説明

露点計測装置および気体特性測定装置

【課題】露点計測装置の製造工程において、温度較正工程を必要とせず、コストを抑えることができ、かつ、高い精度を維持することのできる露点計測装置および気体特性測定装置を提供する。
【解決手段】露点計測装置に相変化物質6を設け、相変化物質6を加熱して、相変化物質6を相変化させ、その相変化を温度変化、相変化物質6の電気抵抗変化、固有振動数変化などにより検出する。そして、相変化物質6が相変化したときの温度測定部の温度を、既知の上記相転移温度とする温度較正を行う温度較正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露点計測装置に関するものである。また、露点計測装置を備えた湿度センサ、分圧測定器などの気体特性測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却手段により観測面を冷却していき、周囲の気体中の特定成分(例えば、水分)が観測面に凝集(結露)したことを温度測定手段たる温度センサから得られた温度変化に基づいて検知し、凝集を検知したときの観測面の温度を測定することで、この気体中の特定成分が液化し始める温度(露点)を測定する露点計測装置が記載されている。具体的には、周囲の気体中の特定成分が凝集して観測面に付着するとき、気体の特定成分が液体となって観測面に付着する。そのため、特定成分が観測面に凝集するとき熱量が特定成分から放出される。その結果、観測面に特定成分が凝集していないときは、温度センサから得られた温度は、所定の傾きをもって低下していくが、観測面に凝集が生じると、その傾きが小さくなる。よって、温度変化の傾向が変化しととき、観測面に凝集が生じたと検知するのである。
【0003】
露点計測装置は、正確な露点を計測するには温度センサの較正を行う必要がある。温度センサを較正する方法としては、特許文献2、3に記載のものが知られている。特許文献2に記載の温度センサ較正方法では、既知の相転移温度を持つ温度標準物質及び温度センサを加熱炉内に設置する。そして、加熱炉内の温度を変化させていくと、温度標準物質の融点に相当する温度付近で温度標準物質の吸熱反応が発生する。この温度標準物質の吸熱反応は温度センサのリニアな出力変化での変曲点として検出される。そして、この変曲点の出力が検出されたときの温度を融点温度である温度標準とし、その温度標準を基づいて演算した補正値で温度センサの温度値を較正する。
【0004】
また、特許文献3に記載の温度センサの較正方法は、高圧高温装置内を適温になるように加熱するヒータに標準物質を直列に接続し、高圧高温装置内の温度を検出しながらヒータへの投入電力を調整する。そして、ヒータによって高圧高温装置内を加熱していき標準物質の相転移が起きたことをヒータの電気抵抗又はヒータへの電圧・電流の変化で捕え、その時の温度を検出する。そして、その時のヒータへの投入電力を基準とし、温度センサの温度較正を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2によれば、温度較正工程では加熱炉内に温度標準物質を搬送して行われるため、較正精度は温度センサに対する温度標準物質の位置精度に依存する。このため、較正精度を上げるためには位置精度を上げなければならず、位置精度を上げる設備投資等によって素子自体のコスト増につながってしまう。また、上記特許文献3において、温度センサを備えた露点計測装置を製品に組み込んだ後に温度較正を行うときは特に製品から露点計測装置を取り外してユーザが上記温度較正を行うこととなり、この煩雑な温度較正自体がユーザの負担となっていた。また、上記特許文献3によれば、ヒータと相変化物質とが電気的に直列に接続されているので、相変化物質の相転移による電気伝導度の変化に加え、ヒータの電気伝導度の変化も生じる。このため、相変化物質の相転移温度が検出できその温度で較正できたとしても、ヒータの電気伝導度の変化に伴う影響で温度較正の精度が低下してしまうという課題があった。
【0006】
また、いずれの特許文献でも、一定の温度に制御した恒温環境となっている温度標準を備える大規模な設備が必要となる。更に、高い精度が求められるような高精度な露点計測装置においては、高精度な温度センサが用いられ、細かい温度較正を行う必要となる。よって、汎用な温度センサの温度較正に比べて煩雑な工程を必要としていた。そのため、高精度な露点計測装置は温度標準が一定の安定した恒温環境槽内に搬送されて温度変化を細かくして温度較正を行うために長い時間を要することになり、生産効率が悪くなる。そして、露点計測装置のそれ以外の素子(観測面を冷却するための冷却部などの冷却手段や光学センサなどの凝集検知手段)が簡単な電送装置や光学装置で迅速に設定が完了するのに比べ、高精度な温度センサを用いると、大量生産の製造工程において大量に取り扱うのにボトルネックとなっていてコストを削減することができない。このため、温度較正に要するコストが付加され、温度較正に要した露点計測装置の価格は温度較正に要しない露点計測装置の本体の価格に比して数倍ないし数十倍になっている。特に精度の高いものを生産するためには精度の高い温度較正を行うため費用と、かなりの時間を要していた。
【0007】
よって、露点計測装置の製造において温度較正工程自体を無くすことがコスト削減に最も有効である。また、高い精度を維持するためには、随時簡便に温度較正を実施することができる露点計測装置の提供が望まれている。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、露点計測装置の製造工程において、温度較正工程を必要とせず、コストを抑えることができ、かつ、高い精度を維持することのできる露点計測装置および気体特性測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、観測面を冷却する冷却手段と、上記観測面の温度を測定する温度測定手段と、上記冷却手段で観測面を冷却しているときの上記温度測定手段の検知結果の単位時間当たりの変化量に基づいて、上記観測面に周囲の気体中の特定成分が凝集したことを検出する凝集検出手段とを備えた露点計測装置において、既知の相転移温度を持つ少なくとも1つの相変化物質と、温度の変化に伴って上記相変化物質の相転移が起きたことを検出する相転移検出手段と、相転移が起きたことを相転移検出手段が検出したときの上記温度測定手段の検知結果を、既知の上記相転移温度とする温度較正を行う温度較正手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の露点計測装置において、上記相変化物質は、国際温度目盛ITS−90に定義されている物質であることを特徴する露点計測装置。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の露点計測装置において、上記冷却手段は、ペルチェ効果を有する熱電変換材料と一対の電極とで構成されており、少なくとも、上記冷却手段、上記温度測定手段および上記相変化物質を同一の基板に集積させたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の露点計測装置において、上記基板は、ベース材上に積層された絶縁層が設けられており、上記絶縁層に上記ベース材と接していない非接触領域を設け、上記非接触領域に、上記冷却手段の観測面の真下に配置され、観測面を冷却する冷却電極と、上記温度測定手段と、上記相変化物質とを配置したことを特徴する露点計測装置。
また、請求項5の発明は、請求項3または4の露点計測装置において、上記温度測定手段を上記観測面に隣接配置したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の露点計測装置において、上記温度測定手段は、リング状であって、上記温度測定手段、上記冷却手段の順に同心円状に配置したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項3乃至6いずれかの露点計測装置において、上記冷却手段、上記温度測定手段の周囲を絶縁材で覆ったたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれかの露点計測装置において、上記相変化物質を加熱する加熱手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の露点計測装置において、上記相変化物質を上記加熱手段に隣接配置したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9の露点計測装置において、上記相変化物質と上記加熱手段とを積層させたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項9の露点計測装置において、上記相変化物質と上記加熱手段とを並列に配置したことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項9乃至10いずれかの露点計測装置において、上記加熱手段は、リング状であって、上記相変化物質を、上記リング状加熱手段と同心円となるように配置したことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項12の露点計測装置において、上記相変化物質を、上記加熱手段の円周内に配置したことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項9乃至13いずれかの露点計測装置において、上記加熱手段に隣接する箇所に上記相変化物質を分散配置したことを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項14の露点計測装置において、互いに異なる2種類以上の相変化物質を分散配置したことを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項8乃至15いずれかの露点計測装置において、上記温度測定手段は、温度依存性を有する抵抗体であって、上記温度測定手段を、上記加熱手段として用いたことを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項16の露点計測装置において、上記温度測定手段を発熱させるための一対の発熱用リード線と、温度を測定するための一対の測定用リード線とをそれぞれ上記温度測定手段に接続したことを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項8乃至15いずれかの露点計測装置において、上記冷却手段は、ペルチェ効果を有する熱電変換材料と一対の電極とで構成された冷却手段を備え、上記電極のいずれか一方を、加熱手段として用いたことを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項18の露点計測装置において、上記相変化物質を加熱するときは上記熱電変換材料に流す電流の向きを、上記観測面を冷却するときの上記熱電変換材料に流す電流の向きと異ならせたことを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項8乃至19いずれかの露点計測装置において、上記加熱手段の加熱温度を、上記相転移物質の相転移温度付近にしたことを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、請求項1乃至20いずれかの露点計測装置において、上記相転移検出手段は、上記温度測定手段が測定した温度変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とするものである。
また、請求項22の発明は、請求項1乃至21いずれかの露点計測装置において、上記相転移検出手段は、上記相変化物質に積層させた圧電体を有し、圧電効果に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とするものである。
また、請求項23の発明は、請求項22の露点計測装置において、上記相転移検出手段は、上記相変化物質の圧電体に対する応力変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とするものである。
また、請求項24の発明は、請求項22の露点計測装置において、上記圧電体を振動させて、上記相変化物質の固有振動数の変化を検知することで、相転移が起きたことを検出することを特徴とするものである。
また、請求項25の発明は、請求項1乃至24いずれかの露点計測装置において、上記相変化物質は、導電性であって、上記相転移検出手段は、上記相変化物質の電気特性の変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とするものである。
また、請求項26の発明は、請求項25の露点計測装置において、上記相変化物質に接続し、上記相変化物質の電気特性の変化を検出するための検出リード線を、相変化物質と同一の材料で構成したことを特徴とするものである。
また、請求項27の発明は、請求項1乃至26いずれかの露点計測装置において、上記相変化物質は、導電性であって、上記相転移検出手段は、上記相変化物質の通電状態に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とするものである。
また、請求項28の発明は、請求項27の露点計測装置において、上記相転移検出手段は、上記相変化物質によって通電状態に構成しておき、相変化物質が相変化すると、非通電となるよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項29の発明は、請求項27の露点計測装置において、上記相転移検出手段は、上記相変化物質を分離させて、非通電に構成しており、相変化物質が相変化すると、上記相変化物質が結合して通電となるよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項30の発明は、請求項1乃至29いずれかの露点計測装置において、上記相変化物質は、光透過性または光反射性であり、上記相転移検出手段は、上記相変化物質の光学特性の変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とするものである。
また、請求項31の発明は、請求項21乃至26、30いずれかの露点計測装置において、上記相変化物質の周囲を絶縁材で覆ったことを特徴とするものである。
また、請求項32の発明は、請求項1乃至31いずれかの露点計測装置において、少なくとも上記冷却手段と、上記温度測定手段と、上記相変化物質とを備えた露点検出部を、複数設けたことを特徴とするものである。
また、請求項33の発明は、請求項32の露点計測装置において、各露点検出部の熱容量を同じに構成し、これら露点計測部の温度測定手段でブリッジ回路を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項34の発明は、請求項1乃至33いずれかの露点計測装置において、少なくとも、上記温度測定手段からの信号を受信して、温度を演算する演算回路、および、上記温度較正手段を備えた回路部を、上記冷却手段、上記温度測定手段および相変化物質を備えた基板に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項35の発明は、気体の温度と、露点とを測定して、気体の特性を測定する気体特性測定装置において、上記露点を測定する露点測定手段として、請求項1乃至34いずれかの露点計測装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項36の発明は、請求項35の気体特性測定装置において、上記観測面の周囲の気体温度を上記温度測定手段で測定した後、露点を測定することを特徴とするものである。
