露光装置用光照射装置
【課題】衝撃が作用したとき、少ないスペースで効果的にランプ及びカバーガラスの損傷を防止することができる露光装置用光照射装置を提供する。
【解決手段】複数の光源部73と、複数の光源部73を支持する略矩形状のカセット81とを備え、カセット81には、カセット81に加わる衝撃力を吸収して光源部73に作用する衝撃力を緩和する緩衝部材101が配置されている。
【解決手段】複数の光源部73と、複数の光源部73を支持する略矩形状のカセット81とを備え、カセット81には、カセット81に加わる衝撃力を吸収して光源部73に作用する衝撃力を緩和する緩衝部材101が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置用光照射装置に関し、より詳細には、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の大型のフラットパネルディスプレイの基板上にマスクのマスクパターンを露光転写する露光装置に適用可能な露光装置用光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラットパネルディスプレイ装置のカラーフィルタ等のパネルを製造する装置として、近接露光装置、スキャン露光装置、投影露光装置、ミラープロジェクション、密着式露光装置などの種々の露光装置が考案されている。例えば、分割逐次近接露光装置では、基板より小さいマスクをマスクステージで保持すると共に、基板をワークステージで保持して両者を近接して対向配置した後、ワークステージをマスクに対してステップ移動させて各ステップ毎にマスク側から基板にパターン露光用の光を照射することにより、マスクに描かれた複数のパターンを基板上に露光転写して、一枚の基板に複数のパネルを製作する。また、スキャン露光装置では、一定速度で搬送されている基板に対して、露光用の光をマスクを介して照射し、基板上にマスクのパターンを露光転写する。
【0003】
近年、ディスプレイ装置は次第に大型化されつつあるため、露光装置においても露光領域の拡大が求められ、使用される光源部の出力も高める必要がある。このため、照明光学系として、複数の光源部を用いて(所謂、マルチランプ)、光源全体の出力を高めるようにしたものが知られている。
【0004】
一般的に、露光装置用の光源部は、超高圧水銀ランプと、このランプからの光に指向性をもたせて射出する反射鏡とを備え、ランプの前面が石英ガラスなどのカバーガラスで覆われて保護されている。しかし、何らかの原因によりカバーガラスやランプに衝撃が加わると、カバーガラスに亀裂が生じたり、ランプが破損する虞がある。
【0005】
露光装置用の光源部に限らず、ランプが損傷するとその後の作業に重大な支障を及ぼすため、緩衝部材を設けて、衝撃からランプを保護するようにした種々の提案がなされている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0006】
特許文献1に記載の車両用バンパの破損防止構造は、ランプの後方に、間隔をおいてクッションを配置し、クッションの変形によって衝突エネルギを吸収するようにしている。また、特許文献2に記載のバックライト装置および液晶表示装置は、光源及び拡散板の間隔を所定値以上に保持するための複数の突起部を有し、突起部の先端部に、拡散板の材質より柔らかい部材を配置して、振動や落下の衝撃による拡散板の損傷を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−72264号公報
【特許文献2】特開2008−53176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の車両用バンパの破損防止構造によると、ランプの後方に間隔を設けてクッションが配置されているので、この構造を露光装置用のマルチランプに適用すると、大きなスペースを要すると共に、重量が増大する問題があった。また、突起部の先端部に柔らかい部材を配置した特許文献2の技術によると、突起部の先端部が尖っているので、大きな応力がランプホルダにかかり、ランプが損傷する可能性があり、改善の余地があった。
【0009】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ないスペースで効果的に衝撃からランプ及びカバーガラスの損傷を防止することができる露光装置用光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 発光部と該発光部から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系をそれぞれ含む複数の光源部と、
複数の前記光源部をそれぞれ取り付け可能な略矩形状のカセットと、
該複数のカセットに配置され、前記カセットに加わる衝撃力を吸収して前記光源部に作用する前記衝撃力を緩和するカセット用緩衝部材と、
を備えることを特徴とする露光装置用光照射装置。
(2) 前記カセット用緩衝部材は、枠状に形成されて前記カセットの前面側外周縁に沿って配置されることを特徴とする上記(1)に記載の露光装置用光照射装置。
(3) 前記カセットは、石英ガラスから形成され、前記光源部からの光を透過する複数のカバーガラスを備え、
前記カセット用緩衝部材は、隣接する前記カバーガラス間に配置されることを特徴とすることを特徴とする上記(1)に記載の露光装置用光照射装置。
(4) 前記カバーガラスには、前記光源部を冷却するための空気流通孔が設けられていることを特徴とする上記(3)に記載の露光装置用光照射装置。
(5) 複数の前記カセットを取り付け可能な支持体と、
該支持体に配置され、前記支持体に加わる衝撃力を吸収して前記光源部に作用する前記衝撃力を緩和する支持体用緩衝部材と、をさらに備えることを特徴とする上記(1)に記載の露光装置用光照射装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の露光装置用光照射装置によれば、万一、周辺に配置された障害物が光照射装置に衝突しても、その衝撃力は緩衝部材によって吸収されて、光源部に大きな衝撃力が作用することが防止されるため、光源部の発光部やカバーガラスの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分割逐次近接露光装置を説明するための一部分解視図である。
【図2】図1に示す分割逐次近接露光装置の正面図である。
【図3】マスクステージの断面図である。
【図4】(a)は、照明光学系の光照射装置を示す正面図であり、(b)は(a)のIV−IV線に沿った断面図であり、(c)は、(a)のIV´−IV´線に沿った断面図である。
【図5】(a)は、カセットを示す正面図であり、(b)は(a)のV方向から見た断面図であり、(c)は、(a)のV´方向から見たカセットの断面図をインテグレータレンズとともに示す図である。
【図6】カセットに取り付けられた光源部近傍の拡大断面図である。
【図7】カセットが支持体に取り付けられた状態を示す要部拡大図である。
【図8】各光源部の出射面からインテグレータレンズの入射面までの距離を示す概略図である。
【図9】各光源部の制御構成を示すための図である。
【図10】寿命時間検出手段を説明するための図である。
【図11】他のカセットの斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る光照射装置の要部拡大図である。
【図13】図12に示すカセットの正面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る光照射装置の要部拡大図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る光照射装置の要部拡大図である。
【図16】図15に示すカセットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る露光装置用光照射装置の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
先ず、本実施形態の露光装置用光照射装置が適用される分割逐次近接露光装置について説明する。図1及び図2に示すように、第1実施形態の分割逐次近接露光装置PEは、マスクMを保持するマスクステージ10と、ガラス基板(被露光材)Wを保持する基板ステージ20と、パターン露光用の光を照射する照明光学系70と、を備えている。
【0015】
なお、ガラス基板W(以下、単に「基板W」と称する。)は、マスクMに対向配置されており、このマスクMに描かれたパターンを露光転写すべく表面(マスクMの対向面側)に感光剤が塗布されている。
【0016】
マスクステージ10は、中央部に矩形形状の開口11aが形成されるマスクステージベース11と、マスクステージベース11の開口11aにX軸,Y軸,θ方向に移動可能に装着されるマスク保持部であるマスク保持枠12と、マスクステージベース11の上面に設けられ、マスク保持枠12をX軸,Y軸,θ方向に移動させて、マスクMの位置を調整するマスク駆動機構16と、を備える。
【0017】
マスクステージベース11は、装置ベース50上に立設される支柱51、及び支柱51の上端部に設けられるZ軸移動装置52によりZ軸方向に移動可能に支持され(図2参照。)、基板ステージ20の上方に配置される。
【0018】
