説明

静止物地図生成装置

【課題】走行中の移動体の絶対位置の実時間測定に有用な、道路周辺の静止物に関する高精度な測位データを簡単に収集することが可能な装置を低コストで実現すること。
【解決手段】この静止物地図生成装置100は、自車両周辺における物体の同一時刻における相対位置の平面分布を表すローカルマップを生成するローカルマップ生成手段130と、移動物が検出される可能性が高い検出領域から検出された物体の上記の相対位置の位置データの重みをその可能性に対して単調に減少させる重み付け手段140と、異時刻に生成された同一地点周辺の複数のローカルマップを照合するローカルマップ照合手段150と、このローカルマップ照合手段によって対応づけられる同一地点について、上記の絶対位置取得装置の出力情報に基づいて算定される異時刻の複数の当該絶対位置を平均化処理する平均処理手段160などを有して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行環境中の自車両周辺における物体の自車両に対する相対位置を測定する相対位置測定装置などを用いて静止物の絶対位置の平面分布を表す地図を生成する静止物地図生成装置に関する。
本発明は、自車両の絶対位置の測位精度の向上に大いに寄与するものであり、例えば自車両の現在位置を確認するためにカーナビゲーションシステムやオートクルーズシステムなどに備える、道路周辺の静止物の絶対位置情報のデータベースを、簡単かつ高精度に構築する際に有効である。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS衛星を用いた測位技術の進歩により、RTK−GPS(Real-Time Kinematic Global Positioning System )では、誤差2〜3cm程度の測位精度を得ることができる様になったが、これらの測位装置は非常に高価であり、また、例えば走行中の自動車などの移動体に関する測位を実時間で実施するには必ずしも好適なものではない。
【0003】
また、これらのRTK−GPS等を用いずに構成可能な、自車両に関する比較的高精度な測位を実時間で実施するための従来の測位技術としては、例えば、下記の特許文献1,2に記載されているものなどが公知である。これらの測位技術では、通常のナビゲーションシステムでは用いられない程詳細な道路周辺の静止物(例:道路標識や反射板や停止線など)の特徴データや位置データが事前調査によって予め記憶された記憶装置(「詳細地図DB」や「道路周囲環境記憶装置」)を備え、更に、そこに記憶されたそれらの静止物の特徴データと走行中に実時間で検出された静止物の特徴とを照合する照合手段を備える点に特徴がある。
【0004】
中でも特に、下記の特許文献1は、自動車の高精度位置を推定するために、車載カメラで撮影した画像から車線境界線とランドマーク(路面表示や道路標識など)を抽出し、道路の詳細地図情報との車線レベルでの整合性チェックにこの二つの情報を組み合わせて用いることを特徴としている。
【0005】
また、下記の特許文献2には、下記の記載がある。
(記載1)「レーダ装置によって検出された静止物のデータと道路周囲環境記憶装置に記憶された静止物のデータとに基づいて、ナビゲーション装置で求めた自車の現在位置を修正することで、自車の現在位置の誤差を数10m程度から10cm程度〜数10cm程度の誤差にすることができ、精度を向上することができる。」との記載。
(記載2)「高速道路を一度走行して反射板や照明灯等の静止物の位置を道路周囲環境記憶装置に記憶させることで、次回からは本発明の選択車線維持装置により、自車選択車線を自動的に維持させることができる。」との記載。
【0006】
また、下記の非特許文献1,2には、全方位カメラとGPSを用いて市街地映像マップを構築する際に有用となる車載カメラ映像間の対応付け技法に関する記述がある。この技法は、全方位カメラを車載して、同一地点における相異なる複数時期の映像を照合し、撮像時に同時に取得したGPSの位置情報を、その同一地点に関して平均化することによって、従来よりも正確な測位用の地図(市街地映像マップ)を作成しようとするものである。
【特許文献1】特開2005−265494
【特許文献2】特開平10−300493
【非特許文献1】佐藤准嗣、外3名、”車載全方位カメラとGPSを用いた市街地映像マップの構築”、2005年電子情報通信学会総合大会D−12−43、2005年3月。
【非特許文献2】佐藤准嗣、外3名、”市街地映像マップの構築のための車載カメラ映像間対応付け”、「映像の認知・理解シンポジウム(MIRU2005)」、p.596〜603、2005年7月。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1の測位方式においては、車載カメラで撮影した画像から車線境界線とランドマーク(路面表示や道路標識など)を抽出する必要があるが、この様な画像処理は必ずしも容易ではなく、また、天候や時間帯などによっては、これらの画像処理が困難となる場合も少なくない。また、上記の様な整合性チェックを実施するためには、予め上記の「詳細地図DB」に道路の詳細地図情報として所定のランドマーク(路面表示や道路標識など)を登録しておく必要があるが、これらのランドマークが何ら存在しない道路も数多く存在する。したがって、上記の特許文献1の測位技術は、その適用範囲や信頼性の面で問題が多い。また、路面表示や道路標識などの一定のランドマークの高精度な絶対位置を上記の詳細地図DBに逐一登録することは、必ずしも現実的な方法とは言えない。
【0008】
また、特許文献2の上記の(記載1)に示されている測位精度を実現するためには、上記の道路周囲環境記憶装置に殆ど誤差のない高精度な測位データ(絶対位置)を予め登録しておく必要がある。しかしながら、上記の特許文献2には、その様な高精度の測位データを上記の道路周囲環境記憶装置に予め登録しておくための方法や手順については、何ら開示されていない。
更に、この様な高精度の測位データを準備することは、現行の一般的な技術水準に照らして考えると、RTK−GPSなどの高価な測位手段を用いない限り困難であり、また、RTK−GPSなどを用いる場合であっても、それらの測位は個々の静止物の位置でそれぞれ静止して実施しなくてはならないため、上記の(記載1)に記載の道路周囲環境記憶装置を予め準備するための作業コストは、その適用領域(走行地域)を非常に狭く限定しない限り、極めて膨大になるものと考えざるを得ない。
したがって、特許文献2の上記の(記載1)に示される測位技術に従う限り、走行中の移動体の現在の絶対位置を高精度に測定する測位装置に関し、その適用領域を通常のカーナビゲーションシステムの一般ユーザーにまで幅広く拡大することは全く容易ではなく、その様なアプローチは現実的とは言い難い。
【0009】
また、通常のGPSを用いる場合、一般にその測位精度は、5m〜30m程度しかないと言われており、よって、特許文献2の上記の(記載2)に示される測位技術によれば、たとえ路側などにある反射板や照明灯等の静止物に対する移動体からの相対的な位置関係を精度よく認識することはできても、それらの静止物の絶対位置や、走行中の自車両の現在の絶対位置を、上記のGPSの測位精度(5m〜30m)以上に高精度に検知することはできない。
【0010】
