説明

青色フタロシアニン顔料組成物及びその調製

本発明は、好ましくはα銅フタロシアニン及びε銅フタロシアニンの混合物をアミノメチル置換フタロシアニン及び摩砕助剤と一緒に有機液体中で湿式摩砕し、摩砕助剤及び有機液体を湿式摩砕混合物から分離する前にアンモニウムスルホナトフタロシアニンを加えることによって作製した、70〜93%、好ましくは81〜93%のε銅フタロシアニン、5〜18%のアミノメチル置換フタロシアニン、2〜15%のアンモニウムスルホナトフタロシアニン及び2%未満の他のフタロシアニン化合物を含む顔料組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラーフィルターの分野に関する。通常、三色使用は、青色、赤色及び緑色フィルターをそれぞれ使用することにより達成される。これらのフィルターは、透明性、均質性が高くなければならず、非常に均一の層厚を有さなければならない。
【0002】
透過窓の正確な位置及び絶対値は、カラーフィルターにとって非常に重要なパラメーターである。異なる着色光に対する可能な限り高い吸収性と合わせて、発光付近の波長範囲での高い透過性が望まれている。加えて、より高度なディスプレーコントラスト(オンオフ状態での輝度比)に対する強い要求が増え続けている。
【0003】
ε銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:6)の特性を改善する多くの提案がなされてきたが、望ましい特性は、未だに得られておらず、依然として増加し続ける要求は、完全に満たされていない。
【0004】
欧州特許公報第1489143号は、銅フタロシアニンと、アミノメチル置換フタロシアニン、フタルイミドメチルフタロシアニン及びスルホン化フタロシアニンのアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1つの化合物とを含む顔料組成物を開示する。しかし、β結晶形(C.I.ピグメントブルー15:4)は、緑色を帯びた青色の色相のためにカラーフィルターには適していない。
【0005】
特開平01−152141は、ε銅フタロシアニン、フタルイミドメチル銅フタロシアニン及びスルホン化銅フタロシアニン又はそのアルカリ金属塩を含むブレンドを開示する。この目的は、熱可塑性樹脂に使用される顔料の機械的な微粉砕を避けることである。しかし、透明性は、カラーフィルターに使用するには不十分である。
【0006】
欧州特許公報第1130065号は、ε銅フタロシアニン及びアゾ又は他の多環式顔料を含む顔料組成物を開示する。フタロシアニン誘導体、例えば、多くもののなかから、フタルイミドメチル基及び/若しくはスルホン基を有するフタロシアニン又はその塩を場合により加えることができる。欧州公開公報第1130065号の比較例1において、α銅フタロシアニンが、フタルイミドメチル銅フタロシアニン及び少量のε銅フタロシアニンと一緒に塩混練され、欧州公開公報第1130065号の比較例2によると、彩色が劣っている生成物をもたらす。
【0007】
特開平2000−258620は、酸ペースト化された純粋α銅フタロシアニンを、例えばフタルイミドメチル又はアンモニウムスルホ基を有する銅フタロシアニンのようなフタロシアニン誘導体から選択される結晶安定化剤と一緒に塩混練する方法を開示する。生成物が非フタロシアニン不純物を3%を超えて含有しないことの重要性が、強調されている。しかし、ε結晶相への定量的な変換がなく、色相、コントラスト、さらには熱安定性も完全に満足のいくものではない。特開平2000−258620は、更なる出発材料としてε銅フタロシアニンを使用することを開示していない。
【0008】
特開平2005−234009は、銅フタロシアニンスルホンアミドで安定化した改質ε銅フタロシアニンから出発し、それをフタルイミドメチル銅フタロシアニンと塩混練し、次に有機溶媒及び無機塩を除去し、続いてスルホン化銅フタロシアニン又はその塩で表面処理を実施する、全く異なる手法を使用する。カリウム、ナトリウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、アンモニウム及び低級アルキルアンモニウムのカチオンが開示されている。しかし、これらの組成物は、過度に小さく脆い一次粒子の凝集体から構成されている。したがって、再現可能な彩色特性を得ることが困難である。
【0009】
欧州特許公報第0808878号は、酸素の不在下で樹脂を一緒に乾式磨砕することによって、印刷インク用のβ銅フタロシアニン顔料組成物を生成する方法を開示する。
【0010】
驚くべきことに、カラーフィルター産業の要求をより良好に満たす青色顔料組成物をもたらす、新規で簡単な方法が現在見出された。
【0011】
赤みを帯びた青色のフィルターの特性は、好ましくはα銅フタロシアニン及びε銅フタロシアニンの混合物をアミノメチル置換フタロシアニン及び摩砕助剤と一緒に有機液体中で湿式摩砕し、摩砕助剤及び有機液体を湿式摩砕混合物から分離する前にアンモニウムスルホナトフタロシアニンを加えることによって作製した、70〜93%、好ましくは81〜93%のε銅フタロシアニン、5〜18%のアミノメチル置換フタロシアニン、2〜15%のアンモニウムスルホナトフタロシアニン及び2%未満の他のフタロシアニン化合物を含む顔料組成物を使用することによって、驚くほど向上される。
【0012】
したがって、本発明は、顔料組成物の調製方法であって、
● α銅フタロシアニン及びε銅フタロシアニンの混合物を式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン又はその混合物及び摩砕助剤と一緒に有機溶媒中で湿式摩砕する工程:
【0013】
【化1】

【0014】
〔式中、Mは、2H、Al(Cl)、Al(OH)、Bi(OH)、Ca、Cd、Ce(Cl)、Cr(OH)、Co、Cu、Mn、Fe、Fe(Cl)、Fe(OH)、In(Cl)、Mg、Mn(O)、Ni、Os、Pb、Pd、Pt、Re、Rh、Rh(O)、Ru、Si(Cl)、Si(OC〜Cアルキル)、Si(OH)、Sn、Sr、Ti(O)、V(O)、Zn、Zr(O)又はZr(OH)、好ましくは2H、Co、Cu又はNi、最も好ましくはCuであり;
1は、下記:
【0015】
【化2】

【0016】
好ましくは、下記:
【0017】
【化3】

【0018】
であり;
2は、下記:
【0019】
【化4】

【0020】
〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−3H、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−3〜Cアルキル、〔C〜Cアルキレン−NH−〕1−3〜Cアルキル又は〔C〜Cアルキレン−N(C〜Cアルキル)−〕1−3〜Cアルキルであり;
は、H、C〜C20アルキル、C〜C20アルキレン、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−3H、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−3〜Cアルキル又は〔C〜Cアルキレン−N(C〜Cアルキル)−〕1−3〜Cアルキルであり;
及びRは、互いに独立して、H又はC〜Cアルキル、好ましくは両方ともHであるか又は両方ともメチルであり;
は、それぞれ他の全てから独立して、H、C〜Cアルキル、Cl又はNOであり;そして
は、H、COOH、CONH、CONHC〜Cアルキル又はCON(C〜Cアルキル)である〕;
● 式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニン又はその混合物を、摩砕助剤及び有機液体を湿式摩砕混合物から分離する前に加える工程:
【0021】
【化5】

