説明

電解めっき装置及び電解めっき方法並びにめっき治具

【課題】キャップ部の一面側から複数本のリードが延出された電子部品内及び電子部品間に、均一厚さのめっき皮膜を形成できる電解めっき装置を提供する。
【解決手段】第1陽極板と、第1陽極板に対向する位置に、キャップ部18aの一面側からリード18bが延出された電子部品18が位置するように、電子部品が保持されるめっき治具10とを具備し、めっき治具には、永久磁石20が内包された陰極部22と、陰極部の第1陽極板側に、絶縁層24a,24bに挟み込まれて形成された第2陽極板26と、絶縁層及び第2陽極板を貫通して、陰極部の陰極面22aが底面に露出すると共に、第2陽極板の陽極面26aが内壁面に沿って露出し、リードが挿入される凹部28とが設けられ、リードの先端が凹部の陰極面に当接し、永久磁石によって電子部品が吸着される。第1陽極板及び第2陽極板と陰極部との間に印加する電流を個々に制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電解めっき装置及び電解めっき方法並びにめっき治具に関し、更に詳細にはキャップ部の一面側から複数本のリードが延出された電子部品に電解めっきを施す電解めっき装置及び電解めっき方法並びにめっき治具に関する。
【背景技術】
【0002】
キャップ部の一面側から複数本のリードが延出された複数個の電子部品(以下、単に電子部品と称することがある)に電解めっきを施す際には、従来、バレルめっき方法が採用されている。かかるバレルめっき方法では、複数個の電子部品が収納された籠状のバレルを、陽極が浸漬された電解めっき液中で回転しつつ、バレル内に設けられた陰極部と陽極との間に電流を印加して、電子部品の各々に電解めっきを施す。
しかし、かかるバレルめっき方法では、電子部品同士の接触による傷やリードの曲り、或いは電子部品同士の絡み合いが発生し易いという問題が存在する。
この様な問題を解決すべく、下記特許文献1には、図4に示す電解めっき装置が提案されている。
図4に示す電解めっき装置では、複数個の電子部品102,102・・が整列されて保持されためっき治具100を、めっき槽104に貯留された電解めっき液中に浸漬されている陽極板に電子部品102,102・・が対向するように垂直に浸漬して、上下摺動機構106で上下方向に振動させつつ、陽極板とめっき治具100内に設けられている陰極部との間に電流を印加し、電子部品102,102・・の各々に電解めっきを施す。
図4に示すめっき治具100は、図5に示す様に、磁石112,112・・が所定間隔で内包され、磁石112,112・・に相当する位置に凹部114,114・・が形成されている。かかる凹部114,114・・の各開口部には、隙間118を介して陰極板116,116が設けられている。
この陰極板116,116上に載置した、電子部品102のリード102b,102b・・の各先端は磁石114の磁力によって吸着され、電子部品102は陰極板116,116上に立設された状態で把持される。
かかる電子部品102を把持する把持力は、図4に示す様に、めっき治具100を垂直にしても、電子部品102,102・・を把持できる。
【特許文献1】特開2006−193806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図4及び図5に示すめっき治具100を用いた電解めっき装置によれば、電解めっき液中に電子部品102,102・・を整列した状態を保持して浸漬しつつ、電子部品102,102・・の各キャップ部102a及びリード102bに電解めっきを施すことができる。
従って、図4及び図5に示すめっき治具を用いた電解めっき装置によって、電子部品同士の接触による傷やリードの曲り、或いは電子部品同士の絡み合いの発生を防止できる。
しかしながら、図4及び図5に示すめっき治具を用いた電解めっき装置では、通常、陽極板は、めっき治具100に整列された電子部品102,102・・の各キャップ部102aに対向する位置にある。
