説明

需要電力制御装置および需要電力制御方法

【課題】スマートグリッドにも、かつ、すでに建設された建物にも簡易に適用することができ、安価でかつ高速に需要電力量の制御を行う需要電力制御装置および需要電力制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の需要電力制御装置は、複数の建物の各々に設けられた負荷に供給する需要電力量の合計である全需要電力量を制御する装置であり、全ての建物の負荷に供給される電力量を所定の時間測定し、測定結果を実績値として出力する測定部と、制御周期毎に、実績値から制御周期における全需要電力量の予測値を算出する予測値算出部と、予測値と、予め設定された全需要電力量の上限値とを比較して、予測値が前記上限値を超える場合、上限値と予測値との差である予測差を算出する予測差算出部と、予測差に応じて、建物の負荷毎の需要電力量を、制御周期単位で建物毎に順番に制御し、全需要電力量を制御する電力制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定められた計測期間毎に計測される需要電力の実績値のうちで最大となる需要電力を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
供給電力によって動作する設備機器を備える施設等に電力を供給する電力供給者は、供給対象の需要家の施設等において年間で最も多く使用する電力の量に応じた供給設備を用意する必要がある。そこで、複数の需要家の施設等に対する費用の負担を公平にするために、定められた計測期間(デマンド時限)毎の施設等の需要電力(デマンド)を計測し、計測した複数の需要電力のうち最も大きい需要電力(最大需要電力)に応じて契約電力が決定されることがある。
例えば、供給対象の施設における30分単位の平均需要電力の実績値を計測し、1ヶ月間の平均需要電力の実績値のうち最大の値をその月の最大需要電力とし、その月の最大需要電力とその前11ヶ月の最大需要電力のうちいずれか大きい値を超えないような値が契約電力として決定される。
【0003】
この場合、最大需要電力は同時に使用する設備機器が多ければ多いほど大きくなるため、設備機器の使用時間帯をずらすことなどにより最大需要電力を減少させることができる。そこで、このような最大需要電力を減少させることを目的としたデマンドコントロール装置が提供されている(例えば、特許文献1、2)。
デマンドコントロール装置は、例えば図8示すように、デマンド時限(後述する本実施形態における制御周期)の開始時(例えば、T1の時点)から需要電力の実績値の計測を開始し、実績値を取得した時点(例えば、T1+m0の時点)で、取得した需要電力に基づいてデマンド時限終了時(例えば、T2の時点)までの平均需要電力の推定値を算出する。そして、デマンドコントロール装置は、平均需要電力の推定値が定められたデマンドの目標値を超える場合には、例えば、ブザーによる警告音を出力するなどの電力制御処理を行う。需要家は、このような警告音を聞いて、電力を使用する設備機器を停止させることなどにより、デマンド時間内の平均需要電力を目標値以内に抑えることができる。
【0004】
また、近年、太陽光発電などの自然エネルギ(太陽光)を利用した自家発電機や、蓄電池を利用した分散型電源と、電力会社から電力を購入する電力系統とを組み合わせたスマートグリッドが注目されている。
しかし、スマートグリッドは、自然エネルギである太陽光が曇りや雨などの天候により変動した場合、電力会社からの電力系統からの電力供給が増加することになる。
【0005】
このため、スマートグリッドにおいては、電力系統からの電力供給が増加が予想された場合、あるいは実際に電力系統からの電力供給が増加した場合、需要家の上位系統から需要家がデマンドを調整する電力調整情報が供給される。
そして、需要家の上位系統、例えば電力会社から電力調整情報として、時間別料金、デマンド削減要請が需要家から伝えられ、需要家自らデマンドを調整するデマンドレスポンス機能が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−18926号公報
【特許文献2】特開平11−215700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2に記載されているデマンドコントロール装置は、デマンド時間内の平均需要電力を目標値以内に抑制する処理を行う。
このため、特許文献1及び特許文献2に記載されているデマンドコントロール装置は、デマンドコントロールを行う場合、単純に設備機器を停止させるために室内環境を悪化させてしまう。
【0008】
また、需要家がスマートグリッドに用いる太陽光発電や蓄電池といった分散型電源や蓄電池は高価であるため、通常の建物には装備されていないのが現状である。
さらに、スマートグリッドの制御システムの中核として、自然エネルギによる発電する発電電力と、この発電電力に応じて電力系統からの供給を受ける電力とを予測する予測機能が必要となる。
【0009】
しかしながら、この予測機能を実現するためには、天気予報データや過去の天気における太陽光発電における発電電力の季節毎の実績データなど、予測を行うための膨大なデータが必要であり、予測のために複雑な演算を行うので結果を得るまでに時間がかかり、リアルタイムの電力制御を行うことは困難である。
また、この複雑な演算を実現するため、スマートグリッドを装備した建物を建設する場合、建設当初のイニシャルコストに加え、運転開始時における、実績データの取得などの測定を行うチューニングに高度なエンジニアリング能力、人手、コストを要することになる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スマートグリッドにも、かつ、すでに建設された建物にも簡易に適用することができ、安価でかつ高速に需要電力量の制御を行う需要電力制御装置および需要電力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の需要電力制御装置は、複数の建物の各々に設けられた負荷に供給する需要電力量の合計である全需要電力量を制御する需要電力制御装置であり、全ての前記建物の前記負荷に供給される電力量を所定の時間測定し、測定結果を実績値として出力する測定部と、制御周期毎に、前記実績値から当該制御周期における前記全需要電力量の予測値を算出する予測値算出部と、前記予測値と、予め設定された前記全需要電力量の上限値とを比較して、前記予測値が前記上限値を超える場合、前記上限値と前記予測値との差である予測差を算出する予測差算出部と、前記予測差に応じて、前記建物の前記負荷毎の需要電力量を、前記制御周期単位で前記建物毎に順番に制御し、前記全需要電力量を制御する電力制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の需要電力制御装置は、前記予測値算出部が、前記制御周期内の第1期間経過後に、前記実績値を前記測定部から読み込み、当該実績値から前記制御周期内の前記予測値を算出し、前記電力制御部が、前記制御周期内の第2期間経過後に、前記予測差に応じて、当該制御周期に対応する前記建物における前記負荷の前記需要電力量を制御することを特徴とする。
【0013】
本発明の需要電力制御装置は、前記建物の前記負荷の前記需要電力量の異なる制御方法毎に複数種類が設けられ、前記制御周期毎に前記需要電力量を制御する対象の前記負荷を示す容量制御パターンが記憶された容量制御パターン記憶部をさらに有し、前記電力制御部が、前記容量制御パターン記憶部に記憶されている複数の前記容量制御パターンから、前記予測差に対応する前記容量制御パターンを選択し、選択した当該容量制御パターンにより、前記建物毎の前記負荷の前記需要電力量を制御することを特徴とする。
【0014】
