説明

電話端末および操作方法

【課題】画面の確認、コマンド入力、操作入力等を簡単に行うことのできる電話端末を提
供する。
【解決手段】記憶部15は、検出物の特徴に対応した携帯電話1の操作コマンドを操作情
報21として記憶する。タッチパネルを備えた検出部13が、タッチパネルに接触或いは
近接する検出物を検出し、当該検出物の特徴を解析して制御部11に通知する。制御部1
1は、記憶部15の操作情報21を参照し、通知された当該検出物の特徴に対応する操作
コマンドを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルにより検出した検出物の特徴を用いて、操作を実行する技術に
関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチ操作によって入力を受け付けるタッチパネルを備えた装置が多く存在する
。このような装置では、表示部にアイコンや操作メニュー画面等を表示し、操作者がメニ
ュー等を指や手でタッチして選択し、表示部に設けられたタッチパネルは操作者のタッチ
の位置を認識することによって、さまざまな動作を行う(特許文献1、2参照)。また、
操作者の指などの動きをカメラ等で認識し、その動きに対応した操作を行う装置もある。
また、手以外の体の部分を用いた入力を受け付ける装置もある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−40014号公報
【特許文献2】特開2009−253478号公報
【特許文献3】特開平9−288543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載されるように、アイコンや操作メニュー画面等を表示部に表示し
、タッチパネルにおいてアイコンやメニューなどを選択する場合、まず画面を目で確認す
ることが必要となり、次にその画面上の位置を指で指定する必要がある。そのためには、
装置を支える手と選択する手が必要となり、多くの場合は両手が空いている必要がある。
例えば、携帯電話で通話する際には、通話動作の前に、登録番号入力によるロック解除な
どの操作が必要となり、行うべき操作も多い。また、指や手でアイコン等を選択し入力操
作する際に誤った入力をする場合もある。このため、操作に不慣れなユーザや、怪我など
により身体に何らかの機能不全が存在する場合などや、年配者、子供等などにとっては、
操作入力が困難な場合があると考えられる。
また、操作者の指などの動きをカメラ等で認識して入力を受け付ける場合、入力結果を
視覚的に確認する必要があり、確認のための処理が煩雑であった。
また、特許文献3に記載されるように、手以外の体の部分を用いた入力を受け付ける場
合、手以外の体の部分による入力専用の入力装置が必要であるという問題もあった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、タッチパネルを備えた検出部を有す
る端末装置において、入力画面確認やコマンド入力等の必要がなく、検出部で検出した検
出物の特徴に対して予め記憶した操作コマンドを実行する電話端末および操作方法を提供
することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、タッチパネルを備え、前記タッチパネルに
接触或いは近接する検出物を検出し、前記検出物の特徴を解析する検出部と、前記検出物
の特徴に対応した操作コマンドを操作情報として記憶する操作情報記憶部と、前記操作コ
マンドを実行する制御部と、を備え、前記検出部は、前記タッチパネルに接触或いは近接
する検出物を検出し、当該検出物の特徴を解析して前記制御部に通知し、前記制御部は、
前記操作情報記憶部に記憶された前記操作情報を参照し、前記通知された当該検出物の特
徴に対応する前記操作コマンドを実行することを特徴とする電話端末である。
【0007】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記検出部は、検出した前記検出物の接
触位置、接触面積、接触強度を前記検出物の特徴として解析することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記操作情報記憶部には、前記タッチパ
ネルにユーザの耳を接触させた際の、接触位置、接触面積、接触強度を示す情報が前記特
徴として記憶されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記制御部は、電話着信があった際に、
前記通知された検出物の特徴に応じて、当該電話着信に応答する前記操作コマンドを実行
することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記制御部は、電話が未接続である場合
に、前記通知された検出物の特徴に応じて、電話を発信する前記操作コマンドを実行する
ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記検出部は、前記タッチパネルに接触
或いは近接する前記検出物の移動を検出し、前記制御部は、前記検出部が前記検出物の移
動を検出した場合に、当該移動を示す前記検出物の特徴に対応した操作コマンドを実行す
ることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記制御部は、通話中に、前記検出部に
前記検出物が検出されない時間が所定時間を超えると、前記通話を切断する前記操作コマ
ンドを実行することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、検出物の特徴に対応した操作コマンドを操作情報として記憶する操作
情報記憶部を備えた端末装置の操作方法であって、タッチパネルを備える検出部が、前記
タッチパネルに接触或いは近接する検出物を検出し、前記検出物の特徴を解析するステッ
プと、制御部が、前記操作情報記憶部に記憶された前記操作情報を参照し、前記検出部に
よって検出された当該検出物の特徴に対応する前記操作コマンドを実行するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、端末装置の表示画面確認や操作コマンド入力を行うことなく、コマン
ドを実行することが可能となる。例えば、操作情報としてユーザの耳の形状を検出した場
合に登録先に発信すると記憶しておけば、ユーザは検出部に耳を当てるだけで登録先に発
信することが可能となる。
また、検出物の特徴としてユーザの耳など身体の一部を登録しておき、それに対応する
操作コマンドとして端末装置の操作を許可することを記憶させておけば、それ以外の検出
物の検出では端末装置の操作が許可されないため、本発明を利用して本人認証を行うこと
も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る電話端末の概略ブロック構成図である。
【図2】同実施形態に係る電話端末の操作情報登録処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】同実施形態に係る電話端末に記憶される操作情報の一例を示す図である。
【図4】同実施形態に係る電話端末の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態では、タッチパネル付電話端末として、タッチパネル付の携帯電話機を例に
説明する。
図1は、携帯電話1の概略構成図である。携帯電話1は、制御部11、表示部12、検
出部13、記憶部15、マイク部16、スピーカー部17、通信部18を備える。
【0017】
制御部11は、CPU(CPU:Central Processing Unit)等であり、携帯電話1の
各部を制御するとともに、後述する操作情報の登録処理、判定処理を実行する。
表示部12は、文字や画像等を表示する液晶ディスプレイ等である。検出部13は、表
示部12の文字等を認識する透明度を有し、表示体12の表示画面全体にわたって設けら
れたタッチパネルを備える。検出部13は、タッチパネルに接触または近接した検出物の
接触面位置(座標)、接触面積、接触強度等を検出し、その検出結果から検出物の形状や
動きといった特徴を解析する。この検出方式には静電容量方式等がある。なお、「近接」
とはタッチパネルで検出物が感知できる距離範囲内に検出物が入ることをいう。
【0018】
記憶部15は、ROM(ROM:Read Only Memory)、RAM(RAM:Random Acces
s Memory)といったメモリであり、操作情報21、プログラム23を記憶する。操作情報
21は、ユーザ情報と検出部13によって検出された検出物の特徴に対応して記憶された
操作コマンドに関する情報である。プログラム23は、オペレーションシステム、操作情
報21の登録処理プログラム、操作情報21を用いた判定処理プログラム、携帯電話1用
の各種アプリケーションプログラム等である。制御部11は、操作コマンドに従うなどし
てプログラム23を実行する。
マイク部4は送話音声等を集音する。スピーカー部17は受話音声等を出力する。通信
部18は、基地局との間で音声通話、データ通信等の無線通信を行うためのアンテナ及び
通信回路である。
【0019】
次に、携帯電話1の動作について説明する。
図2は、操作情報21の登録処理の手順を示すフローチャートである。
図1に示す検出部13は、登録対象となる検出物を検出し(ステップS101)、検出
物やその動きの特徴を解析し、検出情報として記憶部15に記憶する(ステップS102
)。制御部11は、その検出情報に対応するユーザと操作コマンドに関する情報を受け付
け、検出情報と対応付けて操作情報21として記憶部15に記憶する(ステップS103
)。
【0020】
図3は、操作情報21の一例を示す図である。
操作情報21は、ユーザ情報、検出情報、操作コマンド等から構成される。ユーザ情報
