説明

電解質膜、合わせガラス用中間膜及び調光体

【課題】温度に影響されることなく、低温環境下及び高温環境下における応答速度の差が少なくなる調光体を得ることができる電解質膜、合わせガラス用中間膜、及び、調光体を提供することを目的とする。
【解決手段】支持電解質塩、バインダー樹脂、及び、有機溶剤を含有する電解質膜であって、前記電解質膜の−15℃の弾性率に対する、前記電解質膜の25℃の弾性率の比が1〜0.001であり、かつ、前記電解質膜の25℃の弾性率に対する、前記電解質膜の85℃の弾性率の比が0.1〜2である電解質膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度に影響されることなく、低温環境下及び高温環境下における応答速度の差が少ない調光体を得ることができる電解質膜、合わせガラス用中間膜、及び、調光体に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧を印加することにより光の透過率が変化する調光フィルムを備える調光体は、広く用いられている。この調光体を建築物等や、電光板等の表示装置に応用することを目的とする検討が重ねられてきた。近年、自動車等の車内の温度を制御するために、調光フィルムを合わせガラス用中間膜として用いた合わせガラスが提案されている。このような合わせガラス用中間膜を用いることにより、合わせガラスの光線透過率を制御することができると考えられている。
【0003】
上記調光体は、液晶材料を用いた調光体と、エレクトロクロミック化合物を用いた調光体とに大別される。なかでも、エレクトロクロミック化合物を用いた調光体は、液晶材料を用いた調光体に比べて光散乱が少なく、偏光の影響を受けない等の優れた性質を有している。
【0004】
エレクトロクロミック化合物として、無機エレクトロクロミック化合物と、有機エレクトロクロミック化合物とが知られている。また、有機エレクトロクロミック化合物として、低分子量の有機エレクトロクロミック化合物と、エレクトロクロミック性を示す高分子化合物とが検討されている。
【0005】
エレクトロクロミック化合物を用いた調光体として、対向する一対の電極基板の間に、エレクトロクロミック層と電解質層とが挟み込まれている調光体が提案されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層、イオン伝導層、無機酸化物を含有するエレクトロクロミック層の3層が順次積層された積層体が、2枚の導電性基板間に挟み込まれている調光体が開示されている。また、特許文献3及び特許文献4には、対向する一対の電極基板の間に、有機エレクトロクロミック化合物を含有するエレクトロクロミック層と電解質層とが挟み込まれている調光体が開示されている。
しかしながら、従来の調光体は、応答速度が外部の温度に影響されるため、低温環境下及び高温環境下における応答速度の差が多くなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−062030号公報
【特許文献2】特開2005−062772号公報
【特許文献3】特表2002−526801号公報
【特許文献4】特表2004−531770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、温度に影響されることなく、低温環境下及び高温環境下における応答速度の差が少なくなる調光体を得ることができる電解質膜、合わせガラス用中間膜、及び、調光体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、支持電解質塩、バインダー樹脂、及び、有機溶剤を含有する電解質膜であって、記電解質膜の−15℃の弾性率に対する、前記電解質膜の25℃の弾性率の比が1〜0.001であり、かつ、前記電解質膜の25℃の弾性率に対する、前記電解質膜の85℃の弾性率の比が0.1〜2である電解質膜である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明者らは、支持電解質塩、バインダー樹脂、及び、有機溶剤を含有する電解質膜であって、電解質膜の特定の温度の弾性率を制御することによって、温度に影響されることなく、低温環境下及び高温環境下おける応答速度の差が少なくなる調光体を得る電解質膜を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の電解質膜は、支持電解質塩、バインダー樹脂、及び、有機溶剤を含有する。上記電解質膜にエレクトロクロミック層を積層することにより、合わせガラス用中間膜として用いることができる。上記有機溶剤として、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
上記電解質膜は、イオンを伝導することにより上記エレクトロクロミック層に電圧を印加し、エレクトロクロミック層の光の透過率を変化させる役割を有する。
【0011】
本発明の電解質膜は、上記電解質膜の−15℃の弾性率に対する、上記電解質膜の25℃の弾性率の比が1〜0.001であり、かつ、上記電解質膜の25℃の弾性率に対する、上記電解質膜の85℃の弾性率の比が0.1〜2である。上記電解質膜の−15℃の弾性率に対する、上記電解質膜の25℃の弾性率の比を1〜0.001とし、上記電解質膜の25℃の弾性率に対する、上記電解質膜の85℃の弾性率の比を0.1〜2とすることにより、温度に影響されることなく、低温環境下及び高温環境下おける応答速度の差が少なくなる調光体を得る電解質膜を得ることができる。
【0012】
上記電解質膜の−15℃の弾性率に対する、上記電解質膜の25℃の弾性率の比(以下、比Xともいう)とは、(電解質膜の25℃の弾性率)/(電解質膜の−15℃の弾性率)によって得られる値を意味する。上記比Xの好ましい下限は0.005、より好ましい下限は0.01、更に好ましい下限は0.1、特に好ましい下限は0.2、好ましい上限は0.95、より好ましい上限は0.9、更に好ましい上限は0.85、特に好ましい上限は0.8である。
【0013】
上記電解質膜の25℃の弾性率に対する、上記電解質膜の85℃の弾性率の比(以下、比Yともいう)とは、(電解質膜の85℃の弾性率)/(電解質膜の25℃の弾性率)によって得られる値を意味する。上記比Yの好ましい下限は0.15、より好ましい下限は0.2、更に好ましい下限は0.25、特に好ましい下限は0.3、好ましい上限は1.9、より好ましい上限は1.8、更に好ましい上限は1.7、特に好ましい上限は1.6である。
【0014】
上記有機溶剤は特に限定されないが、可塑剤であることが好ましい。上記可塑剤として、例えば、下記式(1)で表される化合物又は下記式(2)で表される化合物を含有する。下記式(1)で表される化合物又は下記式(2)で表される化合物を含有する電解質膜をエレクトロクロミック層に積層することにより、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が極めて短い合わせガラス用中間膜を得ることができる。
下記式(1)で表される化合物又は下記式(2)で表される化合物は、単独で用いてもよく、併用してもよい。なかでも、耐久性が向上し、かつ、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラス用中間膜が得られることから、下記式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0015】
【化1】

【0016】
式(1)中、n=2〜4の整数を表し、Rは水素原子、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基を表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基を表し、少なくともR又はRの何れかはアシル基を有する。
【0017】
【化2】

【0018】
