより、正孔注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子受容性ドーパントとは、ドープされる材料から電子を引き抜き、ラジカルカチオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)、酸化モリブデンなどが挙げられる。
【0218】
正孔注入層中の電子受容性ドーパントは、正孔注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.1質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.2質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。
【0219】
(A−2)電子ブロック層
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜100nmであるのがより好ましく、5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子ブロック層に用いる材料は、前記燐光発光材料のT1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。電子ブロック層に用いる材料の膜状態でのT1が燐光発光材料のT1より0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
【0220】
(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層
次に、前記(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層について説明する。
【0221】
(B−1)電子注入層、電子輸送層
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
電子輸送材料としては、前記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。その他の電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン等の縮環炭化水素化合物等をから選ばれることが好ましく、ピリジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、金属錯体、縮環炭化水素化合物のいずれかであることがより好ましい。
【0222】
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0223】
電子注入層には電子供与性ドーパントを含有することが好ましい。電子注入層に電子供与性ドーパントを含有させることにより、電子注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子供与性ドーパントとは、ドープされる材料に電子を与え、ラジカルアニオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラチアフルバレン(TTF)、テトラチアナフタセン(TTT)、ビス−[1,3 ジエチル−2−メチル−1,2−ジヒドロベンズイミダゾリル]などのジヒドロイミダゾール化合物、リチウム、セシウムなどが挙げられる。
【0224】
電子注入層中の電子供与性ドーパントは、電子注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.1質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.5質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。
【0225】
(B−2)正孔ブロック層
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の膜状態でのT1エネルギーは、発光層で生成する励起子のエネルギー移動を防止し、発光効率を低下させないために、発光材料のT1エネルギーよりも高いことが好ましい。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、前記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。
前記一般式(1)で表される化合物以外の、正孔ブロック層を構成するその他の有機化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(Balqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、3nm〜100nmであるのがより好ましく、5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔ブロック層に用いる材料は、前記燐光発光材料のT1エネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。正孔ブロック層に用いる材料の膜状態でのT1が燐光発光材料のT1より0.1eV以上大きいことが好ましく、0.2eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましい。
【0226】
(B−3)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層に特に好ましく用いられる材料
本発明の有機電界発光素子は、前記(B)陰極と前記発光層との間に好ましく配置される有機層の材料に特に好ましく用いられる材料として、前記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(P−1)で表される化合物および下記一般式(O−1)で表される化合物を挙げることができる。
以下、前記一般式(O−1)で表される化合物と、前記一般式(P−1)で表される化合物について説明する。
【0227】
本発明の有機電界発光素子は、発光層と陰極との間に少なくとも一層の有機層を含むことが好ましく、該有機層に少なくとも一種の下記一般式(O−1)で表される化合物を含有することが素子の効率や駆動電圧の観点から好ましい。以下に、一般式(O−1)について説明する。
【0228】
【化44】

【0229】
(一般式(O−1)中、RO1は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。AO1〜AO4はそれぞれ独立に、C−RA又は窒素原子を表す。RAは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数のRAは同じでも異なっていても
良い。LO1は、アリール環又はヘテロアリール環からなる二価〜六価の連結基を表す。nO1は2〜6の整数を表す。)
【0230】
O1は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。RO1として好ましくはアリール基、又はヘテロアリール基であり、より好ましくはアリール基である。RO1のアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基又はシアノ基が挙げられ、アルキル基又はアリール基がより好ましく、アリール基が更に好ましい。RO1のアリール基が複数の置換基を有する場合、該複数の置換基は互いに結合して5又は6員環を形成していても良い。RO1のアリール基は、好ましくは置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良いフェニル基であり、より好ましくはアルキル基又はアリール基が置換していてもよいフェニル基であり、更に好ましくは無置換のフェニル基又は2−フェニルフェニル基である。
【0231】
O1〜AO4はそれぞれ独立に、C−RA又は窒素原子を表す。AO1〜AO4のうち、0〜2つが窒素原子であるのが好ましく、0又は1つが窒素原子であるのがより好ましい。AO1〜AO4の全てがC−RAであるか、又はAO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−RAであるのが好ましく、AO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−RAであるのがより好ましく、AO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−RAであり、RAが全て水素原子であるのが更に好ましい。
【0232】
Aは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。また複数のRAは同じでも異なっていても良い。RAとして好ましくは水素原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0233】
O1は、アリール環(好ましくは炭素数6〜30)又はヘテロアリール環(好ましくは炭素数4〜12)からなる二価〜六価の連結基を表す。LO1として好ましくは、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アリールトリイル基、又はヘテロアリールトリイル基であり、より好ましくはフェニレン基、ビフェニレン基、又はベンゼントリイル基であり、更に好ましくはビフェニレン基、又はベンゼントリイル基である。LO1は前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良く、置換基を有する場合の置換基としてはアルキル基、アリール基、又はシアノ基が好ましい。LO1の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0234】
【化45】

