説明

静電容量型タッチセンサパネル、及びこれを用いた静電容量型タッチセンサシステム、情報入出力装置

【課題】表示装置に重ねた際にモアレ等の発生を防ぐことができる静電容量型タッチセンサパネルを提供する。
【解決手段】タッチセンサパネルは、複数の垂直電極6と複数の水平電極7とを備え、複数の垂直電極6と複数の水平電極7とは、基板に垂直な方向から見て、互いに重なる線分を持たないように配置され、隙間無く一様な格子を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に所定の間隔を空けて垂直電極面上に配置された複数の垂直電極と、垂直方向に所定の間隔を空けて垂直電極面に平行な水平電極面上に配置された複数の水平電極と、垂直電極面と水平電極面との間に配置されて複数の垂直電極と複数の水平電極とを絶縁する絶縁体とを備えた静電容量型タッチセンサパネル、及びこれを用いた静電容量型タッチセンサシステム、情報入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の静電容量型タッチセンサパネルにおける垂直電極及び水平電極の構成を説明する。図26は、従来の静電容量型タッチセンサパネルの垂直電極91及び水平電極92の構成を示す図であり、特許文献1のFIG.3に対応する。
【0003】
特許文献1に示される従来の静電容量型タッチセンサパネルには、水平方向に所定の間隔を空けて垂直電極面上に配置された複数の垂直電極91と、垂直方向に所定の間隔を空けて垂直電極面に平行な水平電極面上に配置された複数の水平電極92とが設けられている。
【0004】
垂直電極91は、ダイヤモンド形状をした四角形状部93・94を垂直方向に繰り返し接続して形成されており、水平電極92は、ダイヤモンド形状をした四角形状部95・96を水平方向に繰り返し接続して形成されている。
【0005】
このようなダイヤモンド形状をした垂直電極91及び水平電極92を交差配置した静電容量型のタッチセンサパネルを、表示装置の上に重ねて使用する場合は、通常、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明な導電膜によって垂直電極91及び水平電極92を構成する。近年はグラフェンの活用も研究されている。
【0006】
図26に示すようなダイヤモンド形状をITO等で面の形で形成すると、そのダイヤモンド形状は中心線対称であり中心点対称であるため、ペン等のタッチ面積の小さい物体による容量変化には同様な対称性がある。この容量変化の対称性を用いることにより、タッチ位置検出の際に対称な位置補正が行え、位置検出精度を向上することができる。
【0007】
図27は、特許文献2に示される従来の他の静電容量型タッチセンサパネルの垂直電極81及び水平電極82の構成を示す図である。垂直電極81及び水平電極82は、それぞれ一定間隔で並べられ、互いに直交する方向を向いている。そして、垂直電極81及び水平電極82で格子状に形成される。垂直電極81及び水平電極82そのものは、それぞれ細線によって構成され、この細線によって網目が構成されている。
【0008】
図28(a)は、特許文献3に示される従来のさらに他の静電容量型タッチセンサパネルの垂直電極71の構成を示す図であり、(b)はその水平電極72の構成を示す図である。
【0009】
図28(a)ではダイヤモンドに似た形状が垂直方向に接続された垂直電極71が整列しており、図28(b)では同様にダイヤモンドに似た形状が水平方向に接続された水平電極72が整列している。
【0010】
図30(a)は特許文献4に示される従来のさらに他の静電容量型タッチセンサパネルの垂直電極の構成を示す図であり、(b)はその水平電極の構成を示す図である。
【0011】
静電容量式タッチパネルスイッチは、X方向に複数の導電X軸62が僅かな間隔で並ぶ導電性のXパターン群61と、Y方向に複数の導電Y軸67が僅かな間隔で並ぶ導電性のYパターン群66とを備えている。
【0012】
導電X軸62は、Y軸方向に沿って配置されて輪郭が略菱形状の複数の導電Xパッド63と、複数の導電Xパッド63を挟むようにY軸方向に沿って配置されて輪郭が略二等辺三角形状の導電Xパッド63aとを有している。隣接する導電Xパッド63、及び隣接する導電Xパッド63・63aは、導電Xライン64により接続されている。
【0013】
各導電Xパッド63・63aは、X方向に延びる細線とY方向に延びる細線とによりメッシュ状に形成されている。各導電Xライン64は、Y方向に延びてX方向に所定の間隔で並ぶ3本の直線ライン65により細長く形成されている。
【0014】
導電Y軸67は、X軸方向に沿って配置されて輪郭が略菱形状の複数の導電Yパッド68と、複数の導電Yパッド68を挟むようにX軸方向に沿って配置されて輪郭が略二等辺三角形状の導電Yパッド68aとを有している。隣接する導電Yパッド68、及び隣接する導電Yパッド68・68aは、導電Yライン69により接続されている。
【0015】
各導電Yパッド68・68aは、X方向に延びる細線とY方向に延びる細線とによりメッシュ状に形成されている。各導電Yライン69は、X方向に延びてY方向に所定の間隔で並ぶ3本の直線ライン60により細長く形成されている。
【0016】
このように構成されたXパターン群61とYパターン群66とを平面視で直交させる場合に、導電X軸62の導電Xライン64と導電Y軸67の導電Yライン69とを積層して、導電Xパッド63及び導電Yパッド68と略同様の光透過性を有する光透過領域を形成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第4,639,720号明細書(1987年1月27日)
【特許文献2】特開2011-113149公報(2011年6月9日公開)
【特許文献3】特開2010-39537号公報(2010年2月18日公開)