図3に示すように、マスクステージベース11の開口11aの周縁部の上面には、平面ベアリング13が複数箇所配置されており、マスク保持枠12は、その上端外周縁部に設けられるフランジ12aを平面ベアリング13に載置している。これにより、マスク保持枠12は、マスクステージベース11の開口11aに所定のすき間を介して挿入されるので、このすき間分だけX軸,Y軸,θ方向に移動可能となる。
【0019】
また、マスク保持枠12の下面には、マスクMを保持するチャック部14が間座15を介して固定されている。このチャック部14には、マスクMのマスクパターンが描かれていない周縁部を吸着するための複数の吸引ノズル14aが開設されており、マスクMは、吸引ノズル14aを介して図示しない真空式吸着装置によりチャック部14に着脱自在に保持される。また、チャック部14は、マスク保持枠12と共にマスクステージベース11に対してX軸,Y軸,θ方向に移動可能である。
【0020】
マスク駆動機構16は、マスク保持枠12のX軸方向に沿う一辺に取り付けられる2台のY軸方向駆動装置16yと、マスク保持枠12のY軸方向に沿う一辺に取り付けられる1台のX軸方向駆動装置16xと、を備える。
【0021】
Y軸方向駆動装置16yは、マスクステージベース11上に設置され、Y軸方向に伸縮するロッド16bを有する駆動用アクチュエータ(例えば、電動アクチュエータ等)16aと、ロッド16bの先端にピン支持機構16cを介して連結されるスライダ16dと、マスク保持枠12のX軸方向に沿う辺部に取り付けられ、スライダ16dを移動可能に取り付ける案内レール16eと、を備える。なお、X軸方向駆動装置16xも、Y軸方向駆動装置16yと同様の構成を有する。
【0022】
そして、マスク駆動機構16では、1台のX軸方向駆動装置16xを駆動させることによりマスク保持枠12をX軸方向に移動させ、2台のY軸方向駆動装置16yを同等に駆動させることによりマスク保持枠12をY軸方向に移動させる。また、2台のY軸方向駆動装置16yのどちらか一方を駆動することによりマスク保持枠12をθ方向に移動(Z軸回りの回転)させる。
【0023】
さらに、マスクステージベース11の上面には、図1に示すように、マスクMと基板Wとの対向面間のギャップを測定するギャップセンサ17と、チャック部14に保持されるマスクMの取り付け位置を確認するためのアライメントカメラ18と、が設けられる。これらギャップセンサ17及びアライメントカメラ18は、移動機構19を介してX軸,Y軸方向に移動可能に保持され、マスク保持枠12内に配置される。
【0024】
また、マスク保持枠12上には、図1に示すように、マスクステージベース11の開口11aのX軸方向の両端部に、マスクMの両端部を必要に応じて遮蔽するアパーチャブレード38が設けられる。このアパーチャブレード38は、モータ、ボールねじ、及びリニアガイド等からなるアパーチャブレード駆動機構39によりX軸方向に移動可能とされて、マスクMの両端部の遮蔽面積を調整する。なお、アパーチャブレード38は、開口11aのX軸方向の両端部だけでなく、開口11aのY軸方向の両端部に同様に設けられている。
【0025】
基板ステージ20は、図1及び図2に示すように、基板Wを保持する基板保持部21と、基板保持部21を装置ベース50に対してX軸,Y軸,Z軸方向に移動する基板駆動機構22と、を備える。基板保持部21は、図示しない真空吸着機構によって基板Wを着脱自在に保持する。基板駆動機構22は、基板保持部21の下方に、Y軸テーブル23、Y軸送り機構24、X軸テーブル25、X軸送り機構26、及びZ−チルト調整機構27と、を備える。
【0026】
Y軸送り機構24は、図2に示すように、リニアガイド28と送り駆動機構29とを備えて構成され、Y軸テーブル23の裏面に取り付けられたスライダ30が、装置ベース50上に延びる2本の案内レール31に転動体(図示せず)を介して跨架されると共に、モータ32とボールねじ装置33とによってY軸テーブル23を案内レール31に沿って駆動する。
【0027】
なお、X軸送り機構26もY軸送り機構24と同様の構成を有し、X軸テーブル25をY軸テーブル23に対してX方向に駆動する。また、Z−チルト調整機構27は、くさび状の移動体34,35と送り駆動機構36とを組み合わせてなる可動くさび機構をX方向の一端側に1台、他端側に2台配置することで構成される。なお、送り駆動機構29,36は、モータとボールねじ装置とを組み合わせた構成であってもよく、固定子と可動子とを有するリニアモータであってもよい。また、Z-チルト調整機構27の設置数は任意である。
【0028】
これにより、基板駆動機構22は、基板保持部21をX方向及びY方向に送り駆動するとともに、マスクMと基板Wとの対向面間のギャップを微調整するように、基板保持部21をZ軸方向に微動且つチルト調整する。
【0029】
基板保持部21のX方向側部とY方向側部にはそれぞれバーミラー61,62が取り付けられ、また、装置ベース50のY方向端部とX方向端部には、計3台のレーザー干渉計63,64,65が設けられている。これにより、レーザー干渉計63,64,65からレーザー光をバーミラー61,62に照射し、バーミラー61、62により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光とバーミラー61,62により反射されたレーザー光との干渉を測定して基板ステージ20の位置を検出する。
【0030】
図2及び図4に示すように、照明光学系70は、複数の光源部73を備えた光照射装置80と、複数の光源部73から射出された光束が入射されるインテグレータレンズ74と、各光源部73のランプ71の点灯と消灯の切り替えを含む電圧制御可能な光学制御部76と、インテグレータレンズ74の出射面から出射された光路の向きを変える凹面鏡77と、複数の光源部73とインテグレータレンズ74との間に配置されて照射された光を透過・遮断するように開閉制御する露光制御用シャッター78と、を備える。なお、インテグレータレンズ74と露光面との間には、DUVカットフィルタ、偏光フィルタ、バンドパスフィルタが配置されてもよく、また、凹面鏡77には、ミラーの曲率を手動または自動で変更可能なデクリネーション角補正手段が設けられてもよい。
【0031】
図4〜図6に示すように、光照射装置80は、発光部としての超高圧水銀ランプ71と、このランプ71から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系としての反射鏡72と、をそれぞれ含む複数の光源部73と、複数の光源部73のうち、所定数の光源部73をそれぞれ取り付け可能な複数のカセット81と、複数のカセット81を取り付け可能な支持体82と、を備える。発光部としては、超高圧水銀ランプ71の代わりに、LEDが適用されてもよい。
【0032】
なお、照明光学系70において、160Wの超高圧水銀ランプ71を使用した場合、第6世代のフラットパネルを製造する露光装置では374個の光源部、第7世代のフラットパネルを製造する露光装置では572個の光源部、第8世代のフラットパネルを製造する露光装置では、774個の光源部が必要とされる。但し、本実施形態では、説明を簡略化するため、図4に示すように、α方向に3段、β方向に2列の計6個の光源部73が取り付けられたカセット81を3段×3列の計9個配した、54個の光源部73を有するものとして説明する。なお、本実施形態の光源部73では、反射鏡72の開口部72bが略正方形形状に形成されており、四辺がα、β方向に沿うように配置されている。
【0033】
各カセット81は、所定数の光源部73を支持する光源支持部83と、光源支持部83に支持された光源部73を押さえて、該光源支持部83に取り付けられる凹状のランプ押さえカバー84と、を備えた略直方体形状に形成されており、それぞれ同一構成を有する。
【0034】
光源支持部83には、光源部73の数に対応して設けられ、光源部73からの光を発光する複数の窓部83aと、該窓部83aのカバー側に設けられ、反射鏡72の開口部72a(又は、反射鏡72が取り付けられる反射鏡取り付け部の開口部)を囲うランプ用凹部83bと、隣接する窓部83aの間や窓部83aの周囲に設けられ、光源支持部83の板厚方向に貫通する複数の空気孔83cと、が形成される。また、該窓部83aの反カバー側には、複数のカバーガラス85がそれぞれ取り付けられている。カバーガラス85は、それぞれのカバーガラス85の対角線上に設けられた座金状のカバーガラス押え100によって押えられている(図5(a)参照)。なお、カバーガラス85の取り付けは任意であり、設けられなくてもよい。
【0035】
光源支持部83の前面側外周縁83dには、カセット用緩衝部材101が、前面側外周縁83dの前面及び側面の一部を覆って装着されている。カセット用緩衝部材101は、ゴムなどの弾性材料により断面略L字型の枠状に形成されており、光源支持部83の空気孔83c及びカバーガラス押え100に対応する位置には、略円弧状の逃げ部101aが設けられている。カセット用緩衝部材101の光源支持部83への装着は、はめ込み式であっても、ネジ止め式であってもよい。
【0036】
各ランプ用凹部83bの底面は、光源部73の光を照射する照射面(ここでは、反射鏡72の開口面72b)と、光源部73の光軸Lとの交点pが、各α、β方向において単一の曲面、例えば、球面r上に位置するように、平面又は曲面(本実施形態では、平面)に形成される。