【0235】
O1は2〜6の整数を表し、好ましくは2〜4の整数であり、より好ましくは2又は3である。nO1は、素子効率の観点では最も好ましくは3であり、素子の耐久性の観点では最も好ましくは2である。
一般式(O−1)で表される化合物は、より好ましくは下記一般式(O−2)で表される化合物である。
【0236】
【化46】

【0237】
(一般式(O−2)中、RO1はアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。RO2〜RO4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。AO1〜AO4はそれぞれ独立に、C−RA又は窒素原子を表す。RAは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数のRAは同じでも異なっていても良い。)
【0238】
O1及びAO1〜AO4は、前記一般式(O−1)中のRO1及びAO1〜AO4と同義であり、またそれらの好ましい範囲も同様である。
02〜R04はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。R02〜R04として好ましくは水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、より好ましくは水素原子、又はアリール基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0239】
前記一般式(O−1)で表される化合物は、高温保存時の安定性、高温駆動時、駆動時の発熱に対して安定して動作させる観点から、ガラス転移温度(Tg)は100℃〜300℃であることが好ましく、120℃〜300℃であることがより好ましく、120℃〜300℃であることが更に好ましく、140℃〜300℃であることが更により好ましい。
【0240】
一般式(O−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0241】
【化47】

【0242】
【化48】

【0243】
前記一般式(O−1)で表される化合物は、特開2001−335776号に記載の方法で合成可能である。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿などによる精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により有機不純物を分離できるだけではなく、無機塩や残留溶媒、水分等を効果的に取り除くことが可能である。
【0244】
本発明の有機電界発光素子において、一般式(O−1)で表される化合物は発光層と陰極との間の有機層に含有されることが好ましいが、発光層に隣接する陰極側の層に含有されることがより好ましい。
一般式(O−1)で表される化合物は、添加する有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0245】
本発明の有機電界発光素子は、発光層と陰極との間に少なくとも一層の有機層を含むことが好ましく、該有機層に少なくとも一種の下記一般式(P)で表される化合物を含有することが素子の効率や駆動電圧の観点から好ましい。以下に、一般式(P)について説明する。
【0246】
【化49】

【0247】
(一般式(P)中、RPは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。nPは1〜10の整数を表し、RPが複数の場合、それらは同一でも異なっていてもよい。RPのうち少なくとも一つは、下記一般式(P−1)〜(P−3)で表される置換基である。
【化50】

【0248】
(一般式(P−1)〜(P−3)中、RP1〜RP3、R'P1〜R'P3はそれぞれアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。nP1及びnP2は0〜4の整数を表し、RP1〜RP3、R'P1〜R'P3が複数の場合、それらは同一でも異なっていてもよい。LP1〜LP3は、単結合、アリール環又はヘテロアリール環からなる二価の連結基のいずれかを表す。*は一般式(P)のアントラセン環との結合位を表す。)
【0249】
Pとして、(P−1)〜(P−3)で表される置換基以外の好ましい置換基はアリール基であり、より好ましくはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基のいずれかであり、更に好ましくはナフチル基である。
P1〜RP3、R'P1〜R'P3として、好ましくはアリール基、ヘテロアリール基のいずれかであり、より好ましくはアリール基であり、更に好ましくはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基のいずれかであり、最も好ましくはフェニル基である。
P1〜LP3として、好ましくは単結合、アリール環からなる二価の連結基のいずれかであり、より好ましくは単結合、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレンのいずれかであり、更に好ましくは単結合、フェニレン、ナフチレンのいずれかである。
【0250】
一般式(P)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0251】
【化51】