【0022】
〔式中、Mは、2H、Al(Cl)、Al(OH)、Bi(OH)、Ca、Cd、Ce(Cl)、Cr(OH)、Co、Cu、Mn、Fe、Fe(Cl)、Fe(OH)、In(Cl)、Mg、Mn(O)、Ni、Os、Pb、Pd、Pt、Re、Rh、Rh(O)、Ru、Si(Cl)、Si(OC〜Cアルキル)、Si(OH)、Sn、Sr、Ti(O)、V(O)、Zn、Zr(O)又はZr(OH)、好ましくは2H、Co、Cu又はNi、最も好ましくはCuであり;
及びRは、それぞれ互いに独立して、H又はC〜Cアルキル、好ましくはH又はメチル、特に好ましくはHであり;
10は、H、フェニル、ベンジル、2−フェニルエチル、ナフチル、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−6H、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−6〜Cアルキル、〔C〜Cアルキレン−NH−〕1−6〜Cアルキル又は〔C〜Cアルキレン−N(C〜Cアルキル)−〕1−6〜Cアルキル、好ましくはHであり;そして
11は、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、〔C〜Cアルキレン−O−〕3−6H、〔C〜Cアルキレン−O−〕3−6〜Cアルキル、〔C〜Cアルキレン−NH−〕3−6〜Cアルキル又は〔C〜Cアルキレン−N(C〜Cアルキル)−〕3−6〜Cアルキル、好ましくはC〜C20アルキル又はC〜C20アルケニル、最も好ましくはC10〜C18アルキルであるが;
但し、R、R、R10及びR11の炭素原子の総数は、8〜30である〕;
● 摩砕助剤及び有機液体を、式(II)のアンモニウム塩の添加後に湿式摩砕混合物から分離する工程;及び
● 顔料組成物を単離する工程
を含み、
ここで、そのように単離された組成物が、フタロシアニンコアを有する成分の総含有量に基づいて、
■ 70〜93重量%、好ましくは81〜93重量%、特に81〜91重量%のε銅フタロシアニン;
■ 5〜18重量%、特に6〜15重量%、最も好ましくは6〜12重量%の、式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン又はその混合物;
■ 2〜15重量%、特に3〜12重量%、最も好ましくは3〜9重量%の、式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニン又はその混合物;及び
■ 0〜2重量%、好ましくは0〜1重量%の他のフタロシアニン化合物
を含む
方法に関する。
【0023】
〜C20アルキル及びC〜C20アルケニルは、直鎖、分岐鎖又は環状である。
【0024】
〜C20アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−メチル−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、トリメチルシクロヘキシル、ツジル、ノルボルニル、ボルニル、ノルカリル、カリル、メンチル、ノルピニル、ピニル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、5α−ゴニル、5ξ−プレグニル、(+)1,3,3−トリメチルビシクロ〔2.2.1〕ヘプチル(フェンチル)又は、適切な場合は、これらの光学的対掌体である。
【0025】
〜C20アルケニルは、例えば、ビニル、アリル、2−プロペン−2−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、1,3−ブタンジエン−2−イル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−2−イル、2−メチル−1−ブテン−3−イル、2−メチル−3−ブテン−2−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル、1,4−ペンタジエン−3−イル、又はヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、エイコセニル、ヘネイコセニル、ドコセニル、テトラコセニル、ヘキサジエニル、オクタジエニル、ノナジエニル、デカジエニル、ドデカジエニル、テトラデカジエニル、ヘキサデカジエニル、オクタデカジエニル、エイコサジエニル、2−シクロブテン−2−イル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、1−p−メンテン−8−イル、4(10)−ツジェン−10−イル、2−ノルボルネン−1−イル、2,5−ノルボルナジエン−1−イル、7,7−ジメチル−2,4−ノルカラジエン−3−イル若しくはカンフェニルのいずれかの望ましい異性体である。
【0026】
好ましくは、本発明により得られる組成物は、フタロシアニンコアを有する成分の総含有量に基づいて、6〜20重量%、最も好ましくは9〜16重量%の、式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン又はその混合物と、式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニン又はその混合物とを含み、式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン又はその混合物と式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニン又はその混合物とのモル比が、1:1〜5:1である。α銅フタロシアニンとε銅フタロシアニンの湿式摩砕の開始時での比率は、一般に1:99〜99:1、好ましくは1:4〜20:1、最も好ましくは1:1〜10:1である。
【0027】
これら全ての成分の間には相乗作用がある。ε銅フタロシアニン又は式(I)のアミノメチル置換フタロシアニンの量が少なすぎると、望ましいε結晶形への変換が不十分になる。式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニンの添加が遅すぎるか又はその量が少なすぎると、顔料組成物は、不十分なレオロジー、分散性及びコントラスト比を有する。式(I)のアミノメチル置換フタロシアニンの量が多すぎると、ε形への変換率が低くなり、粘度及び保存安定性が不十分になる。式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニンの量が多すぎると、コントラスト比及び彩度が不十分になる。
【0028】
特にフタロシアニンアミド及びスルホンアミドのような更なるフタロシアニン成分が多すぎると、不十分なε結晶相の結晶性及び一次粒子の凝集がもたらされる。
【0029】
湿式摩砕工程は、例えば撹拌媒体パールミル(例えば、摩砕機)のような通常の摩砕装置により又は混練機により実施することができる。摩砕助剤は、不溶性の不活性固体物質か又は結晶性有機化合物若しくは無機塩であることができる。
【0030】
一般に、不溶性の不活性固体物質を通常の摩砕装置に使用すること及び結晶性有機化合物又は無機塩を混練機に使用することが好ましい。
【0031】
不溶性の不活性固体物質として、例えば撹拌媒体パールミルにおいて、酸化ジルコニウム、混合酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、石英、又はスチールのような金属製の直径0.1〜1mmのボール、好ましくは直径0.2〜0.3mmを有する混合酸化ジルコニウムのボールのような粉砕要素が使用される。
【0032】
撹拌媒体パールミルは既知の装置であり、比出力密度を制御することが可能である。非常に高速及び高比出力密度を達成することが可能であるが、比出力密度を粉砕空間1リットルあたり最大2.0kJ・s−1に制限して、高すぎる摩擦熱が発生するのを避けることが好ましい。したがって、撹拌機の周速度は、好ましくは5〜12m・s−1であるべきである。粘度は、やや従属的な役割を演じる。しかし、使用される装置に適した粘度範囲を選択することが必要であり、例えば、5・10−2Pa・s〜5Pa・s、好ましくは10−1Pa・s〜5・10−1Pa・s(500s−1)である。温度は、有利には、有機液体の凝固点と沸点の範囲、好ましくは20〜180℃、特に50〜130℃である。撹拌媒体パールミルによる処理時間は、通常、20〜300分間(個別の経路の間の貯蔵容器における滞留時間を含む)であり、それより長い処理時間は、一般に、生成物の特性に対して有意な効果がない。結果として、過剰摩砕の危険性を有利に除外することができる。
【0033】
しかし、好ましくは、本発明の湿式摩砕工程は、結晶性有機化合物又は無機塩を摩砕助剤として使用する混練機により実施される。賢明には、結晶性有機化合物又は無機塩は、有機液体中での可溶性が乏しく、例えば、20℃で≦100mg/l、好ましくは20℃で≦10mg/lの程度であり、特に好ましくは、20℃で実質的に不溶性である。
【0034】
一方、結晶性有機化合物又は無機塩及び有機液体も、好ましくはそれぞれ水に少なくとも10g/100mlの程度で可溶性である。適切な結晶性有機化合物は、例えば、尿素、グルコースのような糖及びギ酸ナトリウム又は酢酸ナトリウムのような有機酸の塩である。好ましくは、無機塩例えば、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムが使用され、これらは結晶化に水を用いるか又は用いないで適用でき、特に好ましくは、硫酸ナトリウム、塩化カリウム又は塩化ナトリウムである。
【0035】
混練には、5〜200μmの平均粒度を有する摩砕助剤(特に、無機塩)、特に好ましくは10〜50μmの平均粒度を有する摩砕助剤を使用することが好ましい。
【0036】
特に好ましいことは、アルコール(ポリアルコール、例えばグリセロール、グリコール及びポリグリコールを含む)、エーテル(例えば、ポリエーテルアルコールのC〜C18アルキルエーテル)、ケトン、エステル、アミド、スルホン、スルホキシド、ニトロ化合物、又は1若しくは2つのオキソ基で置換され、1つ以上のヒドロキシル基がC〜Cアルキルカルボニルでエステル化若しくはC〜Cアルキルでエーテル化されていることができる、モノ−、ビス−若しくはトリスヒドロキシ−C〜C12アルカン化合物、或いはこれらの混合物を、湿式摩砕の有機液体として使用することである。
【0037】
慣用的な少量の酸性又は塩基性の不純物は問題があるわけではないが、好ましくは、有機液体はそれ自体中性である。有機液体の例示は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、そのモノ−及びジ−C〜Cアルキルエーテルを含むポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール(例えば、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジエチルエーテル)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、酢酸ブチル、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、トリアセチン、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、並びにスルホランであるが、これらは本発明をいかようにも制限するものではない。有機液体は、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール又は2,2,2−トリフルオロエタノールのように、場合により、例えばCl又はFによってハロゲン化されていてもよい。
【0038】
好ましくは、混練の際の温度は、10〜180℃、特に20〜150℃、最も好ましくは60〜130℃である。回転速度は、適切には冷却することを考慮すると、混練した塊を均一な剪断下で均一に移動させ、温度が本発明の温度の範囲を超えないように設定されるべきである。局所的な過熱又は過剰な機械的応力の事実は可能な限り避けるべきである。混練時間は、一般に1〜200時間である。混練の際には、好ましくは、有機液体と結晶性有機化合物又は無機塩との比率は、3ml:7g〜1ml:6gであり、有機液体と結晶性有機化合物又は無機塩及びフタロシアニンコアを有する成分の総重量との比率は、1ml:2.5g〜1ml:7.5gであり、フタロシアニンコアを有する成分と結晶性有機化合物又は無機塩との重量比は、1:3〜1:20、特に1:4〜1:10である。
【0039】
フタロシアニンコアを有する成分は、湿式摩砕に使用される液体に可溶性ではないので、湿式摩砕を行うと、α銅フタロシアニンが好ましくは97〜100%の程度でε銅フタロシアニンに変換されることを除いて、組成物におけるそれぞれの量は、本発明の方法の際には変わらない。
【0040】
湿式摩砕工程において、酸ペースト化されたα銅フタロシアニン及び式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン、さらには微粉化ε銅フタロシアニンを出発物質として使用することが好ましい。特に好ましいことは、式(I)のアミノメチル置換フタロシアニンと一緒に酸ペースト化されたα銅フタロシアニン及び湿式摩砕されたε銅フタロシアニンを出発物質として使用することである。本発明により得られるε銅フタロシアニン組成物を出発物質として使用することもできるか、又はε銅フタロシアニンのみを湿式摩砕する、若しくは式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニンと共に湿式摩砕することができる。ε銅フタロシアニンを出発物質として使用する最も好ましい湿式摩砕方法は、本発明の方法と同様の塩混練である。