【特許文献4】特開2011-175412号公報(2011年9月8日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、図26に示す構成では、30インチ以上の大きな静電容量型のタッチセンサパネルを実現しようとする場合に、ITOやグラフェンでは抵抗値が大きすぎる。このため、抵抗値の低い金属(AgやCu)の細い配線を用いてダイヤモンド形状を作成する方法がとられる(特許文献2(図27)・特許文献3(図28))。
【0019】
図27に示す構成では、格子の存在しない十字状の開口97が周期的に存在するため、開口97が視認され、モアレが発生するという課題が生じる。また、タッチによる開口97の容量変化の仕方が他の部分と異なることに起因する位置検出精度劣化という課題が発生する。
【0020】
図29は、垂直電極71と水平電極72とにより形成された一様な格子73を示す図である。図28に示す構成では、図27に示すような開口は発生しないが、垂直電極71及び水平電極72とも中心線対称でも無く、中心点対象でも無く、垂直電極71及び水平電極72を重ね合わせると、図29に示すように、格子73の左辺側及び下辺側にジグザグ形状78・79が形成され、水平電極72(あるいは垂直電極71)を駆動するアドレスラインと、垂直電極71(あるいは水平電極72)から信号を読み出すためのアドレスラインとをそのまま容易に格子73に接合することが困難であるという課題が生じる。
【0021】
図30に示す構成では、導電Xライン64はY軸に平行であり、導電Yライン69はX軸に平行になるため、導電Xライン64と導電Yライン69とを積層して形成される光透過領域は、Y軸に平行な直線とX軸に平行な直線とから形成されることになる。このため、液晶ディスプレイ等と重ねた時に、モアレが発生するという問題が生じる。
【0022】
本願発明の目的は、視覚的に隙間の無い一様な格子が形成され、表示装置に重ねた際にモアレ等の発生を防ぐことができる静電容量型タッチセンサパネル、及びこれを用いた静電容量型タッチセンサシステム、情報入出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る静電容量型タッチセンサパネルは、細線で形成された第一の基本形状を垂直方向に繰り返し接続して形成され、水平方向に所定の間隔を空けて垂直電極面上に配置された複数の垂直電極と、細線で形成された第二の基本形状を水平方向に繰り返し接続して形成され、垂直方向に所定の間隔を空けて前記垂直電極面に平行な水平電極面上に配置された複数の水平電極と、前記垂直電極面と前記水平電極面との間に配置されて前記複数の垂直電極と前記複数の水平電極とを絶縁する絶縁体とを備え、前記複数の垂直電極と前記複数の水平電極とは、前記垂直電極面に垂直な方向から見て、互いに重なる線分を持たないように配置され、隙間無く一様な格子を形成することを特徴とする。
【0024】
この特徴により、細線で形成された第一の基本形状を垂直方向に繰り返し接続して形成され、水平方向に所定の間隔を空けて垂直電極面上に配置された複数の垂直電極と、細線で形成された第二の基本形状を水平方向に繰り返し接続して形成され、垂直方向に所定の間隔を空けて前記垂直電極面に平行な水平電極面上に配置された複数の水平電極とを、前記垂直電極面に垂直な方向から見て、互いに重なる線分を持たないように配置し、隙間無く一様な格子を形成する。このため、絶縁膜を挟んで垂直電極と水平電極との電極分布を作成することにより、視覚的に隙間の無い一様な格子が形成され、表示装置に重ねた際にモアレ等の発生を防ぐことができる。
【0025】
本発明に係る静電容量型タッチセンサパネルでは、前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状を形成する線分は、斜め方向に沿って形成されていることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、第一の基本形状及び第二の基本形状を形成する線分が、ディスプレイのブラックマトリックスに対して傾斜することになるので、モアレが発生しにくくなる。
【0027】
本発明に係る静電容量型タッチセンサパネルでは、前記格子は、輪郭が長方形状に形成されていることが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、複数の垂直電極と複数の水平電極とは、垂直電極面に垂直な方向から見て、輪郭が長方形状の格子を形成する。従って、隙間無く一様な格子の長方形状の輪郭の辺の箇所に、水平電極または垂直電極を駆動するアドレスラインと、垂直電極または水平電極から信号を読み出すためのアドレスラインとをそのまま容易に接合することができる。
【0029】
本発明に係る静電容量型タッチセンサパネルでは、前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状は、垂直方向に延びる垂直中心線に対して線対称であることが好ましい。
【0030】
上記構成により、前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状が対称形状となるので、ペンを用いたタッチ入力による静電容量分布変化に基づく座標読み取り精度を向上させることができる。
【0031】
本発明に係る静電容量型タッチセンサパネルでは、前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状は、点対称であることが好ましい。
【0032】
上記構成により、前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状が対称形状となるので、ペンを用いたタッチ入力による静電容量分布変化に基づく座標読み取り精度を向上させることができる。
【0033】
本発明に係る静電容量型タッチセンサパネルでは、前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状は、垂直方向に延びる垂直中心線及び水平方向に延びる水平中心線のそれぞれに対して線対称であることが好ましい。
【0034】
