電路システム用の導体
【課題】集電子と導体の摺接によるバリの発生が抑制され、且つ、摩耗や振動が増大するのが抑制される集電システム用の導体を提供する。
【解決手段】走行体の走行経路に沿って複数の導体1が所定の隣接間隔をあけて並設され、集電子を導体1に摺接させながら走行体が走行して導体より集電を行う電路システムの導体1である。集電子と摺接する摺接面11と、摺接面11に隣接する隣接面12とを有し、摺接面11と隣接面12との境界となる部分に、走行体の走行方向に所定の間隔Lをあけて複数の切れ込み13が形成される。複数の切れ込み13の所定の間隔Lは、所定の隣接間隔から所定の絶縁距離L2を減じた値の半分よりも小さい。
【解決手段】走行体の走行経路に沿って複数の導体1が所定の隣接間隔をあけて並設され、集電子を導体1に摺接させながら走行体が走行して導体より集電を行う電路システムの導体1である。集電子と摺接する摺接面11と、摺接面11に隣接する隣接面12とを有し、摺接面11と隣接面12との境界となる部分に、走行体の走行方向に所定の間隔Lをあけて複数の切れ込み13が形成される。複数の切れ込み13の所定の間隔Lは、所定の隣接間隔から所定の絶縁距離L2を減じた値の半分よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集電子が導体に摺接して集電を行う電路システム用の導体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行体の走行経路に沿って導体が設置され、走行体が該走行体に設けられる集電子を導体に摺接させながら走行し、導体より集電を行う電路システムが利用されている。
【0003】
導体は、長尺の導電性部材からなり、その一面が摺接面となるもので、この摺接面に走行体が備える集電子が摺接し、導体および集電子を介して走行体に設けられた電気機器に給電が行われる。
【0004】
このような集電システムにあっては、導体と集電子とが摺接するため、これらの摺接面が荒損し易いものである。すなわち、図12(a)に示すように、導体1と集電子2との摺接面は微視的にみれば凹凸面であり、両者が相互に摺接されることで、凸部81同士が接触して破壊され(すなわち摩耗し)、摩耗粉82となって摺接面間から排出される。その際、凸部81同士の原子が結合し合金化し易い金属である程、凝着(焼き付き)を生じ易く、凝着後に剪断によって一方の凸部81が小片となって他方の凸部81に移着する。移着が継続するうちに、小片が本体から分離されて独立した摩耗粉82となるものである。
【0005】
また、移着した小片が更に新たな凸部81を生成し、この移着の繰り返しによって、摺接面間では摩耗粉82が排出されずに成長し、図12(b)に示すようなバリ83が発生することがある。このバリ83は、摺接面間から両側へ押し出されるようにして生成され、導体1の長手方向に繊維状に繋がるように発生するものである。このように、長い線状のバリ83が発生すると、隣接して設置される他の相の導体1やアースとなるハウジング等に接触し、短絡、地絡が生じる惧れがある。そこで、この問題を解決するため、従来技術が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平3−97302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示される従来技術は、導体の摺接面に、該導体の長手方向と交差する方向に形成される溝が所定間隔で複数設けられるものである。これにより、摺接面間で発生するバリがこの溝の部分で切れて溝を跨いで長手方向に成長するのが防止され、バリによる短絡、地絡が防止されるものである。
【0008】
しかしながら、摺接面に溝が形成されていると、摺接面に溝が形成されていない場合に比べて、集電子と導体の摺接による摩耗や振動が増大してしまうものであった。
【0009】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、集電子と導体の摺接によるバリの発生が抑制され、且つ、摩耗や振動が増大するのが抑制される集電システム用の導体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成とする。
【0011】
走行体の走行経路に沿って複数の導体が所定の隣接間隔をあけて並設され、前記走行体が該走行体に設けられる集電子を前記導体に摺接させながら走行して前記導体より集電を行う電路システムに用いられる前記導体であって、前記集電子と摺接する摺接面と、前記摺接面に隣接する隣接面とを有し、前記摺接面と前記隣接面との境界となる部分に、前記走行体の走行方向に所定の間隔をあけて複数の切れ込みが形成され、前記所定の間隔は、前記所定の隣接間隔から所定の絶縁距離を減じた値の半分よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
