説明

露光装置、及び画像形成装置

【課題】スポットの解像がぼやけてしまうことにより、出力された画像にスジが発生することを防止できる露光装置を提供する。
【解決手段】発光素子基板と、結像光学系を有するレンズユニットと、発光素子基板及びレンズユニットを支持する支持部材と、支持部材の第1の方向の端部に設けられたスライドスリーブ部材と、スライドスリーブ部材に設けられ、第1の方向の軸を中心として回動するローラーと、スライドスリーブ部材を外嵌し、スライドスリーブ部材を発光素子基板の面に直交もしくは略直交する第3の方向に対し摺動するシャフト部材と、シャフト部材が取り付けられるシャフト支持部材と、シャフト支持部材に設けられスライドスリーブ部材を第3の方向に付勢する付勢部材と、スライドスリーブ部材に設けられ、第2の方向でシャフト部材に当接する当接コロと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真、静電複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置において、特に、感光体などの像担持体に静電潜像を形成するための露光手段として用いられる露光装置に関するものである。また、本発明はそのような露光装置を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のトナー像形成手段は、外周面に感光層を有する像担持体としての感光体と、この感光体の外周面を一様に帯電させる帯電手段と、この帯電手段により一様に帯電させられた外周面を選択的に露光して静電潜像を形成する露光手段と、この露光手段により形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像手段とを有している。
【0003】
感光体上により微細な静電潜像を形成するために、上記のような露光手段に用いる露光ヘッドとして、例えば特許文献1に記載されているように、主走査方向に略直行する副走査方向に搬送される被走査面(感光体表面)に光ビームを結像してスポットを形成する露光ヘッドであり、2個以上の発光素子を主走査方向に並べた発光素子列が副走査方向に複数並べられて複数の発光素子が2次元配置されてなるものが知られている。このような露光ヘッドでは、所望の解像度を実現するために、発光素子群が有する複数の発光素子から射出される光ビームを、2次元配置されてなる結像レンズによって所定の倍率で拡大、もしくは縮小して被走査面(感光体表面)にスポットを形成させるようにしている。このような露光ヘッドでは、被走査面(感光体表面)上において、副走査方向の異なる位置にわたってスポットが解像する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−36937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の露光ヘッドにおいては、少なくとも複数の結像レンズを2次元配置するため、また隣り合う結像レンズのクロストークを抑制するために、複数の発光素子群のピッチを十分空けるようにしている。また、このような結像レンズを用いてスポットの結像を行う光学系は結像レンズの焦点深度が概ね20〜30μmと大変短い。そのため、結像の焦点を一定に保つためには、感光体ドラムと露光ヘッドとの位置精度を高くすると共に、感光体ドラムが回転方向で振れたとしても感光体ドラム表面と露光ヘッドのギャップを一定に保つことが望ましい。
【0006】
このために、上記のような露光ヘッドを組み込んだ露光ユニットでは、露光ヘッドの主走査方向の両端に当接コロを設け、かつ露光ヘッドが感光体母線に沿う方向にスライドするようなスライド機構を用い、当接コロを感光体に押し当てることで感光体と露光ヘッドのギャップを一定に保つ機構を採用する場合がある。
【0007】
ところで、上記のような機構を用いた場合、露光ヘッドは感光体ドラムの回転反力により当接コロから副走査方向に力を受け、スライド機構のガタ分だけ露光ヘッド全体が傾くことがある。このような露光ヘッドの傾きのため結像レンズの焦点位置が被走査面(感光体表面)からずれ、この焦点位置ずれの影響によって、スポットの解像がぼやけてしまい、出力された画像にスジが発生する問題があった。
【0008】
なお、上記のような光学系が用いられている特許文献1記載の露光ヘッドは、スライド機構のガタに基づく焦点位置のずれが、セルフォックレンズを用いた露光ヘッドよりも10倍程度大きくなり、画像への影響が著しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記のような問題を解決するために、本発明に係る露光装置は、光を発光する第1の発光素子、前記第1の発光素子の第1の方向に配設されて光を発光する第2の発光素子、及び前記第1の方向と直交する第2の方向に配設された第3の発光素子を備える面を有する発光素子基板と、前記第1の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第1の結像光学系、前記第2の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第2の結像光学系、及び前記第3の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第3の結像光学系を有するレンズユニットと、前記発光素子基板及びレンズユニットを支持する支持部材と、前記支持部材の前記第1の方向の端部に設けられたスライドスリーブ部材と、前記スライドスリーブ部材に設けられ、前記第1の方向の軸を中心として回動するローラーと、前記スライドスリーブ部材を外嵌し、前記スライドスリーブ部材を前記発光素子基板の前記面に直交もしくは略直交する第3の方向に対し摺動するシャフト部材と、前記シャフト部材が取り付けられるシャフト支持部材と、前記シャフト支持部材に設けられ前記スライドスリーブ部材を前記第3の方向に付勢する付勢部材と、前記スライドスリーブ部材に設けられ、前記第2の方向で前記シャフト部材に当接する当接コロと、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る露光装置は、前記発光素子基板が、前記第2の方向で、前記第3の発光素子と異なる位置に配設された第4の発光素子を有し、前記レンズユニットは、前記第4の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第4の結像光学系を有する。
【0011】
