説明

電話装置

【課題】 緊急の着信を優先的に報知可能な電話装置を提供する。
【解決手段】 通話中に着信があり(S140ステップのY)、着信のある相手先からの着信が所定回数以上であれば(S190ステップのY)、特別な報知音で着信を報知し(S210ステップ)、ユーザがその報知に応答すれば(S220ステップのY)、通話中の相手先との回線を切断し、新たに着信のあった相手先との回線を接続し通話が開始される(S240、S250ステップ)。この為、通話中に緊急の連絡のために頻繁に電話をかけてくる相手先がいたら、特別な着信音を鳴動させ、緊急の着信であることをユーザに知らせることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、発信者識別情報を利用して取得した発信者情報と、予め個々の発信者の優先順位が登録された優先順位情報に従って、最も優先順位の高い発信者への着信応答を実現する技術が知られている(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−264297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記文献の技術では、いくら登録された優先順位の高い発信者からの着信があっても、その時によってユーザにとって真に優先順位の高い発信者は変化するものである。例えば、登録された優先順位の高い発信者からの着信と、登録された優先順位の低い発信者からの着信が同時にあると、登録された優先順位の高い発信者からの着信を優先してしまうが、実際には優先順位を低く登録された発信者が家族であり、家族から救急車を呼んで欲しいと電話する場合等がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、このような課題を解決する為のものであり、発信者が緊急事態等の理由によりユーザとの通話を希望している場合、そのような着信は通話中でも優先的に着信報知する電話装置を提供するものである。
請求項1記載の電話装置は、通話中に予め定められた相手先から所定回数着信があるまで、前記相手先からの着信を報知しないことを特徴とする。
請求項2記載の電話装置は、通話中に予め定められた相手先から所定回数連続して着信があるまで、前記相手先からの着信を報知しないことを特徴とする。
請求項3記載の電話装置は、電話番号と着信の回数と報知方法とを対応付けて記憶可能な記憶手段と、着信を検出する着信検出手段と、発呼側の電話番号を検出する電話番号検出手段と、着信の報知を行う報知手段と、通話中に前記着信検出手段が着信を検出し、前記電話番号検出手段が前記着信における発呼側の電話番号を検出し、該検出手段が検出した電話番号からの着信の回数が前記記憶手段に記憶されている着信の回数に達したと判定すると、前記電話番号に対応して前記記憶手段に記憶されている報知方法で着信を報知するように前記報知手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項4記載の電話装置は、電話番号と着信の回数と報知方法とを対応付けて記憶可能な記憶手段と、着信を検出する着信検出手段と、発呼側の電話番号を検出する電話番号検出手段と、着信の報知を行う報知手段と、通話中に前記着信検出手段が着信を検出し、前記電話番号検出手段が前記着信における発呼側の電話番号を検出し、該検出手段が検出した電話番号からの連続着信の回数が前記記憶手段に記憶されている着信の回数に達したと判定すると、前記電話番号に対応して前記記憶手段に記憶されている報知方法で着信を報知するように前記報知手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、通話中に緊急の着信があるとその着信を優先的にユーザに知らせることができる。
【0006】
請求項1記載の電話装置によれば、通話中に所定の相手先から所定回数着信があると、着信を報知するため、何回も電話をかけてくる緊急の着信に対しては通話中であってもユーザに着信を知らせることができ、一方、1回や2回といった緊急でない着信に対しては現在の通話を妨げないようにすることができる。
【0007】
請求項2記載の電話装置によれば、通話中に所定の相手先から所定回数連続して着信があると、着信を報知するため、何回も連続して電話をかけてくる緊急の着信に対しては通話中であってもユーザに着信を知らせることができ、一方、1回や2回といった緊急でない着信に対しては現在の通話を妨げないようにすることができる。
【0008】
請求項3記載の電話装置によれば、通話中に所定の相手先から所定回数着信があると、着信を報知するため、何回も電話をかけてくる緊急の着信に対しては通話中であってもユーザに着信を知らせることができ、一方、1回や2回といった緊急でない着信に対しては現在の通話を妨げないようにすることができる。
【0009】
請求項4記載の電話装置によれば、通話中に所定の相手先から所定回数連続して着信があると、着信を報知するため、何回も連続して電話をかけてくる緊急の着信に対しては通話中であってもユーザに着信を知らせることができ、一方、1回や2回といった緊急でない着信に対しては現在の通話を妨げないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を適用してなる実施例装置である電話装置について説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の電話装置は、ボタン式のIP(Internet Protocol、以下、単に「IP」と略する。)電話装置10であり、複数本の電話回線を有し各電話回線に対応した電話番号を設定することができるものである。また、このIP電話装置10は、外線設定、すなわちルータ12及びインターネット網を介して他のIP電話装置14と通信(通話)することができるようになっており、また、公衆回線網を利用した電話装置13とも通信(通話)することができるようになっている。さらに、このIP電話装置10は、内線設定、すなわち、所定のグループで共有されたグループ共有回線により他のボタン式のIP電話装置16、18とも通信(通話)することができるようになっている。