また、請求項37の発明は、請求項36の気体特性測定装置において、周囲の気体の温度を測定する気体温度測定手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項38の発明は、請求項34乃至37いずれかの気体特性測定装置において、当該気体特性測定装置は、気体の特性として、気体中の特定成分の割合、気体の密度、気体成分の分圧のうちいずれか一つを測定することを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、露点計測装置に相変化物質を設け、露点計測装置自身で、相変化物質の相転移が起きたことを検知し、そのときの温度測定手段の検知結果を、既知の相転移温度とする温度較正を露点計測装置自身で行う。これにより、露点計測装置の製造工程において、露点計測装置を恒温環境槽内へ搬送して温度較正を行う温度較正工程が必要なくなり、コストを抑えることができる。
また、露点計測装置自身で温度較正を行うことができるので、従来のように、露点計測装置が取り付けられた機器から露点計測装置を取り外して、恒温環境槽内に露点計測装置を持ち込んで温度較正を行う場合に比べて、随時簡便に温度較正を実施することができる。これにより、温度較正が必要なときに、温度較正を行うことができるので、高い精度を維持することができる。
【0011】
また、気体中の特定成分の露点を計測する露点計測手段を備え、気体の露点に基づいて、気体の特性を測定する気体特性測定装置において、露点測定手段として、本発明の露点計測装置を用いることで、高い精度の露点測定を維持することができ、結果的に高い精度で気体の特性を測定することができる。また、コストが抑えられた露点計測装置を用いることができるので、結果的に、気体特性測定装置のコストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上本発明によれば、露点計測装置の製造工程において、露点計測装置を恒温環境槽内へ搬送して温度較正を行う温度較正工程を必要とせず、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の湿度センサの概略構成を示す平面図。
【図2】同湿度センサの縦断面図。
【図3】同湿度センサの横断面図。
【図4】同湿度センサの制御ブロック図。
【図5】時間推移における相変化物質の温度変化と、温度測定部の抵抗変化とを示す特性図。
【図6】相変化物質を加熱するときに温度測定部に流す電流に対する温度変化及び温度測定部の抵抗値変化を示す特性図。
【図7】異なる相転移温度の2つの相変化物質において時間推移に対する温度変化を示す特性図。
【図8】同湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャート。
【図9】同湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出のフローチャート。
【図10】抵抗値−温度特性を示すグラフ。
【図11】冷却電極の冷却による凝集、蒸散の温度特性図。
【図12】変形例1の湿度センサの概略平面図。
【図13】変形例2の湿度センサの概略平面図。
【図14】同変形例2の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャート。
【図15】変形例2の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出のフローチャート。
【図16】変形例3の湿度センサの概略平面図。
【図17】同変形例3の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャート。
【図18】同変形例3の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出のフローチャート。
【図19】変形例4の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャート。
【図20】変形例5の湿度センサの概略平面図。
【図21】同変形例5の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャート。
【図22】同変形例5の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出のフローチャート。
【図23】変形例6の湿度センサの概略平面図。
【図24】同変形例6の湿度センサの概略裏面図。
【図25】変形例7の温度センサの概略平面図。
【図26】変形例8の温度センサの概略平面図。
【図27】変形例9の湿度センサの概略平面図。
【図28】変形例10湿度センサの一例を示す概略平面図。
【図29】同変形例10湿度センサの他の例を示す概略平面図。
【図30】相変化したときの相変化物質の流動(粘性)変化を電気的に検知するメカニズムについて説明する図。
【図31】相変化したときの相変化物質の流動(粘性)変化を電気的に検知するメカニズムの他の構成例について説明する図。
【図32】相変化したときの相変化物質の流動(粘性)変化を電気的に検知するメカニズムのさらに他の構成例について説明する図。
【図33】変形例10の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャート。
【図34】同変形例10の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出のフローチャート。
【図35】同変形例10の湿度センサにおいて、冷却部の冷却電極で、相変化物質を加熱する場合の温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャート。
【図36】同変形例10の湿度センサにおいて、冷却部の冷却電極で、相変化物質を加熱する場合の温度キャリブレーション、温度、露点検出のフローチャート。
【図37】変形例10−1の湿度センサ一例を示すの概略平面図。
【図38】同変形例10−1の湿度センサの他の例を示す概略平面図。
【図39】同変形例10−1の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャート。
【図40】同変形例10−1の湿度センサにおいて、冷却部の冷却電極で、相変化物質を加熱する場合の温度キャリブレーション、温度、露点検出のフローチャート。
【図41】変形例10−2の湿度センサの概略平面図。
【図42】同変形例10−2の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャート。
【図43】変形例11の湿度センサの制御ブロック図。
【図44】同変形例11の湿度センサの一例を示す概略平面図。
【図45】同変形例11の湿度センサの他の例を示す概略平面図。
【図46】変形例12の湿度センサの断面図。
【図47】変形例13の湿度センサの断面図。
【図48】同変形例13の湿度センサの制御ブロック図。
【図49】変形例14の湿度センサの第1の構成例を示す概略構成図。
【図50】同変形例14の湿度センサの制御ブロック図。
【図51】同変形例14の湿度センサの第二の構成例を示す概略構成図。
【図52】同変形例14の湿度センサの第三の構成例を示す概略構成図。
【図53】同変形例14の湿度センサの第四の構成例を示す概略構成図。
【図54】同変形例14湿度センサの第五の構成例を示す概略構成図。
【図55】同変形例14の湿度センサの第六の構成例を示す概略構成図
【図56】同の第六の構成例をケースに設けた構成例を示す図。
【図57】変形例15の湿度センサの第1例の概略構成図。
【図58】同変形例15の湿度センサの第2例の概略断面図。
【図59】変形例16の湿度センサの概略構成図。
【図60】第1検知部の第1温度測定部5−1と第2検知部の第2温度測定部5−2の温度補償用の検出器としてのブリッジ回路を示す図。
【図61】周囲温度が変化しないときの第1の温度測定部の抵抗値変化と第2の温度測定部の抵抗値変化の特性を示す図。
【図62】ブリッジ回路で出力される特性を示す図。
【図63】変形例17の湿度センサの概略構成図。
【図64】変形例18の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャート。
【図65】同変形例18の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の露点検出装置を湿度センサに適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の気体特性測定装置としての湿度センサ100の概略構成を示す平面図であり、図2は、湿度センサ100の縦断面図であり、図3は、湿度センサの横断面図である。
図1に示すように、本実施形態の湿度センサ100は、ベース材2と、ベース材2の両面に形成された電気絶縁層3とからなる基板1上に、雰囲気温度や露点を検出ための検出部たる検出領域1aと、電力供給を行うための回路や、湿度などを検出するための回路など有する回路部たる回路領域1bとを有している。
基板1の検出領域1aには、冷却手段としての冷却部4と、温度測定手段としての温度測定部5と、2種類の相変化物質6A,6Bとを設けている。温度測定部5は、温度依存性を持つ抵抗体であり、回路領域1でこの抵抗体の抵抗値を求めることにより、温度が検知される。また、この実施形態においては、この抵抗体からなる温度測定部5を発熱させて相変化物質6A,6Bを加熱する加熱手段としての機能を有している。温度測定部5は、リング状に形成されており、その両端にはリード線5a,5bが接続され、回路領域1bに接続されている。この温度測定部5の外周に温度測定部5と同心円状に冷却部4が形成されている。
【0015】
冷却部4は、複数の冷却電極4aと、複数の放熱電極4bと、複数の熱電変換材料4cとで構成されている。複数の冷却電極4aは、温度測定部5に隣接して沿うように等間隔で分散配置されている。複数の放熱電極4bは、冷却電極4aに対して、所定距離外側に離れた位置に、冷却電極4aと互い違いとなるよう、円周方向等間隔で配置されている。そして、これら電極4a,4bが電気的に直列で接続されるように、BiTe系材料やP型半導体とN型半導体とで構成された熱電変換材料4cの一端が、冷却電極4aに接続され、他端が放熱電極4bに接続されている。不図示の冷却電源から回路領域1bおよびリード線4d,4eを介して、冷却部4に電力が供給されることで、冷却電極4aが冷却され、基板1の冷却電極4a上の観測面8に雰囲気中の水蒸気が結露(凝集)する。
【0016】
温度測定部5の内周側には、互いに異なる2種類の扇形の相変化物質6A,6Bが、交互に並列配置されている。温度キャリブレーションの標準物質である相変化物質6A,6Bは、狭い温度範囲を再現性良く高い精度で相転移するものであり、相転移前後において、温度(熱)、電気抵抗値、熱容量、粘性(流動性)、質量、固有振動数、誘電率いずれかの変化を伴うものである。本実施形態においては、その変化を検出することで、相変化物質の相変化を検出する。相変化物質6A,6Bはある温度で相転移する物質であればよい。特に、高精度に温度が決められている国際温度目盛として定められる温度を示す物質を用いれば高精度にキャリブレーションでき、好ましい。また、相変化物質6A,6Bとしては、固体と液体、液体と気体などの間で再現性よく可逆的に相転移する条件や材料を選択することが好ましい。これにより、いつでも、温度キャリブレーションを行い、いつでも精度が維持された温度測定が可能となる。また、高精度にキャリブレーションするためには、相変化物質6A,6Bは、利用する温度に近い相転移温度を有するものを用いるのが好ましい。また、相変化物質としてパラフィンや酢酸ナトリウムなどを用い、既知の温度における過冷却温度に基づいて、温度キャリブレーションを行ってもよい。
【0017】
相変化物質の(熱)、粘性(流動性)や固有振動数の変化を検出して、相変化物質の相変化を検出する場合は、次の材料を好適に用いることができる。すなわち、国際温度目盛ITS―90の定義定点であるGa:29.7646℃、In:156.5985℃、Sn:231.928℃、Zn:419.527℃、Al:660.323℃、Ag:961.78℃、Au:1064.18℃、Cu:1084.62℃などである。これらの材料は、融点(凝固点)が、特に高精度であり、好ましい。また、Bi:271.3 ℃や合金であるSn−Zn、Sn−Agや、Bi−Sn合金は混合比率によって130℃から170℃の範囲の加熱に際して、特定温度にて溶融させることができる。
【0018】
また、相変化物質の相転移を、質量や熱容量の変化で検出する場合は、酸化物であるBi、In、Sb、MoO、Pなどは固体から気体へ既知の狭い温度範囲で相転移するので、相転移温度における質量や熱容量の変化を良好に検知することができ、好ましい。
【0019】
また、相変化物質の相転移を、電気伝導度の変化で検出する場合は、CTRサ−ミスタにも用いられているVが好ましい。Vは、の結晶の構造変化による相転移が生じる相転移温度(80℃)よりも低いときは、単斜晶系で、抵抗が負の温度係数を持った半導体であるが、相転移温度(80℃)を超えると、ルチル構造・正方晶系となり、電気伝導度が2桁増加(抵抗が急激に減少)する。よって、相変化物質の相転移を、電気伝導度の変化で検出する場合、相変化物質として、Vを用いることにより、相変化物質の相転移を良好に検出することができる。また、チタン酸バリウムを主成分とするPTCサ−ミスタも好適である。PTCサ−ミスタは、キュリー温度を超えると、結晶系は正方晶系から立方晶系へと相転移するため、それにともなって電気抵抗値が急激に上昇する。このように、既知の相転移温度で結晶性の変化に伴う電気伝導度の変化を生じる材料を、相変化物質として用いることにより、相変化物質の相転移を、電気伝導度の変化で良好に検出することができる。
【0020】
また、相変化物質の相転移を、誘電率の変化で検出する場合、光学的に相変化物質の相転移を検出する場合、および、固有振動数の変化で検出する場合は、相変化物質として、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-xNbxO3)を好適に用いることができる。タンタル酸ニオブ酸カリウムは、相転移温度にて結晶の構造相転移を生じ、誘電率と二次電気光学定数(Kerr定数)が最大となり、固有振動数が相転移温度(35.6℃)付近で急激に変化する。よって、変化物質の相転移を、誘電率の変化を検出する場合、光学的に相変化物質の相転移を検出する場合、および、固有振動数の変化を検出する場合は、相変化物質として、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-xNbxO3)を用いることにより、良好に相変化物質の相転移を検出することができる。
【0021】
