説明

電解質としてのイオン性液体

本発明はイオン性液体組成物およびイオン性液体の製造方法に関する。イオン性液体は開示された式Iを含有するカチオンを含んでなり、そしてここでnは1または2であり、RはH、C−C12アルキル、アリールよりなる群から選択され、またはRと一緒になって複素環式環を形成でき、そしてRはH、C−C12アルキル、アリールよりなる群から選択され、またはRと一緒になって複素環式環を形成でき、そしてRは水素およびC−C12アルキルよりなる群から選択され、ここでnが1である場合には、RはC−C12アルキルであり、そしてここでRおよびRは同時に水素から選択されない。ここに提示されたイオン性液体組成物の製造方法はここで開示された式IIの化合物の少なくとも1回のN−置換で開始し、そしてここでnは1または2であり、Rは水素およびC−C12アルキルよりなる群から選択され、ここでnが1である場合には、RはC−C12アルキルである。電気−化学的酸化方法を少なくとも包含する化学方法におけるイオン性液体の使用もさらに提示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はイオン性液体として有用である複素環式化合物に関する。この出願は2007年6月1日に出願された暫定出願番号第60/941,406号の優先権を主張する。この出願はここに引用することにより暫定出願番号第60/941,406号をその内容とする。
【背景技術】
【0002】
背景
イオン性液体は本質的にイオン、すなわち溶融塩、だけを含有する液体であるが、ある種のイオン性液体は液体の大部分が分子種よりむしろイオン種から構成されている動的平衡状態にある。ここで使用される際には、用語「イオン性液体」はイオンから構成される液体をさす。1つの態様では、用語「イオン性液体」は約100℃以下において液体であるイオンから構成される液体をさす。
【0003】
イオン性液体は概ね有機カチオンの塩よりなる。有機カチオン、例えばN−メチル−N−アルキルピロリジニウム、N−アルキルピリジニウム、1−アルキル−3−アルキルイミダゾリウム、およびテトラアルキルアンモニウムイオン、は概ね嵩高くそして非対称性である。ハライド類から無機アニオン、例えばヘキサフルオロホスフェートおよびテトラフルオロボレート、ないしビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トロフルオロアセテートまたはトルエン−4−スルホネートのような大きな有機アニオンまでの多くの異なるアニオンを使用することができる。例えば、特許文献1は可変長さのアルキルスペーサーによりピロリジン環から分離されている懸垂アンモニウムカチオンを有するN−置換されたピロリジノン類を基にした組成物を教示している。特許文献2はピラゾリウムアルキルサルフェート類およびそれらの製造方法を教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,157,588 B2号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/136529号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は新規なイオン性液体組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の記述
本発明によると、式I:−
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、
nは1または2であり、
はH、C−C12アルキル、アリールよりなる群から選択され、またはRと一緒になって複素環式環を形成でき、そして
はH、C−C12アルキル、アリールよりなる群から選択され、またはRと一緒になって複素環式環を形成でき、そして
は水素およびC−C12アルキルよりなる群から選択され、
ここでnが1である場合には、RはC−C12アルキル、好ましくはメチル、であり、そしてここでRおよびRは同時に水素から選択されない]
に従うカチオンを含んでなるイオン性液体が提供される。
【0009】
好ましい態様では、n=2である場合には、Rは水素である。
【0010】
ここで使用される際には、用語「アルキル」は置換されていてもまたは置換されていなくてもよい分枝鎖状もしくは非分枝鎖状の、環式もしくは非環式の、飽和もしくは不飽和の(すなわち、アルケニルまたはアルキニル)ヒドロカルビル基を意味する。環式である場合には、アルキル基は好ましくはC〜C12、より好ましくはC〜C10、より好ましくはC、CまたはCである。非環式である場合には、アルキル基は好ましくはC〜C10、より好ましくはC〜C、より好ましくはメチル、エチル、プロピル(n−プロピルもしくはイソプロピル)、ブチル(n−ブチル、イソブチルもしくは第三級−ブチル)またはペンチル(n−ペンチルおよびイソ−ペンチルを包含する)、より好ましくはメチル、である。従って、用語「アルキル」はここで使用される際にはアルキル(分枝鎖状もしくは非分枝鎖状)、アルケニル(分枝鎖状もしくは非分枝鎖状)、アルキニル(分枝鎖状もしくは非分枝鎖状)、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルを包含することが認識されよう。
【0011】
アルキル基は1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、ここで可能な置換基はアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば置換されたおよび未置換のアルキルベンジルを包含するベンジル)、ハロゲン原子およびハロゲン−含有基、例えばハロアルキル(例えばトリフルオロメチル)またはハロアリール(例えばクロロフェニル)、アルコール類(例えばヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリール、(アリール)(ヒドロキシ)アルキル);エーテル類(例えばアルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアリール、アリールオキシアリール)およびカルボキシル(例えばカルボキシアルデヒド、アルキル−もしくはアリール−カルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキルまたはカルボキシアリール)、アミド並びにニトリルを包含する。