また、走行体の走行経路に沿って導体を収容した絶縁シースが設けられ、前記走行体が該走行体に設けられる集電子を前記導体に摺接させながら走行して前記導体より集電を行う電路システムに用いられる前記導体であって、前記集電子と摺接する摺接面と、前記摺接面に隣接する隣接面とを有し、前記摺接面と前記隣接面との境界となる部分に、前記走行体の走行方向に所定の間隔をあけて複数の切れ込みが形成され、前記所定の間隔は、前記絶縁シースの幅から導体の幅を減じた値の半分よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
また、16.8mmの隣接間隔をあけて複数の前記導体が並設され、前記所定の間隔は、前記16.8mmの隣接間隔から9mmの絶縁距離を減じた値の半分である3.9mmよりも小さいことが好ましい。
【0014】
また、9mmの隣接間隔をあけて複数の前記導体が並設され、前記所定の間隔は、前記9mmの隣接間隔から6mmの絶縁距離を減じた値の半分である1.5mmよりも小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明にあっては、集電子と導体の摺接によるバリの発生が抑制され、且つ、摩耗や振動が増大するのが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の導体を示し、(a)は側面図であり、(b)は下面図であり、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図2】電路システムと搬送システムと走行体の一部を示す斜視図である。
【図3】電路システムと搬送システムと走行体を示す一部断面図である。
【図4】電路システムのハウジングレールの内部の絶縁シースと導体とを透視した斜視図である。
【図5】(a)は同上の実施形態における絶縁シースと導体とを収容したハウジングレールの断面図であり、(b)は(a)において隣接する導体の絶縁距離を説明する拡大図である。
【図6】他の実施形態における絶縁シースと導体とを収容したハウジングレールの断面図である。
【図7】さらに他の実施形態の導体とこれを収容する絶縁シースの断面図である。
【図8】さらに他の実施形態の導体の断面図である。
【図9】さらに他の実施形態の集電子の斜視図である。
【図10】さらに他の実施形態の集電子の斜視図である。
【図11】さらに他の実施形態の集電子の斜視図である。
【図12】従来例である電路システム用の導体と集電子との摺接状態を示し、(a)は相互摺接面からの摩耗粉の排出を説明する断面図であり、(b)は相互摺接面でのバリの発生を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0018】
電路システムは、走行体の走行経路に沿って導体が設置され、走行体が該走行体に設けられる集電子を導体に摺接させながら走行することで、導体より集電を行うものである。本実施形態では、図2、図3に示すように、所定の走行経路に沿って設置された搬送レール71を走行体3が走行する搬送システム7が設けられ、この搬送システム7に電路システムが並設されている。
【0019】
走行体3としては、クレーンやホイスト、製造ラインや検査ライン等において移動する部材をはじめとする様々な移動体が挙げられ、本実施形態では電気機器4として電動ホイストを備えたものであるが、特に限定されない。
【0020】
本実施形態では、建屋の走行体3の走行経路の上側の部分に架設バー70が設けられ、この架設バー70に、搬送システム7の搬送レール71と、電路システムのハウジングレール61とが吊り下げられる。
【0021】
搬送レール71には、走行体3の本体30が走行自在に支持されるとともに、ハウジングレール61には走行体3の一部でありトロリーとなる集電装置5が走行自在に支持される。走行体3の本体30は、電気機器4が設けられるとともに、牽引アーム31を介して集電装置5と連結されており、本体30の走行に伴って集電装置5も走行される。
【0022】
ハウジングレール61は、図3、図4に示すように、下方へ開口する鋼板製型材で形成されるアースとなるもので、その下方への開口縁部に集電子ホルダ51が走行自在に支持される。ハウジングレール61の内部の上部には、絶縁材料からなり、一方(図では下方)に開口する絶縁シース62が設けられ、この絶縁シース62に導体1が固定される。
【0023】
導体1は、図1に示すように、長尺の導電性部材で形成され、その一面が集電子2と摺接する摺接面11となるもので、本実施形態では、銅やその他の単体金属や合金で形成される、所定の断面形状を有する型材にて構成される。導体1の断面形状は特に限定されないが、本実施形態ではフランジ部101とウェブ部102とからなる略H形をしている。そして、一方のフランジ部101の外面(ウェブ部102と反対側の面)が摺接面11となるとともに、フランジ部101の両側の側面が摺接面11に隣接して連続する隣接面12となる。この導体1は、図5(a)に示すように、複数が所定の隣接間隔L1をあけて並設され、且つ、各摺接面11が下方を向くように絶縁シース62に固定されるもので、本実施形態では、3本の導体1が、16.8mmの隣接間隔L1をあけて並設されている。そして、この摺接面11に下方より集電子2が摺接する。
【0024】
集電子2は、図3に示すように、集電装置5の上端部に設けられる集電子ホルダ51により保持され、その摺接面21が導体1の摺接面11を向くように(本実施形態では上方を向くように)固定される。
【0025】
