説明

電装品制御システム及び電気接続箱

【課題】 本発明は、設計コスト及び製造コストの低減された電装品制御システム及び電気接続箱を提供する。
【解決手段】 同一車種においてのみ使用される個別電装品群を通断電制御するリレーを収容する個別電気接続箱5と、他車種においても使用される共通電装品群を通断電制御するリレー22A,22B,22C,22Dを収容する共通電気接続箱4とが、ヒューズボックス12内に収容されている。これにより、設計変更の際には、個別電装品群を通断電制御するリレーに関するもののみを設計すればよいので、個別電気接続箱5の設計コストを低減することができる。また、リレー22A,22B,22C,22Dは他車種にも使用可能なので、共通電気接続箱4は一度設計すれば他車種にも使用可能であり、設計コストを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の電装品を通断電制御するための電装品制御システム及び電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の電装品制御システムの一例として、特許文献1に開示されたものが知られている。このものは、一枚の回路基板上にスイッチング素子を実装した回路構成体をハウジングに収容してなる電気接続箱により、自動車に搭載されたホーン、ヘッドライト等の電装品を通断電制御するものである。
【特許文献1】特開2003−164039公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動車の電装品には、同一車種においてのみ使用される個別電装品群と、他車種においても使用される共通電装品群とがある。このため異なる車種に対して電気接続箱を使用する場合、それぞれの車種ごとに、個別電装品群の制御を行うスイッチング素子及びこれに関連する回路等の設計変更を行う必要があった。この場合、個別電装品群を制御するスイッチング素子に関連するものだけを設計変更すればよいようにも思える。
【0004】
しかしながら従来の電気接続箱においては、一枚の回路基板上に、個別電装品群を制御するスイッチング素子と、共通電装品群を制御するスイッチング素子とが、区分されることなく実装されていたので、個別電装品群を制御するスイッチング素子に関する設計変更を行うためには、共通電装品群を制御するスイッチング素子まで含めて回路基板を設計し直す必要があった。このため設計コストを低減することが難しいという問題があった。
【0005】
また、車種ごとに仕様の異なる電気接続箱を製造しなければならないため、製造コストを低減することが難しいという問題もあった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、設計コスト及び製造コストの低減された電装品制御システム及び電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、自動車の電装品を通断電制御するための電装品制御システムであって、前記電装品は、同一車種においてのみ使用される個別電装品群と、他車種においても使用される共通電装品群とに区分され、前記個別電装品群及び前記共通電装品群は、別個の回路基板に実装したスイッチング素子群によりそれぞれ通断電制御される構成としたことを特徴とする。
ここで、「車種」とは、排気量の差異、仕様の差異を含む概念である。
【0008】
請求項2の発明は、自動車の電装品を通断電制御するための電気接続箱であって、同一車種においてのみ使用される個別電装品群を制御するためのスイッチング素子を回路基板に実装した個別回路構成体と、他車種においても使用される共通電装品群を制御するためのスイッチング素子を前記回路基板とは異なる回路基板に実装した共通回路構成体とを備えてなることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2記載のものにおいて、前記共通回路構成体及び前記個別回路構成体は、それぞれ異なるハウジング内に収容され、前記共通回路構成体のハウジングからは、前記共通回路構成体のスイッチング素子に連なる端子群が突設されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3記載のものにおいて、前記共通回路構成体及び前記個別回路構成体を収容する各ハウジングは、それらを包括するメインハウジング内に収容され、そのメインハウジング内には前記共通回路構成体及び/又は前記個別回路構成体により制御されるリレーが配置されていることを特徴とする。ここで、「前記共通回路構成体及び/又は前記個別回路構成体により制御されるリレー」とは、当該リレーが、共通回路構成体によってのみ制御される場合、個別回路構成体によってのみ制御される場合、及び共通回路構成体と個別回路構成体との双方によって制御される場合を含む。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載のものにおいて、前記共通回路構成体は、金属基板に絶縁層を介して回路を形成した金属ベースプリント配線板により構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記金属ベースプリント配線板は、前記ハウジングの外表面の一部を構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
