説明

電飾広告のための成形体およびその製造方法

本発明は、電飾広告のための成形体に関し、この場合、これらの成形体はポリ(メト)アクリレートマトリックス、プラスチック含有散乱粒子および無機散乱粒子を含有するものである。前記成形体は、5〜15μmの大きさを有するプラスチック含有散乱粒子0.05〜0.5質量%および1〜7.5μmの大きさを有する無機散乱粒子0.1〜3質量%を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電飾広告のための成形体およびその成形体の製造方法に関する。
【0002】
多くの型の電飾広告が使用されている。成形体として散乱剤を有する多くのプラスチックが使用されているため、発光媒体は認識できない。
【0003】
たとえば、JP11−172019では、Techpolymer SBX4、Tospearl 2000および無機散乱媒体の混合物が記載されているが、しかしながら、無機粒子の大きさは、1μmまでか、あるいは、8μmを上廻るように制限される。成形体は押出機を介して製造され、その際、その表面の光沢については記載されていない。
【0004】
さらにJP2−194058では、電飾広告のための光散乱プラスチック製品が記載されており、この場合、この製品は、PMMAマトリックスおよび散乱粒子から構成されるものである。さらに、1〜6μmの範囲の大きさのケイ素粒子を1〜7μmの大きさのBaSO粒子と混合することができる。プラスチック粒子の量は、任意成分として記載されている無機粒子よりも大きい。成形体中のプラスチック粒子の最小量は面積当たりの質量で記載されているに過ぎず、したがって、これらの大きさは製品の厚さに依存するが、しかしながら、これについては記載されていない。実施例において、プラスチック粒子の量は、少なくとも0.75質量%である。成形体は押出機を介して製造され、その際、表面の光沢については記載されていない。
【0005】
前記に示された成形体は、すでに十分な性状プロフィールを有している。しかしながら、多くの適用において、特になめらかな高規格の表面が求められている。さらにプラスチック製品がシート状で製造され、かつこのシートを加工業者に提供し、このシートからエンドユーザーの要望に応じて加工されることが考慮されるべきである。その際、プラスチックは加熱される。前記成形体の欠点は、その後の加熱工程において、なめらかな表面を曇らせることである。したがって、これらの成形体は、特に光沢のある表面を有する、高規格の電飾広告を製造するために使用することはできない。
【0006】
しかしながら同様に、高規格の電飾広告に関しては、鋳込み成形によって製造された成形体が知られている。これらの方法は、ポリスチレンをメチルメタクリレート中に溶解し、その後にこれらの混合物を流し込み型中で硬化させる。しかしながら、これらは離型の際に、相対的に低い耐候性と同時にその高い黄色度といった欠点を有する。この黄色度は、特に、さらなる加工のために必要不可欠な長時間に亘っての加熱によってか、あるいは、不適切な処理によって増加する。
【0007】
ここで挙げられ、検討された技術水準を考慮して、本発明の課題は、成形体の表面を曇らせることなく高い温度で成形することができる、電飾広告のための高規格の成形体を提供するものである。
【0008】
本発明の他の課題は、高い耐久性、特にUV照射または天候に対しての高い耐性を有する成形体を提供することである。
【0009】
さらに成形体は、可能なかぎり高い機械的安定性を示すものでなければならない。
【0010】
本発明の他の課題は、特に容易に製造可能な成形体を提供することである。したがって成形体は、鋳込み成形によって製造することが可能であり、この場合、この方法は完全に自動化されている。
【0011】
本発明の他の目的は、その大きさおよび形状を要求に応じて簡単な方法で、適合可能な成形体を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、低い黄色度を有する電飾広告のための成形体を提供することである。この黄色度は、さらなる加工のために必要不可欠な温度で長時間に亘って加熱した場合であっても低い値に維持される。
【0013】
前記課題ならびに特にここで記載されていないが、関連して導かれるか、あるいはこれから不可避に生じる他の課題は、請求項1に記載された成形体によって解決される。本発明による成形体の有利な態様については、請求項1の従属請求項によって保護されるものとする。
【0014】
成形体を製造するための方法に関しては、請求項20に記載する。
【0015】
ポリ(メト)アクリレートマトリックスを含有する成形体は、5〜15μmの大きさを有するプラスチック含有散乱粒子0.05〜0.5質量%および1〜7.5μmの大きさを有する無機散乱粒子0.1〜3質量%を含有するものであって、電飾広告のために適した成形体として提供され、この場合、これらの成形体は、表面を曇らせることなく高い温度でさらに加工可能であるばかりでなく、極めて高い耐久性を示す。
【0016】
本発明によって達成される利点は以下のとおりである:
−本発明の成形体は、表面の印象を損なうことなく工業的要求に適合させることができる。
−さらに本発明の成形体は、特に容易に製造することができる。したがって、成形体は、特に鋳込み成形によって製造することができ、この場合、これらは、完全に自動化されているものである。
−本発明の成形体は、高い耐候性、特に耐UV照射性を示す。
−本発明の成形体は、特に低い黄色度を示し、さらに長時間に亘っての加熱であっても相対的に低い黄色度を示す。
−成形体の大きさおよび形状を、要求に適合させることができる。
【0017】
本発明の成形体は、成形体の質量に対して0.05〜0.5質量%、好ましくは0.05〜0.4質量%および特に好ましくは0.1〜0.3質量%のプラスチック含有散乱粒子を有する。これらプラスチック粒子の大きさは5〜15μm、好ましくは6〜12μmおよび特に好ましくは7〜11μmである。
【0018】
本発明によって使用可能なプラスチック含有散乱粒子は当業者に公知であり、その際、散乱粒子を形成するプラスチックの種類については、さほど重要ではない。
【0019】
プラスチック含有散乱粒子とマトリックスプラスチックとの層の境界に、光の屈折が生じる。したがって、プラスチック粒子は、Na Dライン(589nm)および20℃で測定した屈折率nが、マトリックスプラスチックの屈折率nとは、0.003〜0.2単位、特に0.02〜0.2単位で異なる。
