説明

電話システム

【課題】既存の電話システムに対して、外部の電話端末を、仮想的な内線端末として容易にリモート接続する。
【解決手段】通信網32を介して外部電話端末20とリモートディスクトップ機能によりリモート接続することにより、当該外部電話端末20との間でデータ通信を行うRDサーバ14を設け、内部通信回線Lに接続された内線ハブ13で、当該電話制御装置11との間で呼制御メッセージをやり取りするとともに、これら呼制御メッセージとRDサーバ14を介して外部電話端末20との間でやり取りした呼制御メッセージとを中継処理することにより、当該外部電話端末20を仮想内線端末として当該電話制御装置11へ接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話制御技術に関し、特に電話システムに外部から接続される電話端末を、電話システムの内線端末として接続するリモート接続技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや店舗などの事業施設では、複数の内線端末を電話網に対して交換接続するボタン電話装置やPBXなどの電話制御装置を備える電話システムが用いられる。
このような電話システムでは、電話制御装置に内線接続されている内線端末と同様の環境を、外出した利用者の携帯電話端末に対して提供する技術が検討されている。
【0003】
電話システムの外部から接続される電話端末から、電話システムの内線端末へアクセスして音声通話を行う一般的な方式として、電話システムで使用するSIPサーバのIPアドレスを公開する方式が考えられる。この方式では、外出した利用者の電話端末からインターネット経由でSIPサーバへアクセスして、電話システムに接続されている任意の内線端末が着信先として指定された場合、SIPサーバでアドレス変換して当該内線端末を直接呼び出すことになる。
【0004】
しかし、この方式によれば、SIPサーバのアドレスが公開されるため、第三者が電話システムの内線端末へ不正に接続する可能性がある。また、外出した利用者とは、インターネット経由の非暗号化VoIP方式で内線通話を行うことになる。このため、盗聴などの危険性があり、内線通話として十分なセキュリティ性を得ることができない。また、各内線端末にグローバルIPアドレスを設定する必要があるため、管理コストも増大する。
【0005】
従来、このような電話システムにおいて、電話制御装置に内線接続されている主内線端末に加えて、インターネットを介して電話制御装置とリモート接続される副内線端末を設け、これら両端末を関連付けて呼制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。この技術によれば、内線接続されている主内線端末と、インターネットを介してリモート接続される副内線端末とを、対として呼制御している。
【0006】
具体的には、主内線端末に対して内線着信や外線着信が発生した場合、主内線端末だけでなく、対応する副内線端末へも着信を通知する、あるいは一方の内線端末が通話中に他方の内線端末がオフフックすると、通話が一方の内線端末から他方の内線端末へ切り替える、などの呼制御が行われる。これにより、利用者は自宅や外出先であっても、事業施設に設置されている主内線端末と同様の環境で、副電話端末を利用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−033684号公報
【特許文献2】特開2002−351829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来技術では、電話システムの電話制御装置において、内線接続されている主内線端末と、インターネットを介してリモート接続される副内線端末とを、対として呼制御する必要があるため、電話制御装置における呼制御を大幅に変更する必要がある。このため、既存の電話制御装置では容易に対応できず、新たな電話制御装置が必要となる。したがって、既存の電話システムに対して、外部の電話端末を、仮想的な内線端末として容易にリモート接続することができないという問題点があった。
【0009】
また、従来技術では、内線接続されている主内線端末と、インターネットを介してリモート接続される副内線端末とが、対として呼制御される。このため、対をなす主内線端末と副内線端末とが、運用上、1つの内線端末として動作するため、副内線端末を1つの独立した内線端末として利用することができない。このため、使い勝手が悪いだけでなく、電話システムにおけるすべての内線端末の半数しか実際に使用されないことになり、運用効率が悪いという問題点があった。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、既存の電話システムに対して、外部の電話端末を、仮想的な内線端末として容易にリモート接続できるリモート接続技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話システムは、IP電話機能を有する複数の内線端末と、内部通信回線を介してこれら内線端末と呼制御メッセージをやり取りすることにより、これら内線端末を電話網に対して交換接続するとともに、これら内線端末間を相互接続する電話制御装置と、IP電話機能を有する外部電話端末と通信網を介してリモートディスクトップ機能に基づきリモート接続することにより、当該外部電話端末との間でデータ通信を行うRDサーバと、内部通信回線に接続されて、当該電話制御装置との間で呼制御メッセージをやり取りするとともに、これら呼制御メッセージとRDサーバを介して外部電話端末との間でやり取りした呼制御メッセージとを中継処理することにより、当該外部電話端末を仮想内線端末として当該電話制御装置へ接続する内線ハブとを備えている。
【0012】
この際、内線ハブで、内部通信回線を介して内線端末との間で音声パケットをやり取りするとともに、これら音声パケットとRDサーバを介して外部電話端末との間でやり取りした音声パケットとを中継処理することにより、内線端末と外部電話端末との音声通話を実現するようにしてもよい。
【0013】