は、ユーザを識別するための情報であり、例えば、ユーザの氏名、ユーザID等である。
検出情報は、検出部13に検出物が接触もしくは近接した際に、検出部13が検出し、解
析した、検出物の特徴である。制御部11が登録処理プログラムを実行し、例えば、ユー
ザAが検出部13に耳を接触させた場合、検出部13は、パネルへの耳の接触を感知し、
耳の接触範囲(位置座標)、接触面積(接触部13のパネル全体に対する接触面積率など
も含む)、接触強度等を検出し、それらの検出結果からユーザAの耳の形状を特徴として
解析し、検出情報として記憶部15に記憶する。
【0021】
検出情報の解析が終わると、制御部11は、例えば表示部12に対して入力受付画面を
表示し、検出部13が検出した当該検出物と対応するユーザに関するユーザ情報と、検出
部13がその検出物を検出した場合に実行する操作コマンドの入力を受け付ける。例えば
、制御部11は、検出部13が検出した耳の形状に対して、ユーザ情報として「ユーザA
」を、検出部13が当該耳の形状を検出した場合の操作として「LCD(Liquid Crystal
Display)をオフにして通話する」という操作の入力を受け付け、操作情報21として記
憶部15に記憶する。即ち、操作情報21(図3の31部)として、「検出部13がユー
ザAの耳の形状を検出したら、携帯電話のLCDをオフにして通話を開始する」という操
作が記憶される。ここで、「通話を開始する」とは、例えば、電話着信があった際に電話
着信に応答して通話する操作であっても良いし、電話が未接続である場合に、定められた
宛先の電話番号に対して発信を行う操作であっても良い。
【0022】
図3を用いて、他の操作情報21の例を説明する。
検出部13は、検出物の接触範囲(位置座標)、接触面積、接触強度等を検出すること
で検出物の動きを検出し、検出情報として登録することが可能である。これにより、例え
ば、図3の32部、33部に示すように「検出部13がユーザAの耳の形状を検出し、耳
の上への動きを検出した場合、受話音量を大きくする」、「検出部13がユーザAの耳の
形状を検出し、耳の下への動きを検出した場合、携帯電話1の受話音量を小さくする」と
いった検出物の動きを用いた操作情報21を登録することが可能である。
【0023】
また、操作情報21における検出情報として、検出情報を組み合わせて記憶させること
も可能である。例えば、「検出部13がユーザAの耳の形状を検出」という検出情報と「
検出部13がユーザAの顎の形状を検出」という検出情報とを組み合わせて検出情報とし
、図3の34部に示すように、「検出部13がユーザAの耳の形状を検出した後、ユーザ
Aの顎の形状を検出した場合、通話の録音を実行する」といった操作情報21を登録する
ことが可能である。
【0024】
また、検出情報を利用して本人認証を行うこともできる。例えば、操作情報21として
図3の35部に示すように、「検出部13がユーザBの耳の形状を検出した場合、携帯電
話のロックを解除する」と登録しておけば、検出部13がユーザBの耳の形状を検出した
場合のみに、携帯電話1はロックを解除する。即ち、検出部13が検出したユーザBの耳
の形状により本人認証を行い、操作を許可することになる。従って、携帯電話をロックせ
ずに放置した場合でも本人以外は使用できないため、ロック設定、解除といった操作が必
要なくなる。
【0025】
また、検出情報として身体以外のものを登録することも可能である。例えば、図3の3
7部に示すように、検出情報としてペット(介助犬)の犬の足の形状を記憶しておき、操
作情報21として「着信時に検出部13がペットの犬の前足の形状を検出した場合、ハン
ズフリーで通話する」と登録することも可能である。これにより、ユーザが携帯電話1を
手に取れない場合、或いは携帯電話1の操作が困難である身障者や年配者子供なども安全
に携帯電話1を操作することができ、逆にその操作を制御することも可能となる。
【0026】
また、検出情報として携帯電話1のユーザの癖を登録しておくことも可能である。例え
ば、ユーザAは通話中に検出部13のパネル表面を持ち手の指でたたく癖がある場合、操
作情報21として「検出部13が、ユーザAが通話中に検出部13表面を指によってたた
くことを検出しても、何もしない」と登録することによって、癖の検出による誤動作を防
ぐことも可能である。
この他にも、例えば、通話中に、検出部13に検出物が検出されない時間が所定時間を
超えると、通話を切断する操作コマンドを実行するようにしても良い。
【0027】
図4は、携帯電話1による判定処理の流れを示すフローチャートである。
検出部13は、検出物を検出し(ステップS201)、検出した検出物とその動きの特
徴を解析する(ステップS202)。制御部11は、操作情報21を参照し(ステップS
203)、検出部13によって解析された検出物の特徴と操作情報21の検出情報と一致
するかどうかを判定する(ステップS204)。
