電話端末システム
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電話回線へ接続する網制御装置と、データ通信用のモデムとを具備して、記憶手段に登録された通信先のダイヤル情報に基づいて自動ダイヤル処理を実行する電話端末システムに関するもので、詳しくは、当該電話端末システムを利用する場合の回線種別の設定等を容易にするとともに、通信先のダイヤル情報を複数台の電話端末システムで共通に利用できるようにするための改良に係るものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、ファームバンキング専用の電話端末システムとして、ファームバンキングシステムが開発されている。このファームバンキングシステムは、電話回線へ接続する網制御装置と、データ通信用のモデムとを具備して、記憶手段に登録された通信先のダイヤル情報に基づいて自動ダイヤル処理を実行する機能を有している。
【0003】ところで、自動ダイヤル処理を実行するには、当システムを接続する電話回線がプッシュボタン回線かダイヤルパルス回線かを示す回線種別情報や内線発信を使うのか外線発信を使うのかを示す使用回線情報が必要で、従来のファームバンキングシステムでは、前記回線種別情報は当システムの本体背面に装備したディップスイッチによって設定し、前記使用回線情報は、フロッピーディスク等の記憶手段に格納する通信先のダイヤル情報の先頭に付加する方式としていた。
【0004】この使用回線情報の付加について詳述すると次の如くである。内線発信を使用する場合には、フロッピーディスク等に記録される各ダイヤル情報の先頭に、内線発信番号(例えば「0」)と、局線切替えを行う際の待ち時間を確保するためのポーズ文字(例えば「:」)とを記述しておく。
【0005】また、従来のファームバンキングシステムの場合、回線種別情報や使用回線情報の設定値が適正か否かの判別は、ユーザ自身がハンドセット(電話機)を使って手動で使用回線情報を付加した相手先のダイヤル情報を入力し、ダイヤル後の相手先の応答を自分の耳で確認することにより行う。そして、相手先の応答結果から回線種別情報や使用回線情報の設定値が「適正でない」と判断した場合には、ディップスイッチの設定の確認、入力した相手先のダイヤル情報の確認、ハンドセットによる相手先発呼操作等を繰り返して、設定値を適正化する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の従来のファームバンキングシステムでは、次のような問題があった。
【0007】(1)回線種別情報等の設定値の判別処理時には、フロッピーディスク等に記述した相手先ダイヤル情報を使用しないため、このフロッピーディスク等に記述した相手先ダイヤル情報に不備があっても、設定値の判別処理を実行する際にユーザがハンドセットから直接入力する相手先ダイヤル情報が正しければ、この不備が発見されず、後にフロッピーディスクのダイヤル情報を使って通信する時に、通信不可といった不都合が発生する虞れがあった。
【0008】(2)また、内線発信するか外線発信するかを示す使用回線情報がフロッピーディスク等に保存される相手先のダイヤル情報に付加した状態で設定されているため、ユーザが複数台のファームバンキングシステムを所有し、各ファームバンキングシステム毎で設定すべき使用回線情報が異なるような場合には、各ファームバンキングシステム毎にダイヤル情報を記録したフロッピーディスク等を作成しなければならないという不便があった。
【0009】(3)また、ファームバンキング処理においては、ハンドセットは必須ではないが、前述した従来のファームバンキングシステムでは、回線種別情報の設定値が適正であるか否かの判別のために、ハンドセットが不可欠となるというハードウェア上の負担が生じていた。
【0010】(4)また、回線種別情報や使用回線情報の設定値が適正であるか否かの判別を、ユーザ自身が手動操作によって行わなければならず、ユーザに負担がかかるという問題があった。
【0011】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、回線種別情報や使用回線情報の設定値が適正であるか否かの判別をハンドセットを使わずに自動処理することができ、従って、回線種別情報や使用回線情報の設定値をユーザに負担をかけることなくチェックすることができると同時に、ハンドセットの削除等によってシステムの装備を軽減することができ、また、使用回線等が異なった複数台のシステムが混在するユーザ環境でも使用回線等の相異に応じて各システム毎にダイヤル情報を登録し直すといった不便を解消することもできる電話端末システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電話端末システムは、電話回線へ接続する網制御装置と、データ通信用のモデムとを具備して、記憶手段に登録された通信先のダイヤル情報に基づいて自動ダイヤル処理を実行するもので、システムバックアップメモリを具備し、このシステムバックアップメモリには、自動ダイヤル処理時に必要な情報として、当電話端末システムを接続する電話回線がプッシュボタン回線かダイヤルパルス回線かを示す回線種別情報と、内線発信を使用する設置環境の場合にはその内線発信番号を設定して内線発信を使うのか外線発信を使うのかを示す使用回線情報とを格納する。
【0013】また、プログラム処理による機能として自動ダイヤル処理機能と、回線設定値判定処理機能とを具備する。ここに、自動ダイヤル処理機能は、前記システムバックアップメモリとは別の記憶手段に格納された通信先のダイヤル情報と、前記システムバックアップメモリに格納されている情報とに基づいて、指定の通信先に自動ダイヤル処理する機能である。
【0014】また、回線設定値判定処理機能は、前記システムバックアップメモリに設定されている情報を使って予め定めた通信先に自動ダイヤル処理し、その自動ダイヤル処理時に前記モデムのキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを監視することにより、前記システムバックアップメモリに設定した情報が適正であるか否かを判別して利用者に通知する機能である。
【0015】
【作用】本発明に係る電話端末システムでは、ユーザが設定した回線種別情報や使用回線情報の設定値は、システムのプログラム処理による回線設定値判定処理によって自動的に適正であるか否かを判別することができ、ユーザに負担をかけることなく回線種別情報や使用回線情報の設定値をチェックすることができる。また、設定値をチェックする回線設定値判定処理は、プログラム処理による自動処理であるため、ユーザの手動操作で判定処理を行った従来の場合と比較すると、ユーザの誤操作によって誤った判定結果を得てその後の運用時に支障をきたすといった不都合も生じない。
【0016】また、回線種別情報や使用回線情報の設定値の判別にハンドセットを必要としないため、ハンドセットの削除等によってシステムの装備を軽減することもできる。
【0017】また、回線種別情報や使用回線情報はシステムバックアップメモリに設定しておいて、自動ダイヤル処理時に利用する構成であるため、ユーザがフロッピーディスク等に登録する通信先のダイヤル情報にはこれら回線種別情報や使用回線情報を含める必要がなくなる。従って、使用回線等が異なった複数台のシステムが混在するユーザ環境でも使用回線等の相異に応じて各システム毎にダイヤル情報を登録し直すといった不便を解消することもできる。
【0018】
【実施例】図2は本発明に係る電話端末システムの一実施例の概略構成図である。この一実施例は、ファームバンキング専用端末として開発されたファームバンキングシステムであり、本体1と、必要に応じて本体1に接続される電話機(またはFAX)2と、キーボード3と、専用テンキーパッド4とで構成されている。図3は一実施例の外観図であり、本体1にキーボード3と専用テンキーパッド4が接続された状態を示している。
【0019】前記本体1は、図2に示すように、CPU(中央処理装置)6と、該CPU6がメインメモリとして管理するRAM(ランダムアクセスメモリ)7と、処理内容等を表示する液晶ディスプレイ(LCD)8と、処理結果等を印字出力する内蔵プリンタ9と、漢字データを格納した漢字ROM10と、不揮発メモリとして前記CPU6が活用するシステムバックアップメモリ(システムBBM)11と、フロッピーディスクドライブ(FDD)12と、電話回線13へ接続する網制御装置(NCU)14と、データ通信用のモデム15とを具備した構成となっている。ここに、前記モデム15は、CCITTのV26bis規格のものであり、文字同期方式による2400bpsの半二重通信が可能となっている。