また、上記の非特許文献1,2に記載されている従来技術は、上記の測位用の地図(市街地映像マップ)をエンドユーザが使用する際の時間帯や天候などによっては、必ずしも高い信頼性を得ることができない点や、撮影対象までの距離が直接得られないため、平面分布を表すマップの作成におおきなコストが掛かってしまう点など、多くの課題が残されている。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、走行中の移動体の現在位置(絶対位置)の実時間測定に有用な、道路周辺の静止物に関する高精度な測位データを簡単に収集することが可能な装置を低コストで実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、走行中の自車両の絶対位置を取得する絶対位置取得装置と、走行環境中の自車両周辺における物体の自車両に対する相対位置を測定する相対位置測定装置とを用いて静止物の絶対位置の平面分布を表す地図を生成する静止物地図生成装置において、自車両周辺における物体の一時刻における上記の相対位置の平面分布を表すローカルマップを生成するローカルマップ生成手段と、そのローカルマップにおいて移動物が検出される可能性が高い検出領域から検出された上記の相対位置の位置データの重みを、上記の可能性に対して単調に減少させる重み修正手段と、異時刻に生成された複数のローカルマップを、上記の重み修正手段による重みの修正結果に基づいて照合するローカルマップ照合手段と、上記のローカルマップ照合手段によって対応づけられる同一地点について、上記の絶対位置取得装置の出力情報に基づいて算定される異時刻の複数の当該絶対位置を平均化処理する平均処理手段とを設けることである。
【0013】
ただし、上記の重みは、例えば0,1などの2値だけで定義してもよいし、相対位置測定装置によって検出される検出物体からの反射波などの受信強度に基づいて定義してもよい。特に、物体の位置として検出された各座標点毎(各反射点毎)に異なり得る3値以上の重みを定義する場合には、その物体自身の存在に関する確からしさをその重みにより定量的に表すことが可能となる。
また、上記の重みをその座標点検出後に適当に書き換えるなどの変更処理によって、本願発明における重み変更手段(即ち、上記の重み再設定手段または後述の重み修正手段)を実現することができる。
【0014】
また、本明細書の平均処理手段による平均化処理では、単純な平均処理を行う様にしてもよいし、或いは、平均化されるべき各絶対位置(絶対位置取得装置の出力情報)の個々の信頼性や測定精度などに基づいて、それらの座標の加重平均処理を行う様にしてもよい。また、道路工事などによる環境変動に対応するために、この様な加重平均処理では、忘却特性などを導入するなどしてもよく、また、新しく収集された情報(ローカルマップ)ほど信頼性が高いと判定する様にしてもよい。
【0015】
また、本明細書で言う絶対位置とは、緯度と経度で表される座標に変換可能な位置情報のことを言う。また、上記の絶対位置取得装置は、GPS衛星からの信号を受信する受信装置に限定されるものではなく、ジャイロや速度計などを用いた自律的な航法に従う位置取得装置であってもよいし、更には、その様な自律航法の測位システムとGPSとを組み合わせた測位装置であってもよい。また、後述の本発明の各実施例では、これらの絶対位置取得装置として、一般的なカーナビゲーションシステムに用いられている通常のGPS受信装置を仮定するが、それ以上に測位精度の高い測位装置を上記の絶対位置取得装置として用いてもよい。また、これらの測位結果としては、例えばカルマンフィルタなどの任意のフィルタリング処理によって、その値が補正された測位結果を用いてもよい。
【0016】
また、本明細書で言う相対位置測定装置としては、レーザレーダを用いてもよいし、ミリ波レーダを用いてもよい。また、相対位置測定装置としてカメラを用い、単眼カメラによる移動ステレオ処理や複数カメラによるステレオ処理によって取得できる三次元位置情報を上記の相対位置として取得する様にしてもよい。また、これらの任意の組み合わせでもよく、車載可能で周辺の物体の平面分布を把握できるものであれば、本発明の相対位置測定装置の構成は問わない。ただし、より高い測定精度とより遠くまでの幅広い測定範囲とを同時により簡単に得るためには、少なくともレーザレーダを用いることがより望ましい。
【0017】
また、レーザレーダやミリ波レーダを用いると、取得した位置データの信頼性や測定精度が、その使用時の時間帯や天候などに左右され難い点でも格段に有利である。
また、ローカルマップ照合手段によって対応づけられる上記の同一地点は、検出された静止物が存在する地点でも、その相対位置を測定した時の自車両の位置でもよい。
【0018】
上記の重み修正手段は、相対位置測定装置の後段に具備してもよいし、ローカルマップ生成手段の中にその一部として具備してもよいし、ローカルマップ照合手段の入力フィルタとして具備してもよい。
また、移動物が検出される上記の可能性は、経験則によって得られた既知の傾向に従うものである。即ち、例えば渋滞時には一般に車間距離が狭くなるため、自車両の少なくとも前方には移動物(先行車両)が存在している確率が高くなる。したがって、渋滞が発生し易い道や時間帯などにおいては、自車両前方に移動物が存在している可能性が高いと考えてもよい。
また、ローカルマップ照合手段によって対応づけられる上記の同一地点は、検出された静止物が存在する地点でも、その相対位置を測定した時の自車両の位置でもよい。
【0019】
なお、本発明のローカルマップ生成手段、重み再設定手段、重み修正手段、ローカルマップ照合手段、平均処理手段などの各手段による各情報処理は、必ずしも自車両の走行中に実時間で実行する必要はなく、これらの情報処理は、バッチ型の処理によっても勿論実行することができる。ただし、その場合には、収集した情報間でその情報収集時刻を対応づけるために、上記の絶対位置取得装置と相対位置測定装置の各装置には、情報取得時刻や測定時刻を記録するタイムスタンプ手段をそれぞれ設けることが望ましい。
また、本発明のローカルマップ照合手段におけるローカルマップの照合処理においては、同一地点を含み、共通の静止点を多く含んでいることが期待される、観測時の自車両の絶対位置の近いもの同士を検索して照合する。
【0020】
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段において、上記の重み修正手段によって、自車両の進行方向に近い角度領域から検出される物体の位置データの重みを、その他の角度領域から検出される物体の位置データの重みよりも小さく設定することである。
ただし、この進行方向に近い角度領域の幅(中心角)は、例えば車速や渋滞情報などに応じて動的に変化させてもよい。また、この進行方向に近い角度領域は、必ずしも左右対称に設定する必要はない。
【0021】
当該領域にて検出された物体の位置データの重みを、その他の領域から検出される物体の位置データの重みよりも小さく設定すべき領域のことを以下、マスク領域或いは他車両存在領域などと言うことがある。この様な領域は、例えば特に、角度などの測定形態に則した比較的単純なパラメータによって規定することにより、その位置データ(ローカルマップ)の取り扱いがより容易となることがある。
なお、上記の第1の手段においては、この様なマスク領域を、上記の第2の手段の様な扇形の他にも、例えば道路形状などに応じてその他の任意の形状に設定してもよい。また、これらの場合においても、そのマスク領域の大きさや形状は、例えば車速や渋滞情報などに応じて動的に変化させてもよい。
【0022】
また、本発明の第3の手段は、上記の第1または第2の手段において、過去に上記のローカルマップ生成手段によって生成された上記のローカルマップ、過去に上記の絶対位置取得装置を用いて記録された自車両の走行経路記録情報、または、道路形状が予め記録されている地図に基づいて現在の自車両周辺の道路形状を推定する道路形状推定手段と、その推定された自車両周辺の道路形状に基づいて、静止物が検出される可能性が高い静止物存在領域を推定する静止物存在領域推定手段とを備え、上記の重み修正手段によって、上記の静止物存在領域から検出される物体の上記の位置データの重みを、その他の領域から検出される物体の上記の位置データの重みよりも大きく設定することである。