【0020】
プラスチック含有散乱粒子は、好ましくは架橋ポリスチレン、ポリシリコンおよび/または架橋ポリ(メト)アクリレートを含有し、この場合、これらの粒子は好ましくは球体である。
【0021】
散乱剤として使用される他の特に好ましいプラスチック粒子は、ケイ素を含有する。このような粒子は、たとえばオルガノトリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランの加水分解および重縮合によって得られ、この場合、これらは、式
Si(ORおよびSi(OR
[式中、Rは、たとえば置換または非置換のアルキル基、アルケニル基またはフェニル基を示し、かつ加水分解可能なアルコキシ基の基Rはアルキル基、たとえばメチル、エチルまたはブチル、またはアルコキシ−置換炭化水素基、たとえば2−メトキシエチルまたは2−エトキシエチルを示す]によって示される。オルガノトリアルコキシシランの例は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチル−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシランおよびメチルトリス(2−メトキシエトキシ)−シランである。
【0022】
前記シラン化合物およびこれらの球状ケイ素粒子を製造するための方法は、当業者に公知であり、かつ、EP1116741、JP63−077940およびJP2000−186148に記載されている。
【0023】
本発明において、特に好ましくは使用されるケイ素から構成される散乱剤は、GE Bayer Siliconeから、TOSPRARL(R)120およびTOSPEARL(R)3120として入手可能である。
【0024】
好ましいプラスチック含有散乱粒子は、
b1)置換基として芳香族基を有するモノマー、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、環置換スチレン、フェニル(メト)アクリレート、ベンジル(メト)アクリレート、2−フェニルエチル(メト)アクリレート、3−フェニルプロピル(メト)アクリレートまたはベンジルベンゾエート 25〜99.9質量部;および
b2)脂肪族エステル基中に1〜12個の炭素原子を有する、アクリル酸および/またはメタクリル酸エステル 0〜60質量部、この場合、これらはモノマーb1)と共重合可能なものであって、たとえばここで挙げられてもよいのは、メチル(メト)アクリレート、エチル(メト)アクリレート、n−プロピル(メト)アクリレート、イソプロピル(メト)アクリレート、n−ブチル(メト)アクリレート、イソブチル(メト)アクリレート、tert−ブチル(メト)アクリレート、シクロヘキシル(メト)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メト)アクリレート、2−エチルヘキシル(メト)アクリレート、ノルボニル(メト)アクリレートまたはイソボルニル(メト)アクリレート;
b3)b1)および場合によってはb2)とラジカル共重合可能な、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する架橋コモノマー 0.1〜15質量%、たとえばジビニルベンゼン、グリコールジ(メト)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メト)アクリレート、アリル(メト)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルスクシネート、ペンタエリトリットテトラ(メト)アクリレートまたはトリメチロールプロパントリ(メト)アクリレートであり、この場合、コモノマーb1)、b2)およびb3)は全部で100質量%になる。
【0025】
特に好ましくは、プラスチック含有散乱粒子から製造された混合物は、少なくとも80質量%のスチレンおよび少なくとも0.5質量%のジビニルベンゼンを含有する。
【0026】
架橋プラスチック含有散乱粒子の製造は当業者に公知である。たとえば、散乱粒子は乳濁重合によって製造され、この場合、これらは、たとえばEP−A342283またはEP−A269324に記載されており、特に好ましくは有機相中の重合によって製造され、この場合、これらは、たとえばドイツ出願P4327464.1に記載されており、その際、前記重合技術は、特にせまい粒度分布または、いいかえれば、ある粒径と平均粒径との特に小さい差異を生じさせる。
【0027】
好ましくは少なくとも200℃、特に少なくとも250℃の温度で熱耐性であるが、これに制限されることはない。ここで用語「熱耐性」とは、本質的に熱分解が生じないことを意味する。熱分解は、好ましくない方法での処理により導かれ、その結果、プラスチック材料を使用できないものとする。
【0028】
特に好ましい粒子は、特にTechpolymer(R)SBX-6、Techpolymer(R)SBX-8およびTechpolymer(R)SBX-12としてSekisuiから入手可能である。
【0029】
本発明の成形体は、成形体の質量に基づいて、無機散乱粒子を0.1〜3質量%、好ましくは0.2〜2.5質量%および特に好ましくは0.3〜2質量%の量で有する。これらの無機散乱粒子の大きさは1〜7.5μm、好ましくは2〜5μmおよび特に好ましくは3〜4μmであり、その際、無機散乱粒子は球状である。
【0030】
同様に無機散乱粒子は、NaDライン(589nm)および20℃での屈折率nが、マトリックスプラスチックの屈折率nと比較した場合に0.003〜0.2単位、特に0.02〜0.2単位で異なる。
【0031】
同様に、無機散乱粒子は当業者に公知であり、かつ商業的に得ることができる。特にこれらの粒子は水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム(雲母)、珪酸アルミニウム(カオリン)、硫酸バリウム(BaSo)、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム(タルク)を含む。
【0032】
本発明の好ましい実施態様において、無機散乱粒子の量は、成形体中で、プラスチック含有散乱粒子の量よりも大きいまたは同量である。プラスチック含有散乱粒子と無機散乱粒子との質量比は、好ましくは1:1〜1:20、特に1:1.5〜1:15であり、かつ特に好ましくは1:2〜1:10である。