【0020】前記CPU6は、ファームバンキングに必要な各種の処理をプログラム処理によって実行するが、この一実施例では、その他に、回線情報設定処理や、自動ダイヤル処理や、回線設定値判定処理などをプログラム処理する。
【0021】回線情報設定処理は、自動ダイヤル処理時に必要な情報として、回線種別情報と使用回線情報とを前記システムバックアップメモリ11に設定する機能である。ここに、回線種別情報は、当電話端末システムを接続する電話回線13がプッシュボタン回線(以下、PB回線と呼ぶ)かダイヤルパルス回線(以下、DP回線と呼ぶ)かを示すものである。また、使用回線情報は、内線発信を使うのか外線発信を使うのかを示す情報で、内線発信を使用する設置環境の場合にはその内線発信番号を設定する。
【0022】図4は、この回線情報設定処理時の液晶ディスプレイ8上の表示画面である。回線種別情報を設定するフィールド17では、画面に表示している「PB回線」、「DP回線(10P)」、「DP回線(20P)」等の回線種別の中から該当する回線種別をカーソル移動によって選択する。また、使用回線情報を設定するフィールド18では、まず直通(外線発信)するのか内線発信するのかをカーソル移動によって選択し、内線発信の場合には、内線発信番号を指定する。使用回線として直通(即ち、外線発信)を選択した場合には、内線発信番号の記入欄は空白となる。また、内線発信を選択した場合には、内線発信番号として、‘0’から‘9’のいずれかの数値を指定することになる。
【0023】図4の表示例は、「DP回線(20P)」を使って内線発信(‘0’発信)する場合を示している。この回線情報設定処理で設定した回線種別情報および使用回線情報は、いずれも、前述のシステムバックアップメモリ11に登録する。使用回線情報のシステムバックアップメモリ11の登録は、内線発信番号を登録するかスペース(空白)を登録するかによって、内線発信をするのか外線発信をするのかを区別する。
【0024】前記自動ダイヤル処理は、フロッピーディスクに格納されている通信先のダイヤル情報を前記フロッピーディスクドライブ12によって読み出して通信先毎に一覧表示し、一覧表示したダイヤル情報の内のユーザが指定した通信先に対して、前記システムバックアップメモリ11に格納されている情報に基づいて、発呼処理する。発呼処理する場合に、PB回線として発呼処理するかDP回線として処理するかという判断は、ユーザがシステムバックアップメモリ11に設定した回線種別情報に基づいて実行し、また、内線発信を使うのか外線発信を使うのかという判断は、同様にユーザがシステムバックアップメモリ11に設定した使用回線情報に基づいて実行する。したがって、フロッピーディスクに格納する通信先のダイヤル情報には、回線種別情報や使用回線情報を付加しておく必要がない。
【0025】前記回線設定値判定処理は、ユーザが前記回線情報設定処理によってシステムバックアップメモリ11に設定した値が適正か否かを、前記CPU6のプログラム処理によって、自動的に判定し、その判定結果を液晶ディスプレイ8に表示するものである。
【0026】図1は、一実施例における回線設定値判定処理の概略を示したものである。以下、図1に基づいて、一実施例の回線設定値判定処理を説明する。
【0027】ユーザが前記回線情報設定処理で設定を行った後に実行キーを押すと、該回線設定値判定処理が開始し、まず、システムバックアップメモリ11の設定値を読出し(ステップS1)、そして、使用回線情報の設定値が、‘空白’か‘0’から‘9’までの数値かによって、内線発信か外線発信(直通)かを判断し(ステップS2)、当システムで予め定めた通信先(この一実施例では、NTT(日本電信電話株式会社)の時報サービス)のダイヤル番号を判断結果に応じて、当該回線設定値判定処理で使用する所定のメモリエリア(メインメモリ=RAM7)にセットする(ステップS3,S4)。
【0028】前記ステップS3は、直通の場合で、ダイヤル番号として‘117’をセットする。ステップS4は、内線発信の場合で、「117」の直前に内線発信番号(通常、0〜9の内の1桁が使われている)とポーズ文字「:」とを付加した値、例えば、内線発振番号が「0」の場合には、‘0:117’をダイヤル番号としてセットする。なお、前記ステップS2で、使用回線情報の設定値が‘空白’および‘0’〜‘9’の数値以外であると判断した場合には、エラーとして扱い、表示ルーチンへ戻る。また、この一実施例の場合、システムバックアップメモリ11に設定された回線種別情報は、ハードウェアによって監視しており、当回線設定値判定処理では、意識していない。
【0029】そして、ステップS3またはS4によって、通信先のダイヤル番号のセットが完了すると、オフフックやバイアス極性の検出によって、電話回線接続の有無をチェックする(ステップS5)。このステップS5では、オフフックしない場合、ハンドセットで既に通話中の場合、または、システムバックアップメモリ11の障害の場合は、エラーとして扱い、表示ルーチンに戻る。
【0030】表示ルーチンでは、エラー発生の原因が推測できるように、予め当回線設定値判定処理のプログラム上で定めたリターンステータス(表示コード)と、エラー修正のための案内文とを液晶ディスプレイ8に表示する。図5は表示ルーチンにおける液晶ディスプレイ8への表示の一例を示したものであり、また、図6は一実施例における回線設定値判定処理プログラム上に設定したリターンステータスを示したものである。
【0031】図5に示したように、画面の右肩に表示した4桁(4バイト)の数字列が、リターンステータス列20である。リターンステータス列20の4桁の数字列は、図6に示すように、最上位の1桁(1バイト目)が正常終了か異常終了かを示し、次の1桁(2バイト目)が前記システムバックアップメモリ11に設定されている使用回線情報の値を示し、さらに次の1桁(3バイト目)が極性反転の検出の有無を示し、最後の1桁(4バイト目)が該当したエラー項目等を示す。
【0032】リターンステータス列20の設定例を、具体例で説明する。例えば、図1のステップS5で、オフフックしない、あるいは、ハンドセットで既に通話中、あるいは、システムバックアップメモリ11の障害等で表示ルーチンに戻った場合、リターンステータス列20の1バイト目および3バイト目は、何れも‘9’となり、また、4バイト目は、オフフックしない場合については‘1’、ハンドセットで既に通話中の場合については‘2’、システムバックアップメモリ11の障害の場合については‘8’となる。
【0033】図1のステップS5で、オフフックした場合には、次のステップS6でダイヤリング(発呼処理)を実行し、ステップS6が終了すると、前記モデム15のキャリアディテクト(CD)信号を監視可能にするために、受信線接続ビットをオンにする(ステップS7)。このとき、直にキャリアディテクト信号の検出を開始すると、相手先が応答した瞬間にノイズが入るため、約500msecのタイムディレイを設定し(ステップS8)、その後に、前記キャリアディテクト信号を監視する検出ルーチンに移行する(ステップS9)。
【0034】図7は前記ステップS9の検出ルーチンの詳細を示したものである。検出ルーチンでは、まず、相手先応答時に交換機より上がってくる極性反転(ライン・リバース)の有無をチェックする(ステップS10)。ライン・リバース機能を備えた交換機の場合には極性反転が上がってくるが、ライン・リバース機能を備えていない交換機の場合には、極性反転が上がってこない。ステップS10では、このような交換機の特性を利用し、極性反転が上がってきた時には前記リターンステータス列20の3バイト目の値として‘1’を、極性反転が上がってこない時には前記リターンステータス列20の3バイト目の値として‘0’を、それぞれ、当該回線設定値判定処理で使用する所定のメモリエリア(メインメモリ=RAM7)にセットする。
【0035】次に、モデム信号の監視時間(この一実施例では、45sec)を設定し(ステップS11)、この監視時間のタイムアウトと処理のキャンセル指示(キーボード3からの「CTRL+A」の入力)の有無とを監視しながら(ステップS12,13)、前記ステップS11で設定した監視時間内でモデム15のキャリアディテクト信号チェックを実行する(ステップS14)。ステップS14におけるキャリアディテクト信号チェックは、前記モデム15のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを監視して、一定時間(ステップS11で設定した監視時間=45秒)内に適正な時報パターンを一定回数(この一実施例では、3回)検出できたか否かによって、前記システムバックアップメモリ11に設定した情報が適正であるか否かを判別して利用者に通知する。
【0036】前記ステップS12でタイムアウトを検出した場合、あるいはステップS13でキャンセルの指示を検出した場合は、いずれも表示ルーチンに戻る。また、前記ステップS10の極性反転チェックおよび、ステップS14のキャリアディテクト信号チェックは、それぞれ、サブルーチン処理として実行している。