【0041】
適切には、式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニンを、本発明の組成物の単離の前の湿式摩砕の任意の段階、例えば、湿式摩砕の前、その間(すなわち、湿式摩砕の開始から終了までの任意の時)又は後に加える。しかし、好ましくは1〜100%、特に5〜100%、特に好ましくは30〜100%の、式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニンを、湿色摩砕が終了する前に、最も好ましくは、湿式摩砕の前又はその終了段階(最後の約2時間)前に、加える。
【0042】
純粋なモノのスルホナトフタロシアニン塩の代わりに、フタロシアニンコアに統計的に0.5〜1.5個のスルホ基を有する、部分的にスルホン化されたフタロシアニンの塩を使用することも可能である。この場合、スルホナトフタロシアニンアンモニウムの量は、スルホナト基の量に基づいて、純粋なモノスルホナトフタロシアニン塩の理論量のモル当量となるように計算される必要がある。
【0043】
混練した後、摩砕助剤及び有機液体を本発明の組成物から例えば濾過により除去する。結晶性有機化合物又は無機塩及び有機液体を、水、特に脱イオン水で洗い流すことが好ましく、ここでは水を、好ましくは、より良好な溶解のために濾過の前に部分的に加える。水は、場合により酸又は塩基、特に鉱酸又は無機塩基、好ましくはアルカリ金属水酸化物を含有してもよい。更なる水、特に脱イオン水による洗浄は、低伝導性を確実にする。湿潤プレスケーキの乾燥は、例えば、−20〜150℃/10−1〜10Paで実施される。
【0044】
新規組成物も本発明の目的である。したがって、本発明は、また、フタロシアニンコアを有する成分の総含有量に基づいて、
■ 70〜93重量%、好ましくは81〜93重量%、特に81〜91重量%のε銅フタロシアニン;
■ 5〜18重量%、特に6〜15重量%、最も好ましくは6〜12重量%の、式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン又はその混合物;
■ 2〜15重量%、特に3〜12重量%、最も好ましくは3〜9重量%の、式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニン又はその混合物;及び
■ 0〜2重量%、好ましくは0〜1重量%の他のフタロシアニン化合物
を含む顔料組成物に関する。
【0045】
本発明のフタロシアニン顔料組成物は、BET法で決定すると、好ましくは50〜110m/g、より好ましくは80〜110m/g、最も好ましくは85〜100m/gの比表面積を有する。フタロシアニン誘導体の存在によって、測定した組成物の比表面積は、多くの場合、その中に含まれているフタロシアニン顔料のものよりもかなり小さい。平均粒径は、電子顕微鏡写真で測定すると、好ましくは約20〜60nm、最も好ましくは約30nm〜50nmである。
【0046】
本発明のフタロシアニン顔料組成物は、あらゆる既知の着色の目的において、例えばカラーフィルター、印刷インク、トナー、プラスチック及び被覆用の顔料として使用することができる。
【0047】
本発明のフタロシアニン顔料で着色される高分子量の有機物質は、天然又は合成由来のもの(例えば、ポリマー)であり、通常、10〜10g/molの範囲の分子量を有する。これらは、繊維、表面被覆組成物(特殊効果仕上げを含み、自動車部門用のものを含む)及び印刷インクの形態、また好ましくはいわゆる樹脂(例えば、カラーフィルター用のもの)又はトナーの形態であることができる。着色剤のそのような及び更なる既知の使用は、当業者には明白なので本明細書において詳細に記載するのを省くことが可能である。またこれらは、多数の特許明細書及び技術文献、例えば"Industrielle Organische Pigmente" (W. Herbst + K. Hunger, VCH Weinheim / New York、新版がドイツ語及び英語で継続的に発行されている)に開示されている。
【0048】
本発明のフタロシアニン顔料組成物の総量は、適切には、着色剤及び高分子量の有機物質の総重量に基づいて、0.01〜70重量%である。
【0049】
本発明のフタロシアニン顔料組成物は、青色層における唯一の着色剤として、また、カラーフィルターの同じ青色層において又は異なる層において、他の慣用の着色剤(顔料又は染料)と組み合わせて、カラーフィルターを作製するために使用することができる。
【0050】
本発明のフタロシアニン顔料組成物と組み合わせるのに有用な顔料は、例えば、カラーインデックスピグメントイエロー3、12、13、14、17、24、34、42、53、62、74、83、93、95、108、109、110、111、119、123、128、129、139、147、150、164、168、173、174、184、188、191、191:1、191:2、193、199、ピグメントオレンジ5、13、16、34、40、43、48、49、51、61、64、71、73、ピグメントレッド2、4、5、23、48:1、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57、57:1、88、89、101、104、112、122、144、146、149、166、168、177、178、179、181、184、190、192、194、202、204、206、207、209、214、216、220、221、222、224、226、254、255、262、264、270、272、282、283、ピグメントブラウン23、24、33、42、43、44、ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、31、32、37、40、42又は50、ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、28、29、60、64、66、ピグメントグリーン7、17、36、37、50、ピグメントホワイト6、ピグメントブラック7、12、27、30、31、32、バットレッド74、3,6−ジ(3′−シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ〔3,4−c〕ピロール−1,4−ジオン又は3−フェニル−6−(4′−tert−ブチル−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ〔3,4−c〕ピロール−1,4−ジオンである。
【0051】
カラーフィルターの同じ層又は隣接する青色層において特に有用なものは、ジオキサジン(例えば、C.I.ピグメントバイオレット23)、キナクリドン(例えば、C.I.ピグメントバイオレット19)、アミノアントラキノン(例えば、C.I.ピグメントレッド144)又はジケトピロロピロール(例えば、C.I.ピグメントレッド254)である。
【0052】
本発明のフタロシアニン顔料組成物と組み合わせるのに、特にカラーフィルターの同じ層に相乗作用的に組み合わせるのに有用な染料は、好ましくはPCT/欧州特許公報第07/051,154号に開示されているアントラキノン着色剤である。
【0053】
本発明は、更に、0.1〜70重量%の本発明のフタロシアニン顔料組成物と、結合剤又は重合性化合物を含む液体媒質とを含む組成物に関する。
【0054】
最後に、本発明は、カラーフィルターを製造する方法であって、0.1〜70重量%の本発明のフタロシアニン顔料組成物と、結合剤又は重合性化合物を含む液体媒質とを含む組成物を、場合によりパターン化された又はパターン化されていない層をその上に含む透明な基材に適用し、組成物を乾燥及び/又は硬化して、パターン化された又はパターン化されていない層を得る方法に関する。
【0055】
乾燥、パターン化及び硬化方法は、当該技術において周知であるが、そうであっても、説明の目的のために下記に詳細に記載する。
【0056】
本発明は、特に、カラーフィルターにおける本発明のフタロシアニン顔料組成物の使用にも関し、これらは、それ自体、例えばTVスクリーン、コンピュータースクリーン、携帯電話スクリーン、ナビゲーションシステム、CCDカメラ、液晶ディスプレー、フラットパネルディスプレー、電荷結合素子、プラズマディスプレー及びエレクトロルミネセンスディスプレーなどのような電気光学システムに使用することができる。これらは、例えば、能動(ねじれネマチック)又は受動(超ねじれネマチック)強誘電体ディスプレー又は発光ダイオードであることができる。
【0057】
本発明の組成物は、特に改善された良好なレオロジーを示す。本発明により製造されるカラーフィルターは、際立った色相、光安定性、透明度及びコントラスト、並びに以前の技術と比較して特に改善されたコントラスト比を示す。
【0058】
本発明のフタロシアニン顔料組成物は、一般に、有機溶媒中又は水中の溶液又は分散体として、カラーフィルターの製造に使用される。これらのカラーフィルターを製造する幾つかの方法があり、下記の2つの主流に従う:
● 適用中に直接パターン加工する;
● 着色剤を適用した後にパターン加工する。
【0059】
直接パターン加工は、インパクト(オフセット、フレキソ印刷、スタンピング、活版印刷など)、並びに非インパクト(インクジェット技術)のような幾つかの印刷技術により得ることができる。
【0060】
他の直接パターン加工技術は、積層プロセス、電着のような電子放出プロセス、いわゆるChromalin(商標)プロセス(DuPont)のような特殊カラー校正刷り法に基づいている。
【0061】
インパクト印刷技術では、着色剤を、標準的なデアグロメレーション法(Skandex(商標)、Dynomill(商標)、Dispermat(商標)など)により、分散剤及びポリマー結合剤の存在下、水又は有機溶媒に溶解又は分散して、インクを製造することができる。溶媒、分散剤及び結合剤の選択を含む、この分野において既知のあらゆる分散技術を使用することができる。インクの種類及びその粘度は、適用技術によって決まり、当業者には周知である。最も一般的な結合剤は、(メタ)アクリレート、エポキシ、PVA、ポリイミド、ノボラック系など、並びにこれらのポリマーの組み合わせであるが、本発明は当然のことながらこれらに限定されない。
【0062】
次にインクの分散体を、全種類の標準的な印刷機により印刷することができる。結合剤系の硬化は、好ましくは加熱プロセスにより達成される。三色を一度に又は中間に乾燥及び/若しくは硬化工程を備えた異なる印刷工程、例えば3つの印刷工程において1回に一色ずつ、により、適用することができる。
【0063】
インクジェット、例えば、圧電式又はバブルジェットで使用されるインクを、同様に調製することができる。これらは、一般に、分散剤及び結合剤と組み合わせた、水及び/又は1つ若しくは多くの親水性有機溶媒の混合物に溶解又は分散された着色剤を含有する。
【0064】
インクジェット印刷では、標準的なインクジェットプリンターを使用することができるか、又は例えば印刷速度などを最適化するために専用のプリンターを作製することができる。
【0065】
熱転写などのような積層技術では、ウエブ系を作製しなければならず、着色剤を分散剤及び結合剤を有する溶媒又は水に分散し、ホイルに被覆し、乾燥する。着色剤/結合剤系を、エネルギー(UV、IR、熱、圧力など)の助けを借りて、カラーフィルター基材へパターン様又は均一に転写することができる。使用する技術に応じて、着色剤を、例えば、単独で転写することができる(染料拡散又は昇華転写)か、又は結合剤を含む着色剤分散体を、全体的に転写することができる(ロウ転写)。
【0066】
電着では、着色剤を、イオン化ポリマーと一緒に水に分散しなければならない。電流によって、イオン化ポリマーを陽極又は陰極で脱イオン化して、不溶性にし、顔料と一緒に付着させる。これは、フォトレジスト、ITOのような(透明)光伝導体などにより、パターン化又はパターン様に遮蔽して実施することができる。
【0067】
Chromalin(商標)プロセスは、カラーフィルター基材に付着された感光性の物質を使用する。この物質はUV暴露されると粘着性になる。着色剤とポリマーの混合物又は化合物を含むいわゆる「トナー」を、基材上に分布し、粘着性部分に粘着させる。このプロセスは、R、G、Bのために、最終的には黒色のために3から4回実施しなければならない。
【0068】
適用した後のパターン加工は、主に、着色剤がフォトレジスト組成物に分散される、既知のフォトレジスト技術に基づいた方法である。他の方法は、別々のフォトレジスト又は積層技術の助けを借りた間接パターン加工である。
【0069】
着色剤を、印刷プロセスついて上記に記載したような任意の標準的方法により、フォトレジストに溶解又は分散することができる。結合剤系は同一であることもできる。更なる適切な組成物は、例えば、欧州特許公報第0654711号、国際公開公報第98/45756号又は国際公開公報第98/45757号に記載されている。
【0070】