【0037】
ランプ押さえカバー84の底面には、光源部73の後部に当接する当接部86が設けられており、各当接部86には、モータやシリンダのようなアクチュエータ、ばね押さえ、ねじ止め等によって構成されるランプ押さえ機構87が設けられている。これにより、各光源部73は、反射鏡72の開口部72aを光源支持部83のランプ用凹部83bに嵌合させ、ランプ押さえカバー84を光源支持部83に取り付け、ランプ押さえ機構87によって光源部73の後部を押さえつけることで、カセット81に位置決めされる。
【0038】
従って、図5(c)に示すように、カセット81に位置決めされた所定数の光源部73の光が照射する各照射面から、所定数の光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離が略一定となる。また、光源支持部83とランプ押さえカバー84との間の収納空間内では、隣接する光源部73の反射鏡72の背面72cは直接対向しており、光源部73、ランプ押さえ機構87等以外には該収納空間内の空気の流れを遮るものがなく、良好な空気の流動性が与えられる。
【0039】
また、支持体82は、図4に示すように、複数のカセット81を取り付ける複数のカセット取り付け部90を有する支持体本体91と、該支持体本体91に取り付けられ、各カセット81の後部を覆う支持体カバー92と、を有する。
【0040】
図7に示すように、各カセット取り付け部90には、光源支持部83が臨む開口部90aが形成され、該開口部90aの周囲には、光源支持部83の周囲の矩形平面が対向する平面90bを底面としたカセット用凹部(断面L字状の切り欠き)90cが形成される。従って、この実施形態では、カセット81は、その前面側外周縁83dに取り付けられたカセット用緩衝部材101を介して、カセット取り付け部90のカセット用凹部90cに配置される。また、支持体本体91のカセット用凹部90cの周囲には、カセット81を固定するためのカセット固定手段93が設けられており、本実施形態では、カセット81に形成された凹部81aに係合されて、カセット81を固定する。なお、カセット固定手段93としては、カセット81をカセット取り付け部90に挿脱すると同時に固定・解除可能な係合(例えば、爪係合やフック係合)であってもよい。
【0041】
α方向或いはβ方向に並ぶカセット用凹部90cの各平面90bは、各カセット81の全ての光源部73の光を照射する照射面と、光源部73の光軸Lとの交点pが、各α、β方向において単一の曲面、例えば、球面r上に位置するように(図8参照。)、所定の角度γで交差するように形成される。
【0042】
従って、各カセット81は、これら光源支持部83を各カセット取り付け部90のカセット用凹部90cに嵌合させて位置決めした状態で、カセット固定手段93をカセット81の凹部81aに係合させることで、支持体82にそれぞれ固定される。そして、これら各カセット81が支持体本体91に取り付けられた状態で、該支持体本体91に支持体カバー92が取り付けられる。従って、図8に示すように、各カセット81に位置決めされた全ての光源部73の光が照射する各照射面と、所定数の光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離も略一定となる。
【0043】
図7及び図8に示すように、支持体本体91の前面側外周縁91bには、ゴムなどの弾性材料により断面略L字型の枠状に形成された支持体用緩衝部材102が、前面側外周縁91bの前面及び側面の一部を覆って装着されている。支持体用緩衝部材102の支持体本体91への装着は、はめ込み式であっても、ネジ止め式であってもよい。
【0044】
また、光照射装置80の各光源部73、各カセット81、及び支持体82には、各ランプ71を冷却するための冷却構造が設けられている。具体的に、図5(a)に示すように、光源支持部83には、各カバーガラス85間に、複数の空気孔83cが設けられており、光源支持部83の内部と外部とを連通させる。
【0045】
更に、図6に示すように、各光源部73のランプ71と反射鏡72が取り付けられるベース部材75には、冷却路75aが形成されており、カセット81の各カバーガラス85には、一つ又は複数の空気流通孔である貫通孔85aが形成されている。また、カセット81のランプ押さえカバー84の底面には、複数の排気孔(連通孔)84aが形成され(図7参照。)、支持体82の支持体カバー92にも、複数の排気孔92aが形成されている(図4(c)参照。)。また、各排気孔92aには、支持体82の外部に形成されたブロアユニット(強制排気手段)79が排気管79aを介して接続されている。
【0046】
従って、ブロアユニット79によって支持体82内のエアを引いて排気することで、カバーガラス85の貫通孔85aから吸引された外部のエアが、矢印で示した方向へランプ71と反射鏡72との間の隙間sを通過し、光源部73のベース部材75に形成された冷却路75aへ導かれる。また、光源支持部83の複数の空気孔83cから吸引された外部のエアが、反射鏡72間の空間を通過し、このエアにより各光源部73の冷却を行っている。
【0047】
なお、強制排気手段としては、ブロアユニット79に限定されるものでなく、ファン、インバータ、真空ポンプ等、支持体82内のエアを引くものであればよい。また、ブロアユニット79によるエアの排気は、後方からに限らず、上方、下方、左方、右方のいずれの側方からでもよい。
【0048】
さらに、図4に示すように、支持体本体91の周縁に、水冷管(冷却用配管)91aを設け、水ポンプ69によって水冷管91a内に冷却水を循環させることでも、各光源部73を冷却している。なお、水冷管91aは、支持体本体91内に形成されてもよいし、支持体本体91の表面に取り付けられても良い。また、上記排気式の冷却構造と水冷式の冷却構造は、いずれか一つのみ設けられてもよい。また、水冷管91aは、図4に示すような配置に限定されるものでなく、水冷管91aを全てのカセット81の周囲を通るように配置、又は、全てのカセット81の周囲の一部を通るようにジグザグに配置して、冷却水を循環させてもよい。
【0049】
また、図9に示すように、各カセット81の光源部73には、ランプ71に電力を供給する点灯電源95及び制御回路96が個々に接続されており、各光源部73から後方に延びる各配線97は、各カセット81に設けられた少なくとも一つのコネクタ98に接続されてまとめられている。そして、各カセット81のコネクタ98と、支持体82の外側に設けられた光学制御部76との間は、他の配線99によってそれぞれ接続される。これにより、光学制御部76は、各ランプ71の制御回路96に制御信号を送信し、各ランプ71に対して点灯と消灯を含め、電圧を調整する電圧制御を行う。
【0050】
なお、各光源部73の点灯電源95及び制御回路96は、カセット81に集約して設けられてもよいし、カセットの外部に設けられてもよい。また、ランプ押さえカバー84の当接部86は、各光源部73からの各配線97と干渉しないように形成されている。
【0051】
さらに、図10に示すように、ランプ71毎にヒューズ94aを含む寿命時間検出手段94を設けて、タイマ96aによって点灯時間をカウントし、定格の寿命時間が来た段階でヒューズ94aに電流を流してヒューズ94aを切断する。従って、ヒューズ94aの切断の有無を確認することで、ランプ71を定格の寿命時間使用しているかどうかを検出することができる。なお、寿命時間検出手段94は、ヒューズ94aを含むものに限定されるものでなく、ランプ交換のメンテナンス時にランプ71の定格の寿命時間が一目でわかるようなものであればよい。例えば、ランプ71毎にICタグを配置して、ICタグによってランプ71を定格の寿命時間使用したかどうか確認できるもの、或いは、ランプ71の使用時間が確認できるようにしてもよい。
【0052】
また、図10では、点灯電源95及び制御回路96は、光源部73毎に設けているが、複数の光源部73毎に1つ設けるようにし、カセット81内の光源部73を所定数ずつ纏めて管理するようにしてもよい。
【0053】
なお、上記実施形態では、説明を簡略化するため、α方向に3段、β方向に2列の計6個の光源部73が取り付けられたカセット81を例に挙げたが、実際にはカセット81に配置される光源部73は8個以上であり、図11に示されるような配置で点対称又は線対称でカセット81に取り付けられる。即ち、光源部73をα方向、β方向で異なる数として配置しており、カセット81の光源支持部83に取り付けられた最外周に位置する光源部73の中心を四辺で結んだ線が長方形形状をなす。また、各カセット81が取り付けられる支持体82のカセット取り付け部90は、互いに直交するα、β方向に配置される各個数n(n:2以上の正の整数)を一致させて長方形形状に形成されている。ここで、この長方形形状は後述するインテグレータエレメントの各レンズエレメントの縦横毎の入射開口角比に対応させ、カセットの行数、列数を同数とした場合が最も効率が良いが異数でも良い。
【0054】
ここで、インテグレータレンズ74の各レンズエレメントのアスペクト比(縦/横比)は、露光領域のエリアのアスペクト比に対応して決定されている。また、インテグレータレンズの各々のレンズエレメントは、その入射開口角以上の角度から入射される光を取り込むことができない構造となっている。つまり、レンズエレメントは長辺側に対して短辺側の入射開口角が小さくなる。このため、支持体82に配置された光源部73全体のアスペクト比(縦/横比)を、インテグレータレンズ74の入射面のアスペクト比に対応した長方形形状の配置とすることで、光の使用効率が良好となる。