【0037】図8は、前記ステップS10における極性反転チェックの処理の詳細を示したものである。まず、チェック処理期間として767msecをタイマーセットする(ステップS101)。767msecのセットは、1/60secのインターバルタイマーで、カウント値を46に設定することによって行う。また、ステップS101のタイマセット時には、極性反転カウンタの計数値を初期値‘0’に設定する。
【0038】次いで、バイアス極性の検出間隔時間として、33.3msecをタイマーセットし(ステップS102)、33.3msecが経過したらバイアス極性の検出を行い(ステップS103,S104)、検出したバイアス極性に対しては極性反転が発生しているか否かを判断し(ステップS105)、極性反転が発生している場合には、極性反転カウンタの値を+1加算する(ステップS106)。以上のステップS102〜S106までの処理は、ステップS101で設定した767msecがタイムアウトとなるまで繰り返し(ステップS107)、767msecがタイムアウトとなった場合には、前記極性反転カウンタの値が15以上であるか否かを判断し、極性反転カウンタの値が15以上の場合には極性反転ありとして判定し、極性反転カウンタの値が15未満の場合には極性反転無しとして判定する(ステップS108)。
【0039】即ち、一実施例における極性反転チェックの処理は、767msecの期間にバイアス極性の検出を23回実行し、その内、反転の検出回数が15回以上になれば、極性反転ありと判定して、前記リターンステータス列20の3バイト目の値として‘1’を、当該回線設定値判定処理で使用する所定のメモリエリア(メインメモリ=RAM7)にセットする。また、反転の検出回数が15回未満の時には、極性反転無しと判定して、前記リターンステータス列20の3バイト目の値として‘0’を、当該回線設定値判定処理で使用する所定のメモリエリア(メインメモリ=RAM7)にセットする。
【0040】前記図7のステップS14のキャリアディテクト信号チェックは、図1のステップS6のダイヤル処理後に、モデム15のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを監視し、予め当該回線設定値判定処理プログラムの管理している基準のオン・オフパターンと照合することによって、NTTの117番(時報サービス)に正常接続できたか否かを判断する。
【0041】図9の(a)〜(f)は、それぞれ、当該回線設定値判定処理プログラムが管理している基準のオン・オフパターンである。図9の(a)は、NTTの117番(時報サービス)に正常接続できた場合のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを示している。NTTの時報サービスは、呼び出し音無しでつながり、ピッピッピッピーンという時報音が10秒間隔で発生する。この「ピーン」という音は、図に符号Pで示した箇所で、オン状態の継続時間が1391msec〜1399msecである。この「ピーン」という音の箇所以外は、オン状態の継続時間が1秒未満となる。
【0042】図9の(b)は、オフフック後、ダイヤル無し、あるいはダイヤル無効の際のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを示している。オフフックすると、キャリアディテクト信号はオンとなり、ブーン(またはプーン)という連続音を発生するが、20秒経過すると、「ピピ」、「ピピ」という断続音が990msec毎に繰り返される。「ピピ」という断続音を発生する時の、各パターンの継続時間T1,T2,T3,T4は、T1=T3=195msecであり、T2=201msecであり、T4=399msecである。このようなパターンは、オフフックしたあとダイヤルしていない場合とか、市外局番+αでNTTの交換機が無効と見なした場合が該当する。
【0043】図9の(c)は、ダイヤル後の呼び出し中の場合のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを示している。呼び出し中の場合は、図示のように、規則的にオン・オフが繰り返される。オンの継続時間T5は約1秒であり、オフの継続時間T6は約2秒である。
【0044】図9の(d)は、ダイヤル後の相手話中の場合のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを示している。相手話中の場合は、図示のように、規則的にオン・オフが繰り返される。オンの継続時間T7およびオフの継続時間T8は、それぞれ、約500msecである。
【0045】また、図示はしないが、当該電話端末システムを設置するユーザ環境でPBX(構内交換機)を利用する場合には、そのPBX利用時におけるキャリアディテクト信号のオン・オフパターンも、基準パターンとして考慮する。
【0046】図10は、前記ステップS14におけるキャリアディテクト信号チェックの処理の詳細を示したものである。まず、キャリアディテクト信号のパターンを判断中(即ち、検出したキャリアディテクト信号のパターンを図9に示した基準のオン・オフパターンと照合中)であるか否かを判断中フラグのオン・オフによって判断する(ステップS141)。
【0047】前記ステップS141で判断中フラグがオフであった時には、キャリアディテクト信号がオンであるか否かを判断する(ステップS142)。そして、キャリアディテクト信号がオフならば、直ちに、図7で示したステップS12に戻る。また、キャリアディテクト信号がオンの時には、1.8秒カウンタをスタートさせ(ステップS143)、前記判断中フラグをオンに切替えて図7のステップS12に戻る(ステップS144)。
【0048】前記ステップS141で判断中フラグがオンであった時には、キャリアディテクト信号がオフであるか否かを判断する(ステップS145)。そして、キャリアディテクト信号がオンならば、直ちに、図7で示したステップS12に戻る。また、キャリアディテクト信号がオフの時には、1.8秒カウンタのカウント値が1.6秒〜2.0秒の範囲内であるか否かを判断し(ステップS146)、範囲外の時には、直ちにステップS152に進み、判断中フラグをオフに切替えて図7のステップS12に戻る。
【0049】前記ステップS146で、範囲内であると判断した場合には、最初のパターン検出か否かを判断し(ステップS147)、最初のパターン検出の場合には、ステップS149に移行してパターン検出回数を+1加算し、次のステップS150では、パターン検出回数が3回に達したか否かを判断し、達していれば、正常接続として、表示ルーチンに戻る。
【0050】前記ステップS147で最初のパターン検出ではないと判断した場合には、10秒カウンタの値が9秒〜11秒の範囲内であるか否かを判断し(ステップS148)、範囲内であれば次のステップS149に移行してパターン検出回数を+1加算し、さらに次のステップS150ではパターン検出回数が3回に達したか否かを判断し、達していれば、正常接続として、表示ルーチンに戻る。
【0051】前記ステップS148において範囲外として判断した場合には、直ちにステップS152に移行し、判断中フラグをオフに切替えて図7のステップS12に戻る。
【0052】また、前記ステップS150において、パターン検出回数が2以下の場合には、10秒カウンタをスタートさせ(ステップS151)、次のステップS152で判断中フラグをオフに切替えて図7のステップS12に戻る。
【0053】以上の図10に示した処理(即ち、図7のステップS14)は、図7で説明したようにステップS11で設定した監視時間45秒の範囲で繰り返し、この監視時間内で図9の(a)に示した適正な時報パターンを3回検出できた場合に限って、前記システムバックアップメモリ11に設定した情報が適正であると判定して表示ルーチンにおいてその旨を表示する。
【0054】図11は、前記キャリアディテクト信号チェックで、システムバックアップメモリ11の設定値が適正であると判断した場合の表示画面を示したもので、画面の右肩に表示したリターンステータス列20の1バイト目および4バイト目のリターンステータスは‘0’となっている。
【0055】また、以上の如きキャリアディテクト信号チェックで、図9の(b)〜(d)等をオン・オフパターンを検出し、適正な時報パターンを3回検出できずに規定の監視時間をタイムアウトした場合は、システムバックアップメモリ11に設定した情報が不適であったとみなし、前述のリターンステータス列20の1バイト目のリターンステータスとして‘9’を、また4バイト目のリターンステータスとしてタイムアウトの原因となったリターンステータス‘3’〜‘7’を選択し、選択したリターンステータスを当該回線設定値判定処理で使用する所定のメモリエリアにセットした後、表示ルーチンに戻ってエラーを表示する。また、表示ルーチンにおける表示の際、リターンステータス列20の2バイト目には、システムバックアップメモリ11に設定していた使用回線情報の設定値を表示する。