また、外部電話端末に、通信網を介して、電話システムのRDサーバと、リモートディスクトップ機能に基づきリモート接続することにより、内線ハブとの間でデータ通信を行うRDクライアントと、IP電話機能を有し、呼制御メッセージに基づいて当該外部電話端末の呼制御動作を行うとともに、音声パケットに基づいてVoIP音声通話を行う通話処理部と、通話処理部との間で呼制御メッセージをやり取りするとともに、RDクライアントを介して内線ハブとの間で呼制御メッセージをやり取りすることにより、通話処理部および内線ハブとの間でやり取りした呼制御メッセージを相互に中継処理する制御部とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、既存の電話システムのうち、電話制御装置の内線端末と同様にして内線ハブを接続するとともに、この内線ハブにRDサーバを接続することにより、電話システムに対して、外部の外部電話端末を、仮想的な内線端末として容易にリモート接続できる。
【0015】
また、このようにしてリモート接続された外部電話端末には、予め割り当てられた個別の内線電話番号で呼制御されるため、外部電話端末を1つの独立した内線端末として利用することができる。このため、使い勝手が良くなるとともに、電話システムにおけるすべての内線端末が実際に使用されることになり、高い運用効率が得られる。
さらに、電話システムと外部電話端末との間でやり取りする呼制御メッセージとして、独自のメッセージをやり取りすることができるため、電話システムに特有の制御メッセージをやり取りすることができ、内線端末と同様の機能を外部電話端末でも利用できる。
【0016】
特に、リモートディスクトップ機能を用いた場合、電話システムと外部電話端末とが、トンネリングされたリンクを介して接続されるため、VPNなどの他のサービスを利用することなく、音声パケットをセキュアにやり取りすることができる。したがって、音声通話が盗聴されにくくなり、高いセキュリティ性が得られる。また、ルータのポートを公開する必要がなくなり、セキュリティホールを利用した第三者による不正アクセスを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる電話システムの着信動作を示すシーケンス図である。
【図3】第1の実施の形態にかかる電話システムの発信動作を示すシーケンス図である。
【図4】第2の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【図5】第3の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【図6】第3の実施の形態にかかる電話システムの着信動作を示すシーケンス図である。
【図7】第3の実施の形態にかかる電話システムの発信動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システム10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
この電話システム10は、全体としてボタン電話装置やPBXなどの電話交換装置からなり、複数の内線端末12と、通信回線Lを介して内線接続したこれら内線端末12を、電話網31に対して交換接続する電話制御装置11とを備えている。
【0019】
本実施の形態は、通信網を介してIP電話機能を有する外部電話端末とリモートディスクトップ機能によりリモート接続することにより、当該外部電話端末との間でデータ通信を行うRDサーバを設け、内部通信回線に接続された内線ハブで、当該電話制御装置との間で呼制御メッセージをやり取りするとともに、これら呼制御メッセージとRDサーバを介して外部電話端末との間でやり取りした呼制御メッセージとを中継処理することにより、当該外部電話端末を仮想内線端末として当該電話制御装置へ接続するようにしたものである。
【0020】
[電話システム]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる電話システム10の構成について詳細に説明する。
電話システム10には、主な機能部として、電話制御装置11、内線端末12、内線ハブ13、RDサーバ14、およびルータ15が設けられている。
【0021】
電話制御装置11は、SIPサーバなどの呼制御サーバからなり、内部通信回線Lを介して内線端末12および内線ハブ13と呼制御メッセージをやり取りすることにより、これら内線端末12さらには内線ハブ13で実現される仮想内線端末を、IP電話網などの電話網31に対して交換接続する機能と、これら仮想内線端末を含む内線端末12間を相互接続する機能とを有している。この際、電話制御装置11は、内線端末12と内線ハブ13で実現される仮想内線端末との違いを認識しておらず、仮想内線端末を内線端末12として呼制御することになる。
【0022】
内線端末12は、IP電話機能を有する一般的な電話端末からなり、内部通信回線Lを介して電話制御装置11との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより内線端末12の呼制御動作を行う機能と、内部通信回線Lを介して接続された他の内線端末12、電話制御装置11から電話網31を介して接続された相手電話端末(図示せず)、あるいは内線ハブ13を介して接続された外部電話端末20との間で、RTPなどの音声パケットをやり取りすることによりVoIP音声通話を行う機能とを有している。内線端末12としては、ボタン電話システムやPBXシステムで使用されるIP電話機のほか、パソコンなどのPC端末のソフトフォンであってもよい。
【0023】
内線ハブ13は、SIPなどの呼制御プロトコルに基づき呼制御メッセージや音声パケットを中継処理するゲートウェイ装置からなり、電話制御装置11に対しては、予め割り当てられている1つまたは複数の内線番号を持つ仮想内線端末として動作する。この内線ハブ13には、内線番号と外部電話端末20のアドレスとの対応関係が登録されており、この対応関係がRDサーバ14へ通知されて、仮想内線端末ごとに、RDサーバ14との間で個別のIPセッションが予め確立される。
【0024】
内線ハブ13は、呼制御処理機能として、内部通信回線Lを介して電話制御装置11との間で呼制御メッセージをやり取りする機能と、RDサーバ14を介して外部電話端末20との間で呼制御メッセージをやり取りする機能と、これら電話制御装置11および外部電話端末20との間でやり取りした呼制御メッセージを相互に中継処理することにより、外部電話端末20を仮想内線端末として電話制御装置11へ接続する機能とを有している。
【0025】
