説明

電荷輸送材料として使用するトリアリールアミン化合物

【課題】電子デバイスおよび該電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】式(III)のトリアリールアミン化合物の少なくとも1つ、このような化合物を含む組成物、並びに、これらの混合物を含有する少なくとも1つの層を含む電子デバイスおよび該電子デバイスの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスおよび他の用途における電荷輸送材料として有用なトリアリールアミン化合物に関する。
【0002】
本出願は、特願2007−506539号の分割出願である。
【背景技術】
【0003】
OLEDディスプレイを構成する有機発光ダイオード(「OLED」)などの有機光活性電子デバイスでは、有機活性層は、OLEDディスプレイ中の2つの電気コンタクト層の間に挟まれている。OLEDでは、有機光活性層は、電気コンタクト層に電圧を印加すると透光性電気コンタクト層を通して発光する。
【0004】
有機エレクトロルミネッセンス化合物を発光ダイオード中の活性成分として使用することは周知である。単純な有機分子、共役ポリマー、および有機金属錯体が使用されてきた。
【0005】
光活性材料を使用するデバイスは、光活性(例えば、発光)層とコンタクト層(正孔注入コンタクト層)の間に配置される1つ又は複数の電荷輸送層を含むことが多い。デバイスは、2つ以上のコンタクト層を具備することができる。光活性層と正孔注入コンタクト層の間に正孔輸送層を配置することができる。正孔注入コンタクト層は、アノードと呼ばれる場合もある。光活性層と電子注入コンタクト層の間に電子輸送層を配置することができる。電子注入コンタクト層は、カソードと呼ばれる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,962,631号明細書
【特許文献2】国際公開第00/53565号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/02714号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2001/0019782号明細書
【特許文献5】EP1191612号明細書
【特許文献6】国際公開特許02/15645号パンフレット
【特許文献7】EP1191614号明細書
【特許文献8】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献9】国際公開第00/70655号パンフレット
【特許文献10】国際公開第01/41512号パンフレット
【特許文献11】米国特許第6,150,426号明細書
【特許文献12】米国特許出願第10/669494号明細書
【特許文献13】米国特許第5,645,948号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ヤマモト(Yamamoto)、高分子科学の発展(Progress in Polymer Science)、第17巻、1153頁(1992年)
【非特許文献2】コロン(Colon)ら、高分子科学誌(Journal of Polymer Science)、パートA、高分子化学版(Polymer chemistry, Edition)、第28巻、367頁(1990年)
【非特許文献3】サディーギ(Sadighi)、J.P.;シンガー(Singer)、R.A.;ブーフヴァルト(Buchwald)、S.L.、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、1998年、120、4960
【非特許文献4】ウルフ(Wolfe)、J.P.;トモリ(Tomori)、H;サディーギ(Sadighi)、J.P.;イン(Yin)、J.;ブーフヴァルト(Buchwald)、S.L.J.、有機化学誌(Org.Chem.)、200、65、1158
【非特許文献5】ハートウィッグ(Hartwig)、J.F.;現代アレーン化学(Modern Arene Chemistry)、2002、107〜168頁、編集者:アストルク(Astruc)、D.、ウィリー−VCH出版社、ヴァインハイム、ドイツ(Wiley−VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim,Germany)
【非特許文献6】デスマレット(Desmarets)、C;シュナイダー(Schneider)、R.;フォート(Fort)、Y.、テトラヘドロン(Tetrahedron)、2001、57、6054
【非特許文献7】ウルフ(Wolfe)、J.P.;ブーフヴァルト(Buchwald)、S.L.、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc)、1997年、119、4960
【非特許文献8】クラパース(Klapars)、A.;アンティラ(Antilla)、J.C.;ホワン(Huang)、X.;ブーフヴァルト(Buchwald)、S.L.、米国化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、2001年、123、7727
【非特許文献9】「可溶性電導ポリマーから製造される可撓性発光ダイオード)(Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer)」、ネイチャー(Nature)、第357巻、477〜479頁(1992年6月11日)
【非特許文献10】ブラッドリー(Bradley)ら、Synth. Met.(2001)、116(1−3)、379−383
【非特許文献11】キャンベル(Campbell)ら、フィジカルレビュー、B(Phys. Rev. B)、第65巻、085210
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子デバイスおよび他の用途に使用する電荷輸送材料が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、式I又はIIIを有する新規なトリアリールアミン化合物であり:
【0010】
【化1】

【0011】
式中、
nは、少なくとも1の整数であり、
は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、Rは、出現するごとに同じであっても、又は異なってもよく、
は、HおよびRから選択され、Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および、式(II)、のアリールアミノ基から選択され、
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択され、
は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択される)
Eは、O、S、(SiR(式中、mは、1〜20の整数である)、(CR(式中、mは、1〜20の整数である)、および、これらの組み合わせから選択され、出現するごとに異なっていてもよく、式中、RおよびRは、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、ここで、RおよびRは、一緒になって、非芳香族環を形成してもよいが、但し、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1のとき、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でないことを条件とする。
【0014】
また、前述の式(I)又は(III)を有する官能性モノマーを重合させることにより、ポリマーおよびコポリマーが調製される。
【0015】
本発明の他の態様には、前述の少なくとも1つの化合物を含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスおよび他の用途が挙げられる。
【0016】
本発明の別の態様では、前記化合物の少なくとも1つを含む組成物が提供される。本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を含む液体組成物は、溶液、分散体、又はエマルションの形態とすることができる。
【0017】
前述の概略の説明および以下の詳細な説明は、例示し、説明するためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲に記載される本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本明細書に開示される新規な化合物の少なくとも1つを含む少なくとも1つの層を含む1つの有機電子デバイスを説明する例である。
【0019】
本発明を例示の目的で説明するが、添付の図に限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、新規な化合物、前記化合物の新規な製造方法、新規な化合物の少なくとも1つを含む組成物、新規な化合物の少なくとも1つを含む少なくとも1つの層を含む電子デバイスおよび他の用途、並びに、本化合物を含有するデバイスの製造方法を提供する。本発明の一態様は、式I又はIIIを有する化合物であり:
【0021】
【化3】

【0022】
式中、
nは、少なくとも1の整数であり、
は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、および、Rは、出現するごとに同じであっても、又は異なってもよく、
は、HおよびRから選択され、
は、H、R、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および、式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【0023】
【化4】

【0024】
は、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択され、
は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択される。
【0025】
Eは、O、S、(SiR(式中、mは、1〜20の整数である)、(CR(式中、mは、1〜20の整数である)、および、これらの組み合わせから選択され、出現するごとに異なっていてもよく、式中、RおよびRは、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、ここで、RおよびRは、一緒になって、非芳香族環を形成することができるが、但し、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1のとき、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でないことを条件とする。
【0026】
幾つかの実施形態では、式(I)およびIIIの化合物中の少なくとも1つの芳香族環は、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシおよびフルオロアリールオキシから独立に選択される1つ又は複数の置換基を有する。他の実施形態では、式(I)およびIIIの化合物中の2つの隣り合う芳香族環の置換基は、一緒に芳香族環又は非芳香族環を形成することができる。他の実施形態では、単一の環の隣接する置換基は、連結して、縮合芳香族環又は非芳香族環を形成することができる。
【0027】
幾つかの実施形態では、Rはアリールである。
【0028】
幾つかの実施形態では、Rはフェニル、1−ナフチル、および、2−ナフチルから選択される。幾つかの実施形態では、n=1、RはHであり、Rはフェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0029】
幾つかの実施形態では、Rは、フルオロアリールおよびフルオロへテロアリールから選択され、基は、最大7つまでのフッ素原子を有することができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、RはH又はアリールである。幾つかの実施形態では、RはRとは異なる。幾つかの実施形態では、RはHであり、Rはアリールである。
【0031】
幾つかの実施形態では、Rはアリールである。
【0032】
幾つかの実施形態では、Rは、フルオロアリールおよびフルオロへテロアリールから選択され、基は、最大7つまでのフッ素原子を有することができる。
【0033】
一実施形態では、新規な化合物は、式IVを有し、
【0034】
【化5】

