説明

電話装置

【課題】音楽を連続再生している場合、または音楽再生時に所定処理が発生した場合において再生音と所定処理の通知音とをユーザが誤認識することのない電話装置を提供する。
【解決手段】本発明の電話装置は、通信部と、音声出力部と、連続再生動作を行う音声再生部と、所定処理が発生した場合に通知音として再生する音源データの指定を受け付ける設定部とを備える。さらに、連続再生動作の実行指示が検知された場合に、設定部により指定が受け付けられている音源データを再生対象外として連続再生動作を行うよう、音声再生部を制御する再生制御部を備える。設定部は、着信音として再生する音源データ、またはアラーム音として再生する音源データの指定を受け付ける。再生制御部は、連続再生動作の実行指示が検知された場合に、着信音またはアラーム音として指定がなされた音源データを再生対象外として連続再生動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信や音声通話を実施するための電話装置に関するものであり、特に音楽を記録して再生する機能を備えた電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等に代表される移動体用の電話装置の性能向上、多機能化は著しく、携帯型のコンピュータに近い性能のものが実用化されている。例えば携帯電話の中には、電話機能に加えて、音楽を再生する音楽再生機能を備えるものも実用化されている。
【0003】
音楽再生機能を備えた電話装置は、内蔵メモリや、メモリカード等の外部メモリに予め記録されている音源ファイルを再生し、スピーカやマイクロフォンから出力することが可能である。また所定の音源ファイルを着信音として予め指定しておくことにより、着信時に出力することも可能である。
【0004】
ただしこのような音楽再生機能は、電話装置にとっては付加的な機能であるため、電話装置本来の機能である通話機能等との間で競合が発生する可能性がある。また、音楽再生のために複数の操作モードや音声出力モードを備えることにより、操作性や利便性が低下する可能性があった。
【0005】
上記に関連して特許文献1には、操作キーの数を増加させることなく、音楽再生に関する指令を与えることができる携帯電話が開示されている。この携帯電話は、音楽再生中に数字キーを一定時間以上押下する操作により、操作された数字キーの番号によって指定される曲を再生する。また、音楽の再生中に数字キーを一定時間以内で押下する操作を複数回繰り返すことにより、操作された数字キーの番号によって指定される音量を設定する。
【0006】
また特許文献2には、音声の再生制御を、キー操作を必要とすることなく行うことができる携帯端末装置が開示されている。この携帯端末装置は、筐体の傾きを検出する傾斜センサを備え、傾斜センサの検出出力に基づいて音声の再生態様を制御する。これにより例えば、筐体の傾き角に基づいて、音声の早送りまたは巻戻しと、チャプタースキップまたはチャプターバックとを区別するように再生制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−290514号公報
【特許文献2】特開2006−148773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記文献には、再生操作に関する技術については開示されているが、複数の機能により再生される音声の競合を回避する技術については、開示も示唆もなされていない。
【0009】
音楽再生機能を備えた電話装置においては、ユーザが音楽の連続再生を行っている最中に所定処理、例えば着信が発生する場合がある。この場合、出力音が着信音なのか、或いは連続再生により再生されている音楽なのかを、瞬時に判断しづらいという問題があった。このため、着信に気づかなかったり、逆に再生音を着信音と誤認識してしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、音楽の再生機能を備えた電話装置であって、音楽を連続再生している場合、または音楽再生時に所定処理が発生した場合において、再生音と所定処理の通知音とをユーザが誤認識することのない電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の電話装置は、通信網に接続されて通信を行う通信部と、音声または音声信号の出力を行う音声出力部と、複数の音源データを予め定められた順またはランダム順に連続再生する連続再生動作を行う音声再生部と、予め定められた処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データの指定を受け付ける設定部とを備える電話装置において、前記音声再生部により前記連続再生動作の実行指示が検知された場合に、前記指定がなされた音源データを再生対象外として前記連続再生動作を行うよう前記音声再生部を制御する再生制御部を備えることを特徴としている。