そして、図1に示すように、導体1の摺接面11と隣接面12との境界となる部分に、所定の間隔Lをあけて複数の切れ込み13が形成されるものである。切れ込み13は、導体1の長手方向、すなわち、摺接面11に摺接する走行体3の走行方向に所定の間隔Lをあけて複数形成されるものである。ここで、所定の間隔Lは、電路システムにて給電する電流・電圧により定まる所定の絶縁距離L2に応じて決定される。ここで、本実施形態での絶縁距離L2とは、図5(b)に示すように、隣接する導体1から互いに対向する方向に後述する長さLのバリ83が発生した場合に、バリ83同士の間に形成される隙間の長さをいうものとする。図5に示す本実施形態の電路システムにおいては、定格電流が100A以下で、定格電圧が300Vを超え600V以下であり、この場合の所定の絶縁距離L2は、JIS規格の場合には9mmである(日本規格協会著、「JISハンドブック2011(19)電気設備I」、C8373トロリーバスダクト、2347頁の表3参照)。そして、所定の間隔Lが、所定の隣接間隔L1から所定の絶縁距離L2を減じた値の半分よりも小さい値に設定される。本実施形態では、所定の間隔L<(16.8mm−9mm)/2=3.9mmとなるように設定されればよいが、さらに余裕分(本実施形態では0.1mm)を減じて所定の間隔L<3.8mmとなるように設定されるのが好ましい。なお、余裕分の長さは0.1mmに限定されない。
【0026】
摺接面11、21が相互に摺接されると、凝着後に剪断によって移着が発生して、図5(b)に示すようにバリ83が発生することがある。本実施形態では、バリ83が発生する導体1の摺接面11と隣接面12との境界となる部分に切れ込み13が設けられているため、切れ込み13を跨いで長手方向にバリ83が成長するのが防止される。すなわち、バリ83は、切れ込み13の間隔(すなわち所定の間隔L)を超える長さには成長し難いものである。そして、所定の間隔Lが、所定の隣接間隔L1から所定の絶縁距離L2を減じた値の半分よりも小さい値に設定されるため、隣接する導体1、1のバリ83同士が互いに対向するように伸びても、その間には所定の絶縁距離L2以上の隙間がある。これにより、たとえ導体1にバリ83が発生しても、バリ83の間には所定の絶縁距離L2が確保され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。また、集電子2が摺接面11を摺接する時に発生する摩耗や振動は、摺接面11に溝が形成されている場合のように大きくない。
【0027】
次に、他の実施形態について図6に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。本実施形態は、導体1の本数と、所定の間隔Lと、所定の隣接間隔L1と、所定の絶縁距離L2とが上記実施形態と異なる。
【0028】
すなわち、本実施形態の電路システムにおいては、定格電流が100A以下、定格電圧が300V以下であり、この場合の所定の絶縁距離L2は、JIS規格の場合には6mmである。また、5本の導体1が、9mmの隣接間隔L1をあけて並設されている。この時、所定の間隔L<(9mm−6mm)/2=1.5mmとなるように設定されればよいが、さらに余裕分(本実施形態では0.1mm)を減じて所定の間隔L<1.4mmとなるように設定されるのが好ましいものである。なお、余裕分の長さは0.1mmに限定されない。これにより、上記実施形態と同様の効果が得られるものである。
【0029】
次に、さらに他の実施形態について図7に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0030】
本実施形態は、導体1は複数設けられる必要はなく、この導体1が収容される絶縁シース62の幅L3(長手方向と直交する長さ)と、導体1の幅L4(長手方向と直交する長さ)とにより、所定の間隔Lが設定される。具体的には、所定の間隔Lは、絶縁シース62の幅L3から導体1の幅L4を減じた値の半分よりも小さい値(すなわちL<(L3−L4)/2)に設定される。
【0031】
導体1を収容した絶縁シース62の開口方向には、走行する集電子2を避けるため特に部材は設けられないが、絶縁シース62の幅方向の外側には、導電性を有する部材(不図示)が設けられる場合がある。このような場合でも、上記のように所定の間隔Lが設定されることで、導体1の幅方向の外側にバリ83が成長しても、絶縁シース62の幅方向の外側には至らない。これにより、絶縁シース62の外側の導電性を有する部材と導体1のバリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【0032】
次に、さらに他の実施形態について図8に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0033】
本実施形態は、走行体3の走行経路に沿って導体1が設置され、走行体3が該走行体3に設けられる集電子2を導体1に摺接させながら走行して導体1より集電を行う電路システムに用いられる導体1についてのものである。そして、集電子2と摺接する摺接面11が凸曲面となるように形成することに特徴を有するものである。これにより、集電子2と導体1の摺接する面積を小さくすることができ、バリ83の成長が抑制され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【0034】
