説明

静電容量センサ

【課題】加工の簡素化を図ることにより電気的接続の信頼性を向上させ、XYの配線パターン間に所定の厚さを確保することのできる静電容量センサを提供する。
【解決手段】絶縁性の基材2に複数のX電極ラインが所定のピッチで配列されたX配線パターン層1と、絶縁性の基材11に複数のY電極ラインが所定のピッチで配列されたY配線パターン層10とを備えた静電容量センサであり、X配線パターン層1とY配線パターン層10を積層接着してこれらの間には絶縁性のスペーサ層20を介在する。また、X配線パターン層1のX引き回しライン8とY配線パターン層10のY引き回しライン17を、少なくともヒートシールされる異方導電接着剤34を含有する導電接着手段30により集約する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器やコンピュータ機器等に使用されてXY座標の入力を可能とする静電容量センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の静電容量センサは、図示しないが、光透過性を有する絶縁性の基材の表面に複数のX電極ラインが所定のピッチで配列されたX配線パターンと、基材の裏面に複数のY電極ラインが所定のピッチで配列されたY配線パターンとを備え、指のタッチ操作に伴う静電容量の変化によりXY座標の入力を可能とする(特許文献1参照)。
【0003】
X配線パターンとY配線パターンとは、例えば基材に小さなスルーホールが形成されることにより、電気的に導通接続されている(特許文献2参照)。また、各X電極ラインは、タッチ操作される複数のX電極の配列により形成されている。各Y電極ラインについても、タッチ操作される複数のY電極の配列により形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−18515号公報
【特許文献2】特開平9−305288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の静電容量センサは、以上のように構成され、X配線パターンとY配線パターンとがスルーホールの形成により電気的に導通接続されるので、X配線パターンやY配線パターンを形成する導電ラインの本数に応じてスルーホールを加工しなければならない。したがって、X配線パターンやY配線パターンを形成する導電ラインの本数が増加すると、スルーホールの加工が非常に煩雑化・複雑化し、その結果、電気的接続の信頼性が低下するという問題が生じる。
【0006】
また、近年のX配線パターンとY配線パターンとの導通接続に際しては、一般的に薄型化が要求されてはいるが、静電容量センサが搭載される機器の制御方法や仕様等によっては、X配線パターンとY配線パターンとの間に所定の厚さを均一に確保しなければならない場合がある。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、加工の簡素化を図ることにより電気的接続の信頼性を向上させることができ、XYの配線パターン間に所定の厚さを確保することのできる静電容量センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、絶縁性の基材に複数のX電極ラインが所定のピッチで配列されたX配線パターン層と、絶縁性の基材に複数のY電極ラインが所定のピッチで配列されたY配線パターン層とを備えたものであって、
X配線パターン層とY配線パターン層とを積層接着してこれらの間には絶縁性のスペーサ層を介在し、X配線パターン層の複数のX電極ラインにX引き回しラインをそれぞれ接続するとともに、Y配線パターン層の複数のY電極ラインにY引き回しラインをそれぞれ接続し、X配線パターン層の複数のX引き回しラインとY配線パターン層の複数のY引き回しラインとを少なくともヒートシールされる異方導電接着剤を含有する導電接着手段により集約したことを特徴としている。
【0009】
なお、X配線パターン層、Y配線パターン層、及びスペーサ層が区画する隙間に絶縁材料を介在することができる。
また、X配線パターン層とスペーサ層との間、Y配線パターン層とスペーサ層との間に接着層を介在して接着することができる。
【0010】
また、X配線パターン層の基材周縁部からテール部を突出させ、このテール部に複数のX引き回しラインを配列形成し、Y配線パターン層の基材周縁部からテール部を突出させるとともに、このテール部に複数のY引き回しラインを配列形成することができる。
また、導電接着手段は、絶縁性の基材に複数の導電ラインが配列形成されるとともに、この複数の導電ラインに異方導電接着剤が塗布されるヒートシールコネクタであることが好ましい。
【0011】