【0012】
この構成によると、本発明の電話装置は、通信部と、音声出力部と、連続再生動作を行う音声再生部と、所定処理が発生した場合に通知音として再生する音源データの指定を受け付ける設定部とを備える。さらに、連続再生動作の実行指示が検知された場合に、設定部により指定が受け付けられている音源データを再生対象外として連続再生動作を行うよう、音声再生部を制御する再生制御部を備える。これにより、連続再生時おいて通知音が再生されることに起因して、所定処理が発生したとユーザが誤認識する事態を回避できる。
【0013】
また上記目的を達成するために本発明の電話装置は、前記設定部が、前記通信部により着信が検知された場合に着信音として再生する音源データ、またはアラームが発生した場合にアラーム音として再生する音源データの指定を受け付け、前記再生制御部が、前記音声再生部により前記連続再生動作の実行指示が検知された場合に、前記着信音または前記アラーム音として指定がなされた音源データを再生対象外として前記連続再生動作を行うよう前記音声再生部を制御することを特徴としている。
【0014】
この構成によると、設定部は、着信音として再生する音源データ、またはアラーム音として再生する音源データの指定を受け付ける。再生制御部は、連続再生動作の実行指示が検知された場合に、着信音またはアラーム音として指定がなされた音源データを再生対象外として連続再生動作を行う。これにより、連続再生時おいて着信音またはアラーム音に設定されている音楽が再生されることに起因して、着信またはアラームが発生したとユーザが誤認識する事態を回避できる。
【0015】
また上記目的を達成するために本発明の電話装置は、情報を記録する記録部と、画像の表示を行う表示部と、前記電話装置に対する指示操作を受け付ける操作部とを備え、前記設定部が、予め定められた処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データの指定を受け付けるための指定画面を表示するよう前記表示部を制御し、前記指定画面において前記操作部を介して指定された音源データを示す指定情報を前記記録部に記録し、前記再生制御部が、前記音声再生部により前記連続再生動作の実行指示が検知された場合に、前記記録部に記録されている前記指定情報を参照し、前記指定情報に示されている音源データを再生対象外として前記連続再生動作を行うよう前記音声再生部を制御することを特徴としている。
【0016】
この構成によると、本発明の電話装置は、記録部と、表示部と、操作部とを備えている。また設定部は、所定処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データの指定を受け付けるための指定画面を表示部に表示する。そしてこの指定画面において指定された音源データを示す指定情報を、前記記録部に記録する。再生制御部は、連続再生動作の実行指示が検知された場合に、上記の指定情報を参照し、指定情報に示されている音源データを再生対象外として連続再生動作を行う。
【0017】
また上記目的を達成するために本発明の電話装置は、前記設定部が、予め定められた処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データのデータ名の指定を受け付け、前記音声再生部が、前記音声再生部により前記連続再生動作の実行指示が検知された場合に、予め前記記録部に設けられている音源データ格納フォルダに前記指定がなされたデータ名の音源データが存在するか否かを判定し、該音源データが存在する場合に、該音源データを再生対象外として、前記音源データ格納フォルダに格納されている音源データの連続再生を行うよう前記音声再生部を制御することを特徴としている。
【0018】
この構成によると、設定部は、所定処理の通知音として再生する音源データのデータ名の指定を受け付ける。音声再生部は、連続再生動作の実行指示が検知された場合に、予め記録部に作成されている所定の音源データ格納フォルダに、上記指定がなされたデータ名の音源データが存在するか否かを判定する。そして存在する場合に、この音源データを再生対象外として、音源データ格納フォルダ内の音源データの連続再生を行う。
【0019】
