説明

静電容量型入力装置及びそれを備えた電子機器。

【課題】電極の材料の選択の自由度が向上し光透過性を確保した静電容量型入力装置及びそれを備えた電子機器を提供すること課題とする。
【解決手段】実施例1の静電容量型入力装置は、光透過性を有したベース板(1)と、ベース板(1)に対して背面側に形成され、互いに交差するY方向及びX方向にそれぞれ延びた第1電極(10a〜10c)及び第2電極(20a〜20d)と、を備え、第1電極(10a)は、開口部(10a5)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型入力装置及びそれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静電容量型の入力装置が開示されている。静電容量型の入力装置は、平面内における第1及び第2方向にそれぞれ延びた第1及び第2電極を採用している。第1及び第2電極の背面側には、第1及び第2電極の背面側から正面側に光を照射する発光手段を採用したものがある。発光手段としては、例えば、LEDや有機EL、発光すると共に映像を表示可能なディスプレイなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−123106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、操作の検出精度を考慮して、第1及び第2電極はユーザの指が接触する操作領域の全面を覆うように形成される。また、第1及び第2電極が操作領域の全面を覆うことに伴い、発光手段からの光が第1及び第2電極に妨げられるおそれがある。この点を考慮して、第1及び第2電極としては透明な電極が採用されている。
【0005】
このように、従来の静電容量型の入力装置においては、第1及び第2電極としては透明な電極を採用することが前提となっている。発光手段からの光の透過性を考慮して第1及び第2電極として透明な電極を採用する場合、第1及び第2電極の材料の選択が制限される。即ち、コストや抵抗値等の特性を考慮して広範囲の材料の中から、電極に適した材料を選択することが困難であった。
【0006】
そこで本発明は、電極の材料の選択の自由度が向上し光透過性を確保した静電容量型入力装置及びそれを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、光透過性を有したベース板と、前記ベース板に対して一方側に形成され、互いに交差する第1及び第2方向にそれぞれ延びた第1及び第2電極と、を備え、前記第1電極は、開口部を含む、静電容量型入力装置によって達成できる。
【0008】
これにより、第1及び第2電極に透明以外の電極を採用した場合であっても、開口部では、第1及び第2電極の背面側から正面側に向かって光が透過する。これにより、電極の材料の選択の自由度が向上し、製造コストの低い印刷工法によって生産可能な、光透過性を確保した静電容量型入力装置を提供できる。
【0009】
また、上記目的は、光透過性を有したベース板と、前記ベース板に対して一方側に形成され、互いに交差する第1及び第2方向にそれぞれ延びた第1及び第2電極と、基材部、前記基材部と光透過率が相違し模様が施された指標部、を有した装飾層と、を備え、前記第1及び第2電極は、前記ベース板の正面から見て前記指標部から退避している、静電容量型入力装置によって達成できる。
【0010】
これにより、第1及び第2電極に透明以外の電極を採用した場合であっても、指標部においては、第1及び第2電極の背面側から正面側に向かって光が透過する。これにより、電極の材料の選択の自由度が向上し光透過性を確保した静電容量型入力装置を提供できる。
【0011】
上記目的は、上記の静電容量型入力装置を備えた電子機器によっても達成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電極の材料の選択の自由度が向上し光透過性を確保した静電容量型入力装置及びそれを備えた電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1の静電容量型入力装置を正面から見た透視図である。
【図2】図2は、指標部周辺の拡大図である。
【図3】図3A、3Bは、実施例1の静電容量型入力装置の断面図である。
【図4】図4は、従来の静電容量型入力装置に採用される電極の形状の説明図である。
【図5】図5A、5Bは、実施例1の静電容量型入力装置の製造方法の説明図である。
【図6】図6A、6Bは、実施例1の静電容量型入力装置の製造方法の説明図である。
【図7】図7A、7Bは、実施例1の静電容量型入力装置の製造方法の説明図である。
【図8】実施例2の静電容量型入力装置における指標部周辺の拡大図である。
【図9】図9A、9Bは、実施例2の静電容量型入力装置の断面図である。
【図10】図10は、実施例3の静電容量型入力装置における指標部周辺の拡大図である。
【図11】図11は、実施例3の静電容量型入力装置の断面図である。
【図12】図12は、実施例4の静電容量型入力装置の断面図である。
【図13】図13は、実施例5の静電容量型入力装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して複数の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1の静電容量型入力装置を正面から見た透視図である。静電容量型入力装置は、薄いシート状である。図1に示すように、静電容量型入力装置は、ベース板1、装飾層3、導電層5、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20c、レジスト30、連結電極40、透明電極層51、背面電極層57を含む。第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20cは、詳しくは後述するがベース板1の背面側に形成されている。図1において、静電容量型入力装置の構成の一部を省略してある。
【0016】
第1電極10a〜10cのそれぞれは、静電容量型入力装置の平面内において第1方向、即ちY方向に延びている。第1電極10a〜10cは、ユーザの操作位置のX方向の位置を検出するためのものである。第2電極20a〜20dのそれぞれは、静電容量型入力装置の平面内において、第2方向、即ちX方向に延びている。第2電極20a〜20dは、ユーザの操作位置のY方向の位置を検出するためのものである。尚、第1電極10aが延びた第1方向と、第2電極20aが延びた第2方向とは互いに交差していれば直交していなくてもよい。