また、内線ハブ13は、内線音声処理機能として、内部通信回線Lを介して内線端末12との間で音声パケットをやり取りする機能と、RDサーバ14を介して外部電話端末20との間で音声パケットをやり取りする機能と、これら内線端末12および外部電話端末20との間でやり取りした音声パケットを相互に中継処理することにより、内線端末12と外部電話端末20との音声通話を実現する機能とを有している。
【0026】
RDサーバ14は、インターネットなどの通信網32を介して、外部電話端末20と、リモートディスクトップ機能に基づきリモート接続することにより、外部電話端末20との間でデータ通信を行う機能と、RDクライアント22から受信したパケットのプロトコル種別をポート番号などに基づいて確認し、プロトコル種別がSIP/RTPのものを内線ハブ13へ転送する機能とを有している。
【0027】
リモートディスクトップ機能は、ネットワーク上の離れたコンピュータを遠隔操作するために開発された機能であり(例えば、特許文献2など参照)、バーチャルネットワークコンピューティング(Virtual Network Computing)も同様の機能である。このようなリモート接続のリンクはトンネリングされているので、高いセキュリティ性が得られるとともに、SIP/RTPを初めとして各種プロトコルのパケットを転送できる。
【0028】
ルータ15は、光回線終端装置(ONU)などのルータ装置からなり、RDサーバ14と通信網との間に接続されて、RDサーバ14と通信網とのデータ通信を中継接続する機能を有している。
これら機能部のうち、電話制御装置11、内線端末12、内線ハブ13、およびRDサーバ14は、LAN回線などからなる内部通信回線Lを介して、各種パケットを相互にやり取り可能に接続されている。
【0029】
[外部電話端末]
次に、図1を参照して、外部電話端末20の構成について説明する。
外部電話端末20は、全体としてIP電話機能を有する、携帯電話機やスマートホンなどの携帯通信端末、さらにはPC端末などの情報通信端末からなり、主な機能部として、網I/F部21、RDクライアント22、呼制御部23、および通話処理部24が設けられている。
【0030】
網I/F部21は、インターネットなどの通信網32を介して電話システム10のルータとデータ通信を行う機能を有している。
RDクライアント22は、通信網32を介して、電話システム10のRDサーバ14と、リモートディスクトップ機能に基づきリモート接続することにより、内線ハブ13との間でデータ通信を行う機能を有している。
【0031】
呼制御部23は、SIPなどの呼制御プロトコルに基づき呼制御メッセージや音声パケットを中継処理するゲートウェイ機能からなり、通話処理部24に対するSIPゲートウェイとして動作する。この呼制御部23には、外部電話端末20に予め割り当てられた内線番号と外部電話端末20のアドレスとが関連付けて登録されており、この関連付けに基づいて、呼制御メッセージや音声パケットの転送先を確認する。
【0032】
また、呼制御部23は、呼制御処理機能として、内部バスBを介して通話処理部24との間で呼制御メッセージをやり取りする機能と、RDクライアント22を介して電話システム10との間で呼制御メッセージをやり取りする機能と、これら通話処理部24および電話システム10との間でやり取りした呼制御メッセージを相互に中継処理することにより、外部電話端末20を仮想内線端末として電話システム10へ接続する機能とを有している。
【0033】
さらに、呼制御部23は、音声処理機能として、内部バスBを介して通話処理部24との間で音声パケットをやり取りする機能と、内部バスBからRDクライアント22を介して電話システム10との間で音声パケットをやり取りする機能と、これら通話処理部24および電話システム10との間でやり取りした音声パケットを相互に中継処理することにより、外部電話端末20と電話システム10との音声通話を実現する機能とを有している。
【0034】
通話処理部24は、IP電話機能を有する一般的な電話端末機能からなり、内部バスBを介して呼制御部23との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより外部電話端末20の呼制御動作を行う機能と、内部バスBを介して呼制御部23との間でRTPなどの音声パケットをやり取りすることによりVoIP音声通話を行う機能とを有している。
【0035】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図2を参照して、本実施の形態にかかる電話システム10の動作について説明する。図2は、第1の実施の形態にかかる電話システムの着信動作を示すシーケンス図である。
ここでは、外部電話端末20から電話システム10の内線端末12を呼び出した場合の着信動作について説明する。
【0036】
外部電話端末20は、電話システム10に対して仮想内線端末としてアクセスするため、予め利用者操作に応じて、RDクライアント22より、電話システム10のRDサーバ14と間で、通信網32を介したリモート接続を確立する(ステップ100)。
【0037】
この後、利用者による内線呼出操作に応じて(ステップ110)、通話処理部24は、電話システム10の内線端末12を示す着側内線番号を含む発信要求メッセージを呼制御部23へ通知する(ステップ111)。
呼制御部23は、通話処理部24からの発信要求メッセージに応じて、当該メッセージに含まれる着側内線番号の内線端末12に対する着信通知メッセージを、RDクライアント22へ通知する(ステップ112)。
RDクライアント22は、呼制御部23からの着信通知メッセージを、RDサーバ14との間で確立したリモート接続を介して電話システム10へ送信する。
【0038】
電話システム10のRDサーバ14は、リモート接続を介して外部電話端末20から任意のパケットを受信した際、当該パケットのプロトコル種別を確認する(ステップ113)。ここで、受信した着信通知メッセージは通話用データであることから、内部通信回線Lを介して内線ハブ13へ当該メッセージを通知する(ステップ113:YES)。
【0039】
この際、内線ハブ13に割り当てられている仮想内線端末ごとに、RDサーバ14と内線ハブ13との間で個別のIPセッションが予め確立されている。RDサーバ14は、呼制御メッセージや音声パケットを内線ハブ13との間でやり取りする際、これら呼制御メッセージや音声パケットから外部電話端末20のアドレスを確認し、内線ハブ13との間で仮想内線端末ごとに接続したIPセッションのうちから、対応するIPセッションを選択し、当該IPセッションを介して呼制御メッセージや音声パケットを内線ハブ13との間でやり取りする。