【0055】
このように構成された露光装置PEでは、照明光学系70において、露光時に露光制御用シャッター78が開制御されると、超高圧水銀ランプ71から照射された光が、インテグレータレンズ74の入射面に入射される。そして、インテグレータレンズ74の出射面から発せられた光は、凹面鏡77によってその進行方向が変えられるとともに平行光に変換される。そして、この平行光は、マスクステージ10に保持されるマスクM、さらには基板ステージ20に保持される基板Wの表面に対して略垂直にパターン露光用の光として照射され、マスクMのパターンPが基板W上に露光転写される。
【0056】
上記したように、本実施形態の露光装置用光照射装置80によれば、支持体82に加わる衝撃力を吸収して光源部73に作用する衝撃力を緩和する各緩衝部材101、102が、光源支持部83及び支持体本体91に配置されているので、万一、周辺に配置された障害物が光照射装置80に衝突しても、その衝撃力は緩衝部材101、102によって吸収され、光源部73に大きな衝撃力が作用することが防止され、光源部73の発光部71やカバーガラス85の損傷を防止することができる。
【0057】
また、各緩衝部材101、102は、枠状に形成されているので、容易、且つ確実に光源支持部83及び支持体本体91の前面側外周縁83d、91bに沿って配置することができる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、露光装置用光照射装置の第2実施形態について図12及び図13を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一または同等部分については同一符号又は相当符号を付して、説明を簡略化又は省略する。
【0059】
図12及び図13に示すように、本実施形態の光照射装置80は、ゴムなどの弾性材料により形成された複数の小片のカセット用緩衝部材103が、隣接するカバーガラス85の間やカバーガラス85の周囲で、カセット81に取り付けられている。また、第1実施形態の露光装置用光照射装置80と同様に、支持体用緩衝部材102が、支持体本体91の前面側外周縁91bの前面及び側面の一部を覆って装着されている。
【0060】
本実施形態の光照射装置80は、光源支持部83が枠状のカセット用緩衝部材101を介してカセット取り付け部90の平面90bに取り付けられる第1実施形態の露光装置用光照射装置80と比較して、光源支持部83が直接、カセット取り付け部90の平面90bに当接して取り付けられるので、光源部73からの光が、精度よくインテグレータレンズ74に入射することができる。
【0061】
また、本実施形態の露光装置用光照射装置80によれば、支持体本体91の前面側外周縁91bに支持体用緩衝部材102が装着され、更に、複数の小片のカセット用緩衝部材103が、カバーガラス85間に配置されるので、光照射装置80に加わる衝撃力が支持体用緩衝部材102によって吸収され、更に、カバーガラス85に作用する衝撃力は、小片のカセット用緩衝部材103によって低減されるため、光源部73の発光部71やカバーガラス85の損傷を防止することができる。
【0062】
(第3実施形態)
次に、本発明の露光装置用光照射装置の第3実施形態について図14を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一または同等部分については同一符号又は相当符号を付して、説明を簡略化又は省略する。
【0063】
本実施形態のカセット取り付け部90は、図14に示すように、光源支持部83の前面周囲に設けられた凸状の係合部83eと、カセット取り付け部90に周囲に亘って設けられた凹状の被係合部90dと、から構成され、カセット用緩衝部材104が凸状の係合部83eを覆うように設けられている。そして、凸状の係合部83eを凹状の被係合部90dにカセット用緩衝部材104を介して係合させることで光源支持部83が支持体本体91に取り付けられる。これにより、支持体本体91から光源支持部83に伝達される衝撃力が、カセット用緩衝部材104により吸収される。
【0064】
(第4実施形態)
次に、本発明の露光装置用光照射装置の第4実施形態について図15及び図16を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一または同等部分については同一符号又は相当符号を付して、説明を簡略化又は省略する。
【0065】
図15及び図16に示すように、本実施形態の露光装置用光照射装置80は、支持体82が、前面を開放するように形成され、支持体82に設けられた各カセット取り付け部90を凹部(カセット81の矩形状の後方縁部と対向する断面L字状の切り欠き)によって形成し、カセット固定手段によって各カセット81を前方から固定するように構成されている。これにより、支持体82は、各カセット81に取り付けられた各光源部73の光がインテグレータレンズ74の入射面に実質的に向くようにアライメントされる。
【0066】
そして、支持体82の前面側外周縁82aに支持体用緩衝部材102が配置され、光源支持部83の前面側外周縁83dに枠状のカセット用緩衝部材101が配置され、更に、隣接するカバーガラス85間には、小片のカセット用緩衝部材103が配置されている。
【0067】
これにより、光照射装置80に加わる衝撃力が、各緩衝部材101、102、103によって吸収されるので、光源部73の発光部71やカバーガラス85の損傷を防止することができる。
【0068】
尚、本発明は、前述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0069】
例えば、本実施形態のランプ押さえカバー84は、凹状のボックス形状としたが、これに限定されず、当接部によって光源部を位置決め固定できるものであれば、例えば、メッシュ形状であってもよい。また、各光源部73を光源支持部83に嵌合してさらに固定するようにした場合には、ランプ押さえカバー84を設けないで構成することも可能である。また、支持体カバー92の形状も照明光学系70の配置に応じて、任意に設計可能である。
【0070】
また、カセット81に配置される光源部73を8個以上とし、支持体82に配置される全光源部は8個〜約800個とする。800個程度であれば、実用性及び効率が良くなる。さらに、支持体82に装着されるカセット81の数は全体の光源部73の数の5%以下とすることが好ましく、この場合には、1つのカセット81に配置される光源部73の数が5%以上となる。
【0071】
また、例えば、上記実施形態では、露光装置として分割逐次近接露光装置を説明したが、これに限定されず、本発明は、走査式近接露光装置、ミラープロジェクション式露光装置、レンズ投影式露光装置、密着式露光装置にも適用することができる。また、本発明は、一括式、逐次式、走査式等のいずれの露光装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
71 超高圧水銀ランプ(発光部)
72 反射鏡(反射光学系)
73 光源部
80 露光装置用光照射装置
81 カセット
82 支持体
82a 前面側外周縁
83 光源支持部
83d 前面側外周縁
85 カバーガラス
85a 貫通孔(空気流通孔)
101 枠状のカセット用緩衝部材
102 枠状の支持体用緩衝部材
103 小片のカセット用緩衝部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置用光照射装置に関し、より詳細には、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の大型のフラットパネルディスプレイの基板上にマスクのマスクパターンを露光転写する露光装置に適用可能な露光装置用光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラットパネルディスプレイ装置のカラーフィルタ等のパネルを製造する装置として、近接露光装置、スキャン露光装置、投影露光装置、ミラープロジェクション、密着式露光装置などの種々の露光装置が考案されている。例えば、分割逐次近接露光装置では、基板より小さいマスクをマスクステージで保持すると共に、基板をワークステージで保持して両者を近接して対向配置した後、ワークステージをマスクに対してステップ移動させて各ステップ毎にマスク側から基板にパターン露光用の光を照射することにより、マスクに描かれた複数のパターンを基板上に露光転写して、一枚の基板に複数のパネルを製作する。また、スキャン露光装置では、一定速度で搬送されている基板に対して、露光用の光をマスクを介して照射し、基板上にマスクのパターンを露光転写する。
【0003】
近年、ディスプレイ装置は次第に大型化されつつあるため、露光装置においても露光領域の拡大が求められ、使用される光源部の出力も高める必要がある。このため、照明光学系として、複数の光源部を用いて(所謂、マルチランプ)、光源全体の出力を高めるようにしたものが知られている。
【0004】