このため、電解めっきが施された電子部品102には、陽極板に近いキャップ部102aには、リード102bよりも厚いめっき皮膜が形成され易くなり、電子部品内及び電子部品間でのめっき皮膜の厚さバラツキが大きくなり易い。
そこで、本発明は、従来の磁石を内部に具備するめっき治具を用いた、キャップ部の一面側から複数本のリードが延出された電子部品に電解めっきを施したとき、電子部品内及び電子部品間でのめっき皮膜の厚さバラツキが大きくなり易いという課題を解消し、キャップ部の一面側から複数本のリードが延出された電子部品内及び電子部品間において、可及的に均一厚さのめっき皮膜を形成できる電解めっき装置及び電解めっき方法並びにめっき治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記課題を解決すべく、先ず、図4及び図5に示すめっき治具を用いた電解めっき装置によって電解めっきを施した電子部品102に、めっき皮膜の厚さがバラツキ易い原因について検討したところ、電解めっき液中の電流は、極板に対して直角方向に流れ易いため、電子部品102に電流が集中し易い箇所と電流が回り込み難い箇所とが存在し易いこと、及び電解めっきを施した電子部品102のキャップ部102aのめっき皮膜がリード102bのめっき皮膜よりも厚く形成され易いことが判明した。
従って、本発明者は、電子部品102のキャップ部102aが、リード102bよりも陽極板に近く、リード102bよりも電流が集中し易いため、電解めっきを施した電子部品102に、めっき皮膜の厚さがバラツキ易いものと考えた。このため、電解めっきを施す際に、電子部品102のキャップ部102aの近傍のみならず、リードに近い箇所にも陽極を形成することによって、電子部品102のキャップ部102a及びリード102bに電流が分散できるものと考え検討した結果、本発明に到達した。
【0005】
すなわち、本発明は、めっき槽の電解めっき液に浸漬された第1陽極板と、前記電解めっき液中の前記第1陽極板の一面側に対向する位置に、電解めっき対象のキャップ部の一面側から複数本のリードが延出された電子部品が位置するように、前記電子部品が保持されるめっき治具とを具備し、前記めっき治具には、磁石が内包された陰極部と、前記陰極部の第1陽極板側に、絶縁層に挟み込まれて形成された第2陽極板と、前記絶縁層及び第2陽極板を貫通して、前記陰極部の陰極面が底面に露出すると共に、前記第2陽極板の陽極面が内壁面に沿って露出し、前記電子部品のリードが挿入される凹部とが設けられ、前記めっき治具の凹部に挿入されたリードの先端が、前記凹部の底面に露出する陰極面に当接して、前記磁石の磁力によって前記陰極面に吸着され、前記めっき治具に保持されている電子部品のキャップ部とリードとに電解めっきが施されるように、前記第1陽極板及び第2陽極板と陰極部との間に電流を印加する電源が設けられていることを特徴とする電解めっき装置にある。
【0006】
また、本発明は、電解めっき対象のキャップ部の一面側から複数本のリードが延出された電子部品を保持するめっき治具として、磁石が内包された陰極部の一面側に、絶縁層に挟み込まれて第2陽極板が形成され、且つ前記第2陽極板及び絶縁層を貫通して、前記陰極部の表面が底面に露出すると共に、前記第2陽極板の陽極面が内壁面に沿って露出している凹部が形成されているめっき治具を用い、前記電子部品のリードを前記めっき治具の凹部内に挿入し、前記凹部の陰極面に当接するリードの先端を、前記磁石の磁力によって前記陰極面に吸着して、前記電子部品をめっき治具に保持した後、前記めっき治具を、第1陽極板が浸漬されているめっき槽の電解めっき液に、前記めっき治具の凹部内に保持されている電子部品のキャップ部が前記第1陽極板の一面側に向くように浸漬し、次いで、電源の陽極と前記第1陽極板及び第2陽極板とを接続すると共に、前記電源の陰極と前記陰極部とを接続し、前記キャップ部及びリードに電解めっきを施すことを特徴とする電解めっき方法でもある。
【0007】