ただし、上記の静止物が検出される可能性が高い静止物存在領域としては、例えば、縁石やガードレールや電柱や標識や信号機などが検出され易い路肩や中央分離帯などを想定することができる。また、道路の車線以外の領域などを仮定してもよい。
【0023】
また、本発明の第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段において、上記のローカルマップの生成時の上記の自車両の走行条件として、日時、天候、走行速度、走行時に選択された選択車線、または走行道路の渋滞程度を取得する走行条件取得手段を備え、この走行条件取得手段によって得られた上記の走行条件を上記のローカルマップと対応付けて保持する走行条件記録手段を上記のローカルマップ生成手段に備え、上記の重み修正手段によって、他の車両が存在する可能性が上記の走行条件に基づいて高いと推定される他車両存在領域から検出される物体の上記の位置データの上記の重みを、その他の領域から検出される物体の上記の位置データの上記の重みよりも小さく設定することである。
【0024】
また、本発明の第5の手段は、上記の第4の手段の走行条件取得手段に、基準となる任意の1つの上記のローカルマップと、これと同一の地点を含む異時刻に生成された別の上記のローカルマップとを上記のローカルマップ照合手段によってシフト照合する際に生じるシフト量の、上記の自車両の走行方向に垂直な方向のシフト成分に基づいて、上記の自車両の選択車線を推定する選択車線推定手段を設けることである。
【0025】
また、本発明の第6の手段は、上記の第5の手段の選択車線推定手段において、更に、走行中の道路に関して予め用意された既知の車線数情報に基づいて、上記の選択車線を推定することである。
ただし、この車線数情報には、車線数の他にも1レーン当りのレーン幅の値を付加してもよい。また、これらの数値は、例えば上り下りなどの各走行方向毎にそれぞれ分けて管理する様にしてもよい。
【0026】
また、本発明の第7の手段は、上記の第4乃至第6の何れか1つの手段の重み修正手段において、対向車線と上記の選択車線以外の車線が占める、上記の相対位置測定装置によって並走車両が検出され易い領域を上記の他車両存在領域の少なくとも一部とみなすことである。
【0027】
また、本発明の第8の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段において、ローカルマップの生成時の自車両の走行条件として、日時、天候、走行速度、走行時に選択された選択車線、または走行道路の渋滞程度を取得する走行条件取得手段を備え、上記のローカルマップ生成手段に、この走行条件取得手段によって得られた上記の走行条件をローカルマップと対応付けて保持する走行条件記録手段を備え、異時刻に生成された同一地点周辺の複数の上記のローカルマップの各上記の走行条件が、それぞれ同じ規定範囲内にある場合にのみ、上記のローカルマップ照合手段によってそれらのローカルマップを互いに照合することである。
【0028】
また、本発明の第9の手段は、上記の第4乃至第8の何れか1つの手段において、異時刻に生成された同一地点周辺の複数の上記のローカルマップの生成時の自車両の各選択車線が互いに一致した場合にのみ、上記のローカルマップ照合手段によってそれらのローカルマップを互いに照合することである。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上の本発明の手段によって得られる効果は以下の通りである。
即ち、本発明の第1の手段によれば、上記の重み変更作用(上記の重み修正手段の作用)に基づいて、移動物である可能性が高い検出物体ほどその位置データの重みが低くなり、ローカルマップ照合手段では、その重み付けに従ってローカルマップの照合が行われる。このため、静止物の位置データの重みが相対的に高くなり、この設定によって、同一の静止物同士の照合を目的とする照合処理(ローカルマップ照合手段)における物体の誤対応が生じ難くなる。したがって、本発明の第1の手段によれば、上記のローカルマップ照合手段による静止物の相対位置の検出精度が効果的に向上する。また、この作用・効果は、これらの重みが2値化されている場合においても、同様にして得られるものである。
【0030】
また、ここで検出された静止物の相対位置は、上記の絶対位置取得装置を用いて実時間で取得されたその検出時の自車両の絶対位置に基づいて、絶対位置に変換することができるので、これらの同一の静止物の絶対位置をそれぞれ多数の異時刻に渡って収集し平均化処理すれば、絶対位置取得装置から得られる絶対位置が含むランダム誤差を、その平均化作用によって効果的に排除することができる。
【0031】
例えば、ローカルマップを取得した時の自車両の絶対位置をそのローカルマップに付加して記憶しておき、ローカルマップ照合手段によって、過去のローカルマップと現在のローカルマップとの間で対応する同一地点を特定し、その地点の絶対位置を随時適正に平均化していけば、その地点の絶対位置が真の値に向って略漸近的に近づきながら更新されるので、これによって、所望の静止物地図の高精度化を図ることができる。(ただし、これらの情報処理は、リアルタイム処理によっても、バッチ処理によっても行うことができる。)
【0032】
したがって、本発明の第1の手段によれば、移動物が検出される可能性が高い検出領域から検出された物体の相対位置の位置データの重みがその可能性に対して単調に減少され、この作用(重みの修正)に基づいて、静止物の絶対位置の平面分布を表す地図を簡単かつ高精度に生成することができる。したがって、本発明の第1の手段によれば、所望の静止物地図の精度と信頼性を容易かつ効果的に向上させることができる。
【0033】
また、特許請求の範囲の発明とは別に、明細書には、以下の発明が記載されている。走行中の自車両の絶対位置を取得する絶対位置取得装置と、走行環境中の自車両周辺における物体の自車両に対する相対位置を測定する相対位置測定装置とを用いて静止物の絶対位置の平面分布を表す地図を生成する静止物地図生成装置において、自車両周辺における物体の一時刻における上記の相対位置の平面分布を表すローカルマップを生成するローカルマップ生成手段と、異時刻に生成された複数の上記のローカルマップを互いに照合処理するローカルマップ照合手段と、そのローカルマップの最もよく照合する位置関係において、上記の相対位置の位置データの重みを対応する各点毎に合計または平均して設定し直す重み再設定手段と、上記のローカルマップ照合手段によって対応づけられる同一地点について、上記の絶対位置取得装置の出力情報に基づいて算定される異時刻の複数の当該絶対位置を平均化処理する平均処理手段とを設け、上記のローカルマップ照合手段によって、上記の重み再設定手段による重みの再設定結果に基づいて上記の照合処理を実行することである。
この発明によると、移動物が検出される上記の可能性に基づいて物体の検出領域の差別化を図る必要がなく、重みの累積作用または平均化作用によって移動物の重みが、少なくとも相対的に、自然に小さくなっていくため、移動物に関する位置データと静止物に関する位置データとの区別を特に意識して積極的に行う必要もない。このため、判定処理の少ない極めて簡潔なデータ処理方式によって、実現することができる。
【0034】