また、X配線パターン層のテール部とヒートシールコネクタの基材とを一体化し、X配線パターン層のテール部に、複数のX引き回しラインに隣接する複数の導電ラインを配列形成し、この複数の導電ラインとY配線パターン層の複数のY引き回しラインとを異方導電接着剤を介して接続することができる。
【0012】
また、X配線パターン層のテール部にヒートシールコネクタの基材を一体形成して可撓性を付与し、ヒートシールコネクタの基材の一側部に、X配線パターン層の複数のX引き回しラインに一体的に接続する複数の導電ラインを形成するとともに、基材の他側部には、Y配線パターン層の複数のY引き回しラインに異方導電接着剤を介して接続する複数の導電ラインを形成することが可能である。
【0013】
また、Y配線パターン層のテール部にヒートシールコネクタの基材を一体形成して可撓性を付与し、ヒートシールコネクタの基材の一側部に、Y配線パターン層の複数のY引き回しラインに一体的に接続する複数の導電ラインを形成するとともに、基材の他側部には、X配線パターン層の複数のX引き回しラインに異方導電接着剤を介して接続する複数の導電ラインを形成することが可能である。
【0014】
さらに、ヒートシールコネクタの基材を略凹字形に形成して可撓性を付与し、この基材の一側部に、X配線パターン層の複数のX引き回しラインに異方導電接着剤を介して接続する複数の導電ラインを形成するとともに、基材の他側部に、Y配線パターン層の複数のY引き回しラインに異方導電接着剤を介して接続する複数の導電ラインを形成しても良い。
【0015】
ここで、特許請求の範囲における基材、X電極ライン、Y電極ライン、スペーサ層は、透明、不透明、半透明のいずれでも良い。X電極ラインとY電極ラインの本数は、必要に応じて増減することができる。また、X配線パターン層とY配線パターン層とは、スペーサ層により接着されても良いし、スペーサ層以外の別体の粘着層や接着層により接着されても良い。X配線パターン層は、Y配線パターン層の表面側に配置されても良いし、裏面側に配置されても良い。
【0016】
導電接着手段の異方導電接着剤は、X引き回しラインとY引き回しライン、X引き回しライン、又はY引き回しラインに接着することができる。この導電接着手段の基材は、シートやフィルム等を使用することができ、X配線パターン層等と別体でも良いし、一体でも良い。
【0017】
X配線パターン層、Y配線パターン層、及びスペーサ層が区画する隙間に介在される絶縁材料には、少なくとも絶縁性を有する合成樹脂、エラストマー、厚い粘着テープや両面粘着テープ、パターン層の絶縁部、スペーサ層の一部、充填材、粘着剤、接着剤等が含まれる。さらに、本発明に係る静電容量センサは、少なくとも携帯機器、音楽機器、家電製品、ゲーム機器、コンピュータ機器、情報通信機器、車載機器等に搭載して利用することができる。
【0018】
本発明によれば、静電容量センサを製造する場合には、X配線パターン層とY配線パターン層との間にスペーサ層を挟んで一体化し、複数のX引き回しラインとY引き回しラインとを導電接着手段により集約してまとめれば、静電容量センサを製造することができる。X配線パターン層とY配線パターン層との間に厚さ調整用のスペーサ層が介在するので、静電容量センサが搭載される機器の制御方法や仕様、静電容量の検出特性等に応じ、複数のX電極ラインとY電極ラインとの間に所定の厚さを略均一に確保できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、加工の簡素化を図ることにより電気的接続の信頼性を向上させることができるという効果がある。また、XYの配線パターンとの間に所定の厚さを確保することができるという効果がある。
【0020】
また、X配線パターン層、Y配線パターン層、及びスペーサ層が区画する隙間に絶縁材料、例えば絶縁性を有する厚い粘着テープや両面粘着テープ、スペーサ層、充填材、接着剤等を介在すれば、隙間の区画に伴い、X配線パターン層とY配線パターン層とが剥離するのを防ぐことができる。
【0021】
また、X配線パターン層のテール部に複数のX引き回しラインを配列形成すれば、テール部に複数のX引き回しラインの端部がまとまるので、電気的な接続の際の便宜を図ることができる。また、Y配線パターン層のテール部に複数のY引き回しラインを配列形成すれば、テール部に複数のY引き回しラインの端部が集中するので、電気的な接続時の利便性を向上させることができる。
【0022】
さらに、導電接着手段を、絶縁性の基材に複数の導電ラインが配列形成されるとともに、この複数の導電ラインに異方導電接着剤が塗布されたヒートシールコネクタとすれば、所定の機器や回路に静電容量センサをコネクタを介して接続する場合に、コネクタに対する挿入や取り外し作業を容易化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る静電容量センサの実施形態を模式的に示す部分断面説明図である。