<請求項1及び請求項2の発明>
請求項1及び請求項2の発明によれば、共通電装品群を制御するスイッチング素子と、個別電装品群を制御するスイッチング素子とは、異なる回路基板に実装されている。このため、個別電装品群を制御するためのスイッチング素子が実装された回路基板を設計する場合、個別電装品群を制御するスイッチング素子に関連するものだけを設計変更すればよいので、設計工数を削減できる。一方、共通電装品群を制御するためのスイッチング素子が実装された回路基板は車種ごとに仕様を異ならせる必要がないので、一度設計してしまえば他車種に対しても使用できるから、異なる車種に対して電気接続箱を使用する場合の設計工数を削減できる。このように本発明によれば、電装品制御システム全体として設計工数を削減できるので、設計コストを削減できる。
【0014】
また、共通電装品群を制御するためのスイッチング素子が実装された回路基板は複数の車種に対して使用可能なので、大量生産することにより製造コストを低減させることができる。
【0015】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、共通回路構成体のスイッチング素子に連なる端子群がハウジングから突設されているので、これらの端子群と接続可能なコネクタをハウジングの外部に配設し、このコネクタと端子群とを嵌合させることにより、共通回路構成体のスイッチング素子と、ハウジング外部の回路とを容易に接続することができる。
【0016】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、共通回路構成体及び個別回路構成体は、それぞれを収容するハウジングと、メインハウジングとにより二重に包囲されているので、電気接続箱の防水性を向上させることができる。
【0017】
また、メインハウジング内に、共通回路構成体及び/又は個別回路構成体により制御されるリレーが配置されているので、共通回路構成体及び/又は個別回路構成体と、リレーとを接続する導電路を小型化することができる。これにより電気接続箱関連のシステムを全体として小型化できる。
【0018】
<請求項5の発明>
共通電装品群は、他車種においても使用されるものなので、自動車にとって基本的な機能と関連している。請求項5の発明によれば、これら共通電装品群を制御するスイッチング素子から発せられる熱を金属基板により吸収することができるので、熱に起因するスイッチング素子の誤作動を防止することができる。これにより自動車の基本的な機能に対する信頼性を向上させることができる。
【0019】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、金属ベースプリント配線板は、ハウジングの外表面の一部を構成しているので、ハウジングの外表面の一部を省略することができる。これにより、共通回路構成体を収容する電気接続箱を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の一実施形態を図1ないし図6を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の電装品制御システムは、自動車1のエンジンルーム2内に配されたリレーボックス3内に、共通電気接続箱4と、個別電気接続箱5とを収容したものである。
【0021】
リレーボックス3は、合成樹脂製のメインハウジング6内に、リレー40を装着するためのリレー装着部7が形成されたものである。このリレー装着部7にはリレー40が装着されており、このリレー40は、リレー装着部7内に形成された図示しない回路と電気的に接続されている。メインハウジング6内には、後述する個別電装品用コネクタ(図示せず)及び共通電装品用コネクタ9と嵌合するための、リレーボックス側コネクタ(図示せず)が形成されており、リレーボックス側コネクタには図示しない端子金具が収容されている。この端子金具とリレー装着部7内に形成された回路とは電気的に接続されている。
【0022】
個別電気接続箱5は、合成樹脂製のハウジング10A内に、回路基板41が収容されている。この回路基板41にはリレー43(スイッチング素子に相当する)が実装されて、個別回路構成体42が形成されている。個別電気接続箱5のハウジング10Aには、個別電装品用コネクタ(図示せず)が取り付けられている。この個別電装品用コネクタは嵌合部(図示せず)を有しており、リレーボックス側コネクタを嵌合可能とされている。この嵌合部内にはリレー43と接続された端子金具(図示せず)が収容されている。個別電装品用コネクタとリレーボックス側コネクタとは嵌合されており、個別電装品用コネクタに収容された端子金具は、リレーボックス側コネクタに収容された端子金具と電気的に接続されている。
【0023】
