説明

静電マイクロアクチュエータ、静電マイクロアクチュエータ装置、及び静電マイクロアクチュエータの駆動方法

【課題】 簡単な構造で、かつ空間的に電気配線を輻輳させることなく、微小機械構造の変位を独立して制御することを可能とする。
【解決手段】 半導体基板101と、半導体基板101上に空気層を介して半導体基板101上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な片持ち梁102と、片持ち梁102と半導体基板101とで形成される静電容量106に並列接続されるように片持ち梁102の一部であるアンカー部103と半導体基板101との間に形成されたフォトダイオード107と、静電容量106とフォトダイオード107との並列回路の接続点となる前記片持ち梁102側に抵抗104を介してフォトダイオード107に逆バイアスとなるように電圧を印加する電源105とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体マイクロマシニング(MEMS(Micro Electro Mechanical Systems))技術に係り、特に、静電マイクロアクチュエータ、静電マイクロアクチュエータ装置、及び静電マイクロアクチュエータの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)においては、マイクロ構造からナノ構造へと構造寸法が微細化されるのに伴い、可動構造への駆動エネルギー供給方法が大きな課題となりつつある。
【0003】
従来のMEMS構造では、図14(A)の模式図に示すように、可動機構の面積と比較して静電駆動のための電気配線やコンタクトパッドの占有面積が無視できる程度であるのに対し、 Optical MEMSにおける可変グレーティング(非特許文献1参照)のように構造寸法が取り扱う光の波長と同程度(1〜数μm)になると、図14(B)、(C)の模式図に示すように、個々のMEMS可動構造部分へ接続する電気配線の占有面積が相対的に大きくなり、デバイスの機能(回折光の空間光変調、強度変調など)を設計する上での問題となっている。
【0004】
上述した配線の輻輳問題を解決する方法として、レーザーマニュピュレーションや、照射光の電磁界におけるマクスウェル応力を用いる方法が従来から検討されている。例えば、半透明微小物体への光線の屈折入射に伴う光の運動量変化(光圧)を駆動力に用いて、液中にサスペンドした微小物体の位置制御、回転制御などが行われている(非特許文献2参照)。
【0005】
また、照射後の光のエネルギーを熱に変換して、マイクロ構造のバイモルフ効果と結合することにより変位を発生させる方法(非特許文献3参照)も検討されている。
【非特許文献1】David T. Amm and Robert W. Crrigan, “Optical Performance of the Grating Light Valve Technology”, Photonics West-Electronic Imaging 1999
【非特許文献2】E. Higurashi, R.Sawada, T.Ito,“Optically drivenangular alignment of microcomponents made of in-planebirefringent polyimide film based on optical angular momentum transfer”J. OF Microeng.Vol.11(2),pp.140-145,2001
【非特許文献3】S.Baglio, S. Castorina, L. Fortuna L. N. Savalli,“Modeling and design of novel photo-thermo-mechanical microactuators,” SENSORS AND ACTUATORS A101(1-2),pp.185-193,2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、駆動電圧を自由に設定できる従来のMEMS型静電アクチュエータと比較して、光圧や光のマクスウェルカが発生する駆動力は非常に小さいために、単純に静電アクチュエータの駆動機構として置き換えることは困難であるという問題が有る。
また、照射後の光のエネルギーを熱に変換して、マイクロ構造のバイモルフ効果と結合することにより変位を発生させる方法は、アクチュエータ部に複数のレイヤ構成が必要となるために、デバイス構造が複雑化するという問題が有った。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、かつ空間的に電気配線を輻輳させることなく、微小機械構造(静電マイクロアクチュエータの可動構造部分:弾性機械構造体)の変位を独立して制御することができる静電マイクロアクチュエータ、静電マイクロアクチュエータ装置、及び静電マイクロアクチュエータの駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の静電マイクロアクチュエータの駆動方法は、半導体基板上に空気層を介して前記半導体基板上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に直列または並列接続されるように前記弾性機械構造体の一部に、または該弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードとを備え、前記静電容量に印加する電圧を変化させることにより前記弾性機械構造体を機械的に変位させる静電マイクロアクチュエータの駆動方法であって、前記静電容量に印加する電圧値を外部からフォトダイオードに入射される光の有無または光量により制御することにより前記弾性機械構造体の機械的変位を制御することを特徴とする。
