説明

青果類の浮皮識別装置および青果類の浮皮識別方法

【課題】 安定して正確な浮皮の識別が可能であり、青果類の表面を破壊することなく、青果類に対して触れる程度の当接によって、正確な浮皮の測定が可能で、しかも連続的に全数の浮皮の識別が可能な青果類の浮皮識別装置および青果類の浮皮識別方法を提供する。
【解決手段】 感度軸をそろえて配置された第1センサーおよび第2センサーの感度方向から被測定青果類に対してセンサー部材を当接させ、第1センサー出力および/または第2センサー出力のピーク幅に応じた第1の変数αと、第1センサー出力と第2センサー出力とをX−Yプロットすることにより得られたプロットデータの所望区間における傾きに応じた第2の変数βと、を用いて、下記式(I):
C=K0 +K1α+K2β (I)
(ここで、Cは浮皮識別データ値、K0 、K1 およびK2 は係数を示す。)
により前記被測定青果類の浮皮を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実、野菜などの青果類の浮皮、例えば、みかんなどの柑橘類の浮皮を非破壊で識別するための青果類の浮皮識別装置および青果類の浮皮識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、果実、野菜などの青果類においては、例えば、みかんなどの柑橘類の浮皮の程度を測定することによって、青果類の内部品質や、貯蔵、運搬に耐え得るものであるかなどの品質を測定することが行われている。
【0003】
なお、浮皮とは果皮と果肉との間に隙間を生じ果皮の膨らんだ状態、果皮がもろくなった状態のことを言う。
浮皮を有する青果類は、収穫の際に用いられるはさみによって傷を受けやすく、また果皮がもろいため、扱い方によっては裂傷を起こしやすいという欠点がある。
【0004】
また、正常な青果類よりも浮皮を有する青果類はかさばるため、このまま箱詰めをおこなうと、青果類に無理な力が加わり裂傷果、腐敗果、変形果となってしまい、商品価値の低下を招く場合がある。
【0005】
このため、従来より青果類が正常な青果類であるか、浮皮を有する青果類であるかを識別することが行われている。
このような方法としては、検査者が目視や実際に青果類を手に取った感触、柔らかさなどから経験に基づいて浮皮を識別することが行われている。
【0006】
しかしながら、このような検査者による浮皮の識別方法では、検査者の経験や目視などによるので、識別の正確さに欠けることになるとともに、再現性も良好ではない。
このため特許文献1では、柑橘類に測定用光を照射する照射手段と、柑橘類を透過した光を分光した後受光する受光手段と、この受光手段により受光した光の波長から浮皮値を演算する演算手段と、この演算手段により演算された浮皮値と予め設定された設定値とを比較することにより浮皮を判定する判定手段と、を備えた柑橘類の浮皮判別装置が提案されている。
【0007】
また特許文献2においても、果肉と果皮とを有する被測定青果類に対して光源から照射光の照射を行い、被測定青果類を透過した透過光を光検出器で検出し、演算処理部で果皮の質を判定する青果類の果皮の質の判定装置が提案されている。
【0008】
さらに特許文献3では、青果類に対してX線を照射することによって透過映像を撮像し、これにより果肉部分と果皮部分との分離の程度を判別することによって、浮皮の有無を識別することが行われている。
【0009】
すなわち、果皮と果肉の境界部分に空隙が形成されて浮皮になると、この空隙部分は密着しているときよりもX線の透過量が多くなり、高い検出出力が現れる。これにより、X線受光部が出力する検出パタ−ンを、記憶装置から読出した正常な果実で検出される比較パタ−ンと比較して、高い出力があるか否かを判定し、高い出力があれば浮皮と判定するようになっている。
【0010】
また特許文献4では、圧縮空気を吐出するエアーコンプレッサーと、周方向に所定間隔で複数の貫通孔を穿設した回転円盤と、この回転円盤を所定回転速度で回転させる駆動装
置からなり、チョッピングエアーを発生するチョッピングエアー発生装置と、果皮の微小変位を検出する変位センサーと、この変位センサーからの検出信号を処理し、浮皮の有無を判定する演算装置と、から浮皮判定装置を構成している。
【0011】
そして、チョッピングエアーを柑橘類果物の果皮に噴射させることにより発生した果皮の微小変位を検出することによって、浮皮の有無を判定するようになっている。
また、レオメータ(例えば、不動工業社製)と呼ばれる測定装置を用い、ロードセルを備えた測定子を被測定青果類の上方から降下させて、被測定青果類に貫入させることによって、浮皮の有無の識別を行うことが行われている。
【特許文献1】特開平11−304697号公報
【特許文献2】特開2001−289784号公報
【特許文献3】特開平10−170456号公報
【特許文献4】特開2001−74705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1および特許文献2のように、被測定青果類を透過した透過光を光検出器で検出し、演算処理部で果皮の質を判定する方法では、透過した光を分光した後受光した複数の波長の光では、柑橘類の皮の厚さや皮密度、皮質の違い、また皮と実の間の空洞(空気が入っている部分)内の乱反射、空洞の数と大きさなどが依存してしまい、実用化するには精度が良好ではなかった。
【0013】
また、特許文献3のように、X線を照射することによって浮皮の有無を識別する方法では、X線照射装置などの高価で複雑な装置が必要であり、しかもX線を取り扱うため、特別な安全性の管理が必要となりコストが高くつくことになる。
【0014】
さらに、特許文献4のように、高速でコンベア上を移動する柑橘類果物の皮をへこませるチョッピングエアーは非常に高圧であり、コンプレッサーが大掛かりになってしまうため、装置が大型化してしまうことになる。
【0015】
また、レーザー変位計で測定するため、柑橘類果物が測定の際にずれてしまうと、へこんだように測定されてしまうため、柑橘類果物を支持するために支持機構が必要となり、複雑な構成となってしまう。
【0016】
また、レオメータによる浮皮の有無を識別する方法では、青果類の表面を破壊することになるため、青果場では測定のために表面が破壊された青果類を破棄せざるをえず、その損失は年間に換算すれば、多大な損害となっている。
【0017】
また、レオメータによる浮皮の有無を識別する方法では、ロット毎の任意抽出による浮皮の有無を識別するしかないので、全数検査することができず、どうしても浮皮が存在する青果類を出荷してしまうことにもなる。
【0018】
さらに、連続的にコンベア上を搬送されてくる青果類に対して、連続的に浮皮の有無を識別することは不可能である。
本発明は、このような現状に鑑み、安定して正確な浮皮の識別が可能であり、しかも、破損損傷しやすい、例えば、みかんなどの青果類の浮皮を識別する場合において青果類の表面を破壊することなく、青果類に対して触れる程度の当接によって、正確な浮皮の測定が可能で、しかも連続的に全数の浮皮の識別が可能な青果類の浮皮識別装置および青果類の浮皮識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の青果類の浮皮識別装置は、青果類の浮皮を識別する青果類の浮皮識別装置であって、
被測定青果類に対して所定の速度で当接させるセンサー部材と、
前記センサー部材に感度軸をそろえて配置した第1センサーおよび第2センサーと、
前記第1センサーおよび第2センサーの感度方向から前記被測定青果類に対して前記センサー部材を当接させることにより得られた、前記第1センサーによる第1センサー出力および前記第2センサーによる第2センサー出力によって、前記被測定青果類の浮皮を識別する浮皮識別制御部と、を備え、
前記浮皮識別制御部は、
前記第1センサー出力および/または第2センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、
前記グラフのセンサー出力のピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間と終点時間との間の時間幅を算出して、この時間幅に応じた変数を第1の変数αとし、
前記第1センサー出力と前記第2センサー出力とをそれぞれX−YグラフのX軸またはY軸にそれぞれ対応させてプロットすることによりプロットデータを得て、
さらに前記プロットデータの所望区間における傾きを得て、この傾きに応じた変数を第2の変数βとし、
下記式(I):
C=K0 +K1α+K2β (I)
(ここで、Cは浮皮識別データ値、K0 、K1 およびK2 は係数を示す。)
により前記被測定青果類の浮皮を識別するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の青果類の浮皮識別方法は、青果類の浮皮を識別する青果類の浮皮識別方法であって、
被測定青果類に対して所定の速度で当接させるセンサー部材と、
前記センサー部材に感度軸をそろえて配置した第1センサーおよび第2センサーと、
前記第1センサーおよび第2センサーの感度方向から前記被測定青果類に対して前記センサー部材を当接させることにより得られた、前記第1センサーによる第1センサー出力および前記第2センサーによる第2センサー出力によって、前記被測定青果類の浮皮を識別する浮皮識別制御部と、を備えた浮皮識別装置を用いて、
前記第1センサー出力および/または第2センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、
前記グラフのセンサー出力のピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間と終点時間との間の時間幅を算出して、この時間幅に応じた変数を第1の変数αとし、
前記第1センサー出力と前記第2センサー出力とをそれぞれX−YグラフのX軸またはY軸にそれぞれ対応させてプロットすることによりプロットデータを得て、
さらに前記プロットデータの所望区間における傾きを得て、この傾きに応じた変数を第2の変数βとし、
下記式(I):
C=K0 +K1α+K2β (I)
(ここで、Cは浮皮識別データ値、K0 、K1 およびK2 は係数を示す。)
により前記被測定青果類の浮皮を識別することを特徴とする。
【0021】
このように構成することによって、センサー部材にセンサーが配置されているので、このセンサーが被測定青果類に対して当接する、強さの違い、角度の違いがなく測定条件が同一であるため、センサーによるセンサー出力は、測定条件が異なることなく、測定毎に測定誤差がなく、安定して正確な浮皮の有無の識別が可能である。
【0022】
すなわち、センサー部材をセンサーの感度方向から、被測定青果類に対して当接させることにより得られたセンサー出力によって、被測定青果類の浮皮を識別するだけで良いので、安定して正確な浮皮の有無の識別が可能である。
【0023】
しかも、破損損傷しやすい、例えば、ミカンなどの青果類など浮皮を識別する場合においても、青果類の表面を破壊することなく、青果類に対して、触れる程度の当接によって、正確な浮皮の有無の測定が可能で、しかも、センサー部材のセンサーの一回だけの当接によって、上記のように青果類の浮皮を識別することができるので、連続的に効率良く全数の浮皮の識別も可能である。
【0024】
また、ピークの時間幅に応じた第1の変数αと、第1センサー出力および第2センサー出力のX−Yプロットデータの傾きに応じた第2の変数βとによって浮皮を識別しているので、青果類の実の情報を強く反映した第1の変数αと、青果類の皮の情報を強く反映した第2の変数βとを多変量解析による回帰式のパラメータとした正確な浮皮の識別が可能である。
【0025】
本発明の青果類の浮皮識別装置は、前記浮皮識別制御部が、前記浮皮識別データ値が所定の閾値以下になった際に、浮皮が存在すると識別するように構成されていることを特徴とする。
【0026】