【0035】
式中、
nは、少なくとも1の整数であり、Rは、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリール(ここで、フルオロアリールおよびフルオロへテロアリールは、1つ又は複数のフッ素原子、幾つかの実施形態では最大7つまでのフッ素原子で置換されている)から選択され、Rは、出現するごとに異なってもよい。幾つかの実施形態では、Rはアリールである。Rは、H、R、アルキル、フルオロアルキル、式(II)のアリールアミノ、Cl、Br、Iから選択される。幾つかの実施形態では、RはHである。Rは、HおよびRから選択される。幾つかの実施形態では、Rはアリールである。Rは、アリール、H、R、アルキル、フルオロアルキルから選択される。幾つかの実施形態では、Rはアリールである。幾つかの実施形態では、RはRとは異なる。幾つかの実施形態では、RはHであり、Rはアリールである。
【0036】
Eは、O、S、(SiR(式中、mは、1〜20の整数である)、(CR(式中、mは、1〜20の整数である)、および、これらの組み合わせから選択され、出現するごとに異なっていてもよく、式中、RおよびRは、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、ここで、RおよびRは、一緒になって、非芳香族環を形成することができるが、但し、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1のとき、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でないことを条件とする。
【0037】
幾つかの実施形態では、式(IV)の化合物中の少なくとも1つの芳香族環は、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシおよびフルオロアリールオキシから選択される置換基を有する。幾つかの実施形態では、Rはフェニル、1−ナフチル、および、2−ナフチルから選択される。幾つかの実施形態では、n=1、RはHであり、Rはフェニル、1−ナフチル、および2−ナフチルから選択される。
【0038】
ポリマーおよびコポリマーは、式I、III、およびIVを有する複数の官能性モノマーを重合させることによって調製でき、ここで、モノマーは同じであっても又は異なってもよい。本明細書で使用する時、「官能性モノマー」の用語は、少なくとも反応性の基を有し、同じ又は異なる反応基を有する他の化合物と反応できる化合物を意味するものとする。
【0039】
式(I)、(III)、および(IV)中のnの実際的な上限は、一部には、特定の溶媒又は特定の種類の溶媒に対する化合物の所望の溶解度によって決定される。nの値が増大するにつれ、化合物の分子量は増大する。分子量が増大すると、一般に、特定の溶媒に対する化合物の溶解度は低下すると予測される。更に、一実施形態では、所与の溶媒中で化合物が実質的に不溶性になるnの値は、一部には化合物の構造に依存する。例えば、複数のフェニル基を含有する化合物は、nが約10よりずっと小さいとき、有機溶媒に実質的に不溶性になる場合がある。別の例として、より少ないフェニル基および/又は特定の官能基を有するフェニル基を含有する化合物は、nが約10又はそれより大きくても、更には10又は10であっても、所与の溶媒に可溶性の場合がある。nの値および溶媒の選択は、当業者の認識範囲内にある。
【0040】
また、前述の化合物の複数の官能性モノマーを組み合わせることによって調製されるコポリマーを含む化合物が提供される。このようなモノマーを以下のように3つの種類に分類することができる。
【0041】
【化6】