また、この場合、重みの累積作用または平均化作用によって移動物の重みが、少なくとも相対的に、自然に小さくなっていくため、例えばその平均値の収束状態などから、移動物が検出され易い領域を推定する様にしてもよい。この様な推定手段を用いれば、先行車両や並走車両が存在し易い領域(即ち、マスク領域とすべき領域)や、それらの各領域における移動物の検出のされ易さなどを推定することが可能となるため、これらの推定結果に基づいて、静止物であることが期待される検出物の位置データの重みを適切に設定することも可能となる。
【0035】
また、略同一地点におけるローカルマップのサンプル数が所定の数に達した段階で、照合処理と各点毎の重みの平均化処理によって集約化されたローカルマップ上の各点の上記の平均値に対して、所定値以下の平均値をゼロクリアするノイズフィルタを施すようにすれば、上記の様な領域推定処理を行わなくても、移動物を排除する所望のマスキング効果を自然に得ることができる。
【0036】
また、本発明の第2の手段によれば、自車両の進行方向に近い角度領域から検出される物体の位置データの重みが相対的に低く設定されるので、自車両の前方に先行車両があった場合に、上記のローカルマップ照合手段によって、その先行車両(移動物)が静止物として検出される可能性を効果的に削減することができる。
【0037】
また、本発明の第3の手段によれば、既知の情報を利用して推定された道路形状に基づいて、静止物が検出され易い静止物存在領域を推定することが可能となるので、これによって、上記の重み付けをより正確に実施することができる。
【0038】
また、本発明の第4の手段によれば、上記の走行条件に基づいて、先行車両や並走車両が存在し易い領域や、それらの移動物の各領域における存在確率などを推定することが可能となる。例えば、自車両が走行した暦(曜日や祝日など)や時間帯などからその走行時の渋滞状況を推定することができるし、天候と車速からは先行車両との車間距離などを推定することができる。また、追い越し車線を走行中であれば、自車両と路肩との間(走行車線)に並走車両が存在している可能性が、その時の渋滞状況などによっては比較的高いものとも考えられる。
【0039】
したがって、本発明の第4の手段によれば、上記の走行条件に基づいて、先行車両や並走車両が存在し易い領域や、それらの各領域における移動物の検出のされ易さなどを概ね推定することが可能となるため、これらの推定結果に基づいて、静止物であることが期待される検出物の位置データの重みを適切に設定することが可能となる。
【0040】
また、本発明の第5の手段によれば、異時刻に生成された多数のローカルマップについて、上記のシフト成分が構成するクラスタによって、自車両が走った車線を分別(推定)することができる。これは、同一方向に並列に複数の車線が道路上に規定されている際に、自車両が何れかの車線を守って走行することによって、上記のシフト成分がレーン幅の整数倍に略一致するためである。したがって、本発明の第6の手段によれば、選択車線を容易かつ的確に判定することができる。
また、その車線数などが予め既知であれば、それらの情報を利用すること(本発明の第7の手段)によって、少ないサンプル数(少ないローカルマップ数)だけでも、選択車線の推定精度を高く確保することができる。
【0041】
また、本発明の第7の手段によれば、横の車線を走行する並走車両(移動物)の重みが、上記の重み修正手段によって低く設定されるため、自車両と並んで隣接車線を走行中の並走車両が静止物として認識される可能性を効果的に低減させることができる。
【0042】
また、本発明の第8の手段により、互いに照合処理されるべき上記のローカルマップが満たすべき絶対的な条件を上記の走行条件に基づいて適切に制限すれば、移動物の位置データが排除され易くなるため、当該照合処理(ローカルマップ照合手段)において静止物の誤対応が生じ難くなる。
また、上記の走行条件を狭めて、走行条件が互いに似通っているローカルマップ同士を照合することによっても、同様の観測条件下で同一の静止物が同様に検出される傾向が生じるため、静止物の誤対応が生じ難くなる。
【0043】
また、本発明の第9の手段によれば、ローカルマップ間における選択車線(走行条件)の一致によって、ローカルマップ照合手段による誤対応を低減できる場合がある。例えば、並走車両が存在する確率が高い場合、隣接車線が存在する側から検出された物体の位置データの重みは、低く設定せざるを得ない。したがって、その側が右側であるのか左側であるのかそれとも両側であるのかと言う走行条件が、一致しているローカルマップ同士を照合しないと、よい照合結果が得られないことがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
また、並走車両が存在する確率が低い場合であっても、観測条件を極力揃えるために、ローカルマップ照合手段で照合する各ローカルマップの間では、それらの生成時の自車両の選択車線を一致させた方が望ましい。これは、正確に照合できる可能性を高めたり、照合処理に掛かる時間を短縮したりするためである。
また、複数の車線があり、複数のローカルマップの間にも横方向に位置ずれがある場合には、上記の様に選択車線(観測条件)を一定に揃えるために強制的に、一定方向に同様にずれた系列の(即ち、同一車線の系列の)ローカルマップを補正処理などによって生成し(即ち、位置ずれ補正による変換再生を行い)、これらのローカルマップ同士の間で絶対位置の位置データを平均化してもよい。例えば、この様な方式によっても、所望の静止物地図の位置精度を向上することができる。
【0045】
なお、取得した情報を記録する際のデータ形式については、レーザレーダの反射点の2次元座標値でもよいし、特徴点のグループや具体的なランドマークなどを抽出した抽出結果でもよいし、それを更に視覚容易に加工した画面表示データなどでもよい。更に、単眼カメラによる移動ステレオ処理や複数カメラによるステレオ処理によって取得可能な車両からの三次元位置情報を付加する様にしてもよい。また、これらのデータは、レーザレーダの反射点の位置を示す2次元座標値に、段階的または連続的な強度を付加したものでもよいし、一回のスキャンで取得したローカルマップ(レーザレーダの距離情報)の位置データを画像の輝度情報に変換して一列のデータに圧縮したものでもよく、同一地点を有するローカルマップ上の同一の静止物(同一の反射点)同士を適切に対応付けすることができる手段であれば、その手法は問わない。
【0046】
これらのデータ形式は、例えばDPマッチングなどのマッチング処理を実行する際に、それらのデータ処理を実行し易い様に規定(定式化)したり、その時必要とされるメモリ容量が節約できる様に規定したり、それらのマッチング処理などが高速に実行できる様に規定したりするとよく、これによって、プログラムの保守・拡張性や、ローカルマップ照合手段などの実行処理性能やメモリ使用効率などが確保し易くなる。
また、以上のデータ形式の形態(定式化)に係わる事情は、ミリ波レーダなどを用いる場合についても同様である。
【0047】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0048】
上記の重み再設定手段に関する詳細な説明については後述の実施例2に譲り、以下の本実施例1では、上記の重み修正手段を中心にして本発明の静止物地図生成装置について具体的に説明する。図1に、本実施例1の静止物地図生成装置100の論理的構成を示す。この静止物地図生成装置100は、静止物の絶対位置の平面分布を表す地図を生成するための車載装置であり、走行中の自車両の絶対位置を与えるGPS信号を受信するGPS信号受信装置110(絶対位置取得装置)と、走行環境中の自車両周辺における物体の自車両に対する相対位置(スキャン角度θと反射点までの距離r)を測定するレーザレーダ120(相対位置測定装置)とを有する。自車両に対する上記の相対位置を示す位置データのことを以下、レーザレーダデータまたはLRDと言うことがある。