【0033】
粒径および粒度分布の測定を、レーザー吸光方法によって実施することができる。ここではL.O.T. GmbHからのGalay CISを使用することができ、その際、粒径および粒度分布の測定は使用書にしたがっておこなう。当業者は、粒子の粒度分布を認識することができ、この場合、これらは、質量平均に対する前記粒径に基づく。
【0034】
好ましくは、せまい粒度分布を有する散乱粒子を使用する。本発明の好ましい実施態様において、光散乱粒子は球状である。用語「球状」とは、本発明の範囲内においては、好ましくはボール形状を示すが、その際、当業者には、製造方法によって他の形状を有する粒子が得られること、あるいは、粒子の形状が、理想的な球形から逸脱することは知られている。
【0035】
したがって「球状」とは、粒子の最も大きい寸法と最も小さい寸法との比が多くとも4であり、好ましくは多くとも2であり、その際、これらの面積は、それぞれ粒子の重心によって定められる。粒子の数に基づく球状粒子の割合は、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも90%である。
【0036】
本発明の好ましい態様において、これらの散乱粒子が、プラスチックマトリックス中において、粒子の顕著な凝集または堆積を生じることなく、均一に分散された形で生じる。「均一に分散された」とは、プラスチックマトリックス中での粒子の濃度が、本質的に一定であることを意味する。
【0037】
成形体は、散乱粒子の他に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むプラスチックマトリックスを包含する。その成形体の質量に対して、成形体は、好ましくは少なくとも30質量%、特に少なくとも70質量%および特に好ましくは少なくとも90質量%のポリメチルメタクリレートを含有する。
【0038】
ポリメチルメタクリレートは、一般にはメチルメタクリレートを含む混合物のラジカル重合によって得られる。モノマーの質量に対して、これらの混合物は、一般には少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも60質量%および特に好ましくは少なくとも80質量%のメチルメタクリレートを含有する。
【0039】
さらにこれらの混合物は、ポリメチルメタクリレートの製造のために、メチルメタクリレートと共重合可能な他の(メト)アクリレートを含有していてもよい。用語「(メト)アクリレート」は、メタクリレートおよびアクリレートならびにこれらの混合物を含有する。
【0040】
これらのモノマーは公知である。これらに関しては、特に飽和アルコールに由来する(メト)アクリレート、たとえばメチルアクリレート、エチル(メト)アクリレート、プロピル(メト)アクリレート、n−ブチル(メト)アクリレート、tert.−ブチル(メト)アクリレート、ペンチル(メト)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メト)アクリレート;
不飽和アルコールに由来する(メト)アクリレート、たとえばオレイル(メト)アクリレート、2−プロピニル(メト)アクリレート、アリル(メト)アクリレート、ビニル(メト)アクリレート;
アリール(メト)アクリレート、たとえばベンジル(メト)アクリレートまたはフェニル(メト)アクリレートであり、その際、それぞれの場合において、アリール基は不飽和であるか、あるいは4回まで置換されているものであってもよく;
シクロアルキル(メト)アクリレート、たとえば3−ビニルシクロヘキシル(メト)アクリレート、ボルニル(メト)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メト)アクリレート、たとえば3−ヒドロキシプロピル(メト)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メト)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メト)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メト)アクリレート;
グリコールジ(メト)アクリレート、たとえば1,4−ブタンジオール(メト)アクリレート、エーテルアルコールからの(メト)アクリレート、たとえばテトラヒドロフルフリル(メト)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メト)アクリレート;(メト)アクリル酸のアミドおよびニトリル、たとえばN−(3−ジメチルアミノプロピル)(メト)アクリルアミド、N−(ジエチルホスホノ)(メト)アクリルアミド、1−メタクリロイルアミド−2−メチル−2−プロパノール;
硫黄含有メタクリレート、たとえばエチルスルフィニルエチル(メト)アクリレート、4−チオシアネートブチル(メト)アクリレート、エチルスルホニルエチル(メト)アクリレート、チオシアネートメチル(メト)アクリレート、メチルスルフィニルメチル(メト)アクリレート、ビス((メト)アクリロイルオキシエチル)スルフィド;
多官能性(メト)アクリレート、たとえばトリメチロイルプロパントリ(メト)アクリレートである。
【0041】
前記(メト)アクリレートの他に、重合すべき組成物はさらに、メチルアクリレートおよび前記(メト)アクリレートと共重合可能な他の不飽和モノマーを含有していてもよい。
【0042】
さらにこれらは特に1−アルケン、たとえば1−ヘキセン、1−ヘプテン、分枝アルケン、たとえばビニルシクロヘキサン、3,3−ジメチル−1−プロペン、3−メチル−1−ジイソブチレン、4−メチル−1−ペンテン;
アクリロニトリル、ビニルエステル、たとえばビニルアセテート;
スチレン、側鎖にアルキル置換基を有する置換スチレン、たとえばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する飽和スチレン、たとえばビニルトルエンおよびp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、たとえばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよびテトラブロモスチレン;
