説明

静電容量型センサ装置

【課題】マトリックス状の静電容量計測対象において、高精度に静電容量を計測することができる静電容量型センサ装置を提供する。
【解決手段】静電容量計測部50は、電源20により第一電極11a〜11hに電圧が印加された場合に、電気的接続された第二電極12a〜12hから出力される電気信号を取得する出力信号取得部51と、マトリックス状の静電容量計測対象のうち選択された計測位置(n,m)、第一電極11a〜11hのうち電源20と計測位置(n,m)との間の第一配線抵抗、および、第二電極12a〜12hのうち計測位置(n,m)と充電電流取得部51との間の第二配線抵抗に基づいて、充電電流取得部51により取得された電気信号を補正して、静電容量C_(n,m)を計測する補正部52とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数行の第一電極と複数列の第二電極とを対向して配置することによってマトリックス状の静電容量計測対象を形成し、マトリックス状の静電容量計測対象のうち選択された位置の静電容量を計測する静電容量型センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特公平6−52206号公報(特許文献1)には、電極間の静電容量を計測する装置が記載されている。当該装置は、外力の付与によって誘電層が弾性変形することにより電極間の距離が変化する静電容量型センサを対象とし、電極間の静電容量を計測することで付与された外力の分布を計測する。静電容量型センサは、複数行の第一電極と複数列の第二電極とを対向して配置することによってマトリックス状に静電容量計測対象を配置し、静電容量計測対象のうち選択された位置の静電容量を計測している。
【0003】
また、特開2002−318164号公報(特許文献2)および特開平9−79931号公報(特許文献3)には、静電容量型センサ装置ではなく、外力によって電極間の電気抵抗が変化する感圧センサであって、出力信号を補正することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−52206号公報
【特許文献2】特開2002−318164号公報
【特許文献3】特開平9−79931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1のように電極間の静電容量を計測する場合において、第一電極に電圧を印加する電源回路と、第二電極から出力される電気信号を取得する回路との間において、電気抵抗Rと静電容量CとのいわゆるRC回路が形成される。そして、出力側の回路において、当該RC回路に流れる電流を計測して、当該電流を用いて静電容量Cを計測することができる。
【0006】
RC回路において、電気抵抗Rが変化すると、RC回路に流れる電流が変化する。そうすると、出力側の回路において、計測する電流が変化するため、計測される静電容量Cの値が、電気抵抗Rの変化の影響を受けてしまう。当該RC回路において、電気抵抗Rには、電極の配線抵抗が含まれる。
【0007】
特許文献1のようなマトリックス状の静電容量計測対象によるそれぞれのRC回路において、電極の長さが異なる。電極の配線抵抗は、電極の長さに応じて異なる。つまり、静電容量の計測位置によって、RC回路の出力側の回路によって計測される電流が変化する。そのため、高精度に静電容量を計測することができない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、マトリックス状の静電容量計測対象において、高精度に静電容量を計測することができる静電容量型センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
・本発明に係る静電容量型センサ装置は、帯状に形成され相互に平行に配置された複数行の第一電極と、帯状に形成され相互に平行に配置されると共に、複数行の前記第一電極との対向位置がマトリックス状となるように前記第一電極に対向して設けられた複数列の第二電極と、各行の前記第一電極と各列の前記第二電極との間に設けられた誘電層と、各行の前記第一電極に選択的に電圧を印加可能な電圧印加手段と、各列の前記第二電極に選択的に電気的接続され、マトリックス状の静電容量計測対象うち、電圧を印加された前記第一電極と電気的接続された前記第二電極との間の静電容量を計測する静電容量計測手段と、を備える。
【0010】
前記静電容量計測手段は、前記電圧印加手段により前記第一電極に電圧が印加された場合に、電気的接続された前記第二電極から出力される電気信号を取得する出力信号取得手段と、前記マトリックス状の静電容量計測対象のうち選択された計測位置、前記第一電極のうち前記電圧印加手段と前記計測位置との間の第一配線抵抗、および、前記第二電極のうち前記計測位置と前記出力信号取得手段との間の第二配線抵抗に基づいて、前記出力信号取得手段により取得された前記電気信号を補正して、前記静電容量を計測する補正手段とを備える。
【0011】