【0012】
上記の式Iの制約に従うと、RおよびRは同一もしくは相異なることができそして
1つの態様では異なる。
【0013】
およびRは一緒になって少なくとも2個の炭素原子および1個の窒素原子を含んでなる複素環式環を形成することができる。
【0014】
ここで使用される際には、「複素環式環」は少なくとも3個の員、好ましくは3−12個の員、より好ましくは5もしくは6個の員を含有し、それらの中の1個の員がN原子でありそして他の員の少なくとも2個がC原子である単環式の、飽和もしくは部分的不飽和の、複素環式基をさす。好ましくは、複素環式環は未置換である。非限定例によると、適当なN−ヘテロシクリル基はアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジル、アゼパニル、アゾカニル、アゾナニル、アゼカニル、アザシクロウンデカニルおよびアザシクロドデカニルを包含する。
【0015】
ここで使用される際には、用語「アリール」は炭素環式芳香族基、例えばフェニルまたはナフチル(好ましくはフェニル)、を意味する。
【0016】
アリール基は1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、ここで可能な置換基はアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル(例えば置換されたおよび未置換のアルキルベンジルを包含するベンジル)、ハロゲン原子およびハロゲン−含有基、例えばハロアルキル(例えばトリフルオロメチル)またはハロアリール(例えばクロロフェニル)、アルコール類(例えばヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアリール、(アリール)(ヒドロキシ)アルキル)、エーテル類(例えばアルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアリール,アリールオキシアリール)およびカルボキシル(例えばカルボキシアルデヒド、アルキル−もしくはアリール−カルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキルまたはカルボキシアリール)、アミド並びにニトリルを包含する。好ましくは、アリール基は未置換である。
【0017】
ここで使用される際には、用語「ヘテロアリール」は1個もしくはそれ以上の好ましくはN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含有する芳香族基、例えばピリジル、ピロリル、キノリニル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ピリミジニル、インドリル、ピラジニルまたはインダゾリル、を意味する。
【0018】
ここで使用される際には、用語「ハロゲン」は弗素、塩素、臭素またはヨウ素ラジカルを意味する。
【0019】
1つの態様では、RまたはRのいずれも水素から選択されない。
【0020】
1つの態様では、RおよびRの両方は場合により置換されていてもよいC−C12アルキル基である。好ましくは、Rは場合により置換されていてもよいC−Cアルキル基でありおよび/またはRは場合により置換されていてもよいC−Cアルキル基である。好ましくは、RおよびRアルキル基は未置換である。好ましくは、Rは未置換のブチル基である。好ましくは、Rはメチル基である。好ましくは、イオン性液体は式IaまたはIb:
【0021】
【化2】

【0022】
すなわち、それぞれ1−ブチル−1−メチル−アゼパニウムまたは1−ブチル−1,3−ジメチルピペリジニウム、のものである。
【0023】
別の態様では、RおよびRの一方は場合により置換されていてもよいC−C12アルキル基でありそして他方は場合により置換されていてもよいアリール基である。好ましくは、場合により置換されていてもよいアルキル基は場合により置換されていてもよいC−Cアルキル基である。好ましくは、アルキル基は未置換である。好ましくは、アリール基は未置換である。
【0024】
別の態様では、RおよびRの両方は場合により置換されていてもよいアリール基である。好ましくは、アリール基は未置換である。
【0025】
別の態様では、RおよびRは一緒になって複素環式環を形成する。好ましくは、複素環式環は未置換である。好ましくは、複素環式環は5または6員の不飽和環である。この態様では、好ましくはイオン性液体カチオンは式Ic:
【0026】
【化3】

【0027】
である6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンである。
【0028】
別の態様では、イオン性液体は全てが式Iにより表わされる1個もしくはそれ以上の異なるカチオンを含んでなる。
【0029】
別の態様では、イオン性液体は全てが式Iにより表わされる1個もしくはそれ以上の異なるカチオン並びにイミダゾリウム、ピラゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、トリアゾリウム、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ホスホニウムおよびピラジニウムよりなる群から選択される1個もしくはそれ以上の別のカチオンを含んでなり
、ここで別のカチオンまたは該別のカチオンのそれぞれはここで定義されたC−C12アルキルまたはアリール、好ましくはC−C12アルキル、から選択される置換基で置換されている。
