説明

静電ポテンシャルを用いたヒドロゲル中の細胞のマイクロカプセル化

約200μm未満の平均直径を有するカプセル化細胞を作製するための組成物及び方法が提供される。開示されたカプセル化細胞の使用方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、許容される限りその全体を参照により組み込む、2004年10月8日出願の米国特許仮出願60/617560号の優先権及び利益を主張する。
【0002】
(連邦政府の支援する研究又は開発に関する記述)
本明細書に記載される研究の態様は、米国国立科学財団によって授与された助成金番号EEC−9731643によって一部援助された。従って、米国政府は、開示された出願内容に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
1.技術分野
開示された出願内容の態様は、カプセル化細胞の製造のための方法及び組成物、並びにカプセル化細胞の、例えば、細胞アレイ、スクリーニングプロトコルにおける使用方法、並びに治療方法を広く対象とする。
【0004】
(関連技術)
2.関連技術
ハイスループットスクリーニング(HTS)が、薬剤の効力を有しうる、又は医薬の前駆体になりうる多数の潜在的な化合物を選別するために少なくとも過去10年間使用されてきた。ある所与の調査は、1日当たり約10,000化合物のスクリーニングを含むことがある。スクリーニング方法は、一般的に、反応に際しての試験化合物の影響を究明するために、試験化合物の存在下で化学反応を行うものである。例えば、所望の化学反応又は酵素を阻害する又は触媒する能力について、化合物を試験することができる。
【0005】
細胞ベースアッセイも、スクリーニングアッセイに使用される。細胞ベースアッセイでは、試験化合物が細胞中で所望の又は予見された変化を生じるかを究明するために、細胞のアリコートを試験化合物に接触させる。細胞中に変化を生じる試験化合物を、更なる特徴付けのために選択することができる。細胞ベースアッセイは、単なる化学反応アッセイに対して一定の利点を有する。特に、細胞ベースアッセイは、例えば、細胞による取込み又はバイオアベイラビリティを含む、試験化合物の生理学的作用のより詳細を提供しうる。残念ながら、細胞ベースアッセイは、HTSアッセイに容易に組み込まれない。というのは、様々な試験化合物に接触させる細胞の数を標準化することが難しいからである。反応ごとの細胞数の標準化を行わずに、化合物間の有意な比較を評価することは難しい。
細胞の均一な数量を有する、細胞の少量アリコートは、HTS中の細胞の自動化操作を容易にする。更に、このようなアリコートは、侵襲性が最小の技術を用いた、宿主への移植用に改変することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、予見可能なサイズ及び細胞数を有する細胞のアリコートを作製する方法及び組成物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
本開示の態様は、一般的に、カプセル化細胞、カプセル化細胞の作製方法及びその使用を対象とする。一態様は、1タイプ又は複数タイプのモノマーを含む第1の溶液中に懸濁された細胞の小滴に、静電ポテンシャルを印加すること(ここで、静電ポテンシャルは、小滴の表面張力を破壊するのに十分な量である);及び約200μm未満の平均直径の細胞をカプセル化した構造を作製するのに十分な距離から、小滴を重合溶液中に落下させることを含む、マイクロカプセル化細胞の作製方法を提供する。重合溶液は、1タイプ又は複数タイプのモノマーの重合を促進する重合剤、及び場合によっては、栄養価を持つ浸透圧調節物質(nutrient osmolyte)、例えば約150mMのグルコースを含む。
別の態様は、本開示により作製されたカプセル化細胞を含む細胞アレイを提供する。
【0008】
更に別の態様は、開示されたカプセル化細胞を用いた治療方法を提供する。特定の態様においては、カプセル化細胞は、損傷した組織を修復するために、或いはサイトカイン、成長因子、タンパク質、又はそれらの組合せを分泌するために病変部位中に直接注射される。開示されたカプセル化細胞の平均直径は、約200μm未満であるため、カプセル化細胞は、注射の際に生じる剪断力によって最小限にしか損傷されない。250μmより大きい直径を有するマイクロカプセルは、マイクロカプセルを宿主に送達するのに使用される針を詰まらせる傾向がある。従って、約250μm未満の、一般的には約200μm未満の直径を有する開示されたマイクロカプセルは、宿主を治療するのに十分な量を標準の外科用の針を有する注射によって宿主に送達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(詳細な説明)
定義
本出願においては、反対の意図が明白ではない限り、次の用語は、述べられた特徴を意味する。
「アレイ」には、反対の意図が明白ではない限り、カプセル化細胞をそれぞれ少なくとも1ユニットを有するアドレス可能な領域の任意の1、2又は3次元の配置が含まれ、カプセル化細胞は場合によってはその領域に結合した特定の1種又は複数の化学物質部分(例えば、ポリヌクレオチド配列等の生体高分子)に結合している。あるアレイは、そのアレイ上の特定の所定の位置(「アドレス」)におけるある領域(そのアレイの「フィーチャー(feature)」又は「スポット」)が、特定の標的又は標的のクラス(あるフィーチャーが、偶然にそのフィーチャーの非標的を検出することもあるが)を検出するように、そのアレイが異なる部分(例えば、異なる細胞タイプ又は化学物質)から成る多数の領域を有するという点において「アドレス可能である」。アレイフィーチャーは、一般的に、必須ではないが、その間のスペースによって分離されている。
【0010】
「アレイレイアウト」は、アレイ又はアレイ上のフィーチャーの1つ又は複数の特徴を意味する。このような特徴には、フィーチャーの基板上の位置付け;1つ又は複数のフィーチャー寸法;所与の位置の部分の同一性又は機能のいくつかの表示(例えば、化学的な又は生物学的な);そのアレイがどのように取り扱われるべきであるか(例えば、そのアレイがサンプルに曝される条件、又はサンプル曝露に続いてのアレイ読取りの仕様又は対照)の1つ又は複数が含まれる。
【0011】
「パルスジェット」は、アレイの形成において小滴を分配することができる装置である。パルスジェットは、流出口又は開口部に隣接した液体に、(例えば、開口部と同じチャンバーに設置された圧電素子又は熱電素子によって)小滴がそれから分配されるように、圧力パルスを送ることによって作動する。
アレイ「パッケージ」は、アレイが置かれる基板のみをアレイに加えたものでよいが、このパッケージは、その他のフィーチャーを含むこともできる(チャンバー付きのハウジング等)。
【0012】
「チャンバー」は、密閉容積を意味する(チャンバーは1個又は複数のポートから出入できるが)。
「領域」は、照射されそれから得られる蛍光が同時に(又は直後に)検出され得る、アレイ上の任意の有限の小さな範囲を指し、例えばピクセルがある。
【0013】
「プロセッサー」は、求められるその機能を果たす、任意のハードウエア及び/又はソフトウエアの組合せを指す。例えば、本明細書の任意のプロセッサーは、メインフレーム、サーバー、又はパーソナルコンピューター(デスクトップ若しくはポータブル)の形態で入手可能なもの等のプログラム可能なデジタルマイクロプロセッサーでよい。プロセッサーがプログラム可能である場合、適切なプログラミングは、そのプロセッサーに遠隔地から伝達するか、コンピュータープログラム製品(磁気、光学式又は固体素子ベースにかかわらずポータブル若しくは固定のコンピューター可読の記憶媒体等)に予め保存することができる。例えば、磁気若しくは光学式ディスクは、プログラミングを収容することができ、その対応端末で各プロセッサーと通信して適切なディスク読取機で読むことができる。
【0014】
本出願を通して、「上部」、「上部の」、及び「下部の」等の用語は、相対的な意味だけで使用されていることも理解されたい。
1つの項目が、別の項目から「遠隔している」と述べられるとき、これらの2つの項目は、少なくとも異なる建物にあり、少なくとも1マイル(1.6km)、10マイル(16km)、又は少なくとも100マイル(160km)離れていることがあることを意味する。情報を「通信すること」は、適切な通信チャネル上(例えば、私設網若しくは公衆網)で、その情報を電気信号として表しているデータを伝達することを意味する。項目を「送ること」は、その項目を物理的に輸送することによるか他の方法(それが可能である場合)によるかにかかわらず、その項目を1つの場所から次の場所に到達させる任意の手段を意味し、少なくともデータの場合、データを収容した媒体を物理的に輸送すること、又はデータを通信することを含む。
【0015】
単一の項目に言及することは、複数の同じ項目が存在することの可能性が含まれる。
「することができる、してよい(may)」は、場合によってであることを意味する。
本明細書に列挙された方法は、列挙された事象の順のみならず、列挙された事象の、論理的に可能な任意の順で実施することができる。