【0056】前述の図5は、検出したキャリアディテクト信号のオン状態の継続時間が図9の(a)のPの時間(約1.3秒)よりも短く、タイムアウトしてしまった場合(例えば、図9の(c),(d)の場合)のエラー表示を示している。エラー表示した状態では、図4に示した回線情報設定を再選択可能にされている。
【0057】処理途中でユーザが処理のキャンセルを指示した場合にも、図7のステップS13に示したように、表示ルーチンに戻ってエラーを表示するが、この場合は、リターンステータス列20の1バイト目のリターンステータスとしては‘9’を設定するが、4バイト目のリターンステータスとしては‘9’が設定される。
【0058】以上に説明した一実施例の電話端末システムでは、ユーザが設定した回線種別情報や使用回線情報の設定値は、システムのプログラム処理による回線設定値判定処理によって自動的に適正であるか否かを判別することができ、ユーザに負担をかけることなく回線種別情報や使用回線情報の設定値をチェックすることができる。また、設定値をチェックする回線設定値判定処理は、プログラム処理による自動処理であるため、ユーザの手動操作で判定処理を行った従来の場合と比較すると、ユーザの誤操作によって誤った判定結果を得てその後の運用時に支障をきたすといった不都合も生じない。
【0059】また、回線種別情報や使用回線情報の設定値の判別にハンドセットを必要としないため、ハンドセットの削除等によってシステムの装備を軽減することもできる。
【0060】また、回線種別情報や使用回線情報はシステムバックアップメモリ11に設定しておいて、自動ダイヤル処理時に利用する構成であるため、ユーザがフロッピーディスク等に登録する通信先のダイヤル情報にはこれら回線種別情報や使用回線情報を含める必要がなくなる。従って、使用回線等が異なった複数台のシステムが混在するユーザ環境でも使用回線等の相異に応じて各システム毎にダイヤル情報を登録し直すといった不便を解消することもできる。
【0061】さらに、一実施例の場合は、NTTの時報サービスにおけるキャリアディテクト信号を利用して回線設定値判定処理を実行するため、24時間いつでも回線設定値判定処理が可能となる。
【0062】さらに、回線設定値判定処理でユーザの設定値が不適と判定される場合には、その判定の元となったリターンステータスが通知されるため、リターンステータスの解析から設定値の不備を推測することが可能で、設定値の修正を容易にすることができる。
【0063】なお、前述の一実施例では、通信先のダイヤル情報を格納しておく記憶手段として、フロッピーディスクを利用する場合を示したが、通信先のダイヤル情報を格納する記憶手段としてはICカードや固定ディスクなどを利用することも可能であり、また、不揮発RAMを利用することも考えられる。したがって、通信先のダイヤル情報の記憶手段は、一実施例に限定するものではない。
【0064】また、一実施例は、ファームバンキングシステムであったが、本発明は一実施例に限らず、ユーザが回線種別情報や使用回線情報を設定し、その設定値に基づいて自動ダイヤル処理を実行するような電話端末に対して、広く応用することができる。
【0065】また、一実施例では、回線設定値判定処理にはNTTの時報サービスを利用することとしたが、自動ダイヤル処理によって接続できて一定のキャリアディテクト信号が得られるような通信先であれば、前述したNTTの時報サービスの代りに利用してもよい。
【0066】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明に係る電話端末システムでは、ユーザが設定した回線種別情報や使用回線情報の設定値は、システムのプログラム処理による回線設定値判定処理によって自動的に適正であるか否かを判別することができ、ユーザに負担をかけることなく回線種別情報や使用回線情報の設定値をチェックすることができる。また、設定値をチェックする回線設定値判定処理は、プログラム処理による自動処理であるため、ユーザの手動操作で判定処理を行った従来の場合と比較すると、ユーザの誤操作によって誤った判定結果を得てその後の運用時に支障をきたすといった不都合も生じない。
【0067】また、回線種別情報や使用回線情報の設定値の判別にハンドセットを必要としないため、ハンドセットの削除等によってシステムの装備を軽減することもできる。
【0068】また、回線種別情報や使用回線情報はシステムバックアップメモリに設定しておいて、自動ダイヤル処理時に利用する構成であるため、ユーザがフロッピーディスク等に登録する通信先のダイヤル情報にはこれら回線種別情報や使用回線情報を含める必要がなくなる。従って、使用回線等が異なった複数台のシステムが混在するユーザ環境でも使用回線等の相異に応じて各システム毎にダイヤル情報を登録し直すといった不便を解消することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電話端末システムの一実施例の処理の説明図である。
【図2】本発明の一実施例のハードウェア構成図である。
【図3】本発明の一実施例の外観を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施例の回線情報設定処理時の表示画面の説明図である。
【図5】本発明の一実施例の回線設定値判定処理におけるエラー表示の説明図である。
【図6】本発明の一実施例のリターンステータスの説明図である。
【図7】本発明の一実施例の検出ルーチンの詳細図である。
【図8】本発明の一実施例の極性反転チェックルーチンの詳細図である。
【図9】本発明の一実施例で基準値として管理しているキャリアディテクト信号のオン・オフパターンである。
【図10】本発明の一実施例のキャリアディテクト信号チェックルーチンの詳細図である。
【図11】本発明の一実施例の回線設定値判定処理における表示の説明図である。
【符号の説明】
1 本体
2 電話機(またはFAX)
3 キーボード
6 CPU
7 RAM
8 液晶ディスプレイ
9 内蔵プリンタ
10 漢字ROM
11 システムバックアップメモリ
12 フロッピーディスクドライブ
13 電話回線
14 網制御装置
15 モデム
20 リターンステータス列
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電話回線へ接続する網制御装置と、データ通信用のモデムとを具備して、記憶手段に登録された通信先のダイヤル情報に基づいて自動ダイヤル処理を実行する電話端末システムに関するもので、詳しくは、当該電話端末システムを利用する場合の回線種別の設定等を容易にするとともに、通信先のダイヤル情報を複数台の電話端末システムで共通に利用できるようにするための改良に係るものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、ファームバンキング専用の電話端末システムとして、ファームバンキングシステムが開発されている。このファームバンキングシステムは、電話回線へ接続する網制御装置と、データ通信用のモデムとを具備して、記憶手段に登録された通信先のダイヤル情報に基づいて自動ダイヤル処理を実行する機能を有している。
【0003】ところで、自動ダイヤル処理を実行するには、当システムを接続する電話回線がプッシュボタン回線かダイヤルパルス回線かを示す回線種別情報や内線発信を使うのか外線発信を使うのかを示す使用回線情報が必要で、従来のファームバンキングシステムでは、前記回線種別情報は当システムの本体背面に装備したディップスイッチによって設定し、前記使用回線情報は、フロッピーディスク等の記憶手段に格納する通信先のダイヤル情報の先頭に付加する方式としていた。
【0004】この使用回線情報の付加について詳述すると次の如くである。内線発信を使用する場合には、フロッピーディスク等に記録される各ダイヤル情報の先頭に、内線発信番号(例えば「0」)と、局線切替えを行う際の待ち時間を確保するためのポーズ文字(例えば「:」)とを記述しておく。
【0005】また、従来のファームバンキングシステムの場合、回線種別情報や使用回線情報の設定値が適正か否かの判別は、ユーザ自身がハンドセット(電話機)を使って手動で使用回線情報を付加した相手先のダイヤル情報を入力し、ダイヤル後の相手先の応答を自分の耳で確認することにより行う。そして、相手先の応答結果から回線種別情報や使用回線情報の設定値が「適正でない」と判断した場合には、ディップスイッチの設定の確認、入力した相手先のダイヤル情報の確認、ハンドセットによる相手先発呼操作等を繰り返して、設定値を適正化する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の従来のファームバンキングシステムでは、次のような問題があった。