更に、本発明は、めっき槽の電解めっき液に浸漬された第1陽極板に対向する位置に、電解めっき対象のキャップ部の一面側から複数本のリードが延出された電子部品が位置するように、前記電子部品が保持されるめっき治具には、磁石が内包された金属部材によって形成され、電解めっき用の電源の陰極と接続される陰極部と、前記陰極部の第1陽極板側に絶縁層に挟み込まれて形成され、前記電源の陽極と接続される第2陽極板と、前記絶縁層及び第2陽極板を貫通して、前記陰極部の陰極面が底面に露出している共に、前記第2陽極板の陽極面が内壁面に沿って露出し、挿入されて前記底面に当接した前記電子部品のリードの先端が前記磁石の磁力によって吸着され、前記電子部品が保持される凹部とを具備することを特徴とするめっき治具でもある。
【0008】
かかる本発明において、第2陽極板の陽極面を、電子部品のリードを取り囲むように、めっき治具の凹部の内壁面に沿って露出することによって、電子部品のリードの各々に万遍なく電解めっきを施すことができる。
また、電源の陽極と第2陽極板とを接続する導電線の一部を、陰極部の表面を覆う絶縁層内に配設することによって、めっき治具の取扱いを容易とすることができる。
更に、第1陽極板と陰極部とに電流を印加する第1電源と、第2陽極板と陰極部とに電流を印加する第2電源とを設け、印加する電流値を個々に制御することによって、電解めっきを施した電子部品のキャップ部及びリードに形成されるめっき皮膜を更に一層均一化できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、めっき治具の凹部に複数本のリードが挿入された電子部品のキャップ部の近傍に第1陽極板を配設すると共に、凹部の底面に露出する陰極面にリードの先端が当接している。
しかも、凹部に挿入されている電子部品のリードは、凹部の内壁面に沿って露出する第2陽極板の露出面と凹部の底面に露出する陰極面との間に位置する。
このため、第1陽極板及び第2陽極板と陰極部との間に電流を印加することによって、第1陽極板と陰極部との間では、主として電子部品のキャップ部に電解めっき皮膜を形成でき、第2陽極板と陰極部との間では、主として電気部品のリードに電解めっき皮膜を形成できる。
その結果、電解めっきを終了した電子部品では、そのキャップ部及び複数本のリードに可及的に均一厚さの電解めっき皮膜が形成でき、且つ電子部品間でも、可及的に均一厚さの電解めっき皮膜を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る電解めっき装置の一例を図1に示す。図1に示す電解めっき装置では、めっき槽12の電解めっき液14中に、矩形状の第1陽極板16とめっき治具10とが浸漬されている。この第1陽極板16の一面側と対向するめっき治具10の対向面側には、電解めっき対象の複数個の電子部品18,18・・が整列された状態で保持されている。かかる電子部品18は、図2に示す様に、キャップ部18aの一面側に複数本のリード18b,18b・・が延出されているものである。
めっき治具10には、図2に示す様に、内部に永久磁石20が内包された、金属部材から成る陰極部22が設けられている。この陰極部22には、図1に示す直流電源32の陰極に接続される導電線25が接続されている。
かかる陰極部22の一面側には、絶縁層24a,24bに挟み込まれて第2陽極板26が配設されている。この第2陽極板26は、第1陽極板16と同一金属によって形成されている。
【0011】
陰極部22の一面側には、第2陽極板26及び絶縁層24a,24bを貫通し、陰極部22の陰極面22aが底面に露出する凹部28,28・・が形成されている。この凹部28,28・・の各内壁面には、内壁面に沿って第2陽極板26の陽極面26aが露出されている。
かかる凹部28には、図2に示す様に、電子部品18の複数本のリード18b、18b・・が挿入される。このため、凹部28では、挿入された電子部品18のリード18b、18b・・を取り囲むように、凹部28の内壁面に沿って第2陽極板26の陽極面26aが露出している。
