説明

電話装置

【課題】3者通話時に2つの電話装置の音声をミキシングして他の電話装置に送信する電話装置が、他の電話装置の1つからの保留音或いはCPT(コールプログレストーン)を検出した際に、当該CPT音が通話の妨げにならないようにする。
【解決手段】自電話装置と他の2つの電話装置を回線接続して3者通話を行う機能を有する電話装置において、電話装置1は、3者通話時に、自電話装置の音声と他の一方の電話装置の音声をミキシングして他のもう一方の電話装置に送信するためのミキシング部11a2と、前記他の2つの電話装置から送信される音声が特定トーンであるか否かを検出するトーン検出部11a1と、を備え、トーン検出11a1が、他の一方の電話装置から送信される特定トーンを検出した場合、ミキシング部11a2は、当該特定トーンの音量を制限して前記自電話装置の音声とをミキシングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3者通話機能を有する電話装置に関するものであり、特に3者通話時に2つの電話装置の音声をミキシングして他の電話装置に送信する電話装置が、他の電話装置の1つからの保留音或いはCPT(コールプログレストーン)を検出した際に、当該CPT音の音量を下げる制御を行うようにした電話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に電話装置は任意の2者間で通話するものであるが、2者間で通話中に第3の通話者を呼び出して3者間で通話する機能も提供されている。例えば、下記の特許文献1(特開2004−222194号公報)には、デジタルデータ通信で電話通話を行うデジタル通話回線を含む複数の通話回線に接続可能な電話装置を用いて3者通話を行う技術が開示されている。
【0003】
この電話装置は、ミキシング手段と、第3通話開始手段と、3者通話制御手段とを含んで構成され、ミキシング手段は、複数の通話回線で電話通話を行うときに、一つの通話回線から受信する音声を他の通話回線に送信する音声に加え、第3通話開始手段は、2者間での通話中に、2者間の通話を保留状態にして、第3者との通話を開始させ、3者通話制御手段は、保留状態となっている2者間での通話を再開させるようにされている。また、3者通話制御手段は、第3通話開始手段によって開始される通話で受信する第3者の音声を再開される通話の相手側へ送信する音声に加え、相手側から受信する音声を第3者へ送信する音声に加えるようにミキシング手段を制御し、3者間での相互通話を開始させるようにされている。
【0004】
また、下記の特許文献2(特開2006−210997号公報)には、複数の端末と、複数の端末のうち2つまたは3つの端末を相互に接続し、2者通話または3者通話を開始させるボタン電話装置とを有する3者通話システムが開示されている。この3者通話システムは、3者通話情報記録部に、内線電話機である端末10A,10Bごとに、当該端末が発信元または発信先の端末となる2者通話に割り込ませる通話割り込み端末を示す3者通話情報を記録するように構成され、3者通話制御部は、端末10A,10Bのいずれかが2者通話を開始すると、当該端末の3者通話情報を3者通話情報記録部から検索し、検索できた場合は検索した3者通話情報に基づき通話割り込み端末を呼び出すよう通話パス生成部に指示し、通話パス生成部は、3者通話制御部からの指示を受けて通話割り込み端末を呼び出し、その呼び出しに通話割り込み端末が応答すると、発信元および発信先の端末と通話割り込み端末とを相互に接続して3者通話用の通話パスを生成し、3者通話を開始させるようにされたものである。
【0005】
このように電話装置の3者通話機能は、複数の回線を接続した端末であれば、端末側でも実現可能であるが、電話網(電話通信事業者)が付加サービスとして提供する3者通話機能を利用することもできる。例えば、下記の特許文献3(特開2007−274544号公報)には、簡略化された操作により電話網が提供する3者通話のサービスを利用可能にする3者通話装置が開示されている。
【0006】
この3者通話装置は、回線制御部と、トーン検知部と、ダイヤル部と、制御部と、三者通話スイッチとを備えて構成され、回線制御部)は、3者通話機能を備える電話網に接
続され、呼制御を行い、トーン検知部は、接続回線を伝達される音声信号に基づいて制御音を検出し、検出結果を出力し、ダイヤル部は、予め設定されている電話番号を接続回線に送出するようにされている。また、制御部は、トーン検知部の検出結果に基づいて、回線制御部とダイヤル部とを制御して3者通話を行うための処理を行い、3者通話スイッチは、制御部を起動して3者通話を行うための処理を開始させるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−222194号公報
【特許文献2】特開2006−210997号公報
【特許文献3】特開2007−274544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1や特許文献2に開示された電話装置の3者通話の手順は、例えば、端末Aと端末Bとによる2者通話に、端末Cを割り込ませて3者通話を開始する場合、一般的には次のような手順となる。すなわち、端末Aおよび端末Bのいずれか一方が他方への発信を行うと、ボタン電話装置(コードレス電話システムにおいては端末Aまたは端末Bが無線接続される親機、IP電話システムにおいては呼制御サーバなど)は、端末Aと端末Bとの2者通話用の通話パスを生成し、それにより端末Aと端末Bとによる2者通話を開始する。
