説明

電話通信端末、ベース装置および発信処理プログラム

【課題】電話による通話時に閲覧を要求する表示情報の所在を、確実かつ簡単に通知し、通知先において当該表示情報を簡単に利用できるようにする。
【解決手段】ネットワーク上に格納するようにされている例えば電子メールやWebページ等の表示情報が、IP電話端末4に接続された携帯電話端末5のディスプレイ524に表示されている場合に、当該IP電話端末4のハンドセット440が持ち上げられオフフック操作されたとする。この場合、ディスプレイ524に表示されている表示情報のネットワーク上における所在を示すURLを、IP電話端末4の発信等処理部がINVITEメッセージに含めて、目的とする相手先に対して発信し、当該URLを相手先に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、Webページ等のネットワーク上に開示された情報を閲覧しながら目的とする相手先に電話をかける場合に用いる装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子メールは、連絡手段の1つとして、個人でも、また、仕事でも広く用いられているが、通信ネットワークに接続可能なパーソナルコンピュータや携帯電話端末などを用いて受信者が能動的に閲覧するようにしなければ見ることができない。このため、確実に相手先に通知すべき情報については、電子メールだけでなく、電話でも連絡することがビジネスマナーにもなっている。
【0003】
そして、電子メールの相手先に電話をかけるときには、相手先の電話番号を例えば電話機に登録されている電話帳データなどを参照するなどして調べて、当該相手先に電話をかけるようにしている。このように、従来は、電子メールによる通信と電話による通信とは、各々独立したシステムや装置によって行われおり、電子メールによる通信と電話による通信の連携を取ることができるようにすることが要請されていた。
【0004】
特許文献1には、メールアドレスと電話番号を対応付けて記憶し、着信した電子メールのメールアドレスから電話番号を自動発信して通話したり、電話番号からメールアドレスを自動発信して電子メールを送信したりする発明が開示されている。当該発明は、ボタン電話機とパーソナルコンピュータとを備えたものであり、電子メールによる通信と電話による通信とを連携させる1つの技術として有効なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−325128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の発明の場合には、電子メールを送信した相手先に対して、比較的に簡単に電話をかけることができる点において有効なものである。しかし、先に送信した電子メールの内容を相手に再度見て確認してもらいたい場合もある。また、インターネット上に提供されている情報を、電話の発信元と電話の着信先との双方において見ながら話しをしたいといった場合もある。このような場合には、先に送信した電子メールの表示を電話での通話の中で要請したり、目的とするWebページのURL(Uniform Resource Locator)を電話での通話の中で伝え、閲覧することを要請したりすることが行われる。
【0007】
しかしながら、先に送信した電子メールの表示を要請する場合、いつ送信したどのような内容のものかなどの電子メールの詳細を伝えないと、相手先においてなかなか目的とする電子メールが見つけだせない場合がある。また、URLを伝える場合でも、URL自体が長く、正確に伝えるのに時間がかかったり、相手先に手間を取らせたりする場合もある。このため、閲覧を要求する表示情報の所在を、通話時の音声による通知ではなく、確実かつ簡単に相手先に通知できるようにすることが望まれている。
【0008】
以上のことに鑑み、この発明は、電話による通話時に閲覧を要求する表示情報の所在を、確実かつ簡単に通知し、通知先において当該表示情報を簡単に利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の電話通信端末は、
表示手段と、
前記表示手段への表示情報の表示処理を制御する表示制御手段と、
ユーザからの発信操作を受け付ける受付手段と、
前記表示手段にネットワーク上に格納するようにされている表示情報が、前記表示制御手段によって表示されているときに、前記受付手段を通じて発信操作を受け付けた場合に、前記表示情報の前記ネットワーク上における所在を示す情報を、発信メッセージに含めて通信の相手先に対する発信を行う発信処理手段と
を備えることを特徴とする。
【0010】
この請求項1に記載の発明の電話通信端末によれば、ネットワーク上に格納するようにされている例えば電子メールやWebページ等の表示情報が、表示制御手段によって表示手段に表示されている場合に、受付手段が発信操作を受け付けたとする。この場合、表示手段に表示されている表示情報のネットワーク上における所在を示す情報が、発信処理手段により発信メッセージに含められて、目的とする通信の相手先に対して発信するようにされる。
【0011】
これにより、通信の相手先においては、自機への着信と同時に、表示すべき表示情報の所在を正確に知ることができる。したがって、着信先においては、着信に応答する前、あるいは、着信に応答した直後など、適宜のタイミングで目的とする表示情報をネットワーク上から取得して表示するようにし、通話中に簡単に見ることができるようにされる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、電話による例えば発信時において、閲覧を要求する表示情報の所在を確実かつ簡単に相手先に通知することができる。これにより、着信先においては発信元が目的とする表示情報を簡単に取得して表示し、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態の電話システムの概要を説明するためのブロック図である。
【図2】IP電話端末4と携帯電話端末5との連携の概要について説明するための図である。
【図3】SIPサーバ1の構成例を説明するためのブロック図である。
【図4】アドレス管理DB106に形成される管理情報(データベース)の構成例について説明するための図である。
【図5】IP電話端末4の構成例を説明するためのブロック図である。
【図6】携帯電話端末5の構成例を説明するためのブロック図である。
【図7】Webサービスサーバ8を利用したIP電話端末4A側からIP電話端末4B側に電話をかける場合の処理の一例を説明するためのシーケンス図である。
【図8】図7に続くシーケンス図である。
【図9】発信元の携帯電話端末5Aの発信時の表示例と着信先の携帯電話端末5Bの着信時の表示例を説明するための図である。
【図10】IP電話端末4AとIP電話端末4Bとを通じて通話中に、携帯電話端末5A、5Bの表示情報が変更された場合の処理を説明するためのシーケンス図である。
【図11】通信の履歴情報の表示と発信処理について説明するためのシーケンス図である。
【図12】携帯電話端末5のディスプレイに表示される通信履歴情報(発着信履歴情報および関連メール履歴情報)の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながら、この発明による装置、プログラムの一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、例えば、事業所内に形成されるボタン電話システムであって、IP(Internet Protocol)網を通じても電話通信を行うことができるIP電話システムに、この発明を適用した場合を例にして説明する。
【0015】
[電話システムの概要]
図1は、この実施の形態の電話システムの概要を説明するためのブロック図である。図1に示すように、例えば、事業所A、Bなどというように、異なる場所のそれぞれに対応して電話システムA、Bが構成されている。電話システムAは、SIPサーバ1Aに対してLAN(Local Area Network)2Aを通じ、複数のIP電話端末4A(1)、…、4A(n)が接続されて構成される。IP電話端末4A(1)、…、4A(n)のそれぞれには、携帯電話端末5A(1)、…、5A(n)が接続可能にされている。同様に、電話システムBは、SIPサーバ1Bに対してLAN2Bを通じ、複数のIP電話端末4B(1)、…、4B(n)が接続されて構成される。IP電話端末4B(1)、…、4B(n)のそれぞれには、携帯電話端末5B(1)、…、5B(n)が接続可能にされている。
【0016】
そして、以下に説明する実施の形態において、IP電話端末4A(1)、…、4A(n)、4B(1)、…、4B(n)のそれぞれが、電話機能を実現するベースとなるベース装置として位置付けられるものである。また携帯電話端末5A(1)、…、5A(n)、5B(1)、…、5B(n)のそれぞれが、電子メール情報やWebページ等を表示する表示装置として位置付けられるものである。
【0017】
なお、この明細書において、4A(n)、4B(n)などの括弧内の添え字「n」は2以上の整数を意味する。また、以下においては、図1に示したように、対応するIP電話端末と携帯電話端末とは、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格のインターフェースケーブルにより接続可能にされているものである。
【0018】
そして、SIPサーバ1A、1Bは、図1に示したように、ネットワーク6に接続され、通信路(通信回線)を接続する端末間のアドレス解決をするものである。つまり、SIPサーバ1A、1Bは、レジストラ・サーバ機能とプロキシ・サーバ機能とを備え、これらの機能を用いることによって、LAN2A、2Bに接続された同一電話システム内の機器との間や、LAN2A、2Bに接続された機器とネットワーク6に接続するようにされた他の機器との間に、通信路を接続することができるようにするものである。したがって、電話システムAのIP電話端末4A(1)等と、電話システムB内のIP電話端末4B(1)等は、それぞれの電話システムのSIPサーバ1A、1Bおよびネットワーク6を通じて通信路を接続し、通話を行うことができるようにされる。
【0019】
ネットワーク6は、IP(Internet Protocol)を用いて通信を行うネットワークであるインターネットや種々の公衆交換電話網を含む広域ネットワークである。なお、公衆交換電話網は、アナログ方式の公衆交換電話網(PSTN(Public Switched Telephone Network))、デジタル回線網(ISDN(Integrated Services Digital Network))、3G回線などと呼ばれる第3世代の高速携帯電話ネットワーク(携帯電話網)などを含む。
【0020】
IP電話端末4A(1)、…、4A(n)、4B(1)、…、4B(n)のそれぞれは、通話を行うためにユーザによって用いられる通信端末である。IP電話端末4A(1)、…、4A(n)、4B(1)、…、4B(n)のそれぞれは、LAN2A、2Bに接続された同一電話システム内のIP電話端末との間の内線通話と、ネットワーク6に接続された外部の電話端末との間の外線通話とを行うことができるものである。
【0021】
携帯電話端末5A(1)、…、5A(n)、5B(1)、…、5B(n)、5C(1)は、例えば、図1において、携帯電話端末5C(1)が示すように、近隣の基地局9(n)および携帯電話網を通じて通信路を接続して通話を行うことができるものである。また、携帯電話端末5A(1)、…、5A(n)、5B(1)、…、5B(n)、5C(1)は、携帯電話網を通じてインターネットに接続し、Webページの閲覧、種々の情報のダウンロードやアップロード、また、電子メールの送受信が可能なものである。この実施の形態において、携帯電話端末5A(1)、…、5A(n)、5B(1)、…、5B(n)、5C(1)は、電子メールの送受やWebページの閲覧などを行うネットワーク機能や個人情報管理に優れたいわゆるスマートフォンなどと呼ばれる高機能のものである。
【0022】
そして、図1において、IP電話端末4A(1)と携帯電話端末5A(1)とが接続されているように、IP電話端末と携帯電話端末とはUSBケーブルを用いて接続し、相互に種々のデータの送受を行うことができるようにしている。これにより、IP電話端末と携帯電話端末とが連携することができるようにしている。
【0023】
また、ネットワーク6に接続されたWebサービスサーバ8は、この実施の形態においては、ユーザから提供される電子メール情報などを蓄積すると共に、蓄積した情報の蓄積場所(所在)を示すURLを発行する。そして、当該URLを用いてアクセスしてきたユーザに対して、当該URLで示される蓄積場所に蓄積されている情報を提供するサービスを行う。このように、Webサービスサーバ8は、いわゆる情報の共有サービスを提供するものである。
【0024】