フォトレジストは、光開始剤及びポリ架橋性モノマー(ネガティブラジカル重合)、ポリマーそれ自体を架橋する物質(例えば、光酸発生剤など)、又は特定の現像媒質でポリマーの溶解性を化学的に変える物質を含む。しかし、このプロセスは、加熱により化学変化を起こし、記述された現像媒質における溶解性に変化をもたらす幾つかのポリマーの場合は、UVの代わりに、(例えば、熱アレイ又はNIRビームを使用する)加熱により実施することもできる。そのときは、光開始剤は必要がない。
【0071】
感光性又は熱感受性の物質を、カラーフィルター基材に被覆し、乾燥し、UV(又は熱)照射し、時には再度焼付けし(光酸発生剤)、現像媒質(主に塩基)で現像する。この最終工程において、非暴露部分のみ(ネガティブ系)、又は暴露部分のみ(ポジティブ系)を洗い流し、所望のパターンを得る。この操作を、使用する全ての色で繰り返さなければならない。
【0072】
感光積層技術は同じ原則を使用し、異なるのは被覆技術だけである。感光系を、上記に記載されたとおりであるが、カラーフィルター基材の代わりにウエブ上に適用する。ホイルをカラーフィルター基材上に配置し、感光層を、熱及び/又は圧力の助けを借りて転写する。
【0073】
上記に記述されたポリマー結合剤を用い、感光性成分を用いない間接プロセスは、顔料着色レジストの上面に被覆された追加のフォトレジストを使用する。フォトレジストのパターン加工の際に、着色レジストもパターン化される。その後、フォトレジストを取り外さなければならない。
【0074】
カラーフィルターの製造についての更なる詳細を、教科書、論評及び他の科学論文で見出すことができる。当業者は、本発明をそのような任意の既知の技術の使用とも関連づける。
【0075】
例えば、当然のことながら限定的ではないが、実質的に無色のメタクリル樹脂がカラーフィルターに慣用的に使用され、当業者に既知のその例は、Mが30,000〜60,000の芳香族メタクリレートとメタクリル酸とのコポリマーである。そのような樹脂は、スピンコーティングによるフィルムの作製に極めて適している。
【0076】
本発明のカラーフィルターは、賢明には、前記着色剤を含む層の総重量に基づいて1〜75重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは25〜40重量%の濃度で本発明のフタロシアニン顔料組成物を含有する。
【0077】
したがって本発明は、同様に、透明な基材と、その上に、少なくとも1つの層が、前記着色剤を含む層の総重量に基づいて1〜75重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは25〜40重量%の、高分子量有機物質に分散された本発明のフタロシアニン顔料組成物を含む、1つの層又は複数の層を含むカラーフィルターを提供する。基材は、好ましくは実質的に無色(可視領域の400〜700nmの全てにわたってT≧95%)である。
【0078】
本発明の印刷インク又はカラーフィルターを作製するフォトレジストは、賢明には、印刷インク又はフォトレジストの総重量に基づいて0.01〜40重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは5〜10重量%の濃度で本発明のフタロシアニン顔料成物を含有する。
【0079】
したがって、本発明は、同様に、組成物の総重量に基づいて0.01〜40重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは5〜10重量%の本発明のフタロシアニン顔料組成物を分散して含む、カラーフィルターを作製するための組成物を提供する。
【0080】
着色剤組成物は、さらに、異なる構造の他の着色剤を含有することもできる。さらなる成分は、混合物のスペクトルを、それ自体の色相に応じて浅色又は深色シフトする。当業者は、望ましい色に応じて、どの着色剤をどれぐらいの量で追加的に使用できるかを理解する。
【0081】
特定の場合において、本発明のフタロシアニン顔料組成物を、湿潤剤、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、可塑剤又は一般的なきめ向上剤などのような他の添加剤と混合又は組み合わせて使用することが有益である。一般に、そのような添加剤は、フタロシアニン顔料組成物の重量に基づいて約0.1〜25重量%、好ましくは約0.2〜15重量%、最も好ましくは約0.5〜8重量%の濃度で使用することができる。
【0082】
更なる界面活性剤を使用して、本発明のフタロシアニン顔料組成物の分散を助けることができる。カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性又は中性の非イオン性界面活性剤は、当業者に非常に良く知られている。適切な界面活性剤には、例えば、アルキルベンゼン−、若しくはアルキルナフタレン−スルホネート、アルキルスルホスクシネート若しくはナフタレンホルムアルデヒドスルホネートのようなアニオン性界面活性剤;例えばベンジルトリブチルアンモニウムクロリドのような第四級塩を含むカチオン性界面活性剤;又はポリオキシエチレン界面活性剤及びアルキル−若しくはアミド−プロピルベタインのような非イオン性若しくは両性界面活性剤がそれぞれ含まれる。優れた着色剤分散体及び特に透明性の高いカラーフィルターをもたらす最も好ましい界面活性剤は、EFKA(登録商標)3440(CIBA Specialty Chemicals Inc.)である。
【0083】
適切なきめ向上剤は、例えば、ステアリン酸又はベヘン酸のような脂肪酸、並びにラウリルアミン及びステアリルアミンのような脂肪アミンである。加えて、脂肪族1,2−ジオール又はエポキシド化大豆油、ロウ、樹脂酸及び樹脂酸塩のような脂肪アルコール又はエトキシル化脂肪アルコール、ポリオールを、この目的に使用することができる。
【0084】
適切なUV安定剤は、例えば、アリールスルホン化ベンゾトリアゾールである、商標名TINUVIN(登録商標)又はCIBA(登録商標)Fast H Liquidで知られている既知のベンゾトリアゾール誘導体であり、両方ともCIBA Specialty Chemicals Inc.の製品である。
【0085】
本発明のフタロシアニン顔料組成物は、単独で又は微細若しくは透明顔料との組み合わせにおいて特に有用であることを証明する。
【0086】
上記に記述されたプロセス及び他のプロセスによりカラーフィルターを製造するのに使用される物質は、当該技術において周知である。
【0087】
例えば、アルカリ可溶性であり、好ましくは有機溶媒に可溶性であり、かつ弱アルカリ水溶液において現像性である直鎖有機ポリマーである結合剤を使用することができる。アルカリ性水溶液に可溶性であり、水に不溶性である、カラーフィルターレジスト組成物に使用されるそのような結合剤としては、例えば、1つ以上の酸基及び1つ以上の重合性不飽和結合を分子中に有する重合性化合物のホモポリマー、又はそれらの2種類以上のコポリマー、及びこれらの化合物と共重合しうる1つ以上の不飽和結合を有し、酸基を含有しない1つ以上の重合性化合物のコポリマーを使用することができる。そのような化合物は、1つ以上の酸基及び1つ以上の重合性不飽和結合を分子中に有する1種類以上の低分子量化合物を、これらの化合物と共重合しうる1つ以上の不飽和結合を有し、酸基を含有しない1つ以上の重合性化合物と共重合させることによって得ることができる。酸基の例は、−COOH基、−SONHCO−基、−SOH基、フェノールヒドロキシ基、−SONH−基及び−CO−NH−CO−基である。これらのうち、−COOH基を有する高分子量化合物が特に好ましい。
【0088】
好ましくは、カラーフィルターレジスト組成物中の有機ポリマー結合剤は、付加重合性モノマー単位として、アクリル酸、メタクリル酸などのような、少なくとも1つの不飽和有機酸化合物を含むアルカリ可溶性コポリマーを含む。メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレンなどのような不飽和有機酸エステル化合物を、ポリマー結合剤のために更なるコモノマーとして使用して、アルカリ溶解性、接着剛性、化学耐性などのような特性をバランスさせることが好ましい。
【0089】
有機ポリマー結合剤は、例えば、米国特許第5,368,976号に記載されているようなランダムコポリマー又はブロックコポリマーのいずれかであることができる。
【0090】
本発明のカラーフィルターの調製に適切な重合性化合物も当該技術において周知である。これらは、例えば、分子中に1つ以上の酸基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有することができる。
【0091】
1つ以上の−COOH基及び1つ以上の重合性不飽和結合を分子中に有する重合性化合物の例は、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリル酸、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕スクシネート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕アジペート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕フタレート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ヘキサヒドロフタレート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕マレエート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕スクシネート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕アジペート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕フタレート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕ヘキサヒドロフタレート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕マレエート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕スクシネート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕アジペート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕フタレート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ヘキサヒドロフタレート、モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕マレエート、3−(アルキルカルバモイル)アクリル酸、α−クロロアクリル酸、マレイン酸、モノエステル化マレイン酸、フマル段、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、無水マレイン酸及びω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートである。
【0092】
ビニルベンゼンスルホン酸及び2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は、1つ以上の−SOH基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例である。
【0093】
N−メチルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−エチルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−フェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド及びN−(p−メチルフェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミドは、1つ以上の−SONHCO−基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物の例である。
【0094】
1つ以上のフェノールヒドロキシ基及び1つ以上の重合性不飽和結合を分子中に有する重合性化合物の例には、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ジヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル−カルボニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニルチオエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジヒドロキシ−フェニルチオエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0095】
1つ以上の−SONH−基及び1つ以上の重合性不飽和結合を分子中に有する重合性化合物の例には、式(a)又は(b):
【0096】
【化6】