ヘテロ環式ビニル化合物、たとえば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾールおよび水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾールおよび水素化ビニルオキサゾール;
ビニルおよびイソプレニルエーテル;
マレイン酸誘導体、たとえばマレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、マレイン酸イミド、メチルマレイン酸イミド;および
ジエン、たとえばジビニルベンゼンである。
【0043】
一般に、これらのコモノマーは、モノマーの質量に基づいて0〜60質量%、好ましくは0〜40質量%および特に好ましくは0〜20質量%であり、その際、化合物は、別個にまたは混合物の形で使用することができる。
【0044】
重合は、一般に、公知のラジカル開始剤を用いて開始させることができる。好ましい開始剤は、特に当業者に公知のアゾ開始剤、たとえばAIBNおよび1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルならびにペルオキシ化合物、たとえばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、tert.−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクトヘキノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert.−ブチルペルオキシベンゾエート、tert.−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−ペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert.−ブチル 2−エチルペルオキシヘキサノエート、tert.−ブチル3,5,5−トリメチルペルオキシヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(tert.−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert.−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、tert.−ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4−tert.−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボネート、前記に示した化合物の互いの2個またはそれ以上の混合物ならびに前記化合物と、前記には示していないが同様にラジカルを形成しうる化合物との混合物である。
【0045】
これらの化合物は、主に、モノマーの質量に対して0.001〜1.0質量%、好ましくは0.05〜0.3質量%の量で使用される。
【0046】
本発明にしたがって、マトリックスポリマーとして使用されるべきホモ−および/またはコポリマーの質量平均分子量Mwは、極めて広範囲であってもよく、その際、分子量は、通常はマトリックスの使用目的および処理方法に基づいてに適合させる。しかしながら、一般には20000〜10000000g/モル、好ましくは50000〜3000000g/モルおよび特に好ましくは80000〜1500000g/モルの範囲であるが、この場合、これらに制限されることはない。
【0047】
本発明の好ましい実施態様において、成形体のマトリックスは、成形体の質量に基づいて少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%および特に好ましくは少なくとも90質量%のポリメチルメタクリレートを含有する。
【0048】
本発明の好ましい実施態様によれば、成形体のマトリックスのポリ(メト)アクリレートは、Na Dライン(589nm)および20℃で測定された屈折率1.46〜1.54を有する。
【0049】
成形体を製造するための成形材料は、すべての種類の常用の添加剤を含有する。さらにこれらは特に静電防止剤、抗酸化剤、離型剤、耐燃剤、滑剤、染料、流れ改善剤、充填剤、光安定化剤、UV吸収剤および有機リン化合物、たとえばホスフィットまたはホスホネート、顔料、風化防止剤および可塑剤である。しかしながら、添加剤の量は、使用目的に対して制限される。たとえば成形体の光散乱特性または成形体の透明性は、添加剤によって顕著な影響を受けるべきではない。
【0050】
本発明の他の実施態様において、成形材料は場合によっては耐衝撃剤によって機械的安定性を備えることができる。ポリメタクリレートプラスチックのためのこのような耐衝撃剤は公知であり、したがって、耐衝撃性ポリメタクリレート成形材料の製造および構成については、特に、EP−A0113924、EP−A0522351、EP−A0465049およびEP−A0683028に記載されている。
【0051】
マトリックスを製造するために使用することができる好ましい耐衝撃性成形材料は、70〜99質量%のポリメチルメタクリレートを含有する。これらのポリメチルメタクリレートは前記に示されている。
【0052】
本発明の好ましい実施態様において、耐衝撃性成形材料を製造するために使用されるポリメチルメタクリレートは、80〜100質量%、好ましくは90〜98質量%のメチルメタクリレートを含有し、かつ場合によっては0〜20質量%、好ましくは2〜10質量%のラジカル重合可能な他のコモノマーを含有する混合物を、ラジカル重合によって得ることができ、この場合、これらは同様に、前記に示されたものである。特に好ましいコモノマーは、特にC〜C−アルキル(メト)アクリレート、特にメチルアクリレート、エチルアクリレートまたはブチルメタクリレートである。
【0053】
耐衝撃性マトリックスの製造のために使用することができる、ポリメチルメタクリレートの平均分子量Mwは、好ましくは90.000〜200.000g/モル、特に100.000〜150.000g/モルである。
【0054】
マトリッスクスの製造に使用することができる、好ましい耐衝撃性成形材料は1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、特に好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは5〜12質量%の耐衝撃剤を含有し、この場合、これらは、架橋ポリマー粒子からなるエラストマー層を有する。