【0009】
この状態で、端末Aのユーザは、第3者の端末として通話に割り込ませる端末Cが、3者通話を行い得る状態であるか(端末Cのユーザが話中でないか、不在でないか等)を目視等により確認する。ここで、端末Cが3者通話を行い得る状態であれば、端末Aのユーザは、端末Aを用いてボタン電話装置に対して端末Bの保留要求を行い、ボタン電話装置は、端末Aからの保留要求を受けて端末Bを保留状態とする。
【0010】
次に、端末Aのユーザは、端末Aを用いてボタン電話装置に対して端末Cへの発信要求を行い、ボタン電話装置は、端末Aからの発信要求を受けて端末Cを呼び出し、次に、ボタン電話装置は、呼び出しに対して、端末Cからの応答があるかを確認し、端末Cからの応答があると、端末Aと端末Cとの2者通話用の通話パスを生成し、それにより端末Aと端末Cとによる2者通話が開始される。
【0011】
次いで、端末Aのユーザは、端末Aを用いてボタン電話装置に対して端末Bの保留解除要求を行い、ボタン電話装置は、端末Aからの保留解除要求を受けて端末Bの保留状態を解除し、その後、ボタン電話装置は、端末Aと端末Bと端末Cとの3者通話用の通話パスを生成し、それにより端末Aと端末Bと端末Cとによる3者通話が開始される。
【0012】
3者通話が開始されると、ミキシング手段は、一つの通話パス(通話回線)から受信する音声を他の通話回線に送信する音声に加え、3者通話の開始によってもう一方の通話パス(通話回線)から受信する第3者の音声を、保留再開された通話の相手側へ送信する音声に加え、当該相手側から受信する音声を第3者へ送信する音声に加えるようにミキシングし、3者間での相互通話を行う。
【0013】
ここで、3者通話を行っている端末の1つのユーザが、一時的に離席するなどする時に、端末を保留状態にすると、残りの2者間の通話音声に保留音がミキシングされてしまい、通話の妨げになるという問題点が生じる。すなわち、保留時に流すメロディー音が設定されている場合は残りの2者間の通話にメロディー音がミキシングされ、2者間の通話の妨げになる。このことは、端末が保留された場合だけでなく、コールプログレストーン(CPT)が送信される場合に共通する問題である。コールプログレストーンには、例えば、DT(ダイヤルトーン)、RBTトーン(リングバックトーン)、BT(ビジートーン)などがある。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、3者通話時に2つの電話装置の音声をミキシングして他の電話装置に送信する電話装置が、他の電話装置の1つからの保留音或いはCPT(コールプログレストーン)を検出した際に、当該CPT音が通話の妨げにならないようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、自電話装置と他の第1の電話装置および第2の電話装置を回線接続して3者通話を行う機能を有する電話装置において、前記電話装置は、3者通話時に、自電話装置の音声と他の第1の電話装置の音声をミキシングして他の第2の電話装置に送信し、自電話装置の音声と他の第2の電話装置の音声をミキシングして他の第1の電話装置に送信するためのミキシング部と、前記他の2つの電話装置から送信される音声が特定トーンであるか否かを検出するトーン検出部と、を備え、前記トーン検出が、他の第1または第2の電話装置から送信される特定トーンを検出した場合、前記ミキシング部は、当該特定トーンの音量を制限して前記自電話装置の音声とをミキシングすることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる電話装置において、前記ミキシング部による音量の制限は、所定の規定音量よりも音量を低減させることによりなされることを特徴とする。
【0017】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる電話装置において、前記ミキシング部による音量の制限は、前記特定トーンの音声を消音することによってなされることを特徴とする。
【0018】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1〜3の何れかにかかる電話装置において、前記特定トーンは、コールプログレストーンであることを特徴とする
本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる電話装置において、前記特定トーンには、保留時に送信されるメロディー音を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1にかかる発明においては、自電話装置と他の第1の電話装置および第2の電話装置を回線接続して3者通話を行う機能を有する電話装置において、電話装置は、3者通話時に、自電話装置の音声と他の第1の電話装置の音声をミキシングして他の第2の電話装置に送信し、自電話装置の音声と他の第2の電話装置の音声をミキシングして他の第1の電話装置に送信するためのミキシング部と、他の2つの電話装置から送信される音声が特定トーンであるか否かを検出するトーン検出部と、を備え、トーン検出が、他の第1または第2の電話装置から送信される特定トーンを検出した場合、ミキシング部は、当該特定トーンの音量を制限して前記自電話装置の音声とをミキシングする。