また、陰極部22の一面側に形成された絶縁層14bの一部は、陰極部22の側面側にも延出されている。この陰極部22の側面側に延出された絶縁層14b内には、第2陽極板26と直流電源の陽極とを接続する導電線30の一部が陰極部22との間に絶縁層14bの一部を介して配設されている。この様に、導電線30のめっき治具10近傍を、絶縁層24bの延出部内に配設することによって、めっき治具10と導電線30の一部を一体化でき、めっき治具10の取扱性を向上できる。
【0012】
図2に示すめっき治具10の凹部28,28・・の各々に、電子部品18のリード18b,18b・・を挿入すると、各リード18bの先端が凹部28の底面に露出する陰極面22aに当接する。凹部28の陰極面22aに先端が当接したリード18bは、陰極部22内に配設された永久磁石20の磁力によって、凹部28の陰極面22aに吸着される。このため、電子部品18は、そのキャップ部18aが凹部28の外方に位置した状態でめっき治具10の一面側に保持される。
この様に、めっき治具10の凹部28,28・・の各々に、電子部品18が保持された状態では、水平に載置されためっき治具10を、図2に示すように垂直にしても、電子部品18,18・・の各々はめっき治具10の所定位置に保持できる。
【0013】
次いで、図2に示すめっき治具10を、図1に示す様に、めっき槽12の電解めっき液14中に浸漬する。この際に、めっき治具10を、保持されている電子部品18,18・・が第1陽極板16に向くように電解めっき液14に浸漬する。
その後、図1に示す様に、第1陽極板16及びめっき治具10の第2陽極板26と直流電源32の陽極とを接続すると共に、めっき治具10の陰極部22と直流電源32の陰極とを接続することによって、めっき治具10に保持されている電子部品18に電解めっきを施すことができる。
この電解めっきでは、第1陽極板16と凹部28,28・・の各底面に露出する陰極面22aとの間で流れる電流によって、主として電子部品18のキャップ部18aに電解めっきが施される。
また、凹部28の内壁面に露出する第2陽極板26の陽極面26aと、その底面に露出する陰極面22aとの間に流れる電流によって、主として電子部品18のリード18b,18b・・に電解めっきが施される。
このため、電子部品18,18・・の各々のキャップ部18a及びリード18b,18・・の全体に均一な電解めっきを施すことができ、電子部品間においても、可及的に均一な厚さの電解めっき皮膜を形成できる。
【0014】
ここで、図1に示す電解めっき装置の第1陽極板16と第2陽極板26として、ニッケルから成る第1陽極板16と第2陽極板26とを用いて、めっき治具10に保持されている電子部品18,18・・に電解ニッケルめっきを施した。この際に、電解めっき液14としては市販のニッケル電解めっき液を用い、第1陽極板16及び第2陽極板26と陰極部22との間に、凹部28,28・・の底面に露出する陰極面22aに対して電流密度が5A/cmとなるように直流電流を印加した。
電解ニッケルめっきを施した電子部品18のキャップ部18aとリード18bとに形成されたニッケルめっき皮膜の厚さのバラツキは4.6μmであり、電子部品18,18・・間のニッケルめっき皮膜の厚さのバラツキは4.3μmであった。
一方、図1に示す電解めっき装置において、第2陽極板26と陰極部22との間に直流電流を印加しなかった他は、上記と同様に、めっき治具10に保持されている電子部品18,18・・に電解ニッケルめっきを施した。電解ニッケルめっきを施した電子部品18のキャップ部18aとリード18bとに形成されたニッケルめっき皮膜の厚さのバラツキは9.4μmであり、電子部品18,18・・間のニッケルめっき皮膜の厚さのバラツキは5.3μmであった。これらのニッケルめっき皮膜のバラツキは、第2陽極板26と陰極部22との間に直流電流を印加した上記場合に比較して大きくなっている。
【0015】
図1に示す電解めっき装置では、第1陽極板16と凹部28,28・・の各底面に露出する陰極面22aとの間に印加する直流電流値と、凹部28の内壁面に露出する第2陽極板26の陽極面26aと、その底面に露出する陰極面22aとの間に印加する直流電流値とを独立して制御できない。このため、電子部品内及び電子部品間での電解めっき皮膜の厚さの均一化には限界が存在する場合がある。