【0040】
内線ハブ13は、RDサーバ14を介して外部電話端末20からの着信通知メッセージを受信した際、当該メッセージから取得した外部電話端末20のアドレスに基づいて、対応する仮想内線端末の内線番号を確認し、この内線番号を発側内線番号とした、当該メッセージに含まれている着側内線番号への発信要求メッセージを、内部通信回線Lを介して電話制御装置11へ通知する(ステップ114)。
【0041】
電話制御装置11は、内線ハブ13からの発信要求メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている着側内線番号と対応する内線端末12へ、外部電話端末20と対応する仮想内線端末からの着信を通知する着信通知メッセージを、内部通信回線Lを介して通知する(ステップ115)。
内線端末12は、電話制御装置11からの着信通知メッセージに応じて、内線着信を知らせる着信表示を行う(ステップ116)。
【0042】
この着信表示に応じて、内線端末12で応答操作が行われた場合(ステップ120)、内線端末12は、当該着信通知メッセージに対する応答メッセージを、内部通信回線Lを介して電話制御装置11へ通知する(ステップ121)。
電話制御装置11は、内線端末12からの応答メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている発側内線番号と対応する仮想内線端末、すなわち内線ハブ13へ、応答メッセージを通知する(ステップ122)。
【0043】
内線ハブ13は、電話制御装置11からの応答メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている発側内線番号と対応する外部電話端末20を特定し、当該外部電話端末20への応答メッセージを、当該外部電話端末20に対するIPセッションを介してRDサーバ14へ通知する(ステップ123)。
RDサーバ14は、内線ハブ13からの応答メッセージを、RDクライアント22との間で確立したリモート接続を介して外部電話端末20へ送信する。
【0044】
外部電話端末20のRDクライアント22は、リモート接続を介して電話システム10から任意のパケットを受信した際、当該パケットのプロトコル種別を確認する(ステップ124)。ここで、受信した応答メッセージは通話用データであることから、内部バスBを介して呼制御部23へ当該メッセージを通知する(ステップ124:YES)。
【0045】
呼制御部23は、RDクライアント22から通知された応答メッセージを、内部バスBを介して通話処理部24へ通知する(ステップ125)。
これにより、RDサーバ14とRDクライアント22との間で確立されているリモート接続を介して、外部電話端末20の通話処理部24と、電話システム10の内線端末12との間で、音声パケットのやり取りが開始され、VoIP通知が開始される(ステップ130)。
【0046】
次に、図3を参照して、本実施の形態にかかる電話システム10の動作について説明する。図3は、第1の実施の形態にかかる電話システムの発信動作を示すシーケンス図である。
ここでは、電話システム10の内線端末12から外部電話端末20を呼び出した場合の発信動作について説明する。
【0047】
外部電話端末20は、電話システム10に対して仮想内線端末としてアクセスするため、予め利用者操作に応じて、RDクライアント22より、電話システム10のRDサーバ14と間で、通信網32を介したリモート接続を確立する(ステップ100)。
【0048】
この後、利用者による内線呼出操作に応じて(ステップ150)、電話システム10の内線端末12は、外部電話端末20と対応する仮想内線端末を示す着側内線番号を含む発信要求メッセージを、内部通信回線Lを介して電話制御装置11へ通知する(ステップ151)。
電話制御装置11は、内線端末12からの発信要求メッセージに応じて、当該メッセージに含まれる着側内線番号の内線端末に対する着信通知メッセージを、対応する仮想内線端末、すなわち内線ハブ13へ通知する(ステップ152)。
【0049】
内線ハブ13は、電話制御装置11からの着信通知メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている着側内線番号と対応する外部電話端末20を特定し、当該外部電話端末20への発信要求メッセージを、当該外部電話端末20に対するIPセッションを介してRDサーバ14へ通知する(ステップ153)。
RDサーバ14は、内線ハブ13からの発信要求メッセージを、RDクライアント22との間で確立したリモート接続を介して外部電話端末20へ送信する。
【0050】
外部電話端末20のRDクライアント22は、リモート接続を介して電話システム10から任意のパケットを受信した際、当該パケットのプロトコル種別を確認する(ステップ154)。ここで、受信した発信要求メッセージは通話用データであることから、内部バスBを介して呼制御部23へ当該メッセージを通知する(ステップ154:YES)。
【0051】
呼制御部23は、RDクライアント22から通知された発信要求メッセージに応じて、着信通知メッセージを、内部バスBを介して通話処理部24へ通知する(ステップ155)。
通話処理部24は、呼制御部23からの着信通知メッセージに応じて、内線着信を知らせる着信表示を行う(ステップ156)。
【0052】
この着信表示に応じて、外部電話端末20で応答操作が行われた場合(ステップ160)、通話処理部24は、当該着信通知メッセージに対する応答メッセージを、内部バスBを介して呼制御部23へ通知する(ステップ161)。
呼制御部23は、通話処理部24からの応答メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている発側内線番号の内線端末12に対する応答メッセージを、RDクライアント22へ通知する(ステップ162)。
RDクライアント22は、呼制御部23からの応答メッセージを、RDサーバ14との間で確立したリモート接続を介して電話システム10へ送信する。
【0053】
電話システム10のRDサーバ14は、リモート接続を介して外部電話端末20から任意のパケットを受信した際、当該パケットのプロトコル種別を確認する(ステップ163)。ここで、受信した応答メッセージは通話用データであることから、当該外部電話端末20に対するIPセッションを介して内線ハブ13へ当該メッセージを通知する(ステップ163:YES)。
