説明

電話回線強制割込み装置

【課題】 電話又は電話端末の使用中に強制的に電話回線に割り込ませ、混信することなく所定の通信を行なうことにある。
【解決手段】 この装置は電話回線L1,L2に接続され、電話又は電話端末側の第1接続回線JA1,JA2と、強制割込み側の第2接続回線JB1,JB2を有する。第1接続回線JA1,JA2には電子スイッチ2が直列に接続され、第2接続回線JB1,JB2側には制御回路4が設けられる。制御回路4は、第2接続回線が閉結すると、閉結感知電流より低い電流値領域の制御信号で電子スイッチ2を制御して第1接続回線を電話回線から遮断する。ここで電子タイマ10が作動し、一定時間経過すると制御信号を閉結感知電流以上の電流値に切り換える。これにより電子スイッチ2を制御して第1接続回線の遮断を継続しつつ、電話回線を閉結させて第2接続回線を電話回線に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ電話又はアナログ電話端末の接続が可能なアナログ電話回線、又はIP電話回線におけるターミナルアダプタのアナログ電話端末接続口からなるアナログ電話回線に、複数の電話又は電話端末あるいはその他の装置を接続したときに、使用中の電話等に代えて特定の電話等を強制的に割込み可能とする電話回線強制割込み装置に関するものである。特に、本発明は、デジタルハイビジョン放送番組内で行なわれる双方向通信における視聴者側から放送局へのアクセス手段として電話回線を使用するときに、双方向通信を最優先させて電話回線に接続することで限られた受付時間内にアクセスすることを可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルハイビジョン放送が開始され、双方向通信により視聴者側から放送局にアクセスすることが可能となっている。そのアクセス手段として電話回線を使用する場合、その電話回線に二股のアタッチメントを取り付け、一方の接続口に電話又は電話端末を接続し、他方の接続口にデジタルハイビジョンテレビを接続することが一般的に行なわれている。
【0003】
しかしながら、上記のようなアタッチメントを使用した場合には、電話又は電話端末により通信しているときにデジタルハイビジョンテレビにより双方向通信を行なうと、電話又は電話端末とデジタルハイビジョンテレビが並列接続となって混信してしまうことがある。このような混信が生じると、一方通話あるいは中途通信不能等になって放送局にアクセスすることができなくなり、テレビ画面等にアクセスが失敗したことが表示されることになる。このため、番組内で設定された短い受付時間内に通信を行なうことができなくなり、双方向通信のメリットを活かすことができなくなることがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を解決し、電話又は電話端末を使用しているときであっても強制的に電話回線に割り込ませ、通話又は通信中の回線を遮断し、回線を短時間開いた後再び強制割込み側が回線を閉じることで混信することなく所定の通信を行なうことを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電話回線強制割込み装置は、電話又は電話端末の接続が可能な電話回線又はIP電話回線におけるターミナルアダプタの電話端末接続口からなる電話回線に接続され、電話又は電話端末に接続する第1接続回線と、強制割込み側の第2接続回線を有し、前記第1接続回線に直列に接続された電子スイッチと、前記第2接続回線が閉結する直前から閉結までの間に前記電話回線における閉結感知電流より低い電流値領域の制御信号で前記電子スイッチを制御して前記第1接続回線を遮断し、前記制御信号を前記閉結感知電流以上に切り換えて前記第1接続回線の遮断を継続すると共に前記電話回線を閉結させて前記第2接続回線を前記電話回線に接続させる制御回路と、を具備するものである。この電話回線強制割込み装置には、前記第2接続回線の閉結に向かって一定時間経過すると前記制御回路の制御信号を前記閉結感知電流以上に切り換える電子タイマが設けられている。また、前記電子タイマは前記制御信号の電流値を切り換えるスイッチを有し、該スイッチがサイリスタからなるものである。また、前記制御回路は、前記電子スイッチを制御するスイッチ制御回路と、前記第2接続回線内の制御信号の電流値を制御する電流制御回路とを有している。