本発明によれば、補正手段が、選択された計測位置と第一配線抵抗と第二配線抵抗とに基づいて、第二電極から出力される電気信号を補正し、補正された電気信号に基づいて選択された計測位置における静電容量を計測する。従って、それぞれの計測位置において第一配線抵抗および第二配線抵抗が異なっていたとしても、計測される静電容量に対して、配線抵抗の違いの影響を低減することができる。つまり、本発明によれば、電圧印加手段と静電容量計測手段との間に形成されるそれぞれのRC回路における電気抵抗の違いの影響分を低減できる。この結果、どの計測位置であっても、静電容量を高精度に計測することができる。
【0012】
・また、前記静電容量型センサ装置は、各前記第一電極および各前記第二電極の全長抵抗を計測する全長抵抗計測手段を備え、前記補正手段は、新たに計測された各前記全長抵抗に応じた前記第一配線抵抗および前記第二配線抵抗に基づいて、前記電気信号を補正するようにしてもよい。
【0013】
ここで、電極の経年によって、配線抵抗が経年変化することがある。そうすると、初期状態における配線抵抗に基づいて補正して静電容量を計測したとしても、計測された静電容量は、配線抵抗の経年変化分の影響を受けた値となる。そこで、本発明によれば、全長抵抗計測手段により、現在における各第一電極および各第二電極の全長抵抗を計測することができる。そして、新しい全長抵抗に応じた配線抵抗に基づいて電気信号を補正している。従って、電極の配線抵抗が経年変化したとしても、高精度に静電容量を計測することができる。
【0014】
・また、前記電圧印加手段は、選択された前記第一電極の両端に電圧を印加し、前記出力信号取得手段は、選択された前記第二電極の両端に電気的接続され、前記第二配線抵抗の前記第二電極の端部から出力される電気信号を取得するようにしてもよい。
【0015】
ここで、第一配線抵抗は、第一電極において計測位置と端までの距離が短いほど小さい。従って、電圧印加手段を第一電極の両端に電気的接続することで、静電容量計測対象のうち最も小さな第一配線抵抗と最も大きな第一配線抵抗との差を小さくできる。また、第二配線抵抗は、第二電極において計測位置と端までの距離が短いほど小さい。従って、出力信号取得手段を第二電極の両端に電気的接続することで、静電容量計測対象のうち最も小さな第二配線抵抗と最も大きな第二配線抵抗との差を小さくできる。従って、補正手段による補正誤差を低減でき、高精度に静電容量を計測することができる。
【0016】
・また、前記第一電極および前記第二電極は、エラストマーまたは樹脂に導電性フィラーを配合させて成形された電極としてもよい。このような電極は、例えば、柔軟性(可撓性)を求められる場合に適用されることがある。つまり、電極と誘電層とにより形成される静電容量型センサが変形を許容する場合に、このような電極が適用されることがある。そして、この電極の配線抵抗は、銅配線や銀配線に比べると非常に高い。そのため、計測位置が異なることで、電極の配線抵抗が大きく異なる。そうすると、出力される電気信号は、配線抵抗の影響を大きく受ける。しかし、このような電極を適用したとしても、本発明によれば、その影響を低減できるため、高精度に静電容量を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の静電容量型センサ装置の構成の概要を示す図である。図1において静電容量型センサは、断面図を示す。
【図2】第一実施形態の静電容量型センサ装置の詳細構成を示す図である。図2において、静電容量型センサは平面図を示す。
【図3】静電容量型センサの等価回路を示す。
【図4】第一電極において、第一配線抵抗のうち計測位置(n,m)より一端側の配線抵抗と、他端側の配線抵抗との関係について示す図である。
【図5】各計測位置(n,m)における配線抵抗の合計値を示す。
【図6】静電容量型センサの等価回路を模式的に表した図である。
【図7】変形態様における静電容量型センサの等価回路を示す。
【図8】第二実施形態の静電容量型センサ装置の詳細構成を示す図である。
【図9】第一電極の全長抵抗について示す図である。
【図10】静電容量計測処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第一実施形態>
(1)静電容量型センサ装置の構成の概要
本実施形態の静電容量型センサ装置の構成の概要について図1を参照して説明する。静電容量型センサ装置は、シート状(面状)に形成された静電容量型センサ10を備えており、当該静電容量型センサ10における電極間の静電容量を計測する。ここで、静電容量型センサ10は、外力が付与された位置および大きさを検出する感圧センサに適用することもでき、例えば人間の指などの導電体が接触または接近した位置を検出するタッチパネルに適用することもできる。
【0019】
図1には、前者の静電容量型センサ10について図示している。つまり、静電容量型センサ10の表面に押し付ける外力Fが付与された場合に、静電容量型センサ10の変形に伴って静電容量が変化する。そして、静電容量の位置および大きさを検出することで、外力Fが付与された位置および大きさを検出できる。また、タッチパネルとして適用する場合には、静電容量型センサ10は変形の可否は問わない。
【0020】
