説明

露光装置及び基板の矯正装置

【課題】 基板の矯正が可能な露光装置を提供する。
【解決手段】
パッキン3に正圧をかけ伸張させ、露光テーブル1と接触させて密閉空間90を生成し、真空吸引孔40と真空ポンプ4により密閉空間90を吸引し、大気圧によりプレート20を押圧し、プレート20と露光テーブル1により基板99に荷重をかけ、基板99を矯正する。吸引ポンプ11による基板吸着圧力が所定の設定値に達したら、真空ポンプ4を停止し、パッキン3を収縮させて搬送装置2を搬入コンベア53上に退避させ、露光を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、露光装置及び基板の矯正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板を製造する露光装置において、基板搬送装置より搬送された基板を位置決め用の露光テーブルに載置し、吸引固定して露光する構成が採用されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−370037
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、プリント配線用の基板は、半導体ウエーハ等に比べて反りや歪み等の基板変形が発生しやすく且つ変形量も大きく、露光テーブルとの間に隙間が発生し、その結果吸引のリークが生じて吸着が不完全或いは困難になる問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の露光装置は、プリント配線用の基板を載置する露光テーブルと、該露光テーブルに基板を搬送する搬送装置と、該搬送装置に設けられ、前記基板を前記露光テーブルに押しつけて変形基板を矯正する昇降可能なプレートと、前記テーブルとプレートとの間を密閉し、密閉空間を形成するシール装置と、前記シール装置により形成された密閉空間を吸引して負圧にする吸引装置と、を備え、前記プレートは前記密閉空間の負圧により下降して前記基板を前記露光テーブルに押しつけて基板を矯正する、ことを特徴とする。
また本発明の基板の矯正装置は、基板を載置するテーブルと、該テーブルに基板を搬送する搬送装置と、該搬送装置に設けられ、前記基板を前記テーブルに押しつけて変形基板を矯正する昇降可能なプレートと、前記テーブルとプレートとの間を密閉し、密閉空間を形成するシール装置と、前記シール装置により形成された密閉空間を吸引して負圧にする吸引装置と、を備え、前記プレートは前記密閉空間の負圧により下降して前記基板を前記テーブルに押しつけて基板を矯正する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の露光装置及び矯正装置によれば、密閉空間を作って真空密着によりプレートを介して基板をテーブルに押しつけるため、強力な荷重をかけることが出来、基板が厚板で強い反力のある変形も矯正することができる。そのため露光装置にあっては、基板吸着時のリークを防止し、効率的な露光を行うことができる。
しかも、大きな荷重をかけるために大型の装置を必要とせず、装置の小型化が実現できる。
また、プレートの大きさを適用する最大の基板サイズに合わせておけば、基板サイズに関係なく、基板をエッジ部まで確実に挟み込み、基板全面へ均等な荷重をかけることが可能である、等の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明のプリント配線基板用の露光装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、露光テーブル1は露光すべき被露光対象であるプリント配線用の基板99を載置し、該基板99に対して光源50、マスク51,投影レンズ52により露光が行われる。露光テーブル1は駆動装置(図示せず)により、XYZ方向移動可能であり、且つθ方向に回転可能になっている。
【0008】
露光テーブル1には吸引孔10が設けられており、吸引ポンプ11により基板99を吸引して固定するように構成されている。吸引ポンプ11には圧力センサ12が設けられており、吸引圧力を検出して、吸引が正常に行われているか否か検出できるようになっている。
【0009】
露光テーブル1の入り側には搬送装置2が設けられており、搬入コンベア53により前工程から搬送されてきた基板99を露光テーブル1上に載置するように構成されている。
【0010】
搬送装置2は、プレート20を有し、このプレート20は昇降ガイド25により上下方向昇降自由に保持されている。プレート20には保持吸引孔21が設けられ、保持吸引ポンプ22により基板99を吸引し、吊り上げて保持するように構成されている。
プレート20の周囲にはパッキン3が設けられており、露光テーブル1に接触して、露光テーブル1と吸引孔10との間に密閉空間90を形成できるようになっている。
パッキン3はパッキンポンプ31により伸縮可能になっており、パッキン3に空気が充填されたときに膨らんでパッキンとして機能するようになっている。
【0011】
搬送装置2のプレート20には、更にパッキン3の内側に真空吸引孔40が設けられ、真空ポンプ4に連通している。この真空ポンプ4の吸引により前記した密閉空間90を吸引してほぼ真空に近い状態まで密閉空間90内圧を低下させることが出来るように構成されている。
なお、2’は搬出用の搬送装置、54は搬出コンベアである。
