説明

電解質膜、及びそれを用いた触媒層−電解質膜積層体、膜電極接合体と燃料電池

【課題】機械的強度に優れ、無加湿状態で良好なイオン伝導性を有する電解質膜、及びそれを用いた触媒層−電解質膜積層体、膜電極接合体と燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明の電解質膜10は、液状電解質と固体酸とを含む電解質膜であって、少なくとも第1の層1と第2の層2を含み、第1の層1は液状電解質とバインダーを含み、第2の層2は固体酸を含み、電解質膜10の片側又は両側の最外層には第1の層1が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質膜、及びそれを用いた触媒層−電解質膜積層体、膜電極接合体と燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりとともに、CO2や汚染物質を排出しないクリーンエネルギーとして燃料電池が注目されている。その中でも、エネルギー効率が高く、温度領域が100℃前後と一般用に取り扱いやすい固体高分子電解質を用いた固体高分子形燃料電池(PEFC)の開発が期待されている。
【0003】
固体高分子形燃料電池は、通常固体高分子電解質からなる電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を基本単位とする。固体高分子電解質としては、一般的にNafion(登録商標)で知られているパーフルオロスルホン酸等が用いられている。このパーフルオロスルホン酸等を固体高分子電解質として用いる膜電極接合体においては、プロトンがH3+の状態で伝導されるため、加湿機構を備える必要があり、システムが煩雑になるという問題がある。
【0004】
そこで、無加湿状態でイオン伝導性を有する電解質として金属リン酸塩が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、金属リン酸塩の一部に別種の金属をドープしたものも提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に提案されている金属リン酸塩等の固体酸は、成形性が悪く、通常バインダーを添加してフィルム化しているが、バインダーを添加すると電解質本来のイオン伝導性が阻害される。そのため、電解質膜のイオン伝導性と膜強度の両立が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−294245号公報
【特許文献2】特開2008−53224号公報
【特許文献3】特開2008−53225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するため、機械的強度に優れ、無加湿状態で良好なイオン伝導性を有する電解質膜、及びそれを用いた触媒層−電解質膜積層体、膜電極接合体と燃料電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電解質膜は、液状電解質と固体酸とを含む電解質膜であって、少なくとも第1の層と第2の層を含み、上記第1の層は液状電解質とバインダーを含み、上記第2の層は固体酸を含み、上記電解質膜の片側又は両側の最外層には第1の層が配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の触媒層−電解質膜積層体は、本発明の電解質膜と、一対の触媒層とを備え、上記電解質膜の両方の主面上に上記触媒層がそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の膜電極接合体は、本発明の電解質膜と、一対の触媒電極とを備え、上記電解質膜の両方の主面上に上記触媒電極がそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の燃料電池は、本発明の電解質膜と、一対の触媒電極と、一対のセパレータとを備え、上記電解質膜の両方の主面上に上記触媒電極と上記セパレータとがこの順番でそれぞれ積層されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、液状電解質とバインダーを含む第1の層と、固体酸を含む第2の層とを含み、電解質膜の片側又は両側の最外層に第1の層を配置することにより、機械的強度に優れ、無加湿状態で良好なイオン伝導性を有する電解質膜、及びそれを用いた触媒層−電解質膜積層体、膜電極接合体と燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1Aは本発明の実施形態1に係る電解質膜の一例を示す模式的断面図であり、図1Bは本発明の実施形態1に係る電解質膜の別の一例を示す模式的断面図であり、図1Cは本発明の実施形態1に係る電解質膜のさらに別の一例を示す模式的断面図である。
【図2】図2は本発明の実施形態2に係る触媒層−電解質膜積層体の一例を示す模式的断面図である。
【図3】図3は本発明の実施形態3に係る膜電極接合体の一例を示す模式的断面図である。
【図4】図4は本発明の実施形態4に係る燃料電池の一例を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面等に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための材料や製造方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、材料や製造方法等を下記に限定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
本発明において、「固体酸」とは、固体でありながら、酸の特性を示すものを意味する。また、本発明において、「液状電解質」とは、液状物質であってかつイオン伝導性を有するものを意味する。
【0016】
[実施形態1]
まず、本発明の実施形態1として、電解質膜について説明する。
【0017】
(電解質膜)
図1Aは本発明の実施形態1に係る電解質膜の一例を示す模式的断面図である。図1Aに示すように、電解質膜10は、第1の層1と第2の層2の二つの層を含み、電解質膜10の片側の最外層には第1の層1が配置されている。そして、第1の層1は、液状電解質とバインダーを含み、第2の層2は固体酸を含む。また、イオン伝導性を高めるという観点から、第2の層2はさらに液状電解質を含んでもよく、第2の層2に含まれる液状電解質は第1の層1に含まれる液状電解質と同様の種類であってもよく、異なる種類であってもよい。また、第2の層2はバインダーを含んでもよい。第2の層がバインダーを含むと成形性がより良好になり、機械的強度も高くなる。
【0018】
図1B及び図1Cは、それぞれ本発明の実施形態1に係る電解質膜の別の例を示す模式的断面図である。図1Bは三つの層を有する電解質膜を示す模式的断面図であり、図1Cは五つの層を有する電解質膜を示す模式的断面図である。図1B及び図1Cでは、図1Aと同一の部分には同一の符合を付けており、同一の部分は同一の機能を有する。電解質膜10が三つ以上の層を有する場合、図1B及び図1Cに示しているように、電解質膜10の両側の最外層には、第1の層1が配置されていることが好ましい。電解質膜の機械的強度を高めるとともに、より効果的に電解質膜からの液状電解質の染み出しを防ぐことができる。
【0019】
電解質膜10は、三つの層を有する場合、図1Bに示しているように、第1の層1aと第1の層1bが、それぞれ電解質膜10の最外層に配置されている。すなわち、第1の層1aと第1の層1bが、第2の層2の両方の主面上にそれぞれ配置されている。また、電解質膜10は、五つの層を有する場合でも、図1Cに示しているように、第1の層1aと第1の層1bが、それぞれ電解質膜10の最外層に配置されている。具体的には、図1Cに示しているように、第1の層1a、第2の層2a、第1の層1c、第2の層2b及び第1の層1bが順番に配置されていてもよい。このように、電解質膜10の最外層に液状電解質とバインダーを含む第1の層を配置し、固体酸を含む第2の層を第1の層の間、すなわち電解質膜10の内層に配置することにより、機械的強度に優れ、無加湿状態で良好なイオン伝導性を有する電解質膜が得られる。
【0020】
上記において、第1の層1a、第1の層1b、第1の層1cにおける液状電解質の含有量及び種類は同様であってもよく、異なっていてもよい。また、第2の層2a、第2の層2bにおける固体酸の含有量及び種類は同様であってもよく、異なっていてもよい。そして、第2の層2a、第2の層2bが液状電解質を含む場合は、液状電解質の含有量及び種類も同様であってもよく、異なっていてもよい。
【0021】
なお、図1A〜1Cでは、二層、三層、五層構造の電解質膜を例示しているが、本発明の電解質膜は、上記の層構造の電解質膜に限定されない。電解質膜が、三つ以上の層を有する場合、液状電解質とバインダーを含む第1の層が電解質膜の両側の最外層に配置されることが好ましく、二つの第1の層の間には固体酸を含む第2の層が一つ又は複数配置されていてもよい。また、二つの第1の層の間には第2の層以外に、第1の層が一つ又は複数配置されていてもよい。
【0022】
第1の層1における液状電解質の含有量は10重量%以上70重量%未満であることが好ましく、10〜50重量%であることがより好ましく、20〜40重量%であることがさらに好ましい。液状電解質の含有量が10重量%未満であると電解質膜のイオン伝導性が乏しい恐れがあり、70重量%以上であると液状電解質が電解質膜から染み出す傾向があるうえ、電解質膜の機械的強度が低く自立性が低下する恐れがある。
【0023】
機械的強度を低下させず、イオン伝導性を高めるという観点から、第2の層2における固体酸の含有量は1〜100重量%であることが好ましく、10〜95重量%であることがより好ましく、20〜90重量%であることがさらに好ましい。また、第2の層2における液状電解質の含有量は、イオン伝導性を高めるという観点から、1〜95重量%であることが好ましく、10〜80重量%であることがより好ましい。
【0024】