図1に示すように、静電容量型センサ装置は、静電容量型センサ10と、交流電源(パルス電圧発生回路)20と、入力側切換回路31と、出力側切換回路41と、静電容量計測部50とを備える。静電容量型センサ10は、シート状に形成されており、可撓性を有し且つ伸縮自在な性質を有する。この静電容量型センサ10は、平面形状のみならず、曲面形状とすることもできる。ただし、以下において、図1を参照して、平面形状の静電容量型センサ10を例に挙げて説明する。なお、上述したように、静電容量型センサ10をタッチパネルとして適用する場合には、可撓性および伸縮性は必ずしも必要ではない。
【0021】
静電容量型センサ10は、面法線方向(図1の上下方向)に距離を隔てて対向して設けられた第一電極11および第二電極12と、電極11,12間に設けられた弾性変形可能な誘電層13と、第二電極12側の表面および第一電極11側の裏面を被覆するように設けられた絶縁層14,15とを備える。ただし、静電容量型センサ10は、図2に示すように、帯状に形成され相互に平行に配置された複数行の第一電極11と、帯状に形成され相互に平行に配置された複数列の第二電極12とを備えている。そして、複数行の第一電極11と複数列の第二電極12との対向位置がマトリックス状となるように配置されている。
【0022】
ここで、各行の第一電極11と各列の第二電極12は、同一材質により形成されている。具体的には、第一,第二電極11,12は、エラストマーまたは樹脂中に導電性フィラーを配合させることにより成形している。そして、第一,第二電極11,12は、可撓性を有し且つ伸縮自在な性質を有するようにしている。
【0023】
第一,第二電極11,12を構成するエラストマーには、例えば、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムなどが適用できる。また、第一,第二電極11,12に配合される導電性フィラーは、導電性を有する粒子であればよく、例えば、炭素材料や金属等の微粒子を適用できる。また、第一,第二電極11,12を構成する樹脂には、例えば、ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、変性セルロース類などが適用できる。
【0024】
誘電層13は、エラストマーまたは樹脂により成形され、第一,第二電極11,12と同様に、可撓性を有し且つ伸縮自在な性質を有する。この誘電層13を構成するエラストマーには、例えば、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムなどが適用できる。また、誘電層13を構成する樹脂には、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂(架橋発泡ポリスチレン樹脂を含む)、ポリ塩化ビニル−ポリ塩化ビニリデン共重合体、エチレン−酢酸共重合体などが適用できる。
【0025】
この誘電層13は、設定された厚みを有し、第一,第二電極11,12の外形状と同程度または大きく形成されている。絶縁層14,15は、第一,第二電極11,12と同様に、可撓性を有し且つ伸縮自在な性質を有する。この絶縁層14,15を構成するエラストマーまたは樹脂は、例えば、誘電層13を構成するエラストマーまたは樹脂として記載した材料が適用される。
【0026】
そして、静電容量型センサ10が静電容量型センサ10の面法線方向に圧縮する外力Fを受けた場合には、誘電層13が当該面法線方向に圧縮変形することにより、外力Fが付与された部位に位置する第一,第二電極11,12間の離間距離が短くなる。この場合、当該第一,第二電極11,12間の静電容量は大きくなる。
【0027】
交流電源20は、交流電圧、ここではパルス電圧を発生し、静電容量型センサ10の第一電極11に対して印加する。入力側切換回路31,32は、複数のスイッチにより構成され、一端は交流電源20に接続され、他端は各第一電極11に接続されている。そして、入力側切換回路31,32は、交流電源20に電気的接続させる第一電極11を選択的に切り替える。出力側切換回路41,42は、複数のスイッチにより構成され、一端は各第二電極12に接続され、他端は静電容量計測部50に接続されている。そして、出力側切換回路41,42は、静電容量計測部50に電気的接続させる第二電極12を選択的に切り替える。
【0028】
静電容量計測部50は、マトリックス状の静電容量計測対象のうち、電圧を印加された第一電極11と静電容量計測部50に電気的接続された第二電極12との間の静電容量を計測する。本実施形態においては、静電容量計測部50は、第二電極12に電気的接続されており、第二電極12から出力される電気信号を取得し、当該電気信号に基づいて静電容量を計測する。特に、静電容量計測部50は、計測対象の電極11,12間の充電電流を計測して、当該充電電流を変換することで当該電極11,12間の静電容量を計測する。
【0029】
(2)静電容量型センサ装置の詳細構成
次に、静電容量型センサ装置の詳細構成について、図2を参照して説明する。図2において、静電容量型センサ10は、平面図として示す。つまり、図2に示すように、静電容量型センサ10において、複数行の第一電極11a〜11hは、帯状に形成されており、図2の左右方向に延びるように、かつ相互に平行に配置されている。ここで、第一電極11a〜11hは、第一行から第八行の順として、以下説明する。