【0049】
また、この静止物地図生成装置100は同時に、自車両周辺における物体の同一時刻における相対位置の平面分布を表すローカルマップを生成するローカルマップ生成手段130と、移動物が検出される可能性が高い検出領域から検出された物体の上記の相対位置の位置データの重みをその可能性に対して単調に減少させる重み修正手段140と、異時刻に生成された同一地点周辺の複数のローカルマップを照合するローカルマップ照合手段150と、このローカルマップ照合手段によって対応づけられる同一地点について、上記の絶対位置取得装置の出力情報に基づいて算定される異時刻の複数の当該絶対位置を平均化処理する平均処理手段160と、過去のローカルマップを補正または加工して更新または再登録するローカルマップ更新手段170と、取得または生成した情報を保持する記憶装置180とを有して成る。
【0050】
また、上記の重み修正手段140は、上記のローカルマップ生成手段130の後段の他にも、例えば記憶装置180とローカルマップ照合手段150の段間や、ローカルマップ更新手段170の中にも設けることが可能である。これらの位置は、実施する具体的な重み付けの方式によって、最適な位置に設ければよい。
なお、上記のGPS信号受信装置110としては、通常のカーナビゲーションシステムに用いられているものを採用し、また、測定されるLRDのデータ形式としては、上記の相対位置(スキャン角度θと反射点までの距離r)の位置データに、各反射点の反射強度を付加したデータを用いる。
【0051】
図2に、ローカルマップ生成手段130の機能を示す。図中の左側の図はLRDの測定シーンを示しており、右側が測定されたLRDから得られるローカルマップを示している。測定シーンの図中の点Piは、i番目の測位位置を示しており、この時、上記のGPS信号から得られる緯度をNi、経度をEiで表している。即ち、その時の測位位置Piの絶対位置は、座標(Ni,Ei)で与えられる。図中に示す様に、この座標(Ni,Ei)は、誤差を有しており、通常その範囲は、5m〜30m程度である。
本図2の右側のグラフに示される反射パターン(ローカルマップ)は、上記の相対位置(スキャン角度θと反射点までの距離r)の位置データを平面状に視覚的に表現したものであり、下辺中央の●印の点が、このrθ座標系の原点を示している。即ち、この原点は、上記の座標(Ni,Ei)に相当しており、本実施例1のローカルマップでは、この様な測位位置座標(Ni,Ei)が付加されて、記憶装置180に記憶される。
【0052】
図3−Aは、この静止物地図生成装置100の処理手順200を表すゼネラルフローチャートである。ステップ210とステップ220とは、GPS信号受信装置110とレーザレーダ120によって並列に実行する。その後のステップ230では、ローカルマップ生成手段130によって、図2の右側に示したローカルマップが生成される。
その後、ステップ240では、上記の重み修正手段140により、自車両の前方左10°から前方右10°までの間のスキャン角度内で観測された反射点の反射強度を0に書き換える。
ただし、この角度領域は、任意に変更してもよく、また、必ずしも左右対称である必要もない。また、自車両前方に展開されるこのマスク領域は、必ずしもレーザーレーダの放射角度によって規定し易い扇形に限定する必要もなく、したがって、例えば、道路形状に合わせて矩形などにしてもよい。
【0053】
次のステップ250(ローカルマップの照合)の詳細手順を図3−Bのフローチャートに示す。このステップ250の処理は、ローカルマップ照合手段150が実行する照合処理を示しており、ここで用いられる評価関数としては、例えば、SAD(対応する配列要素の値(反射強度)の差の絶対値のローカルマップ全体に渡る総和)またはSSD(対応する配列要素の値の差の二乗値のローカルマップ全体に渡る総和)などが有用である。
【0054】
より具体的には、まず最初に、図3−Bのステップ250aによって、照合処理対象とすべき探索範囲(絶対位置の範囲及び自車両の向きの範囲)を決定する。この探索範囲は、GPS信号受信装置110やレーザレーダ120の測位精度などに基づいて決定すればよい。また、任意の手段によって、自車両の運動を検出または推定し、その自車両の運動(速度やヨーレートなど)に基づいて、この検索範囲の大きさを調整または最適化する様にしてもよい。
そして、次のステップ250bでは、その検索範囲中の適当な1点(検索開始点)を被評価座標に設定する。この被評価座標とは、上記の評価関数の独立変数(被評価パラメータ)を与えるものであり、例えば上記のSADやSSDを評価関数として採用する場合には、これらの評価関数について最小の関数値を与える被評価パラメータ(絶対位置及び自車両の向き)が最もよく照合する照合位置関係を示すことになる。
【0055】
次のステップ250cでは、図1の記憶装置180上のデータベースの中から、即ち、集約化された過去のローカルマップの中から、上記の評価関数を算定すべき対応範囲に相当する部分領域を抽出する。そして、次のステップ250dでは、この部分領域の位置データと今回ステップ230にて生成した新しいローカルマップの位置データとを用いて、上記の評価関数の値を求める。
次に、ステップ250eでは、その関数値が、上記の探索範囲内において今までに求めた最小値よりも小さいか否かを判定し、小さければ、次のステップ250fによって、その最小値とその最小値を与える被評価座標を更新する。
【0056】
次のステップ250gでは、上記の探索範囲内にある全ての点に関して、上記の評価関数の演算(ステップ250d)を既に実行したか否かを判定し、上記の探索範囲内の探索が全て完了していれば図3−Aのステップ260へ処理を戻す。また、それが完了していなければ、次のステップ250hにて、上記の検索範囲中から未処理の被評価座標を選択して、ステップ250cに処理を戻す。
【0057】
また、図1の平均処理手段160に対応する図3−Aのステップ260では、ステップ250による照合処理によって対応した同一の静止物の絶対位置の平均値を求める。この絶対位置の平均処理は、例えば該当するローカルマップのデータ件数(測定件数)や或いは各測位データの確からしさなどに基づく該位置データの重みを加味した加重平均処理によって実施することが望ましい。
また、ローカルマップ更新手段170に対応するステップ270では、集約化された過去のローカルマップの各点の相対位置の位置データを必要に応じて随時変更する。この処理形態は任意でよいが、その1実施例については、次の実施例2で詳しく例示する。
【0058】
例えば以上の様なデータ処理方式にしたがって、走行する自車両上でローカルマップを蓄積し、過去に取得したローカルマップと現在のローカルマップとを照合して、これらの中に存在する同一地点を対応付け、その同一地点の絶対位置を平均化すれば、その平均化作用によって、GPS信号に含まれるランダム誤差が排除されるので、各ローカルマップが示す絶対位置の高精度化を実現することができる。
【実施例2】
【0059】
図4に、本実施例2のローカルマップ更新手段170(図1)の動作例を示す。本実施例2では、請求項1に記載の重み再設定手段が、以下の様にしてこのローカルマップ更新手段170の中で具現される場合について例示する。
