説明

静電噴霧装置

【課題】静電噴霧装置における液体の噴霧量の安定化を図るとともに、制御回路等の電気部品を、荷電された液体から確実且つ容易に電気的に絶縁する。
【解決手段】静電噴霧装置1は、内部に液体が充填されたタンク部11と、タンク部11に連通する気体供給路6aと、気体供給路6aを介してタンク部11へ空気を供給してタンク部11内の液体を加圧するポンプ2と、タンク部11内の圧力を調整するようにポンプ2の供給動作を制御する制御部4とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電された液体を噴霧する静電噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タンク部内に充填された液体に電圧を印加して荷電し、該液体をノズル部を介してタンク部外へ噴霧するように構成された静電噴霧装置が知られている。このような静電噴霧装置は、例えば、保湿成分や抗酸化成分を含んだ化粧用の液体(ヒアルロン酸を含む溶液等)を霧状にして顔面などに向けて噴霧することにより、美容効果を高める場合等に用いられる。
【0003】
上述のような静電噴霧装置としては、例えば、特許文献1に開示されるように、内部に充填された液体を外部へ吐出させるためのノズル部を備えた可撓性のタンク部と、該可撓性のタンク部を略板状の台座用部材との間に挟んで圧縮する略板状の押圧部材と、上記タンク部を圧縮するように上記押圧部材を押圧する定荷重ゼンマイと、上記ノズル部の先端部分で上記液体に電圧を印加する電圧印加部とを備えたものが知られている。
【0004】
上述のような構成により、上記押圧部材は、定荷重ゼンマイの復元力によって押圧されると、タンク部を圧縮して、該タンク部内に充填された液体をノズル部へ移動させる。このノズル部に移動した液体は、該ノズル部の先端部分に設けられた電圧印加部によって荷電されるため、上記ノズル部の先端の気液界面近傍には単一極性の電荷が集まることになる。この結果、単一極性の電荷を有する液体は、静電気力によって互いに反発して液滴化し、上記ノズル部から霧状となって噴霧される。
【0005】
上述のような構成の他に、タンク部内の液体をノズル部へ供給する構成として、例えば特許文献2に開示されるように、液体ポンプを用いたものも考えられている。この特許文献2の構成では、内部に液体が充填されたタンク部とノズル部とが連通路によって連通され、該連通路に設けられた液体ポンプによって上記タンク部内の液体が上記ノズル部へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−022891号公報
【特許文献2】特開2008−025519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記定荷重ゼンマイによって押圧部材を押圧する静電噴霧装置は、定荷重ゼンマイの復元力の個体差や、定荷重ゼンマイを繰り返し使用することによる該定荷重ゼンマイの復元力の低下等によって、ノズル部に供給される液体の量のバラツキが大きくなるおそれがある。
【0008】
また、上記液体ポンプを用いて液体をノズル部から噴霧させる静電噴霧装置は、液体ポンプの駆動制御が一般に制御回路によって行われる。したがって、上記制御回路を構成する電気部品が荷電された液体によってノイズや損傷等の電気的な影響を受けないように、絶縁対策を施す必要がある。その分、上記静電噴霧装置は、構造が複雑になったりコストが高くなったりするという問題が生じる。
【0009】
本発明は、かかる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、荷電された液体をノズル部へ供給して該ノズル部から噴霧するように構成された静電噴霧装置において、液体の噴霧量の安定化を図るとともに、ノズル部へ液体を供給する機構の制御回路等の電気部品を、荷電された液体に対して確実且つ容易に電気的に絶縁することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る静電噴霧装置(1)では、気体供給機構(2)によってタンク部(11)内に気体を供給して該タンク部(11)内の液体を加圧することで、ノズル部(12)の先端に液体が供給されるようにした。
【0011】
具体的には、第1の発明は、内部に液体が充填されたタンク部(11)と、該タンク部(11)に設けられたノズル部(12)と、該ノズル部(12)の先端部で液体が外部へ噴霧されるように、上記タンク部(11)内の液体を荷電させる電圧印加部(13)と、上記タンク部(11)に連通する気体供給路(6a)と、上記気体供給路(6a)に接続され、上記気体供給路(6a)を介して上記タンク部(11)内へ気体を供給する気体供給機構(2)と、上記タンク部(11)内の圧力を調整するように、上記気体供給機構(2)の供給動作を制御する制御部(4,16)とを備えている。
【0012】
上記第1の発明では、気体供給機構(2)によってタンク部(11)内に気体を供給して該タンク部(11)内の液体を加圧し、電圧印加部(13)によって荷電された液体をノズル部(12)へ供給する。これにより、上記ノズル部(12)の先端部から液体が噴霧させる。このように、タンク部(11)内の液体を気体によって加圧することで液体を安定して噴霧させることができるため、従来例のような定荷重ゼンマイの個体差等による噴霧量のバラツキをなくすことができる。
【0013】