本出願に引用された全ての特許及びその他の参照は、それらが本出願と矛盾しうる場合(その場合は本出願が優先する)を除いて許容される限り参照により本出願に組み込まれる。
【0016】
カプセル化の方法
本開示の実施形態は、細胞をカプセル化するための方法及び組成物、並びにカプセル化細胞の使用方法を対象とする。適切な細胞には、それだけには限らないが、分化した間葉細胞、上皮細胞、神経細胞、内皮細胞、筋芽細胞、軟骨細胞、筋芽細胞、造骨細胞、砕骨細胞、骨髄細胞、成体幹細胞、胚性幹細胞、臍帯血細胞、線維芽細胞、又はそれらの組合せが含まれる。本開示は、例示的なカプセル化用マトリクスとしてのアルギン酸塩の使用を論じているが、そのモノマーを重合剤の添加によって重合させることができるかぎり、任意のポリマー材料を、細胞のカプセル化に使用することができることは当分野の技術者によって理解されよう。重合剤は、化学的、イオン性、温度、電磁エネルギー、又はそれらの組合せでよい。
【0017】
第1の実施形態は、第1の溶液中に懸濁された細胞の小滴に、小滴の表面張力を破壊するのに十分な量の静電ポテンシャルを印加することによるマイクロカプセル化細胞の作製方法を提供する。第1の溶液は、重合し細胞をカプセル化する1タイプ又は複数タイプのモノマーを含む。細胞カプセル化に適した例示的なポリマー材料には、それだけには限らないが、アルギン酸塩、アガロース、ヒアルロン酸、コラーゲン、合成モノマー、アルブミン、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、キチン、キトサン、ヘパラン、ヘパラン硫酸、又はそれらの組合せが含まれる。重合は、所定の平均直径を有する、細胞カプセル化の構造を作製するのに十分な距離から、小滴を重合溶液中に落下させることによって開始される。一般的に、カプセル化プロセス中に形成される構造の平均直径は、約200μm未満、約150μm未満、約100μm未満、又は約150から約250μmの間である。所定の直径及び場合によっては所定の細胞数を有するマイクロカプセルを作製するのに必要な落下距離は、実施例1で提供される一般式を用いて決定することができる。適切な落下距離は、約1から約10cm、一般的に5cmである。落下距離及び静電ポテンシャルは、約250μm未満の直径を有するカプセル化細胞を得るために組み合わせて変更することができる。当分野の技術者は、第1の溶液の細胞濃度は、所定の直径及び細胞数を有するマイクロカプセルを得るために、単独で、又は実施例1の式に示されたパラメーター、特に、落下距離と共に調節することができることを理解されよう。落下距離は、細胞の小滴が重合溶液に接触する前に落下する距離を意味する。
【0018】
代表的なカプセル化マトリクスには、それだけには限らないがアルギン酸塩が含まれる。一般的に、細胞の固定用マトリクスとしてのアルギン酸塩の使用は、細胞の懸濁液をアルギン酸ナトリウム溶液と混合し、次いでこの混合物を、重合剤、例えば、多価カチオン(通常Ca2+)を含有する重合溶液中に滴下させることを伴う。小滴は、即座に、イオン的にに架橋したアルギン酸塩の三次元格子中に細胞を捕捉してゲルの球を形成する(Smidsrod及びSkjak-Braekの論文「細胞の固定用マトリクスとしてのアルギン酸塩」Trends in Biotechnology、March 1990、Vol. 8、No. 3、71-78頁)。この固定化の手順は、非常に温和な条件下で実施することができ、従って大部分の生細胞に適合する。一般的に、食塩水中のアルギン酸塩の2%(W/V)溶液は、約200μm未満の直径、及び約100、90、80、又は70個未満の完全な細胞を有するマイクロカプセルを作製するのに十分である。アルギン酸塩の濃度は、所望の形状又はサイズのカプセル化細胞を得るために変更することができる。
【0019】
例示的な重合溶液は、少なくとも約20mMのCaC1等の重合剤を含む。遊離Ca2+の量は、EGTA及び/又はEDTA等のカルシウムイオンキレート化剤を用いて標準化することができる。例えば、EGTAの溶液は、CaC1で滴定して、所望の濃度の遊離カルシウムを有する溶液を得ることができる。その他の重合剤には、それだけには限らないが、二価カチオン及び又は化学触媒が含まれる。別法として、重合剤は、熱、光、又はその他の形態の熱又は電磁エネルギーであってもよい。
【0020】
重合溶液は、栄養価を持つ浸透圧調節物質も含むことができる。「栄養価を持つ浸透圧調節物質」という用語は、細胞を膨張、破裂、又は脱水から防ぐために、溶液の浸透圧バランスを維持する助けとなる細胞の栄養分である溶質を意味する。グルコースは、重合溶液中に使用できる適切な、栄養価を持つ浸透圧調節物質である。グルコースの量は、約50から約200mM、一般的には約150mMであってよい。
【0021】
更なる実施形態は、アルギン酸塩と第2のポリマー材料、例えば、ポリアミノ酸を一緒に使用する細胞のマイクロカプセル化方法を提供する。一時的に、細胞を、食塩水中のアルギン酸ナトリウムに懸濁し、例えば、この溶液を針に通して押し出すことによって、細胞を含む小滴を作製する。静電ポテンシャルを、小滴及び重合溶液の間で維持する。一般的に、約200μm未満の直径を有するマイクロカプセルを得るために、約6kVが印加される。
【0022】
細胞含有アルギン酸塩の小滴は、食塩水中の塩化カルシウム中に流れる。負に帯電したアルギン酸塩小滴は、カルシウムに結合してアルギン酸カルシウムゲルを形成する。マイクロカプセルを、食塩水中で洗浄し、ポリアミノ酸と共にインキュベートする。適切なポリアミノ酸には、それだけには限らないが、ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、ポリ−L−アスパラギン、ポリ−L−アスパラギン酸、ポリ−ベンジル−L−アスパルテート、ポリ−S−ベンジル−L−システイン、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタメート、ポリ−S−CBZ−L−システイン、ポリ−ε−CBZ−D−リジン、ポリ−δ−CBZ−DL−オルニチニン、ポリ−O−CBZ−L−セリン、ポリ−O−CBZ−D−チロシン、ポリ(γ−エチル−L−グルタメート)、ポリ−D−グルタミン酸、ポリグリシン、ポリ−γ−N−ヘキシルL−グルタメート、ポリ−L−ヒスチジン、ポリ(α,β−[N−(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミド])、ポリ−L−ヒドロキシプロリン、ポリ(α,β−[N−(3−ヒドロキシプロピル)−DL−アスパルトアミド])、ポリ−L−イソロイシン、ポリ−L−ロイシン、ポリ−D−リジン、ポリ−L−フェニルアラニン、ポリ−L−プロリン、ポリ−L−セリン、ポリ−L−スレオニン、ポリ−DL−トリプトファン、ポリ−D−チロシン、又はそれらの組合せが含まれる。一実施形態においては、正に帯電したポリ−L−リジン及び/又はポリ−L−オルニチンは、カルシウムイオンを置換し(イオン的に)負に帯電したアルギン酸塩と結合し、外側のポリ電解質膜を生成する。アルギン酸ナトリウムの最終的なコーティングは、マイクロカプセルをアルギン酸ナトリウムの溶液で洗浄し、このアルギン酸ナトリウムがポリ−L−リジン及び/又はポリ−L−オルニチン層にイオン的に結合することによって添加することができる。Lim他の米国特許4391909号を参照されたい(本明細書に参照される全ての米国特許は、その全体を本明細書に組み込まれるものとする)。この技術は、「一重壁」マイクロカプセルと呼ばれるものを生成する。好ましいマイクロカプセルは、本質的に丸い、小さい、サイズが均一な、例えば約200μm以下の平均直径を有するものである。Wolters他、J. Appli Biomater. 3:281 (1992)。
【0023】
更なる一実施形態においては、アルギン酸塩−ポリリジンマイクロカプセルを、次いで、クエン酸ナトリウム等のカルシウムキレート化剤中でインキュベートして、ポリ−L−リジンと反応していないアルギン酸カルシウムを可溶化、即ち、細胞を収容するアルギン酸ナトリウムの内部コアを可溶化して、このように液状の細胞収容コア部分を有するマイクロカプセルを生成することができる。Lim及びSun、Science 210:908 (1980)を参照されたい。このようなマイクロカプセルは、本明細書では「キレート化された」、「中空の」又は「液状」コアと呼ばれる。
【0024】
「二重壁」マイクロカプセルは、クエン酸ナトリウムとのインキュベーションの前に、マイクロカプセルを、ポリ−l−リジン及びアルギン酸ナトリウムと共に再度インキュベートすること以外は、一重壁マイクロカプセルと同じ手順に従うことによって作製される。
更なる一実施形態においては、最終的なポリマー性コーティング(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))又はポリエチレンオキシドを有する、上に記載されたマイクロカプセルを提供する。
【0025】