即ち、このローカルマップ更新手段170では、照合が取れた過去のローカルマップ(i回目)と現在のローカルマップ(i+1回目)との間で、各点における反射強度を累積または平均して、集約化された過去のローカルマップとして再度記憶装置180に保存する。この様な反射強度の累積または平均処理(即ち、集約化)を、自車両が同一地点を通る度に繰り返せば、検出された移動物の重みは、静止物の重みに対して自動的かつ相対的に小さくなる。
したがって、この様なローカルマップの更新処理を繰り返せば、例えばこの図4に例示する様に、対応付けられた同一地点の過去と現在データから、更新によって安定して同一地点に存在するものが残っていく。
【0060】
即ち、過去と現在のローカルマップを対応付ける際に、従来は、たとえ同一地点で取得したローカルマップ同士を照合する場合であっても、周辺に存在する移動物の影響でデータの特徴(反射点の分布形態)が異なってしまって、誤対応が生じることがあったが、上記のローカルマップ照合手段150やローカルマップ更新手段170を用いれば、図4に例示する様に対応する各点の反射データが巧く平均化されるので、移動物の影響(重み)が小さくなる。このため、静止物の影響(重み)が大きくなるようにデータが自動的に重み付け調整され、その結果、同一地点を有するローカルマップ間における各静止物の対応付け精度を従来よりも効果的に向上させることができる。
【0061】
なお、以上の様にして、本発明の重み再設定手段を実現する場合、必ずしも、図1の重み修正手段140を備える必要はない。図4からも分かる様に、重み再設定手段を用いれば、具体的な移動物や移動物存在領域などを特に意識しなくても、自動的に移動物の影響(重み)が小さくなるため、重み修正手段がない場合でも上記の作用・効果を得ることができる。
【0062】
また、例えば、特開2006−160116(図6)に記載されている様にして、移動物を積極的に検出することによって、移動物を排除していく方式も考えられるが、本実施例2のデータ処理方式に従えば、時刻を互いに大きく隔てて長期間に渡って数多く収集したローカルマップについても、簡単に所望の静止物地図を生成することができる。
【実施例3】
【0063】
蓄積した過去のローカルマップから静止物が多く存在する領域(静止物存在領域)を判定する静止物存在領域推定手段について示す。例えば、図3−Aのステップ240などの様にして移動物の影響が少なくなるようにローカルマップが蓄積されていた場合、データの重みが大きい部分を静止物存在領域として判別することができる。また、重み(例:反射強度)が小さい部分を移動物存在領域(他車両存在領域)として判別してもよい。
【0064】
図5−A,−Bに、本実施例3の重み修正手段の適用対象例と、同重み修正手段の重み設定例を例示する。例えば図5−Aに例示する様にして、判定結果(各点の重みの大小)を記録しておくことで、次回に自車両が当該位置に近づいた際に、現在のローカルマップ中における移動物が多く存在する領域(他車両存在領域)を推定することができる。このため、その部分の重みを低下させれば、相対的に静止物の影響を大きく、移動物の影響を小さくすることができ、これによって、同一地点を有するローカルマップ間における静止物の対応付け精度を比較的簡単に向上させることができる。
【0065】
図6に、同重み修正手段が効果的に作用する適用シーンを例示する。この適用シーンでは、自車両の前方を走行する他車両の影響で、1回目と2回目で全く同一地点でローカルマップが生成できた場合であっても、ローカルマップの特徴(即ち、反射点の分布形態)が異なっている。そこで、例えば、図5−Bの手法に従ったり、或いは、図3−Aのステップ240の作用を利用したりして、予め前方の重みを相対的に小さくしてから、極力側方の情報のみを利用してローカルマップ照合手段による対応付け処理(照合処理)を実施するとよい。
【0066】
図7−A,−Bに、同重み修正手段がない時のローカルマップの照合結果と、同重み修正手段の適用時のローカルマップの照合結果をそれぞれ例示する。図7−Aに付記した縦向きの矢印は、誤対応が生じた時のずれの量をしめしている。即ち、上記の様な重み付けを導入することによって、対応ずれが効果的に解消されることが分かる。
【実施例4】
【0067】
図8−A〜Cに、本実施例4の道路形状推定手段による形状推定形態を3例例示する。これは、本願発明の道路形状推定手段により、ローカルマップの記録に基づいて、その特徴から道路の形状を推定した推定結果を表したものである。蓄積されたローカルマップには、縁石などの形状が記録されるので、これらの反射点を例えば投票などにより統計的に処理することで、道路形状を正確に把握することができる。また、GPS信号受信装置110を用いて過去に記録された自車両の走行経路記録情報(走行軌跡)などからも道路形状を把握することができる。
【0068】
静止物は道路に沿って存在することが多く、道路上に存在することは少ないことから、推定された道路形状を継続的に保持すれば、その道路形状に基づいて、更には、自車が走行する当該領域の道路一帯における、静止物が存在する領域(静止物存在領域)を推定することができる。
図9に、本実施例4の静止物存在領域推定手段による推定形態の1例を例示する。道路形状の推定結果に基づいて、路肩や中央分離帯などの静止物が存在する領域(静止物存在領域)の重みを大きくすることによって、ローカルマップの照合前に適当に各反射点の重みを調整すれば、この様な方式によっても、同一地点を有するローカルマップ間における静止物の対応付け精度を効果的に向上させることができる。
【0069】
なお、上記の道路形状推定手段において、道路形状を記述した地図情報を予め備えて、その情報を利用すれば、これによって、正しい道路形状の情報に基づいて静止物存在領域を推定できるため、静止物の対応付け精度も更に向上する。或いは、ローカルマップのサンプル数が比較的少ない場合でも、静止物の対応付けを容易かつ高精度に行うことが可能となる。
【0070】
車両周辺の状況は走行時の時刻によって渋滞であったり、非常に流れがスムーズであったり、周辺にまったく車両がいなかったり、大きく変化することが予想される。また、高速で移動している場合は周辺の移動物が少なく、低速で移動している場合は渋滞で移動物が多いことなどが推測される。このことから、ローカルマップと位置情報のほかに、ローカルマップを取得したときの時刻、あるいは車速、あるいはその両方を取得する手段(走行条件取得手段)を設けるとよい。また、この様な走行条件は、その時に測定されたローカルマップと関係付けて管理する様にする。
【0071】
本発明の第3の手段の作用・効果として、既に言及した様に、過去に記録したローカルマップと現在のローカルマップを対応付ける際に、各々の時刻や車速が規定範囲内にある場合のみ対応付けを実施し、規定範囲外の場合は対応付けを実施しない様にすることによって、異時刻に検出された静止物の誤対応が減少して、ローカルマップ照合手段における対応付け精度、即ち、同一地点を有するローカルマップ間における静止物の対応付け精度が向上することがある。
【実施例5】
【0072】
図10に、本実施例5の選択車線推定手段による車線推定形態の1例を例示する。この図は、過去のローカルマップと現在のローカルマップから自車の走行車線を推定する本発明の選択車線推定手段による推定処理形態を表したものである。ローカルマップ照合手段によって横方向にずらすマッチング(照合処理)を行い、最もマッチングしたときの横方向のシフト成分が、自車の横方向のズレに相当する。右方向にずれている場合は右側車線を走行していると判定することができ、左方向にずれている場合は左側車線を走行していると判定することができる。右側車線を走行中、左側車線は並走車両が存在する可能性があり、側方であっても移動物である可能性が高い。同様に、左側車線を走行中、右側車線は並走車両が存在する可能性がある。並走車両がある場合は、側方の静止物のデータが取得できていない可能性があり、側方の重みを大きくすると誤対応の要因になる。