本発明の需要電力制御装置は、前記負荷毎に、当該負荷の電力容量の制御単位と、現在の稼動状態における前記電子機器の前記需要電力量の電力容量とが対応付けられた対応テーブルが記憶された対応テーブル記憶部をさらに有し、前記電力制御部が、前記容量制御パターン毎に低減される低減電力量を、現在の前記負荷の需要電力量と、予め定められた低減率と、前記制御単位とにより算出し、算出された当該低減電力量が前記予測容量を超え、かつ最小値となる前記容量制御パターンを選択し、選択した当該容量制御パターンにより前記建物の各々の負荷を制御することを特徴とする。
【0015】
本発明の需要電力制御装置は、前記容量制御パターンによる稼動状態において、前記建物の各々の前記負荷の前記制御周期における低減量を平均化する制御期間となるように、前記建物毎に前記第2期間が設定されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の需要電力制御装置は、前記制御周期における低減量を平均化する組み合わせで前記建物をグループ化し、グループ単位で前記建物の稼動状態を前記容量制御パターンにより制御することを特徴とする。
【0017】
本発明の需要電力制御方法は、複数の建物の各々に設けられた負荷に供給する需要電力量の合計である全需要電力量を制御する需要電力制御装置を制御する需要電力制御方法であり、測定部が、全ての前記建物の前記負荷に供給される電力量を所定の時間測定し、測定結果を実績値として出力する測定過程と、予測値算出部が、制御周期毎に、前記実績値から当該制御周期における前記全需要電力量の予測値を算出する予測値算出過程と、予測差算出部が、前記予測値算出部によって算出された前記予測値と、前記全需要電力の予め設定された上限値とを比較して、前記予測値が前記上限値を超える場合、前記上限値と前記予測値との差である予測差を算出する予測差算出過程と、電力制御部が、前記予測差に応じて、前記建物の前記負荷毎の需要電力量を、前記制御周期単位で前記建物毎に順番に制御し、前記全需要電力量を調整する電力制御過程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、建物毎に当該建物に設けた負荷の稼動状態を制御することにより、電力制御部が監視対象とする全需要電力量を、予め設定されている上限値未満に抑制するため、負荷の稼動状態を制御するのみで実現することが可能であり、すでに建設された建物に容易に適用することができる。
また、この発明によれば、新たな高価な設備を設ける必要がないため、安価に実現することができ、かつ予測値と上限値との差分である予測差を求める簡易な演算のみで、制御周期毎に負荷の稼動制御を行うため、リアルタイムに管理下になる全需要電力の電力容量を制御することが可能となる。
また、この発明によれば、天気予報データや過去の天気における太陽光発電における発電電力の季節毎の実績データなどを用いた予測を行う必要がなく、かつスマートグリッドを装備した建物を建設する場合にも、運転開始時における、実績データの取得などの測定を行うチューニングが必要がないため、高度なエンジニアリング能力及び人手をかけることなく、需要電力の制御機能の構築のためのコストを、従来に比較して低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態による需要電力制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による需要電力制御装置1を用いた電力源200からの需要電力量の制御を説明する概念図である。
【図3】本実施形態における各建物の負荷の稼動状態を制御する制御周期を説明する図である。
【図4】容量制御データベース16に記憶されている各建物の設備機器の稼動制御を行うための容量制御パターンの構成を示す概念図である。
【図5】建物単位に、容量制御パターンのパターン番号と、このパターン番号の示す容量制御パターンを用いたデマンド処理における減段を行う際の各設備機器の低減率との対応を示す低減率対応テーブルの構成を示す図である。
【図6】設備機器識別番号と、設備機器の減段する際の電力量の制御単位と、設備機器のデマンド処理を行う前の初期の稼動状況との対応を示す稼動状態対応テーブルの構成を示す図である。
【図7】一実施形態の需要電力制御装置による需要電力量の制御の動作例を示すフローチャートである。
【図8】従来例における各建物の負荷の稼動状態を制御する制御周期を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の第1の実施形態による需要電力制御装置の構成例を示す概略ブロック図である。
図1の需要電力制御装置1は、計測部11、電力制御部12、予測値算出部13、予測差算出部14、目標値記憶部15、容量制御パターン記憶部16、対応テーブル記憶部17、タイマー部18及び制御周期カウンタ19を備えている。
目標値記憶部15には、定められた制御期間(デマンド制御周期)毎に計測される全需要電力量の実績値において、使用可能な最大の全需要電力量としての上限値が、予め書き込まれて記憶されている。この上限値は、商用電力の供給元、あるいは各施設の担当者などにより任意に書き込まれる値である。
【0021】
計測部11は、電力センサ11aにより、各建物に設けられた負荷である設備機器100_1から100_n(nは自然数)に対し、電力源300(例えば、商用電力源あるいはスマートグリッド単位)から供給される全需要電力量の単位時間当たりの単位電力量(例えば、3分ごとの検出値から、この3分間の電力量を求めた単位電力量)を測定する。
ここで、設備機器100_1から100_nは、例えば、建物内部の空調に用いられる冷水を生成する冷凍機である。
【0022】
次に、図2は、本実施形態による需要電力制御装置1を用いた電力源300からの全需要電力量の制御を説明する概念図である。
需要電力制御装置1は、例えば大学や工場などの施設における複数の建物(建物200_1、200_2、200_3、…、200_n)の各々に設けられた設備機器(100_1、100_2、100_3、…、100_n)の稼動状態を制御する。
この各設備機器の稼働状態を制御することにより、需要電力制御装置1は、電力源300から上述した施設に対して供給する全需要電力量を目標とする電力容量に抑えている。
【0023】
例えば、設備機器は冷凍機であり、設備機器100_1は、5個の小型の冷凍機ユニットから構成され、稼動状態の制御が1個ずつの冷凍機ユニットの停止及び起動で行われる。
稼動状態としては、例えば冷凍機ユニットが全て停止している0個、起動している冷凍機ユニットが1個、2個、3個、4個、5個(全て稼動)の6段階の制御、すなわち全冷凍機ユニットの動作における20%が稼動状態の制御単位となる。
同様に、設備機器100_1、100_nは、5個の小型の冷凍機ユニットから構成され、稼動状態の制御が1個ずつの冷凍機ユニットの停止及び起動で行われる。
稼動状態としては、例えば冷凍機ユニットが全て停止している0個、起動している冷凍機ユニットが1個、2個、3個、4個、5個(全て稼動)の6段階の制御となる。
また、設備機器100_3は、大きな冷凍機ユニット単体で構成されており、稼動状態を冷却量の制御により容量制御される。
稼動状態としては、例えば、0%(停止状態)、25%、50%、75%、100%の5段階の制御、すなわち冷凍機ユニットの100%の起動状態に対して25%が稼動状態の制御単位となる。
【0024】
次に、図3は、本実施形態における各建物の負荷の稼動状態を制御する制御周期を説明する図である。
この図3において、制御周期の時間幅は、時刻T1、T2、T3、…の各々の間の時間Xであり、例えば、契約電力を監視する際に用いられる全需要電力量を求める際に、計測する計測電力を平均化する30分として設定する。
また、図3における時間m0は、全需要電力量を求めるための単位電力量(実績値)が出力できない一定時間である不感時間であり、この時間内には正確な単位電力量を計測部11は出力することができない。
【0025】
図1に戻り、タイマー部18は、制御周期などを設定する時間をカウントし、時間X、時間m0、時間Yなどの時間経過の検出に用いられる。