上記構成により、前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状が対称形状となるので、ペンを用いたタッチ入力による静電容量分布変化に基づく座標読み取り精度を向上させることができる。
【0035】
本発明に係る静電容量型タッチセンサパネルでは、前記第一の基本形状は、少なくとも2箇所の細線部分により垂直方向に接続されており、前記第二の基本形状は、少なくとも2箇所の細線部分により水平方向に接続されていることが好ましい。
【0036】
上記構成により、前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状が少なくとも2箇所の細線部分により接続されるので、製造工程において一方の細線部分が切れても、他方の細線部分が残るので、断線を回避することができる。
【0037】
本発明に係る静電容量型タッチセンサシステムは、本発明に係るタッチセンサパネルを備えたことを特徴とする。
【0038】
本発明に係る情報入出力装置は、本発明に係るタッチセンサシステムを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る静電容量型タッチセンサパネルは、複数の垂直電極と複数の水平電極とが、垂直電極面に垂直な方向から見て、互いに重なる線分を持たないように配置され、隙間無く一様な格子を形成する。この結果、表示装置に重ねた際にモアレ等の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施の形態1に係るタッチセンサシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】上記タッチセンサシステムに設けられたタッチパネルの構成を説明するための断面図である。
【図3】(a)は上記タッチパネルに設けられた垂直電極を構成する第一の基本形状を示す図であり、(b)は上記垂直電極の構成を示す図である。
【図4】(a)は上記タッチパネルに設けられた水平電極を構成する第二の基本形状を示す図であり、(b)は上記水平電極の構成を示す図である。
【図5】上記垂直電極と上記水平電極により形成された一様な格子を示す図である。
【図6】(a)は上記タッチパネルに設けられた変形例の垂直電極を構成する第一の基本形状を示す図であり、(b)は上記変形例の垂直電極の構成を示す図である。
【図7】(a)は上記タッチパネルに設けられた変形例の水平電極を構成する第二の基本形状を示す図であり、(b)は上記変形例の水平電極の構成を示す図である。
【図8】上記変形例の垂直電極と上記変形例の水平電極により形成された一様な格子を示す図である。
【図9】(a)は上記変形例の垂直電極の第1の基本形状に透明電極材料を埋め込んだ構成を示す図であり、(b)は上記透明電極材料を埋め込んだ変形例の垂直電極を示す図である。
【図10】(a)は上記変形例の水平電極の第2の基本形状に透明電極材料を埋め込んだ構成を示す図であり、(b)は上記透明電極材料を埋め込んだ変形例の水平電極を示す図である。
【図11】(a)は上記変形例の垂直電極にアドレスラインを接続した構成を示す図であり、(b)は上記変形例の水平電極にアドレスラインを接続した構成を示す図であり、(c)はアドレスラインを接続した垂直電極及び水平電極により構成される格子を示す図である。
【図12】(a)は実施の形態2に係るタッチパネルに設けられた垂直電極を構成する第一の基本形状を示す図であり、(b)は上記垂直電極の構成を示す図である。
【図13】(a)は実施の形態2に係るタッチパネルに設けられた水平電極を構成する第二の基本形状を示す図であり、(b)は上記水平電極の構成を示す図である。
【図14】(a)は実施の形態3に係るタッチパネルに設けられた垂直電極を構成する第一の基本形状を示す図であり、(b)は上記垂直電極の構成を示す図である。
【図15】(a)は実施の形態3に係るタッチパネルに設けられた水平電極を構成する第二の基本形状を示す図であり、(b)は上記水平電極の構成を示す図である。
【図16】(a)は実施の形態4に係るタッチパネルに設けられた垂直電極を構成する第一の基本形状を示す図であり、(b)は上記垂直電極の構成を示す図である。
【図17】(a)は実施の形態4に係るタッチパネルに設けられた水平電極を構成する第二の基本形状を示す図であり、(b)は上記水平電極の構成を示す図である。
【図18】(a)は実施の形態5に係るタッチパネルに設けられた垂直電極を構成する第一の基本形状を示す図であり、(b)は上記垂直電極の構成を示す図である。
【図19】(a)は実施の形態5に係るタッチパネルに設けられた水平電極を構成する第二の基本形状を示す図であり、(b)は上記水平電極の構成を示す図である。
【図20】上記垂直電極と上記水平電極により形成された一様な格子を示す図である。
【図21】(a)は実施の形態5に係るタッチパネルに設けられた他の垂直電極を構成する第一の基本形状を示す図であり、(b)は上記他の垂直電極の構成を示す図である。
【図22】(a)は実施の形態5に係るタッチパネルに設けられた他の水平電極を構成する第二の基本形状を示す図であり、(b)は上記他の水平電極の構成を示す図である。
【図23】(a)は上記タッチパネルに設けられた変形例の垂直電極を構成する第一の基本形状を示す図であり、(b)は変形例の水平電極を構成する第二の基本形状を示す図である。
【図24】(a)は上記タッチパネルに設けられた他の変形例の垂直電極を構成する第一の基本形状を示す図であり、(b)は他の変形例の水平電極を構成する第二の基本形状を示す図である。
【図25】実施の形態6に係る電子黒板の外観を示す図である。
【図26】従来の静電容量型タッチセンサパネルの垂直電極及び水平電極の構成を示す図である。
【図27】従来の他の静電容量型タッチセンサパネルの垂直電極及び水平電極の構成を示す図である。
【図28】(a)は従来のさらに他の静電容量型タッチセンサパネルの垂直電極の構成を示す図であり、(b)はその水平電極の構成を示す図である。
【図29】上記垂直電極と上記水平電極により形成された一様な格子を示す図である。