一般的に、露光装置用の光源部は、超高圧水銀ランプと、このランプからの光に指向性をもたせて射出する反射鏡とを備え、ランプの前面が石英ガラスなどのカバーガラスで覆われて保護されている。しかし、何らかの原因によりカバーガラスやランプに衝撃が加わると、カバーガラスに亀裂が生じたり、ランプが破損する虞がある。
【0005】
露光装置用の光源部に限らず、ランプが損傷するとその後の作業に重大な支障を及ぼすため、緩衝部材を設けて、衝撃からランプを保護するようにした種々の提案がなされている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0006】
特許文献1に記載の車両用バンパの破損防止構造は、ランプの後方に、間隔をおいてクッションを配置し、クッションの変形によって衝突エネルギを吸収するようにしている。また、特許文献2に記載のバックライト装置および液晶表示装置は、光源及び拡散板の間隔を所定値以上に保持するための複数の突起部を有し、突起部の先端部に、拡散板の材質より柔らかい部材を配置して、振動や落下の衝撃による拡散板の損傷を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−72264号公報
【特許文献2】特開2008−53176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の車両用バンパの破損防止構造によると、ランプの後方に間隔を設けてクッションが配置されているので、この構造を露光装置用のマルチランプに適用すると、大きなスペースを要すると共に、重量が増大する問題があった。また、突起部の先端部に柔らかい部材を配置した特許文献2の技術によると、突起部の先端部が尖っているので、大きな応力がランプホルダにかかり、ランプが損傷する可能性があり、改善の余地があった。
【0009】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ないスペースで効果的に衝撃からランプ及びカバーガラスの損傷を防止することができる露光装置用光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 発光部と該発光部から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系をそれぞれ含む複数の光源部と、
複数の前記光源部をそれぞれ取り付け可能な略矩形状のカセットと、
該複数のカセットに配置され、前記カセットに加わる衝撃力を吸収して前記光源部に作用する前記衝撃力を緩和するカセット用緩衝部材と、
を備えることを特徴とする露光装置用光照射装置。
(2) 前記カセット用緩衝部材は、枠状に形成されて前記カセットの前面側外周縁に沿って配置されることを特徴とする上記(1)に記載の露光装置用光照射装置。
(3) 前記カセットは、石英ガラスから形成され、前記光源部からの光を透過する複数のカバーガラスを備え、
前記カセット用緩衝部材は、隣接する前記カバーガラス間に配置されることを特徴とすることを特徴とする上記(1)に記載の露光装置用光照射装置。
(4) 前記カバーガラスには、前記光源部を冷却するための空気流通孔が設けられていることを特徴とする上記(3)に記載の露光装置用光照射装置。
(5) 複数の前記カセットを取り付け可能な支持体と、
該支持体に配置され、前記支持体に加わる衝撃力を吸収して前記光源部に作用する前記衝撃力を緩和する支持体用緩衝部材と、をさらに備えることを特徴とする上記(1)に記載の露光装置用光照射装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の露光装置用光照射装置によれば、万一、周辺に配置された障害物が光照射装置に衝突しても、その衝撃力は緩衝部材によって吸収されて、光源部に大きな衝撃力が作用することが防止されるため、光源部の発光部やカバーガラスの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分割逐次近接露光装置を説明するための一部分解視図である。
【図2】図1に示す分割逐次近接露光装置の正面図である。
【図3】マスクステージの断面図である。
【図4】(a)は、照明光学系の光照射装置を示す正面図であり、(b)は(a)のIV−IV線に沿った断面図であり、(c)は、(a)のIV´−IV´線に沿った断面図である。
【図5】(a)は、カセットを示す正面図であり、(b)は(a)のV方向から見た断面図であり、(c)は、(a)のV´方向から見たカセットの断面図をインテグレータレンズとともに示す図である。
【図6】カセットに取り付けられた光源部近傍の拡大断面図である。
【図7】カセットが支持体に取り付けられた状態を示す要部拡大図である。
【図8】各光源部の出射面からインテグレータレンズの入射面までの距離を示す概略図である。
【図9】各光源部の制御構成を示すための図である。
【図10】寿命時間検出手段を説明するための図である。
【図11】他のカセットの斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る光照射装置の要部拡大図である。
【図13】図12に示すカセットの正面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る光照射装置の要部拡大図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る光照射装置の要部拡大図である。
【図16】図15に示すカセットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る露光装置用光照射装置の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
先ず、本実施形態の露光装置用光照射装置が適用される分割逐次近接露光装置について説明する。図1及び図2に示すように、第1実施形態の分割逐次近接露光装置PEは、マスクMを保持するマスクステージ10と、ガラス基板(被露光材)Wを保持する基板ステージ20と、パターン露光用の光を照射する照明光学系70と、を備えている。
【0015】
なお、ガラス基板W(以下、単に「基板W」と称する。)は、マスクMに対向配置されており、このマスクMに描かれたパターンを露光転写すべく表面(マスクMの対向面側)に感光剤が塗布されている。
【0016】
マスクステージ10は、中央部に矩形形状の開口11aが形成されるマスクステージベース11と、マスクステージベース11の開口11aにX軸,Y軸,θ方向に移動可能に装着されるマスク保持部であるマスク保持枠12と、マスクステージベース11の上面に設けられ、マスク保持枠12をX軸,Y軸,θ方向に移動させて、マスクMの位置を調整するマスク駆動機構16と、を備える。
【0017】
マスクステージベース11は、装置ベース50上に立設される支柱51、及び支柱51の上端部に設けられるZ軸移動装置52によりZ軸方向に移動可能に支持され(図2参照。)、基板ステージ20の上方に配置される。
【0018】
図3に示すように、マスクステージベース11の開口11aの周縁部の上面には、平面ベアリング13が複数箇所配置されており、マスク保持枠12は、その上端外周縁部に設けられるフランジ12aを平面ベアリング13に載置している。これにより、マスク保持枠12は、マスクステージベース11の開口11aに所定のすき間を介して挿入されるので、このすき間分だけX軸,Y軸,θ方向に移動可能となる。
【0019】
また、マスク保持枠12の下面には、マスクMを保持するチャック部14が間座15を介して固定されている。このチャック部14には、マスクMのマスクパターンが描かれていない周縁部を吸着するための複数の吸引ノズル14aが開設されており、マスクMは、吸引ノズル14aを介して図示しない真空式吸着装置によりチャック部14に着脱自在に保持される。また、チャック部14は、マスク保持枠12と共にマスクステージベース11に対してX軸,Y軸,θ方向に移動可能である。
【0020】
マスク駆動機構16は、マスク保持枠12のX軸方向に沿う一辺に取り付けられる2台のY軸方向駆動装置16yと、マスク保持枠12のY軸方向に沿う一辺に取り付けられる1台のX軸方向駆動装置16xと、を備える。
【0021】
Y軸方向駆動装置16yは、マスクステージベース11上に設置され、Y軸方向に伸縮するロッド16bを有する駆動用アクチュエータ(例えば、電動アクチュエータ等)16aと、ロッド16bの先端にピン支持機構16cを介して連結されるスライダ16dと、マスク保持枠12のX軸方向に沿う辺部に取り付けられ、スライダ16dを移動可能に取り付ける案内レール16eと、を備える。なお、X軸方向駆動装置16xも、Y軸方向駆動装置16yと同様の構成を有する。
【0022】
そして、マスク駆動機構16では、1台のX軸方向駆動装置16xを駆動させることによりマスク保持枠12をX軸方向に移動させ、2台のY軸方向駆動装置16yを同等に駆動させることによりマスク保持枠12をY軸方向に移動させる。また、2台のY軸方向駆動装置16yのどちらか一方を駆動することによりマスク保持枠12をθ方向に移動(Z軸回りの回転)させる。
【0023】
さらに、マスクステージベース11の上面には、図1に示すように、マスクMと基板Wとの対向面間のギャップを測定するギャップセンサ17と、チャック部14に保持されるマスクMの取り付け位置を確認するためのアライメントカメラ18と、が設けられる。これらギャップセンサ17及びアライメントカメラ18は、移動機構19を介してX軸,Y軸方向に移動可能に保持され、マスク保持枠12内に配置される。