この場合には、図3に示す様に、第1陽極板16と陰極部22とに直流電流を印加する第1電源32aと、第2陽極板26と陰極部22とに直流電流を印加する第2電源32bとを設けることが好ましい。
図3に示す電解めっき装置では、第1陽極板14と凹部28,28・・の各底面に露出する陰極面22aとの間に印加する直流電流値と、凹部28の内壁面に露出する第2陽極板26の陽極面26aと、その底面に露出する陰極面22aとの間に印加する直流電流値とを独立して制御できる。このため、電解めっきを施した電子部品18について、電子部品内及び電子部品間において、電解めっき皮膜の厚さにバラツキが存在している場合には、電解めっき皮膜の厚さを可及的に均一化すべく、第1電源32a又は第2電源32bからの直流電流値を独立して変更できる。
【0016】
ここで、図3に示す電解めっき装置を用い、第1陽極板16と凹部28,28・・の各底面に露出する陰極部22の表面との間に第1電源32aから印加する直流電流値を、凹部28,28・・の底面に露出する陰極面22aに対して電流密度が2.5A/cmとなるように調整した。また、凹部28の内壁面に露出する第2陽極板26の露出面26aと凹部28,28・・の各底面に露出する陰極面22aとの間に第2電源32bから印加する直流電流値を、凹部28,28・・の底面に対して電流密度が2.5A/cmとなるように調整した。この他は、図1に示す電解めっき装置を用いた電解ニッケルめっきと同様にして、めっき治具10に保持されている電子部品18,18・・に電解ニッケルめっきを施した。
電解ニッケルめっきを施した電子部品18のキャップ部18aとリード18bとに形成されたニッケルめっき皮膜の厚さのバラツキは3.7μmであり、電子部品18,18・・間のニッケルめっき皮膜の厚さのバラツキは4.1μmであった。
これらのニッケルめっき皮膜のバラツキは、図1に示す電解めっき装置を用いた場合に比較して小さくなっている。
以上、説明してきた図2に示すめっき治具10では、凹部28,28・・の底面全体に亘って一枚の永久磁石20が設けられているが、凹部28,28・・の各底面ごとに、対応する永久磁石が設けられていてもよい。
また、永久磁石20に代えて、電磁石を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る電解めっき装置の一例を説明するための概略図である。
【図2】図1に示す電解めっき装置で用いためっき治具を説明するための断面図である。
【図3】本発明に係る電解めっき装置の他の例を説明するための概略図である。
【図4】従来の電解めっき装置を説明するための概略図である。
【図5】図4に示す電解めっき装置に用いられているめっき治具を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0018】
10 めっき治具
12 めっき槽
14 電解めっき液
16 第1陽極板
18 電子部品
18a キャップ部
18b リード
20 永久磁石
22 陰極部
22a 陰極面
24a,24b 絶縁層
25,30 導電線
26 陽極板
26a 陽極面
28 凹部
32 電源
32a 第1電源
32b 第2電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき槽の電解めっき液に浸漬された第1陽極板と、前記電解めっき液中の前記第1陽極板の一面側に対向する位置に、電解めっき対象のキャップ部の一面側から複数本のリードが延出された電子部品が位置するように、前記電子部品が保持されるめっき治具とを具備し、
前記めっき治具には、磁石が内包された陰極部と、前記陰極部の第1陽極板側に、絶縁層に挟み込まれて形成された第2陽極板と、前記絶縁層及び第2陽極板を貫通して、前記陰極部の陰極面が底面に露出すると共に、前記第2陽極板の陽極面が内壁面に沿って露出し、前記電子部品のリードが挿入される凹部とが設けられ、