そこで、選択車線推定手段によって判定された結果に基づいて、並走車両がいる可能性のある方向の重みを小さくすると、同一地点を有するローカルマップ間における静止物の対応付け精度が向上する。
【0073】
(以上の実施例の効果)
以下、上記の実施例の主な効果についてまとめる。
(効果1)移動物と静止物が混在する場合、同一箇所で取得されたデータであった場合でも、過去のデータと現在のデータには差異があり、誤対応を生じる可能性がある。しかしながら、上記の様な構成に従えば、移動物に該当するデータ範囲の影響を少なくするようにデータに重みがつけられるため、これによって、静止物の影響が大きくなり、安定した対応が得られるようになる。即ち、移動物や静止物が混在する状況においても、適度な重み付けに基づく比較的簡潔で平易な手法によって、ローカルマップ間の対応付け精度を効果的に向上させることができる。
【0074】
(効果2)ローカルマップ間の静止物の対応づけ精度が向上すると、異なる位置で取得したローカルマップを同一位置と誤って対応付ける状況(誤対応)が減少する。このため、対応付けられたシーンに付随する測位位置などの位置情報の平均値を保持するように更新することで、位置精度とその信頼性が向上する。このため、各シーン情報を取得した位置の精度が向上し、取得された静止物の絶対位置の精度も向上する。したがって、本発明によれば、所望の静止物地図の高精度化や高信頼化を効果的に図ることができる。
【0075】
(効果3)通常の高精度地図作成では、航空写真から手作業でランドマークや道路形状を抽出したり、実地測量を実施したりしなければならないため、膨大なコストが掛かる。しかし、上記の実施例の様にすれば、ローカルマップを対応づけて高精度化した蓄積データを高精度地図(静止物地図)として利用できる。また、走行環境の周辺の建築物などの状況が変化した場合にも、過去のデータと現在のデータが一定期間以上照合できない場合は周辺状況変化と判断し、新たに情報を蓄積しなおすことによって、新しい静止物地図を再度生成することができるので、所望の静止物地図の信頼性を継続的に確保することも容易になる。
【0076】
なお、以上の各実施例に例示した個々の手法は、勿論任意に組み合わせて用いてもよい。これらの手法を任意に組み合わせることによって、静止物の対応付け精度を向上させることが可能となり、この対応付け精度の向上によって、蓄積したローカルマップの位置精度を向上させることができるので、以上の本実施例1の実施形態、またはそれらを任意の組み合わせた実施形態に従えば、高精度な地図を自動で且つ安定して作成することが可能になる。
また、上記の様な実施形態に従えば、航空写真から手作業でランドマークや道路形状を抽出する必要がなく、実地測量の必要もないため、低コストで所望の高精度地図(静止物地図)を生成することができる。
【0077】
〔その他の変形例〕
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
(変形例1)
例えば、過去に収集したローカルマップだけではなく、走行する各道路毎に予めその道路の車線数が記載された車線数情報を備える様にすれば、上記の選択車線推定手段においては、ローカルマップと車線数情報とを用いることにより、更に精度の高い車線推定処理を実行することが可能になり、これによって、同一地点を有するローカルマップ間における静止物の対応付け精度も更に効果的に向上させることができる。或いは、比較的少ないサンプル数(同一地点を有するローカルマップの数)に対しても、高精度の車線推定処理を実行することが可能になる。また、これらの車線数情報には、各車線のレーン幅を付加する様にしてもよい。
【0078】
(変形例2)
また、同一地点を有するローカルマップ間の静止物の対応付け処理(ローカルマップ照合手段)においては、過去の位置データと現在の位置データとを対応付ける際に、例えば、図11−Bに示すような系列同士を例えばDPマッチングなどで対応付けしてもよいし、過去の系列全体から現在の情報に対応する位置データを探索する様にしてもよい。
ただし、図11−Bに示すグラフは、図11−Aの下段に例示される一列に圧縮された濃淡画像を測定時刻順に縦方向に並べたものである。また、図11−Aの中段の平面グラフは、上段に例示される測定シーンにおいて測定された極座標表示のレーザレーダデータ(rθ座標上の位置データ)を示しており、上記の図11−Aの下段の1次元データ(一列のデータに圧縮された濃淡画像)は、スキャン角度θを横軸にとり、反射点までの距離rを単調に輝度に変換したものである。
【0079】
ただし、前向きをz軸の正の向きに取り左向きをx軸の正の向きに取ったxz直交座標における相対位置データに、上記のレーザレーダデータ(rθ座標上の位置データ)を変換し、更にそのグラフから、各x軸座標に対してそれぞれ、z軸座標の値が最小を示す位置までの距離(z軸座標)だけを代表値として抽出したグラフを、図11−Aの中段の平面グラフとして代用してもよい。この場合には、そのz軸座標が最小である位置までの距離(z軸座標)を単調に輝度に変換したものを、上記の図11−Aの下段の1次元データ(濃淡画像)として用いる。
【0080】
また、上記の1次元データ(一列のデータに圧縮された濃淡画像)を図11−Bに示す様に縦方向に並べる際の配列間隔は、測定時の各車速に比例させる様にすると、静止物を対応付けるための照合処理の際に都合がよい。
【0081】
以上の様にして得られる濃淡画像は、必ずしも自車両から観測された静止物の平面分布を直接示すものではないが、実際には、必要とされるその特徴(平面分布)を十分効果的に表現しており、この様なデータ形式の導入によれば、ローカルマップ照合手段における対応付け処理を、DPマッチングや画像処理技術などを利用するなどして、効率よく簡単に実行できる場合がある。
【0082】
(変形例3)
また、上記の道路形状推定手段においては、過去にローカルマップ生成手段によって生成されたローカルマップの代わりに、或いは、過去にローカルマップ生成手段によって生成されたローカルマップに加えて、過去に上記の絶対位置取得装置を用いて記録された自車両の走行経路記録情報、または、道路形状が予め記録されている地図に基づいて、現在の自車両周辺の道路形状を推定する様してもよい。この様な方式によっても、道路形状を簡単または正確に推定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、例えば、地上のナビゲーションシステムや、車載用のオートクルーズ制御システムなどの移動体用の各種のアプリケーションに有用な、道路周辺の不動物の絶対位置情報を収集する際に利用することができる。また、これらの移動体は、四輪車両に限定されるものではなく、勿論ロボットや二輪車両などにおいても、上記の各種アプリケーションを通して本発明を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施例1の静止物地図生成装置100の論理的構成を示すブロック図
【図2】ローカルマップ生成手段130の機能を示す概念図
【図3−A】静止物地図生成装置100の処理手順を表すゼネラルフローチャート
【図3−B】静止物地図生成装置100の処理手順を表すゼネラルフローチャート
【図4】実施例2のローカルマップ更新手段170の動作例を示すデータフロー図
【図5−A】実施例3の重み修正手段の適用対称例を例示するローカルマップ
【図5−B】同重み修正手段の重み設定例を例示する概念図
