電解めっき方法、および静電偏向デバイス

【課題】電解めっき法により基板上の複数の領域に異なる或いは同一の膜厚のめっき膜を形成する際の、電解めっきの印加電圧やパターンめっきの為のパターンレイアウトなどに関する制約を少なくした電解めっき方法を提供する。
【解決手段】基板1上の複数の領域14、15に所定の膜厚のめっき膜5、6を形成する電解めっき方法である。基板1上の複数の領域14、15に夫々めっき電流が流れる経路の少なくとも1つに、オーミック特性を有する抵抗体4を配し、複数の領域14、15に同時に電解めっきによりめっき膜5、6を成長させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解めっき方法および静電偏向デバイスに関し、特に、基板上の複数の領域に供給する電解めっき電流を独立に制御することができる方法、およびその方法を用いて作成できる静電偏向デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
レジストパターンにより、めっき成長領域を制限するパターンめっき技術が従来行われている。電解めっきによる膜成長速度は、基板表面に供給される単位面積および単位時間当たりの電荷量すなわち電流密度により決定される。他方、パターンめっきにより形成する構造物は、その高さが基板内で一様になることが望ましい場合が多い。そのために、できるだけ面内の電流密度の均一性を高める方法が、数多く考案されている。そのような方法を適用すれば、電解めっき電流は基板内でほぼ一様となり、例えば基板内の隣接するパターンでは、そのめっき膜の膜厚はほぼ等しくなる。
【0003】
一方、構造物の機能として、隣接パターンでめっき膜の高さが異なることが望ましい場合もある。このように、隣接パターンの高さを異ならせる場合、前述した様に基板内でほぼ一様の電解めっき電流が流れるパターンめっきを1回行って構造物を実現することは困難である。例えば、2種類の高さを、2回に分けてめっき成長させることで実現する方法が採られる。しかし、この2回に分ける方法では、1回目に形成したパターンが、2回目にパターンを形成するときに障害となることがある。例えば、1回目に形成したパターンが存在することにより、2回目のパターンを形成するフォトリソグラフィにおいてレジスト塗布不良などを引き起こすことがある。
【0004】
前記課題を鑑み、1回のパターンめっきで、隣接パターンの高さが異なることを実現する方法が提案されている。特許文献1は、半導体基板上にpn接合を形成して整流素子として機能させ、電解めっき処理時に印加する電圧を調整することにより電流密度を制御する技術を開示している。また、特許文献2は、基板上にパターンめっきを行うとき、ダミーパターンを設けて或る特定のパターンの周囲のパターン密度を密とすることにより、電流密度を制御する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3583878号
【特許文献2】特許第3843919号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の従来例では、整流素子を接続した部分と整流素子を接続しない部分の電流密度の比が印加電圧により変化する。したがって、この技術によれば、電流密度の比を一定にする場合、印加電圧およびそれに伴うめっき電流が一定値に固定され、めっき膜成長速度を自由に決定できないことがある。また、整流素子の電流電圧特性により、正または負のどちらか一方に半波整流された電気信号しか伝達することができないことになり得る。さらに、前記特許文献2に記載の従来例では、ダミーパターンを設けるために基板上のパターン配置に制約を与えることになり得る。この様に、電解めっき法により基板上の複数の領域に異なる膜厚のめっき膜を形成する従来の方法には、電解めっきの印加電圧、形成した電極に伝達する電気信号、パターンレイアウトのいずれかについて制約があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、基板上の複数の領域に所定(異なる或いは同一)の膜厚のめっき膜を形成する本発明の電解めっき方法は、次の工程を含むことを特徴とする。前記複数の領域に夫々めっき電流が流れる複数の経路の少なくとも1つに、オーミック特性を有する抵抗体を配する工程。前記複数の領域に同時に電解めっきによりめっき膜を成長させる工程。