基板1の電気絶縁層3に形成された回路領域1bには、インターフェイス、制御回路、レジスタ、ΔΣA/D、発信回路などを含んでいる。また、アドレス端子、GND端子、クロック入力端子、データ入出力端子、アドレス入力端子、電源端子の各端子を備えている。この回路領域1bから、Si、Pt、NiCr、SiC,Cなどの導電性材料からなる電力供給用の1組のリード5a,5bが、温度測定部5に接続されている。同様に、導電性材料からなる電力供給用の1組のリード4d,4eが、冷却部4に接続されている。
【0022】
検出領域1aは周囲の気体に暴露され、回路領域1bは表面がパッシベーションされてパッケージに収納されている。このように、各回路を基板1に形成することで、温度測定部5からの信号をΔΣA/Dへ電送させる配線長を短くでき、ノイズを受け難く高精度に温度測定できる。
【0023】
基板1のベース材2は、ガラスやセラミックなど電気絶縁性材料や、Al、Ni、Siなどの金属材料などの導電性材料で構成される。電気絶縁層3は、相変化物質の相転移温度よりも低いと、相転移してしまうので、相変化物質よりも高い相転移温度の材料を選択する必要があり、SiO、Si、Al等の耐熱性材料が用いられる。
【0024】
また、ベース材2がSiであれば、回路領域1bの各回路を集積しやすい。例えば、Siベース材を熱酸化させることにより表面にSiOを形成するか、Siベース材2上にCVDやスパッタリングによりSiO、Si、Al等の単層または複層の電気絶縁層を形成する。次に、ポリシリコン層および酸化膜を形成後、酸化膜をマスクとしてポリシリコン層に熱電変換材料となるP型とN型不純物拡散領域を形成する。また、温度測定部5としての高濃度の不純物拡散領域を形成する。次に、電気絶縁層上にAl(アルミ)、Auの冷却電極4a、放熱電極4b、各配線リード5a、5b,4d,4e、相変化物質6A,6BなどをCVD、スパッタリングやゾルゲル法および各種薄膜製造方法により成膜、フォトリソグラフによりパターン形成する。この場合、同一のSiベース材2、電気絶縁層、ポリシリコン層、酸化膜および配線材料によりCMOS素子構造として、同一のチップ内に周辺回路を集積することができる。また、SOI(Si On Insulator)構造の基板を用いる場合は、BOX層を電気絶縁層とし、SOI層に熱電変換材料となるP型とN型不純物拡散領域領域、および温度測定部5として高濃度の不純物拡散領域を配置する。次にBOX層上にAl(アルミ)、Auの冷却電極4a、放熱電極4b、配線リード5a、5b,4d,4e、相変化物質6A,6BをCVD、スパッタリングやゾルゲル法および各種薄膜製造方法により成膜、フォトリソグラフによりパターン形成する。また、Siベース材2、BOX層やSOI層によりCMOS素子構造として、同一のチップ内に周辺回路を集積することができる。なお、電気絶縁層3にBiTe系の熱電変換材料4c、Si、Pt、NiCr等の温度測定部5をCVDやスパッタリングにより成膜、フォトリソグラフによりパターン形成してもよい。
【0025】
電気絶縁層3はCVD、スパッタリングやゾルゲル法および各種薄膜製造方法により成膜、フォトリソグラフによりパターン形成する。また、形成される温度測定部5、冷却部4、リード線5a、5b,4d,4eなどの導電性、相変化物質6A,6Bの相転移に伴う液化流動性、周囲雰囲気との化学反応などを考慮して、適宜、部材を電気絶縁層で覆って保護するのが好ましい。例えば、温度測定部5や相変化物質6A,6Bが、相変化物質を加熱するときの熱により高温度になるため表面が周囲雰囲気により酸化したり腐食したりする場合、耐久性を高めるために、温度測定部5や相変化物質全体を耐熱性の酸化物や窒化物の電気絶縁層で被覆し不活性化(パッシベーション)する。具体的には、金属材料などの相変化物質6A,6Bの場合、相変化物質が表面に露出していると、周囲雰囲気によって金属酸化物に変化して、相転移温度が変化するおそれがある。また、相変化物質6A,6Bが液化する場合は流動変形によって、温度分布が変わるおそれがある。その結果、これらは相転移を繰り返すと再現性が得られない場合がある。従って、相変化物質6A,6Bが周囲雰囲気により化学変化するのを防止するために相変化物質6A,6Bを周囲雰囲気に接しないように電気絶縁層3でパッシベーションしたり、相変化物質6A,6Bが液化する場合の流動変形を防止するため相変化物質6A,6Bを電気絶縁層3で包囲したりする。さらに、国際温度目盛の定義定点を用い高精度にキャリブレーションする場合には、標準気圧下(10.1325Pa)にて相変化物質6A,6Bの凝固点(融点)を検出する必要がある。相変化物質6A,6Bは、上述したように、SiO、Si、Al等の耐熱性材料からなる耐熱性電気絶縁層3を被覆した剛性を有する構造にすることにより、耐熱性電気絶縁層3の内部は一定圧力に維持される。これにより、周囲雰囲気の気圧が変化しても、相変化物質6A,6Bが影響を受けず後述する温度キャリブレーションの精度を高くすることができる。
【0026】
また、図2、図3に示すように、ベース材2の電気絶縁層3に形成された検出領域1aと対向する箇所は、エッチング処理により除去され、空洞部20となっている。これにより、冷却電極4a、温度測定部5、相変化物質6A,6Bが形成された電気絶縁層3の領域は、ベース材2と非接触となるので、冷却電極4a、温度測定部5、相変化物質6A,6B付近の熱容量を少なくすることができる。これにより、冷却電極4aで、観測面8をすばやく冷却することができ、また、温度測定部5を発熱させて、すばやく相変化物質6A,6Bを加熱することができる。また、冷却電極4a、温度測定部5、相変化物質6A,6Bが形成された領域の熱容量が少ないので、温度測定部5の温度応答を鋭敏にすることができ、冷却電極4a上の観測面8の温度や、相変化物質6A,6Bの温度を精度よく測定することができる。また、図1に示すように、基板1のおもて面の電気絶縁層3の熱電変換材料間には、貫通孔9が設けられている。これにより、放熱電極4bの熱が、電気絶縁層3の冷却電極4a上の観測面8に伝播するのを抑制することができ、観測面8を良好に冷却することができる。また、図3に示すように、空洞部20は、放熱電極4bが形成される領域までは、形成されておらず、少なくとも、放熱電極4bは、電気絶縁層3を介して、ベース材2と対向している。これにより、放熱電極4b付近の熱容量を大きくすることができ、観測面8に放熱電極4bの熱を伝播しにくくすることができる。
【0027】
また、冷却電極4a(観測面8)と、温度測定部(加熱部)5と、相変化物質6A,6Bとを同心円状に配置することによって、相変化および凝集(結露)時などの時点で温度測定部5を均一な温度分布にすることができ、精度の高い露点計測および相変化の検出を行うことができる。また、温度測定部(加熱部)5の内側に相変化物質と配置することによって、相変化物質を最小面積に高密度集合させることができ、相変化物質を必要最小量の熱量で迅速に相転移温度にまで加熱することができる。また、冷却電極を円の中心寄りに配置することにより、少ない数で、冷却電極を高密度に配置することができ、観測面8をすばやく冷却することができる。
【0028】
例えば、空洞の外周が直径φ150μm、円型の電気絶縁層の検出領域1aの直径φ110μmであって、電気絶縁層3の厚みが2μmであり、相変化物質の外周が直径φ80μmとすると、相変化物質6AがInで156.5985℃、相変化物質6BがSnで231.928℃、の相転移温度であれば、2msecで温度キャリブレーションが完了し、―35℃から150℃の間の周囲温度測定は0.1msec、―35℃から100℃の間の露点は10msecで測定することができ、測定精度は±0.03℃が得られる。より高速にさせるにはさらに寸法を小さくすれば良い。
【0029】
図4は、湿度センサ100の制御ブロック図である。
図に示すように温度較正手段としての温度キャリブレーション機能部101と温度や湿度を計測するための計測部102とを有している。破線で囲んだキャリブレーション機能部101は、温度測定部5を加熱するための加熱電源103、相転移温度とそのときの温度測定部5の抵抗値などを記憶するため記憶手段たるメモリ106、相変化を検知するために用いる温度測定部5の電気抵抗値Rと時刻Tの関数などを演算する演算部107などで構成されている。一点鎖線で囲んだ計測部102は、温度計測を行うための温度検出電源104、温度測定部5の抵抗値を算出する抵抗値算出部112、比較部108、温度出力部109や湿度出力部111などを備えている。CPU113からキャリブレーション実行の信号が、加熱電源103に入力されると、加熱部としての温度測定部5が発熱する。同時に、温度測定部5の抵抗値が抵抗値算出部112で算出され、時刻と温度測定部5の抵抗値をメモリ106に収納する。そして、温度測定部5の抵抗値によって相変化物質の相転移を検出し、その時の温度測定部5の抵抗値を相変化物質の既知の相転移温度として、温度依存性を示す関係式を求め、メモリ106に記憶する。次に、CPU113から温度測定実行の信号が、温度検出電源104に入力されると、温度測定部5の抵抗値が抵抗値算出部112で算出され、比較部108で、算出された抵抗値と、先の温度依存性を示す関係式とを用いて、雰囲気の温度測定値として出力される。次に、観測面8が冷却される。これと同時に、温度測定部5の抵抗値が抵抗値算出部112で算出され、時刻と温度測定部5の抵抗値をメモリ106に収納する。温度測定部5の抵抗値によって、凝集を検出し、その時の温度測定部5の抵抗値と、温度依存性を示す関係式とを用いて、露点測定値が出力される。そして、温度測定値と露点測定値とにより湿度が湿度演算部110で演算され湿度測定値として出力される。
【0030】
次に、本実施形態の湿度センサ100における相変化物質の相転移を用いたキャリブレーションの原理について概説する。ここでは相変化物質の相転移を相変化物質の温度(熱)変化で検出する場合について、説明する。
図5は時間推移における相変化物質の温度変化と、温度測定部5の抵抗変化とを示す特性図である。図5に示すように、相変化物質を加熱していき、相変化物質が相転移温度(融点(凝固点):Mpa)になると吸熱反応が生じる。相変化物質が固体であれば温度が上がっていくと相転移温度にて液体となりはじめ、全てが液体となる期間は相転移温度MPaを維持し、全てが液体となった以降は再び温度が上昇する。そのため、温度測定部5の電気抵抗値が不連続な傾向となる部分が出現する。すなわち、図5に示すように、温度測定部5の電気抵抗値R2のとき、温度が相転移温度であると判定できる。よって、温度依存性を有する抵抗体である温度測定部5の抵抗値を測定しておき、測定抵抗値が抵抗値R2となったときの温度を既知の相転移温度とする温度較正を行う。このように、相転移温度と電気抵抗値との関係が1対1の関係となり、この関係を用いることによりキャリブレーションを行うことができる。
【0031】
相変化物質を加熱する加熱部(本実施形態においては、温度測定部5)の熱容量を小さくし、かつ均一な温度領域に形成することにより、相変化の時点をより正確に検出できる。また、本実施形態においては、相変化物質を加熱する加熱手段として、温度測定部5を用いている。相変化物質を加熱するときは、温度測定部5にジュール熱が生じるような大きな電流を温度測定部5に流す。図5に示すように、相変化物質が固体から液体へ相転移が発生すると、相変化物質が吸熱反応を示し、相変化開始から終了まで温度が変化しないので温度が維持され、温度測定部5でもある抵抗体の電気抵抗値の増加傾向が平行状態へ変化する。相変化物質の転移熱量(潜熱)が大きく、検出領域全体の熱容量に対して相変化物質の熱容量が占める割合が大きいほど、この吸熱反応の時間(温度が変化しない時間)を長くすることができ、確実に相変化物質の相変位を検出することができ、好ましい。回路領域1bの制御回路は、温度測定部5に印加した電圧値と、温度測定部5に流れた電流値とから、時刻T0の温度測定部5の電気抵抗値と、時刻T1の温度測定部5の電気抵抗値とを推移データとして記憶する。そして、時刻T0の電気抵抗値と時刻T1の電気抵抗値とから、抵抗値Rと時刻Tとの関数(一次関数:R=aT+b)が演算される。この関数により求められた時刻T1後の抵抗値と、測定した時刻T1後の抵抗値Rとを比較していく。すると、時刻T2後で関数にフィットしないデータが生じ、相変化物質が相転移したことを検知することができる。
【0032】
相変化物質の相転移を検知したら、温度測定部5の電気抵抗値R2が既知の温度Mpaとしてメモリに保存し、下記に示す温度依存性を示す関係式を補正する。温度測定部5で、露点や雰囲気温度を測定するときは、温度測定部5に対しジュール発熱させないように微弱な電流を供給して、そのときの温度測定部5の電気抵抗値を測定する。そして、メモリに記憶されている下記に示す温度依存性を示す関係式と、温度測定部5の既知の抵抗温度係数TCRとを用いることによって、温度測定部5の抵抗値から、温度を検出する。
温度依存性を示す関係式:(抵抗値R、温度S、温度係数(TCR)α
R=R0*(1+α*S)・・・・(式1)
例えば、温度測定部が白金抵抗体の場合、温度係数(TCR)αは、α=3.9083E−03(0℃〜850℃)となる。
温度キャリブレーションにおいては、上述の抵抗値R2と温度MPaとの関係に基づいて、上記R0が補正される。
【0033】
また、本実施形態の温度の実用に必要な精度は、0〜850℃の範囲で±0.1℃の精度で十分であるので、下記式4の温度依存性を示す関係式のβ×Sを0として線形な一次関数を、温度依存性を示す関係式として用いているが、下記式4に示す2次関数の温度依存性を示す関係式を用いてもよい。下記式4に示す2次関数の温度依存性を示す関係式を用いることで、0〜419.527℃の範囲で±0.01の精度を得ることができ、抵抗値−温度特性の精度を更に高めることもできる。
R=R0*(1+α*S+β*S)・・・・(式4)
例えば、白金抵抗体の温度係数(TCR)は
α=3.9083E−03、β=−5.7750E−07(0℃〜850℃)
【0034】
図6は、相変化物質を加熱するときに温度測定部5に流す電流に対する温度変化及び温度測定部5の抵抗値変化を示す特性図である。この図6においては、相変化物質が液体から気体に相変化する例であり、熱容量の変化で相転移を検知する例である。図6に示すように、温度測定部5へ流す電流値を増加させ、沸点Bpに達した時に相変化物質が相転移する。相変化物質が液体から気体へ既知の温度(昇華点又は沸点:Bp)で相転移すると、相変化物質は蒸散が完了するまで、吸熱反応により温度上昇しない不連続な特性として現れる。しかし、蒸散により相変化物質の質量が減少してゆくため、上記温度上昇しない不連続な特性は、図6に現れないほど、ごく短時間である。このため、相変化物質が液体から気体に相変化する場合は、相変化物質が固定から液体へ相変化する場合のように、吸熱反応により温度上昇しない不連続な特性を検出することは難しい。そこで、相変化物質が液体から気体に相変化する場合は、蒸散前の温度上昇と、蒸散後の温度上昇の違いに基づいて、相転移温度を検知する。具体的には、相変化物質が蒸散すると、検出領域の温度測定部周辺の熱容量が相変化物質の分減少する。相変化物質の蒸散により熱容量が減少することにより、温度上昇および温度測定部5の増加量(傾き)が、相変化物質が蒸散する前に比べて大きくなり、図6に示すように、温度(電気抵抗値)は、不連続な特性として顕著に現れるので、この不連続開始点(ごくわずかな温度上昇しない領域における後端)を検出する。よって、この場合も、相変化物質加熱直後に得られたデータから、温度測定部5の電気抵抗値Rと時刻Tの関数(一次関数:R=aT+b)を演算し、この関数にフィットしないデータが生じれば相変化物質が相転移したことを検知することができる。相変化物質の相転移を検知したら、温度測定部5の電気抵抗値R2が既知の温度Mpaとしてメモリに保存する。温度測定部5で、露点や雰囲気温度を測定するときは、温度測定部5に対しジュール発熱させないように微弱な電流を供給して、そのときの温度測定部5の電気抵抗値を測定する。そして、上述同様、温度キャリブレーションにより補正された温度依存性を示す関係式を用いて、温度が演算される。