【0252】
【化52】

【0253】
前記一般式(P)で表される化合物は、WO2003/060956、WO2004/080975等に記載の方法で合成可能である。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿などによる精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により有機不純物を分離できるだけではなく、無機塩や残留溶媒、水分等を効果的に取り除くことが可能である。
【0254】
本発明の有機電界発光素子において、一般式(P)で表される化合物は発光層と陰極との間の有機層に含有されることが好ましいが、陰極に隣接する層に含有されることがより好ましい。
一般式(P)で表される化合物は、添加する有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0255】
<保護層>
本発明において、有機電界素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。なお、保護層の材料は無機物であっても、有機物であってもよい。
【0256】
<封止容器>
本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0257】
<駆動方法>
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0258】
本発明の有機電界発光素子の外部量子効率としては、7%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、12%以上が更に好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、若しくは、20℃で素子を駆動したときの300〜400cd/m2付近での外部量子効率の値を用いることができる。
【0259】
本発明の有機電界発光素子の内部量子効率は、30%以上であることが好ましく、50%以上が更に好ましく、70%以上が更に好ましい。素子の内部量子効率は、外部量子効率を光取り出し効率で除して算出される。通常の有機EL素子では光取り出し効率は約20%であるが、基板の形状、電極の形状、有機層の膜厚、無機層の膜厚、有機層の屈折率、無機層の屈折率等を工夫することにより、光取り出し効率を20%以上にすることが可能である。
【0260】
<発光波長>
本発明の有機電界発光素子は、その発光波長に制限はない。例えば、光の三原色のうち、赤色の発光に用いても、緑色の発光に用いても、青色の発光に用いてもよい。その中でも、本発明の有機電界発光素子は、発光波長が500〜700nmであることが、前記一般式(1)で表される化合物の最低励起三重項(T1)エネルギーの観点から好ましい。
具体的には、本発明の有機電界発光素子において、前記一般式(1)で表される化合物を発光層のホスト材料として用いる場合は、発光波長が500〜700nmであることが好ましく、500〜550nmであることがより好ましく、520〜550nmであることが特に好ましい。
一方、本発明の有機電界発光素子において、前記一般式(1)で表される化合物を正孔ブロック層の電荷輸送材料として用いる場合は、発光波長が400〜700nmであることが好ましく、450〜600nmであることがより好ましく、450〜550nmであることが特に好ましい。
【0261】
<本発明の有機電界発光素子の用途>
本発明の有機電界発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、発光装置、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
【0262】
[発光装置]
本発明の発光装置は、本発明の有機電界発光素子を含むことを特徴とする。
次に、図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。図2の発光装置20は、透明基板(支持基板)2、有機電界発光素子10、封止容器16等により構成されている。
【0263】
有機電界発光素子10は、基板2上に、陽極(第一電極)3、有機層11、陰極(第二電極)9が順次積層されて構成されている。また、陰極9上には、保護層12が積層されており、更に、保護層12上には接着層14を介して封止容器16が設けられている。なお、各電極3、9の一部、隔壁、絶縁層等は省略されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
【0264】
本発明の発光装置の用途は特に制限されるものではなく、例えば、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
【0265】
[照明装置]
本発明の照明装置は、本発明の有機電界発光素子を含むことを特徴とする。
次に、図3を参照して本発明の照明装置について説明する。
図3は、本発明の照明装置の一例を概略的に示した断面図である。本発明の照明装置40は、図3に示すように、前述した有機EL素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機EL素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、図3においては、透明基板31に微粒子32が分散した部材とされている。透明基板31としては、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。ガラス基板及び透明樹脂微粒子としては、いずれも、公知のものを使用できる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材30により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
【0266】
[表示装置]
本発明の表示装置は、本発明の有機電界発光素子を含むことを特徴とする。 本発明の表示装置としては、例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることなどを挙げることができる。
【実施例】
【0267】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0268】
1.合成例
前記一般式(1)で表される化合物は、特表2010−535806に記載の方法や、その他公知の反応を組み合わせて合成できる。
(合成例1)化合物1の合成
【0269】
【化53】