また本発明の青果類の浮皮識別方法は、前記浮皮識別制御部が、前記浮皮識別データ値が所定の閾値以下になった際に、浮皮が存在すると識別することを特徴とする。
このように構成することによって、例えば、予め、青果類の品種などに応じて、浮皮識別データを得ておき、前記浮皮識別データ値が所定の閾値以下になった際に、浮皮が存在すると識別することができるので、さらに瞬時にかつ正確に浮皮を識別することができる。
【0027】
本発明の青果類の浮皮識別装置および浮皮識別方法は、前記第1センサーと前記第2センサーの応答が互いに異なることを特徴とする。
このように構成することによって、第1センサーと第2センサーの応答性の相違により、正常な被測定青果類および浮皮を有する被測定青果類の特徴を正確に得ることができ、確実に浮皮の識別を行うことができる。
【0028】
上記の発明において、前記第1センサーと前記第2センサーのうち少なくとも一方が、加重センサー出力を行う加重センサーであることが好ましい。
また、前記第1センサーと前記第2センサーのうち少なくとも一方が、加速度センサー出力を行う加速度センサーであることが好ましい。
【0029】
また、前記第1センサーおよび前記第2センサーは、加重センサー出力を行う加重センサーおよび、加速度センサー出力を行う加速度センサーであることが好ましい。
前記第1の変数αは、加重センサーによるセンサー出力から得ることができる。
【0030】
あるいは、前記第1の変数αは、加速度センサーによるセンサー出力から得ることができる。
あるいは、前記浮皮識別制御部は、
前記加重センサー出力および加速度センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、
前記グラフのセンサー出力の加速度センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間を算出するとともに、
前記グラフのセンサー出力の加重センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる終点時間を算出して、
これらの始点時間と終点時間との間の時間幅を算出し、これを第1の変数αとして前記浮皮識別データ値を算出することができる。
【0031】
あるいは、前記浮皮識別制御部は、
前記加重センサー出力および加速度センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、
前記グラフのセンサー出力の加重センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間を算出するとともに、
前記グラフのセンサー出力の加速度センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる終点時間を算出して、
これらの始点時間と終点時間との間の時間幅を算出し、これを第1の変数αとして前記浮皮識別データ値を算出することができる。
【0032】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記浮皮識別装置が、
前記センサー部材を被測定青果類に対して一定速度で当接させるセンサー部材駆動機構を備えることを特徴とする。
【0033】
このようにセンサー部材駆動機構によって、センサー部材を被測定青果類に対して一定速度で当接させるので、初速から終速まで一定であり、被測定青果類の大きさに関係なく測定できる。
【0034】
また、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を安定して得ることができ、正確に浮皮の識別を行うことができる。
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記センサー部材駆動機構が、
青果類の種類、大きさに応じて、前記センサー部材の被測定青果類に対して当接する速度を制御するように構成されていることを特徴とする。
【0035】
このように、被測定青果類の種類、大きさ、例えば果実の種類(品種)、大きさによって、センサー部材の被測定青果類に対して当接する速度を制御するようになっている。
従って、例えば被測定青果類が、モモ、イチゴなどの傷つきやすい果実(品種)である場合には、センサー部材の被測定青果類に対して当接する速度を遅くすることによって、被測定青果類にセンサー部材が弱い力で当接することになり、このような傷つきやすい物品が損傷するのを保護することができる。
【0036】
逆に、例えば被測定青果類が、リンゴ、ナシなどの硬い果実である場合には、センサー部材の被測定青果類に対して当接する速度を早くすることによって、被測定青果類にセンサー部材が強い力で当接することになり、高感度に捕らえることができる。
【0037】
さらに、例えば被測定青果類のサイズが大きい場合には、一定の当接速度を遅く(当接力を弱く)し、被測定青果類のサイズが小さい場合には、一定の当接速度を早く(当接力を強く)することによって、測定精度を向上することができる。
【0038】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記センサー部材駆動機構が、
前記センサー部材の被測定青果類に対して当接する際の速度と、被測定青果類から離間する際の速度とを変更することができるように構成されていることを特徴とする。
【0039】
このように、センサー部材の被測定青果類に対して当接する際の速度と、被測定青果類から離間する際の速度とを変更することによって、被測定青果類に対して当接する際(往路)の速度よりも、被測定青果類から離間する際(復路)の速度を高速にすることによって、被測定青果類、例えば果実を傷つけずに処理能力(時間あたりの測定回数)を向上することができる。
【0040】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記センサー部材駆動機構が、
前記センサー部材が被測定青果類から離間して、当接開始位置に復帰する位置近傍での速度が遅くなるように制御するように構成されていることを特徴とする。
【0041】
このように構成することによって、センサー部材が被測定青果類から離間する際(復路)に、復路の最後の速度を遅くすることができ、ブレーキとして機能するので、センサーの衝撃を緩和することができるので、センサーの寿命をのばすことができる。
【0042】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記センサー部材駆動機構によって、前記センサー部材が被測定青果類から離間して、当接開始位置に復帰する位置に、前記センサー部材の衝撃を吸収する衝撃吸収部材が配置されていることを特徴とする。
【0043】
このように構成することによって、センサー部材が被測定青果類から離間する際(復路)に、当接開始位置に復帰する位置で、例えばスポンジ、ゴムなどの衝撃吸収部材によってセンサー部材の衝撃を吸収することができる。
【0044】
しかも、ブレーキとして機能するので、センサーの衝撃を緩和することができるので、センサーの寿命をのばすことができるとともに、連続測定を行う際に安定性が向上し、正確に浮皮の識別を行うことができる。
【0045】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記センサー部材駆動機構によって、前記センサー部材が被測定青果類から離間して、当接開始位置に復帰する位置に、前記センサー部材を保持する保持機構を備えることを特徴とする。
【0046】
このように、保持機構として例えば電磁石を用いることによって、センサー部材が被測定青果類から離間する際(復路)に通電して、当接開始位置に復帰する位置でセンサー部材を保持することができ、センサー部材が慣性力によってバウンドするのを防止することができ、センサー部材の寿命を向上できる。
【0047】
しかも、被測定青果類に対して当接する際(往路)に、この保持機構による保持を解除することによって、連続的に安定して測定ができ、正確に浮皮の識別を行うことができる。
【0048】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記センサー部材が、アーム部材の先端に装着され、
前記アーム部材が、前記センサー部材駆動機構に連結された回転軸に、前記回転軸の回転にともなって回動するように固定されていることを特徴とする。
【0049】
このように構成することによって、浮皮識別装置を上部からの降り下げ機構とすることができる。
例えばコンベアなどの搬送装置で被測定青果類を搬送する際にも、コンベアの種類に依存せず設置が可能であり、しかも、例えば左右に浮皮識別装置を付ければ、被測定青果類の2面測定が可能であり、被測定青果類の多面における浮皮を同時に識別することができる。
【0050】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記センサー部材駆動機構に連結された回転軸の回転角度を検知する回転角度検知機構を備えることを特徴とする。
【0051】
このように構成することによって、回転軸に例えばエンコーダーなどの角度を測る回転角度検知機構設けて、センサー部材が被測定青果類に当接した状態の当接点(接触点)の角度から被測定青果類の寸法を測定することができる。
【0052】
さらに、この被測定青果類の寸法を硬度データの補正に利用することができ、より正確に浮皮の識別を行うことができる。
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記センサー部材が、被測定青果類に対して当接して被測定青果類の浮皮を測定する前に、前記センサー部材が、所定の基準硬度を有する基準浮皮部材に当接して、前記基準浮皮部材の硬度データに基づいて、浮皮測定データの校正を行うように構成されていることを特徴とする。
【0053】
このように構成することによって、センサー部材が、所定の基準硬度を有する基準浮皮部材に当接して、基準浮皮部材の硬度データに基づいて、浮皮測定データの校正を行うので、経時変化による変動を補正することができ、より正確に浮皮の識別を行うことができる。
【0054】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記基準浮皮部材の温度を測定する測温装置を備え、
前記測温装置による基準浮皮部材の温度データに基づいて、浮皮測定データの校正を行うように構成されていることを特徴とする。
【0055】
このように、基準浮皮部材の温度を測定する測温装置による基準浮皮部材の温度データに基づいて、浮皮測定データの校正を行うので、基準浮皮部材自体の温度特性を考慮することができるので、例えば、室内や農園地などの環境温度によって影響されることなく、正確に浮皮の識別を行うことができる。
【0056】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記被測定青果類に対して、複数のセンサー部材が当接するように構成されていることを特徴とする。
【0057】
このように構成することによって、例えば左右に付ければ2面測定が可能であり、被測定青果類に対して、被測定青果類の多面における硬度を同時に測定することができ、被測定青果類の浮皮の識別を正確に行うことができる。
【0058】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
前記センサー部材を被測定青果類に対して一定速度で当接させるセンサー部材駆動機構が、振動発生装置であることを特徴とする。
【0059】
このように構成することによって、例えばステッピングモータもしくは加震機を正逆転することによって、センサー部材を振動させ、コンベアなどの搬送機構上を連続的に搬送
される青果類などに対して、一定の速度でセンサー部材が連続的に当接することとなり、大量の青果類の浮皮の識別を、正確に行うことができる。