【0012】
また、IP電話装置10は、所定の数字などを入力する為や、通話中に着信があると、着信があった相手先との通話に切替えるよう指示する操作等を行う為の入力部10Aと、所定の情報を表示する表示部10Bと、所定の情報などを記憶するメモリ(記憶手段)10Cと、メモリ10Cの記憶内容に基づいて所定の判断処理を行う制御回路(制御手段)10Dと、を有している。
【0013】
また、IP電話装置10は、ルータ12及びインターネット網を介して他のIP電話装置と通信する場合や公衆回線網を利用した電話装置と通信する場合の他に、所定のグループで共有されたグループ共有回線により他のIP電話装置16、18と通信する場合にも、サーバ11を介して通信状態が実現される。
【0014】
ここで、本実施形態のIP電話装置10では、例えば合計で4本の電話回線が設定されており、各電話回線に対応した4つの電話番号が設定されている。
【0015】
メモリ10Cには、図2の格納形態図に示すデータが格納されている。尚、制御回路10Dが実行するシステムプログラム等は図示を省略している。
図2において、メモリ10Cには、各相手先の氏名、電話番号、設定した着信音を送出するまでの着信回数、着信音、そして、通話時に着信があった数をカウントするカウントエリア、が複数設けられている。
例えば、父のエリアには、氏名(ここでは父と登録)、電話番号、回数、着信音、カウントエリアが存在する。カウントエリアの情報以外はユーザがキー入力により設定可能である。図2に示すような設定がなされている場合、通話中に父からの着信が3回あると、救急車のサイレン音が鳴動され、父からの緊急連絡であることが報知される。一方、田中さんや吉田さんのように、回数や着信音が設定されていなければ、通話中に田中さんや吉田さんから着信があっても着信報知されない。更に、通話中に鈴木さんから着信が5回あれば、例えばアントニオヴィヴァルディの春が着信音として流れる。
【0016】
フック検出回路10Eは、図示しないハンドセットが持ち上げられた(オフフック)されたか、或いは所定の位置に戻された(オンフック)されたかを検出する回路である。
【0017】
スピーカ10Fは、着信音を鳴動させる為のスピーカである。
次に、本実施例装置の動作について、制御回路10Dの制御に基づいて以下に説明する。図3は本実施例装置の動作を示すフロー図である。
図3のS100ステップにおいて、制御回路10Dは、網制御部10Gから着信があることを示す信号を検出すると、S110ステップに処理を進める。
続くS110ステップにおいて、制御回路10Dは、スピーカ10Fを制御することにより、着信音を鳴動させる。
続くS120ステップでは、制御回路10Dは、フック検出部10Eが、図示しないハンドセットのオフフックを検出したと判定すると、S130ステップへ処理を進め、そうでなければS110ステップへ処理を戻す。
【0018】
S130ステップでは、制御回路10Dは、網制御部10Gを制御することにより、相手側と回線を接続し、通話が開始される。
【0019】
続くS140ステップでは、制御回路10Dは、網制御部10Gから現在通話で使用している回線とは別の回線において着信があると判定すると、S180ステップへ処理を進め、そうでなければ、S150ステップへ処理を進める。
【0020】
S150ステップでは、制御回路10Dは、フック検出部10Eが、図示しないハンドセットのオンフックを検出したと判定すると、S160ステップへ処理を進め、そうでなければS140ステップへ処理を戻す。
【0021】
S160ステップでは、制御回路10Dは、網制御部10Gを制御することにより、現在通話を行っている回線を開放させ、通話が終了する。
【0022】
続くS170ステップでは、メモリ10Cのカウントエリアのカウントをクリアし、処理を終了する。
【0023】
一方、S180ステップでは、制御回路10Dは、メモリ10Cを制御することにより、前記S140ステップで着信のあった相手先と同一の相手先のメモリ10Cのカウントエリアに1追加させる。例えば、S140ステップにおいて、制御回路10Dは、網制御部10Gから発呼側の電話番号データを受信し、受信した電話番号と同一の電話番号(例えば父)がメモリ10Cに格納されていれば、父に対応するカウントエリアに格納されているカウントの値を1追加させる。
【0024】
S190ステップでは、制御回路10Dは、カウントエリアに格納されている値が予め設定した値になったか否かを判定し、所定の値になれば、S210ステップへ処理を進め、そうでなければ、S200ステップへ処理を進める。具体的には、制御回路10Dは、前記S140ステップで着信のあった相手先(例えば父)からの着信回数を、メモリ10Cのカウントエリアから読み込み、読み込んだカウント値が、予め設定した回数(例えば、父の場合には図2に示すように3回)に達したと判定すると、S210ステップへ処理を進め、そうでなければ、S200ステップへ処理を進める。