【0055】
耐衝撃剤は、当業者に公知の方法で粒状重合または乳濁重合によって得ることができる。
【0056】
好ましい耐衝撃剤は50〜1000nm、好ましくは60〜500nmおよび特に好ましくは80〜120nmの範囲の平均粒径を有する架橋粒子であってもよい。
【0057】
たとえば、このような粒子は、一般的に少なくとも40質量%、好ましくは50〜70質量%のメチルメタクリレート、20〜80質量%、好ましくは25〜35質量%のブチルアクリレートならびに0.1〜2質量%、好ましくは0.5〜1質量%の架橋モノマー、たとえば多官能性(メト)アクリレート、たとえばアリルメタクリレートおよび前記ビニル化合物と共重合可能なコモノマーを含有する。
【0058】
好ましいコモノマーとしては、特にC〜C−アルキル(メト)アクリレート、たとえばエチルアクリレートまたはブチルアクリレート、好ましくはメチルアクリレート、または他の重合可能なビニル基含有モノマー、たとえばスチレンである。前記粒子を製造するための混合物は、好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%のコモノマーを含有する。
【0059】
特に好ましい耐衝撃剤は、2層、特に好ましくは3層のコアシェル構造を有するポリマー粒子である。このようなコアシェルポリマーについては、特にEP−A0113924、EP−A0522351、EP−A0465049およびEP−A0683028に記載されている。
【0060】
アクリレートゴムに基づく特に好ましい耐衝撃剤(衝撃変性剤)は、特に以下の構造を有する:
コア:コアの質量に対して少なくとも90質量%のメチルメタクリレート含量を有するポリマー
シェル1:第1シェルの質量に対して少なくとも80質量%のブチルアクリレート含量を有するポリマー
シェル2:第2シェルの質量に対して少なくとも90質量%のメチルメタクリレート含量を有するポリマー。
【0061】
コアおよびシェルは、前記モノマーの他にそれぞれ他のモノマーを含有していてもよい。これらは前記のように、その際、特に好ましいコモノマーは、架橋作用を有するものである。
【0062】
たとえば、好ましいアクリレートゴム変性剤は、以下の構造を有する:
コア:メチルメタクリレート(95.7質量%)、エチルアクリレート(4質量%)およびアリルメタクリレート(0.3質量%)からなるコポリマー
S1:ブチルアクリレート(81.2質量%)、スチレン(17.5質量%)およびアリルメタクリレート(1.3質量%)からなるコポリマー
S2:メチルメタクリレート(96質量%)およびエチルアクリレート(4質量%)からなるコポリマー
アクリレートゴム変性剤のコア:シェル比は、広範囲で可変であってもよい。好ましくはコア:シェル比K/Sは20:80〜80:20であり、その際、さらに好ましくは30:70〜70:30であり、この場合、変性剤は1個のシェルを有するものであって、あるいは、コア:シェル1:シェル2比K/S1/S2は、好ましくは10:80:10〜40:20:40、特に好ましくは20:60:20〜30:40:30であり、この場合、変性剤は2個のシェルを有するものである。
【0063】
コア−シェル変性剤の粒径は、通常は50〜1000nm、好ましくは100〜500nmであり、かつ特に好ましくは150〜450nmであるが、この場合、これらに制限されることはない。
【0064】
このような耐衝撃剤は、特にMETABLEN(R)IR441(Mitsubishi)として入手可能である。さらに、耐衝撃性成形材料を得ることも可能である。
【0065】
プラスチックマトリックスを製造するための特に好ましい成形材料は、Roehm GmbH & CO KGから入手可能である。
【0066】
成形体は公知方法によって製造することができ、その際、熱可塑性成形工程によることが好ましい。粒子の添加後に、前記成形材料から、通常の熱可塑性成形工程によって成形体を製造することができる。
【0067】
さらに成形体は、鋳込み成形によって製造することができる。その際、たとえば適した(メト)アクリル酸混合物は流し込み型に装填され、かつ重合される。このような(メト)アクリル酸混合物は、一般には前記(メト)アクリレート、特にメチルアクリレートを含有する。さらに(メト)アクリル酸混合物は、前記コポリマー、さらには特に粘度調整のためのポリマー、特にポリ(メト)アクリレートを含有する。
【0068】
驚くべきことに、本発明は予め定められた値に粘度を調整することを可能にする。したがって、電飾広告のための成形体を製造するための鋳込み方法は自動化されうる。ここで、技術水準から公知であるように、散乱媒体として架橋されていないポリスチレンを使用する場合には、予め定められた低い粘度を有するメチルメタクリレートを使用することが必要不可欠であることが考慮される。重合されたメチルメタクリレート(シロップ)を添加することによってポリスチレンが沈殿し、したがってポリスチレンの均一な分散を達成することができない。本発明は、これらの問題を、無機散乱粒子とプラスチック含有散乱粒子との組合せによって、おどろくべき方法で解決するものである。
【0069】
たとえば、適したアクリル酸樹脂は、
A)平均直径5〜15μmを有するプラスチック含有散乱粒子0.05〜0.5質量%
B)平均直径1〜7.5μmを有する無機散乱粒子0.1〜3質量%
C)メチルメタクリレート40〜99.85質量%
D)コモノマー0〜59.85質量%
E)(C)または(D)中で溶解可能なポリマー0〜59.85質量%、その際、成分A)〜E)は全部で100質量%となる。
【0070】
さらにアクリル酸樹脂は、重合工程のために必要とされる開始剤を示す。成分A〜Dならびに、適したポリメチルメタクリレート成形材料の製造のために使用される化合物に応じた開始剤を使用する。さらにアクリル酸樹脂は、公知添加剤を包含し、この場合、これらはたとえば前記に示されたものである。さらに散乱粒子の沈降を抑制するための添加剤を使用することもできる。
【0071】
硬化に関しては、たとえばいわゆるセルキャスティング法(Gusskammerverfahren)、たとえば(DE2544245、EP−B570782、またはEP−A656548)を使用し、その際、プラスチックシートの重合は、2個のガラスプレート間で実施し、この場合、周囲を、ビードを用いて密閉する。