式(2)中、Rは炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基を表し、Rは炭素数2〜8のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基を表し、Rは炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基を表す。R及びRは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0019】
上記式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基を表す。なかでも、上記バインダー樹脂との相溶性がより向上することから、Rは炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基であることが好ましく、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基であることがより好ましく、炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基であることが更に好ましい。
【0020】
上記式(1)中のRを表す炭素数1〜7の有機基を有するアシル基における、有機基の炭素数の好ましい下限は2、好ましい上限は6である。上記炭素数が2以上であると、電解質膜の耐久性が向上し、6以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラス用中間膜が得られる。上記炭素数のより好ましい下限は3、より好ましい上限は5であり、更に好ましい上限は4である。
【0021】
上記炭素数1〜7の有機基は、直鎖構造を有する有機基、又は、分岐構造を有する有機基であってもよく、直鎖構造を有するアルキル基、又は、分岐構造を有するアルキル基であることが好ましい。上記分岐構造を有する有機基又は分岐構造を有するアルキル基において、有機基又はアルキル基の分岐鎖の炭素数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることが更に好ましい。
【0022】
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラス用中間膜が得られることから、上記炭素数1〜7の有機基が直鎖構造を有する場合は、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基は、炭素数1〜7であり、かつ、直鎖構造を有する有機基を有するアシル基、又は、炭素数1〜7であり、かつ、直鎖構造を有するアルキル基を有するアシル基であることが好ましい。
【0023】
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラス用中間膜が得られることから、上記炭素数1〜7の有機基が分岐構造を有する場合は、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基は、炭素数1〜7であり、かつ、分岐構造を有する有機基を有するアシル基、又は、炭素数1〜7であり、かつ、分岐構造を有するアルキル基を有するアシル基であることが好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が3以下であるアルキル基を有するアシル基であることがより好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が2以下であるアルキル基を有するアシル基であることが更に好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が1以下であるアルキル基を有するアシル基であることが特に好ましい。
なお、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基とは、該有機基の炭素数が1〜7であることを意味し、上記炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基とは、該アルキル基の炭素数が1〜7であることを意味する。
【0024】
上記式(1)中のRが炭素数1〜8の有機基である場合、上記バインダー樹脂との相溶性がより向上することから、上記炭素数1〜8の有機基は炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
上記式(1)中のRを表す炭素数1〜8の有機基における炭素数の好ましい下限は2、好ましい上限は7である。上記炭素数が2以上であると、電解質膜の耐久性が向上し、7以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラス用中間膜が得られる。上記炭素数のより好ましい下限は3、より好ましい上限は6であり、更に好ましい下限は4、更に好ましい上限は5である。
【0025】
上記炭素数1〜8の有機基は、直鎖構造を有する有機基、又は、分岐構造を有する有機基であってもよく、直鎖構造を有するアルキル基、又は、分岐構造を有するアルキル基であることが好ましい。上記分岐構造を有する有機基又は分岐構造を有するアルキル基において、有機基又はアルキル基の分岐鎖の炭素数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることが更に好ましい。
【0026】
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラス用中間膜が得られることから、上記炭素数1〜8の有機基が直鎖構造を有する場合は、上記炭素数1〜8の有機基は、炭素数1〜8であり、かつ、直鎖構造を有するアルキル基であることが好ましい。
【0027】
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラス用中間膜が得られることから、上記炭素数1〜8の有機基が分岐構造を有する場合は、上記炭素数1〜8の有機基は、炭素数1〜8であり、かつ、分岐構造を有するアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が3以下であるアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜8であり、分岐構造を有し、かつ分岐鎖の炭素数が2以下であるアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜8であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が1以下であるアルキル基であることが特に好ましい。
【0028】
上記式(1)中、Rはエチレン基又はプロピレン基を表す。上記プロピレン基はn−プロピレン基であってもよく、イソプロピレン基であってもよい。電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラス用中間膜が得られることから、Rはエチレン基であることが好ましい。
【0029】
上記式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基を表す。なかでも、上記バインダー樹脂との相溶性がより向上することから、Rは炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基であることが好ましく、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基であることがより好ましく、炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基であることが更に好ましい。
【0030】
上記式(1)中のRを表す炭素数1〜7の有機基を有するアシル基における、有機基の炭素数の好ましい下限は2、好ましい上限は6である。上記炭素数が2以上であると、電解質膜の耐久性が向上し、6以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラス用中間膜が得られる。上記炭素数のより好ましい下限は3、より好ましい上限は5であり、更に好ましい上限は4である。
【0031】