また、前記電流制御回路は、前記制御信号の電流値を前記閉結感知電流より低い電流値領域に設定する第1の抵抗と、前記第2接続回線が閉結する以前に前記第1接続回線を開くために前記第2接続回線で制御信号の電流が不足するのを補充するコンデンサと、前記制御信号の電流値を閉結感知電流以上の電流値領域に設定する第2の抵抗と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電話回線強制割込み装置においては、第1接続回線に直列に接続された電子スイッチを、第2接続回線側の制御回路で制御することにより、第1接続回線を遮断し、第2接続回線を電話回線に接続可能としている。これにより、第1接続回線に接続した電話又は電話端末の使用中であっても、第2接続回線に接続したデジタルハイビジョンテレビを強制割込みさせて通信を行なうことができる。
【0007】
特に、本発明における制御回路は、第2接続回路が閉結すると、電話交換局網における閉結感知電流より低い電流値領域の制御信号で電子スイッチを制御している。このため、電子スイッチにより第1接続回線を遮断した時点では第2接続回線が電話交換局網において閉結されず、第2接続回線が電話回線に第1接続回線の相手を遮断する時間、タイマにより経過した後に第2接続回線を閉じて閉結を行なうので、接続されることはない。これにより、第1接続回線の遮断時に使用中であった電話又は電話端末に対する通話又は通話相手がオフフック状態を維持していたとしても、その通話又は通信相手に第2接続回線を接続してしまうことを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明においては、第1接続回線を遮断してから電話交換局における終話切断の弁別時間が経過するまでの一定時間経過すると、制御信号を閉結感知電流以上の電流値に切り換える電子タイマを設けている。これにより、弁別時間が経過して通話又は通信相手が電話交換局にて切断又は保留された後、第2接続回線の閉結が電話交換局にて感知され、第2接続回線の閉結を完了することになり、確実に希望する接続先に第2接続回線を接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の電話回線強制割込み装置は、電話又は電話端末の接続が可能な電話回線又はIP電話回線におけるターミナルアダプタの電話端末接続口からなる電話回線に接続されるものである。また、この装置には、電話又は電話端末に接続する第1接続回線と、強制割込み側の第2接続回線が設けられている。第1接続回線には電子スイッチが直列に接続され、第2接続回線側には制御回路が設けられている。この制御回路は、第2接続回線が閉結すると、電話回線における閉結感知電流より低い電流値領域の制御信号で電子スイッチを制御して第1接続回線を電話回線から遮断する。このときに、第2接続回線側に設けた電子タイマが作動し、電話交換局における終話切断の弁別時間に相当する一定時間経過すると、制御信号を閉結感知電流以上の電流値に切り換える。これにより、電子スイッチを制御して第1接続回線の遮断を継続しつつ、電話回線を閉結させて第2接続回線を電話回線に接続している。
【0010】
この電話回線強制割込み装置を用いることで、電話又は電話端末とデジタルハイビジョンテレビを接続し、第1接続回線の通話又は通信中に双方向通信を割り込ませて、確実に双方向通信を行なうことが可能となる。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明の電話回線強制割込み装置における制御信号の電流値領域を示す説明図、図2は本発明の電話回線強制割込み装置の構成を示すブロック図、図3は図2に示す電話回線強制割込み装置の実施例1に係る回路図である。
【0012】
はじめに、図1及び図2に基づいて電話回線強制割込み装置の構成及び動作の概要を説明する。本発明の電話回線強制割込み装置は、電話回線L1,L2に接続される。この電話回線L1,L2は、アナログ電話又はアナログ電話端末の接続が可能なアナログ電話回線からなるものであるか、または、IP電話回線におけるターミナルアダプタのアナログ電話端末接続口で構成されるアナログ電話回線からなるものである。また、本発明の電話回線強制割込み装置には、電話又は電話端末に接続する第1接続回線JA1,JA2と、双方向通信が可能なデジタルハイビジョンテレビ等に接続する第2接続回線JB1,JB2が設けられている。この第1接続回線JA1,JA2と第2接続回線JB1,JB2は、それぞれダイオードブリッジDB1,DB2を介して電話回線L1,L2に接続されている。このダイオードブリッジDB1,DB2は、ベル鳴動時に電話回線L1,L2の直流の極性が反転するので、極性を揃えるために設けられている。尚、極性を揃える必要がない場合にはダイオードブリッジを設ける必要はない。
