説明

電解装置

【課題】電解反応時に発生する気泡による電解電圧及び電解効率の増大を抑制した電解装置を提供する。
【解決手段】電解装置は、隔壁ブロック12と、この隔壁ブロック内に電解液を介して設けられた3以上の電極とを具える。そして、前記3以上の電極の少なくとも1つが陰極13又は陽極14として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や風力発電における発電量は、太陽光や風力に依存することから、発電量が大きくなって電力系統の需要を上回った場合には、発電量が小さくなって電力系統の需要を下回る場合に備えて、貯蔵しておくことが好ましい。
【0003】
このような電力貯蔵システムとしては、小規模から大規模の発電設備に対応可能であり、かつ立地条件を選ばないことから、アルカリ水を用いた電解装置が好ましく用いられ、今後さらなる重要の増加が見込まれる。上記電解装置は、上述のように供給電力が電力系統の需要を上回る場合に、水の電気分解(水の電解)を行って電力を水素として貯蔵し、電力が不足している場合に、貯蔵した水素を用いた発電によって電力系統の需要に対する不足分を補償する。
【0004】
電解装置に要求される特性としては、電気分解が行われる陰極及び陽極間の電解電圧が低く、また、水を電解する際に理論的に算出される理論電解電圧を電解電圧で除した電解効率が高いことが挙げられる。
【0005】
電解液の電気抵抗が温度の上昇に伴って低下することから、電解反応を高温で行い、電解液の電気抵抗の低下に基づいて電解電圧を低下させ電解効率を高める試みがなされている。しかしながら、このような高温で電解反応を行うには、高温の電解液による腐食に耐え得るような電極が必要となる。特許文献1には、前述のような電極として、ニッケル又はニッケル合金からなるメッシュ状の導電性線材が開示されている。
【0006】
また、電解液の電気抵抗を低下させる別の試みとして、特許文献2には、隔膜の両面に陽極物質及び陰極物質を密着させた電解槽を用いることで電極間隔を短くし、これによって電解液の電気抵抗を低減させる試みがなされている
【0007】
しかしながら、いずれの方法においても、電解反応時には気泡が生じ、電解液中の気泡密度が増大してその見かけ密度が低下し、電解液の実質的な電気抵抗が増大してしまうことにより、電解電圧が増大し電解効率が低下してしまうという課題があった。また、上記気泡は電極表面に付着して、電極の有効面積を減少させてしまい、これに起因して上記電解電圧及び電解効率を増大させてしまうという課題も生じていた。さらに、上記気泡は隔膜の表面にも付着してしまい、電極間の実質的な電気抵抗を増大させてしまうことから、上記同様に電解電圧を増大させ電解効率を低下させてしまうという課題も生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−149932号
【特許文献2】特開2009−242922号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、電解反応時に発生する気泡による電解電圧及び電解効率の増大を抑制した電解装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、電気絶縁性の隔壁ブロックと、この隔壁ブロックに形成された孔部において電解液を介して設けられた3以上の電極とを具え、前記3以上の電極の少なくとも1つが陰極又は陽極として機能することを特徴とする、電解装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電解反応時に発生する気泡による電解電圧及び電解効率の増大を抑制した電解装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態における電解装置の平面図である。
【図2】図1に示す電解装置をI−I線に沿って切った場合の断面図である。
【図3】第2の実施形態における電解装置の平面図である。
【図4】第3の実施形態における電解装置の平面図である。
【図5】第4の実施形態における電解装置の平面図である。
【図6】第5の実施形態における電解装置の平面図である。
【図7】第6の実施形態における電解装置の平面図である。
【図8】第7の実施形態における電解装置の平面図である。