また上記目的を達成するために本発明の電話装置は、通信網に接続されて通信を行う通信部と、音声または音声信号の出力を行う音声出力部と、音源データを再生する再生動作を行う音声再生部と、予め定められた処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データの指定を受け付ける設定部とを備える電話装置において、前記音声再生部により前記再生動作が実行されている状態において予め定められた処理が発生した場合に、前記指定がなされた音源データの再生を禁止するとともに、デフォルトの音源データを再生するよう前記音声再生部を制御する再生禁止部を備えることを特徴としている。
【0020】
この構成によると、本発明の電話装置は、通信部と、音声出力部と、音源データを再生する再生動作を行う音声再生部と、所定処理の通知音として再生する音源データの指定を受け付ける設定部とを備えている。さらに、再生動作が実行されている状態において所定処理が発生した場合に、設定部により指定を受け付けた音源データの再生を禁止するとともに、デフォルトの音源データを再生するよう音声再生部を制御する再生禁止部を備える。これにより例えば、音楽再生時に着信処理が発生した場合等に、着信音として再生された音楽を通常の再生動作による再生音楽と誤認識し、ユーザが着信に気づかないといった事態を回避できる。
【0021】
また上記目的を達成するために本発明の電話装置は、前記設定部が、前記通信部により着信が検知された場合に着信音として再生する音源データ、またはアラームが発生した場合にアラーム音として再生する音源データの指定を受け付け、前記再生禁止部が、前記音声再生部により前記再生動作が実行されている状態において着信またはアラームが発生した場合に、前記着信音または前記アラーム音として指定がなされている音源データの再生を禁止するとともに、デフォルトの音源データを再生するよう前記音声再生部を制御することを特徴としている。
【0022】
この構成によると、設定部は、着信音として再生する音源データ、またはアラーム音として再生する音源データの指定を受け付ける。再生禁止部は、再生動作が実行されている状態において着信またはアラームが発生した場合に、着信音またはアラーム音として指定がなされている音源データの再生を禁止するとともに、デフォルトの音源データを再生するよう、音声再生部を制御する。これにより、着信発生またはアラーム発生をより確実にユーザに通知できる。
【0023】
また上記目的を達成するために本発明の電話装置は、情報を記録する記録部と、画像の表示を行う表示部と、前記電話装置に対する指示操作を受け付ける操作部とを備え、前記設定部が、予め定められた処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データの指定を受け付けるための指定画面を表示するよう前記表示部を制御し、前記指定画面において前記操作部を介して指定された音源データを示す指定情報を前記記録部に記録し、前記再生禁止部が、前記音声再生部により前記再生動作が実行されている状態において着信またはアラームが発生した場合に、前記記録部に記録されている前記指定情報を参照し、前記指定情報に示されている音源データの再生を禁止するとともに、デフォルトの音源データを再生するよう前記音声再生部を制御することを特徴としている。
【0024】
この構成によると、本発明の電話装置は、記録部と、表示部と、操作部とを備えている。設定部は、通知音として再生する音源データの指定を受け付けるための指定画面を表示部に表示し、この指定画面において指定された音源データを示す指定情報を記録部に記録する。再生禁止部は、再生動作が実行されている状態において着信またはアラームが発生した場合に、指定情報を参照し、指定情報に示されている音源データの再生を禁止する。そしてデフォルトの音源データを再生する。
【0025】
また上記目的を達成するために本発明の電話装置は、前記再生禁止部が、前記音声再生部により前記再生動作が実行されている状態において予め定められた処理が発生した場合に、再生中の音源データと前記指定のなされた音源データとが一致するか否かを判定し、一致する場合にのみ、該音声データの再生を禁止してデフォルトの音源データを再生するよう前記音声再生部を制御することを特徴としている。
【0026】
この構成によると、再生禁止部は、再生動作が実行されている状態において所定処理が発生した場合に、再生中の音源データと指定のなされた音源データとが一致するか否かを判定する。そして一致する場合にのみ、指定のなされた音源データの再生を禁止し、デフォルトの音源データを再生する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、音楽の連続再生時において、着信音やアラーム音として設定されている音源データが再生されない。このためユーザが、連続再生時において着信やアラームの発生を誤認識するといった事態を回避することができる。