【0008】
また、上記課題に鑑み、基板上の複数の領域に異なる膜厚の電極を有する静電偏向デバイスを作成するための本発明の電解めっき方法は、次の工程を含むことを特徴とする。前記複数の領域に夫々めっき電流が流れる複数の経路の少なくとも1つに、オーミック特性を有する抵抗体を配する工程。前記複数の領域に同時に電解めっきによりめっき膜を成長させて前記異なる膜厚の電極を形成する工程。
【0009】
また、上記課題に鑑み、本発明のブランキングアレイなどである静電偏向デバイスは、基板上の複数の領域に異なる膜厚の突起状電極を有する。そして、前記複数の電極のうちの少なくとも1つの下部に該電極とは異なる材質の膜であってオーミック特性を有する膜が存在し、前記複数の電極の間の前記基板に、荷電粒子が通過するための貫通孔が設けられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電解めっき方法によれば、一回の電解めっきで形成する複数の領域のめっき膜の膜厚を異ならせたり同一にしたりすることができる。また、複数の領域に流れるめっき電流密度の比率を、前記オーミック特性を有する電気抵抗体の抵抗値とめっき電流が流れる経路の抵抗値で決定することができ、印加電圧に制約を与えない効果を有する。加えて、作成された構造体に電気信号を伝達する経路にオーミック抵抗は存在するが整流素子は存在しないため、正負両方の電気信号を伝達することが可能となる。これは、めっき電流制御のために整流素子を使用した場合、不可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一の実施形態ないし実施例に係る図。
【図2】静電偏向デバイスの概略を示す図。
【図3】(a)は電解めっきの電極配置を示す図、(b)は電解めっきの等価回路を示す図。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る図。
【図5】本発明の第三の実施形態に係る図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の電解めっき方法で重要なことは、基板上の複数の領域に夫々めっき電流が流れる複数の経路の少なくとも1つに、オーミック特性を有する電気抵抗体を配し、これら複数の領域に同時にめっき膜を成長させることである。オーミック特性を有する抵抗体の構造ないし形態、パターン、配置などは、複数の領域に形成するめっき膜の膜厚の仕様に応じて、柔軟に決めればよい。特に、本発明の電解めっき方法により、基板上の複数の領域に異なる膜厚の突起状電極を有するブランキングアレイなどである静電偏向デバイスを容易に形成することができる。ブランキングアレイ(BLA:Blanking Array)は、荷電粒子線を偏向させるための部材である。ブランキングアレイには、荷電粒子線偏向用の電極と、隣接する荷電粒子通過用アパーチャ間の電界遮蔽のための接地電極と、が設けられている。そして、偏向電極よりも接地電極を高くすることにより遮蔽効果を得ている。これらの電極はめっき法により形成することが望ましいが、高さの異なる電極を一度に形成することは困難であり、従来は2度に分けて形成することが一般的である。これに対して、静電偏向デバイスを作成する本発明の電解めっき方法では、複数の領域に夫々めっき電流が流れる経路の少なくとも1つにオーミック特性を有する抵抗体を配し、複数領域間のめっきの成長速度を異ならせることによって、高さが異なる電極を形成する。ブランキングアレイは各ビームに対して個別の偏向電極を持ったデバイスで、ブランキング信号に基づき、描画パターンに応じて個別にビームのon/offを行う。ビームがonの状態のときには、ブランキングアレイの偏向電極には電圧を印加せず、ビームがoffの状態のときには、ブランキングアレイの偏向電極に電圧を印加して荷電粒子線を偏向する。ブランキングアレイによって偏向された荷電粒子線は後段(下流側)にあるストップアパーチャアレイによって遮断され、ビームがoffの状態となる。ブランキングアレイで描画パターンに応じてマルチビームのon/offが個別になされることにより、ウエハ面上に所望のパターンを高速に短い描画時間で描画することができる。