【0072】
セルキャスティング法によって製造されたポリマーの質量平均分子量Mwは、一般には、成形材料中で使用されるポリマーの分子量よりも大きい。これによって多くの公知の利点が生じる。一般に、セルキャスティング法によって500000〜10000000g/モルの範囲の質量平均分子量を有するポリマーが製造されるが、この場合、これらに制限されることはない。
【0073】
成形体の層厚は、一般には0.05〜200mm、好ましくは0.1〜30mmであるが、この場合、これらに制限されることはない。
【0074】
本発明の好ましい実施態様において、シートの一部分の平均表面粗さRaは多くとも0.3μm、好ましくは多くとも0.2μmであり、かつ特に好ましくは多くとも0.1μmである。好ましくは少なくとも40%、特に少なくとも48%の表面がこの値を示す。
【0075】
平均表面粗さRaは、DIN4768にしたがって測定されてもよく、この場合、これらはTayer Hobson社のTalysurf50測定器によって測定される。
【0076】
シート表面の粗さRaは、一般には、製造方法の性質に依存しての種々のパラメータによってもたらされる。
【0077】
押出成形による製造の場合には、特に押出工程中の溶融温度が考慮され、その際、低い溶融粘度はなめらかな表面を提供する。しかしながら、ここで考慮されるべきは、溶融温度が、成形材料の正確な組成に依存することである。溶融温度は一般に150〜300℃、好ましくは200〜290℃である。これらの温度は、ノズル開口部の溶融温度に基づくものである。
【0078】
さらに表面の粗さは、シートのポリッシングのために使用されるローラー間のギャップによって影響を受けうる。たとえば、L−配置で3個のロールを包含する艶付ロールの場合には、成形材料は、ノズルからロール1とロール2との間のギャップに導かれ、かつロール2を60〜180゜で包囲し、ロール2とロール3との間のギャップによって表面の光沢を達成する。ロール2とロール3との間のギャップは層厚により調整され、散乱粒子はマトリックス中でシート表面上に捺染され、これによって平坦な表面を与えうる。
【0079】
成形体が、鋳込み成形によって製造される場合には、流し込み型に使用されるシート性質によって、表面の粗さが生じる。
【0080】
本発明の好ましい実施態様において、特に着色されていない成形体は、DIN5036による透過率TauD65/10゜が、30%またはそれ以上であり、特に60%またはそれ以上であり、かつ特に好ましくは70%またはそれ以上である。着色された成形体は、一般にはかなり低い透過率を有する。
【0081】
本発明の好ましい実施態様において、成形体は着色されていてもよい。特に適した着色材料は当業者に公知の染料および/またはカーボンブラックである。
【0082】
さらに、特に銅フタロシアニングリーン、銅フタロシアニンブルー、酸化鉄レッド、ウルトラマリンブルー、クロムチタンイエロー、およびアントラキノン系の染料である。
【0083】
特に好ましい染料は商業的に入手可能なものである。特に、(R)Sandoplast Rot G および(R)Sandoplast Gelb 2Gは、それぞれClariantから、ならびに、(R)Macrolex Gruen 5B および(R)Macrolex Violett 3RはそれぞれBayerから入手可能である。
【0084】
さらに成形体は、公知の蛍光塗料を含有していてもよく、たとえば、これらはペリーレンの化学群に基づくものである。蛍光塗料染料は、N,N’−ジ置換3,4:9,10−ペリーレンビス(ジカルボキシミド)およびイエロー蛍光塗料であり、この場合、これらは、CIE1931標準表色系で規定された色彩調節範囲であり、かつ、蛍光/発光比は5を上廻る。
【0085】
このような蛍光塗料は、プラスチック、たとえばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニリデンまたはポリメチルメタクリレートとポリ塩化ビニリデンとの混合物中で溶解性であり、かつ、黄色の蛍光性製品および成形体が得られ、この場合、これらは特にWO99/16847に記載されている。
【0086】
蛍光染料と他の着色剤との組合せによって、かなり広い範囲の着色スペクトルを付与することができる。たとえば、イエロー蛍光染料とグリーン顔料、たとえば銅フタロシアニングリーーンとの組合せは、ブリリアントな蛍光グリーン色を生じさせるために有効に使用することができる。
【0087】
本発明の目的のために適しているのは、特に、市販の蛍光染料Lumogen(R)F Orange240、Lumogen(R)F Gelb083、Lumogen(R)F Rot300(Lumogen (R):BASF AG, Kudwigshafen, Deutschland)ならびにHostasol(R) Gelb3Gである。
【0088】
これらの染料の濃度は、望ましい色の印象さらにはシートの層厚に依存する。任意の制限なく、それぞれの染料のための濃度は、一般には着色された成形体の全質量に対して0〜0.8質量%、好ましくは0.000001〜0.4質量%である。染料濃度の合計は、好ましくは着色された成形体の全質量に対して0〜1質量%、好ましくは0.0001〜0.8質量%、および特に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0089】
さらに本発明による成形体は、顔料を有していてもよい。特に白色顔料であり、この場合、これらは特に、プラスチックマトリックスとの屈折率の差が+0.4〜1.5、好ましくは+0.5〜1.4、特に好ましくは1.0〜1.3であり、かつプラスチックマトリックス中で、0.001〜0.1質量%、好ましくは0.005〜0.01質量%の濃度で含有していてもよい。
【0090】
好ましい白色顔料の例は二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)または硫化亜鉛(ZnS)である。
【0091】
好ましい成形体は、DIN6167による黄色度D65/10゜を、12またはそれよりも小さい、特に10またはそれよりも小さい値を有するが、この場合、これに制限されることはない。
【0092】
