説明

電話会議システム及びその運用方法

【課題】会議管理者の作業を簡略化しながらも、会議参加者が電話会議の開始時間を意識することなく、かつ、電話回線を有効に活用でき、さらに、会議参加者に通話料金が発生しない。
【解決手段】会議開始時刻41と、電話会議への参加を許可するパスワード42とを記憶する記憶部40と、電話端末からの着信時に、該着信時に通知される呼設定情報にパスワード42が含まれているかどうかを解析する照合部32と、照合部32にてパスワード42が含まれていることが解析された場合に、呼設定情報の中に設定された発信者番号を参加者の電話番号43として記憶部40に記憶し、記憶部40に記憶された会議開始時刻41になると、記憶部40に記憶された参加者の電話番号43に発信を行う呼処理部31とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線を用いて会議を行う電話会議システム及びその運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信技術の発展に伴い、電話回線を用いて電話を行う電話会議システムが利用されている。このような電話会議システムにおいては、PBXやキーテレフォン等の電話会議機能を有する電話機を用いて、会議開催時間に会議参加者が自分で発信するか、電話会議の管理者が会議参加者に電話をかけることにより、3者以上の者が同時に通話できるようになる。
【0003】
ところが、このような電話会議システムは、電話会議の場を提供するだけであって、会議参加者は、会議開始の時間になったら自ら会議が開催されている通話に参加する必要があり、会議参加者は会議の開始時間を意識しなければならない。また、公衆回線からの参加も可能であるが、会議参加者が発信して会議に参加する場合は、会議参加者に課金されてしまう。
【0004】
ここで、電話会議の予約のための会議予約情報を保存しておき、会議予約情報で指定された会議開催日時の到来に応じて、会議予約情報で指定された会議場所の電話端末を内線呼出するとともに、会議予約情報で指定された会議相手の電話端末へ発信し、両者の通話路を会議トランクへ接続する技術が、特許文献1に開示されている。この技術においては、会議予約情報を保存する際に、会議参加者の連絡用電話番号を登録しておくことにより、会議参加者が会議の開始時間を意識することなく、かつ課金されることなく電話会議に参加することができるようになる。
【0005】
また、電話会議を行う利用者が送信した会員番号や識別番号が、予め記憶されている場合のみ電話会議を可能とする技術が、特許文献2に開示されており、また、パスワードの送信を、発サブアドレスを用いて行う技術が、特許文献3に開示されている。これら特許文献2,3の技術を組み合わせることにより、電話会議を行う前に認証を行うことができ、電話回線を有効に活用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−87697号公報
【特許文献2】特開平5−145645号公報
【特許文献3】特開平6−164740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した技術においては、会議予約情報を保存する際に、会議参加者の連絡用電話番号を登録しておく必要があるため、会議開催者は、会議参加者全員の連絡用電話番号を知っていなければならず、会議開催者の作業が煩雑になってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、会議管理者の作業を簡略化しながらも、会議参加者が電話会議の開始時間を意識することなく、かつ、電話回線を有効に活用でき、さらに、会議参加者に通話料金が発生しない電話会議システム及びその運用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
複数の電話端末間にて電話回線を用いて電話会議を行う電話会議システムであって、
電話会議の開始時刻と、電話会議への参加を許可する認証情報とを記憶する記憶部と、
電話端末からの着信時に、該着信時に通知される呼設定情報に前記認証情報が含まれているかどうかを解析する照合部と、
前記照合部にて前記認証情報が含まれていることが解析された場合に、前記呼設定情報の中に設定された発信者番号を前記記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された開始時刻になると、前記記憶部に記憶された発信者番号に発信を行う呼処理部とを有する。
【0010】
また、複数の電話端末間にて電話回線を用いて電話会議を行う電話会議システムの運用方法であって、
電話端末からの着信時に、該着信時に通知される呼設定情報に、予め設定された認証情報が含まれているかどうかを解析する処理と、
前記認証情報が含まれていることが解析された場合に、前記呼設定情報の中に設定された発信者番号を記憶する処理と、