【0042】
式中、yは1以上の整数であり、wはゼロ又は1以上の整数であり、XはCl、Br、I、ボロン酸、ボロン酸エステル、ボラン又はトリフレート基であり、Xは、(グループ1では)炭素−炭素結合、および(グループ2および3では)炭素−窒素結合を形成できるように、出現するごとに異なっていてもよい。
【0043】
便宜上、本明細書では例示的なモノマーをグループ1、グループ2、又はグループ3に割り当て、そのグループ内で例示的なモノマーをサブグループに、例えば、グループ1内でサブグループA1、A2、B、C1、C2、およびC3などに割り当てる。
【0044】
各グループ1、グループ2、および/又はグループ3内の各サブグループの1つ又は複数のモノマーを使用して、ホモポリマーおよびコポリマーを製造することができるが、但し、サブグループAのモノマーだけを含有するコポリマー、又はサブグループBのモノマーだけを含有するコポリマーが得られないことを条件とする。グループ3内のモノマーから製造されるコポリマーは、A1又はA2と指定される少なくとも1つのコモノマー、および、サブグループE1、E2、E3、E4およびE5の少なくとも1つのコモノマーを含有する。例示的なコポリマーには、ポリ(A−co−B);ポリ(A−co−C);ポリ(A−co−B−co−C);ポリ(A−co−C);および、グループC内の2つ以上のモノマーを含むコポリマーが挙げられ、ここで、例えば、「ポリ(A−co−B)」は、重合単位としてグループAのモノマーおよびグループBのモノマーを含むコポリマーを指す。このようなコポリマー中のモノマー、例えば、AおよびBは、等モル比で、又は非等モル比で存在することができる。グループ1のモノマーから製造されるコポリマーは、重合中、炭素−炭素結合の形成によって製造される。グループ2およびグループ3のモノマーから製造されるコポリマーは、重合中、炭素−窒素結合の形成によって製造される。
【0045】
グループ1からのホモポリマーおよびコポリマーは、一般に、既知の合成方法を使用して調製することができる。一合成方法では、(非特許文献1)に記載されるように、モノマー単位のジハロ誘導体を化学量論的な量の0価のニッケル化合物(ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)など)と反応させる。別の方法では、(非特許文献2)に記載されるように、2価のニッケルイオンを0価のニッケルに還元できる化学量論的な量の材料の存在下で、モノマー単位のジハロ誘導体を触媒量のNi(II)化合物と反応させる。好適な材料には、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、およびリチウムが挙げられる。第3の合成方法では、米国特許公報(特許文献1)および(特許文献2)に記載されるように、0価のパラジウム触媒(テトラキス(トリフェニルホスフィン)Pdなど)の存在下で、1モノマー単位のジハロ誘導体を、ボロン酸、ボロン酸エステル、およびボランから選択される2つの反応基を有する別のモノマー単位の誘導体と反応させる。
【0046】
グループ2および3からのホモポリマーおよびコポリマーは、一般に、Pd触媒アミノ化反応により調製することができる。例えば、グループ2のモノマーを含有するホモポリマー又はコポリマーは、反応性一級又は二級アミンと反応性アリールハライドの両方を有するモノマー単位を、銅、ニッケル、又はパラジウム触媒の存在下で反応させることにより形成できる。グループ3のモノマーを含有するホモポリマー又はコポリマーは、銅、ニッケル、又はパラジウム触媒の存在下における、1つ又は複数のジハロモノマー誘導体と、1つ又は複数のジアミノ(一級又は二級)モノマー単位との反応により生成できる。Pd触媒アミノ化反応の典型的な条件は、(非特許文献3)、(非特許文献4)、(非特許文献5)に記載されている。Ni触媒アミノ化反応の典型的な条件は、(非特許文献6)、(非特許文献7)に記載されている。Cu触媒アミノ化反応の典型的な条件は、(非特許文献8)に記載されている。
【0047】
本明細書に開示される化合物のポリマーは、例えば、NPDおよびTPDと比較して、改善された熱安定性を有することができる。例えば、式IVの化合物(ここで、Rは1−ナフチルであり、EはC(CFである)のTは約240℃である。典型的には、本化合物のTは、少なくとも約50℃、好ましくは少なくとも約100℃である。
【0048】
式IおよびIVの化合物は、当業者に既知の炭素−窒素結合形成方法により調製することができる。例えば、ホモポリマー又はヘテロポリマーは、銅、ニッケル、又はパラジウム触媒の存在下における、1つ又は複数のジハロモノマー誘導体と、等モル量の1つ又は複数のジアミノ(一級又は二級)モノマー単位との反応により生成できる。或いは、反応基としてアミンおよびハライドを含有する1つ又は複数のモノマーを使用することができる。Pd触媒アミノ化反応の典型的な条件は、(非特許文献3)、(非特許文献4)、(非特許文献5)に記載されている。Ni触媒アミノ化反応の典型的な条件は、(非特許文献6)、(非特許文献7)に記載されている。Cu触媒アミノ化反応の典型的な条件は、(非特許文献8)に記載されている。
【0049】
例えば、好適な塩基(NaOBuなど)、触媒(1当量未満の)量の好適なパラジウム化合物(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなど)、および好適な配位子(P(Bu)など)の存在下で、グループ3のジアミンモノマーE1(N,N’−ジフェニルベンジジンなど)を等モル量のジハライドモノマーA1(4,4’−ブロモフェニルイソプロピリデンなど)と反応させる。22℃〜150℃の温度で24〜92時間、重合を行う。次いで、得られるポリマーをエンドキャップ基(ブロモベンゼンなど)で処理し、更に24〜48時間反応させ、式IV(式中、Rはフェニルであり、EはC(CHであり、R=Rはフェニルである)のポリマーを生成させる。
【0050】
別の実施例では、グループ2のモノマーD1(4−(N−フェニルアミン)−4’−(ブロモフェニル)イソプロピリデンなど)を、前述の条件を使用して重合させると、式IV(式中、Rはフェニルであり、EはC(CHであり、R=Rはフェニルである)のポリマーを得ることができる。
【0051】
式IIIの化合物は、当業者に既知の炭素−炭素結合形成方法により調製することができる。(非特許文献1)に記載の一方法では、モノマー単位のジハロ誘導体を、化学量論的な量の0価のニッケル化合物(ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)など)と反応させる。第2の方法では、(非特許文献2)に記載されるように、2価のニッケルイオンを0価のニッケルに還元できる化学量論的な量の材料の存在下で、モノマー単位のジハロ誘導体を、触媒量のNi(II)化合物と反応させる。好適な材料には、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、およびリチウムが挙げられる。第3の合成方法では、米国特許公報(特許文献1)および(特許文献2)に記載されるように、0価のパラジウム触媒(テトラキス(トリフェニルホスフィン)Pdなど)の存在下で、1モノマー単位のジハロ誘導体を、ボロン酸、ボロン酸エステル、およびボランから選択される2つの反応基を有する別のモノマー単位の誘導体と反応させる。
【0052】
例えば、グループ1のモノマーC2(4,4’−N,N’−[(1−ナフチル)(4−クロロフェニル)]−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)など)の高分子組成物を、化学量論的な量の0価のニッケル化合物(ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)など)と22℃〜150℃の温度で24〜92時間反応させる。
【0053】
OLEDデバイスを含む電子デバイスを製造するため、一実施形態では、化合物は、インジウムをドープした酸化スズ(ITO)などの透明なアノード上に堆積されるとき、皮膜を形成する。得られる皮膜の質は、平滑さおよび欠陥密度を目視検査/顕微鏡検査することにより表面的に判断できる。OLEDに関して、目視観察される欠陥が最小限であることが好ましい。更に、皮膜の質は、例えば、光学的楕円偏光測定器又は機械的プロフィルメータを使用して、皮膜の数箇所の別々の領域で膜厚を推定することにより測定できる。皮膜の異なる領域で測定する時、皮膜が実質的に均一な厚さを有することが好ましい。
【0054】
例えば、一実施形態では、式I、III、又はIVの化合物の少なくとも1つを含む組成物は、電子デバイスを製造する際、分散体、エマルション、又は溶液などの液体の形態とすることができる。有機発光ダイオードについて下記に説明する、電子デバイスの例示的な製造方法は、
前述の式(I)および式(III)から選択される式を有する化合物を含む液体組成物を提供する工程、
アノードを提供する工程、
前記化合物を含む前記液体組成物を前記アノードに隣接するように配置する工程、
前記組成物から前記液体を除去し、少なくとも1つの正孔輸送層を生成させる工程、
光活性材料および電気活性材料から選択される材料を提供する工程、
前記材料を前記正孔輸送膜に隣接するように配置する工程、
電子輸送体を提供する工程、
前記電子輸送体を前記発光体に隣接するように配置する工程、および
カソードを前記電子輸送体に隣接するように提供する工程、
を含む。
【0055】
一実施形態では、液体組成物は、化合物に対して少なくとも1つの溶媒を含む。当業者は、特定の化合物又は関連する種類の化合物に好適な溶媒を容易に決定することができる。幾つかの用途では、化合物は非水性溶媒に溶解される。このような非水性溶媒は、C〜C20アルコール、エーテル、および酸エステルなどの比較的極性のものであっても、又はC〜C12アルカン若しくは芳香族などの比較的非極性のものであってもよい。
【0056】
新規な化合物の少なくとも1つを含む溶液、エマルション、又は分散体として、液体組成物の製造に使用される他の好適な液体媒体には、以下に限定されないが、塩素化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、芳香族炭化水素(トリフルオロトルエンを含む、置換および非置換トルエンおよびキシレンなど)、極性溶媒(テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)など)、エステル(酢酸エチルなど)、アルコール(イソプロパノール)、ケトン(シクロペンタノン)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
本明細書に開示される化合物および化合物を含む組成物は、溶液プロセス適性(solution processability)、皮膜形成能、溶解性、および高分子化合物の熱安定性に関して、トリアリールアミンなどのより小さい分子の電子的利点を提供することができる。特に、化合物を溶液の状態で提供して溶液プロセスに使用し、電子デバイスを製造できることが分かった。
【0058】
一実施形態では、化合物が有用である電子デバイスは、OLEDデバイスである。蒸着プロセスを使用し、OLEDデバイスの製造に正孔輸送材料として通常使用される、NPD(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン)、および、TPD(4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)などの既知の化合物とは対照的に、本発明の化合物は、改善された熱安定性を有し、通常の溶媒に選択的に溶解することができる。「選択的に溶解」は、化合物を幾つかの溶媒には可溶性又は実質的に可溶性にし、他の溶媒には不溶性又は実質的に不溶性にすることができることを意味する。例えば、化合物を使用して電子デバイスを製造する際、化合物が可溶性又は実質的に可溶性である溶媒中に化合物を提供し、化合物が不溶性又は実質的に不溶性である別の溶媒でそこに堆積させるのが望ましいことが多い。化合物の置換基を変えることによって、可溶化を提供又は向上することができる。