本発明の成形体は、良好な熱変形性を表面光沢または成形体の黄色度を損なうことなく生じる。変形工程は当業者に公知である。その際、成形体は加熱され、かつ適したテンプレートによって変形される。変形工程を実施する温度は、基質の軟化点に依存し、これによってプラスチック製品が製造される。他のパラメータ、たとえば変形速度および変形応力は同様にプラスチックに依存し、その際、これらのパラメータは当業者に公知である。変形工程としては、特に曲げ変形工程が好ましい。このような方法は、特に鋳造シートを加工するために使用される。詳細は、“Acrykglas und Polycarbonat richtig Be-und Verarbeiten”H.kaufmann ら、Technologie-Tranfer-Ring Handwerk NRW、VDI-Richtlinie 2008 シート1 およびDIN8580/9/に記載されている。
【0093】
本発明の成形体の好ましい実施態様は、15゜またはそれ以上、特に25゜またはそれ以上の強度半減角(Intensitaetshalbwertswinkel)を有する。
【0094】
本発明の好ましい実施態様において、DIN5036による成形体の曇り価は0.15またはそれ以上、特に0.35またはそれ以上であるが、この場合、これらに制限されることはない。
【0095】
本発明の好ましい実施態様において、本発明によるポリメチルメタクリレートシートの表面は、反射において光沢特性を示す。これは、DIN67530による反射計を用いての光沢測定によって特徴付けることができる。好ましくは、シートの光沢は85゜の角度で、少なくとも50、好ましくは少なくとも60であり、特に好ましくは少なくとも70である。これらの値は、成形体表面の一部に基づくものであって、好ましくは成形体表面の少なくとも40%、特に少なくとも48%が、これらの値を示す。さらに、内部に向けられた表面の50%が、発光(illuminatiom)体に面している。その際、表面のこの部分は外側からは認識されない。したがって、外側に向けられており、発光体からそれた表面は最大の光沢を有すべきである。
【0096】
本発明による成形体の長さは、25mm〜10000mm、好ましくは50〜3000mmおよび特に好ましくは200〜2000mmである。特に好ましいこれらの実施態様の範囲は、25〜10000mm、好ましくは50〜3000mm、およびさらに好ましくは200〜2000mmである。
【0097】
好ましい実施態様において、成形体はDIN EN ISO 4892、第II部によって、実験室用光源に対して暴露するための方法によってもとめられるか、あるいは、キセノンアーク源をフィルターがけした装置中で照射されることによって、特に高い耐侯性を示した。
【0098】
本発明よるプラスチック製品は、一般には極めて高い耐侯性を有する。たとえば、DIN53387(キノテスト)による耐侯性は少なくとも5000時間である。
【0099】
本発明による実施態様において、成形体は、ISO179/1による衝撃強度を少なくとも10kJ/m、特に少なくとも15kJ/mを有する。
【0100】
成形体は、好ましくはISO527−2によるE−モジュールを、少なくとも1000MPa、特に好ましくは少なくとも1500MPa有するが、この場合、これらに制限されることはない。
【0101】
本発明は、以下の実施例および比較例によって詳細に説明されるが、ここで、本発明はこれらの実施例に制限されることはない。
【0102】
実施例
例1
本発明による成形体は、セルキャスティング方法で製造される。これに関して2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 1質量部およびTechpolymer SBX8 2質量部を、プレ重合メチルメタクリレート(約1000mPa*Sの粘度)1000質量部に添加した。これらの混合物中でドウを溶解させ、この場合、これらは、メチル−メタクリレート中に溶解されたポリメタクリレート樹脂3質量部、約3.5μmの大きさを有するBaSO粒子 7.5質量部ならびにメチルメタクリレート 30質量部を含有していた。ドウの構成成分を高速分散器によって分散させた。
【0103】
この混合物を激しく撹拌し、スペーサーとして厚さ3mmのビードを備えたシリケートガラスセル中に装填し、かつ水浴中で、45℃で重合させた。最終的な重合を乾燥キャビネット中で115℃でおこなった。成形体の光学的性質を試験し、結果については第1表に示した。後発光試験(Hinterleuchtungstest)を、透明なガラスバルブを備えた(60ワット)白熱ランプを含むライトボックス中で実施した。ここで試料は、ランプと約5〜50cmの距離に置いた。エレメントが視覚的に認識されない場合には、第1表で結果を+とした。そうでない場合には第1表では−と示した。
【0104】
さらに成形体を160℃で10分間に亘って加熱し、かつ真空下で約3〜4cmの奥行きに成形した。表面光沢の変化は同様に第1表に示した。表面の光沢が維持される場合には、この結果は第1表に+と示した。そうでない場合には、第1表では−と示した。透過率TauD65/10゜は、DIN5036にしたがって試験した。黄色度D65/10゜はDIN6167にしたがって測定した。
【0105】
成形体をその後に分割し、種々の部分について種々の耐性試験をおこない、その際、得られた結果を第2表に示した。これに関して試料を180゜で30分に亘って加熱し、その後に黄色度および透過率を測定した。さらにキノテストを5000時間に亘って実施し、その後に黄色度および透過率を測定した。
【0106】
例2
例1を本質的に反復するが、しかしながら、3.5μmの大きさを有するBaSO粒子2質量部を添加した。前記方法によって得られた結果と同様に第1表および第2表に示した。
【0107】
比較例1
例1を本質的に反復するが、しかしながらプラスチック含有散乱粒子を使用しなかった。前記方法によって得られた結果と同様に第1表および第2表に示した。
【0108】
比較例2
例1を本質的に反復するが、しかしながら、無機散乱粒子を使用しなかった。その代わりとして、混合物に、SBX8 13.3質量部を添加した。前記方法によって得られた結果と同様に第1表および第2表に示した。
【0109】
比較例3
例1を本質的に反復するが、しかしながら、プレポリマーを使用しなかった。その代わりとして、ポリスチレン10質量部をメチルメタクリレート1000質量部中に溶解した。その後に、この混合物を例1にしたがってセル中で重合させた。