なお、この実施の形態において、IP電話端末4A(1)、…、4A(n)、4B(1)、…、4B(n)のそれぞれは、同様に構成されるものである。このため、以下においては、特に区別して示す場合を除き、IP電話端末4A(1)、…、4A(n)、4B(1)、…、4B(n)を総称して、IP電話端末4、あるいは、IP電話端末4A、4Bという。また、携帯電話端末5A(1)、…、5A(n)、5B(1)、…、5B(n)、5C(1)のそれぞれは、同様に構成されるものである。このため、以下においては、特に区別して示す場合を除き、携帯電話端末5A(1)、…、5A(n)、5B(1)、…、5B(n)、5C(1)を総称して、携帯電話端末5、あるいは、携帯電話端末5A、5B、5Cという。また、特に区別して示す場合を除き、LAN2A、2Bを総称して、LAN2という。
【0025】
そして、この実施の形態においては、例えば、電話システムAのIP電話端末4Aのユーザが、電話システムBのIP電話端末4Bに電話をかける場合に、通話時に参照するようにしたい電子メール情報などがあったとする。この場合に、発信元のIP電話端末4Aのユーザは、自己の携帯電話端末5Aを用いて、Webサービスサーバ8にアクセスし、目的とする電子メール情報などをアップロードし、当該情報の蓄積場所(所在)を示すURLの提供を受ける。
【0026】
そして、図1に示したように、IP電話端末4Aと携帯電話端末5AとがUSBケーブルを通じて接続され、携帯電話端末5Aの表示画面にアップロードした電子メール情報などが表示されているときに、IP電話端末4Aに対して発信操作が行われたとする。この場合に、この実施の形態のIP電話端末4Aは、携帯電話端末5Aと協働し、携帯電話端末5Aの表示画面に表示中の電子メール情報などの提供先となるべき相手先に対して自動的に電話をかけることができるようにされる。この場合に、当該IP電話端末4Aは、携帯電話端末5Aと協働して、表示中の電子メール情報などの格納先を示すURLについても送信し、着信先において応答前に当該URLを表示画面に表示して見ることができるようにされる。
【0027】
図2は、IP電話端末4と携帯電話端末5との連携の概要について説明するための図である。図2Aに示すように、IP電話端末4に対しては、外部端子411及びUSBケーブル10を通じて携帯電話端末5が接続されている状態にある。そして、IP電話端末4に接続された携帯電話端末5のディスプレイ524の表示画面には、Webサービスサーバ8にアップロードした情報であって、送信元と送信先の電子メールアドレス、件名、本文といった種々の情報を含む電子メール情報が表示されている。
【0028】
この状態にあるときに、図2Bに示すように、IP電話端末4のハンドセット440をIP電話端末4の本体から取り上げると、フックスイッチSWはオン状態からオフ状態に遷移し、IP電話端末4はオフフック状態(回線接続状態)になる。このオフフック状態にされた場合を、IP電話端末4は発信操作が行われたと判別し、自機に接続されている携帯電話端末5のディスプレイ524の表示画面に表示されている電子メール情報の相手先に対して、自動的に発信して電話をかけることができるようにしている。
【0029】
この場合、IP電話端末4は、オフフック操作されると、オフフック操作されたことを携帯電話端末5に通知する。携帯電話端末5は、オフフック操作されたことの通知を受けると、電話をかける相手先を特定して、その電話番号を取得し、この取得した電話番号と共に、表示中の電子メール情報の格納場所を示すURLをIP電話端末4に提供する。
【0030】
この場合に電話をかける相手先は、携帯電話端末5に表示されている電子メール情報に含まれる電子メールアドレスの内、当該携帯電話端末5のユーザの電子メールアドレス以外の電子メールアドレスにより特定される相手先となる。このような電話をかける相手先の特定(区別)は、簡単には、電子メール情報に含まれる電子メールアドレスと携帯電話端末5に予め登録されている自機のユーザの電子メールアドレスとの比較に基づいて行うことができる。
【0031】
そして、携帯電話端末5は、電話をかける相手先の電子メールアドレスに基づいて、携帯電話端末5のメモリに形成された少なくとも電子メールアドレスと電話番号とを対応付けた電話帳データを参照し、相手先の電話番号を特定する。この特定した電話番号の相手先に対して、IP電話端末4は、INVITEメッセージ(発信要求)を形成して発信する。この時、さらにIP電話端末4は、当該INVITEメッセージの中のヘッダの情報の1つとして定義されているユーザインフォメーション(USER INFO)やアラートインフォメーション(ALART INFO)に携帯電話端末5から提供されたURLを記載する。
【0032】
当該INVITEメッセージを受信する着信側の電話端末においては、当該INVITEメッセージのユーザインフォメーション(USER INFO)やアラートインフォメーション(ALART INFO)に記載された情報を自機の表示画面に表示する。これにより、着信側の電話端末のユーザは、応答操作前であっても、発信元が参照して欲しい情報が存在することを認識することができる。そして、着信側の電話端末のユーザは、自己の携帯電話端末などを通じてWebサービスサーバ8にアクセスし、通知されたURLを用いて目的とする電子メール情報を閲覧することができる。
【0033】
このように、この実施の形態の電話システムにおいては、携帯電話端末5を通じてWebサービスサーバ8の提供する情報共有サービスの提供を受けることができるようにされる。そして、IP電話端末4のハンドセット440を持ち上げてオフフック状態にするといった直感的で簡単な操作を契機として、表示している電子メール情報等を提供したい相手先に電話をかけることができる。さらに、表示している電子メール情報等の所在を示すURLを発信元から着信側に提供し、着信側の電話端末等において提供された情報に基づき、当該電子メール情報等を表示して閲覧することができるようにしている。
【0034】
なお、ここではハンドセット440を持ち上げるオフフック操作を発信操作として説明したが、これに限るものではなく、発信キーの押下操作など、所定の操作を行った場合に発信操作が行われたと判別することももちろん可能である。以下、この実施の形態の電話システムを構成する各機器について説明した後に、当該電話システムにおいて、電話システムAのIP電話端末4Aから電話システムBのIP電話端末4Bに電話をかける場合を例にして、電話をかける場合の動作(処理)の具体例について説明する。
【0035】
[SIPサーバ1の構成例]
まず、この実施の形態の電話システムA、Bで用いられるSIPサーバ1の構成について説明する。図3は、SIPサーバ1の構成例を説明するためのブロック図である。図3に示すように、SIPサーバ1は、ネットワーク6に含まれるIP網への接続端子101と、IP網インターフェース(以下、IP網I/Fと略称する。)102と、パケット分解/生成部103とを備えている。また、SIPサーバ1は、電話網インターフェース(以下、電話網I/Fと略称する。)104と、ネットワーク6に含まれる公衆交換電話網(以下、単に電話網という。)への接続端子105と、アドレス管理データベース(以下、アドレス管理DBと略称する。)106とを備えている。さらに、SIPサーバ1は、LANインターフェース(以下、LANI/Fと略称する。)107と、LAN2への接続端子108と、制御部110とを備えている。
【0036】
制御部110は、この実施の形態のSIPサーバ1の各部を制御するものであり、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113がシステムバス114を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。ここで、CPU111は、ROM112に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM112は、上述のように、CPU111で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。
【0037】
また、RAM113は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。なお、図示しないが、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリーなどのいわゆる不揮発性メモリを備え、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
【0038】
接続端子101は、ネットワーク6の内のIP網への接続端部を構成するものである。IP網I/F102は、IP網を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部110に供給する。また、IP網I/F102は、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをIP網に送出する。
【0039】
接続端子105は、ネットワーク6の内の電話網への接続端部を構成するものである。電話網I/F104は、電話網を通じて供給されるデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部110に供給する。また、電話網I/F104は、制御部110を通じて供給される送信すべきデータを送信用の形式のデータに変換して、これを電話網に送出する。
【0040】
接続端子108はLAN2への接続端部を構成するものである。LANI/F107は、LAN2を通じて供給されるパケットを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のパケットに変換して制御部110に供給する。また、LANI/F107は、制御部110を通じて供給される送信すべきパケットを送信用の形式のパケットに変換して、これをLAN2に送出する。
【0041】
パケット分解/生成部103は、パケットの分解や生成を行うものであり、主に、電話網に接続された端末装置とSIPサーバ1の配下のIP電話端末4との間で通話を行う場合に、送受するデータのパケットの分解や生成を行う。具体的には、LAN2を通じてSIPサーバ1に接続されたIP電話端末4等からの電話網に接続された端末装置に送信すべきパケットが、接続端子108、LANI/F107を通じて制御部110に供給される。当該パケットは、制御部110からパケット分解/生成部103に供給され、ここでパケット分解された後に、電話網I/F104、接続端子105を通じて電話網に送出され、目的とする相手先に送信される。
【0042】
また、電話網に接続された端末装置からのLAN2を通じてSIPサーバ1に接続されたIP電話端末4等へのデータは、接続端子105、電話網I/F104を通じて制御部110に供給される。当該データは、制御部110からパケット分解/生成部103に供給され、ここで所定の形式のパケットとされた後に、LANI/F107、接続端子108を通じて、LAN2に送出されて目的とするIP電話端末4等に送信される。
【0043】
なお、IP網に接続された端末と、SIPサーバ1にLAN2を通じて接続されるIP電話端末4等との間では、パケットが送受される。このため、パケット分解/生成部103において、パケットの分解や生成は行われることはなく、IP網I/F102、LANI/F107において、データ形式が整えられてそのまま送受される。同様に、SIPサーバ1にLAN2を通じて接続されるIP電話端末4間においても、パケットが送受されるため、パケット分解/生成部103において、パケットの分解や生成は行われることはなく、LANI/F107を通じてパケットが送受される。
【0044】
そして、アドレス管理DB106は、レジストラ・サーバ機能を実現するために、IP網やLAN2に接続され、このSIPサーバ1を通じて呼び出す可能性のある端末装置についてのアドレス情報を記憶保持するものである。具体的には、SIPサーバ1の制御部110は、IP網I/F102やLANI/F107を通じて、これらに接続されている種々の端末装置からの登録要求(レジスタ・リクエスト)を受信する。この場合に、制御部110は、受信した要求に含まれるURI(Uniform Resource Identifier)やIPアドレスなどのアドレス情報を抽出する。そして、制御部110は、抽出したアドレス情報をアドレス管理DB106に登録したり、抽出したアドレス情報を用いてアドレス管理DB106の登録情報を更新したりする。
【0045】
このようにして、アドレス管理DB106に登録されて管理される情報が参照され、自機にLAN2を通じて接続されるIP電話端末4などから要求のあった通信先を確実に特定する。そして、その特定した相手先に送信すべき情報(パケットデータ)を転送するようにするプロキシ・サーバとしての機能をSIPサーバ1が実現する。また、アドレス管理DB106に登録されて管理される情報は、自機にLAN2を通じて接続されるIP電話端末4などへの着信の判別などにも用いられる。