【0030】
式Iに従うイオン性液体は、好ましくはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジシアナミド、ヘキサハロホスフェート類(好ましくはヘキサフルオロホスフェートまたはヘキサクロロホスフェート)、テトラハロボレート類(好ましくはテトラフルオロボレートまたはヘキサクロロボレート)、ハライド類、ナイトレート類、サルフェート類、ホスフェート類、カーボネート類、スルホネート類、カルボキシレート類およびシリケート類よりなる群から選択されるアニオンXを含んでなる。
【0031】
サルフェート類はサルフェート、ハイドロジェンンサルフェート、アルキルもしくはアリールサルフェート、アルキルもしくはアリールスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、およびトルエン−4−スルホネート、アルキルもしくはアリールオキソアニオンサルフェート類よりなる群から選択できる。好ましくは、オキソアニオンサルフェート類はペルサルフェート(SO2−)、サルファイト(SO2−)、ハイポサルファイト(SO2−)、ペルオキシジサルファイト(S2−)よりなる群から選択される。
【0032】
ホスフェート類はホスフェート、ハイドロジェンホスフェート、ジハイドロジェンホスフェート、アルキルもしくはアリールホスフェート、アルキルもしくはアリールホスホネート類、アルキルもしくはアリールホスフィネート類、他のオキソアニオンホスフェート類およびメタホスフェートよりなる群から選択できる。
【0033】
カーボネート類はカーボネートおよびハイドロジェンカーボネート、アルキルもしくはアリールカーボネート類並びに他のオキソアニオンカーボネート類よりなる群から選択できる。
【0034】
カルボキシレート類はアルキルカルボキシレート類、アリールカルボキシレート類およびエチレンジアミンテトラアセテートよりなる群から選択できる。
【0035】
ここで使用される際には、用語「アルキルカルボキシレート類」は1個もしくはそれ以上のカルボキシレート基、好ましくは1、2または3個のカルボキシレート基、を有するアルキル化合物をさす。アルキルカルボキシレート類はホルメート、アセテート、プロパノエート、ブタノエート、ペンタノエート、ヘキサノエート、ヘプタノエート、オクタノエート、ノナノエート、デカノエート、オキサレート、スクシネート、クロトネート、フマレートを包含する。用語「アルキルカルボキシレート類」は、ここで使用される際には、アルキル基がここで挙げられた置換基で置換されているカルボキシレート類をさらに包含し、そしてその結果としてグリコレート、ラクテート、タルトレート、ハイドロジェンタルトレート、マレート、サイトレート、トリフルオロアセテート、ペンタフルオロプロパノエート、ヘプタフルオロブタノエート、マンデレート、およびフェニルアセテートをさらに包含する。
【0036】
ここで使用される際には、用語「アリールカルボキシレート類」は1個もしくはそれ以上の懸垂カルボキシレート基、好ましくは1、2または3個のカルボキシレート基、を有するアリール化合物をさす。アリールカルボキシレート類はベンゾエート類、ベンゼンジカルボキシレート類、ベンゼントリカルボキシレート類、ベンゼンテトラカルボキシレート類、クロロベンゾエート、フルオロベンゾエート、ペンタクロロベンゾエート、ペンタフルオロベンゾエートおよびサリチレートを包含する。
【0037】
好ましくは、Xはジシアナミドまたはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
【0038】
好ましくは、式IのカチオンおよびアニオンXを含んでなるイオン性液体は1−ブチル−1−メチル−アゼパニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチル−アゼパニウムジシアナミド、6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンジシアナミド、1−ブチル−1,3−ジメチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドおよび1−ブチル−1,3−ジメチルピペリジニウムジシアナミドなる群から選択される。
【0039】
本発明の別の面によると、式Iに従うイオン性液体の製造方法が提供され、ここでこの方法は式II:
【0040】
【化4】

【0041】
[式中、
nは1または2であり、
は水素およびC−C12アルキルよりなる群から選択され、そして
nが1である場合には、RはC−C12アルキル、好ましくはメチル、である]
の化合物の少なくとも1回のN−置換を含んでなる。
【0042】
好ましい態様では、n=2である場合には、Rは水素である。
【0043】
ここで使用される際には、N−置換の段階はN−アルキル化またはN−アリール化段階でありそしてN−置換剤(すなわち、N−アルキル化またはN−アリール化剤)と式IIの化合物の接触を含んでなる。そのような合成工程は当該技術で既知でありそして当業者に既知であるいずれかの方法を用いて実施しうる。好ましい態様では、N−置換段階はN−アルキル化である。アゼパンのN−アルキル化の非限定例はthe Journal of Organic Chemistry,Vol.60,No.26,1995,8371−8374に記載されている。N−置換段階はここでは以下でN−アルキル化に関して記載されるが対応するN−アリール化段階も当業者に利用可能であることは認識されよう。
【0044】
そのもしくは複数回のそれぞれのN−アルキル化段階は式IIのアミン窒素を第四級化しうるいずれかのC−C12アルキル化試薬を用いて実施しうる。好ましくは、そのもしくは複数回のそれぞれのN−アルキル化段階はC−C12アルキル化剤(例えばアルキルハライド類、アルキルスルホネート類またはアルキルサルフェート類)よりなる群から選択されるC−C12アルキル化剤を用いて実施される。対応するN−アリール化反応はアリールスルホネート類またはアリールサルフェート類を用いて実施しうる。