【0054】
内線ハブ13は、RDサーバ14を介して外部電話端末20からの応答メッセージを受信した際、当該メッセージから取得した外部電話端末20のアドレスに基づいて、対応する仮想内線端末の内線番号を確認し、この内線番号を着側内線番号とした、当該メッセージに含まれている発側内線番号への応答メッセージを、内部通信回線Lを介して電話制御装置11へ通知する(ステップ164)。
【0055】
電話制御装置11は、内線ハブ13からの応答メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている発側内線番号と対応する内線端末12へ、外部電話端末20と対応する仮想内線端末からの応答を通知する応答メッセージを、内部通信回線Lを介して通知する(ステップ165)。
これにより、RDサーバ14とRDクライアント22との間で確立されているリモート接続を介して、外部電話端末20の通話処理部24と、電話システム10の内線端末12との間で、音声パケットのやり取りが開始され、VoIP通知が開始される(ステップ170)。
【0056】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、通信網32を介して外部電話端末20とリモートディスクトップ機能によりリモート接続することにより、当該外部電話端末20との間でデータ通信を行うRDサーバ14を設け、内部通信回線Lに接続された内線ハブ13で、当該電話制御装置11との間で呼制御メッセージをやり取りするとともに、これら呼制御メッセージとRDサーバ14を介して外部電話端末20との間でやり取りした呼制御メッセージとを中継処理することにより、当該外部電話端末20を仮想内線端末として当該電話制御装置11へ接続するようにしたものである。
【0057】
したがって、既存の電話システム10のうち、電話制御装置11の内線端末12と同様にして内線ハブ13を接続するとともに、この内線ハブ13にRDサーバ14を接続することにより、電話システム10に対して、外部の外部電話端末20を、仮想的な内線端末として容易にリモート接続できる。
【0058】
また、このようにしてリモート接続された外部電話端末20には、予め割り当てられた個別の内線電話番号で呼制御されるため、外部電話端末20を1つの独立した内線端末として利用することができる。このため、使い勝手が良くなるとともに、電話システム10におけるすべての内線端末が実際に使用されることになり、高い運用効率が得られる。
さらに、電話システム10と外部電話端末20との間でやり取りする呼制御メッセージとして、独自のメッセージをやり取りすることができるため、電話システム10に特有の制御メッセージをやり取りすることができ、内線端末12と同様の機能を外部電話端末20でも利用できる。
【0059】
リモートディスクトップ機能を用いた場合、電話システム10と外部電話端末20とが、トンネリングされたリンクを介して接続されるため、VPNなどの他のサービスを利用することなく、音声パケットをセキュアにやり取りすることができる。したがって、音声通話が盗聴されにくくなり、高いセキュリティ性が得られる。また、ルータのポートを公開する必要がなくなり、セキュリティホールを利用した第三者による不正アクセスを防止することもできる。
【0060】
また、本実施の形態では、内線ハブ13は、内部通信回線Lを介して内線端末12との間で音声パケットをやり取りするとともに、これら音声パケットとRDサーバ14を介して外部電話端末20との間でやり取りした音声パケットとを中継処理するようにしたので、電話システム10において、内線端末12とRDサーバ14との間で音声パケットを直接やり取りさせるための手続きを行うことなく、内線端末12と外部電話端末20との間の音声パケットを容易にやり取りすることができる。これにより、内線端末12と外部電話端末20との音声通話を極めて容易に実現することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、外部電話端末20が、電話システム10の内線端末12との間で、内線通話を行う場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、外部電話端末20が、電話システム10を介して電話網31に接続されている相手電話端末(図示せず)と、外線通話を行うことも可能である。
【0062】
この場合、内線ハブ13に、外線音声処理機能として、内部通信回線Lを介して電話制御装置11との間で音声パケットをやり取りする機能と、これら電話制御装置11および外部電話端末20との間でやり取りした音声パケットを相互に中継処理することにより、電話制御装置11から電話網31を介して接続された相手電話端末と外部電話端末20との音声通話を実現する機能とを設ければよい。
これにより、電話制御装置11は、外部電話端末20に相当する仮想内線端末に対する呼制御を、内線端末12と同様に行うため、外部電話端末20が、電話システム10を介して電話網31に接続されている相手電話端末(図示せず)と、外線通話を行うことが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態で、外部電話端末20のRDクライアント22は、USBインターフェースを持つ小型電子機器に予め実装しておくことができる。これにより、当該小型電子機器を、既存の外部電話端末20のUSBインターフェースへ対して接続するという作業で、極めて容易に外部電話端末20をRDクライアント22に追加することができる。さらに、RDクライアント22に加えて呼制御部23を小型電子機器に実装しておいてもよい。したがって、RDクライアント22さらには呼制御部23を実現するソフトウェアを外部電話端末20へインストールしておく必要がなくなり、利用者の作業負担を大幅に軽減できる。
【0064】
また、小型電子機器を、外部電話端末20から取り外せば、電話システム10へリモート接続することができなくなるため、外部電話端末20の不正使用を容易に防止できる。
さらに、リモートディスクトップ機能には、監視機能が設けられているため、プロトコル監視を行うことができる。このため、電話システム10の内線ハブ13において、利用者の制限や管理、あるいは通話規制や通話管理を行うことができる。また、SSHを適用した場合、リモートメンテナンス機能を利用して、メンテナンス作業を監視することもできる。