【0025】
S200ステップでは、制御回路10Dは、フック検出部10Eが、図示しないハンドセットのオンフックを検出したと判定すると、S160ステップへ処理を進め、そうでなければS140ステップへ処理を戻す。
【0026】
S210ステップでは、制御回路10Dは、前記S190ステップで所定の回数着信があったと判定された相手先(例えば父)に対応する着信音(例えばサイレンの音)をスピーカ10Fから鳴動させる。
【0027】
続くS220ステップでは、制御回路10Dは、入力部10AからS140ステップで着信のあった相手先へ回線接続を切換えるよう指示する操作があったと判定すると、S240ステップへ処理を進め、そうでなければ、S230ステップへ処理を進める。
【0028】
S230ステップでは、制御回路10Dは、フック検出部10Eがハンドセットのオンフックを検出したと判定すると、S160ステップへ処理を進め、そうでなければ、S210ステップへ処理を戻す。
【0029】
一方、S220ステップで切換操作があれば、S240ステップにおいて、制御回路10Dは、網制御部Gを制御することにより、現在通話中の相手先との回線を切断し、S140ステップで着信のあった相手先との回線を接続し、S250ステップにおいて通話が行われる。
【0030】
以上説明したように、本実施例装置では、通話中に着信があり(S140ステップのY)、着信のあった相手先から所定回数以上着信があれば(S190ステップのY)、特別な報知音で着信を報知し(S210ステップ)、ユーザがその報知に応答すれば(S220ステップのY)、通話中の相手先との回線を切断し、新たに着信のあった相手先との回線を接続し通話が開始される(S240、S250ステップ)。この為、通話中に緊急の連絡のために頻繁に電話をかけてくる相手先がいたら、特別な着信音を鳴動させ、緊急の着信であることをユーザに知らせることが可能である。
【0031】
尚、更に他の構成として、通話中に例えば田中さんから着信があれば、その着信があった時(或いは着信終了)から所定時間以内に田中さんから着信が所定回数あれば緊急の着信であることをユーザに報知する構成としても良い。緊急の着信の場合には、所定時間の間に頻繁に電話をかけてくる可能性が高いため、このような構成とすることにより、緊急の着信に対してユーザが優先的に応答することが可能である。
【0032】
又、他の構成として、通話中に例えば田中さんから着信があれば、その着信があった時(或いは着信終了)から所定時間以内に田中さんから着信が連続して所定回数あれば緊急の着信であることをユーザに報知する構成としても良い。緊急の着信の場合には、所定時間の間に連続して電話をかけてくる可能性が高いため、このような構成とすることにより、緊急の着信に対してユーザが優先的に応答することが可能である。
【0033】
更に、本実施例では、着信音により着信があることをユーザに報知していたが、表示部10Bの表示色を変えたり、特定のメッセージを表示させたりして着信を報知する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用してなる実施例装置のブロック図である。
【図2】本実施例装置のメモリ10Cの格納形態図である。
【図3】本実施例装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0035】
10 IP電話装置
10C メモリ
10D 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話中に予め定められた相手先から所定回数着信があるまで、前記相手先からの着信を報知しないことを特徴とする電話装置。
【請求項2】
通話中に予め定められた相手先から所定回数連続して着信があるまで、前記相手先からの着信を報知しないことを特徴とする電話装置。
【請求項3】
電話番号と着信の回数と報知方法とを対応付けて記憶可能な記憶手段と、着信を検出する着信検出手段と、発呼側の電話番号を検出する電話番号検出手段と、着信の報知を行う報知手段と、
通話中に前記着信検出手段が着信を検出し、前記電話番号検出手段が前記着信における発呼側の電話番号を検出し、該検出手段が検出した電話番号からの着信の回数が前記記憶手段に記憶されている着信の回数に達したと判定すると、前記電話番号に対応して前記記憶手段に記憶されている報知方法で着信を報知するように前記報知手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする電話装置。
【請求項4】
電話番号と着信の回数と報知方法とを対応付けて記憶可能な記憶手段と、着信を検出する着信検出手段と、発呼側の電話番号を検出する電話番号検出手段と、着信の報知を行う報知手段と、
通話中に前記着信検出手段が着信を検出し、前記電話番号検出手段が前記着信における発呼側の電話番号を検出し、該検出手段が検出した電話番号からの連続着信の回数が前記記憶手段に記憶されている着信の回数に達したと判定すると、前記電話番号に対応して前記記憶手段に記憶されている報知方法で着信を報知するように前記報知手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−336352(P2007−336352A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167419(P2006−167419)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】