また、図1A〜1Cでは、各層が明確に区分されている電解質膜を例示しているが、各層はその境界が明確に区分されていなくてもよく、電解質膜の厚さ方向において、液状電解質を含む部分と固体酸を含む部分とを有していればよい。なお、電解質膜10の層構造並びに液状電解質及び固体酸の含有量は、例えば以下のようにして確認することができる。
(1)電解質膜を厚さ方向に切断し、断面についてSEM(走査電子顕微鏡)観察を行う。
(2)電解質膜を厚さ方向に切断し、断面についてEDX測定(エネルギー分散型X線分析装置による測定)を行い、特定元素の濃度分布を確認する。
(3)グロー放電発光分析にて電解質膜における厚さ方向の特定元素の分析を行う。
(4)電解質膜を斜めに切削し、削られた表面のXPS分析(X線光電子分光法)を行う。
【0025】
電解質膜10は、その厚みは特に限定されないが、通常10〜1000μm程度であり、機械的強度の観点から、30〜300μm程度であることが好ましい。また、第1の層1は、その厚みは限定されないが、通常5〜1000μm程度であり、機械的強度の観点から、10〜300μm程度であることが好ましい。また、第2の層2は、その厚みは限定されないが、通常5〜1000μm程度であり、機械的強度の観点から、10〜300μm程度であることが好ましい。
【0026】
<液状電解質>
液状電解質としては、室温から200℃までの温度範囲、かつ無加湿雰囲気下であってもイオン伝導性を有する液状電解質を用いることができる。本発明において、無加湿雰囲気下とは、液状電解質が置かれた雰囲気中に意図的な加湿を行わないことを意味する。
【0027】
第1の層1に含まれる液状電解質は一種類であってもよく二種類以上を組合せたものであってもよい。また、第2の層2が液状電解質を含む場合も、液状電解質は一種類であってもよく二種類以上を組合せたものであってもよい。
【0028】
液状電解質としては、例えば強酸、イオン液体等を用いることができる。
【0029】
強酸としては、例えばリン酸類、硫酸等の無機酸が挙げられる。リン酸類(以下、単に「リン酸」とも記す。)とは、オルトリン酸及びリン酸縮合体をいい、リン酸縮合体としては、ピロリン酸、トリリン酸、メタリン酸、ポリリン酸等が挙げられる。なお、強酸としてリン酸を使用する場合には、イオン伝導度、濃度、取り扱い性等の観点から、濃度が85〜122重量%のリン酸(H3PO4)水溶液を用いることが好ましい。
【0030】
本発明において、イオン液体とは、常温溶融塩とも言われ、イオンのみからなる溶融体のうち、常温(20±15℃)において液体状態となるものを意味する。イオン液体は、カチオン成分とアニオン成分とで構成される。
【0031】
イオン液体のカチオン成分としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾリウム誘導体、ピリジニウム誘導体、ピロリジニウム誘導体、アンモニウム誘導体、含窒素複素環を持つもの、グアニジニウム誘導体、イソウロニウム誘導体等が挙げられる。中でも、耐熱性、導電性等の観点から、イミダゾリウム誘導体及びアンモニウム誘導体からなる群から選ばれる一種以上であることが好ましく、イミダゾリウムカチオン、2−エチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン及びジエチルメチルアンモニウムカチオンからなる群から選ばれる一種以上であることがより好ましい。
【0032】
イオン液体のアニオン成分としては、特に限定されないが、例えば、スルフェート類、スルホン酸類、アミド類、イミド類、メタン類、ハロゲン類、ホウ素含有アニオン類、リン酸塩類、アンチモン類、ヒドロフッ化物アニオン、フッ素系アニオン、チオシアネート等が挙げられる。中でも、耐熱性、導電性等の観点から、スルフェート類、イミド類及びチオシアネート類からなる群から選ばれる一種以上であることが好ましく、[CF3SO3-、[(FSO22N]-及び[SCN]-からなる群から選ばれる一種以上であることがより好ましい。イオン伝導性に優れるという観点から、アニオン成分が[CF3SO3-、[(FSO22N]-、[SCN]-、[HSO4-及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(bis(trifluoromethanesulfonyl)amide、以下においてHTFSIとも記す。)からなる群から選ばれる一種以上であることが好ましく、[CF3SO3-、[HSO4]-及びHTFSIからなる群から選ばれる一種以上であることがより好ましい。
【0033】
また、本発明において、イオン液体は、プロティックなイオンを含むことが好ましい。本発明において、「プロティックなイオン」とは、プロトン受容性及び/又はプロトン供与性を有するイオンを意味する。
【0034】
プロティックなイオンとしては、特に限定されないが、例えばプロトン硫酸一水素イオン(HSO4-)、リン酸一水素イオン(HPO42-)、リン酸二水素イオン(H2PO4-)、セレン酸一水素イオン(HSeO4-)、ピロリン酸一水素イオン(HP273-)、ピロリン酸二水素イオン(H2272-)、ピロリン酸三水素イオン(H327-)、ホスホン酸一水素イオン(H2PO3-)等が挙げられる。
【0035】
イオン液体は、上述のカチオン成分を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。また、イオン液体は、上述のアニオン成分を一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
【0036】
イオン液体は、公知の方法(例えば、J. AM. CHEM. SOC. 2010,132,9764−9773頁等参照)によって得ることができる。本発明では、公知の方法にて製造したイオン液体を使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、三菱マテリアル株式会社製の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−Ethyl−3−methylimidazolium bis(fluorosulfonyl)imide)、メルク株式会社製の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム トリフラート(1−Ethyl−3−methylimidazolium triflate)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 硫酸水素塩(1−Ethyl−3−methylimidazolium hydrogensulfate)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム チオシアネート(1−Ethyl−3−methylimidazolium thiocyanate)等を用いることができる。或いは、市販品のカチオン成分とアニオン成分を混合して得られるイオン液体、例えば、東京化成工業社製のイミダゾル(Imidazole)と、和光純薬工業社製のHTFSIを混合して得られるイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド、東京化成工業社製の2−エチルイミダゾル(2−ethylimidazole)と、和光純薬工業社製のHTFSIを混合して得られるイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド等を用いてもよい。
【0037】
<バインダー>
バインダーは、結着性を有するものであればよく、特に限定されないが、例えば、フッ素系ポリマー、炭化水素系ポリマー、フッ素系イオノマー、炭化水素系イオノマー、エポキシ系樹脂及びアクリル系樹脂等を用いることができる。中でも、pH1〜3の範囲における耐酸性、50〜300℃の温度範囲における耐熱性を有するものが好ましい。
【0038】
上記フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えばテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂を用いることができる。
【0039】
上記炭化水素系ポリマーとしては、炭化水素系化合物を主骨格とする高分子であって、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレンスルファイド、ポリベンズイミダゾール、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリイミダゾ−ル、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキザゾール、ポリオキサジアゾ−ル、ポリキリノン、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾ−ル、ポリテトラザビレン、ポリオキサゾ−ル、ポリチアゾール、ポリビニールピリジン及びポリビニールイミダゾール等を用いることができる。
【0040】
上記フッ素系イオノマーとしては、特に限定されないが、例えばデュポン社のNafion(登録商標)、旭硝子社のフレミオン(登録商標)、旭化成社のアシプレックス(登録商標)のようなパーフルオロスルホン酸系、アクイヴィオン(登録商標)のようなスルホニルフロリドビニルエーテル(SFVE)−テトラフルオロエチレン共重合体等を用いることができる。
【0041】
上記炭化水素系イオノマーとしては、特に限定されないが、例えばポリアリーレンエーテルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸、ポリフェニレンエーテルスルホン酸、変性ポリフェニレンエーテルスルホン酸、ポリエーテルスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸(スルホン化ポリエーテルエーテルケトン)及びポリフェニレンサルファイドスルホン酸等を用いることができる。
【0042】