次に、さらに他の実施形態について図9に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0035】
本実施形態は、走行体3の走行経路に沿って導体1が設置され、走行体3が該走行体3に設けられる集電子2を導体1に摺接させながら走行して導体1より集電を行う電路システムに用いられる集電子2についてのものである。そして、導体1と摺接する摺接面21が凸曲面となるように形成することに特徴を有するものである。なお、図中の符号52は、集電子2を導体1に押圧するためのばねからなる付勢部材である。これにより、集電子2と導体1の摺接する面積を小さくすることができ、バリ83の成長が抑制され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【0036】
次に、さらに他の実施形態について図10に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0037】
本実施形態は、走行体3の走行経路に沿って導体1が設置され、走行体3が該走行体3に設けられる集電子2を導体1に摺接させながら走行して導体1より集電を行う電路システムに用いられる集電子2についてのものである。そして、導体1と摺接する摺接面21と、摺接面21に隣接する隣接面とを有し、摺接面21と隣接面との境界となる部分に、走行方向全長に亘って切欠22が形成されることに特徴を有するものである。これにより、集電子2と導体1の摺接する面積を小さくすることができ、バリ83の成長が抑制され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【0038】
次に、さらに他の実施形態について図11に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0039】
本実施形態は、走行体3の走行経路に沿って導体1が設置され、走行体3が該走行体3に設けられる集電子2を導体1に摺接させながら走行して導体1より集電を行う電路システムに用いられる集電子2についてのものである。そして、導体1と摺接する摺接面21に、固形潤滑剤23が露出するように埋設されるものである。これにより、摺接面11、21間に潤滑剤が供給されて、摺接面11、21間におけるバリ83の成長が抑制され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【0040】
次に、さらに他の実施形態について基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0041】
本実施形態は、走行体3の走行経路に沿って導体1が設置され、走行体3が該走行体3に設けられる集電子2を導体1に摺接させながら走行して導体1より集電を行う電路システムに用いられる導体1についてのものである。そして、集電子2と摺接する摺接面11に、固形潤滑剤が露出するように埋設されるものである。これにより、摺接面11、21間に潤滑剤が供給されて、摺接面11、21間におけるバリ83の成長が抑制され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 導体
101 フランジ部
102 ウェブ部
11 摺接面
12 隣接面
13 切れ込み
2 集電子
21 摺接面
22 切欠
23 固形潤滑剤
3 走行体
30 本体
31 牽引アーム
4 電気機器
5 集電装置
51 集電子ホルダ
61 ハウジングレール
62 絶縁シース
7 搬送システム
L 所定の間隔
L1 所定の隣接間隔
L2 所定の絶縁距離
【技術分野】
【0001】
本発明は、集電子が導体に摺接して集電を行う電路システム用の導体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行体の走行経路に沿って導体が設置され、走行体が該走行体に設けられる集電子を導体に摺接させながら走行し、導体より集電を行う電路システムが利用されている。
【0003】
導体は、長尺の導電性部材からなり、その一面が摺接面となるもので、この摺接面に走行体が備える集電子が摺接し、導体および集電子を介して走行体に設けられた電気機器に給電が行われる。
【0004】
このような集電システムにあっては、導体と集電子とが摺接するため、これらの摺接面が荒損し易いものである。すなわち、図12(a)に示すように、導体1と集電子2との摺接面は微視的にみれば凹凸面であり、両者が相互に摺接されることで、凸部81同士が接触して破壊され(すなわち摩耗し)、摩耗粉82となって摺接面間から排出される。その際、凸部81同士の原子が結合し合金化し易い金属である程、凝着(焼き付き)を生じ易く、凝着後に剪断によって一方の凸部81が小片となって他方の凸部81に移着する。移着が継続するうちに、小片が本体から分離されて独立した摩耗粉82となるものである。
【0005】