【図30】(a)は従来のさらに他の静電容量型タッチセンサパネルの垂直電極の構成を示す図であり、(b)はその水平電極の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の静電容量型タッチセンサパネル2に関する実施の一形態について図1〜図23に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0042】
(実施の形態1)
まず、静電容量型タッチセンサパネル2を備えたタッチセンサシステム1の全体構成を説明し、その後、タッチセンサパネル2の構成を説明する。
【0043】
(タッチセンサシステム1の全体構成)
図1は、実施の形態1に係るタッチセンサシステム1の構成を示すブロック図である。タッチセンサシステム1は、タッチパネル2と静電容量値分布検出回路22とを備えている。タッチパネル2には、水平方向に沿って互いに平行に配置された複数の水平電極7(図2・図4)と、垂直方向に沿って互いに平行に配置された垂直電極6(図2・図3)と、水平電極7と垂直電極6との交点にそれぞれ形成される静電容量とを備えている。
【0044】
複数の水平電極7はアドレスラインHL1〜HLMにそれぞれ接続され、複数の垂直電極6はアドレスラインVL1〜VLMにそれぞれ接続されている。
【0045】
静電容量値分布検出回路22は、ドライバ16を備えている。ドライバ16は、符号系列に基づいてアドレスラインHL1〜HLMを介して複数の水平電極7に電圧を印加して各静電容量を駆動する。静電容量値分布検出回路22には、センスアンプ17が設けられている。センスアンプ17は、ドライバ16により駆動された各静電容量に対応する電荷の線形和を、複数の垂直電極6及びアドレスラインVL1〜VLMを通して読み出して、AD変換器19に供給する。AD変換器19は、アドレスラインVL1〜VLMを通して読み出した各静電容量に対応する電荷の線形和をAD変換して容量分布計算部20に供給する。
【0046】
なお、本発明の実施の形態では、水平電極に電圧を印加して駆動し、垂直電極から電圧信号を読み出す例を示すが、本発明はこれに限定されない。垂直電極に電圧を印加して駆動し、水平電極から電圧信号を読み出すように構成してもよい。
【0047】
容量分布計算部20は、AD変換器19から供給された各静電容量に対応する電荷の線形和と符号系列とに基づいて、タッチパネル2上の静電容量分布を計算してタッチ認識部21に供給する。タッチ認識部21は、容量分布計算部20から供給された静電容量分布に基づいて、タッチパネル2上のタッチされた位置を認識する。
【0048】
静電容量値分布検出回路22は、タイミングジェネレータ18を有している。タイミングジェネレータ18は、ドライバ16の動作を規定する信号と、センスアンプ17の動作を規定する信号と、AD変換器19の動作を規定する信号とを生成して、ドライバ16、センスアンプ17、及びAD変換器19に供給する。
【0049】
(タッチセンサパネル2の構成)
図2は、タッチセンサシステム1に設けられたタッチパネル2の構成を説明するための断面図である。タッチパネル2は、基板3(絶縁体)と、基板3の一方の面4(垂直電極面)に形成された複数の垂直電極6と、基板3の他方の面5(水平電極面)に形成された複数の水平電極7とを備えている。
【0050】
基板3は、絶縁性を有する誘電体基板である。そして、基板3は、複数の垂直電極6と複数の水平電極7との間に配置されて、複数の垂直電極6と複数の水平電極7とを絶縁する。基板3の垂直電極6側には、透明接着剤13が垂直電極6を覆うように形成されている。透明接着剤13の上には、カバーフィルム15が接着されている。基板3の水平電極7側には、透明接着剤14が水平電極7を覆うように形成されている。透明接着剤14には、ディスプレイ12が接着されている。
【0051】
(垂直電極6の構成)
図3(a)はタッチパネル2に設けられた垂直電極6を構成する第一の基本形状8を示す図であり、(b)は垂直電極6の構成を示す図である。
【0052】
垂直電極6は、図2を参照して前述したように、基板3の一方の面4に形成されており、図3(a)に示す細線で形成された第一の基本形状8を、図3(b)に示すように垂直方向に繰り返し接続して形成されている。基本形状8は、垂直中心線C1に対して線対称に形成されている。そして、基本形状8は、斜め45度傾斜した細線及び斜めマイナス45度傾斜した細線のみによって構成されている。垂直電極6は、水平方向に所定の間隔を空けて、例えば約7mmピッチで、基板3の一方の面4上(図2)に配置されている。
【0053】
このように、傾斜した細線によって基本形状8を構成すると、タッチパネル2を重ねた液晶ディスプレイ12に形成された画素を細線が遮蔽してしまうことがないので、モアレの発生を防止することができる。
【0054】
(水平電極7の構成)
図4(a)はタッチパネル2に設けられた水平電極7を構成する第二の基本形状9を示す図であり、(b)は水平電極7の構成を示す図である。
【0055】
水平電極7は、図2を参照して前述したように、基板3の他方の面5に形成されており、図4(a)に示す細線で形成された第二の基本形状9を、図4(b)に示すように水平方向に繰り返し接続して形成されている。基本形状9は、垂直中心線C1に対して線対称に形成されている。そして、基本形状9は、基本形状8と同様に、斜め45度に傾斜した細線及び斜めマイナス45度に傾斜した細線のみによって構成されている。水平電極7は、垂直方向に所定の間隔を空けて、例えば約7mmピッチで、基板3の他方の面5上(図2)に配置されている。
【0056】
垂直電極6及び水平電極7は、例えば、金属薄膜のエッチングにより形成されるか、あるいは、導電性のナノ粒子を含むインクによって印刷形成される。導電性のナノ粒子は、銀、金、白金、パラジウム、銅、カーボン、またはそれらの混合物を含む。
【0057】
(格子の構成)