また、上記タンク部(11)内の液体が上記気体供給機構(2)から供給される気体によって加圧されるので、上記気体供給機構(2)とタンク部(11)内の液体との間には気体が常に介在していることになるため、上記気体供給機構(2)が荷電された液体と直接、接触するのを防止することができる。したがって、上記気体供給機構(2)の供給動作を制御する制御部(4,16)が、該気体供給機構(2)を介して上記荷電された液体からノイズや損傷等の電気的な影響を受けるのを防止することができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、上記気体供給機構が、上記タンク部(11)内に気体を圧送するポンプ(2)であり、上記制御部(4,16)が、上記ポンプ(2)の駆動を制御するように構成されたものである。
【0015】
上記第2の発明では、タンク部(11)内の液体をポンプ(2)からの気体によって加圧し、該ポンプ(2)の駆動を制御部(4,16)によって制御し、タンク部(11)内の液体の噴霧を制御する。
【0016】
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記タンク部(11)が、絶縁性を有する樹脂材料で構成されたものである。
【0017】
上記第3の発明では、タンク部(11)を絶縁材料で構成しているので、電圧印加部(13)と気体供給機構(2)とが電気的に絶縁される。
【0018】
第4の発明は、第2の発明において、上記制御部(4)は、上記ポンプ(2)の運転中に上記タンク部(11)内の圧力が上限値に達したときに、上記ポンプ(2)を停止する一方、上記ポンプ(2)の停止中に上記タンク部(11)内の圧力が下限値に達したときに、上記ポンプ(2)を起動するように構成されたものである。
【0019】
上記第4の発明では、タンク部(11)内の圧力を予め設定された上限値と下限値との間の値にすることができるため、所定範囲内の量の液体をノズル部(12)から噴霧させることができる。しかも、上述の構成であれば、上記タンク部(11)内の圧力が上限値に達した後、下限値に達するまでの間は、ポンプ(2)を稼働させることなくタンク部(11)内の液体を加圧できるため、その分、ポンプ(2)の運転コストの低減を図れる。
【0020】
第5の発明は、第4の発明において、上記制御部(4)は、上記タンク部(11)内の圧力の上限値及び下限値のうち少なくとも一方を変更可能に構成されたものである。
【0021】
上記第5の発明では、上記タンク部(11)内の液体に作用する圧力の上限値や下限値が変更されると、液体に作用する圧力の範囲が変更されることになる。そうすると、変更された圧力の範囲に応じた量の液体が上記ノズル部(12)から噴霧される。したがって、上述の構成により、該ノズル部(12)から噴霧される液体の量を調整することが可能となる。
【0022】
第6の発明は、第4または第5の発明において、上記気体供給路(6a)に、上記タンク部(11)内の圧力を計測するための圧力センサ(3)が設けられている。
【0023】
第6の発明では、上記気体供給路(6a)は、ポンプ(2)からタンク部(11)へ繋がる気体の通路となっているため、該気体通路(6a)上に圧力センサ(3)を設けることで、該圧力センサ(3)の周囲には常に気体が存在した状態となる。つまり、上記圧力センサ(3)は、上記タンク部(11)内の荷電された液体に対して気体によって電気的に絶縁された状態となる。従って、上記圧力センサ(3)が、上記タンク部(11)内の荷電された液体と直接、接触することによってノイズや損傷等の電気的な影響を受けるのを防止することができる。
【0024】
第7の発明は、第2の発明において、上記制御部(16)は、上記ポンプ(2)が所定の周期で運転及び停止を繰り返す間欠運転を行うように、上記ポンプ(2)を駆動制御するものである。
【0025】
上記第7の発明では、ポンプ(2)を常時運転していなくても、タンク部(11)内の圧力が液体をノズル部(12)へ供給することができるような圧力になっていれば、該ノズル部(12)の先端から液体を噴霧させることができるため、上述のようなポンプ(2)の間欠運転を行うことで該ポンプ(2)の運転効率の向上を図れる。また、上記ポンプ(2)の運転コストが低減する。
【0026】
第8の発明は、第7の発明において、上記制御部(16)は、上記ポンプ(2)の運転時間及び停止時間のうち少なくとも一方を変更可能に構成されたものである。
【0027】
上記第8の発明では、上記タンク部(11)内の液体に作用する圧力の範囲を変更する構成を実現することができる。すなわち、ポンプ(2)の運転時間を長くすれば、タンク部(11)内の液体に作用する圧力の上限値は高くなる一方、該運転時間を短くすれば、該タンク部(11)内の液体に作用する圧力の上限値は低くなる。また、ポンプ(2)の停止時間を長くすれば、タンク部(2)内の液体に作用する圧力の下限値は低くなる一方、該停止時間を短くすれば、該タンク部(2)内の液体に作用する圧力の下限値は高くなる。
【発明の効果】
【0028】
第1の発明によれば、タンク部(11)内に気体を供給する気体供給機構(2)を設けて気体によってタンク部(11)内の液体を加圧するようにしたため、該タンク部(11)内の液体をノズル部(12)の先端から安定して噴霧させることができる。
【0029】
さらに、上記気体供給機構(2)と上記タンク部(11)内の荷電された液体との間には気体が介在しているため、該気体供給機構(2)の供給動作を制御する制御部(4,16)を、上記荷電された液体から電気的に絶縁することができる。
【0030】
