説明

電話機

【課題】 無駄な通話料金をかけずに相手先にメッセージを伝えることが可能な電話機を提供する。
【解決手段】 着信があり(S1ステップ)、16Hzの着信信号の検出回数をカウントしていき(S3ステップ)、着信信号のカウント回数が3回であると(S9ステップのY)、「今から帰る。」といった音声メッセージをスピーカから出力させ(S10ステップ)、一方、着信信号のカウント回数が5回であると(S12ステップのY)、「今日は遅くなるから先に晩飯食っといて。」といった音声メッセージをスピーカから出力させる(S13ステップ)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードレス電話や携帯電話等の電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコードレス電話や携帯電話等には留守録機能がついている。この留守録機能は、着信があり、所定回数の着信音が鳴ると自動的に回線を接続し、例えば「只今出かけております、発信音の後にメッセージを入れてください」という応答メッセージを回線へ送出し、発呼側からのメッセージ(用件メッセージ)を回線から受信すると、その用件メッセージを記録する機能である。
【0003】
又、このような留守録機能に関して様々な技術が提案されており、例えば特許文献1には、音声データを記憶するメモリの空き領域が少なくなると、予め記憶しておいた電話番号へ発呼を行い、その電話番号の端末から遠隔操作でメモリ内の不要な空き領域に記憶されている音声データを消去させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−130212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電話機においても上記特許文献1記載の技術においても、発呼側が簡単な用件メッセージ(例えば、今から帰ります。や、今日は飲み会で遅くなる等)を伝えるだけの場合でも必ず回線を接続しメッセージを入力しなければならず、電話料金がかかるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、請求項1記載の発明は、1回の着信における回線からの着信信号の検出回数が所定の回数であると、前記回数に対応付けられた音声メッセージをスピーカから出力することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、予め定められた相手先からの1回の着信における回線からの着信信号の検出回数が所定の回数であると、前記回数に対応付けられた音声メッセージをスピーカから出力することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、回線からの着信信号を検出する着信信号検出手段と、該着信信号検出手段が検出した着信信号の数をカウントするカウンタと、着信信号の数とメッセージとを対応付けて格納する格納手段と、該格納手段に格納されたメッセージを出力する出力手段と、着信終了後、着信時に前記カウンタがカウントした着信信号の数に対応するメッセージを前記出力手段から出力するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、回線からの着信信号を検出する着信信号検出手段と、該着信信号検出手段が検出した着信信号の数をカウントするカウンタと、着信時に発呼側の電話番号を検出する電話番号検出手段と、電話番号と着信信号の数とメッセージとを対応付けて格納する格納手段と、該格納手段に格納されたメッセージを出力する出力手段と、着信時に、前記格納手段に格納された電話番号を前記電話番号検出手段が検出したと判定すると、着信終了後、着信時に前記カウンタがカウントした着信信号の数及び前記検出した電話番号に対応するメッセージを前記出力手段から出力するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1及び3にかかる発明においては、着信時に回線を接続する前の着信信号の検出回数に応じてメッセージを出力する為、簡単な用件を相手先に伝える際には、例えば3回着信音を鳴らすだけで、回線を接続する前に相手先に予め定められたメッセージを伝えることができる。この為、回線接続による無駄な通話料金がかかることがない。
【0007】
又、請求項2及び4にかかる発明においては、電話番号と着信信号の検出回数に応じてメッセージを出力することができる為、無駄な通話料金がかかることがないだけでなく、予め定められた相手先からのメッセージを確実に伝えることが可能である。例えば、着信信号のカウントが3回であった相手先が複数いたとしても、一方は間違い電話であり、片方は家族である場合がある。このような場合、例えば家族からの着信においてはカウントした回数に応じてメッセージを出力する為、確実に家族からの予め定められたメッセージを出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電話機を例示するものであって、本発明をこの電話機に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の電話機にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明の実施例にかかる電話機の構成を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、電話機10は、制御部11、電話回線処理部12、音声処理部13、スピーカ14、マイク15、表示部16、操作部17、記憶部18とから構成されている。
【0011】