また、本発明に係る露光装置は、前記第3の発光素子を含む前記発光素子基板の前記面と垂直な仮想平面に前記ローラーの軸が設けられる。
【0012】
また、本発明に係る露光装置は、前記スライドスリーブ部材が、前記支持部材の前記第1の方向の両端部に設けられる。
【0013】
また、本発明に係る露光装置は、前記コロが、複数設けられる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、光を発光する第1の発光素子、前記第1の発光素子の第1の方向に配設されて光を発光する第2の発光素子、及び前記第1の方向と直交する第2の方向に配設された第3の発光素子を備える面を有する発光素子基板と、前記第1の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第1の結像光学系、前記第2の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第2の結像光学系、及び前記第3の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第3の結像光学系を有するレンズユニットと、前記発光素子基板及びレンズユニットを支持する支持部材と、前記支持部材の前記第1の方向の端部に設けられたスライドスリーブ部材と、前記スライドスリーブ部材に設けられ、前記第1の方向の軸を中心として回動するローラーと、前記スライドスリーブ部材を外嵌して前記スライドスリーブ部材を前記発光素子基板の前記面に直交もしくは略直交する第3の方向に対し摺動するシャフト部材と、前記シャフト部材が取り付けられるシャフト支持部材と、前記シャフト支持部材に設けられ前記スライドスリーブ部材を前記第3の方向に付勢する付勢部材と、前記スライドスリーブ部材に設けられ、前記第2の方向で前記シャフト部材に当接する当接コロと、を有して潜像を形成する露光部と、前記ローラーと当接するとともに、前記露光部により前記潜像が形成される潜像担持体と、前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記発光素子基板が、前記第2の方向で、前記第3の発光素子と異なる位置に配設された第4の発光素子を有し、前記レンズユニットは、前記第4の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第4の結像光学系を有する。
【0016】
本発明の露光ユニット及び画像形成装置によれば、2次元配置されてなる複数のレンズを有する露光ヘッドを支持する支持部材の端部に設けられたスライドスリーブ部材が複数のコロによって押圧される構成となっており、この複数のコロによって、スライドスリーブ部材を含むスライド機構のガタを少なくすることで露光ヘッドが傾くことを抑えることができるので、レンズの焦点位置が被走査面(感光体表面)からずれ、この焦点位置ずれの影響によって、スポットの解像がぼやけてしまい、出力された画像にスジが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【図2】光書き込み露光ヘッドの構成を示す一部を破断した斜視図である。
【図3】図2の副走査方向に沿ってとった断面図である。
【図4】図2の場合の発光体アレイとレンズアレイの配置を示す平面図である。
【図5】1個のレンズとそれに対応する発光素子群との対応関係を示す図である。
【図6】各発光素子群を構成する発光素子から、レンズアレイのレンズを通る光路を示す光路図である。
【図7】レンズアレイの斜視図である。
【図8】レンズアレイの断面を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る露光ユニットの構成を説明する図である。
【図10】本発明の実施形態に係る露光ユニットの構成を説明する図である。
【図11】本発明の実施形態に係る露光ユニットの構成を説明する図である。
【図12】従来例に係る露光ユニットの問題点を説明する図である。
【図13】従来例に係る露光ユニットの問題点を説明する図である。
【図14】本発明の実施形態に係る露光ユニットにおいて当接コロを設ける効果を説明する図である。
【図15】本発明の実施形態に係る露光ユニットにおいて当接コロを多数設ける効果を説明する図である。
【図16】本発明の他の実施形態に係る露光ユニットで用いられる露光ヘッドの断面図である。
【図17】本発明の他の実施形態に係る露光ユニットで用いられる露光ヘッドの発光体アレイとレンズアレイの配置を示す平面図である。
【図18】本発明の他の実施形態に係る露光ユニットにおける露光ヘッドの傾きを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面で参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。画像形成装置の中央部に配置された各色の画像形成部に対し、現像装置30Y、30M、30C、30Kは、画像形成装置の下方部に配置され、転写ベルト40、2次転写部(2次転写ユニット)60、定着ユニット(不図示)などの構成は画像形成装置の上方部に配置されている。
【0019】
現像装置30Y、30M、30C、30Kは、トナーによる画像を形成するために、感光体10Y、10M、10C、10K、コロナ帯電器11Y、11M、11C、11K、露光ヘッドが設けられた露光ユニット12Y、12M、12C、12K等を備えている。コロナ帯電器11Y、11M、11C、11Kにより、感光体10Y、10M、10C、10Kを一様に帯電させ、露光ユニット12Y、12M、12C、12Kにより、入力された画像信号に基づいて露光を行い、帯電された感光体10Y、10M、10C、10K上に静電潜像を形成する。
【0020】
現像装置30Y、30M、30C、30Kは、概略、現像ローラー20Y、20M、20C、20K、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)からなる各色の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器(リザーバ)31Y、31M、31C、31K、これら各色の液体現像剤を現像剤容器31Y、31M、31C、31Kから現像ローラー20Y、20M、20C、20Kに塗布する塗布ローラーであるアニロックスローラー32Y、32M、32C、32K等を備え、各色の液体現像剤により感光体10Y、10M、10C、10K上に形成された静電潜像を現像する。
【0021】