カプセル化マトリクスは、移植可能な処方用に望ましいスポンジ様の材料に処方することができる。本発明のマトリクスは、所望の形状の型の中で凍結乾燥又は空気乾燥によって任意の形状に成形することができる。成長因子及び/又は治療薬を、マトリクス中に含むことができ、人間を含めた種々の動物、微生物及び植物に由来するタンパク質、並びに化学合成によって、及び遺伝子操作技術を用いて生成されたタンパク質を含むことができる。このような薬剤には、それだけには限らないが、bFGF(FGF−1)、aFGF(FGF−2)、EGF(上皮細胞成長因子)、PDGF(血小板由来成長因子)、IGF(インシュリン様成長因子)、TGF−βスーパーファミリー(BMPs、GDF−5、ADMP−1及びdpp)を含めたTGF−β1から3等の成長因子等の生物活性物質;インターフェロン−α、−β及び−γ、並びにインターロイキン−2及び−3を含めた種々のインターフェロン等のサイトカイン;インシュリン、成長ホルモン放出因子及びカルシトニン等のホルモン;非ペプチドホルモン;抗生物質;抗がん剤及び成長因子又は成長因子受容体の化学模倣物等の化学作用物質、並びにcDNA構成要素及びゲノム構成要素を含めた遺伝子構成要素及びDNA構成要素が含まれる。
【0026】
別の実施形態においては、これらの薬剤には、骨、靭帯、軟骨、又は骨若しくは関節に関係するその他の組織の成長の誘導又は伝導に役割を果たすことが見出された、タンパク質性又は非タンパク質性のそれらの因子、例えば、BMP及びbFGFが含まれる。一実施形態は、マトリクス中にカプセル化された自己細胞、又は同種異系細胞を提供する。自己細胞は、ドナーにおいて自然に発生しているもの、又は所望のタンパク製品をエンコードする1種又は複数の外来性核酸を含むように組換え的に改変された細胞であってよい。
【0027】
代替のポリマー材料
開示されたカプセル化細胞は、水溶性大割球、即ち、更なる重合が可能で、ポリマーであると同時に巨大分子である種類も収容することができる。大割球は、光開始剤(染料等の)、場合によっては共触媒、場合によっては促進剤、又は可視光若しくは長波長紫外線の形態の照射を用いて重合することができる。反応は、懸濁重合によってか、界面重合によってかのいずれかで生じる。ポリマー膜は、生物物質の表面上に直接形成することができ、又は、既にカプセル化された物質上に形成することができる。
【0028】
ポリ(エチレンオキシド)(PEO)は、開示されたカプセル化細胞と共に使用することができる例示的なポリマー材料である。PEO鎖は、非常に水溶性で非常に可撓性がある。一方、ポリメチレングリコールは、急速な加水分解をするが、ポリプロピレンオキシドは、水に不溶である。PEO鎖は、水中で極めて高い運動性を有し、構造において完全に非イオン性である。種々の表面、タンパク質、薬物等へのPEOの結合に使用することができる、PEO誘導体の合成及び特徴付けは、当分野で周知である。その他の適切なポリマーには、ポリ(N−ビニルピロリジノン)及びポリ(エチルオキサゾリン)が含まれる。これらは、細胞の組織との相互作用を減少させるのに使用されている。ヒアルロン酸等の水溶性イオン性ポリマーは、表面への細胞の接着を減少させるのに使用することもでき、同様に使用することができる。
【0029】
マイクロカプセル
本開示の方法は、生細胞、例えば、ホルモン、タンパク質、多糖、又は成長因子等の所望の生物物質を分泌する細胞を収容する任意のマイクロカプセルの使用を意図したものである。一実施形態は、目的の細胞を収容する内部ゲルコア、又は該細胞収容コアを取り囲む半透過性膜が境界となった、目的の細胞を収容する液状コアを含むマイクロカプセルを提供する。内部コアは、好ましくは、水溶性ゲル化剤から構成され、好ましくは、この水溶性ゲル化剤は、イオン化されてアニオン性基、又はカチオン性基を形成しうる複数の基を含む。ゲル中のこのような基の存在によって、ゲルのそれと反対の電荷を有する複数の官能基を含むポリマーに曝露されたときにゲルビーズの表面が架橋されて膜が生じるようになる。
【0030】
ゲル化可能な媒体(アルギン酸塩等の)中に懸濁された細胞は、それだけには限らないが、乳化(例えば、米国特許4352883号参照)、針からの押出(例えば、米国特許4407957号; Nigam他、Biotechnology Techniques 2:271-276 (1988)参照)、スプレーノズルの使用(Plunkett他、Laboratory Investigation 62:510-517 (1990))、又は針及びパルス電気静電圧(pulsed electrical electrostatic voltage)の使用(例えば米国特許4789550号; 米国特許5656468号参照)を含めた当分野で周知の任意の適切な方法を用いて小滴に形成することができる。
【0031】
水溶性ゲル化剤は、好ましくは多糖類樹脂であり、より好ましくはポリアニオンポリマーである。例示的な一水溶性ゲル化剤は、アルギン酸ナトリウム等のアルカリ金属アルギン酸塩である。ゲル化剤は、好ましくは、遊離酸官能基を有し、半透過性膜が、ゲルに、カチオン電荷を有する遊離アミノ官能基を有するポリマーを接触させて、ポリマーの遊離アミノ酸及び酸官能基の間に架橋を形成することによって形成される。適切なポリマーには、ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、ポリ−L−アスパラギン、ポリ−L−アスパラギン酸、ポリ−ベンジル−L−アスパルテート、ポリ−S−ベンジル−L−システイン、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタメート、ポリ−S−CBZ−L−システイン、ポリ−ε−CBZ−D−リジン、ポリ−δ−CBZ−DL−オルニチニン、ポリ−O−CBZ−L−セリン、ポリ−O−CBZ−D−チロシン、ポリ(γ−エチル−L−グルタメート)、ポリ−D−グルタミン酸、ポリグリシン、ポリ−γ−N−ヘキシルL−グルタメート、ポリ−L−ヒスチジン、ポリ(α,β−[N−(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミド])、ポリ−L−ヒドロキシプロリン、ポリ(α,β−[N−(3−ヒドロキシプロピル)−DL−アスパルトアミド])、ポリ−L−イソロイシン、ポリ−L−ロイシン、ポリ−D−リジン、ポリ−L−フェニルアラニン、ポリ−L−プロリン、ポリ−L−セリン、ポリ−L−スレオニン、ポリ−DL−トリプトファン、ポリ−D−チロシン、又はそれらの組合せが含まれる。
【0032】
特に好ましいマイクロカプセルは、場合によっては第2のポリマーコーティング、例えば、ポリリジンコーティングを有する、アルギン酸塩のコア中に固定された細胞を収容し、このようなマイクロカプセルは、更なる外部のアルギン酸塩層を含んで、多層アルギン酸ポリリジン−アルギン酸塩マイクロカプセルを形成することができる。参照によりその全体を本明細書に組み込んだLim他の米国特許4391909号を参照されたい。
【0033】
所望されるときは、マイクロカプセルは、マイクロカプセル中に収容された細胞の生理学的反応性を保持しつつ、又は著しく損傷しないまま、マイクロカプセルの耐性を増加するために、硫酸ナトリウム又は同様の薬剤等の生理的に許容し得る塩で処理又はインキュベートすることができる。「生理的に許容し得る塩」は、マイクロカプセル中にカプセル化された細胞の生理学的反応性に著しく有害ではない塩を意味する。一般的に、このような塩は、その中に収容された細胞の機能及び/又は生存率を実質的に損なわずに、カプセルを安定化するのに十分にカルシウムイオンに結合するアニオンを有する塩である。硫酸ナトリウム及び硫酸カリウム等の硫酸塩が好ましく、硫酸ナトリウムが最も好ましい。インキュベーションステップは、上記のように、その中に収容された細胞の機能及び/又は生存率を実質的に損なわずに、カプセルを安定化するのに有効な量の生理的食塩を含む水溶液中で行われる。一般的に、上記塩は、約0.1又は1ミリモルから最大約20又は100ミリモル、最も好ましくは約2から10ミリモルの量で含まれる。インキュベーションの期間は、約1又は10分から約1又は2時間以上(例えば、終夜)であってよい。インキュベーションステップが行われる温度は、一般的に約4℃から約37℃であり、室温(約21℃)が好ましい。
【0034】
所望されるときは、アルギン酸塩ゲルの液化を、イオン交換、又はそれだけには限らないが、クエン酸ナトリウム、エチレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N’四酢酸(EGTA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含めたキレート化剤によるカルシウムイオンのキレート化等の、当分野で周知の任意の適切な方法で行うことができる。
【0035】
一実施形態は、細胞収容コア、及び、場合によっては、栄養分、生物活性な分子及びその他の選択された生成物の、表面膜を通してのマイクロカプセルコア中への拡散を可能にし、サイズ又は電荷によって物質の交換を制限するのに使用することができる、細胞収容コアを取り囲む1つ又は複数の層を含むマイクロカプセルを提供する。例えば、表面膜は、その膜の分画分子量を決定するサイズの細孔を含むことができる。マイクロカプセルがタンパク質分泌細胞を収容する場合、その膜の細孔サイズは、コアから外部環境へのタンパク質の通過を可能にするが宿主免疫応答因子の侵入を排除するように選択される。