図5は、複数の垂直電極6と複数の水平電極7とにより形成された一様な格子10を示す図である。複数の垂直電極6と複数の水平電極7とは、基板3(図2)に垂直な方向から見ると、互いに重なる線分を持たないように配置されている。そして、複数の垂直電極6と複数の水平電極7とは、隙間無く一様に配置された格子10を形成する。格子10の輪郭は、長方形状に形成されている。
【0058】
垂直電極6を構成する基本図形8及び水平電極7を構成する基本図形9は、線対称に形成されており、複数の垂直電極6と複数の水平電極7とにより構成される格子10は、開口が生じることなく、隙間無く形成されている。このため、図25に示す従来の構成のように、格子の存在しない十字状の開口97が生じ、当該開口97が視認されて視認性が低下するという問題が解消する。また、図25に示す従来の構成では、生じた開口97の周辺では容量変化の態様が開口から離れた場所での容量変化の態様と異なってくるという問題が生じるが、図5に示す実施の形態1の構成では、開口が生じないため、容量変化の態様が基板3全体で一様になるという効果を奏する。
【0059】
また、図28に示す構成では、垂直電極71は、基本図形74を垂直方向に繰り返して形成した後、基本図形74とは異なる基本図形75を接合して垂直電極71を構成する。そして、水平電極72は、基本図形76を水平方向に繰り返して形成した後、基本図形76とは異なる基本図形77を接合して水平電極72を構成する。このため、垂直電極71と水平電極72とを重ね合わせて格子73を形成すると、図29に示すように、格子73の下辺において基本図形75によるジグザグ形状78が現れ、格子73の左辺において基本図形77によるジグザグ形状79が現れる。このようなジグザグ形状78・79が現れると、水平電極72を駆動するアドレスラインを、ジグザグ形状79を構成する水平電極72にそのまま容易に接合することが困難であり、垂直電極71を駆動するアドレスラインを、ジグザグ形状78を構成する垂直電極71にそのまま容易に接合することが困難であるという問題が生じる。
【0060】
これに対して図5に示す実施の形態1の構成によれば、格子10は、その輪郭が長方形状に形成されて、ジグザグ形状が現れない。このため、水平電極7を駆動するアドレスラインをそのまま容易に水平電極7に接合することができ、垂直電極6から信号を読み出すためのアドレスラインをそのまま容易に垂直電極6に接合することができる。
【0061】
さらに、図30(a)に示す構成では、導電X軸62は、導電Xパッド63と導電Xライン64とを組み合わせた基本形状を垂直方向に繰り返して形成した後、この導電Xパッド63と導電Xライン64とを組み合わせた基本形状とは異なる基本形状である導電Xパッド63aを接合して導電X軸62を構成している。従って、図30(a)に示す導電X軸62は、基本形状を垂直方向に繰り返し接続して形成されていないから、図3に示す実施の形態1の垂直電極6とは構成が異なる。
【0062】
そして、図30(b)に示す導電Y軸67は、導電Yパッド68と導電Yライン69とを組み合わせた基本形状を水平方向に繰り返して形成した後、この導電Yパッド68と導電Yライン69とを組み合わせた基本形状とは異なる基本形状である導電Yパッド68aを接合して導電Y軸67を構成している。従って、図30(b)に示す導電Y軸67は、基本形状を水平方向に繰り返し接続して形成されていないから、図4に示す実施の形態1の水平電極7とは構成が異なる。
【0063】
このように、本願発明の実施の形態では、基本形状を垂直方向または水平方向に繰り返し接続して形成するので、垂直電極、水平電極の設計が容易になり、電極の自動生成や自動修正等が可能になる。また、タッチパネル製造に用いるフォトマスク及びタッチパネル製品の検査を、繰り返し画像処理により行えるため、タッチパネルの製造も容易に行うことができる。
【0064】
また、図30に示す導電Xパッド63及び導電Yパッド68を、Y軸及びX軸に平行でない斜め方向に延びる細線により構成すると、導電Xライン64はY軸に平行である必要があり、導電Yライン69はX軸に平行である必要があるため、一様な格子を構成することができないという問題が生じる。
【0065】
実施の形態1に係るタッチパネル2を製造する際、図2に示すように垂直電極6と水平電極7とを同一シート(基板3)の両面に形成する構成と、垂直電極6を形成したシートと水平電極7を形成したシートとを張り合わせる構成とが考えられる。いずれの場合も、位置合わせ精度や張り合わせ精度により、垂直電極6と水平電極7との位置関係が実施の形態1で開示した位置関係から微妙にずれることはありうる。そこで、要求されるタッチ位置検出精度に応じて、タッチパネル製造工程における位置合わせ精度、張り合わせ精度を決める必要がある。
【0066】
(変形例)
図6(a)はタッチパネル2に設けられた変形例の垂直電極6aを構成する第一の基本形状8aを示す図であり、図6(b)は上記変形例の垂直電極6aの構成を示す図である。基本形状8aは、上側の細線の配線経路と下側の細線の配線経路とが、接続点Q1において、細線1本分に絞られて接続されている。そして、基本形状8aは、垂直中心線C1に対して線対称である。
【0067】
図7(a)はタッチパネル2に設けられた変形例の水平電極7aを構成する第二の基本形状9aを示す図であり、図7(b)は上記変形例の水平電極7aの構成を示す図である。基本形状9aは、左側の細線の配線経路と中央の細線の配線経路とが、接続点Q2において、細線1本分に絞られて接続されている。そして、中央の細線の配線経路と右側の細線の配線経路とが、接続点Q3において、細線1本分に絞られて接続されている。また、基本形状9aは、垂直中心線C1に対して線対称である。
【0068】
図8は、変形例の垂直電極6aと変形例の水平電極7aとにより形成された一様な格子10aを示す図である。図5に示す格子10と同様に、複数の垂直電極6aと複数の水平電極7aとは、基板3(図2)に垂直な方向から見ると、互いに重なる線分を持たないように配置されている。そして、複数の垂直電極6aと複数の水平電極7aとは、隙間無く一様に配置された格子10aを形成する。格子10aの輪郭は、長方形状に形成されている。
【0069】