【0028】
また本発明によれば、着信音やアラーム音として設定されている音源データの再生中に着信やアラームが発生した場合に、デフォルトの着信音やアラーム音を用いて通知を行う。このため、ユーザが着信音やアラーム音を通常の音楽再生音と誤認識し、着信やアラームの発生に気づかないといった事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る電話装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る電話装置の機能部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る着信音選択画面を示す画面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る音楽再生処理を示すフロー図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る電話装置の機能部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係る音楽再生処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の一実施形態に係る電話装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1−1.電話装置の構成について〉
図1は、本発明の第一の実施形態に係る携帯電話1(=電話装置)の内部構成示すブロック図である。携帯電話1は少なくとも、制御部11、メモリ12(=記録部)、操作部13、LCD(Liquid Crystal Display)14(=表示部)、通信I/F(Interface)部15(=通信部)、通信制御部16(=通信部)、メモリスロット17、データ入力部18、マイク19、スピーカ20(=音声出力部)、及び音声出力端子21(=音声出力部)を含むように構成されている。またメモリスロット17に対して外部記録媒体であるメモリカード80(=記録部)を着脱可能である。
【0031】
制御部11は、携帯電話1を構成する各部の動作を制御することにより、情報表示処理や通信処理等を実施する。制御部11は、例えば複数のマイクロプロセッサから構成されている。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現される機能部として、音声再生部11a〜再生制御部11c(図2)を備えている。なお、各機能部の詳細については後述する。
【0032】
メモリ12は、携帯電話1が保持する各種情報を一時的に記録する記録媒体である。メモリ12は、例えば制御部11によって各種情報処理が行われる際の処理情報や、LCD14に表示するための画像情報等を記録する役割を持つ。
【0033】
操作部13は、ユーザが携帯電話1に対して、通信指示や情報閲覧指示等の各種指示を行うためのものである。操作部13により入力された指示は制御部11により受け付けられ、指示の内容に基づいて各種制御処理が行われる。操作部13は例えば、複数の操作ボタンやスイッチ等から構成される。或いは、LCD14の表面に貼付され、複数の電極やセンサにより接触検知を行うタッチパネルから構成される形態でもよい。
【0034】
LCD14は、液晶ディスプレイ等の表示装置と、ドライバ部とを含む。ドライバ部は、画像データのデコードを行い、表示装置の各画素電極に対して駆動電圧を印加する。これを受けた表示装置は、印加された駆動電圧に基づいて画像を表示する。これにより、携帯電話1が保持する各種情報の表示を行うことが可能である。
【0035】
通信I/F部15は、携帯電話1を無線通信網と接続するための物理的なインタフェースである。通信I/F部15は例えば、W−CDMA規格の無線アンテナ等を含むように構成されている。
【0036】
通信制御部16は、通信I/F部15により接続される無線通信回線を介して、携帯電話基地局と無線通信を行う。通信制御部16は、受信電波の増幅回路や復調回路等を含むように構成されている。また通信制御部16は、所定の通信プロトコルによる誤り訂正や再送制御等を行う。
【0037】
メモリスロット17は、メモリカード80等の着脱記録媒体を接続して情報の伝送を行うインタフェースである。メモリカード80には例えば、所定の音楽配信サーバより取得した音源ファイル等が記録される。これによりユーザは、任意のタイミングで、音源ファイルを再生して聴くことができる。
【0038】
データ入力部18は、外部の記録装置を有線或いは無線により接続して各種情報の入力を行うための入力インタフェースである。データ入力部18は例えば、シリアルケーブル接続用ソケットや、赤外線通信を行うためのIrDAポート(不図示)、或いはUSB接続端子(不図示)等を含むように構成されている。