【0046】
図4は、アドレス管理DB106に形成される管理情報(データベース)の構成例について説明するための図である。SIPサーバ1のアドレス管理DB106は、IP網に接続された他のIP電話システムの端末装置のアドレス情報の他、当該SIPサーバ1にLAN接続されたIP電話端末4などについてのアドレス情報をも管理する。
【0047】
基本的にSIPサーバ1のアドレス管理DB106に形成される管理情報は、上述もしたように、IP網に接続された端末装置から送信されてくるURI(SIP URI)と、IPアドレスである。そして、この実施の形態のSIPサーバ1のアドレス管理DB106では、図3に示したように、SIPサーバ1にLAN接続されたIP電話端末4については、URIとIPアドレスの他、MAC(Media Access Control)アドレスと内線番号についても管理する。
【0048】
そして、この実施の形態の電話システムのIP電話端末4からIP網に接続された端末装置に対する発信要求(発呼要求)をSIPサーバ1が受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、自己のアドレス管理DB106の管理情報に基づいて、目的とする相手先の端末装置を特定し、この特定した端末装置に対して、メッセージの転送を行う。また、IP網や電話網などのネットワーク6を通じて、LAN2に接続されているIP電話端末4に対する着信要求(外線着信)をSIPサーバ1が受け付けたとする。この場合、SIPサーバ1の制御部110は、送信されてきたメッセージを受け付けて、これを自システム内に送出する。
【0049】
なお、外線着信であっても、例えば個別着信(着信先のIP電話端末を特定した着信)や、SIPサーバ1にLAN接続されたIP電話端末間の内線の発着信の場合には、SIPサーバ1は相手先を特定して着信を通知する。すなわち、この場合、SIPサーバ1の制御部110は、自己のアドレス管理DB106の管理情報に基づいて、目的とする相手先のIP電話端末4を特定し、この特定したIP電話端末4に対して、メッセージの転送を行う。
【0050】
また、発信に際して、IP電話番号が用いられる場合には、図1には図示しなかったが、IP網に接続されているゲートウェイやDNS(Domain Name System)が利用されて、IP電話番号からURIなどが検索されて用いられることになる。相手先から、この実施の形態の電話システムを構成するIP電話端末4に対して、IP電話番号を用いて電話をかける場合においても同様に、IP網に接続されているゲートウェイやDNSが利用されて、IP電話番号からURIなどが検索されて用いられる。
【0051】
このように、この実施の形態のSIPサーバ1は、パケット分解/生成部103やアドレス管理DB106を備え、SIPサーバ1が接続される種々のネットワークに接続される端末間のメッセージの中継を行うことができるものである。したがって、この実施の形態のSIPサーバ1は、外線−内線間の接続や内線間の接続を行ったり、通信回線の使用状況を配下のIP電話端末4に通知したりすることができるものである。
【0052】
また、制御部110は、IP網I/F102、電話網I/F104、LANI/F107を通じて、使用中の通信回線や空いている通信回線を把握し、適切に回線交換を行うこともできるようにしている。また、制御部110は、把握した通信回線の使用状態等に応じて、LAN2を通じて接続されるIP電話端末4毎に供給すべきLED等の点灯、消灯を制御するための制御情報を形成する。当該制御情報は、LANI/F107、接続端子108を通じてLAN2に送出され、各IP電話端末4等に送信される。
【0053】
なお、図3において、パケット分解/生成部103は、独立した回路部分として示しているが、これに限るものではない。パケット分解/生成部103は、制御部110において実行されるプログラムにより、制御部110の機能として実現することももちろん可能である。
【0054】
[IP電話端末4の構成例]
次に、この実施の形態の電話システムで用いられるIP電話端末4の構成について説明する。図5は、この実施の形態の電話システムのIP電話端末4の構成例を説明するためのブロック図である。
【0055】
この実施の形態のIP電話端末4は、図5に示すように、主に電話機能を実現する部分として、LAN接続端子401、LANI/F402、パケット処理部403、通話音声入出力インターフェース(以下、通話音声入出力I/Fという。)404、ハンドセット接続端子405、オンフック/オフフック検出部406、ハンドセット440、リンガ407、操作入力部408、操作入力インターフェース(以下、操作入力I/Fという。)409、電話帳メモリ410、ディスプレイコントローラ415、ディスプレイ416を備えている。
【0056】
また、IP電話端末4は、外部機器を接続するための部分として、図5に示すように、外部端子411、外部インターフェース(以下、外部I/Fと略称する。)412、充電電流供給回路413、ACコンセント414を備えている。さらに、IP電話端末4は、自機に接続された携帯電話端末5との連携を実現する部分として、発信等処理部421、端末表示制御部422を備えると共に、当該IP電話端末4の各部を制御する制御部430を備えている。
【0057】
制御部430は、CPU431、ROM432、RAM433、EEPROM434が、CPUバス435を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。ここで、CPU431は、ROM432に記憶保持されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成してこれを各部に供給したり、また、各部から供給されるデータを処理したりするものである。ROM432は、上述のように、CPU431で実行される種々のプログラムや処理に必要になる各種のデータが記憶保持されたものである。
【0058】
また、RAM433は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、EEPROM434は、いわゆる不揮発性メモリであり、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどを記憶保持する。
【0059】
[着信時の動作]
そして、LAN2を介して送信されてくるパケットデータは、LAN接続端子401を通じてLANI/F402に供給され、ここで自機において処理可能な形式のデータに変換された後、CPUバス435を介して、パケット処理部403に供給される。パケット処理部403は、これに供給されたパケットデータに含まれる制御データや音声データを分解して抽出する。ここで抽出された制御データは制御部430に供給され、自機の制御に用いられる。また、自機(自端末)宛の音声データが含まれていた場合には、当該音声データは、CPUバス435を通じて通話音声入出力I/F404に供給されることになる。
【0060】
パケット処理部403において分解されて抽出された制御データが、自機への呼び出しメッセージである場合には、制御部430は、リンガ407を制御して、着信鳴動させる。同時に、制御部430は、ディスプレイコントローラ415を制御し、ディスプレイ416の表示画面に自機に着信があることを通知するメッセージや発信元の電話番号や名前あるいは発信元の内線番号などを表示する。
【0061】
そして、自機への着信に応じて、ユーザがハンドセット440をIP電話端末4の本体から持ち上げると、オンフック/オフフック検出部406により、フックスイッチSWがオフになったことが検出され、これが制御部430に通知される。これにより、制御部430は各部を制御し、当該IP電話端末4をオフフック状態に遷移させる。この場合、制御部430は、着信に応答するメッセージを形成し、これをパケット処理部403においてパケット化して、LANI/F402に供給する。LANI/F402は、当該パケットデータを送信用のパケットデータに変換し、これをLAN接続端子401を通じてLAN2に送出し、発呼先の端末に送信するようにする。
【0062】
これにより、上述したSIPサーバ1を通じて発信元との間に通信路が生成され、通話が開始される。この場合、相手先からの音声データを含むパケットは、上述したように、LAN接続端子401、LANI/F402を通じてパケット処理部403に供給され、ここで分解されて、制御データは制御部430へ、音声データは通話音声入出力I/F404に供給される。
【0063】
通話音声入出力I/F404は、パケット処理部403からの音声データから自機のハンドセット440のスピーカ(受話器)に供給するアナログ音声信号を形成し、これをハンドセット接続端子405を通じてハンドセット440のスピーカに供給する。これにより、相手先から送信されてくる相手先の音声が、ハンドセット440のスピーカ(受話器)から放音される。
【0064】
一方、ハンドセット440のマイクロホン(送話器)によって集音された音声は、ここで電気信号に変換され、ハンドセット接続端子405を通じて通話音声入出力I/F404に供給される。通話音声入出力I/F404は、ハンドセット440からの音声データをデジタル信号に変換するなどの処理を行って、これをパケット処理部403に供給する。パケット処理部403は、通話音声入出力I/F404からの音声データを含む相手先への送信用のパケットを形成し、これをLANI/F402、LAN接続端子401を通じてLAN2に送出し、通信の相手先に送信する。このようにして、IP電話端末4は、自機への着信に応答し、発呼先との間で通信路を生成して通話を行うことができる。
【0065】
[発呼時の動作]
次に、当該IP電話端末4から電話をかける場合(発信(発呼)する場合)の処理について説明する。IP電話端末4から発信する場合には、まず、ハンドセット440をIP電話端末4の本体から持ち上げると、オンフック/オフフック検出部406により、フックスイッチSWがオフになったことが検出され、これが制御部430に通知される。これにより、制御部430は各部を制御し、当該IP電話端末4をオフフック状態に遷移させる。この場合、制御部430は、まず回線を確保し、操作入力部408および操作入力I/F409を通じて通信の相手先の電話番号、あるいは、内線番号の入力を受け付ける。
【0066】
この場合、制御部430は、発呼メッセージを形成し、これをパケット処理部403に供給する。パケット処理部403は、自機からの発呼メッセージをパケット化し、これをLANI/F402、LAN接続端子401を通じてLAN2に送出し、SIPサーバ1を通じて目的とする通信の相手先に送信するようにする。
【0067】
この後、目的とする相手先からの応答が返信されてきた場合に制御部430は通信路を生成する。これにより、LAN接続端子401、LANI/F402、パケット処理部403、通話音声入出力I/F404、ハンドセット接続端子405、ハンドセット440からなる通話系の機能により通話を行うことができるようにされる。このように、IP電話端末4は、自機から目的とする端末に発信して、相手先との間に通信路を接続して通話を行うこともできる。
【0068】
また、電話帳メモリ410には、通信の相手先(電話をかけたり、電話がかかってきたりする可能性のある相手先)の電話番号や名前が電話帳データとして登録される。これにより、電話帳メモリ410に登録されている電話帳データから目的とする相手先の電話帳データを選択することにより、当該電話帳データの電話番号を用いて、電話をかけることもできるようにされる。
【0069】
すなわち、携帯電話端末の場合と同様に、電話番号をいちいち入力することなく、電話帳メモリ410に登録済みの電話帳データを用いて電話をかけることもできるようにされる。また、当該電話帳データを用いて、自機への着信時に通知される発信元の電話番号に基づいて、発信元の名前を特定して表示するなどのこともできるようにされる。なお、電話帳メモリ410には、相手先の名前(名称)、電話番号、電子メールアドレス、住所、所属先(会社名、部署名等)、備考などの必要とされる種々の情報を登録することもできる。
【0070】
そして、外部端子411が、外部機器である携帯電話端末5との接続端部を構成するものであり、データ端子と充電端子とを有するものである。このため、図5に示したように、外部端子411には、外部I/F412と、充電電流供給回路413とが接続されている。外部端子411に携帯電話端末5などの外部機器が接続されると、外部I/F412は、当該携帯電話端末5との間で接続時の信号のやり取りをすることにより、携帯電話端末5が接続されたことを検知し、これを制御部430に通知する。これにより、制御部430は、外部端子411を通じて自機に携帯電話端末5が接続されたことを認識することができる。