また、第2の発明によれば、上記気体供給機構を、制御部(4,16)によって駆動制御されるポンプ(2)とすることで、上記タンク部内(11)の液体を気体によって加圧する機構を実現できるとともに、ノズル部(12)から噴霧される液体の量の制御も可能になる。
【0031】
また、第3の発明によれば、タンク部(11)を絶縁材料で構成しているので、電圧印加部(13)と気体供給機構(2)とが電気的に絶縁することができる。この結果、上記制御部(4,16)が、電圧印加部(13)からノイズ等の電気的な影響を受けるのを防止することができる。
【0032】
また、第4の発明によれば、上記制御部(4)は、タンク部(11)内の圧力に応じてポンプ(2)の運転、停止を制御するように構成されているため、該タンク部(11)内の圧力を所定の範囲内の値にすることができ、上記ノズル部(12)から噴霧される液体の量を調整することができる。しかも、上記ポンプ(2)を常時運転する場合と比べて該ポンプ(2)の運転コストの低減を図れる。
【0033】
また、第5の発明によれば、上記制御部(4)は、上記タンク部(11)内の圧力の上限値及び下限値を変更可能に構成されているため、該タンク部(11)内の圧力を変更して上記ノズル部(12)から噴霧される液体の量を調整することができる。
【0034】
また、第6の発明によれば、圧力センサ(3)は、上記ポンプ(2)が設けられた気体供給路(6a)上に位置し、該ポンプ(2)から供給される気体によって上記タンク部(11)内の荷電された液体と電気的に絶縁されているため、該圧力センサ(3)が上記液体からノイズや損傷等の電気的な影響を受けるのを防止できる。
【0035】
また、第7の発明によれば、上記制御部(16)は、上記ポンプ(2)を所定の周期で間欠運転するように構成されているため、該ポンプ(2)を効率良く運転させることができ、該ポンプ(2)の運転コストの低減を図れる。
【0036】
さらに、第8の発明によれば、上記制御部(16)は、ポンプ(2)の運転時間及び停止時間のうち少なくとも一方を変更可能に構成されているため、ノズル部(12)の先端から噴霧される液体の量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る静電噴霧装置の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る静電噴霧装置の概略構成を模式的に示す構成図である。
【図3】図3は、タンク部と気体供給管との接続部分の概略構成を示す断面図である。
【図4】図4は、ポンプの起動及び停止をタンク部内の圧力に応じて繰り返した場合の該タンク部内の圧力変化を示すグラフである。
【図5】図5は、タンク部内の圧力の上限値及び下限値を上昇させた場合の図4相当である。
【図6】図6は、実施形態の変形例に係る静電噴霧装置の概略構成を示す図2相当図である。
【図7】図7は、ポンプの起動及び停止を所定の周期で行った場合のタンク部内の圧力変化を示すグラフである。
【図8】図8は、ポンプの停止時間を短くした場合の図7相当図である。
【図9】図9は、その他の実施形態に係る静電噴霧装置の図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的な例示にすぎず、本発明、その適用あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0039】
−全体構成−
図1は、静電噴霧装置(1)の外観を示し、図2は、該静電噴霧装置(1)の概略構成を示している。上記静電噴霧装置(1)は、ヒアルロン酸等を含む化粧用の液体を顔面に向けて噴霧することにより美容効果を高めるために使用されるものであって、略円柱状の本体部(10)と、該本体部(10)をその側面で支える支持部(7)を有し且つ卓上等に設置可能に構成された台座部(8)とを備えている。
【0040】
上記本体部(10)は、外形が略円柱状であって内部が空洞のハウジング(20)を備え、該ハウジング(20)内には、外部へ液体を噴霧するための噴霧機構(9)が収納されている。
【0041】
上記ハウジング(20)は、略円筒状のハウジング本体(20a)と、該ハウジング本体(20a)の両端部の開口部分をそれぞれ覆うように設けられた略円板状の第1カバー(20b)及び第2カバー(20c)とを備えている。また、上記ハウジング(20)は、ハウジング本体(20a)の中心軸が横方向に延びるように配置され、該ハウジング本体(20a)は、側面において上記台座部(8)の支持部(7)によって支持されている。すなわち、図1に示すように、該ハウジング(20)の下側には、上記支持部(7)が取り付けられている。
【0042】
一方、上記ハウジング(20)の上側には、図1に示すように、後述するノズル部(12)を取り付けるためのシュラウド部(18)が形成されている。このシュラウド部(18)は、ハウジング本体(20a)の周方向の一部が径方向外方へ膨出し、上記シュラウド部(18)の幅方向中央(ハウジング本体(20a)の軸線方向中央)には、上記ノズル部(12)の周囲を覆うようにハウジング(20)内方に凹んだノズル凹部(17)が形成されている。
【0043】
なお、上記ハウジング(20)が上記図1のように配置された状態で、上記ハウジング本体(20a)における上記シュラウド部(18)の下方には、上記ノズル部(12)から噴霧される液体に向かって光を照射するためのLEDライト(22,22)が取り付けられている。このLEDライト(22,22)を設けることにより、上記静電噴霧装置(1)の使用者は液体の噴霧状態を確認することができる。
【0044】