【0013】
2は電子スイッチであり、ダイオードブリッジDB1を介して第1接続回線JA1,JA2に直列に接続されている。従って、この電子スイッチ2をオン・オフすることにより、第1接続回線JA1,JA2を電話回線L1,L2に接続・遮断することができる。
【0014】
4は第2接続回線JB1,JB2側のダイオードブリッジDB2を介した回路ループ内に設けられた制御回路である。この制御回路4には、電子スイッチ2を制御するスイッチ制御回路6と、このスイッチ制御回路6等を含む第2接続回線JB1,JB2側のダイオードブリッジDB2を介した回路ループ内を流れる制御信号の電流値を制御する電流制御回路8が設けられている。通常、電話回線に接続された電話等がオフフックされて閉結すると、その際に回線内に流れる電流を通信事業者の電話交換局が感知し、その電話回線を閉結して通話又は通信を可能にする。このように電話等がオフフックされて閉結したときの電流値は法にて直流15mA以上と規定されており、この電流が閉結感知電流として電話交換局にて感知するように設定されている。上記電流制御回路8は、この閉結感知電流より低い電流値領域に制御信号の電流値を設定する抵抗R2と、閉結感知電流以上の電流値領域に制御信号の電流値を設定する抵抗R3と、抵抗R2により設定される制御信号の電流を一時的に補助するコンデンサC1と、を備えている。
【0015】
10は電子タイマであり、デジタルハイビジョンテレビ等によって第2接続回線JB1,JB2が閉結すると作動し、一定時間経過すると電流制御回路8の抵抗R3を第2接続回線JB1,JB2側のダイオードブリッジDB2を介した回路ループに接続するものである。この電子タイマ10が作動してから抵抗R3を接続するまでのタイマー時間は、通信事業者がキャッチホーン等のサービスを行なう際に設定している電話交換局における終話切断の弁別時間2.2秒以上に設定されている。
【0016】
次に、図2に示す電話回線強制割込み装置の動作を図1に基づいて説明する。通常、電子スイッチ2はオン状態になっており、第1接続回線JA1,JA2に接続された電話又は電話端末が使用可能となっている。今、電話又は電話端末が使用されているときに、双方向通信を行なうため第2接続回線JB1,JB2に接続したデジタルハイビジョンテレビ等が閉結されると、第1接続回線JA1,JA2に接続された電話又は電話端末が閉結状態にあれば電話回線L1,L2の回線電圧が低く第2接続回線の制御信号の電流はコンデンサC1の補助で第1接続回線を開く動作が図1に示してあり、突出電流時間は電話交換局が感知できない時間となるようにコンデンサC1の容量が設定してある。この第2接続回線JB1,JB2の閉結によって電話回線L1,L2からダイオードブリッジDB2を介してスイッチ制御回路6、電流制御回路8および電子タイマ10に電力が供給される。これにより、スイッチ制御回路6は電子スイッチ2をオフ状態にして第1接続回線JA1,JA2側のダイオードブリッジDB1を介した回路ループを開き、第1接続回線JA1,JA2に接続された電話又は電話端末を電話回線L1,L2から遮断する。また、このときに電子スイッチ10は作動し、一定時間経過するまで初期状態(抵抗R3を接続しない状態)を保持する。
【0017】
また、電流制御回路8は、互いに並列となる抵抗R2とコンデンサC1が初期状態において第2接続回線JB1,JB2側のダイオードブリッジDB2を介した回路ループ内に接続され、抵抗R2によってこの回路ループ内の制御信号の電流値を閉結感知電流15mAより低い値に制限すると共に、コンデンサC1の充電電流を放電することで制御信号を補充する。このように制御信号の電流値を15mAより低く制限することにより、電話回線L1,L2を介してその電流値を計測している電話交換局では、閉結したことを感知しないため、この時点では電話回線L1,L2を閉結しないことになる。これにより、第1接続回線JA1,JA2側の電話又は電話端末に対する通話又は通信相手がこの時点でオフフックし続けていたとしても、この相手に第2接続回線JB1,JB2が接続されることはない。