【0020】
かかる構成によれば、3者通話時に2つの電話装置の音声をミキシングして他の電話装置に送信する際に、他の電話装置の1つからの保留音或いはCPT(コールプログレストーン)を検出した時、当該CPT音の音量が制限されるから、通話の妨げになることがない。
【0021】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる電話装置において、ミキシング部による音量の制限は、所定の規定音量よりも音量を低減させることによりなされるから、他の電話装置の1つからの保留音或いはCPT(コールプログレストーン)を検出した時、当該CPT音の音量が規定の音量より低減されるから、通話の妨げになることがない。
【0022】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる電話装置において、ミキシング部による音量の制限は、特定トーンの音声を消音することによってなされるから、他の電話装置の1つからの保留音或いはCPT(コールプログレストーン)を検出した時、当該CPT音の音が消音されるから、通話の妨げになることがない。
【0023】
請求項4、5にかかる発明においては、特定トーンには、コールプログレストーン、保留時に送信されるメロディー音が含まれ、他の電話装置の1つからの保留音或いはCPT(コールプログレストーン)を検出した時、当該CPT音の音量が制限されるから、通話の妨げになることがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例にかかる電話装置を含む電話システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施例にかかる電話装置の構成を示すブロック図である。
【図3】3者通話が開始されるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】3者通話が開始されてからの本発明の処理を含む処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電話装置としてIP電話システムを例示して説明するものであって、本発明をこのIP電話システムに特定することを意図するものではなく特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく、デジタルコードレス電話システムやその他の電話装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0026】
図1は、本発明のIP電話装置を含む電話システムの構成を示すブロック図である。本システムは少なくとも、IP電話装置1、有線LAN41、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、ゲートウェイ53、IP電話網61、インターネット62、PSTN網63(Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び加入者電話装置71を含むように構成されている。
【0027】
本発明のIP電話装置1は、IP通信網に接続可能な電話装置である。IP電話装置1は、有線LAN41に接続されることにより、電話網を介した音声通信が可能である。またIP電話装置1は、インターネット62を介して、気象庁が配信する緊急地震速報を受信する機能を持つこともできる。なお、IP電話装置1の内部構造の詳細については後述する。
【0028】
有線LAN41は、テレビ電話装置1、IP電話ルータ51、ブロードバンドルータ52、及びゲートウェイ53等が有線接続されたローカルのネットワークである。前記の各装置は有線LAN41に接続されることにより、相互に通信が可能となっている。なお、有線LAN41を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0029】
IP電話ルータ51、及びブロードバンドルータ52は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。
【0030】
本実施例では、IP電話ルータ51は有線LAN41とIP電話網61との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。またブロードバンドルータ52は、有線LAN41とインターネット62との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0031】
ゲートウェイ53は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ53は例えば、有線LAN41とPSTN網63とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0032】