転写ベルト40は、エンドレスのベルトであり、駆動ローラー41とテンションローラー42、52に張架され、1次転写部50Y、50M、50C、50Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながら駆動ローラー41により回転駆動される。1次転写部50Y、50M、50C、50Kは、感光体10Y、10M、10C、10Kと転写ベルト40を挟んで1次転写ローラー51Y、51M、51C、51Kが対向配置され、感光体10Y、10M、10C、10Kとの当接位置を転写位置として、現像された感光体10Y、10M、10C、10K上の各色のトナー像を転写ベルト40上に順次重ねて転写し、フルカラーのトナー像を形成する。
【0022】
2次転写ユニット60は、2次転写ローラー61が転写ベルト40を挟んでベルト駆動ローラー41と対向配置され、さらに2次転写ローラークリーニングブレード62からなるクリーニング装置が配置される。そして、2次転写ローラー61を配置した転写位置において、転写ベルト40上に形成された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を転写材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布等の転写材に転写する。
【0023】
さらに、経路転写材搬送経路Lの下流の定着ユニット(不図示)では、用紙等の転写材上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の転写材に融着させ定着させる。
【0024】
テンションローラー42は、ベルト駆動ローラー41などと共に転写ベルト40を張架しており、転写ベルト40がテンションローラー42に張架されている箇所で、転写ベルトクリーニングブレード49からなるクリーニング装置が当接・配置され、転写ベルト40上の残りトナー、キャリアをクリーニングするようになっている。
【0025】
画像形成装置に対する転写材の供給は給紙装置(不図示)によって行われる。このような給紙装置にセットされた転写材は、所定のタイミングにて一枚ごとに転写材搬送経路Lに送り出されるようになっている。転写材搬送経路Lでは、ゲートローラー101、101’及び転写材ガイド102によって転写材を2次転写位置まで搬送し、転写ベルト40上に形成された単色のトナー現像像やフルカラーのトナー現像像を転写材に転写する。
【0026】
ここで、現像装置について説明するが、各色の画像形成部及び現像装置の構成は同様であるので、以下、イエロー(Y)の画像形成部及び現像装置に基づいて説明する。
【0027】
画像形成部は、感光体10Yの外周の回転方向に沿って、感光体クリーニングブレード18Y、コロナ帯電器11Y、露光ユニット12Y、現像装置30Yの現像ローラー20Y、第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’が配置されている。
【0028】
感光体10Yと当接している感光体クリーニングブレード18Yは、感光体10Y上の転写されずに残った液体現像剤をクリーニングする。
【0029】
現像装置30Yにおける現像ローラー20Yの外周には、クリーニングブレード21Y、アニロックスローラー32Y、コンパクションコロナ発生器22Yが配置されている。アニロックスローラー32Yには、現像ローラー20Yへ供給する液体現像剤の量を調整する規制ブレード33Yが当接している。液体現像剤容器31Yの中にはオーガ34Yが収容されている。また、感光体10Yと対向する位置には、転写ベルト40を挟むようにして、1次転写部の1次転写ローラー51Yが配置されている。
【0030】
感光体10Yは、外周面にアモルファスシリコン感光体などの感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムであり、時計回りの方向に回転する。
【0031】
コロナ帯電器11Yは、感光体10Yと現像ローラー20Yとのニップ部より感光体10Yの回転方向の上流側に配置され、図示しない電源装置から電圧が印加され、感光体10Yをコロナ帯電させる。露光ユニット12Yは、コロナ帯電器11Yより感光体10Yの回転方向の下流側において、コロナ帯電器11Yによって帯電された感光体10Y上に光を照射し、感光体10Y上に潜像を形成する。なお、画像形成プロセスの始めから終わりまでで、より前段に配置されるローラーなどの構成は、後段に配置されるローラーなどの構成より上流にあるものと定義する。
【0032】
現像装置30Yは、コンパクション作用を施すコンパクションコロナ発生器22Y、キャリア内にトナーを概略重量比20%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31Yを有する。
【0033】
また現像装置30Yは、前記の液体現像剤を担持する現像ローラー20Y、液体現像剤を現像ローラー20Yに塗布するための塗布ローラーであるアニロックスローラー32Yと、現像ローラー20Yに塗布する液体現像剤量を規制する規制ブレード33Yと、液体現像剤を攪拌、搬送しつつアニロックローラー32Yに供給するオーガ34Y、現像ローラー20Yに担持された液体現像剤をコンパクション状態にするコンパクションコロナ発生器22Y、現像ローラー20Yのクリーニングを行う現像ローラークリーニングブレード21Yを有する。
【0034】
現像剤容器31Yに収容されている液体現像剤は、従来一般的に使用されているIsopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜3wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本発明における液体現像剤は、熱可塑性樹脂中へ顔料等の着色剤を分散させた平均粒径1〜2μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約15〜25%とした高粘度(HAAKE RheoStress RS600を用いて、25℃の時のせん断速度が1000(1/s)のときの粘弾性が30〜300mPa・s程度)の液体現像剤である。
【0035】
本実施形態に係る画像形成装置では、現像剤容器31Yに供給される液体現像剤を調整するために、濃度調整用タンク(不図示)が設けられており、このような濃度調整用タンクにてトナー固形分濃度約20%の液体現像剤を調整する。また、一方でトナー固形分濃度約20%以上の高濃度トナーを貯蔵するタンクである高濃度トナータンク(不図示)を有しており、この高濃度トナーからの高濃度トナーを濃度調整用タンクに供給するようになっている。また、メインキャリアタンクMT(不図示)にはキャリア液の原液が貯蔵されており、このメインキャリアタンクMTから濃度調整用タンクにキャリア液が供給されて、濃度調整用タンクにてトナー固形分濃度約20%の液体現像剤が調整される。