【0035】
先の図1に示すように、本実施形態においては、2種類の相変化物質6A,6Bを備えている。これら2種類の相変化物質6A,6Bは、互いの相転移温度が異なる物質である。このように、相転移温度が互いに異なる2種類の相変化物質6A,6Bを用いることにより、抵抗温度係数TCRをメモリに記憶しておく必要がなくなる。以下に、具体的説明する。
【0036】
図7は異なる相転移温度の2つの相変化物質6A,6Bにおいて時間推移に対する温度変化を示す特性図であり、図8は、温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャートであり、図9は、フローチャートである。
CPUからキャリブレーション実行の信号が、湿度センサ100に入力されると、温度測定部5に相変化を加熱するための加熱電流が印加され、各相変化物質6A,6Bが加熱される。そして、時刻T2で一方の相変化物質6Aが相転移する温度(相変化物質6A固有の既知の値である融点(凝固点):Mpa)になる。更に、加熱電流を供給し続けて温度を上昇させると、時刻T4で他方の相変化物質6Bが相転移する温度(相変化物質6B固有の既知の値である融点(凝固点):Mpb(>Mpa))になる。
【0037】
このように相変化物質が2種類あるときは、上述したように、相変化物質加熱直後に求めた温度測定部5の電気抵抗値Rと時刻Tの関数(一次関数:R=aT+b)を用いた場合、他方の相変化物質6Bの相変化を検知することができないので、以下のようにして、2種類の相変化物質6A,6Bの相変化を検知する。すなわち、固体から液体へ相転移を完了するまでは吸熱反応によって印加電力を増しても温度の上昇はなくΔR=0であるので、時刻T2において一方の相変化物質6Aは既知の相転移温度Mpaになったことを検出することができる。同様に、時刻T4において他方の相変化物質6Bは既知の相転移温度Mpbになったと検出する。
【0038】
ΔRが、0となったら、制御回路は、図10に示すように、相転移温度MPaにおける温度測定部5の電気抵抗値Raと、相転移温度MPbにおける温度測定部5の電気抵抗値Rbに基づいて、温度依存性の関数を求め、メモリに記憶する。そして、温度測定部5への加熱電流の印加をOFFにして、温度キャリブレーションが終了する。
【0039】
このように、2つの異なる相変化物質6A,6Bを用いて、温度キャリブレーションが行われることにより、高精度の温度目盛が付与できる。また、温度依存性の関数を求めるので、未知の抵抗温度係数(TCR)の抵抗体材料を用いることができる。
【0040】
また、より高精度な測定値を得るためには、国際温度目盛り(ITS-90)に示されている標準物質の凝固点の中でも、温度検出範囲に対してできるだけ相転移温度が近いことが好ましい。例えば、一般電子機器に用いられているIC温度センサの測定範囲である−40から+125℃に相当する用途であれば、相変化物質6AにIn(Mpa=156.5985℃)相変化物質6BにSn(Mpb=231.928℃)を選択し、温度測定部5にPt(0℃〜850℃では線形)を用いることで、MpaからMpbまでの範囲以外の温度領域でも高精度な測定値を得ることができる。また、本実施形態では、2種類の相変化物質を6A,6B用いているが、先の式4に示すように、温度依存性を示す関係式として、2次関数を用いる場合、温度係数(TCR)α、βを用いずに、温度依存性を示す関数を算出するには少なくとも、3点の異なる既知の相転移温度が必要となる。この場合は、互いの相転移温度が異なる3種類以上の相変化物質を備えればよい。
【0041】
次に、所定のタイミングで湿度測定が実行されると、CPUから雰囲気温度測定実行の信号が、湿度センサ100に入力される。なお、本実施形態の湿度センサは、熱容量が小さいので、温度キャリブレーション実行後、すばやく雰囲気温度にまで戻るので、温度キャリブレーション実行後、0.1sec経過すれば、精度よく雰囲気温度を測定することができる。CPUから雰囲気温度測定実行の信号が、湿度センサ100に入力されると、温度測定部5に温度検出用電流が印加され、温度測定部5に印加された電圧値V5が検出されて、温度測定部5の抵抗値V5/Isが算出される。次に、温度キャリブレーションに求めた温度依存性を示す関係式を用いて、図10に示すように、雰囲気温度C5が算出され、出力される。
【0042】
CPUは、湿度センサ100から雰囲気温度C5を受信したら、露点測定実行信号を、湿度センサ100へ送信する。湿度センサ100は、CPUから露点測定実行信号を受信したら、冷却部4の熱電変換材料4cに冷却電流を印加して、冷却電極4a上の観測面8の冷却を開始する。観測面8を冷却すると、空気中の水蒸気を結露させるように気体の成分中で飽和蒸気圧を越えた分が観測面8に凝集する。
【0043】
図11は、冷却電極4aの冷却による凝集、蒸散の温度特性図である。気体中の特定成分が観測面8に凝集するとき、気体から液体に相変化するため、観測面8上で特定成分が放熱する。そのため、観測面8に特定成分が凝集しているときは、観測面8の温度が変化せず、温度が一定に維持され、温度測定部5の電気抵抗値の下降傾向が平行状態へ変化する。すなわち、温度測定部5の電気抵抗値が不連続な傾向となる部分が出現する。また、時刻T2において観測面8付近の蒸気圧が飽和蒸気圧以下になると、観測面8に気体の特定成分が凝集しなくなるので、放熱反応が起こらず、再び観測面の温度は下降する。本実施形態においては、観測面8に凝集が生じたとき、観測面8の温度低下の程度が一時的に小さくなるという特性を利用して、凝集を検出する。回路領域1bの制御回路は、冷却開始直後の温度測定部5の電気抵抗値から、抵抗値Rと時刻Tとの関数(一次関数:R=aT+b)を演算する。この関数により求められの抵抗値と、測定した抵抗値Rとを比較していく。すると、時刻T1後で関数にフィットしないデータが生じ、観測面8に凝集が生じたことを検知することができる。また、温度測定部5の電気抵抗値または電圧値の時間微分値ΔR(ΔV)を求め、このΔR(ΔV)の絶対値が、閾値よりも小さくなったとき、観測面8に凝集が生じたことを検知する。凝集が検知されたら、冷却電流をOFFにするとともに、温度測定部5に印加された電圧値V8を検出して、温度測定部5の抵抗値V8/Isが算出される。次に、温度キャリブレーションにより求めた温度依存性を示す関係式を用いて、図10に示すように、雰囲気温度C8が算出され、出力される。そして、温度測定部5への温度測定電流とをOFFにする。
【0044】
次に、制御回路は、得られた雰囲気温度C5と、露点D8と、予めメモリに記憶されているt℃における飽和水蒸気圧E(t)hPaを求めるTentesの式
E(t)=6.11×10{7.5t/(t+273.3)}・・・・(式2)
と、下記の相対湿度(%RH)を求める式により相対湿度を算出する。
H=E(露点D)/E(雰囲気温度T)×100・・・・(式3)
【0045】
このように、本実施形態においては、温度キャリブレーションを行うので、精度の高い雰囲気温度、露点を得ることができ、精度の高い湿度測定を行うことができる。
【0046】
次に、本実施形態の変形例について、説明する。
【0047】
[変形例1]
図12は、変形例1の湿度センサ100Aの概略平面図である。
図12に示すように、この変形例1の湿度センサ100Aは、検出領域を備えた検知基板1Aと、回路領域1bを備えた回路基板1Bとを別々に設けた構成である。これにより、回路基板1Bは、測定する雰囲気(気体)などに暴露されていないところに設けることができ、回路領域(回路基板)の化学的劣化などを抑えることができる。
【0048】
[変形例2]
図13は、変形例2の湿度センサ100Bの概略平面図である。
図13に示す変形例2の湿度センサ100Bは、温度測定部5と、加熱部11とを別々に設けた構成である。加熱部11は、温度測定部5などと同心円状に設けられ、温度測定部5と相変化物質6A,6Bの間に設けられている。
【0049】
図14は、変形例2の湿度センサ100Bにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャートであり、図15は、フローチャートである。
図14に示すように、温度キャリブレーションが実行されると、加熱電源から加熱部11に加熱電流を供給して、相変化物質6A、6Bが加熱されるとともに、温度測定部5に温度検出用電流を供給して、温度が検知される。そして、上述と同様にΔR=0を検知して、相変化物質6Aの相変化および相変化物質6Bの相変化を検出し、そのときの温度測定部5の抵抗値と、既知の相転移温度Mpa、Mpbとから、温度依存性の関数を求め、メモリに記憶する。その後、湿度検知信号を受信したら、上述と同様にして、雰囲気温度測定後、露点を測定し、雰囲気温度と露点に基づいて、湿度を求める。
【0050】
[変形例3]
図16は、変形例3の湿度センサ100Cの概略平面図である。
図16に示すように、この変形例3の湿度センサ100Cは、相変化物質6を、ひとつにしたものである。
図17は、変形例3の湿度センサ100Cにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャートであり、図18は、フローチャートである。図17、図18に示すように、温度測定部5の加熱電流を供給して、相変化物質6を加熱する。そして、上述と同様にΔR=0を検知して、相変化物質6の相変化を検出し、そのときの温度測定部5の抵抗値を算出する。また、ここでは、抵抗値の時間微分値ΔRが0か否かで、相変化物質6の相変化を検知しているが、上述したように、一次関数(R=aT+b)を求め、算出した抵抗値が関数にフィットしているか否かで、相変化を検知してもよい。相変化を検知したら、抵抗値と、既知の相転移温度Mpaと、上記(式3)の温度依存性を示す関数R=R0*(1+α*S)を補正して、温度キャリブレーションを終了する。その後、湿度測定信号を受信したら、上述同様、雰囲気温度測定後、冷却部4で観測面を冷却して、観測面に水蒸気を結露させる。そして、結露を検知したら、温度測定部5の抵抗値を求め、求めた抵抗値と温度キャリブレーションで補正した温度依存性を示す関数とを用いて、露点を計測し、露点と雰囲気温度とから、湿度を算出する。
【0051】
[変形例4]
次に、変形例4の湿度センサ100Dについて、説明する。
上述では、温度測定部を加熱手段として用いているが、この変形例4の湿度センサ100Dでは、冷却部4の冷却電極4aを加熱手段として用いるものであり、構成は、先の図16に示した湿度センサと同様な構成である。
図19は、変形例4の湿度センサ100Dの温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャートである。
まず、冷却部4に加熱電流を供給するとともに、温度測定部5に温度検出用電流を供給する。加熱電流は、正極性の電流、すなわち、冷却時とは逆向きに流れる電流であり、これにより、放熱電極4bが吸熱し、相変化物質6の近傍に配置された冷却電極4aが放熱する。これにより、冷却電極4aにより、相変化物質6が加熱される。そして、上述同様、温度測定部5のΔR=0を検知して、相変化物質6の相変化を検出し、そのときの温度測定部5の抵抗値を算出する。相変化を検知したら、抵抗値と、既知の相転移温度Mpaと、上記(式3)の温度依存性を示す関数R=R0*(1+α*S)を補正して、温度キャリブレーションを終了する。その後、露点を検出するときは、冷却部4に負極性の電流を印加し、冷却電極4aを吸熱、放熱電極4bを放熱にして、冷却電極4aで観測面8を冷却する。そして、温度測定部5の|ΔR|が閾値以下であることを検知して、結露を検知したら、温度測定部5の抵抗値を求め、求めた抵抗値と温度キャリブレーションで補正した温度依存性を示す関数とを用いて、露点を計測し、露点と雰囲気温度とから、湿度を算出する。
【0052】
[変形例5]
図20は、変形例5の湿度センサ100Eの概略平面図である。
図20に示す変形例5の湿度センサ100Eは、相変化物質6が一つで、温度測定部5と加熱部11とを別々に設けたものである。
図21は、変形例5の湿度センサ100Eの温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャートであり、図22は、フォローチャートである。
変形例2の湿度センサ100Bと同様に、温度キャリブレーションが実行されると、加熱電源から加熱部11に加熱電流が供給して、相変化物質6が加熱されるとともに、温度測定部5に温度検出用電流を印加し、上述と同様にΔR=0を検知して、相変化物質6の相変化を検出する。次に、変形例3と同様にして、相変化を検出したときの温度測定部5の抵抗値と、既知の相転移温度Mpaとを用いて、温度依存性を示す関数R=R0*(1+α*S)を補正して、温度キャリブレーションを終了する。その後、湿度測定信号を受信したら、上述同様、雰囲気温度測定後、冷却部4で観測面8を冷却して、観測面8に水蒸気を結露させる。そして、温度測定部5の|ΔR|が閾値以下であることを検知して、観測面8の結露を検知したら、温度測定部5の抵抗値を求め、求めた抵抗値と温度キャリブレーションで補正した温度依存性を示す関数とを用いて、露点を計測し、露点と雰囲気温度とから、湿度を算出する。
【0053】
[変形例6]
図23は、変形例6の湿度センサ100Fの概略平面図であり、図24は、変形例6の湿度センサ100Fの要部を示す部分横断面図である。
この変形例6の湿度センサ100Fは、回路基板側(図中右側)から順に加熱部11、温度測定部5、相変化物質6A,6B、冷却部4を平行に並列配置したものである。図に示すように、相変化物質6A,6Bは、温度測定部5を挟んで、加熱部11と平行に交互に分散配置されている。また、図24に示すように、ベース材2の電気絶縁層3上の冷却電極4aと、相変化物質6A,6Bと、温度測定部5と、加熱部11とが配置された箇所と対向する箇所は、エッチング処理により除去され、矩形状の空洞部20となっている。
【0054】
図23に示すように、おもて側電気絶縁層3aの加熱部11よりも回路基板側(図中右側)で、ベース材2の空洞部20と対向する領域に、貫通孔9を設けている。これにより、加熱部11の熱が、電気絶縁層3の回路基板側に伝播するのを抑制することができ、相変化物質6A,6Bを良好に加熱することができる。
【0055】
この変形例6の湿度センサ100Fにおける温度キャリブレーションや湿度検知は、先の変形例2と同様である。
【0056】
[変形例7]
図25は、変形例7の温度センサ100Gの概略平面図である。この変形例7の湿度センサ100Gは、相変化物質6を一つにした以外は、変形例6と同様な構成である。この変形例7の湿度センサ100Gにおける温度キャリブレーションや湿度検知は、先の変形例5と同様である。
【0057】
[変形例8]
図26は、変形例8の温度センサ100Hの概略平面図である。この変形例8は、相変化物質6が一つで、温度測定部5を加熱部、または、冷却電極4aを加熱部にし、回路基板側から、温度測定部5、相変化物質6、凝集検出部材80、冷却部4の順で、平行に並列配置した以外は、変形例6と同様な構成である。この変形例8の湿度センサ100Hにおける温度キャリブレーションや湿度検知は、先の変形例3と同様である。また、相変化物質6を、冷却電極4aと温度測定部5とで加熱してもよい。こうすることで、より迅速に相変化物質6を相転移温度にまで加熱することができる。