【0097】
〔式中、Y及びYは、それぞれ、−COO−、−CONA−又は単結合を表し;A及びAは、それぞれ、H又はCHを表し;A及びAは、それぞれ、場合により置換基のシクロアルキレン、アリーレン若しくはアラルキレンを有するC〜C12アルキレン、又はエーテル基及びチオエーテル基が挿入されているC〜C12アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、又はアラルキレンを表し;A及びAは、それぞれ、Hか、場合により置換基のシクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を有するC〜C12アルキルを表し;そしてAは、Hか、場合により置換基のシクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を有するC〜C12アルキルを表す〕
により表される化合物が挙げられる。
【0098】
1つ以上の−CO−NH−CO−基及び1つ以上の重合性不飽和結合を有する重合性化合物には、マレイミド及びN−アクリロイル−アクリルアミドが含まれる。これらの重合性化合物は、−CO−NH−CO−基を含む高分子化合物となり、重合により一次鎖と一緒になって環が形成される。更に、それぞれ−CO−NH−CO−基を有するメタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体を使用することもできる。そのようなメタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体には、例えば、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−ブタノイルメタクリルアミド、N−ペンタノイルメタクリルアミド、N−デカノイルメタクリルアミド、N−ドデカノイルメタクリルアミド、N−ベンゾイルメタクリルアミド、N−(p−メチルベンゾイル)メタクリル−アミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド、N−(ナフチル−カルボニル)−メタクリルアミド、N−(フェニルアセチル)−メタクリル−アミド及び4−メタクリロイルアミノフタルイミドのようなメタクリルアミド誘導体、並びにこれらと同じ置換基を有するアクリルアミド誘導体が含まれる。これらの重合性化合物は、重合して、側鎖に−CO−NH−CO−基を有する化合物となる。
【0099】
1つ以上の重合性不飽和結合を有し、酸基を含有しない重合性化合物の例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニルメタ(アクリレート)、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン−8−イル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸のエステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、ポリクロロスチレン、フルオロスチレン、ブロモスチレン、エトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン、ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデン、1−メチリデンのようなビニル芳香族化合物;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルビバレート、ビニルベンゾエート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルボレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニルフェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、ビニルサリチレート、ビニルクロロベンゾエート、ビニルテトラクロロベンゾエート、ビニルナフトエート、アリルアセテート、アリルプロピオネート、アリルブチレート、アリルピバレート、アリルベンゾエート、アリルカプロエート、アリルステアレート、アリルアセトアセテート、アリルラクテートのようなビニル又はアリルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルヘキシルエーテル、ビニルオクチルエーテル、ビニルエチルヘキシルエーテル、ビニルメトキシエチルエーテル、ビニルエトキシエチルエーテル、ビニルクロロエチルエーテル、ビニルヒドロキシエチルエーテル、ビニルエチルブチルエーテル、ビニルヒドロキシエトキシエチルエーテル、ビニルジメチルアミノエチルエーテル、ビニルジエチルアミノエチルエーテル、ビニルブチルアミノエチルエーテル、ビニルベンジルエーテル、ビニルテトラヒドロフルフリルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニルクロロエチルエーテル、ビニルジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントリルエーテル、アリルグリシジルエーテルのようなビニル又はアリルエーテル;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジフェニル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘプチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドシクロヘキシル、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−トリル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N−ナフチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルフェニルスルホニル(メタ)アクリルアミド及びN−(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチルロールアクリルアミド、N−ブトキシアクリルアミドのようなアミド型不飽和化合物;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのようなポリオレフィン型化合物;(メタ)アクリロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−アルキルマレイミド、無水マレイン酸、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリブチル(メタ)アクリレートマクロモノマー;ブチルクロトネート、ヘキシルクロトネート、グリセリンモノクロトネートのようなクロトネート;及びジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネートのようなイタコネート;並びにジメチルマレエート、ジブチルフマレートのようなマレエート又はフマレートから選択される、重合性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。
【0100】
コポリマーの好ましい例は、メチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸のコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸のコポリマー、メチル(メタ)アクリレート/エチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸のコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びスチレンのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのコポリマー、メチル(メタ)アクリレート/ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びスチレンのコポリマー、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートのコポリマー、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、スチレン及び(メタ)アクリル酸のコポリマー、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びポリスチレンマクロモノマーのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマーのコポリマー、N−フェニルマレイミド、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及びスチレンのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、モノ−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕スクシネート及びスチレンのコポリマー、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、モノ−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕スクシネート及びスチレンのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート及びスチレンのコポリマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−フェニルマレイミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート及びスチレンのコポリマー、並びにベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−シクロヘキシルマレイミド及びスチレンのコポリマーである。
【0101】
また、ヒドロキシスチレンホモ−若しくはコポリマー、又はノボラック型フェノール樹脂、例えば、ポリ(ヒドロキシスチレン)及びポリ(ヒドロキシスチレン−コ−ビニルシクロヘキサノール)、ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、並びにハロゲン化フェノールノボラック樹脂を使用することができる。より詳細には、例えばコモノマーとしてスチレンとの、例えば、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸コポリマー、イタコン酸コポリマー、クロトン酸コポリマー、無水マレイン酸コポリマー、及びマレイン酸コポリマー、及び部分的にエステル化されているマレイン酸コポリマーが含まれ、それぞれ、例えば特公昭59−044615、特公昭54−034327、特公昭58−012577、特公昭54−025957、特公昭59−053836、特開昭59−071048、特開昭60−159743、特開昭60−258539、特開平01−152449、特開平02−199403及び特開平02−199404に記載されており、これらのコポリマーを、例えば米国特許第5,650,263号に記載されているように、アミンと更に反応させることができ;更に、カルボキシル基を側鎖に有するセルロース誘導体を使用することができ、特に好ましいものは、例えば、米国特許第4,139,391号、特公昭59−044615、特開昭60−159743及び特開昭60−258539に記載されている、ベンジル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸のコポリマー、並びにベンジルメタ(アクリレート)、(メタ)アクリル酸及び他のモノマーのコポリマーである。
【0102】
上記の有機結合剤ポリマーのうちでカルボン酸基を有するものに関して、感光性、被覆膜強度、被覆溶媒及び化学耐性、並びに基材に対する接着性を改善する目的で、カルボン酸基の幾つか又は全てを、グリシジル(メタ)アクリレート又はエポキシ(メタ)アクリレートと反応させて、光重合性有機結合剤ポリマーを得ることが可能である。例は、特公昭50−034443及び特公昭50−034444、米国特許第5,153,095号、米国特許第5,650,233号及び米国特許第5,677,385号において、並びにT. KudoらによりJ. Appl. Phys., Vol. 37 (1998), p. 3594-3603において開示されている。上記に記述された特許及び特許出願の内容の全体は、全て参照として本明細書に包含される。
【0103】
これらの多様な種類のアルカリ可溶性結合剤のうち、アクリル酸ホモ及びコポリマー、並びにメタクリル酸ホモ及びコポリマーが特に好ましい。
【0104】
結合剤の重量平均分子量は、好ましくは500〜1,000,000、例えば3,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜400,000である。
【0105】
染料含有硬化性樹脂組成物におけるアルカリ可溶性結合剤の含有量は、染料含有硬化性樹脂組成物の総固形分に基づいて、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは30〜70重量%である。
【0106】
光重合性ビニル化合物も当業者によく知られている。これらのモノマーは、少なくとも1つのエチレン性二重結合を含有し、通常、100℃以上の沸点を有する。
【0107】
適切な光重合性ビニル化合物の例は、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートである。好ましい光重合性ビニル化合物は、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート及びジペンタエリトリトールペンタメタクリレートである。
【0108】
着色剤含有硬化性組成物におけるそのような光重合性ビニル化合物の総含有量は、物質によって変わるが、組成物の固形分に基づいて、一般に5〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは7〜30重量%である。
【0109】
適切な光開始剤も当業者に周知であり、好ましくは、ハロメチルオキサジアゾール、ハロメチル−s−トリアジン、3−アリール置換クマリン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体、オキシムエステル及びオキシムから選択される。
【0110】
適切な光開始剤は、例えば、英国特許第2,339,571号、米国特許第6,485,885号、英国特許第2,358,017号、英国特許第2,357,293号、国際公開公報第02/100903号、J. Photopolym. Sci. Technol. 15, 51-57 (2002), IP. com. Journal IPCOM 000012462D, 3(6), 101-109 (2003)、米国特許出願公開第2004/0102548号、米国特許出願公開第2004/0102673号、PCT/欧州特許公報第2006/068202号及びPCT/欧州特許公報第2006/068254号に記載されている。
【0111】
好ましい光開始剤は、下記式:
【0112】
【化7】