【0071】
また、外部I/F412は、外部端子411を通じて供給される携帯電話端末5からのデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部430に供給する。さらに、外部I/F412は、外部端子411に接続された携帯電話端末5に供給する制御部430からのデータを出力用の所定の形式のデータに変換して、これを、外部端子411を通じて出力する。
【0072】
充電電流供給回路413は、ACコンセント414から送られてくる商用交流電圧から直流の充電電流を生成する。そして、充電電流供給回路413は、外部I/F412からの携帯電話端末5がIP電話端末4に接続されたことの検知通知に基づく制御部430の制御により駆動状態に制御されて、充電電流を、外部端子を通じて携帯電話端末5に供給する。
【0073】
このように、この実施の形態のIP電話端末4は、外部端子411を通じて携帯電話端末5などの外部機器の接続を可能にし、接続された外部機器との間で情報の送受を行うことができると共に、外部機器に対して電力の供給をも行うことができる。外部機器は、外部端子411を通じて供給されるIP電話端末4からの電力を充電電力として用いたり、駆動電力として用いたりすることができる。なお、外部端子411、外部I/F412、充電電流供給回路413からなる部分は、USB規格に準拠したものである。
【0074】
そして、この実施の形態のIP電話端末4は、外部端子411を通じて接続される携帯電話端末5と協働するための部分として、発信等処理部421と、端末表示制御部422とを備える。発信等処理部421は、主に、自機に接続された携帯電話端末5から提供される電話番号に基づいて発信メッセージ(INVITEメッセージ)を形成して発信処理を行う部分である。
【0075】
また、発信等処理部421は、携帯電話端末5から提供される携帯電話端末5において表示中の電子メール情報の所在を示すURLの提供を受けて、これをINVITEメッセージのユーザインフォメーションやアラートインフォメーションに記載することができるものである。また、端末表示制御部422は、自機に外部端子411を通じて接続されている携帯電話端末5のディスプレイ524への情報の表示を制御するようにするためのものである。これら発信等処理部421と端末表示制御部422とにより、自機に外部端子411を通じて接続されている携帯電話端末5との連携を図ることができるようにしている。
【0076】
また、図5において、二重線で示したパケット処理部403、発信等処理部421、端末表示制御部422のそれぞれは、独立した回路部分として示しているが、これに限るものではない。これらの各部の機能は、制御部430において実行されるプログラムにより、制御部430の機能として実現することも可能である。
【0077】
[携帯電話端末5の構成例]
次に、この実施の形態の電話システムで用いられる携帯電話端末5の構成について説明する。図6は、この実施の形態の電話システムの携帯電話端末5の構成例を説明するためのブロック図である。
【0078】
図6に示すように、この実施の形態の携帯電話端末5は、無線通信処理系として、送受信アンテナ501、電話通信部502、送受信信号処理部503、通話音声処理部504を備えている。通話音声処理部504には、受話アンプ505を通じて受話器(スピーカ)506が接続され、また、送話器(マイクロホン)507が、送話アンプ508を通じて接続されている。
【0079】
また、携帯電話端末5は、電話帳メモリ510を備えると共に、自機が接続されたIP電話端末4との連携を実現する部分として、情報通知処理部511および表示情報処理部512を備えている。また、携帯電話端末5は、ユーザインターフェースを構成する部分として、操作入力部521、操作入力I/F522、ディスプレイコントローラ523、ディスプレイ524、リンガ525を備えている。なお、図示しないが、携帯電話端末5には、着信などを通知するためのバイブレータなども設けられている。さらに、携帯電話端末5は、外部端子531、外部I/F532、充電回路533、バッテリ534を備えると共に、携帯電話端末5の各部を制御する制御部540を備えている。
【0080】
制御部540は、CPU541、ROM542、RAM543、EEPROM544が、CPUバス545を通じて接続されて形成されたマイクロコンピュータである。ここで、CPU541は、ROM542に記憶されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成して、これを各部に供給したり、各部から送信されてくるデータを受け付けて、これに応じた処理を実行したりする。ROM542は、CPU541において実行されるプログラムや処理に必要になる種々のデータが予め記録されたものである。
【0081】
また、RAM543は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、EEPROM544は、いわゆる不揮発性メモリであり、携帯電話端末5の電源を落としても保持しておくべきデータ等が記憶保持される。EEPROM544には、例えば、種々の設定パラメータ、アプリケーションプログラムや機能アップのための追加プログラムなどが記憶保持される。
【0082】
送受信アンテナ501は、携帯電話網との間でデータを送受する端部である。電話通信部502は、携帯電話網の基地局を通じて相手と通信をするためのものである。送受信信号処理部503は、制御部540の制御の下、電話通信部502を通じて受信した通信情報を解析して、呼制御メッセージや通話信号をデコードし、制御部540に供給すると共に、電話通信部502を通じて送信する送信信号を生成する。
【0083】
通話音声処理部504は、制御部540の制御の下、送受信信号処理部503からの受話音声情報を、デジタル信号からアナログ信号に変換し、受話アンプ505に供給する。受話アンプ505に供給された受話音声信号は、ここで増幅された後に受話器506に供給されて音響再生される。通話音声処理部504は、また、送話器507で収音され、送話アンプ508で増幅された送話音声信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換して、制御部540の制御の下、送受信信号処理部503に供給する。そして、上述したように、送受信信号処理部503は、通話音声処理部504からのデジタル化された送話音声信号から送信する送信信号を生成し、これを電話通信部502に供給して送信するようにする。
【0084】
操作入力部521は、数字キー、オフフックキー、オンフックキー、その他の各種のファンクションキー等が設けられ、ユーザからの操作入力を受け付ける部分である。操作入力部521を通じて受け付けられたユーザからの操作入力は、操作入力I/F522において電気信号に変換されて、制御部540に通知される。これにより、制御部540が操作入力I/F522からの信号に応じて各部を制御することにより、ユーザの指示に応じて処理を行うことができるようにされる。
【0085】
ディスプレイコントローラ523は、制御部540の制御に応じてディスプレイ524に情報を表示するための表示用信号を形成し、これをディスプレイ524に供給する。これによりディスプレイ524には、種々の情報が表示される。例えば、着信時においては、発信元の電話番号や名前、発信時においては、後述する電話帳メモリ510に登録されている電話帳データ等が表示される。この他、待ち受け時においては、所定の待ち受け画面をディスプレイ524に表示したり、各種のエラーメッセージやガイダンスメッセージなども表示したりすることもできるようにされる。
【0086】
外部端子531は、IP電話端末4との接続端部を構成するものであり、データ端子と充電端子とを有するものである。このため、図6に示したように、外部端子531には、外部I/F532と、充電回路533とが接続されている。
【0087】
外部I/F532は、外部端子531を通じて接続されたIP電話端末4との間でデータを送受するためのものである。外部端子531にIP電話端末4が接続されると、外部I/F532は、当該IP電話端末4との間で接続時の信号のやり取りをすることにより、IP電話端末4に接続されたことを検知し、制御部540に通知する。これにより、制御部540は、外部端子531を通じて自機がIP電話端末4に接続されたことを認識することができる。
【0088】
また、外部I/F532は、外部端子531を通じて供給されるIP電話端末4からのデータを受け付けて、これを自機において処理可能な形式のデータに変換して制御部540に供給する。また、外部I/F532は、外部端子531に接続されたIP電話端末4に供給する制御部540からのデータを出力用の所定の形式のデータに変換して、これを外部端子531を通じて出力する。
【0089】
充電回路533は、外部端子531の充電端子を通じてIP電話端末4から送られてくる充電電流からバッテリに供給する電流を生成する。そして、充電回路533は、外部I/F532からのIP電話端末4に接続されたことの検知通知に基づく制御部540の制御により駆動状態に制御されて、充電用に生成した電流をバッテリ534に供給する。これにより携帯電話端末5のバッテリ534の充電が行われる。これら外部端子531、外部I/F532、充電回路533からなる部分は、USB規格に準拠したものである。また、IP電話端末4からの電流を駆動電流として用いるようにすることもできる。
【0090】
また、携帯電話端末5は電話帳メモリ510を備えている。電話帳メモリ510には、通信の相手先(電話をかけたり、電話がかかってきたりする可能性のある相手先や電子メールの送信元や送信先となる相手先)の電話番号、名前、電子メールアドレス、住所、会社名といった種々の情報からなる電話帳データが多数記録されている。この電話帳メモリ510の電話帳データは、通常、目的とする相手先に電話をかける場合に用いたり、電話がかかってきたときに当該相手先の名前などを通知される電話番号に基づいて表示したりする場合に用いられる。
【0091】
また、この実施の形態の携帯電話端末5は、携帯電話網を通じてインターネットに接続し、Webページの閲覧、データのダウンロードやアップロード、電子メールの送受信などをも行うことができるものである。この場合、制御部540において、ブラウザやメーラーといったプログラム(ソフトウェア)が実行される。そして、制御部540の制御の下、送受信信号処理部503、電話通信部502、送受信アンテナ501が機能し、インターネットに接続して、Webページや自機宛ての電子メール情報等の目的とする情報の提供を受けて、これを制御部540及びディスプレイコントローラ523を通じてディスプレイ524に表示するなどのことができるようにされる。また、携帯電話端末5において作成した電子メール情報等を、インターネット上に設けられた相手先のメールサーバやWebサービスサーバ8などに送信することもできるようにされる。
【0092】
そして、携帯電話端末5が外部端子531を通じてIP電話端末4に接続されている場合に、上述もしたようにWebサービスサーバ8に格納するようにした電子メール情報がディスプレイ524に表示されたとする。当該電子メール情報のディスプレイ524への表示は、操作入力部521を通じて受け付けたユーザからの指示入力に応じて、制御部540がディスプレイコントローラ523を制御して行う。また、当該電子メール情報の特積場所(所在)を示すURLは、Webサービスサーバ8から提供を受けて、携帯電話端末5の例えばEEPROM544に記憶保持されている。この場合に、IP電話端末4が発信操作を受け付けると、携帯電話端末5とIP電話端末4とが協働して、表示されている電子メール情報の相手先に自動的に電話をかけることができるようにしている。
【0093】
この場合、情報通知処理部511は、電子メール情報に含まれる送信元、宛先などの電子メールアドレスの内、携帯電話端末5のユーザの電子メールアドレスとは異なる電子メールアドレスを取得する。この取得した電子メールアドレスに基づいて、情報通知処理部511は、電話帳メモリ510の情報を参照し、当該電子メールアドレスに対応する電話番号を取得する。なお、携帯電話端末5のユーザの電子メールアドレスは、例えば、EEPROM544などの所定のメモリに予め登録するようにされているものである。
【0094】
さらに、情報通知処理部511は、上述のようにして特定した電話をかける相手先の電話番号と、ディスプレイ524の表示画面に表示している電子メール情報の蓄積場所を示すURLを、自機が接続されているIP電話端末4に通知する。このようにして、発信時において、IP電話端末4が必要とする情報を、携帯電話端末5からIP電話端末4に提供することができるようにしている。
【0095】