【0060】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
連続して搬送装置上を搬送されてくる被測定青果類に対して、センサー部材が当接するように構成されていることを特徴とする。
【0061】
このように構成することによって、連続して搬送されてくる被測定青果類の浮皮の識別を行うことができるため、測定効率が向上する。
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
連続して搬送装置上を搬送されてくる被測定青果類に対して、複数のセンサー部材が、搬送方向に一定間隔離間した位置で、被測定青果類に対して当接するように構成されていることを特徴とする。
【0062】
このように構成することによって、複数のセンサー部材が搬送方向に一定間隔離間した位置で、被測定青果類に対して当接して浮皮の識別を行うため、連続して搬送されてくる被測定青果類を測定漏れもなく正確に測定でき、測定精度、測定効率が向上する。
【0063】
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
連続して搬送装置上を搬送されてくる被測定青果類に対して複数のセンサー部材が、
搬送方向に一定間隔離間した位置で、搬送方向に対して左右の位置から交互に被測定青果類に対して当接するように構成されていることを特徴とする。
【0064】
このように構成することによって、複数のセンサー部材が、搬送方向に一定間隔離間した位置で、搬送方向に対して左右の位置から交互に被測定青果類に対して接して浮皮の識別を行うため、連続して搬送されてくる被測定青果類を測定漏れもなく正確に測定でき、さらに測定精度、測定効率が向上する。
【0065】
また、これにより同時に複数のセンサー部材が被測定青果類に対して当接することがないので、センサー同士の干渉がなくなり、正確に浮皮の識別を行うことができる。
また、本発明の青果類の浮皮識別装置は、
連続して搬送装置上を搬送されてくる被測定青果類に対して、センサー部材が当接する上流側の位置に、被測定青果類の大きさを測定する寸法測定装置が配置され、
この寸法測定装置で測定した被測定青果類の寸法データに基づいて、前記センサー部材駆動機構によるセンサー部材の被測定青果類に対する当接開始タイミングを制御するように構成されていることを特徴とする。
【0066】
すなわち、センサー部材を振り下げて当接させるタイプの硬度測定装置では、例えば、小さいみかんと大きいみかんでは振り角が違うため、センサー部材が動き始めてから、被測定青果類に当接するまでの時間が違うことになる。
【0067】
このため、センサー部材が当接する上流側の位置に、被測定青果類の大きさを測定する寸法測定装置、例えばフォトセンサーを配置して、この寸法測定装置によって、被測定青果類の寸法データを計算して、振り下げトリガー(当接開始タイミング)を設定するようになっている。
【0068】
すなわち、フォトセンサーのさえぎっている時間はみかんの大きさであるので、長くさえぎっている時には大きいみかんであり、振り下げトリガーは遅くてよい。
また短い時には、小さいみかんであるので早めに振りさげを開始するように制御するようになっている。
【0069】
これによって、測定条件が同一となって、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力は、測定条件が異なることなく、測定毎に測定誤差がなく、安定して正確に浮皮の識別を行うことができる。
【発明の効果】
【0070】
本発明によれば、青果類に対して当接する強さの違い、当接する角度の違いによって測定条件が異なることがなく、また、測定毎に測定誤差がなく、安定して正確な浮皮測定が可能であり、しかも破損損傷しやすい、例えば、みかんなどの柑橘類を測定する場合においても、柑橘類の表面を破壊することなく、柑橘類に対して触れる程度の当接によって正確な浮皮の測定が可能である。
【0071】
さらに、センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、グラフのセンサー出力のピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間と終点時間との間の時間幅を算出すると共に、第1センサー出力および第2センサー出力をX−Yプロットしたグラフから傾きを算出し、これらの時間幅および傾きを変数とした回帰式から浮皮識別データ値を得るようにしたので、青果物の実と皮のそれぞれの状態を充分に反映した正確な識別が可能である。
【0072】
本発明によれば、例えば、青果類の選果場において、選果場のコンベアの上につけて全ての青果類を全数検査して品質管理をすることによって、全ての青果類に対して浮皮計測が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明の青果類の浮皮識別装置の概略正面図、図2は、図1の青果類の浮皮識別装置を矢印方向から見た概略図、図3は、センサー部材の拡大図、図4は、図1の青果類の浮皮識別装置の使用状態を示す概略図である。
【0074】
図1から図3において、10は全体で本発明の青果類の浮皮識別装置を示している。
なお、本発明において浮皮とは、被測定青果類の果皮と果肉との間に隙間を生じ果皮の膨らんだ状態や、果皮がもろくなった状態のことを示しており、被測定青果類の品質が低下した状態も含まれるものである。
【0075】
また、本発明において、「青果類」とは、このような浮皮が生じるおそれがある、例えば、みかんなどの柑橘類などの果実、その他の果実、野菜などの全ての青果類を含み意味である。
【0076】
また、本発明において、「浮皮を識別する」とは、浮皮の有無を識別すること、浮皮の程度、例えば、軽浮き、重浮きなどを識別することなどを含む意味である。
図1に示したように浮皮識別装置10は、図示しない軸支機構に軸支された回動軸12を備えており、この回動軸12にアーム部材14が、回動軸12の回転に伴って回動するように固定されている。そしてアーム部材14には、その先端にセンサー部材16が装着されている。
【0077】
このセンサー部材16には、例えば果実、野菜などの被測定青果類Bに当接する部分に接触部材18が備えられている。
また図4に示したように、センサー部材16の内部には、接触部材18側に第1センサーS1が設けられるとともに、この第1センサーS1と感度軸をそろえて配置した第2センサーS2が配置されている。
【0078】
この場合、これらの第1センサーS1と第2センサーS2とは、接触部材18の当接面20側に感度方向が位置するように配置されている。
一方、回動軸12には、回動駆動機構としてステッピングモータ22が回動軸12を回転するように装着されているとともに、その反対側に回動軸12の回動角度、すなわちセンサー部材16の回転角度を検出するためのエンコーダー24が装着されている。
【0079】
さらに、これらの第1センサーS1、第2センサーS2、ステッピングモータ22、エンコーダー24は、CPUなどの被測定青果類Bの浮皮を識別するための制御機構である浮皮識別制御部26に接続されている。
【0080】
この場合、接触部材18としては、被測定青果類の硬さに応じて適切な硬さの材料から選択して適宜用いればよく、特に限定されるものではないが、経年変化がなく測定が安定するので、被測定青果類より硬い材料から構成するのが望ましい。
【0081】
このような接触部材18としては、例えば、被測定青果類が硬い果実であるリンゴである場合には、リンゴの硬さ以上の硬さとなるように、例えばゴムの硬さ70(JIS K6253、単位なし)程度の硬さとするのが好ましい。
【0082】
このような材料としては、例えばポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。
また、接触部材18の当接面20は、被測定青果類Bに当接した際に、例えばリンゴなどのつるつるの表面で、センサー部材16が滑って正確な測定ができないのを防止するとともに、被測定青果類の表面が損傷しないように微小な凹凸を有するのが望ましい。
【0083】
このような微小な凹凸としては、特に限定されるものではないが、Rを有する微小な球形状とするのが望ましく、好ましくは半径が5〜40mmの球形状とするのが望ましい。
このように、回動駆動機構としてステッピングモータ22を用いることによって、センサー部材16を被測定青果類Bに対して所定速度で当接させるので、初速から終速まで一定であるので、被測定青果類Bの大きさに関係なく測定できるとともに、第1センサーS1による第1センサー出力と、第2センサーS2による第2センサー出力を安定して得ることができ、正確な浮皮測定が可能である。
【0084】
この場合、本発明において、「所定速度」とは、初速から終速まで一定である場合の他、初速から終速までを段階的に変化させる速度、初速から終速まで一様に変化させる速度などあらゆる所定の速度を含んだ意味である。
【0085】
また、この場合、浮皮識別制御部26によって、センサー部材駆動機構であるステッピングモータ22を制御して、被測定青果類Bの種類、大きさ、例えば、果実の種類(品種)、大きさによって、センサー部材16の被測定青果類Bに対して当接する速度を制御するのが好ましい。なお、被測定青果類Bに対するセンサー部材16の当接速度は、一定の速度であっても良いし、可変であっても良いものである。
【0086】
例えば、被測定青果類Bが、モモ、イチゴなどの傷つきやすい果実(品種)である場合には、センサー部材16の被測定青果類Bに対して当接する速度を遅くすることによって、被測定青果類Bにセンサー部材16が弱い力で当接することになり、このような傷つきやすい青果類が損傷するのを保護することができる。
【0087】
逆に、例えば被測定青果類Bが、リンゴ、ナシなどの硬い果実である場合には、センサー部材16の被測定青果類Bに対して当接する速度を早くすることによって、被測定青果
類Bにセンサー部材16が強い力で当接することになり、高感度に捕らえることができる。
【0088】
さらに、例えば被測定青果類Bのサイズが大きい場合には、一定の当接速度を遅く(当接力を弱く)し、被測定青果類Bのサイズが小さい場合には、一定の当接速度を早く(当接力を強く)することによって測定精度を向上することができる。
【0089】
さらに、浮皮識別制御部26によって、センサー部材駆動機構であるステッピングモータ22を制御して、センサー部材16の被測定青果類Bに対して当接する際の速度と、被測定青果類Bから離間する際の速度とを変更することができるようにするのが望ましい。
【0090】
このように、センサー部材16の被測定青果類Bに対して当接する際の速度と、被測定青果類Bから離間する際の速度とを変更することによって、例えば被測定青果類Bに対して当接する際(往路)の速度よりも、被測定青果類Bから離間する際(復路)の速度を高速にすることによって、被測定青果類B、例えばみかんなどの柑橘類を傷つけずに処理能力(時間あたりの測定回数)を向上することができる。
【0091】
また、浮皮識別制御部26によって、センサー部材駆動機構であるステッピングモータ22を制御して、センサー部材16が被測定青果類Bから離間して、当接開始位置に復帰する位置近傍での速度が遅くなるように制御するのが望ましい。
【0092】
このように構成することによって、センサー部材16が被測定青果類Bから離間する際(復路)に、復路の最後の速度を遅くすることができ、ブレーキとして機能するので、センサーの衝撃を緩和することができるので、センサーの寿命をのばすことができる。
【0093】
さらに、回動軸12の回動角度、すなわち、センサー部材16の回転角度を検出するためのエンコーダー24を備えているので、図4の鎖線で示したように、センサー部材16が被測定青果類に当接した状態の当接点(接触点)の角度から被測定青果類Bの寸法を測定することができ、この被測定青果類Bの寸法を浮皮データの補正に利用することができ、より正確な浮皮測定を実施することができる。