【0007】(1)回線種別情報等の設定値の判別処理時には、フロッピーディスク等に記述した相手先ダイヤル情報を使用しないため、このフロッピーディスク等に記述した相手先ダイヤル情報に不備があっても、設定値の判別処理を実行する際にユーザがハンドセットから直接入力する相手先ダイヤル情報が正しければ、この不備が発見されず、後にフロッピーディスクのダイヤル情報を使って通信する時に、通信不可といった不都合が発生する虞れがあった。
【0008】(2)また、内線発信するか外線発信するかを示す使用回線情報がフロッピーディスク等に保存される相手先のダイヤル情報に付加した状態で設定されているため、ユーザが複数台のファームバンキングシステムを所有し、各ファームバンキングシステム毎で設定すべき使用回線情報が異なるような場合には、各ファームバンキングシステム毎にダイヤル情報を記録したフロッピーディスク等を作成しなければならないという不便があった。
【0009】(3)また、ファームバンキング処理においては、ハンドセットは必須ではないが、前述した従来のファームバンキングシステムでは、回線種別情報の設定値が適正であるか否かの判別のために、ハンドセットが不可欠となるというハードウェア上の負担が生じていた。
【0010】(4)また、回線種別情報や使用回線情報の設定値が適正であるか否かの判別を、ユーザ自身が手動操作によって行わなければならず、ユーザに負担がかかるという問題があった。
【0011】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、回線種別情報や使用回線情報の設定値が適正であるか否かの判別をハンドセットを使わずに自動処理することができ、従って、回線種別情報や使用回線情報の設定値をユーザに負担をかけることなくチェックすることができると同時に、ハンドセットの削除等によってシステムの装備を軽減することができ、また、使用回線等が異なった複数台のシステムが混在するユーザ環境でも使用回線等の相異に応じて各システム毎にダイヤル情報を登録し直すといった不便を解消することもできる電話端末システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電話端末システムは、電話回線へ接続する網制御装置と、データ通信用のモデムとを具備して、記憶手段に登録された通信先のダイヤル情報に基づいて自動ダイヤル処理を実行するもので、システムバックアップメモリを具備し、このシステムバックアップメモリには、自動ダイヤル処理時に必要な情報として、当電話端末システムを接続する電話回線がプッシュボタン回線かダイヤルパルス回線かを示す回線種別情報と、内線発信を使用する設置環境の場合にはその内線発信番号を設定して内線発信を使うのか外線発信を使うのかを示す使用回線情報とを格納する。
【0013】また、プログラム処理による機能として自動ダイヤル処理機能と、回線設定値判定処理機能とを具備する。ここに、自動ダイヤル処理機能は、前記システムバックアップメモリとは別の記憶手段に格納された通信先のダイヤル情報と、前記システムバックアップメモリに格納されている情報とに基づいて、指定の通信先に自動ダイヤル処理する機能である。
【0014】また、回線設定値判定処理機能は、前記システムバックアップメモリに設定されている情報を使って予め定めた通信先に自動ダイヤル処理し、その自動ダイヤル処理時に前記モデムのキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを監視することにより、前記システムバックアップメモリに設定した情報が適正であるか否かを判別して利用者に通知する機能である。
【0015】
【作用】本発明に係る電話端末システムでは、ユーザが設定した回線種別情報や使用回線情報の設定値は、システムのプログラム処理による回線設定値判定処理によって自動的に適正であるか否かを判別することができ、ユーザに負担をかけることなく回線種別情報や使用回線情報の設定値をチェックすることができる。また、設定値をチェックする回線設定値判定処理は、プログラム処理による自動処理であるため、ユーザの手動操作で判定処理を行った従来の場合と比較すると、ユーザの誤操作によって誤った判定結果を得てその後の運用時に支障をきたすといった不都合も生じない。
【0016】また、回線種別情報や使用回線情報の設定値の判別にハンドセットを必要としないため、ハンドセットの削除等によってシステムの装備を軽減することもできる。
【0017】また、回線種別情報や使用回線情報はシステムバックアップメモリに設定しておいて、自動ダイヤル処理時に利用する構成であるため、ユーザがフロッピーディスク等に登録する通信先のダイヤル情報にはこれら回線種別情報や使用回線情報を含める必要がなくなる。従って、使用回線等が異なった複数台のシステムが混在するユーザ環境でも使用回線等の相異に応じて各システム毎にダイヤル情報を登録し直すといった不便を解消することもできる。
【0018】
【実施例】図2は本発明に係る電話端末システムの一実施例の概略構成図である。この一実施例は、ファームバンキング専用端末として開発されたファームバンキングシステムであり、本体1と、必要に応じて本体1に接続される電話機(またはFAX)2と、キーボード3と、専用テンキーパッド4とで構成されている。図3は一実施例の外観図であり、本体1にキーボード3と専用テンキーパッド4が接続された状態を示している。
【0019】前記本体1は、図2に示すように、CPU(中央処理装置)6と、該CPU6がメインメモリとして管理するRAM(ランダムアクセスメモリ)7と、処理内容等を表示する液晶ディスプレイ(LCD)8と、処理結果等を印字出力する内蔵プリンタ9と、漢字データを格納した漢字ROM10と、不揮発メモリとして前記CPU6が活用するシステムバックアップメモリ(システムBBM)11と、フロッピーディスクドライブ(FDD)12と、電話回線13へ接続する網制御装置(NCU)14と、データ通信用のモデム15とを具備した構成となっている。ここに、前記モデム15は、CCITTのV26bis規格のものであり、文字同期方式による2400bpsの半二重通信が可能となっている。
【0020】前記CPU6は、ファームバンキングに必要な各種の処理をプログラム処理によって実行するが、この一実施例では、その他に、回線情報設定処理や、自動ダイヤル処理や、回線設定値判定処理などをプログラム処理する。
【0021】回線情報設定処理は、自動ダイヤル処理時に必要な情報として、回線種別情報と使用回線情報とを前記システムバックアップメモリ11に設定する機能である。ここに、回線種別情報は、当電話端末システムを接続する電話回線13がプッシュボタン回線(以下、PB回線と呼ぶ)かダイヤルパルス回線(以下、DP回線と呼ぶ)かを示すものである。また、使用回線情報は、内線発信を使うのか外線発信を使うのかを示す情報で、内線発信を使用する設置環境の場合にはその内線発信番号を設定する。
【0022】図4は、この回線情報設定処理時の液晶ディスプレイ8上の表示画面である。回線種別情報を設定するフィールド17では、画面に表示している「PB回線」、「DP回線(10P)」、「DP回線(20P)」等の回線種別の中から該当する回線種別をカーソル移動によって選択する。また、使用回線情報を設定するフィールド18では、まず直通(外線発信)するのか内線発信するのかをカーソル移動によって選択し、内線発信の場合には、内線発信番号を指定する。使用回線として直通(即ち、外線発信)を選択した場合には、内線発信番号の記入欄は空白となる。また、内線発信を選択した場合には、内線発信番号として、‘0’から‘9’のいずれかの数値を指定することになる。
【0023】図4の表示例は、「DP回線(20P)」を使って内線発信(‘0’発信)する場合を示している。この回線情報設定処理で設定した回線種別情報および使用回線情報は、いずれも、前述のシステムバックアップメモリ11に登録する。使用回線情報のシステムバックアップメモリ11の登録は、内線発信番号を登録するかスペース(空白)を登録するかによって、内線発信をするのか外線発信をするのかを区別する。
【0024】前記自動ダイヤル処理は、フロッピーディスクに格納されている通信先のダイヤル情報を前記フロッピーディスクドライブ12によって読み出して通信先毎に一覧表示し、一覧表示したダイヤル情報の内のユーザが指定した通信先に対して、前記システムバックアップメモリ11に格納されている情報に基づいて、発呼処理する。発呼処理する場合に、PB回線として発呼処理するかDP回線として処理するかという判断は、ユーザがシステムバックアップメモリ11に設定した回線種別情報に基づいて実行し、また、内線発信を使うのか外線発信を使うのかという判断は、同様にユーザがシステムバックアップメモリ11に設定した使用回線情報に基づいて実行する。したがって、フロッピーディスクに格納する通信先のダイヤル情報には、回線種別情報や使用回線情報を付加しておく必要がない。