IP電話網61は、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回線が利用される。
【0033】
なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮してパケットに変換し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網61は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等も提供可能である。
【0034】
インターネット62は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0035】
PSTN網63は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に電話装置を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して音声通話を行うのに用いられる。加入者電話装置71は、電話加入者がPSTN網63を用いて他の加入者電話装置やテレビ電話装置と音声通話を行うための電話装置である。
【0036】
図2は、図1に示すIP電話装置1の内部を示すブロック図である。IP電話装置1は少なくとも、制御部11、メモリ12、表示部13、操作部14、通信制御部15(=通信部)、フラッシュメモリ16(=記録部)、音声信号処理部17、スピーカ18、マイク19を含むように構成されている。
【0037】
制御部11は、IP電話装置1の各部を制御することにより通信制御処理(音声データの送受信、発呼の実施、或いは着呼の検知等、3者通話)を統括制御するための中央処理装置である。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現される機能部として、通話制御部11a〜送信制御部11cを備えている。
【0038】
受付部11bは、ユーザが送信したい文字情報の指定を行うための操作(以下、「情報送信操作」という)を、操作部14により受け付ける。具体的には例えば、受付部11bはフラッシュメモリ16に記録されている電話帳データを表示部13に表示することにより、情報送信操作の待ち受け状態に移行する。この状態で、表示された電話帳データの中に含まれる情報、例えばメールアドレスやURL等が選択されると、選択内容を次の画像生成部(不図示)へ通知する。
【0039】
送信制御部11cは、図示しない画像生成部により生成された画像を、通話回線の接続先へ送信するよう、通話制御部11aに指示する。
【0040】
通話制御部11aは、トーン検出部11a1とミキシング部11a2を有しており、トーン検出部11a1は、3者通話時に、3者通話を行っている他の電話装置からのコールプログレストーン(CPT音)を検出する。コールプログレストーンには、例えば、DT(ダイヤルトーン)、RBTトーン(リングバックトーン)、BT(ビジートーン)などがある。また、他の電話装置に保留時のメロディー音が設定されている場合には、当該メロディー音もCPT音と同様に通話の妨げになるから、トーン検出部11a1は、保留時のメロディー音或いはCPT音を検出する。従って、本明細書においては、トーン検出部11a1が検出するトーンを特定トーンと称することとする。
【0041】
ミキシング部11a2は、3者通話時に、3者通話を行っている他の一方の電話装置(他の第1の電話装置または第2の電話装置)から受信した音声と自電話装置のマイクから入力された音声をミキシングするものである。ミキシング部11a2によりミキシングされた音声は、通信制御部15を介して3者通話を行っている他のもう一方の電話装置(他の第2の電話装置または第1の電話装置)に送信される。
【0042】
メモリ12は、IP電話装置1が保持する各種データを一時的に記録する媒体であり、例えば書込可能なRAM(Random Access Memory)等により構成されている。
【0043】
メモリ12は制御部11によって各種通信制御処理が行われる際の処理データや、ユーザから受けた指示命令等を一時的に記録しておくためのバッファメモリとしての役割を持つ。
【0044】
表示部13は、IP電話装置1が保持する各種情報、例えば他のIP電話装置より受信した撮像画像等をユーザに対して表示する。表示部13は例えば、液晶パネル等の小型で消費電力の少ない表示装置を用いる。
【0045】
操作部14は、ユーザがIP電話装置1を用いて通信を行うための各種操作、例えば通話を行う相手の電話番号の入力等を行うためのものである。操作部14は通常、数字ボタンやリダイヤルボタン等の複数の操作ボタンから構成されている。
【0046】
操作部14には、3者通話機能の選択機能ボタンを有しており、3者通話機能が選択されると後述する3者通話のための保留処理や呼出し処理、3者通話の開始処理を行うことができる。なお、表示部13がタッチパネル機能を有している場合には、表示部13を操作部14として機能させることもでき、3者通話機能の選択を表示部13に表示したソフトキーに割り当てることもできる。