【0036】
アレイ
更なる一実施形態は、基板のアドレス可能位置に置かれたカプセル化細胞のユニットを含むアレイを提供する。例えば、各アドレス可能位置は、1つ若しくは複数のカプセル化細胞のユニット、又は1つ若しくは複数の試験化合物を収容することができる。カプセル化細胞のユニットは、約200μm未満の平均直径を有し、所定の数量の細胞を収容するアルギン酸塩カプセル化細胞の単一ビーズであってよい。各ユニットは、ほぼ同数の細胞、一般的にはプラス又はマイナス40、30、20、若しくは10個以下の細胞を収容することができる。カプセル化細胞は、任意の通常の手段、例えば、多糖、ポリアミノ酸、又はそれらの組合せを用いてアレイ基板に接着することができる。
【0037】
一実施形態においては、本方法は、複数の細胞アレイと標準混合物又は試験化合物の添加とを反応させることを含むことができる。この方法は、次いで、2以上のアレイにおけるそれぞれの対応する位置又はフィーチャーで検出されたシグナルの量を比較することを含むことができる。アレイの標準化は、この比較に基づくことができる。
【0038】
一実施形態においては、本方法は、開示されたアレイからの第1の検出可能なシグナル(例えば、色)、及び対照化合物の標準混合物からの第2の検出可能なシグナルを検出することを含むことができる。この方法は、第1及び第2の検出可能なシグナルの強度を比較することを含むことができる。対照化合物を用いて、試験化合物によって生じたシグナルを定量化することは、この比較に基づくことができる。
【0039】
接触方法は、アレイを試薬、サンプル、又は組成物と接触させるための種々の周知の方法のいずれも含むことができる。例えば、これらの方法は、容器中にアレイを置き、試薬、サンプル、又は組成物中にアレイを沈めること、或いはアレイを試薬、サンプル、又は組成物で覆うことを含むことができる。これらの方法は、容器中にアレイを置き、アレイ上のフィーチャー上に、試薬、サンプル、又は組成物を注ぐこと、ピペットで添加すること、又はそれ以外の方法で分配することを含むことができる。別法として、これらの方法は、アレイを任意の適切なラックの中又は上、表面等に置いた状態で、アレイ上のフィーチャー上に、試薬、サンプル、又は組成物を分配することを含むことができる。
【0040】
検出方法は、アレイのフィーチャー又は位置から検出可能なシグナルを検出するための種々の周知の方法のいずれも含むことができる。アレイの又はアレイからのシグナルを検出するために設計された種々の周知の市販の装置のいずれも、本方法で使用することができる。このような装置又は方法は、本明細書で以下に記載される検出可能な標識の1つ又は複数を検出することができる。例えば、公知の市販の装置は、比色、蛍光等の、検出可能な、アレイのシグナルを検出することができる。アレイのフィーチャー又は位置からのシグナルを検出するための方法及びシステムは、任意の検出可能なシグナルについてアレイの監視又は走査に使用することができる。監視又は検出は、人間によるアレイの観察(例えば、目視検査)を含むことができる。
【0041】
開示されたアレイ又は組成物は、任意の種類の通常の形態で提供しうる。本発明のカプセル化細胞は、例えば、液体として、容器に入れて提供しうる。一実施形態においては、複数の開示されたカプセル化細胞及びアレイのそれぞれは、それ専用の容器(例えば、バイアル、管、若しくはウエル)に入れて提供される。本発明で開示されたカプセル化細胞及びアレイ又は組成物を、細胞アレイ作製用の材料、又は完全な細胞アレイと共に提供することができる。実際に、細胞アレイの1つ又は複数のフィーチャーに結合したカプセル化細胞を提供することができる。
【0042】
基板上のアレイは、試験サンプル、参照サンプル、それらの組合せ、又は試験化合物の周知の混合物にかかわらず、いかなるタイプのサンプルも試験するために設計することができる。任意の所与の基板も、その基板の前面上に置かれた1、2、4以上のアレイを担持することができる。その使用に応じて、任意の又は全てのアレイは、お互いに同じ又は異なってよく、それぞれが、複数のスポット又はフィーチャーを含んでよい。一般的なアレイは、50cm未満、20cm、又は更に10cm未満、又は1cm未満の面積に、10より多い、100より多い、1000より多い、10,000より多いフィーチャーを、更に100,000を超えたフィーチャーを含むことができる。例えば、フィーチャーは、10μmから1.0cmの範囲の横幅(即ち、丸いスポットでは直径)を有することができる。別の実施形態においては、各フィーチャーは、1.0μmから1.0mm、5.0μmから500μm、又は10μmから200μmの範囲の横幅を有することができる。丸くないフィーチャーは、前述の幅(直径)範囲を有する円形フィーチャーに等しい面積範囲を有することができる。フィーチャーサイズは、例えば、パルスジェットからの1つ又は所望数量のパルスを使用することによって、所望通りに調節して、所望の最終スポットサイズを提供することができる。
【0043】
アレイの基板は、任意の固体支持体、コロイド、ゲル又は懸濁物であってよい。例示的な固体支持体には、それだけには限らないが、金属、金属アロイ、ガラス、天然ポリマー、非天然ポリマー、プラスチック、エラストマー、熱可塑性プラスチック、ピン、ビーズ、繊維、膜、又はそれらの組合せが含まれる。
【0044】
少なくともいくらかの、又は全てのフィーチャーは、異なる組成物からなり(例えば、それぞれのフィーチャー組成物の任意の反復が、排除されるとき、残りのフィーチャーは、フィーチャーの合計数量の少なくとも5%、10%、又は20%を占める)、それぞれのフィーチャーは、一般的にそのフィーチャー中で均質な組成物からなる。従って、あるフィーチャーは、記載のとおりにカプセル化された細胞の一タイプを含むことができ、第2のフィーチャーは、記載のとおりにカプセル化された細胞の第2のタイプを含むことができる。ポリヌクレオチド(又は、フィーチャーが構成されるタイプの、他のバイオポリマー又は化学部分)を全く担持しないフィーチャー間領域が、一般的に(必須ではないが)存在する。このようなフィーチャー間領域は、一般的に、アレイが、試薬の液滴沈着を含むプロセスによって形成される場合に存在するが、例えば、フォトリソグラフィーによるアレイ作製法が使用される場合には存在しないことがある。しかしながら、フィーチャー間領域は、存在するとき、様々なサイズ及び形状となりうることを理解されたい。
【0045】
アレイフィーチャーは、一般的に、規則的なパターン(例えば、行及び列)に配置される。しかしながら、ユーザーが、少なくとも、アレイレイアウト上の情報(例えば、フィーチャー組成物、位置、サイズ、様々なサンプルとの結合パターンの変化における有意性の意味における性能特性等の1つ又は複数)を確かめることができる手段(例えば、アレイ基板上のアレイ識別名を通して)を有するか、手段を与えられている場合に、フィーチャーのその他の配置を、使用することができる。それぞれのアレイフィーチャーは、一般的に均一な組成物からなる。
【0046】
それぞれのアレイは、100cm未満、又は更に50cm、10cm、又は1cm未満の面積にわたってよい。多くの実施形態においては、1つ又は複数のアレイを担持する基板は、一般的に、4mmより大きく1m未満、例えば、4mmより大きく600mm未満、400mm未満、又は100mm未満の長さ;4mmより大きく1m未満、例えば、500mm未満、400mm未満、100mm未満、又は50mmの幅;及び0.01mmより大きく5.0mm未満、例えば、0.1mmより大きく2mm未満、又は0.2より大きく1mm未満の厚さを有する長方形の固体(他の形状も可能だが)として形作られる。蛍光を検出することによって読まれるアレイでは、基板を、励起光を照射すると低い蛍光を発する材料で構成しうる。更にこの状況においては、集束レーザービームが領域上をあまりにもゆっくりと移動する場合に、照明レーザーの入射光線の吸収とそれに続く加熱を減少させるために、基板を、相対的に透明にすることができる。例えば、基板は、このような照明光の全体の集積スペクトルにわたって、又は別法として532nm若しくは633nmにおいて測定して、前面入射の照明光の、少なくとも20%、又は50%(又は更に少なくとも70%、90%、又は95%)を透過させることができる。
【0047】
アレイは、試験化合物溶液又はカプセル化細胞のユニットのいずれかの、パルスジェットからの液滴沈着を用いて作製することができる。その他の液滴沈着方法も、作製に使用することができる。
一実施形態は、1タイプ又は複数タイプのモノマーを含む第1の溶液中に懸濁された細胞の連続した小滴に静電ポテンシャルを印加することを含む、基板の複数の位置に一定数の哺乳類細胞を点在させる方法を提供する。ここで上記静電ポテンシャルは、それぞれの連続する小滴の表面張力を破壊するのに十分な量である。各小滴を、次いで、所定の数の細胞をカプセル化する構造を作製するのに十分な距離から重合溶液中に落下させ、作製された各構造は、所定の数の細胞プラス又はマイナス40個以下の細胞を含む。カプセル化細胞は、基板のアドレス可能位置に配置される。