【0065】
[第2の実施の形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる電話システム10について説明する。図4は、第2の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【0066】
第1の実施の形態では、外部電話端末20が、電話システム10の内線端末12との間で、内線通話を行う場合を例として説明した。本実施の形態では、外部電話端末20が、電話システム10のデータ通信端末16との間でデータ通信を行う場合について説明する。
【0067】
本実施の形態において、電話システム10に1つあるいは複数のデータ通信端末16が設けられており、外部電話端末20に1つあるいは複数のデータ通信処理部25が設けられている。
データ通信端末16は、データ通信機能を有するサーバ装置やPC端末などの一般的なデータ通信端末からなり、内部通信回線Lに接続されて、RDサーバ14を介して外部電話端末20との間で、データパケットをやり取りする機能を有している。
RDサーバ14は、RDクライアント22から受信したパケットのプロトコル種別を確認し、そのプロトコル種別がSIP/RTPの場合には内線ハブ13へ当該パケットを転送し、SIP/RTP以外の場合には当該プロトコル種別に対して予め設定されているデータ通信端末16へ当該パケットを転送する機能を有している。
【0068】
データ通信処理部25は、上位アプリケーションからの要求に応じて、RDクライアント22を介して電話システム10との間でデータパケットをやり取りする機能を有している。
RDクライアント22は、RDサーバ14から受信したパケットのプロトコル種別を確認し、そのプロトコル種別がSIP/RTPの場合には通話処理部24へ当該パケットを転送し、SIP/RTP以外の場合には当該プロトコル種別に対して予め設定されているデータ通信処理部25へ当該パケットを転送する機能を有している。
【0069】
前述したように、リモートディスクトップ機能を用いたリモート接続では、そのリンクがトンネリングされているため、SIP/RTPだけでなく、FTP、HTTP、SSH、DHCP、SNMPなどの各種プロトコルのパケットをやり取りすることができる。
したがって、電話システム10の内線ハブ13と外部電話端末20の通話処理部24と間でVoIP音声通話用のSIP/RTPに関するパケットをやり取りするのと同様に、その他のプロトコルのパケットについて、電話システム10のデータ通信端末16と外部電話端末20のデータ通信処理部25と間でやり取りすればよい。
【0070】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態では、電話システム10のデータ通信端末16と外部電話端末20のデータ通信処理部25と間で、RDサーバ14とRDクライアント22との間のリモートディスクトップ機能に基づくリモート接続を介して、SIP/RTP以外の各種データパケットをやり取りするようにしたものである。
【0071】
これにより、IP電話アプリケーション以外の数多くのアプリケーションを用いて、外部電話端末20から電話システム10へ、アクセスすることが可能となる。この際、リモート接続のリンクはトンネリングされていることから第三者に盗聴されにくく、またルータのポートを公開する必要がないため外部からの不正侵入も防ぐことができ、結果として、データパケットのやり取りにおいて高いセキュリティ性を維持することもできる。
したがって、外出先からデータ通信端末16へアクセスしてデータの閲覧や入力、電子メールの送受信、IPテレビ会議などのサービスを利用することができ、外出利用者にとって極めて高い利便性が得られる。
【0072】
[第3の実施の形態]
次に、図5を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる電話システム10について説明する。図5は、第3の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【0073】
第1の実施の形態では、電話システム10にRDサーバ14を設けるとともに、外部電話端末20にRDクライアント22を設け、これらRDサーバ14とRDクライアント22との間のリモートディスクトップ機能に基づくリモート接続を介して、電話システム10の内線ハブ13と外部電話端末20の呼制御部23との間で、SIP/RTPのパケットをやり取りする場合を例として説明した。
【0074】
本実施の形態では、電話システム10と外部電話端末20との間で、リモートディスクトップ機能に基づくリモート接続を利用せず、内線ハブ13と外部電話端末20との間でSIP/RTPのパケットをやり取りする場合について説明する。
【0075】
本実施の形態において、電話システム10の内線ハブ13は、SIPなどの呼制御プロトコルに基づき呼制御メッセージや音声パケットを中継処理するゲートウェイ装置からなり、電話制御装置11に対しては、予め割り当てられている1つまたは複数の内線番号を持つ仮想内線端末として動作する。
【0076】
本実施の形態において、電話システム10にはRDサーバ14が設けられておらず、これら代えて、内線ハブ13に、通信網32を介して外部電話端末20とデータ通信を行うデータ通信I/F部が設けられている。これにより、内線ハブ13は、予め登録されている、内線番号と外部電話端末20のアドレスとの対応関係に基づいて、仮想内線端末ごとに、それぞれ対応する外部電話端末20との間で、データ通信I/F部を介して個別のIPセッションが予め確立される。
【0077】
また、内線ハブ13は、呼制御処理機能として、内部通信回線Lを介して電話制御装置11との間で呼制御メッセージをやり取りする機能と、データ通信I/F部を介して外部電話端末20との間で呼制御メッセージをやり取りする機能と、これら電話制御装置11および外部電話端末20との間でやり取りした呼制御メッセージを相互に中継処理することにより、外部電話端末20を仮想内線端末として電話制御装置11へ接続する機能とを有している。
【0078】
さらに、内線ハブ13は、内線音声処理機能として、内部通信回線Lを介して内線端末12との間で音声パケットをやり取りする機能と、データ通信I/F部を介して外部電話端末20との間で音声パケットをやり取りする機能と、これら内線端末12および外部電話端末20との間でやり取りした音声パケットを相互に中継処理することにより、内線端末12と外部電話端末20との音声通話を実現する機能とを有している。