また、移着した小片が更に新たな凸部81を生成し、この移着の繰り返しによって、摺接面間では摩耗粉82が排出されずに成長し、図12(b)に示すようなバリ83が発生することがある。このバリ83は、摺接面間から両側へ押し出されるようにして生成され、導体1の長手方向に繊維状に繋がるように発生するものである。このように、長い線状のバリ83が発生すると、隣接して設置される他の相の導体1やアースとなるハウジング等に接触し、短絡、地絡が生じる惧れがある。そこで、この問題を解決するため、従来技術が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平3−97302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示される従来技術は、導体の摺接面に、該導体の長手方向と交差する方向に形成される溝が所定間隔で複数設けられるものである。これにより、摺接面間で発生するバリがこの溝の部分で切れて溝を跨いで長手方向に成長するのが防止され、バリによる短絡、地絡が防止されるものである。
【0008】
しかしながら、摺接面に溝が形成されていると、摺接面に溝が形成されていない場合に比べて、集電子と導体の摺接による摩耗や振動が増大してしまうものであった。
【0009】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、集電子と導体の摺接によるバリの発生が抑制され、且つ、摩耗や振動が増大するのが抑制される集電システム用の導体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成とする。
【0011】
走行体の走行経路に沿って複数の導体が所定の隣接間隔をあけて並設され、前記走行体が該走行体に設けられる集電子を前記導体に摺接させながら走行して前記導体より集電を行う電路システムに用いられる前記導体であって、前記集電子と摺接する摺接面と、前記摺接面に隣接する隣接面とを有し、前記摺接面と前記隣接面との境界となる部分に、前記走行体の走行方向に所定の間隔をあけて複数の切れ込みが形成され、前記所定の間隔は、前記所定の隣接間隔から所定の絶縁距離を減じた値の半分よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
また、走行体の走行経路に沿って導体を収容した絶縁シースが設けられ、前記走行体が該走行体に設けられる集電子を前記導体に摺接させながら走行して前記導体より集電を行う電路システムに用いられる前記導体であって、前記集電子と摺接する摺接面と、前記摺接面に隣接する隣接面とを有し、前記摺接面と前記隣接面との境界となる部分に、前記走行体の走行方向に所定の間隔をあけて複数の切れ込みが形成され、前記所定の間隔は、前記絶縁シースの幅から導体の幅を減じた値の半分よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
また、16.8mmの隣接間隔をあけて複数の前記導体が並設され、前記所定の間隔は、前記16.8mmの隣接間隔から9mmの絶縁距離を減じた値の半分である3.9mmよりも小さいことが好ましい。
【0014】
また、9mmの隣接間隔をあけて複数の前記導体が並設され、前記所定の間隔は、前記9mmの隣接間隔から6mmの絶縁距離を減じた値の半分である1.5mmよりも小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明にあっては、集電子と導体の摺接によるバリの発生が抑制され、且つ、摩耗や振動が増大するのが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の導体を示し、(a)は側面図であり、(b)は下面図であり、(c)は(b)のA−A断面図である。
【図2】電路システムと搬送システムと走行体の一部を示す斜視図である。
【図3】電路システムと搬送システムと走行体を示す一部断面図である。
【図4】電路システムのハウジングレールの内部の絶縁シースと導体とを透視した斜視図である。
【図5】(a)は同上の実施形態における絶縁シースと導体とを収容したハウジングレールの断面図であり、(b)は(a)において隣接する導体の絶縁距離を説明する拡大図である。
【図6】他の実施形態における絶縁シースと導体とを収容したハウジングレールの断面図である。
【図7】さらに他の実施形態の導体とこれを収容する絶縁シースの断面図である。
【図8】さらに他の実施形態の導体の断面図である。
【図9】さらに他の実施形態の集電子の斜視図である。
【図10】さらに他の実施形態の集電子の斜視図である。
【図11】さらに他の実施形態の集電子の斜視図である。
【図12】従来例である電路システム用の導体と集電子との摺接状態を示し、(a)は相互摺接面からの摩耗粉の排出を説明する断面図であり、(b)は相互摺接面でのバリの発生を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0018】
電路システムは、走行体の走行経路に沿って導体が設置され、走行体が該走行体に設けられる集電子を導体に摺接させながら走行することで、導体より集電を行うものである。本実施形態では、図2、図3に示すように、所定の走行経路に沿って設置された搬送レール71を走行体3が走行する搬送システム7が設けられ、この搬送システム7に電路システムが並設されている。