【0013】
以下、本発明の電解めっき方法等の実施形態及び実施例を図面により説明する。
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態の静電偏向デバイスの製造方法を示す断面図である。まず、本製造方法では、図1(a)に示す基板1の上に、図1(b)に示すようにめっきシード層2を形成し、図1(c)に示すように第一の領域14にオーミック特性を有する抵抗体4を形成する。次に、図1(d)に示すようにレジストパターン3によりめっき領域を制限し、電解めっき処理を行うことにより、図1(e)に示すように第一の領域14にめっき膜5、第二の領域15にめっき膜6を形成する。その後、図1(f)に示すようにレジストパターン3およびめっきシード層2を除去して、静電偏向デバイスが完成する。
【0014】
図2は本実施形態の製造方法を用いて作成することができる静電偏向デバイスの概略を表す図である。図2(a)は平面図、図2(b)は断面図である。本静電偏向デバイスは、接地電極8と偏向電極7の間に印加した静電界Eにより、基板1の貫通孔9を通過する荷電粒子ビームを偏向させる機能を有する。図2(b)の断面図のように、隣接する偏向電極7により発生する静電界が相互干渉しないようにするために、接地電極8が偏向電極7よりも高くなっている必要がある。
【0015】
(実施例1)
次に、上記第一の実施形態に対応するより具体的な実施例1を説明する。本実施例では、図1(c)に示すように、第一の領域14に配するオーミック特性を有する抵抗体4として高抵抗膜を用いる。以下、図1に沿って、実施例1の静電偏向デバイスの製造工程を説明する。ここでは、図1(a)に示すように、偏向電極および接地電極に電気信号を伝達するための集積回路を形成したシリコン基板1を用いる。基板1は、偏向電極と接地電極に電気信号を伝達する電極パッド1aと配線1bとパッシベーション膜1cを備えている。電極パッド1aと配線1bはCuであり、パッシベーション膜1cはSiN膜である。
【0016】
続いて、図1(b)に示すように、基板に電解めっき膜を成長させるために、スパッタリングにてめっきシード層2を成膜する。めっきシード層2はCuで膜厚1μmとする。図1(c)に示すように、めっきシード層2の上の第一の領域14である偏向電極を形成する部分に、オーミック特性を有する抵抗体4を形成する。つまり、複数の領域の少なくとも1つに抵抗膜を被覆形成することにより抵抗体4を形成する。抵抗体4はSnO膜で膜厚1μmとする。SnO膜のパターニング方法は、エッチング、リフトオフなどを用いることができ、その手法は問わない。続いて、図1(d)に示すように、第一の領域14である偏向電極を形成する部分と第二の領域15である接地電極を形成する部分とが開口したレジストパターン3を形成する。
【0017】
更に、図1(e)に示すように、電解めっきによって、第一の領域14に、偏向電極となるめっき膜5を形成し、第二の領域15に、接地電極となるめっき膜6を形成する。ここで、オーミック特性を有する抵抗体4の作用により、めっき膜5とめっき膜6の膜厚を異ならせることができる。図1(f)に示すように、レジスト剥離とシード層除去を実施することで、接地電極と偏向電極を形成することができる。こうして、静電偏向デバイスを形成できる。この静電偏向デバイスでは、基板上の複数の領域に、異なる膜厚の突起状電極が設けられ、電極の少なくとも1つの下部に電極とは異なる材質の膜であってオーミック特性を有する膜が存在し、複数の電極間の基板に、荷電粒子が通過するための貫通孔がある。
【0018】
図1(e)に示しためっき膜5とめっき膜6の膜厚差を説明するために、図3に電解めっきの模式図を示す。図3(a)に示すように、電解めっき液11中に基板1と対向電極10を配置し、その間に電圧を印加して電解めっきを行う。対向電極10はグリッド状の形状を有してめっき液を通過させることができ、基板1と対向電極10の間にめっき液11が十分供給できるようになっている。この構成で、図1(d)に示すようなレジストパターン3でめっき領域を制限した基板1に対して、電解めっき処理を行う。電解めっき条件は以下の(イ)〜(ヘ)の通りである。