【0048】
アレイの使用方法
ユーザーが本発明の開示により作製されたアレイを受領するのに続いて、アレイは、一般的に、任意の周知の方法でサンプル(例えば、試験化合物)にさらされ、次いでそのアレイは読まれる。アレイの読取りは、アレイを照射し、アレイの各フィーチャー上の複数の領域で得られる蛍光の位置及び強度を読むことによって達成することができる。アレイは、他の光学的技術(例えば、化学発光又は電気蛍光発光標識を検出すること)又は電気的技術(各フィーチャーに、そのフィーチャーでのハイブリダイゼーションを検出するための電極が与えられる)を含めた他の読取り方法と共に、当分野で既知の任意の方法又は装置によって読むことができる。読まれたアレイからのデータは、市販のアレイフィーチャー抽出ソフトウエアパッケージからのもの等の任意の周知の方法で処理することができる。読取りに続いて本発明の方法を行って得られた結果は、その形態で使用するか、更に処理してアレイから読んだパターンに基づいた結論を形成することによって得られる結果等の結果を生むことができる(特定の標的配列が、サンプル中に存在しうるか否か、又はパターンが、サンプルを採取した有機体の特定状態を示しているか否か等)。読取り(更に処理されたか否かにかかわらず)の結果は、所望ならば遠隔地に送ることができ(通信によって等)、そこで更なる使用(更なる処理等)のために受領することができる。
【0049】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される通り、単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、その内容が明らかにそれ以外のことを規定しない限り、複数の指示対象を含むことを留意されたい。従って、例えば、「ある化合物(a compound)」を含む組成物に言及するときは、2種以上の化合物の混合物が含まれる。「又は(or)」という用語は、一般的に、その内容が明らかにそれ以外のことを規定しない限り、「及び/又は」を含む意味で用いられることを留意されたい。
【0050】
検出可能な標識
開示されたカプセル化細胞及びアレイは、検出可能な標識、例えば、第1の検出可能な標識を含むことができる。第2の検出可能な標識は、試験化合物がアレイ上のカプセル化細胞と接触するときに作製することができる。適切な標識には、放射性標識及び非放射性標識、直接検出可能な標識及び間接検出可能な標識等が含まれる。直接検出可能な標識は、1種又は複数の更なる化学作用物質との相互作用なしに直接検出可能なシグナルを提供する。直接検出可能な標識の適切なものには、比色標識、蛍光標識等が含まれる。間接検出可能な標識は、1種又は複数の更なる要素と相互作用して、検出可能なシグナルを提供する。適切な間接標識には、標識化した抗体のリガンド等が含まれる。
【0051】
適切な蛍光標識には、例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、6−カルボキシフルオレセイン(FAM及びFの省略形で公知の)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロー2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE又はJ)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA又はT)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX又はR)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5又はG5)、6−カルボキシローダミン−6G(R6G6又はG6)、及びローダミン110等のフルオレセイン及びローダミン染料等のキサンテン染料;Alexa染料、例えばAlexa−fluor−547;シアニン染料、例えば、Cy3、Cy5及びCy7染料;クマリン、例えばウンベリフェロン;ベンズイミド染料、例えばHoechst33258;フェナントリジン染料、例えばテキサスレッド;エチジウム染料;アクリジン染料;カルバゾール染料;フェノキサジン染料;ポルフィリン染料;ポリメチン染料、例えば、Cy3、Cy5等のシアニン染料;BODIPY染料及びキノリン染料が含まれる。
【0052】
細胞の凍結保存
凍結保存の方法は、当分野で周知である。一般論として、動物細胞の凍結保存は、増殖培地及び水が氷晶を形成するのを防止する別の液体の混合物中で細胞を凍結し、次いで液体窒素温度(例えば、約−80から約−196℃)で細胞を貯蔵するものである。
一実施形態は、凍結保存媒体中における、単離しカプセル化した哺乳類細胞の凍結保存を提供する。別の実施形態は、単離した細胞の凍結保存に続いての、インビボ移植前の、細胞のマイクロカプセル化を提供する。
【0053】
スクリーニング方法
本開示のいくつかの実施形態の1つは、例えば、化合物のコンビナトリアルライブラリーを用いた、リード化合物の同定方法を提供する。ある実施形態は、標的タンパク質又は細胞機能のモジュレーターを同定するための方法を提供する。本明細書で使用される「試験化合物」という用語は、標的タンパク質、生理的経路、又は細胞機能の生物活性を潜在的に阻害又は増強しうる任意の分子を意味する。試験化合物は、タンパク質又はその断片、小分子、又は更に核酸分子であってもよい。本開示は、改良された化合物の開発の助けとしてリード化合物を使用することを企図し、これは、標的タンパク質又は細胞機能の周知の阻害剤及び活性剤との比較のみならず、標的分子の構造に関する予想も含む。
【0054】
一実施形態は、所定の、及び場合によっては標準化された数の細胞を含むカプセル化細胞のユニットに接触するために、ハイスループットアッセイを使用し、対照化合物と比較したカプセル化細胞の表現型における変化を促進又は生じる試験化合物を選択して、リード化合物を同定する方法を提供する。表現型における変化には、それだけには限らないが、形態学的変化、変色、DNA又はタンパク質合成における変化、転写又は遺伝子発現における変化、分泌における変化、それらの組合せが含まれる。
【0055】
別の実施形態においては、有用な薬物のための基礎的な基準に合致すると考えられる小分子ライブラリーを、有用な化合物を同定するためにスクリーニングすることができる。組合せ的に産生されたライブラリー(例えば、発現ライブラリー)を含めたこのようなライブラリーのスクリーニングは、活性について多数の関連した(又関連しない)化合物をスクリーニングするための迅速且つ効率的な方法である。組合せの手法は、活性があるが、それ以外は望ましくない化合物を基に作る、第2、第3及び第4世代の化合物の生成による可能性のある薬物の迅速な発展にも役立つ。
【0056】
試験化合物は、天然化合物の断片又は一部を含むことができ、又は、それ以外では不活性である周知の化合物が活性である組合せとして見出すことができる。動物、細菌、真菌、葉及び樹皮を含めた植物源、並びに海洋試料等の自然源から単離された化合物を、潜在的に有用な医薬品の存在の候補としてアッセイすることができる。スクリーニングすべき医薬品は、化合物又は人工化合物から抽出又は合成することもできることを理解されたい。従って、本開示の実施形態によって同定された試験化合物は、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、小分子阻害剤、小分子誘発剤、既知の阻害剤又は刺激物質に基づいて設計しうる、有機又は無機、或いは任意のその他の化合物であってよいことを理解されたい。
【0057】
その他の適切な試験化合物には、アンチセンス分子、リボザイム等の触媒作用を有する核酸、及び抗体(一本鎖抗体を含む)が含まれ、これらのそれぞれが、標的タンパク質又は目的の細胞機能に特異的である。
最初に同定された化合物に加えて、他の立体的に類似の化合物を、試験化合物の構造の重要な部分、例えば結合ドメインをまねて調製することができる。ペプチドモジュレーターのペプチド模倣物を含みうるこのような化合物は、初期試験化合物と同様に使用することができる。
【0058】
本開示による阻害剤又は活性剤は、その阻害の又は活性化の効果を、標的タンパク質又は細胞機能に、上流に、下流に、直接的に、又は間接的に作用させるものであってよい。一実施形態においては、同定された試験化合物による阻害又は活性化又は標的タンパク質は、添加された試験化合物の非存在下で観測されたものと比較して、カプセル化細胞の検出可能な表現型の変化を生じる。
【0059】
アッセイのエンドポイントは、FACS、FACE、ELISA、ノーザンブロット法及び/又はウエスタンブロット法等の標準の方法を用いてアッセイすることができる。更に、このアッセイは、遺伝子組換え細胞、不死化細胞、細胞株、初代培養細胞、自己細胞、又はそれらの組合せを用いて行うことができる。
【0060】