【0009】
上記構成からなる本発明の静電マイクロアクチュエータの駆動方法では、導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体と半導体基板とで形成される静電容量に印加する電圧値を外部からフォトダイオードに入射される光の有無または光量により制御することにより前記弾性機械構造体(可動構造部分)の機械的変位を制御する。すなわち、静電マイクロアクチュエータの駆動源は印加電圧による静電引力に求め、該印加電圧を外部から入射した光の有無または光量により制御するようにしたので、上記静電容量に印加する駆動電圧をユーザが自由に高く設定することができ、それ故、従来のレーザマイクロマニピュレーションや光熱変換等の手段を用いた場合に比して発生力を大きくすることができる。
また、光により制御しているために、非接触駆動が可能となる。さらに、多数の静電マイクロアクチュエータを同一基板上に形成しても電気配線は共通電源と共通接地のみで足りるため、電気配線が非常に簡単になるという効果が有る。
【0010】
また、本発明の静電マイクロアクチュエータは、半導体基板と、前記半導体基板上に空気層を介して前記半導体基板上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体と、前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に直列接続または並列接続されるように前記弾性機械構造体の一部に、または該弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードと、前記静電容量とフォトダイオードとの接続点となる前記弾性機械構造体側に抵抗を介して前記フォトダイオードに逆バイアスとなるように電圧を印加する電源とを有することを特徴とする。
【0011】
上記構成からなる本発明の静電マイクロアクチュエータでは、前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に印加された電圧値を、前記弾性機械構造体の一部に、または該弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードに外部から入射された光により制御し、その電圧変化に応じて静電マイクロアクチュエータの可動構造部分である前記弾性機械構造体の機械的変位を制御する。
したがって、駆動電圧をユーザが自由に高く設定することができ、それ故、従来のレーザマイクロマニピュレーションや光熱変換等の手段を用いた場合に比して発生力を大きくすることができる。
また、光により制御しているために、非接触駆動が可能となる。さらに、多数の静電マイクロアクチュエータを同一基板上に形成しても電気配線は共通電源と共通接地のみで足りるため、電気配線が非常に簡単になるという効果が有る。
【0012】
また、本発明の静電マイクロアクチュエータは、半導体基板と、前記半導体基板上に空気層を介して前記半導体基板上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体と、前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に並列接続されるように前記弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードと、前記静電容量とフォトダイオードとの並列回路の接続点となる前記弾性機械構造体側に抵抗を介して前記フォトダイオードに逆バイアスとなるように電圧を印加する電源とを有することを特徴とする。
【0013】
上記構成からなる本発明の静電マイクロアクチュエータでは、前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に印加された電圧値を、前記弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードに外部から入射された光により制御し、その電圧変化に応じて静電マイクロアクチュエータの可動構造部分である前記弾性機械構造体の機械的変位を制御する。
したがって、駆動電圧をユーザが自由に高く設定することができ、それ故、従来のレーザマイクロマニピュレーションや光熱変換等の手段を用いた場合に比して発生力を大きくすることができる。
また、光により制御しているために、非接触駆動が可能となる。さらに、多数の静電マイクロアクチュエータを同一基板上に形成しても電気配線は共通電源と共通接地のみで足りるため、電気配線が非常に簡単になるという効果が有る。
【0014】
また、本発明の静電マイクロアクチュエータは、半導体基板と、前記半導体基板上に空気層を介して前記半導体基板上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体と、前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に直列接続されるように前記弾性機械構造体の一部に形成されたフォトダイオードと、前記静電容量とフォトダイオードとの接続点となる前記弾性機械構造体側に抵抗を介して前記フォトダイオードに逆バイアスとなるように電圧を印加する電源とを有することを特徴とする。
【0015】
上記構成からなる本発明の静電マイクロアクチュエータでは、前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に印加された電圧値を、前記弾性機械構造体の一部に形成されたフォトダイオードに外部から入射された光により制御し、その電圧変化に応じて静電マイクロアクチュエータの可動構造部分である前記弾性機械構造体の機械的変位を制御する。