【0058】
[変形例9]
図27は、変形例9の湿度センサ100Iの概略平面図である。この変形例9は、温度測定部5に2対のリード線が接続されているものである。具体的には、温度測定部5には、加熱電流を供給する加熱用の一対のリード線5a−1,5b−1と、温度検出用電流を温度測定部5に供給する検出用の一対のリード線5a−2,5b−2とを備えている。このように、検出用と加熱用とで配線リードを分けることで、加熱に関与する配線リードの電気抵抗値の影響を排除することができ、応答量を大きくすることができる。その結果、安定して高精度な温度測定値を得ることができる。
【0059】
次に、相変化検出手段の変形例について、説明する。
【0060】
[変形例10]
図28、図29は、変形例10の湿度センサ100Jの概略構成図である。この変形例10は、相変化物質6を導電性とし、相変化したときの相変化物質6の流動(粘性)の変化を電気的に検知することで、相変化物質6の相変化を検知するものである。図28は、回路基板1B側から、温度測定部5、相変化物質6、冷却部4を並列に配置した例であり、図29は、温度測定部5、相変化物質6、冷却部4を同心円状に配置した例である。
図28、図29に示すように、この変形例10の湿度センサ100Jにおいては、相変化物質6に一対の検出用リード線6a,6bが接続されている。
【0061】
図30は、相変化したときの相変化物質6の流動(粘性)変化を電気的に検知するメカニズムについて説明する図である。同図では相変化物質6が固体から液体への相転移に伴う相変化物質6の流動(粘性)変化に伴う形状変化を説明している。この図では、加熱部11上に電気絶縁層3cを介在して、相変化物質6を積層している。
図(a)に示すように、相変化物質6が固体の状態のときは、相変化物質6は、検出用リード線6a,6bに接しており、導通している。加熱部11の発熱によって、固体の相変化物質6が既知の相転移温度になると、液化によって表面張力が発生し、同図の(b)に示すように中央へ凝集する。すると、相変化物質6が、各検出用リード6線6a,6bから離れ、その結果2つの検出用リード間の電気接続がOFFになる。このように、相変化物質6の導通状態を検出することで相変化物質6の相転移を検出できる。この場合、相変化物質6としては、表面張力が大きく、相変化物質6の下層との付着力が小さいものが好ましく、Snを用いるのが好適である。
【0062】
また、次のようにして、検出用リード間の電気接続をONからOFFに切り替えることもできる。
図31(a)に示すように、相変化物質6が固体ときは、相変化物質6は2つの検出リード線間にまたがって連続して配置され、検出リード間の電気接続がONとなっている。そして、加熱部11の発熱によって、固体の相変化物質6が既知の相転移温度になり液化すると、同図の(b)に示すように液化によって流動し、各検出リード6a、6bに相変化物質6が凝集し、相変化物質6が分離して、検出リード線間の電気接続がOFFになる。よって、検出リード間の電気接続がOFFとなったときの温度が既知の相転移温度となる。相変化物質としては、表面張力が小さく、検出リード、相変化物質6の下層の電気絶縁層との濡れ性が大きい材質のものが好ましく、Inが適する。
【0063】
上記では、相変化物質6の相変化によって、検出用リード6aと6b間の電気接続がOFFになることで、相変化物質の相転移を検知する場合について、説明したが、これとは逆に、相変化物質6の相変化によって、検出用リード6aと6b間の電気接続がOFFからONに切り替わる構成にすることもできる。
【0064】
図32は、検出用リード6aと6b間の電気接続がOFFからONに切り替わる構成を説明する図である。
図(a)に示すように、相変化物質が固体のときは、電気絶縁層3c上の相変化物質は、2つの分離しており、相変化物質6は2つの検出リード6a,6b間にまたがって断続している。その結果、検出用リード6aと6bとの間の電気接続がOFFとなっている。加熱部11の発熱によって、固体の相変化物質6が既知の相転移温度になると、図の(b)に示すように液化によって流動し、電気絶縁層上の相変化物質6が一つとなり、相変化物質6は2つの検出リード6a,6b間にまたがって連続する。これにより、検出用リード6aと6bとの間の電気接続がOFFからONに切り替わり、相変化物質の相転移を検出することができる。この場合も、図31の構成と同様、相変化物質としては、表面張力が小さく、検出リード、相変化物質6の下層の電気絶縁層との濡れ性が大きい材質のものが好ましく、Inが適する。相変化物質6が冷えて、固化するときは、相変化物質6が収縮することにより、電気絶縁層3c上の相変化物質6は、再び2つの分離する。また、図30、図31の構成においては、一度、固体から液体に相変化してしまった後、再び、液体から固体に相変化物質6が相変化しても、始めの状態に戻って、検出用リード6aと6b間の電気接続がONとなることはないが、図32に示す構成においては、液体から固体に相変化物質6が相変化すると、始めの状態に戻るので、何度も温度キャリブレーションを行うことができる。
【0065】
また、変形例10のように、相変化物質6が固体から液体に相転移することによる流動性(粘性)の変化を電気的に検知することで、相変化を検知する場合、相変化物質6を電気絶縁層で覆ってしまうと、相変化物質6の流動性を阻害して、流動変形しないおそれがある。よって、図30〜図32の構成を採用する場合は、相変化物質6は電気絶縁層を被覆せず露出させる。また、この変形例の場合は、相変化物質6の量を少なくして、相変化物質6がすばやく相転移温度にまで加熱されるようにするのが好ましい。
【0066】
図33は、変形例10の湿度センサ100Jにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャートであり、図34は、フローチャートである。以下の説明では、相変化物質6の構成は、図30、図31に示すように、相変化物質が固体のときは、検出用リード線間の電機接続がON状態であり、固体から液体に相変化すると、検出用リード線間の電気接続がOFFになるものを例に挙げて、説明する。
温度キャリブレーションが実行されると、加熱電源から温度測定部5に加熱電流を供給して、相変化物質6が加熱されるとともに、相変化物質6に相変化検出用電流を供給し、相変化物質に印加された電圧(以下、相変化電圧という)を監視する。相変化物質6が固定から液体に相変化すると、先の図30(b)や図31(b)に示すように、検出用リード線間の電気接続が切れる。その結果、相変化電流が0(未検知)となり、相変化物質6が相変化したことを検知することができる。このようにして、相変化物質6の相変化が検知されたら、上述と同様にして、そのときの温度測定部の電気抵抗値と、相変化物質6の既知の相転移温度に基づいて、温度依存性の関数を補正する。その後の雰囲気温度の測定、露点の測定、湿度の算出は、上述と同じである。
【0067】
図35は、変形例10の湿度センサ100Jにおいて、冷却部4の冷却電極4aで、相変化物質6を加熱する場合の温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャートであり、図36は、フローチャートである。図に示すように、この場合は、温度キャリブレーションが実行されると、加熱電源から冷却部4に加熱電流が供給され、相変化物質6が加熱される。この加熱電流は、冷却時とは逆向きに流れる電流である。また、温度測定部5に温度検出用電流が供給され、相変化物質6に相変化検出用電流が供給される。その後は、上記した説明と同様、相変化電流が0(未検知)となったときの、温度測定部5の抵抗値を算出し、温度測定部5の抵抗値と、既知の相転移温度から、温度依存性を示す関数を補正する。その後の、補正された温度依存性の関数を用いて、雰囲気温度の測定、露点の測定、湿度の算出を行う。
【0068】
[変形例10−1]
図37、図38は、変形例10の湿度センサ100Jにおいて、温度測定部5とは、別に、加熱部11を設けたものである。図37は、各部を平行に配置した構成の変形例10の湿度センサ100J−3の概略構成図であり、図38は、同心円状に配置した構成の変形例10の湿度センサ100J−4の概略構成図である。加熱部11は、温度測定部5と相変化物質6との間に配置した。
【0069】
また、図38に示すように、同心円状に各部を配置する構成においては、良好な露点検出を行うためには、温度測定部5周辺を円周に沿って均一な温度分布にする必要がある。そのため、冷却部4の冷却電極4aを、温度測定部5のリード線との接続部付近にも設けておく必要がある。しかしながら、この場合、冷却部4よりも内側に配置された加熱部11に接続する一対のリード線11a,11bが、冷却電極4aと干渉するため、真直ぐに延設させることができない。そこで、加熱部11に接続するリード線11a,11bと冷却電極4aとを電気絶縁層3を介して積層させることも考えられる。しかしながら、このようにすると、この積層部分の熱容量が大きくなって、温度測定部5周辺を円周に沿って均一な温度分布にすることができない。そこで、加熱部11のリード線11a,11bを、温度測定部5のリード線5a,5bと180°位相がずれた位置に配置した。また、このようにした場合、加熱部11のリード線11a,11bに対して、図中上側の冷却部4と図中下側の冷却部4とを直列接続しようとすると、冷却部4同士を接続する線と、加熱部11のリード線11a,11bとを電気絶縁層3を介して交差させる必要が生じ、上述同様、その部分の熱容量が大きくなってしまう。そこで、冷却部4を図中上側と下側とで電気的分ける。これにより、リード線11aが多い構成でも、これら配線リードを交差させることなく、各部を回路基板1Bに接続することができる。よって、温度測定部5周辺を円周に沿って均一な温度分布させることができ、また、配線リード間の電気絶縁性を高め、製造工程を簡単にすることができる。
【0070】
図39は、変形例10−1の湿度センサにおける温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャートであり、図40は、フローチャートである。図に示すように、この場合は、温度キャリブレーションが実行されると、加熱電源から加熱部11に加熱電流が供給され、相変化物質6が加熱される。また、温度測定部5に温度検出用電流が供給され、相変化物質6に相変化検出用電流が供給される。その後は、上記した説明と同様、相変化電流が0(未検知)となったときの、温度測定部5の抵抗値を算出し、温度測定部5の抵抗値と、既知の相転移温度から、温度依存性を示す関数を補正する。その後の、補正された温度依存性の関数を用いて、雰囲気温度の測定、露点の測定、湿度の算出を行う。
【0071】
[変形例10−2]
図41は、変形例10の湿度センサ100J−5の相変化物質6を複数備えた構成を示す概略平面図である。図41に示すように、各相変化物質それぞれに検出用リード線が接続されている。
【0072】
図42は、変形例10−2の湿度センサ100J−5における温度キャリブレーション、温度、露点検出と湿度出力の入出力信号のタイミングチャートである。
図に示すように、温度キャリブレーションが実行されると、加熱部11に加熱電流が供給され、温度測定部5に温度検出用電流が供給される。また、各相変化物質6A,6Bに相変化検出電流が供給される。回路基板1Bの不図示の制御回路は、各相変化物質6A,6Bよりも下流の相変化電流を監視する。そして、相変化物質6Aが相変化すると、相変化物質6Aに供給される相変化電流が検出されなくなり、相変化物質Aが相変化したことを検知することができ、そのときの温度測定部5の抵抗値を算出し、メモリに記憶しておく。さらに加熱部11で加熱していくと、相変化物質6Bが相変化して、相変化電流が検出されなくなる。その結果、相変化物質6Bが、相転移したことを検知することができる。そのときの温度測定部5の抵抗値を求める。そして、メモリに記憶した相変化物質6Aが相転移したときの温度測定部5の抵抗値と、相変化物質6Aの既知の相転移温度と、相変化物質6Bが相転移したときの温度測定部5の抵抗値と、相変化物質6Bの既知の相転移温度とから、温度依存性の関数を算出して、温度キャリブレーションが終了する。
【0073】
次に、所定のタイミングで、求めた温度依存性の関数を用いて、雰囲気温度と、露点を求めて、湿度を算出する。
【0074】
[変形例11]
次に、相変化物質の相転移を、電気伝導度の変化で検出する変形例11の湿度センサ100Kについて、説明する。
この変形例11の湿度センサ100Kの基本構成は、先の図28、図29、図37、図38、図41と同様な構成である。電気伝導度の変化で検出する場合、相変化物質としては、上述したように、CTRサ−ミスタにも用いられているVやチタン酸バリウムを主成分とするPTCサ−ミスタを、好適に用いることができる。
【0075】
図43は、変形例11の湿度センサ100Kの制御ブロック図である。
図に示すように、変形例11の湿度センサ100Kの回路領域1bには、相変化物質6に、相変化検出用電流を供給するための相変化電源116と、相変化物質への電流値と、電圧値とから相変化物質6の抵抗値を算出するための相変化抵抗値算出部117とを備えている。後の構成は、先の図4と同じ構成であるので、説明を省く。
【0076】
CPU113から、温度キャリブレーション信号を受信したら、回路領域1bは、加熱電源103から加熱部11に加熱電流を供給する。また、温度検出電源104を制御して、温度測定部5に温度検出用電流を供給する。また、相変化電源116を制御して、相変化物質に相変化検出用電流を供給する。相変化物質が相転移すると、抵抗が急激に変化する。よって、回路領域1bでは、相変化物質6の抵抗値の時間微分値ΔRを監視し、この値が急激に増加したら、相変化したと検知することができる。相変化物質6の相変化を検知したら、回路領域1bは、抵抗値算出部112で温度測定部5の抵抗値を算出する。そして、メモリに格納されている相変化物質6の既知の相転移温度と算出した温度測定部5の抵抗値とから、温度依存性を示す関数を演算部107で補正することで、温度キャリブレーションが行われる。
【0077】
そして、所定のタイミングでCPU113から湿度検出信号を受信すると、温度測定部5に温度検出用電流を供給し、抵抗値算出部112で抵抗値を算出し、比較部108で、温度キャリブレーションによって補正した温度依存性の関数を用いて、雰囲気温度が求められ、出力される。次に、冷却電源105を制御して、冷却部4に冷却用電流が供給され、観測面8が冷却される。観測面8に結露が生じたことを温度測定部の抵抗値の時間微分値ΔRに基づき検知したら、そのときの温度測定部5の抵抗値を算出し、温度依存性の関数を用いて、露点が求められる。そして、先ほど出力した雰囲気温度と、露点と、先に示した式(1)、(2)とを用いて、湿度演算部110で湿度が算出され、出力される。
【0078】
また、変形例11の湿度センサ100Kにおいては、図44や、図45に示すように、複数の相変化物質6A,6Bを、電気的に並列接続することができる。
【0079】
[変形例12]
次に、相変化物質6の相転移を、相変化物質の誘電率の変化で検出する変形例12の湿度センサ100Lについて、説明する。
この変形例12の湿度センサ100Lの基本構成も、先の図28、図29、図37、図38、図41と同様な構成である。
【0080】