【0039】
マイク19は、ユーザの音声を入力するための入力装置である。マイク19は入力された音声から音声信号を生成し、さらにA/D(Analogue-to-Digital)変換を行うことにより音声データに変換し、制御部11に与える。これにより、例えば他の電話装置の使用者との間で音声通信を行うことが可能である。
【0040】
スピーカ20は、制御部11から与えられる音声データのD/A(Digital-to-Analogue)変換を行い、変換により得られた音声信号に基づいて音声の出力を行う。音声出力端子21は、ヘッドフォン等の音声出力装置を接続し、音声信号を出力するための接続端子である。
〈1−2.機能部の構成について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係る音楽再生処理を行うための各機能部の関係を、図2のブロック図を用いながら説明する。図2に示すように、本実施形態の音楽再生処理は、音声再生部11a、設定部11b、及び再生制御部11cにより実施される。
【0041】
音声再生部11aは、操作部13により音楽再生操作を受け付け、音楽再生操作で指定された音源ファイル(=音源データ)を再生してスピーカ20または音声出力端子21に出力する。また音声再生部11aは、操作部13により連続再生操作を受け付けた場合に、メモリ12またはメモリカード80に存在する音源ファイル格納フォルダ(=音源データ格納フォルダ)に含まれる複数の音源ファイルを、所定順またはランダム順に再生する連続再生動作を行う。
【0042】
また音声再生部11aは、通信制御部16により着信が検知された場合に、所定の音源ファイルを再生することにより、着信音の出力を行う。なお着信時に再生する音源ファイルのファイル名は、後述する設定部11bにより予め指定が受け付けられ、指定情報としてメモリ12等に記録されているものとする。
【0043】
指定がなされておらず、指定情報が存在しない場合、工場出荷時に定められた音源ファイルであるデフォルトの音源ファイル(以下、「デフォルト音源ファイル」という)を再生する。
【0044】
設定部11bは、着信時に再生する音源ファイルの指定をユーザより受け付ける。具体的には例えば、図3に示す着信音選択画面90(=指定画面)をLCD14に表示する。そして操作部13によるカーソル91の移動操作を受け付ける。
【0045】
所定のファイル名にカーソル91があたっている状態で操作部13に含まれる決定キーが押下されると、このファイル名(図3の例では「タイトルB」)に対応する音源ファイルが、着信時に再生される音源ファイル(以下、「着信音源ファイル」という)として指定される。指定結果を示す指定情報は、メモリ12等に記録される。
【0046】
再生制御部11cは、音声再生部11aにより連続再生処理が開始された場合に、メモリ12に記録されている上記の指定情報を参照し、着信音に設定されている音源ファイルを判別する。そして判別した音源ファイルを、連続再生処理において再生対象外とするよう、音声再生部11aを制御する。
〈1−3.音楽再生処理について〉
ここで、本発明の第一の実施形態に係る携帯電話1が実施する音楽再生処理について、図4のフロー図を用いながら説明する。図4に示す処理フローは、携帯電話1の電源が駆動している状態において、音声再生部11aが連続再生指示を検知した場合に開始される。なお連続再生指示は、例えば連続再生する複数の音源ファイルが格納された音源ファイル格納フォルダの指定操作を、操作部13により受け付けた場合等に発行される。
【0047】
本処理の開始後、再生制御部11cはステップS110において、上記で指定された音源ファイル格納フォルダに、着信音源ファイルが格納されているか否かを判定する。着信音源ファイルが格納されていない場合、再生制御部11cはステップS111において、指定された音源ファイル格納フォルダに含まれる音源ファイルを所定順またはランダム順に連続再生するよう、音声再生部11aに指示する。この指示を受けた音声再生部11aは、通常の連続再生処理を開始する。
【0048】
着信音源ファイルが格納されている場合、再生制御部11cはステップS120において、指定された音源ファイル格納フォルダに含まれる音源ファイルのうち着信音源ファイルを除く音源ファイルを、所定順またはランダム順に連続再生するよう、音声再生部11aに指示する。この指示を受けた音声再生部11aは、着信音源ファイルを再生対象外とした連続再生処理を開始する。
【0049】