上記エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等を用いることができる。また、上記の樹脂とシリカとのハイブリッド樹脂等を用いることもできる。
【0043】
上記アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等を用いることができる。また、上記の樹脂とシリカとのハイブリッド樹脂等を用いることもできる。
【0044】
また、バインダーは、セルロース系ポリマーであってもよい。セルロース系ポリマーとしては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース等が挙げられる。
【0045】
上述したバインダーの中でも、耐久性及び結着性の点より、PTFE、ポリフッ化ビニリデン、パーフルオロスルホン酸、酢酸セルロース、スルホニルフロリドビニルエーテル(SFVE)−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸が好適に用いられる。なお、ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸は、特に限定されないが、例えばM.L.Di Vona et al、Polymer 46(2005)1754−1758頁に記載されている方法により合成したものを用いることができる。
【0046】
上述したバインダーは、一種類のみを用いてもよいし、二種類以上を適宜組合せて用いてもよい。
【0047】
<固体酸>
固体酸としては、特に限定されず、例えば無機固体酸や有機固体酸を用いることができ、プロトン伝導性の観点から、室温から200℃までの温度範囲かつ無加湿雰囲気下において、プロトン伝導性を有する固体酸を用いることが好ましい。ここで、無加湿雰囲気下とは、固体酸が置かれた雰囲気中に意図的な加湿を行わないことを意味する。また、室温とは、本発明の目的においては、固体酸が置かれた雰囲気中に意図的な温度調整を行わないことを意味する。
【0048】
上記有機固体酸としては、スルホン酸基を有する有機固体酸であればよく、特に限定されない。例えば、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、1,3,5,7−ナフタレンテトラスルホン酸等が挙げられる。上記スルホン酸基を有する有機酸を単独又は一種以上混合して用いてもよい。
【0049】
上記無機固体酸としては、例えばプロトン伝導性を有する無機固体酸を用いることができ、プロトン伝導性を有する無機塩であることが好ましい。
【0050】
上記プロトン伝導性を有する無機塩としては、金属リン酸塩、金属硫酸塩等が挙げられる。
【0051】
上記金属リン酸塩としては、オルトリン酸塩、ピロリン酸塩等の化合物を挙げることができる。上記金属リン酸塩としては、具体的には、スズ、ジルコニウム、セシウム、タングステン等のオルトリン酸塩やピロリン酸塩を挙げることができる。
【0052】
上記ピロリン酸塩としては、プロトン伝導性に優れるという観点から、下記一般式(1)で表される金属リン酸塩を用いることが好ましい。
【0053】
[化1]
1-xx27 (1)
【0054】
但し、一般式(1)中、Xは0≦X<0.5であり、M(主金属)はZr、Cs、Sn、Ti、Si、Ge、Pb、Hf、Ca、Mg、W、Na及びAlからなる群から選ばれる一種であり、D(ドープ金属)はAl、In、B、Ga、Sc、Yb、Ce、La、Sb、Y、Nb及びMgからなる群から選ばれる一種である。
【0055】
上記一般式(1)で表される金属リン酸塩としては、Zr、Cs、Sn、Ti、Si、Ge、Pb、Hf、Ca、Mg、W、Na又はAlを主金属として、主金属と異なる金属をドープしたピロリン酸塩が好ましい。ドープ金属を用いた場合、リン酸塩としての安定性の点から、上記主金属としてはSn、Cs、Ti又はZrを用いることが好ましい。より好ましくは、スズやセシウム等の金属の一部がインジウム、アルミニウムやアンチモン等のドープ金属元素でドープ(置換)されたピロリン酸塩である。
【0056】
上記ドープ金属としては、例えば、Snを主金属として用いた場合、主金属と固溶可能なものであることから、In、Al等が好適である。主金属とドープ金属の配合比率は固溶限界により異なるが、Snを主金属、Inをドープ金属として用いる場合、例えば、モル比で、Sn:In=7:3〜9.8:0.2の範囲が望ましい。
【0057】
上記一般式(1)で表される金属リン酸塩は、例えば一種以上の金属酸化物とリン酸を加熱して、熱処理することにより合成することができる。
【0058】
上記金属酸化物としては、リン酸と結晶性塩を生成可能なものであればよく、特に限定されない。例えば、Zr、Cs、Sn、Ti、Si、Ge、Pb、Hf、Ca、Mg、W、Na及びAlの酸化物が挙げられる。また、上記リン酸としては、液体リン酸と固体リン酸のいずれを用いてもよい。熱処理時におけるリン酸消失の問題を回避する観点から、固体リン酸を用いることが好ましい。固体リン酸としては、例えば、リン酸一水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等を用いることができる。
【0059】
上記一般式(1)で表される金属リン酸塩は、具体的には、以下のようにして作製することができる。まず、スズ等の主金属を含む化合物(以下、単に主金属化合物とも記す。)及びインジウム等のドープ金属を含む化合物(以下、単にドープ金属化合物とも記す。)と、液体リン酸を混合して混合物を得る。次いで、得られた混合物に水を加えて、100〜300℃の温度で、1〜3時間スターラー等を用いて攪拌して分散させて分散液を得る。得られた分散液を坩堝に入れて、例えば、300〜700℃の温度で、1〜3時間焼成する。上記高温状態ではリン酸が消失する恐れがあるため、液体リン酸のモル数は過剰に、例えば、モル当量の1.1〜1.5倍加えるのが望ましい。なお、主金属化合物及びドープ金属化合物としては、例えば金属酸化物、金属水酸化物、金属塩化物、金属硝酸化物等を用いることができる。
【0060】
上記において、焼成時におけるリン酸消失の問題を回避するため、液体リン酸に替えて固体リン酸を用いても良い。固体リン酸としては、例えば、リン酸一水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等を用いて、スズ等の主金属を含む金属酸化物及びインジウム等のドープ金属を含む金属酸化物と所定のモル数で混合する。主金属を含む金属酸化物とドープ金属を含む金属酸化物は、主金属とドープ金属のモル比を、例えば、9:1〜1:1にして混合したものがよい。得られた混合物を坩堝に投入し、例えば、300〜650℃の温度で、1〜3時間焼成する。次いで、得られた生成物をめのう鉢で粉砕して、所望の金属リン酸塩を得ることができる。固体リン酸を用いることにより、モル当量のリン酸が金属酸化物と反応し、余剰物は高温により揮発するため余剰のリン酸が付着せず再現性の良い金属リン酸塩を得ることができる。
【0061】
また、上記金属リン酸塩は、共沈法で作製することも可能である。例えば、塩化スズ五水和物(SnCl4・5H2O)及び塩化インジウム四水和物(InCl3・4H2O)を、スズとインジウムが約9:1のモル比となるよう所定濃度の水溶液に調整した後、スターラーで攪拌しながら、アンモニア水溶液をpH7になるまで滴下することにより、水酸化スズ(Sn(OH)4)中に微量な水酸化インジウム(In(OH)3)が均一に存在した状態の沈殿物が得られる。その後、沈殿物を吸引・濾過して乾燥させ、乾燥した沈殿物とリン酸を混合し、還元雰囲気下で約200℃、約2時間熱処理を行うことにより、金属リン酸塩を得ることができる。最後に脱イオン水で洗浄を行う。共沈法によれば、所望の複数の金属イオンを含む溶液から複数種類の難溶性塩を同時に沈殿させることで、ドープ金属を主金属リン酸塩に均一にドープした金属リン酸塩を調整することができる。
【0062】
また、上記固体酸としては、上記一般式(1)で表される金属リン酸塩とリン酸類で構成された電解質であってもよい。
【0063】
上記一般式(1)で表される金属リン酸塩とリン酸類で構成された電解質は、金属リン酸塩の金属元素及びドープされる金属元素の原子数をそれぞれ[m]及び[n]、金属リン酸塩のリンの原子数とリン酸のリンの原子数の合計を[p]とした場合、下記数式(1)を満たすことが好ましい。
【0064】
[数1]
2<[p]/([m]+[n])≦4 (1)
【0065】
より好ましくは、下記数式(2)を満たす。
【0066】
[数2]
2.4≦[p]/([m]+[n])≦3.2 (2)
【0067】
上記数式(1)を満たすことにより、高いプロトン伝導性が得られるとともに、成形性が良好なものとなる。上記数式[p]/([m]+[n])の値が2以下であると、金属リン酸塩上のリン酸の量が少なくなり、プロトン伝導性が向上しにくい恐れがある。一方、上記数式[p]/([m]+[n])の値が4を超えると、リン酸の量が多すぎて大気中の水分の吸湿が高く成形体が脆くなるので形状が維持できない恐れがある。
【0068】
また、上記プロトン伝導性を有する無機塩としては、ヘテロポリ酸と無機塩の複合体を用いてもよい。上記無機塩としては、硫酸水素塩、リン酸水素塩等が挙げられる。上記硫酸水素塩としては、硫酸水素セシウム、硫酸水素カリウム等を挙げることができる。上記リン酸水素塩としては、リン酸水素セシウム等を挙げることができる。また、硫酸水素塩やリン酸水素塩の替わりに炭酸セシウム(Cs2CO3)、硫酸セシウム(Cs2SO4)等を用いてもよい。上記ヘテロポリ酸としては、タングステンリン酸(H3PW1240:WPA)等が挙げられる。上記ヘテロポリ酸と無機塩の複合体としては、プロトン伝導性の観点から、硫酸水素塩とヘテロポリ酸の複合体が好ましく、より好ましいのはメカノケミカル法によって得られる硫酸水素カリウムとタングステンリン酸の複合体である。
【0069】