この目的のために特に改変された細胞を含めた様々な細胞株を、このようなスクリーニングアッセイに利用することができる。適切な細胞には、それだけには限らないが、分化した間葉細胞、神経系細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋芽細胞、軟骨細胞、筋芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、骨髄細胞、成体幹細胞、胚幹細胞、臍帯血細胞、線維芽細胞、又はそれらの組合せが含まれる。細胞は、試験化合物との接触に応答して、化合物又はタンパク質を発現又は過剰発現するよう改変することもできる。更に、当分野の技術者は、当分野で周知であり使用されている、安定な、又は一過性のトランスフェクションは、開示された実施形態において使用しうることを理解されよう。
【0061】
例えば、発現ベクターを含む形質転換細胞は、発現ベクターを細胞中に導入することによって産生することができる。細胞又は宿主細胞中へのDNAの導入は、分子生物学の分野で周知の技術であり、例えば、Sambrook他の「分子クローニング」第3版 (2001)に記載されている。細胞のトランスフェクションの方法には、リン酸カルシウム沈殿、リポソーム媒介トランスフェクション、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、バリスティックボンバードメント(ballistic bombardment)等が含まれる。別法として、本明細書に提供された参照及び実施例に記載された通常の技術を用いて、細胞を、発現ベクターで単純にトランスフェクトすることができる。宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞、又はベクターを複製及び/又はベクターによってエンコードされた異種遺伝子を発現しうる任意の形質転換性の有機体であってよい。非常に多くの細胞株及び培養菌が、宿主細胞としての使用のために入手可能であり、それらは、生きた培養菌及び遺伝物質のためのアーカイブとしての機能を果たす組織である米国菌培養収集所(American Type Culture Collection(ATCC))を通じて入手することができる(www.Atcc.org)。
【0062】
宿主細胞は、トランスフェクションベクターの性質及びトランスフェクションの目的に応じて選択することができる。例えば、プラスミド又はコスミドは、多くのベクターの複製のために原核生物宿主細胞中に導入することができる。ベクター複製及び/又は発現のための宿主細胞として使用される細菌性細胞には、DH5α、JM109、及びKC8、並びにSURE(登録商標)Competent Cells及びSOLOPACK(商標)GoldCells(STRATAGENE、カルフォルニア州La Jolla)等の市販の細菌性宿主が含まれる。別法として、大腸菌(E.coli)LE392等の細菌性細胞は、ファージウイルスの宿主細胞として使用することができる。宿主細胞として使用することができる真核細胞には、それだけには限らないが、酵母、昆虫及び哺乳類が含まれる。ベクターの複製及び/又は発現のための哺乳類真核宿主細胞の例には、それだけには限らないが、HeLa、NIH3T3、Jurkat、293、Cos、CHO、Saos、及びPC12が含まれる。酵母菌株の例には、それだけには限らないが、YPH499、YPH500及びYPH501が含まれる。様々な細胞タイプ及び有機体からの多くの宿主細胞が、入手可能であり、当分野の技術者には周知であろう。同様に、ウイルスベクターを、真核又は原核宿主細胞のいずれか、特に、ベクターの複製又は発現を許容するものと一緒に使用することができる。
【0063】
アッセイによっては、培養が必要なことがある。細胞は、いくつかの異なる生理学的アッセイのいずれかを用いて試験される。別法として、分子解析を、例えば、タンパク質発現、mRNA発現(全細胞又はpolyA RNAのディファレンシャルディスプレイを含む)等を調べて行うことができる。
【0064】
治療方法
移植
本開示により作製されたカプセル化細胞は、それだけには限らないが、組織損傷、虚血、インスリン依存の糖尿病、心臓発作、神経損傷、脳損傷、骨の損傷、又は軟骨修復を含めた病変の治療として対象に移植することができる。このような移植は、対象の腹膜腔中に、又は直接的に病変部位に行ってよい。好ましくは、カプセル化細胞は、必要な部位に直接に注射される。カプセル化細胞の平均直径が、約200μm未満であるため、カプセル化細胞は、注射中に生じる剪断力によって最小限の損傷しか受けない。250μmより大きい直径を有するマイクロカプセルは、マイクロカプセルを宿主に送達するのに使用される針を詰まらせる傾向がある。従って、約250μm未満の、一般的には約200μm未満の直径を有する開示されたマイクロカプセルは、宿主を治療するのに十分な量を、標準の外科用の針、例えば、14ゲージ又は18ゲージの針を使用する注射で宿主に送達することができる。
【0065】
カプセル化細胞は、病変を治療するのに必要なポリペプチド、例えば、血糖症を制御するためのインスリンを分泌するように遺伝子操作することができる。移植されたマイクロカプセルの量は、そのマイクロカプセルがインビボで機能を提供する能力に依存することは、当分野の技術者に明らかであろう。当分野の技術者は、当分野で周知の技術を用いて、マイクロカプセルの適切な移植量を決定することができるであろう。
【0066】
更なる一実施形態は、本開示により作製されたカプセル化細胞を宿主に送達することを含む、宿主の治療方法を提供する。例えば、カプセル化細胞は、宿主において軟骨又は軟骨成分を産生することができる。
更なる一実施形態は、本開示により作製されたカプセル化細胞を投与することを含み、カプセル化細胞が、宿主中の組織又は組織成分を産生する、宿主の組織修復方法を提供する。
次の実施例は、例示の目的で提供され、本発明を何ら制限するものではない。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
細胞のカプセル化
>又は<200,000g/molの平均分子量を有する、60%グルロン酸塩又はマンヌロン酸塩残基を有する多糖を含む、超高純度アルギン酸塩組成物を使用した。各アルギン酸塩粉末は、紫外線を用いて滅菌し、0.9%食塩水に溶解して2%(w/v)アルギン酸塩溶液を調製した。最小限の体積の食塩水に懸濁されたラットの軟骨細胞を、アルギン酸塩溶液に添加して6×10細胞/mlとした。この溶液を、次いで0.18mm(内径)の針に通して10ml/時で押し出した。CaCl重合溶液及び針の間の6,000kVの静電ポテンシャルを、表面張力を破壊するために使用した。ビーズサイズ及びビーズ1個当たりの全細胞数を、形態計測による解析によって測定した。
【0068】
細胞数及びビーズサイズは、細胞懸濁液が、重合溶液にあたる前に落下する距離を変えることによって調節した。200μm未満の直径を有し、所定の細胞数を収容するカプセル化細胞を得るために、更なるパラメーターを、次の一般式に従って調節した。
【0069】
【数1】

【0070】
【数2】

【0071】
【数3】

【0072】
(実施例2)
アルギネート組成物のマイクロカプセル化への効果
アルギン酸塩は、グルロン酸塩及びマンヌロン酸塩残基からなる複合多糖(co-polysaccharide)である。残基の割合及びポリマー鎖の長さは、アルギン酸塩ヒドロゲルの機械的性質に影響を与える。4種の異なるアルギン酸塩処方物(表2)を、ビーズ形態計測及び2週間のインビトロ培養中の細胞生存率に基づき比較した。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
平均ビーズ直径は、使用されたアルギン酸塩組成物に応じて176±2μmから194±7μmであったが(図1A)、統計的に有意な差異はなかった。更に、2週間のインビトロ培養中にビーズ直径に有意な変化は測定されなかった。ビーズ1個当たりの初期の細胞数は、69±2から75±3(図1B)であったが、これは6×10細胞/mlの負荷密度に相当した。細胞数における有意な変化は、2週間にわたってアルギン酸塩組成物のいずれにおいても観測されなかった。ビーズ及びカプセル化細胞は、光学顕微鏡で容易に見られ、2週間の培養中無傷で不変であった(表1C)。
【0076】
(実施例3)
カプセル化細胞の生存率
カプセル化軟骨細胞の生存率は、蛍光共焦点顕微鏡及びカルセイン及びエチジウムホモダイマー1から構成される生/死染色法によって測定した。カルセインは、生存細胞の細胞質を緑色に染色し(図2A)、エチジウムは、死細胞の核を赤色に染色する(図2B)。生存細胞は、83%から91%の初期生存率(図2D)でビーズ中に一様に分布していた(図2C)。生存率は、1週間の培養の後に全てのアルギン酸組成物について98%より大きく増加し、2週間まで一定であった。異なるアルギン酸塩組成物間で、インビトロ培養中の細胞生存率について統計的に有意な差異は観察されなかった。
【0077】
(実施例4)
カプセル化細胞のインビボ移植