予め設定された電話会議の開始時刻になると、前記記憶された発信者番号に発信を行う処理とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上説明したように構成されているので、会議開催者は、会議参加者全員の連絡用電話番号を知っている必要がなく、それにより、会議管理者の作業を簡略化しながらも、会議参加者が電話会議の開始時間を意識することなく、かつ、電話回線を有効に活用でき、さらに、会議参加者に通話料金が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の電話会議システムを用いたネットワーク構成の実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した電話会議システムを用いたネットワーク構成における電話会議の会議情報の登録処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示した電話会議システムを用いたネットワーク構成における電話会議への登録処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1に示した電話会議システムにおける電話会議への登録処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示した電話会議システムを用いたネットワーク構成における電話会議の開催処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の電話会議システムを用いたネットワーク構成の実施の一形態を示す図である。
【0015】
本形態は図1に示すように、公衆端末11や自営端末12からなる会議参加者端末10と、公衆網20と、会議電話システム30と、電話機端末51やPC端末52からなる電話会議管理者端末50とから構成されている。
【0016】
電話会議システム30は、呼処理部31と、照合部32と、会議通話処理部33と、記憶部40とを有している。
【0017】
記憶部40には、電話会議の開始時刻41と、電話会議への参加を許可する認証情報であるパスワード42と、電話会議の参加者の電話番号43とが記憶されている。
【0018】
照合部32は、公衆網20を介しての電話端末からの着信時に、該着信時に通知される呼設定情報の中に設定された着サブアドレスの情報を解析し、記憶部40に記憶されたパスワードと照合することにより、呼設定情報にパスワードが含まれているかどうかを解析する。
【0019】
呼処理部31は、照合部32にて呼設定情報にパスワードが含まれていることが解析された場合に、呼設定情報の中に設定された発信者番号を記憶部40に参加者の電話番号43として記憶し、記憶部40に記憶された会議開始時刻41になると、記憶部40に記憶された参加者の電話番号43に発信を行う。
【0020】
会議通話処理部33は、呼処理部31にて発信された参加者同士の会議通話を制御する。
【0021】
以下に、上記のように構成された電話会議システム30を用いたネットワーク構成における電話会議処理について、会議参加者端末10として公衆契約した公衆端末11となるPHSを用い、会議電話システム30をキーテレシステムとして説明する。
【0022】
まず、電話会議の会議情報の登録処理について説明する。
【0023】
図2は、図1に示した電話会議システム30を用いたネットワーク構成における電話会議の会議情報の登録処理を説明するためのフローチャートである。
【0024】
電話会議管理者は、電話会議管理者端末50を用いて電話会議システム20に任意の方法によりアクセスする(ステップ1)。
【0025】
電話管理システム30は、電話会議管理者端末50からのアクセスに応答し(ステップ2)、電話会議情報の記憶を開始する(ステップ3)。
【0026】
また、電話会議管理者においても、電話会議情報の設定を設定し(ステップ4)、まず、電話会議への参加を許可するパスワードを設定し(ステップ5)、このパスワードを、電話会議管理者端末50を用いて電話会議システム20に通知する。
【0027】
すると、電話会議システム30は、電話会議管理者端末50から通知されてきたパスワード42を記憶部40に記憶する(ステップ6)。なお、この記憶部40に記憶されたパスワード42は、電話会議毎にユニークなものとなっている。
【0028】
また、電話会議管理者は、電話会議の開始時刻を含む開始日時を設定し(ステップ7)、この開始日時を、電話会議管理者端末50を用いて電話会議システム20に通知する。
【0029】
すると、電話会議システム30は、電話会議管理者端末50から通知されてきた開始日時を会議開始時刻41として記憶部40に記憶する(ステップ8)。
【0030】
このようにして、電話会議管理者は、電話会議の会議情報を電話会議システム30に登録した後、電話会議管理者端末50を用いた電話会議システム20へのアクセスを終了し(ステップ9)、電話会議システム20は、電話会議情報の記憶を修了する(ステップ10)。
【0031】
次に、電話会議への登録処理について説明する。
【0032】
図3は、図1に示した電話会議システム30を用いたネットワーク構成における電話会議への登録処理を説明するためのフローチャートである。また、図4は、図1に示した電話会議システム30における電話会議への登録処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0033】
上述した会議情報の登録処理にて設定されたパスワードは、口頭や電話やメール等の任意の方法により会議参加者に通知される。
【0034】
その後、会議参加者は、会議に参加する公衆端末11で、発信者番号を通知し、会議電話システム30の電話番号に通知されたパスワードを付加して電話会議システム30に対して発信する(ステップ11)。公衆端末11は、ダイヤルを入力できる機能と、発信の際に発サブアドレスを送信する機能とを有しており、具体的には、(番号通知特番「186」)+(電話会議システム30の電話番号)+(サブアドレスの区切りとなる「*」)+(パスワード)をダイヤルして発信を行う。例えば、番号通知特番を「186」、会議電話システム30の電話番号を03−1234−5678、電話会議のパスワードを9876とすると、1860312345678*98769988とダイヤルして、発信を行う。このように、着番号に「0312345678」、発サブアドレスに「9876」を付加した呼設定を含む発信を行う。