【0110】
前記方法によって得られた結果についても同様に、第1表および第2表に示した。
【0111】
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
本発明による例および比較例は、本発明による混合物のみが、極めて良好な性状プロフィールを導くことを示した。無機粒子のみを使用する場合には、十分な散乱作用を達成することは不可能であり、その結果、後発光試験では認められない。これとは対照的に、多量のプラスチック粒子を使用する場合には、形成体の表面は加熱後に曇る。さらに、UV光線での照射の際の、これら成形体の透過率は減少する。ポリスチレンを散乱媒体として使用する通常の成形体は、黄色度が極めて増加し、かつ加熱時に透過率が著しく減少する。さらにUV耐性は、本発明による成形体と比較して劣る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(メト)アクリレートマトリックス、プラスチック含有散乱粒子および無機散乱粒子を含有する電飾広告のための成形体において、成形体が、5〜15μmの大きさのプラスチック含有散乱粒子0.05〜0.5質量%および1〜7.5μmの大きさの無機散乱粒子0.1〜3質量%を含有することを特徴とする、ポリ(メト)アクリレートマトリックス、プラスチック含有散乱粒子および無機散乱粒子を含有する電飾広告のための成形体。
【請求項2】
成形体の表面の少なくとも一部分が、50以上の光沢度R85゜を示す、請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
成形体の表面の少なくとも40%が、50以上の光沢度R85゜を示す、請求項2に記載の成形体。
【請求項4】
成形体の表面の少なくとも一部分が、多くとも0.3μmの平均表面粗さRを示す、請求項1から3までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項5】
成形体の表面の少なくとも40%が、多くとも0.3μmの平均表面粗さRを示す、請求項2に記載の成形体。
【請求項6】
無機散乱粒子が2〜5μmの大きさを有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項7】
無機散乱粒子がBaSOを含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項8】
プラスチック含有散乱粒子が6〜12μmの大きさを有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項9】
成形体が0.05〜0.3質量%のプラスチック含有散乱粒子を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項10】
プラスチック含有散乱粒子が、架橋ポリスチレンを含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項11】
成形体中の無機散乱粒子の量が、プラスチック含有散乱粒子の量と同量かまたはそれ以上である、請求項1から10までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項12】
成形体が着色されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項13】
成形体が、DIN5036による透過率TauD65/10 少なくとも30%を示す、請求項1から12までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項14】
成形体が、DIN6167による黄色度D65/10゜ 10以下を示す、請求項1から13までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項15】
成形体が、強度半減角 15゜以上を示す、請求項1から14までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項16】
成形体が、DIN5036による曇り価0.15以上を示す、請求項1から15までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項17】
成形体が、ISO179/1による衝撃強度少なくとも10kJ/mを示す、請求項1から16までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項18】
成形体が、ISO527−2によるE−モジュール少なくとも1500MPaを示す、請求項1から17までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項19】
成形体が、DIN53387による耐侯性少なくとも5000時間を示す、請求項1から18までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項20】
アクリル樹脂含有メチルメタクリレート、無機散乱粒子およびプラスチック含有散乱粒子を、流し込み型中で重合する、請求項1から19までのいずれか1項に記載の成形体を製造するための方法。
【請求項21】
アクリル樹脂が200〜20000mPa*sの範囲の粘度を有する、請求項1から19までのいずれか1項に記載の成形体を製造するための方法。

【公表番号】特表2007−500271(P2007−500271A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529661(P2006−529661)
【出願日】平成16年3月2日(2004.3.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002062
【国際公開番号】WO2004/104094
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(390009128)レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (293)
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】