【0113】
〔式中、R12、R13及びR14は、互いに独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロゲンアルキル、C〜Cアルコキシ、塩素又はN(C〜Cアルキル)であり;R15は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロゲンアルキル、フェニル、N(C〜Cアルキル)、COOCH、下記:
【0114】
【化8】

【0115】
であり、そしてnは、2〜10である〕で示されるベンゾフェノンである。特定の例は、Lambertiから入手可能なESACURE TZT(登録商標)(2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンの混合物)及び、DAROCUR(登録商標)BP(ベンゾフェノン)である。
【0116】
更に好ましい光開始剤は、下記式:
【0117】
【化9】

【0118】
〔式中、R16は、水素又はC〜C18アルコキシであり;R17は、水素、C〜C18アルキル、C〜C12ヒドロキシアルキル、C〜C18アルコキシ、−OCHCH−OR21、モルホリン、C〜C18アルキル−S−、基HC=CH−、HC=C(CH)−、下記:
【0119】
【化10】

【0120】
であり;a、b及びcは、1〜3であり;nは、2〜10であり;G及びGは、互いに独立して、ポリマー構造の末端基、好ましくは水素又はメチルであり;R18は、ヒドロキシ、C〜C16アルコキシ、モルホリノ、ジメチルアミノ又は−O(CHCHO)−C〜C16アルキルであり;R19及びR20は、互いに独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜C16アルコキシ若しくは−O(CHCHO)−C〜C16アルキルであるか;又は非置換のフェニル若しくはベンジルであるか;又はC〜C12アルキルで置換されている、フェニル若しくはベンジルであるか;或いはR19及びR20は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル環を形成し;mは、1〜20であるが;但し、R18、R19及びR20は、そろって、C〜C18アルコキシ又は−O(CHCHO)−C〜C16アルキルではなく;そしてR21は、水素、下記:
【0121】
【化11】

【0122】
である〕で示される、アルファ−ヒドロキシケトン、アルファ−アルコキシケトン又はアルファ−アミノケトンである。
【0123】
特定の例は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンの混合物、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ベンジル−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、下記:
【0124】
【化12】

【0125】
Fratelli Lambertiにより提供されるESACURE(登録商標)KIP及び2−ヒドロキシ−1−{1−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル〕−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オンである。
【0126】
更に好ましい光開始剤は、下記式:
【0127】
【化13】

【0128】
〔式中、R22及びR23は、互いに独立して、非置換のC〜C20アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル若しくはビフェニリルであるか;又はハロゲン、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルキルチオ若しくはNR2526で置換されている、C〜C20アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル若しくはビフェニリルであるか、或いはR22及びR23は、互いに独立して、−(CO)R24であり;R25及びR26は、互いに独立して、水素、非置換C〜C12アルキル又はOH若しくはSHで置換されているC〜C12アルキルであり、ここでアルキル鎖は、1〜4個の酸素原子で中断されていてもよいか;或いはR25及びR26は、互いに独立して、C〜C12アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニルであり;R24は、非置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル若しくはビフェニリルであるか、又はハロゲン、C〜Cアルキル及び/若しくはC〜Cアルコキシで置換されているシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル若しくはビフェニリルであるか;或いはR24は、S原子又はN原子を有する5員又は6員複素環である〕で示されるアシルホスフィンオキシドである。特定の例は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−エトキシ−ホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドである。
【0129】
更に好ましい光開始剤は、下記式:
【0130】
【化14】

【0131】
〔式中、R27及びR28は、互いに独立して、場合によりC〜C18アルキル、C〜C18アルコキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル又はハロゲンで一置換、二置換又は三置換されているシクロペンタジエニルであり;R29及びR30は、Ti−C結合に対してオルト位置に少なくとも1つのF又はCF置換基を有し、かつ非置換のピロリニル若しくはポリオキサアルキルであるか又は1〜2つのC〜C12アルキル、ジ(C〜C12アルキル)アミノメチル、モルホリノメチル、C〜Cアルケニル、メトキシメチル、エトキシメチル、トリメチルシリル、ホルミル、メトキシ若しくはフェニルで置換されているピロリニル若しくはポリオキサアルキルである、少なくとも1つの更なる置換基を有する、フェニルであるか;或いはR29及びR30は、下記:
【0132】
【化15】

【0133】
であり;Gは、O、S又はNR34であり;R31、R32及びR33は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C〜C12アルケニル、C〜C12アルコキシ、1〜4個の酸素原子で中断されているC〜C12アルコキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、非置換のフェニル若しくはビフェニル、又はC〜Cアルコキシ、ハロゲン、フェニルチオ若しくはC〜Cアルキルチオで置換されているフェニル若しくはビフェニルであるが、但し、R31及びR33は、両方が水素であることはなく、下記:
【0134】
【化16】

【0135】
の残基に関して、置換基R31又はR33の少なくとも一方は、C〜C12アルコキシ若しくは1〜4個の酸素原子で中断されているC〜C12アルコキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ、フェノキシ又はベンジルオキシであり;そしてR34は、C〜Cアルキル、フェニル又はシクロフェニルである〕で示されるチタノセンである。特定の例は、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロロ−1−イル)−フェニル)−チタン及びビス(2,6−ジフルオロフェニル)−ビス〔(1,2,3,4,5−η)−1−メチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル〕−チタンである。
【0136】
更に好ましい光開始剤は、下記式:
【0137】
【化17】

【0138】
〔式中、R35は、H、C〜C12アルキル又は下記:
【0139】
【化18】

【0140】
であり、R36、R37、R38、R39及びR40は、互いに独立して、水素、非置換のC〜C12アルキルか、又はOH、C〜Cアルコキシ、フェニル、ナフチル、ハロゲン若しくはCNで置換されているC〜C12アルキルであり;ここでアルキル鎖は、場合により1個以上の酸素原子で中断されているか;或いはR36、R37、R38、R39及びR40は、互いに独立して、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ又はNR2526であり;R25及びR26は、互いに独立して、水素、非置換のC〜C12アルキルか、又はOH若しくはSHで置換されているC〜C12アルキルであり、ここでアルキル鎖は、場合により1〜4個の酸素原子で中断されているか;或いはR25又はR26は、互いに独立して、C〜C12アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニルであり;そしてYは、場合により1個以上の酸素原子で中断されているC〜C12アルキレンである〕で示されるフェニルグリオキサレートである。特定の例は、オキソ−フェニル酢酸2−〔2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−エトキシ〕−エチルエステルである。
【0141】
更に好ましい光開始剤は、下記式:
【0142】
【化19】

【0143】
〔式中、zは、0又は1であり;R41は、水素、C〜Cシクロアルキル;非置換又は1つ以上のハロゲン、フェニル及び/若しくはCNで置換されているC〜C12アルキルであるか;或いはR41は、C〜Cアルケニル;非置換又は1つ以上のC〜Cアルキル、ハロゲン、CN、OR44、SR45及び/若しくはNR4647で置換されているフェニルであるか;或いはR41は、C〜Cアルコキシ、ベンジルオキシ;又は非置換又は1つ以上のC〜Cアルキル及び/若しくはハロゲンで置換されているフェノキシであり;R42は、フェニル、ナフチル、ベンゾイル又はナフトイルであり、それぞれハロゲン、C〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、ベンジル、フェノキシカルボニル、C〜C12アルコキシカルボニル、OR44、SR48、SOR45、SO45及び/又はNR4647で1〜7回置換されており、ここで置換基OR44、SR45及びNR4647は、場合より、ラジカルR44、R45、R46及び/若しくはR47を介して、フェニル若しくはナフチル環の更なる置換基と5員若しくは6員環を形成するか;又はそれぞれフェニルにより、又は1つ以上のOR44、SR45及び/若しくはNR4647で置換されているフェニルにより置換されているか;或いはR42は、チオキサンチル又は下記:
【0144】
【化20】

【0145】
であり、R43は、水素;非置換C〜C20アルキル、又は1つ以上のハロゲン、OR44、フェニルで置換されているC〜C20アルキルであるか;又はC〜Cシクロアルキル;非置換又は1つ以上のC〜Cアルキル、フェニル、ハロゲン、OR44、SR45及び/若しくはNR4647で置換されているフェニルであるか;又は非置換又は1つ以上のC〜Cアルキル、フェニル、OR44、SR45及び/若しくはNR4647で置換されている、C〜C20アルカノイル若しくはベンゾイルであるか;又はC〜C12アルコキシカルボニル、フェノキシカルボニル、CN、−CONR4647、NO、C〜Cハロアルキル、S(O)−C〜Cアルキル若しくはS(O)−フェニルであり;yは、1又は2であり;R44及びR45は、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C12アルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニル−C〜Cアルキルであるか;又は−OH、−SH、−CN、C〜Cアルカノイル、ベンゾイル(非置換又は1つ以上のC〜Cアルキル、ハロゲン、−OH、C〜Cアルコキシ若しくはC〜Cアルキルスルファニルで置換されている)で置換されているC〜Cアルキルであるか;又はフェニル若しくはナフチルであり、それぞれ非置換であるか又はハロゲン、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、フェニル−C〜Cアルキルオキシ、フェノキシ、C〜C12アルキルスルファニル、フェニルスルファニル、−N(C〜C12アルキル)、ジフェニルアミノで置換されており;R46及びR47は、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニル−C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜C12アルケノイル、ベンゾイルであるか;又はフェニル若しくはナフチルであり、それぞれ非置換であるか又はC〜C12アルキル、ベンゾイル若しくはC〜C12アルコキシで置換されているか;或いはR46及びR47は、共に、場合により−O−若しくは−NR44−で中断されている、及び/又は場合によりヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイルオキシ若しくはベンゾイルオキシで置換されている、C〜Cアルキレンであり;R49は、C〜C12アルキル、フェニル、C〜C12アルキルフェニル又は2−(2′−テトラヒドロフリル)−フェニルである〕で示されるオキシムエステルである。特定の例は、1,2−オクタンジオン1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)及び9H−チオキサンテン−2−カルボキシアルデヒド9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)である。
【0146】
光開始剤の更なる例は、Lambertiから入手可能なEsacure(登録商標)1001であり、これは、1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン
【0147】
【化21】