したがって、駆動電圧をユーザが自由に高く設定することができ、それ故、従来のレーザマイクロマニピュレーションや光熱変換等の手段を用いた場合に比して発生力を大きくすることができる。
また、光により制御しているために、非接触駆動が可能となる。さらに、多数の静電マイクロアクチュエータを同一基板上に形成しても電気配線は共通電源と共通接地のみで足りるため、電気配線が非常に簡単になるという効果が有る。
また、静電マイクロアクチュエータの機械的構造部分(上記半導体基板及び弾性機械構造体部分)をSOI(Silicon‐On‐Insulator)基板を用いて作製することができるので、基板上の形成されたフォトダイオードの光電変換効率を高くすることができ、フォトダイオードの絶縁耐圧を高くすることができる。
【0016】
また、本発明の静電マイクロアクチュエータ装置は、単一の半導体基板と、前記単一の半導体基板上に空気層を介して前記半導体基板上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な複数の弾性機械構造体と、 前記複数の弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される複数の静電容量に並列接続されるように前記複数の弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成された複数のフォトダイオードと、前記複数の静電容量の各々と複数のフォトダイオードの各々との並列回路の接続点となる前記弾性機械構造体側に抵抗を介して前記複数のフォトダイオードの各々に逆バイアスとなるように電圧を印加する電源とを有することを特徴とする。
【0017】
上記構成の静電マイクロアクチュエータ装置では、弾性機械構造体と半導体基板とで形成される静電容量に印加された電圧値を、前記弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードに外部から入射された光により制御し、その電圧変化に応じて可動構造部分である前記弾性機械構造体の機械的変位を制御するようにした静電マイクロアクチュエータを複数、単一の半導体基板上に形成し、これらを共通の電源で駆動するようにしたので、電気配線が輻輳することなく、各静電マイクロアクチュエータの可動構造部分の変位を独立して制御することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、複数の静電マイクロアクチュエータを単一の基板上に実装した場合に、自由空間中を伝搬する光ビーム(複数)を微小機械構造(弾性機械構造体)の個別駆動に用いることで、空間的に電気配線を輻輳させることなく、微小機械構造の変位を独立して制御することが可能になる。
また、本発明では、静電マイクロアクチュエータの駆動制御に光を用いているために電磁気ノイズに対してロバスト性を獲得できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの構成を図1に示す。本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータは、半導体基板101と、半導体基板101上に空気層を介して半導体基板101上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体としての片持ち梁(可動構造部分)102と、片持ち梁102と半導体基板101とで形成される静電容量106に並列接続されるように片持ち梁102の一部であるアンカー部103と半導体基板101との間に形成されたフォトダイオード107と、静電容量106とフォトダイオード107との並列回路の接続点となる前記片持ち梁102側に抵抗104を介してフォトダイオード107に逆バイアスとなるように電圧を印加する電源105とを有している。
ここで、第1実施形態では、弾性機械構造体として片持ち梁を使用しているが、本発明は、これに限定されず、例えば、両持ち梁、トーション梁であってもよく、要は、外力が加わったときに機械的に変位可能な構造体であればよい。他の実施形態においても同様である。
【0020】
半導体基板は、例えば、シリコン基板であり片持ち梁102は、例えば、導電性材料であるポリシリコンで形成されている。第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの機械構造部分の製法については、後述する。
図1に示した静電マイクロアクチュエータの等価回路を図2に示す。同図に示すように、片持ち梁102と半導体基板101とで形成される静電容量106に並列にフォトダイオード107(PD)が接続され、かつフォトダイオード107(PD)のアノードが接地されている。静電容量106(容量値はC)とフォトダイオード107との並列回路の片持ち梁102側の接続点D(フォトダイオード107のカソード側)に抵抗104(抵抗値はR)を介して電源105(電源電圧V)が接続され、フォトダイオード107には逆バイアスがかかるよう結線されている。
【0021】
片持ち梁102と半導体基板101とで形成される静電容量106に電圧が印加されると、静電容量を形成する片持ち梁102及び半導体基板101に静電引力が作用することが知られている。したがって、上記静電容量に印加される電圧を変化させることにより、静電マイクロアクチュエータの可動構造部分である弾性機械構造体としての片持ち梁102の機械的変位を制御することができる。
なお、抵抗104は、本実施形態では、外付けの抵抗としているが、片持ち梁102のアンカー部分103におけるフォトダイオード107と電源105とを接続する部分の内部抵抗とすることも可能である。
【0022】
図3に静電マイクロアクチュエータの駆動特性を示す。図3は、弾性機械構造体としての片持ち梁102と半導体基板101とで形成される静電容量106に印加されるアクチュエータ印加電圧(駆動電圧)Vに対するフォトダイオード107に流れる光電流Iとの関係を示す特性図である。