【0047】
通信制御部15は、IP電話装置1を有線LAN41に接続するための通信インタフェースである。通信制御部15は、有線LAN41に接続された呼制御サーバ(不図示)と通信を行うことにより、IP電話システムにおける着信処理や発信処理等を実施することが可能である。
【0048】
フラッシュメモリ16は、テレビ電話装置1が保持する各種データを一時的に記録する記録装置である。フラッシュメモリ16は、例えば通話相手に関する情報を記録した電話帳データや、各種制御よって発生する処理データ、例えば、図示しないカメラにより撮像された撮像画像等を記録する役割を持つ。
【0049】
音声信号処理部17は、通信制御部15により入力された音声データの復号処理を行い、音声信号としてスピーカ18に与える。また音声信号処理部17は、マイク19より入力された音声信号に所定の符号化処理を施して生成した音声情報や、フラッシュメモリ16に予め記録されている音声情報を、通信制御部15に与える。これにより音声情報は有線LAN41、無線通信網42、或いはIP電話網61等を通じて接続される他の電話装置へ送信される。
【0050】
ここで、本発明の実施例にかかるIP電話装置1を用いた3者通話時の処理について、図3、図4に示すフローチャートを参照して説明する。図3は3者通話が開始されるまでの処理手順を示すフローチャート、図4は3者通話が開始されてからの本発明の処理を含む処理手順を示すフローチャートである。以下の説明においては、IP電話装置Aが他の電話装置B(外線接続されたIP電話装置または一般の加入者電話装置や携帯電話装置であってよい)と2者通話を行っている際に、更に他の電話装置C(IP電話装置Aと内線接続されるIP電話装置)を加えて3者通話する例を説明する。他の電話装置Bを単に端末Bといい、他の電話装置Cを単に端末Cということとして説明する。
【0051】
先ず、図3のフローチャートを参照して、IP電話装置Aと端末Bが外線通話中に端末Cを加えて、3者通話を開始する手順について説明する。この手順は一般的な3者通話のための手順である。なお、ここでは端末BがIP電話装置Aと外線接続され、端末CはIP電話装置Aと内線接続される端末である場合を例に説明する。
【0052】
IP電話装置Aが端末Bへの外線発信を行うと、IP電話装置Aは端末Bとの2者通話用の通話パス(外線接続パス)が生成され、それによりIP電話装置Aと端末Bとによる2者通話が開始される(ステップS101)。
【0053】
この状態で、IP電話装置Aのユーザが、第3者の電話装置として端末Cを通話に割り込ませる場合、IP電話装置Aのユーザは、端末Bの保留要求を行い、IP電話装置Aは保留要求を受けて端末Bを保留状態とする(ステップ102)。
【0054】
ここで、3者通話に加える端末Cは、例えば、IP電話装置Aのユーザの同僚や上司の端末である場合には、通話に割り込ませる端末Cが、3者通話を行い得る状態であるか(端末Cのユーザが話中でないか、不在でないか等)を目視等により確認した上で、端末Cが3者通話を行い得る状態であれば、端末Bを保留するようにしてもよい。
【0055】
次に、IP電話装置Aのユーザは、IP電話装置Aを用いて端末Cへの発信を行い、端末Cを呼び出し(ステップS103)、端末Cからの応答を確認する(ステップS104)。端末Cからの応答を確認すると、端末Cとの2者通話用の通話パスが生成され、それによりIP電話装置Aと端末Cとの2者間の通話が開始される(ステップS105)。
【0056】
次いで、IP電話装置Aのユーザは、端末Bの保留を解除する(ステップS106)と、IP電話装置Aは、端末Bと端末Cとの3者通話用の通話パスを生成し(ステップS107)、それによりIP電話装置Aと端末Bと端末Cとによる3者通話が開始される。
【0057】
以上説明した図3のフローチャートの手順は、IP電話装置1のユーザが3者通話機能を有効にした場合に、表示部に順次操作手順を表示したユーザ操作をガイドするように構成することができる。
【0058】
また、IP電話装置Aからの発呼、着呼に対する接続制御を行う呼接続制御サーバが介在する場合には、端末Bの接続制御(2者通話パスの生成)、端末Bの保留や保留解除、端末Cの接続制御、および、端末Cを加えた3者通話パスの生成は、IP電話装置Aからの要求によって、呼接続サーバが行うことになる。呼接続制御サーバとしては、VoIP(Voice over Internet Protocol)システムの代表的な呼制御プロトコルであるSIP(Session Initiation Protocol)に基づくSIPのサーバを用いることができる。
【0059】
このようにして3者通話が開始されると、図4のフローチャートに示す手順が開始される。図4の説明においては、IP電話装置Aと外線通話していた端末Bのユーザが、何らかの理由(例えば、通話内容に関連する資料を取り出すために一時離席するなどの理由)で一時、端末Bを保留した場合を例に説明する。
【0060】
先ず通話制御部11aは、IP電話装置Aが3者通話中であるかを判別する(ステップS201)。3者通話中でなければステップS201の判別処理を繰返し、3者通話中であれば、トーン検出部11a1は、3者通話中の他の端末B、端末Cからの音声を受信し、端末Bからの特定トーン(CPT音或いは保留中のメロディー音)を検出する(ステップS202)。