また、表示情報処理部512は、IP電話端末4の端末表示制御部422の機能により当該IP電話端末4から提供される表示情報を、ディスプレイコントローラ523と協働してディスプレイ524に表示する処理を行う。例えば、IP電話端末4から提供されるURLなどの情報をディスプレイ524に表示するほか、通信の状態通知に基づいて、「発信中」、「通話中」などの現在の通信の状態をディスプレイ524に表示するなどの処理も行う。このように、主に情報通知処理部511と表示情報処理部512とが、携帯電話端末5側における、IP電話端末4と連携するために機能する部分である。
【0096】
なお、図6において、二重線で示した情報通知処理部511、表示情報処理部512とは、それぞれ独立した回路部分として示しているが、これに限るものではない。情報通知処理部511、表示情報処理部512のそれぞれは、制御部540において実行されるプログラムにより、制御部540の機能として実現することももちろん可能である。
【0097】
[電話システムの動作(処理)]
次に、図1に示した電話システムにおいて、電話システムAのIP電話端末4Aから電話システムBのIP電話端末4Bに電話をかける場合の動作(処理)について具体的に説明する。この場合、発信元のIP電話端末4Aに対しては携帯電話端末5Aが接続され、また、着信先のIP電話端末4Bに対しては携帯電話端末5Bが接続される。そして、発信元のIP電話端末4Aのユーザは、着信先のIP電話端末4Bのユーザに対して参照して欲しい電子メール情報があるものとする。
【0098】
図7、図8は、この実施の形態の電話システムにおいて、電話システムAのIP電話端末4Aから電話システムBのIP電話端末4Bに電話をかける場合の動作(処理)について説明するためのシーケンス図である。また、図9は、発信元と着信先における表示画面への情報の表示例について説明するための図である。
【0099】
上述もしたように、電話システムAのIP電話端末4Aと携帯電話端末5Aとは、USBケーブル10を用いて接続される。携帯電話端末5Aの制御部540は、外部端子531及び外部I/F532を通じてIP電話端末4Aと通信を行うことにより、自機がIP電話端末4Aに接続されたことを検知する(ステップS1A)。同様に、IP電話端末4Aの制御部430は、外部端子411及び外部I/F412を通じて携帯電話端末5Aと通信を行うことにより、自機に携帯電話端末5Aが接続されたことを検知する(ステップS2A)。
【0100】
これ以降、IP電話端末4Aと携帯電話端末5Aとは、IP電話端末4Aの外部端子411および外部I/F412と、携帯電話端末5Aの外部端子531および外部I/F532と、USBケーブル10とを通じて、データの送受を行うことができるようにされる。
【0101】
同様に、電話システムBのIP電話端末4Bと携帯電話端末5Bとは、USBケーブル10を用いて接続される。携帯電話端末5Bの制御部540は、外部端子531及び外部I/F532を通じてIP電話端末4Bと通信を行うことにより、自機がIP電話端末4Bに接続されたことを検知する(ステップS1B)。同様に、IP電話端末4Bの制御部430は、外部端子411及び外部I/F412を通じて携帯電話端末5Bと通信を行うことにより、自機に携帯電話端末5Bが接続されたことを検知する(ステップS2B)。
【0102】
これ以降、IP電話端末4Bと携帯電話端末5Bとは、IP電話端末4Bの外部端子411および外部I/F412と、携帯電話端末5Bの外部端子531および外部I/F532と、USBケーブル10とを通じて、データの送受を行うことができるようにされる。
【0103】
そして、IP電話端末4Aのユーザが、IP電話端末4Bのユーザに電話をかける必要が生じたが、上述したように、通話時にIP電話端末4Bのユーザに参照して欲しい電子メール情報があるとする。この場合、IP電話端末4Aのユーザは、まず、自己の携帯電話端末5Aを用いて、Webサービスサーバ8にアクセスし、目的とする電子メール情報をWebサービスサーバ8の格納領域に蓄積(格納)する処理を実行する(ステップS3)。
【0104】
ステップS3では、携帯電話端末5AがWebサービスサーバ8から情報のエントリ画面の提供を受けて、操作入力部521を通じ、宛先、件名、本文の入力を行うことにより電子メール情報を作成し、これをWebサービスサーバ8に送信して蓄積することを要求する。この場合、自己の電子メールアドレスや送信日時などの情報も必要となるが、自己の電子メールアドレスは携帯電話端末5Aが保持するものを、また送信日時は、図5には図示しなかったが携帯電話端末5Aが有する時計回路から取得されたものが用いられる。
【0105】
なお、この例の場合、電子メール情報はWebサービスサーバ8に蓄積されるため、電子メールアドレスを実際に用いることはない。しかし、この例において、電子メールアドレスは送信元や送信先を示す識別情報として用いられるようにされている。また、この実施の形態において、携帯電話端末5Aは、近隣の基地局9(n)及び携帯電話網を通じてインターネットに接続し、Webサービスサーバ8にアクセスするようにしている。もちろん、携帯電話端末5Aが、IP電話端末4A及びSIPサーバ1Aを通じてインターネットに接続し、Webサービスサーバ8にアクセスするように構成することも可能である。
【0106】
そして、Webサービスサーバ8は、携帯電話端末5Aから電子メール情報と蓄積要求を受け付けると、提供された電子メール情報を蓄積する共に、その蓄積(格納)場所を示すURLを形成し、これを要求元の携帯電話端末5Aに返信する(ステップS4)。すなわち、ステップS4において、Webサービスサーバ8は、URLによって特定可能な自機のハードディスク等の格納場所に当該電子メール情報を蓄積(格納)し、その格納場所を示すURLを要求元の携帯電話端末5Aに返信する。
【0107】
携帯電話端末5Aは、Webサービスサーバ8から提供を受けたURLを例えばEEPROM544に記憶する(ステップS5)。この場合、携帯電話端末5Aのディスプレイ524の表示画面524Gには、例えば、図9Aに示すように、Webサービスサーバ8に蓄積するようにした電子メール情報が表示された状態になっている(ステップS6)。
【0108】
この時に、IP電話端末4Aのユーザにより、IP電話端末4Aのハンドセット440がIP電話端末4Aの本体から取り上げられる操作(オフフック操作)が行われたとする(ステップS7)。このステップS7の操作は、オフフックキー(発信ボタン)などを押下する発信操作であってもよい。オフフック操作が行われたことは、オンフック/オフフック検出部406により検出され、制御部430に通知される。この場合、IP電話端末4Aの制御部430は、携帯電話端末5Aのディスプレイ524に表示されている電子メール情報に関係する相手先であって、電話をかける相手先の電話番号等の提供を要求する(ステップS8)。このステップS8の処理は、表示された電子メール情報に関する情報の提供要求であり、情報要求に相当する。
【0109】
情報要求の提供を受けた携帯電話端末5Aにおいては、制御部540の制御の下、情報通知処理部511が機能し、IP電話端末4Aに提供すべき情報を取得し、この取得した情報をIP電話端末4Aに提供する(ステップS9)。このステップS9において、情報通知処理部511は、表示されている電子メール情報に応じて特定した電話をかける相手先の電話番号と、Webサービスサーバ8から提供を受けたURLをIP電話端末4Aに提供する。
【0110】
なお、上述したように、携帯電話端末5Aのディスプレイ524の表示画面542Gに表示されている電子メール情報は、当該携帯電話端末5Aから送信したものであり、送信元の電子メールアドレスは、携帯電話端末5Aのユーザのものである。このため、携帯電話端末5Aのディスプレイ524の表示画面524Gに表示された電子メール情報が、図9Aに示したものである場合、情報通知処理部511は、自機のユーザの電子メールアドレスとは異なる宛先である「第一営業部タナカ」さんの電子メールアドレスを、電話をかける相手先の電子メールアドレスとして抽出する。
【0111】
そして、情報通知処理部511は、抽出した「第一営業部タナカ」さんの電子メールアドレスに基づいて、自機の電話帳メモリ510のデータを参照し、「第一営業部タナカ」さんの電話番号を取得する。そして、情報通知処理部511は、取得した「第一営業部タナカ」さんの電話番号と、Webサービスサーバ8から提供され、EEPRPM544に保持しているURLとをIP電話端末4Aに提供する。
【0112】
このように、(1)電話をかける相手先の電子メールアドレスの抽出、(2)抽出した電子メールアドレスに基づく電話をかける相手先の電話番号の特定、(3)特定した電話番号と取得したURLとをIP電話端末4Aへの提供、という各処理が、ステップS9において行われる。
【0113】
この後、携帯電話端末5Aからの電話番号等の情報の提供を受けたIP電話端末4Aは、提供を受けた電話番号等の情報をRAM433に一時記憶し、これを解析する処理(情報解析)を行う(ステップS10)。この情報解析処理において、適正に電話番号等の情報の提供を受けたことが確認できた場合には、応答(200 OK)を携帯電話端末5Aに送信する。なお、携帯電話端末5Aから電話番号等の情報が提供されなかった場合などには、電話番号等の情報の再送信を要求し、携帯電話端末5Aから電話番号等の必要な情報の再送を受けるようにすることができる。
【0114】
携帯電話端末5からの電話番号や目的とする電子メール情報の所在を示すURLの提供を受けたIP電話端末4Aは、当該電話番号の相手先への発信を行うと共に、発信中であることの携帯電話端末5への通知を行う(ステップS11)。このステップS11において、IP電話端末4Aにおいては、まず、制御部430の制御の下、発信等処理部421が機能し、携帯電話端末5から提供された電話番号の相手先への発信メッセージ(INVITEメッセージ)を形成する。この場合、発信等処理部421は、当該INVITEメッセージには発信元の電話番号を含める他、ユーザインフォメーションやアラートインフォメーションに、目的とする電子メール情報の所在を示すURLを記録する。
【0115】
発信等処理部421において形成されたINVITEメッセージは、制御部430、LANI/F402、LAN接続端子401を通じてSIPサーバ1Aに送信される。そして、SIPサーバ1Aは、IP電話端末4AからのINVITEメッセージに応じて、電話をかける相手先を特定するようにし、当該電話をかける相手先に対して当該INVITEメッセージを送信する。
【0116】
このようにして、IP電話端末4Aからは、目的とする相手先対するINVITEメッセージのユーザインフォメーションまたはアラートインフォメーションには、目的とする電子メール情報の所在を示すURLが記録されて送信される。そして、図7に示すように、当該INVITEメッセージは、着信先である電話システムBのSIPサーバ1Bを通じて、IP電話端末4Bに提供される。
【0117】
そして、この実施の形態の電話システムにおいては、図8に示すシーケンス図の処理に移行する。発信元であるIP電話端末1Aに接続された携帯電話端末5Aでは、ステップS11においてIP電話端末4Aから提供された発信通知に基づいて、自機のディスプレイに「発信中」であることを示す表示を行う(ステップS12)。具体的には、図9Aに示した携帯電話端末5Aのディスプレイ524の表示画面524Gに表示されている電子メール情報において、宛先の表示である「第一営業タナカ様」の表示が点滅表示するなどのことが行われる。この他、表示画面524Gのいずれかの位置に「発信中」の文字を点滅表示させる種々の表示態様で、発信中であることを示すようにすることもできる。
【0118】
一方、着信先のIP電話端末4Bは、発信元のIP電話端末4AからのINVITEメッセージを受信すると、まず、INVAITメッセージを受信したことを示す応答「200 OK」を返信する(ステップS13)。そして、着信先のIP電話端末4Bは、受信したINVITEメッセージに含まれる目的とする電子メール情報の所在を示すURLを抽出し、これを自機に接続された携帯電話端末5Bに提供して、表示するように指示を出す(ステップS14)。このステップS14の処理は、IP電話端末4Bの制御部430と端末表示制御部422が機能し、外部I/F412及び外部端子411を通じて行われる。
【0119】
そして、URLの表示指示を受けた携帯電話端末5Bでは、表示情報処理部512が機能し、IP電話端末4Bから表示が指示されたURLを、ディスプレイコントローラ523を通じてディスプレイ524の表示画面524Gに表示する(ステップS15)。この場合、携帯電話端末5Bのディスプレイ524の表示画面524Gには、図9Bに示すように、電子メール情報の参照を促すメッセージと共に、当該電子メール情報の蓄積場所(所在)を示すURLが表示される。
【0120】