【0270】
3−ブロモ−p−ターフェニル10.0g(32.3mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン12.3g(48.5mmol)、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン錯体(1:1)(PdCl2(dppf))1.32g(1.62mmol)、酢酸カリウム9.51g(96.9mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)170mLを混合し、窒素雰囲気下、70℃で4時間攪拌した。反応液を室温に戻した後、トルエンと水を加えて有機層を抽出した。有機層を濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン(1:1))により精製し、さらにトルエン/エタノール(1:2)で再結晶することにより合成中間体1を7.35g得た(収率64%)。
合成中間体1を3.52g(9.88mmol)、1−ブロモ−3,5−ジヨードベンゼン2.13g(5.20mmol)、酢酸パラジウム58mg(0.26mmol)、トリフェニルホスフィン273mg(1.04mmol)、炭酸ナトリウム2.20g(20.8mmol)、1,2−ジメトキシエタン(DME)32mL、水16mLを混合し、窒素雰囲気下、12時間攪拌した。反応液を室温に戻し、析出した固体を濾過した。この固体をトルエンで加熱完溶させ、黒色成分をセライトろ過により濾別した後、室温で析出した固体を濾過することで合成中間体2を2.12g(66%)得た。
4,4,5,5−テトラメチル−2−(トリフェニレン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボラン1.17g(3.30mmol)、合成中間体2を1.84g(3.00mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)83mg(0.090mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2',6'−ジメトキシビフェニル(SPhos)148mg(0.36mmol)、リン酸カリウム1.28g(6.00mmol)、トルエン25mL、水12.5mLを混合し、窒素雰囲気下、5時間加熱還流した。反応液を室温に戻し、析出した固体を濾過した。この固体をトルエンで加熱完溶させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)にて原点成分を除去した後、トルエンで再結晶することにより化合物1を1.95g得た(収率85%)。
化合物1のNMRデータ
1H NMR(400MHz,in DMSO−d6);δ(ppm)=8.99(s,1H),8.80−8.78(m,2H),8.73−8.68(m,3H),8.09−7.98(m,6H),7.79(d,6H),7.73−7.61(m,16H),7.47(t,4H),7.38−7.35(m,2H)ppm.
【0271】
(合成例2)化合物4の合成
【化54】