ヘテロポリ酸と無機塩の複合体の一種であるタングステンリン酸と硫酸水素カリウム(KHSO4)の複合体は、例えば以下のようなメカノケミカル法で作製することができる。WPA(H3PW1240:12タングスト(VI)リン酸n水和物)をあらかじめ温度60℃で5〜24時間乾燥することにより、六水和物(WPA・6H2O)にする。次いで、得られたWPA・6H2Oと硫酸水素カリウム(KHSO4)とボールをめのうポットに入れる。その後、遊星ボールミル(フリッチェ・ジャパン株式会社製、P−7)で720rpm、10分混合することにより、タングステンリン酸と硫酸水素カリウム(KHSO4)の複合体が得られる。タングステンリン酸と硫酸水素カリウムの配合量は、モル比で、例えば、1:99〜40:60であることが好ましい。
【0070】
なお、上記メカノケミカル法では、ボールミル等を用いたミリングによって得られる衝撃や摩擦等の大きな機械的エネルギーを利用することによって、タングステンリン酸と硫酸水素カリウムの複合体を合成している。したがって、上記メカノケミカル法でタングステンリン酸と硫酸水素カリウムの複合体を作製する場合には、金属リン酸塩の作製時等のように高温プロセスを必要としないため、作製が比較的容易であるという利点がある。
【0071】
上記ミリング処理により、WPAのケギンアニオンPW12403-とKHSO4のHSO4-アニオンがブレンステッド酸−塩基対の形で水素結合を形成することが導電率の向上に関係していると考えられる。硫酸水素塩とヘテロポリ酸をメカノケミカル法により複合化し、無機固体表面に欠陥構造やランダム構造を高密度に導入し、水素結合ネットワークを設計することが、広い温度範囲で高いプロトン伝導性を有する複合体を合成するための一つの重要な指針となる。
【0072】
また、上記固体酸としては、セシウムリン酸、リン酸ケイ素(SiP27)又はセシウムリン酸とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体を用いても良い。上記セシウムリン酸としては、リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)等を挙げることができる。なお、セシウムリン酸、リン酸ケイ素及びそれらの複合体は、例えば、“Toshiaki Matsui, Tomokazu Kukino, Ryuji Kikuchi, and koichi Eguchi, The Electrochemical Society 153 (2) A339−A342頁(2006)”、或いは、“Toshiaki Matsui, Tomokazu Kukino, Ryuji Kikuchi, and koichi Eguchi, Electrochemical Acta 51 (2006) 3719−3723頁”等を参照して製造することができる。
【0073】
リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体又は二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体は、例えば、以下のようにして作製する。
【0074】
まず、リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)又は二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を、以下のようにして作製する。炭酸セシウム(Cs2CO3)及び水を混合し、スターラー等を用いて撹拌子で撹拌する。次いで、液体リン酸を少量ずつ滴下し、100〜150℃の温度で、1〜3時間、撹拌しながら水を蒸発させる。その後、オーブンに入れて、例えば、100〜150℃の温度で乾燥する。乾燥する時間は、例えば、1日〜数日である。次いで、得られた生成物をめのう鉢で粉砕して粉末状にし、所望のリン酸二水素セシウム(CsH2PO4)又は二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を得ることができる。
【0075】
次に、リン酸ケイ素(SiP27)は、以下のようにして作製する。二酸化ケイ素(SiO2)と液体リン酸を混合した混合物をめのうばちに入れ、水あめ状になるまで混ぜた後、アルミナ坩堝に入れて、100〜700℃の温度で焼成する。焼成する時間は、例えば、30〜80時間である。次いで、得られた生成物をめのう鉢で粉砕して、所望のリン酸ケイ素(SiP27)を得ることができる。
【0076】
次に、リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)又は二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)と、リン酸ケイ素(SiP27)を所定のモル数で配合する。得られた混合物をポッドミルやボールミル等で分散させて、リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体又は二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体を得る。分散時間は、例えば、1〜30時間である。リン酸二水素セシウム又は二リン酸五水素セシウムとリン酸ケイ素の配合量は、モル比で1:4〜2:1であることが好ましい。
【0077】
また、上記固体酸としては、カリウムリン酸、リン酸ケイ素(SiP27)又はカリウムリン酸とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体を用いても良い。上記カリウムリン酸としては、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)、二リン酸五水素カリウム(KH5(PO42)等を挙げることができる。リン酸二水素カリウム(KH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体又は二リン酸五水素カリウム(KH5(PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体は、炭酸セシウム(Cs2CO3)の替わりに炭酸カリウム(K2CO3)を用いる以外は、それぞれ上述したリン酸二水素セシウム(CsH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体又は二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0078】
有機固体酸は溶媒に溶けることからバインダー成分との馴染みが良く、電解質組成物作製時に分散性が良好になるため、電解質膜の膜質が良好になるという効果が得られやすい。一方、無機固体酸は耐熱性及び耐久性に優れるため、電解質を膜化した後の機械的強度が良好になるという効果が得られやすい。
【0079】
上記固体酸は、特に限定されないが、電解質膜中において、粒径が0.1〜200μm、好ましくは0.1〜150μmである。なお、電解質膜を形成する前の原料としての固体酸も、粒径が0.1〜200μm、好ましくは0.1〜150μmである。固体酸の粒径が0.1〜200μmであることにより、電解質組成物作製時の分散性が向上し、良好な膜質の電解質膜が得られやすい。本発明において、固体酸の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)等を用いて測定することができる。
【0080】
以下、電解質膜の製造方法について説明する。
【0081】
(電解質膜の製造方法)
本発明の電解質膜10は、特に限定されないが、例えば以下のように製造することができる。電解質膜10は、液状電解質とバインダーを含む第1の層1を形成し、固体酸を含む第2の層2を形成し、第1の層1が電解質膜10の片側又は両側の最外層に配置されるように第1の層1と第2の層2を積層することで得られる。
【0082】
<第1の層形成用電解質組成物>
第1の層1は第1の層形成用電解質組成物を用いて形成することができる。第1の層形成用電解質組成物は液状電解質とバインダーを含む。液状電解質及びバインダーは、上述のものを用いればよい。
【0083】
第1の層形成用電解質組成物は、液状電解質とバインダーを混合することにより作製することができる。或いは、第1の層形成用電解質組成物は、液状電解質をバインダーの溶液若しくはバインダーのディスパージョンに添加した後、さらに溶媒を加えて作製してもよい。溶媒は、バインダーを凝集させないものを用いることができる。具体的には、水、エタノール、メタノール、1−ブタノ−ル、t−ブタノ−ル、プロパノール、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等を用いることができる。
【0084】
第1の層形成用電解質組成物は、分散機で混合・分散することが好ましい。分散機としては、例えば超音波分散機、ホモゲナイザー、遊星ボールミル、ボールミル分散、スターラー分散等を用いることができる。
【0085】
第1の層形成用電解質組成物において、液状電解質の含有量は10重量%以上70重量%未満であることが好ましく、10〜50重量%であることがより好ましく、20〜40重量%であることがさらに好ましい。第1の層形成用電解質組成物における液状電解質の割合が10重量%より少ないと電解質膜のイオン伝導性が乏しい恐れがあり、70重量%以上であると電解質膜の自立性に乏しく、また液状電解質が電解質膜から染み出す恐れがある。また、優れたイオン伝導性を保持しつつ成形性を良好にするという観点から、第1の層形成用電解質組成物において、バインダーの含有量は30〜90重量%であることが好ましく、50〜80重量%であることがさらに好ましい。本発明において、第1の層形成用電解質組成物における各組成の含有量は、第1の層形成用電解質組成物の固形分と液状電解質のトータル重量に対する各組成の重量の割合をいう。なお、本発明において、バインダーの重量は、バインダーの固形分の重量をいう。
【0086】
<第2の層形成用電解質組成物>