【0045】
好ましくは、そのもしくは複数回のそれぞれのN−アルキル化反応は不活性溶媒、例え
ばアセトニトリル、アセトン、メタノールまたはジクロロメタン、の中で実施しうる。
【0046】
1つの態様では、1回のN−置換段階が実施される。この態様の方法を用いて製造されるイオン性液体は式Iにより記載された式を有し、ここでRまたはRは水素である。
【0047】
別の態様では、2回のN−置換段階が実施される。この態様の方法を用いて製造されるイオン性液体は式Iにより記載された式を有し、ここでRまたはRのいずれも水素でない。
【0048】
2回のN−置換段階を含んでなる態様では、両方のN−置換段階は同じN−置換剤を用いて実施しうる。好ましくは、それぞれのN−置換段階に関して異なるN−置換剤が使用される。
【0049】
2回のN−置換段階は順次または同時に実施することができそして好ましくは順次に実施される。
【0050】
好ましくは、2回のN−置換段階は異なるN−置換剤を用いて順次に実施される。好ましくは、第一のN−置換段階はN−アルキル化剤である臭化ブチルを用いて実施される。好ましくは、第二のN−置換段階はN−アルキル化剤であるヨウ化メチルを用いて実施される。
【0051】
好ましくは、1回のまたは第一のN−置換段階は約100℃より低い、より好ましくは約75℃より低い、より好ましくは約50℃より低い、より好ましくは約20℃より低い、温度において実施される。
【0052】
2回のN−置換段階がある態様では、好ましくは2回のN−置換段階は順次に実施される。第二のN−置換段階は約100℃より低い、より好ましくは約75℃より低い、より好ましくは約50℃より低い、より好ましくは約20℃より低い、温度において実施される。好ましくは、試薬を加えた後に反応混合物を約0℃〜約100℃の、より好ましくは約0℃〜約75℃の、より好ましくは約0℃〜約50℃の、より好ましくはほぼ室温の、温度に暖められる。
【0053】
1回のまたは第二のN−置換段階のアニオン成分はイオン性液体アニオンXを生成しうる。好ましくは、1回のまたは第二のN−置換段階のアニオン成分はハライド類、スルホネート類およびサルフェート類よりなる群から選択される。
【0054】
別の態様では、この方法はN−置換された塩生成物のアニオン交換の段階をさらに含んでなりうる。アニオン交換前に、過剰のN−置換剤を、例えば、蒸発により除去しうる。さらに、N−置換された塩生成物をアニオン交換段階前に溶媒で洗浄しうる。
【0055】
アニオン交換段階は、場合によって不活性雰囲気中での、N−置換された溶液生成物とイオン交換剤の接触を含んでなる。好ましくは、アニオン交換段階は約0℃〜約100℃の、より好ましくは約0℃〜約75℃の、より好ましくは約0℃〜約50℃の、より好ましくはほぼ室温の、温度において実施される。好ましくは、N−置換された溶液生成物およびイオン交換剤を接触させそして数時間(例えば、約0.5〜約24時間、好ましくは約1〜約15時間、より好ましくは約4〜約12時間)にわたり撹拌する。イオン交換剤は以上で定義されたXアニオンを含んでなるがそれは1回のまたは第二のN−置換段階から得られた生成物中に存在する1回のまたは第二のN−置換段階のアニオン成分とは異なる。
【0056】
好ましくは、イオン交換剤はこれまでに定義したアニオンXの金属塩である。好ましくは、金属はアルカリ金属またはアルカリ土類金属である。
【0057】
場合により行われるアニオン交換段階は典型的には溶液中で実施される。アニオン交換反応で使用される溶媒は反応物および生成物に対して不活性でなければならずそしてメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリルおよび水、好ましくは水、を包含する。1つの態様では、あまり所望されないアニオンを含んでなる組成物からの所望するアニオンを含んでなる組成物の分離を可能にするであろう適当な溶媒または溶媒の混合物の選択は当該技術で既知でありそして実施例1に例示される。所望するアニオンを含んでなる組成物を次に適当な技術、例えば反応物溶媒の蒸発、デカンテーション、再結晶化および/または濾過、を用いて回収することができる。
【0058】
別の態様では、アニオン交換剤をN−置換された塩生成物と接触させそして溶媒中である期間、すなわち約5時間以上、にわたり混合することができる。所望するアニオンを含んでなる組成物を次に適当な技術、例えば反応物溶媒の蒸発、デカンテーション、再結晶化および/または濾過、を用いて回収することができる。
【0059】
好ましくは、式IIはアゼパンおよび3−メチルピペリジンよりなる群から選択される化合物を表す。
【0060】
1つの態様では、式IIはアゼパンを表すことができる。式IIにより表わされるアゼパンは1,6−ヘキサンジアミンの製造の副生物でありうる。別の態様では、式IIは3−メチルピペリジンを表すことができる。式IIにより表わされる3−メチルピペリジンは2−メチル−1,5−ペンタンジアミンの製造の副生物でありうる。これらの副生物態様では、1,6−ヘキサンジアミンはヘキサンジニトリルの水素化により製造することができそして2−メチル−1,5−ペンタンジアミンは2−メチルペンタンジニトリルの水素化により製造することができる。
【0061】