上記炭素数1〜7の有機基は、直鎖構造を有する有機基、又は、分岐構造を有する有機基であってもよく、直鎖構造を有するアルキル基、又は、分岐構造を有するアルキル基であることが好ましい。上記分岐構造を有する有機基又は分岐構造を有するアルキル基において、有機基又はアルキル基の分岐鎖の炭素数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることが更に好ましい。
【0032】
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラス用中間膜が得られることから、上記炭素数1〜7の有機基が直鎖構造を有する場合は、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基は、炭素数1〜7であり、かつ、直鎖構造を有する有機基を有するアシル基、又は、炭素数1〜7であり、かつ、直鎖構造を有するアルキル基を有するアシル基であることが好ましい。
【0033】
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラス用中間膜が得られることから、上記炭素数1〜7の有機基が分岐構造を有する場合は、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基は、炭素数1〜7であり、かつ、分岐構造を有する有機基を有するアシル基、又は、炭素数1〜7であり、かつ、分岐構造を有するアルキル基を有するアシル基であることが好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が3以下であるアルキル基を有するアシル基であることがより好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が2以下であるアルキル基を有するアシル基であることが更に好ましく、炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が1以下であるアルキル基を有するアシル基であることが特に好ましい。
なお、上記炭素数1〜7の有機基を有するアシル基とは、該有機基の炭素数が1〜7であることを意味し、上記炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基とは、該アルキル基の炭素数が1〜7であることを意味する。
【0034】
上記式(1)中のRが炭素数1〜8の有機基である場合、上記バインダー樹脂との相溶性がより向上することから、上記炭素数1〜8の有機基は炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
上記式(1)中のRを表す炭素数1〜8の有機基における炭素数の好ましい下限は2、好ましい上限は7である。上記炭素数が2以上であると、電解質膜の耐久性が向上し、7以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラス用中間膜が得られる。上記炭素数のより好ましい下限は3、より好ましい上限は6であり、更に好ましい下限は4、更に好ましい上限は5である。
【0035】
上記炭素数1〜8の有機基は、直鎖構造を有する有機基、又は、分岐構造を有する有機基であってもよく、直鎖構造を有するアルキル基、又は、分岐構造を有するアルキル基であることが好ましい。上記分岐構造を有する有機基又は分岐構造を有するアルキル基において、有機基又はアルキル基の分岐鎖の炭素数は3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1以下であることが更に好ましい。
【0036】
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラス用中間膜が得られることから、上記炭素数1〜8の有機基が直鎖構造を有する場合は、上記炭素数1〜8の有機基は、炭素数1〜8であり、かつ、直鎖構造を有するアルキル基であることが好ましい。
【0037】
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間が更に一層短い合わせガラス用中間膜が得られることから、上記炭素数1〜8の有機基が分岐構造を有する場合は、上記炭素数1〜8の有機基は、炭素数1〜8であり、かつ、分岐構造を有するアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が3以下であるアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜8であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が2以下であるアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜8であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が1以下であるアルキル基であることが特に好ましい。
【0038】
上記式(1)において、少なくともR又はRの何れかはアシル基を有する。これにより、上記バインダー樹脂との高い相溶性が得られる。なかでも、Rは炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基を表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、Rは炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基を表すことがより好ましい。
【0039】
上記式(1)で表される化合物の具体例を下記式(1−1)〜(1−28)に示す。
【0040】
【化3−1】

【0041】
【化3−2】

【0042】
【化3−3】

【0043】
上記式(2)中、Rは炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基を表す。
上記式(2)中のRを表す炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基の炭素数の好ましい下限は3、好ましい上限は7である。上記炭素数が3以上であると、電解質膜の耐久性が向上し、7以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラス用中間膜が得られる。上記炭素数のより好ましい下限は4、より好ましい上限は6である。
【0044】
上記式(2)中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基を表す。なかでも、上記バインダー樹脂との相溶性が更に向上することから、Rは炭素数2〜8のアルキレン基であることが好ましい。
【0045】
上記式(2)中のRを表す炭素数2〜8のアルキレン基の炭素数の好ましい下限は3、好ましい上限は7である。上記炭素数が3〜7であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラス用中間膜が得られる。上記炭素数のより好ましい下限は4、より好ましい上限は6である。
【0046】
上記式(2)中のRを表す炭素数6〜12のアリーレン基の炭素数の好ましい上限は10である。上記炭素数が10以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラス用中間膜が得られる。上記炭素数のより好ましい上限は8である。
【0047】
式(2)中、Rは炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基を表す。
上記式(2)中のRを表す炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基の炭素数の好ましい下限は3、好ましい上限は7である。上記炭素数が3以上であると、電解質膜の耐久性が向上し、7以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより短い合わせガラス用中間膜が得られる。上記炭素数のより好ましい下限は4、より好ましい上限は6である。
【0048】
上記式(2)で表される化合物の具体例を下記式(2−1)に示す。