【図2】本発明に係る静電容量センサの実施形態におけるX配線パターン層と導電接着手段の一部とを模式的に示す平面説明図である。
【図3】本発明に係る静電容量センサの実施形態におけるY配線パターン層を模式的に示す平面説明図である。
【図4】本発明に係る静電容量センサの第2の実施形態を模式的に示す部分断面説明図である。
【図5】本発明に係る静電容量センサの実施形態におけるX配線パターン層と一体化されたヒートシールコネクタを模式的に示す平面説明図である。
【図6】本発明に係る静電容量センサの実施形態におけるY配線パターン層を模式的に示す平面説明図である。
【図7】本発明に係る静電容量センサの第3の実施形態を模式的に示す部分断面説明図である。
【図8】本発明に係る静電容量センサの第3の実施形態におけるヒートシールコネクタを模式的に示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における静電容量センサは、図1ないし図3に示すように、可撓性を有する基材2にX配線パターン4が形成されたX配線パターン層1と、可撓性を有する基材11にY配線パターン13が形成されたY配線パターン層10とを二層構造に備えたセンサであり、X配線パターン層1とY配線パターン層10とを積層してこれら1・10の間には絶縁性のスペーサ層20を介在し、X配線パターン4の複数のX引き回しライン8とY配線パターン13の複数のY引き回しライン17とを導電接着手段30により一箇所に集約するようにしている。
【0025】
X配線パターン層1は、図1や図2に示すように、平面略凸字形で絶縁性の基材2を備え、この基材2のY配線パターン層10に対向する対向面、すなわち裏面に、検出装置50に電気的に導通接続されるX配線パターン4が形成されており、必要に応じて光透過性を有する保護用のカバー層(図示せず)が上方から覆着される。このX配線パターン層1の基材2としては、特に限定されるものではないが、例えば寸法安定性や強度等に優れる安価なポリエチレンテレフタレート製の透明のフィルム等があげられる。
【0026】
X配線パターン4は、図2に示すように、基材2の対向面Y方向に複数のX電極ライン5が所定のピッチで配列され、この複数のX電極ライン5の端部にX引き回しライン8がそれぞれ一体的に導通接続されており、この複数のX引き回しライン8の端部が接続端子として検出装置50に並んで導通接続される。各X電極ライン5は、一列に並ぶ複数のX電極6により配列形成され、隣接するX電極6とX電極6とが短い線条の接続ライン7により電気的に導通接続されており、各X電極6が平面略菱形に区画形成されて指のタッチ操作の対象とされる。
【0027】
各X引き回しライン8は、X電極ライン5の一端部のX電極6から基材2の周縁部に沿うよう屈曲し、最終的には基材2の周縁部から突出して検出装置50に接続されるテール部3に端部が伸長される。このようなX配線パターン4は、例えば銀ナノワイヤや銀粒子を含有した導電性インク、導電性ポリマー、光透過性の金属メッシュ等を用い、スクリーン印刷法やエッチング法により形成される。
【0028】
Y配線パターン層10は、図1や図3に示すように、平面略凸字形で絶縁性の基材11を備え、この基材11のX配線パターン層1に対向する対向面、すなわち表面にY配線パターン13が形成される。このY配線パターン層10の基材11には、X配線パターン層1と同様に透明のポリエチレンテレフタレート製の薄いフィルム等が使用される。この基材11の周縁部からはテール部12が突出するが、このテール部12は、X配線パターン層1のテール部3に位置決め治具を介して下方から屈曲して位置決め積層される。
【0029】
Y配線パターン13は、図3に示すように、基材11の対向面X方向に複数のY電極ライン14が所定のピッチで配列され、この複数のY電極ライン14の端部にY引き回しライン17がそれぞれ一体的に導通接続される。各Y電極ライン14は、一列に並ぶ複数のY電極15により配列形成され、隣接するY電極15とY電極15とが短い線条の接続ライン16により電気的に導通接続される。
【0030】
各Y電極15は、平面略菱形に区画形成され、X配線パターン層1とY配線パターン層10との積層接着時に複数のX電極6間に位置して指のタッチ操作の対象とされる。また、各Y引き回しライン17は、Y電極ライン14の端部のY電極15から基材11のテール部12に端部が伸長される。このようなY配線パターン13は、限定されるものではないが、例えばX配線パターン4同様の材料・方法を使用して形成される。
【0031】