【0019】
走行体3としては、クレーンやホイスト、製造ラインや検査ライン等において移動する部材をはじめとする様々な移動体が挙げられ、本実施形態では電気機器4として電動ホイストを備えたものであるが、特に限定されない。
【0020】
本実施形態では、建屋の走行体3の走行経路の上側の部分に架設バー70が設けられ、この架設バー70に、搬送システム7の搬送レール71と、電路システムのハウジングレール61とが吊り下げられる。
【0021】
搬送レール71には、走行体3の本体30が走行自在に支持されるとともに、ハウジングレール61には走行体3の一部でありトロリーとなる集電装置5が走行自在に支持される。走行体3の本体30は、電気機器4が設けられるとともに、牽引アーム31を介して集電装置5と連結されており、本体30の走行に伴って集電装置5も走行される。
【0022】
ハウジングレール61は、図3、図4に示すように、下方へ開口する鋼板製型材で形成されるアースとなるもので、その下方への開口縁部に集電子ホルダ51が走行自在に支持される。ハウジングレール61の内部の上部には、絶縁材料からなり、一方(図では下方)に開口する絶縁シース62が設けられ、この絶縁シース62に導体1が固定される。
【0023】
導体1は、図1に示すように、長尺の導電性部材で形成され、その一面が集電子2と摺接する摺接面11となるもので、本実施形態では、銅やその他の単体金属や合金で形成される、所定の断面形状を有する型材にて構成される。導体1の断面形状は特に限定されないが、本実施形態ではフランジ部101とウェブ部102とからなる略H形をしている。そして、一方のフランジ部101の外面(ウェブ部102と反対側の面)が摺接面11となるとともに、フランジ部101の両側の側面が摺接面11に隣接して連続する隣接面12となる。この導体1は、図5(a)に示すように、複数が所定の隣接間隔L1をあけて並設され、且つ、各摺接面11が下方を向くように絶縁シース62に固定されるもので、本実施形態では、3本の導体1が、16.8mmの隣接間隔L1をあけて並設されている。そして、この摺接面11に下方より集電子2が摺接する。
【0024】
集電子2は、図3に示すように、集電装置5の上端部に設けられる集電子ホルダ51により保持され、その摺接面21が導体1の摺接面11を向くように(本実施形態では上方を向くように)固定される。
【0025】
そして、図1に示すように、導体1の摺接面11と隣接面12との境界となる部分に、所定の間隔Lをあけて複数の切れ込み13が形成されるものである。切れ込み13は、導体1の長手方向、すなわち、摺接面11に摺接する走行体3の走行方向に所定の間隔Lをあけて複数形成されるものである。ここで、所定の間隔Lは、電路システムにて給電する電流・電圧により定まる所定の絶縁距離L2に応じて決定される。ここで、本実施形態での絶縁距離L2とは、図5(b)に示すように、隣接する導体1から互いに対向する方向に後述する長さLのバリ83が発生した場合に、バリ83同士の間に形成される隙間の長さをいうものとする。図5に示す本実施形態の電路システムにおいては、定格電流が100A以下で、定格電圧が300Vを超え600V以下であり、この場合の所定の絶縁距離L2は、JIS規格の場合には9mmである(日本規格協会著、「JISハンドブック2011(19)電気設備I」、C8373トロリーバスダクト、2347頁の表3参照)。そして、所定の間隔Lが、所定の隣接間隔L1から所定の絶縁距離L2を減じた値の半分よりも小さい値に設定される。本実施形態では、所定の間隔L<(16.8mm−9mm)/2=3.9mmとなるように設定されればよいが、さらに余裕分(本実施形態では0.1mm)を減じて所定の間隔L<3.8mmとなるように設定されるのが好ましい。なお、余裕分の長さは0.1mmに限定されない。
【0026】
摺接面11、21が相互に摺接されると、凝着後に剪断によって移着が発生して、図5(b)に示すようにバリ83が発生することがある。本実施形態では、バリ83が発生する導体1の摺接面11と隣接面12との境界となる部分に切れ込み13が設けられているため、切れ込み13を跨いで長手方向にバリ83が成長するのが防止される。すなわち、バリ83は、切れ込み13の間隔(すなわち所定の間隔L)を超える長さには成長し難いものである。そして、所定の間隔Lが、所定の隣接間隔L1から所定の絶縁距離L2を減じた値の半分よりも小さい値に設定されるため、隣接する導体1、1のバリ83同士が互いに対向するように伸びても、その間には所定の絶縁距離L2以上の隙間がある。これにより、たとえ導体1にバリ83が発生しても、バリ83の間には所定の絶縁距離L2が確保され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。また、集電子2が摺接面11を摺接する時に発生する摩耗や振動は、摺接面11に溝が形成されている場合のように大きくない。
【0027】
次に、他の実施形態について図6に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。本実施形態は、導体1の本数と、所定の間隔Lと、所定の隣接間隔L1と、所定の絶縁距離L2とが上記実施形態と異なる。