【0272】
4−(トリフェニルシリル)フェニルボロン酸4.18g(11.0mmol)、p−ブロモヨードベンゼン12.5g(44.0mmol)、酢酸パラジウム74mg(0.33mmol)、トリフェニルホスフィン346mg(1.32mmol)、炭酸ナトリウム2.33g(22.0mmol)、1,2−ジメトキシエタン(DME)54mL、水27mLを混合し、窒素雰囲気下、3時間加熱還流した。反応液を室温に戻した後、有機層を抽出した。有機層を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)により原点成分を除去し、さらにヘキサンによりたき洗いすることにより合成中間体3を4.00g得た(74%)。
合成中間体3を4.00g(8.14mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン3.10g(12.2mmol)、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン錯体(1:1)(PdCl2(dppf))335mg(0.41mmol)、酢酸カリウム1.84g(18.7mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)65mLを混合し、窒素雰囲気下、70℃で5時間攪拌した。反応液を室温に戻した後、トルエン、水を添加し、有機層を抽出した。有機層を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン(2:3))により精製し、さらにメタノールでたき洗いすることにより合成中間体4を2.90g得た(収率66%)。
合成中間体4を2.69g(5.00mmol)、3,3'−ジブロモ−1,1'−ビフェニル4.68g(15.0mmol)、酢酸パラジウム34mg(0.15mmol)、トリフェニルホスフィン157mg(0.60mmol)、炭酸ナトリウム1.06g(10.0mmol)、トルエン32mL、水16mLを混合し、窒素雰囲気下、12時間加熱還流した。反応液を室温に戻して有機層を抽出し、有機層を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘキサン(1:2))で精製した。さらにエタノールでたき洗いすることにより、合成中間体5を1.70g得た(収率53%)。
4,4,5,5−テトラメチル−2−(トリフェニレン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボラン974mg(2.75mmol)、合成中間体5を1.61g(2.50mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)69mg(0.075mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2',6'−ジメトキシビフェニル(SPhos)123mg(0.30mmol)、リン酸カリウム1.06g(5.00mmol)、トルエン20mL、水10mLを混合し、窒素雰囲気下、6.5時間加熱還流した。反応液を室温に戻した後、有機層を抽出した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)により原点成分を除去した後、トルエン/ヘキサン(1:1)で再結晶し、さらにアセトンであき洗いすることにより化合物4を1.61g得た(収率81%)。
化合物4のNMRデータ
1H NMR(400MHz,in DMSO−d6);δ(ppm)=9.15(s,1H),9.10−9.07(m,1H),8.93(d,1H),8.88−8.83(m,3H),8.32(s,1H),8.18−8.14(m,2H),8.00(d,1H),7.95(d,2H),7.89−7.63(m,13H),7.60(d,2H),7.55−7.45(m,15H)ppm.
化合物2、化合物3、化合物5〜12も化合物1、化合物4の合成法に準じて合成した。
【0273】
2.素子作製・評価
素子作製に用いた材料は全て昇華精製を行い、高速液体クロマトグラフィー(東ソーTSKgel ODS−100Z)により純度(254nmの吸収強度面積比)が99.9%以上であることを確認した。
【0274】
(実施例1)
厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
第1層:HAT−CN:膜厚10nm
第2層:NPD:膜厚30nm
第3層:表1中に記載のホスト材料及びGD−1(質量比90:10):膜厚30nm
第4層:表1中に記載のHBL材料:膜厚5nm
第5層:Alq:膜厚45nm
この上に、フッ化リチウム0.1nm及び金属アルミニウム100nmをこの順に蒸着し陰極とした。
得られた積層体を、大気に触れさせることなく、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、素子1−1〜1−8、比較素子1−1〜1−3を得た。発光部分は2mm×2mmの正方形である。これらの素子を以下の方法で高温保管後の相対効率、最高到達輝度の観点で評価した結果を表1に示す。
【0275】
(a) 高温保管後の相対効率
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長は浜松ホトニクス製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。これらを元に輝度が1000cd/m2付近の外部量子効率(η)を輝度換算法により算出した。
さらに各素子を100℃の恒温槽中で100時間保管後、先と同様の方法により効率(η')を測定した。これらの比(η'/η)を耐熱性の指標とした。この値は大きいほど好ましい。
【0276】
(b) 最高到達輝度
各素子の輝度を測定しながら印加電圧を大きくしていき、最大となる輝度を最高到達輝度とし、相対値で記載した。
【0277】
【表1】

【0278】
上記表1より、発光層のホスト化合物として化合物1、2、4、8、9、11および12の一般式(1)で表される化合物を用いた各実施例の有機電界発光素子は、いずれも高温保管後の相対効率が良好であり、最高到達輝度も高いことがわかった。また、一般式(1)で表される化合物を発光層のホスト材料にも正孔ブロック層にも用いた素子1−6〜1−8はさらに最高到達輝度が高いことがわかった。
一方、比較素子1−1〜1−3は、発光層のホスト化合物として比較化合物1、2および4をそれぞれ用いたものであり、高温保管後の相対効率が悪く、最高到達輝度も小さいことがわかった。
なお、実施例1で作製した有機電界発光素子の発光波長は522〜527nmであった。
【0279】
(実施例2)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。
第1層:2−TNATA及びF4−TCNQ(質量比99.7:0.3) :膜厚160nm
第2層:NPD:膜厚5nm
第3層:HT−1:膜厚3nm
第4層:H−1及びGD−2(質量比85:15):膜厚30nm
第5層:表2中に記載のHBL材料:膜厚10nm
第6層:ET−2:膜厚20nm
【0280】
【表2】