【図9】図8に示す電解装置をII−II’線に沿って切った場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における電解装置の平面図であり、図2は、図1に示す電解装置をI−I’線に沿って切った場合の断面図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態における電解装置10は、電解槽11内に隔壁ブロック12が配置(充填)され、隔壁ブロック12には4つの孔12Aが隔壁ブロック12を厚さ方向に貫通するとともに、任意の2つが対を成して互いに対向するようにして形成されている。また、これら4つの孔12A内には、陰極13及び陽極14が2個ずつ電解液15を介して隔壁ブロック12から離隔するようにして配置されている。また、陰極13及び陽極14間には電源17が接続されている。
【0016】
なお、本実施形態では、陰極13及び陽極14が互いに隣接するように交互に配置されているが、配置構成はこれに限らず、例えば2つの陰極13が対を成し、2つの陽極14が対を成して、これら一対の陰極13及び一対の陽極14同士が互いに対向するように配置することもできる。
【0017】
電解槽11は、SUS(ステンレス鋼)やテフロン(登録商標)などの耐食性に優れた材料から構成することができる。隔壁ブロック12は、陰極13及び陽極14を電気的に隔離し、電解液15を保持する必要があることから、絶縁性であって緻密な材料から構成することが要求される。例えば、汎用のセラミック材料や高分子材料から構成することができる。また、陰極13及び陽極14は、白金、ルテニウム、金、銀、銅、ニッケル、チタン、コバルト、SUS、マンガン、亜鉛、カーボン、酸化イリジウム等の汎用の電極材から構成することができる。
【0018】
なお、陰極13及び陽極14は、多孔質であることが好ましい。この場合に、電極の有効面積が増大するので、以下に示すような電解反応を高効率で生ぜしめることができる。多孔質の電極は、汎用の方法によって形成することができる。なお、カーボンから電極を構成する場合は、特にミクロポーラスカーボンを用いることによって多孔質電極とすることができる。
【0019】
電解液15は、酸性水溶液、アルカリ水溶液のいずれをも用いることができるが、材料の腐食、本実施形態では特に陰極13及び陽極14の腐食の観点から、アルカリ水溶液を用いることが好ましい。このようなアルカリ水溶液としては、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを25質量%〜40質量%添加したものを用いることができる。
【0020】
次に、図1及び図2に示す電解装置10を用いた電解反応について説明する。
陰極13及び陽極14間に電源17から所定の電圧が印加されると、陰極13及び陽極14ではそれぞれ以下のような電解反応に基づいて、水素及び酸素が発生する。
陰極:2HO+2e→H +2OH(1)
陽極:2OH → 1/2O+HO+2e (2)
【0021】
発生した水素及び酸素は電解槽11外に排気され、必要に応じて貯留される。特に、本実施形態の電解装置を電力貯蔵システムとして用いる場合は、生成した水素を貯蔵し、電力が不足している場合に、貯蔵した水素を用いた発電によって電力系統の需要に対する不足分を補償する。
【0022】
一方、上記電解反応時には気泡が生じ、従来構成の電解装置においては、電解液の見かけ密度が低下し、電解液の実質的な電気抵抗が増大してしまうことにより、電解装置の電解電圧が増大し電解効率が低下してしまうという問題があった。また、上記気泡は電極表面に付着して、電極の有効面積を減少させてしまい、これに起因して上記電解電圧を増大させ電解効率を低下させてしまうという問題も生じていた。さらに、上記気泡は隔膜の表面にも付着してしまい、電極間の実質的な電気抵抗を増大させてしまうことから、上記同様に電解電圧を増大させ電解効率を低下させてしまうという問題も生じていた。
【0023】
しかしながら、本実施形態の電解装置10においては、隔壁ブロック12内に、2つの陰極13及び2つの陽極14を配置している。したがって、上述した電解反応はこれら4つの電極間、すなわち複数の方向で生じることになるので、電解反応によって生じる気泡の発生も分散するようになる。このため、電極表面に気泡が集中してその有効面積を大きく減少させてしまうということがない。同様に、陰極13及び陽極14を電気的に絶縁した状態で支持している隔壁ブロック12の孔12Aの内壁面に気泡が集中して、陰極13及び陽極14間の実質的な電気抵抗を大きく増大させてしまうことがない。
【0024】
また、上述のように気泡の発生が分散することから、陰極13及び陽極14毎に配備した電解液15においても、電解液15内に発生する気泡密度が減少し、電解液15の実質的な電気抵抗を大きく増大させてしまうということがない。したがって、電解装置10の電解電圧が増大し電解効率が低下してしまうのを抑制することができる。