【0030】
また、複数列の第二電極12a〜12hは、第一電極11と同形状の帯状に形成されており、図2の上下方向に延びるように、かつ相互に平行に配置されている。つまり、複数列の第二電極12a〜12hは、第一電極11の延びる方向に対して直交な方向に延びるように配置されている。ここで、第二電極12a〜12hは、第一列から第八列の順として、以下説明する。
【0031】
従って、複数行の第一電極11a〜11hと複数列の第二電極12a〜12hとが図2の紙面垂直方向に対向する位置は、マトリックス状に位置している。ここでは、8×8のマトリックス状の静電容量計測対象となる。また、各行の第一電極11a〜11hと各列の第二電極12a〜12hとの間には、誘電層13が設けられている。
【0032】
第一入力側切換回路31の一端が交流電源20に接続され、他端が各行の第一電極11a〜11hの一端(図2の左端)に接続されている。一方、第二入力側切換回路32の一端は、交流電源20に接続され、他端は、各行の第一電極11a〜11hの他端(図2の右端)に接続されている。そして、第一,第二入力側切換回路31,32は、各スイッチ31a〜31h、32a〜32hを備えており、各静電容量計測対象に応じて予め設定された第一電極11a〜11hの1つを閉成(ON)し、残りは開成(OFF)する。図2においては、ハッチングを付した静電容量計測対象(第一行、第一列)の場合には、第一行の第一電極11aに接続されているスイッチ31aが閉成し、残りは開成している。つまり、交流電源20は、各静電容量計測対象に応じて予め設定された各行の第一電極11a〜11hの選択されたどれかの一端に接続される。従って、交流電源20は、選択された第一電極11の一端に交流電圧を印加する。
【0033】
第一出力側切換回路41の一端が静電容量計測部50に接続され、他端が各列の第二電極12a〜12hの一端(図2の上端)に接続されている。一方、第二出力側切換回路42の一端は、静電容量計測部50に接続され、他端は、各列の第二電極12a〜12hの他端(図2の下端)に接続されている。そして、第一,第二出力側切換回路41,42は、各スイッチ41a〜41h、42a〜42hを備えており、各静電容量計測対象に応じて予め設定された第二電極12a〜12hの1つを閉成(ON)し、残りは開成(OFF)する。図2においては、ハッチングを付した静電容量計測対象(第一行、第一列)の場合には、第一列の第二電極12aに接続されているスイッチ41aが閉成し、残りは開成している。
【0034】
つまり、静電容量計測部50は、各静電容量計測対象に応じて予め設定された各列の第二電極12a〜12hのうち選択されたどれかの一端に接続される。従って、静電容量計測部50は、交流電源20と静電容量計測部50との間において、選択された計測回路の第二電極12の端部から出力される電気信号を取得する。そして、静電容量計測部50は、閉成されたスイッチ31a〜31h,32a〜32hのうち1つに接続された第一電極11a〜11hのどれかと、閉成されたスイッチ41〜41h,42a〜42hのうち1つに接続された第二電極12a〜12hのどれかとの間の静電容量を計測する。
【0035】
本実施形態においては、静電容量対象が第一列〜第四列の第二電極12a〜12dの場合には、第一入力側切換回路31の各スイッチ31a〜31hのうち1つが閉成されるように設定している。静電容量対象が第五列〜第八列の第二電極12e〜12hの場合には、第二入力側切換回路32の各スイッチ32a〜32hのうち1つが閉成されるように設定している。また、静電容量対象が第一行〜第四行の第一電極11a〜11dの場合には、第一出力側切換回路41の各スイッチ41a〜41hのうち1つが閉成されるように設定している。静電容量対象が第五行〜第八行の第一電極11e〜11hの場合には、第二出力側切換回路42の各スイッチ42a〜42hのうち1つが閉成されるように設定している。
【0036】
ここで、静電容量計測部50は、充電電流取得部51と、補正部52とを備える。充電電流取得部51は、交流電源20により第一電極11a〜11hのどれかに交流電圧を印加された場合に、第二電極12a〜12hのどれかから出力される電気信号を取得する。この電気信号は、マトリックス状の静電容量計測対象のうち選択された計測位置の静電容量に充電される電流に対応している。補正部52は、充電電流取得部51により取得された充電電流を補正して、計測位置の静電容量を計測する。この補正部52による処理は、後述する。
【0037】
(3)静電容量型センサの等価回路
次に、静電容量型センサ10は、図3に示す等価回路として表される。ここで、静電容量C_(n,m)は、n行の第一電極11とm列の第二電極12とが対向する領域の静電容量を意味し、Ra_nは、n行の第一電極11の全長の配線抵抗を意味し、Rb_mは、m列の第二電極12の全長の配線抵抗を意味する。
【0038】