【0028】
すなわち、本実施形態の電路システムにおいては、定格電流が100A以下、定格電圧が300V以下であり、この場合の所定の絶縁距離L2は、JIS規格の場合には6mmである。また、5本の導体1が、9mmの隣接間隔L1をあけて並設されている。この時、所定の間隔L<(9mm−6mm)/2=1.5mmとなるように設定されればよいが、さらに余裕分(本実施形態では0.1mm)を減じて所定の間隔L<1.4mmとなるように設定されるのが好ましいものである。なお、余裕分の長さは0.1mmに限定されない。これにより、上記実施形態と同様の効果が得られるものである。
【0029】
次に、さらに他の実施形態について図7に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0030】
本実施形態は、導体1は複数設けられる必要はなく、この導体1が収容される絶縁シース62の幅L3(長手方向と直交する長さ)と、導体1の幅L4(長手方向と直交する長さ)とにより、所定の間隔Lが設定される。具体的には、所定の間隔Lは、絶縁シース62の幅L3から導体1の幅L4を減じた値の半分よりも小さい値(すなわちL<(L3−L4)/2)に設定される。
【0031】
導体1を収容した絶縁シース62の開口方向には、走行する集電子2を避けるため特に部材は設けられないが、絶縁シース62の幅方向の外側には、導電性を有する部材(不図示)が設けられる場合がある。このような場合でも、上記のように所定の間隔Lが設定されることで、導体1の幅方向の外側にバリ83が成長しても、絶縁シース62の幅方向の外側には至らない。これにより、絶縁シース62の外側の導電性を有する部材と導体1のバリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【0032】
次に、さらに他の実施形態について図8に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0033】
本実施形態は、走行体3の走行経路に沿って導体1が設置され、走行体3が該走行体3に設けられる集電子2を導体1に摺接させながら走行して導体1より集電を行う電路システムに用いられる導体1についてのものである。そして、集電子2と摺接する摺接面11が凸曲面となるように形成することに特徴を有するものである。これにより、集電子2と導体1の摺接する面積を小さくすることができ、バリ83の成長が抑制され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【0034】
次に、さらに他の実施形態について図9に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0035】
本実施形態は、走行体3の走行経路に沿って導体1が設置され、走行体3が該走行体3に設けられる集電子2を導体1に摺接させながら走行して導体1より集電を行う電路システムに用いられる集電子2についてのものである。そして、導体1と摺接する摺接面21が凸曲面となるように形成することに特徴を有するものである。なお、図中の符号52は、集電子2を導体1に押圧するためのばねからなる付勢部材である。これにより、集電子2と導体1の摺接する面積を小さくすることができ、バリ83の成長が抑制され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【0036】
次に、さらに他の実施形態について図10に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0037】
本実施形態は、走行体3の走行経路に沿って導体1が設置され、走行体3が該走行体3に設けられる集電子2を導体1に摺接させながら走行して導体1より集電を行う電路システムに用いられる集電子2についてのものである。そして、導体1と摺接する摺接面21と、摺接面21に隣接する隣接面とを有し、摺接面21と隣接面との境界となる部分に、走行方向全長に亘って切欠22が形成されることに特徴を有するものである。これにより、集電子2と導体1の摺接する面積を小さくすることができ、バリ83の成長が抑制され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【0038】
次に、さらに他の実施形態について図11に基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0039】
本実施形態は、走行体3の走行経路に沿って導体1が設置され、走行体3が該走行体3に設けられる集電子2を導体1に摺接させながら走行して導体1より集電を行う電路システムに用いられる集電子2についてのものである。そして、導体1と摺接する摺接面21に、固形潤滑剤23が露出するように埋設されるものである。これにより、摺接面11、21間に潤滑剤が供給されて、摺接面11、21間におけるバリ83の成長が抑制され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【0040】