例えば、タイマー部18は、時間XをカウントするとカウントアップするXタイマーと、時間m0をカウントするとカウントアップするm0タイマーと、時間YをカウントするとカウントアップするYタイマーとの3個のタイマーを備えている。
また、タイマー部18は、Xタイマー、m0タイマー及びYタイマーとは同一タイミングでカウント動作を開始させる。そして、タイマー部18は、時間Xが経過してXタイマーがカウントアップする毎に、時刻T1、T2、T3などの制御周期を示す時刻を検出する。したがって、タイマー部18は、時間Xが経過してXタイマーがカウントアップすると制御周期を示す周期制御信号を出力し、時間m0が経過してm0タイマーがカウントアップすると測定制御信号を出力し、時間Yが経過したYタイマーがカウントアップすると処理制御信号を出力する。時間の長さとしては、X>Y>m0の関係にある。
【0026】
制御周期カウンタ19は、制御サイクル(後述)における制御周期の順番を計数するカウンタである。例えば、制御サイクルが制御周期F1、F2及びF3の3個の制御周期から構成している場合、デマンド処理される順番がF1→F2→F3→F1→…となる。
この制御周期毎にデマンド処理する対象の建物(棟)の設備機器が設定されているため、現在がいずれの制御周期にあるかをこの制御周期カウンタ19の計数値により検出することになる。
例えば、制御周期カウンタ19の計数値が1である場合、現時点において制御周期F1がデマンド処理されており、計数値が2である場合、現時点において制御周期F2がデマンド処理されており、計数値が3である場合、現時点において制御周期F3がデマンド処理されていることになる。
この制御周期カウンタ19は、制御サイクルを構成する制御周期の数がカウントアップする計数値となっており、制御周期が3つである場合、1からカウントを開始し、3まで計数し、次にインクリメントされると計数値が1に戻る構成となっている。
【0027】
予測値算出部13は、計測部11が出力する単位電力量から制御周期内における全需要電力量を推定する。
また、予測値算出部13は、各制御周期の開始時刻、例えば時刻T1から開始される制御周期において、時刻T1+m0となった後に、計測部11から読み込む実績値である単位電力量を読み込み、この単位電力量から一つの制御周期(時間X)内における全需要電力量を推定し、推定結果を推定値として出力する。時刻T2+m0、T3+m0、…の各々においても同様の処理が行われる。また、この推定結果が得られた後、時刻T1+Yにおいて、電力制御部12による各建物の設備機器の稼動状態を制御するデマンド処理が行われる。
【0028】
ここで、予測値算出部13は、時刻T1+m0において読み込んだ単位電力量に対して、制御周期を単位時間により除算した数値(制御周期/単位時間)を乗算し、予測値を求める。
また、予測値算出部13は、時刻T1+m0において読み込んだ単位電力量を含む、計測部11から読み込んだ複数個の単位電力量の平均値を求め、この平均値に対して、制御周期を単位時間により除算した数値を乗算し、予測値を求めように構成しても良い。
【0029】
目標値記憶部15には、例えば、契約電力において制御周期に使用可能な全需要電力量の電力量を示す上限値が、予め書き込まれて記憶されている。
予測差算出部14は、目標値記憶部15から上限値を読み出し、この読み出した上限値と、予測値算出部13が算出した予測値との比較を行う。
また、予測差算出部14は、予測値が上限値以上である場合、予測値から上限値を減算し、減算結果を予測差として、電力制御部12に対して出力する。
一方、予測差算出部14は、予測値が上限値未満である場合、予測差を算出せず、正常を示す制御信号を電力制御部12に対して出力する。
【0030】
次に、図4は、容量制御パターン記憶部16に記憶されている各建物の設備機器の稼動制御を行うための容量制御パターンの構成を示す概念図である。
容量制御パターン記憶部16は、図4に示す容量制御パターンとして、制御周期毎にいずれの建物の設備機器をデマンド処理するか、またデマンド処理における稼動状態の段階とするかを示す容量制御パターンが、建物単位に設備機器の多段階ある稼動制御毎に予め書き込まれている。
ここで、制御サイクルは、制御周期毎に制御する建物の数で設定されている。図4においては、例えば、デマンド制御する建物が3棟ある場合(図2において建物200_1、200_2及び200_3の3棟が需要電力制御装置1の制御対象である場合)、制御周期の3周期から構成される。制御周期Xが30分である場合、制御サイクルは90分となる。
【0031】
例えば、図4において、容量制御パターン記憶部16には、容量制御パターンPAT1からPAT6までの、6個の容量制御パターンが記憶されている。
容量制御パターンPAT1は、時刻T1に制御周期F1が開始され、時刻T1+Yから時刻T2まで、すなわち次の制御周期F2が開始されるまでの時間X−Yの間、デマンド処理として建物200_1の設備機器100_1を減段して稼動させる制御を行う。制御周期F2においては建物200_2の設備機器100_2に対し、上述したデマンド処理が行われ、制御周期F3においても、建物200_3の設備機器100_3に対し、上述したデマンド処理が行われる。
【0032】
ここで、減段は、設備機器が冷凍機である場合、現在の稼動状態の半分の冷却量(すなわち需要電力量)に、電力制御部12が各設備機器を制御することを示している。例えば、設備機器100_1の冷凍機ユニットが5個起動している場合、減段により3個停止させ、3個及び4個起動している場合、減段により2個停止させ、2個起動している場合1個停止させ、1個の場合には冷凍機ユニットを停止させない。
また、時間X−Yは、時間Xが30分であり、時間Yが15分である場合、15分となる。すなわち、デマンド処理が制御周期幅の半分の時間のみ行われるため、制御周期において各設備機器が完全に減算されることはない。
【0033】
容量制御パターンPAT2は、時刻T1に制御周期F1が開始され、時刻T1+Yから時刻T2まで、すなわち次の制御周期F2が開始されるまでの時間X−Yの間、デマンド処理として建物200_1の設備機器100_1と、建物200_2の設備機器100_2とを減段して稼動させる制御を行う。制御周期F2においては建物200_2の設備機器100_2と建物200_3の設備機器100_3とに対し、上述したデマンド処理が行われ、制御周期F3においても、建物200_1の設備機器100_1と建物200_3の設備機器100_3とに対し、上述したデマンド処理が行われる。容量制御パターンPAT2は、制御周期毎に1個の設備危機のデマンド処理を行う容量制御パターンPAT1と異なり、制御周期毎に2個の設備機器のデマンド処理を行っている。
【0034】
容量制御パターンPAT3は、時刻T1に制御周期F1が開始され、時刻T1+Yから時刻T2まで、すなわち次の制御周期F2が開始されるまでの時間X−Yの間、デマンド処理として全ての建物の設備機器(設備機器100_1、100_2及び100_3)を減段して稼動させる制御を行う。制御周期F2及び制御周期F3においても、デマンド処理として全ての建物の設備機器(設備機器100_1、100_2及び100_3)を減段して稼動させる制御を行う。容量制御パターンPAT3は、制御周期毎に1個の設備危機のデマンド処理を行う容量制御パターンPAT1と異なり、制御周期毎に3個の設備機器のデマンド処理を行っている。
【0035】
容量制御パターンPAT4は、時刻T1に制御周期F1が開始され、時刻T1+Yから時刻T2まで、すなわち次の制御周期F2が開始されるまでの時間X−Yの間、デマンド処理として建物200_1の設備機器100_1と、建物200_2の設備機器100_2とを減段し、建物200_3の設備機器100_3を停止させる稼動状態の制御を行う。制御周期F2においては、建物200_2の設備機器100_2と建物200_3の設備機器100_3とを減段し、建物200_1の設備機器100_1を停止させるデマンド処理が行われる。同様に、制御周期F3においては、建物200_1の設備機器100_1と建物200_3の設備機器100_3とを減段し、建物200_2の設備機器100_2を停止させるデマンド処理が行われる。