次に制御部11はステップS130において、通信制御部16が音声通話の着信を検知したか否かを判定する。着信を検知していない場合、音声再生部11aはステップS131において、連続再生の終了指示を検知したか否かを判定する。なお連続再生の終了指示は、例えば操作部13に含まれる再生停止キーが押下された場合等に発行される。
【0050】
連続再生の終了指示を検知した場合、音声再生部11aはステップS132において、連続再生を終了した後、本処理を終了する。連続再生の終了指示を検知していない場合、再びステップS130へ移行し、継続して着信検知の判定を行う。
【0051】
ステップS130に戻って説明を行うと、着信を検知した場合、音声再生部11aはステップS140において、メモリ12に予め記録されている指定情報に基づき、着信音源ファイルの再生処理を行い、音声信号をスピーカ20または音声出力端子21に与える。
【0052】
なお着信音源ファイルの指定が設定部11bにより受け付けられていない場合や、指定された着信音源ファイルが存在しない場合は、メモリ12等に記録されているデフォルト音源ファイルの再生を行う。
【0053】
次に制御部11はステップS150において、着信に対する応答操作、例えば操作部13に含まれる通話キーの押下等を検知したか否かを判定する。応答操作を検知していない場合、制御部11はステップS151において、通話開始要求が受信されなくなることにより着信動作が終了したか否かを判定する。
【0054】
着信動作が終了した場合、本処理を終了する。着信動作が終了されていない場合、再びステップS150へ移行する。ステップS150に戻って説明を行うと、応答操作を検知した場合、制御部11はステップS160において、通話処理を開始する。なお通話処理の詳細については従来技術と同様の内容であるため、説明を省略する。
【0055】
次に制御部11はステップS170において、通話処理の終了を検知したか否かを判定する。終了を検知した場合、本処理を終了する。終了を検知していない場合、再びステップS160へ移行する。
【0056】
以上に説明した本実施形態によれば、音源ファイルの連続再生時において、着信音として設定されている音源ファイルを再生対象外とし、その他のファイルのみを再生する。つまり着信音源ファイルが再生されないため、着信の発生/非発生について、ユーザが誤認識するのを回避できる。
[実施の形態2]
〈2−1.電話装置の構成について〉
実施の形態1と同内容であるため、説明を省略する。
〈2−2.機能部の構成について〉
本実施形態の制御部11は、図5に示すように、実施の形態1の再生制御部11cに代わり再生禁止部11dを備えている。再生禁止部11dは、音声再生部11aが再生動作を実行している状態において通信制御部16が着信を検知した場合に、予め設定部11bにより指定を受け付けている着信音源ファイルの再生を禁止する。そして、デフォルト音源ファイルを再生するよう、音声再生部を制御する。なお、再生禁止部11dが実施する処理の詳細については後述する。
〈2−3.音楽再生処理について〉
ここで、本発明の第二の実施形態に係る音楽再生処理について、図6のフロー図を用いて説明する。なお、実施の形態1の図4と同内容の処理については、同一のステップ番号を付加することにより説明を省略するものとする。
【0057】
図6に示す処理フローは、携帯電話1の電源が駆動している状態において、音声再生部11aが再生指示を検知した場合に開始される。なお再生指示は、例えば再生する音源ファイルの指定操作を、操作部13により受け付けた場合等に発行される。
【0058】
この指示を受けた音声再生部11aはステップS101において、通常の再生処理を開始する。次に制御部11はステップS130において、通信制御部16が音声通話の着信を検知したか否かを判定する。着信を検知していない場合、実施の形態1と同様、ステップS131またはステップS132を実施する。
【0059】
着信を検知した場合、再生禁止部11dはステップS141において、メモリ12に記録されている指定情報が示す着信音源ファイルが再生中であるか否かの判定を行う。再生中である場合、再生禁止部11dはステップS142において、着信音源ファイルの再生を行わないよう、音声再生部11aに指示する。さらにメモリ12等に記録されているデフォルト音源ファイルを再生するよう、音声再生部11aに指示する。
【0060】
これを受けた音声再生部11aは、デフォルト音源ファイルを用いた再生処理を行い、音声信号をスピーカ20または音声出力端子21に与える。これにより音声の出力が開始されると、ステップS150へ移行する。
【0061】