図2に示すように、共通電気接続箱4は、扁平角形の電気接続箱本体11の、図2における上方の側面に角形のヒューズボックス12を取り付けると共に、図2における下方の側面に共通電装品用コネクタ9を取り付けて構成されたものである。
【0024】
電気接続箱本体11は、断面が略コ字状に形成された、合成樹脂製のハウジング10B内に、図5における下方に形成された開口面を覆うように回路基板13を収容したものである。
【0025】
ハウジング10Bには、図4における上方の側面の両端寄りの位置に、ヒューズボックス12をネジ止めするためのヒューズボックス固定部14が形成されており、このヒューズボックス固定部14には、図4における上下方向に向く2つのネジ孔15が形成されている。またハウジング10Bのうち、図5における下方の側面の四隅部には、回路基板13をネジ止めするための回路基板固定部16が形成されており、この回路基板固定部16には、図5における上下方向に向く4つのネジ孔15が形成されている。
【0026】
図4に示すように、回路基板13は略矩形状をなしており、その四隅部には図5に示すように挿通孔17が形成されている。この挿通孔17と、回路基板固定部16のネジ孔15とにネジ18が螺合されることにより、回路基板13は、ハウジング10Bの図5における下側の開口を覆うように固定されている。回路基板13は、例えばアルミニウム製の金属基板19の一方の面に、例えばアルマイト処理等により絶縁層(図示せず)を形成し、その絶縁層の表面に例えばプリント配線手段により回路20が形成された金属ベースプリント配線板21により構成されている。この回路20に複数個(本実施形態では4つ)のリレー22A,22B,22C,22D(スイッチング素子に相当する)が半田付けされて、共通回路構成体23が形成されている。リレー22A,22B,22C,22Dは、図4における左右方向に並設されている。
【0027】
図4におけるハウジング10Bの下端部には、合成樹脂製の共通電装品用コネクタ9が取り付けられている。共通電装品用コネクタ9は、フード部24を有しており、リレーボックス側コネクタを嵌合可能とされている(図3参照)。このフード部24の底壁には複数の端子金具25が貫通して、図4における左右方向に並ぶようになっている。端子金具25は、図6における上下方向に延びた起立部26と、起立部26の下端部から図6における左方へ延びた半田付け部27と、起立部26の上端部から図6における右方へ延びた接続部28(請求項3における端子群に相当)とを備えて構成されている。半田付け部27は、回路基板13のうち図4の下端寄りの位置において、回路20に半田付けされている。また、接続部28はフード部24の底壁を貫通して、ハウジング10Bから突設した形態になっている。共通電装品用コネクタ9とリレーボックス側コネクタとは嵌合されており、共通電装品用コネクタ9に装着された端子金具25の接続部28は、リレーボックス側コネクタに収容された端子金具と電気的に接続されている。なお、共通電気接続箱4は、図2に示すように、共通電装品用コネクタ9が下方を向くようにしてリレーボックス3内に収容される。
【0028】
ヒューズボックス12は合成樹脂製であって、図4における上側面のうち左右両側端寄りの位置に凹部29が形成されており、この凹部29に、図4における上下方向を向く挿通孔17が形成されている。この挿通孔17と、ヒューズボックス固定部14のネジ孔15とにネジ18が螺合されることにより、ヒューズボックス12はハウジング10Bに固定されている。ヒューズボックス12の図4における上側面のうち、図4における右半分の位置は、図4における下方に凹んだ形状に形成されており、後述するヒューズ36を装着するためのヒューズ装着部30,30が2つ形成されている。ヒューズ装着部30,30の底壁にはヒューズ用端子金具31が貫通して、図4における左右方向に並ぶようになっている。ヒューズ用端子金具31は、図6における上下方向に延びた起立部32と、起立部32の下端部から図6の右方へ延びた半田付け部33と、図4における起立部32の右端部から図4における上方へ延びた接続部34とを備えて構成されている。半田付け部33は、回路基板13のうち図4の上端寄りの位置において、回路20に半田付けされている。また、接続部34の先端には、先端側に開口するスリット35が形成されており、ヒューズ36の端子37と嵌合したときに、そのヒューズ36の端子37を挟み込み可能とされている。接続部34は、ヒューズ装着部30の底壁を貫通している。
【0029】
ヒューズ36は、略直方体形状の本体38と、本体38から突出する端子37とからなる。ヒューズ36は、ヒューズ装着部30に挿入されており、ヒューズ36の端子37がヒューズ用端子金具31の接続部34に形成されたスリット35に差し込まれることにより、ヒューズ用端子金具31同士が電気的に接続されている。
【0030】