この態様では、水素化反応は好ましくは水素気体および触媒、例えば鉄触媒またはラネーコバルト触媒、の存在下で実施される。水素化反応は好ましくは高められた温度(例えば、約30℃〜約500℃、好ましくは約50℃〜約350℃、好ましくは約80℃〜約200℃、好ましくは約80℃〜約150℃)において実施される。水素化反応は好ましくは高められた圧力(例えば、約400psig〜約8000psig、好ましくは約1000psig〜約6000psig、好ましくは約1500psig〜約5000psig、好ましくは約3000psig〜約5000psig)において実施される。好ましくは、鉄触媒を使用する時には、水素化反応は80℃〜約200℃、好ましくは約140℃、の温度および/または約1500psig〜約5000psig、好ましくは約4500psig、の圧力において実施される。好ましくは、ラネーコバルト触媒を使用する時には、水素化反応は80℃〜約150℃、好ましくは約115℃、の温度および/または約400psig〜約2500psig、好ましくは約800psig、の圧力において実施される。好ましくは、式IIの化合物は生成物混合物、すなわち粗製1,6−ヘキサンジアミンまたは2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、から減圧および高められた温度における蒸留により分離される。
【0062】
本発明の別の面によると、化学方法における本発明のイオン性液体の使用が提供される。
【0063】
ここで使用される際には、用語「化学方法」は化学において使用されるいずれかの方法をさす。本発明の化学方法は分離、抽出および合成を包含し、そして例えば溶媒としてのそして触媒、生触媒(biocatalysts)としての、並びに酵素工程におけるイ
オン性液体の使用を包括する。本発明の化学方法は熱貯蔵用途、燃料電池、電池流体、重合、触媒作用、蛋白質精製、金属沈着における、並びに潤滑剤および界面活性剤としてのイオン性液体の使用をさらに包括する。
【0064】
ここで使用される化学方法によると、出願人の開示のイオン性液体は電解質として使用される時の例えば水性電解質より高い分解電圧により特徴づけられるそれらの陰極安定性にも関連する。この比較的高い分解電圧はそれらの「電気化学的窓(electrochemical window)」の測定により暗示される。物質の電気化学的窓は物質が酸化または還元されなくなる間の電圧範囲である。
【0065】
電気化学的窓は専門家にとって普遍的に既知の方法である循環電圧電流計方法を用いて測定される。簡単に述べると、循環電圧電流計分析は2つの電極間の電解質中の電圧を変動させそして電圧の変化に関して電流における変化を測定することにより実施される。生じた循環電圧電流記録(voltammogram)は適用された電圧(ボルト)に対する電流(アンペア)のプロットで表わされる。ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオンと共に使用される時の、前記の式IaおよびIbに従うここで報告され、そしてAg/Ag+対比電極に対してガラスカロメル(GC)上で測定されたイオン性液体は−3.5ボルト〜+3.0ボルトの酸化または還元されない安定性の窓を示す。
【0066】
ここで開示されたIL類に関する化学方法として、ナイロン6またはナイロン66からの解重合生成物の電気−酸化が提示される。引用することにより本発明の内容となるMcKinney他の米国特許第5,468,900号明細書の教示によると、酸化用の少なくとも電気化学的手段によるナイロン6および/またはナイロン6,6からアジピン酸への転化が提示される。Mckinney他は種々の酸化技術を例示しており、それからはアジピン酸を生成するための6−アルキルアミノヘキサン酸の酸化を例えば空気、酸素または過酸化水素を用いる種々の酸化技術により実施しうる。或いは、解重合が完了した後に酸化をその後の段階で実施することもできる。酸化を電気化学的に実施することもできる。解重合生成物を解重合反応混合物から単離しそして電気分解前に電解質を含有する適用な溶媒の中に再溶解しうる。或いは、電解質を重合反応混合物に直接加えて解重合生成物の単離の必要性を回避することができる。場合により、酸化触媒を溶液に加えることができる。酸化される混合物を定期的に検査しそして実質的な量のアジピン酸が製造されるまで工程を続けうる。或いは、理論数のクーロンが流れるまで酸化を続けることもできる。その時点で溶媒を除去しそしてアジピン酸を他の反応生成物であるアルキルアミドを含有する混合物から結晶化によりまたは他の手段により回収することができる。
【0067】
出願人は、ここに開示されそして電解質および溶媒として使用する時に高い陰極安定性を有するイオン性液体を使用する化学方法を使用してMckinney他により開示されたものと同じ物質を電気化学的に酸化しうることを信ずる。化学方法は、脂肪族モノカルボン酸を用いる解重合によりナイロン6および/またはナイロン6,6をアジピン酸単量体に転化してアルキルアミド類を生成し、その後に場合により鉱酸、例えば硫酸および燐酸、を加えながらの溶媒および電解質としてのイオン性液体だけを用いて行われるアルキルアミド類からアジピン酸への電気化学的酸化を行うことを提案する。
【0068】
出願人は、ナイロン6の主要なアセチル化生成物である6−アセトアミドヘキサン酸の電気化学的酸化を電解質としてのイオン性液体溶媒を実質的に用いて行いうることを信ずる。場合により、酸性共溶媒である硫酸を存在させて生ずる溶液に導電率を付加してもよい。Mckinney他の教示に従い、6−アセトアミドヘキサン酸を1インチ離れて並行している白金箔電極が装備された単一区画電気分解セルの中に入れそして7グラムの6−アセトアミドヘキサン酸および75mlのイオン性液体および2mlの濃硫酸を充填する。電気分解中にセルの内容物を磁気スタラーを用いて撹拌する。電極を適当な直流電力
源、電流計および電量計を含有する電気回路に連結する。電気分解は480ミリアンペアの電流において2.9ボルトのセル電圧において8074クーロンを蓄積するのに充分な時間にわたり実施される。そのような実験的実施の最後に、GC/MSにより試験された試料は主成分が6−アセトアミドヘキサン酸、アジピン酸および5−ホルミル吉草酸であることを示すであろう。生成物混合物がアジピン酸および6−アセトアミドヘキサン酸(目盛り付けされた液体クロマトグラフィーによる定量分析により測定される)を6−アセトアミドヘキサン酸の約50%転化率で含有しており約70.%の電流効率においてモル基準で70%のアジピン酸を生成すると見出されることが信じられる。