【0023】
上記構成からなる本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの動作を説明する。図3において、曲線Pは、フォトダイオード107のPN接合の界面に光が入射されていない状態でのフォトダイオード107の電圧−電流特性であり、曲線Qは上記PN接合の界面に光が入射された状態でのフォトダイオード107の電圧−電流特性であり、Kは負荷線である。また、VBDはPN接合の逆バイアス降伏電圧であり、本実施形態(他の実施形態も同様)では、アクチュエータ印加電圧(駆動電圧)VはPN接合の電圧降下より十分高く、かつPN接合の逆バイアス降伏電圧VBDより低くなるように設定されている。
【0024】
上記構成において、片持ち梁102のアンカー部分103に形成されたフォトダイオード107のPN接合の界面に光が入射されていない状態では、図2の等価回路において、フォトダイオード107には、光電流がほとんど流れないために、静電容量106の両端間には負荷線Kと曲線Pとの交点である電圧Vがアクチュエータ印加電圧Vとして印加される。この電圧Vは、電源105の電源電圧Vに近い電圧値である。
【0025】
このとき、静電容量106を形成する片持ち梁102及び半導体基板101間に静電引力が発生し、この結果、弾性機械構造体102は、矢印110で示す半導体基板101側に吸引され、図1(A)に示すように変位する。
【0026】
次に、片持ち梁102のアンカー部分103に形成されたフォトダイオード107のPN接合の界面に制御光としての光120が入射されると、図2において、フォトダイオード107に光電流が流れるため、抵抗104で電圧降下が生じ、静電容量106の両端間にはフォトダイオード107の電圧降下分に相当する曲線Qと負荷線Kとの交点における電圧Vがアクチュエータ印加電圧Vとして印加される。
【0027】
したがって、静電容量106の両端間には僅かな電圧しか印加されなくなるため、静電容量106を形成する片持ち梁102及び半導体基板101間に静電引力が発生せず、図1(B)に示すように、片持ち梁106は半導体基板101から離れる方向110Aに変位し、解除される。
【0028】
このように、アクチュエータ印加電圧(駆動電圧)Vを一定にしたまま、外部からフォトダイオード107のPN接合に照射する制御光120を制御することにより、すなわち制御光120を入射するか否か、あるいは制御光120の光量を制御することにより、静電マイクロアクチュエータの可動構造部分である弾性機械構造体としての片持ち梁102の機械的変位を制御することができる。
【0029】
すなわち、本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータによれば、前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に印加された電圧値を、前記弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードに外部から入射された光により制御し、その電圧変化に応じて静電マイクロアクチュエータの可動構造部分である前記弾性機械構造体の機械的変位を制御するようにしたので、駆動電圧をユーザが自由に高く設定することができ、それ故、従来のレーザマイクロマニピュレーションや光熱変換等の手段を用いた場合に比して発生力を大きくすることができる。
また、光により制御しているために、非接触駆動が可能となる。さらに、多数の静電マイクロアクチュエータを同一基板上に形成しても電気配線は共通電源と共通接地のみで足りるため、電気配線が非常に簡単になるという効果が有る
【0030】
図4は、図1に示した本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータを単一の半導体基板上に複数、形成した本発明の実施形態に係る静電マイクロアクチュエータ装置の構成を示しており、図4(B)はその平面図、図4(A)は図4(B)におけるX−X’切断線による断面図をそれぞれ、示している。
【0031】
図4において、本発明の実施形態に係る静電マイクロアクチュエータ装置は、単一の半導体基板200と、この単一の半導体基板200上に空気層を介して半導体基板200上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な複数の弾性機械構造体としての片持ち梁2001と、この複数の片持ち梁2001と半導体基板200とで形成される複数の静電容量2002に並列接続されるように複数の片持ち梁2001の一部と半導体基板200との間に形成された複数のフォトダイオード2003と、複数の静電容量2002の各々と複数のフォトダイオード2003の各々との並列回路の接続点となる片持ち梁2001側に抵抗202を介して複数のフォトダイオード2003の各々に逆バイアスとなるように電圧を印加する電源203とを有している。
【0032】
すなわち、単一の半導体基板としてのシリコン基板上にポリシリコン等の導電材料で弾性機械構造体(可動機械構造)を形成し、そのアンカー部分にフォトダイオードのPN接合を形成したものを静電マイクロアクチュエータの単体とし、この静電マイクロアクチュエータの構造を複数、単一のシリコン基板上に並列化して形成し、各静電マイクロアクチュエータにおけるフォトダイオードと静電容量との並列回路の弾性機械構造体側の接続点を、抵抗を介して各フォトダイオードに逆バイアス電圧が印加されるように単一の電源203に接続したものである。
静電マイクロアクチュエータ単体の構造は比較的容易に形成することができ、また、複数の静電マイクロアクチュエータを並列化して単一の半導体基板に形成する場合でも個別の配線が不要で,共通の電源線を1本用意すればよい。
【0033】