【0024】
また、マスク保持枠12上には、図1に示すように、マスクステージベース11の開口11aのX軸方向の両端部に、マスクMの両端部を必要に応じて遮蔽するアパーチャブレード38が設けられる。このアパーチャブレード38は、モータ、ボールねじ、及びリニアガイド等からなるアパーチャブレード駆動機構39によりX軸方向に移動可能とされて、マスクMの両端部の遮蔽面積を調整する。なお、アパーチャブレード38は、開口11aのX軸方向の両端部だけでなく、開口11aのY軸方向の両端部に同様に設けられている。
【0025】
基板ステージ20は、図1及び図2に示すように、基板Wを保持する基板保持部21と、基板保持部21を装置ベース50に対してX軸,Y軸,Z軸方向に移動する基板駆動機構22と、を備える。基板保持部21は、図示しない真空吸着機構によって基板Wを着脱自在に保持する。基板駆動機構22は、基板保持部21の下方に、Y軸テーブル23、Y軸送り機構24、X軸テーブル25、X軸送り機構26、及びZ−チルト調整機構27と、を備える。
【0026】
Y軸送り機構24は、図2に示すように、リニアガイド28と送り駆動機構29とを備えて構成され、Y軸テーブル23の裏面に取り付けられたスライダ30が、装置ベース50上に延びる2本の案内レール31に転動体(図示せず)を介して跨架されると共に、モータ32とボールねじ装置33とによってY軸テーブル23を案内レール31に沿って駆動する。
【0027】
なお、X軸送り機構26もY軸送り機構24と同様の構成を有し、X軸テーブル25をY軸テーブル23に対してX方向に駆動する。また、Z−チルト調整機構27は、くさび状の移動体34,35と送り駆動機構36とを組み合わせてなる可動くさび機構をX方向の一端側に1台、他端側に2台配置することで構成される。なお、送り駆動機構29,36は、モータとボールねじ装置とを組み合わせた構成であってもよく、固定子と可動子とを有するリニアモータであってもよい。また、Z-チルト調整機構27の設置数は任意である。
【0028】
これにより、基板駆動機構22は、基板保持部21をX方向及びY方向に送り駆動するとともに、マスクMと基板Wとの対向面間のギャップを微調整するように、基板保持部21をZ軸方向に微動且つチルト調整する。
【0029】
基板保持部21のX方向側部とY方向側部にはそれぞれバーミラー61,62が取り付けられ、また、装置ベース50のY方向端部とX方向端部には、計3台のレーザー干渉計63,64,65が設けられている。これにより、レーザー干渉計63,64,65からレーザー光をバーミラー61,62に照射し、バーミラー61、62により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光とバーミラー61,62により反射されたレーザー光との干渉を測定して基板ステージ20の位置を検出する。
【0030】
図2及び図4に示すように、照明光学系70は、複数の光源部73を備えた光照射装置80と、複数の光源部73から射出された光束が入射されるインテグレータレンズ74と、各光源部73のランプ71の点灯と消灯の切り替えを含む電圧制御可能な光学制御部76と、インテグレータレンズ74の出射面から出射された光路の向きを変える凹面鏡77と、複数の光源部73とインテグレータレンズ74との間に配置されて照射された光を透過・遮断するように開閉制御する露光制御用シャッター78と、を備える。なお、インテグレータレンズ74と露光面との間には、DUVカットフィルタ、偏光フィルタ、バンドパスフィルタが配置されてもよく、また、凹面鏡77には、ミラーの曲率を手動または自動で変更可能なデクリネーション角補正手段が設けられてもよい。
【0031】
図4〜図6に示すように、光照射装置80は、発光部としての超高圧水銀ランプ71と、このランプ71から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系としての反射鏡72と、をそれぞれ含む複数の光源部73と、複数の光源部73のうち、所定数の光源部73をそれぞれ取り付け可能な複数のカセット81と、複数のカセット81を取り付け可能な支持体82と、を備える。発光部としては、超高圧水銀ランプ71の代わりに、LEDが適用されてもよい。
【0032】
なお、照明光学系70において、160Wの超高圧水銀ランプ71を使用した場合、第6世代のフラットパネルを製造する露光装置では374個の光源部、第7世代のフラットパネルを製造する露光装置では572個の光源部、第8世代のフラットパネルを製造する露光装置では、774個の光源部が必要とされる。但し、本実施形態では、説明を簡略化するため、図4に示すように、α方向に3段、β方向に2列の計6個の光源部73が取り付けられたカセット81を3段×3列の計9個配した、54個の光源部73を有するものとして説明する。なお、本実施形態の光源部73では、反射鏡72の開口部72bが略正方形形状に形成されており、四辺がα、β方向に沿うように配置されている。
【0033】
各カセット81は、所定数の光源部73を支持する光源支持部83と、光源支持部83に支持された光源部73を押さえて、該光源支持部83に取り付けられる凹状のランプ押さえカバー84と、を備えた略直方体形状に形成されており、それぞれ同一構成を有する。
【0034】
光源支持部83には、光源部73の数に対応して設けられ、光源部73からの光を発光する複数の窓部83aと、該窓部83aのカバー側に設けられ、反射鏡72の開口部72a(又は、反射鏡72が取り付けられる反射鏡取り付け部の開口部)を囲うランプ用凹部83bと、隣接する窓部83aの間や窓部83aの周囲に設けられ、光源支持部83の板厚方向に貫通する複数の空気孔83cと、が形成される。また、該窓部83aの反カバー側には、複数のカバーガラス85がそれぞれ取り付けられている。カバーガラス85は、それぞれのカバーガラス85の対角線上に設けられた座金状のカバーガラス押え100によって押えられている(図5(a)参照)。なお、カバーガラス85の取り付けは任意であり、設けられなくてもよい。
【0035】
光源支持部83の前面側外周縁83dには、カセット用緩衝部材101が、前面側外周縁83dの前面及び側面の一部を覆って装着されている。カセット用緩衝部材101は、ゴムなどの弾性材料により断面略L字型の枠状に形成されており、光源支持部83の空気孔83c及びカバーガラス押え100に対応する位置には、略円弧状の逃げ部101aが設けられている。カセット用緩衝部材101の光源支持部83への装着は、はめ込み式であっても、ネジ止め式であってもよい。
【0036】
各ランプ用凹部83bの底面は、光源部73の光を照射する照射面(ここでは、反射鏡72の開口面72b)と、光源部73の光軸Lとの交点pが、各α、β方向において単一の曲面、例えば、球面r上に位置するように、平面又は曲面(本実施形態では、平面)に形成される。
【0037】
ランプ押さえカバー84の底面には、光源部73の後部に当接する当接部86が設けられており、各当接部86には、モータやシリンダのようなアクチュエータ、ばね押さえ、ねじ止め等によって構成されるランプ押さえ機構87が設けられている。これにより、各光源部73は、反射鏡72の開口部72aを光源支持部83のランプ用凹部83bに嵌合させ、ランプ押さえカバー84を光源支持部83に取り付け、ランプ押さえ機構87によって光源部73の後部を押さえつけることで、カセット81に位置決めされる。
【0038】
従って、図5(c)に示すように、カセット81に位置決めされた所定数の光源部73の光が照射する各照射面から、所定数の光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離が略一定となる。また、光源支持部83とランプ押さえカバー84との間の収納空間内では、隣接する光源部73の反射鏡72の背面72cは直接対向しており、光源部73、ランプ押さえ機構87等以外には該収納空間内の空気の流れを遮るものがなく、良好な空気の流動性が与えられる。
【0039】
また、支持体82は、図4に示すように、複数のカセット81を取り付ける複数のカセット取り付け部90を有する支持体本体91と、該支持体本体91に取り付けられ、各カセット81の後部を覆う支持体カバー92と、を有する。
【0040】
図7に示すように、各カセット取り付け部90には、光源支持部83が臨む開口部90aが形成され、該開口部90aの周囲には、光源支持部83の周囲の矩形平面が対向する平面90bを底面としたカセット用凹部(断面L字状の切り欠き)90cが形成される。従って、この実施形態では、カセット81は、その前面側外周縁83dに取り付けられたカセット用緩衝部材101を介して、カセット取り付け部90のカセット用凹部90cに配置される。また、支持体本体91のカセット用凹部90cの周囲には、カセット81を固定するためのカセット固定手段93が設けられており、本実施形態では、カセット81に形成された凹部81aに係合されて、カセット81を固定する。なお、カセット固定手段93としては、カセット81をカセット取り付け部90に挿脱すると同時に固定・解除可能な係合(例えば、爪係合やフック係合)であってもよい。
【0041】