制御部11は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にROM、RAMを内蔵しており、そのROMに蓄積された各種プログラムを実行することによって各部を制御する。さらに、制御部11は、後述するように電話帳データを記憶部18に登録する。
【0012】
電話回線処理部12は、発呼時には制御部11の制御の下で電話回線19にパルス又はトーンのダイヤル信号を送出する。また、着信時には電話回線19からの着信を検出し、その検出結果を制御部11に通知するとともに、制御部11の制御の下に発信者電話番号案内サービスに基づいて発呼側の電話番号が送信されてきた場合にはこれを検出し記億部18に格納する。さらに、電話回線19を音声処理部13に選択的に接続するためのインタフェースである。
【0013】
音声処理部13は、スピーカ14、マイク15を介して音声信号の入出力とその増幅等を行う。
【0014】
表示部16は、カラー表示可能な液晶表示モジュール等から構成されており、制御部11の制御を受けて、その表示画面に記憶部18に記憶されている電話帳データの一部などを表示できるようになっている。
【0015】
操作部17は、ユーザ操作を受け付けるための複数のキーを備えており、表示部16の表示画面に表示されるソフトキーボタンやタッチパネル、表示画面の周りに配設されたメカニカルスイッチ等から構成されており、ユーザがキーを操作した場合に、キーが押下された時およびキーの押下が中止されてキーが離された時に係る情報と、押下されたキーがいずれかのキーであるかという情報とを制御部11に通知する入力インタフェースとして機能する。
【0016】
記憶部18は、EEPROM等の読み書き可能な不揮発性メモリで構成されており、電話帳メモリや、用件メッセージ、応答メッセージ等を格納する。又、本実施例装置では、記憶部18には更に、電話番号と着信信号の検出回数とメッセージとを対応付けたデータを格納する。例えば、09012345678の電話番号と、着信信号の検出回数3回と、「今から帰るよ。」という音声メッセージデータを対応付けて、又、08012345678という電話番号と、着信信号の検出回数5回と、「今日は遅くなるから先に晩飯食っといて。」という音声メッセージデータを対応付けて格納している。尚、この音声メッセージデータは、表示部16に表示する為の文字データでも良い。
【0017】
尚、制御部11は、図示しないが、着信信号の検出回数をカウントするカウンタと、着信時に電話回線処理部12が受信した発呼側の電話番号を一時的に格納するバッファメモリを有している。
【0018】
次に、本実施例装置の動作について、図2のフロー図を用いて説明する。図2のS1ステップでは、制御部11は、着信があるか否かを判定する。具体的には、制御部11は、電話回線処理部12が回線の極性反転を検出し、続いて発呼側の電話番号データを検出したと判定すると、受信した電話番号データを制御部11の図示しないバッファメモリに格納し、続いて電話回線処理部12が16Hzの着信信号を検出したと判定すると、S2ステップへ処理を進める。
【0019】
S2ステップでは、制御部11は、スピーカ14を制御することにより着信音を鳴動させると共に、表示部16にS1ステップで受信しバッファメモリに格納した電話番号を表示させる。尚、この時、バッファメモリに格納されている電話番号と一致する電話番号が記憶部18に格納されていれば、一致する電話番号に対応する氏名を表示部16に表示させても良い。
【0020】
S3ステップでは、制御部11のカウンタを1加算し、S4ステップへ処理を進める。
【0021】
S4ステップでは、制御部11内のカウンタが10の値であると判定すると、S7ステップへ処理を進め、そうでなければ、S5ステップへ処理を進める。
【0022】
S5ステップでは、制御部11は、着信が終了したか否かを判定する。具体的には、制御部11は、電話回線処理部12から回線の極性が反転したことを示す信号を検出すると、着信が終了したと判定し、S9ステップへ処理を進め、そうでなければ、S6ステップへ処理を進める。尚、他の構成として例えば、最後の着信信号を検出してから何秒経過したかを見て、着信を終了する構成としても良い。
【0023】
S6ステップでは、制御部11は、電話回線処理部12から16Hzの着信信号を検出したことを示す信号を検出すると、S2ステップへ処理を戻し、そうでなければ、S5ステップへ処理を戻す。
【0024】
S7ステップでは、制御部11は、電話回線処理部12を制御することにより回線を接続させ、続いて記憶部18に格納されている応答メッセージを回線へ送出し、続いて回線から入力された用件メッセージを記憶部18に格納させる。
【0025】
続くS8ステップでは、制御部11は、制御部11のカウンタをリセットし、処理を終了する。
【0026】
S9ステップでは、制御部11は、制御部11内のカウンタが3回をカウントしていると判定すると、S10ステップへ処理を進め、そうでなければ、S12ステップへ処理を進める。
【0027】
S10ステップでは、制御部11は、記憶部18に格納されている、前記S1ステップで検出した電話番号及びカウンタ3回に対応するメッセージである「今から帰るよ。」という音声メッセージデータを読み込み、音声処理部13で音声データに変換させ、スピーカ14から出力させる。
【0028】
続くS11ステップでは、制御部11は、制御部11内のカウンタのカウントをクリアさせ、処理を終了する。
【0029】
S12ステップでは、制御部11は、制御部11内のカウンタが5回をカウントしていると判定すると、S13ステップへ処理を進め、そうでなければ、S15ステップへ処理を進める。
【0030】
S13ステップでは、制御部11は、記憶部18に格納されている、前記S1ステップで検出した電話番号及びカウンタ5回に対応するメッセージである「今日は遅くなるから先に晩飯食っといて。」という音声メッセージデータを読み込み、音声処理部13で音声データに変換させ、スピーカ14から出力させる。