【0094】
本実施例では、第1センサーS1と第2センサーS2とは、感度の異なる2つのセンサーから構成されている。このような感度の異なる2つの第1センサーS1と第2センサーS2としては、センサーの種類が異なるセンサーから構成されているのが好ましい。
【0095】
すなわち、第1センサーS1、第2センサーS2として、加速度センサーと加重センサーを用いることによって浮皮を識別するので、センサー部材16が被測定青果類Bに当接する強さや角度に関係なく、安定して測定できる。
【0096】
従って、センサー部材16を被測定青果類Bに当接させる強さを、触れる程度まで弱めても測定が可能であるので、破損損傷しやすいみかんなどの柑橘類を測定する場合においても、柑橘類の表面を破壊することなく、柑橘類に対して触れる程度の当接によって、正確な浮皮の測定が可能である。
【0097】
このように構成される浮皮識別装置10は、図4に示したように、浮皮識別制御部26からの制御によってステッピングモータ22を駆動し、初期位置から図4の矢印で示したように、被測定青果類Bに接近する方向に所定の速度でアーム部材14が回動することによって、その先端の接触部材18の当接面20が被測定青果類Bに当接するようになっている。
【0098】
この当接の際に、センサー部材16の内部に配置した第1センサーS1による第1センサー出力と、第2センサーS2による第2センサー出力とによって、被測定青果類Bの浮皮を識別するようになっている。
【0099】
このように構成することによって、センサー部材16に感度軸をそろえて、感度の異なる2つの第1センサーS1と第2センサーS2とが配置されているので、これらのセンサーS1、S2が被測定青果類Bに対して当接する強さの違い、角度の違いがなく測定条件が同一であるため、第1センサーS1による第1センサー出力と、第2センサーS2による第2センサー出力は、測定条件が異なることなく、測定毎に測定誤差がなく、安定して正確な浮皮測定が可能である。
【0100】
以下に、このような浮皮識別装置10を用いた被測定青果類Bの浮皮の識別方法について説明する。
なお、特に言及しないが、被測定青果類Bに対する浮皮の識別は、浮皮識別制御部26において自動的に演算処理されるようになっている。
【0101】
また、この浮皮の識別方法の実施例においては、被測定青果類Bとしてみかんを測定し、図1〜図4の浮皮識別装置10を用いて浮皮の識別をおこなったものである。
1.センサー出力(応力)のピークの時間幅による第1の変数αの導出
(1)加重センサーを用いた場合
図5および図6は、第1センサー(加重センサー)S1による第1センサー出力(加重センサー出力)と、第2センサー(加速度センサー)S2による第2センサー出力(加速度センサー出力)を可視化するために表したグラフである。図5は、正常な被測定青果類を測定した場合、図6は、浮皮を有する被測定青果類を測定した場合について示している。
【0102】
この実施例では、図5および図6に示したように、得られた第1センサー出力(加重センサー出力)と、第2センサー出力(加速度センサー出力)は、5KHzごと得られた電圧(V)データであり、このデータは浮皮識別装置10の浮皮識別制御部26に送られるようになっている。
【0103】
また、ピーク値Pがセンサー出力の「100」を示しているカーブが第2センサー出力(加速度センサー出力)、他方のなだらかなカーブが第1センサー出力(加重センサー出力)である。
【0104】
なお、浮皮識別制御部26に送られる電圧(V)データは、5KHzごとに限定されるものではなく、他にも、例えば、10KHzごとなど、浮皮識別装置10の構成や、浮皮識別制御部26の性能、被測定青果類の大きさ、種類などに応じて適宜変更が可能ある。
【0105】
この際、5KHzごとに得られた第1センサー出力(加重センサー出力)と、第2センサー出力(加速度センサー出力)とは、第2センサー出力(加速度センサー出力)による5KHzごとの電圧(V)の値のピーク値Pが「100」となるよう、浮皮識別制御部26内で予め数値換算が行われている。なお、数値換算されたY軸の値をセンサー出力値とする。
【0106】
このように時間−センサー出力の関係のグラフのセンサー出力のピーク値を100とすることによって、下記のように、所定の割合のセンサー出力となる始点時間と終点時間との間の時間幅を算出することが容易となり、さらに瞬時にかつ正確に浮皮を識別することができる。
【0107】
このような数値換算は、例えば、第2センサー出力(加速度センサー出力)による電圧(V)ピーク値Pが4(V)であった場合、この値を「100」とすれば、他の値は100/4(V)=25であるため、各数値に対して、25倍することにより、数値換算することができる。
【0108】
このように、数値換算された第1センサー(加重センサー)S1による第1センサー出力(加重センサー出力)と、第2センサー(加速度センサー)S2による第2センサー出力(加速度センサー出力)が、個々の被測定青果類に対して行われ、得られた数値が浮皮識別制御部26内に蓄積されることとなる。
【0109】
そして、この実施例では、このうち、第1センサー(加重センサー)S1による第1センサー出力(加重センサー出力)を用いて浮皮の識別を行う。
すなわち、図5に示したように、正常な被測定青果類に対して、第1センサー(加重センサー)S1のセンサー出力のピーク値P1に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、始点時間S1(4220)(単位:×0.05msec)とする。
【0110】
一方、第1センサー(加重センサー)S1のセンサー出力のピーク値P1に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、終点時間E1(4718)(単位:×0.05msec)とする。
【0111】
そして、この始点時間S1と終点時間E1との間の時間幅T1を算出する。この実施例では、T1=4718−4220=498(単位:×0.05msec)となる。このT1に応じた量が、第1の変数αとなる。
【0112】
また、同様にして、図6に示したように、浮皮を有する被測定青果類に対して、第1センサー(加重センサー)S1のセンサー出力のピーク値P2に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、始点時間S2(5124)(単位:×0.05msec)とする。
【0113】
一方、第1センサー(加重センサー)S1のセンサー出力のピーク値P2に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、終点時間E2(4341)(単位:×0.05msec)とする。
【0114】
そして、この始点時間S2と終点時間E2との間の時間幅T2を導出する。この実施例では、T2=5124−4341=783(単位:×0.05msec)となる。このT2に応じた量が、第1の変数αとなる。
【0115】
なお、始点時間Sおよび終点時間Eは、上記の値に限定されるものではなく、計測結果に比較的多量のノイズが含まれる場合には、始点時間Sを、例えば、3/16(18.8%)としたりするなど、計測環境、被測定青果類Bの種類などに応じて適宜変更が可能である。
【0116】
このように加重センサーによるセンサー出力を用いることによって、加重センサーにより、センサー部材によって青果類の皮に加重をかけている状態が正確に再現されるので、正確に浮皮を識別することができる。
(2)加速度センサーを用いた場合
この実施例では、第2センサー(加速度センサー)S2による第2センサー出力(加速度センサー出力)を用いて、第1の変数αを導出する。なお、基本的には、上記の(1)と同様な方法を用いて行えばよい。
【0117】
すなわち、図7に示したように、正常な被測定青果類に対して、第2センサー(加速度センサー)S2のセンサー出力のピーク値P3に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、始点時間S3(4610)(単位:×0.05msec)とする。
【0118】
一方、第2センサー(加速度センサー)S2のセンサー出力のピーク値P1に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、終点時間E3(4174)(単位:×0.05msec)とする。
【0119】
そして、この始点時間S3と終点時間E3との間の時間幅T3を算出する。この実施例では、T3=4610−4174=436(単位:×0.05msec)となる。このT3に応じた量が、第1の変数αとなる。
【0120】
また、同様にして、図8に示したように、浮皮を有する被測定青果類に対して、第2センサー(加速度センサー)S2のセンサー出力のピーク値P4に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、始点時間S4(4936)(単位:×0.05msec)とする。
【0121】
一方、第2センサー(加速度センサー)S2のセンサー出力のピーク値P4に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、終点時間E4(4259)(単位:×0.05msec)とする。
【0122】
そして、この始点時間S2と終点時間E2との間の時間幅T4を導出する。この実施例では、T4=4936−4259=677(単位:×0.05msec)となる。このT4に応じた量が、第1の変数αとなる。
【0123】
このように加速度センサーによるセンサー出力を用いることによって、瞬間的にセンサー出力が得られるので、青果類の果実自体の柔らかさに左右されることなく、浮皮の状態を正確に把握することができる。
(3)始点時間に加速度センサー出力を用い、終点時間に加重センサー出力を用いた場合
この実施例では、第2センサー(加速度センサー)S2による第2センサー出力(加速度センサー出力)を用いて、始点時間を算出するとともに、第1センサー(加重センサー)S1による第1センサー出力(加重センサー出力)を用いて、終点時間を算出して、これらの始点時間と終点時間との間の時間幅浮皮の識別を行うものである。なお、基本的には、上記の(1)、(2)と同様な方法を用いて行えばよい。
【0124】
すなわち、図9に示したように、正常な被測定青果類に対して、第2センサー(加速度センサー)S2のセンサー出力のピーク値P5に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、始点時間S5(4174)(単位:×0.05msec)とする。
【0125】
一方、第1センサー(加重センサー)S1のセンサー出力のピーク値P6に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、終点時間E5(4718)(単位:×0.05msec)とする。
【0126】
そして、この始点時間S5と終点時間E5との間の時間幅T5を算出する。この実施例では、T5=4718−4174=544(単位:×0.05msec)となる。このT5に応じた量が、第1の変数αとなる。
【0127】
また、同様にして、図10に示したように、浮皮を有する被測定青果類に対して、第2センサー(加速度センサー)S2のセンサー出力のピーク値P6に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、始点時間S6(4259)(単位:×0.05msec)とする。
【0128】
一方、第1センサー(加重センサー)S1のセンサー出力のピーク値P7に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、終点時間E6(5124)(単位:×0.05msec)とする。
【0129】
そして、この始点時間S6と終点時間E6との間の時間幅T6を算出する。この実施例では、T6=5124−4259=865(単位:×0.05msec)となる。このT6に応じた量が、第1の変数αとなる。