第2の層2は第2の層形成用電解質組成物を用いて形成することができる。第2の層形成用電解質組成物は固体酸を含む。第2の層2がバインダーと液状電解質のいずれも含まない場合は、固体酸をそのまま第2の層形成用電解質組成物として用いることができ、或いは固体酸を溶媒に分散して第2の層形成用電解質組成物として用いてもよい。第2の層2がバインダーを含む場合は、固体酸とバインダーを混合することにより作製した第2の層形成用電解質組成物を用いて第2の層を形成することができる。固体酸及びバインダーとしては、上述のものを用いることができる。また、第2の層が液状電解質を含む場合は、固体酸と液状電解質及び/又はバインダーを混合することにより作製した第2の層形成用電解質組成物を用いて第2の層を形成することができる。液状電解質としては、上述のものを用いればよい。なお、第2の層形成用電解質組成物は、第1の層形成用電解質組成物と同様の手法で作製することができる。
【0087】
第2の層形成用電解質組成物において、固体酸の含有量は1〜100重量%であることが好ましく、10〜95重量%であることがさらに好ましい。第2の層形成用電解質組成物における固体酸の割合が1重量%より少ないとイオン伝導性が乏しい恐れがある。また、イオン伝導性を高めるという観点から、第2の層形成用電解質組成物における液状電解質の含有量は、1〜95重量%であることが好ましく、10〜80重量%であることがより好ましい。また、優れたイオン伝導性を保持しつつ成形性を良好にするという観点から、第2の層形成用電解質組成物において、バインダーの含有量は60重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがさらに好ましい。本発明において、第2の層形成用電解質組成物における各組成の含有量は、第2の層形成用電解質組成物の固形分と液状電解質のトータル重量に対する各組成の重量の割合をいう。
【0088】
<電解質膜の作製>
電解質膜の作製は、特に限定されないが、例えば以下のように行うことができる。
【0089】
(1)まず、第1の層形成用電解質組成物を基材に塗布し、乾燥して第1の層を形成する。次に、基材上に形成した第1の層の主面上に第2の層形成用電解質組成物を塗布し、乾燥して第2の層を形成し、第1の層と第2の層を積層する。或いは、必要に応じて、上記のように第1の層と第2の層を積層した後、さらに第2の層の主面上に第1の層形成用電解質組成物を塗布し、乾燥して第2の層の両方の主面上に第1の層を形成する。
(2)まず、第2の層形成用電解質組成物を基材に塗布し、乾燥して第2の層を形成する。次に、基材上に形成した第2の層の主面上に第1の層形成用電解質組成物を塗布し、乾燥して第1の層を形成し、第1の層と第2の層を積層する。或いは、必要に応じて、基材上に形成した第2の層から基材を剥離した後、第2の層の両方の主面上に第1の層形成用電解質組成物を塗布し、乾燥して第2の層の両方の主面上に第1の層を形成する。
(3)まず、第1の層形成用電解質組成物及び第2の層形成用電解質組成物を各々基材に塗布し、乾燥して第1の層及び第2の層を形成する。次に、基材上に形成した第1の層と基材上に形成した第2の層を、第1の層が電解質膜の片側又は両側の最外層に配置されるように積層する。
(4)第1の層形成用電解質組成物を基材に塗布し、乾燥して第1の層を形成し、第2の層形成用電解質組成物を一軸プレスしてペレットを作製することで、第2の層を形成した後、第1の層が電解質膜の片側又は両側の最外層に配置されるように第1の層と第2の層を積層する。
(5)まず、第1の層形成用電解質組成物を基材に塗布し、乾燥して第1の層を形成する。次に、第1の層の主面上に第2の層形成用電解質組成物を配置して溶融させた後冷却固化することで第2の層を形成するとともに、第1の層が電解質膜の片側又は両側の最外層に配置されるように第1の層と第2の層を積層する。
なお、上記のいずれの場合でも、基材は、必要に応じて、第1の層と第2の層を積層する前後において適宜剥離すればよい。
【0090】
電解質組成物の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、ナイフコーター、バーコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷、圧延法等の方法を適用することができる。
【0091】
乾燥は、熱処理により行うことができる。熱処理温度(乾燥温度)は、好ましくは50〜300℃程度であり、より好ましくは90〜200℃である。熱処理温度が、50℃程度より低いと電解質組成物中に含まれる溶媒が除去できない恐れがあり、300℃程度を超えるとバインダーや液状電解質が熱分解する恐れがある。また、熱処理時間(乾燥時間)は、好ましくは10分〜5時間程度であり、より好ましくは10分〜3時間程度である。
【0092】
基材としては、例えば、高分子フィルム、塗工紙、非塗工紙等を用いることができる。高分子フィルムとしては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリパルバン酸アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート(PET)等で構成される高分子フィルムを用いることができる。また、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性フッ素樹脂で構成される高分子フィルムを用いてもよい。塗工紙としては、例えば、アート紙、コート紙、軽量コート紙等を用いることができ、非塗工紙としては、例えば、ノート用紙、コピー用紙等を用いることができる。中でも、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、PETフィルムがより好ましい。
【0093】
また、基材としては、触媒層付電極や触媒転写フィルムを用いることもでき、この場合触媒層側に電解質組成物を塗布してもよい。
【0094】
別々に形成した第1の層1と第2の層2の積層は、例えば、第1の層1の主面と第2の層2の主面が接するように重ねることで行うことができる。また、第1の層1の主面と第2の層2の主面が接するように重ねた後、熱プレス、加圧プレス等のプレスを行ってもよい。なお、プレスは特に限定されないが、温度−10〜300℃、圧力0.1〜30MPaの条件で行うことが好ましい。
【0095】
第2の層形成用電解質組成物の一軸プレスは、特に限定されないが、例えば、0.1〜30MPaで行うことが好ましく、0.5〜5MPaで行うことがより好ましい。
【0096】
また、第2の層形成用電解質組成物の溶融は、第2の層形成用電解質組成物に含まれている固体酸の融点以上の温度で行えばよく、特に限定されないが、例えば固体酸の融点より5℃以上高い温度で行うことが好ましく、10℃以上高い温度で行うことがより好ましい。また、処理時間は、約5分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。また、冷却温度は、固体酸の融点未満の範囲内で、適宜決めればよい。例えば、冷却温度は、約140℃未満程度、好ましくは室温〜約100℃程度である。また、冷却時間は、約5分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。
【0097】
基材の剥離は、通常の方法で行えばよく、特に限定されないが、例えば180度剥離などにより行うことができる。
【0098】
上記のように、液状電解質とバインダーを含む電解質組成物を用いて第1の層を形成し、固体酸を含む電解質組成物を用いて第2の層を形成し、第1の層が電解質膜の片側又は両側の最外層に配置されるように第1の層と第2の層を積層することで、機械的強度に優れ、無加湿状態で良好なイオン伝導性を有する電解質膜が得られる。
【0099】
[実施形態2]
以下、本発明の実施形態2として、触媒層−電解質膜積層体について説明する。
【0100】
(触媒層−電解質膜積層体)
図2は、本発明の実施形態2に係る触媒層−電解質膜積層体の一例を示す模式的断面図である。触媒層−電解質膜積層体20は、図2に示すように、電解質膜10と、一対の触媒層6、7とを備え、電解質膜10の両方の主面上に触媒層6、7がそれぞれ配置されている。なお、図2では、図1と同一の部分には同一の符合を付けており、重複する説明は省略する。また、図2と図1において同一の部分は、同様の機能を有する。
【0101】
触媒層6、7は、触媒を含有した層であればよく、特に限定されないが、反応場を増加させるという観点から、さらに実施形態1で示した液状電解質を含むことが好ましい。液状電解質は、液状電解質を含む触媒ペーストを用いて触媒層を作製することで触媒層に含ませることができる。或いは、液状電解質を含んでいない触媒層に液状電解質を塗布して含浸させることで、触媒層に液状電解質を含ませてもよい。なお、液状電解質は、触媒層の細孔を塞がない程度で含有されることが好ましい。
【0102】
触媒としては、燃料電池におけるアノード及び/又はカソード反応を促進する物質であればよく、特に限定されない。例えば、白金担持カーボン、白金−ルテニウム担持カーボン、白金−コバルト担持カーボン、金担持カーボン、銀担持カーボン、鉄−コバルト−ニッケル担持カーボン等の金属担持カーボン;白金ブラック、白金−ルテニウムブラック、白金−コバルトブラック、金ブラック、銀ブラック等の金属微粒子;モリブデンカーバイド等の無機物質等を挙げることができる。このうち触媒活性の高い白金担持カーボン、リン酸被毒の少ないモリブデンカーバイド等が好適である。
【0103】
触媒層6、7は、さらにバインダーを含有してもよい。触媒層6、7の形成には、触媒のみでも成形可能であるが、バインダーを添加してペースト化したものを塗工・成形することにより、機械的強度に優れた触媒層を得ることができる。バインダーとしては、例えば、実施形態1で示したバインダーを用いることができる。
【0104】
触媒層6、7の厚みは、電極基材の種類、電解質膜の厚み等を考慮して適宜決定すればよい。触媒層6、7の厚みは、例えば、約20〜3000μm程度、好ましくは、約30〜2000μm程度である。
【0105】
触媒層−電解質膜積層体20は、例えば、触媒を含む触媒ペーストを電解質膜10の両方の主面上に塗布し、乾燥して触媒層6、7を形成することで製造できる。また、特に限定されることではないが、カソード側に液状電解質が多いとカソードから生成した水と同時に液状電解質が触媒層へ流れやすいため、電解質膜10における第1の層1をカソード側にするのが好ましい。