そして、この例の場合、当該URLの表示部分にカーソルを位置付けて選択したり、あるいは、URLが表示画面上において反転表示されているときに決定キーを押下操作したりする所定の操作を行う。これにより、制御部540が機能して当該URLにより特定される蓄積場所にアクセスし、参照することが求められている電子メール情報をダウンロードして表示することができるようにされている。
【0121】
このため、携帯電話端末5Bの制御部540が、ディスプレイ524の表示画面524Gに表示されたURLを選択する所定の操作入力を、操作入力部521を通じて受け付けたとする。この場合、制御部540は、当該URLを用いた目的とする電子メール情報の提供要求を形成し、これを送信信号処理部503、電話通信部502、送受信アンテナ501を通じてWebサービスサーバ8に送信する(ステップS16)。すなわち、ステップS16の処理は、携帯電話端末5Bが、携帯電話網を通じて、発信元から提供されたURLを用いてWebサービスサーバ8にアクセスし、目的とする電子メール情報の提供を要求する処理である。
【0122】
これに応じて、Webサービスサーバ8は、当該URLが用いられて要求された電子メール情報を要求元の携帯電話端末5Bに提供する(ステップS17)。当該電子メール情報の提供を受けた携帯電話端末5Bは、制御部540およびディスプレイコントローラ523が機能し、ディスプレイ524の表示画面に、Webサービスサーバ8からの電子メール情報を表示する(ステップS18)。これにより、着信先のIP電話端末4Bのユーザは、自己の携帯電話端末5Bを通じて、発信元が見ることを求めてきた電子メール情報を見る(閲覧する)ことができるようにされる。
【0123】
なお、ユーザの操作を待つまでもなく、携帯電話端末5の制御部540が機能し、IP電話端末4BからのURLを用いて自動的にWebサービスサーバ8にアクセスし、蓄積されている電子メール情報をダウンロードして表示するようにすることもできる。
【0124】
この後、着信先のIP電話端末4BのユーザがIP電話端末4Bのハンドセット440を持ち上げるなどのオフフック操作を行うと、オフフック状態になったことがオンフック/オフフック検出部406により検出されて制御部430に通知される。制御部430は着信応答メッセージを形成し、これをLANI/F402及び接続端子401を通じてSIPサーバ1Bに送出し、SIPサーバ1Bから発信元に送信するようにする(ステップS19)。
【0125】
これにより、発信元のIP電話端末4Aに着信応答が送信され、発信元のIP電話端末4Aと着信先のIP電話端末4Bとの間に通信路(通信回線)が接続されて、通話を行うことができるようにされる(ステップS20)。そして、上述したように、発信元の携帯電話端末5Aのディスプレイ524の表示画面524Gにも、着信先の携帯電話端末5Bのディスプレイ524の表示画面524Gにも、同じ電子メール情報が表示される。これにより、IP電話端末4AのユーザとIP電話端末4Bのユーザは、同じ電子メール情報を見ながら(確認しながら)、通話を行うことができるようにされる。
【0126】
なお、ここでは、図7、図8を用いて説明したように、着信先の携帯電話端末5Bにおいて、参照することが求められた電子メール情報を表示した後に、IP電話端末4Bに対して応答操作を行うものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、ステップS15の処理に後に、IP電話端末4Bを通じて着信応答を行い(ステップS19)、通信路を接続して通話を行える状態にする(ステップS20)。この後に、ステップS16〜ステップS18の処理を行って、電子メール情報の携帯電話端末5Bへの表示を行うようにしてもよい。
【0127】
[表示情報の変更処理]
図7〜図9を用いて説明したように通信路を接続して通話が開始された後に、携帯電話端末5A、5Bを通じて閲覧する情報が例えばWebページなどに変更される場合がある。このような場合にも、どのような情報を閲覧するようにしたかを、通話の相手先との間で相互に通知し合うことができるようにすれば、通話の途中においても、閲覧する表示情報を共通にすることができる。そこで、この実施の形態の電話システムにおいては、通話中において送受されるINVITEメッセージを用いて、変更後の表示情報の所在を通知することができるようにしている。
【0128】
図10は、通話中に表示情報の変更が生じた場合に、変更後の表示情報の所在を示す情報を送受する場合の動作(処理)について説明するためのシーケンス図である。上述した図7、図8に示したシーケンス図の動作(処理)により、図10の上端側に示すように、発信元のIP電話端末4Aと着信先のIP電話端末4Bとの間に通信路が接続され、通話が開始されたとする(ステップS20)。
【0129】
そして、通話中において、発信元と着信先との双方で、所定のWebページの内容を確認しあう必要が生じたとする。このとき、発信元のユーザが、携帯電話端末5AにおいてWebページの閲覧ソフトウェアであるブラウザを立ち上げ、当該所定のWebページをディスプレイ524の表示画面524Gに表示するようにしたとする(ステップS31)。このように、表示情報が変更された場合に、情報通知処理部511は、制御部540と協働し、ディスプレイ524に表示したWebページのURLを、自機が接続されているIP電話端末4Aに通知する(ステップS32)。
【0130】
IP電話端末4Aは、通信路が接続されていることを確認するために、所定タイミング毎にINVITEメッセージを、通信路の接続先に送信する。そこで、IP電話端末4Aの発信等処理部421は、当該INVITEメッセージの所定の領域に、新たに表示するようにしたWebページのURLを記載し、これを通信路の接続先に対して送信する(ステップS33)。これにより、IP電話端末4A側の携帯電話端末5Aのディスプレイ524に表示されたWebページの所在を示すURLが、通信路の接続先であるIP電話端末4Bに通知される。なお、INVITEメッセージを受信したIP電話端末4Bは、INVITEメッセージを受信したことを示す応答(200 OK)を返信する。これにより、相互に通信路が接続されていることを確認することができる。
【0131】
そして、INVITEメッセージを受信したIP電話端末4Bは、端末表示制御部422が機能し、当該INVITEメッセージに含まれるURLを自機に接続されている携帯電話端末5Bに提供し、これを表示することを指示する(ステップS34)。携帯電話端末5Bは、当該指示に応じて、例えば、図9Bに示した態様して、URLを表示し、当該URLで特定されるWebページの表示を促すようにする(ステップS35)。
【0132】
そして、携帯電話端末5Bの制御部540が、携帯電話端末5Bの操作入力部521を通じて、ディスプレイ524の表示画面524Gに表示されたURLを選択する所定の操作入力を受け付けたとする。この場合、制御部540は、ブラウザを起動し、送受信信号処理部503、電話通信部502、送受信アンテナ501を通じて当該URLにより特定されるWebページにアクセスし、当該Webページを自機のディスプレイ524に表示する(ステップS36)。これにより、IP電話端末4B側においても、IP電話端末4A側の携帯電話端末5Aに表示されたWebページと同じWebページを閲覧することができるようにされる。
【0133】
また、電話をかけられた側(着信側)であるIP電話端末4Bに接続された携帯電話端末5Bにおいて、別のWebページが参照するようにされる場合もある。例えば、携帯電話端末5Bにおいて、操作入力部521を通じて受け付けたユーザからの指示入力に応じて、携帯電話端末5Bの制御部540が機能し、別のWebページがディスプレイ524の表示画面524Gに表示されたとする(ステップS37)。この場合、制御部540の制御の下、送受信信号処理部503、電話通信部502、送受信アンテナ501を通じて目的とする別のWebページにアクセスするようにされる。そして、当該別のWebページが制御部540およびディスプレイコントローラ523を通じてディスプレイ524の表示画面524Gに表示される。
【0134】
この場合、携帯電話端末5Bの情報通知処理部511は、制御部540と協働し、ディスプレイ524に表示した別のWebページのURLを、自機が接続されているIP電話端末4Bに通知する(ステップS38)。これにより、IP電話端末4Bは、自機に接続された携帯電話端末5Bにおいて、別のWebページが表示されたことを認識することができる。
【0135】
そして、IP電話端末4Bにおいては、発信等処理部421が機能し、INVITEメッセージの例えばユーザインフォメーションに、新たに表示するようにしたWebページのURLを記載し、これを通信路の接続先に対して送信する(ステップS39)。これにより、IP電話端末4B側の携帯電話端末5Bのディスプレイ524に表示されたWebページの所在を示すURLが、通信路の接続先であるIP電話端末4Aに通知される。また、INVITEメッセージを受信したIP電話端末4Aは、INVITEメッセージを受信したことを示す応答(200 OK)を返信する。これにより、相互に通信路が接続されていることを確認することができる。
【0136】
そして、INVITEメッセージを受信したIP電話端末4Aは、端末表示制御部422が機能し、当該INVITEメッセージに含まれるURLを自機に接続されている携帯電話端末5Aに提供し、これを表示することを指示する(ステップS40)。携帯電話端末5Aは、当該指示に応じて、例えば、図9Bに示した態様して、URLを表示し、当該URLで特定されるWebページの表示を促すようにする(ステップS41)。
【0137】
そして、携帯電話端末5Aの制御部540が、携帯電話端末5Aの操作入力部521を通じて、ディスプレイ524の表示画面524Gに表示されたURLを選択する所定の操作入力を受け付けたとする。この場合、制御部540は、ブラウザを起動し、送受信信号処理部503、電話通信部502、送受信アンテナ501を通じて当該URLにより特定されるWebページにアクセスし、当該Webページを自機のディスプレイ524に表示する(ステップS42)。これにより、IP電話端末4A側においても、IP電話端末4B側の携帯電話端末5Bに表示されたWebページと同じWebページを閲覧することができる。
【0138】
このように、通話中において、IP電話端末4A、4Bのそれぞれに接続された携帯電話端末5A、5Bで表示される表示情報が変わる毎に、表示情報の所在を示すURLを送受し合うことにより、同じ表示画像を観視することができるようにされる。これにより、通話中であっても、URLの手入力などを行うことなく、目的とする表示画像のURLの提供を受けて、目的とするWebページの表示を行うことができるようにされる。
【0139】
なお、ここでは、Webページを表示する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。図7、図8を用いて説明したように、携帯電話端末5A、5Bを用いて、Webサービスサーバ8に蓄積するようにした電子メール情報の格納場所を示すURLを、通信路を接続したIP電話端末4AとIP電話端末4Bとの間で通知し合うようにすることもできる。
【0140】
[履歴情報の利用]
図7を用いて上述したように、この実施の形態の電話システムにおいては、通話時に通話の相手先と共に見たい電子メール情報を、Webサービスサーバ8にアップロードする。そして、目的とする相手先においては、通話の相手先がアップロードした電子メール情報を、通知されたURLを用いてダウンロードすることにより見ることができるようにされる。そして、Webサービスサーバ8に蓄積されている電子メール情報に基づいて、宛先、送信日時、件名等からなる電子メール情報の履歴情報を形成することができる。
【0141】
また、この実施の形態の電話システムにおいては、電子メール情報を表示した状態で電話をかけるようにした場合には、電話番号の入力や選択をすることなく、当該電子メール情報の宛先に対して電話をかけることができる。このため、このような電話の発信時において、電話をかけた相手先の電話番号、発信日時、表示されていた電子メールの宛先の名前や件名等を、IP電話端末4のEEPROM434などに蓄積しておく。これにより、電話の発信履歴をIP電話端末4のEEPROM434に形成することができる。
【0142】
また、電子メール情報を表示した状態における発信時において、INVITEメッセージの例えばDisplayNameに、表示されている電子メール情報の件名や送信日時を記載して発信するようにする。このようにすれば、件名や送信日時を発信時において相手先(着信先)のIP電話端末4に通知することができる。そして、電話をかけた相手先(着信先)のIP電話端末4においても、受信したINVITEメッセージに含まれる発信元の電話番号や、当該INVITEメッセージのDisplayNameに記載された件名や送信日時を抽出する。そして、抽出した情報をIP電話端末4のEEPROM434に記憶保持する。これにより、IP電話端末4は、自機にかかってきた電話の着信履歴をも形成し、これを記憶保持することができる。