【0031】
続くS14ステップでは、制御部11は、制御部11内のカウンタのカウントをクリアさせ、処理を終了する。
【0032】
S15ステップでも同様に、制御部11は、制御部11内のカウンタのカウントをクリアさせ、処理を終了する。
【0033】
このように、本実施例装置では、着信時に所定の相手先からの着信であると共に着信信号の検出回数が3回であると、「今から帰るよ。」という音声メッセージをスピーカ14から出力し、一方、所定の相手先からの着信であると共に着信信号の検出回数が5回であると、「今日は遅くなるから先に晩飯食っといて」という音声メッセージをスピーカ14から出力するため、今から帰る、といった簡単なメッセージは、電話回線を接続せずとも伝えることができるので、無駄な通話料金がかかるといった問題を回避することが可能である。
【0034】
又、本実施例では、電話番号とカウンタのカウント回数と音声メッセージとの対応付けが、09012345678という電話番号にしか対応付けられていなかったが、例えば、カウント回数3回には09012345678という電話番号を、カウント回数5回には、0857123456という電話番号といったように、異なる電話番号を対応付けて格納しても良い。
【0035】
更に、本実施例では、「今から帰るよ。」といった音声メッセージをスピーカ14から出力する構成にしていたが、音声メッセージではなく文字メッセージを表示部16に表示する構成としても良い。
【0036】
又、本実施例装置では、16Hzの着信信号をカウントする構成としていたが、着信音の送出する回数をカウントする構成としても良い。
【0037】
又、本実施例装置では、電話番号とカウント数とメッセージを対応付ける構成としたが、更に時間帯も対応付ける構成としても良い。例えば、夕方17:00〜夜23:00という時間帯と電話番号09012345678と、カウント数3回と、「今日遅くなる」というメッセージを対応付けて記憶していた場合、17:00〜23:00までの間に電話番号09012345678から着信があり、3回着信信号を検出して着信が終了すれば、「今日遅くなる」という音声メッセージをスピーカ14から出力し、一方、17:00〜23:00以外の時間帯なら、たとえ09012345678から着信があり、3回着信信号を検出しても、「今日遅くなる」という音声メッセージをスピーカ14から出力しない構成としても良い。
【0038】
本実施例では、一般回線と接続可能な電話機において実施したが、コードレス電話装置、
ファクシミリ装置、携帯電話装置等の電話機能を有する装置においても実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、回線接続前に発呼を止めるだけで、相手先に用件を伝えることが可能である為、無駄な通話料金のかからない電話機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例にかかる電話機の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例にかかる電話機の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
10・・・・電話機
11・・・・制御部
12・・・・電話回線処理部
13・・・・音声処理部
14・・・・スピーカ
15・・・・マイク
16・・・・表示部
17・・・・操作部
18・・・・記憶部
19・・・・電話回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回の着信における回線からの着信信号の検出回数が所定の回数であると、前記回数に対応付けられた音声メッセージをスピーカから出力することを特徴とする電話機。
【請求項2】
予め定められた相手先からの1回の着信における回線からの着信信号の検出回数が所定の回数であると、前記回数に対応付けられた音声メッセージをスピーカから出力することを特徴とする電話機。
【請求項3】
回線からの着信信号を検出する着信信号検出手段と、該着信信号検出手段が検出した着信信号の数をカウントするカウンタと、着信信号の数とメッセージとを対応付けて格納する格納手段と、該格納手段に格納されたメッセージを出力する出力手段と、着信終了後、着信時に前記カウンタがカウントした着信信号の数に対応するメッセージを前記出力手段から出力するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする電話機。
【請求項4】
回線からの着信信号を検出する着信信号検出手段と、該着信信号検出手段が検出した着信信号の数をカウントするカウンタと、着信時に発呼側の電話番号を検出する電話番号検出手段と、電話番号と着信信号の数とメッセージとを対応付けて格納する格納手段と、該格納手段に格納されたメッセージを出力する出力手段と、
着信時に、前記格納手段に格納された電話番号を前記電話番号検出手段が検出したと判定すると、着信終了後、着信時に前記カウンタがカウントした着信信号の数及び前記検出した電話番号に対応するメッセージを前記出力手段から出力するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする電話機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−17018(P2008−17018A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184507(P2006−184507)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】