ここで、交流電源20は、各行の第一電極11の一方の端部に接続されるため、静電容量C_(n,m)と交流電源20との間は、第一電極11による配線抵抗(以下、「第一配線抵抗」と称する)が介在する。この第一配線抵抗は、第一電極11の一端側の配線抵抗m/9*Ra_n、または、第一電極11の他端側の配線抵抗(9-m)/9*Ra_nとして表される。以下、上記の第一電極11の一端側の配線抵抗を「一端第一抵抗」と称し、上記の第一電極11の他端側の配線抵抗を「他端第一抵抗」と称する。
【0039】
また、静電容量計測部50は、各列の第二電極12の一方の端部に接続されるため、静電容量C_(n,m)と静電容量計測部50との間は、第二電極12による配線抵抗(以下、「第二配線抵抗」と称する)が介在する。この第二配線抵抗は、第二電極12の一端側の配線抵抗n/9*Rb_m、または、第二電極12の他端側の配線抵抗(9-n)/9*Rb_mとして表される。以下、上記の第二電極12の一端側の配線抵抗を「一端第二抵抗」と称し、上記の第二電極12の他端側の配線抵抗を「他端第二抵抗」と称する。
【0040】
「一端第一抵抗」と「一端第二抵抗」の関係について、図4を参照して、第一行の第一電極11aを例に挙げて詳細に説明する。図4は、第一行の第一電極11aの等価回路を示す。すなわち、各静電容量の計測位置(n,m)の間に、配線抵抗としての電気抵抗が介在する。さらに、第一入力側切換回路31のスイッチ31aと静電容量の計測位置(1,1)との間にも、配線抵抗としての電気抵抗が介在する。また、第二入力側切換回路32のスイッチ32aと静電容量の計測位置(1,8)との間にも、配線抵抗としての電気抵抗が介在する。
【0041】
そして、例えば、交流電源20と静電容量の計測位置(1,3)との間の配線抵抗について検討する。第一入力側切換回路31側の「一端第一抵抗」は、図4の左側の二点鎖線の枠で囲まれた部分の配線抵抗となる。つまり、一端第一抵抗は、3/9*Rb_1となる。一方、第二入力側切換回路32側の「他端第一抵抗」は、図4の右側の一点鎖線の枠で囲まれた部分の配線抵抗となる。つまり、他端第一抵抗は、6/9*Rb_1となる。従って、この場合の一端第一抵抗3/9*Rb_1は、他端第一抵抗6/9*Rb_1より小さい。
【0042】
そして、静電容量計測部50の充電電流取得部51は、静電容量C_(n,m)の充電電流に相当する電気信号を取得する。さらに、各計測位置(n,m)において、一端第一抵抗と他端第一抵抗、および一端第二抵抗と他端第二抵抗のうちそれぞれ抵抗が小さくなる方が選択されるように、入力側切換回路31、32および出力側切換回路41、42が切り替えられる。つまり、充電電流取得部51は、一端第一抵抗m/9*Ra_nと他端第一抵抗(9-m)/9*Ra_nのうち電気抵抗の小さい方と、一端第二抵抗n/9*Rb_mと他端第一抵抗(9-n)/9*Rb_mのうち電気抵抗の小さい方とを繋ぐ電気回路に流れる充電電流を取得するように設定されている。例えば、図4に示すように、静電容量の計測位置(1,3)の場合には、第一電極11aにおいては、一端第一抵抗3/9*Rb_1の影響を受けることになる。そうすると、それぞれの静電容量C_(n,m)の計測位置(n,m)における第一電極11の配線抵抗と第二電極12の配線抵抗の合計値は図5に示すようになる。
【0043】
図5において、最左欄は入力側切換回路31,32において閉成されるスイッチを示し、最上段は出力側切換回路41,42において閉成されるスイッチを示す。例えば、静電容量の計測位置(1,3)の場合には、スイッチ31aおよびスイッチ41cが閉成されることになり、交流電源20と静電容量計測部50との間において、第一電極11および第二電極12による配線抵抗の合計値は、3/9*Ra_1+1/9*Rb_3となる。
【0044】
ここで、各行の第一電極11a〜11hの全長の配線抵抗Ra_1〜Ra_8が同一であって、各列の第二電極12a〜12hの全長の配線抵抗Rb_1〜Rb_8が同一であるとする。そうすると、例えば、静電容量の計測位置(1,1)、(8,1)、(1,8)、(8,8)は、同一値となる。つまり、図5において、A〜Dの破線で囲む4つの領域に分けた場合に、各領域の配線抵抗は対応する位置と同一値となる。
【0045】
そして、補正部52が、充電電流取得部51により取得された充電電流から静電容量に変換する際に、静電容量の計測位置(n,m)における配線抵抗の合計値(第一電極11と第二電極12の配線抵抗の合計値)に基づいて補正する。具体的には、補正部52は、各計測位置(n,m)における配線抵抗の合計値に応じた補正係数を記憶しておき、充電電流に対応する値に当該補正係数を乗算することにより、計測位置(n,m)における静電容量C_(n,m)を計測する。
【0046】
(4)充電電流取得部による計測
充電電流取得部51により計測される充電電流は、配線抵抗の影響を受けた値となる。そのため、各電気回路における配線抵抗のばらつきによって、充電電流を用いて計測された静電容量C_(n,m)は、誤差を生じてしまう。以下に、配線抵抗と充電電流との関係について図6を参照して説明する。
【0047】
図6に示すように、模式的に、交流電源20と充電電流取得部51との間は、静電容量Cと電気抵抗RとによりRC回路を構成されるものとする。この電気回路において、静電容量Cの電荷qは、式(1)のように表される。
【0048】
【数1】

【0049】