【0025】前記回線設定値判定処理は、ユーザが前記回線情報設定処理によってシステムバックアップメモリ11に設定した値が適正か否かを、前記CPU6のプログラム処理によって、自動的に判定し、その判定結果を液晶ディスプレイ8に表示するものである。
【0026】図1は、一実施例における回線設定値判定処理の概略を示したものである。以下、図1に基づいて、一実施例の回線設定値判定処理を説明する。
【0027】ユーザが前記回線情報設定処理で設定を行った後に実行キーを押すと、該回線設定値判定処理が開始し、まず、システムバックアップメモリ11の設定値を読出し(ステップS1)、そして、使用回線情報の設定値が、‘空白’か‘0’から‘9’までの数値かによって、内線発信か外線発信(直通)かを判断し(ステップS2)、当システムで予め定めた通信先(この一実施例では、NTT(日本電信電話株式会社)の時報サービス)のダイヤル番号を判断結果に応じて、当該回線設定値判定処理で使用する所定のメモリエリア(メインメモリ=RAM7)にセットする(ステップS3,S4)。
【0028】前記ステップS3は、直通の場合で、ダイヤル番号として‘117’をセットする。ステップS4は、内線発信の場合で、「117」の直前に内線発信番号(通常、0〜9の内の1桁が使われている)とポーズ文字「:」とを付加した値、例えば、内線発振番号が「0」の場合には、‘0:117’をダイヤル番号としてセットする。なお、前記ステップS2で、使用回線情報の設定値が‘空白’および‘0’〜‘9’の数値以外であると判断した場合には、エラーとして扱い、表示ルーチンへ戻る。また、この一実施例の場合、システムバックアップメモリ11に設定された回線種別情報は、ハードウェアによって監視しており、当回線設定値判定処理では、意識していない。
【0029】そして、ステップS3またはS4によって、通信先のダイヤル番号のセットが完了すると、オフフックやバイアス極性の検出によって、電話回線接続の有無をチェックする(ステップS5)。このステップS5では、オフフックしない場合、ハンドセットで既に通話中の場合、または、システムバックアップメモリ11の障害の場合は、エラーとして扱い、表示ルーチンに戻る。
【0030】表示ルーチンでは、エラー発生の原因が推測できるように、予め当回線設定値判定処理のプログラム上で定めたリターンステータス(表示コード)と、エラー修正のための案内文とを液晶ディスプレイ8に表示する。図5は表示ルーチンにおける液晶ディスプレイ8への表示の一例を示したものであり、また、図6は一実施例における回線設定値判定処理プログラム上に設定したリターンステータスを示したものである。
【0031】図5に示したように、画面の右肩に表示した4桁(4バイト)の数字列が、リターンステータス列20である。リターンステータス列20の4桁の数字列は、図6に示すように、最上位の1桁(1バイト目)が正常終了か異常終了かを示し、次の1桁(2バイト目)が前記システムバックアップメモリ11に設定されている使用回線情報の値を示し、さらに次の1桁(3バイト目)が極性反転の検出の有無を示し、最後の1桁(4バイト目)が該当したエラー項目等を示す。
【0032】リターンステータス列20の設定例を、具体例で説明する。例えば、図1のステップS5で、オフフックしない、あるいは、ハンドセットで既に通話中、あるいは、システムバックアップメモリ11の障害等で表示ルーチンに戻った場合、リターンステータス列20の1バイト目および3バイト目は、何れも‘9’となり、また、4バイト目は、オフフックしない場合については‘1’、ハンドセットで既に通話中の場合については‘2’、システムバックアップメモリ11の障害の場合については‘8’となる。
【0033】図1のステップS5で、オフフックした場合には、次のステップS6でダイヤリング(発呼処理)を実行し、ステップS6が終了すると、前記モデム15のキャリアディテクト(CD)信号を監視可能にするために、受信線接続ビットをオンにする(ステップS7)。このとき、直にキャリアディテクト信号の検出を開始すると、相手先が応答した瞬間にノイズが入るため、約500msecのタイムディレイを設定し(ステップS8)、その後に、前記キャリアディテクト信号を監視する検出ルーチンに移行する(ステップS9)。
【0034】図7は前記ステップS9の検出ルーチンの詳細を示したものである。検出ルーチンでは、まず、相手先応答時に交換機より上がってくる極性反転(ライン・リバース)の有無をチェックする(ステップS10)。ライン・リバース機能を備えた交換機の場合には極性反転が上がってくるが、ライン・リバース機能を備えていない交換機の場合には、極性反転が上がってこない。ステップS10では、このような交換機の特性を利用し、極性反転が上がってきた時には前記リターンステータス列20の3バイト目の値として‘1’を、極性反転が上がってこない時には前記リターンステータス列20の3バイト目の値として‘0’を、それぞれ、当該回線設定値判定処理で使用する所定のメモリエリア(メインメモリ=RAM7)にセットする。
【0035】次に、モデム信号の監視時間(この一実施例では、45sec)を設定し(ステップS11)、この監視時間のタイムアウトと処理のキャンセル指示(キーボード3からの「CTRL+A」の入力)の有無とを監視しながら(ステップS12,13)、前記ステップS11で設定した監視時間内でモデム15のキャリアディテクト信号チェックを実行する(ステップS14)。ステップS14におけるキャリアディテクト信号チェックは、前記モデム15のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを監視して、一定時間(ステップS11で設定した監視時間=45秒)内に適正な時報パターンを一定回数(この一実施例では、3回)検出できたか否かによって、前記システムバックアップメモリ11に設定した情報が適正であるか否かを判別して利用者に通知する。
【0036】前記ステップS12でタイムアウトを検出した場合、あるいはステップS13でキャンセルの指示を検出した場合は、いずれも表示ルーチンに戻る。また、前記ステップS10の極性反転チェックおよび、ステップS14のキャリアディテクト信号チェックは、それぞれ、サブルーチン処理として実行している。
【0037】図8は、前記ステップS10における極性反転チェックの処理の詳細を示したものである。まず、チェック処理期間として767msecをタイマーセットする(ステップS101)。767msecのセットは、1/60secのインターバルタイマーで、カウント値を46に設定することによって行う。また、ステップS101のタイマセット時には、極性反転カウンタの計数値を初期値‘0’に設定する。
【0038】次いで、バイアス極性の検出間隔時間として、33.3msecをタイマーセットし(ステップS102)、33.3msecが経過したらバイアス極性の検出を行い(ステップS103,S104)、検出したバイアス極性に対しては極性反転が発生しているか否かを判断し(ステップS105)、極性反転が発生している場合には、極性反転カウンタの値を+1加算する(ステップS106)。以上のステップS102〜S106までの処理は、ステップS101で設定した767msecがタイムアウトとなるまで繰り返し(ステップS107)、767msecがタイムアウトとなった場合には、前記極性反転カウンタの値が15以上であるか否かを判断し、極性反転カウンタの値が15以上の場合には極性反転ありとして判定し、極性反転カウンタの値が15未満の場合には極性反転無しとして判定する(ステップS108)。
【0039】即ち、一実施例における極性反転チェックの処理は、767msecの期間にバイアス極性の検出を23回実行し、その内、反転の検出回数が15回以上になれば、極性反転ありと判定して、前記リターンステータス列20の3バイト目の値として‘1’を、当該回線設定値判定処理で使用する所定のメモリエリア(メインメモリ=RAM7)にセットする。また、反転の検出回数が15回未満の時には、極性反転無しと判定して、前記リターンステータス列20の3バイト目の値として‘0’を、当該回線設定値判定処理で使用する所定のメモリエリア(メインメモリ=RAM7)にセットする。
【0040】前記図7のステップS14のキャリアディテクト信号チェックは、図1のステップS6のダイヤル処理後に、モデム15のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを監視し、予め当該回線設定値判定処理プログラムの管理している基準のオン・オフパターンと照合することによって、NTTの117番(時報サービス)に正常接続できたか否かを判断する。