この静電マイクロアクチュエータ単体の構造の設計に当たっては、(1)静電マイクロアクチュエータの駆動に必要な電圧がPN接合の電圧降下よりも十分に高く、かつ(2)PN接合の逆バイアス降伏電圧よりも低いこと、また、(3)静電マイクロアクチュエータの静電容量部分に印加される電圧のダイナミックレンジは抵抗202の抵抗値Rとフォトダイオード2003の光電流Iできまる電圧降下分によって決定されるために、十分に大きなRとIを確保すること、さらに、(4)駆動のカットオフ周波数は抵抗202の抵抗値Rと静電マイクロアクチュエータの静電容量2002の容量Cで決まることを考慮する必要がある。
【0034】
図5にシリコン製のカンチレバー(弾性機械構造体)型静電アクチュエータ(静電ギャップ3μm,幅10μm,厚さ2μm,長さ20〜100μm)の電圧−変位特性を、構造体の縁における電界集中を無視して数値計算した結果を示す。
なお、駆動に伴って静電マイクロアクチュエータの弾性機械構造体としての片持ち梁の根元から先端に向かって静電ギャップの大きさが分布するために、分布荷重をうける梁の曲げの微分方程式を解いた。その結果、初期ギャップのほぼ2/3におけるプルイン電圧は、カンチレバーの長さが60μm〜100μmの範囲において29〜81Vの範囲内で計算された。市販のシリコンPIN接合フォトダイオードの逆方向降伏電圧が30〜80Vであることから、この電圧範囲内での設計を行うことにした。
【0035】
上記構成の本発明の実施形態に係る静電マイクロアクチュエータ装置では、弾性機械構造体と半導体基板とで形成される静電容量に印加された電圧値を、前記弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードに外部から入射された光により制御し、その電圧変化に応じて可動構造部分である前記弾性機械構造体の機械的変位を制御するようにした静電マイクロアクチュエータを複数、単一の半導体基板上に形成し、これらを共通の電源で駆動するようにしたので、電気配線を簡略化でき、電気配線が輻輳することなく、各静電マイクロアクチュエータの可動構造部分の変位を光により非接触で独立して制御することができる。
【0036】
本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータにおける機械構造部分の製造工程の一例を図6に示す。図6において、p型シリコン基板250表面にCVD法によりSiO膜251を所定の膜厚となるように堆積させた後、フォトリソグラフィプロセス及びエッチングプロセスによりSiO膜251にフォトダイオード及び静電マイクロアクチュエータの弾性機械構造体としての片持ち梁のアンカー部分を形成するための窓252を開ける(図6(A))。
【0037】
次に、CVD法によりポリシリコン膜253を所定の膜厚に堆積させた後、平坦化を行い、さらに、LPCVD法によりリン(P)を含むSiO系被膜形成用塗布剤254を所定の膜厚に堆積させる。この結果、SiO系被膜形成用塗布剤254に含まれるリン(P)が開口252に堆積したポリシリコン膜部分253Aの下部におけるp型シリコン基板250の表層に熱拡散し、n型層255が形成される。これにより、n型層255とこれに隣接するp型シリコン基板250のp型領域とでフォトダイオードのPN接合が形成される(図6(B))。
【0038】
さらに、SiO系被膜形成用塗布剤254を除去した後、フォトレジストによりマスキングし、ポリシリコン膜253を片持ち梁(弾性機械構造体)の形状にエッチングを行い、フォトレジストを除去する(図6(C))。
次いで、SiO膜251を除去することにより、静電マイクロアクチュエータの片持ち梁を含む機械構造部分の構造体が得られる(図6(D))。実際には、片持ち梁のアンカー部分には、配線用のコンタクトパッドが形成されるが、そのプロセスについては説明の便宜上、省略してある。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの外観構成を図7に示す。同図において、本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータは、半導体基板301と、半導体基板301上に空気層を介して半導体基板301に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体としての片持ち梁303と、片持ち梁303と半導体基板301とで形成される静電容量306に直列接続されるように片持ち梁303の一部であるアンカー部分に形成されたフォトダイオー304と、静電容量306とフォトダイオード304との接続点となる前記片持ち梁303側に抵抗305を介してフォトダイオード304に逆バイアスとなるように電圧を印加する電源307とを有している。抵抗305は、片持ち梁303のアンカー部分の内部抵抗である。
【0040】
半導体基板301は、本実施形態では、シリコン基板であり、酸化膜等の絶縁層302を介して形成されている別のシリコン層により片持ち梁303が形成されている。半導体基板301及び片持ち梁303は、SOI(Silicon‐On‐Insulator)基板を用いて作製することができる。
フォトダイオード304のカソード側にコンタクトパッド321が、また片持ち梁303のアンカー部分におけるコンタクトパッド321が形成されている領域から離間した領域にコンタクトパッド322が形成されている。
【0041】
第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの機械構造部分の製法については、後述する。
図7に示した静電マイクロアクチュエータの等価回路を図9に示す。同図に示すように片持ち梁303と半導体基板301とで形成される静電容量(306容量値はC)の一端が接地され、静電容量306の他端に直列にフォトダイオード304(PD)のアノードが接続され、かつフォトダイオード107のカソード側は、コンタクトパッド321を介して電源307(電源電圧V)の正極側に接続されている。