このとき、静電容量Cに流れる充電電流iは、式(2)のように表される。ここで、式(2)の第一行に式(1)を代入して展開すると第二行のようになり、さらに、式(2)の第二行を整理すると第三行のようになる。
【0050】
【数2】

【0051】
ここで、図5の領域A〜Dのそれぞれにおいて、配線抵抗の合計値R_(A)、R_(B)、R_(C)、R_(D)は、それぞれ式(3)〜式(6)のように表される。つまり、配線抵抗の合計値は、静電容量の計測位置(n,m)によって異なる。
【0052】
【数3】

【0053】
【数4】

【0054】
【数5】

【0055】
【数6】

【0056】
例えば、静電容量の計測位置(1,1)と(4,4)のそれぞれにおいて、充電電流iは、式(7)(8)に表されるようになる。
【0057】
【数7】

【0058】
【数8】

【0059】
式(7)(8)から明らかなように、静電容量C_(1,1)とC_(4,4)が同一であったとしても、充電電流取得部51が取得する充電電流i_(1,1)とi_(4,4)は、異なる値となってしまう。充電電流i_(1,1)は、i_(4,4)より大きな値となる。このように、充電電流iは、配線抵抗Rの影響を大きく受けてしまう。特に、配線抵抗のばらつきが大きければ大きいほど、計測される充電電流iに与える影響が大きくなる。そして、本実施形態における第一電極11および第二電極12は、エラストマーまたは樹脂に導電性フィラーを配合することにより成形している。この種の電極の配線抵抗は、例えば、銅電極や銀電極などに比べると、はるかに大きい。そのため、本実施形態においては、充電電流iに与える影響が大きい。
【0060】
そこで、補正部52において、各計測位置(n,m)における静電容量C_(n,m)が同一であるとした場合に、充電電流i_(n,m)が同一となるように、計測位置(n,m)毎に補正係数を設定しておく。そして、充電電流取得部51により取得された充電電流i_(n,m)に対して、当該計測位置(n,m)に対応する補正係数を乗算する。補正部52により補正された値は、配線抵抗のばらつきの影響を受けていない状態にすることができる。そして、補正部52は、補正された充電電流iに基づいて、選択された計測位置(n,m)における静電容量C_(n,m)を計測する。
【0061】
つまり、本実施形態によれば、補正部52が、選択された計測位置(n,m)と第一電極11の第一配線抵抗と第二電極12の第二配線抵抗とに基づいて、第二電極12から出力される充電電流iを補正し、補正された充電電流iに基づいて選択された計測位置(n,m)における静電容量C_(n,m)を計測する。従って、それぞれの計測位置(n,m)において第一電極11の第一配線抵抗および第二電極12の第二配線抵抗が異なっていたとしても、計測される静電容量C_(n,m)に対して、配線抵抗の違いの影響を低減することができる。つまり、本実施形態によれば、交流電源20と静電容量計測部50との間に形成されるそれぞれのRC回路における電気抵抗の違いの影響分を低減できる。この結果、どの計測位置(n,m)であっても、静電容量C_(n,m)を高精度に計測することができる。
【0062】
<第一実施形態の変形態様>
なお、上記実施形態では、図5に示すような4つの領域A〜Dに分けられるように、領域ごとに入力側切換回路31,32および出力側切換回路41,42を切り替える構成とした。つまり、選択された計測位置(n,m)を含む第一電極11および第二電極12に対して入力側切換回路31,32のうち予め設定されたいずれか一方、および、出力側切換回路41,42のうち予め設定されたいずれか一方が接続される構成とした。この他に、選択された計測位置(n,m)を含む第一電極11および第二電極12に対して入力側切換回路31,32の両方、および、出力側切換回路41,42の両方を接続するようにしてもよい。
【0063】
この場合の等価回路は、図7に示すようになる。図7に示すように、選択された計測位置(n,m)を含む第一電極11の両端に電圧が印加され、選択された計測位置(n,m)を含む第二電極12の両端から電気信号を取得する構成となる。つまり、交流電源20は、各行の第一電極11a〜11hの両端に接続されるため、静電容量C_(n,m)と交流電源20との間は、第一配線抵抗として、第一電極11の一端側の配線抵抗m/9*Ra_nと、第一電極11の他端側の配線抵抗(9-m)/9*Ra_nとの並列回路からなる合成抵抗が介在する。また、静電容量計測部50は、各列の第二電極12a〜12hの両端に接続されるため、静電容量C_(n,m)と静電容量計測部50との間は、第二配線抵抗として、第二電極12の一端側の配線抵抗n/9*Rb_mと、第二電極12の他端側の配線抵抗(9-n)/9*Rb_mとの並列回路からなる合成抵抗が介在する。従って、選択された計測位置(n,m)の配線抵抗の合計値R_(n,m)は、式(9)のように表される。
【0064】
【数9】

【0065】
また、選択された計測位置(n,m)の充電電流i_(n,m)は、式(10)のように表される。
【0066】
【数10】

【0067】