【0036】
容量制御パターンPAT5は、時刻T1に制御周期F1が開始され、時刻T1+Yから時刻T2まで、すなわち次の制御周期F2が開始されるまでの時間X−Yの間、デマンド処理として建物200_1の設備機器100_1と、建物200_2の設備機器100_2とを停止し、建物200_3の設備機器100_3を減段させる稼動状態の制御を行う。制御周期F2においては、建物200_2の設備機器100_2と建物200_3の設備機器100_3とを停止、建物200_1の設備機器100_1を減段させるデマンド処理が行われる。同様に、制御周期F3においては、建物200_1の設備機器100_1と建物200_3の設備機器100_3とを停止し、建物200_2の設備機器100_2を減段させるデマンド処理が行われる。
【0037】
容量制御パターンPAT3は、時刻T1に制御周期F1が開始され、時刻T1+Yから時刻T2まで、すなわち次の制御周期F2が開始されるまでの時間X−Yの間、デマンド処理として全ての建物の設備機器(設備機器100_1、100_2及び100_3)を停止させる制御を行う。制御周期F2及び制御周期F3においても、デマンド処理として全ての建物の設備機器(設備機器100_1、100_2及び100_3)を停止させる制御を行う。
【0038】
次に、図5は、建物単位に、容量制御パターンのパターン番号と、このパターン番号の示す容量制御パターンを用いたデマンド処理における減段を行う際の各設備機器の低減率との対応を示す低減率対応テーブルの構成を示す図である。
ここで、対応テーブル記憶部17には、容量制御パターンのパターン番号と、パターン番号の示す容量制御パターンの減段における低減率との低減率対応テーブルが、設備機器を識別する設備機器識別番号に対応し、設備機器毎に記憶されている。
【0039】
次に、図6は、設備機器識別番号(符号の番号を用いている)と、設備機器識別番号の示す設備機器の減段する際の制御単位と、設備機器識別番号の示す設備機器のデマンド処理を行う前の初期の稼動状況との対応を示す稼動状態対応テーブルの構成を示す図である。
ここで、対応テーブル記憶部17には、設備機器を識別する設備機器識別番号と、この設備機器識別番号の示す設備機器の制御単位の電力量と、この設備機器識別番号の示す設備機器の初期の稼動状態の需要電力量とが対応付けられた稼動状態対応テーブルが記憶されている。ここで、制御単位は、図2の設備機器100_1から100_nの各々の説明における稼動状態の制御を行う単位であり、最大需要電力量(最大冷却容量)に対する割合である。例えば、設備機器100_1、100_2、100_nの制御単位が20%であり、設備機器100_3の制御単位が25%である。
【0040】
図1に戻り、電力制御部12は、予測差算出部14から予測差が供給されると、容量制御パターン記憶部16から、パターン番号順に容量制御パターンを読み込み、制御周期のいずれにおいてどの設備機器のデマンド処理を行うかを内部記憶部に書き込んで記憶させる。
また、電力制御部12は、読み込んだ容量制御パターンのパターン番号に対応する低減率を、対応テーブル記憶部17の低減率対応テーブルから、設備機器毎に読み込む。
また、電力制御部12は、設備機器の制御単位と、初期の稼動状態とを、設備機器識別番号の示す設備機器毎に、対応テーブル記憶部17に記憶されている稼動状態対応テーブルから読み出し、内部記憶部に書き込んで記憶する。
【0041】
・容量制御パターンPAT1を用いた低減電力量の算出
電力制御部12は、読み込んだ容量制御パターン、例えば読み込んだ容量制御パターンPAT1から、制御サイクルの制御周期毎に、いずれか1つの設備機器をX−Yの間を減段して稼動させるデマンド処理を行うため、制御周期F1、F2及びF3の各々におけるデマンド処理により低減される需要電力量である低減電力量を求める。
電力制御部12は、制御周期F1における低減電力量を求めるため、設備機器100_1の低減率に対し、設備機器100_1の初期の稼動状態である冷凍機ユニットの稼動数を乗算し、小数点以下の数値が有る場合切り上げ、この乗算結果を新たな稼働数とする。
【0042】
また、電力制御部12は、初期の稼動状態とデマンド処理後の稼動状態との差分、すなわち差分の冷凍機ユニットの数に対し、制御単位の電力量を乗算し、乗算結果を制御周期低減電力量とする。
そして、電力制御部12は、この制御周期における低減電力量に対し、((X−Y)/X)を乗算し、乗算結果を制御周期F1における低減電力量とする。
ここで、電力制御部12は、設備機器100_1のように複数の冷凍機ユニットから構成されている場合、稼動状態を冷凍機ユニットの起動数にて示す。
【0043】
電力制御部12は、設備機器100_2のデマンド処理を行う制御周期F2における低減電力量の算出を制御周期F1と同様に行う。
また、電力制御部12は、制御周期F3における低減電力量を求めるため、設備機器100_3の低減率に対し、設備機器100_3の初期の稼動状態である冷凍機の冷却容量(需要電力量)を乗算し、この乗算結果を新たな冷却容量とする。
また、電力制御部12は、初期の稼動状態とデマンド処理後の稼動状態との冷却容量の差分を、対応テーブル記憶部12の稼動状態対応テーブルから読み出した制御単位の電力量で除算し、除算結果の小数点以下を切り上げる。
そして、電力制御部12は、この除算結果を切り換えた整数値に対し、制御単位の電力量を乗算し、この乗算結果を制御周期低減電力量とする。
そして、電力制御部12は、この制御周期低減電力量に対し、((X−Y)/X)を乗算し、乗算結果を制御周期F3における低減電力量とする。
【0044】
容量制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々の低減電力量が予測差を超える場合、この容量制御パターンPAT1を選択し、この容量制御パターンPAT1に基づくデマンド処理を、各設備機器に対して行う。
すなわち、容量制御12は、制御周期F1において設備機器100_1の減段を行い、制御周期F2において設備機器100_2の減段を行い、制御周期F3において設備機器100_3の減段を、それぞれ時間X−Yの間行うデマンド処理を行う。
【0045】
以下、図4を用いた場合の電力制御部12の需要電力制御を説明する。電力制御部12は、以下に示すように、容量制御パターンPAT1からPAT6までの各制御周期における低減電力量を番号順に演算し、目標とする全需要電力量の上限値を満足する容量制御パターンを検出し、検出された容量制御パターンにより、監視下にある建物の設備機器の稼働状態を制御する。
・容量制御パターンPAT2を用いた低減電力量の算出
電力制御部12は、容量制御パターンPAT1の場合と同様に、例えば読み込んだ容量制御パターンPAT2から、制御サイクルの制御周期毎に、いずれか2つの設備機器をX−Yの間を減段して稼動させるデマンド処理を行うため、制御周期F1、F2及びF3の各々におけるデマンド処理により低減される需要電力量である低減電力量を求める。
この容量制御パターンPAT2の場合、制御周期F1において設備機器100_1及び100_2がデマンド制御され、制御周期F2において設備機器100_2及び100_3がデマンド制御され、制御周期F3において設備機器100_1及び100_3がデマンド制御される。
【0046】
このため、電力制御部12は、制御周期F1において、上述した容量制御パターンPAT1で求めた設備機器100_1及び100_2の各々の低減電力量を加算し、この加算結果を制御周期F1の低減電力量とする。
同様に、電力制御部12は、制御周期F2において、上述した容量制御パターンPAT1で求めた設備機器100_2及び100_3の各々の低減電力量を加算し、この加算結果を制御周期F2の低減電力量とする。
また、電力制御部12は、制御周期F3において、上述した容量制御パターンPAT1で求めた設備機器100_1及び100_3の各々の低減電力量を加算し、この加算結果を制御周期F3の低減電力量とする。
【0047】