【0143】
そして、目的とする相手先に対して電話をかける場合に、携帯電話端末5において、当該相手先に送信した電子メール情報の送信履歴と、当該相手先にかけた電話の発信履歴と、当該相手先からかかってきた電話の着信履歴とをあわせた通信履歴を形成する。このようにして形成する通信履歴を、電話をかける前に携帯電話端末5のディスプレイ524に表示して見ることができるようにする。これにより、電話をかける相手先との間において、今までにどのような通信を行ったかを確認しながら電話をかけて通話することができる。また、携帯電話端末5に表示するようにした通信履歴に基づいて、目的とする相手先に対して電話をかけることもできるようにされる。
【0144】
図11は、通信の履歴情報の表示と発信処理について説明するためのシーケンス図である。なお、図11では省略したが、この例においても、図7の上端側に示したステップS1A、ステップS2A、ステップS1B、ステップS2Bの処理と同様の処理が行われる。これにより、IP電話端末4Aと携帯電話端末5AとがUSBケーブル10により接続され、また、IP電話端末4Bと携帯電話端末5BとがUSBケーブル10により接続されたことが、そのそれぞれの機器において認識するようにされる。
【0145】
そして、この例では、携帯電話端末5Aの制御部540が、操作入力部521を通じてユーザによる通信履歴の表示指示を受け付けたとする(ステップS51)。このステップS51の処理は、所定の操作に応じてディスプレイ524に表示されるメニューから、通信履歴の表示に対応する項目の選択指示(通信履歴表示指示)を受け付ける処理である。
【0146】
通信履歴表示指示を受け付けると、携帯電話端末5Aの制御部540は、送受信信号処理部503、電話通信部502、送受信アンテナ501を通じてインターネットに接続し、Webサービスサーバ8にアクセスする。そして、携帯電話端末5Aの制御部540は、目的とする相手先への電子メール情報の蓄積履歴情報の提供要求を形成し、これをWebサービスサーバ8に送信する(ステップS52)。Webサービスサーバ8は、当該提供要求に応じて、指示された相手先への電子メール情報の蓄積履歴を形成し、これを要求元の携帯電話端末5Aに提供する(ステップS53)。この場合、電子メール情報の蓄積履歴は、宛先(電子メールアドレス、名前)、送信日時、件名、当該電子メール情報の格納場所を示すURL等からなる情報である。
【0147】
次に、携帯電話端末5Aの制御部540は、外部端子531を通じて接続されているIP電話端末4Aに対して、目的とする相手先との間の電話の発信履歴と着信履歴の提供要求を形成し、外部I/F532及び外部端子531を通じてIP電話端末4Aに送信する(ステップS54)。IP電話端末4Aは、当該提供要求に応じて、指示された相手先との間の発信履歴と着信履歴を抽出し、これを要求元の携帯電話端末5Aに提供する(ステップS55)。この場合、電話の発信履歴、着信履歴は、相手先(電話番号、名前)、発信日時又は着信日時、発着信の別、件名等からなる情報である。
【0148】
携帯電話端末5Aの制御部540は、上述のようにして提供を受けた電子メール情報の蓄積履歴、電話の発信履歴、着信履歴から、目的とする相手先についての通信履歴を形成し、これを表示する(ステップS56)。図12は、電子メールの蓄積履歴と電話の発信履歴と着信履歴とを合体させた通信履歴情報の例を説明するための図である。
【0149】
携帯電話端末5Aの制御部540は、提供を受けた電子メールの蓄積履歴と電話の発信履歴と着信履歴とを合体させると共に、日時(送信日時、発信日時、着信日時)をキーにして並べ変え、これをディスプレイコントローラ523を通じてディスプレイ524の表示画面524に表示する。これにより、図12に示したように、電話の発着信履歴と電子メールの送信履歴とを合体させた通信履歴情報を表示させることができる。なお、通信履歴情報のデータが多い場合には、携帯電話端末5において、表示をスクロールさせることができるようにされ、その全部を表示してユーザが見ることができるようにされる。
【0150】
図12に示した履歴情報は、「第一営業部タナカ」さんとの間の通信履歴情報である。この場合、2011年3月31日(木曜日)の10時54分に、「件名」を「来期目標の件」および「A社対応打ち合わせ」として通知した電話による発信を行ったことが示されている。なお、件名の通知は、INVITEメッセージのDisplayNameに記載することにより行われたものである。また、その前には、2011年3月30日(水曜日)の14時28分に「件名」を「来期目標の件」とする電子メールを送信していることが示されている。
【0151】
また、2011年3月22日(火曜日)の11時01分に「件名」を「A社対応の件」として通知された電話の着信を受け、2011年3月22日(火曜日)の10時45分に「件名」を「A社対応の件」として通知された電話の着信を受けたが、不在で応答できなかったことが示されている。なお、着信に応答しなかった場合には、図12に示したように、IP電話端末4の制御部430により「着信(不在)」として把握され、これが発着信の別を示す情報として管理される。さらに、図12に示した履歴情報の場合には、2011年3月21日(月曜日)の9時30分に「件名」を「3月22日のA社対応の件について」として通知した電話の発信を行い、2011年3月17日(木曜日)の17時15分に「件名」を「A社対応打合せ日程について」とする電子メールを送信していることを示している。
【0152】
そして、IP電話端末4Aのユーザは、例えば、「第一営業部タナカ」さんに電話をかける前に、図12に示した履歴情報を形成して携帯電話端末5のディスプレイ524に表示させる。これにより、今までの「第一営業部タナカ」さんとの間で行った電話や電子メールの通信のやり取りの状態を把握することができ、思い違いなどを生じさせることなく適切に連絡を取ることができるようにされる。
【0153】
また、図12に示した履歴情報を携帯電話端末5Aのディスプレイ524に表示し、目的とする表示項目にカーソルを位置付けた状態で、IP電話端末4Aのハンドセット440を持ち上げるなどの発信操作を行ったとする。この場合には、図7を用いて説明したステップS7〜ステップS11の処理と同様の処理が行うようにされ、当該履歴情報の相手先に対して自動的に発信して電話をかけることができるようにされる。
【0154】
なお、この例の場合、ステップS9において、携帯電話端末5AからIP電話端末4Aに通知される情報は、表示されている通信履歴情報の相手先の電話番号と件名と日時(送信日時、発信日時、着信日時)が通知される。また、カーソルが位置付けられている通信履歴上の項目が電子メール情報の送信履歴である場合には、その電子メール情報の蓄積場所(所在)を示すURLも通知される。
【0155】
そして、ステップS11の発信処理においては、携帯電話端末5AからURLが通知された場合には、そのURLがINVITEメッセージの例えばユーザインフォメーションなどの所定の領域に記録される。また、件名や日時は、当該INVITEメッセージのDisplayNameに記録される。このようにして、表示された目的とする通信の相手先との間で行うようにした通信についての履歴情報に基づいて、当該通信の相手先に対して電話をかけることもできるようにされる。この場合に、表示されている通信履歴上において、カーソルが位置付けられている項目に対応する例えば電子メール情報等の表示情報の所在を電話の相手先に通知することもできる。
【0156】
このようにして、目的とする相手先との間で行った通信に関する履歴情報を形成し、これを表示して確認することができる。また、当該履歴情報に基づいて、当該履歴情報の相手先に対して、電話番号の入力や選択を行うことなく、オフフック操作などの簡単な操作だけで発信を行うと共に、電子メール情報の履歴に基づいて発信した場合には、その格納場所を示すURLをも通知することができる。また、INVITEメッセージのDisplayNameには、件名や日時(送信日時、発信日時、着信日時)示す情報が記録されているので、これを着信側で表示することにより、着信応答する前にある程度の要件を知ることもできるので、迅速な応答が期待できる。
【0157】
[変形例]
なお、上述した実施の形態においては、IP電話端末4に接続された携帯電話端末5側において、電話帳メモリ510の情報を参照し、電話をかける相手先の電話番号を取得するようにした。しかし、これに限るものではない。例えば、IP電話端末4の電話帳メモリ410にも、連絡を取り合う相手先の電子メールアドレスと電話番号とが対応付けられて記憶されている場合もある。この場合には、携帯電話端末5から電話をかける相手先の電子メールアドレスの提供を受けて、IP電話端末4側で当該電子メールアドレスに基づいて電話帳メモリ410の情報を参照し、電話をかける相手先の電話番号を特定することができる。
【0158】
また、上述した実施の形態においては、携帯電話端末5から送信した電子メールの宛先とされた相手先に電話をかけるものとして説明したが、これに限るものではない。携帯電話端末5が受信した電子メールをディスプレイ524に表示している場合には、自機のユーザは受信者であるので、当該電子メールの発信者(発信元)に電話をかけるようにすることもできる。この場合でも、携帯電話端末5に表示されている電子メール情報に含まれる電子メールアドレスと、当該携帯電話端末5に登録されている当該携帯電話端末5のユーザの電子メールアドレスとを比較することにより、相手先の電子メールアドレスを特定することができる。
【0159】
また、発信者や宛先以外にも、通常の電子メールの場合と同様に、例えば、CC(Carbon Copy)やBCC(Blind Carbon Copy)を用いた場合のように、宛先に複数の相手先が設定するようにされ、同じ電子メール情報を複数の人で共有するようにする場合もある。このような場合であっても、例えば、オフフック操作とオンフック操作とを繰り返すことにより、順次に電話をかける相手先の電子メールアドレスを替えて電話帳メモリ510を通じて相手先の電話番号を特定し、電話をかけるようにすることもできる。
【0160】
これにより、同じ電子メール情報の複数の送信先、あるいは、その電子メールの発信元と自機を除く複数の送信先に対して、順番に電話をかけるようにすることもできる。このように、電話をかける相手先を替える場合であっても、INVITEメッセージの所定のエリアに当該電子メール情報の格納場所を示すURLを記載することによって、電話をかけるようにした相手先に対して、当該URLを提供し、電子メール情報を共有することができるようにされる。
【0161】
また、携帯電話端末5側に、携帯電話端末5がIP電話端末4に接続された場合におけるIP電話端末としての発信処理機能や着信処理機能を設けるようにすることによって、IP電話端末4の構成を簡単にすることができる。すなわち、IP電話端末4に携帯電話端末5が接続された場合においてのみ、SIPサーバ1の配下の電話端末として機能することができるようにする。
【0162】
この場合、携帯電話端末5に発信等処理部421を設けるようにすればよい。また、ハンドセット440以外のユーザインターフェースは、携帯電話端末5のディスプレイ524や操作入力部521を用いるようにする。このようにすれば、IP電話端末4に、ディスプレイコントローラ415およびディスプレイ416、操作入力部408および操作入力I/F408を設ける必要もないようにすることができる。
【0163】
また、上述した実施の形態においては、電話の発信元と着信先とで共通に用いるようにする表示情報は、電子メール情報やWebページであるある場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、Webサービスサーバ8等を通じて、写真等の静止画や動画を共用するようにすることもできる。すなわち、電話の発信元と着信先とで共通に用いるようにする表示情報は、表示可能な種々の情報とすることができる。
【0164】
また、上述した実施の形態においては、図11を用いて説明したように、発信前に通信履歴を形成して表示するようにした。しかし、これに限るものではない。電話番号を入力するなどして発信を行うようにした後に、その相手先との間における通信の履歴情報を形成して表示することももちろんできる。そして、その通信履歴情報に含まれる電子メール情報の送信履歴に対応する項目を選択することにより、その電子メールの所在を示すURLを通信の相手先に通知することもできる。この場合の通知は、INVITEメッセージを用いて行うことになる。
【0165】
また、通話時において参照したWebページや電子メール情報の所在を示すURLを通信履歴に含めるようにしてもよい。この場合には、通話の相手先の電話番号、参照したWebページのURL、参照日時などの情報を保持するようにすればよい。また、発信前にWebページを参照した状態にある場合には、発信時に当該WebページのURLを通話の相手先に通知することももちろん可能である。