【0049】
【化4】

【0050】
上記電解質膜中における上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物の配合量は特に限定されないが、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限は15重量部、好ましい上限は200重量部である。上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物の配合量が15重量部以上であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物の配合量が200重量部以下であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物の配合量のより好ましい下限は30重量部、更に好ましい下限は50重量部、特に好ましい下限は60重量部であり、より好ましい上限は150重量部、更に好ましい上限は120重量部、特に好ましい上限は100重量部である。
【0051】
電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間をより一層短くすることができることから、上記電解質膜のガラス転移温度(Tg)は10℃以下であることが好ましい。上記ガラス転移温度は5℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることが更に好ましく、−5℃以下であることが特に好ましい。
【0052】
上記支持電解質塩は特に限定されず、リチウム塩、カリウム塩又はナトリウム塩等のアルカリ金属塩であることが好ましい。上記アルカリ金属塩は、無機酸とアルカリ金属の塩又は有機酸とアルカリ金属の塩であることが好ましい。例えば、上記無機酸とアルカリ金属の塩として、無機酸アニオンリチウム塩、無機酸アニオンカリウム塩、又は、無機酸アニオンナトリウム塩等が挙げられ、上記有機酸とアルカリ金属の塩として、有機酸アニオンリチウム塩、有機酸アニオンカリウム塩、又は、有機酸アニオンナトリウム塩等が挙げられる。
なかでも、上記支持電解質塩はリチウム塩であることが好ましく、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウム、リンフッ化リチウム等の無機酸アニオンリチウム塩、又は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム等の有機酸アニオンリチウム塩であることがより好ましい。
【0053】
上記支持電解質塩は、アンモニウムカチオンと、アニオンとの塩であってもよい。
上記アンモニウムカチオンは特に限定されず、例えば、テトラエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルプロピルピロリジニウム、メチルブチルピロリジニウム、メチルプロピルピペリジニウム、メチルブチルピペリジニウム等のアルキルアンモニウムカチオンや、エチルメチルイミダゾリウム、ジメチルエチルイミダゾリウム、メチルピリジニウム、エチルピリジニウム、プロピルピリジニウム、ブチルピリジニウム等が挙げられる。
上記アニオンは特に限定されず、過塩素酸アニオン、ホウフッ化アニオン、リンフッ化アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドアニオン等が挙げられる。
【0054】
上記電解質膜中における上記支持電解質塩の配合量は特に限定されないが、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限は3重量部、好ましい上限は60重量部である。上記支持電解質塩の配合量が3〜60重量部であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記支持電解質塩の配合量のより好ましい下限は10重量部、更に好ましい下限は20重量部であり、より好ましい上限は50重量部、更に好ましい上限は40重量部である。
【0055】
上記電解質膜は溶媒を含有してもよい。上記溶媒は特に限定されず、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン等のエステル化合物や、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の置換テトラヒドロフラン化合物や、1,3−ジオキソラン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン、t−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン等のエーテル化合物や、エチレングリコール、ポリエチレングリコールスルホラン、3−メチルスルホラン、蟻酸メチル、酢酸メチル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が挙げられる。
【0056】
上記バインダー樹脂は特に限定されないが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリ三フッ化エチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。透明性が高い電解質膜が得られることから、炭素数が4又は5のアルデヒドによりポリビニルアルコールをアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂が更に好適である。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂はポリビニルブチラール樹脂であることが好適である。
【0057】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が15mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量が15mol%を超えると、合わせガラス用中間膜が白化することがある。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が30mol%以下であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が30mol%を超えると、上記溶媒との相溶性が低下し、電解質膜の透明性が低下することがある。
なお、上記アセチル基量及び上記水酸基量はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
【0058】
また、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質膜から析出することを防止できることから、上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が5モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂(以下、「ポリビニルアセタール樹脂A」ともいう。)、アセタール化度が70〜85モル%であるポリビニルアセタール樹脂(以下、「ポリビニルアセタール樹脂B」ともいう。)、又は、炭素数が6以上のアルデヒドを用いてポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られるポリビニルアセタール樹脂(以下、「ポリビニルアセタール樹脂C」ともいう。)であることが好ましい。
なお、上記アセチル基量及び上記アセタール化度はJIS K 6728に準拠して、滴定法により求めることができる。
【0059】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aのアセチル基量の好ましい下限は6モル%、好ましい上限は30モル%である。上記アセチル基量が6モル%以上であると、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質膜から析出することをより一層防止することができる。上記アセチル基量が30モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂Aの製造効率を高めることができる。上記アセチル基量のより好ましい下限は8モル%、より好ましい上限は28モル%であり、更に好ましい下限は10モル%、更に好ましい上限は25モル%であり、特に好ましい下限は12モル%、特に好ましい上限は23モル%である。