【0059】
一実施形態では、化合物が実質的に可溶性である溶媒に化合物を溶解させる。次いで、その溶液を薄膜に形成し、溶液プロセス技術のいずれかで乾燥させる。溶媒が蒸発する時、形成されて得られる皮膜を、その後更に、高温(溶媒の沸点より高温を含む)で、真空又は窒素雰囲気中でベークすることによって乾燥させる。次いで、予備形成された化合物膜の上に、発光層材料を含有する第2の溶液を堆積させることによって皮膜を更に処理するが、ここで、発光材料は、化合物が実質的に不溶性である溶媒に溶解される。「実質的に不溶性」は、溶媒1ml中に約5mg未満の化合物が溶解することを意味する。しかし、5mgより大きい又は5mg未満の溶解度を使用することができ、それは幾つかの用途に好ましい場合がある。例えば、10mg/mLまでの中程度の溶解度では、本発明のHTMポリマーと発光層材料の間の境界面が不鮮明になるか又は徐々に変化する場合がある。このような不鮮明化は、含まれる材料の性質に応じて、有害な効果を有する可能性もあれば、又は有益な効果を有する可能性もある。境界面のこのような不鮮明化によって、境界面での改善された電荷輸送と、実質的に改善されたデバイス性能又は寿命が得られる可能性がある。
【0060】
当業者に認識されるように、化合物の溶解度は、一部には化合物内の置換基によって決定される。特に、本明細書に開示される化合物では、特定の溶媒又は特定の種類の溶媒に対する化合物の溶解度を調整するため、化合物中のグループ「E」の性質を変えることができる。このようにして、グループ「E」の性質を変えることにより、水又はいずれかの所与の有機非水性溶媒に対する溶解度が大きく又は小さくなるように化合物を変性させることができる。
【0061】
また、好ましくは、電子デバイスを製造するため、本化合物は、典型的にはITO(インジウムをドープした酸化スズ)などの透明なアノードである電極上に発光層膜を堆積させるのに使用できる溶媒に対して比較的低い溶解度、例えば、約5mg/mL未満、更には約2mg/mL以下の溶解度を有する。
【0062】
一実施形態では、本明細書に開示される少なくとも1つの化合物又は組成物を含有する少なくとも1つの層を含む電子デバイスが提供される。一実施形態では、層は電荷輸送層であり、別の実施形態では、層は正孔輸送層である。このような化合物を含む新規な化合物又は組成物は、光活性層と電極の間に配置される別々の層に存在することができる。或いは、有機電子デバイスの光活性層は本組成物を含有することができる。少なくとも1つの化合物又は組成物を含む少なくとも1つの層を含む電子デバイスの一例を図1に示す。デバイス100は、アノード層110およびカソード層160を有する。アノードに隣接しているのは、正孔輸送材料を含む層120である。カソードに隣接しているのは、電子輸送および/又はアンチクエンチング(anti−quenching)材料を含む層140である。正孔輸送層と電子輸送および/又はアンチクエンチング層の間に、光活性層130がある。図示されている実施形態では、デバイスはカソードの隣に任意選択的な追加の輸送層150を有する。層120、130、140、および150は、個々におよび集合的に活性層と称される。
【0063】
デバイス100の用途に応じて、光活性層130は、(発光ダイオード又は発光電気化学セルなどにおけるように)印加電圧によって活性化される発光層、(光検出器などにおけるように)放射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧で又は印加バイアス電圧なしに信号を発生させる材料の層とすることができる。光検出器の例には、光導電セル、フォトレジスタ、光スィッチ、フォトトランジスタ、および光電管、および光電池が挙げられ、これらの用語は、マーカス・ジョン(Markus,John)、電子工学および核工学辞典(Electronics and Nucleonics Dictionary)、470および476(マグローヒル社(McGraw−Hill, Inc.)、1966年)に説明されている。
【0064】
本明細書に開示される化合物は、正孔輸送層120に、および、光活性層130中の電荷伝導ホストとして特に有用である。デバイス中の他の層は、このような層に有用であることが既知の任意の材料で製造することができる。アノード、110は、正電荷キャリアを注入するのに特に効率的な電極である。それは、例えば、金属、混合金属、合金、金属酸化物若しくは混合金属酸化物、電導性ポリマー、又はこれらの組み合わせ又は混合物を含有する材料で製造することができる。好適な金属には、11族の金属、4、5および6族の金属、並びに8〜10族の遷移金属が挙げられる。アノードが透光性となる場合、12、13および14族の金属の混合金属酸化物(インジウム−スズ酸化物など)が一般に使用される。アノード110は、また、例えば、(非特許文献9)に記載されるように、ポリアニリンなどの有機材料を含むこともできる。アノードおよびカソードの少なくとも1つは、好ましくは、発生した光を観察できるように少なくとも部分的に透明である。
【0065】
光活性層130は、典型的には、以下に限定されないが、蛍光色素、蛍光および燐光金属錯体、共役ポリマー、およびこれらの混合物を含む任意の有機エレクトロルミネッセンス(「EL」)材料であってもよい。蛍光色素の例には、以下に限定されないが、ピレン、ペリレン、ルブレン、およびこれらの誘導体、およびこれらの混合物が挙げられる。金属錯体の例には、以下に限定されないが、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;ペトロブ(Petrov)ら、(特許文献3)に開示されている、イリジウムとフェニルピリジン、フェニルキノリン、又はフェニルピリミジン配位子との錯体などのシクロメタレート型イリジウムおよび白金エレクトロルミネッセンス化合物、および、例えば、米国特許公報(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)、および(特許文献7)に記載されている有機金属錯体;およびこれらの混合物が挙げられる。電荷を担うホスト材料および金属錯体を含むエレクトロルミネッセンス発光層は、トンプソン(Thompson)らにより米国特許公報(特許文献8)に、並びに、バーロウ(Burrows)およびトンプソン(Thompson)により(特許文献9)および(特許文献10)に記載されている。電荷を担うホスト材料および燐光白金錯体を含むエレクトロルミネッセンス発光層は、トンプソン(Thompson)らにより米国特許公報(特許文献8)に、(非特許文献10)、および(非特許文献11)に記載されている。共役ポリマーの例には、以下に限定されないが、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、これらのコポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
一実施形態では、光活性層130は、有機金属化合物を含む。これらのエレクトロルミネッセンス錯体は単独で使用されても、又は、前述のように、電荷を担うホスト中にドープされてもよい。化合物が正孔輸送層120中に有用であることに加えて、電子輸送層140/150は、また、光活性層130又はさもなければ光活性層の一部で発光性ドーパントのための電荷を担うホストの役割をすることもできる。
【0067】
層140および/又は層150中に使用できる電子輸送材料の例には、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq)などの金属キレート化オキシノイド化合物;および、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)および3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)などのアゾール化合物;およびこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
カソード160は、電子又は負電荷キャリアを注入するのに特に効率的な電極である。カソードは、アノードより低い仕事関数を有する任意の金属又は非金属とすることができる。カソード用の材料は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、12族の金属(希土類元素およびランタニド、およびアクチニドを含む)から選択することができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム、およびマグネシウムなどの材料、並びに組み合わせを使用することができる。Li含有有機金属化合物、LiFおよびLiOを有機層とカソード層の間に堆積させて作動電圧を低下させることもできる。
【0069】
有機電子デバイス中に他の層を有することは既知である。例えば、正電荷輸送および/又は層のバンドギャップ一致を促進するように、又は保護層として機能するように、アノード110と正孔輸送層120の間に層(図示せず)を設けることができる。当該技術分野で既知の層を使用することができる。更に、前述の層のどれも2つ以上の層で製造することができる。或いは、アノード層110の幾つか又は全て、正孔輸送層120、電子輸送層140および150、並びに、カソード層160を表面処理して電荷キャリア輸送効率を増大させてもよい。各構成要素層の材料の選択は、好ましくは、デバイスに高いデバイス効率を提供する目標をデバイスの作動寿命と均衡させることによって決定される。
【0070】
一実施形態では、有機電子デバイスは、アノード110と正孔輸送層120の間に少なくとも1つのバッファ層を含む。本明細書で使用する時「バッファ層」の用語は、アノードと活性有機材料の間に使用できる電気伝導性又は半伝導性の層を意味するものとする。バッファ層は、以下に限定されないが、有機電子デバイスの性能を促進又は改善するため、数ある態様の中でも、下にある層の平坦化、正孔輸送、正孔注入、酸素および金属イオンなどの不純物の純化を含む1つ又は複数の機能を、有機電子デバイス中で遂行すると考えられる。バッファ層は、小分子、オリゴマー、又はポリマーであってもよい正孔輸送材料を有する少なくとも1つの層を含むことができる。正孔輸送材料の例は、例えば、カーク・オスマー化学技術百科事典(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、第18巻、837〜860頁、1996年、Y.ワン(Wang)著に要約されている。正孔輸送分子とポリマーの両方を使用することができる。通常使用される正孔輸送分子は、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トルイルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPR又はDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、および銅フタロシアニンなどのポルフィリン化合物である。通常使用される正孔輸送ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリチオフェン、およびポリアニリンである。前述のものなどの正孔輸送分子をポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマーにドープすることによって正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。
【0071】