【0036】
アニロックスローラー32Yは、現像ローラー20Yに対して液体現像剤を供給し、塗布する塗布ローラーとして機能するものである。このアニロックスローラー32Yは、円筒状の部材であり、表面に現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に螺旋状に彫刻された溝による凹凸面が形成されたローラーである。このアニロックスローラー32Yにより、現像剤容器31Yから現像ローラー20Yへと液体現像剤が供給される。装置動作時においては、図1に示すように、オーガ34Yが反時計回り回転し、アニロックローラー32Yに液体現像剤を供給し、アニロックローラー32Yは反時計回りに回転して、現像ローラー20Yに液体現像剤を塗布する。
【0037】
規制ブレード33Yは、厚さ200μm程度の金属ブレードであり、アニロックスローラー32Yの表面に当接し、アニロックスローラー32Yによって担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚、量を規制、調整し、現像ローラー20Yに供給する液体現像剤の量を調整する。
【0038】
現像ローラークリーニングブレード21Yは、現像ローラー20Yの表面に当接するゴム等で構成され、現像ローラー20Yが感光体10Yと当接する現像ニップ部より現像ローラー20Yの回転方向の下流側に配置されて、現像ローラー20Yに残存する液体現像剤を掻き落として除去するものである。
【0039】
コンパクションコロナ発生器22Yは、現像ローラー20Y表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、コンパクションコロナ発生器22Yによって、コンパクション部位でコンパクションコロナ発生器22Y側から現像ローラー20Yに向かって電界が印加される。なお、このコンパクションのための電界印加手段は、図1に示すコロナ放電器のコロナ放電に代えて、コンパクションローラーなどを用いても良い。
【0040】
現像ローラー20Yに担持されてコンパクションされた現像剤は、現像ローラー20Yが感光体10Yに当接する現像ニップ部において、所定の電界印加によって、感光体10Yの潜像に対応して現像される。
【0041】
現像残りの現像剤は、現像ローラークリーニングブレード21Yによって掻き落として除去され現像剤容器31Y内の回収部に滴下して再利用される。尚、このようにして再利用されるキャリア及びトナーは混色状態ではない。
【0042】
1次転写の上流側に配置される感光体スクイーズ装置は、感光体10Yに対向して現像ローラー20Yの下流側に配置して感光体10Yに現像されたトナー像の余剰キャリアを回収するものである。この感光体スクイーズ装置は、感光体10Yに摺接して回転する弾性ローラー部材から成る第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’とから構成され、感光体10Y上に現像されたトナー像から余剰なキャリア及び本来不要なカブリトナーを回収し、顕像(トナー像)内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。なお、感光体スクイーズローラー13Y、13Y’には、所定のバイアス電圧が印加されている。
【0043】
上記の第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’からなるスクイーズ装置を経た感光体10Y表面は、1次転写部50Yに進入する。
【0044】
1次転写部50Yでは、感光体10Yに現像された現像剤像を1次転写ローラー51Yにより転写ベルト40へ転写する。この1次転写部においては、1次転写バックアップローラー51に印加される転写バイアスの作用によって、感光体10上のトナー像は転写ベルト40側に転写される。ここで、感光体10Yと転写ベルト40は等速度で移動する構成であり、回転及び移動の駆動負荷を軽減するとともに、感光体10Yの顕像トナー像への外乱作用を抑制している。
【0045】
上記現像装置30Yの現像プロセスと同様のプロセスによって、現像装置30M、30C、30Kにおいても、それぞれの感光体10M、10C、10K上にマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像が各々形成される。そして、転写ベルト40はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色の1次転写部50のニップを通過し、各色の感光体上の現像剤(現像像)が転写され、色重ねされて2次転写ユニット60のニップ部に進入する。
【0046】
転写ベルト40は、ポリイミド基層上にポリウレタンの弾性中間層を設け、さらにその上にPFA表層が設けられている三層構造となっている。このような転写ベルト40では、ポリイミド基層側において駆動ローラー41、テンションローラー42、52で張架され、PFA表層側においてトナー像が転写されるようにして用いられる。このように形成された弾性を有する転写ベルト40は、転写材表面への追従性、応答性がよいために、2次転写時において、特に粒子径が小さいトナー粒子を転写材の凹部に対して送り込み転写させるのに有効である。
【0047】
2次転写ユニット60を経た転写ベルト40は、再び1次転写部50で転写像を受けるために周回するが、1次転写部50が実行される上流側において転写ベルト40は、転写ベルトクリーニングブレード49などによってクリーニングが実施される。
【0048】
次に、本発明の露光ユニット12Y、12M、12C、12Kそれぞれに採用されている露光ヘッド23Y、23M、23C、23Kの構成の概要について説明する。なお、以下の光学系の説明においてはY、M、C、Kなどの添字を省略する。図2は光書き込み露光ヘッドの構成を示す一部を破断した斜視図であり、図3はその副走査方向(幅方向)に沿ってとった断面図である。また、図4はこの場合の発光体アレイとレンズアレイの配置を示す平面図である。さらに、図5は1個のレンズとそれに対応する発光素子群との対応関係を示す図である。
【0049】