次に、さらに他の実施形態について基いて説明する。なお、上記実施形態と同じ構成については説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0041】
本実施形態は、走行体3の走行経路に沿って導体1が設置され、走行体3が該走行体3に設けられる集電子2を導体1に摺接させながら走行して導体1より集電を行う電路システムに用いられる導体1についてのものである。そして、集電子2と摺接する摺接面11に、固形潤滑剤が露出するように埋設されるものである。これにより、摺接面11、21間に潤滑剤が供給されて、摺接面11、21間におけるバリ83の成長が抑制され、バリ83による短絡、地絡が防止されるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 導体
101 フランジ部
102 ウェブ部
11 摺接面
12 隣接面
13 切れ込み
2 集電子
21 摺接面
22 切欠
23 固形潤滑剤
3 走行体
30 本体
31 牽引アーム
4 電気機器
5 集電装置
51 集電子ホルダ
61 ハウジングレール
62 絶縁シース
7 搬送システム
L 所定の間隔
L1 所定の隣接間隔
L2 所定の絶縁距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体の走行経路に沿って複数の導体が所定の隣接間隔をあけて並設され、前記走行体が該走行体に設けられる集電子を前記導体に摺接させながら走行して前記導体より集電を行う電路システムに用いられる前記導体であって、前記集電子と摺接する摺接面と、前記摺接面に隣接する隣接面とを有し、前記摺接面と前記隣接面との境界となる部分に、前記走行体の走行方向に所定の間隔をあけて複数の切れ込みが形成され、前記所定の間隔は、前記所定の隣接間隔から所定の絶縁距離を減じた値の半分よりも小さいことを特徴とする電路システム用の導体。
【請求項2】
走行体の走行経路に沿って導体を収容した絶縁シースが設けられ、前記走行体が該走行体に設けられる集電子を前記導体に摺接させながら走行して前記導体より集電を行う電路システムに用いられる前記導体であって、前記集電子と摺接する摺接面と、前記摺接面に隣接する隣接面とを有し、前記摺接面と前記隣接面との境界となる部分に、前記走行体の走行方向に所定の間隔をあけて複数の切れ込みが形成され、前記所定の間隔は、前記絶縁シースの幅から導体の幅を減じた値の半分よりも小さいことを特徴とする電路システム用の導体。
【請求項3】
16.8mmの隣接間隔をあけて複数の前記導体が並設され、前記所定の間隔は、前記16.8mmの隣接間隔から9mmの絶縁距離を減じた値の半分である3.9mmよりも小さいことを特徴とする請求項1または2記載の電路システム用の導体。
【請求項4】
9mmの隣接間隔をあけて複数の前記導体が並設され、前記所定の間隔は、前記9mmの隣接間隔から6mmの絶縁距離を減じた値の半分である1.5mmよりも小さいことを特徴とする請求項1または2記載の電路システム用の導体。
【請求項1】
走行体の走行経路に沿って複数の導体が所定の隣接間隔をあけて並設され、前記走行体が該走行体に設けられる集電子を前記導体に摺接させながら走行して前記導体より集電を行う電路システムに用いられる前記導体であって、前記集電子と摺接する摺接面と、前記摺接面に隣接する隣接面とを有し、前記摺接面と前記隣接面との境界となる部分に、前記走行体の走行方向に所定の間隔をあけて複数の切れ込みが形成され、前記所定の間隔は、前記所定の隣接間隔から所定の絶縁距離を減じた値の半分よりも小さいことを特徴とする電路システム用の導体。
【請求項2】
走行体の走行経路に沿って導体を収容した絶縁シースが設けられ、前記走行体が該走行体に設けられる集電子を前記導体に摺接させながら走行して前記導体より集電を行う電路システムに用いられる前記導体であって、前記集電子と摺接する摺接面と、前記摺接面に隣接する隣接面とを有し、前記摺接面と前記隣接面との境界となる部分に、前記走行体の走行方向に所定の間隔をあけて複数の切れ込みが形成され、前記所定の間隔は、前記絶縁シースの幅から導体の幅を減じた値の半分よりも小さいことを特徴とする電路システム用の導体。
【請求項3】
16.8mmの隣接間隔をあけて複数の前記導体が並設され、前記所定の間隔は、前記16.8mmの隣接間隔から9mmの絶縁距離を減じた値の半分である3.9mmよりも小さいことを特徴とする請求項1または2記載の電路システム用の導体。
【請求項4】
9mmの隣接間隔をあけて複数の前記導体が並設され、前記所定の間隔は、前記9mmの隣接間隔から6mmの絶縁距離を減じた値の半分である1.5mmよりも小さいことを特徴とする請求項1または2記載の電路システム用の導体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−107526(P2013−107526A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254844(P2011−254844)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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