一実施形態では、バッファ層は、電気伝導ポリマー、およびコロイド形成高分子酸を含む。本明細書で使用する時、「コロイド形成」の用語は、水溶液中に分散されるとき微小な粒子を形成する物質を指す、即ち、「コロイド形成」高分子酸は水溶性ではない。一実施形態では、導電性ポリマーは、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびポリピロールから選択される。一実施形態では、コロイド形成高分子酸は、高分子スルホン酸、高分子リン酸、高分子ホスホン酸、高分子カルボン酸、高分子アクリル酸、およびこれらの混合物から選択される。別の実施形態では、コロイド形成高分子酸は、フッ素化されている高分子スルホン酸である。別の実施形態では、コロイド形成高分子スルホン酸は、パーフルオロアルキレンスルホン酸を含む。
【0072】
一実施形態では、バッファ層は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDT」)およびポリ(パーフルオロエチレンスルホン酸)(「PFSA」)を含む。バッファ層は、PEDT/PFSAの水性分散体から調製することができ、これは、PFSAの水性分散体中におけるチオフェンモノマーの酸化重合により調製することができる。PFSAの調製は周知であり、例えば、米国特許公報(特許文献11)に記載されている。
【0073】
本明細書に記載の新規な化合物および組成物の少なくとも1つを含む1つ又は複数の層を有することが有利になり得る他の電子デバイスの例には、以下に限定されないが、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、又はダイオードレーザー)、(2)電子工学プロセスにより信号を検出するデバイス(例えば、光検出器(例えば、光導電セル、フォトレジスタ、光スィッチ、フォトトランジスタ、および光電管)、IR検出器)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光電池又は太陽電池)、および(4)1つ又は複数の有機半導体層を含む1つ又は複数の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスタ又はダイオード)が挙げられる。新規な化合物の他の用途には、記憶装置デバイス用のコーティング材料、帯電防止フィルム、バイオセンサ、エレクトロクロミックデバイス、エネルギー蓄積デバイス、および電磁遮蔽用途が挙げられる。
【0074】
各機能層は、2層以上で構成されてもよいことが分かる。
【0075】
デバイスは、好適な基板上に個々の層を逐次的に蒸着させることを含む様々な技術を使用して作製することができる。ガラスおよびポリマーフィルムなどの基板を使用することができる。熱蒸発、および化学蒸着などの慣用的な蒸着技術を使用することができる。或いは、溶液プロセス技術を使用して少なくとも1つの組成物を含む層を塗布することができる。個々の層の蒸着と溶液コーティングの組み合わせを使用することができる。一般に、異なる層は、以下の範囲の厚さを有する:アノード110、500〜5000Å、好ましくは1000〜2000Å;正孔輸送層120、50〜2000Å、好ましくは200〜1000Å;光活性層130、10〜2000Å、好ましくは100〜1000Å;電子輸送層140および150、50〜2000Å、好ましくは100〜1000Å;カソード160、200〜10000Å、好ましくは300〜5000Å。デバイス内での電子−正孔再結合ゾーンの位置、従って、デバイスの発光スペクトルは、各層の相対的な厚さに影響される可能性がある。従って、電子−正孔再結合ゾーンが発光層内にあるように、電子輸送層の厚さを選択すべきである。所望の層の厚さの比は、使用される材料の正確な性質に依存する。
【0076】
一実施形態では、少なくとも2つの有機層が溶液プロセスにより塗布される電子デバイスを作製する。本明細書で使用する時、「溶液プロセス」の用語は、液体媒体からの堆積を含むプロセスを意味するものとする。液体媒体は、溶液、分散体、エマルションの形態、又は他の形態とすることができる。典型的な液体堆積技術には、以下に限定されないが、スピンコート、グラビアコート、カーテンコート、ディップコート、スロットダイコート、スプレーコート、および連続ノズルコートなどの連続堆積技術;並びに、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷などの不連続液体堆積技術が挙げられる。一実施形態では、少なくとも2つの有機層が溶液プロセスにより塗布される電子デバイスが作製され、溶液プロセスにより塗布される層の1つが、光活性な小分子化合物を含む光活性層である。本明細書で使用する時、「小分子」の用語は、分子量2000未満の化合物を意味するものとする。一実施形態では、光活性な小分子は、燐光有機金属化合物および蛍光色素から選択される。一実施形態では、光活性な小分子は、青色ルミネッセンス材料である。本明細書で使用する時、「青色ルミネッセンス材料」の用語は、500nm以下で極大を有するフォトルミネッセンスおよび/又はエレクトロルミネッセンススペクトルを有する材料を意味するものとする。
【0077】
本明細書で使用する時、「電荷輸送材料」の用語は、電極から電荷を受容することができ、比較的高い効率と小さい電荷損失で、材料の厚さを通しての電荷の移動を容易にする化合物又は他の組成物を意味するものとする。正孔輸送材料は、アノードから正電荷を受容し、それを輸送することができる。電子輸送材料は、カソードから負電荷を受容し、それを輸送することができる。
【0078】
「化合物」の用語は、分子が異なる原子からなり、構成要素が物理的手段によって分離できない物質を意味するものとする。「組成物」の用語は、混合物、固体(粉末、フレーク、ペレットなどの様々な形態)、又は液体配合物(ここで、液体組成物は溶液、分散体、エマルションを含む)を含むものと広く解釈され、各組成物は、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を含む。
【0079】
「アンチクエンチング(anti−quenching)組成物」の用語は、光活性層の励起状態への又はそれから隣接する層へのエネルギーの輸送と電子の輸送の両方を防止、遅延、又は減少させる材料を意味するものとする。
【0080】
「光活性」の用語は、エレクトロルミネッセンス、フォトルミネッセンス、および/又は光感度を示す任意の材料を指す。
【0081】
「基」の用語は、有機化合物中の置換基など、化合物の一部を意味するものとする。別途示されない限り、基は全て、非置換であっても又は置換であってもよい。接頭辞「ヘテロ」は、1つ又は複数の炭素原子が異なる原子で置き換えられていることを示す。接頭辞「フルオロ」は、炭素に結合している水素原子のうち1つ又は複数がフッ素で置き換えられていることを意味するものとする。
【0082】
「アルキル」の用語は、1つの結合点を有する脂肪族炭化水素から誘導される基を意味するものとする。「アルキレン」の用語は、脂肪族炭化水素から誘導され、2つ以上の結合点を有する基を意味するものとする。「アルケニル」の用語は、1つ又は複数の炭素−炭素二重結合を有し、1つの結合点を有する炭化水素から誘導される基を意味するものとする。「アルキニル」の用語は、1つ又は複数の炭素−炭素三重結合を有し、1つの結合点を有する炭化水素から誘導される基を意味するものとする。「アルケニレン」の用語は、1つ又は複数の炭素−炭素二重結合を有し、2つ以上の結合点を有する炭化水素から誘導される基を意味するものとする。「アルキニレン」の用語は、1つ又は複数の炭素−炭素三重結合を有し、2つ以上の結合点を有する炭化水素から誘導される基を意味するものとする。
【0083】
「アリール」の用語は、1つの結合点を有する芳香族炭化水素から誘導される基を意味するものとする。「アリールアルキレン」の用語は、アリール置換基を有するアルキル基から誘導される基を意味するものとする。
【0084】
「アリーレン」の用語は、2つの結合点を有する芳香族炭化水素から誘導される基を意味するものとする。「アリーレンアルキレン」の用語は、アリール基とアルキル基の両方を有し、アリール基に1つの結合点を有し、アルキル基に1つの結合点を有する基を意味するものとする。別途示されない限り、基は全て、非置換であっても又は置換であってもよい。「に隣接する」の語句は、デバイス中の層を指すのに使用されるとき、1つの層が別の層の直ぐ隣にあることを必ずしも意味しない。他方、「隣接するR基」の語句は、化学式中で互いに隣り合うR基(即ち、結合によって連結されている原子上にあるR基)を指すのに使用される。
【0085】
「高分子」又は「ポリマー」の用語は、ダイマー、オリゴマー、ホモポリマー、およびコポリマー種を包含するものとする。
【0086】
更に、周期表の族に左から右へ1〜18の番号を付けるIUPAC番号付けシステム(CRC化学および物理学便覧(CRC Handbook of Chemistry and Physics)、第81版、2000年を全体を通して使用する。
【0087】
「層」又は「膜」の用語は、所望の領域を被覆するコーティングを指す。領域は、ディスプレイ全体と同じくらい大きくてもよく、又は、単一のサブピクセルなどの特定の機能領域と同じくらい小さくてもよい。皮膜は、任意の慣用的な堆積技術で形成することができる。
【0088】
本明細書で使用する時、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」の用語又はこれらの他のいずれかの変形は、非排他的な包含を扱うものとする。例えば、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもこれらの要素だけに限定されず、明確に列記されていない、又は、このようなプロセス、方法、物品若しくは装置に固有の他の要素を含んでもよい。更に、そうでないと明確に記載されない限り、「又は(or)」は、包括的orを指し、排他的orを指していない。例えば、以下のどれも、条件A又はBを満たす:Aは真であり(又は存在し)、且つ、Bは偽である(又は存在しない)、Aは偽であり(又は存在せず)、且つ、Bは真である(又は存在する)、および、AとBが両方とも真である(又は存在する)。
【0089】
また、本発明の要素および構成要素を説明するため、「その(the)」、「1つの(a)」又は「1つの(an)」を使用する。これは単に便宜上、および、本発明の一般的な意味を付与するために行われる。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと読まれるべきであり、そうではないことを意味することが明白でない限り、単数は複数も含む。
【0090】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の属する分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。別途定義されない限り、図中の全ての文字記号は原子を、その原子の省略形で表している。本明細書に記載されるものに類似又は同等の方法および材料を、本発明の実施又は試験に使用することができ、好適な方法および材料を後述する。
【0091】
本明細書に記載される全ての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその内容全体が組み込まれる。係争の場合、定義を含む本明細書によって調整される。更に、材料、方法、および実施例は説明するためのものに過ぎず、限定するためのものではない。
【実施例】
【0092】
以下の実施例で本発明のある一定の特徴および利点を説明する。それらは、本発明を説明するためのものであって、限定するものではない。全てのパーセンテージは、別途示されない限り、重量パーセンテージである。
【0093】
(実施例1)
(実施例1.モノマー1から得られるポリマー)
【0094】
【化7】