【0041】図9の(a)〜(f)は、それぞれ、当該回線設定値判定処理プログラムが管理している基準のオン・オフパターンである。図9の(a)は、NTTの117番(時報サービス)に正常接続できた場合のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを示している。NTTの時報サービスは、呼び出し音無しでつながり、ピッピッピッピーンという時報音が10秒間隔で発生する。この「ピーン」という音は、図に符号Pで示した箇所で、オン状態の継続時間が1391msec〜1399msecである。この「ピーン」という音の箇所以外は、オン状態の継続時間が1秒未満となる。
【0042】図9の(b)は、オフフック後、ダイヤル無し、あるいはダイヤル無効の際のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを示している。オフフックすると、キャリアディテクト信号はオンとなり、ブーン(またはプーン)という連続音を発生するが、20秒経過すると、「ピピ」、「ピピ」という断続音が990msec毎に繰り返される。「ピピ」という断続音を発生する時の、各パターンの継続時間T1,T2,T3,T4は、T1=T3=195msecであり、T2=201msecであり、T4=399msecである。このようなパターンは、オフフックしたあとダイヤルしていない場合とか、市外局番+αでNTTの交換機が無効と見なした場合が該当する。
【0043】図9の(c)は、ダイヤル後の呼び出し中の場合のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを示している。呼び出し中の場合は、図示のように、規則的にオン・オフが繰り返される。オンの継続時間T5は約1秒であり、オフの継続時間T6は約2秒である。
【0044】図9の(d)は、ダイヤル後の相手話中の場合のキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを示している。相手話中の場合は、図示のように、規則的にオン・オフが繰り返される。オンの継続時間T7およびオフの継続時間T8は、それぞれ、約500msecである。
【0045】また、図示はしないが、当該電話端末システムを設置するユーザ環境でPBX(構内交換機)を利用する場合には、そのPBX利用時におけるキャリアディテクト信号のオン・オフパターンも、基準パターンとして考慮する。
【0046】図10は、前記ステップS14におけるキャリアディテクト信号チェックの処理の詳細を示したものである。まず、キャリアディテクト信号のパターンを判断中(即ち、検出したキャリアディテクト信号のパターンを図9に示した基準のオン・オフパターンと照合中)であるか否かを判断中フラグのオン・オフによって判断する(ステップS141)。
【0047】前記ステップS141で判断中フラグがオフであった時には、キャリアディテクト信号がオンであるか否かを判断する(ステップS142)。そして、キャリアディテクト信号がオフならば、直ちに、図7で示したステップS12に戻る。また、キャリアディテクト信号がオンの時には、1.8秒カウンタをスタートさせ(ステップS143)、前記判断中フラグをオンに切替えて図7のステップS12に戻る(ステップS144)。
【0048】前記ステップS141で判断中フラグがオンであった時には、キャリアディテクト信号がオフであるか否かを判断する(ステップS145)。そして、キャリアディテクト信号がオンならば、直ちに、図7で示したステップS12に戻る。また、キャリアディテクト信号がオフの時には、1.8秒カウンタのカウント値が1.6秒〜2.0秒の範囲内であるか否かを判断し(ステップS146)、範囲外の時には、直ちにステップS152に進み、判断中フラグをオフに切替えて図7のステップS12に戻る。
【0049】前記ステップS146で、範囲内であると判断した場合には、最初のパターン検出か否かを判断し(ステップS147)、最初のパターン検出の場合には、ステップS149に移行してパターン検出回数を+1加算し、次のステップS150では、パターン検出回数が3回に達したか否かを判断し、達していれば、正常接続として、表示ルーチンに戻る。
【0050】前記ステップS147で最初のパターン検出ではないと判断した場合には、10秒カウンタの値が9秒〜11秒の範囲内であるか否かを判断し(ステップS148)、範囲内であれば次のステップS149に移行してパターン検出回数を+1加算し、さらに次のステップS150ではパターン検出回数が3回に達したか否かを判断し、達していれば、正常接続として、表示ルーチンに戻る。
【0051】前記ステップS148において範囲外として判断した場合には、直ちにステップS152に移行し、判断中フラグをオフに切替えて図7のステップS12に戻る。
【0052】また、前記ステップS150において、パターン検出回数が2以下の場合には、10秒カウンタをスタートさせ(ステップS151)、次のステップS152で判断中フラグをオフに切替えて図7のステップS12に戻る。
【0053】以上の図10に示した処理(即ち、図7のステップS14)は、図7で説明したようにステップS11で設定した監視時間45秒の範囲で繰り返し、この監視時間内で図9の(a)に示した適正な時報パターンを3回検出できた場合に限って、前記システムバックアップメモリ11に設定した情報が適正であると判定して表示ルーチンにおいてその旨を表示する。
【0054】図11は、前記キャリアディテクト信号チェックで、システムバックアップメモリ11の設定値が適正であると判断した場合の表示画面を示したもので、画面の右肩に表示したリターンステータス列20の1バイト目および4バイト目のリターンステータスは‘0’となっている。
【0055】また、以上の如きキャリアディテクト信号チェックで、図9の(b)〜(d)等をオン・オフパターンを検出し、適正な時報パターンを3回検出できずに規定の監視時間をタイムアウトした場合は、システムバックアップメモリ11に設定した情報が不適であったとみなし、前述のリターンステータス列20の1バイト目のリターンステータスとして‘9’を、また4バイト目のリターンステータスとしてタイムアウトの原因となったリターンステータス‘3’〜‘7’を選択し、選択したリターンステータスを当該回線設定値判定処理で使用する所定のメモリエリアにセットした後、表示ルーチンに戻ってエラーを表示する。また、表示ルーチンにおける表示の際、リターンステータス列20の2バイト目には、システムバックアップメモリ11に設定していた使用回線情報の設定値を表示する。
【0056】前述の図5は、検出したキャリアディテクト信号のオン状態の継続時間が図9の(a)のPの時間(約1.3秒)よりも短く、タイムアウトしてしまった場合(例えば、図9の(c),(d)の場合)のエラー表示を示している。エラー表示した状態では、図4に示した回線情報設定を再選択可能にされている。
【0057】処理途中でユーザが処理のキャンセルを指示した場合にも、図7のステップS13に示したように、表示ルーチンに戻ってエラーを表示するが、この場合は、リターンステータス列20の1バイト目のリターンステータスとしては‘9’を設定するが、4バイト目のリターンステータスとしては‘9’が設定される。
【0058】以上に説明した一実施例の電話端末システムでは、ユーザが設定した回線種別情報や使用回線情報の設定値は、システムのプログラム処理による回線設定値判定処理によって自動的に適正であるか否かを判別することができ、ユーザに負担をかけることなく回線種別情報や使用回線情報の設定値をチェックすることができる。また、設定値をチェックする回線設定値判定処理は、プログラム処理による自動処理であるため、ユーザの手動操作で判定処理を行った従来の場合と比較すると、ユーザの誤操作によって誤った判定結果を得てその後の運用時に支障をきたすといった不都合も生じない。
【0059】また、回線種別情報や使用回線情報の設定値の判別にハンドセットを必要としないため、ハンドセットの削除等によってシステムの装備を軽減することもできる。
【0060】また、回線種別情報や使用回線情報はシステムバックアップメモリ11に設定しておいて、自動ダイヤル処理時に利用する構成であるため、ユーザがフロッピーディスク等に登録する通信先のダイヤル情報にはこれら回線種別情報や使用回線情報を含める必要がなくなる。従って、使用回線等が異なった複数台のシステムが混在するユーザ環境でも使用回線等の相異に応じて各システム毎にダイヤル情報を登録し直すといった不便を解消することもできる。
【0061】さらに、一実施例の場合は、NTTの時報サービスにおけるキャリアディテクト信号を利用して回線設定値判定処理を実行するため、24時間いつでも回線設定値判定処理が可能となる。