【0018】
一方、この電流制御回路8に電力が供給されるときには、第1接続回線JA1,JA2側の電話又は電話端末が使用されていたことにより、電話回線L1,L2の回線電圧が電話交換局において通話中の低い電圧に下げられているため、スイッチ制御回路6を作動させる電流が得られなくなる場合がある。このような回線電圧の低下は、第1接続回線JA1,JA2を遮断して回路ループを開くことで高められて解消するので、スイッチ制御回路6を作動させることさえできれば、その後は回線電圧で充分制御信号を15mAより低い所定の電流値領域に維持することが可能となる。このため、本発明においては、コンデンサC1を設け、第2接続回線JB1,JB2が閉結されたときに、コンデンサC1の充電電流で制御信号を補充し、一時的に回路ループ内の電力を補うことでスイッチ制御回路6が確実に動作するように構成している。
【0019】
上記のようにスイッチ制御回路6が電子スイッチ2をオフ状態にした後、弁別時間2.2秒以上の一定時間が経過すると、電子タイマ10によって抵抗R3が抵抗R2に並列になるように接続される。これによって、抵抗R3を介して制御信号が流れることになり、その電流値は閉結感知電流15mA以上の電流領域に設定される。このように制御信号が15mA以上になると、電話交換局はそれを感知して閉結し、第2接続回線JB1,JB2がダイオードブリッジDB2を介して電話回線L1,L2に接続され、デジタルハイビジョンテレビ等による双方向通信が可能となる。尚、このときに制御信号の電流値は変わるが信号自体は維持されているため、スイッチ制御回路6により電子スイッチ2はオフ状態に保持され、第1接続回線JA1,JA2を遮断し続けることになる。
【0020】
次に、図3を用いて図2に示す電話回線強制割込み装置のより具体的な回路構成を説明する。第1接続回線JA1,JA2側のダイオードブリッジDB1を介した回路ループは次のように構成されている。電話回線L1と第1接続回線JA1との間に設けられたダイオードブリッジDB1の出力正側と負側の間には、抵抗R1、トランジスタQ1のベース及びフォトカプラの受光素子PC2が接続されており、トランジスタQ1にベースバイアス変動を与えている。このトランジスタQ1にはトランジスタQ2がダーリントン接続されており、このトランジスタQ2のコレクタ・エミッタがダイオードブリッジDB1の出力端に接続されて、その正側から負側への回路ループを構成している。また、ダイオードブリッジDB1の出力正側とトランジスタQ2のコレクタとの間には、ツェナーダイオード、抵抗、発光素子等からなる使用状態表示用の発光回路12が設けられている。尚、この回路ループ中の抵抗R1、トランジスタQ1,Q2が前述した電子スイッチ2を構成している。
【0021】
また、第2接続回線JB1,JB2側のダイオードブリッジDB2を介した回路ループは次のように構成されている。電話回線L1と第2接続回線JB1との間に設けられたダイオードブリッジDB2の出力正側と負側の間には、フォトカプラの発光素子PC1、抵抗R2が直列に接続され、抵抗R2に並列になるようにコンデンサC1が接続されており、更に発光素子PC1と抵抗R2との間と後述するトランジスタQ3のコレクタとの間に抵抗R3が設けられている。また、ダイオードブリッジDB2の出力正側と負側の間には抵抗R5とコンデンサC2が直列に接続されており、この抵抗R5とコンデンサC2の間から抵抗R4を介してベースが接続されたトランジスタQ3のコレクタ・エミッタもダイオードブリッジDB2に接続されている。また、ダイオードブリッジDB2の出力正側とトランジスタQ3のコレクタとの間には、発光回路12と同様の発光回路14が設けられている。尚、この回路ループ中の抵抗R5,R4、コンデンサC2及びトランジスタQ3が前述した電子タイマ10を構成している。また、発光素子PC1と受光素子PC2を有するフォトカプラがスイッチ制御回路6を構成している。
【0022】