【0019】
(イ)めっき液の組成(何れも、めっき液1リットル中の含有量)
・硫酸銅:100g
・硫酸:250g
・塩素:50mg
・ポリエチレングリコール:0.4ml
・ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド2ナトリウム塩:10μl
(ロ)めっき液の温度:25℃
(ハ)めっき液の液導電率:60S/m
(ニ)パルス電流密度(基板1全面の平均)
順方向3.6A/dm2、逆方向10.8A/dm2、順方向時間40ms、逆方向時間2ms
(ホ)基板1表面と対向電極10の間隔:100μm
(ヘ)めっき膜成長厚さ:30μm
【0020】
このとき、この構成の電解めっきの等価回路は図3(b)に示すように表すことができる。オーミック特性を有する抵抗体4を形成した部分は等価回路の抵抗Rに相当する。めっき膜5に流れるめっき電流はIb、めっき膜6に流れるめっき電流はIaに相当する。本実施例における各抵抗値は以下の通りである。
・基板抵抗Rsub=0.031Ω(8インチウエハの中心の場合)
・めっき液抵抗Rmekki=1042Ω
・めっき速度制御抵抗R=70Ω
ここで、Cuの比抵抗1.68×10−8Ω・m、基板サイズ8インチ、給電はウエハ全周、SnO4の比抵抗0.014Ω・m、偏向電極5の成長領域10μm×20μm、パターン3のピッチ40μm、とした。
【0021】
基板抵抗は無視できるほど小さいので、めっき液抵抗Rmekkiとめっき速度制御抵抗Rのみ考慮すると、電流密度の比はIb/Ia=R/(R+Rmekki)で表わせる。前記抵抗値を代入するとIb/Ia=0.937でありIbはIaに対して−6.3%である。言い換えると、めっき膜5のめっき膜成長速度は、めっき膜6に対して−6.3%である。これにより、接地電極となるめっき膜6を30μmの厚さとした場合に、偏向電極となるめっき膜5の厚さは28.1μmとなり、偏向電極と接地電極の膜厚差を1.9μmとすることができた。SnO膜4の厚さ1μmを加味すると、基板面から偏向電極上面までの高さは29.1μmとなり、接地電極との差は0.9μmである。
【0022】
以上のように、第一の実施形態および実施例1である電解めっき方法により、一回の電解めっきで形成する2種類の電極の高さを異ならせることができる。また、めっき膜の直下のみに抵抗体を配して、周辺パターンに影響を与えていない。すなわち、電解めっきで形成するパターンの直下のみに抵抗体を配することができるため、パターンレイアウトの制約がなくなる。なお、本実施例では電解めっき条件として一例を示したが、めっき膜5とめっき膜6の膜厚比率は抵抗Rと抵抗Rmekkiにより決定されることを示しており、本発明を適用する電解めっき条件を制限するものではない。また、抵抗体4の材料も一例であり本発明の内容を制限するものではない。
【0023】
(実施例2)
本発明の実施例2は、偏向電極を形成する部分を絶縁膜で覆い、その絶縁膜に開口を設けることによってめっき電流を制限する例である。以下、実施例2を説明する。図4に、第一の領域である偏向電極を形成する部分を絶縁膜で覆い、その絶縁膜に開口を設ける工程を示す。
【0024】
図4(a)に示すように、めっきシード層2を成膜した基板1の上に絶縁膜12を成膜する。絶縁膜12は、SiO膜で膜厚50nmとする。図4(b)に示すように、絶縁膜12をパターニングする。本実施例では、めっき電流を制限したいめっき領域のみに、絶縁膜12を残す。ここでは第一の領域14に絶縁膜12を残し、第二の領域15には絶縁膜を残さない。第一の領域14であるめっき領域を10×20μmとし、これに対して絶縁膜12に0.5μm×0.5μmの開口を8ケ設けて開口比率を1/100とする。絶縁膜12をパターニングする部分は、第一の領域14である偏向電極を形成する部分とする。次に、図4(c)に示すように、第一の領域14に形成した絶縁膜パターンの上にめっき成長させるための導電膜13を形成する。導電膜13は、SnO膜で膜厚20nmとする。パターニング方法はエッチング、リフトオフなど、方法を問わない。本実施例では、開口を設けた絶縁膜12と導電膜13によって、実施例1の抵抗体4に相当する抵抗体を構成する。この様に、本実施例では、複数の領域の少なくとも1つを絶縁膜で覆い、絶縁膜に少なくとも1つの開口を設けてここに導電膜を充填し、開口の総面積を調整することにより所望の抵抗値を持つ電気抵抗体を形成している。