ステップS141に戻って説明を行うと、メモリ12に記録されている指定情報が示す着信音源ファイルが再生中でない場合、再生禁止部11dはステップS143において、上記の着信音源ファイルの再生を行うよう音声再生部11aに指示する。これにより音声の出力が開始されると、ステップS150へ移行する。
【0062】
なおステップS150以降の処理については、実施の形態1と同内容であるため、説明を省略する。
【0063】
以上に説明した本実施形態によれば、着信音として設定されている音源ファイルの再生中に着信が発生した場合に、デフォルトの着信音を用いて着信通知を行う。このため、ユーザが着信音を通常の音楽再生音と誤認識し、着信の発生に気づかないといった事態を回避することができる。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0064】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0065】
(A)本実施形態では、着信音に指定される音源ファイルが一ファイルである例を説明しているが、複数の音源ファイルが着信音として設定されている形態でもよい。例えば音声通話の着信音と電子メールの着信音とに、異なる音源ファイルが指定されている場合がこれに該当する。この場合、指定された全ての音源ファイルを、連続再生時や音楽再生中の着信時において再生対象外とする。
【0066】
(B)上記実施形態では、着信音として指定されている音源ファイルを連続再生時に再生対象外としているが、これ以外の通知音に指定されている音源ファイルを、連続再生時に再生対象外とする形態でもよい。例えば、アラーム設定された時刻に出力されるアラーム音に指定されている音源ファイルを、連続再生時に再生対象外とするよう、再生制御部11cが制御を行う形態でもよい。
【0067】
(C)上記実施形態では、音楽再生時に音声着信があった場合にデフォルトの着信音を出力するよう制御しているが、音楽再生時にメール受信があった場合にデフォルトの通知音を出力したり、音楽再生時にアラーム時刻となった場合にデフォルトのアラーム音を出力したりするよう、再生禁止部11dが制御を行う形態でもよい。
【0068】
(D)上記実施形態では、音楽再生時に音声着信があり、且つ再生中の音源ファイルが着信音に設定されている音源ファイルである場合にのみデフォルトの着信音を出力するよう制御しているが、音楽再生時の音声着信であれば必ずデフォルトの通知音を出力するように制御する形態でもよい。
【0069】
(E)上記実施形態では、制御部11が備える各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現されているが、これら機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0070】
(F)上記実施形態では、本発明の音楽再生処理を実施する電話装置として携帯電話1を例に説明を行っているが、これ以外の電話装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、PHS(Personal Handyphone System)、固定電話、FAX装置、通話機能を備えたPDAやPC等において実施する形態でもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 携帯電話(電話装置)
11 制御部
11a 音声再生部
11b 設定部
11c 再生制御部
11d 再生禁止部
12 メモリ(記録部)
13 操作部
14 LCD(表示部)
15 通信I/F部(通信部)
16 通信制御部(通信部)
17 メモリスロット
18 データ入力部
19 マイク
20 スピーカ(音声出力部)
21 音声出力端子(音声出力部)
80 メモリカード(記録部)
90 着信音選択画面(指定画面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網に接続されて通信を行う通信部と、
音声または音声信号の出力を行う音声出力部と、
複数の音源データを予め定められた順またはランダム順に連続再生する連続再生動作を行う音声再生部と、
予め定められた処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データの指定を受け付ける設定部とを備える電話装置において、
前記音声再生部により前記連続再生動作の実行指示が検知された場合に、前記指定がなされた音源データを再生対象外として前記連続再生動作を行うよう前記音声再生部を制御する再生制御部を備えることを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記設定部が、前記通信部により着信が検知された場合に着信音として再生する音源データ、またはアラームが発生した場合にアラーム音として再生する音源データの指定を受け付け、