上記ハウジング(20)の第1カバー(20b)及び第2カバー(20c)は、それぞれ、上記ハウジング本体(20a)の開口部分を覆うような大きさに形成された略円板状の部材からなる。上記第1カバー(20b)は、ハウジング本体(20a)の一端側を、上記第2カバー(20c)は、ハウジング本体(20a)の他端側を、それぞれ覆うように該ハウジング本体(20a)に取り付けられている。また、これらのカバー(20b,20c)の表面には、それぞれ、帯状に形成された対向電極(21,21)が設けられている。これらの対向電極(21,21)を設けることにより、上記静電噴霧装置(1)において、後述するいわゆるコーンジェットモードのEHD噴霧が可能となる。
【0045】
上記台座部(8)は、円筒状の部材を略半分に切断してなる概略椀状の部材からなり、その曲面上の周方向中央部分に上記支持部(7)が取り付けられている。また、上記台座部(8)は、その内壁が上記ハウジング本体(20a)の円筒状の側面に沿うような形状に形成されている。上記台座部(8)は、上記静電噴霧装置(1)の使用時に、上記支持部(7)に上記本体部(10)が取り付けられて台座として用いられる一方、上記静電噴霧装置(1)の非使用時に、上記ハウジング本体(20a)のシュラウド部(18)を覆うように取り付けられる。このように、上記静電噴霧装置(1)を使用していないときにシュラウド部(18)を台座部(8)によって覆い隠すことで、上記ノズル部(12)が露出したままの状態となるのを防止することができる。
【0046】
上記噴霧機構(9)は、内部に液体が充填されたタンク部(11)内に気体(空気)を供給することによって該タンク部(11)内の液体を加圧し、該タンク部(11)に取り付けられたノズル部(12)の先端から上記液体を外部へ噴霧するように構成されている。
【0047】
具体的には、上記噴霧機構(9)は、図2に示すように、内部に液体が充填されているタンク部(11)と、該タンク部(11)内の液体を外部へ噴霧するためのノズル部(12)と、上記タンク部(11)内の液体を荷電するための電圧印加部(13)と、上記タンク部(11)内へ気体を供給するための気体供給路(6a)を形成する気体供給管(6)と、該気体供給管(6)を介して上記タンク部(11)内へ気体を供給するためのポンプ(2)とを備えている。
【0048】
上記タンク部(11)は、絶縁性を有する樹脂材料によって形成され、内部に液体を充填可能に構成されている。このタンク部(11)の上部には、外部とタンク部(11)内とを連通させるノズル部(12)が貫通する一方、側壁の上側には、上記気体供給管(6)が接続されている。
【0049】
上記タンク部(11)の側壁には、図3に示すように、気体供給管(6)の取付穴(30)が形成されている。上記取付穴(30)は、タンク部(11)の側壁の一部をタンク部(11)の内方へ凹んで形成され、気体供給管(6)の端部が嵌入されて接続されている。上記取付穴(30)は、上記タンク部(11)の側壁の一部が該タンク部(11)の内方へ略有底円筒状に膨出することにより形成され、上記取付穴(30)の底面の中央部分には貫通穴(31)が形成されている。上記取付穴(30)内には、側面及び底面に、それぞれ円環状のOリング(32,33)が配置されている。これにより、上記気体供給管(6)の端部が該取付穴(30)内に圧入された状態で、該気体供給管(6)と取付穴(30)の内面との間は上記Oリング(32,33)によってシールされ、上記タンク部(11)の貫通穴(31)と気体供給管(6)の内部とが連通した状態となる。
【0050】
上記貫通穴(31)は、タンク部(11)内の液体が該貫通穴(31)の内部へ進入しても、該液体の表面張力によって気体供給管(6)側への流入が阻害されるような穴径を有している。例えば、上記貫通穴(31)は、直径がΦ1mm、長さが2mmになるように形成されている。
【0051】
なお、上記タンク部(11)の内部には、液面が上記貫通穴(31)よりも下方に位置する量の液体が充填されている。これにより、タンク部(11)内の液体が上記貫通穴(31)から気体供給路(6a)へ進入するのをより確実に防止することができる。
【0052】
上記ノズル部(12)は、図1に示すように、細管状のノズル本体(14)と、該ノズル本体(14)をハウジング(20)側に固定するためのノズル保持部(15)とからなる。上記ノズル本体(14)は、一端側が上記タンク部(11)内の液面よりも下方に位置する状態で他端側がタンク部(11)の外部に位置するような長さに形成されている。そして、上記ノズル本体(14)は、タンク部(11)内と外部とを連通している。
【0053】
上記電圧印加部(13)は、直流電源としての電源部(13a)と上記タンク部(11)に取り付けられる電極(13b)とを備えている。上記電源部(13a)の直流電圧は、タンク部(11)の下部に取り付けられた電極(13b)を介して、該タンク部(11)内の液体に印加される。なお、上記電源部(13a)は、家庭用電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換するように構成されたものなど、直流電圧を供給できる構成であればどのような構成であってもよい。
【0054】
上記気体供給管(6)は、金属材料からなる管状の部材であり、その一端側がポンプ(2)の吐出口に接続される一方、他端側が、上述のとおり、上記タンク部(11)の取付穴(30)に接続されている。すなわち、この気体供給管(6)は、上記ポンプ(2)から圧送された空気が上記タンク部(11)へ流れるための気体供給路(6a)を形成している。