このように、選択された計測位置(n,m)を含む第一電極11の両端に電圧が印加され、選択された計測位置(n,m)を含む第二電極12の両端から電気信号を取得する構成であっても、第一実施形態と同様の補正部52の補正処理により、交流電源20と静電容量計測部50との間に形成されるそれぞれのRC回路における電気抵抗の違いの影響分を低減でき、どの計測位置(n,m)であっても、静電容量C_(n,m)を高精度に計測することができる。
【0068】
<第二実施形態>
(5)静電容量型センサ装置の詳細構成
次に、第二実施形態の静電容量型センサ装置の構成について、図8を参照して説明する。ここで、第二実施形態の静電容量型センサ装置において、第一実施形態の静電容量型センサ装置と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。ここで、本実施形態の静電容量型センサ装置は、第一実施形態に対して、入力側切換回路36,37および出力側切換回路46,47が相違すると共に、新たに第一、第二直流電圧印加回路61,71および第一、第二全長抵抗計測回路62,72を追加する。
【0069】
ここで、第一実施形態において、第一,第二電極11,12の配線抵抗のばらつきが、計測する静電容量に影響を与えることを記載した。そして、第一,第二電極11,12は、外力の付与によって変形するため、経年によって、配線抵抗が変化するおそれがある。つまり、経年変化する配線抵抗により、計測される静電容量に影響を与えるおそれがある。そこで、本実施形態においては、現在の第一,第二電極11,12の配線抵抗を実際に計測し、計測した配線抵抗を用いて静電容量を計測することとした。以下、第一実施形態との相違点について説明する。
【0070】
第一入力側切換回路36は、各行の第一電極11の一端(図8の左端)と交流電源20とを接続する状態、各行の第一電極11の一端と第一直流電圧印加回路61とを接続する状態、および、各行の第一電極11の一端をどこにも接続していない状態に切り換えるスイッチ36a〜36hを備える。第一直流電圧印加回路61は、接続されている第一電極11に直流電圧を印加する回路である。
【0071】
また、第二入力側切換回路37は、各行の第一電極11の他端(図8の右端)と交流電源20とを接続する状態、各行の第一電極11の他端と第一全長抵抗計測回路62とを接続する状態、および、各行の第一電極11の他端をどこにも接続していない状態に切り換えるスイッチ37a〜37hを備える。第一全長抵抗計測回路62は、第一直流電圧印加回路61により直流電圧が印加されている第一電極11の他端から出力される電流に基づいて、当該第一電極11の全長抵抗を計測する。
【0072】
第一出力側切換回路46は、各列の第二電極12の一端(図8の上端)と静電容量計測部50とを接続する状態、各列の第二電極12の一端と第二直流電圧印加回路71とを接続する状態、および、各列の第二電極12の一端をどこにも接続していない状態に切り換えるスイッチ46a〜46hを備える。第二直流電圧印加回路71は、接続されている第二電極12に直流電圧を印加する回路である。
【0073】
また、第二出力側切換回路47は、各列の第二電極12の他端(図8の下端)と静電容量計測部50とを接続する状態、各列の第二電極12の他端と第二全長抵抗計測回路72とを接続する状態、および、各列の第二電極12の他端をどこにも接続していない状態に切り換えるスイッチ47a〜47hを備える。第二全長抵抗計測回路72は、第二直流電圧印加回路71により直流電圧が印加されている第二電極12の他端から出力される電流に基づいて、当該第二電極12の全長抵抗を計測する。
【0074】
ここで、第一行の第一電極11aの全長抵抗と、各計測位置(n,m)における配線抵抗との関係について、図9を参照して説明する。図9に示すように、第一電極11aの電気抵抗は、各計測位置(n,m)間に9個の電気抵抗が直列接続された回路となる。そして、第一直流電圧印加回路61が第一電極11aの一端に接続され、第一全長抵抗計測回路62が第一電極11aの他端に接続されている。第一直流電圧印加回路61により第一電極11aに対して直流電圧を印加するときに、第一全長抵抗計測回路62により計測される電気抵抗は、第一電極11aの全長の配線抵抗となる。
【0075】
図8に戻り説明する。補正部52は、充電電流取得部51により計測された充電電流iに対して、各計測位置(n,m)に応じた補正に加えて、第一,第二全長抵抗計測回路62,72により計測された現在の第一,第二電極11,12の全長抵抗に応じて補正する。そして、補正部52は、各計測位置(n,m)における静電容量C_(n,m)を算出する。つまり、補正部52により算出された各計測位置(n,m)における静電容量C_(n,m)は、第一,第二電極11,12の経年変化によるばらつきを低減した値となる。
【0076】
(6)静電容量計測処理
次に、本実施形態において、静電容量の計測処理について、図10を参照して説明する。図10に示すように、第一直流電圧印加回路61および第一全長抵抗計測回路62を用いて、各行の第一電極11a〜11hの全長抵抗Ra_nを計測する(S1)。このとき、第一,第二入力側切換回路36a〜36h,37a〜37hを、順次切り替えながら行う。続いて、第二直流電圧印加回路71および第二全長抵抗計測回路72を用いて、各列の第二電極12a〜12hの全長抵抗Rb_nを計測する(S2)。このとき、第一,第二出力側切換回路46a〜46h,47a〜47hを、順次切り替えながら行う。