【0025】
なお、上述した内容から明らかなように、従来の電解装置においては、基本的に単一の陰極と単一の陽極とを隔膜によって隔ててなる電極構成を基本構成としていたので、電解反応が上記陰極と上記陽極との間でのみ発生し、電解反応に伴って発生する気泡が分散されることなく、上記陰極と上記陽極との間に集中し、これによって気泡が電極表面に多量に付着して、電極の有効面積を減少させてしまう等により、電解電圧を増大させ電解効率を低下せしめていたことが分かる。
【0026】
本実施形態においては、隔壁ブロック12に4つの孔12Aを形成し、合計4つの電極を設けるようにしているが、電極の数が少なくとも3つあれば、上述した本実施形態の作用効果を奏することができる。但し、電極の数が多いほど上述した本実施形態の作用効果が顕著となり、特に本実施形態のように、電極の数を4以上とすることにより前記作用効果が顕著となる。
【0027】
一方、隔壁ブロック12に配設すべき電極の数の上限は特に限定されるものではない。
【0028】
(第2の実施形態)
図3は、本実施形態における電解装置の平面図である。第1の実施形態では、隔壁ブロック12に合計4つの孔12Aを形成し、これら4つの孔12A内に2つの陰極13及び2つの陽極14を、陰極13と陽極14とが互いに隣接するように交互に配置した。
【0029】
これに対して、本実施形態の電解装置20では、隔壁ブロック12において合計5つの孔12Aを形成し、中心に位置する孔12Aを4つの孔12Aが取り囲むようにして形成している。そして、中心に位置する孔12Aに陰極13を配置し、その周囲の4つの孔12Aに陽極14を配置するようにしている。
【0030】
この場合においても、電解反応は、隔壁ブロック12の中心に位置する陰極13と、その周囲に位置する4つの陽極14との間で生じるようになるので、これにともなって、発生する気泡も上述した電解反応の方向に分散するようになる。したがって、第1の実施形態と同様に、電極表面に気泡が集中してその有効面積を大きく減少させてしまうということがない。同様に、陰極13及び陽極14を電気的に絶縁した状態で支持している隔壁ブロック12の孔12Aの内壁面に気泡が集中して、陰極13及び陽極14間の実質的な電気抵抗を大きく増大させてしまうことがない。
【0031】
また、上述のように気泡の発生が分散することから、陰極13及び陽極14毎に配備した電解液15においても、電解液15内に発生する気泡密度が減少し、電解液15の実質的な電気抵抗を大きく増大させてしまうということがない。したがって、電解装置20の電解電圧が増大し電解効率が低下してしまうのを抑制することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、隔壁ブロック12の中心に陰極13を配置させているが、陰極13と陽極14との配置を逆転させた場合においても、上記同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
さらに、本実施形態では、陰極13の数を1としているが、2以上として、隔壁ブロック12の中心に配置した陰極13に対する残りを、この陰極13を取り囲むようにして配置することもできる。すなわち、4つの陽極14の1以上を陰極13に置き換えることもできる。この場合も、上記同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
(第3の実施形態)
図4は、本実施形態における電解装置の平面図である。本実施形態は、第2の実施形態の変形例に相当するものである。第2の実施形態では、陰極13及び陽極14の断面を円形、すなわち陰極13及び陽極14を円柱状としたが、本実施形態では、陰極13及び陽極14の断面を六角形状としている。
【0035】
本実施形態に示すように、陰極13及び陽極14の断面形状を変化させた場合においても、上述のように、電解反応は複数の方向で生じ、これに伴って気泡の発生も分散することから、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、陰極13及び陽極14の断面形状を六角形状としているので、電極間距離が最短となる面積が増大する。したがって、本実施形態では、電極間における電気抵抗をさらに低減することができるので、第1の実施形態及び第2の実施形態の場合に比較して、本実施形態における電解装置30の電解電圧が増大し、電解効率が低下するのを抑制することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、陰極13及び陽極14の断面形状を六角形状としたが、これに限らず任意の多角形とすることができる。また、第2の実施形態同様に、陰極13と陽極14との配置を逆転させたり、陽極14の一部を陰極13で置き換えたりすることもできる。