容量制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々の低減電力量が予測差を超える場合、この容量制御パターンPAT2を選択し、この容量制御パターンPAT2に基づくデマンド処理を、各設備機器に対して行う。
すなわち、容量制御12は、制御周期F1において設備機器100_1及び100_2の減段を行い、制御周期F2において設備機器100_2及び100_3の減段を行い、制御周期F3において設備機器100_1及び100_3の減段を、それぞれ時間X−Yの間行うデマンド処理を行う。
【0048】
・容量制御パターンPAT3を用いた低減電力量の算出
電力制御部12は、容量制御パターンPAT1の場合と同様に、例えば読み込んだ容量制御パターンPAT3から、制御サイクルの制御周期毎に、3つ全ての設備機器をX−Yの間を減段して稼動させるデマンド処理における低減電力量の算出を行う。
すなわち、電力制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々におけるデマンド処理により、全ての棟の設備機器の減段により低減される需要電力量である低減電力量の算出を行う。
この容量制御パターンPAT3の場合、制御周期F1、F2及びF3の各々において設備機器100_1、100_2及び100_3の全てが減算されるデマンド処理が行われる。
このため、電力制御部12は、上述した容量制御パターンPAT1で求めた設備機器100_1、100_2及び100_3の各々の減段による低減電力量を加算し、この加算結果を制御周期F1、F2及びF3の各々の低減電力量とする。
【0049】
容量制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々の低減電力量が予測差を超える場合、この容量制御パターンPAT3を選択し、この容量制御パターンPAT3に基づくデマンド処理を、各設備機器に対して行う。
すなわち、容量制御12は、制御周期F1、F2及びF3の各々において設備機器100_1、100_2及び100_3の減段を、それぞれ時間X−Yの間行うデマンド処理を行う。
【0050】
・容量制御パターンPAT4を用いた低減電力量の算出
電力制御部12は、容量制御パターンPAT1の場合と同様に、例えば読み込んだ容量制御パターンPAT4から、制御サイクルの制御周期毎に、X−Yの間において、3棟のいずれか2棟の設備機器を減段して稼動させ、かつ残りの1棟の設備機器を停止させるデマンド処理における低減電力量の算出処理を行う。
すなわち、電力制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々におけるデマンド処理により、減段される設備機器及び停止される設備機器における低減する需要電力量である低減電力量を求める。
【0051】
この容量制御パターンPAT3の場合、制御周期F1において、設備機器100_1及び100_2が減段され、設備機器100_3が停止され、設備機器100_2及び100_3が減段され、設備機器100_1が停止され、設備機器100_1及び100_3が減段され、設備機器100_3が停止される。すなわち、需要電力量の制御サイクル内において、制御サイクルを構成する制御周期の各々の減段される2つの設備機器と停止される1つの設備機器とが異なる組合せとして、容量制御パターンPAT4により予め設定されている。
【0052】
ここで、電力制御部12は、停止した設備機器による低減電力量を、制御周期内における現在の稼動状態における需要電力量に対して((X−Y)/X)を乗算することにより算出する。この現在の稼動状態における需要電力量は、図6に示す対応テーブル記憶部17に記憶された稼動状態対応テーブルから、設備機器識別番号に対応して読み出す。
そして、電力制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々において、各設備機器の稼働状態の組合せに対し、容量制御パターンPAT1の処理で求めた二つの設備機器の減段による低減電力量と、上述のように停止した一つの設備機器による低減電力量とを加算し、この加算結果を制御周期F1、F2及びF3の各々の低減電力量とする。
【0053】
・容量制御パターンPAT5を用いた低減電力量の算出
電力制御部12は、容量制御パターンPAT1の場合と同様に、例えば読み込んだ容量制御パターンPAT5から、制御サイクルの制御周期毎に、X−Yの間において、3棟のいずれか1棟の設備機器を減段して稼動させ、かつ残りの2棟の設備機器を停止させるデマンド処理における低減電力量の算出処理を行う。
すなわち、電力制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々におけるデマンド処理により、減段される設備機器及び停止される設備機器における低減する需要電力量である低減電力量を求める。
【0054】
この容量制御パターンPAT3の場合、制御周期F1において、設備機器100_1及び100_2が停止され、設備機器100_3が減段され、設備機器100_2及び100_3が停止され、設備機器100_1が減段され、設備機器100_1及び100_3が停止され、設備機器100_3が減段される。すなわち、需要電力量の制御サイクル内において、制御サイクルを構成する制御周期の各々の停止される2つの設備機器と減段される1つの設備機器とが異なる組合せとして、容量制御パターンPAT5により予め設定されている。
【0055】
ここで、電力制御部12は、容量制御パターンPAT1のデマンド処理で求めた各設備機器の減段による低減電力量と、容量制御制御パターンPAT4のデマンド処理で求めた各設備機器の低減電力量とを用い、容量制御パターンPAT5による各制御周期における低減電力量を求める。
すなわち、電力制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々において、各設備機器の稼働状態の組合せに対し、容量制御パターンPAT1の処理で求めた二つの設備機器の減段による低減電力量と、容量制御パターンPAT1の処理で求めた一つの設備機器による低減電力量とを加算し、この加算結果を制御周期F1、F2及びF3の各々の低減電力量とする。
【0056】
・容量制御パターンPAT6を用いた低減電力量の算出
電力制御部12は、容量制御パターンPAT1の場合と同様に、例えば読み込んだ容量制御パターンPAT6から、制御サイクルの制御周期毎に、3つ全ての設備機器をX−Yの間を停止して稼動させるデマンド処理における低減電力量の算出を行う。
すなわち、電力制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々におけるデマンド処理により、全ての棟の設備機器の停止により低減される需要電力量である低減電力量の算出を行う。
この容量制御パターンPAT6の場合、制御周期F1、F2及びF3の各々において設備機器100_1、100_2及び100_3の全てが停止されるデマンド処理が行われる。
このため、電力制御部12は、上述した容量制御パターンPAT4で求めた設備機器100_1、100_2及び100_3の各々の停止による低減電力量を加算し、この加算結果を制御周期F1、F2及びF3の各々の低減電力量とする。
【0057】
電力制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々の低減電力量が予測差を超える場合、この容量制御パターンPAT6を選択し、この容量制御パターンPAT3に基づくデマンド処理を、各設備機器に対して行う。
すなわち、電力制御部12は、制御周期F1、F2及びF3の各々において設備機器100_1、100_2及び100_3の停止を、それぞれ時間X−Yの間行うデマンド処理を行う。
【0058】
また、上述した減段の処理において、例えば、設備機器100_1における現在の稼動状態が、一つの冷凍機ユニットが稼動している状態である場合、減段の低減率が50%である場合、小数点以下を切り上げて整数とする。このため、低減率によらず、小数点以下に数値が存在する限り、必ず一つの冷凍機ユニット(すなわち、制御単位)が稼動されることになり、低減の場合に設備機器は停止しない。