図46は、変形例12の湿度センサ100Lの断面図である。図に示すように相変化物質6が相転移するときの誘電率の変化を検出する場合、相変化物質6を挟んで対向電極61を設ける。対向電極61の一方は、検出用リード線6aに接続されており、他方は検出用リード線6bに接続されている。相変化物質としては、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-xNbxO3)を好適に用いることができる。
【0081】
温度キャリブレーションが実行されると、相変化物質6に直流電圧を印加する。相変化物質6が相転移して、相変化物質6の誘電率が変化すると、検出用リードに電流が流れるので、回路基板1Bで、検出用リード線に電流が流れたことを検知したら、相変化物質6が相変化したことを検知することができる。
【0082】
[変形例13]
次に、圧電体たる圧電材料を用いて、相変化物質の相変化を検知する変形例13の湿度センサ100Mについて、説明する。圧電材料を用いることによって、相変化物質6の固有振動数の変化、体積変化、剛性変化から、相変化物質6の相変化を検出することが可能となる。変形例13の湿度センサ100Mの基本構成は、先の図28、図29、図37、図38、図41と同様な構成である。
【0083】
図47は、変形例13の湿度センサ100Mの断面図である。
図に示すように圧電効果を有するPZT等の圧電材料層62の上に相変化物質6が設けられている。圧電材料層62には、検出用リード線6a,6bが、接続されている。
【0084】
図48は、変形例13の湿度センサ100Mの制御ブロック図である。
圧電材料を用いて、相変化物質6の相変化を検知する変形例13の湿度センサ100Mにおいては、圧電材料層62に交流電圧を印加するための発振電源121や、圧電材料層62からの電圧や交流電圧を検知する検波・電圧検知部122を備えている。
【0085】
まず、圧電材料を用いた相変化物質6の固有振動数変化の検知について、説明する。周期的力の周波数を試料に加え、その応答を測定する方法、すなわちメカニカルスペクトロスコピー(動的粘弾性測定:DMA)を適用することで、相変化物質6の相変化に伴う固有振動数変化を検出することができる。具体的には、圧電材料層62に交流電圧を印加して、圧電材料層62を所定の周波数で振動させる。例えば、相変化物質6が相変化して固有振動数が変化しとき、相変化物質6が圧電材料層62の振動に共振するような周波数で、圧電材料層62を振動させる。このように、圧電材料層62を振動させることにより、圧電材料層62上の相変化物質6が振動し、圧電材料層62に対して、相変化物質から応力が加わり、圧電材料層62から所定の交流波が出力される。相変化物質6が相転移して、固有振動数が変化すると、相変化物質6が、圧電材料層62の振動に共振して、大きく振動する。その結果、相変化物質6から圧電材料層62に加わる力が増加し、圧電材料層62から出力される交流波の振幅が増大する。回路領域1bでは、圧電材料層62から出力された交流波の振幅(電圧)の時間微分値ΔVを監視し、時間微分値ΔVが0でない値をとったら、相変化物質6が相変化したことを検知することができる。上記では、相変化物質6の相変化によって、相変化物質6が圧電材料層62の振動に共振させているが、これとは逆に、相変化前の相変化物質6が、圧電材料層62の振動に共振するよう、圧電材料層62を振動させてもよい。また、図48に示すように、相変化物質6や圧電材料層62は、基板1の空洞部20上に設けているので、圧電材料層62が振動しやすく、高感度で相転移を検出することができる。
【0086】
次に、圧電材料を用いた相変化物質6の体積変化や剛性変化の検知について説明する。これは、相変化物質6から圧電材料層62に加わる機械的な応力による圧電材料層62の抵抗変化である所謂ピエゾ抵抗効果を用いて、相変化物質6の体積変化や剛性変化を検知するものである。具体的には、圧電材料層62に検知用の電流を印加する。相変化物質6が加熱されて、固体から液体に相変化すると、電気絶縁層3に覆われている相変化物質6の体積が増加する。これにより、相変化物質6の圧電材料層62に対する応力が増加し、圧電材料層62の抵抗値が変化する。よって、回路領域1bにおいて、電圧変化や、圧電材料層62の抵抗値変化を検知することにより、相変化物質6の相変化を検知することができる。一方、相変化物質6の剛性変化を検知する場合は、相変化物質6が固体から液体に相変化すると、相変化物質6の剛性が低下し、圧電材料層62に加わる応力が低下する。その結果、圧電材料層62の抵抗値が変化するので、回路領域1bにおいて、電圧変化や、圧電材料層62の抵抗値変化を検知することにより、相変化物質の相変化を検知することができる。
【0087】
[変形例14]
[変形例14−1]
図49は、変形例14の湿度センサの第1の構成例を示す概略構成図であり、(a)が、平面図であり、(b)が、断面図である。図50は、変形例14の湿度センサ100Nの制御ブロック図である。この変形例14の湿度センサは、相変化物質6の光学的変化で、相変化物質の相変化を検出するものである。
図49に示すように、相変化物質6の相変化を光学的検知する相変化検知手段としてのフォトカプラ7の発光部7aと、受光部7bは、基板の冷却部4、相変化物質6、温度測定部5、加熱部11などを備えた面と同一の面に配置されている。環状の冷却部4、温度測定部5および相変化物質6などの中心にフォトカプラ7の発光部7が設けられている。フォトカプラ7の受光部7bは、放熱電極4bよりも内側(冷却電極4側)で、放熱電極4bの間にそれぞれ配置されている。このように配置することで、空洞部20を、放熱電極4bまで延設させずに済み、放熱電極4bの熱をベース材2に逃すことができる。ベース材2の冷却部4、温度測定部5および相変化物質6などを有する検知部と対向する箇所は、エッチング処理により除去され、環状空洞部20となっている。環状空洞部20は、冷却部4と温度測定部5と相変化物質6と同心となっている。また、ベース材2の環状空間の芯部21は、電気絶縁層3aと当接する構成となっている。これは、発光部7aが、加熱部である温度測定部5と近接配置されているため、温度キャリブレーション時に発光部7aが高温とならないようにするためである。具体的に説明すると、芯部21を電気絶縁層3aに当接させることにより、相変化物質6を加熱するための熱が、発光部7aまで伝播すると、その熱の一部は、芯部21に逃げるため、発光部7aの温度上昇を抑えることができるのである。
【0088】
この環状空洞部20は、基板表面の電気絶縁層パターンをマスクとして、基板の構造に依存しないどの方位に対しても等速度の等方性エッチングにより、また、ベース材2が、Si単結晶であれば酸化剤を添加したフッ化水素酸を用いることにより、ベース材に曲面の鏡面状の空洞壁20a,20bが形成される。
【0089】
相変化物質6として、相変化物質6が相変化したとき、透過特性、反射特性、吸収特性等の光学特性が変化する物質を用いる。例えば、酸化バナジウムのサーモクロミック調光物質は、調光温度を元素添加などにより必要に応じて室温付近に精密に設定することができ、好適である。また、液晶相と液体相とで光学的特性が異なるサーモトロピック液晶であって相転移温度が40℃から50℃のMBBA(Methoxy benziliden p-butyl aniline)も好適に用いることができる。また、相転移温度にて結晶の構造相転移を生じ、二次電気光学定数(Kerr定数)が変化するタンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-xNbxO3)も好適に用いることができる。上記酸化バナジウムのサーモクロミック調光物質は、調光温度を元素添加などにより必要に応じて室温付近に精密に設定することができる。
【0090】
図49の点線で示すように、環状空洞部20の内壁20aに向かって照射された発光部7aの光は、内壁20aに反射して、相変化物質6に照射される。相変化物質6が相変化していないときは、相変化物質6は、光を反射し、環状空間の外壁20bに反射して、受光部7bに入射する。一方、相変化物質に相変化が生じると、相変化物質6に入射した光は、乱反射して、受光部7bに入射する光量が減ることで、相変化を検知することができる。
【0091】
[変形例14−2]
図51は、変形例14の湿度センサの第二の構成例を示す概略構成図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、断面図である。
この第二の構成例は、冷却部4、相変化物質6、温度測定部5を平行に並列配置した湿度センサに適用したものである。この湿度センサにおいても、図51(b)の点線に示すように、発光部7aから出射された光は、矩形状の空洞部20の壁面201および底面202を反射し、相変化物質に入射する。相変化物質が相変化していないときは、相変化物質6に反射した後、空洞部20の底面202および壁面201を反射し、受光部7bに入射する。一方、相変化物質6が相変化した場合は、光が相変化した相変化物質に当てって散乱し、受光部7bに入射する光量が減ることで、相変化したことを検知することができる。
【0092】
この図51においては、光が反射する空洞部の壁面を平面とすることで、反射効率を上げることができ、受光部7bに入射する光量を上げることができる。これにより、検知の感度を上げることができ、精度の高い相変化検知を行うことができる。また、空洞部の光を反射する面を、発光部7aからの光が、受光部7bに集光するような曲面としてもよい。このように構成しても、受光部7bに入射する光量を多くすることができ、検知感度を上げることができる。
【0093】
[変形例14−3]
図52は、変形例14の湿度センサの第三の構成例を示す概略構成図である。この第三の構成例は、検知基板1Aに対向配置される中央部が窪んだ反射部材700を設けた構成である。この場合、発光部7aは、反射部材700に向けて光が出射するように配置し、受光部7bは、反射部材700から反射した光を受光するよう配置する。
【0094】
[変形例14−4]
図53は、変形例14の湿度センサの第四の構成例を示す概略構成図であり、(a)は、平面図、(b)は、裏面図、(c)は、(b)のA−A断面図である。
この第四の構成例は、温度測定部5、相変化物質6、冷却部4が、同心円状に並列配置された湿度センサで、基板の温度測定部5、相変化物質6、冷却部4が設けられた面と反対側面の面にフォトカプラ7を設けたものである。
【0095】
この図には、ベース材2に、冷却部4と温度測定部5と相変化物質6と同心円状の貫通する環状空洞部20を設けている。フォトカプラ7の発光手段としての発光部7aは、裏面電気絶縁層3bを介して、環状空洞部20の中心に残ったベース材芯部21に設けられている。フォトカプラ7の受光手段である受光部7bは、環状空洞部20の外壁曲面20bと対向するように、環状空洞部20と同心円状に等間隔に、複数配置されている。環状空洞部20の内壁20aおよび外壁20bは鏡面状となっている。
【0096】
図(c)に示すように、環状空洞部20の中心に残ったベース材芯部21と、おもて面側の電気絶縁層3aとの間に隙間が形成されている。これにより、冷却電極4a、温度測定部5、相変化物質6が形成された電気絶縁層3aの領域は、ベース材2と非接触となるので、冷却電極4a、温度測定部5、相変化物質6A,6B付近の熱容量を少なくすることができる。これにより、冷却電極4aで、観測面8をすばやく冷却することができ、また、温度測定部5を発熱させて、すばやく相変化物質6を加熱することができる。また、冷却電極4a、温度測定部5、相変化物質6が形成された領域の熱容量が少ないので、温度測定部5の温度応答を鋭敏にすることができ、冷却電極4a上の観測面8の温度や、相変化物質6の温度を精度よく測定することができる。
【0097】
また、図(b)に示すように、裏面の電気絶縁層3bの発光部7aと受光部7bとの間にも、複数の貫通孔12が設けられている。これにより、環状空間内に熱が篭るのを抑制することができ、冷却電極4a上の観測面8の温度や、相変化物質6の温度を精度よく測定することができる。
【0098】
フォトカプラの発光部7aから出射された光は、図53(c)の点線で示すように、環状空洞部20の曲面状の内壁20aに放射状に反射して拡散し、環状に配置された相変化物質全体に照射される。相変化物質に相変化が生じていないときは、光が相変化物質を反射し、環状空洞部20の外壁20bに反射して、受光部7bに入射する。一方、相変化物質に相変化が生じると、相変化物質に照射された光は、乱反射する。その結果、受光部7bに入射する光が減少し、相変化物質が相転移したことを検知することができる。
【0099】
[変形例14−5]
図54は、変形例14の湿度センサの第五の構成例を示す概略構成図であり、(a)は、平面図、(b)は、裏面図、(c)は、縦断面図である。
この第五の構成例は、温度測定部5、相変化物質6、冷却部4が、平行に並列配置された湿度センサで、基板の温度測定部5、相変化物質6、冷却部4が設けられた面と反対側面の面にフォトカプラ7を設けたものである。図(c)に示すように、ベース材2の電気絶縁層3a上の冷却電極4aと、相変化物質6と、温度測定部5とが配置された箇所と対向する箇所は、エッチング処理により除去され、矩形状の貫通空洞部20となっている。また、図(b)、図(c)に示すように、検知基板1Aの裏面電気絶縁層3bには、フォトカプラ7が設けられている。フォトカプラ7の発光部7aは、空洞部20の冷却部側の壁面200aと対向するように裏面電気絶縁層3bに設けられている。また、受光部7bは、空洞部20の回路側の壁面200bと対向するように裏面電気絶縁層3bに、温度測定部5などと平行に複数(この例では、3個)並列に設けられている。空洞部20の壁面は鏡面状となっており、おもて面電気絶縁層に対して、所定の角度で傾斜している。この角度は、図(c)の点線で示すように、発光部7aか出射した光が、冷却部側壁面200aに反射して、反射した光が、観測面8に入射する角度(この例では、54.7度)である。また、同様に空洞部20の回路側壁面200bも、相変化物質6から反射した光が、この回路側壁面200bに反射して、反射した光が受光部7bに入射するようにおもて側電気絶縁層3aに対して所定の角度で傾斜している。
【0100】
フォトカプラの発光部7aから出射された光は、図54(c)の点線で示すように、空洞部20の冷却側壁面200aに反射して、相変化物質に照射される。相変化物質6に相変化が生じていないときは、光が相変化物質6に反射し、空洞部20の回路側壁面200bに反射して、受光部7bに入射する。一方、相変化物質に相変化が生じると、相変化物質に照射された光は、乱反射する。その結果、受光部7bに入射する光が減少し、相変化物質が相転移したことを検知することができる。
【0101】
[変形例14−6]
図55は、変形例14の湿度センサの第六の構成例を示す概略断面図である。この第六の構成例は、フォトカプラ7を別の基板に設けたものである。
図に示すように、発光部7aは、発光部7aからの光が、相変化物質に照射されるよう配置し、受光部7bは、冷却電極4aから反射した光を受光する位置に配置する。具体的には、図56に示すように、検知基板1Aを覆うケース75に、発光部7aと受光部7bを取り付ける。このケース75には、通気孔75aが設けられており、ケース内部に外気が流入するようになっている。また、外光が検知基板1Aに入射しないように、遮光壁75bが設けられている。また、ケース75には、検知基板用端子75dと、フォトカプラ用の端子75cとを備えており、検知基板用端子75dには、ワイヤ76aを介して検知基板1Aが接続されており、フォトカプラ用の端子75cには、ワイヤ76bを介してフォトカプラ7に接続されている。このように、フォトカプラ7及び検知基板1Aをケース75に組み込むことで、湿度センサを扱い易くすることができる。また、図56の構成に限らず、発光部7aと受光部7bとを備えた基板を、検知基板1Aに重ね合わせた構成でもよい。