さて、個別電気接続箱5に収容されたリレー43は、例えばフォグランプ(図示せず)、ラジオ・オーディオ類(図示せず)、ウィンカ(図示せず)、ホーン(図示せず)等を通断電制御する。これらの電装品群は車種ごとに仕様が異なり、同一車種においてのみ使用されるので、個別電装品群に区分される。一方、共通電電気接続箱4に収容されたリレー22A,22B,22C,22Dは、ワイパモータ(図示せず)のオンオフを制御する第1のリレー22Aと、ワイパモータの回転速度を制御する第2のリレー22Bと、右側のヘッドライト(図示せず)のオンオフを制御する第3のリレー22Cと、左側のヘッドライト(図示せず)のオンオフを制御する第4のリレー22Dとからなる。これらワイパモータ及び左右のヘッドライトは、異なる車種においても同じ仕様のものが使用されており、他車種においても使用されるので、共通電装品群に区分される。
【0031】
次に、本実施形態の作用、効果について説明する。
本実施形態に係る個別電気接続箱5及び共通電気接続箱4を設計する場合、以下の手順で行われる。まず、フォグランプ、ラジオ・オーディオ類、ウィンカ、ホーン等、同一車種においてのみ使用される個別電装品群を通断電制御するリレー43の仕様を決定し、これらのリレー43を接続する回路を設計する。その後、個別電装品用コネクタ、ハウジング10A等、個別電気接続箱5の機構設計を行う。このとき、ワイパモータのオンオフ、ワイパモータの回転速度の調節、及び左右のヘッドライトのオンオフを制御するリレー22A,22B,22C,22Dは、共通電気接続箱4に収容されるので、これらのリレー22A,22B,22C,22Dに関する設計を行わなくてもよい。このため、従来のように、個別電装品群を制御するリレー43に関する回路と、共通電装品群を制御するリレー22A,22B,22C,22Dに関する回路の双方を車種ごとに設計していた場合に比べて、設計工数を削減することができる。
【0032】
次いで、ワイパモータのオンオフ、ワイパモータの回転速度の調節、及び左右のヘッドライトのオンオフを制御するリレー22A,22B,22C,22Dの仕様を決定し、これらのリレー22A,22B,22C,22Dを接続する回路を設計する。その後、共通電装品用コネクタ9、ハウジング10B等、共通電気接続箱4の機構設計を行う。共通電気接続箱4に収容されているリレー22A,22B,22C,22Dは、他車種においても使用可能となっている。これにより、異なる車種に共通電気接続箱4を使用する場合に、新たに回路や機構を設計する必要がないので、設計工数を削減することができる。
【0033】
このように、本実施形態によれば、電装品制御システム全体として設計工数を削減できるので、設計コストを削減できる。
【0034】
そして、ワイパモータ及び左右のヘッドライトを制御するためのリレー22A,22B,22C,22Dの搭載された共通電気接続箱4は複数の車種に対して使用可能なので、大量生産することにより製造コストを低減させることができる。
【0035】
また、メインハウジング6内には、共通回路構成体23及び/又は個別回路構成体42により制御されるリレー40が配置されているので、共通回路構成体23及び/又は個別回路構成体42と、リレー40とを接続する導電路を小型化することができる。これにより電気接続箱関連のシステムを全体として小型化できる。
【0036】
そして、本実施形態によれば、共通電気接続箱4のハウジング10Bに設けられた開口面を、金属ベースプリント配線板21で覆うようにしている。これにより、ハウジング10Bの一側面を省略できるから、共通電気接続箱4を小型化することができる。
【0037】
そして、共通電気接続箱4には、4つのリレー22A,22B,22C,22Dが収容されているので小型である。これにより、メインハウジング6内における、共通電気接続箱4のレイアウトが自由となるから、スペース効率を向上させることができる。
【0038】
そして、共通電気接続箱4は、プリント配線手段により回路20が形成されているので、バスバーにより回路20を形成した場合に比べて配線密度を大きくすることができる。
【0039】
また、共通電気接続箱4のハウジング10Bには、共通電装品用コネクタ9が配設されており、この共通電装品用コネクタ9には、リレー22A,22B,22C,22Dと接続された端子金具25が収容されている。これにより、この共通電装品用コネクタ9と、リレーボックス3内に設けられたリレーボックス側コネクタとを嵌合させることにより、共通電気接続箱4に収容されたリレー22A,22B,22C,22Dと、ハウジング10B外部の回路とを容易に接続することができる。
【0040】
また、共通回路構成体23及び個別回路構成体42は、それぞれを収容するハウジング10A,10Bと、メインハウジング6とにより二重に包囲されているので、共通電気接続箱4及び個別電気接続箱5の防水性を向上させることができる。
【0041】