【0035】
公衆端末11からの発信を受け付けた公衆網20は、PHS網やISDNのように、発番号と発サブアドレス、着サブアドレスを送信できる機能を有するものであることにより、受け付けた発信の呼設定に付加された発サブアドレス情報を、着信の呼設定の着サブアドレスに付加し、着信呼として電話会議システム30に着信を行う(ステップ12)。これにより、公衆端末11からの着信呼情報には、その着サブアドレスに上述した会議情報の登録処理にて設定されたパスワードが含まれていることになる。
【0036】
会議電話システム30は、会議参加者端末10となる公衆端末11から着信があった場合、まず、呼設定情報の中から着サブアドレスを抽出し、着信呼の着サブアドレスに、上述した会議情報の登録処理にて設定されたパスワードが含まれているかどうかを解析する(ステップ13,21)。
【0037】
上述した会議情報の登録処理にて設定されたパスワード42は記憶部40に記憶されているため、照合部32において、記憶部40に記憶されているパスワード42と、着サブアドレスに含まれるパスワードとを照合する(ステップ22)。
【0038】
そして、照合の結果、パスワードが一致しなかった場合は、非通知着信の呼放棄処理を行う(ステップ23)。
【0039】
一方、照合の結果、パスワードが一致した場合は、発信者番号を解析し(ステップ24)、発信者番号がない場合は、非通知着信の呼放棄処理を行う(ステップ25)。また、発信者番号がある場合は、発信者番号を抽出し、記憶部40に参加者の電話番号43として記憶する(ステップ26)。
【0040】
そして、呼設定の解析が終了したら、呼放棄処理を行い、着信を切断する(ステップ14,27)。
【0041】
このようにして、電話会議への登録処理を完了する(ステップ15)。
【0042】
次に、電話会議の開催方法について説明する。
【0043】
図5は、図1に示した電話会議システム30を用いたネットワーク構成における電話会議の開催処理を説明するためのフローチャートである。
【0044】
会議開始時刻41は、記憶部40されており、会議開始時刻41になると(ステップ31)、呼処理部31は、記憶部40に記憶された参加者の電話番号43を参照し(ステップ32)、会議参加者端末10に発信を行う(ステップ33)。
【0045】
そして、会議参加者端末10が不応答の場合は、再度、時間をおいて会議参加者端末10に発信を行う(ステップ34)。
【0046】
また、会議参加者端末10が応答した場合は、会議通話処理部33を用いて、参加者同士の会議通話を行う(ステップ35)。
【0047】
(他の実施の形態)
上述した実施の形態においては、会議参加者端末10として公衆契約した公衆端末11となるPHSを用いた場合を例に挙げて説明したが、会議参加者端末10は、PHSの他に固定電話や会議電話システムに内線登録された端末でも適用可能である。
【0048】
上述した電話会議システムは、PBX、PHS端末、通信機器を装着したモバイル端末、ISDN回線を利用したシステムといった用途に利用できる。
【符号の説明】
【0049】
10 会議参加者端末
11 公衆端末
12 自営端末
20 公衆網
30 電話会議システム
31 呼処理部
32 照合部
33 会議通話処理
40 記憶部
41 会議開始時刻
42 パスワード
43 参加者の電話番号
50 電話会議管理者端末
51 電話機端末
52 PC端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電話端末間にて電話回線を用いて電話会議を行う電話会議システムであって、
電話会議の開始時刻と、電話会議への参加を許可する認証情報とを記憶する記憶部と、
電話端末からの着信時に、該着信時に通知される呼設定情報に前記認証情報が含まれているかどうかを解析する照合部と、
前記照合部にて前記認証情報が含まれていることが解析された場合に、前記呼設定情報の中に設定された発信者番号を前記記憶部に記憶し、前記記憶部に記憶された開始時刻になると、前記記憶部に記憶された発信者番号に発信を行う呼処理部とを有する電話会議システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話会議システムにおいて、
前記照合部は、前記呼設定情報の中に設定された着サブアドレスの情報を解析することにより、前記認証情報が含まれているかどうかを解析する電話会議システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話会議システムにおいて、
前記認証情報は、電話会議毎にユニークである電話会議システム。
【請求項4】
複数の電話端末間にて電話回線を用いて電話会議を行う電話会議システムの運用方法であって、
電話端末からの着信時に、該着信時に通知される呼設定情報に、予め設定された認証情報が含まれているかどうかを解析する処理と、
前記認証情報が含まれていることが解析された場合に、前記呼設定情報の中に設定された発信者番号を記憶する処理と、
予め設定された電話会議の開始時刻になると、前記記憶された発信者番号に発信を行う処理とを有する電話会議システムの運用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−147249(P2012−147249A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4030(P2011−4030)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】