【0106】
上記触媒ペーストは、例えば触媒と、液状電解質と、溶媒を含む混合物を、分散機で混合・分散して得られる。分散機としては、超音波分散機、ホモゲナイザー、ボールミル等を用いることができる。上記触媒ペーストがバインダーを含む場合、上記バインダー(固形分)の添加量は、触媒ペースト中の固形分と液状電解質のトータル重量に対して50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましい。この場合、触媒と液状電解質をバインダーの溶液若しくはディスパージョンに添加した後、溶媒を加えて触媒ペーストを作製してもよい。溶媒は、バインダーを凝集させないものを用いることができる。具体的には水、エタノール、メタノール、1−ブタノール、t−ブタノール、プロパノール、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等を用いることができる。
【0107】
触媒ペーストの塗工量としては、例えば、白金担持カーボンを用いる場合、白金担持量として、好ましくは約0.1〜1.0mg/cm2程度、より好ましくは約0.3〜0.6mg/cm2程度である。
【0108】
電解質膜10上への触媒ペーストの塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷、ブレードコート、ダイコート、スプレー塗工、ディスペンサー塗工、インクジェット塗工等を用いることができる。このうち触媒ペーストの作製の簡便さよりスクリーン印刷、ブレードコートを用いるのが好ましい。
【0109】
乾燥は、例えば熱処理により行うことができる。熱処理温度(乾燥温度)は、例えば、約50〜300℃、好ましくは約100〜250℃である。乾燥温度が約50℃より低いと、触媒ペーストに含まれる溶媒が除去できない恐れがある。一方、乾燥温度が約300℃を超えると、液状電解質やバインダーが熱分解する恐れがある。また、乾燥時間は、例えば、約10分〜5時間、好ましくは約10分〜3時間である。
【0110】
本実施形態によれば、機械的強度に優れ、無加湿状態で良好なイオン伝導性を有する触媒層−電解質膜積層体を提供することができる。
【0111】
[実施形態3]
以下、本発明の実施形態3として、膜電極接合体について説明する。
【0112】
(膜電極接合体)
図3は、本発明の実施形態3に係る膜電極接合体の一例を示す模式的断面図である。図3に示すように、本発明の実施形態3に係る膜電極接合体30は、実施形態1で示した電解質膜10と、一対の触媒電極16、17とを備え、触媒電極16、17が電解質膜10の両方の主面上にそれぞれ配置されている。図3では、図1と同一の部分には同一の符合を付け、重複する説明は省略する。また、図3と図1において同一の部分は、同様の機能を有する。
【0113】
触媒電極16、17は、触媒と多孔質体等ガス拡散性を有する導電材料で構成されており、燃料ガス又は酸化剤ガスが流通できるようになっている。アノード極側触媒電極17は、燃料極であり、カソード極側触媒電極16は、酸化剤極である。燃料極には水素の酸化反応を促進する触媒金属が付着されており、酸化剤極には酸素の還元反応を促進する触媒金属が付着している。
【0114】
触媒電極16、17の厚みは、電極基材の種類、電解質膜の厚み等を考慮して適宜決定すればよい。触媒電極16、17の厚みは、例えば、約20〜3000μm程度、好ましくは、約30〜2000μm程度である。
【0115】
触媒電極16、17は、ガス拡散層と触媒層の2層から構成されていてもよい。ガス拡散層としては、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の公知の材料を用いればよい。また、上記の公知の材料に撥水処理を行ったものを用いてもよい。また、ガス拡散層に触媒ペーストを塗工した場合の染み込みを防ぐため平坦化層を設けたガス拡散層を用いてもよい。
【0116】
本実施形態に係る膜電極接合体30は、上記の実施形態1で示した電解質膜10を用い、その両方の主面上に触媒電極16,17を圧着等により形成して製造することができる。また、特に限定されることではないが、カソード側に液状電解質が多いとカソードから生成した水と同時に液状電解質が触媒層へ流れやすいため、電解質膜10における第1の層をカソード側にするのが好ましい。
【0117】
本実施形態によれば、機械的強度に優れ、無加湿状態で良好なイオン伝導性を有する膜電極接合体を提供することができる。
【0118】
[実施形態4]
以下、本発明の実施形態4として、燃料電池について説明する。
【0119】
(燃料電池)
図4は、本発明の実施形態4に係る燃料電池の一例を示す模式的断面図である。図4に示すように、本発明の実施形態4に係る燃料電池40は、実施形態1で示した電解質膜10と、実施形態3で示した一対の触媒電極16、17と、一対のセパレータ28、29とを備えており、電解質膜10の両方の主面上に触媒電極16、17及びセパレータ28、29がこの順番でそれぞれ積層されている。図4では、図1及び図3と同一の部分には同一の符合を付け、重複する説明は省略する。また、図4と図1及び図3において同一の部分は、同様の機能を有する。
【0120】
セパレータ29は、燃料をアノード側触媒電極17に供給するためのものであり、燃料を流通するための燃料流路21を有する。一方、セパレータ28は、酸化剤ガスをカソード側触媒電極16に供給するためのものであり、酸化剤ガスを流通するための酸化剤ガス流路22を有する。
【0121】
セパレータ28、29の材質としては、燃料電池40内の環境においても安定な導電性を有するものであればよい。一般的には、カーボン板に流路を形成したものが用いられる。また、セパレータ28、29は、ステンレススチール等の金属で構成し、その金属の表面にクロム、白金族金属、白金族金属の酸化物、導電性ポリマー等の導電性材料からなる被膜を形成したものであってもよい。
【0122】
なお、セパレータ28、29は、燃料電池40を複数個積層して構成した燃料電池に用いる場合、集電体としての機能を有することができる。
【0123】
(燃料電池の動作原理)
燃料流路21により、水素ガス又はメタノール等の水素供給可能な燃料が、アノード側触媒電極17に供給され、この燃料からプロトン(H+)と電子(e-)が生成される。生成されたプロトンは電解質膜10によってカソード側触媒電極16へと搬送される。一方、酸化剤ガス流路22により、空気又は酸素ガス等の酸化剤ガスが、カソード側触媒電極16に供給され、電解質膜10によって搬送されてきたプロトンと外部回路23からくる電子及び酸化剤ガスとが反応して水が生成される。このようにして燃料電池として機能する。
【0124】
本実施形態に係る燃料電池40は、燃料電池の作製に用いられる公知の技術を用いて、電解質膜10の両方の主面上に触媒電極16、17及びセパレータ28、29をこの順番でそれぞれ積層することにより、製造することができる。
【0125】
本実施形態によれば、機械的強度に優れ、無加湿状態で良好なイオン伝導性を有する電解質膜を用いることにより、安定性に優れ、高性能な燃料電池を提供することができる。
【実施例】
【0126】
以下において、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更実施可能である。
【0127】
(実施例1)
液状電解質として、イオン液体であるイオン液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(三菱マテリアル株式会社製、以下においてEMIm−SFIとも記す。)を用いた。バインダーとして、M.L.Di Vona et al、Polymer 46(2005)1754−1758頁に記載されている方法に基づいて下記のように合成したスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(以下において、SPEEKとも記す。)を用いた。
【0128】
<バインダーの製造例1>
還流冷却管の付いた500mlの丸底フラスコにポリエーテルエーテルケトン(VICTREX社製、以下においてPEEKとも記す。)5gと、96重量%の濃硫酸250mlとを入れ、オイルバス中で50℃に保ち、撹拌しながら18時間還流させた。その後、反応混合物をガラスフィルターでろ過し、ろ取した固形物を純水にて洗浄した。ろ液が中性付近になるまで洗浄を繰り返した後、固形物を50℃で24時間乾燥し、その後60℃で6時間真空乾燥してSPEEKを得た。
【0129】
得られたSPEEK1gとDMA(N’N−ジメチルアセトアミド)20gを混合し、オイルバス中で50℃に保ち、24時間撹拌し、SPEEK溶液を作製した。
【0130】
<固体酸>
固体酸として、以下のように作製した二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を用いた。まず、炭酸セシウム(Cs2CO3)の水溶液に、スターラー等を用いて撹拌子で撹拌しながら、液体リン酸を少量ずつ滴下し、100〜150℃程度の温度で、1〜3時間程度、撹拌して水を蒸発させた。なお、炭酸セシウム(Cs2CO3)と液体リン酸は炭酸セシウム1モルに対して液体リン酸が4モルとなる量を用いた。その後、オーブンに入れて、約100〜150℃程度の温度で約1日乾燥させた。乾燥後、得られた生成物をめのう鉢で粉砕して粉末状にし、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を得た。
【0131】
<第1の層形成用電解質組成物>
上記で得られたSPEEK溶液18gとイオン液体(EMIm−SFI)0.1gを分散機で混合・分散して第1の層形成用電解質組成物を作製した。
【0132】
<第2の層形成用電解質組成物>
上記で得られた二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を第2の層形成用電解質組成物として用いた。
【0133】
<電解質膜の作製>