スペーサ層20は、図1に示すように、例えば絶縁基材の表裏両面にアクリル系等の接着剤がそれぞれ塗着されることにより形成され、平坦なX配線パターン層1とY配線パターン層10とを上下に積層接着して複数のX電極ライン5とY電極ライン14との間に所定の厚さ(例えば150μm程度)を均一に確保するよう機能する。このスペーサ層20の絶縁基材としては、例えばポリエチレンテレフタレート製の透明フィルム等があげられる。
【0032】
導電接着手段30は、図1や図2に示すように、絶縁性の基材32に複数の導電ライン33が配列形成されるとともに、この複数の導電ライン33に異方導電接着剤34が塗布されるヒートシールコネクタ31からなり、このヒートシールコネクタ31がX配線パターン層1の基材2に一体形成される。
【0033】
ヒートシールコネクタ31は、その基材32がX配線パターン層1のテール部3と一体化され、このテール部3の裏面に、横一列に並んだ複数のX引き回しライン8に隣接する複数の導電ライン33が所定のピッチで配列形成されており、この複数の導電ライン33と横一列に並んだ複数のY引き回しライン17の端部とがヒートシールにより接着機能を発揮する異方導電接着剤34を介して導通接続される。
【0034】
各導電ライン33は、X配線パターン4やY配線パターン13と同様の材料・方法を使用して細長い線条に形成され、Y配線パターン13のY引き回しライン17に異方導電接着剤34で導通接続されており、Y引き回しライン17の接続端子として検出装置50に導通接続される。
【0035】
このような導電接着手段30であるヒートシールコネクタ31は、X配線パターン層1のテール部3にY配線パターン層10のテール部12を電気的に接着して複数のX引き回しライン8とY引き回しライン17とを集約し、X配線パターン層1とY配線パターン層10の検出装置50に対する接続箇所を単一化するよう機能する。
【0036】
異方導電接着剤34の接着により、X配線パターン層1のテール部3、Y配線パターン層10のテール部12、及びスペーサ層20の端部間には隙間40が区画されるが、この隙間40には、絶縁性の接着剤等からなる絶縁材料41が充填され、この絶縁材料41がX配線パターン層1のテール部3からY配線パターン層10のテール部12が反力等で剥がれ落ちるのを有効に防止する。
【0037】
上記において、静電容量センサを製造する場合には、先ず、製造したX配線パターン層1とY配線パターン層10との間に接着性のスペーサ層20を挟み、これらX配線パターン層1、Y配線パターン層10、スペーサ層20をX電極6とY電極15とが隣接するよう位置合わせしながら一体化する。
【0038】
こうしてX配線パターン層1、Y配線パターン層10、スペーサ層20を一体化したら、X配線パターン層1のテール部3にY配線パターン層10の曲げたテール部12を位置決めして導電接着手段30の異方導電接着剤34により接着するとともに、テール部3の複数の導電ライン33とY引き回しライン17とを導通接続し、X配線パターン層1、Y配線パターン層10、及びスペーサ層20間の隙間40に流動性の絶縁材料41を充填して乾燥硬化させれば、検出装置50にX配線パターン層1のテール部3を接続可能な静電容量センサを製造することができる。
【0039】
この際、X配線パターン層1とY配線パターン層10とのテール部3・12同士が接着されるが、これらのテール部3・12には、XY座標の入力に無関係なX引き回しライン8、導電ライン33、Y引き回しライン17が配置され、複数のX電極6やY電極15が存在しないので、静電容量の変化に基づくXY座標の入力に何ら支障を来たすことがない。
【0040】
上記構成によれば、X配線パターン層1のテール部3に複数のX引き回しライン8とY引き回しライン17とをヒートシールにより集約して導通接続に用いるので、スルーホールの加工作業を省略することができる。したがって、スルーホールの加工に伴う作業の煩雑化・複雑化を排除し、電気的接続の信頼性を著しく向上させることができる。また、例えX引き回しライン8、導電ライン33、Y引き回しライン17の本数が増加しても、製造工程に変化が殆んど生じないので、製造作業に大きな悪影響の生じることが実に少ない。
【0041】
また、X配線パターン層1とY配線パターン層10との間に厚さ調整用の平坦なスペーサ層20が介在するので、静電容量センサが搭載される機器の制御方法や仕様、静電容量の検出特性等に応じ、複数のX電極ライン5とY電極ライン14との間に所定の厚さを均一に確保することができる。さらに、X配線パターン層1と導電接着手段30のヒートシールコネクタ31とを一体化するので、部品点数の削減が期待できる。
【0042】
次に、図4ないし図6は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、導電接着手段30を、検出装置50のコネクタに着脱自在に接続される屈曲構造のヒートシールコネクタ31とし、このヒートシールコネクタ31をX配線パターン層1のテール部3の後方に一体形成するようにしている。