図2は、露光ヘッド23を拡大して示す概略の斜視図である。図2乃至図5において、201は発光部、202は発光素子、204は発光素子群、205はレンズ、206はレンズアレイ、220はガラス基板、221はケース、222は受け穴、224は固定金具、225は位置決めピン、226はねじ挿入孔、227は封止部材、228は遮光部材、229は透孔をそれぞれ示している。
【0050】
発光部201は、ガラス基板220上に発光素子202を主走査方向(長手方向)・副走査方向(幅方向)にアレイ状に配列した有機EL発光素子ラインを有している。この発光部201は、主走査方向に長尺状に設けられているケース221中に保持されている。
【0051】
図2においては、感光体ユニットに取り付けられた各感光体(像担持体)10に対して、露光ヘッド23を正確に位置決めするために、位置決めピン225とねじ挿入孔226を設けている。位置決めピン225を、図示を省略した露光ヘッド23のケースの対向する位置決め穴に嵌入させる。位置決めピン225と位置決め穴とは主走査方向に若干の隙間を持って嵌入され、露光ヘッド23の主走査方向への位置調整が可能に設定されている。また、長尺のケース221の両端に設けたねじ挿入孔226を通して、固定ねじを前記露光ヘッド23のケースのねじ穴にねじ込んで固定することにより、各ラインヘッド23が所定位置に固定される。
【0052】
露光ヘッド23においては、結像光学系としてマイクロレンズを採用している。ケース221は、ガラス基板220の周囲を覆い、感光体(像担持体)10に面した側は開放する。このようにして、露光ヘッド23から感光体(像担持体)10に光線を射出する。
【0053】
図3は、本発明の実施形態に係る露光ユニット12に採用される露光ヘッドの縦断面図であり、図2の構成を部分的に示している。ガラス基板220上に有機EL発光素子202の発光部201を載置し、同じガラス基板220に形成されたTFT(不図示)により駆動される。発光部201の前面に配置されるレンズ205を通して、出力光が感光体(像担持体)10へ照射される。ケース221は、ガラス基板220の周囲を覆い、感光体(像担持体)10に面した側は開放する。不透明カバーは、発光部201の出力光が像担持体への照射面とは反対側に放射されることを防止して発光効率を高めている。
【0054】
この例では、主走査方向(露光ヘッド長手方向)に4個の有機EL素子からなる発光素子202を配列した発光素子行を、副走査方向(露光ヘッド幅方向)に互いがずれるようにして2つ形成して1個の発光素子群204とし、この発光素子群204を主走査方向及び副走査方向に複数設けて発光体のアレイを形成している。発光素子群204は、発光素子行が設けられる副走査方向の違いにより、主走査方向の先頭位置がずらされてなる、所謂千鳥状配列となっている。図4、図5の例では、発光素子群204が副走査方向(露光ヘッド幅方向)に3列配置されている。このような発光体アレイは、ガラス基板220の裏面上に形成されており、同じガラス基板220の裏面上に形成された駆動回路により駆動される。なお、ガラス基板220の裏面の有機EL素子(発光素子202)は封止部材227で封止されている。
【0055】
ガラス基板220は長尺のケース221に設けられた受け穴222中に嵌め込まれ、裏蓋223を被せて固定金具224により固定される。長尺のケース221の両端に設けた位置決めピン225を対向する画像形成装置本体の位置決め穴に嵌入させると共に、長尺のケース221の両端に設けたねじ挿入孔226を通して固定ねじを画像形成装置本体のねじ穴にねじ込んで固定することにより、光書き込み露光ヘッド23が所定位置に固定されている。
【0056】
そして、ケース221のガラス基板220の表面側には、発光体アレイの各発光素子群204と整列するように透孔229が穿たれた所定の厚さの遮光部材228を介して、レンズアレイ206が固定されている。その際、図5から明らかなように、レンズアレイ206の各レンズ205の光軸が発光素子群204の中心に整列するようにレンズアレイ206が固定されている。
【0057】
図6は各発光素子群を構成する発光素子から、レンズアレイのレンズを通る光路を示す光路図であり、図7はレンズアレイの斜視図であり、図8はレンズアレイの断面を示す図である。
【0058】
図6における光路の軌跡が示すように、各発光素子から射出された光ビームは、ガラス基板220の裏面に入射した後、該ガラス基板220の表面から射出される。そして、ガラス基板220の表面から射出された光ビームはレンズアレイ206を介して感光体(像担持体)10の表面(被走査面)に到達する。また、光路の幾何特性が示すように、露光ヘッド23における上記光学系の倍率(光学倍率)の絶対値は1より大きい。つまり、露光ヘッド23における上記光学系は、拡大特性を有するいわゆる拡大光学系である。
【0059】
図8は、レンズアレイ206の断面図であり、それを構成する同一のレンズ205が所定方向、図5の場合は、主走査方向(露光ヘッド長手方向)に一定ピッチで列状に配置され、副走査方向(露光ヘッド幅方向)に3個の同様のレンズ205の列が3列配置され、主走査方向の列の先頭位置が3分の1ピッチずつずらして配列されて構成される。
【0060】
このレンズアレイ206は、ガラス板等からなり所定厚さのレンズ基板271の表面に透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部72が、またその裏面に同様の透明樹脂製の所定形状の曲面のレンズ屈折面部273が一体に成形されてなるものであり、各レンズ屈折面部272、273の光軸が対応する各レンズ205の光軸O−O’と軸合わせて正確に成形されているものである。レンズ屈折面部272とレンズ屈折面部273の同一形状であっても異なる形状であってもよい。各々のレンズ205は、光学倍率が1ではなく、光学倍率がマイナス(倒立結像)の結像素子である。また、このようなレンズ205を用いてスポットの結像を行う光学系はレンズ205の焦点深度が概ね20〜30μmと大変短い。
【0061】
ここで、露光ヘッド23における発光素子群とレンズのより詳細な位置関係について図4、図6を参照して定義する。発光素子群204が設けられている平面を「第1平面」として定義する。また、図6に示す、発光素子群204が設けられる第1平面から所定距離離れている仮想的な平面を第2平面として定義する。
【0062】
また、図4に示すように、主走査方向(長手方向)の同一ライン上に設けられる一連の発光素子群204の最初のものの端部(a)と最後のものの端部(a’:不図示)の間の結ぶ線分a−a’を第1線分として定義する。これによれば、複数の発光素子群204が第1線分上に所定距離間隔で設けられていることとなる。