アルギン酸塩組成物の無胸腺マウスの後部腓腹筋中に4週間移植されたカプセル化軟骨細胞への効果を調べた。脚を回収し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色した。組織学的分析は、明らかな軟骨性組織を示さなかったが、ビーズ内の細胞は、回収の時点で生存しているように見え、正常な軟骨細胞に特徴的な丸い形態を有した。更に、ビーズは、好塩基性基質を有する濃厚な細胞質で取り囲まれていた。この細胞質が、湿潤性の宿主組織又は移植されたビーズから遊走しているドナー細胞であるかは明らかではなかった。この細胞質は、炎症性には見えず、わずかなの繊維化があった。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1A】代表的なカプセル化細胞の平均ビーズ直径が176±2から194±7ミクロンであることを示す棒グラフである。2週間のインキュベーション中、又は異なるアルギン酸塩処方間で、このパラメーターには統計的な差異はなかった。
【図1B】ビーズ1個当たりの平均細胞数が69±2から80±4であることを示す棒グラフである。2週間のインキュベーション中、又は異なるアルギン酸塩処方間で、このパラメーターには統計的な差異はなかった。
【図1C】光学顕微鏡で見た代表的なビーズ及び細胞の顕微鏡写真である。
【図2A】カルセイン/エチジウムホモダイマー1染料を用いた、例示的なカプセル化細胞の蛍光共焦点顕微鏡写真である。最初の生存率は、83%から91%であった。
【図2B】カルセイン/エチジウムホモダイマー1染料を用いた、例示的なカプセル化細胞の蛍光共焦点顕微鏡写真である。最初の生存率は、83%から91%であった。
【図2C】カルセイン/エチジウムホモダイマー1染料を用いた、例示的なカプセル化細胞の蛍光共焦点顕微鏡写真である。最初の生存率は、83%から91%であった。
【図2D】全てのアルギン酸塩組成物について生存率が1週間後に>98%に増加したことを示している棒グラフである。P<0.05、初期対エンドポイント。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射可能なマイクロカプセル化細胞の作製方法であって、
(a)静電ポテンシャルを、1タイプ以上のモノマーを含む第1の溶液に懸濁された細胞の小滴に印加すること(ここで、静電ポテンシャルは、小滴の表面張力を破壊するのに十分な量である)、及び
(b)約200μm未満の平均直径の、細胞をカプセル化した構造を作製するのに十分な距離から、小滴を重合溶液中に落下することを含み、重合溶液は、1タイプ又は複数タイプのモノマーの重合を促進する重合剤を含む、前記方法。
【請求項2】
前記第1の溶液が、1種又は複数の多糖を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の溶液が、アルギン酸塩、アガロース、ヒアルロン酸、コラーゲン、合成モノマー、アルブミン、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、デキストラン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、キチン、キトサン、ヘパラン、ヘパラン硫酸、又はそれらの組合せを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記重合剤が、二価カチオンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記重合溶液が、少なくとも20mMの重合剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記構造が、約100個未満の細胞を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記構造が、約60個及び約100個の間の細胞を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記カプセル化細胞が、哺乳類細胞を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記哺乳類細胞が、分化した間葉細胞、神経細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋芽細胞、軟骨細胞、筋芽細胞、造骨細胞、砕骨細胞、骨髄細胞、成体幹細胞、胚性幹細胞、臍帯血細胞、線維芽細胞、又はそれらの組合せを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記カプセル化細胞が、少なくとも1種の外来性核酸を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記カプセル化細胞が、培養液中で約2週間生存する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
カプセル化細胞の数が、インビトロ又はインビボで培養されたときに増加しない、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記構造が、前記構造の宿主中への注射中に発生する剪断力に耐えることができる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記構造が、ポリアミノ酸を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記ポリアミノ酸が、ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、ポリ−L−アスパラギン、ポリ−L−アスパラギン酸、ポリ−ベンジル−L−アスパルテート、ポリ−S−ベンジル−L−システイン、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタメート、ポリ−S−CBZ−L−システイン、ポリ−ε−CBZ−D−リジン、ポリ−δ−CBZ−DL−オルニチニン、ポリ−O−CBZ−L−セリン、ポリ−O−CBZ−D−チロシン、ポリ(γ−エチル−L−グルタメート)、ポリ−D−グルタミン酸、ポリグリシン、ポリ−γ−N−ヘキシルL−グルタメート、ポリ−L−ヒスチジン、ポリ(α,β−[N−(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミド])、ポリ−L−ヒドロキシプロリン、ポリ(α,β−[N−(3−ヒドロキシプロピル)−DL−アスパルトアミド])、ポリ−L−イソロイシン、ポリ−L−ロイシン、ポリ−D−リジン、ポリ−L−フェニルアラニン、ポリ−L−プロリン、ポリ−L−セリン、ポリ−L−スレオニン、ポリ−DL−トリプトファン、ポリ−D−チロシン、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
基板の複数の位置に均一な数量の哺乳類細胞を配置する方法であって、
(a)1タイプ以上のタイプのモノマーを含む第1の溶液中に懸濁された細胞の一連の小滴に静電ポテンシャルを印加すること(ここで、静電ポテンシャルは、それぞれの連続する小滴の表面張力を破壊するのに十分な量である)、
(b)各小滴を、予定数の細胞をカプセル化した構造を作製するのに十分な距離から重合溶液中に落下すること(ここで、作製された各構造は、所定数プラス又はマイナス40個、あるいはそれ未満の細胞を含む)、及び
(c)各構造を、前記基板のアドレス可能な位置に配置することを含む方法。
【請求項17】
作製された各構造が、所定数プラス又はマイナス30個、あるいはそれ未満の細胞を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
作製された各構造が、所定数プラス又はマイナス20個、あるいはそれ未満の細胞を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
作製された各構造が、所定数プラス又はマイナス10個、あるいはそれ未満の細胞を含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
作製された各構造が、所定数プラス又はマイナス5個、あるいはそれ未満の細胞を含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記第1の溶液が、1種以上の多糖を含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】
前記第1の溶液が、アルギン酸塩、アガロース、合成モノマー、又はそれらの組合せを含む、請求項16記載の方法。
【請求項23】
前記重合溶液が、重合剤を含む、請求項16記載の方法。
【請求項24】
前記重合剤が、二価カチオンを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記重合溶液が、少なくとも20mMの重合剤を含む、請求項16記載の方法。
【請求項26】
各構造が、約100個未満の細胞を含む、請求項16記載の方法。
【請求項27】
各構造が、約60個から約100個の間の細胞を含む、請求項16記載の方法。
【請求項28】