【0095】
(モノマー1の合成)
化合物1への合成経路を下記に示す。
【0096】
【化8】

【0097】
全ての反応を窒素雰囲気下で行い、反応フラスコを室内灯に当てないようにした。4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン(hexaflouroisopropylidene))ジアニリン(15.0g)、1−ヨードナフタレン(22.9g)およびNaOBu(12.95g)のトルエン(無水、300mL)溶液に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(4.12g)とPBu(2.28g)の混合物を添加した。得られる反応混合物を室温で5日間攪拌した後、それをセライトのプラグを通してろ過し、トルエン(3×500mL)で洗浄した。回転蒸発により揮発物質を除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカ)でEtOAt/ヘキサン(1:5)を使用して生成物を精製し、続いて、CHCl/ヘキサンから結晶化し、1aを67%の収率で得た(17.6g)。
【0098】
次いで、1a(17.6g)のトルエン(無水、480mL)溶液を1−クロロ−4−ヨードベンゼン(28.6g)、NaOBu(8.65g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(2.20g)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(2.66g)と混合した。得られる反応混合物を100℃に48時間加熱した後、それをセライトのプラグを通してろ過し、トルエン(4×250mL)で洗浄した。揮発物質を除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカ)で1Lのヘキサンを使用して生成物を精製し、続いて15%CHCl/ヘキサンで、1を白色粉末として64%の収率で得た(15.4g)。
【0099】
(1の重合)
ビス(1,5−シクロオクタジエン)−ニッケル−(0)(3.334g、12.12mmol)を、2,2’−ビピリジル(1.893g、12.12mmol)および1,5−シクロオクタジエン(1.311g、12.12mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(無水、15mL)溶液に添加した。得られる混合物を60℃に30分間加熱した。次いで、油浴の温度を70℃に上げ、1(4.846g、6.0mmol)のトルエン(無水、60mL)溶液を、攪拌している触媒混合物に素早く添加した。混合物を70℃で92時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、それを、約30mLの濃HClを含有するアセトン/メタノール(容積で50:50)混合物600mLに、激しく攪拌しながら、ゆっくりと注ぎ入れた。淡灰色の繊維状沈殿物が形成し、これは攪拌中、部分的に破砕した。混合物を1時間攪拌し、ろ過により固体を分離した。この固体をクロロホルム約200mLに溶解させ、約30mLの濃HClを含有するアセトン/メタノール(50:50)混合物1200mLに激しく攪拌しながら注ぎ入れた。淡灰色の繊維状塊が形成し、これを1時間攪拌し、ろ過により分離した。この固体を再びクロロホルム約200mLに溶解させ、シリカゲル60の吸着床(約3〜4cm)を通過させた。ろ床を約400mLのクロロホルムで洗浄し、合わせたクロロホルム溶液を約150〜200mLに濃縮し、アセトン/メタノール(容積で50:50)1600mLに激しく攪拌しながら注ぎ入れた。僅かにオフホワイトの繊維状沈殿物が形成し、これを1時間攪拌した。固体をろ過により分離し、真空下で一晩乾燥させた。この固体をテトラヒドロフラン(250mL)に溶解させた後、酢酸エチル1500mLに、激しく攪拌しながら、ゆっくりと注ぎ入れた。ポリマーは、僅かにオフホワイトの繊維状スラリーとして沈殿した。この混合物を1時間攪拌した後、ろ過により沈殿物を分離した。この固体をテトラヒドロフラン(220mL)にもう一度再溶解させ、0.2umシリンジフィルタ(PTFEメンブレンフィルタ)を通してろ過し、メタノール1200mLに、激しく攪拌しながら、ゆっくりと注ぎ入れた。ポリマーは、白色の繊維状スラリーとして沈殿し、これをろ過により分離した。得られた材料を真空下で一晩乾燥させた後、ポリマー3.31g(75%)を分離した。GPC(THF、室温):Mn=92,000;Mw=219,900;Mw/Mn=2.39。
【0100】
(実施例2)
(ポリマー2の合成)
ポリマー2への合成経路を下記に示す。
【0101】
【化9】

【0102】
全ての操作を窒素雰囲気下で行った。200mLフラスコに4,4’−ブロモフェニル(ヘキサフルオロイソプロピリデン)(3.64g、7.87mmol)、N,N−ジフェニルベンジジン(diphenylbezidine)(2.67、7.93mmol)、NaOBu(2.29、23.8mmol)、トルエン(無水、95mL)、および、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.363g、0.4mmol)とPBu(0.482g、2.4mmol)の溶液(10mL、トルエン)を投入した。得られる反応混合物を100℃に48時間加熱した。ブロモベンゼン(2.74g、17.4mmol)を反応混合物に添加し、更に24時間、攪拌した。室温に冷却した後、混合物を空気に開放し、50%トルエン/DMFで希釈して1%溶液(約1リットル)を製造し、それをセライトの1インチのパッドを通してろ過した。黄色のろ液の容積を約300mLに減少させた後、激しく攪拌している50%MeOH/アセトン溶液(約1800mL)にゆっくりと添加した。沈殿物が形成し、これをろ過により分離し、真空下で乾燥させて、オフホワイトの固体4.892g(97%)を得た。これをCHClに溶解させて約8%の溶液を製造し、これを激しく攪拌している6倍の容積のヘキサンに一滴ずつ添加すると、固体が生成した。ろ過および乾燥後、得られた固体をCHClに溶解させ(1%溶液)、6倍の容積の沸騰アセトニトリル中で再び沈殿させた。沈殿物をろ過し、真空乾燥させて、淡黄色の粉末材料2.274gを得た。GPC(THF、室温):Mn=10,100;Mw=20,800;Mw/Mn=2.06。
【0103】
(実施例3)
(ポリマー3の合成)
ポリマー3への合成経路を下記に示す。
【0104】
【化10】

【0105】
全ての操作を窒素雰囲気下で行った。200mLフラスコに4,4’−ブロモフェニルイソプロピリデン(1.00g、2.82mmol)、N,N−ジフェニルベンジジン(0.96g、2.82mmol)、NaOBu(0.85、8.5mmol)、トルエン(無水、30mL)、および、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.13g、0.14mmol)とPBu(0.17g、0.85mmol)の溶液(5mL、トルエン)を投入した。得られる反応混合物を100℃に48時間加熱した。ブロモベンゼン(0.98g、0.62mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.032g)およびPBu(0.042g)。更に24時間後、反応混合物を50%トルエン/DMFで希釈して1%溶液を製造した。ろ過後、溶媒を蒸発させ、得られた固体をCHCl(1L)で溶解させた後、濃縮して粘稠な溶液にし、それをヘキサン中で沈殿させ、2回ろ過して全ての粒子を除去した。粉末を一晩乾燥させた後、クロロホルムに溶解させ、沸騰CHCN中で再沈殿させ、2回ろ過した。乾燥後、淡黄色の粉末を42%の収率(0.629g)で分離した。Mn=3370;Mw=10,200;Mw/Mn=3.02。
【0106】
(実施例4)
(ダイマー4の合成)
【0107】
【化11】

【0108】
全ての操作を窒素雰囲気下で実施した。シュレンクフラスコにN,N’−ジフェニル−N−ナフト−1−イル−ベンジジン(2.00g、4.32mmol)、4,4’−ブロモフェニル(ヘキサフルオロイソプロピリデン)(0.95g、2.06mmol)、NaOBu(0.623g、23.8mmol)、トルエン(無水、40mL)、および、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.198g、0.2mmol)とPBu(0.262g、1.3mmol)の溶液(5mL、トルエン)を投入した。混合物を100℃に12時間加熱した。室温に冷却した後、溶液をCHClで希釈し、セライトを通してろ過した。揮発性物質を蒸発させると茶色の固体が得られ、それを最小限のCHClに溶解させ、MeOHから沈殿させた。ろ過および乾燥後、固体をクロマトグラフィー(シリカ、1:2CHCl/ヘキサン)で精製した。結晶化(CHCl/MeOH)により更に精製すると、化合物4がオフホワイトの粉末として81%の収率(2.04g)で得られた。H NMR(CDCl、500MHz):δ7.97(d,2H);7.92(d,2H);7.82(d,2H);7.49(m,8H);7.40(m,8H);7.30(t,4H);7.24(m,8H);7.15(m,8H);7.06(m,8H);6.97(t,2H);19F NMR(CDCl、376.86MHz):δ−64.66(s)。
【0109】
(実施例5)
(ダイマー5の合成)
【0110】
【化12】

