説明

電飾広告、電飾ショーケースおよびこれらに用いる立体照明

【課題】多面発光が可能で、意匠性にも優れ、コンパクトで軽くできる電飾広告を提供する。
【解決手段】光源1と、前記光源1からの光を受光する一以上の立体構造物2からなる発光体3とを有してなり、前記立体構造物2はレンズシートから構成され内部が空洞であり、前記発光体3上の少なくとも一部に画像部4を有するように構成する。好ましくは、前記立体構造物2が、水平方向及び/又は垂直方向に複数配置されてなるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電飾広告電飾ショーケースおよびそれに用いる立体照明に関する。
【背景技術】
【0002】
繁華街、地下道には多数の電飾広告があふれている。このような電飾広告は、光源と、拡散板及び/又は導光板とからなるバックライトと、バックライト上に設置する広告媒体と、これらを組み込む筐体などから構成されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−273433号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これら従来の電飾広告は、発光面が限られること、意匠性に乏しいこと、装置が大掛かり重くなること、などの欠点がある。
【0005】
そこで本発明は、多面発光が可能で、意匠性にも優れ、コンパクトで軽くできる電飾広告を提供することを目的とする。あわせて、本発明は、特に本発明の電飾広告に好適に用いられる立体照明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の電飾広告は、光源と、前記光源からの光を受光する一以上の立体構造物からなる発光体とを有してなり、前記立体構造物はレンズシートから構成され内部が空洞であり、前記発光体上の少なくとも一部に画像部を有することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の電飾広告は、好ましくは、前記立体構造物が、水平方向及び/又は垂直方向に複数配置されてなることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の電飾広告は、前記立体構造物のレンズシートは、レンズ面が内側に向いていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の電飾ショーケースは、光源と、前記光源からの光を受光する一以上の立体構造物からなる発光体とを有してなり、前記立体構造物はレンズシートから構成され内部が空洞であり、前記立体構造物の少なくとも一つの内部に展示物を設置してなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の立体照明は、光源と、前記光源からの光を受光する一以上の立体構造物からなる発光体とを有してなり、前記立体構造物はレンズシートから構成され内部が空洞であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電飾広告は、多面発光が可能で、意匠性にも優れ、コンパクトで軽くできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の電飾広告の一実施例を示す正面図
【図2】本発明の電飾広告の他の実施例を示す側面図
【図3】本発明の電飾広告の他の実施例を示す側面からの断面図
【図4】本発明の電飾広告に用いられる立体構造物の断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、本発明の電飾広告について説明する。本発明の電飾広告は、光源と、前記光源からの光を受光する一以上の立体構造物からなる発光体とを有してなり、前記立体構造物はレンズシートから構成され内部が空洞であり、前記発光体上の少なくとも一部に画像部を有することを特徴とするものである。以下、本発明の電飾広告の実施の形態について説明する。
【0014】
光源としては、LEDや冷陰極管などがあげられる。これらの中でもLEDは、レンズシートのレンズ作用により、光がきらびやかな印象となり電飾広告とした際の意匠性に優れる点で好ましい。光源は1つだけでも良いが、複数設けてもよく、LED光源を複数設けた場合には、前記意匠性の効果がより発揮される点で好ましい。LED、冷陰極管は従来公知のものを使用することができる。
【0015】
光源1はシャーシ11で覆われていてもよい(図2)。シャーシ11を用いる場合、シャーシ内には図示しない反射シートが設置されていることが好ましい。
【0016】
なお、図1、2では発光体3の一つの面側に光源1を設置しているが、発光体3の複数の面側に設置してもよいし、図3のように発光体3を構成する立体構造物2の内部に設置しても構わない。また、図示しないが、光源1は、立体構造物どうしの間や、立体構造物の辺に沿って設置されていてもよい。このように、立体構造物からなる発光体が光を受光できる位置であれば、光源の位置は特に問わない。
【0017】
発光体は一以上の立体構造物からなる。このような立体構造物からなる発光体は、光源からの光を受光してレンズシートのレンズ作用により多面発光し、かつ透明感があるため、水晶もしくはダイヤモンドのような外観となり、優れた意匠性を発揮できるものとなる。
【0018】
立体構造物2はレンズシート21から構成され、レンズシート21に囲まれる内部が空洞22であるものである(図4)。
【0019】
立体構造物は、本発明の効果を好適に発揮するために、立体構造物を構成する面の50%以上がレンズシートで構成されていることが好ましく、80%以上がレンズシート21で構成されていることがより好ましく、全てがレンズシートで構成されていることがさらに好ましい。
【0020】
なお、立体構造物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の面の一部分が他の材料から構成されていても良い。例えば、6面体の任意の1面の一部分が他の材料から構成されていてもよい。他の材料が占める面積は、当該面の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
【0021】
また、立体構造物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の面の全体が他の材料で構成されていたり、ブランクであってもよい(たとえば図3の底面のようなブランク)。ただし、全体が他の材料から構成されている面あるいはブランクの面は、光源と面する面か、床などの他の面と接する面であるか、別の立体構造物と接する面とすることが好ましい。
【0022】