【0059】
次に、図1、図3及び図7を用いて、本実施形態による需要電力制御装置1の需要電力制御の動作を説明する。図7は、需要電力制御装置1の需要電力制御の処理例を示すフローチャートである。需要電力制御装置1の監視下にある設備機器として、設備機器100_1から100_3の3個があり、図4の容量制御パターンPAT1からPAT6を用いるとして以下説明する。
ステップS0:
予測値算出部13は、自身内部にある処理フラグをリセットし、処理フラグが設定されていない状態とする。
また、電力制御部12は、制御周期カウンタ19の計数値を1とする初期化を行い、処理をステップS1へ進める。
【0060】
ステップS1:
タイマー部18は、現在を時刻T、例えば時刻T1として、Xタイマー、m0タイマー及びYタイマーの各々を初期化する。
そして、タイマー部18は、同一タイミングにおいて、Xタイマー、m0タイマー及びYタイマーの各々にカウント動作を開始させ、処理をステップS2へ進める。
【0061】
ステップS2:
タイマー部18は、m0タイマーがカウントアップしたか否かの判定を行う。
このとき、タイマー部18は、m0タイマーがカウントアップした場合、時間m0が経過したとして、予測値算出部13に対して測定制御信号を出力した後、処理をステップS3へ進める。
一方、タイマー部18は、m0タイマーがカウントアップしていない場合、時間m0が経過していないとして、ステップS2の処理を繰り返す。
【0062】
ステップS3:
予測値算出部13は、計測部11が測定して出力する実績電力である単位電力量を、計測部11から読み込み、処理をステップS4へ進める。
【0063】
ステップS4:
予測値算出部13は、自身内部にある処理フラグがセットされているか否かの検出を行う。
このとき、予測値算出部13は、処理フラグがセットされている場合、デマンド処理が行われているとして、処理をステップS6へ進める。
一方、予測値算出部13は、処理フラグがセットされていない場合、デマンド処理が行われていない通常の状態であるとして、処理をステップS5へ進める。
【0064】
ステップS5:
予測値算出部13は、自身内部にある処理フラグがセットされていない場合、計測部11に対し、需要電力制御装置1の監視下にある設備機器100_1から100_3の現在の稼動状態における冷却容量(需要電力量)の検出を要求する制御信号を出力する。
計測部11は、上述した制御信号を供給されると、各設備機器の稼働状態における需要電力量を設備機器100_1、100_2及び100_3の各々から読み込み、読み込んだ各設備機器の現在の稼動状態の需要電力量を、予測値算出部13に対して出力する。
そして、予測値算出部13は、計測部11から読み込んだ各設備機器の現在の稼動状態における需要電力量を、対応テーブル記憶部17の稼動状態対応テーブルにおいて、各設備機器の設備機器識別番号に対応した初期の稼動状態における需要電力量の項に、書き込んで記憶させる。
そして、予測値算出部13は、処理をステップS6へ進める。
【0065】
ステップS6:
予測値算出部13は、計測部11から読み込んだ単位電力量に対し、(制御周期/単位時間)を乗算し、乗算結果を推定値とする。
そして、予測値算出部13は、求めた推定値を予測差算出部14に対して出力した後、処理をステップS7へ進める。
【0066】
ステップS7:
予測差算出部14は、需要電力量として使用可能な電力容量である上限値を、目標値記憶部15から読み込む。
そして、予測差算出部14は、読み込んだ上限値と、予測値算出部13から供給された推定値とを比較する。
このとき、予測差算出部14は、推定値が上限値未満である(Y)場合、処理をステップS15へ進める。
一方、予測差算出部14は、推定値が上限値以上である(N)場合、推定値から上限値を減算し、減算結果を予測差として電力制御部12へ送信した後、処理をステップS8へ進める。
【0067】
ステップS8:
電力制御部12は、制御周期カウンタ19から計数値を読み込むとともに、容量制御パターンPAT1からPAT6を容量制御パターンデータベース16から順次読み込む。
そして、電力制御部12は、読み込んだ容量制御パターン毎に、制御周期カウンタ19の計数値に対応する制御周期に対するデマンド処理を行う低減電力量の算出を行う。
すなわち、電力制御部12は、それぞれの容量制御パターンの現時点の制御周期においてデマンド処理を行った場合における、初期の稼動状態の需要電力量からの低減する電力量である低減電力量を算出する。
そして、電力制御部12は、容量制御パターンPAT1からPAT6の各々の現時点の制御周期における低減電力量を算出した後、処理をステップS9へ進める。
【0068】
ステップS9:
電力制御部12は、容量制御パターンPAT1からPAT6を用いたデマンド処理による各々の低減電力量から、予測差を超える低減電力量に対応する容量制御パターンを抽出する。
そして、電力制御部12は、抽出した容量制御パターンのなかから、最も小さな低減電力量に対応する容量制御パターンを選択し、処理をステップS10へ進める。
ただし、電力制御部12は、予測差が容量制御パターンPAT6による低減電力量、すなわち最も大きな低減電力量を超える場合、この容量制御パターンPAT6を、監視下にある設備機器の稼働状態の制御に用いる容量制御パターンとして選択する。
【0069】
ステップS10:
電力制御部12は、予測値算出部13の自身内部の処理フラグのセット処理を行う。このとき、電力制御部12は、予測値算出部13の処理フラグが設定されていたとしても、再度セットを行う。
そして、電力制御部12は、処理をステップS11へ進める。
【0070】
ステップS11:
タイマー部18は、Yタイマーがカウントアップしたか否かの判定を行う。
このとき、タイマー部18は、Yタイマーがカウントアップした場合、時間Yが経過したとして、電力制御部12に対して処理制御信号を出力した後、ステップS12へ進める。
一方、タイマー部18は、Yタイマーがカウントアップしていない場合、時間Yが経過していないとして、ステップS11の処理を繰り返す。
【0071】
ステップS12:
電力制御部12は、タイマー部18から処理制御信号が供給されると、選択した容量制御パターンにより、監視下にある設備機器の稼動状態の制御を開始した後、処理をステップS13へ進める。
すなわち、電力制御部12は、容量制御パターンに従い、制御サイクルの制御周期の各々において、X−Yの時間の間、設備危機に対し減段及び停止を制御し、デマンド処理を行う。
【0072】
ステップS13:
タイマー部18は、Xタイマーがカウントアップしたか否かの判定を行う。
このとき、タイマー部18は、Xタイマーがカウントアップした場合、時間Xが経過したとして、すなわち制御周期の一つが終了したとして、電力制御部12に対して周期制御信号を出力した後、処理をステップS14へ進める。
一方、タイマー部18は、Xタイマーがカウントアップしていない場合、時間Xが経過していないとして、ステップS13の処理を繰り返す。
【0073】
ステップS14:
電力制御部12は、周期制御信号がタイマー部18から供給されると、デマンド処理を行う時間X−Yが経過したとして、デマンド処理を終了する。
すなわち、電力制御部12は、対応テーブル記憶部17の稼動状態対応テーブルの現時点の制御周期でデマンド処理を行っている設備機器の設備機器識別番号に対応して記憶されている初期の稼動状態における需要電力量を読み出す。
そして、電力制御部12は、現時点の制御周期の制御対象の設備機器の稼働状態を、読み出した初期の稼動状態における需要電力量により稼動するように、制御対象の設備機器の稼動状態を制御する。
また、電力制御部12は、周期制御信号が供給され、上述した稼動状態の遷移を終了した後、制御周期カウンタ19に対してカウント信号を出力する。
そして、制御周期カウンタ19は、カウント信号が供給されると、計数値を一つ増加させ(インクリメント)させ、処理をステップS1へ進める。
【0074】
ステップS15:
予測値算出部13は、自身内部にある処理フラグがセットされているか否かの検出を行う。