【0069】
上記のものと同様な方法で、ナイロン6,6のアセチル化生成物であるN,N’−ヘキサメチレンビスアセトアミドの電気化学的酸化が予期される。以上で使用されたものと同じ電気分解装置が使用される。セルに4グラムのN,N’−ヘキサメチレンビスアセトアミドおよび75mlのイオン性液体および2mlの濃硫酸を充填する。電気分解は480ミリアンペアの電流において3.1ボルトのセル電圧において8050クーロンを蓄積するのに充分な時間にわたり実施される。実施の終了時にGC/MSにより試験される試料は主成分がN,N’−ヘキサメチレンビスアセトアミド、6−アセトアミドヘキサン酸、アジピン酸、5−ホルミル吉草酸および6−アセトアミドカプロアルデヒドであることを示すであろうことが予期される。N,N’−ヘキサメチレンビスアセトアミドの60%転化率において、モル基準で6−アセトアミドヘキサン酸への13%収率およびアジピン酸への18%収率が予期される。
【0070】
本発明の別の面によると、イオン性液体の製造における前駆体としてのアゼパンおよび3−メチルピペリジンの使用が提供される。
【0071】
本発明を以下の実施例によりさらに説明する。実施例は説明目的だけのためでありそして上記の本発明を限定することは意図しない。発明の範囲から逸脱しない詳細事項の変更を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0072】
実施例
【実施例1】
【0073】
アゼパンの第一のN−置換をN−アルキル化剤として臭化ブチルを用いて行って1−ブチルアゼパンを生成した。氷水浴により温度を20℃に保ちながら等モル量の臭化ブチルをアゼパンのメタノール中溶液に滴下した。混合物を炭酸カリウムで加水分解し、エーテルで抽出し、そしてNaSO上で乾燥した。溶液を減圧において分別蒸留しそして沸点195℃を有する画分を集めた。H−NMR(300MHz,CDCl)δ 0.90(t,3H),1.28(六隅子,2H),1.42(m,2H),1.60(広いm,8H),2.42(m,2H),2.60(m,4H)。
【0074】
この後に、第二のN−置換を1−ブチルアゼパンに対してN−アルキル化剤としてヨウ化メチルを用いて行ってヨウ化1−ブチル−1−メチルアジパニウムを生成した。氷水浴により温度を20℃より低く保ちながらわずかに過剰のヨウ化メチルをジクロロメタン中の1−ブチルアゼパンに滴下した。反応混合物を次に放置して室温に暖めそして(H nmrを用いて測定して)アミンの完全転化となるまで撹拌した。ジエチルエーテルを次に反応混合物に加えそして白色沈殿を濾過し、エーテルで洗浄しそして空気中で乾燥した。白色固体であるヨウ化1−ブチル−1−メチルアジピニウムは214℃において溶融した。H−NMR(300MHz,CDCl)δ 1.00(t,3H),1.40(m,2H),1.78(m,6H),1.90(m,4H),3.02(s,3H),3.30(m,2H),3.40(m,4H)。
【0075】
水中に溶解させたわずかに過剰のリチウムビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドをヨウ化1−ブチル−1−メチルアジピニウムの水溶液に加えそして室温において約5時間にわたり撹拌した。反応混合物を分離漏斗に移しそして重い層を水で数回洗浄した。少量のジクロロメタンの添加が水および有機層の分離を促進した。重い有機層を次に蒸発乾固して薄黄色液体である1−ブチル−1−メチルアジピニウムビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドを残した。ES/MS 170(カチオンC1124N),−280(アニオンCNS)。
【実施例2】
【0076】
ヨウ化1−ブチル−1−メチルアジパニウムを実施例1に従い製造した。
【0077】
わずかに過剰の銀ジシアナミド(AgOおよびNaN(CN)から製造したて)をヨウ化1−ブチル−1−メチルアジピニウムの水溶液に加えそして室温において数時間にわたり撹拌した。反応混合物を濾過しそして濾液を蒸発乾固して透明な液体である1−ブチル−1−メチルアジピニウムジシアナミドを残した。ES/MS 170(カチオンC1124N),−66(アニオンC)。
【実施例3】
【0078】
3−メチルピペリジンの第一のN−置換をN−アルキル化剤として臭化ブチルを用いて行って1−ブチル−3−メチルピペリジンを生成した。氷水浴により温度を20℃に保ちながら等モル量の臭化ブチルを3−メチルピペリジンのメタノール中溶液に滴下した。混合物を炭酸カリウムで加水分解し、エーテルで抽出し、そしてNaSO上で乾燥した。溶液を減圧において分別蒸留しそして沸点)195℃を有する画分を集めた。H−NMR(300MHz,CDCl)δ 0.82(d,3H),0.90(t,3H),1.30(m,2H),1.48(m,2H),1.65(m,5H),2.24(m,2H),2.82(m,4H)。
【0079】
その後に、第二のN−置換を1−ブチル−3−N−メチルピペリジンに対してアルキル化剤としてヨウ化メチルを用いて行ってヨウ化1−ブチル−1−メチル−3−メチルピペリジニウムを生成した。氷水浴により温度を20℃より低く保ちながらわずかに過剰のヨウ化メチルをジクロロメタン中の1−ブチル−3−メチルピペリジンに滴下した。反応混合物を次にそのまま室温に暖めそして(H nmrを用いて測定して)アミンの完全転化となるまで撹拌した。ジエチルエーテルを次に反応混合物に加えそして白色沈殿を濾過し、エーテルで洗浄しそして空気中で乾燥した。白色固体形態のヨウ化1−ブチル−1−メチル−3−メチルピペリジニウムは204℃において溶融した。H−NMR(300MHz,CDCl)δ 1.00(d,3H),1.02(t,3H),1.48(m,2H),1.82(m,2H),2.10(m,5H),3.28(s,3H),3.60(m,2H),3.70(m,4H)。