前記カプセル化細胞が、哺乳類細胞を含む、請求項16記載の方法。
【請求項29】
前記哺乳類細胞が、分化した間葉細胞、神経細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋芽細胞、軟骨細胞、筋芽細胞、造骨細胞、砕骨細胞、骨髄細胞、成体幹細胞、胚性幹細胞、臍帯血細胞、線維芽細胞、又はそれらの組合せを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記カプセル化細胞が、少なくとも1種の外来性核酸を含む、請求項16記載の方法。
【請求項31】
前記カプセル化細胞が、培養液中で約2週間生存する、請求項16記載の方法。
【請求項32】
カプセル化細胞の合計数が、インビトロ又はインビボで培養されたときに、最初にカプセル化された細胞数に比べて増加しない、請求項16記載の方法。
【請求項33】
前記構造が、ポリアミノ酸を含む、請求項16記載の方法。
【請求項34】
前記ポリアミノ酸が、ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、ポリ−L−アスパラギン、ポリ−L−アスパラギン酸、ポリ−ベンジル−L−アスパルテート、ポリ−S−ベンジル−L−システイン、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタメート、ポリ−S−CBZ−L−システイン、ポリ−ε−CBZ−D−リジン、ポリ−δ−CBZ−DL−オルニチニン、ポリ−O−CBZ−L−セリン、ポリ−O−CBZ−D−チロシン、ポリ(γ−エチル−L−グルタメート)、ポリ−D−グルタミン酸、ポリグリシン、ポリ−γ−N−ヘキシルL−グルタメート、ポリ−L−ヒスチジン、ポリ(α,β−[N−(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミド])、ポリ−L−ヒドロキシプロリン、ポリ(α,β−[N−(3−ヒドロキシプロピル)−DL−アスパルトアミド])、ポリ−L−イソロイシン、ポリ−L−ロイシン、ポリ−D−リジン、ポリ−L−フェニルアラニン、ポリ−L−プロリン、ポリ−L−セリン、ポリ−L−スレオニン、ポリ−DL−トリプトファン、ポリ−D−チロシン、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
試験化合物を選択する方法であって、
(a)カプセル化細胞を、少なくとも1種の試験化合物と接触させること(ここで、前記カプセル化細胞は、基板上のアドレス可能な位置に点在されており、約200μm未満の直径を有する構造中にカプセル化されている)、及び
(b)対照と比較して、前記試験化合物に接触させた前記カプセル化細胞の表現型において変化を引き起こす、又は促進する試験化合物を選択することを含む、前記方法。
【請求項36】
各構造が、約100個未満の細胞を含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記構造が、約60個から約100個の間の細胞を含む、請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記カプセル化細胞が、哺乳類細胞を含む、請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記哺乳類細胞が、分化した間葉細胞、神経細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋芽細胞、軟骨細胞、筋芽細胞、造骨細胞、砕骨細胞、骨髄細胞、成体幹細胞、胚性幹細胞、臍帯血細胞、線維芽細胞、又はそれらの組合せを含む、請求項35記載の方法。
【請求項40】
前記カプセル化細胞が、少なくとも1種の外来性核酸を含む、請求項35記載の方法。
【請求項41】
前記細胞が、多糖ポリマー中にカプセル化される、請求項35記載の方法。
【請求項42】
前記ポリマーが、アルギン酸塩、アガロース、ポリアミノ酸、又はそれらの組合せを含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記表現型の変化が、タンパク質合成、DNA合成、遺伝子発現、色、形態、サイズ、細胞数、細胞生存率、分泌、又はそれらの組合せにおける変化を含む、請求項35記載の方法。
【請求項44】
前記カプセル化細胞が、ポリアミノ酸を含む、請求項35記載の方法。
【請求項45】
前記ポリアミノ酸が、ポリ−L−リジン、ポリ−L−オルニチン、ポリ−L−アルギニン、ポリ−L−アスパラギン、ポリ−L−アスパラギン酸、ポリ−ベンジル−L−アスパルテート、ポリ−S−ベンジル−L−システイン、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタメート、ポリ−S−CBZ−L−システイン、ポリ−ε−CBZ−D−リジン、ポリ−δ−CBZ−DL−オルニチニン、ポリ−O−CBZ−L−セリン、ポリ−O−CBZ−D−チロシン、ポリ(γ−エチル−L−グルタメート)、ポリ−D−グルタミン酸、ポリグリシン、ポリ−γ−N−ヘキシルL−グルタメート、ポリ−L−ヒスチジン、ポリ(α,β−[N−(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミド])、ポリ−L−ヒドロキシプロリン、ポリ(α,β−[N−(3−ヒドロキシプロピル)−DL−アスパルトアミド])、ポリ−L−イソロイシン、ポリ−L−ロイシン、ポリ−D−リジン、ポリ−L−フェニルアラニン、ポリ−L−プロリン、ポリ−L−セリン、ポリ−L−スレオニン、ポリ−DL−トリプトファン、ポリ−D−チロシン、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記重合溶液が、重合剤を含む、請求項35記載の方法。
【請求項47】
前記重合剤が、二価カチオンを含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記二価カチオンが、カルシウムである、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記細胞の小滴が、アルギン酸塩溶液中に懸濁された約60個から約100個の細胞を含む、請求項35記載の方法。
【請求項50】
前記重合溶液が、少なくとも20mMのCaClを含む、請求項35記載の方法。
【請求項51】
前記重合溶液が、グルコースを含む、請求項35記載の方法。
【請求項52】
(a)複数のアドレス可能な位置を有する基板、及び
(b)各アドレス可能な位置に配置されたカプセル化細胞のユニットを含み、カプセル化細胞の各ユニットが、請求項1記載の方法に従って作製される細胞アレイ。
【請求項53】
請求項16記載の方法によって作製されるアレイ。
【請求項54】
請求項1記載の方法に従って作製されたカプセル化細胞を宿主に送達することを含む、宿主の治療方法。
【請求項55】
前記カプセル化細胞が、宿主中に軟骨又は軟骨成分を産生する、請求項54記載の方法。
【請求項56】
少なくとも1種のカプセル化細胞が、組換えポリペプチドを発現する、請求項54記載の方法。
【請求項57】
少なくとも1種のカプセル化細胞が、外来性核酸を含む、請求項54記載の方法。
【請求項58】
宿主中の組織を修復する方法であって、
請求項1記載の方法によって作製されたカプセル化細胞を投与することを含み、カプセル化細胞が、宿主中に組織又は組織成分を産生する、前記方法。
【請求項59】
前記カプセル化細胞が、軟骨、平滑筋、皮膚、心臓組織、結合組織、又はそれらの成分を産生する、請求項58記載の方法。
【請求項60】
請求項1記載の方法に従って作製されたカプセル化細胞。
【請求項61】
複数のアドレス可能な位置を含む基板、
各アドレス可能な位置においてカプセル化細胞のユニットを含み、各ユニットが所定数プラス又はマイナス40個、あるいはそれ未満の細胞を含む細胞アレイ。
【請求項62】
所定数の細胞を含み、約200μm未満の平均直径を有するマイクロカプセル。
【請求項63】
前記細胞が、アルギン酸塩中にカプセル化される、請求項62記載のマイクロカプセル。
【請求項64】
アルギン酸塩の外表面をコートするポリマー材料の層を更に含む、請求項63記載のマイクロカプセル。
【請求項65】
前記ポリマー材料の外表面が、半透過性である、請求項64記載のマイクロカプセル。
【請求項66】
前記ポリマー材料が、ポリアミノ酸を含む、請求項65記載のマイクロカプセル。

【公表番号】特表2008−515434(P2008−515434A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535844(P2007−535844)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/036202
【国際公開番号】WO2006/042132
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(500020357)ジョージア テック リサーチ コーポレイション (39)
【Fターム(参考)】