図6〜図8に示す垂直電極6a、水平電極7a及び格子10aの構成は、図3〜図5に示す垂直電極6、水平電極7及び格子10の構成と同様の効果を奏する。
【0070】
図9(a)は上記変形例の垂直電極6aの第一の基本形状8aに透明電極材料23を埋め込んだ構成を示す図であり、(b)は透明電極材料23を埋め込んだ変形例の垂直電極6aを示す図である。図10(a)は変形例の水平電極7aの第二の基本形状9aに透明電極材料23を埋め込んだ構成を示す図であり、(b)は透明電極材料23を埋め込んだ変形例の水平電極7aを示す図である。
【0071】
図9に示すように、第一の基本形状8aからなる垂直電極6aの外郭に沿って透明電極材料23を埋め込むことにより、垂直電極6aの抵抗値をさらに下げることができる。そして、図10に示すように、第二の基本形状9aからなる水平電極7aの外郭にほぼ沿って透明電極材料23を埋め込むことにより、水平電極7aの抵抗値をさらに下げることができる。透明電極材料23は、例えば、ITO膜、または、グラフェンにより構成することができる。
【0072】
これにより、細線の線幅をさらに細かくすることができ、視認性を下げることができる。細線の線幅が、例えば、0.5mm以上に広いと、タッチパネル設けた表示装置の画面に視聴者が近づくと、細線が視認される。
【0073】
図11(a)は変形例の垂直電極6aにアドレスラインVL1〜VLMを接続した構成を示す図であり、(b)は変形例の水平電極7aにアドレスラインHL1〜HLMを接続した構成を示す図であり、(c)はアドレスラインVL1〜VLM、HL1〜HLMを接続した垂直電極6a及び水平電極7aにより構成される格子10aを示す図である。
【0074】
垂直電極6a及び水平電極7aにより構成される格子10aは、格子10と同様に、その輪郭が長方形状に形成されて、ジグザグ形状が現れない。このため、水平電極7aを駆動するアドレスラインHL1〜HLMをそのまま容易に水平電極7aに接合することができ、垂直電極6aから信号を読み出すためのアドレスラインVL1〜VLMをそのまま容易に垂直電極6aに接合することができる。
【0075】
(実施の形態2)
(垂直電極6bの構成)
図12(a)は実施の形態2に係るタッチパネルに設けられた垂直電極6bを構成する第一の基本形状8bを示す図であり、図12(b)は垂直電極6bの構成を示す図である。垂直電極6bは、図2を参照して前述したように、基板3の一方の面4に形成されており、細線で形成された第一の基本形状8bを、垂直方向に繰り返し接続して形成されている。基本形状8bは、中心点Pに対して点対称に形成されている。そして、基本形状8bは、斜め45度傾斜した細線及び斜めマイナス45度傾斜した細線のみによって構成されている。垂直電極6bは、水平方向に所定の間隔を空けて、例えば約7mmピッチで、基板3の一方の面4上(図2)に配置されている。
【0076】
(水平電極7bの構成)
図13(a)は実施の形態2に係るタッチパネルに設けられた水平電極7bを構成する第二の基本形状9bを示す図であり、(b)は水平電極7bの構成を示す図である。水平電極7bは、図2を参照して前述したように。基板3の他方の面5に形成されており、図13(a)に示す細線で形成された第二の基本形状9bを、水平方向に繰り返し接続して形成されている。基本形状9bは、中心点Pに対して点対称に形成されている。そして、基本形状9bは、基本形状8bと同様に、斜め45度に傾斜した細線及び斜めマイナス45度に傾斜した細線のみによって構成されている。水平電極7bは、垂直方向に所定の間隔を空けて、例えば約7mmピッチで、基板3の他方の面5上(図2)に配置されている。
【0077】
(実施の形態3)
(垂直電極6cの構成)
図14(a)は実施の形態3に係るタッチパネルに設けられた垂直電極6cを構成する第一の基本形状8cを示す図であり、図14(b)は垂直電極6cの構成を示す図である。垂直電極6cは、図2に示す基板3の一方の面4に形成されており、細線で形成された第一の基本形状8cを、垂直方向に繰り返し接続して形成されている。基本形状8cは、垂直中心線C1に対して線対称に形成されているとともに、水平中心線C2に対しても線対称に形成されている。そして、基本形状8cは、斜め45度傾斜した細線及び斜めマイナス45度傾斜した細線のみによって構成されている。垂直電極6cは、水平方向に所定の間隔を空けて、例えば約7mmピッチで、基板3の一方の面4上(図2)に配置されている。
【0078】
(水平電極7cの構成)
図15(a)は実施の形態3に係るタッチパネルに設けられた水平電極7cを構成する第二の基本形状9cを示す図であり、図15(b)は水平電極7cの構成を示す図である。水平電極7cは、図2に示す基板3の他方の面5に形成されており、細線で形成された第二の基本形状9cを、水平方向に繰り返し接続して形成されている。基本形状9cは、垂直中心線C1に対して線対称に形成されているとともに、水平中心線C2に対しても線対称に形成されている。そして、基本形状9cは、斜め45度に傾斜した細線及び斜めマイナス45度に傾斜した細線のみによって構成されている。水平電極7cは、垂直方向に所定の間隔を空けて、例えば約7mmピッチで、基板3の他方の面5上(図2)に配置されている。
【0079】
(垂直電極、水平電極を対称に構成する効果)
図28に示す従来の構成では、垂直電極71及び水平電極72とも中心線対称でも無く、中心点対象でも無い。このため、図28に示す電極分布を持つ静電容量型タッチセンサでは、タッチ面積の小さい物体による容量変化に位置による対称性が無い。従って、タッチ位置検出の際に対称な位置補正が行えず、位置検出精度を向上するアルゴリズムが複雑になるという課題が生ずる。これは、演算量、回路規模、メモリ量の増大を招き、消費電力やコストの増大につながる。
【0080】
これに対して、垂直電極または水平電極を線対称または点対称に構成すると、ペン等のタッチ面積の小さい物体による容量変化に同様な対称性が現れる。この容量変化の対称性を用いることにより、タッチ位置検出の際に対称な位置補正が行え、位置検出精度を向上することができる。