【0080】
水中に溶解させたわずかに過剰のビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドをヨウ化1−ブチル−1−メチル−3−メチルピペリジニウムの水溶液に加えそして室温において約5時間にわたり撹拌した。反応混合物を分離漏斗に移しそして重い層を水で数回洗浄した。少量のジクロロメタンの添加が水および有機層の分離を促進した。重い有機層を次に蒸発乾固して薄黄色液体である1−ブチル−1−メチル−3−メチルピペリジニウムビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドを残した。ES/MS 170(カチオンC1124N),−280(アニオンCNS)。
【実施例4】
【0081】
ヨウ化1−ブチル−1−メチル−3−メチルピペリジニウムを実施例3に従い製造した

【0082】
わずかに過剰の銀ジシアナミド(AgOおよびNaN(CN)から製造したて)をヨウ化1−ブチル−1−メチル−3−メチルピペリジニウムの水溶液に加えそして約5時間にわたり撹拌した。反応混合物を濾過しそして濾液を蒸発乾固して透明な液体である1−ブチル−1−メチル−3−メチルピペリジニウムジシアナミドを残した。ES/MS 170(カチオンC1124N),−66(アニオンC)。
【実施例5】
【0083】
わずかに過剰の1,5−ジブロモペンタンをアゼパンおよび水酸化ナトリウムの水中溶液に滴下しそして環流下で数時間にわたり撹拌した。溶液を次に室温に冷却しそして水性水酸化ナトリウムで希釈した。反応混合物を次にクロロホルムで抽出し、水で数回洗浄しそして蒸発乾固して260℃の融点を有する白色固体である臭化6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンを生成した。H−NMR(300MHz,DO)δ 1.50(m,6H、CH),1.75(m,8H,CH),3.20(t,4H,N−CH),3.30(t,4H,N−CH)。
【0084】
水中に溶解させたわずかに過剰のリチウムビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドを臭化6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンの水溶液に加えそして室温において数時間にわたり撹拌した。反応混合物を分離漏斗に移しそして重い層を水で数回洗浄した。少量のジクロロメタンの添加が水および有機層の分離を促進した。重い有機層を次に蒸発乾固して96℃の融点を有する薄黄色固体である6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドを残した。ES/MS 168(カチオンC1122N),−280(アニオンCNS)。
【実施例6】
【0085】
臭化6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンを実施例5に従い製造した。
【0086】
わずかに過剰の銀ジシアナミド(AgOおよびNaN(CN)から製造したて)を臭化6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンの水溶液に加えそして室温において数時間にわたり撹拌した。反応混合物を濾過しそして濾液を蒸発乾固して148℃の融点を有する白色固体である6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンジシアナミドを残した。ES/MS 168(カチオンC1122N),−66(アニオンC)。
【実施例7】
【0087】
ヘキサンジニトリルを水素気体および鉄触媒の存在下で140℃の高められた温度および4500psigの高められた圧力において水素化した。水素化後に、副生物であるアザパンを主反応生成物である1,6−ヘキサンジアミンから減圧および高められた温度における蒸留により分離した。
【0088】
アゼパン副生物を次に、例えば実施例1、2、5および6における方法により、本発明のイオン性液体を製造するために使用した。
【実施例8】
【0089】
2−メチルペンタンジニトリルを水素気体およびラネーコバルト触媒の存在下で115℃の高められた温度および800psigの高められた圧力において水素化した。水素化後に、副生物である3−メチルピペリジンを主反応生成物である2−メチル−1,5−ペンタンジアミンから減圧および高められた温度における蒸留により分離した。
【0090】
アゼパン副生物を次に、例えば実施例3および4における方法により、本発明のイオン
性液体を製造するために使用した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
nは1または2であり、
はH、C−C12アルキル、アリールよりなる群から選択され、またはRと一緒になって複素環式環を形成でき、そして
はH、C−C12アルキル、アリールよりなる群から選択され、またはRと一緒になって複素環式環を形成でき、そして
は水素およびC−C12アルキルよりなる群から選択され、
ここでnが1である場合には、RはC−C12アルキルであり、そしてここでRおよびRは同時に水素から選択されない]
に従うカチオンを含んでなるイオン性液体。
【請求項2】
n=1でありそしてRがメチル基である、請求項1に記載のイオン性液体。
【請求項3】
n=2でありそしてRが水素である、請求項1に記載のイオン性液体。
【請求項4】
がメチル基である、請求項1−3のいずれか1項に記載のイオン性液体。
【請求項5】
がブチル基である、請求項1−4のいずれか1項に記載のイオン性液体。
【請求項6】
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジシアナミド、ヘキサハロホスフェート類、テトラハロボレート類、ハライド類、ナイトレート類、サルフェート類、ホスフェート類、カーボネート類、スルホネート類、カルボキシレート類およびシリケート類よりなる群から選択されるアニオンXをさらに含んでなる、前記請求項のいずれか1項に記載のイオン性液体。