α方向或いはβ方向に並ぶカセット用凹部90cの各平面90bは、各カセット81の全ての光源部73の光を照射する照射面と、光源部73の光軸Lとの交点pが、各α、β方向において単一の曲面、例えば、球面r上に位置するように(図8参照。)、所定の角度γで交差するように形成される。
【0042】
従って、各カセット81は、これら光源支持部83を各カセット取り付け部90のカセット用凹部90cに嵌合させて位置決めした状態で、カセット固定手段93をカセット81の凹部81aに係合させることで、支持体82にそれぞれ固定される。そして、これら各カセット81が支持体本体91に取り付けられた状態で、該支持体本体91に支持体カバー92が取り付けられる。従って、図8に示すように、各カセット81に位置決めされた全ての光源部73の光が照射する各照射面と、所定数の光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離も略一定となる。
【0043】
図7及び図8に示すように、支持体本体91の前面側外周縁91bには、ゴムなどの弾性材料により断面略L字型の枠状に形成された支持体用緩衝部材102が、前面側外周縁91bの前面及び側面の一部を覆って装着されている。支持体用緩衝部材102の支持体本体91への装着は、はめ込み式であっても、ネジ止め式であってもよい。
【0044】
また、光照射装置80の各光源部73、各カセット81、及び支持体82には、各ランプ71を冷却するための冷却構造が設けられている。具体的に、図5(a)に示すように、光源支持部83には、各カバーガラス85間に、複数の空気孔83cが設けられており、光源支持部83の内部と外部とを連通させる。
【0045】
更に、図6に示すように、各光源部73のランプ71と反射鏡72が取り付けられるベース部材75には、冷却路75aが形成されており、カセット81の各カバーガラス85には、一つ又は複数の空気流通孔である貫通孔85aが形成されている。また、カセット81のランプ押さえカバー84の底面には、複数の排気孔(連通孔)84aが形成され(図7参照。)、支持体82の支持体カバー92にも、複数の排気孔92aが形成されている(図4(c)参照。)。また、各排気孔92aには、支持体82の外部に形成されたブロアユニット(強制排気手段)79が排気管79aを介して接続されている。
【0046】
従って、ブロアユニット79によって支持体82内のエアを引いて排気することで、カバーガラス85の貫通孔85aから吸引された外部のエアが、矢印で示した方向へランプ71と反射鏡72との間の隙間sを通過し、光源部73のベース部材75に形成された冷却路75aへ導かれる。また、光源支持部83の複数の空気孔83cから吸引された外部のエアが、反射鏡72間の空間を通過し、このエアにより各光源部73の冷却を行っている。
【0047】
なお、強制排気手段としては、ブロアユニット79に限定されるものでなく、ファン、インバータ、真空ポンプ等、支持体82内のエアを引くものであればよい。また、ブロアユニット79によるエアの排気は、後方からに限らず、上方、下方、左方、右方のいずれの側方からでもよい。
【0048】
さらに、図4に示すように、支持体本体91の周縁に、水冷管(冷却用配管)91aを設け、水ポンプ69によって水冷管91a内に冷却水を循環させることでも、各光源部73を冷却している。なお、水冷管91aは、支持体本体91内に形成されてもよいし、支持体本体91の表面に取り付けられても良い。また、上記排気式の冷却構造と水冷式の冷却構造は、いずれか一つのみ設けられてもよい。また、水冷管91aは、図4に示すような配置に限定されるものでなく、水冷管91aを全てのカセット81の周囲を通るように配置、又は、全てのカセット81の周囲の一部を通るようにジグザグに配置して、冷却水を循環させてもよい。
【0049】
また、図9に示すように、各カセット81の光源部73には、ランプ71に電力を供給する点灯電源95及び制御回路96が個々に接続されており、各光源部73から後方に延びる各配線97は、各カセット81に設けられた少なくとも一つのコネクタ98に接続されてまとめられている。そして、各カセット81のコネクタ98と、支持体82の外側に設けられた光学制御部76との間は、他の配線99によってそれぞれ接続される。これにより、光学制御部76は、各ランプ71の制御回路96に制御信号を送信し、各ランプ71に対して点灯と消灯を含め、電圧を調整する電圧制御を行う。
【0050】
なお、各光源部73の点灯電源95及び制御回路96は、カセット81に集約して設けられてもよいし、カセットの外部に設けられてもよい。また、ランプ押さえカバー84の当接部86は、各光源部73からの各配線97と干渉しないように形成されている。
【0051】
さらに、図10に示すように、ランプ71毎にヒューズ94aを含む寿命時間検出手段94を設けて、タイマ96aによって点灯時間をカウントし、定格の寿命時間が来た段階でヒューズ94aに電流を流してヒューズ94aを切断する。従って、ヒューズ94aの切断の有無を確認することで、ランプ71を定格の寿命時間使用しているかどうかを検出することができる。なお、寿命時間検出手段94は、ヒューズ94aを含むものに限定されるものでなく、ランプ交換のメンテナンス時にランプ71の定格の寿命時間が一目でわかるようなものであればよい。例えば、ランプ71毎にICタグを配置して、ICタグによってランプ71を定格の寿命時間使用したかどうか確認できるもの、或いは、ランプ71の使用時間が確認できるようにしてもよい。
【0052】
また、図10では、点灯電源95及び制御回路96は、光源部73毎に設けているが、複数の光源部73毎に1つ設けるようにし、カセット81内の光源部73を所定数ずつ纏めて管理するようにしてもよい。
【0053】
なお、上記実施形態では、説明を簡略化するため、α方向に3段、β方向に2列の計6個の光源部73が取り付けられたカセット81を例に挙げたが、実際にはカセット81に配置される光源部73は8個以上であり、図11に示されるような配置で点対称又は線対称でカセット81に取り付けられる。即ち、光源部73をα方向、β方向で異なる数として配置しており、カセット81の光源支持部83に取り付けられた最外周に位置する光源部73の中心を四辺で結んだ線が長方形形状をなす。また、各カセット81が取り付けられる支持体82のカセット取り付け部90は、互いに直交するα、β方向に配置される各個数n(n:2以上の正の整数)を一致させて長方形形状に形成されている。ここで、この長方形形状は後述するインテグレータエレメントの各レンズエレメントの縦横毎の入射開口角比に対応させ、カセットの行数、列数を同数とした場合が最も効率が良いが異数でも良い。
【0054】
ここで、インテグレータレンズ74の各レンズエレメントのアスペクト比(縦/横比)は、露光領域のエリアのアスペクト比に対応して決定されている。また、インテグレータレンズの各々のレンズエレメントは、その入射開口角以上の角度から入射される光を取り込むことができない構造となっている。つまり、レンズエレメントは長辺側に対して短辺側の入射開口角が小さくなる。このため、支持体82に配置された光源部73全体のアスペクト比(縦/横比)を、インテグレータレンズ74の入射面のアスペクト比に対応した長方形形状の配置とすることで、光の使用効率が良好となる。
【0055】
このように構成された露光装置PEでは、照明光学系70において、露光時に露光制御用シャッター78が開制御されると、超高圧水銀ランプ71から照射された光が、インテグレータレンズ74の入射面に入射される。そして、インテグレータレンズ74の出射面から発せられた光は、凹面鏡77によってその進行方向が変えられるとともに平行光に変換される。そして、この平行光は、マスクステージ10に保持されるマスクM、さらには基板ステージ20に保持される基板Wの表面に対して略垂直にパターン露光用の光として照射され、マスクMのパターンPが基板W上に露光転写される。
【0056】
上記したように、本実施形態の露光装置用光照射装置80によれば、支持体82に加わる衝撃力を吸収して光源部73に作用する衝撃力を緩和する各緩衝部材101、102が、光源支持部83及び支持体本体91に配置されているので、万一、周辺に配置された障害物が光照射装置80に衝突しても、その衝撃力は緩衝部材101、102によって吸収され、光源部73に大きな衝撃力が作用することが防止され、光源部73の発光部71やカバーガラス85の損傷を防止することができる。
【0057】
また、各緩衝部材101、102は、枠状に形成されているので、容易、且つ確実に光源支持部83及び支持体本体91の前面側外周縁83d、91bに沿って配置することができる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、露光装置用光照射装置の第2実施形態について図12及び図13を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一または同等部分については同一符号又は相当符号を付して、説明を簡略化又は省略する。
【0059】
図12及び図13に示すように、本実施形態の光照射装置80は、ゴムなどの弾性材料により形成された複数の小片のカセット用緩衝部材103が、隣接するカバーガラス85の間やカバーガラス85の周囲で、カセット81に取り付けられている。また、第1実施形態の露光装置用光照射装置80と同様に、支持体用緩衝部材102が、支持体本体91の前面側外周縁91bの前面及び側面の一部を覆って装着されている。
【0060】