【0060】
上記ポリビニルアセタール樹脂Aは、アセタール化度の好ましい下限が50モル%、好ましい上限が80モル%である。上記アセタール化度が50モル%以上であると、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質膜から析出することを更に一層防止することができる。上記アセタール化度が80モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂Aの製造効率を高めることができる。上記アセタール化度のより好ましい下限は55モル%、より好ましい上限は78モル%であり、更に好ましい下限は60モル%、更に好ましい上限は76モル%であり、特に好ましい下限は65モル%、特に好ましい上限は74モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂Aは、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
【0061】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bのアセタール化度の好ましい下限は71モル%、好ましい上限は84モル%である。上記アセタール化度が71モル%以上であると、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質膜から析出することを更に一層防止することができる。上記アセタール化度が84モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂Bの製造効率を高めることができる。上記アセタール化度のより好ましい下限は72モル%、より好ましい上限は83モル%であり、更に好ましい下限は73モル%、更に好ましい上限は82モル%であり、特に好ましい下限は74モル%、特に好ましい上限は81モル%である。
【0062】
上記ポリビニルアセタール樹脂Bは、アセチル基量の好ましい下限が0.1モル%、好ましい上限が20モル%である。上記アセチル基量が0.1モル%以上であると、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質膜から析出することを更に一層防止することができる。上記アセチル基量が20モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂Bの製造効率を高めることができる。上記アセチル基量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は15モル%であり、更に好ましい下限は0.8モル%、更に好ましい上限は8モル%であり、特に好ましい下限は1モル%、特に好ましい上限は7モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂Bは、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
【0063】
上記ポリビニルアセタール樹脂A及びポリビニルアセタール樹脂Bは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することで得られる。上記アルデヒドは炭素数1〜10のアルデヒドであることが好ましく、炭素数4又は5のアルデヒドであることがより好ましい。
【0064】
上記ポリビニルアセタール樹脂Cは、炭素数が6以上のアルデヒドを用いてポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られる。上記炭素数が6以上のアルデヒドは特に限定されないが、例えば、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、又は、n−デシルアルデヒド等が挙げられる。
【0065】
上記ポリビニルアセタール樹脂Cは、アセタール化度の好ましい下限が50モル%、好ましい上限が80モル%である。上記アセタール化度が50モル%以上であると、上記式(1)で表される化合物及び上記式(2)で表される化合物が上記電解質膜から析出することを更に一層防止することができる。上記アセタール化度が80モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂Cの製造効率を高めることができる。上記アセタール化度のより好ましい下限は55モル%、より好ましい上限が78モル%であり、更に好ましい下限は60モル%、更に好ましい上限は76モル%であり、特に好ましい下限は65モル%、特に好ましい上限は74モル%である。
【0066】
上記ポリビニルアセタール樹脂の原料となる上記ポリビニルアルコールは、平均重合度の好ましい下限が200、好ましい上限が5000である。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が200以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記ポリビニルアルコールの平均重合度が5000以下であると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記平均重合度のより好ましい下限は500、より好ましい上限は4000である。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算により求めた上記ポリビニルアルコールの重量平均分子量をポリビニルアルコール1セグメント当りの分子量で除して求められる。GPC法によってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0067】
上記電解質膜は熱線吸収剤を含有してもよい。
上記熱線吸収剤は、赤外線を遮蔽する性能を有すれば特に限定されないが、錫ドープ酸化インジウム粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子、亜鉛以外の元素がドープされた酸化亜鉛粒子、六ホウ化ランタン粒子、アンチモン酸亜鉛粒子、及び、フタロシアニン構造を有する赤外線吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。
【0068】
上記電解質膜は接着力調整剤を含有してもよい。
上記接着力調整剤は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、マグネシウム塩等が挙げられる。なかでも、炭素数2〜16のカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びマグネシウム塩が好適であり、具体的には例えば、ビス(酢酸)マグネシウム、酢酸カリウム、ビス(プロピオン酸)マグネシウム、プロピオン酸カリウム、ビス(2−エチルブタン酸)マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、ビス(2−エチルヘキサン酸)マグネシウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。これらの接着力調整剤は単独で用いられてもよく、併用されてもよい。上記電解質膜にバインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を含有する場合、上記電解質膜は接着力調整剤を含有することが好ましい。
【0069】
上記電解質膜は単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。上記電解質膜が多層構造であるとは、上記電解質膜が2層以上積層された構造であることを意味する。