【0055】
また、上記気体供給管(6)の途中には、気体を外部へ放出するためのリリーフ弁(5)が設けられている。このリリーフ弁(5)は、上記気体供給管(6)内の圧力が所定の圧力値以上になった場合に、該気体供給管(6)内の空気を外部へ放出するように構成されている。これにより、上記気体供給管(6)やタンク部(11)に過剰な圧力が作用して該気体供給管(6)やタンク部(11)が破損するのを防止できる。
【0056】
上記ポンプ(2)は、気体供給機構を構成し、吸入口から空気を吸い込んで吐出口から吐出するように構成されている。上記ポンプ(2)の吐出口には、上記気体供給管(6)内に空気を圧送するように該気体供給管(6)が接続されている。上記ポンプ(2)は、上記気体供給管(6)を介してタンク部(11)内に気体を圧送し、該タンク部(11)内の液体を加圧する。ここで、上記ポンプ(2)が気体供給管(6)を介して空気をタンク部(11)内へ供給する動作が、本実施形態の供給動作である。
【0057】
また、上記静電噴霧装置(1)は、上記タンク部(11)内の圧力を計測するための圧力センサ(3)と、該圧力センサ(3)で計測されたタンク部(11)内の値に応じて上記ポンプ(2)を駆動制御する制御部(4)とを備えている。
【0058】
上記圧力センサ(3)は、上記気体供給管(6)に設けられ、該気体供給管(6)内の圧力に応じた圧力信号を制御部(4)へ出力するように構成されている。つまり、上記圧力センサ(3)は、上記気体供給管(6)と連通するタンク部(11)内の圧力を検出する。上記制御部(4)は、上記圧力センサ(3)の検出結果に応じて上記ポンプ(2)を駆動制御する。
【0059】
上記制御部(4)は、上記圧力センサ(3)から出力された圧力信号を圧力値として受信する入力部(4a)と、タンク部(11)内の圧力の上限値及び下限値を記憶する設定値記憶部(4b)と、上記入力部(4a)の圧力値を該設定値記憶部(4b)の上限値及び下限値と比較して、その比較結果に応じてポンプに指令信号を出力する指令部(4c)とを備えている。上記指令部(4c)は、詳しくは後述するように、上記ポンプ(2)の運転中に上記圧力値が上限値に達した場合には上記ポンプを停止する停止信号を出力する一方、上記ポンプ(2)の停止中に上記圧力値データが上記下限値に達した場合には上記ポンプを起動する起動信号を出力するように構成されている。すなわち、上記制御部(4)は、上記タンク部(11)内の圧力を、上記設定値記憶部(4b)に記憶されている上限値と下限値との間の値に保つように構成されている。上記静電噴霧装置(1)は、詳しくは後述するが、上記制御部(4)により、所定の範囲内の量の液体をノズル本体(14)から安定して噴霧し、上記設定値記憶部(4b)に記憶されている上限値や下限値を変更することによって、液体の噴霧量を調整する。
【0060】
以上の構成により、上記ポンプ(2)から吐出された空気によってタンク部(11)内の液体は押圧され、ノズル本体(14)内を上方へ押し上げられて該ノズル本体(14)の先端側へ移動する。ここで、上記タンク部(11)内の液体は、上記電圧印加部(13)によって直流電圧を印加されて単一の電荷を有するように荷電されているため、上記ノズル本体(14)の先端で静電気力によって互いに反発して液滴化し、霧状になって噴霧される。
【0061】
このように、ポンプ(2)から圧送される空気を用いてタンク部(11)内の液体を加圧し、ノズル本体(14)の先端まで液体を搬送させることで、従来のように押圧力のバラツキが大きい定荷重ゼンマイを用いる場合に比べて、上記ノズル本体(14)の先端から液体を安定して噴霧することができる。
【0062】
また、上述のように、上記タンク部(11)内の液体を、上記ポンプ(2)から上記気体供給路(6a)を介して供給される気体によって加圧することで、該ポンプ(2)とタンク部(11)内の液体との間には常に気体が介在した状態となる。従って、上記ポンプ(2)を駆動制御する制御部(4)が、該ポンプ(2)を介して上記荷電された液体と直接接触するのを防止することができる。
【0063】
さらに、上記ポンプ(2)とタンク部(11)とを接続する気体供給管(6)に該ポンプ(2)の圧力を検出するための圧力センサ(5)を設けることで、該圧力センサ(5)と上記タンク部(11)内の荷電された液体との間にも常に気体が介在した状態となるため、上記圧力センサ(5)が上記荷電された液体と直接接触して、ノイズや損傷等の電気的な影響を受けるのを防止することができる。
【0064】
なお、上記タンク部(11)は絶縁性を有する樹脂材料からなるため、該タンク部(11)に設けられた電極(13b)から、該タンク部(11)と接続されている気体供給管(6)を介して上記ポンプ(2)を制御する制御部(4)や圧力センサ(5)へ電流が流れることはない。
【0065】
−運転動作−
次に、本実施形態に係る静電噴霧装置(1)の動作について説明する。この静電噴霧装置(1)では、いわゆるコーンジェットモードのEHD噴霧(Electro Hydrodynamic Spraying)が行われる。
【0066】
上記静電噴霧装置(1)を起動すると、ポンプ(2)が駆動され、気体供給管(6)を介してタンク部(11)内へ空気が圧送される。該圧送された空気は、上記タンク部(11)内の液体を押圧する(図2の白ヌキ矢印)。上記空気に押圧された液体は、上記タンク部(11)の内部と外部とを連通するノズル本体(14)の下端から該ノズル本体(14)内を上昇して(図2の黒太矢印)、該ノズル本体(14)の先端側へ移動する。
【0067】