第1の層形成用電解質組成物をブレードコーターでPETフィルム(厚み:25μm)上に塗工し、約95℃で約60分間乾燥して厚み30μmの第1の層を形成した。次いで、第2の層形成用電解質組成物を第1の層の一方の主面上に配置し、170℃で30分間熱処理して溶融させた後、室温にて冷却して固化することで第2の層を形成するとともに、第1の層と第2の層を積層した。その後、第1の層からPETフィルムを剥離し、厚み100μmのイオン伝導性電解質膜を得た。
【0134】
(実施例2)
液状電解質として、イオン液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウム トリフラート(メルク株式会社製、以下においてEMIm−TfOとも記す。)を用いた。バインダーとして、実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液を用いた。
【0135】
<固体酸>
固体酸として、以下のように作製したリン酸二水素セシウム(CsH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体(CsH2PO4/SiP27)を用いた。
【0136】
まず、リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)を、以下のようにして作製した。炭酸セシウム(Cs2CO3)の水溶液に、スターラー等を用いて撹拌子で撹拌しながら、液体リン酸を少量ずつ滴下し、100〜150℃程度の温度で、1〜3時間程度、撹拌して水を蒸発させた。なお、炭酸セシウム(Cs2CO3)と液体リン酸は炭酸セシウム1モルに対して液体リン酸が2モルとなる量を用いた。その後、オーブンに入れて、100〜150℃程度の温度で約1日乾燥させた。乾燥後、得られた生成物をめのう鉢で粉砕して粉末状にし、リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)を得た。
【0137】
次に、リン酸ケイ素(SiP27)は、以下のようにして作製した。二酸化ケイ素(SiO2)と液体リン酸を1:2.5のモル比で配合し、得られた混合物をめのうばちに入れ、水あめ状になるまで混ぜた後、アルミナ坩堝に入れて、約700℃で3時間焼成する。焼成後、得られた生成物をめのう鉢で粉砕して、リン酸ケイ素(SiP27)を得た。
【0138】
次に、リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)と、リン酸ケイ素(SiP27)を1:2のモル比で配合し、得られた混合物を分散機で分散させて、リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体を得た。
【0139】
<第1の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液14gとイオン液体(EMIm−TfO)0.3gを分散機で混合・分散して第1の層形成用電解質組成物を作製した。
【0140】
<第2の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液4gと上記で得られたリン酸二水素セシウム(CsH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体1.8gを分散機で混合・分散して第2の層形成用電解質組成物を作製した。
【0141】
<電解質膜の作製>
第1の層形成用電解質組成物をブレードコーターでPETフィルム(厚み:25μm)上に塗工し、約95℃で約60分間乾燥して厚み10μmの第1の層を形成した。次いで、第2の層形成用電解質組成物をブレードコーターでPETフィルム(厚み:25μm)上に塗工し、約95℃で約60分間乾燥して厚み50μmの第2の層を形成した。次いで、第2の層からPETフィルムを剥離した後、第2の層を第1の層で挟むように、第1の層を第2の層の両方の主面に重ねて積層し、第1の層からPETフィルムを剥離し、イオン伝導性電解質膜を得た。
【0142】
(実施例3)
<第1の層形成用電解質組成物>
実施例2と同様にして第1の層形成用電解質組成物を得た。
【0143】
<第2の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液4gと、イオン液体(EMIm−TfO)0.4gと、実施例2と同様にして得られたリン酸二水素セシウム(CsH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体1.4gを分散機で混合・分散して第2の層形成用電解質組成物を作製した。
【0144】
<電解質膜の作製>
上記で得られた第1の層形成用電解質組成物と第2の層形成用電解質組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、イオン伝導性電解質膜を得た。
【0145】
(実施例4)
液状電解質として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム 硫酸水素塩(メルク株式会社製、以下においてEMIm−HSO4-とも記す。)を用いた。バインダーとして、実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液を用いた。
【0146】
<第1の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液16gとイオン液体(EMIm−HSO4-)0.2gを分散機で混合・分散して第1の層形成用電解質組成物を作製した。
【0147】
<第2の層形成用電解質組成物>
イオン液体(EMIm−HSO4-)0.1gと、実施例2と同様にして得られたリン酸ケイ素(SiP27)0.4gを乳鉢ですり混ぜて第2の層形成用電解質組成物を作製した。
【0148】
<電解質膜の作製>
第1の層形成用電解質組成物をブレードコーターでPETフィルム(厚み:25μm)上に塗工し、約95℃で約60分間乾燥して厚み10μmの第1の層を形成した。次いで、第2の層形成用電解質組成物を、3Mpaの圧力で一軸プレスを行い、直径1.2cm、厚み2mmのペレットを得、第2の層を形成した。次いで、第2の層を第1の層で挟むように、第1の層を第2の層の両方の主面に重ねて積層した後、第1の層からPETフィルムを剥離し、イオン伝導性電解質膜を得た。
【0149】
(実施例5)
液状電解質として、イオン液体であるEMIm−SFI(三菱マテリアル株式会社製)を用いた。バインダーとして、実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液を用いた。
【0150】
<固体酸>
固体酸として、以下のように作製したリン酸二水素カリウム(KH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体(KH2PO4/SiP27)の複合体を用いた。
【0151】
まず、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)を、以下のようにして作製した。炭酸カリウム(K2CO3)の水溶液に、スターラー等を用いて撹拌子で撹拌しながら、液体リン酸を少量ずつ滴下し、100〜150℃程度の温度で、1〜3時間程度、撹拌して水を蒸発させた。なお、炭酸カリウム(K2CO3)と液体リン酸は炭酸セシウム1モルに対して液体リン酸が2モルとなる量を用いた。その後、オーブンに入れて、100〜150℃程度の温度で約1日乾燥させた。乾燥後、得られた生成物をめのう鉢で粉砕して粉末状にし、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)を得た。
【0152】
次に、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)と、実施例2と同様にして作製したリン酸ケイ素(SiP27)を1:2のモル数で配合し、得られた混合物を分散機で分散させて、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体を得た。
【0153】
<第1の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液16gとイオン液体(EMIm−SFI)0.2gを分散機で混合・分散して第1の層形成用電解質組成物を作製した。
【0154】
<第2の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液4gと、イオン液体(EMIm−SFI)0.4gと、上記で得られたリン酸二水素カリウム(KH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体1.4gを分散機で混合・分散して第2の層形成用電解質組成物を作製した。
【0155】
<電解質膜の作製>
上記で得られた第1の層形成用電解質組成物と第2の層形成用電解質組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、イオン伝導性電解質膜を得た。
【0156】
(実施例6)
液状電解質として、イオン液体であるEMIm−SFI(三菱マテリアル株式会社製)と、EMIm−TfO(メルク株式会社製)を用いた。バインダーとして、実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液を用いた。
【0157】
<固体酸>
固体酸として、以下のように作製した金属リン酸塩(リン酸スズ)を用いた。まず、酸化スズ(SnO2、Nano Tec社製)13.56g(0.09モル)及び酸化インジウム(In23、ナカライテスク社製)1.40g(0.0050モル)にリン酸水素二アンモニウム(ナカライテスク社製)27.99g(0.212モル)を加え、これらを薬さじで混合した。その後、得られた混合物を坩堝に投入し、約650℃で、約2時間程度焼成し、得られた生成物をめのうばちで粉砕してリン酸スズを得た。なお、得られたリン酸スズはインジウムが一部ドープされたピロリン酸塩である(Sn0.9In0.127)。