前記再生制御部が、前記音声再生部により前記連続再生動作の実行指示が検知された場合に、前記着信音または前記アラーム音として指定がなされた音源データを再生対象外として前記連続再生動作を行うよう前記音声再生部を制御することを特徴とする電話装置。
【請求項3】
情報を記録する記録部と、
画像の表示を行う表示部と、
前記電話装置に対する指示操作を受け付ける操作部とを備え、
前記設定部が、予め定められた処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データの指定を受け付けるための指定画面を表示するよう前記表示部を制御し、前記指定画面において前記操作部を介して指定された音源データを示す指定情報を前記記録部に記録し、
前記再生制御部が、前記音声再生部により前記連続再生動作の実行指示が検知された場合に、前記記録部に記録されている前記指定情報を参照し、前記指定情報に示されている音源データを再生対象外として前記連続再生動作を行うよう前記音声再生部を制御することを特徴とする請求項1に記載の電話装置。
【請求項4】
前記設定部が、予め定められた処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データのデータ名の指定を受け付け、
前記音声再生部が、前記音声再生部により前記連続再生動作の実行指示が検知された場合に、予め前記記録部に設けられている音源データ格納フォルダに前記指定がなされたデータ名の音源データが存在するか否かを判定し、該音源データが存在する場合に、該音源データを再生対象外として、前記音源データ格納フォルダに格納されている音源データの連続再生を行うよう前記音声再生部を制御することを特徴とする請求項3に記載の電話装置。
【請求項5】
通信網に接続されて通信を行う通信部と、
音声または音声信号の出力を行う音声出力部と、
音源データを再生する再生動作を行う音声再生部と、
予め定められた処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データの指定を受け付ける設定部とを備える電話装置において、
前記音声再生部により前記再生動作が実行されている状態において予め定められた処理が発生した場合に、前記指定がなされた音源データの再生を禁止するとともに、デフォルトの音源データを再生するよう前記音声再生部を制御する再生禁止部を備えることを特徴とする電話装置。
【請求項6】
前記設定部が、前記通信部により着信が検知された場合に着信音として再生する音源データ、またはアラームが発生した場合にアラーム音として再生する音源データの指定を受け付け、
前記再生禁止部が、前記音声再生部により前記再生動作が実行されている状態において着信またはアラームが発生した場合に、前記着信音または前記アラーム音として指定がなされている音源データの再生を禁止するとともに、デフォルトの音源データを再生するよう前記音声再生部を制御することを特徴とする請求項5に記載の電話装置。
【請求項7】
情報を記録する記録部と、
画像の表示を行う表示部と、
前記電話装置に対する指示操作を受け付ける操作部とを備え、
前記設定部が、予め定められた処理が発生したことを通知する通知音として再生する音源データの指定を受け付けるための指定画面を表示するよう前記表示部を制御し、前記指定画面において前記操作部を介して指定された音源データを示す指定情報を前記記録部に記録し、
前記再生禁止部が、前記音声再生部により前記再生動作が実行されている状態において着信またはアラームが発生した場合に、前記記録部に記録されている前記指定情報を参照し、前記指定情報に示されている音源データの再生を禁止するとともに、デフォルトの音源データを再生するよう前記音声再生部を制御することを特徴とする請求項5に記載の電話装置。
【請求項8】
前記再生禁止部が、前記音声再生部により前記再生動作が実行されている状態において予め定められた処理が発生した場合に、再生中の音源データと前記指定のなされた音源データとが一致するか否かを判定し、一致する場合にのみ、該音声データの再生を禁止してデフォルトの音源データを再生するよう前記音声再生部を制御することを特徴とする請求項5に記載の電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−217327(P2011−217327A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86122(P2010−86122)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】