【0130】
このように、瞬間的な応答性が良好で、かつ、青果類の果実自体の柔らかさに左右されることなく浮皮の状態を再現可能な加速度センサーを、始点時間を決定するために用いることによって、加速度センサーの時間−センサー出力の関係のグラフの立ち上がり状態が比較的急激であるので、始点時間を迅速かつ正確に決定することができる。
【0131】
そして、センサー部材によって、青果類の皮に加重をかけている状態が正確に再現される加重センサーを、終点時間を決定するために用いることによって、加重センサーの時間−センサー出力の関係のグラフの降下状態が緩慢であるので、終点時間を迅速かつ正確に決定することができる。
【0132】
従って、青果類の果実自体の柔らかさに左右されることなく、浮皮の状態を正確に把握することができ、所定の割合のセンサー出力となる始点時間と終点時間との間の時間幅を算出することが容易となる。
(4)始点時間に加重センサー出力を用い、終点時間に加速度センサー出力を用いた場合
この実施例では、第1センサー(加重センサー)S1による第1センサー出力(加重センサー出力)を用いて、始点時間を算出するとともに、第2センサー(加速度センサー)S2による第2センサー出力(加速度センサー出力)を用いて、終点時間を算出して、これらの始点時間と終点時間との間の時間幅浮皮の識別を行うものである。なお、基本的には、上記の(1)、(2)、(3)と同様な方法を用いて行えばよい。
【0133】
すなわち、図11に示したように、正常な被測定青果類に対して、第1センサー(加重センサー)S1のセンサー出力のピーク値P7に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、始点時間S7(4220)(単位:×0.05msec)とする。
【0134】
一方、第2センサー(加速度センサー)S2のセンサー出力のピーク値P8に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、終点時間E7(4610)(単位:×0.05msec)とする。
【0135】
そして、この始点時間S7と終点時間E7との間の時間幅T7を算出する。この実施例では、T7=4610−4220=390(単位:×0.05msec)となる。このT7に応じた量が、第1の変数αとなる。
【0136】
また、同様にして、図12に示したように、浮皮を有する被測定青果類に対して、第1センサー(加重センサー)S1のセンサー出力のピーク値P9に対して、所定の割合のセンサー出力(応力)となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、始点時間S8(4341)(単位:×0.05msec)とする。
【0137】
一方、第2センサー(加速度センサー)S2のセンサー出力のピーク値P10に対して、所定の割合のセンサー出力となる点、すなわち、この実施例では、例えば、2/16(12.5%)の点を、終点時間E8(4936)(単位:×0.05msec)とする。
【0138】
そして、この始点時間S8と終点時間E8との間の時間幅T8を算出する。この実施例では、T8=4936−4341=595(単位:×0.05msec)となる。このT8に応じた量が、第1の変数αとなる。
【0139】
このように、加重センサーを、始点時間を決定するために用い、加速度センサーを終点時間を決定するために用いることも可能である。
2.第1センサー出力と第2センサー出力によるX−Yプロットデータの傾きによる第2の変数βの導出
図13および図14は、第1センサー(加重センサー)S1による第1センサー出力(加重センサー出力)と、第2センサー(加速度センサー)S2による第2センサー出力(加速度センサー出力)を可視化するために表したグラフであり、図13は正常な被測定青果類を測定した場合、図14は浮皮を有する被測定青果類を測定した場合を表す。なお、これらのグラフは図5〜図12と同様のものである。
【0140】
前述したように、図13および図14において、計測により得られた第1センサー出力(加重センサー出力)と、第2センサー出力(加速度センサー出力)は、5KHzごと得られた電圧(V)データであり、このデータは浮皮識別装置10の浮皮識別制御部26に送られるようになっている。
【0141】
また、ピーク値Tがセンサー出力の「100」を示しているカーブが第2センサー出力(加速度センサー出力)、他方のなだらかなカーブが第1センサー出力(加重センサー出力)である。
【0142】
なお、浮皮識別制御部26に送られる電圧(V)データは、5KHzごとに限定されるものではなく、他にも例えば10KHzごとなど、浮皮識別装置10の構成や、浮皮識別制御部26の性能、被測定青果類の大きさ、種類などに応じて適宜変更が可能ある。
【0143】
この際、5KHzごとに得られた第1センサー出力(加重センサー出力)と、第2センサー出力(加速度センサー出力)とは、第2センサー出力(加速度センサー出力)による5KHzごとの電圧(V)の値のピーク値Tが「100」となるよう、浮皮識別制御部26内で予め数値換算が行われている。なお、数値換算されたY軸の値をセンサー出力値とする。
【0144】
このような数値換算は、例えば第2センサー出力(加速度センサー出力)による電圧(V)ピーク値Tが4(V)であった場合、この値を「100」とすれば、他の値は100/4(V)=25であるため、各数値に対して、25倍することにより、数値換算することができる。
【0145】
このように、数値換算された第1センサー(加重センサー)S1による第1センサー出力(加重センサー出力)と、第2センサー(加速度センサー)S2による第2センサー出力(加速度センサー出力)が、個々の被測定青果類に対して行われ、得られた数値が浮皮識別制御部26内に蓄積されることとなる。
【0146】
さらに、数値換算が行われた第1センサー出力(加重センサー出力)と、第2センサー出力(加速度センサー出力)の両センサー出力値を抽出し、図15および図16に示した
ように、X軸に第1センサー出力(加重センサー出力)のセンサー出力値、Y軸に第2センサー出力(加速度センサー出力)のセンサー出力値を対応させたX−Yグラフを作成する。
【0147】
なお、本実施例では、図13および図14に示した第1センサー出力(加重センサー出力)と、第2センサー出力(加速度センサー出力)をそのまま数値換算して、図15および図16に示したX軸とY軸に対応(1個目の第1センサー出力(加重センサー出力)と1個目の第2センサー出力(加速度センサー出力)が対応)させX−Yグラフを作成しているが、例えば、1個目の第1センサー出力(加重センサー出力)と10個目の第2センサー出力(加速度センサー出力)が対応するよう、第1センサー出力(加重センサー出力)と第2センサー出力(加速度センサー出力)をずらしてX−Yグラフを作成してもよい。
【0148】
そして、第2センサー出力(加速度センサー出力)のピーク値Tに対して1/16(6.25%)の点を開始点S、9/16(56.25%)の点を終了点Eとして、2点間の傾きを求める。なお、開始点Sおよび終了点Eはこれに限定されるものではなく、計測結果に比較的多量のノイズが含まれる場合には、開始点Sを例えば2/16(12.5%)としたりするなど、計測環境、被測定青果類Bの種類などに応じて適宜変更が可能である。
【0149】
なお、この傾きRは、図16に示した浮皮を有する被測定青果類のX−Yグラフを例にすれば、以下のようにして求めることができる。
R=tan-1(Yの増加量/Xの増加量)×(360/π)−90・・・(式1)
Yの増加量=100×(9/16)−100×(1/16)
Xの増加量=(8.87−0)+5
(「+5」はX軸とY軸の比により異なるものである。)
R=58.99°
このようにして得られた傾き(角度)に応じた量が、第2の変数βとなる。
【0150】
以上のようにして得られた第1の変数αおよび第2の変数βから、下記式(I):
C=K0 +K1α+K2β (I)
(ここで、Cは浮皮識別データ値、K0 、K1 およびK2 は係数を示す。)
によって浮皮識別データ値を得る。
【0151】
すなわち、回帰式を得るための多数のサンプルについて、上記の測定を行い第1の変数αおよび第2の変数βを導出するとともに、予め目視等にて浮皮の度合いを数値化し、これらのサンプルのデータに基づいて、重回帰分析、主成分回帰分析、PLS回帰分析等による多変量解析を行い、浮皮識別データ値についての回帰式が算出される。この回帰式は、浮皮識別制御部26に予め設定されている。例えば、上記式(I)から得られた推定値
と、目視等により決定された浮皮の度合いを示す数値との相関係数が最も高くなるように、通常用いられる多変量解析手法によりK0、K1、K2の値を決定する。
【0152】
この回帰式に、計測により得られた第1の変数αおよび第2の変数βを代入することで浮皮識別データ値Cが得られる。このようにして得られた浮皮識別データ値Cを、図17に示したように、予め目視により識別された正常、浮皮、軽浮の被測定青果類Bの頻度分布を表したヒストグラムから決められた閾値と比較して、正常、浮皮のいずれであるかを識別することができるようになっている。
【0153】
この閾値の設定は、例えば、時間幅Tの値をそのまま使用したり、浮皮値Uの閾値を、市場の動向、消費者ニーズ、青果類の品質の指定などに応じて行えばよく、特に限定され
るものではない。
【0154】
図18は、本発明の浮皮識別装置10の別の実施例を示す概略図である。
この実施例の浮皮識別装置10は、基本的には、図1〜図4に示した実施例と同様な構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0155】
この実施例の浮皮識別装置10は、図18に示したように、センサー部材駆動機構であるステッピングモータ22によって、センサー部材16が被測定青果類Bから離間して、当接開始位置に復帰する位置(図18の実線の位置)に、センサー部材16の衝撃を吸収する、衝撃吸収部材28が配置されている。
【0156】
この場合、衝撃吸収部材28としては、衝撃を吸収できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、スポンジ、ゴム、発泡スチロール、バネなどの弾性部材から構成することができる。
【0157】
このように構成することによって、センサー部材16が被測定青果類Bから離間する際(復路)に、当接開始位置に復帰する位置で、例えば、スポンジ、ゴムなどの衝撃吸収部材28によってセンサー部材16の衝撃を吸収することができる。
【0158】
しかも、ブレーキとして機能するので、センサーの衝撃を緩和しセンサーの寿命をのばすことができるとともに、連続測定を行う際に安定性が向上し、正確な浮皮の識別が可能である。
【0159】
また、この実施例の浮皮識別装置10は、図18に示したように、センサー部材16が被測定青果類Bから離間して、当接開始位置に復帰する位置(図18の実線の位置)に、センサー部材16を保持する保持機構30を備えている。
【0160】
このような保持機構30は、例えば、電磁石を用いることによって、センサー部材16が被測定青果類Bから離間する際(復路)に通電することによって、当接開始位置に復帰する位置でセンサー部材16を保持することができる。
【0161】
これにより、センサー部材16が慣性力によってバウンドするのを防止することができ、センサー部材の寿命を向上できる。
しかも、被測定青果類Bに対して当接する際(往路)に、この保持機構30による保持を解除する(通電を解除する)ことによって、連続的に安定して浮皮の識別が可能である。
【0162】
このような保持機構30は、特に限定されるものではなく、上記の電磁石以外にも、例えば、チャックによってアーム部材14を保持するような構成であっても構わない。
また、この実施例では、衝撃吸収部材28を保持機構30側に配置したが、センサー部材16の当接面20側と反対側に、衝撃吸収部材28を付設することも可能である。