【0166】
また、上述した実施の形態においては、通信の相手先に通知する電子メール情報やWebページ等の表示情報の所在を示すURLは、ネットワークを通じて取得するものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、電子メール情報をWebサービスサーバ8に格納する場合に、携帯電話端末5側から用いるURLを指示するようにしてもよい。
【0167】
[この発明のプログラム]
なお、上述した実施の形態では、図7、図8、図10、図11において、携帯電話端末5において実行されるものとして示したステップの処理を実行するプログラムが、表示装置に搭載されたコンピュータが実行する電子メール情報提供プログラムに対応する。このプログラムを携帯電話端末などの通信端末に搭載することにより、この発明に用いられる表示装置を実現できる。
【0168】
また、図7、図8、図10、図11において、IP電話端末4において実行される処理として示したステップの処理を実行するプログラムが、ベース装置に搭載されたコンピュータが実行する発信処理プログラムに対応する。このプログラムをIP電話端末等の電話端末に搭載することにより、この発明のベース装置を実現することができる。
【0169】
[実施の形態の装置や回路部と、請求項の装置や手段との対応]
また、上述した実施の形態からも明らかなように、携帯電話端末5のディスプレイ524が表示手段としての機能を実現し、携帯電話端末5の制御部540およびディスプレイコントローラ523により表示制御手段としての機能を実現している。また、IP電話端末4の主にハンドセット440、フックスイッチSW、オンフック/オフフック検出部406、あるいは、操作入力部408のオフフックキーが受付手段としての機能を実現する。また、IP電話端末4の発信等処理部421が発信処理手段としての機能を実現している。
【0170】
また、携帯電話端末5の操作入力部521が、表示指示受付手段、変更指示受付手段としての機能を実現し、携帯電話端末5の主に制御部540が履歴形成手段、取得手段としての機能を実現している。また、携帯電話端末5の制御部540とディスプレイコントローラ523が履歴情報表示処理手段、表示情報表示処理手段としての機能を実現している。主にIP電話端末4の発信等処理部421が送信手段としての機能を実現している。
【0171】
また、携帯電話端末5の外部端子531が表示装置側接続端部としての機能を実現し、IP電話端末4の外部端子411がベース装置側接続端部としての機能を実現している。また、携帯電話端末5の外部I/F532および制御部540が発信通知受付手段としての機能を実現し、携帯電話端末5の情報通知処理部511が通知手段としての機能を実現している。また、IP電話端末4Aの主に制御部430および外部I/F412が発信通知提供手段、提供情報受付手段としての機能を実現している。
【0172】
[その他]
上述した実施の形態においては、例えば事業所内に形成される電話システムに提供した場合を例に説明したが、これに限るものではない。家庭に設置されるいわゆるIP電話端末と携帯電話端末とにより構成されるシステムに、この発明を適用することができる。
【0173】
また、上述した実施の形態においては、IP電話端末4と携帯電話端末5とはUSB規格のインターフェースにより接続したが、これに限るものではない。例えば、ブルートゥース(Bluetooth)規格などの近距離無線通信インターフェースやIrDA(Infrared Data Association)規格の赤外線による光無線データ通信インターフェースなどにより接続することも可能である。すなわち、有線、無線を問わず、種々のデジタルインターフェースによって接続することが可能である。
【0174】
また、上述した実施の形態においては、携帯電話端末を用いるようにしたが、これに限るものではない。パッド型情報端末やタブレッド型情報端末などと呼ばれる電子メール機能を備えた携帯通信端末や通信機能を備えたノート型パーソナルコンピュータなど、種々の通信端末を用いるようにすることもできる。したがって、携帯電話端末5の操作入力部521は、ディスプレイ524の表示画面に表示される表示情報と当該表示画面に貼付されるタッチパネルとにより実現されるいわゆるソフトウェアキーボードの構成とされる場合もある。
【0175】
また、必ずしもIP電話端末と携帯電話端末などの通信端末とを接続して形成する電話システムに限るものでもない。例えば、電話通信と電子メールの送受が可能な単体の固定電話端末や携帯電話端末にもこの発明を適用することができる。例えば、携帯電話端末において、送信したり、受信したりした電子メール情報を自機のディスプレイに表示して閲覧しているときに、オフフックキーが操作されたとする。
【0176】
この場合に、その表示されている電子メール情報に含まれる相手先であって、自分以外の相手先の電話番号をその相手先の電子メールアドレスに基づいて電話帳メモリから特定し、その特定した電話番号の相手先に電話をかけるようにすることも可能である。この時に、INVITEメッセージの所定のエリアに電子メール情報やWebページの所在を示すURLなどの情報を記録して発信を行うようにすればよい。
【0177】
また、上述した実施の形態においては、IP電話システムにこの発明を適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。INVITEメッセージに相当する発信メッセージや確認メッセージを送受することが可能な種々の通信プロトコルを用いる電話システムにこの発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0178】
1…SIPサーバ、101…IP網への接続端子、102…IP網I/F、103…パケット分解/生成部、104…電話網I/F、105…電話網への接続端子、106…アドレス管理DB、107…LANI/F、108…LANへの接続端子、110…制御部、2…LAN、4…IP電話端末、401…LAN接続端子、402…LANI/F、403…パケット処理部、404…通話音声入出力I/F、405…ハンドセット接続端子、406…オンフック/オフフック検出部、407…リンガ、408…操作入力部、409…操作入力I/F、410…電話帳メモリ、411…外部端子、412…外部I/F、413…充電電流供給回路、414…ACコンセント、415…ディスプレイコントローラ、416…ディスプレイ、421…発信等処理部、422…端末表示制御部、430…制御部、440…ハンドセット、5…携帯電話端末、501…送受信アンテナ、502…電話通信部、503…送受信信号処理部、504…通話音声処理部、505…受話アンプ、506…受話器(スピーカ)、507…送話器(マイクロホン)、508…送話アンプ、510…電話帳メモリ、511…情報通知処理部、512…表示情報処理部、521…操作入力部、522…操作入力I/F、523…ディスプレイコントローラ、524…ディスプレイ、525…リンガ、531…外部端子、532…外部I/F、533…充電回路、534…バッテリ、540…制御部、6…IP網、7…電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
前記表示手段への表示情報の表示処理を制御する表示制御手段と、
ユーザからの発信操作を受け付ける受付手段と、
前記表示手段にネットワーク上に格納するようにされている表示情報が、前記表示制御手段によって表示されているときに、前記受付手段を通じて発信操作を受け付けた場合に、前記表示情報の前記ネットワーク上における所在を示す情報を、発信メッセージに含めて通信の相手先に対する発信を行う発信処理手段と
を備えることを特徴とする電話通信端末。
【請求項2】
請求項1に記載の電話通信端末であって、
通信の相手先との間における通信の履歴情報の表示指示を受け付ける表示指示受付手段と、
前記表示指示受付手段を通じて前記表示指示を受け付けた場合に、前記通信の相手先との間における通信の履歴情報を形成する履歴形成手段と、
前記履歴形成手段により形成された前記履歴情報を、前記表示手段に表示するようにする履歴情報表示処理手段と
を備えることを特徴とする電話通信端末。
【請求項3】
請求項1に記載の電話通信端末であって、
前記表示手段に表示する表示情報をネットワーク上に格納された他の表示情報に変更することの指示入力を受け付ける変更指示受付手段と、
前記変更指示受付手段を通じて前記指示入力を受け付けた場合に、指示された表示情報を前記ネットワーク上から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記表示情報を前記表示手段に表示するようにする表示情報表示処理手段と、
前記表示手段に新たな表示情報が表示された場合に、当該表示情報の前記ネットワーク上における所在を示す情報を確認メッセージに含めて、通話中の相手先に対して送信する送信手段と
を備えることを特徴とする電話通信端末。
【請求項4】
請求項1に記載の電話通信端末であって、
前記表示手段と前記表示制御手段とを備えた表示装置と、前記受付手段と前記発信処理手段とを備えると共に、ネットワークに接続するようにされるベース装置とからなり、
前記表示装置は、
前記ベース装置への接続を可能にする表示装置側接続端部と、
前記ベース装置からの発信操作が行われたことの通知を受け付ける発信通知受付手段と、
前記表示装置側接続端部を通じて前記ベース装置に接続され、前記表示制御手段により前記表示手段にネットワーク上に格納するようにされている表示情報が表示されているときに、前記発信通知受付手段を通じて前記ベース装置から発信操作が行われたことの通知を受け付けた場合に、前記表示情報のネットワーク上における所在を示す情報を前記ベース装置に提供する通知する通知手段を備え、
前記ベース装置は、
前記表示装置の接続を可能にするベース装置側接続端部と、
前記ベース装置側接続端部を通じて前記表示装置が接続されているときに、前記受付手段を通じて発信操作を受け付けた場合に、発信操作が行われたことの通知を形成して、前記表示装置に提供する発信通知提供手段と、
前記表示装置からの前記表示情報のネットワーク上における所在を示す情報の提供を受け付ける提供情報受付手段と
を備え、
前記発信処理手段は、前記提供情報受付手段を通じて受け付けた前記表示装置からの前記表示情報のネットワーク上における所在を示す情報を発信メッセージに含めて、通信の相手先に対して発信を行うことを特徴とする電話通信端末。
【請求項5】
ネットワークに接続するようにされるベース装置と、当該ベース装置に対して接続される表示装置とからなる電話通信端末の前記ベース装置であって、
前記表示装置の接続を可能にする接続端部と、
ユーザからの発信操作を受け付ける受付手段と、
前記接続端部を通じて前記表示装置が接続されているときに、前記受付手段を通じて発信操作を受け付けた場合に、発信操作が行われたことの通知を形成して、前記表示装置に提供する発信通知提供手段と、
前記表示装置からの前記表示情報のネットワーク上における所在を示す情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段を通じて受け付けた前記表示情報のネットワーク上における所在を示す情報を、発信メッセージに含めて通信の相手先に対する発信を行う発信処理手段と
を備えることを特徴とするベース装置。
【請求項6】
ネットワークに接続するようにされるベース装置と、当該ベース装置に対して接続される表示装置とからなる電話通信端末の前記ベース装置に搭載されたコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、
受付手段を通じてユーザからの発信操作を受け付ける受付ステップと、
接続端部を通じて前記表示装置が接続されているときに、前記受付ステップにおいて発信操作を受け付けた場合に、発信通知提供手段が、発信操作が行われたことの通知を形成して、前記表示装置に提供する発信通知提供ステップと、
前記通知に応じて前記表示装置から提供される前記表示情報のネットワーク上における所在を示す情報を、提供情報受付手段が受け付ける提供情報受付ステップと、
前記提供情報受付ステップにおいて受け付けた前記表示装置からの前記表示情報のネットワーク上における所在を示す情報を、発信処理手段が、発信メッセージに含めて通信の相手先に対して発信を行う発信処理ステップと
を実行することを特徴とする発信処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−55518(P2013−55518A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192606(P2011−192606)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】