【0062】さらに、回線設定値判定処理でユーザの設定値が不適と判定される場合には、その判定の元となったリターンステータスが通知されるため、リターンステータスの解析から設定値の不備を推測することが可能で、設定値の修正を容易にすることができる。
【0063】なお、前述の一実施例では、通信先のダイヤル情報を格納しておく記憶手段として、フロッピーディスクを利用する場合を示したが、通信先のダイヤル情報を格納する記憶手段としてはICカードや固定ディスクなどを利用することも可能であり、また、不揮発RAMを利用することも考えられる。したがって、通信先のダイヤル情報の記憶手段は、一実施例に限定するものではない。
【0064】また、一実施例は、ファームバンキングシステムであったが、本発明は一実施例に限らず、ユーザが回線種別情報や使用回線情報を設定し、その設定値に基づいて自動ダイヤル処理を実行するような電話端末に対して、広く応用することができる。
【0065】また、一実施例では、回線設定値判定処理にはNTTの時報サービスを利用することとしたが、自動ダイヤル処理によって接続できて一定のキャリアディテクト信号が得られるような通信先であれば、前述したNTTの時報サービスの代りに利用してもよい。
【0066】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明に係る電話端末システムでは、ユーザが設定した回線種別情報や使用回線情報の設定値は、システムのプログラム処理による回線設定値判定処理によって自動的に適正であるか否かを判別することができ、ユーザに負担をかけることなく回線種別情報や使用回線情報の設定値をチェックすることができる。また、設定値をチェックする回線設定値判定処理は、プログラム処理による自動処理であるため、ユーザの手動操作で判定処理を行った従来の場合と比較すると、ユーザの誤操作によって誤った判定結果を得てその後の運用時に支障をきたすといった不都合も生じない。
【0067】また、回線種別情報や使用回線情報の設定値の判別にハンドセットを必要としないため、ハンドセットの削除等によってシステムの装備を軽減することもできる。
【0068】また、回線種別情報や使用回線情報はシステムバックアップメモリに設定しておいて、自動ダイヤル処理時に利用する構成であるため、ユーザがフロッピーディスク等に登録する通信先のダイヤル情報にはこれら回線種別情報や使用回線情報を含める必要がなくなる。従って、使用回線等が異なった複数台のシステムが混在するユーザ環境でも使用回線等の相異に応じて各システム毎にダイヤル情報を登録し直すといった不便を解消することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電話端末システムの一実施例の処理の説明図である。
【図2】本発明の一実施例のハードウェア構成図である。
【図3】本発明の一実施例の外観を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施例の回線情報設定処理時の表示画面の説明図である。
【図5】本発明の一実施例の回線設定値判定処理におけるエラー表示の説明図である。
【図6】本発明の一実施例のリターンステータスの説明図である。
【図7】本発明の一実施例の検出ルーチンの詳細図である。
【図8】本発明の一実施例の極性反転チェックルーチンの詳細図である。
【図9】本発明の一実施例で基準値として管理しているキャリアディテクト信号のオン・オフパターンである。
【図10】本発明の一実施例のキャリアディテクト信号チェックルーチンの詳細図である。
【図11】本発明の一実施例の回線設定値判定処理における表示の説明図である。
【符号の説明】
1 本体
2 電話機(またはFAX)
3 キーボード
6 CPU
7 RAM
8 液晶ディスプレイ
9 内蔵プリンタ
10 漢字ROM
11 システムバックアップメモリ
12 フロッピーディスクドライブ
13 電話回線
14 網制御装置
15 モデム
20 リターンステータス列
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電話回線へ接続する網制御装置と、データ通信用のモデムとを具備して、記憶手段に登録された通信先のダイヤル情報に基づいて自動ダイヤル処理を実行する電話端末システムであって、自動ダイヤル処理時に必要な情報として、当電話端末システムを接続する電話回線がプッシュボタン回線かダイヤルパルス回線かを示す回線種別情報と、内線発信を使用する設置環境の場合にはその内線発信番号を設定して内線発信を使うのか外線発信を使うのかを示す使用回線情報とを格納するシステムバックアップメモリと、前記システムバックアップメモリとは別の記憶手段に格納された通信先のダイヤル情報と前記システムバックアップメモリに格納されている情報とに基づいて、指定の通信先に自動ダイヤル処理する自動ダイヤル処理機能と、前記システムバックアップメモリに設定されている情報を使って予め定めた通信先に自動ダイヤル処理し、その自動ダイヤル処理時に前記モデムのキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを監視することにより、前記システムバックアップメモリに設定した情報が適正であるか否かを判別して利用者に通知する回線設定値判定処理機能とを備えたことを特徴とする電話端末システム。
【請求項1】 電話回線へ接続する網制御装置と、データ通信用のモデムとを具備して、記憶手段に登録された通信先のダイヤル情報に基づいて自動ダイヤル処理を実行する電話端末システムであって、自動ダイヤル処理時に必要な情報として、当電話端末システムを接続する電話回線がプッシュボタン回線かダイヤルパルス回線かを示す回線種別情報と、内線発信を使用する設置環境の場合にはその内線発信番号を設定して内線発信を使うのか外線発信を使うのかを示す使用回線情報とを格納するシステムバックアップメモリと、前記システムバックアップメモリとは別の記憶手段に格納された通信先のダイヤル情報と前記システムバックアップメモリに格納されている情報とに基づいて、指定の通信先に自動ダイヤル処理する自動ダイヤル処理機能と、前記システムバックアップメモリに設定されている情報を使って予め定めた通信先に自動ダイヤル処理し、その自動ダイヤル処理時に前記モデムのキャリアディテクト信号のオン・オフパターンを監視することにより、前記システムバックアップメモリに設定した情報が適正であるか否かを判別して利用者に通知する回線設定値判定処理機能とを備えたことを特徴とする電話端末システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図11】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図11】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【特許番号】特許第3202056号(P3202056)
【登録日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【発行日】平成13年8月27日(2001.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−37471
【出願日】平成4年2月25日(1992.2.25)
【公開番号】特開平5−236161
【公開日】平成5年9月10日(1993.9.10)
【審査請求日】平成10年10月13日(1998.10.13)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【参考文献】
【文献】特開 平3−77464(JP,A)
【文献】特開 平4−25261(JP,A)
【文献】特開 平1−183944(JP,A)
【文献】特開 平3−102949(JP,A)
【文献】特開 昭63−114347(JP,A)
【登録日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【発行日】平成13年8月27日(2001.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成4年2月25日(1992.2.25)
【公開番号】特開平5−236161
【公開日】平成5年9月10日(1993.9.10)
【審査請求日】平成10年10月13日(1998.10.13)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【参考文献】
【文献】特開 平3−77464(JP,A)
【文献】特開 平4−25261(JP,A)
【文献】特開 平1−183944(JP,A)
【文献】特開 平3−102949(JP,A)
【文献】特開 昭63−114347(JP,A)
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