上記回路構成からなる本実施例の装置において、第1接続回線JA1,JA2に接続された電話又は電話端末が使用中であると、トランジスタQ1,Q2がオン状態になって回路ループが閉結して通話又は通信状態になっている。また、発光回路12に電流が流れて点灯し、使用中であることが表示されている。ここで第2接続回線JB1,JB2に接続されたデジタルハイビジョンテレビ等が双方向通信のために閉結されると、ダイオードブリッジDB2側の回路ループが閉結され、これにより回路ループ内に電流が流れる。このときに流れる電流とコンデンサC1により補充される電流によってフォトカプラの発光素子PC1が発光し、受光素子PC2がこの光に応答してトランジスタQ1のベースバイアスをカットする。この結果、第1接続回線JA1,JA2側の回路ループはトランジスタQ1,Q2により開かれて、電話又は電話端末が遮断される。このように第1接続回線JA1,JA2側が遮断されることで電話回線L1,L2の回線電圧が上昇するため、コンデンサC1で補助しなくても発光素子PC1を発光させる電流を得ることができる。
【0023】
また、ダイオードブリッジDB2側の回路ループに電流が流れると、抵抗R2によってその電流値が15mAより低く制限され、この時点では電話交換局において閉結が感知されない。また、このときに、抵抗R5を介してコンデンサC2が充電され、2.2秒以上に設定された一定時間経過するとコンデンサC2が所定電圧に充電される。これによりトランジスタQ3のベースバイアスが高まり、トランジスタQ3がオン状態になる。この結果、発光素子PC1から抵抗R3及びトランジスタQ3を通って電流が流れるようになり、電流は抵抗R3と発光回路14の並列接続によって15mA以上の電流値に設定される。このようにダイオードブリッジDB2側の回路ループ内の電流が15mA以上になると、この電流を電話交換局にて閉結を感知して回線に接続する。これにより、第2接続回線JB1,JB2と電話回線L1,L2との接続が完了し、双方向通信が可能となる。この状態において、回路ループ内の電流は抵抗R3及びトランジスタQ3を介して発光素子PC1及び発光回路14に継続して流れるので、第1接続回線の遮断は保持され、また使用状態を示す発光回路14が点灯することになる。
【0024】
一般に、放送局とのアクセスに要する双方向通信は十数秒程度であり、通信が終了すると第2接続回線JB1,JB2に接続されたデジタルハイビジョンテレビ等が閉結を開き、これによってダイオードブリッジDB2側の回路ループが開くことにより電流が停止して、発光素子PC1が消灯する。これに受光素子PC2が応答してトランジスタQ1,Q2がオン状態になり、再びダイオードブリッジDB1側の回路ループが形成され、第1接続回線JA1,JA2が通話又は通信可能な待機状態にもどる。
【0025】
上記のように、電話又は電話端末が使用中であっても、双方向通信を混信することなく強制的に割り込ませて通信を行なうことができる。
【実施例2】
【0026】
図4は図2に示す電話回線強制割込み装置の実施例2に係る回路図である。本実施例における装置は、図3に示す実施例1とほぼ同じ回路構成となっており、実施例1におけるトランジスタQ3をSCRタイプのサイリスタSCRに代えた点のみが異なるものとなっている。即ち、第1接続回線JA1,JA2側のダイオードブリッジDB1の出力正側と負側の間に設けられた回路ループ内には、抵抗R1及びフォトカプラの受光素子PC2がベースに接続されたトランジスタQ1とそれにダーリントン接続されたトランジスタQ2と、トランジスタQ2とダイオードブリッジDB1の出力正側との間に接続された発光回路12が設けられている。また、第2接続回線JB1,JB2側のダイオードブリッジDB2の出力正側と負側の間に設けられた回路ループ内には、電流を15mAより低く制限する抵抗R2と、当初の電流を補充するコンデンサC1と、電流を15mA以上に設定する抵抗R3と、この抵抗R3と発光回路14の接続・切断を行なうサイリスタSCRと、抵抗R2,R3及びコンデンサC1に接続されたフォトカプラの発光素子PC1と、タイマー時間を設定する抵抗R5およびコンデンサC2と、この抵抗R5とコンデンサC2の間に接続されてサイリスタSCRのゲートにトリガーを加える抵抗R4が設けられている。
【0027】
本実施例においては、第2接続回線JB1,JB2に接続されたデジタルハイビジョンテレビ等が開始してダイオードブリッジDB2側の回路ループに電流が流れ、発光素子PC1が点灯して受光素子PC2により第1接続回線JA1,JA2が電話回線L1,L2から遮断され、更に一定時間経過してコンデンサC2の充電電圧が高まって一定値に達すると、サイリスタSCRがトリガーされて導通する。サイリスタSCRの場合には、トランジスタQ3のようにゲート電圧が高まるにつれて抵抗値が徐々に下がって導通することがなく、瞬時に導通する。このように、トランジスタQ3を用いると抵抗R3に流れる電流が徐々に増加することによってわずかではあるが第2接続回線JB1,JB2に接続した通話装置の通信音が徐々に大きくなることが感受されることがあるが、サイリスタSCRを用いることで完全に解消することができる。