上記電解質膜が多層構造である場合、上記電解質膜は、上記支持電解質塩と、上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物と、上記バインダー樹脂として、熱可塑性樹脂とを含有することが好ましい。上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)等の液状可塑剤が挙げられる。
例えば、上記液状可塑剤の含有量の異なる電解質膜を積層したり、上記バインダー樹脂として水酸基量の異なるポリビニルアセタール樹脂を含有する電解質膜を積層したりすることにより、得られる合わせガラスの遮音性を向上させることができる。
【0070】
上記電解質膜の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.01mm、好ましい上限は3.0mmである。上記電解質膜の厚さが0.01〜3.0mmであると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記電解質膜の厚さのより好ましい下限は0.1mm、より好ましい上限は2.0mm、更に好ましい下限は0.3mm、更に好ましい上限は1.0mmである。
【0071】
上記電解質膜を形成する方法は特に限定されず、例えば、上記式(1)で表される化合物又は上記式(2)で表される化合物に上記支持電解質塩を溶解した溶液を調製し、得られた溶液を上記バインダー樹脂と混合した混合物を熱プレス等の方法により電解質膜を形成する方法や、該混合物を押出機により押出成形し電解質膜を形成する方法等が挙げられる。
【0072】
上記電解質膜と、上記電解質膜の少なくとも片面に形成されたエレクトロクロミック層とを有する合わせガラス用中間膜も本発明の一つである。
【0073】
上記エレクトロクロミック層は、エレクトロクロミック化合物を含有する。
上記エレクトロクロミック層に含有されるエレクトロクロミック化合物は、エレクトロクロミック性を有する化合物であれば特に限定されず、無機化合物であってもよく、有機化合物であってもよい。
なお、エレクトロクロミック性を有するとは、電圧を印加することにより光の透過率が変化する性質を有することを意味する。
【0074】
上記エレクトロクロミック性を有する無機化合物は、例えば、Mo、Ir、NiO、V、WO、TiO等の金属酸化物や、プルシアンブルー等の混合原子価錯体が挙げられる。
上記エレクトロクロミック性を有する有機化合物は、例えば、ポリピロール化合物、ポリアセチレン化合物、ポリチオフェン化合物、ポリパラフェニレンビニレン化合物、ポリアニリン化合物、ポリエチレンジオキシチオフェン化合物、金属フタロシアニン化合物、ビオロゲン化合物、ビオロゲン塩化合物、フェロセン化合物、テレフタル酸ジメチル化合物等が挙げられる。なかでも、ポリアセチレン化合物が好ましく、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物がより好ましい。
【0075】
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は、エレクトロクロミック性と導電性とを有し、かつ、エレクトロクロミック層の形成が容易である。従って、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物を用いれば、優れた調光性能を有するエレクトロクロミック層を容易に形成できる。また、芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は、構造が変化することにより、吸収特性に変化を示す。その結果、吸収スペクトルが近赤外線の波長領域に及ぶため、エレクトロクロミック層は広い波長領域について優れた調光性能を有する。
【0076】
上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物は特に限定されないが、例えば、一置換又は二置換の芳香族を側鎖に有するポリアセチレン化合物等が好適である。
【0077】
上記芳香族側鎖を構成する置換基は特に限定されないが、例えば、フェニル、p−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−ブロモフェニル、p−ヨードフェニル、p−ヘキシルフェニル、p−オクチルフェニル、p−シアノフェニル、p−アセトキシフェニル、p−アセトフェニル、ビフェニル、o−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、p−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、o−(ジフェニルメチルシリル)フェニル、p−(ジフェニルメチルシリル)フェニル、o−(トリフェニルシリル)フェニル、p−(トリフェニルシリル)フェニル、o−(トリルジメチルシリル)フェニル、p−(トリルジメチルシリル)フェニル、o−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、p−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、o−(フェネチルジメチルシリル)フェニル、p−(フェネチルジメチルシリル)フェニル等のフェニル基や、ビフェニル基や、1−ナフチル、2−ナフチル、1−(4−フルオロ)ナフチル、1−(4−クロロ)ナフチル、1−(4−ブロモ)ナフチル、1−(4−ヘキシル)ナフチル、1−(4−オクチル)ナフチル等のナフチル基や、ナフタレン基や、1−アントラセン、1−(4−クロロ)アントラセン、1−(4−オクチル)アントラセン等のアントラセン基や、1−フェナントレン等のフェナントレン基や、1−フルオレン等のフルオレン基や、1−ペリレン等のペリレン基等が挙げられる。
上記芳香族側鎖を構成する置換基として、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ナフタレン基、アントラセン基、フェナントレン基、フルオレン基及びペリレン基からなる群より選択される少なくとも1種の置換基を有することが好ましい。なかでも、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなることから、上記芳香族側鎖を構成する置換基は、ナフチル基、ナフタレン基、アントラセン基、フェナントレン基、フルオレン基又はペリレン基であることがより好ましく、アントラセン基、フェナントレン基、フルオレン基又はペリレン基であることが更に好ましく、フェナントレン基であることが特に好ましい。
なお、上記芳香族側鎖を構成する置換基の一部の水素原子は、水素原子以外の原子又は原子団に置換されていてもよい。
【0078】
上記エレクトロクロミック層は、熱線吸収剤や接着力調整剤を含有してもよい。
上記熱線吸収剤は、上記電解質膜に含有される熱線吸収剤と同様の熱線吸収剤を用いることができる。上記接着力調整剤は、上記電解質膜に含有される接着力調整剤と同様の接着力調整剤を用いることができる。
【0079】
上記エレクトロクロミック層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は5μmである。上記エレクトロクロミック層の厚さが0.05〜5μmであると、電圧を印加してから光透過率の変化が完了するまでの時間がより一層短くなる。上記エレクトロクロミック層の厚さのより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は2μmであり、更に好ましい下限は0.2μm、更に好ましい上限は1μmである。
【0080】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記電解質膜、上記エレクトロクロミック層以外に、必要に応じて、紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層や、熱線吸収剤を含有する赤外線吸収層等を有してもよい。
【0081】
本発明の合わせガラス用中間膜は、表面にエンボスが形成されていることが好ましい。
上記エンボスの粗さは特に限定されないが、JIS B 0601で定義される10点平均粗さの好ましい下限は20μm、好ましい上限は50μmである。