【0043】
X配線パターン層1は、基材2のY配線パターン層10に対向しない非対向面、すなわち表面にX配線パターン4が形成され、必要に応じて光透過性を有する保護用のカバー層(図示せず)が上方から覆着される。また、ヒートシールコネクタ31は、可撓性を有する平面略凹字形の基材32を備え、この二股の基材32の一側部自由端がX配線パターン層1のテール部3の自由端に一体形成されるとともに、基材32の他側部が下方に位置するY配線パターン層10のテール部12に断面略U字形に折り返されて対向し、基材32の分岐していない末端部側が検出装置50のコネクタに挿入して接続される。
【0044】
ヒートシールコネクタ31の基材32には、限定されるものではないが、X配線パターン層1と同様、透明のポリエチレンテレフタレート製の薄いフィルム等が用いられる。また、ヒートシールコネクタ31の基材32の表面一側部には、複数の導電ライン33が幅方向に並べて形成され、各導電ライン33が細長い直線の線条に形成されてX引き回しライン8の端部に接続端子として一体的に導通接続する。
【0045】
基材32の表面他側部には、Y配線パターン層10の複数のY引き回しライン17に対応する複数の導電ライン33Aが幅方向に並べて形成され、この複数の導電ライン33Aの一端部、すなわち接続端子部には、複数のY引き回しライン17に接着する異方導電接着剤34が重ねて塗布される。各導電ライン33Aは、X配線パターン4やY配線パターン13と同様の材料・方法を使用して細長い直線の線条に形成される。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0046】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、導電接着手段30の構成の多様化、薄型化、小型化を図ることができる他、X配線パターン層1の基材2表面にX配線パターン4を形成したい場合に実に有意義である。また、検出装置50に静電容量センサを直接接続するのではなく、検出装置50に静電容量センサをコネクタを介して接続する場合、コネクタに対する挿脱性を向上させることができる。
【0047】
次に、図7と図8は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、導電接着手段30であるヒートシールコネクタ31を、X配線パターン層1やY配線パターン層10とは別体とし、このヒートシールコネクタ31をX配線パターン層1とY配線パターン層10とに電気的に導通接続するようにしている。
【0048】
Y配線パターン層10は、基材11のX配線パターン層1に対向しない非対向面、すなわち裏面にY配線パターン13が形成され、必要に応じて光透過性を有する保護用のカバー層(図示せず)が下方から覆着される。また、ヒートシールコネクタ31は、可撓性を有する平面略凹字形の基材32を備え、この二股の基材32の一側がX配線パターン層1のテール部3に屈曲して接続されるとともに、基材32の他側部がY配線パターン層10のテール部12に接続される。
【0049】
ヒートシールコネクタ31の基材32の表面一側部には、X配線パターン層1の複数のX引き回しライン8に対応する複数の導電ライン33が幅方向に並べて形成され、この複数の導電ライン33の一端部、すなわち接続端子部には、複数のX引き回しライン8に接着する異方導電接着剤34が重ねて塗布される。各導電ライン33は、細長い直線の線条に形成される。
【0050】
基材32の表面他側部には、Y配線パターン層10の複数のY引き回しライン17に対応する複数の導電ライン33Aが幅方向に並べて形成され、この複数の導電ライン33Aの一端部、すなわち接続端子部には、複数のY引き回しライン17に接着する異方導電接着剤34が重ねて塗布される。各導電ライン33Aも細長い直線の線条に形成される。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0051】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、導電接着手段30の構成の多様化を図ることができる他、Y配線パターン層10の基材11裏面にY配線パターン13を形成したい場合に有意義である。
【0052】
なお、上記実施形態ではX配線パターン層1やY配線パターン層10の基材2・11として、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムを使用したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、ポリエステル系、ポリプロピレン系、ポリエチレン、ナイロン、アセテート、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアクリル等からなるフィルムを使用しても良い。