【0281】
上記表2より、正孔ブロック層の材料として化合物2、9および10の一般式(1)で表される化合物を用いた各実施例の有機電界発光素子は、いずれも高温保管後の相対効率が良好であり、最高到達輝度も高いことがわかった。
一方、比較素子2−1および2−2は、正孔ブロック層の材料として比較化合物2、3をそれぞれ用いたものであり、高温保管後の相対効率が悪く、最高到達輝度も低いことがわかった。
なお、実施例2で作製した有機電界発光素子の発光波長は503〜507nmであった。
【0282】
(実施例3)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表3に示す。
第1層:CuPc:膜厚10nm
第2層:NPD:膜厚30nm
第3層:表3中に記載のホスト材料及びRD−1(質量比95:5):膜厚30nm
第4層:ET−2:膜厚5nm
第5層:ET−3:膜厚50nm
【0283】
【表3】

【0284】
上記表3より、発光層のホスト化合物として化合物1、6、7および9の一般式(1)で表される化合物を用いた各実施例の有機電界発光素子は、いずれも高温保管後の相対効率が良好であり、最高到達輝度も高いことがわかった。
一方、比較素子3−1および3−2は、発光層のホスト材料として比較化合物2、5を用いたものであり、高温保管後の相対効率が悪く、最高到達輝度も低いことがわかった。
なお、実施例3で作製した有機電界発光素子の発光波長は618〜622nmであった。
【0285】
(実施例4)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表4に示す。
第1層:TCTA:膜厚35nm
第2層:HT−2:膜厚5nm
第3層:BAlq及びRD−2(質量比90:10):膜厚30nm
第4層:表4中に記載のHBL材料:膜厚5nm
第5層:ET−4:膜厚45nm
【0286】
【表4】

【0287】
上記表4より、正孔ブロック層の材料として化合物3、6および11の一般式(1)で表される化合物を用いた各実施例の有機電界発光素子は、いずれも高温保管後の相対効率が良好であり、最高到達輝度も高いことがわかった。
一方、比較素子4−1および4−2は、正孔ブロック層の材料として比較化合物1、2を用いたものであり、高温保管後の相対効率が悪く、最高到達輝度も低いことがわかった。
なお、実施例4で作製した有機電界発光素子の発光波長は628〜631nmであった。
【0288】
(実施例5)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表5に示す。
第1層:HAT−CN:膜厚10nm
第2層:NPD:膜厚115nm
第3層:HT−3:膜厚5nm
第4層:H−2及びFirpic(質量比90:10):膜厚30nm
第5層:表5中に記載のHBL材料:膜厚5nm
第6層:ET−5:膜厚25nm
【0289】
【表5】

【0290】
上記表5より、正孔ブロック層の材料として化合物1、8および10の一般式(1)で表される化合物を用いた各実施例の有機電界発光素子は、いずれも高温保管後の相対効率が良好であり、最高到達輝度も高いことがわかった。
一方、比較素子5−1および5−2は、正孔ブロック層の材料として比較化合物2、3を用いたものであり、高温保管後の相対効率が悪く、最高到達輝度も低いことがわかった。
なお、実施例5で作製した有機電界発光素子の発光波長は472〜476nmであった。
【0291】
(実施例6)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表6に示す。
第1層:2−TNATA及びF4−TCNQ(質量比99.7:0.3) :膜厚12
0nm
第2層:NPD:膜厚7nm
第3層:HT−3:膜厚3nm
第4層:H−3及びBD−1(質量比85:15):膜厚30nm
第5層:表6中に記載のHBL材料:膜厚5nm
第6層:BAlq:膜厚25nm
【0292】
【表6】