上記エンボスは電解質膜又は電解質膜に形成されていることが好ましく、なかでも、導電膜と接する面の表面にエンボスが形成されていることがより好ましい。
【0082】
本発明の合わせガラス用中間膜が、導電膜が形成されている一対のガラス板の間に挟み込まれている調光体もまた、本発明の1つである。
上記ガラス板は、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
上記ガラス板として、2種類以上のガラス板を用いてもよい。例えば、透明フロート板ガラスと、グリーンガラスのような着色されたガラス板とで、本発明の合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスが挙げられる。また、上記ガラス板として、2種以上の厚さの異なるガラス板を用いてもよい。
【0083】
上記ガラス板は、少なくとも一方の面に導電膜が形成されている。本発明の合わせガラスにおいて本発明の合わせガラス用中間膜は、上記ガラス板の導電膜が形成された面に接するように2枚のガラス板の間に挟持される。
上記導電膜は、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等を含む透明導電膜が好ましい。
【0084】
本発明の調光体の面密度は特に限定されないが、12kg/m以下であることが好ましい。
本発明の調光体は、自動車用ガラスとして使用する場合は、サイドガラス、リアガラス、ルーフガラスとして用いることができる。
【発明の効果】
【0085】
本発明によれば、温度に影響されることなく、低温環境下及び高温環境下における応答速度の差が少なくなる調光体を得ることができる電解質膜、合わせガラス用中間膜、及び、調光体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0086】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明は実施例にのみ限定されない。
【0087】
(実施例1)
(1)電解質膜の調製
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジアセタート(上記式(1−1)で表される化合物)6.5重量部に、支持電解質塩としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)3重量部を溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、熱可塑性樹脂として、アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)10重量部とを混合して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質膜を得た。
【0088】
(2)エレクトロクロミック化合物の調製
窒素雰囲気下−50℃で9−エチニルフェナントレン3重量部を溶解させたテトラヒドロフラン溶液26.7重量部に30重量%のノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液13.4重量部を添加した。次いで、−90℃に冷却後、カリウムターシャリーブトキシド1.8重量部を溶解させたテトラヒドロフラン溶液13.3重量部を添加し、−80℃で1時間撹拌し、5℃まで昇温した。次いで、−70℃で1−ヨードオクタデカン5.6重量部を滴下し、−30℃で12時間撹拌した。0℃で水100重量部を滴下し、ヘキサン300重量部を加え、生成した化合物を抽出した。このヘキサン層を蒸留水300重量部で3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで1時間乾燥させ、濾過後、溶媒を留去した。カラム精製後溶媒を留去し、ヘキサンを展開溶媒としてカラム精製することにより9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンを得た。
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレンについてH−NMR(270MHz、CDCl)により分析を行ったところ、δ8.7(2H)、8.5(1H)、8.1(1H)、7.7(4H)、3.7(1H)、3.5(2H)、1.7(2H)、1.6(30H)、1.0(3H)のピークが認められた。
【0089】
得られた9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン3.5重量部を、WCl触媒0.17重量部を用いて重合させ、ポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)を得た。
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により測定した。Waters社製の液体クロマトグラフ装置(Waters2695、RI Waters2410、UV Waters2996)を用い、カラムはShodex社製LF−804を使用した。0.2重量%となるようにクロロホルムに溶解したポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)を100μL注入し、カラム温度40℃で移動相をクロロホルムとして測定を行った。ポリスチレン換算分子量は、数平均分子量14万7千、重量平均分子量31万5千であった。
【0090】
(3)エレクトロクロミック層の調製
得られたポリ(9−エチニル−10−n−オクタデシルフェナントレン)0.039重量部を1.3重量部のトルエンに溶解して溶液を調製した。この溶液を、得られた電解質膜上に、トルエンが揮発した後の厚さが0.3μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、乾燥して厚さ0.3μmのエレクトロクロミック層を形成させて、合わせガラス用中間膜を得た。
【0091】
(4)調光体の製造
85℃に加熱した合わせガラス用中間膜(縦5×横5cm)を、2枚のITO電極が形成されたガラス(縦5×横5cm、10Ω/cm)の間に挟み込むことにより、調光体を作製した。
【0092】
(実施例2〜29)
トリエチレングリコールジアセタートの代わりに表1に示した化合物を用いて電解質膜を調製した以外は実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び調光体を作製した。
【0093】
(実施例30)
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジブチラート(上記式(1−3)で表される化合物)6.5重量部に、支持電解質塩としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)3重量部を溶解して電解質溶液を調製した。得られた電解質溶液の全量と、熱可塑性樹脂として、アセチル基量18mol%、水酸基量15mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)10重量部とを混合して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で5分間加圧し、厚さ400μmの電解質膜を得た。
得られた電解質膜を用いた以外は実施例1と同様にして合わせガラス中間膜及び調光体を作製した。
【0094】
(実施例31)
熱可塑性樹脂として、アセチル基量6mol%、水酸基量18mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)を用いて電解質膜を調製した以外は実施例30と同様にして合わせガラス中間膜及び調光体を作製した。
【0095】
(実施例32)
熱可塑性樹脂として、アセチル基量18mol%、水酸基量11mol%のポリビニルヘキシラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ヘキシルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルヘキシラール樹脂)を用いて電解質膜を調製した以外は実施例30と同様にして合わせガラス中間膜及び調光体を作製した。