【0077】
続いて、第一,第二入力側切換回路36,37を交流電源20側に順次切り替え、かつ、第一,第二出力側切換回路46,47を静電容量計測部50側に順次切り替えて、充電電流取得部51によって各計測位置(n,m)における充電電流iを計測する(S3)。続いて、補正部52にて、充電電流取得部51により計測された充電電流i、第一実施形態にて説明した各計測位置(n,m)に応じた補正係数、および、現在の第一,第二電極11,12の全長抵抗Ra_n,Rb_mに基づいて補正して、各計測位置(n,m)における静電容量C_(n,m)を算出する(S4)。
【0078】
ここで、第一実施形態において図5を参照して説明したように、各計測位置(n,m)における配線抵抗の合計値は、各行の第一電極11a〜11hの全長抵抗Ra_n、および、各列の第二電極12a〜12hの全長抵抗Rb_mを用いて表される。そこで、第一,第二全長抵抗計測回路62,72により計測される各全長抵抗を用いて補正係数を補正することができる。その結果、第一,第二電極11,12の経年によって、配線抵抗が経年変化した場合であっても、高精度に静電容量を計測することができる。
【0079】
なお、図10に示す静電容量計測処理においては、静電容量を計測する度毎に第一,第二電極11,12の全長抵抗を計測しているが、その回数を低減してもよい。例えば、ある一定期間が経過した場合に、第一,第二電極11,12の全長抵抗を計測するようにしてもよい。この場合、新たな全長抵抗が計測されるまでの間は、以前に計測した全長抵抗を用いて補正すればよい。また、第一,第二電極11,12の全長抵抗の初期値を予め記憶しておき、計測される各全長抵抗をこの初期値に基づいて補正を行い、補正後の全長抵抗を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10:静電容量型センサ、 11:第一電極、 12:第二電極、 13:誘電層、 14,15:絶縁層、 20:交流電源、 31,32,36,37:入力側切換回路、 41,42,46,47:出力側切換回路、 50:静電容量計測部、 51:充電電流取得部、 52:補正部、 61,71:直流電圧印加回路、 62,72:全長抵抗計測回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に形成され相互に平行に配置された複数行の第一電極と、
帯状に形成され相互に平行に配置されると共に、複数行の前記第一電極との対向位置がマトリックス状となるように前記第一電極に対向して設けられた複数列の第二電極と、
各行の前記第一電極と各列の前記第二電極との間に設けられた誘電層と、
各行の前記第一電極に選択的に電圧を印加可能な電圧印加手段と、
各列の前記第二電極に選択的に電気的接続され、マトリックス状の静電容量計測対象うち、電圧を印加された前記第一電極と電気的接続された前記第二電極との間の静電容量を計測する静電容量計測手段と、
を備え、
前記静電容量計測手段は、
前記電圧印加手段により前記第一電極に電圧が印加された場合に、電気的接続された前記第二電極から出力される電気信号を取得する出力信号取得手段と、
前記マトリックス状の静電容量計測対象のうち選択された計測位置、前記第一電極のうち前記電圧印加手段と前記計測位置との間の第一配線抵抗、および、前記第二電極のうち前記計測位置と前記出力信号取得手段との間の第二配線抵抗に基づいて、前記出力信号取得手段により取得された前記電気信号を補正して、前記静電容量を計測する補正手段と、
を備える静電容量型センサ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記静電容量型センサ装置は、各前記第一電極および各前記第二電極の全長抵抗を計測する全長抵抗計測手段を備え、
前記補正手段は、新たに計測された各前記全長抵抗に応じた前記第一配線抵抗および前記第二配線抵抗に基づいて、前記電気信号を補正する静電容量型センサ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記電圧印加手段は、選択された前記第一電極の両端に電圧を印加し、
前記出力信号取得手段は、選択された前記第二電極の両端に電気的接続され、前記第二配線抵抗の前記第二電極の端部から出力される電気信号を取得する静電容量型センサ装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記第一電極および前記第二電極は、エラストマーまたは樹脂に導電性フィラーを配合させて成形された電極である静電容量型センサ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−72752(P2013−72752A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211991(P2011−211991)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】