【0293】
上記表6より、正孔ブロック層の材料として化合物5、10および12の一般式(1)で表される化合物を用いた各実施例の有機電界発光素子は、いずれも高温保管後の相対効率が良好であり、最高到達輝度も高いことがわかった。
一方、比較素子6−1および6−2は、正孔ブロック層の材料として比較化合物2、3を用いたものであり、高温保管後の相対効率が悪く、最高到達輝度も低いことがわかった。
なお、実施例6で作製した有機電界発光素子の発光波長は457〜460nmであった。
【0294】
(実施例7)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表7に示す。
第1層:2−TNATA及びF4−TCNQ(質量比99.7:0.3) :膜厚160nm
第2層:NPD:膜厚5nm
第3層:HT−1:膜厚3nm
第4層:H−1及びGD−3(質量比90:10):膜厚30nm
第5層:表7中に記載のHBL材料:膜厚10nm
第6層:ET−2:膜厚20nm
【0295】
【表7】

【0296】
(実施例8)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表8に示す。
第1層:2−TNATA及びF4−TCNQ(質量比99.7:0.3) :膜厚160nm
第2層:NPD:膜厚5nm
第3層:HT−1:膜厚3nm
第4層:H−1及びGD−4(質量比90:10):膜厚30nm
第5層:表8中に記載のHBL材料:膜厚10nm
第6層:ET−2:膜厚20nm
【0297】
【表8】

【0298】
(実施例9)
層構成を以下に示すものに変えた以外は実施例1と同様にして素子を作製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表9に示す。
第1層:2−TNATA及びF4−TCNQ(質量比99.7:0.3) :膜厚160nm
第2層:NPD:膜厚5nm
第3層:HT−1:膜厚3nm
第4層:H−1及びGD−5(質量比90:10):膜厚30nm
第5層:表9中に記載のHBL材料:膜厚10nm
第6層:ET−2:膜厚20nm
【0299】
【表9】

【0300】
上記表7〜9より、発光層のホスト化合物として本発明の化合物を用いた各実施例の有機電界発光素子は、いずれも高温保管後の相対効率が良好であり、最高到達輝度も高いことがわかった。
一方、ホスト化合物として比較化合物を用いた素子は高温保管後の相対効率が悪く、最高到達輝度も小さいことがわかった。
【化55】

【0301】
【化56】

【0302】
【化57】

【符号の説明】
【0303】
2・・・基板
3・・・陽極
4・・・正孔注入層
5・・・正孔輸送層
6・・・発光層
7・・・正孔ブロック層
8・・・電子輸送層
9・・・陰極
10・・・有機電界発光素子
11・・・有機層
12・・・保護層
14・・・接着層
16・・・封止容器
20・・・発光装置
30・・・光散乱部材
31・・・透明基板
30A・・・光入射面
30B・・・光出射面
32・・・微粒子
40・・・照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とする電荷輸送材料。
【化1】

(一般式(1)において、R101およびR102はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。ただし、R101およびR102の中に縮環アリール構造と縮環ヘテロアリール構造は含まれない。R101およびR102の中に単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が合計で5個以上含まれる。n101は0〜11の整数、n102は0〜9の整数を表し、複数のR101およびR102は同一でも異なっていてもよい。AA1〜AA9はそれぞれ独立にCH(CHの水素原子はR102で置換されていてもよい)または窒素原子を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の電荷輸送材料。
【化2】