【0163】
なお、センサー部材16が被測定青果類Bの方向へ振り出して戻ってきた際に、センサー部材16が衝撃吸収部材28を押圧したときのセンサー出力の値を時折チェックすることで、装置の故障診断およびコンディションのチェックを行っている。
【0164】
図19は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略図である。
この実施例の浮皮識別装置10は、基本的には図1〜4に示した実施例と同様な構成であるので、同じ構成部材には同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0165】
この実施例の浮皮識別装置10は、図19に示したように、2つの浮皮識別装置10が被測定青果類Bの両側方に配置されている。
これにより2面測定が可能であり、被測定青果類に対して被測定青果類の多面における浮皮を同時に測定することができ、被測定青果類の浮皮を正確に測定することができる。
【0166】
なお、この実施例の場合には、2つの浮皮識別装置10を被測定青果類Bの側方に配置したが、この数は特に限定されるものではなく、例えば被測定青果類Bの側方の4面から測定できるように、4つの浮皮識別装置10を90°づつ離間して配置するなど適宜変更可能である。
【0167】
図20は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略図、図21は、図20のA方向矢視図である。
この実施例の浮皮識別装置10は、基本的には図19に示した実施例と同様な構成であるので、同じ構成部材には同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0168】
この実施例の浮皮識別装置10は、図21に示したように、図19の実施例と同様に、2つの浮皮識別装置10が被測定青果類Bの両側方に配置されている。
また、この実施例の浮皮識別装置10は、図20(a)に示したように、被測定青果類Bがコンベアなどの搬送装置32によって連続的に搬送されるトレイ34上に、例えば果実などの被測定青果類Bが収容されている。
【0169】
この場合、図20(b)および図13に示したように、連続して搬送装置32上を搬送されてくる被測定青果類Bに対して、搬送装置32を介して対峙した位置にセンサー部材16が設けられており、被測定青果類Bが搬送されてくると、被測定青果類Bの両側方に当接するように構成されている。
【0170】
そして、図示しない、例えば光電管などの検出センサーによって、トレイ34に収容され搬送装置32によって搬送されてくる被測定青果類Bが検知された際に、浮皮識別装置10が作動して連続的に被測定青果類Bの浮皮を測定するようになっている。
【0171】
このように構成することによって、連続して搬送されてくる被測定青果類Bの浮皮を正確に測定することができる。
また、図22に示したように、連続して搬送装置32上を搬送されてくる被測定青果類Bに対して複数のセンサー部材16、16が、搬送方向に一定間隔離間した位置で搬送方向に対して左右の位置から交互に被測定青果類Bに対して当接するようにしても良い。
【0172】
このように構成することによって、複数のセンサー部材16、16が搬送方向に一定間隔離間した位置で、搬送方向に対して左右の位置から交互に被測定青果類Bに対して接して浮皮を測定するので、連続して搬送されてくる被測定青果類Bの浮皮を測定漏れもなく正確に測定でき、さらに測定精度、測定効率が向上する。
【0173】
また、これにより同時に複数のセンサー部材16、16が被測定青果類に対して当接することがないので、センサー同士の干渉がなくなり正確に浮皮の識別を行うことができる。
【0174】
さらに、図23に示したように、例えば連続して搬送装置32上を搬送されてくる奇数番号の被測定青果類B1に対してはセンサー部材16aが当接し、偶数番号の被測定青果類B2に対してはセンサー部材16bが当接するようにし、これによって浮皮の識別を行ってもよい。
【0175】
このように構成すれば、搬送装置32の搬送スピードを上げても、センサー部材16a、16bを被測定青果類B1、B2に当接させることができ、多量の被測定青果類を測定漏れを生ずることなく確実に浮皮の識別を行うことができる。
【0176】
図24は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略図、図25は、図24のA方向矢視図、図26は、図25の部分拡大図、図27は、図26のB方向矢視図、図28は、基準浮皮部材の正面図、図29は、図28の基準浮皮部材の下面図である。
【0177】
この実施例の浮皮識別装置100は、基本的には上記した実施例と同様な構成であるので、同じ構成部材には同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
この実施例の浮皮識別装置100では図24に示したように、基台フレーム102上にコンベア104が配置されている。
【0178】
そして、このコンベア104の上方に位置するように、略箱型形状の浮皮測定機構106が取り付け脚部材108によって基台フレーム102に固定されている。
また浮皮測定機構106には、その上方部分に浮皮識別制御部26が配置されている。
【0179】
さらに、コンベア104の下流側には、コンベアの104を駆動する駆動モータ(図示
せず)の回転軸の回転数を測定するエンコーダー110が配置されているとともに、コン
ベア104の下流端側には被測定青果類Bを排出するためのシュート112が付設されている。
【0180】
そして図20の実施例と同様に、被測定青果類Bがコンベア104によって連続的に搬送されるトレイ34上に、例えば果実などの被測定青果類Bが収容されている。
また、光電管などの検出センサー(図示せず)によって、トレイ34に収容されコンベア104によって搬送されてくる被測定青果類Bが検知された際に、浮皮識別装置10が作動して連続的に被測定青果類Bの浮皮を測定するようになっている。
【0181】
一方、浮皮測定機構106には、図25および図26に示したように、コンベア104上を搬送されてくる被測定青果類Bの通路を構成する開口部114が下方に形成されている。
【0182】
そして、図26および図27に示したように、開口部114をはさんで2つの浮皮識別装置10が、被測定青果類Bの両側方に位置するように配置されている。
これらの浮皮識別装置10は、図1に示した浮皮識別装置10と同様な構成であって、図26および図27に示したように、ステッピングモータ22が回動軸12を回転するように装着されているとともに、その反対側に回動軸12の回動角度、すなわちセンサー部材16の回転角度を検出するためのエンコーダー24が装着されている。
【0183】
また、これらの浮皮識別装置10には、図18の実施例と同様にセンサー部材16の衝撃を吸収する衝撃吸収部材28、被測定青果類Bから離間して当接開始位置に復帰する位置に、センサー部材16を保持する保持機構30を備えている。
【0184】
なお、この実施例では、衝撃吸収部材28をセンサー部材16の当接面20側と反対側に衝撃吸収部材28を付設している。また、衝撃吸収部材28を保持機構30側に配置することも可能である。
【0185】
浮皮測定機構106には、図25および図26に示したように、上下方向に配設したガイドレール116に案内され、駆動モータ118によって、図25から図27の矢印で示したように、上下方向に昇降自在な基準硬度装置120が配設されている。
【0186】
この基準硬度装置120には図28および図29に示したように、硬度の異なる複数の(この実施例では、4つの)基準浮皮部材126が円筒形状に組み立てられた基準浮皮組立体128を備えている。
【0187】
そして、この基準浮皮組立体128は、回転駆動モータ122の回転軸124に連結されており、回転することによって、任意の硬さの基準浮皮部材126が、浮皮識別装置10のアーム部材14先端のセンサー部材16と当接するようになっている。
【0188】
なお図28および図29は、基準浮皮部材126が、円筒形状に組み立てられた基準浮皮組立体128としたが、図示しないが四角柱状に組み立てられた基準浮皮組立体128とすることによって、センサー部材16が当接して基準硬度の硬度データが正確に測定できるので望ましい。
【0189】
このように構成することによって、センサー部材16が、所定の基準硬度を有する基準浮皮部材126に当接して、基準浮皮部材126の硬度データに基づいて、浮皮測定データの校正を行うので、経時変化による変動を補正することができ、より正確に浮皮の識別を行うことができる。
【0190】
また、この基準浮皮部材126には、基準浮皮部材126の温度を測定する測温装置(図示せず)を備えていてもよい。
このようにすることによって、基準浮皮部材126の温度を測定する測温装置による基準浮皮部材126の温度データに基づいて、浮皮測定データの校正を行うので、基準浮皮部材自体の温度特性を考慮することができるので、例えば室内や農園地などの環境温度によって影響されることがなく、正確に浮皮を識別することができる。
【0191】
なおこの場合、図30に示したように、浮皮識別装置10においてアーム部材14を弾性を有する材料で構成するとともに、外方に略「く」の字形状に屈曲させてある程度弾性力を持たせるようにしてもよい。
【0192】
このように構成することによって、被測定青果類Bが柔らかく傷つきやすい青果類である場合に、当接による衝撃で被測定青果類が破損損傷するのを効果的に防止することができる。
【0193】
なお、この実施例では、基準硬度装置120を上下方向に昇降自在としたが、その逆に、基準硬度装置120を上下に移動不能として、振り下げ機構である浮皮識別装置10を上下方向に移動するようにして、基準浮皮部材126にセンサー部材16が当接できるようにしてもよい。
【0194】
さらに、基準硬度装置120と浮皮識別装置10の両方を相対的に上下に移動できるようにしてもよい。
また図示しないが、連続して搬送装置であるコンベア104上を搬送されてくる被測定青果類Bに対して、センサー部材16が当接する上流側の位置に、被測定青果類Bの大きさを測定する、例えばフォトセンサーからなる寸法測定装置を配置して、この寸法測定装置で測定した被測定青果類Bの寸法データに基づいて、センサー部材駆動機構によるセンサー部材16の被測定青果類Bに対する当接開始タイミングを制御するようにしても良い。
【0195】
すなわち、センサー部材16を振り下げて当接させるタイプの浮皮識別装置10では、例えば、小さい被測定青果類(みかん)と大きい被測定青果類(みかん)とでは、振り角
が違うため、センサー部材16が動き始めてから被測定青果類Bに当接するまでの時間が違うことになる。
【0196】
このため、センサー部材16が当接する上流側の位置に、被測定青果類Bの大きさを測定する寸法測定装置として、例えばフォトセンサーを配置して、この寸法測定装置によって被測定青果類Bの寸法データを計算して振り下げトリガー(当接開始タイミング)を設定するようになっている。
【0197】
すなわち、フォトセンサーのさえぎっている時間は、被測定青果類の大きさであるので長くさえぎっている時には、大きい被測定青果類であるので、振り下げトリガーは遅くてよく、短い時には小さい被測定青果類であるので早めに振りさげを開始するように制御するようになっている。
【0198】
これによって、測定条件が同一となって、第1センサーS1による第1センサー出力と、第2センサーS2による第2センサー出力は、測定条件が異なることなく測定毎に測定誤差がなく、安定して正確に浮皮の識別を行うことができる。
【0199】
この場合、振り下げ機構である浮皮識別装置10は、基準浮皮部材126の位置まで上昇することができるが、その途中で停止して夏みかんやメロンなどの大きな被測定青果類Bを測定するようにしてもよい。