【0012】
制御装置5は露光装置全体の制御を行っており、前記露光テーブル1、保持吸引ポンプ22、パッキンポンプ31、真空ポンプ4、吸引ポンプ11も制御装置5により制御されている。
【0013】
図2により動作を説明する。
搬送装置2が搬入コンベア53より基板99を受け取り、保持吸引孔21と保持吸引ポンプ22により吸引保持し、露光テーブル1に搬送する。(a)
次に露光テーブル1が基板99を受け取るため上昇し、プレート20を押し上げる位置まで上昇したら、吸引孔10と吸引ポンプ11により基板99を吸引して基板吸着を行う。同時に保持吸引ポンプ22からブローして搬送装置2による保持を解く。(b)
【0014】
基板99が変形している場合、基板99と露光テーブル1の間に隙間が出来、吸引ポンプ11による吸引の基板吸着圧力が上がらない。これを制御装置5が圧力センサ12からの検出信号により検出し、パッキン3に正圧をかけ伸張させ、露光テーブル1と接触させて密閉空間90を生成する。(c)
【0015】
次に、保持吸引ポンプ22のブローを停止し、真空吸引孔40と真空ポンプ4により密閉空間90を吸引し、密閉空間90内を真空に近い状態にする。プレート20は昇降ガイド25により上下方向昇降自由であるから、大気圧によりプレート20は押圧され、プレート20と露光テーブル1により基板99に荷重をかけ、基板99を矯正する。(d)
基板99は真空圧力により大きな荷重を掛けられるため、効果的に変形が矯正される。
【0016】
基板99の変形が矯正され、リークが解消されると吸引ポンプ11による基板吸着が正常に行われる。圧力センサ12からの吸着圧力が所定の設定値に達したら、真空ポンプ4を停止し、パッキン3を収縮させて密閉空間90を開放し、露光テーブル1を下降させる。そして搬送装置2を搬入コンベア53上に退避させる。その後位置合わせなどを行い、露光を実行する。(e)
【0017】
次に図3により制御装置5の動作を説明する。
搬送装置2が基板99を露光テーブル1に搬送し、載置すると(ステップS1)、吸引ポンプ11を稼働して基板99を吸引して基板吸着を行う(ステップS2)。圧力センサ12からの検出圧力をチェックし、所定値以上であれば、吸着が正常に行われていると判断し、ステップS7に飛び露光動作を行う(ステップS3)。検出圧力が所定値に達していない場合、吸着が正常に行われていないと判断し、パッキンポンプ31を稼働しパッキン3に正圧をかけて膨張させ、密閉空間90を生成させ(ステップS4)、プレート20により基板99に荷重をかけ、基板99を矯正する(ステップS5)。基板99が矯正され、正常な吸着が行われ、圧力センサ12からの検出圧力が所定の設定値に達したら(ステップS6)、真空ポンプ4を停止し、搬送装置2を退避させ、露光処理を実行する(ステップS7)。
【0018】
なお、上記では本発明を露光装置に提供した場合について説明したが、基板99を変形を矯正する矯正装置として実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略図。
【図2】本発明の一実施形態の動作を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態の動作を示すフローチャート図。
【符号の説明】
【0020】
1:露光テーブル、2:搬送装置、3:パッキン、4:真空ポンプ、5:制御装置、10:吸引孔、11:吸引ポンプ、12:圧力センサ、20:プレート、21:保持吸引孔、22:保持吸引ポンプ、25:昇降ガイド、30:真空ポンプ、31:パッキンポンプ、40:真空吸引孔、50:光源、51:マスク、52:投影レンズ、53:搬入コンベア、54:搬出コンベア、90:密閉空間、99:基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線用の基板を載置する露光テーブルと、
該露光テーブルに基板を搬送する搬送装置と、
該搬送装置に設けられ、前記基板を前記露光テーブルに押しつけて変形基板を矯正する昇降可能なプレートと、
前記テーブルとプレートとの間を密閉し、密閉空間を形成するシール装置と、
前記シール装置により形成された密閉空間を吸引して負圧にする吸引装置と、を備え、
前記プレートは前記密閉空間の負圧により下降して前記基板を前記露光テーブルに押しつけて基板を矯正する、
ことを特徴とする基板の露光装置。
【請求項2】
前記プレートに基板を保持するための吸引装置が設けられ、
前記搬送装置は、該吸引装置に基板を保持して基板の搬送を行う、
請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
基板を載置するテーブルと、
該テーブルに基板を搬送する搬送装置と、
該搬送装置に設けられ、前記基板を前記テーブルに押しつけて変形基板を矯正する昇降可能なプレートと、
前記テーブルとプレートとの間を密閉し、密閉空間を形成するシール装置と、
前記シール装置により形成された密閉空間を吸引して負圧にする吸引装置と、を備え、
前記プレートは前記密閉空間の負圧により下降して前記基板を前記テーブルに押しつけて基板を矯正する、
ことを特徴とする基板の矯正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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