【0028】
検出部13によって解析された検出物の特徴と操作情報21の検出情報とが一致する場
合(ステップS204で「Yes」)、制御部11は、当該検出情報に対応して記憶され
た操作コマンドを実行する(ステップS205)。検出部13によって解析された検出物
の特徴と操作情報21の検出情報とが一致しない場合(ステップS204で「No」)、
制御部11は、処理を中止する。
【0029】
例えば、ユーザBが携帯電話1の検出部13に顎をあてた場合、検出部13は、検出物
である顎の接触範囲(位置座標)、接触面積、接触強度等を検出し、その検出物の形状を
特徴として解析し、制御部11に通知する。制御部11は、図3に示す操作情報21を参
照し、検出物の特徴と図3に示す操作情報21の検出情報が一致するかどうかを判定する
。制御部11は、検出物の特徴がユーザBの顎の形状と一致すると判定した場合、図3の
36部に示す操作情報21に従って登録先番号「090−XXXX−YYYY」に発信す
る。
【0030】
以上のように、本実施の形態によれば、検出部13(タッチパネル)接触した検出物の
特徴を検出することで、本人認証やコマンド実行を行うことが可能である。これにより、
画面の確認作業、コマンド入力作業、操作入力等の入力が不要となるため、誤入力などを
防ぐことができる。
【符号の説明】
【0031】
1………携帯電話
11………制御部
12………表示部
13………検出部
15………記憶部
16………マイク部
17………スピーカー部
18………通信部
21………操作情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備え、前記タッチパネルに接触或いは近接する検出物を検出し、前記検
出物の特徴を解析する検出部と、
前記検出物の特徴に対応した操作コマンドを操作情報として記憶する操作情報記憶部と

前記操作コマンドを実行する制御部と、
を備え、
前記検出部は、前記タッチパネルに接触或いは近接する検出物を検出し、当該検出物の
特徴を解析して前記制御部に通知し、
前記制御部は、前記操作情報記憶部に記憶された前記操作情報を参照し、前記通知され
た当該検出物の特徴に対応する前記操作コマンドを実行することを特徴とする電話端末。
【請求項2】
前記検出部は、検出した前記検出物の接触位置、接触面積、接触強度を前記検出物の特
徴として解析する
ことを特徴とする請求項1に記載された電話端末。
【請求項3】
前記操作情報記憶部には、前記タッチパネルにユーザの耳を接触させた際の、接触位置
、接触面積、接触強度を示す情報が前記特徴として記憶される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された電話端末。
【請求項4】
前記制御部は、電話着信があった際に、前記通知された検出物の特徴に応じて、当該電
話着信に応答する前記操作コマンドを実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載された電話端末。
【請求項5】
前記制御部は、電話が未接続である場合に、前記通知された検出物の特徴に応じて、電
話を発信する前記操作コマンドを実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載された電話端末。
【請求項6】
前記検出部は、前記タッチパネルに接触或いは近接する前記検出物の移動を検出し、
前記制御部は、前記検出部が前記検出物の移動を検出した場合に、当該移動を示す前記
検出物の特徴に対応した操作コマンドを実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載された電話端末。
【請求項7】
前記制御部は、通話中に、前記検出部に前記検出物が検出されない時間が所定時間を超
えると、前記通話を切断する前記操作コマンドを実行する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載された電話端末。
【請求項8】
検出物の特徴に対応した操作コマンドを操作情報として記憶する操作情報記憶部を備え
た端末装置の操作方法であって、
タッチパネルを備える検出部が、前記タッチパネルに接触或いは近接する検出物を検出
し、前記検出物の特徴を解析するステップと、
制御部が、前記操作情報記憶部に記憶された前記操作情報を参照し、前記検出部によっ
て検出された当該検出物の特徴に対応する前記操作コマンドを実行するステップと、
を備えることを特徴とする操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−205417(P2011−205417A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71004(P2010−71004)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】