【0025】
次に、図4(d)に示すように、第一の領域14である偏向電極を形成する部分と第二の領域15である接地電極を形成する部分が開口したレジストパターン3を形成し、電解めっき処理を行う。電解めっきの構成および条件は実施例1と同様である。絶縁膜12による開口の総面積制限による電流低下のため、図3(b)に示す等価回路の抵抗Rは大きくすることができる。本実施例における各抵抗値は以下の通りである。
・基板抵抗Rsub=0.031Ω(8インチウエハの中心の場合)
・めっき液抵抗Rmekki=1042Ω
・めっき速度制御抵抗R=140Ω
ここでも、Cuの比抵抗1.68×10−8Ω・m、基板サイズ8インチ、給電はウエハ全周、SnOの比抵抗0.014Ω・m、偏向電極の成長領域10μm×20μm、パターンピッチ40μm、とした。
【0026】
基板抵抗は無視できるほど小さいので、めっき液抵抗Rmekkiとめっき速度制御抵抗Rのみ考慮すると、電流密度の比はIb/Ia=R/(R+Rmekki)で表せる。前記抵抗値を代入するとIb/Ia=0.882でありIbはIaに対して−11.8%である。言い換えると、図4(d)に示す第一の領域14において成長するめっき膜のめっき膜成長速度は、第二の領域15において成長するめっき膜に対して−11.8%である。これにより、第二の領域14において成長するめっき膜である接地電極を30μmの厚さとした場合に、第一の領域15において成長するめっき膜である偏向電極の厚さは26.4μmとなり、偏向電極と接地電極の膜厚差を3.6μmとすることができた。SiO膜12とSnO膜13の合計厚さ0.07μmを加味すると、基板面からの高さの差は3.5μmである。
【0027】
以上のように、実施例2である電解めっき方法により、一回の電解めっきによって2つの領域に成長するめっき膜の膜厚を異ならせることができた。また、めっき膜の直下のみに絶縁膜による抵抗体を配して、周辺パターンには影響を与えていない。ここでも、絶縁膜や導電膜の材料および膜厚は一例であり、本発明の内容を制限するものではない。
【0028】
(実施例3)
本発明の実施例3は、偏向電極を形成する領域に存在するめっきシード層を薄くすることによって、めっき電流を制限する例である。以下、実施例3を説明する。図5に、偏向電極を形成する領域に存在するめっきシード層を薄くする工程を示す。
【0029】
図5(a)に示すように、基板1にめっきシード層2を成膜する。図5(b)に示すように、第一の領域14である偏向電極を形成する部分の領域のみにおいて、めっきシード層2をエッチングして薄くする。次に、図5(c)に示すように、レジストパターン3を形成し、電解めっき処理を行う。このとき、第一の領域14であるシード層が薄い部分で電流が制限され、図3(b)に示す等価回路の抵抗Rが大きくなる。つまり、図3(b)に示す電流Ibが小さくなり、第一の領域14のめっき膜成長速度は第二の領域15のめっき膜成長速度より小さくなる。この様に、本実施例では、基板は絶縁性基板であり、絶縁性基板の上にめっき電流を供給するために設けたシード層において、複数の領域の少なくとも1つのシード層を薄くすることにより電気抵抗体を形成する。本実施例の電解めっき方法も、実施例1による電解めっき方法と同様の効果を有する。
【0030】
(実施例4)
前記実施例1〜3では、或る領域におけるめっき膜厚を異ならせることを目的とした。これを応用して、通常の電解めっきを実施したときに生じる基板面内の膜厚分布を小さくする方法が考えられる。通常の電解めっきを実施したときに、或る速度でめっき膜が成長する領域Aに対して、その2倍の速度でめっき膜が成長する領域Bが存在したとする。領域Bに対し、前記実施例のいずれかの方法を用いることにより成長速度を2分の1にすることができたとすると(これは実際に可能である)、領域Aと領域Bのめっき膜成長速度が等しくなる。これを、基板面内全てのめっき領域に適用することで、基板面内全てのめっき領域におけるめっき膜成長速度をほぼ同一にする効果を奏することができる。