【0111】
全ての操作を窒素雰囲気下で行った。丸底フラスコ4”,4”’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(bix)(4−フェノキシアニリン)(10.08g、19.5mmol)、1−ヨードナフタレン(14.83g、58.4mmol)、NaOBu(5.61g、58.4mmol)、トルエン(無水、300mL)、および、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(1.78g、1.95mmol)とPBu(0.98g、4.87mmol)の溶液(10mL、トルエン)。混合物を室温で4日間攪拌した。得られた混合物を水で洗浄し、有機層をMgSOで乾燥させた。揮発性物質を除去すると茶色の油が得られ、それをカラムクロマトグラフィーで、ヘキサン(1.5L)、続いて、純粋なEtOAcまで極性が増大するようにヘキサン:EtOAc混合物を使用して精製した。所望の化合物5を白色の粉末(1.0g)として分離した。H NMR(CDCl、500MHz):δ8.03(d,1H);7.85(d,1H);7.67(d,1H);7.43(t,1H);7.30(m,3H);7.17(d,1H);6.88(d,1H);6.83(d,1H);6.72(d,1H);19F NMR(CDCl、376.86MHz):δ−64.81(s)。
【0112】
(実施例6)
この実施例では、ポリマー1の第2のサンプルを合成した。
【0113】
ビス(1,5−シクロオクタジエン)−ニッケル−(0)(22.01g、80mmol)を、2,2’−ビピリジル(8.65g、80mmol)および1,5−シクロオクタジエン(1.311g、12.12mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(無水、100mL)溶液に添加した。得られる混合物を60℃に30分間加熱した。次いで、油浴の温度を70℃に上げ、実施例1のモノマー1(30.7g、38mmol)のトルエン(無水、400mL)溶液を、攪拌している触媒混合物に素早く添加した。混合物を70℃で5日間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した後、それを、約100mLの濃HClに、激しく攪拌しながら、ゆっくりと注ぎ入れた。得られる混合物を1時間、攪拌した後、約100mLの濃HClを含有するアセトン/メタノール(容積で50:50)混合物6Lに添加した。淡灰色の繊維状沈殿物が形成し、これは攪拌中、部分的に破砕した。混合物を1.5時間攪拌し、ろ過により固体を分離した。この固体をクロロホルム約1200mLに溶解させ、シリカのプラグを通してろ過した。得られた溶液を、約320mLの濃HClを含有するアセトン/メタノール(50:50)混合物6.4Lに、激しく攪拌しながら注ぎ入れた。淡灰色の繊維状塊が形成し、これを1時間攪拌し、ろ過により分離した。この固体を再びクロロホルム約1500mLに溶解させ、前述のように沈殿させた。固体をろ過により分離し、真空下で一晩乾燥させた。固体をクロロホルム(1200mL)に溶解させた後、酢酸エチル3Lに、激しく攪拌しながら、ゆっくりと注ぎ入れた。ポリマーは、白色の繊維状スラリーとして沈殿し、それをろ過により分離した。得られた材料を真空下で一晩乾燥させた後、ポリマー25.0g(88%)を分離した。GPC(THF、室温):Mn=43,700;Mw=119,200;Mw/Mn=2.73。
【0114】
(実施例7)
この実施例では、有機層の溶液プロセスにより、新規なポリマーを正孔輸送層として用いてOLEDを製造した。
【0115】
(a.TCTA)
【0116】
【化13】

【0117】
TCTAは、HWサンズ(フロリダ州ジュピター)(HW Sands(Jupiter, FL))から市販されている。それは、以下のように製造できる。ドライボックス中で、2Lの丸底フラスコにトリ(p−ブロモフェニル)アミン、カルバゾール、Pd触媒トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジ(t−ブチル)o−ビフェニルホスフィン、およびトルエンを投入した。この攪拌している混合物にNaブトキシドを添加した。冷却器およびゴム栓(septum)を取り付け、フラスコをドライボックスから取り出した。混合物を窒素下で14時間還流した後、エーテルで希釈し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、茶色の固体が得られる乾燥度まで濃縮した。固体を高温のトルエンに溶解させ、ヘキサンを添加して沈殿させた。ろ液は、褐色の固体であった。この固体を高温のトルエンに溶解させ、攪拌している混合物にシリカゲルを添加した。攪拌している混合物をろ過し、沈殿物が見えるまで濃縮した。ヘキサンを添加して沈殿を促進し、褐色のふわふわした固体14gを得た。この固体を40mLのジクロロメタン(「DCM」)およびヘキサン(2:1)に溶解させ、容積が1/3に減少するまで攪拌した。この混合物をろ過し、褐色の粉末を得た。これを、更に、シリカ系のフラッシュクロマトグラフィーでDCM:ヘキサン(2:1)−>DCMを使用して精製した。幾つかのフラクションはHPLCでは純粋に見えたが、黄色に着色していた。これらのフラクションを廃棄し、HPLCで純粋な無色のフラクションだけを取り置いた。最初に得られたものの最終的な収量は、5.2g(15%)であった。
【0118】
(b.PEDOT/PFSA)
これは、2003年9月24日に提出された、同時係属中の米国特許公報(特許文献12)中の手順に従って製造した。ナフィオン(Nafion)(登録商標)は、990のEWを有する12.5%(w/w)水性コロイド分散体であった。温度が約270℃であること以外、米国特許公報(特許文献11)実施例1、2部の手順と類似の手順を使用して25%(w/w)分散体を製造した。これを希釈して12.5%(w/w)分散体を形成した。
【0119】
2000mLの反応釜に固体分12%の水性ナフィオン(Nafion)(登録商標)分散体715g(82mmol、SOH基)、水1530g、硫酸鉄(III)(Fe(SO)0.5g(0.98mmol)、および濃HSO1011μL(18.1mmol)を投入する。2段プロペラタイプの翼が取り付けられたオーバーヘッドスターラーを使用して、反応混合物を15分間、276RPMで攪拌した後、276RPMで連続的に攪拌しながら、水60mL中の過硫酸ナトリウム(Na)8.84g(37.1mmol)、およびエチレンジオキシチオフェン(「EDT」、H.C.シュターク社(H.C.Starck,GmbH)製)3.17mLの添加を、別々のシリンジから、Na/水では4.2mL/時間、EDTでは224μL/時間の添加速度を使用して開始する。EDTの添加は、反応混合物に直接繋がるテフロン(Teflon)(登録商標)チューブに接続されるシリンジにモノマーを入れることによって達成される。注入は、チューブの端部から個々の液滴が落ちるように、Na/水溶液に接続するテフロン(Teflon)(登録商標)チューブの端部を、反応混合物より上に置いた。レバチット(Lewatit) MP62WS、弱塩基性陰イオン交換樹脂(ペンシルバニア州ピッツバーグ、バイエル(Bayer,Pittsburgh,PA)製)、および、レバチット(Lewatit)(登録商標)モノプラス(MonoPlus)S100、強酸性ナトリウム陽イオン交換樹脂(ペンシルバニア州ピッツバーグ、バイエル(Bayer,Pittsburgh,PA)製)、各170g、並びにn−プロパノール225gを反応混合物に添加し、7時間130RPMで更に攪拌することによって、モノマーの添加が終了した7時間後に反応を停止させる。イオン交換樹脂は、ワットマン(Whatman)54番ろ紙を使用して、分散体から最後にろ別される。分散体のpHは約4であり、分散体から誘導された乾燥膜は、室温で2.6×10−5S/cmの伝導率を有した。
【0120】
(c.TPBI)
米国特許公報(特許文献13)の手順に従って、2,2’,2”−(1,3,5−フェニレン)−トリス[1−フェニル−1h−ベンズイミダゾール](「TPBI」)を製造することができる。
【0121】
(d.デバイスの製造)
パターンを付けたITO基板をUVオゾンで10分間清浄化した。冷却した直後に、前記で製造したPEDT/ナフィオン(Nafion)(登録商標)の水性分散体をITO表面にスピンコートし、バッファ層を形成した。カソードリードを湿った綿棒で清拭し、次いで、基板を真空中で、90℃で30分間ベークした。冷却後、基板に実施例6のポリマー1のトルエン中1%w/vの溶液をスピンコートした後、130℃で30分間再びベークした。冷却後、基板に1,3,6,8−テトラフェニルピレン−TCTA(コネチカット州ウォターベリー、プファルツ・アンド・バウアー(Pfaltz&Bauer, Waterbury, CT)から購入)のクロロホルム中1%w/vの溶液(10:90)をスピンコートした。次いで、トルエンで湿らせた綿棒でカソードコンタクトを清拭した。基板をマスキングし、真空チャンバに入れた。ポンプを使用して2×10−7トルのベース圧力にした後、熱蒸発によりTPBIの層を堆積させ、電子輸送層を形成した。これにLiF、次いでAlの層が続き、カソードを形成した。次いで、チャンバを窒素に換気して、マスクを変え、チャンバを再び真空にした。1×10−6トルのベース圧力に達した後、第2のAl層を熱蒸発により堆積させた。チャンバを窒素に換気して、ガラス蓋およびUV硬化性エポキシを使用してデバイスを封入した。次いで、これらのデバイスを試験し、6Vで0.6cd/Aの効率、および、x=0.165、y=0.102のcie座標を有する青色光を有するエレクトロルミネッセンスを実証した。
【0122】
本出願は、特許請求の範囲に記載の発明を含め以下の発明を包含する。
(1) 次式(I)又はIII:
【0123】
【化14】

【0124】
[式中、
nは、少なくとも1の整数であり、
1は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、
3は、HおよびR1から選択され、
2は、H、R1、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および、式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【0125】
【化15】