【0148】
である。
【0149】
最も好ましい光開始剤は、以下の化合物:
【0150】
【化22】

【0151】
である。
【0152】
光開始剤を増感剤及び/又は光安定剤と組み合わせて使用することができる。
【0153】
光開始剤の総含有量は、好ましくは、組成物の固形分に基づいて、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
【0154】
染料含有硬化性組成物を調製するにあたり、一般に溶媒が使用される。溶媒は、それぞれの成分の溶解性及び染料含有硬化性組成物の被覆特性を満足させる限り特に限定されず、好ましくは、特に、アルカリ可溶性結合剤の溶解性、被覆特性及び安全性を考慮して選択される。
【0155】
適切な溶媒には、エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸ブチル及びメトキシ酢酸メチル、1−メトキシ−2−プロピル−アセテート(PGMEA)、2−メトキシ−1−プロピル−アセテート、メチルセルソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート及びポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート(PEGMEA)のようなエーテルエステル、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ケトン、例えば2−ブタノン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノン、並びにトルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素が含まれる。
【0156】
以下の実施例は、本発明を制限することなく更に説明する。特に記述のない限り、「部」及び「%」は重量に基づく。容量部は、水の重量部に相当する。
【0157】
比較例1:Heliogen(登録商標)Blue D6700T(ε銅フタロシアニン、BASF)92部及びフタルイミドメチル銅フタロシアニン8部を、1000容量部の混練機によって、ジエチレングリコール100部及び粉砕した塩化ナトリウム700部と共に、90℃で15時間混練した。次にこの混練チップを1%HCl水溶液に注ぎ、得られたスラリーを、撹拌しながら、約70℃で2時間加熱した。スラリーを濾過し、フィルターケーキを、濾液に塩化物イオンがなくなるまで、水で洗浄した。湿潤フィルターケーキを再びスラリー化し、撹拌及び水酸化ナトリウム水溶液でpH7.5に調整しながら、高剪断下、70℃で2時間処理し、次に濾過し、濾液が中性になるまで水で洗浄した。最後に、ε銅フタロシアニン組成物のフィルターケーキを90℃で乾燥し、50℃で乾式粉砕した。極めて小さい粒子を得たが、それは不十分なレオロジーを有し、より良好なコントラストをもたらさなかった。
【0158】
実施例1a:粗β銅フタロシアニン92部及びフタルイミドメチル銅フタロシアニン8部を、濃硫酸により40℃で4時間酸ペースト化し(銅フタロシアニン1部:HSO 8部)、次に流出吸引器を使用して水の中に水没させた。スラリーを濾過し、α銅フタロシアニン/フタルイミドメチル銅フタロシアニンフィルターケーキを、濾液に酸がなくなるまで水で洗浄した。
【0159】
実施例1b:実施例1aの生成物80部、ε銅フタロシアニン(D6700T(商標)、BASF)18.4部及びフタルイミドメチル銅フタロシアニン1.6部を、1000容量部の混練機によって、ジエチレングリコール100部及び粉砕した塩化ナトリウム500部と共に、120℃で12時間混練した。次にこの混練チップを水に注ぎ、得られたスラリーを、撹拌しながら、約70℃で2時間加熱した。スラリーを濾過し、フィルターケーキを、濾液に塩化物イオンがなくなるまで、水で洗浄した。湿潤フィルターケーキを再びスラリー化し、撹拌及び水酸化ナトリウム水溶液でpH7.5に調整しながら、高剪断下、70℃で2時間処理し、次に濾過し、濾液が中性になるまで水で洗浄した。最後に、ε銅フタロシアニンフィルターケーキを90℃で乾燥し、50℃で乾式粉砕した。
【0160】
実施例1c:実施例1aの生成物80部及び実施例1bの生成物20部を1000容量部の混練機によって、ジエチレングリコール100部及び粉砕した塩化ナトリウム500部と共に、120℃で12時間混練し、続いて、ラウリルアンモニウムモノスルホ銅フタロシアニン5部を加えた後、90℃で8時間更に混練した。次にこの混練チップを水に注ぎ、得られたスラリーを、撹拌しながら、約70℃で2時間加熱した。スラリーを濾過し、フィルターケーキを、濾液に塩化物イオンがなくなるまで、水で洗浄した。湿潤フィルターケーキを再びスラリー化し、撹拌及び水酸化ナトリウム水溶液でpH7.5に調整しながら、高剪断下、70℃で2時間処理し、次に濾過し、濾液が中性になるまで水で洗浄した。最後に、ε銅フタロシアニン組成物のフィルターケーキを90℃で乾燥し、50℃で乾式粉砕した。BET比表面積は85〜95m/gであり、粒子は20〜50nmの範囲であり、非常狭い粒径分布であった。
【0161】
実施例2:実施例1aの生成物80部、実施例1bの生成物20部及びラウリルアンモニウムモノスルホ銅フタロシアニン5部を1000容量部の混練機によって、ジエチレングリコール100部及び粉砕した塩化ナトリウム500部と共に、120℃で12時間混練し、続いて、90℃で8時間更に混練した。次にこの混練チップを水に注ぎ、得られたスラリーを、撹拌しながら、約70℃で2時間加熱した。スラリーを濾過し、フィルターケーキを、濾液に塩化物イオンがなくなるまで、水で洗浄した。湿潤フィルターケーキを再びスラリー化し、撹拌及び水酸化ナトリウム水溶液でpH7.5に調整しながら、高剪断下で2時間処理し、次に濾過し、濾液が中性になるまで水で洗浄した。最後に、ε銅フタロシアニン組成物のフィルターケーキを90℃で乾燥し、50℃で乾式粉砕した。
【0162】
実施例3:実施例1aの生成物80部、実施例1bの生成物20部及びラウリルアンモニウムモノスルホ銅フタロシアニン5部を1000容量部の混練機によって、ジエチレングリコール100部及び粉砕した塩化ナトリウム500部と共に、120℃で12時間混練し、続いて、105℃で8時間更に混練した。次にこの混練チップを水に注ぎ、得られたスラリーを、撹拌しながら、約70℃で2時間加熱した。スラリーを濾過し、フィルターケーキを、濾液に塩化物イオンがなくなるまで、水で洗浄した。湿潤フィルターケーキを再びスラリー化し、撹拌及び水酸化ナトリウム水溶液でpH7.5に調整しながら、高剪断下、70℃で2時間処理し、次に濾過し、濾液が中性になるまで水で洗浄した。最後に、ε銅フタロシアニン組成物のフィルターケーキを90℃で乾燥し、50℃で乾式粉砕した。
【0163】
実施例4〜8:以下の物質を37mlのねじ蓋ボトルの中に投入した:
1.0gの顔料(下記の表に示した);
10.0gのプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート;
0.04gのSolsperse(登録商標)5000(Lubrizol);
0.36gのAjisper(登録商標)PB821(Ajinomoto Fine-Techno Co., Inc.);
4.0gのポリ(ベンジルメタクリレート−コ−メタクリル酸)1−メトキシ−2−プロピルアセテート中25%、ベンジルメタクリレート:メタクリル酸の重量比80:20;
50.0gのジルコニウムオキシドビーズ(直径0.5mm)。
【0164】
ボトルを内蓋で密閉し、次に塗料調整器を3時間適用して、分散体を得た。分散体の粘度は、レオメーター(LVDV-III(商標)、Brookfield Engineering)により測定した。
【0165】
このようにして得られた分散体をスピンコーティングによりガラス基材上に流延し、層厚を、回転速度を制御することによって調整して、所望のカラーポイントを有する膜を得て、次に60℃で1時間乾燥した。
【0166】
このようにして得られた分散体膜の光学特性は、分光光度計(UV-2500PC(商標)、Shimadzu)を使用して測定し、カラーポイント(C.I.E.1931x、y色度図)は、標準C光を使用し、観察角度2°で計算した。膜のコントラスト比は、コントラストテスター(CT-1, Tsubosaka Electric Co., Ltd.)により測定した。
【0167】
結果は下記のとおりである:
【0168】
【表1】

【0169】
実施例9:実施例1a、1b、2及び7と類似して手順を進めたが、違いとしては、そこで示された量の代わりに、93.87部の粗β銅フタロシアニン及び6.13部のフタルイミドメチル銅フタロシアニンを実施例1aにおいて使用し、18.77部のε銅フタロシアニン及び1.23部のフタルイミドメチル銅フタロシアニンを実施例1bにおいて使用し、2.04部のラウリルアンモニウムモノスルホ銅フタロシアニンを実施例1cにおいて使用した。光学特性は、実施例7のものと同様であったが、僅かに改善された粘度を有した。
【0170】
【表2】