【図6】同重み修正手段が効果的に作用する適用シーンを例示する説明図
【図7−A】同重み修正手段がない時のローカルマップの照合結果を例示する図
【図7−B】同重み修正手段の適用時のローカルマップの照合結果を例示する図
【図8−A】実施例4の道路形状推定手段による形状推定形態の1例を例示する図
【図8−B】実施例4の道路形状推定手段による形状推定形態の1例を例示する図
【図8−C】実施例4の道路形状推定手段による形状推定形態の1例を例示する図
【図9】実施例4の静止物存在領域推定手段による推定形態の1例を例示する図
【図10】実施例5の選択車線推定手段による車線推定形態の1例を例示する図
【図11−A】測定したLRDを元に変換生成された濃淡画像の1例
【図11−B】その濃淡画像を測定順に時系列に並べた画像データの1例
【符号の説明】
【0085】
100 : 静止物地図生成装置
110 : GPS信号受信装置
120 : レーザレーダ
130 : ローカルマップ生成手段
140 : 重み修正手段
150 : ローカルマップ照合手段
160 : 平均処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の自車両の絶対位置を取得する絶対位置取得装置と、走行環境中の自車両周辺における物体の自車両に対する相対位置を測定する相対位置測定装置とを用いて静止物の絶対位置の平面分布を表す地図を生成する静止物地図生成装置であって、
前記自車両周辺における物体の一時刻における前記相対位置の平面分布を表すローカルマップを生成するローカルマップ生成手段と、
前記ローカルマップにおいて移動物が検出される可能性が高い検出領域から検出された前記相対位置の位置データの重みを、前記可能性に対して単調に減少させる重み修正手段と、
異時刻に生成された複数の前記ローカルマップを、前記重み修正手段による前記重みの修正結果に基づいて照合するローカルマップ照合手段と、
前記ローカルマップ照合手段によって対応づけられる同一地点について、前記絶対位置取得装置の出力情報に基づいて算定される異時刻の複数の当該絶対位置を平均化処理する平均処理手段と
を有する
ことを特徴とする静止物地図生成装置。
【請求項2】
前記重み修正手段は、
前記自車両の進行方向に近い角度領域から検出される物体の前記位置データの前記重みを、その他の角度領域から検出される物体の前記位置データの前記重みよりも小さく設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の静止物地図生成装置。
【請求項3】
過去に前記ローカルマップ生成手段によって生成された前記ローカルマップ、過去に前記絶対位置取得装置を用いて記録された自車両の走行経路記録情報、または、道路形状が予め記録されている地図に基づいて、現在の自車両周辺の道路形状を推定する道路形状推定手段と、
推定された自車両周辺の道路形状に基づいて、静止物が検出される可能性が高い静止物存在領域を推定する静止物存在領域推定手段と
を有し、
前記重み修正手段は、
前記静止物存在領域から検出される物体の前記位置データの重みを、その他の領域から検出される物体の前記位置データの重みよりも大きく設定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静止物地図生成装置。
【請求項4】
前記ローカルマップの生成時の前記自車両の走行条件として、日時、天候、走行速度、走行時に選択された選択車線、または走行道路の渋滞程度を取得する走行条件取得手段を備え、
前記ローカルマップ生成手段は、
前記走行条件取得手段によって得られた前記走行条件を前記ローカルマップと対応付けて保持する走行条件記録手段を有し、
前記重み修正手段は、
他の車両が存在する可能性が前記走行条件に基づいて高いと推定される他車両存在領域から検出される物体の前記位置データの前記重みを、その他の領域から検出される物体の前記位置データの前記重みよりも小さく設定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の静止物地図生成装置。
【請求項5】
前記走行条件取得手段は、
基準となる任意の1つの前記ローカルマップと、これと同一の地点を含む異時刻に生成された別の前記ローカルマップとを前記ローカルマップ照合手段によってシフト照合する際に生じるシフト量の、前記自車両の走行方向に垂直な方向のシフト成分に基づいて、前記自車両の選択車線を推定する選択車線推定手段を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の静止物地図生成装置。
【請求項6】
前記選択車線推定手段は、
更に、走行中の道路に関して予め用意された既知の車線数情報に基づいて、前記選択車線を推定する
ことを特徴とする請求項5に記載の静止物地図生成装置。
【請求項7】
前記重み修正手段は、
対向車線と前記選択車線以外の車線が占める、前記相対位置測定装置によって並走車両が検出され易い領域を前記他車両存在領域の少なくとも一部とみなす
ことを特徴とする請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載の静止物地図生成装置。
【請求項8】
前記ローカルマップの生成時の前記自車両の走行条件として、日時、天候、走行速度、走行時に選択された選択車線、または走行道路の渋滞程度を取得する走行条件取得手段を備え、
前記ローカルマップ生成手段は、
前記走行条件取得手段によって得られた前記走行条件を前記ローカルマップと対応付けて保持する走行条件記録手段を有し、
前記ローカルマップ照合手段は、
異時刻に生成された同一地点周辺の複数の前記ローカルマップの各前記走行条件が、それぞれ同じ規定範囲内にある場合にのみ、それらのローカルマップを互いに照合する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の静止物地図生成装置。
【請求項9】
前記ローカルマップ照合手段は、
異時刻に生成された同一地点周辺の複数の前記ローカルマップの生成時の自車両の各選択車線が互いに一致した場合にのみ、それらのローカルマップを互いに照合する
ことを特徴とする請求項4乃至請求項8の何れか1項に記載の静止物地図生成装置。

【図1】
image rotate

【図3−A】
image rotate

【図3−B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5−A】
image rotate

【図5−B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7−A】
image rotate

【図7−B】
image rotate

【図8−A】
image rotate

【図8−B】
image rotate

【図8−C】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11−A】
image rotate

【図11−B】
image rotate


【公開番号】特開2012−208525(P2012−208525A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158989(P2012−158989)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2006−243401(P2006−243401)の分割
【原出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(505215578)
【Fターム(参考)】