このように上記ノズル本体(14)の先端まで移動した液体は、上記タンク部(11)内で電圧印加部(13)によって単一の電荷に荷電されているため、ハウジング(20)の第1カバー及び第2カバー(20b,20c)に形成されている対向電極(21)との電位差によって引き延ばされて円錐状(コーン状)となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の液体が引きちぎられ、霧状となって噴霧される。
【0068】
上記ポンプ(2)の駆動は、圧力センサ(3)で検出されるタンク部(11)内の圧力に基づいて、制御部(4)によって制御される。
【0069】
図4を用いてポンプ(2)の駆動制御について具体的に説明する。上記ポンプ(2)を起動すると(矢印A)、タンク部(11)内へ空気が圧送される。これにより、上記タンク部(11)内の圧力は徐々に上昇する。そして、該圧力が所定の圧力を上回ると、液体は上記ノズル本体(14)の先端へ供給されて該ノズル本体(14)の先端から噴霧される。
【0070】
上記タンク部(11)内の圧力が上記制御部(4)の設定値記憶部(4b)に記憶されている上限値(Pmax)に達すると、上記制御部(4)の指令部(4c)が上記ポンプ(2)に対して停止信号を出力して上記タンク部(11)への空気の圧送を停止する(矢印B)。
【0071】
このようにポンプ(2)の駆動を停止している間も、タンク部(11)内の空気が液体を加圧し続けているため、該液体はノズル本体(14)の先端へ供給されて該先端から噴霧される。上記タンク部(11)内の液体の体積の減少に伴って該タンク部(11)内の空気の体積が増加するため、該タンク部(11)内の空気の圧力が低下し、液体を押圧する力も低下する。
【0072】
そして、上記タンク部(11)内の空気の圧力が所定の下限値(Pmin)に達すると、上記指令部(4c)が上記ポンプ(2)に対して起動信号を出力し、該ポンプ(2)を起動する(矢印C)。これにより、上記タンク部(11)内の圧力は、上記ポンプ(2)から圧送される気体によって再び上昇する。そして、該圧力が所定の上限値Pmaxに達したときに、上記指令部(4c)から上記ポンプ(2)に対して停止信号を出力する(矢印D)。
【0073】
上述のように、制御部(4)によってポンプ(2)の駆動を制御することにより、タンク部(11)内の圧力を所定の上限値(Pmax)と下限値(Pmin)との間の値にすることができる。ここで、上記ノズル本体(14)の先端から噴霧される液体の量は、上記タンク部(2)内に作用する圧力が上記上限値となるときに最大となる一方、上記圧力が上記下限値となるときに最小となる。従って、上述のようにポンプ(2)の駆動制御を行うことで、上記ノズル本体(14)の先端から噴霧する液体の量を、上記圧力が上限値(Pmax)のときの噴霧量と上記圧力が上記下限値(Pmin)のときの噴霧量との間の値にすることができる。しかも、上記下限値が液体をノズル本体(14)の先端側へ供給可能な圧力値以上に設定されている場合には、該ノズル本体(14)から液体を噴霧し続けることができるため、ポンプ(2)を常時運転する場合と比べて該ポンプ(2)を効率良く運転することができる。
【0074】
上記液体の噴霧量は、上記設定値記憶部(4b)に記憶されている上限値及び下限値のうち少なくとも一方を変更することによって調整することができる。
【0075】
図5を用いて上記上限値及び下限値を変更した場合のタンク部(11)内の圧力変化について説明する。例えば、上記設定値記憶部(4b)に記憶されている上限値(Pmax)及び下限値(Pmin)に対して、それらの値よりも大きい新たな上限値(P'max)及び下限値(P'min)を入力すると、上記タンク部(11)内の液体に作用する圧力の平均値が大きくなる。これに伴って上記ノズル本体(14)の先端から噴霧される液体の量の平均値が増加する。また、特に図示しないが、上記上限値または下限値のいずれか一方だけを大きくしても、上記図5の場合と同様にタンク部(11)内の圧力の平均値が大きくなるので、上記ノズル本体(14)の先端から噴霧される液体の量の平均値が増加する。
【0076】
一方、上記設定値記憶部(4b)に記憶されている上限値及び下限値を小さくした場合には、上記タンク部(11)内の液体に作用する圧力の平均値が小さくる。これに伴って上記液体の噴霧量の平均値が減少する。また、上記上限値または下限値のいずれか一方だけを小さくしても、タンク部(11)内の圧力の平均値が小さくなるので、上記ノズル本体(14)の先端から噴霧される液体の量の平均値が減少する。
【0077】
−実施形態の効果−
以上より、本実施形態によれば、内部に液体が充填されたタンク部(11)に、ポンプ(2)によって空気を送り込んで該タンク部(11)内の液体を加圧し、ノズル本体(14)の先端へ液体を供給する構成としたため、該タンク部(11)内の液体をノズル本体(14)の先端から安定して噴霧させることができる。従って、従来の定荷重ゼンマイのような個体差等による噴霧量のバラツキをなくすことができる。
【0078】
また、上述のように、上記タンク部(11)内の液体を上記ポンプ(2)から供給される空気によって加圧することで、上記ポンプ(2)と上記タンク部(11)内の液体との間に常に絶縁性を有する空気を介在させることができる。これにより、上記ポンプ(2)を上記タンク部(11)内の荷電された液体と電気的に絶縁することができ、これにより、該ポンプ(2)を駆動制御するための制御部(4)を上記液体と電気的に絶縁することができる。従って、上記制御部(4)を、上記タンク部(11)内の荷電された液体から確実且つ容易に電気的に絶縁することができる。なお、上記タンク部(11)は絶縁性を有する樹脂材料からなるため、該タンク部(11)と接続されている気体供給管(6)を介して上記制御部(6)へ電流が流れることはない。