【0038】
(第4の実施形態)
図5は、本実施形態における電解装置の平面図である。本実施形態の電解装置40では、第1の実施形態に示す電解装置10と同様にして配置した陰極13及び陽極14に対して、電圧測定器47を接続するとともに、これと並列に極性制御器48を接続している。
【0039】
本実施形態では、電圧測定器47によって陰極13及び陽極14間の電解電圧を常時モニタリングすることができるので、測定に係る陰極13及び陽極14間の電解電圧が高い場合において、極性制御器48で両者の極性を反転させ、これら電極の表面積比を最適化し、反応抵抗を減少させることにより、上記電解電圧を低下させ、さらには電解効率を向上することができる。
【0040】
なお、本実施形態の陰極13及び陽極14の配置は、第1の実施形態と同様であるので、第1の実施形態の同様の作用、すなわち、電解反応が複数の方向で生じ、これに伴って気泡の発生も分散することから、電極表面に気泡が集中してその有効面積を大きく減少させてしまうこと等を抑制することができ、このような作用に基づく電解装置40の電解電圧の増大を抑制し、電解効率の低下を抑制するという効果を得ることができる。
【0041】
(第5の実施形態)
図6は、本実施形態における電解装置の平面図である。本実施形態の電解装置50では、第1の実施形態と同様の陰極及び陽極の配置構成において、陰極53及び陽極54を中空状電極とし、これら中空状電極の外表面を親水化し、内表面を疎水化するようにしている。この場合、上記中空状電極の中空部で気泡が発生した場合においても、気泡は疎水性であり、また中空状電極の内表面も疎水性であるので、気泡は中空部内に留まることなく、中空部から外方へ速やかに排出されるようになる。したがって、気泡が電極表面に付着するのを抑制することができる。
【0042】
したがって、第1の実施形態の作用の内、特に電極表面に気泡が集中してその有効面積を大きく減少させてしまうことをより効果的に抑制することができ、このような作用に基づいて電解装置50の電解電圧及び電解効率の増大をより効果的に抑制することができる。
【0043】
なお、電極の外表面や内面を親水化または疎水化するには、例えば酸素プラズマ処理を行ったり、エッジングなどを施すことによって表面に凹凸を付けることにより実現できる。
【0044】
(第6の実施形態)
図7は、本実施形態における電解装置の平面図である。本実施形態の電解装置60では、第1の実施形態に示す電解装置10と同様にして配置した陰極13及び陽極14に対して、電解液タンク67を接続するとともに、これと直列にポンプ68を接続している。なお、電解液タンク67及びポンプ68は電解液補充機構を構成する。
【0045】
本実施形態では、電解液タンク67及びポンプ68からなる電解液補充機構によって、電解装置60の電解液15を補充するようにしている。したがって、電解反応によって電解液15中に発生した気泡は、補充された電解液によって気泡径の成長を抑制させることができ、さらには図示しない配管を介して電解装置60の外部に排出することができる。このため、本実施形態では、電解電圧を増大させ電解効率を低下させる原因となる気泡が電解槽に滞留する量、時間を低減させることができる。
【0046】
換言すれば、本実施形態の陰極13及び陽極14の配置が、第1の実施形態と同様であることによる、第1の実施形態の同様の作用、すなわち、電解反応が複数の方向で生じ、これに伴って気泡の発生も分散することから、電極表面に気泡が集中してその有効面積を大きく減少させてしまうこと等を抑制することができることに加えて、気泡の存在自体を低減させるという作用を有するので、これら作用の相乗効果に基づいて電解装置60の電解電圧が増大し電解効率の低下を相当程度抑制できるという効果を奏することができる。
【0047】
なお、上記電解液補充機構によれば、電解反応で消費された電解液を適宜補充することができる。
【0048】
また、隔壁ブロック12の孔12Aに入れる電解液15は1種類だけではなく、複数の種類の電解液15や濃度の異なる電解液15を別々の孔12Aにいれてもよい。例えば、親水性の隔膜と、陰極13が配置されている陰極室に油性溶液を、陽極14が配置されている陽極室に還元する電解質成分及び水性溶液を入れることにより、還元を行いながら還元された生成物を水性電解液から油性電解液に抽出することができる。抽出と還元を同時に行うことにより、従来は電解と抽出を別々の装置で処理していたものを一つの装置で処理できるため、装置を小型化することが出来る。