【0042】
また、フォトダイオード107のアノードは、抵抗305(抵抗値はR)、コンタクトパッド322を介して電源307の負極側に接続され、電源307の負極側は接地されている。このように、フォトダイオード304には、抵抗305を介して電源307により逆バイアスがかかるよう結線されている。
なお、フォトダイオード304と静電容量306との接続点をDとし、この点の電位をVとする。
【0043】
次に、図8を参照して上記構成からなる第2の実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの動作について説明する。図8は、図7に示した静電マイクロアクチュエータの動作状態を示しており、コンタクトパッド321,322については説明の便宜上、図示するのを省略してある。
上記構成において、図8(A)に示すように、片持ち梁303のアンカー部分に形成されたフォトダイオード304のPN接合の界面に光(制御光)310が入射されていない状態では、図9の等価回路において、フォトダイオード304には、光電流Iがほとんど流れないために、静電容量106の両端間電圧、すなわち点Dにおける電位であるアクチュエータ印加電圧Vは、ほぼ接地電位に等しくなる。
【0044】
したがって、この状態では、静電容量306を形成する片持ち梁303及び半導体基板301には静電引力はほとんど働かず、片持ち梁303は変位しない。
【0045】
次に、図8(B)に示すように、片持ち梁303のアンカー部分に形成されたフォトダイオード304のPN接合の界面に制御光310が入射されると、図8において、フォトダイオード304に光電流Iが流れるため、静電容量306の両端間には電源307の電源電圧Vからフォトダイオード107の電圧降下分だけ低い電圧がアクチュエータ印加電圧Vとして印加される。
このとき、静電容量306を形成する片持ち梁303及び半導体基板301に静電引力が発生し、この結果、片持ち梁303は、矢印313の方向に変位する。
【0046】
このように、本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータでは、第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータと同様に、アクチュエータ印加電圧(駆動電圧)Vを一定にしたまま、外部からフォトダイオード304のPN接合に照射する制御光310を制御することにより、すなわち制御光310を入射するか否か、あるいは制御光310の光量を制御することにより、静電マイクロアクチュエータの可動構造部分である弾性機械構造体としての片持ち梁303の機械的変位を制御することができる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの機械的構造部分の製造工程の一例を図10に示す。同図において、埋め込み酸化膜層(Buried Oxide,BOX)400を有するSOI(Silicon‐On‐Insulator)基板401のp型シリコン層4012の表面にCVD法またはLPCVD法により絶縁膜402を所定の膜厚だけ堆積させ、次いで、フォトリソグラフィプロセス及びエッチングプロセスによりフォトダイオードを形成するために絶縁膜402に窓403を開ける(図10(A))。
【0048】
次に、LPCVD法によりリン(P)を含むSiO系被膜形成用塗布剤404を所定の膜厚に堆積させる。この結果、に含まれるリン(P)が開口403に堆積したSiO系被膜形成用塗布剤404の下部におけるp型シリコン層4012の表層に熱拡散し、n型層405が形成される。これにより、n型層405とこれに隣接するp型シリコン層4012のp型領域とでフォトダイオードのPN接合が形成される(図10(B))。
【0049】
次に、SiO系被膜形成用塗布剤404及び絶縁膜402を除去した後、クロム(Cr)/金(Au)のメタル層を堆積して、パターニングし、コンタクトパッド406、407及びミラー408を形成するとともに、その上にシリコン基板4011上に静電マイクロアクチュエータの弾性機械構造体としての片持ち梁を形成するために、マスクとして機能するレジスト膜409を形成する(図10(C))。
次に、レジスト膜409をマスクとしてレジスト膜により被覆されていない部分を埋め込み酸化膜層400の表面までエッチングして除去する(図10(D))
【0050】
さらに、レジスト膜409を除去すると共に、埋め込み酸化膜層400を選択的に除去し、静電マイクロアクチュエータの機械構造部分となる構造体を分離する(図10(E))。
このようにして完成した構造体におけるコンタクトパッド406、407と、電源410とを結線することにより本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータが完成する(図10(F))。
【0051】
本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータを試作した。
今回の試作では,光アシスト静電駆動の原理検証を行うために、フォトダイオードと抵抗は外付けとして、図11示すプロセスで、静電マイクロアクチュエータの機械構造部分であるカンチレバー/ブリッジ構造を製作した。プロセスには、厚さ2.5μmのシリコン層501と3.0μmの埋め込み酸化膜層(Buried Oxide, BOX)500からなる基板とシリコン基板502とを張り合わせた、張り合わせSOI (Silicon on Insulator)基板を用いた。
【0052】
まず、通常のフォトリソグラフィーによりレジストパターン503を形成し、それを住友精密社製STS Deep RIE 装置でシリコン層501に転写する(図11(A))。