【0079】
また、上記制御部(4)によって、上記タンク部(11)内の圧力が所定の上限値と下限値との間の値になるように上記ポンプ(2)を駆動制御するので、上記ポンプ(2)を常時駆動させることなく、上記ノズル本体(14)の先端から噴霧される液体の量を調整することができる。すなわち、上記実施形態の構成によれば、上記タンク部(11)内の圧力に応じて上記ポンプ(2)の運転と停止とを繰り返しながら、上記ノズル本体(14)の先端から噴霧する液体の量を所定範囲内の量にすることができるため、上記ポンプ(2)を常時運転して液体を噴霧する場合と比べて、ポンプ(2)の運転コストの低減を図ることができる。さらに、上記制御部(4)は、上記タンク部(11)内の圧力の上限値や下限値を変更可能に構成されているため、該上限値及び下限値のうち少なくとも一方を変更することによって上記タンク部(11)内の圧力の平均値を調整し、上記ノズル本体(14)から噴霧される液体の量を調整することができる。
【0080】
また、タンク部(11)内の圧力を計測するための圧力センサ(3)は、上記タンク部(11)に連通する気体供給管(6)内に設けられ、絶縁性を有する空気に囲まれているため、上記圧力センサ(3)を上記荷電された液体から確実且つ容易に電気的に絶縁することができる。
【0081】
−実施形態の変形例−
この変形例は、上記制御部が、所定の周期で運転及び停止を繰り返すようにポンプ(2)を駆動制御する点で上記実施形態とは異なる。以下の説明において、上記実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0082】
図6に示すように、制御部(16)は、ポンプ(2)の運転時間及び停止時間を記憶する設定値記憶部(16a)と、該運転時間及び停止時間に基づいてポンプ(2)に対して信号を出力する指令部(16b)とを備えている。この指令部(16b)は、ポンプ(2)の起動後、上記運転時間が経過したときに該ポンプ(2)に対して停止信号を出力する一方、ポンプ(2)の停止後、上記停止時間が経過したときに該ポンプ(2)に対して起動信号を出力するように構成されている。
【0083】
したがって、この変形例では、タンク部(11)内の液体は、ポンプ(2)の運転及び停止を所定の周期で繰り返すことにより行われる。
【0084】
具体的には、図7に示すように、上記実施形態の場合と同様、ポンプ(2)を起動すると(矢印E)、タンク部(11)内の圧力が上昇してノズル本体(14)の先端から液体が噴霧される。上記ポンプ(2)の起動後、上記設定値記憶部(16a)に記憶されている運転時間(T1)が経過すると、上記指令部(16b)は上記ポンプ(2)に対して停止信号を出力して該ポンプ(2)を停止させる(矢印F)。
【0085】
このように上記ポンプ(2)が停止している間も、上記タンク部(11)内の空気が液体を加圧しているため、ノズル本体(14)の先端から液体が噴霧される。上記ポンプ(2)が停止した状態で液体が噴霧されると、上記実施形態の場合(図4)と同様、上記タンク部(11)内で液体に作用する圧力が減少する。そして、上記ポンプ(2)の停止後、上記設定値記憶部(16a)に記憶されている停止時間(T2)が経過すると、上記指令部(16b)はポンプ(2)に対して起動信号を出力して該ポンプ(2)を起動させる(矢印G)。これにより、タンク部(11)内の圧力は再び上昇する。そして、上記ポンプ(2)の起動後、上記運転時間(T2)が経過すると、上記制御部(16)の指令部(16b)は再びポンプ(2)に対して停止信号を出力して該ポンプ(2)を停止させる(矢印H)。
【0086】
上記タンク部(11)内の圧力が液体をノズル部(12)へ供給可能な圧力であれば、該ノズル部(12)の先端から液体を噴霧させることができるため、上述のように、ポンプ(2)を間欠運転させることで、常時運転する場合に比べて効率良く運転させることができる。
【0087】
上記液体の噴霧量は、上記設定値記憶部(16a)に記憶されている運転時間及び停止時間のうち少なくとも一方を変更することによって調整することができる。
【0088】
図8を用いて停止時間を短縮した場合のタンク部(11)内の圧力変化について説明する。上記設定値記憶部(16a)に対して停止時間(T2)よりも短い新たな停止時間(T2')を入力すると、タンク部(11)内の圧力範囲の下限値はP1からP1'へ上昇し、これに応じてノズル本体(14)から噴霧される液体の量の下限値が増加する。従って、上記ノズル部(12)から噴霧される液体の量の平均値を増加させることができる。一方、特に図示しないが、上記ポンプ(2)の停止時間を長くすると、タンク部(11)内の圧力範囲の下限値は低下する。これに応じてノズル本体(14)から噴霧される液体の量の下限値が減少し、上記液体の噴霧量の平均値が減少する。
【0089】
また、上記ポンプ(2)の運転時間を長くすると、上記タンク部(11)内の圧力範囲の上限値は上昇し、これに応じて噴霧される液体の量の上限値が増加して該液体の噴霧量の平均値も増加する一方、該運転時間を短くすると、上記タンク部(11)内の圧力範囲の上限値は低下し、これに応じて上記液体の噴霧量の上限値が減少して該液体の噴霧量の平均値が減少する。
【0090】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0091】