(一般式(2)において、R111はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。R231〜R234はそれぞれ独立にアルキル基、フッ素原子、シリル基またはアミノ基を表す。R235〜R238はそれぞれ独立にアリール基またはヘテロアリール基を表す。ただし、R111およびR231〜R238の中に縮環アリール構造と縮環ヘテロアリール構造は含まれない。R111およびR231〜R238の中に単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が合計で3〜6個含まれる。n111は0〜11の整数を表し、y31〜y33およびy35〜y37はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、y34およびy38は0〜5の整数を表す。複数のR111およびR231〜R238は同一でも異なっていてもよい。AB1〜AB17はそれぞれ独立にCH(CHの水素原子はR231〜R238で置換されていてもよい)または窒素原子を表し、6員環の芳香環を構成する環員である。)
【請求項3】
前記一般式(2)における前記AB3がCHを表し、該AB3の水素原子が前記R235の少なくとも1つによって置換されていることを特徴とする請求項2に記載の電荷輸送材料。
【請求項4】
前記一般式(1)におけるn101が0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
【請求項5】
前記一般式(1)におけるR101またはR102が、フッ素原子、フルオロアルキル基、シクロアルキル基、シリル基、アルキルシリル基、アリールシリル基、または、シクロアルキレン基もしくはケイ素原子連結基を含む置換基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
【請求項6】
前記一般式(1)に含まれる全ての単環の芳香環が、炭素原子骨格の6員環であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
【請求項7】
前記一般式(1)で表される化合物が炭素原子および水素原子のみからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
【請求項8】
前記一般式(1)で表される化合物の分子量が1200以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
【請求項9】
前記一般式(1)で表される化合物が、単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が単結合を介して4個以上連続して結合している部分構造を少なくとも1つ有し、
前記部分構造中において、パラ位で連続して連結している前記単環の芳香環の個数が3個以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電荷輸送材料。
【請求項10】
基板と、
該基板上に配置され、陽極及び陰極を含む一対の電極と、
該電極間に配置された有機層とを有し、
前記有機層が、燐光発光材料と請求項1〜9のいずれか一項に記載の電荷輸送材料を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項11】
前記燐光発光材料が下記一般式(E−1)で表されることを特徴とする請求項10に記載の有機電界発光素子。
【化3】

(一般式(E−1)中、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。A1はZ1と窒素原子と共に5又は6員のヘテロ環を形成する原子群を表す。B1はZ2と炭素原子と共に5又は6員環を形成する原子群を表す。(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。nE1は1〜3の整数を表す。)
【請求項12】
前記一般式(E−1)で表される燐光発光材料が下記一般式(E−2)で表されることを特徴とする請求項10または11に記載の有機電界発光素子。
【化4】

(一般式(E−2)中、AE1〜AE8はそれぞれ独立に、窒素原子、または、REで置換された炭素原子を表す。REは水素原子又は置換基を表す。(X−Y)はモノアニオン性の二座配位子を表す。nE2は1〜3の整数を表す。)
【請求項13】
前記一般式(E−1)で表される燐光発光材料の極大発光波長が500nm〜700nmであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【請求項14】
前記有機層が、前記燐光発光材料を含む発光層とその他の有機層を有し、
前記発光層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【請求項15】
前記有機層が、前記燐光発光材料を含む発光層とその他の有機層を有し、
該その他の有機層が、前記発光層と前記陰極との間に配置されたホールブロック層を含み、且つ、該ホールブロック層が前記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【請求項16】
極大発光波長が500nm〜550nmであることを特徴とする10〜15のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする発光装置、表示装置または照明装置。
【請求項18】
下記一般式(1)で表される化合物。
【化5】

(一般式(1)において、R101およびR102はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素原子またはシリル基を表し、さらにこれらの基またはアミノ基で置換されていてもよい。ただし、R101およびR102の中に縮環アリール構造と縮環ヘテロアリール構造は含まれない。R101およびR102の中に単環の芳香環(該芳香環は、環員が炭素原子または窒素原子で構成される6員環である)が合計で5個以上含まれる。n101は0〜11の整数、n102は0〜9の整数を表し、複数のR101およびR102は同一でも異なっていてもよい。AA1〜AA9はそれぞれ独立にCH(CHの水素原子はR102で置換されていてもよい)または窒素原子を表す。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−216819(P2012−216819A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−72478(P2012−72478)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】