前記めっき治具の凹部に挿入されたリードの先端が、前記凹部の底面に露出する陰極面に当接して、前記磁石の磁力によって前記陰極面に吸着され、前記めっき治具に保持されている電子部品のキャップ部とリードとに電解めっきが施されるように、前記第1陽極板及び第2陽極板と陰極部との間に電流を印加する電源が設けられていることを特徴とする電解めっき装置。
【請求項2】
第2陽極板の陽極面が、電子部品のリードを取り囲むように、めっき治具の凹部の内壁面に沿って露出している請求項1記載の電解めっき装置。
【請求項3】
電源の陽極と第2陽極板とを接続する導電線は、その一部が陰極部の表面を覆う絶縁層内に配設されている請求項1又は請求項2記載の電解めっき装置。
【請求項4】
第1陽極板と陰極部とに電流を印加する第1電源と、第2陽極板と陰極部とに電流を印加する第2電源とが設けられている請求項1〜3のいずれか一項記載の電解めっき装置。
【請求項5】
電解めっき対象のキャップ部の一面側から複数本のリードが延出された電子部品を保持するめっき治具として、磁石が内包された陰極部の一面側に、絶縁層に挟み込まれて第2陽極板が形成され、且つ前記第2陽極板及び絶縁層を貫通して、前記陰極部の表面が底面に露出すると共に、前記第2陽極板の陽極面が内壁面に沿って露出している凹部が形成されているめっき治具を用い、
前記電子部品のリードを前記めっき治具の凹部内に挿入し、前記凹部の陰極面に当接するリードの先端を、前記磁石の磁力によって前記陰極面に吸着して、前記電子部品をめっき治具に保持した後、
前記めっき治具を、第1陽極板が浸漬されているめっき槽の電解めっき液に、前記めっき治具の凹部内に保持されている電子部品のキャップ部が前記第1陽極板の一面側に向くように浸漬し、
次いで、電源の陽極と前記第1陽極板及び第2陽極板とを接続すると共に、前記電源の陰極と前記陰極部とを接続し、前記キャップ部及びリードに電解めっきを施すことを特徴とする電解めっき方法。
【請求項6】
第2陽極板の露出面を、電子部品の複数本のリードを取り囲むように、めっき治具の凹部の内壁面に沿って露出する請求項5記載の電解めっき方法。
【請求項7】
電源の陽極と第2陽極板とを接続する導電線の一部を、陰極部の表面を覆う絶縁層内に配設する請求項5又は請求項6記載の電解めっき方法。
【請求項8】
第1陽極板と陰極部とに電流を印加する第1電源と、第2陽極板と陰極部とに電流を印加する第2電源とを設け、印加する電流値を個々に制御する請求項5〜6のいずれか一項記載の電解めっき方法。
【請求項9】
めっき槽の電解めっき液に浸漬された第1陽極板に対向する位置に、電解めっき対象のキャップ部の一面側から複数本のリードが延出された電子部品が位置するように、前記電子部品が保持されるめっき治具には、
磁石が内包された金属部材によって形成され、電解めっき用の電源の陰極と接続される陰極部と、
前記陰極部の第1陽極板側に絶縁層に挟み込まれて形成され、前記電源の陽極と接続される第2陽極板と、
前記絶縁層及び第2陽極板を貫通して、前記陰極部の陰極面が底面に露出している共に、前記第2陽極板の陽極面が内壁面に沿って露出し、挿入されて前記底面に当接した前記電子部品のリードの先端が前記磁石の磁力によって吸着され、前記電子部品が保持される凹部とを具備することを特徴とするめっき治具。
【請求項10】
第2陽極板の陽極面が、電子部品のリードを取り囲むように、めっき治具の凹部の内壁面に沿って露出している請求項9記載のめっき治具。
【請求項11】
電源の陽極と第2陽極板とを接続する導電線の一部が、陰極部の表面を覆う絶縁層内に配設されている請求項9又は請求項10記載のめっき治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−121097(P2008−121097A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309608(P2006−309608)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)