【請求項7】
スルホネート類およびカルボキシレート類がそれぞれアルキルスルホネート類およびアルキルカルボキシレート類である、請求項6に記載のイオン性液体。
【請求項8】
がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである、請求項6に記載のイオン性液体。
【請求項9】
がジシアナミドである、請求項6に記載のイオン性液体。
【請求項10】
1−ブチル−1−メチル−アゼパニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである請求項6または8に記載のイオン性液体。
【請求項11】
1−ブチル−1−メチル−アゼパニウムジシアナミドである請求項6または9に記載のイオン性液体。
【請求項12】
6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである請求項6または8に記載のイオン性液体。
【請求項13】
6−アゾニア−スピロ[5,6]ドデカンジシアナミドである請求項6または9に記載のイオン性液体。
【請求項14】
1−ブチル−1,3−ジメチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである請求項6または8のいずれか1項に記載のイオン性液体。
【請求項15】
1−ブチル−1,3−ジメチルピペリジニウムジシアナミドである請求項6または9のいずれか1項に記載のイオン性液体。
【請求項16】
化学方法における請求項1−15のいずれか1項に記載のイオン性液体の使用。
【請求項17】
請求項1−15に記載のイオン性液体の製造方法であって、該方法が
式II:
【化2】

[式中、
nは1または2であり、
は水素およびC−C12アルキルよりなる群から選択され、
ここでnが1である場合には、RはC−C12アルキルである]
の化合物の少なくとも1回のN−置換を含んでなる方法。
【請求項18】
2回のN−置換段階が行われる、請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
N−置換剤がアルキルハライド類、アルキルスルホネート類、アリールスルホネート類、アルキルサルフェート類およびアリールサルフェート類よりなる群から選択される、請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
方法が1回のN−置換段階を含んでなりそしてN−置換段階のアニオン成分がイオン性液体アニオンXである、請求項17−19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
方法が2回のN−置換段階を含んでなりそして第二のN−置換段階のアニオン成分がイオン性液体アニオンXである、請求項17−19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
N−置換された塩生成物とイオン交換剤のイオン交換をさらに含んでなる請求項17−19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
イオン交換剤がビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジシアナミド、ヘキサハロホスフェート類、テトラハロボレート類、ハライド類、ナイトレート類、サルフェート類、ホスフェート類、カーボネート類、スルホネート類、カルボキシレート類およびシリケート類よりなる群から選択されるXを含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
スルホネート類およびカルボキシレート類がそれぞれアルキルスルホネート類およびアルキルカルボキシレート類である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
アニオンXがジシアナミドである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
イオン交換溶液がアニオンXの金属塩である、請求項22−26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
金属がアルカリ金属またはアルカリ土類金属である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
式IIの化合物がアゼパンである請求項17−28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
式IIの化合物が3−メチルピペリジンである、請求項17−28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
式IIの化合物が1,6−ヘキサンジアミンの製造の副生物である、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
式IIの化合物が2−メチル−1,5−ペンタンジアミンの製造の副生物である、請求項17に記載の方法。
【請求項33】
イオン性液体の製造における前駆体としてのアゼパンおよび3−メチルピペリジンの使用。

【公表番号】特表2010−529033(P2010−529033A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510481(P2010−510481)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/065048
【国際公開番号】WO2008/150842
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】