本実施形態の光照射装置80は、光源支持部83が枠状のカセット用緩衝部材101を介してカセット取り付け部90の平面90bに取り付けられる第1実施形態の露光装置用光照射装置80と比較して、光源支持部83が直接、カセット取り付け部90の平面90bに当接して取り付けられるので、光源部73からの光が、精度よくインテグレータレンズ74に入射することができる。
【0061】
また、本実施形態の露光装置用光照射装置80によれば、支持体本体91の前面側外周縁91bに支持体用緩衝部材102が装着され、更に、複数の小片のカセット用緩衝部材103が、カバーガラス85間に配置されるので、光照射装置80に加わる衝撃力が支持体用緩衝部材102によって吸収され、更に、カバーガラス85に作用する衝撃力は、小片のカセット用緩衝部材103によって低減されるため、光源部73の発光部71やカバーガラス85の損傷を防止することができる。
【0062】
(第3実施形態)
次に、本発明の露光装置用光照射装置の第3実施形態について図14を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一または同等部分については同一符号又は相当符号を付して、説明を簡略化又は省略する。
【0063】
本実施形態のカセット取り付け部90は、図14に示すように、光源支持部83の前面周囲に設けられた凸状の係合部83eと、カセット取り付け部90に周囲に亘って設けられた凹状の被係合部90dと、から構成され、カセット用緩衝部材104が凸状の係合部83eを覆うように設けられている。そして、凸状の係合部83eを凹状の被係合部90dにカセット用緩衝部材104を介して係合させることで光源支持部83が支持体本体91に取り付けられる。これにより、支持体本体91から光源支持部83に伝達される衝撃力が、カセット用緩衝部材104により吸収される。
【0064】
(第4実施形態)
次に、本発明の露光装置用光照射装置の第4実施形態について図15及び図16を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一または同等部分については同一符号又は相当符号を付して、説明を簡略化又は省略する。
【0065】
図15及び図16に示すように、本実施形態の露光装置用光照射装置80は、支持体82が、前面を開放するように形成され、支持体82に設けられた各カセット取り付け部90を凹部(カセット81の矩形状の後方縁部と対向する断面L字状の切り欠き)によって形成し、カセット固定手段によって各カセット81を前方から固定するように構成されている。これにより、支持体82は、各カセット81に取り付けられた各光源部73の光がインテグレータレンズ74の入射面に実質的に向くようにアライメントされる。
【0066】
そして、支持体82の前面側外周縁82aに支持体用緩衝部材102が配置され、光源支持部83の前面側外周縁83dに枠状のカセット用緩衝部材101が配置され、更に、隣接するカバーガラス85間には、小片のカセット用緩衝部材103が配置されている。
【0067】
これにより、光照射装置80に加わる衝撃力が、各緩衝部材101、102、103によって吸収されるので、光源部73の発光部71やカバーガラス85の損傷を防止することができる。
【0068】
尚、本発明は、前述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0069】
例えば、本実施形態のランプ押さえカバー84は、凹状のボックス形状としたが、これに限定されず、当接部によって光源部を位置決め固定できるものであれば、例えば、メッシュ形状であってもよい。また、各光源部73を光源支持部83に嵌合してさらに固定するようにした場合には、ランプ押さえカバー84を設けないで構成することも可能である。また、支持体カバー92の形状も照明光学系70の配置に応じて、任意に設計可能である。
【0070】
また、カセット81に配置される光源部73を8個以上とし、支持体82に配置される全光源部は8個〜約800個とする。800個程度であれば、実用性及び効率が良くなる。さらに、支持体82に装着されるカセット81の数は全体の光源部73の数の5%以下とすることが好ましく、この場合には、1つのカセット81に配置される光源部73の数が5%以上となる。
【0071】
また、例えば、上記実施形態では、露光装置として分割逐次近接露光装置を説明したが、これに限定されず、本発明は、走査式近接露光装置、ミラープロジェクション式露光装置、レンズ投影式露光装置、密着式露光装置にも適用することができる。また、本発明は、一括式、逐次式、走査式等のいずれの露光装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
71 超高圧水銀ランプ(発光部)
72 反射鏡(反射光学系)
73 光源部
80 露光装置用光照射装置
81 カセット
82 支持体
82a 前面側外周縁
83 光源支持部
83d 前面側外周縁
85 カバーガラス
85a 貫通孔(空気流通孔)
101 枠状のカセット用緩衝部材
102 枠状の支持体用緩衝部材
103 小片のカセット用緩衝部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と該発光部から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系をそれぞれ含む複数の光源部と、
複数の前記光源部をそれぞれ取り付け可能な略矩形状のカセットと、
該カセットに配置され、前記カセットに加わる衝撃力を吸収して前記光源部に作用する前記衝撃力を緩和するカセット用緩衝部材と、
を備えることを特徴とする露光装置用光照射装置。
【請求項2】
前記カセット用緩衝部材は、枠状に形成されて前記カセットの前面側外周縁に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の露光装置用光照射装置。
【請求項3】
前記カセットは、石英ガラスから形成され、前記光源部からの光を透過する複数のカバーガラスを備え、
前記カセット用緩衝部材は、隣接する前記カバーガラス間に配置されることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の露光装置用光照射装置。
【請求項4】
前記カバーガラスには、前記光源部を冷却するための空気流通孔が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の露光装置用光照射装置。
【請求項5】
複数の前記カセットを取り付け可能な支持体と、
該支持体に配置され、前記支持体に加わる衝撃力を吸収して前記光源部に作用する前記衝撃力を緩和する支持体用緩衝部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置用光照射装置。
【請求項1】
発光部と該発光部から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系をそれぞれ含む複数の光源部と、
複数の前記光源部をそれぞれ取り付け可能な略矩形状のカセットと、
該カセットに配置され、前記カセットに加わる衝撃力を吸収して前記光源部に作用する前記衝撃力を緩和するカセット用緩衝部材と、
を備えることを特徴とする露光装置用光照射装置。
【請求項2】
前記カセット用緩衝部材は、枠状に形成されて前記カセットの前面側外周縁に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の露光装置用光照射装置。
【請求項3】
前記カセットは、石英ガラスから形成され、前記光源部からの光を透過する複数のカバーガラスを備え、
前記カセット用緩衝部材は、隣接する前記カバーガラス間に配置されることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の露光装置用光照射装置。
【請求項4】
前記カバーガラスには、前記光源部を冷却するための空気流通孔が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の露光装置用光照射装置。
【請求項5】
複数の前記カセットを取り付け可能な支持体と、
該支持体に配置され、前記支持体に加わる衝撃力を吸収して前記光源部に作用する前記衝撃力を緩和する支持体用緩衝部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の露光装置用光照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−113270(P2012−113270A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264641(P2010−264641)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(311011449)NSKテクノロジー株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(311011449)NSKテクノロジー株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
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