【0063】
また、図4に示すように、主走査方向(長手方向)の同一ライン上に設けられる一連の発光素子群204の最初のものの端部(b)と最後のものの端部(b’:不図示)の間の結ぶ線分b−b’を第2線分として定義する。これによれば、複数の発光素子群204が第2線分上に所定距離間隔で設けられていることとなる。
【0064】
また、図4に示すように、主走査方向(長手方向)の同一ライン上に設けられる一連の発光素子群204の最初のものの端部(c)と最後のものの端部(c’:不図示)の間の結ぶ線分c−c’を第2線分として定義する。これによれば、複数の発光素子群204が第3線分上に所定距離間隔で設けられていることとなる。
【0065】
線分b−b’は線分a−a’と第1距離d1離れており、線分c−c’は線分a−a’と第2距離d2離れており、線分a−a’、線分b−b’、線分c−c’は全て互いに平行の関係にある。
【0066】
第2平面と、所定の発光素子群204から伸ばした第1平面の垂線とが交わる位置にレンズ205が配置されており、このレンズ205が当該発光素子群204から射出される光ビームの光学系として機能する。このような関係は、全ての発光素子群204と、それぞれに対応するレンズ205との間で成立している。
【0067】
次に、以上のように構成される露光ヘッド23が搭載される露光ユニット12の構成について説明する。図10乃至図11は本発明の実施形態に係る露光ユニット12の構成を説明する図であり、図9(A)は露光ユニット12と感光体10とを抜き出して示した図であり、感光体10軸に対して水平方向からみたものであり、図9(B)は露光ユニット12と感光体10を側面からみた図である。第3平面は前記第1線分に垂直で前記シャフト部材310の中心線を含む平面であり、すなわち、図9(A)に示されたB−B’断面のうち、シャフト部材310の中心線を通る部分に等しい。また、図10は図9(A)に示されたB−B’断面の図であり、図11は露光ユニット12及び感光体10端部の斜視図である。図11では一連の構成を理解しやすいようユニット基材300とスライドスリーブ部材320を第3平面で切断して図示している。
【0068】
露光ユニット12におけるユニット基材300は、画像形成装置本体のシャーシ(不図示)に固定して取り付けられるものであり、感光体10との相対的位置関係が変わらないようになっている。このユニット基材300の長手方向端部の2箇所にはシャフト部材310が2つ設けられている。これらのシャフト部材310に外嵌されるようにして、2つのスライドスリーブ部材320が設けられており、2つのスライドスリーブ部材320がシャフト部材310を軸として、図中P−Qの方向にスライド可能となっている。すなわち、シャフト部材310は、スライドスリーブ部材320を前記第1平面の垂線方向に対し摺動可能に保持するようになっている。
【0069】
2つのスライドスリーブ部材320の間には、露光ヘッド23を支持する支持部材330が固定されており、この支持部材330も同じく、スライドスリーブ部材320に併せてスライド可能となっており、したがって、露光ヘッド23の位置は感光体10に対して近づいたり遠ざかったりするようになっている。
【0070】
露光ヘッド23は、その長手方向が、支持部材330の長手方向と対応するように支持部材330に固定されている。したがって、配置関係としては、スライドスリーブ部材320は支持部材330における第1線分方向の両端部に2つ設けられた格好となっている。
【0071】
ユニット基材300には、2つのスライドスリーブ部材320を感光体10方向(図中P方向)に付勢するバネなどの付勢部材350がそれぞれのスライドスリーブ部材320に対応するように設けられている。一方、2つのスライドスリーブ部材320は、第1線分方向のローラー軸341を中心として回動するように当接ローラー340が固定されており、この当接ローラーが感光体10と当接して、露光ヘッド23と感光体10とのギャップ距離を決めるようになっている。従って、露光ヘッド23はP方向に付勢されつつ、感光体10とつれ周りする当接ローラー340により、位置決めがなされる状態となっている。
【0072】
また、スライドスリーブ部材320には、前記第1線分に垂直で前記シャフト部材310の中心線を含む第3平面上を中心が通り、前記シャフト部材310に当接する複数の当接コロ370がそれぞれのスライドスリーブ部材320に対応するように設けられている。このような当接コロ370を設ける効果は後述する。
【0073】
図12は前記のような当接コロ370が設けられていない従来例を示す図であり、図13は従来例における露光ヘッド23と感光体10表面の拡大図である。なお、これらの図においては、便宜上説明に必要な構成のみを示している。
【0074】
図12及び図13に示すような、露光ヘッド23を組み込んだ従来の露光ユニットでは、露光ヘッド23の主走査方向の両端に当接ローラー340が設けられ、露光ヘッド23が感光体母線に沿う方向にスライドするようなスライド機構(スライドスリーブ部材320とシャフト部材310)を用い、当接ローラー340を感光体10に押し当てることで感光体10と露光ヘッド23のギャップを一定に保つようにしているが、感光体10の回転に伴い、当接ローラー340からその回転力を受けたスライドスリーブ部材320が図に示すように傾くという現象が発生する。このような傾きは、シャフト部材310とスライドスリーブ部材320との間のアソビに起因するものであり、その機械的な動作に大きな影響を及ぼすものではないが、図13に示すように露光ヘッド23から感光体10表面に結像させるスポット径のピントがずれてしまう、という問題がある。これは露光ヘッド23に用いられるマイクロレンズ205の焦点深度が概ね20〜30μmと浅いことにも原因がある。従来では、上記のような問題によって、スポットの解像がぼやけてしまい、出力された画像にスジが発生する問題となっていた。
【0075】
そこで、本実施形態に係る露光ユニット12においては、シャフト部材310に当接する複数の当接コロ370をスライドスリーブ部材320に設けるようにしている。このような当接コロ370による効果を説明する。図14は本発明の実施形態に係る露光ユニット12において当接コロ370を設ける効果を説明する図である。本実施形態においては、露光ヘッド23と一体的に動作するスライドスリーブ部材320に、前記第1線分に垂直で前記シャフト部材の中心線を含む第3平面上を中心が通る位置に複数の当接コロ370を設けている。すなわち、感光体10の回転に伴い、当接ローラー340からその回転力を受けたスライドスリーブ部材320が図に示すように傾く動きを受け止めるような位置に複数の当接コロ370を設けている。これにより図14に示すように、シャフト部材310とスライドスリーブ部材320との間のアソビを少なくすることができ、露光ヘッド23が傾くことを抑えることが可能となる。