【0049】
(第7の実施形態)
図8は、本実施形態における電解装置の平面図であり、図9は、図8に示す電解装置のII−II’線に沿って切った場合の断面図である。
【0050】
本実施形態の電解装置70では、隔壁ブロック12に形成した合計4つの孔12Aの総てに陽極14を配置し、隔壁ブロック53自体を陰極としている。なお、この場合は、陽極14及び陰極73を隔離するための隔膜74が、これらの間に充填された電解液15中に配置されている。
【0051】
この場合においても、電解反応は、隔壁ブロック12位置する陽極14と、その周囲に位置する隔壁ブロックとしての陰極73との間で生じるようになるので、これにともなって、発生する気泡も上述した電解反応の方向に分散するようになる。したがって、第1の実施形態と同様に、電極表面に気泡が集中してその有効面積を大きく減少させてしまうということがない。同様に、陽極14及び陰極73を隔離している隔膜54に気泡が集中して、陽極14及び陰極73間の実質的な電気抵抗を大きく増大させてしまうことがない。
【0052】
また、上述のように気泡の発生が分散することから、陽極14毎に配備した電解液15においても、電解液15内に発生する気泡密度が減少し、電解液15の実質的な電気抵抗を大きく増大させてしまうということがない。したがって、電解装置70の電解電圧が増大し電解効率が大きく低下してしまうのを抑制することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、隔壁ブロック73を陰極として作用させているが、陰極と陽極とを逆転させて、隔壁ブロック73を陽極とした場合においても、上記同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
10,20,30,40,50,60,70 電解装置
11 電解槽
12 隔壁ブロック
13 陰極
14 陽極
15 電解液
17 電源
47 電圧測定器
48 極性制御器
53 中空状電極(陰極)
54 中空状電極(陽極)
67 電解液タンク
68 ポンプ
73 隔壁ブロック(陰極)
74 隔膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性の隔壁ブロックと、この隔壁ブロックに形成された孔部において電解液を介して設けられた3以上の電極とを具え、
前記3以上の電極の少なくとも1つが陰極又は陽極として機能することを特徴とする、電解装置。
【請求項2】
前記電極間の電解電圧を測定するための電圧測定器を具えることを特徴とする、請求項1に記載の電解装置。
【請求項3】
前記3以上の電極間の電解電圧に応じて、前記3以上の電極の極性を変化させるための極性制御器を具えることを特徴とする、請求項2に記載の電解装置。
【請求項4】
前記極性制御器は、前記3以上の電極間の前記電解電圧が小さくなるようにして、前記3以上の電極の、少なくとも1つの極性を変化させることを特徴とする、請求項3に記載の電解装置。
【請求項5】
前記3以上の電極の少なくとも1つは中空状電極であって、この中空状電極の外表面は親水化されており、内表面は疎水化されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の電解装置。
【請求項6】
前記電解液を補充するための電解液補充機構を具えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の電解装置。
【請求項7】
前記3以上の電極の少なくとも1つは多孔質電極であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の電解装置。
【請求項8】
前記隔壁ブロックは、陽極又は陰極として機能することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の電解装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−57220(P2012−57220A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202412(P2010−202412)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】