【0200】
さらにこの際、振り下げ機構である浮皮識別装置10が上昇すると同時にフォトセンサーも上昇するようにして、フォトセンサーが常に振り下げ機構である浮皮識別装置10の当接位置の高さにあるようにするのが望ましい。
【0201】
すなわち、このようにすれば、センサー部材16の当接する高さの被測定青果類Bの幅を測って、被測定青果類Bのセンターに当接するように振り下げを開始することができるため、測定毎に測定誤差がなく安定して正確に浮皮の識別を行うことができる。
【0202】
図31は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略斜視図、図32は、図31の浮皮識別装置の作動状態を説明する概略図である。
この実施例の浮皮識別装置100は、基本的には上記した実施例と同様な構成であるので、同じ構成部材には同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0203】
この実施例の浮皮識別装置100では、図31に示したように、コンベアなどの搬送機構132の近傍の側方に、図示しないフレームなどの基台にボルトなどの締結部材134で固定した略三角形柱状の弾性部材136を備えている。
【0204】
この場合、弾性部材136としては弾性があれば良く、特に限定されるものではないが、例えばウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、これらの発泡樹脂、ウレタンゴムなどのゴム、弾性バネ部材などから構成することができる。
【0205】
そして、この弾性部材136の円弧状の当接面138の先端138aに、センサー部材16が装着されている。
このセンサー部材16には、図示しないが上記の実施例と同様に、第1センサーS1と感度軸をそろえて配置した第2センサーS2が配置されている。
【0206】
またこのセンサー部材16の基端部には、センサー部材16を被測定青果類Bに対して一定速度で当接させるセンサー部材駆動機構として振動発生装置140が装着されている。
【0207】
このような振動発生装置140としては、特に限定されるものではないが、ステッピングモータを正逆転するようにしたもの、回転モータの回転遠心力を利用するもの、電磁石の作用を利用するものなど、公知の振動発生装置を利用することができる。
【0208】
このような振動発生装置140の振動発生周波数としては、10〜100Hz、好ましくは、20〜60Hzとすることが望ましい。
このように構成することによって、図32に示したように、コンベアなどの搬送機構132上を被測定青果類Bが搬送されてくると、弾性部材136がその弾性力により屈曲して、円弧状の当接面138の先端138aに設けられたセンサー部材16が、被測定青果類Bに当接する。
【0209】
この際、振動発生装置140によってセンサー部材16を振動させ、揺動によってコンベアなどの搬送機構132上を連続的に搬送されてくる青果類などの被測定青果類Bに対して、一定の速度でセンサー部材16が連続的に当接することとなり、大量の青果類の浮皮の識別が可能となる。
【0210】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1】図1は、本発明の青果類の浮皮識別装置の概略正面図である。
【図2】図2は、図1の青果類の浮皮識別装置を矢印方向から見た概略図である。
【図3】図3は、センサー部材の拡大図である。
【図4】図4は、図1の青果類の浮皮識別装置の使用状態を示す概略図である。
【図5】図5は、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を可視化するために表した正常な被測定青果類のグラフである。
【図6】図6は、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を可視化するために表した浮皮を有する被測定青果類のグラフである。
【図7】図7は、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を可視化するために表した正常な被測定青果類のグラフである。
【図8】図8は、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を可視化するために表した浮皮を有する被測定青果類のグラフである。
【図9】図9は、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を可視化するために表した正常な被測定青果類のグラフである。
【図10】図10は、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を可視化するために表した浮皮を有する被測定青果類のグラフである。
【図11】図11は、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を可視化するために表した正常な被測定青果類のグラフである。
【図12】図12は、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を可視化するために表した浮皮を有する被測定青果類のグラフである。
【図13】図13は、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を可視化するために表した正常な被測定青果類のグラフである。
【図14】図14は、第1センサーによる第1センサー出力と、第2センサーによる第2センサー出力を可視化するために表した浮皮を有する被測定青果類のグラフである。
【図15】図15は、X軸に第1センサー出力(加重センサー出力)のセンサー出力値、Y軸に第2センサー出力(加速度センサー出力)のセンサー出力値を対応させた、正常な被測定青果類のX−Yグラフである。
【図16】図16は、X軸に第1センサー出力(加重センサー出力)のセンサー出力値、Y軸に第2センサー出力(加速度センサー出力)のセンサー出力値を対応させた、浮皮を有する被測定青果類のX−Yグラフである。
【図17】図17は、予め目視により識別された正常、浮皮、軽浮の被測定青果類Bの頻度分布を表したヒストグラムである。
【図18】図18は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略図である。
【図19】図19は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略図である。
【図20】図20は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略図である。
【図21】図21は、図20のA方向矢視図である。
【図22】図22は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略図である。
【図23】図23は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略図である。
【図24】図24は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略図である。
【図25】図25は、図24のA方向矢視図である。
【図26】図26は、図25の部分拡大図である。
【図27】図27は、図26のB方向矢視図である。
【図28】図28は、基準浮皮部材の正面図ある。
【図29】図29は、図28の基準浮皮部材の下面図である。
【図30】図30は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略図である。
【図31】図31は、本発明の浮皮識別装置の別の実施例を示す概略斜視図である。
【図32】図32は、図31の浮皮識別装置の作動状態を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0212】
10・・・浮皮識別装置
12・・・回動軸
14・・・アーム部材
16・・・センサー部材
16a・・センサー部材
16b・・センサー部材
18・・・接触部材
20・・・当接面
22・・・ステッピングモータ
24・・・エンコーダー
26・・・浮皮識別制御部
28・・・衝撃吸収部材
30・・・保持機構
32・・・搬送装置
34・・・トレイ
100・・・浮皮識別装置
102・・・基台フレーム
104・・・コンベア
106・・・浮皮測定機構
108・・・脚部材
110・・・エンコーダー
112・・・シュート
114・・・開口部
116・・・ガイドレール
118・・・駆動モータ
120・・・基準硬度装置
122・・・回転駆動モータ
124・・・回転軸
126・・・基準浮皮部材
128・・・基準浮皮組立体
132・・・搬送機構
134・・・締結部材
136・・・弾性部材
138a・・先端
138・・・当接面
140・・・振動発生装置
B・・・被測定青果類
B1・・被測定青果類
B2・・被測定青果類
E・・・終了点
S・・・開始点
S1・・センサー
S2・・センサー
T・・・ピーク値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果類の浮皮を識別する青果類の浮皮識別装置であって、
被測定青果類に対して所定の速度で当接させるセンサー部材と、
前記センサー部材に感度軸をそろえて配置した第1センサーおよび第2センサーと、
前記第1センサーおよび第2センサーの感度方向から前記被測定青果類に対して前記センサー部材を当接させることにより得られた、前記第1センサーによる第1センサー出力および前記第2センサーによる第2センサー出力によって、前記被測定青果類の浮皮を識別する浮皮識別制御部と、を備え、
前記浮皮識別制御部は、
前記第1センサー出力および/または第2センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、
前記グラフのセンサー出力のピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間と終点時間との間の時間幅を算出して、この時間幅に応じた変数を第1の変数αとし、
前記第1センサー出力と前記第2センサー出力とをそれぞれX−YグラフのX軸またはY軸にそれぞれ対応させてプロットすることによりプロットデータを得て、
さらに前記プロットデータの所望区間における傾きを得て、この傾きに応じた変数を第2の変数βとし、
下記式(I):
C=K0 +K1α+K2β (I)
(ここで、Cは浮皮識別データ値、K0 、K1 およびK2 は係数を示す。)
により前記被測定青果類の浮皮を識別するように構成されていることを特徴とする青果類の浮皮識別装置。
【請求項2】
前記浮皮識別制御部が、前記浮皮識別データ値が所定の閾値以下になった際に、浮皮が存在すると識別するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項3】
前記第1センサーと前記第2センサーの応答が互いに異なることを特徴とする請求項1または2に記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項4】
前記第1センサーと前記第2センサーのうち少なくとも一方が、加重センサー出力を行う加重センサーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項5】
前記第1センサーと前記第2センサーのうち少なくとも一方が、加速度センサー出力を行う加速度センサーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項6】
前記第1センサーおよび前記第2センサーは、加重センサー出力を行う加重センサーおよび、加速度センサー出力を行う加速度センサーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項7】