【0031】
この様に、本実施例では、そのままではめっき膜の成長速度が一様とならない基板上に、抵抗体を所定の形態ないし構造とパターンで形成し、基板面内のめっき膜の成長速度を略一様にする。ここでは、電解めっきの膜成長速度分布を打ち消すように補正できるため、電解めっき膜成長速度の面内分布を略一様にできる。この技術を更に一般化して、基板面に適切な形態ないし構造の抵抗体を適切なパターンで配置すれば、基板上に所望する膜厚分布のめっき膜を形成することができる。
【符号の説明】
【0032】
1:基板、3:レジストパターン、4:オーミック特性を有する抵抗体(抵抗膜)、7:偏向電極、8:接地電極、11:電解めっき液、12:めっき電流制限のための絶縁膜(抵抗体)、13:導電膜(抵抗体)、14、15:領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の複数の領域に所定の膜厚のめっき膜を形成する電解めっき方法であって、
前記複数の領域に夫々めっき電流が流れる複数の経路の少なくとも1つに、オーミック特性を有する抵抗体を配する工程と、
前記複数の領域に同時に電解めっきによりめっき膜を成長させる工程と、
を含むことを特徴とする電解めっき方法。
【請求項2】
基板上の複数の領域に異なる膜厚の電極を有する静電偏向デバイスを作成するための電解めっき方法であって、
前記複数の領域に夫々めっき電流が流れる複数の経路の少なくとも1つに、オーミック特性を有する抵抗体を配する工程と、
前記複数の領域に同時に電解めっきによりめっき膜を成長させて前記異なる膜厚の電極を形成する工程を含むことを特徴とする電解めっき方法。
【請求項3】
前記複数の領域の少なくとも1つを絶縁膜で覆い、前記絶縁膜に少なくとも1つの開口を設けて前記開口に導電膜を充填し、前記開口の総面積を調整することにより所定の抵抗値の前記抵抗体を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の電解めっき方法。
【請求項4】
前記基板は絶縁性基板であり、
前記絶縁性基板の上にめっき電流を供給するために設けたシード層において、前記複数の領域の少なくとも1つの前記シード層を薄くすることにより前記抵抗体を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の電解めっき方法。
【請求項5】
前記複数の領域の少なくとも1つに抵抗膜を被覆形成することにより前記抵抗体を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の電解めっき方法。
【請求項6】
前記異なる膜厚の電極は、荷電粒子が通過するための貫通孔がその間の前記基板に形成された偏向電極と接地電極であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の電解めっき方法。
【請求項7】
そのままではめっき膜の成長速度が一様とならない基板上に、前記抵抗体を所定の形態とパターンで形成し、基板面内のめっき膜の成長速度を一様にすることを特徴とする請求項1に記載の電解めっき方法。
【請求項8】
基板上の複数の領域に異なる膜厚の突起状電極を有し、
前記複数の電極のうちの少なくとも1つの下部に該電極とは異なる材質の膜であってオーミック特性を有する膜が存在し、
前記複数の電極の間の前記基板に、荷電粒子が通過するための貫通孔を有することを特徴とする静電偏向デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−28833(P2013−28833A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164773(P2011−164773)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】