【0081】
このように、位置検出精度の課題を解消するために、本発明の実施の形態では、細い配線を用いた対称性のあるダイヤモンド形状の構成を利用する。これにより、30インチ以上の大きな静電容量型タッチセンサにおいて、ペン等のタッチ面積の小さい物体による位置検出を高精度で行うことが可能になる。
【0082】
(実施の形態4)
(垂直電極6dの構成)
図16(a)は実施の形態4に係るタッチパネルに設けられた垂直電極6dを構成する第一の基本形状8dを示す図であり、(b)は垂直電極6dの構成を示す図である。垂直電極6dは、図6に示した垂直電極6aの格子ピッチを(7/5)倍に変更したものである。基本形状8dは、上側の細線の配線経路と下側の細線の配線経路とが、接続点Q4において、細線1本分に絞られて接続されている。そして、基本形状8dは、垂直中心線C1に対して線対称である。
【0083】
図17(a)は実施の形態4に係るタッチパネルに設けられた水平電極7dを構成する第二の基本形状9dを示す図であり、(b)は水平電極7dの構成を示す図である。水平電極7dは、図7に示した水平電極7aの格子ピッチを(7/5)倍に変更したものである。水平電極7dは、左側の細線の配線経路と中央の細線の配線経路とが、接続点Q5において、細線1本分に絞られて接続されている。そして、中央の細線の配線経路と右側の細線の配線経路とが、接続点Q6において、細線1本分に絞られて接続されている。また、基本形状9dは、垂直中心線C1に対して線対称である。
【0084】
(実施の形態5)
(垂直電極6eの構成)
図18(a)は実施の形態5に係るタッチパネルに設けられた垂直電極6eを構成する第一の基本形状8eを示す図であり、(b)は垂直電極6eの構成を示す図である。垂直電極6eは、細線で形成された第一の基本形状8eを、垂直方向に繰り返し接続して形成されている。基本形状8eは、垂直中心線C1に対して線対称に形成されている。
【0085】
そして、基本形状8eは、上側の細線の配線経路と下側の細線の配線経路とが、細線1本分に絞られて接続されている箇所を有さず、常に、少なくとも2箇所の細線部分により垂直方向に接続されている。
【0086】
(水平電極7eの構成)
図19(a)は実施の形態5に係るタッチパネルに設けられた水平電極7eを構成する第二の基本形状9eを示す図であり、(b)は水平電極7eの構成を示す図である。水平電極7eは、細線で形成された第二の基本形状9eを、水平方向に繰り返し接続して形成されている。基本形状9eは、垂直中心線C1に対して線対称に形成されている。
【0087】
そして、基本形状9eは、左側の細線の配線経路と右側の細線の配線経路とが、細線1本分に絞られて接続されている箇所を有さず、常に、少なくとも2箇所の細線部分により水平方向に接続されている。
【0088】
(格子10eの構成)
図20は、垂直電極6eと水平電極7eにより形成された一様な格子10eを示す図である。複数の垂直電極6eと複数の水平電極7eとは、基板3(図2)に垂直な方向から見ると、互いに重なる線分を持たないように配置されている。そして、複数の垂直電極6eと複数の水平電極7eとは、隙間無く一様に配置された格子10eを形成する。格子10eの輪郭は、長方形状に形成されている。
【0089】
(垂直電極6fの構成)
図21(a)は実施の形態5に係るタッチパネルに設けられた他の垂直電極6fを構成する第一の基本形状8fを示す図であり、(b)は上記他の垂直電極6fの構成を示す図である。垂直電極6fは、細線で形成された第一の基本形状8fを、垂直方向に繰り返し接続して形成されている。基本形状8fは、垂直中心線C1に対して線対称に形成されている。
【0090】
そして、基本形状8fは、基本形状8eと同様、上側の細線の配線経路と下側の細線の配線経路とが、細線1本分に絞られて接続されている箇所を有さず、常に、少なくとも2箇所の細線部分により垂直方向に接続されている。
【0091】
(水平電極7fの構成)
図22(a)は実施の形態5に係るタッチパネルに設けられた他の水平電極7fを構成する第二の基本形状9fを示す図であり、(b)は上記他の水平電極7fの構成を示す図である。水平電極7fは、細線で形成された第二の基本形状9fを、水平方向に繰り返し接続して形成されている。基本形状9fは、垂直中心線C1に対して線対称に形成されている。
【0092】
そして、基本形状9fは、基本形状9eと同様、左側の細線の配線経路と右側の細線の配線経路とが、細線1本分に絞られて接続されている箇所を有さず、常に、少なくとも2箇所の細線部分により水平方向に接続されている。
【0093】
図28に示す構成に内在するもう一点の問題点として、図28(a)の垂直電極71、及び図28(b)の水平電極72とも、配線経路が細線一本分に絞られて接続される部分を持つことが挙げられる。タッチセンサパネルの製造工程において、この細線一本分に絞られている部分が断線すると、電極全体に通電できなくなるため、断線の可能性のある製造工程を用いる場合は、タッチセンサパネルの歩留まりを低下させるという課題が生じる。
【0094】
これに対して本発明の実施形態では、基本形状8e・8f、基本形状9e・9fは、配線経路が細線1本分に絞られて接続されている箇所を有さず、常に、少なくとも2箇所の細線部分により接続されている。このため、製造工程において1本の細線が切れても、残りの細線により接続が維持され、垂直電極6e・6f、水平電極7e・7fの断線を防止することができるという効果を奏する。
【0095】
(変形例の第一の基本形状8g・第二の基本形状9gの構成)
図23(a)は変形例の第一の基本形状8gを示す図であり、(b)は変形例の第二の基本形状9gを示す図である。
【0096】
基本形状8gは、上側の細線の配線経路と下側の細線の配線経路とが、細線1本分に絞られて接続されている箇所を有さず、常に、少なくとも2箇所の細線部分により垂直方向に接続されている。そして、基本形状8gは、中心点Pに対して点対称に形成されている。
【0097】