【0061】
特定トーンが検出されなければ、ステップS202の検出処理を繰返し、特定トーンが検出されると、ミキシング部11a2は、ミキシングの音量設定値(特定トーンを送信した端末Bからの音声信号の音量設定値)を退避し(ステップS203)、特定トーンの音量を所定の音量値に低減して端末Bの音声をミキシングして(ステップS204)、端末Cに送信する。
【0062】
これにより、IP電話装置Aと通話している端末Cとの通話には、端末Bからのメロディー音が音量低減されてミキシングされるので、両者の通話の妨げにならない。
【0063】
そして、通話制御部11aは、トーン検出部11a1が端末Bからの特定トーンを検出しているか否かを判別する(ステップS205)。特定トーンが検出されていれは、ステップS205 の判別処理を繰返し、特定トーンが検出されなければ、ミキシング部11a2は、ステップS203の処理で退避していた端末Bからの音声のミキシングの音量設定値をもとに戻して(ステップS206)、規定の音量値でミキシングする。
【0064】
上記ステップS201〜ステップS206の手順は、3者通話が行われている間、繰返し行われ、3者通話の終了により終了する。
【0065】
なお、3者通話中に回線を保留状態にした端末が端末Cのように内線通話接続した端末である場合、すなわち、IP電話装置1のユーザが端末Cのユーザが席に戻ったか否かを確認できるような場合には、端末Cからの特定トーン(保留メロディー音)をミュート(消音)し、端末Cの保留が解除されたことを確認して、IP電話装置1のユーザがミュートを解除するように構成することもできる。
【0066】
一方、3者通話中に回線を保留状態にした端末が端末Bのように外線通話接続した端末である場合に、上記と同様に端末Bからの特定トーン(保留メロディー音)をミュート(消音)する制御を行ってしまうと、端末Bが保留状態を解消したか否かが判別できなくなり、端末Bからの音声をミキシングして3者通話に復帰させることができなくなる。従って、このような場合には、本発明のようにミキシングの音量を低減させる制御をすることが好ましい。
【0067】
そこで、トーン検出部11a1が特定トーンを検出した3者通話中の端末が、外線接続された端末か、内線接続された端末かによって、ミキシング音量を低減させるか、またはミュート(消音)するかを切り分けるようにミキシング部11a2の制御を切り分けるように構成することもできる。
【0068】
なお、上記実施例においてIP電話装置を用いて3者通話する場合について説明したが、本発明は、IP電話装置に限られるものではなく、一般の加入者電話装置あるいはコードレス電話装置において適用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 IP電話装置
11 制御部
11a 通話制御部
11a1 トーン検出部
11a2 ミキシング部
11b 受付部
11c 画像生成部
11d 送信制御部
12 メモリ
13 表示部
14 操作部
15 通信制御部(通信部)
16 フラッシュメモリ(記録部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自電話装置と他の第1の電話装置および第2の電話装置を回線接続して3者通話を行う機能を有する電話装置において、
前記電話装置は、3者通話時に、自電話装置の音声と他の第1の電話装置の音声をミキシングして他の第2の電話装置に送信し、自電話装置の音声と他の第2の電話装置の音声をミキシングして他の第1の電話装置に送信するためのミキシング部と、
前記他の2つの電話装置から送信される音声が特定トーンであるか否かを検出するトーン検出部と、を備え、
前記トーン検出が、他の第1または第2の電話装置から送信される特定トーンを検出した場合、前記ミキシング部は、当該特定トーンの音量を制限して前記自電話装置の音声とをミキシングすることを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記ミキシング部による音量の制限は、所定の規定音量よりも音量を低減させることによりなされることを特徴とする請求項1に記載の電話装置。
【請求項3】
前記ミキシング部による音量の制限は、前記特定トーンの音声を消音することによってなされることを特徴とする請求項1に記載の電話装置。
【請求項4】
前記特定トーンは、コールプログレストーンであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電話装置。
【請求項5】
前記特定トーンには、保留時に送信されるメロディー音を含むことを特徴とする請求項4に記載の電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−138789(P2012−138789A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290211(P2010−290211)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】