【0028】
尚、図3及び図4に示すフォトカプラは、フォトモスリレーに置き換えることが可能であり、この場合には、フォトモスリレーのフォトダイオードに通電されていないときにフォトモスリレーの電子スイッチがメークする品種のものを選定して設置する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の電話回線強制割込み装置は、実施例に示したように、電話等に対して短時間通信を行なう双方向通信を一時的に強制割込みさせる際に有効なものであるが、この他、電話や通常の通信に対して、緊急を要する通信を強制的に割り込ませて通報する場合にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 本発明の電話回線強制割込み装置における制御信号の電流値領域を示す説明図である。
【図2】 本発明の電話回線強制割込み装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 図2に示す電話回線強制割込み装置の実施例1に係る回路図である。
【図4】 図2に示す電話回線強制割込み装置の実施例2に係る回路図である。
【符号の説明】
【0031】
2 電子スイッチ
4 制御回路
6 スイッチ制御回路
8 電流制御回路
10 電子タイマ
12,14 発光回路
L1,L2 電話回線
JA1,JA2 第1接続回線
JB1,JB2 第2接続回線
R1〜R5 抵抗
Q1〜Q3 トランジスタ
C1,C2 コンデンサ
PC1 発光素子
PC2 受光素子
DB1,DB2 ダイオードブリッジ
SCR サイリスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話又は電話端末の接続が可能な電話回線又はIP電話回線におけるターミナルアダプタの電話端末接続口からなる電話回線に接続され、
電話又は電話端末に接続する第1接続回線と、強制割込み側の第2接続回線を有し、
前記第1接続回線に直列に接続された電子スイッチと、
前記第2接続回線が閉結する直前から閉結までの間に前記電話回線における閉結感知電流より低い電流値領域の制御信号で前記電子スイッチを制御して前記第1接続回線を遮断し、前記制御信号を前記閉結感知電流以上に切り換えて前記第1接続回線の遮断を継続すると共に前記電話回線を閉結させて前記第2接続回線を前記電話回線に接続させる制御回路と、を具備することを特徴とする電話回線強制割込み装置。
【請求項2】
前記第2接続回線の閉結に向かって一定時間経過すると前記制御回路の制御信号を前記閉結感知電流以上に切り換える電子タイマを具備することを特徴とする請求項1記載の電話回線強制割込み装置。
【請求項3】
前記電子タイマは前記制御信号の電流値を切り換える切換スイッチを有し、該切換スイッチがサイリスタからなることを特徴とする請求項1又は2記載の電話回線強制割込み装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記電子スイッチを制御するスイッチ制御回路と、前記第2接続回線内の制御信号の電流値を制御する電流制御回路とを有することを特徴とする請求項1乃至3のひとつに記載の電話回線強制割込み装置。
【請求項5】
前記電流制御回路は、前記制御信号の電流値を前記閉結感知電流より低い電流値領域に設定する第1の抵抗と、
前記第2接続回線が閉結する以前に前記第1接続回線を開くために前記第2接続回線で前記制御信号の電流が不足するのを補充するコンデンサと、
前記制御信号の電流値を閉結感知電流以上の電流値領域に設定する第2の抵抗と、を備えていることを特徴とする請求項4記載の電話回線強制割込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−54266(P2008−54266A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257996(P2006−257996)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(592026211)ナカ電子株式会社 (3)
【Fターム(参考)】