【0076】
図14に示す例では、スライドスリーブ部材320の上下両端付近に4つの当接コロ370a〜370dが設けられている。図14に示すように、感光体回転反力を主に2つのコロ370a、370dで受け止め、残り2つのコロ370b、370cはシャフト部材310と当接コロ370とのガタを少なくする役割をし、露光ヘッド23の傾きを抑えている。ここでスライドスリーブ部材320の上下両端付近に設けられた当接コロ370は上下方向の間隔をなるべく広くとると、露光ヘッド23の傾きをより防止しやすい。そのためスライドスリーブ部材320の全長は概ね60mm以上のものを用い、当接コロ370の上下方向の間隔をなるべく50mm以上とるようにするのがよい。
【0077】
以上のような、本発明の露光ユニット12及びそのような露光ユニット12が搭載された画像形成装置によれば、2次元配置されてなる複数のレンズを有する露光ヘッド23を支持する支持部材330の端部に設けられたスライドスリーブ部材320が当接コロ370によって当接される構成となっており、この当接コロ370によって、スライドスリーブ部材320を含むスライド機構のガタを少なくすることで露光ヘッド23が傾きを抑えることができるので、レンズの焦点位置が被走査面(感光体10表面)からずれ、この焦点位置ずれの影響によって、スポットの解像がぼやけてしまい、出力された画像にスジが発生することを抑制することができるのである。
【0078】
ところで、図14に示す例では、4つの当接コロ370a〜370dを用い、感光体回転反力を主に2つのコロ370a、370dで受け止める構成としているが、図15に示す例では当接コロ370a〜370dをそれぞれ複数のコロ群370a’〜370d’で構成している。これにより感光体回転反力を多数のコロで分散させることにより、コロ1個あたりの弾性変形をより少なくすることができるので、スライド機構のガタをより少なくし、露光ヘッド23の傾きをさらに抑えることができる。
【0079】
なお、長手方向にわたる発光素子群204を3つ有する露光ヘッド23が搭載された露光ユニット12においては、露光ヘッド23の第2線分を含む、第2平面と垂直な面内に、ローラー軸341が設けられるようにすると、少なくとも第2線分上の発光素子群204のピントずれは防止しやすいものとなる。
【0080】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。先の実施形態に係る露光ユニット12においては、第1線分乃至第3線分の3つの線分上に配された発光素子群204を有する露光ヘッド23が搭載されたものであったが、本実施形態に露光ユニット12においては、第1線分乃至第2線分の2つの線分上に配された発光素子群204を有する露光ヘッド23が搭載されたものである。図16は本発明の他の実施形態に係る露光ユニット12で用いられる露光ヘッド23の断面図であり、図17は本発明の他の実施形態に係る露光ユニット12で用いられる露光ヘッド23の発光体アレイとレンズアレイの配置を示す平面図である。
【0081】
図16及び図17に示すような露光ヘッド23が用いられるときにおける露光ヘッド23の傾きは図18に示すもののようになる。このような傾きに対して、本実施形態においては、図14に示すパターンで当接コロ370を設けることにより、アソビを少なくするようにして、露光ヘッド23の傾きを抑えている。
【0082】
以上のような、他の実施形態に係る露光ユニット12及びそのような露光ユニット12が搭載された画像形成装置によれば、2次元配置されてなる複数のレンズを有する露光ヘッド23を支持する支持部材330の端部に設けられたスライドスリーブ部材320が当接コロ370によって当接される構成となっており、この当接コロ370によって、スライドスリーブ部材320を含むスライド機構のガタを少なくすることで露光ヘッド23が傾くことを抑えることができるので、レンズの焦点位置が被走査面(感光体10表面)からずれ、この焦点位置ずれの影響によって、スポットの解像がぼやけてしまい、出力された画像にスジが発生することを防止できるのである。
【0083】
なお、長手方向にわたる発光素子群204を3つ有する露光ヘッド23が搭載された露光ユニット12においては、露光ヘッド23の第2線分を含む、第2平面と垂直な面内に、ローラー軸341が設けられるようにすると、少なくとも第2線分上の発光素子群204のピントずれは防止しやすいものとなる。
【0084】
なお、長手方向にわたる発光素子群204を2つ有する露光ヘッド23が搭載された本実施形態に係る露光ユニット12においては、第1線分及び第2線分の双方から等距離にある線分を含む、第2平面と垂直な面内に、ローラー軸341が設けられるようにすると、少なくとも2つの線分上の発光素子群204のピントずれは均等となり、調整などがしやすくなる。
【符号の説明】
【0085】
10Y、10M、10C、10K・・・感光体、11Y、11M、11C、11K・・・コロナ帯電器、12Y、12M、12C、12K・・・露光ユニット、13Y、13M、13C、13K・・・第1感光体スクイーズローラー、13Y’、13M’、13C’、13K’・・・第2感光体スクイーズローラー、14Y、14Y’、14M、14M’、14C、14C’、14K、14K’、・・・感光体スクイーズローラークリーニングブレード、18Y、18M、18C、18K・・・感光体クリーニングブレード、20Y、20M、20C、20K・・・現像ローラー、21Y、21M、21C、21K・・・現像ローラークリーニングブレード、22Y、22M、22C、22K・・・コンパクションコロナ発生器、23Y、23M、23C、23K・・・露光ヘッド、30Y、30M、30C、30K・・・現像装置、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、32Y、32M、32C、32K・・・アニロックスローラー、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、33Y、33M、33C、33K・・・規制ブレード、34Y、34M、34C、34K・・・オーガ(供給ローラー)、40・・・転写ベルト、41・・・ベルト駆動ローラー、42・・・テンションローラー、45・・・現像剤回収部、46・・・転写ベルトクリーニングローラー、47・・転写ベルトクリーニングローラークリーニングブレード、49・・・転写ベルトクリーニングブレード49、50Y、50M、50C、50K・・・1次転写部、51Y、51M、51C、51K・・・1次転写バックアップローラー、52・・・テンションローラー、60・・・2次転写ユニット、61・・・2次転写ローラー、62・・・2次転写ローラークリーニングブレード、74・・・(クリーニング)ブレード保持部材、85・・・2次転写ユニット回収貯留部、101、101’・・・ゲートローラー、90・・・定着ユニット、91・・・加熱ローラー、92・・・加圧ローラー、101、101’・・・ゲートローラー、102・・・転写材ガイド、201・・・発光部、202・・・発光素子、204・・・発光素子群、205・・・レンズ、206・・・レンズアレイ、220・・・ガラス基板、221・・・ケース、222・・・受け穴、224・・・固定金具、225・・・位置決めピン、226・・・ねじ挿入孔、227・・・封止部材、228・・・遮光部材、229・・・透孔、271・・・レンズ基板、272、273・・・レンズ屈折面部、300・・・ユニット基材、310・・・シャフト部材、320・・・スライドスリーブ部材、330・・・支持部材、340・・・当接ローラー、341・・・ローラー軸、350・・・付勢部材、370・・・当接コロ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発光する第1の発光素子、前記第1の発光素子の第1の方向に配設されて光を発光する第2の発光素子、及び前記第1の方向と直交する第2の方向に配設された第3の発光素子が配設された面を有する発光素子基板と、
前記第1の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第1の結像光学系、前記第2の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第2の結像光学系、及び前記第3の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第3の結像光学系を有するレンズユニットと、
前記発光素子基板及び前記レンズユニットを支持する支持部材と、
前記支持部材の前記第1の方向の端部に設けられたスライドスリーブ部材と、
前記スライドスリーブ部材に設けられ、前記第1の方向の軸を中心として回動するローラーと、
前記スライドスリーブ部材を外嵌し、前記スライドスリーブ部材を前記発光素子基板の前記面に直交もしくは略直交する第3の方向に対し摺動するシャフト部材と、
前記シャフト部材が取り付けられるシャフト支持部材と、
前記シャフト支持部材に設けられ前記スライドスリーブ部材を前記第3の方向に付勢する付勢部材と、
前記スライドスリーブ部材に設けられ、前記第2の方向で前記シャフト部材に当接する当接コロと、
を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記発光素子基板は、前記第2の方向で、前記第3の発光素子と異なる位置に配設された第4の発光素子を有し、
前記レンズユニットは、前記第4の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第4の結像光学系を有する請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記第3の発光素子を含む前記発光素子基板の前記面と垂直な仮想平面に前記ローラーの軸が設けられる請求項1または2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記スライドスリーブ部材は、前記支持部材の前記第1の方向の両端部に設けられる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記コロは、複数設けられる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項6】
光を発光する第1の発光素子、前記第1の発光素子の第1の方向に配設されて光を発光する第2の発光素子、及び前記第1の方向と直交する第2の方向に配設された第3の発光素子が配設された面を有する発光素子基板と、
前記第1の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第1の結像光学系、前記第2の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第2の結像光学系、及び前記第3の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第3の結像光学系を有するレンズユニットと、
前記発光素子基板及びレンズユニットを支持する支持部材と、前記支持部材の前記第1の方向の端部に設けられたスライドスリーブ部材と、
前記スライドスリーブ部材に設けられ、前記第1の方向の軸を中心として回動するローラーと、
前記スライドスリーブ部材を外嵌して前記スライドスリーブ部材を前記発光素子基板の前記面に直交もしくは略直交する第3の方向に対し摺動するシャフト部材と、
前記シャフト部材が取り付けられるシャフト支持部材と、
前記シャフト支持部材に設けられ前記スライドスリーブ部材を前記第3の方向に付勢する付勢部材と、前記スライドスリーブ部材に設けられ、前記第2の方向で前記シャフト部材に当接する当接コロと、を有して潜像を形成する露光部と、
前記ローラーと当接するとともに、前記露光部により前記潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記発光素子基板は、前記第2の方向で、前記第3の発光素子と異なる位置に配設された第4の発光素子を有し、
前記レンズユニットは、前記第4の発光素子から発光された光を結像する光学倍率が1とは異なる第4の結像光学系を有する請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−213976(P2012−213976A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81709(P2011−81709)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】