【0079】
また、本実施の形態において、外部電話端末20にはRDクライアント22が設けられておらず、内部バスBを介して呼制御部23と網I/F部21との間で、SIP/RTPなどのパケットがやり取りされる。
【0080】
すなわち、呼制御部23は、SIPなどの呼制御プロトコルに基づき呼制御メッセージや音声パケットを中継処理するゲートウェイ機能からなり、呼制御処理機能として、内部バスBを介して通話処理部24との間で呼制御メッセージをやり取りする機能と、網I/F部21を介して電話システム10との間で呼制御メッセージをやり取りする機能と、これら通話処理部24および電話システム10との間でやり取りした呼制御メッセージを相互に中継処理することにより、外部電話端末20を仮想内線端末として電話システム10へ接続する機能とを有している。
【0081】
また、呼制御部23は、音声処理機能として、内部バスBを介して通話処理部24との間で音声パケットをやり取りする機能と、内部バスBから網I/F部21を介して電話システム10との間で音声パケットをやり取りする機能と、これら通話処理部24および電話システム10との間でやり取りした音声パケットを相互に中継処理することにより、外部電話端末20と電話システム10との音声通話を実現する機能とを有している。
【0082】
[第3の実施の形態の動作]
次に、図6を参照して、本実施の形態にかかる電話システム10の動作について説明する。図6は、第3の実施の形態にかかる電話システムの着信動作を示すシーケンス図である。
ここでは、外部電話端末20から電話システム10の内線端末12を呼び出した場合の着信動作について説明する。
【0083】
この後、利用者による内線呼出操作に応じて(ステップ300)、通話処理部24は、電話システム10の内線端末12を示す着側内線番号を含む発信要求メッセージを呼制御部23へ通知する(ステップ301)。
呼制御部23は、通話処理部24からの発信要求メッセージに応じて、当該メッセージに含まれる着側内線番号の内線端末12に対する着信通知メッセージを、電話システム10との通信網32上のリンクを介して、網I/F部21から電話システム10へ送信する(ステップ302)。
【0084】
電話システム10の内線ハブ13は、通信網32上のリンクを介して外部電話端末20から着信通知メッセージを受信した際、当該メッセージから取得した外部電話端末20のアドレスに基づいて、対応する仮想内線端末の内線番号を確認し、この内線番号を発側内線番号とした、当該メッセージに含まれている着側内線番号への発信要求メッセージを、内部通信回線Lを介して電話制御装置11へ通知する(ステップ303)。
【0085】
電話制御装置11は、内線ハブ13からの発信要求メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている着側内線番号と対応する内線端末12へ、外部電話端末20と対応する仮想内線端末からの着信を通知する着信通知メッセージを、内部通信回線Lを介して通知する(ステップ304)。
内線端末12は、電話制御装置11からの着信通知メッセージに応じて、内線着信を知らせる着信表示を行う(ステップ305)。
【0086】
この着信表示に応じて、内線端末12で応答操作が行われた場合(ステップ310)、内線端末12は、当該着信通知メッセージに対する応答メッセージを、内部通信回線Lを介して電話制御装置11へ通知する(ステップ311)。
電話制御装置11は、内線端末12からの応答メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている発側内線番号と対応する仮想内線端末、すなわち内線ハブ13へ、応答メッセージを通知する(ステップ312)。
【0087】
内線ハブ13は、電話制御装置11からの応答メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている発側内線番号と対応する外部電話端末20を特定し、当該外部電話端末20への応答メッセージを、外部電話端末20との通信網32上のリンクを介して、通信I/F部から当該外部電話端末20へ送信する(ステップ313)。
【0088】
外部電話端末20の呼制御部23は、網I/F部21を介して電話システム10から応答メッセージを受信した際、当該応答メッセージを、内部バスBを介して通話処理部24へ通知する(ステップ314)。
これにより、内線ハブ13の通信I/F部と外部電話端末20の網I/F部21との間で接続された通信網32上のリンクを介して、外部電話端末20の通話処理部24と、電話システム10の内線端末12との間で、音声パケットのやり取りが開始され、VoIP通知が開始される(ステップ320)。
【0089】
次に、図7を参照して、本実施の形態にかかる電話システム10の動作について説明する。図7は、第3の実施の形態にかかる電話システムの発信動作を示すシーケンス図である。
ここでは、電話システム10の内線端末12から外部電話端末20を呼び出した場合の発信動作について説明する。
【0090】
利用者による内線呼出操作に応じて(ステップ350)、電話システム10の内線端末12は、外部電話端末20と対応する仮想内線端末を示す着側内線番号を含む発信要求メッセージを、内部通信回線Lを介して電話制御装置11へ通知する(ステップ351)。
電話制御装置11は、内線端末12からの発信要求メッセージに応じて、当該メッセージに含まれる着側内線番号の内線端末に対する着信通知メッセージを、対応する仮想内線端末、すなわち内線ハブ13へ通知する(ステップ352)。
【0091】
内線ハブ13は、電話制御装置11からの着信通知メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている着側内線番号と対応する外部電話端末20を特定し、当該外部電話端末20への発信要求メッセージを、外部電話端末20との通信網32上のリンクを介して、通信I/F部から外部電話端末20へ送信する(ステップ353)。
【0092】
外部電話端末20の呼制御部23は、網I/F部21を介して電話システム10から発信要求メッセージを受信した際、この発信要求メッセージに応じた着信通知メッセージを、内部バスBを介して通話処理部24へ通知する(ステップ354)。