【0126】
ここで、R4は、アリール、H、R1、アルキル、およびフルオロアルキルから選択され、
5およびR6は、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、R5およびR6は、一緒になって、環を形成することができ、
7は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、および
Eは、O、S、(SiR56m(式中、mは、1〜20の整数である)、(CR56m(式中、mは、1〜20の整数である)、および、これらの組み合わせから選択され、
ここで、R5およびR6は、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、R5およびR6は、一緒になって、非芳香族環を形成することができ、但し、Eが(CR56mであり、nが1より大きく、mが1のとき、R5およびR6の少なくとも1つが水素でも炭化水素でないことを条件とする]
を有することを特徴とする化合物。
(2) 式(IV):
【0127】
【化16】

【0128】
を有することを特徴とする、(1)に記載の化合物。
(3) (1)に記載の式を有する少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする組成物。
(4) 前記組成物が、液体組成物であることを特徴とする、(3)に記載の組成物。
(5) デバイス又は用途が、次式(I)又はIII:
【0129】
【化17】

【0130】
[式中、
nは、少なくとも1の整数であり、
1は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、
3は、HおよびR1から選択され、
2は、H、R1、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および、式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【0131】
【化18】

【0132】
ここで、R4は、アリール、H、R1、アルキル、およびフルオロアルキルから選択され、
5およびR6は、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、R5およびR6は、一緒になって、環を形成することができ、
7は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、および
Eは、O、S、(SiR56m(式中、mは、1〜20の整数である)、(CR56m(式中、mは、1〜20の整数である)、および、これらの組み合わせから選択され、
ここで、R5およびR6は、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、R5およびR6は、一緒になって、非芳香族環を形成することができ、但し、Eが(CR56mであり、nが1より大きく、mが1のとき、R5およびR6の少なくとも1つが水素でも炭化水素でないことを条件とする]
の少なくとも1つの化合物、
(3)に記載の組成物、
又はこれらの混合物
を含む少なくとも1つの層を含み、
前記デバイス又は用途が、電気エネルギーを放射線に変換するデバイス、電子工学プロセスにより信号を検出するデバイス、放射線を電気エネルギーに変換するデバイス、少なくとも1つの電子部品を有するデバイス、記憶装置デバイス、エネルギー蓄積デバイス、帯電防止フィルム、バイオセンサデバイス、エレクトロクロミックデバイス、および電磁遮蔽用途から選択されることを特徴とする、デバイス又は用途。
(6) 少なくとも1つの正孔輸送層、および、光活性小分子を含む少なくとも1つの光活性層を含む有機電子デバイスであって、前記正孔輸送層および前記光活性層が溶液プロセスにより形成されることを特徴とする、有機電子デバイス。
(7) 前記正孔輸送層が、次式(I)又はIII:
【0133】
【化19】

【0134】
[式中、
nは、少なくとも1の整数であり、
1は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、
3は、HおよびR1から選択され、
2は、H、R1、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および、式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【0135】
【化20】

【0136】
ここで、R4は、アリール、H、R1、アルキル、およびフルオロアルキルから選択され、
5およびR6は、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、R5およびR6は、一緒になって、環を形成することができ、
7は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、および
Eは、O、S、(SiR56m(式中、mは、1〜20の整数である)、(CR56m(式中、mは、1〜20の整数である)、および、これらの組み合わせから選択され、
ここで、R5およびR6は、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、R5およびR6は、一緒になって、非芳香族環を形成することができ、但し、Eが(CR56mであり、nが1より大きく、mが1のとき、R5およびR6の少なくとも1つが水素でも炭化水素でないことを条件とする]
の少なくとも1つの化合物を含み、前記光活性小分子が青色ルミネッセンス材料であることを特徴とする、(6)に記載のデバイス。
(8) (a)液体媒体から正孔輸送材料を堆積させる工程、および
(b)液体媒体から光活性材料を堆積させる工程、
を含む、有機電子デバイスの製造方法であって、
前記光活性材料が小分子を含むことを特徴とする、方法。
(9) 前記正孔輸送材料が、次式(I)又はIII:
【0137】
【化21】

【0138】
[式中、
nは、少なくとも1の整数であり、
1は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、
3は、HおよびR1から選択され、
2は、H、R1、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および、式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【0139】
【化22】

【0140】
ここで、R4は、アリール、H、R1、アルキル、およびフルオロアルキルから選択され、
5およびR6は、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、R5およびR6は、一緒になって、環を形成することができ、
7は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、および
Eは、O、S、(SiR56m(式中、mは、1〜20の整数である)、(CR56m(式中、mは、1〜20の整数である)、および、これらの組み合わせから選択され、
ここで、R5およびR6は、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、R5およびR6は、一緒になって、非芳香族環を形成することができ、但し、Eが(CR56mであり、nが1より大きく、mが1のとき、R5およびR6の少なくとも1つが水素でも炭化水素でないことを条件とする]、
の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする、(8)に記載の方法。
(10) 前記小分子が青色ルミネッセンス材料であることを特徴とする、(8)に記載の方法。
(11) 液体媒体からバッファ層材料を堆積させることを更に含む、(8)に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(III):
【化1】

[式中、
nは、少なくとも2の整数であり、
は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、
は、HおよびRから選択され、
は、H、R、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および、式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【化2】

ここで、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択され、
およびRは、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって、環を形成することができ、
は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、および
Eは、O、S、(SiR(式中、mは、1〜20の整数である)、(CR(式中、mは、1〜20の整数である)、および、これらの組み合わせから選択され、
ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって、非芳香族環を形成することができ、但し、Eが(CRであり、nが2以上であり、mが1のとき、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でないことを条件とする]
の少なくとも1つの化合物、
上記式(III)の少なくとも1つの化合物を含む組成物、又は
これらの混合物
を含む少なくとも1つの層を含むことを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの層が、電荷輸送層または発光層であることを特徴とする請求項1に記載の有機電子デバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの正孔輸送層、および、光活性小分子を含む少なくとも1つの光活性層を含む有機電子デバイスであって、前記正孔輸送層および前記光活性層が溶液プロセスにより形成されることを特徴とする、有機電子デバイス。
【請求項4】
前記正孔輸送層が、次式(III):
【化3】

[式中、
nは、少なくとも2の整数であり、
は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、
は、HおよびRから選択され、
は、H、R、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および、式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【化4】

ここで、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択され、
およびRは、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって、環を形成することができ、
は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、および
Eは、O、S、(SiR(式中、mは、1〜20の整数である)、(CR(式中、mは、1〜20の整数である)、および、これらの組み合わせから選択され、
ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって、非芳香族環を形成することができ、但し、Eが(CRであり、nが2以上であり、mが1のとき、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でないことを条件とする]
の少なくとも1つの化合物を含み、前記光活性小分子が青色ルミネッセンス材料であることを特徴とする、請求項3に記載の有機電子デバイス。
【請求項5】
前記有機電子デバイスが、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、光スィッチ、フォトトランジスタ、光電管、IR検出器、光電池、太陽電池、トランジスタ又はダイオードから選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
【請求項6】
(a)液体媒体から正孔輸送材料を堆積させる工程、および
(b)液体媒体から光活性材料を堆積させる工程、
を含む、有機電子デバイスの製造方法であって、
前記光活性材料が小分子を含むことを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記正孔輸送材料が、次式(III):
【化5】

[式中、
nは、少なくとも2の整数であり、
は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、
は、HおよびRから選択され、
は、H、R、アルキル、フルオロアルキル、Cl、Br、I、および、式(II)のアリールアミノ基から選択され、
【化6】

ここで、Rは、アリール、H、R、アルキル、およびフルオロアルキルから選択され、
およびRは、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって、環を形成することができ、
は、アリール、ヘテロアリール、フルオロアリール、およびフルオロへテロアリールから選択され、および
Eは、O、S、(SiR(式中、mは、1〜20の整数である)、(CR(式中、mは、1〜20の整数である)、および、これらの組み合わせから選択され、
ここで、RおよびRは、それぞれ独立に、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、および、フルオロアリールオキシから選択され、RおよびRは、一緒になって、非芳香族環を形成することができ、但し、Eが(CRであり、nが1より大きく、mが1のとき、RおよびRの少なくとも1つが水素でも炭化水素でないことを条件とする]、
の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記小分子が青色ルミネッセンス材料であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
液体媒体からバッファ層材料を堆積させることを更に含む、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−246484(P2012−246484A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−135053(P2012−135053)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2007−506539(P2007−506539)の分割
【原出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】