このとき、予測値算出部13は、処理フラグがセットされている場合、現在デマンド処理が行われているとして、処理をステップS16へ進める。
一方、予測値算出部13は、処理フラグがセットされていない場合、デマンド処理が行われていない通常の状態であるとして、処理をステップS17へ進める。
【0075】
ステップS16:
電力制御部12は、予測値算出部13の内部にある処理フラグのリセットを行い、処理フラグにフラグが設定されていない状態とし、処理をステップS17へ進める。
【0076】
ステップS17:
タイマー部18は、Xタイマーがカウントアップしたか否かの判定を行う。
このとき、タイマー部18は、Xタイマーがカウントアップした場合、時間Xが経過したとして、すなわち制御周期の一つが終了したとして、電力制御部12に対して周期制御信号を出力した後、ステップS18へ進める。
一方、タイマー部18は、Xタイマーがカウントアップしていない場合、時間Xが経過していないとして、ステップS17の処理を繰り返す。
【0077】
ステップS18:
電力制御部12は、周期制御信号が供給されることにより、制御周期カウンタ19に対してカウント信号を出力する。
そして、制御周期カウンタ19は、カウント信号が供給されると、計数値を一つ増加させ(インクリメント)させ、処理をステップS1へ進める。
上述したフローチャートのデマンド処理において、電力制御部12は、容量制御パターンの示す制御サイクルに従い、この制御サイクルを構成する制御周期を制御サイクル内で繰り返して行う。
【0078】
上述したように、本実施形態においては、デマンド処理を行う場合、監視下にあるいずれかの棟の設備機器を制御周期の全期間において停止させるのではなく、制御周期の期間において所定の時間(時間X−Y)のみ停止させる。
このため、本実施形態によれば、いずれかの棟の環境のみを低下させるのではなく、各棟に対して平均的に低減電力量を供出させることにより、監視下の棟全体の環境をある程度維持した状態で、全体の全需要電力量を低下させることができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、上述したように、図7のフローチャートに従って、制御サイクルにおいて、各棟の設備機器の需要電力量を均等に低下させる制御のみであるため、すでに建設されている建物や、スマートグリッドに対しても容易に適用することができる。
また、本実施形態によれば、制御周期における需要電力量の予測値の演算や、容量制御パターンによる低減電力量の演算が簡易であるため、高速に処理が行え、同一の制御周期内でリアルタイムに需要電力量の低減処理が行える。
【0080】
また、第1の実施形態の各制御周期により、デマンド処理を行う時間を可変とするため、効率的な制御として制御サイクル単位の全制御周期で同一の容量制御パターンを用いる構成としても良い。
すなわち、上述した第1の実施形態の構成においては、制御周期毎にデマンド処理を行うための低減電力量を演算し、対象の制御周期のみのデマンド処理を行う容量制御パターンを選択していた。
しかしながら、制御サイクル単位における最初の制御周期F1において制御サイクル中の全ての制御周期のデマンド処理のための容量制御パターンを選択する場合、電力制御部12は、制御サイクルの最初の制御周期F1で選択した容量制御パターンを、制御周期F2及びF3におけるデマンド処理によっても使用する。
これにより、デマンド処理を行うための低減電力量の算出が効率化されることになる。
【0081】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の実施形態による需要電力制御装置1と構成が同様であり、図1に示す構成をしている。
上述した第1の実施形態においては、減段あるいは停止の制御が行われるデマンド処理の処理の時間X−Yを、容量制御パターンの全てで同一として説明したが、他の実施形態として設備機器の種類毎、すなわち建物(棟)毎に異なるデマンド処理の時間を用いても良い。
すなわち、第2の実施形態として、デマンド処理として減段あるいは停止を行う時間X−Yを、容量制御パターン毎に可変できるようにし、制御サイクルにおける各制御周期間で低減電力量を均一化し、よりデマンド処理を効率的に行うことができる。
この場合、電力制御部12は、監視している建物における設備機器の最大需要電力量の設備機器間の比を求め、この比に基づいて、時間X−Yを各設備機器間、すなわち制御周期間で可変して制御する。また、対応テーブル記憶部17の稼動状態対応テーブルには、各設備機器の稼働における最大需要電力量(最大冷却容量)が予め、各設備機器の設備機器識別番号に対応して記憶されている。
【0082】
例えば、電力制御部12は、設備機器100_1、100_2及び100_3の各々の最大需要電力量を読み出し、読み出した各設備機器の最大需要電力量を用いて、各設備機器間の最大需要電力の比である最大需要電力量比を算出する。
このとき、電力制御部12は、設備機器100_1、100_2及び100_3のなかから最も小さな最大需要電力量を抽出し、この最も小さな最大需要電力量により、各最大需要電力量を除算する。
すなわち、電力制御部12は、最も小さな最大需要電力量により、各最大需要電力量の規格化を行うことにより、各設備機器間の最大需要電力量比を求める。
ここで、最も小さな最大需要電力量が設備機器100_1であり、求められた設備機器100_1、100_2及び100_3の各々における最大需要電力量比が、例えば、1:1.2:1.3して求められる。
【0083】
このとき、電力制御部12は、制御周期F1のデマンド処理を行う時間CT1として時間X−Yをそのまま用いる。
一方、電力制御部12は、制御周期F2のデマンド処理を行う時間を求める際、制御周期F2でデマンド処理を行う設備機器の最大需要電力量の比率1.2により、時間X−Yを除算して、除算結果を制御周期F2におけるデマンド処理を行う時間CT2として求める。
同様に、電力制御部12は、制御周期F2のデマンド処理を行う時間を求める際、制御周期F2でデマンド処理を行う設備機器の最大需要電力量の比率1.3により、時間X−Yを除算して、除算結果を制御周期F2におけるデマンド処理を行う時間CT3として求める。
【0084】
また、タイマー部18は、カウント動作が開始され時間Yが経過し、処理制御信号を出力した時点からカウントを開始するタイマーとして、CT1タイマー、CT2タイマー及びタイマーCT3をさらに備えている。
CT1タイマーは、制御周期F1において、処理制御信号をタイマー部18が出力した時点からカウントを開始し、時間CT1が経過するとカウントアップし、電力制御部12に対して、デマンド処理を終了する時間となったことを示す終了制御信号を出力する。
同様に、CT2タイマーは、制御周期F2において、処理制御信号をタイマー部18が出力した時点からカウントを開始し、時間CT2が経過するとカウントアップし、電力制御部12に対して、デマンド処理を終了する時間となったことを示す終了制御信号を出力する。
また、CT3タイマーは、制御周期F3において、処理制御信号をタイマー部18が出力した時点からカウントを開始し、時間CT3が経過するとカウントアップし、電力制御部12に対して、デマンド処理を終了する時間となったことを示す終了制御信号を出力する。
【0085】
上述した処理において、電力制御部12は、自身の求めた時間CT1、CT2及びCT3の各々を、タイマー部18のCT1タイマー、CT2タイマー及びCT3タイマーそれぞれにセットする。
また、電力制御部12は、すでに説明したように、Xタイマー、Yタイマー及びm0タイマーがカウントを開始して、時間Yが経過した時点から、各制御周期に対応した設備機器の減段または停止を含むデマンド処理を開始する。
そして、電力制御部12は、各制御周期において、対応するCTタイマーがカウントアップし、タイマー部18から終了制御信号が供給されると、制御周期に対応した設備機器の減段または停止を含むデマンド処理を終了する。