【0102】
この構成においても、相変化物質6が相変化すると、受光部7bに入射する光量が減るので、相変化を検知することができる。
【0103】
[変形例15]
図57は、変形例15の湿度センサ100Oの概略構成図である。
この変形例19は、相変化物質6と、相変化物質6を加熱する温度測定部5とを積層させたものである。このように、積層させることにより、相変化物質6をすばやく加熱することができる。また、図58に示すように、電気絶縁層3aを介して、温度測定部5と相変化物質6とを積層させてもよい。
【0104】
[変形例16]
図59は、変形例16の湿度センサ100Pの概略構成図である。
この変形例16は、温度測定部5と相変化物質6と冷却部4とを平行に並列配置し、空洞20を設けた検知部を、同一基板上に複数一体化したものである。このような構成によれば、一方のキャリブレーションによる精度保証期間が終了したら、他方のキャリブレーションを行い、精度保証期間を長期間に渡って実現できる。また、キャリブレーション中の温度変化の影響を無くすため、温度補償用の検出器として、一方のキャリブレーション中に他方とブリッジ回路を構成させることができる。
【0105】
図60は第1検知部の第1温度測定部5−1と第2検知部の第2温度測定部5−2の温度補償用の検出器としてのブリッジ回路を示す図である。第1温度測定部5−1と第2温度測定部5−2とは、周囲温度が変化するときほぼ同一の温度変化に対応する応答速度である必要上、熱容量はほぼ同一であることが望ましい。従って、構成材料の種類や寸法がほぼ同一である。ただし、第1温度測定部5−1を温度キャリブレーションする期間中に、第1温度測定部5−1の相転移のみ検出する必要がある。このため、第1温度測定部5−1を温度キャリブレーションする期間中に第2相変化物質6−2の相転移を生じないようにする必要がある。そのために、第2相変化物質6−2は、第1相変化物質6−1の相転移温度よりも高い相転移温度の異なる物質である。しかし、熱容量はほぼ同一であることが望ましいので、各相変化物質6−1、6−2は質量、比熱、熱伝導率が著しく異ならない材料を選択し、例えば一方の相変化物質6−1はIn、他方の相変化物質6−2はInより相転移温度の高いSn、AlやAuあるいはPtを用いる。
【0106】
ここで、ブリッジ回路を利用した相転移検知ついて、説明する。
図61は周囲温度が変化しないときの第1の温度測定部の抵抗値変化と第2の温度測定部の抵抗値変化の特性を示す図であり、図62はブリッジ回路で出力される特性を示す図である。第1温度測定部5−1の固有抵抗値および温度依存性とは、第1検知部と第2検知部とを同じ構成にしているにも係らず、第2温度測定部5−2の固有抵抗値および温度依存性とわずかに異なる。従って、第1温度測定部5−1と第2温度測定部5−2とは、それぞれ異なる温度上昇勾配を持っている。このため、図62に示すように、ブリッジ回路で出力される特性は、異なる温度上昇勾配の差分ΔVbを持っている。第1検出部の相変化物質6−1の相転移温度と、第2検出部の相変化物質6−2の相違転移温度とは、異なるので、図61に示すように、第1相変化物質6−1が相転移したとき、第1温度測定部5−1は、上述したように、ΔR=0となるが、第2温度測定部5−2の抵抗値は上昇する。その結果、図62に示すように、相変化期間においては、傾きがΔb以外の値を取る。よって、ブリッジ回路の出力により相転移を検出することができる。
【0107】
次に、温度キャリブレーション中の雰囲気温度の影響について、説明する。
加熱部[温度測定部)や相変化物質は微小熱容量であるため、急速に相転移し、温度キャリブレーションは1[msec]から数10[msec]程度のごく短時間で完了する。このため、通常は、温度キャリブレーション中(相転移したときの温度測定部の抵抗値を測定するとき)は、周囲温度の変化は、ほとんどなく、ほとんど誤検出することはない。しかし、ブリッジ回路を組むことにより、外部の温度変化して、相転移温度に達する前に、雰囲気温度の影響で、第1温度測定部5−1の抵抗の時間微分値がΔR=0となったとしても、第2検出部も同様に、ΔR=0となっている。よって、傾きがΔbとなるので、相転移したと誤検知するのを抑制することができる。
【0108】
また、検知部を複数備えることで、第1温度測定部5−1で露点を計測して、第2温度測定部5−2で雰囲気温度を測定することができる。検知部が一つの場合は、検知部の温度が雰囲気温度に回復するまで、再度湿度を検知することはできないが、このように、2個検出部を有することで、一方の検知部が雰囲気温度となっていなくとも、湿度を検知することができる。これにより、測定頻度を多くして、精密な測定を行うことができる。
【0109】
[変形例17]
図63は、変形例17の湿度センサ100Qの概略構成図である。
この変形例17の湿度センサ100Qは、温度測定部5と相変化物質6と冷却部4とを平行に並列配置した露点検出部と、温度測定部5と相変化物質とを備えた雰囲気温度測定部とを同一基板に備えたものである。これにより、測定頻度を多くして、精密な測定を行うことができる。また、露点測定と雰囲気温度測定の精度を一致させるために、熱応答時間を同一にさせる必要がある。空洞部上の電気絶縁層に配置した部材やそれらに伝熱する部材は、露点検出部と雰囲気温度測定部とで同一にしておく。具体的には、雰囲気温度検知部に、冷却電極と、熱交換材料とを配置するのである。
【0110】
[変形例18]
次に、変形例18の湿度センサについて説明する。
この変形例18の湿度センサは、加熱部11に印加する加熱電流を除々に上げ、冷却電極4aで冷却するときの冷却電流を除々に下げるよう制御するものである。
図64は、変形例18の湿度センサのタイミングチャートの一例であり、図65は、フローチャートである。
図65のフローチャートに示すように、加熱電流を印加して、温度測定部5の抵抗値の時間微分値を求める。時間微分値ΔRが0でないときは、加熱電流を所定量上げ、所定量上げたら、再び、抵抗値の時間微分値ΔRを算出して、ΔRが0で否かをチェックする。ΔRが0となるまで、上記フローを繰り返すことにより、加熱電流が、図64に示すように、除々に増加する。このように、制御することにより、加熱部11の加熱温度を、相変化物質の相転移温度付近に留めることができ、加熱しすぎを抑制することができ、電力消費を抑えることができる。
【0111】
また、冷却電流についても、冷却電流を印加した後、温度測定部5の抵抗値の時間微分値の絶対値|ΔR|が閾値よりも大きいときは、冷却電極を所定量増加して、再び、抵抗の時間微分値の絶対値|ΔR|を算出する。|ΔR|が閾値以下となるまで、上記フローを繰り返すことにより、冷却電流が、図64に示すように、除々に低下する。このように、制御することにより、冷却部4の冷却温度を、観測面8に結露が生じる付近の温度に留めることができ、冷却しすぎを抑制することができ、電力消費を抑えることができる。
【0112】
以上、本実施形態の露点計測装置を備えた湿度センサは、観測面8を冷却する冷却手段たる冷却部4と、上記観測面8の温度を測定する温度測定手段たる温度測定部5とを備え、上記冷却部4で観測面8を冷却しているときの上記温度測定部5の検知結果の単位時間当たりの変化量に基づいて、上記観測面8に周囲の気体中の特定成分が凝集したことを検出する凝集検出手段(図4で示す回路領域1bの計測部102)とを備え、観測面8に周囲の気体中の特定成分が凝集したことを検出したとき、上記温度測定部により上記観測面8の温度を測定することで、気体の露点を測定する。そして、この湿度センサは、既知の相転移温度を持つ少なくとも1つの相変化物質6と、温度の変化に伴って上記相変化物質6の相転移が起きたことを検出する相転移検出手段と、相転移が起きたことを相転移検出手段が検出したときの上記温度測定手段の温度を、既知の上記相転移温度とする温度較正を行う温度較正手段(回路基板1Bなどで構成)とを備えている。これにより、上述したように、温度を簡単な構成で較正することができ、コストを抑えることができ、かつ、高い精度を維持することのできる。
【0113】
また、上記相変化物質6は、国際温度目盛ITS−90に定義されている物質であるので、精度の高い温度キャリブレーションを行うことができる。
【0114】
また、本実施形態の湿度センサにおいては、冷却部4は、ぺルチェ効果を有する熱電変換材料4cと一対の電極4a、4bとで構成されており、少なくとも、上記冷却部4、上記温度測定部5および上記相変化物質6を同一の基板に集積させている。このように、基板に集積させることにより、冷却部4を含めた温度測定部5の熱容量を小さくすることができる。これにより、温度測定部5の温度をすばやく観測面8の温度と同じにすることができ、観測面8に凝集が生じた直後に温度測定部で測定した温度を、ほぼ観測面8と同じにすることができる。その結果、正確な露点を計測することができる。また、観測面8をすばやく冷却することができ、迅速に露点を計測することができる。
【0115】
また、基板1は、ベース材2上に積層された絶縁層3aが設けられており、絶縁層3aに上記ベース材2と接していない非接触領域を設け、上記非接触領域に、上記冷却部4の観測面8の真下に配置され、観測面8を冷却する冷却電極4aと、上記温度測定部5と、上記相変化物質6とを配置した。これにより、上記冷却電極4a、上記温度測定部5、上記相変化物質6が配置された領域(以下、検知領域という)の熱容量を少なくすることができる。これにより、より一層正確な露点を計測することができ、迅速な露点計測を行うことができる。
【0116】
また、温度測定部5を観測面8に隣接配置することにより、観測面8に凝集が生じたときの観測面8の温度と温度測定部5の温度とをほぼ同じにすることができ、観測面8に凝集が生じたことを検知した段階で露点を計測することができ、より一層正確な露点を計測することができる。
【0117】
また、上記温度測定部5は、リング状であって、上記温度測定部5、上記冷却部4の順に同心円状に配置した。熱は、等方的に伝播するので、同心円状に配置することにより、均一な温度分布にすることができ、より正確な露点計測を行うことができる。
【0118】
また、上記冷却部4、上記温度測定部5の周囲を絶縁材で覆うことで、冷却部4や温度測定部5の化学的劣化などを抑制することができる。
【0119】
また、上記相変化物質6を加熱する加熱手段たる加熱部11を設けたことにより、所定のタイミングで、相変化物質の相転移をさせて、温度キャリブレーションを行うことができる。
【0120】
また、相変化物質6を上記加熱部11に隣接配置することにより、効率よく相変化物質6を加熱することができ、迅速な温度キャリブレーションを行うことができる。具体的には、相変化物質6と上記加熱部11とを積層させたり、相変化物質と上記加熱部11とを並列に配置したりする。
【0121】
また、加熱部11は、リング状であって、相変化物質6を、上記リング状加熱部11と同心円となるように配置することにより、相変化物質6を均一に加熱することができる。
【0122】
また、相変化物質6を、上記加熱部11の円周内に配置することで相変化物質6を最小面積に高密度集合させることができ、相変化物質6を必要最小量の熱量で迅速に相転移温度にまで加熱することができる。
【0123】
また、加熱部に隣接する箇所に上記相変化物質を分散配置することにより、各相変化物質の熱容量を少なくすることができ、迅速に相変化物質6相転移温度にまで加熱することができる。
【0124】
また、互いに異なる2種類以上の相変化物質を分散配置することにより、温度測定部の温度依存性を求めることができ、高精度の温度キャリブレーションを行うことができる。また、温度依存性の関数を求めるので、未知の抵抗温度係数(TCR)の抵抗体材料を用いることができる。
【0125】
また、上記温度測定部5は、温度依存性を有する抵抗体であって、上記温度測定部5を、上記加熱手段として用いることにより、加熱手段と温度測定部とを別々に設けた場合に比べて、基板の熱容量を少なくすることができる、これにより、迅速の相変化物質を加熱することができる。
【0126】
また、上記冷却部4の電極のいずれか一方を、加熱手段として用いてもよい。これにより、加熱手段と冷却部とを別々に設けた場合に比べて、基板の熱容量を少なくすることができる、これにより、迅速の相変化物質を加熱することができる。
【0127】
また、相変化物質6を加熱するときは上記熱電変換材料に流す電流の向きを、上記観測面を冷却するときの上記熱電変換材料に流す電流の向きと異ならせる。これにより、相変化物質を加熱するときは、基板を冷却する冷却電極4aで加熱することができる。露点計測装置においては、観測面の温度を計測するため、温度測定部5と冷却電極4aとは、近接配置されているので、結果的に、温度測定部5と相変化物質とが近接配置される。よって、相変化物質が相変位したとき、温度測定部5の温度もほぼ相変化物質の相転移温度にでき、精度の高い温度キャリブレーションを実現できる。
【0128】
また、加熱手段の加熱温度を、上記相転移物質の相転移温度付近にすることにより、無駄な電力消費を抑えることができる。
【0129】
また、相転移の検出は、上記温度測定部が測定した温度変化に基づいて、相転移が起きたことを検出する。相変化物質が相変化すると、吸熱作用が生じたり、熱容量が小さくなったりするので、相変化するとき、温度変化が相変化前と異なる。よって、温度変化を監視することにより、精度よく相転移を検知することができる。
【0130】
また、上記相変化物質に積層させた圧電体を設け、圧電効果に基づいて、相転移が起きたことを検出するようにしてもよい。具体的には、相変化物質の圧電体に対する応力変化や、圧電体を振動させて、相変化物質の固有振動数の変化検知することで、相転移を検知する。相変化物質が相転移すると、体積が増加したり、液体や気体となって剛性が変化したりするので、圧電体に加わる応力が変化する。よって、相変化物質の圧電体に対する応力変化を監視することによって、精度よく相転移を検知することができる。また、相変化すると、固有振動数が変化するので、圧電体を振動させて、相変化物質の固有振動数の変化検知することで、精度よく相転移を検知することができる。
【0131】
また、相変化物質として導電性材料を用いた場合は、相変化物質の電気特性とおしての抵抗の変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することもできる。相変化することにより抵抗が変化するので、相変化物質に一定の電流を流して抵抗の変化を監視することで、精度よく相転移を検知することができる。
【0132】
また、この場合、相転移物質に接続し、上記相変化物質の電気特性の変化を検出するための検出リード線を、相変化物質と同一の材料で構成することで、相変化物質と検出リード線とを別々の材料で構成する場合に比べて、製造工程を簡単にすることができる。
【0133】
また、相変化物質の通電状態に基づいて、相転移が起きたことを検出することもできる。具体的には、相変化前は、検出リード間で相変化物質を接続させて通電状態にしておく。そして、相変化して相変化物質が液体となったら、表面張力により検出リード間の通電が切れるように構成することにより、相転移が起きたことを検出することができる。
【0134】