【0053】
また、X電極6やY電極15を平面円形、矩形、多角形等に適宜形成しても良い。また、ヒートシールコネクタ31の基材32は、必要に応じ、平面矩形や扇形等に形成しても良い。また、X配線パターン層1に光透過性のカバー層を覆着するのではなく、加飾層の硬質のカバーを覆着することもできる。さらに、上記実施形態ではX配線パターン層1の基材2にヒートシールコネクタ31の基材32を一体形成したが、これに限定されるものではない。
【0054】
例えば、Y配線パターン層10のテール部12にヒートシールコネクタ31の基材32を一体形成して可撓性を付与し、ヒートシールコネクタ31の基材32の一側部には、Y配線パターン層10の複数のY引き回しライン17に一体的に導通接続する複数の導電ライン33Aを形成するとともに、基材32の他側部には、X配線パターン層1の複数のX引き回しライン8に異方導電接着剤34を介して導通接続する複数の導電ライン33を形成することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1 X配線パターン層
2 基材
3 テール部
4 X配線パターン
5 X電極ライン
6 X電極
8 X引き回しライン
10 Y配線パターン層
11 基材
12 テール部
13 Y配線パターン
14 Y電極ライン
15 Y電極
17 Y引き回しライン
20 スペーサ層
30 導電接着手段
31 ヒートシールコネクタ
32 基材
33 導電ライン
33A 導電ライン
34 異方導電接着剤
40 隙間
41 絶縁材料
50 検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基材に複数のX電極ラインが所定のピッチで配列されたX配線パターン層と、絶縁性の基材に複数のY電極ラインが所定のピッチで配列されたY配線パターン層とを備えた静電容量センサであって、
X配線パターン層とY配線パターン層とを積層接着してこれらの間には絶縁性のスペーサ層を介在し、X配線パターン層の複数のX電極ラインにX引き回しラインをそれぞれ接続するとともに、Y配線パターン層の複数のY電極ラインにY引き回しラインをそれぞれ接続し、X配線パターン層の複数のX引き回しラインとY配線パターン層の複数のY引き回しラインとを少なくともヒートシールされる異方導電接着剤を含有する導電接着手段により集約したことを特徴とする静電容量センサ。
【請求項2】
X配線パターン層、Y配線パターン層、及びスペーサ層が区画する隙間に絶縁材料を介在した請求項1記載の静電容量センサ。
【請求項3】
X配線パターン層の基材周縁部からテール部を突出させ、このテール部に複数のX引き回しラインを配列形成し、Y配線パターン層の基材周縁部からテール部を突出させるとともに、このテール部に複数のY引き回しラインを配列形成した請求項1又は2記載の静電容量センサ。
【請求項4】
導電接着手段は、絶縁性の基材に複数の導電ラインが配列形成されるとともに、この複数の導電ラインに異方導電接着剤が塗布されるヒートシールコネクタである請求項1、2、又は3記載の静電容量センサ。
【請求項5】
X配線パターン層のテール部とヒートシールコネクタの基材とを一体化し、X配線パターン層のテール部に、複数のX引き回しラインに隣接する複数の導電ラインを配列形成し、この複数の導電ラインとY配線パターン層の複数のY引き回しラインとを異方導電接着剤を介して接続した請求項4記載の静電容量センサ。
【請求項6】
X配線パターン層のテール部にヒートシールコネクタの基材を一体形成して可撓性を付与し、ヒートシールコネクタの基材の一側部に、X配線パターン層の複数のX引き回しラインに一体的に接続する複数の導電ラインを形成するとともに、基材の他側部には、Y配線パターン層の複数のY引き回しラインに異方導電接着剤を介して接続する複数の導電ラインを形成した請求項4記載の静電容量センサ。
【請求項7】
ヒートシールコネクタの基材を略凹字形に形成して可撓性を付与し、この基材の一側部に、X配線パターン層の複数のX引き回しラインに異方導電接着剤を介して接続する複数の導電ラインを形成するとともに、基材の他側部に、Y配線パターン層の複数のY引き回しラインに異方導電接着剤を介して接続する複数の導電ラインを形成した請求項4記載の静電容量センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−248667(P2011−248667A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121703(P2010−121703)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】