上記実施形態では、タンク部(11)内に気体を供給するためにポンプ(2)を用いているが、この限りではなく、タンク部(11)内の液体を気体によって加圧できるような構成であればどのような構成であってもよい。例えば、窒素ガスなどが充填されたボンベを用いるとともに、該ボンベからタンク部(11)内へ送られる気体の圧力を、制御部によって駆動制御される圧力調整弁によって調整してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、ポンプ(2)、圧力センサ(3)、制御部(4)及び気体供給管(6)等をハウジング(20)内に収納しているが、この限りではなく、ハウジング(20)外に設けてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、電圧印加部(13)の電極(13b)は、タンク部(11)に設けられているが、この限りでなく、ノズル本体(14)に設けてもよい。この場合、ノズル本体(14)を金属製にするか、または、樹脂製のノズル本体(14)に金属製の電極(13b)を取り付け、該ノズル本体(14)または電極(13b)に電圧を印加することによって液体を荷電させる。
【0094】
また、上記実施形態では、タンク部(11)は絶縁性を有する樹脂材料によって構成されているが、この限りではなく、例えば、タンク部(11)が導電性を有する材料によって構成されている場合には、気体供給管(6)を絶縁性を有する材料によって構成するか、若しくは、タンク部(11)や気体供給管(6)に、タンク部(11)内の液体や電極(13b)とポンプ(2)とを絶縁するような絶縁部を設けてもよい。
【0095】
さらに、上記実施形態では、タンク部(11)の側壁の上部に、該タンク部(11)内と気体供給路(6a)とを連通する貫通穴(31)を1つ設けているが、この限りではなく、図9に示すように、タンク部(11')の取付穴(40)に複数の貫通穴(41,41,…)を設けてもよい。この場合には、複数の貫通穴(41,41,…)の直径を例えばΦ0.5mmにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上説明したように、本発明は、ノズル部の先端から液体を噴霧する静電噴霧装置に有用である。
【符号の説明】
【0097】
1 静電噴霧装置
2 ポンプ(気体供給機構)
3 圧力センサ
4,16 制御部
6a 気体供給路
11、11’ タンク部
12 ノズル部
13 電圧印加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体が充填されたタンク部(11)と、
該タンク部(11)に設けられたノズル部(12)と、
該ノズル部(12)の先端部で液体が外部へ噴霧されるように、上記タンク部(11)内の液体を荷電させる電圧印加部(13)と、
上記タンク部(11)に連通する気体供給路(6a)と、
上記気体供給路(6a)に接続され、上記気体供給路(6a)を介して上記タンク部(11)内へ気体を供給する気体供給機構(2)と、
上記タンク部(11)内の圧力を調整するように、上記気体供給機構(2)の供給動作を制御する制御部(4,16)とを備えている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記気体供給機構は、上記タンク部(11)内に気体を圧送するポンプ(2)であり、
上記制御部(4,16)は、上記ポンプ(2)の駆動を制御するように構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記タンク部(11)は、絶縁性を有する樹脂材料で構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項4】
請求項2において、
上記制御部(4)は、上記ポンプ(2)の運転中に上記タンク部(11)内の圧力が上限値に達したときには、上記ポンプ(2)を停止する一方、上記ポンプ(2)の停止中に上記タンク部(11)内の圧力が下限値に達したときには、上記ポンプ(2)を起動するように構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記制御部(4)は、上記上限値及び下限値のうち少なくとも一方を変更可能に構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
上記気体供給路(6a)には、上記タンク部(11)内の圧力を計測するための圧力センサ(3)が設けられている
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項7】
請求項2において、
上記制御部(16)は、上記ポンプ(2)が所定の周期で運転及び停止を繰り返す間欠運転を行うように、上記ポンプ(2)を駆動制御する
ことを特徴とする静電噴霧装置。
【請求項8】
請求項7において、
上記制御部(16)は、上記ポンプ(2)の運転時間及び停止時間のうち少なくとも一方を変更可能に構成されている
ことを特徴とする静電噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−11206(P2011−11206A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126604(P2010−126604)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】