次いで、下地の埋め込み酸化膜500を選択的に除去し、カンチレバー/ブリッジ構造を分離した。なお、分離した微小構造体の基板への再付着を防ぐために、蒸気フッ酸(Vapor HF)による酸化膜除去を行った(図11(B))。
最後に、ワイヤボンディングの接着層として、真空蒸着により10nmのクロム層と20nmの金を基板全面に堆積した。
【0053】
次に、試作した静電マイクロアクチュエータの機械構造部分であるマイクロ構造(微小機械構造)を、図12に示したようなセットアップに組み込んで実験を行った。外付け抵抗Rには1/4W、39kΩを使用し、アクチュエータ(静電容量C)と並列のフォトダイオードPDには浜松フォトニクス社製S1223−01 (感度中心波長960nm)を用いた。
光を照射したときにアクチュエータが駆動を停止する様子を明瞭に観察するために、外部駆動電圧として、オフセット電圧付きの正弦波交流電圧(2Vpp+1Vdc,5kHz)をアンプで0V〜60Vの電圧に増幅したものを用いた。
【0054】
また、フォトダイオードの正面に発光ダイオードLED(シャープ製GL380,発光中心波長950nm,11mW)を用いて、250Hz,5Vの矩形波でドライブすることで入射光とした。すなわち,フォトダイオードPDと発光ダイオードLEDの対がフォトカプラとして機能している。MEMS可動構造(カンチレバー/ブリッジ構造)、すなわち静電マイクロアクチュエータの可動構造部分(弾性機械構造体)の変位の測定には,日本光学社製のレーザードップラー変位計(MDL−103,測定分解能1nm)を用いた。
【0055】
図13に原理検証実験中の等価回路各部の電圧波形と、MEMS構造の変位波形の様子を示す. LEDへの駆動電圧(上段の波形)が0VのときにはフォトダイオードPDには光電流が流れないために,アンプAからの駆動電圧(中段)はそのままアクチュエータ(静電容量)に印加され、約8nmの変位として観察された。
一方, LEDへの駆動電圧が5VのときにはフォトダイオードPDに光が照射され、光電流が流れるために抵抗Rでの電圧降下が発生する.したがって,アクチュエータに印加される電圧が低下し、アクチュエータの動作が停止する様子が分かった。
【0056】
以上に説明したように、本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータによれば、前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に印加された電圧値を、前記弾性機械構造体の一部に形成されたフォトダイオードに外部から入射された光により制御し、その電圧変化に応じて静電マイクロアクチュエータの可動構造部分である前記弾性機械構造体の機械的変位を制御するようにしたので、駆動電圧をユーザが自由に高く設定することができ、それ故、従来のレーザマイクロマニピュレーションや光熱変換等の手段を用いた場合に比して発生力を大きくすることができる。
【0057】
また、光により制御しているために、非接触駆動が可能となる。さらに、多数の静電マイクロアクチュエータを同一基板上に形成しても電気配線は共通電源と共通接地のみで足りるため、電気配線が非常に簡単になるという効果が有る。
また、静電マイクロアクチュエータの機械的構造部分(上記半導体基板及び弾性機械構造体部分)をSOI(Silicon‐On‐Insulator)基板を用いて作製することができるので、基板上の形成されたフォトダイオードの光電変換効率を高くすることができ、フォトダイオードの絶縁耐圧を高くすることができる。
【0058】
なお、上述した静電マイクロアクチュエータにおいて、フォトダイオードの極性、すなわちおPN接合の向きが、半導体製造プロセスや半導体基板のP型、n型を反転した結果として本発明の各実施形態における静電マイクロアクチュエータと逆に形成されていても、電源電圧の正負の極性を逆にして用いれば、本実施形態と同様の動作をすることができるのは言うまでもない。
また、本発明の各実施形態に係る静電マイクロアクチュエータにおけるフォトダイオードは、PN接合以外にも、P型半導体とN型半導体との間にintrinsic層を挟んだPIN接合であっても、フォトダイオードの特性が向上するだけで、静電マイクロアクチュエータとしての動作は同様である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの構成を示す図。
【図2】図1に示した本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの等価回路を示す回路図。
【図3】図1に示した本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの駆動特性を示す図。
【図4】図1に示した本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータを単一の半導体基板上に複数、形成した静電マイクロアクチュエータ装置の構成を示す図。
【図5】本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの駆動電圧−変位特性を数値計算して求めた結果を示す特性図。
【図6】本発明の第1実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの機械構造部分の構造体の製造工程の一例を示す説明図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの外観構成を示す斜視図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの動作状態を示す説明図。
【図9】図7に示した本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの等価回路を示す回路図。