【0171】
実施例10〜13:実施例9と密接に類似して手順を進めたが、違いとしては、α銅フタロシアニンとε銅フタロシアニンの比率(実施例9では4:1)は、それぞれ、1:1(実施例10)、2:1(実施例11)、6:1(実施例12)及び10:1(実施例13)であった。結果は、実施例9と同様であり、実施例11において最高のコントラスト比であり、実施例10及び13において最低のコントラスト比であった。
【0172】
実施例14:実施例9と密接に類似して手順を進めたが、違いとしては、そこで示された量の代わりに、94.85部の粗β銅フタロシアニン及び5.15部の(フタルイミドメチルの代わりに)ジメチルアミノメチル銅フタロシアニンを実施例1aにおいて使用し、18.97部のε銅フタロシアニン及び1.03部の(フタルイミドメチルの代わりに)ジメチルアミノメチル銅フタロシアニンを実施例1bにおいて使用し、3.09部のラウリルアンモニウムモノスルホ銅フタロシアニンを実施例1cにおいて使用した。光学特性は実施例7のものと同様であった。
【0173】
実施例15:実施例9と密接に類似して手順を進めたが、違いとしては、そこで示された量の代わりに、89.7部の粗β銅フタロシアニン及び10.3部の(フタルイミドメチルの代わりに)アミノメチル銅フタロシアニンを実施例1aにおいて使用し、17.94部のε銅フタロシアニン及び2.06部の(フタルイミドメチルの代わりに)アミノメチル銅フタロシアニンを実施例1bにおいて使用し、3.09部のラウリルアンモニウムモノスルホ銅フタロシアニンを実施例1cにおいて使用した。光学特性は実施例7のものと同様であった。
【0174】
実施例16:実施例9と密接に類似して手順を進めたが、違いとしては、そこで示された量の代わりに、96.48部の粗β銅フタロシアニン及び3.52部の(フタルイミドメチルの代わりに)ジメチルアミノメチル銅フタロシアニンを実施例1aにおいて使用し、19.30部のε銅フタロシアニン及び0.70部の(フタルイミドメチルの代わりに)ジメチルアミノメチル銅フタロシアニンを実施例1bにおいて使用し、17.65部の(ラウリルの代わりに)ステアリルアンモニウムモノスルホ銅フタロシアニンを実施例1cにおいて使用した。光学特性は実施例7のものと同様であった。
【0175】
実施例17:実施例9と密接に類似して手順を進めたが、違いとしては、そこで示された量の代わりに、84.55部の粗β銅フタロシアニン及び15.45部のフタルイミドメチル銅フタロシアニンを実施例1aにおいて使用し、16.91部のε銅フタロシアニン及び3.09部のフタルイミドメチル銅フタロシアニンを実施例1bにおいて使用し、3.09部のラウリルアンモニウムモノスルホ銅フタロシアニンを実施例1cにおいて使用した。コントラスト比は、優れていた(実施例8のものより良好であった)が、粘度は、はるかに劣っていた。
【0176】
実施例18:実施例9と密接に類似して手順を進めたが、違いとしては、そこで示された量の代わりに、82.76部の粗β銅フタロシアニン及び17.24部のフタルイミドメチル銅フタロシアニンを実施例1aにおいて使用し、16.55部のε銅フタロシアニン及び3.45部のフタルイミドメチル銅フタロシアニンを実施例1bにおいて使用し、14.94部のラウリルアンモニウムモノスルホ銅フタロシアニンを実施例1cにおいて使用した。コントラスト比は、良好であった(実施例7のものより良好であった)が、粘度は、十分に満足できるものではなかった。
【0177】
実施例19:実施例9と密接に類似して手順を進めたが、違いとしては、そこで示された量の代わりに、80.0部の粗β銅フタロシアニン及び20.0部の(フタルイミドメチルの代わりに)ジメチルアミノメチル銅フタロシアニンを実施例1aにおいて使用し、16.0部のε銅フタロシアニン及び4.0部の(フタルイミドメチルの代わりに)ジメチルアミノメチル銅フタロシアニンを実施例1bにおいて使用し、11.11部の(ラウリルの代わりに)ステアリルアンモニウムモノスルホ銅フタロシアニンを実施例1cにおいて使用した。コントラスト比は、良好であったが、粘度は、十分に満足できるものではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料組成物の調製方法であって、
● α銅フタロシアニン及びε銅フタロシアニンの混合物を式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン又はその混合物及び摩砕助剤と一緒に有機液体中で湿式摩砕する工程:
【化23】


〔式中、Mは、2H、Al(Cl)、Al(OH)、Bi(OH)、Ca、Cd、Ce(Cl)、Cr(OH)、Co、Cu、Mn、Fe、Fe(Cl)、Fe(OH)、In(Cl)、Mg、Mn(O)、Ni、Os、Pb、Pd、Pt、Re、Rh、Rh(O)、Ru、Si(Cl)、Si(OC〜Cアルキル)、Si(OH)、Sn、Sr、Ti(O)、V(O)、Zn、Zr(O)又はZr(OH)、好ましくは2H、Co、Cu又はNi、最も好ましくはCuであり;
は、下記:
【化24】


好ましくは、下記:
【化25】


であり;
2は、下記:
【化26】


〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−3H、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−3〜Cアルキル、〔C〜Cアルキレン−NH−〕1−3〜Cアルキル又は〔C〜Cアルキレン−N(C〜Cアルキル)−〕1−3〜Cアルキルであり;
は、H、C〜C20アルキル、C〜C20アルキレン、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−3H、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−3〜Cアルキル又は〔C〜Cアルキレン−N(C〜Cアルキル)−〕1−3〜Cアルキルであり;
及びRは、互いに独立して、H又はC〜Cアルキル、好ましくは両方ともHであるか又は両方ともメチルであり;
は、それぞれ他の全てから独立して、H、C〜Cアルキル、Cl又はNOであり;そして
は、H、COOH、CONH、CONHC〜Cアルキル又はCON(C〜Cアルキル)である〕;
● 式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニン又はその混合物を、摩砕助剤及び有機液体を湿式摩砕混合物から分離する前に加える工程:
【化27】


〔式中、Mは、2H、Al(Cl)、Al(OH)、Bi(OH)、Ca、Cd、Ce(Cl)、Cr(OH)、Co、Cu、Mn、Fe、Fe(Cl)、Fe(OH)、In(Cl)、Mg、Mn(O)、Ni、Os、Pb、Pd、Pt、Re、Rh、Rh(O)、Ru、Si(Cl)、Si(OC〜Cアルキル)、Si(OH)、Sn、Sr、Ti(O)、V(O)、Zn、Zr(O)又はZr(OH)、好ましくは2H、Co、Cu又はNi、最も好ましくはCuであり;
及びRは、それぞれ互いに独立して、H又はC〜Cアルキル、好ましくはH又はメチル、特に好ましくはHであり;
10は、H、フェニル、ベンジル、2−フェニルエチル、ナフチル、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−6H、〔C〜Cアルキレン−O−〕1−6〜Cアルキル、〔C〜Cアルキレン−NH−〕1−6〜Cアルキル又は〔C〜Cアルキレン−N(C〜Cアルキル)−〕1−6〜Cアルキル、好ましくはHであり;そして
11は、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、〔C〜Cアルキレン−O−〕3−6H、〔C〜Cアルキレン−O−〕3−6〜Cアルキル、〔C〜Cアルキレン−NH−〕3−6〜Cアルキル又は〔C〜Cアルキレン−N(C〜Cアルキル)−〕3−6〜Cアルキル、好ましくはC〜C20アルキル又はC〜C20アルケニル、最も好ましくはC10〜C18アルキルであるが;
但し、R、R、R10及びR11の炭素原子の総数は、8〜30である〕;
● 摩砕助剤及び有機液体を、式(II)のアンモニウム塩の添加後に湿式摩砕混合物から分離する工程;及び
● 顔料組成物を単離する工程
を含み、
ここで、そのように単離された組成物が、フタロシアニンコアを有する成分の総含有量に基づいて、
■ 70〜93重量%、好ましくは81〜93重量%、特に81〜91重量%のε銅フタロシアニン;
■ 5〜18重量%、特に6〜15重量%、最も好ましくは6〜12重量%の、式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン又はその混合物;
■ 2〜15重量%、特に3〜12重量%、最も好ましくは3〜9重量%の、式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニン又はその混合物;及び
■ 0〜2重量%、好ましくは0〜1重量%の他のフタロシアニン化合物
を含む、方法。
【請求項2】
顔料組成物が、フタロシアニンコアを有する成分の総含有量に基づいて、6〜20重量%、好ましくは9〜16重量%の、式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン又はその混合物と、式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニン又はその混合物とを含み、式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン又はその混合物と式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニン又はその混合物とのモル比が、1:1〜5:1である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
α銅フタロシアニンとε銅フタロシアニンの湿式摩砕の開始時における比率が、1:99〜99:1、好ましくは1:4〜20:1、最も好ましくは1:1〜10:1である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
湿式摩砕工程が、不溶性の不活性固体物質を用いる撹拌媒体パールミルにより、又は結晶質有機化合物若しくは無機塩を用いる混練機により、好ましくは無機塩を用いる混練機により実施される、請求項1、2又は3記載の方法。
【請求項5】
混練の際の温度が、10〜180℃、好ましくは60〜130℃である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニンを湿式摩砕の終了段階の前に加える、請求項1、2、3、4又は5記載の方法。
【請求項7】
フタロシアニンコアを有する成分の総含有量に基づいて、
■ 70〜93重量%、好ましくは81〜93重量%、特に81〜91重量%のε銅フタロシアニン;
■ 5〜18重量%、特に6〜15重量%、最も好ましくは6〜12重量%の、式(I)のアミノメチル置換フタロシアニン又はその混合物;
■ 2〜15重量%、特に3〜12重量%、最も好ましくは3〜9重量%の、式(II)のアンモニウムスルホナトフタロシアニン又はその混合物;及び
■ 0〜2重量%、好ましくは0〜1重量%の他のフタロシアニン化合物
を含む、顔料組成物。
【請求項8】
BET法で決定して、好ましくは50〜110m/g、より好ましくは80〜110m/g、最も好ましくは85〜100m/gの比表面積を有する、請求項7記載の顔料組成物。
【請求項9】
高分子量有機物質と、着色剤及び高分子有機物質の総重量に基づいて0.01〜70重量%の請求項7又は8記載の組成物とを含む、組成物。
【請求項10】
0.1〜70重量%の本発明のフタロシアニン顔料組成物と、結合剤又は重合性化合物を含む液体媒質とを含む、組成物。
【請求項11】
カラーフィルター、好ましくはTVスクリーン、コンピュータースクリーン、携帯電話スクリーン、ナビゲーションシステム、CCDカメラ、液晶ディスプレー、フラットパネルディスプレー、電荷結合素子、プラズマディスプレー及びエレクトロルミネセンスディスプレーからなる群より選択される電気光学システム用のカラーフィルターを作製するための、請求項7、8、9又は10記載の組成物の使用。
【請求項12】
透明な基材と、その上に1つ又は複数の層を含み、少なくとも1つの層が、前記着色剤を含む層の総重量に基づいて1〜75重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは25〜40重量%の、請求項7又は8記載のフタロシアニン顔料組成物を含む、カラーフィルター。
【請求項13】
カラーフィルターを製造する方法であって、0.1〜70重量%の本発明のフタロシアニン顔料組成物と、結合剤又は重合性化合物を含む液体媒質とを含む組成物を、場合によりパターン化された又はパターン化されていない層をその上に含む透明な基材に適用し、組成物を乾燥及び/又は硬化して、パターン化された又はパターン化されていない層を得る方法。

【公表番号】特表2010−518204(P2010−518204A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548646(P2009−548646)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050916
【国際公開番号】WO2008/095801
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】