【0096】
(実施例33)
熱可塑性樹脂として、アセチル基量22mol%、水酸基量22mol%のポリビニルブチラール樹脂(平均重合度が2300のポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでブチラール化することにより得られたポリビニルブチラール樹脂)を用いて電解質膜を調製した以外は実施例30と同様にして合わせガラス中間膜及び調光体を作製した。
【0097】
(実施例34)
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジブチラート(上記式(1−3)で表される化合物)の配合量を12重量部に変更した以外は実施例3と同様にして合わせガラス中間膜及び調光体を作製した。
【0098】
(実施例35)
上記式(1)で表される化合物としてトリエチレングリコールジブチラート(上記式(1−3)で表される化合物)の配合量を5重量部に変更した以外は実施例3と同様にして合わせガラス中間膜及び調光体を作製した。
【0099】
(比較例1〜3)
トリエチレングリコールジアセタートの代わりに下記式及び表1に示した化合物を用いて電解質膜を調製した以外は実施例1と同様にして合わせガラス中間膜及び調光体を作製した。
【0100】
【化5】

【0101】
(評価)
実施例及び比較例にて得られた調光体について、以下の評価を行った。
結果を表1に示した。
【0102】
(1)低温環境下及び高温環境下における応答速度
実施例にて得られた調光体の低温環境下(−15℃)、及び、高温環境下(85℃)における応答速度の差は、従来の調光体と比較して、少なかった。
(2)応答性評価
完全に着色した状態の合わせガラスの波長640nmの光の透過率をTC、完全に消色した状態の合わせガラスの波長640nmの光の透過率をTBとする。
完全に着色した状態の合わせガラスに+2Vの電圧を印加し、電圧を印加してから合わせガラスの波長640nmの光の透過率がTCからT1=TC+(TB−TC)×0.8まで変化するのに要した時間を測定し、これを消色時間t1とした。
完全に消色した状態の合わせガラスに−2Vの電圧を印加し、電圧を印加してから合わせガラスの波長640nmの光の透過率がTBからT2=TB−(TB−TC)×0.8まで変化するのに要した時間を測定し、これを着色時間t2とした。
なお、透過率の測定には、日本分光社製の分光光度計「V−670」を用いた。
【0103】
(3)繰返し耐久性
完全に着色した状態の合わせガラスに、上記応答性評価により得られた消色時間t1だけ+2Vの電圧を印加して消色させた。次いで、消色させた合わせガラスに上記応答性評価より得られた着色時間t2だけ−2Vの電圧を印加して着色させた。この消色から着色までを一周期として、5000周期消色と着色とを繰り返した。
5000周期消色と着色とを繰り返した後に、完全に着色した状態の合わせガラスに+2Vの電圧を印加し、電圧を印加してから合わせガラスの波長640nmの光の透過率がTCからT1=TC+(TB−TC)×0.8まで変化するのに要した時間を測定し、これを消色時間t3とした。
繰返し耐久性について、t3≦2×t1の場合を「○」と、2×t1<t3≦5×t1の場合を「△」と、t3>5×t1の場合「×」と評価した。
【0104】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明によれば、温度に影響されることなく、低温環境下及び高温環境下における応答速度の差が少ない調光体を得ることができる電解質膜、合わせガラス用中間膜、及び、調光体を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持電解質塩、バインダー樹脂、及び、有機溶剤を含有する電解質膜であって、前記電解質膜の−15℃の弾性率に対する、前記電解質膜の25℃の弾性率の比が1〜0.001であり、かつ、前記電解質膜の25℃の弾性率に対する、前記電解質膜の85℃の弾性率の比が0.1〜2であることを特徴とする電解質膜。
【請求項2】
有機溶剤は可塑剤であることを特徴とする請求項1記載の電解質膜。
【請求項3】
可塑剤は下記式(1)で表される化合物又は下記式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項2記載の電解質膜。
【化1】

式(1)中、n=2〜4の整数を表し、Rは水素原子、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基を表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜7の有機基を有するアシル基又は炭素数1〜8の有機基を表し、少なくともR又はRの何れかはアシル基を有する。
【化2】

式(2)中、Rは炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基を表し、Rは炭素数2〜8のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基を表し、Rは炭素数2〜8であり、酸素原子を有する有機基を表す。R及びRは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【請求項4】
式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、少なくともR又はRの何れかはアシル基を有することを特徴とする請求項3記載の電解質膜。
【請求項5】
式(1)中、Rは炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基を表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、Rは炭素数1〜7のアルキル基を有するアシル基を表すことを特徴とする請求項4記載の電解質膜。
【請求項6】
式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を有するアシル基を表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、Rは炭素数1〜6のアルキル基を有するアシル基を表すことを特徴とする請求項4記載の電解質膜。
【請求項7】
式(1)中、Rは炭素数1〜7であり、かつ、直鎖構造を有するアルキル基を有するアシル基を表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、Rは炭素数1〜7であり、かつ、直鎖構造を有するアルキル基を有するアシル基を表すことを特徴とする請求項4記載の電解質膜。
【請求項8】
式(1)中、Rは炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が1以下であるアルキル基を有するアシル基を表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、Rは炭素数1〜7であり、分岐構造を有し、かつ、分岐鎖の炭素数が1以下であるアルキル基を有するアシル基を表すことを特徴とする請求項4記載の電解質膜。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の電解質膜と、前記電解質膜の少なくとも片面に形成されたエレクトロクロミック層とを有することを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
請求項9記載の合わせガラス用中間膜が、導電膜が形成されている一対のガラス板の間に挟み込まれていることを特徴とする調光体。

【公開番号】特開2013−1787(P2013−1787A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133745(P2011−133745)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】