立体構造物は、水平方向及び/又は垂直方向に複数配置されることが好ましい。立体構造物は単一の大きなものとしてもよいが、複数の立体構造物を組み合わせることにより、電飾広告の大きさ、形状を設計しやすくすることができるとともに、複数の水晶やダイヤモンドが集まったような外観となり、意匠性をより良好にすることができる。
【0023】
立体構造物の具体的形状は、立方体、直方体、円柱、多角柱、円錐、多角錐、球などがあげられる。これらの中でも、積み重ねた際に面どうしが接触する立方体、直方体、円柱、多角柱などは、光源からの光を垂直方向に伝播しやすい点で好ましい。また、並列した際に面どうしが接触する立方体、直方体、多角柱などは、光源からの光を水平方向に伝播しやすい点で好ましい。なお、異なる形状の立体構造物を組み合わせてもよい。
【0024】
個々の立体構造物もしくは立体構造物が集合した発光体は、ガラスなどの透明体で挟み込まれていても良い。このようにすることで、意匠性を損なうことなく、立体構造物を構成するレンズシートの傷つきを防止することができる。
【0025】
レンズシートとしては、いわゆるプリズムシートに代表されるバックライトに用いられる輝度向上フィルムを用いることができる。たとえば、断面が三角形状の構造列が複数規則的に配列されたレンズ部を有するもの、複数のピラミッド型のレンズ部を有するもの、複数の楕円型、半球型、その他形状のレンズ部を有するものなどがあげられる。
【0026】
レンズ部は、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の高分子樹脂により構成されてなる。レンズ部はプラスチックフィルムなどの透明基材上に形成されていることが好ましい。
【0027】
レンズシートの厚みは、支持体の有無によって異なるため一概にはいえないが、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがより好ましい。このような範囲で、個々の立体構造物の強度を十分にしつつ、透明感のあるものとしやすくすることができる。
【0028】
レンズシートは、レンズ側の面が立体構造物の内側を向くように構成することが好ましい。このようにすることにより、レンズの傷つきを防止しつつ本発明の効果を得ることができる。
【0029】
個々の立体構造物の大きさや発光体の大きさは、目的、用途に応じて適宜設計することができる。通常、個々の立体構造物の大きさは、100〜20万cm3程度である。
【0030】
画像部は発光体の少なくとも一部に設置される。画像部は、立体構造物に直接印刷を施したり、画像を形成した印刷物を貼り合わせたり、カッティングシートを貼り合わせることなどにより形成することができる。
【0031】
次に、本発明の電飾ショーケースについて説明する。本発明の電飾ショーケースは、光源と、前記光源からの光を受光する一以上の立体構造物からなる発光体とを有してなり、前記立体構造物はレンズシートから構成され内部が空洞であり、前記立体構造物の少なくとも一つの内部に展示物を設置してなることを特徴とするものである。
【0032】
展示物の種類は特に制限されることなく選択できる。立体構造物の内部に展示物を設置するには、立体構造物の組み立て前に行えばよい。
【0033】
なお、本発明の電飾ショーケースの他の構成要素の実施の形態は、本発明の電飾広告の実施の形態で説明の通りである。
【0034】
このような電飾ショーケースは、水晶もしくはダイヤモンドのような外観となる立体構造物の中に展示物が設置されることになるから、展示効果に極めて優れたものとすることができる。
【0035】
本発明の立体照明は、主として上述した本発明の電飾広告および電飾ショーケースに用いられるものであり、光源と、前記光源からの光を受光する一以上の立体構造物からなる発光体とを有してなり、前記立体構造物はレンズシートから構成され内部が空洞であることを特徴とするものである。各構成要素の実施の形態は、本発明の電飾広告の実施の形態で説明の通りである。
【実施例】
【0036】
1.電飾広告の作製
プリズムシート(住友3M社:ビキュイティBEF2-T-155n、厚み150μm)を用い、プリズム側が内側を向くように一辺8cmの立方体からなる立体構造物を6つ作製した。なお、プリズムシートには、立体構造物の外側の面のうちの1つに画像が位置するように、あらかじめUVインクジェットプリンタで画像を形成した。
【0037】
次いで、白色LED光源(ムトーエンジニアリング社:MBL−450−6K)を2つ平行に並べ、当該光源上に、上記立体構造物を画像が正面方向に向くように上下2段で3列に並べて配置した。これにより、光源上に6つの立体構造物からなる発光体が配置された電飾広告を得た。
【0038】
2.電飾ショーケースの作製
プリズムシートにUVインクジェットプリンタで画像を形成せず、1つの立体構造物の内部に展示物を設置した以外は、上記1と同様にして電飾ショーケースを得た。
【0039】
3.評価
得られた電飾広告および電飾ショーケースのLED光源を点灯したところ、レンズ作用により全面が発光し、透明感があり、水晶もしくはダイヤモンドのような外観の意匠性に極めて優れた電飾広告および電飾ショーケースとなった。
【符号の説明】
【0040】
1・・・・光源
11・・・シャーシ
2・・・・立体構造物
21・・・レンズシート
22・・・空洞
3・・・・発光体
4・・・・画像部
5・・・・立体照明
6・・・・電飾広告

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源からの光を受光する一以上の立体構造物からなる発光体とを有してなり、前記立体構造物はレンズシートから構成され内部が空洞であり、前記発光体上の少なくとも一部に画像部を有することを特徴とする電飾広告。
【請求項2】
前記立体構造物が、水平方向及び/又は垂直方向に複数配置されてなることを特徴とする請求項1記載の電飾広告。
【請求項3】
前記立体構造物のレンズシートは、レンズ面が内側に向いていることを特徴とする請求項1又は2記載の電飾広告。
【請求項4】
光源と、前記光源からの光を受光する一以上の立体構造物からなる発光体とを有してなり、前記立体構造物はレンズシートから構成され内部が空洞であり、前記立体構造物の少なくとも一つの内部に展示物を設置してなることを特徴とする電飾ショーケース。
【請求項5】
光源と、前記光源からの光を受光する一以上の立体構造物からなる発光体とを有してなり、前記立体構造物はレンズシートから構成され内部が空洞であることを特徴とする立体照明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−159693(P2012−159693A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19359(P2011−19359)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000125978)株式会社きもと (167)
【Fターム(参考)】