【図10】本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータの機械構造部分の構造体の製造工程の一例を示す説明図。
【図11】本発明の第2実施形態に係る静電マイクロアクチュエータを試作した際における機械的構造部分の構造体の製造工程を示す説明図。
【図12】試作した静電マイクロアクチュエータの原理検証を行うための実験時の回路構成を示す図。
【図13】図12に示した回路で原理検証実験中の等価回路各部の電圧波形と静電マイクロアクチュエータの可動構造部の変位波形の様子を示す波形図。
【図14】MEMS構造の微小化に伴う電気配線の占有面積が増大する傾向にあることを示す説明図。
【符号の説明】
【0060】
101、200、301…半導体基板、302…絶縁層、201…静電マイクロアクチュエータ(単体)、102、2001、303…片持ち梁(弾性機械構造体)、103…アンカー部、104、202、305…抵抗、105、203、307…電源、106、2002、306…静電容量、107、2003、304…フォトダイオード、120、220、310…制御光、321、322…コンタクトパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に空気層を介して前記半導体基板上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に直列または並列接続されるように前記弾性機械構造体の一部に、または該弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードとを備え、前記静電容量に印加する電圧を変化させることにより前記弾性機械構造体を機械的に変位させる静電マイクロアクチュエータの駆動方法であって、
前記静電容量に印加する電圧値を外部からフォトダイオードに入射される光の有無または光量により制御することにより前記弾性機械構造体の機械的変位を制御することを特徴とする静電マイクロアクチュエータの駆動方法。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板上に空気層を介して前記半導体基板上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体と、
前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に直列接続または並列接続されるように前記弾性機械構造体の一部に、または該弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードと、
前記静電容量とフォトダイオードとの接続点となる前記弾性機械構造体側に抵抗を介して前記フォトダイオードに逆バイアスとなるように電圧を印加する電源と、
を有することを特徴とする静電マイクロアクチュエータ。
【請求項3】
半導体基板と、
前記半導体基板上に空気層を介して前記半導体基板上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体と、
前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に並列接続されるように前記弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成されたフォトダイオードと、
前記静電容量とフォトダイオードとの並列回路の接続点となる前記弾性機械構造体側に抵抗を介して前記フォトダイオードに逆バイアスとなるように電圧を印加する電源と、
を有することを特徴とする静電マイクロアクチュエータ。
【請求項4】
半導体基板と、
前記半導体基板上に空気層を介して前記半導体基板上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な弾性機械構造体と、
前記弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される静電容量に直列接続されるように前記弾性機械構造体の一部に形成されたフォトダイオードと、
前記静電容量とフォトダイオードとの接続点となる前記弾性機械構造体側に抵抗を介して前記フォトダイオードに逆バイアスとなるように電圧を印加する電源と、
を有することを特徴とする静電マイクロアクチュエータ。
【請求項5】
単一の半導体基板と、
前記単一の半導体基板上に空気層を介して前記半導体基板上に対向するように導電性材料または半導体材料で形成された機械的に可動な複数の弾性機械構造体と、
前記複数の弾性機械構造体と前記半導体基板とで形成される複数の静電容量に並列接続されるように前記複数の弾性機械構造体の一部と前記半導体基板との間に形成された複数のフォトダイオードと、
前記複数の静電容量の各々と複数のフォトダイオードの各々との並列回路の接続点となる前記弾性機械構造体側に抵抗を介して前記複数のフォトダイオードの各々に逆バイアスとなるように電圧を印加する電源と、
を有することを特徴とする静電マイクロアクチュエータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−123110(P2006−123110A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316082(P2004−316082)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年5月12日、13日 社団法人電気学会主催の「電気学会研究会 センサ・マイクロマシン準部門総合研究会」において文書をもって発表
【出願人】(801000049)財団法人生産技術研究奨励会 (72)