また、上記とは、逆に相変化前は、相変化物質を分離配置して、検出リード間で非通電の状態にしておき、相変化して相変化物質が液体となったら、濡れ性により、相変化物質同士がくっつき、検出リード間で通電するように構成することでも、相転移が起きたことを検出することができる。
【0135】
さらには、相変化物質が、光透過性または光反射性である場合は、上記相変化物質の光学特性の変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することもできる。
【0136】
また、相変化物質を絶縁材で覆うことにより、相変化物質の化学的変化などを抑制することができ、相転移温度が変化してしまうのを抑制することができる。これにより、長期にわたり安定した温度キャリブレーションを行うことができる。
【0137】
また、上記冷却部4と、上記温度測定部と、上記相変化物質とを備えた露点検出部を複数設けたので、一方の露点検出部で露点を検出した後も、他方の露点検出部については、観測面に凝集(結露)が生じていないので、一方の露点検出部で露点を検出した直後に、他方の露点検出部で露点の計測が可能となる。これにより、高頻度な露点計測を行うことができる。
【0138】
また、各露点検出部の熱容量を同じに構成し、これら露点検出部の温度測定部でブリッジ回路を構成した。これにより、温度キャリブレーション中の雰囲気温度の変動の影響を無くすことができ、精度よく、相転移を検出することができる。
【0139】
また、少なくとも上記温度測定部から信号を受信して、温度を演算する演算回路、および、上記温度較正手段を備えた回路部を、冷却部4、温度測定部5および相変化物質を備えた基板に設けたので、温度測定部と回路部との配線長を短くでき、ノイズを受け難く高精度に温度測定できる。
【0140】
また、気体特性測定装置としての湿度センサは、観測面の周囲の気体温度を上記温度測定部で測定した後、露点を測定することで、周囲の気体の温度を測定するときに、観測面を冷却する冷却部の影響を受けることができない。よって精度よく雰囲気温度を測定することができる。
【0141】
また、周囲の気体の温度を測定する気体温度測定手段を設けたことで、基板の温度が周囲温度と平衡な状態になるのを待たずに、周囲温度の測定が可能となる。これにより、頻繁な湿度測定を行うことができる。
【0142】
また、上記では、本発明の露点計測装置を、湿度センサに適用したが、気体の密度を測定する装置や、気体成分の分圧を測定する装置などに本発明の露点計測装置を用いることができる。
【0143】
また、上記では、相変化物質を加熱して、固体から液体、または、液体から気体への相変化を検知しているが、相変化物質を冷却して、気体から液体、または、液体から固体への相変化を検知するようにしてもよい。例えば、まず、相変化を加熱して、相変化物質を固体から液体または液体から気体へ相変化させて、相変化したときの温度測定部の抵抗値を記憶しておく。次に、冷却部で相変化物質を冷却し、気体から液体または液体から固定へ相変化させて、相変化したときの温度測定部の抵抗値を記憶する。そして、これら、温度測定部の抵抗値の平均値を求め、これを、既知の相転温度と対応づける。また、気体から液体、または、液体から固体へ相変化物質の相変化したときの温度測定部の抵抗値と、気体から液体または液体から固定へ相変化したときの温度測定部の抵抗値とを比較して、一致する場合のみ、温度キャリブレーションを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0144】
1:基板
1A:検知基板
1B:回路基板
1a:検知領域
1b:回路領域
2:ベース材
3a,3b,3c:電気絶縁層
4:冷却部
4a:冷却電極
4b:放熱電極
4c:熱電変換材料
5:温度測定部
6:相変化物質
6a,6b:検出用リード線
7:フォトカプラ
7a:発光部
7b:受光部
8:観測面
11:加熱部
20:空洞部
20a:内壁
20b:外壁
21:芯部
61:対向電極
62:圧電材料層
75:ケース
100:温度センサ
700:反射部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0145】
【特許文献1】特開第4523567号公報
【特許文献2】特許第4178729号公報
【特許文献3】特開平2−039213号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測面を冷却する冷却手段と、
上記観測面の温度を測定する温度測定手段と、
上記冷却手段で観測面を冷却しているときの上記温度測定手段の検知結果の単位時間当たりの変化量に基づいて、上記観測面に周囲の気体中の特定成分が凝集したことを検出する凝集検出手段とを備えた露点計測装置において、
既知の相転移温度を持つ少なくとも1つの相変化物質と、
温度の変化に伴って上記相変化物質の相転移が起きたことを検出する相転移検出手段と、
相転移が起きたことを相転移検出手段が検出したときの上記温度測定手段の検知結果を、既知の上記相転移温度とする温度較正を行う温度較正手段とを備えたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項2】
請求項1の露点計測装置において、
上記相変化物質は、国際温度目盛ITS−90に定義されている物質であることを特徴する露点計測装置。
【請求項3】
請求項1または2の露点計測装置において、
上記冷却手段は、ペルチェ効果を有する熱電変換材料と一対の電極とで構成されており、
少なくとも、上記冷却手段、上記温度測定手段および上記相変化物質を同一の基板に集積させたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項4】
請求項3の露点計測装置において、
上記基板は、ベース材上に積層された絶縁層が設けられており、
上記絶縁層に上記ベース材と接していない非接触領域を設け、上記非接触領域に、上記冷却手段の観測面の真下に配置され、観測面を冷却する冷却電極と、上記温度測定手段と、上記相変化物質とを配置したことを特徴する露点計測装置。
【請求項5】
請求項3または4の露点計測装置において、
上記温度測定手段を上記観測面に隣接配置したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項6】
請求項5の露点計測装置において、
上記温度測定手段は、リング状であって、
上記温度測定手段、上記冷却手段の順に同心円状に配置したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項7】
請求項3乃至6いずれかの露点計測装置において、
上記冷却手段、上記温度測定手段の周囲を絶縁材で覆ったたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかの露点計測装置において、
上記相変化物質を加熱する加熱手段を設けたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項9】
請求項8の露点計測装置において、
上記相変化物質を上記加熱手段に隣接配置したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項10】
請求項9の露点計測装置において、
上記相変化物質と上記加熱手段とを積層させたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項11】
請求項9の露点計測装置において、
上記相変化物質と上記加熱手段とを並列に配置したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項12】
請求項9乃至11いずれかの露点計測装置において、
上記加熱手段は、リング状であって、
上記相変化物質を、上記リング状加熱手段と同心円となるように配置したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項13】
請求項12の露点計測装置において、
上記相変化物質を、上記加熱手段の円周内に配置したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項14】
請求項9乃至13いずれかの露点計測装置において、
上記加熱手段に隣接する箇所に上記相変化物質を分散配置したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項15】
請求項14の露点計測装置において、
互いに異なる2種類以上の相変化物質を分散配置したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項16】
請求項8乃至15いずれかの露点計測装置において、
上記温度測定手段は、温度依存性を有する抵抗体であって、
上記温度測定手段を、上記加熱手段として用いたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項17】
請求項16の露点計測装置において、
上記温度測定手段を発熱させるための一対の発熱用リード線と、温度を測定するための一対の測定用リード線とをそれぞれ上記温度測定手段に接続したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項18】
請求項8乃至15いずれかの露点計測装置において、
上記冷却手段は、ペルチェ効果を有する熱電変換材料と一対の電極とで構成された冷却手段を備え、上記電極のいずれか一方を、加熱手段として用いたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項19】
請求項18の露点計測装置において、
上記相変化物質を加熱するときは上記熱電変換材料に流す電流の向きを、上記観測面を冷却するときの上記熱電変換材料に流す電流の向きと異ならせたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項20】
請求項8乃至19いずれかの露点計測装置において、
上記加熱手段の加熱温度を、上記相転移物質の相転移温度付近にしたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項21】
請求項1乃至20いずれかの露点計測装置において、
上記相転移検出手段は、上記温度測定手段が測定した温度変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とする露点計測装置。
【請求項22】
請求項1乃至21いずれかの露点計測装置において、
上記相転移検出手段は、上記相変化物質に積層させた圧電体を有し、圧電効果に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とする露点計測装置。
【請求項23】
請求項22の露点計測装置において、
上記相転移検出手段は、上記相変化物質の圧電体に対する応力変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とする露点計測装置。
【請求項24】
請求項22の露点計測装置において、
上記圧電体を振動させて、上記相変化物質の固有振動数の変化を検知することで、相転移が起きたことを検出することを特徴とする露点計測装置。
【請求項25】
請求項1乃至24いずれかの露点計測装置において、
上記相変化物質は、導電性であって、
上記相転移検出手段は、上記相変化物質の電気特性の変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とする露点計測装置。
【請求項26】
請求項25の露点計測装置において、
上記相変化物質に接続し、上記相変化物質の電気特性の変化を検出するための検出リード線を、相変化物質と同一の材料で構成したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項27】
請求項1乃至26いずれかの露点計測装置において、
上記相変化物質は、導電性であって、
上記相転移検出手段は、上記相変化物質の通電状態に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とする露点計測装置。
【請求項28】
請求項27の露点計測装置において、
上記相転移検出手段は、上記相変化物質によって通電状態に構成しておき、相変化物質が相変化すると、非通電となるよう構成したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項29】
請求項27の露点計測装置において、
上記相転移検出手段は、上記相変化物質を分離させて、非通電に構成しており、相変化物質が相変化すると、上記相変化物質が結合して通電となるよう構成したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項30】
請求項1乃至29いずれかの露点計測装置において、
上記相変化物質は、光透過性または光反射性であり、
上記相転移検出手段は、上記相変化物質の光学特性の変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とする露点計測装置。
【請求項31】
請求項21乃至26、30いずれかの露点計測装置において、
上記相変化物質の周囲を絶縁材で覆ったことを特徴とする露点計測装置。
【請求項32】
請求項1乃至31いずれかの露点計測装置において、
少なくとも上記冷却手段と、上記温度測定手段と、上記相変化物質とを備えた露点検出部を、複数設けたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項33】
請求項32の露点計測装置において、
各露点検出部の熱容量を同じに構成し、これら露点計測部の温度測定手段でブリッジ回路を構成したことを特徴とする露点計測装置。
【請求項34】
請求項1乃至33いずれかの露点計測装置において、
少なくとも、上記温度測定手段からの信号を受信して、温度を演算する演算回路、および、上記温度較正手段を備えた回路部を、上記冷却手段、上記温度測定手段および相変化物質を備えた基板に設けたことを特徴とする露点計測装置。
【請求項35】
気体の温度と、露点とを測定して、気体の特性を測定する気体特性測定装置において、
上記露点を測定する露点測定手段として、請求項1乃至34いずれかの露点計測装置を用いたことを特徴とする気体特性測定装置。
【請求項36】
請求項35の気体特性測定装置において、
上記観測面の周囲の気体温度を上記温度測定手段で測定した後、露点を測定することを特徴とする気体測定装置。
【請求項37】
請求項36の気体特性測定装置において、
周囲の気体の温度を測定する気体温度測定手段を設けたことを特徴とする気体測定装置。
【請求項38】
請求項34乃至37いずれかの気体特性測定装置において、
当該気体特性測定装置は、気体の特性として、気体中の特定成分の割合、気体の密度、気体成分の分圧のうちいずれか一つを測定することを特徴とする気体特性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【公開番号】特開2012−122863(P2012−122863A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274155(P2010−274155)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】