【0158】
<第1の層形成用電解質組成物>
実施例5と同様にして第1の層形成用電解質組成物を作製した。
【0159】
<第2の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液4gと、イオン液体(EMIm−TfO)1.4gと、上記で得られたリン酸スズ0.4gを分散機で混合・分散して第2の層形成用電解質組成物を作製した。
【0160】
<電解質膜の作製>
第1の層形成用電解質組成物をブレードコーターでPETフィルム(厚み:25μm)上に塗工し、約95℃で60分間乾燥して厚み10μmの第1の層を形成した。次いで、第1の層の片側の主面に第2の層形成用電解質組成物をブレードコーターで塗工し、約95℃で60分間乾燥してトータル厚み60μmの第1の層と第2の層の積層物を形成した。次いで、第1の層形成用電解質組成物をブレードコーターでPETフィルム(厚み:25μm)上に塗工し、約95℃で60分間乾燥して厚み10μmの第1の層を形成した。次いで、第2の層を第1の層で挟むように、第1の層と第2の層の積層物の第2の層の主面上に第1の層を重ねて積層した後、第1の層からPETフィルムを剥離し、イオン伝導性電解質膜を得た。
【0161】
(実施例7)
液状電解質として、イオン液体であるEMIm−TfO(メルク株式会社製)を用いた。バインダーとして、実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液を用いた。
【0162】
<第1の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液10gとイオン液体(EMIm−TfO)0.5gを分散機で混合・分散して第1の層形成用電解質組成物を作製した。
【0163】
<第2の層形成用電解質組成物>
実施例3と同様にして第2の層形成用電解質組成物を作製した。
【0164】
<電解質膜の作製>
上記で得られた第1の層形成用電解質組成物と第2の層形成用電解質組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、イオン伝導性電解質膜を得た。
【0165】
(実施例8)
<液状電解質>
アルゴン雰囲気のグローブボックス中で、東京化成工業社製のイミダゾル(Imidazole、以下においてImと記す。)と、和光純薬工業社製のHTFSIを4:1のモル比でゆっくり混合し、イミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(以下において、Im4−HTFSIと記す。)を得た。
【0166】
<第1の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液16gと上記で得られたイオン液体(Im4-HTFSI)0.2gを分散機で混合・分散して第1の層形成用電解質組成物を作製した。
【0167】
<第2の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液4gと、上記で得られたイオン液体(Im4-HTFSI)0.4gと、実施例2と同様にして得られたリン酸ケイ素(SiP27)1.4gを分散機で混合・分散して第2の層形成用電解質組成物を作製した。
【0168】
<電解質膜の作製>
上記で得られた第1の層形成用電解質組成物と第2の層形成用電解質組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、イオン伝導性電解質膜を得た。
【0169】
(実施例9)
<液状電解質>
アルゴン雰囲気のグローブボックス中で、東京化成工業社製の2−エチルイミダゾル(2−ethylimidazole、以下においてEtImと記す。)と、和光純薬工業社製のHTFSIを4:1のモル比でゆっくり混合し、2−エチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(以下において、EtIm4−HTFSIと記す。)を得た。
【0170】
<第1の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液16gと上記で得られたイオン液体(EtIm4-HTFSI)0.2gを分散機で混合・分散して第1の層形成用電解質組成物を作製した。
【0171】
<第2の層形成用電解質組成物>
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液4gと、上記で得られたイオン液体(EtIm4-HTFSI)0.4gと、実施例2と同様にして得られたリン酸二水素セシウム(CsH2PO4)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体1.4gを分散機で混合・分散して第2の層形成用電解質組成物を作製した。
【0172】
<電解質膜の作製>
上記で得られた第1の層形成用電解質組成物と第2の層形成用電解質組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、イオン伝導性電解質膜を得た。
【0173】
(比較例1)
実施例1で第1の層形成用電解質組成物として用いた電解質組成物をブレードコーターでPETフィルム(厚み:25μm)上に塗工し、約95℃で約60分間乾燥した後、PETフィルムを剥離し、厚み60μmのイオン伝導性電解質膜を得た。
【0174】
(比較例2)
固体酸として、実施例1と同様にして作製した二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を用いた。CsH5(PO42をPETフィルム(厚み:25μm)上に配置し、170℃で30分間熱処理した後に室温にて冷却して固化し、その後PETフィルムを剥離し、イオン伝導性電解質膜を得た。しかし、自立性がなくハンドリングが困難であった。
【0175】
(比較例3)
実施例1と同様にして得られたSPEEK溶液SPEEK溶液20gと、実施例2と同様にして得られたリン酸ケイ素(SiP27)9gを分散機で混合・分散して作製した電解質組成物をブレードコーターでPETフィルム(厚み:25μm)上に塗工し、約95℃で約60分間乾燥した後、PETフィルムを剥離し、厚み60μmのイオン伝導性電解質膜を得た。
【0176】
実施例及び比較例で得られた電解質膜のイオン伝導度を以下の方法により測定し、その結果を下記表1〜表2に示した。なお、表1〜表2には、電解質組成物の各組成及びその含有量についても示した。
【0177】
(イオン伝導度測定)
電解質膜に対し、電気化学測定装置(1255WB型、Solartron社製)で交流インピーダンス負荷を行い、160℃の温度かつ無加湿環境下でのプロトン伝導度を測定した。
【0178】
【表1】

【0179】
【表2】

【0180】
実施例1〜9で得られた電解質膜は、いずれも160℃の温度かつ無加湿環境下でのプロトン導電率が比較例1又は3よりも高い。また、実施例1〜9で得られた電解質膜は、比較例1〜3の電解質膜に比べて機械的強度に優れ、自立性があった。
【0181】
以上のことから、本発明の電解質膜は、機械的強度に優れ自立性があり、無加湿状態で高いイオン伝導性を有することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明は、イオン伝導性電解質膜及びそれを用いた燃料電池に関連した技術分野に好適に適用され得る。
【符号の説明】
【0183】
1、1a、1b、1c 第1の層
2、2a、2b 第2の層
6、7 触媒層
10 電解質膜
16 カソード側触媒電極
17 アノード側触媒電極
20 触媒層−電解質膜積層体
21 燃料流路
22 酸化剤ガス流路
23 外部回路
28、29 セパレータ
30 膜電極接合体
40 燃料電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状電解質と固体酸とを含む電解質膜であって、
少なくとも第1の層と第2の層を含み、
前記第1の層は液状電解質とバインダーを含み、
前記第2の層は固体酸を含み、
前記電解質膜の片側又は両側の最外層には第1の層が配置されていることを特徴とする電解質膜。
【請求項2】
前記第1の層が前記電解質膜の両側の最外層に配置されている請求項1に記載の電解質膜。
【請求項3】
前記第2の層がさらに液状電解質を含む請求項1又は2に記載の電解質膜。
【請求項4】
前記第2の層がさらにバインダーを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解質膜。
【請求項5】
前記液状電解質が、イオン液体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解質膜。
【請求項6】
前記液状電解質が、プロトン供与性及び/又はプロトン受容性を有するイオンを含むイオン液体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解質膜。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質膜と、一対の触媒層とを備え、
前記電解質膜の両方の主面上に前記触媒層がそれぞれ配置されていることを特徴とする触媒層−電解質膜積層体。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質膜と、一対の触媒電極とを備え、
前記電解質膜の両方の主面上に前記触媒電極がそれぞれ配置されていることを特徴とする膜電極接合体。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質膜と、一対の触媒電極と、一対のセパレータとを備え、前記電解質膜の両方の主面上に前記触媒電極と前記セパレータとがこの順番でそれぞれ積層されていることを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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