通話処理部24は、呼制御部23からの着信通知メッセージに応じて、内線着信を知らせる着信表示を行う(ステップ355)。
【0093】
この着信表示に応じて、外部電話端末20で応答操作が行われた場合(ステップ360)、通話処理部24は、当該着信通知メッセージに対する応答メッセージを、内部バスBを介して呼制御部23へ通知する(ステップ361)。
呼制御部23は、通話処理部24からの応答メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている発側内線番号の内線端末12に対する応答メッセージを、電話システム10との通信網32上のリンクを介して、網I/F部21から電話システム10へ送信する(ステップ362)。
【0094】
電話システム10のRDサーバ14は、通信網32上のリンクを介して外部電話端末20から応答メッセージを受信した際、当該メッセージから取得した外部電話端末20のアドレスに基づいて、対応する仮想内線端末の内線番号を確認し、この内線番号を着側内線番号とした、当該メッセージに含まれている発側内線番号への応答メッセージを、内部通信回線Lを介して電話制御装置11へ通知する(ステップ363)。
【0095】
電話制御装置11は、内線ハブ13からの応答メッセージに応じて、当該メッセージに含まれている発側内線番号と対応する内線端末12へ、外部電話端末20と対応する仮想内線端末からの応答を通知する応答メッセージを、内部通信回線Lを介して通知する(ステップ364)。
これにより、内線ハブ13の通信I/F部と外部電話端末20の網I/F部21との間で接続された通信網32上のリンクを介して、外部電話端末20の通話処理部24と、電話システム10の内線端末12との間で、音声パケットのやり取りが開始され、VoIP通知が開始される(ステップ370)。
【0096】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、電話システム10と外部電話端末20との間で、リモートディスクトップ機能に基づくリモート接続を利用せず、内線ハブ13に、通信網32を介して外部電話端末20とデータ通信を行うデータ通信I/F部を設け、仮想内線端末ごとに、それぞれ対応する外部電話端末20との間で、内線ハブ13のデータ通信I/F部を介して接続した個別のリンクを介して、呼制御メッセージや音声パケットをやり取りするようにしたものである。
【0097】
これにより、RDサーバ14やRDクライアント22を必要とすることなく、電話システム10に内線ハブ13を設けるとともに、外部電話端末20に呼制御部23を設けるだけで、電話システム10に外部電話端末20をリモート接続することができる。これにより、電話システム10および外部電話端末20の構成を簡素化することができる。
【0098】
また、本実施の形態では、リモートディスクトップ機能のリモート接続を利用しないため、当該リンクのトンネリングによるセキュリティ性を音声通話に利用できないが、通信網32に形成したリンクに対して一般的な暗号化を適用することにより、音声通話において高いセキュリティ性を得ることができ、盗聴を防止するとができる。また、リンクとしてリモートディスクトップ機能などを適用していないことから、VPNなどのサービスを容易に適用できる。
【0099】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0100】
10…電話システム、11…電話制御装置、12…内線端末、13…内線ハブ、14…RDサーバ、15…ルータ、16…データ通信端末、20…外部電話端末、21…網I/F部、22…RDクライアント、23…呼制御部、24…通話処理部、25…データ通信処理部、31…電話網、32…通信網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP電話機能を有する複数の内線端末と、
内部通信回線を介してこれら内線端末と呼制御メッセージをやり取りすることにより、これら内線端末を電話網に対して交換接続するとともに、これら内線端末間を相互接続する電話制御装置と、
IP電話機能を有する外部電話端末と通信網を介してリモートディスクトップ機能に基づきリモート接続することにより、当該外部電話端末との間でデータ通信を行うRDサーバと、
前記内部通信回線に接続されて、当該電話制御装置との間で前記呼制御メッセージをやり取りするとともに、これら呼制御メッセージと前記RDサーバを介して前記外部電話端末との間でやり取りした呼制御メッセージとを中継処理することにより、当該外部電話端末を仮想内線端末として当該電話制御装置へ接続する内線ハブと
を備えることを特徴とする電話システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記内線ハブは、前記内部通信回線を介して前記内線端末との間で音声パケットをやり取りするとともに、これら音声パケットと前記RDサーバを介して前記外部電話端末との間でやり取りした音声パケットとを中継処理することにより、前記内線端末と前記外部電話端末との音声通話を実現することを特徴とする電話システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話システムにおいて、
前記外部電話端末は、
前記通信網を介して、前記電話システムの前記RDサーバと、リモートディスクトップ機能に基づきリモート接続することにより、前記内線ハブとの間でデータ通信を行うRDクライアントと、
IP電話機能を有し、呼制御メッセージに基づいて当該外部電話端末の呼制御動作を行うとともに、音声パケットに基づいてVoIP音声通話を行う通話処理部と、
前記通話処理部との間で呼制御メッセージをやり取りするとともに、前記RDクライアントを介して前記内線ハブとの間で呼制御メッセージをやり取りすることにより、前記通話処理部および前記内線ハブとの間でやり取りした呼制御メッセージを相互に中継処理する制御部と
を備えることを特徴とする電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−257069(P2012−257069A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128881(P2011−128881)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】