また、共通電気接続箱4には、ヘッドライトのオンオフを制御するリレー22C,22Dと、ワイパモータのオンオフ、及び回転スピードを制御するリレー22A,22Bとが収容されている。ヘッドライトは、夜間時の走行において前方の視認性を確保するための機能に関連するものであり、また、ワイパモータによって駆動されるワイパ(図示せず)は、雨天時の走行において前方又は後方の視認性を確保するための機能に関連するものであり、共に自動車1の基本的な機能に関連する。本実施形態においては、共通回路構成体23は金属基板19により構成されているので、リレー22A,22B,22C,22Dから発する熱を金属基板19により吸収することができる。これにより熱に起因するリレー22A,22B,22C,22Dの誤作動を防止することができるので、夜間走行時における前方視認性を確保する機能に対する信頼性及び雨天走行時における前方又は後方の視認性を確保する機能に対する信頼性を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、共通電気接続箱4は、4つのリレー22A,22B,22C,22Dが図4の左右方向に並設されている。そして、共通電装品用コネクタ9の端子金具25及びヒューズ用端子金具31も、図4の左右方向に並設されている。これによりリレー22A,22B,22C,22Dと、端子金具25又はヒューズ用端子金具31とを回路20により接続する場合に、他のリレーを迂回するための迂回路を短くすることができるので、回路20を全体として短くすることができる。これにより回路20による消費電力を少なくすることができる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0044】
(1)本実施形態においては、共通電気接続箱4に実装されたリレー22A,22B,22C,22Dは、回路基板13上に、図4における左右方向に並ぶように取り付けられていたが、これに限られず、リレー22A,22B,22C,22Dは、例えば図4における上下方向に並ぶように取り付けるなど、回路基板13上の任意の位置に配設することができる。
【0045】
(2)本実施形態では、電気接続箱に実装されるスイッチング素子はリレー43,22A,22B,22C,22Dであったが、これに限られず、半導体スイッチング素子であってもよい。
【0046】
(3)本実施形態では、共通電気接続箱4のハウジング10Bは、一方が開口しており、この開口を覆うように金属基板19が取り付けられていたが、これに限られず、開口を有しないハウジング10B内に金属基板19が収容される形態であってもよい。
【0047】
(4)本実施形態では、共通電気接続箱4の回路基板13には金属基板19に絶縁層を形成したものが用いられていたが、これに限られず、ハウジング10B内に回路基板13が収容される形態であれば、回路基板13としては、例えばプリプレグを硬化させたもの、合成樹脂基板、セラミック基板などを用いることができる。
【0048】
(5)本実施形態においては、共通回路構成体23を収容したハウジング10Bから、リレー22A,22B,22C,22Dと接続された接続部28が突設される構成としたが、これに限られず、例えばリレー22A,22B,22C,22Dと接続された電線によりハウジング10B外部の回路と接続する構成とした場合には、共通回路構成体23のハウジング10Bから接続部28が突設されない構成としてもよい。
【0049】
(6)本実施形態においては、共通回路構成体23と、個別回路構成体42とは、別個のハウジング10A,10Bに収容される構成としたが、これに限られず、共通回路構成体23と、個別回路構成体42とが、同じハウジング内に収容される構成としてもよい。
【0050】
(7)本実施形態においては、共通電気接続箱4と、個別電気接続箱5とは、リレーボックス3内に収容される構成としてが、これに限られず、例えばハウジング10A,10Bの防水性を高めた場合には、共通電気接続箱4及び個別電気接続箱5の双方又はいずれか一方がリレーボックス3の外部に配設される構成としてもよい。
【0051】
(8)本実施形態では、共通回路構成体23を構成する回路基板13は、アルミニウム製の金属基板19の表面にアルマイト処理により絶縁層を形成した後、プリント配線手段により導電パターンを形成したが、これに限られず、アルミニウム製の金属基板19の表面にアルマイト処理をした後、エポキシ樹脂を塗布した表面にプリント配線手段により回路20を形成してもよい。また、鉄板にほうろうエナメル層を焼き付け、さらに厚膜導体インクを印刷し焼成して回路20を形成してもよい。
【0052】
(9)本実施形態では、共通回路構成体23には、4つのリレー22A,22B,22C,22Dが実装されていたが、これに限られず、1つないし3つ、又は5つ以上のリレーを実装するものとしてもよい。
【0053】
(10)本実施形態では、共通電装品用コネクタ9に装着された端子金具25は、半田付け部27において回路基板13の回路20と半田付けされていたがこれに限られず、端子金具25は、回路20に溶接、圧着されていてもよい。また、端子金具25が側方から見て略L字状をなし、その先端部が回路基板13を貫通して、回路基板13に形成された回路20と半田付けされる構成としてもよい。
【0054】
(11)本実施形態では、共通回路構成体23には、ワイパモータ及びヘッドライトを通断電制御するためのリレー22A,22B,22C,22Dが実装されていたが、これに限られず、共通電装品群から任意に選ばれる単数又は複数の電装品を通断電制御するスイッチング素子を、共通回路構成体23に実装する構成としてもよい。