前記第1の変数αを得るためのセンサー出力が、加重センサーによるセンサー出力であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項8】
前記第1の変数αを得るためのセンサー出力が、加速度センサーによるセンサー出力であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項9】
前記浮皮識別制御部は、
前記加重センサー出力および加速度センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、
前記グラフのセンサー出力の加速度センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間を算出するとともに、
前記グラフのセンサー出力の加重センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる終点時間を算出して、
これらの始点時間と終点時間との間の時間幅を算出し、これを第1の変数αとして前記浮皮識別データ値を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項10】
前記浮皮識別制御部は、
前記加重センサー出力および加速度センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、
前記グラフのセンサー出力の加重センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間を算出するとともに、
前記グラフのセンサー出力の加速度センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる終点時間を算出して、
これらの始点時間と終点時間との間の時間幅を算出し、これを第1の変数αとして前記浮皮識別データ値を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項11】
前記浮皮識別装置は、
前記センサー部材を被測定青果類に対して所定速度で当接させるセンサー部材駆動機構を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項12】
前記センサー部材駆動機構は、
青果類の種類、大きさに応じて、前記センサー部材の被測定青果類に対して当接する速度を制御するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項13】
前記センサー部材駆動機構は、
前記センサー部材の被測定青果類に対して当接する際の速度と、被測定青果類から離間する際の速度とを変更することができるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項14】
前記センサー部材駆動機構は、
前記センサー部材が被測定青果類から離間して、当接開始位置に復帰する位置近傍での速度が遅くなるように制御するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項15】
前記センサー部材駆動機構によって、前記センサー部材が被測定青果類から離間して、当接開始位置に復帰する位置に、前記センサー部材の衝撃を吸収する衝撃吸収部材が配置されていることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項16】
前記センサー部材駆動機構によって、前記センサー部材が被測定青果類から離間して、当接開始位置に復帰する位置に、前記センサー部材を保持する保持機構を備えることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項17】
前記センサー部材が、アーム部材の先端に装着され、
前記アーム部材が、前記センサー部材駆動機構に連結された回転軸に、前記回転軸の回転にともなって回動するように固定されていることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項18】
前記センサー部材駆動機構に連結された回転軸の回転角度を検知する回転角度検知機構を備えることを特徴とする請求項17に記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項19】
前記センサー部材が、被測定青果類に対して当接して被測定青果類の浮皮を測定する前に、前記センサー部材が、所定の基準硬度を有する基準浮皮部材に当接して、前記基準浮皮部材の硬度データに基づいて、浮皮測定データの校正を行うように構成されていることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項20】
前記基準浮皮部材の温度を測定する測温装置を備え、
前記測温装置による基準浮皮部材の温度データに基づいて、浮皮測定データの校正を行うように構成されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項21】
前記被測定青果類に対して、複数のセンサー部材が当接するように構成されていることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項22】
前記センサー部材を被測定青果類に対して所定速度で当接させるセンサー部材駆動機構が、振動発生装置であることを特徴とする請求項11〜21のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項23】
連続して搬送装置上を搬送されてくる被測定青果類に対して、センサー部材が当接するように構成されていることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項24】
連続して搬送装置上を搬送されてくる被測定青果類に対して、複数のセンサー部材が、搬送方向に一定間隔離間した位置で、被測定青果類に対して当接するように構成されていることを特徴とする請求項23に記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項25】
連続して搬送装置上を搬送されてくる被測定青果類に対して複数のセンサー部材が、
搬送方向に一定間隔離間した位置で、搬送方向に対して左右の位置から交互に被測定青果類に対して当接するように構成されていることを特徴とする請求項24に記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項26】
連続して搬送装置上を搬送されてくる被測定青果類に対して、センサー部材が当接する上流側の位置に、被測定青果類の大きさを測定する寸法測定装置が配置され、
この寸法測定装置で測定した被測定青果類の寸法データに基づいて、前記センサー部材駆動機構によるセンサー部材の被測定青果類に対する当接開始タイミングを制御するように構成されていることを特徴とする請求項23〜25のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項27】
青果類の浮皮を識別する青果類の浮皮識別方法であって、
被測定青果類に対して所定の速度で当接させるセンサー部材と、
前記センサー部材に感度軸をそろえて配置した第1センサーおよび第2センサーと、
前記第1センサーおよび第2センサーの感度方向から前記被測定青果類に対して前記センサー部材を当接させることにより得られた、前記第1センサーによる第1センサー出力
および前記第2センサーによる第2センサー出力によって、前記被測定青果類の浮皮を識別する浮皮識別制御部と、を備えた浮皮識別装置を用いて、
前記第1センサー出力および/または第2センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、
前記グラフのセンサー出力のピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間と終点時間との間の時間幅を算出して、この時間幅に応じた変数を第1の変数αとし、
前記第1センサー出力と前記第2センサー出力とをそれぞれX−YグラフのX軸またはY軸にそれぞれ対応させてプロットすることによりプロットデータを得て、
さらに前記プロットデータの所望区間における傾きを得て、この傾きに応じた変数を第2の変数βとし、
下記式(I):
C=K0 +K1α+K2β (I)
(ここで、Cは浮皮識別データ値、K0 、K1 およびK2 は係数を示す。)
により前記被測定青果類の浮皮を識別することを特徴とする青果類の浮皮識別方法。
【請求項28】
前記浮皮識別制御部は、前記浮皮識別データ値が所定の閾値以下になった際に、浮皮が存在すると識別することを特徴とする請求項27に記載の青果類の浮皮識別方法。
【請求項29】
前記第1センサーと前記第2センサーの応答が互いに異なることを特徴とする請求項27または28に記載の青果類の浮皮識別方法。
【請求項30】
前記第1センサーと前記第2センサーのうち少なくとも一方が、加重センサー出力を行う加重センサーであることを特徴とする請求項27〜29のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項31】
前記第1センサーと前記第2センサーのうち少なくとも一方が、加速度センサー出力を行う加速度センサーであることを特徴とする請求項27〜29のいずれかに記載の青果類の浮皮識別装置。
【請求項32】
前記第1センサーおよび前記第2センサーは、加重センサー出力を行う加重センサーおよび、加速度センサー出力を行う加速度センサーであることを特徴とする請求項27〜31のいずれかに記載の青果類の浮皮識別方法。
【請求項33】
前記第1の変数αを得るためのセンサー出力が、加重センサーによるセンサー出力であることを特徴とする請求項27〜32のいずれかに記載の青果類の浮皮識別方法。
【請求項34】
前記第1の変数αを得るためのセンサー出力が、加速度センサーによるセンサー出力であることを特徴とする請求項27〜32のいずれかに記載の青果類の浮皮識別方法。
【請求項35】
前記浮皮識別制御部は、
前記加重センサー出力および加速度センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、
前記グラフのセンサー出力の加速度センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間を算出するとともに、
前記グラフのセンサー出力の加重センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる終点時間を算出して、
これらの始点時間と終点時間との間の時間幅を算出し、これを第1の変数αとして前記浮皮識別データ値を算出することを特徴とする請求項27〜32のいずれかに記載の青果類の浮皮識別方法。
【請求項36】
前記浮皮識別制御部は、
前記加重センサー出力および加速度センサー出力を時間−センサー出力の関係のグラフに変換して、
前記グラフのセンサー出力の加重センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる始点時間を算出するとともに、
前記グラフのセンサー出力の加速度センサーのピーク値に対して、所定の割合のセンサー出力となる終点時間を算出して、
これらの始点時間と終点時間との間の時間幅を算出し、これを第1の変数αとして前記浮皮識別データ値を算出することを特徴とする請求項27〜32のいずれかに記載の青果類の浮皮識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2007−64940(P2007−64940A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254986(P2005−254986)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)