上述した処理により、各建物の設備機器毎に需要電力量が異なっても、各制御周期における低減電力量を均一化することができ、高い精度で効率的なデマンド処理を行うことができる。
【0086】
また、第2の実施形態の各制御周期により、デマンド処理を行う時間を可変とするため、効率的な制御として制御サイクル単位の全制御周期で同一の容量制御パターンを用いる構成としても良い。
すなわち、上述した第2の実施形態の構成においては、制御周期毎にデマンド処理を行うための低減電力量を演算し、対象の制御周期のみのデマンド処理を行う容量制御パターンを選択していた。
しかしながら、制御サイクル単位における最初の制御周期F1において制御サイクル中の全ての制御周期のデマンド処理のための容量制御パターンを選択する場合、電力制御部12は、制御サイクルの最初の制御周期F1で選択した容量制御パターンを、制御周期F2及びF3におけるデマンド処理によっても使用する。また、制御周期F1において、時間CT1のみでなく、制御周期F1及びF2の各々の時間CT2及びCT3の各々を算出する。
これにより、デマンド処理を行うための低減電力量の算出が効率化されることになる。
【0087】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、各制御周期で制御する設備機器を、複数の建物の設備機器を組み合わせてグルーピングした設備機器としても良い。
すなわち、施設内に複数の建物があり、それぞれ建物毎に異なる最大需要電力量の設備機器が設けられている。このため、各制御周期の低減電力量を均一化するため、複数の建物をグループ化する。
すなわち、グループに含まれる設備機器の需要電力量を加算してそれぞれグループ需要電力量を求め、各グループ間のグループ需要電力量がなるべく均一となるように、グループを構成する建物の組合せを行う。
【0088】
そして、電力制御部12は、制御周期毎に一つのグループを対応させ、制御周期毎に対応するグループに含まれる設備機器を一括して、減段または停止のデマンド処理を行う。
ここで、電力制御部12は、各制御周期において、低減電力量の算出を、すでに第1の実施形態において説明したように、グループ内のそれぞれの設備機器の低減電力量を算出する。そして、電力制御部12は、算出した低減電力量を合計し、その制御周期におけるグループの低減電力量として用いる。その後のデマンド処理の制御は、第1の実施形態あるいは第2の実施形態と同様である。
【0089】
また、図1における需要電力制御装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより需要電力量の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0090】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0091】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1…需要電力制御装置
11…計測部
11a…電力センサ
12…電力制御部
13…予測値算出部
14…予測差算出部
15…目標値記憶部
16…容量制御パターン記憶部
17…対応テーブル記憶部
18…タイマー部
19…制御周期カウンタ
100_1,100_2,100_3,100_n…設備機器
200_1,200_2,200_3,200_n…建物
300…電力源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物の各々に設けられた負荷に供給する需要電力量の合計である全需要電力量を制御する需要電力制御装置であり、
全ての前記建物の前記負荷に供給される電力量を所定の時間測定し、測定結果を実績値として出力する測定部と、
制御周期毎に、前記実績値から当該制御周期における前記全需要電力量の予測値を算出する予測値算出部と、
前記予測値と、予め設定された前記全需要電力量の上限値とを比較して、前記予測値が前記上限値を超える場合、前記上限値と前記予測値との差である予測差を算出する予測差算出部と、
前記予測差に応じて、前記建物の前記負荷毎の需要電力量を、前記制御周期単位で前記建物毎に順番に制御し、前記全需要電力量を制御する電力制御部と、
を備えることを特徴とする需要電力制御装置。
【請求項2】
前記予測値算出部が、
前記制御周期内の第1期間経過後に、前記実績値を前記測定部から読み込み、当該実績値から前記制御周期内の前記予測値を算出し、
前記電力制御部が、
前記制御周期内の第2期間経過後に、前記予測差に応じて、当該制御周期に対応する前記建物における前記負荷の前記需要電力量を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の需要電力制御装置。
【請求項3】
前記建物の前記負荷の前記需要電力量の異なる制御方法毎に複数種類が設けられ、前記制御周期毎に前記需要電力量を制御する対象の前記負荷を示す容量制御パターンが記憶された容量制御パターン記憶部をさらに有し、
前記電力制御部が、
前記容量制御パターン記憶部に記憶されている複数の前記容量制御パターンから、前記予測差に対応する前記容量制御パターンを選択し、選択した当該容量制御パターンにより、前記建物毎の前記負荷の前記需要電力量を制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の需要電力制御装置。
【請求項4】
前記負荷毎に、当該負荷の電力容量の制御単位と、現在の稼動状態における前記電子機器の前記需要電力量の電力容量とが対応付けられた対応テーブルが記憶された対応テーブル記憶部をさらに有し、
前記電力制御部が、
前記容量制御パターン毎に低減される低減電力量を、現在の前記負荷の需要電力量と、予め定められた低減率と、前記制御単位とにより算出し、算出された当該低減電力量が前記予測容量を超え、かつ最小値となる前記容量制御パターンを選択し、選択した当該容量制御パターンにより前記建物の各々の負荷を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の需要電力制御装置。
【請求項5】
前記容量制御パターンによる需要電力量において、前記建物の各々の前記負荷の前記制御周期における低減量を平均化する制御期間となるように、前記建物毎に前記第2期間が設定されていることを特徴とする請求項3または請求項4における需要電力制御装置。
【請求項6】
前記制御周期における低減量を平均化する組み合わせで前記建物をグループ化し、グループ単位で前記建物の前記負荷の需要電力量を前記容量制御パターンにより制御することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の需要電力制御装置。
【請求項7】
複数の建物の各々に設けられた負荷に供給する需要電力量の合計である全需要電力量を制御する需要電力制御装置を制御する需要電力制御方法であり、
測定部が、全ての前記建物の前記負荷に供給される電力量を所定の時間測定し、測定結果を実績値として出力する測定過程と、
予測値算出部が、制御周期毎に、前記実績値から当該制御周期における前記全需要電力量の予測値を算出する予測値算出過程と、
予測差算出部が、前記予測値算出部によって算出された前記予測値と、前記全需要電力の予め設定された上限値とを比較して、前記予測値が前記上限値を超える場合、前記上限値と前記予測値との差である予測差を算出する予測差算出過程と、
電力制御部が、前記予測差に応じて、前記建物の前記負荷毎の需要電力量を、前記制御周期単位で前記建物毎に順番に制御し、前記全需要電力量を調整する電力制御過程と、
を含むことを特徴とする需要電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106374(P2013−106374A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246605(P2011−246605)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】