【0055】
(12)共通電気接続箱4及び個別電気接続箱5は、それぞれのハウジング10A,10B内に収容された回路基板13,41が、縦置き配置される構成としてもよいし、また、横置き配置される構成としてもよく、回路基板13,41が任意の角度になるように配置できる。
【0056】
(13)本実施形態では、個別電装品用コネクタ及び共通電装品用コネクタ9と嵌合するためのリレーボックス側コネクタがメインハウジング6内に形成されており、このリレーボックス側コネクタに収容された端子金具を介して、共通電気接続箱4と、個別電気接続箱5と、リレー装着部7とが電気的に接続される構成とした。このとき、例えばリレー装着部7に形成された回路と接続されたバスバーにより導電路を形成し、この導電路とリレーボックス側コネクタ内に収容された端子金具とを接続することにより、共通電気接続箱4と、個別電気接続箱5と、リレー装着部7とを電気的に接続させる構成としてもよい。また、リレー装着部7と、リレーボックス側コネクタ内に収容された端子金具とをワイヤーハーネスにより接続する構成としてもよい。
【0057】
(14)また、共通電気接続箱4の共通電装品用コネクタ9と、個別電気接続箱5の個別電装品用コネクタとを、バスバーにより形成された導電路又はワイヤハーネスにより接続すると共に、個別電気接続箱5にはリレーボックス側コネクタと嵌合するための、第2の個別電装品用コネクタを配設し、リレーボックス側コネクタと第2の個別電装品用コネクタとを嵌合することにより、共通電気接続箱4と、個別電気接続箱5と、リレー装着部7とを電気的に接続する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態に係る共通電気接続箱及び個別電気接続箱がエンジンルーム内に設置された状態を示す平面図
【図2】本実施形態に係る共通電気接続箱の斜視図
【図3】本実施形態に係る共通電気接続箱の斜視図
【図4】本実施形態に係る共通電気接続箱の平断面図
【図5】図3におけるA−A線断面図
【図6】図3におけるB−B線断面図
【符号の説明】
【0059】
1…自動車
4…共通電気接続箱
5…個別電気接続箱
6…メインハウジング
10A,10B…ハウジング
13…回路基板
19…金属基板
21…金属ベースプリント配線板
22A,22B,22C,22D…リレー(スイッチング素子)
23…共通回路構成体
28…接続部(端子群)
40…リレー
41…回路基板
42…個別回路構成体
43…リレー(スイッチング素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の電装品を通断電制御するための電装品制御システムであって、
前記電装品は、同一車種においてのみ使用される個別電装品群と、他車種においても使用される共通電装品群とに区分され、
前記個別電装品群及び前記共通電装品群は、別個の回路基板に実装したスイッチング素子群によりそれぞれ通断電制御される構成としたことを特徴とする電装品制御システム。
【請求項2】
自動車の電装品を通断電制御するための電気接続箱であって、
同一車種においてのみ使用される個別電装品群を制御するためのスイッチング素子を回路基板に実装した個別回路構成体と、他車種においても使用される共通電装品群を制御するためのスイッチング素子を前記回路基板とは異なる回路基板に実装した共通回路構成体とを備えてなることを特徴とする電気接続箱。
【請求項3】
前記共通回路構成体及び前記個別回路構成体は、それぞれ異なるハウジング内に収容され、
前記共通回路構成体のハウジングからは、前記共通回路構成体のスイッチング素子に連なる端子群が突設されていることを特徴とする請求項2記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記共通回路構成体及び前記個別回路構成体を収容する各ハウジングは、それらを包括するメインハウジング内に収容され、そのメインハウジング内には前記共通回路構成体及び/又は前記個別回路構成体により制御されるリレーが配置されていることを特徴とする請求項3記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記共通回路構成体は、金属基板に絶縁層を介して回路を形成した金属ベースプリント配線板により構成されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記金属ベースプリント配線板は、前記ハウジングの外表面の一部を構成していることを特徴とする請求項5記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−62599(P2006−62599A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250364(P2004−250364)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】