基本形状9gは、左側の細線の配線経路と右側の細線の配線経路とが、細線1本分に絞られて接続されている箇所を有さず、常に、少なくとも2箇所の細線部分により水平方向に接続されている。そして、基本形状9gは、中心点Pに対して点対称に形成されている。
【0098】
(他の変形例の第一の基本形状8h・第二の基本形状9hの構成)
図24(a)は他の変形例の第一の基本形状8hを示す図であり、図24(b)は他の変形例の第二の基本形状9hを示す図である。
【0099】
基本形状8hは、上側の細線の配線経路と下側の細線の配線経路とが、細線1本分に絞られて接続されている箇所を有さず、常に、少なくとも2箇所の細線部分により垂直方向に接続されている。そして、基本形状8hは、垂直中心線C1及び水平中心線C2に対して線対称に形成されている。
【0100】
基本形状9hは、左側の細線の配線経路と右側の細線の配線経路とが、細線1本分に絞られて接続されている箇所を有さず、常に、少なくとも2箇所の細線部分により水平方向に接続されている。そして、基本形状9hは、垂直中心線C1及び水平中心線C2に対して線対称に形成されている。
【0101】
(実施の形態6)
(電子黒板50の構成)
図25は、実施の形態6に係る電子黒板50(情報入出力装置)の外観を示す図である。電子黒板50は、本発明の実施の形態に係るタッチセンサシステム1を備えており、タッチセンサシステム1は、本発明の実施の形態に係るタッチパネル2を有している。タッチパネル2は、例えば約80インチのサイズを有している。
【0102】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、水平方向に所定の間隔を空けて垂直電極面上に配置された複数の垂直電極と、垂直方向に所定の間隔を空けて垂直電極面に平行な水平電極面上に配置された複数の水平電極と、垂直電極面と水平電極面との間に配置されて複数の垂直電極と複数の水平電極とを絶縁する絶縁体とを備えた静電容量型タッチセンサパネル、及びこれを用いた静電容量型タッチセンサシステム、情報入出力装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 タッチセンサシステム(静電容量型タッチセンサシステム)
2 タッチパネル(静電容量型タッチセンサパネル)
3 基板(絶縁体)
4 面(垂直電極面)
5 面(水平電極面)
6 垂直電極
7 水平電極
8 基本形状(第一の基本形状)
9 基本形状(第二の基本形状)
10 格子
12 ディスプレイ
13、14 透明接着剤
15 カバーフィルム
16 ドライバ
17 センスアンプ
18 タイミングジェネレータ
19 AD変換器
20 容量分布計算部
21 タッチ認識部
22 静電容量値分布検出回路
50 電子黒板(情報入出力装置)
C1 垂直中心線
C2 水平中心線
P 中心点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細線で形成された第一の基本形状を垂直方向に繰り返し接続して形成され、水平方向に所定の間隔を空けて垂直電極面上に配置された複数の垂直電極と、
細線で形成された第二の基本形状を水平方向に繰り返し接続して形成され、垂直方向に所定の間隔を空けて前記垂直電極面に平行な水平電極面上に配置された複数の水平電極と、
前記垂直電極面と前記水平電極面との間に配置されて前記複数の垂直電極と前記複数の水平電極とを絶縁する絶縁体とを備え、
前記複数の垂直電極と前記複数の水平電極とは、前記垂直電極面に垂直な方向から見て、互いに重なる線分を持たないように配置され、隙間無く一様な格子を形成することを特徴とする静電容量型タッチセンサパネル。
【請求項2】
前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状を形成する線分は、斜め方向に沿って形成されている請求項1に記載の静電容量型タッチセンサパネル。
【請求項3】
前記格子は、輪郭が長方形状に形成されている請求項1に記載の静電容量型タッチセンサパネル。
【請求項4】
前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状は、垂直方向に延びる垂直中心線に対して線対称である請求項1ないし3のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサパネル。
【請求項5】
前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状は、点対称である請求項1ないし3のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサパネル。
【請求項6】
前記第一の基本形状及び前記第二の基本形状は、垂直方向に延びる垂直中心線及び水平方向に延びる水平中心線のそれぞれに対して線対称である請求項1ないし3のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサパネル。
【請求項7】
前記第一の基本形状は、少なくとも2箇所の細線部分により垂直方向に接続されており、
前記第二の基本形状は、少なくとも2箇所の細線部分により水平方向に接続されている請求項1ないし3のいずれかに記載の静電容量型タッチセンサパネル。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載のタッチセンサパネルを備えた静電容量型タッチセンサシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のタッチセンサシステムを備えた情報入出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−69257(P2013−69257A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234333(P2011−234333)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】