【0017】
第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dは、それぞれ分離している。第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dは、導電性を有し光透過性を有しない材料によって形成され、有色である。尚、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dは、ITO(Indium Tin Oxide)等の光透過性の高い材料によって形成されていてもよい。
【0018】
装飾層3は、基材部、基材部の複数の所定箇所に模様が施された指標部3aが形成されている。指標部3aは、ユーザに、検出可能な位置を視認させる機能を有している。図1に例示した静電容量型入力装置においては、指標部3aに数字、記号が記載された例を示している。指標部3aは、数字、記号以外の文字や、図柄であってもよい。また、一つの指標部3aは、数字、記号、文字、及び図柄のうち少なくとも2つを組み合わせたものであってもよい。第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dは、指標部3aと重ならないように指標部3aから退避している。
【0019】
ベース板1の正面から見て、複数の導電層5は、それぞれ複数の指標部3aに重なるように設けられている。導電層5は、それぞれ略円形状であるが、このような形状に限定されない。複数の導電層5は、互いに分離している。
【0020】
指標部3a周辺の構造について説明する。
図2は、指標部3a周辺の拡大図である。第1電極10aは、Y方向に延びた直線状の主経路部11a1、11a2、主経路部11a1から分岐して再び主経路部11a2と連続した分岐路部12a、13aを有している。分岐路部12a、13aは、指標部3aを囲っている。分岐路部12a、13aは、全体で略円形状である。
【0021】
分岐路部12a、13aは、全体で略多角形状であってもよい。分岐路部12a、13aの少なくとも一つが直線状であってもよい。分岐路部12a、13aは、指標部3a周囲を包囲しているが、一部分が破断していても、分岐路部12a、13aの少なくとも一方が再び主経路部11a2に連続すればよい。
【0022】
分岐路部12a、13aは、開口部10a5を画定する。即ち、第1電極10aは、開口部10a5を有している。開口部10a5内に指標部3aが位置している。開口部10a5は、略円形状であるがこれに限定されず例えば多角形状であってもよい。
【0023】
第2電極20bは、X方向に延びた直線状の主経路部21b1、21b2、主経路部21b1から分岐した22b1、23b1、主経路部21b2から分岐した分岐路部22b2、23b2を有している。後述するように、分岐路部23b1、23b2は、連結電極40を介して接続され、主経路部21b1と主経路部21b2とが連続したものとなっている。分岐路部22b1の終端は主経路部11a2と対向し、分岐路部23b1の終端は主経路部11a1と対向している。分岐路部22b2、23b2は、主経路部21b2から分岐している。分岐路部22b2の終端は主経路部11a2と対向している。分岐路部23b2の終端は主経路部11a1と対向している。分岐路部23b1の終端と分岐路部23b2の終端とは、連結電極40を介して導通している。
【0024】
分岐路部22b1、23b1は、分岐路部12aに沿うように分岐路部12aの外側に形成され、円弧状である。分岐路部22b2、23b2も同様に、分岐路部13aに沿うように分岐路部13aの外側に形成され、円弧状である。分岐路部22b1、22b2、23b1、23b2全体で略円形状となる。第2電極20bは、ベース板1の正面から見て第1電極10aの外側に形成されている。
【0025】
分岐路部22b1、22b2、23b1、23b2は、全体で略多角形状であってもよい。分岐路部22b1、22b2、23b1、23b2の少なくとも一つが直線状であってもよい。
【0026】
分岐路部22b1、22b2、23b1、23b2は、開口部20b5を画定する。即ち、第2電極20bは、開口部20b5を有している。開口部20b5内に、分岐路部12a、13a、指標部3aが位置している。開口部20b5は、略円形状であるがこれに限定されず例えば多角形状であってもよい。
【0027】
導電層5は、指標部3a周囲に設けられた分岐路部12a、13a、22b1、22b2、23b1、23b2の形状に対応させるために略円形状に形成されている。導電層5は、ベース板1の正面から見て、指標部3a、分岐路部12a、13a、22b1、22b2、23b1、23b2に重なっている。導電層5は、光透過性の高い材料により形成されており、透明である。尚、隣接する導電層5同士は接触していない。
【0028】
図3A、3Bは、実施例1の静電容量型入力装置の断面図である。図3Aは、図2のA−A断面図、図3Bは、図2のB−B断面図である。図3Aに示すように、ベース板1の上面はユーザの指Fと接触する。静電容量型入力装置は、図3Aの上側から下側に順に、ベース板1、装飾層3、導電層5、絶縁層7、絶縁層50、透明電極層51、発光層53、誘電体層55、背面電極層57、保護層59が形成されている。絶縁層7の表面に、主経路部11a1、23b1、23b2、レジスト30、連結電極40が形成されている。ベース板1、装飾層3、導電層5、絶縁層7、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dは、静電容量検出層、即ちタッチパネルとしての機能を実現している。絶縁層50、透明電極層51、発光層53、誘電体層55、背面電極層57、保護層59は、発光手段の一例である無機エレクトロルミネッセンス(Inorganic Electro-Luminescence:無機EL)素子としての機能を実現している。(以降、無機エレクトロルミネッセンス素子を単に無機EL、無機ELを構成する前記絶縁層50〜保護層59までを無機EL層という。)発光層53は、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dの背面側から正面側に向かう方向Dへ照射する。
【0029】
このように実施例1の静電容量型入力装置は、静電容量検出層と発光手段とが一体に形成されている。詳細には、静電容量検出層の基材となるベース板1に発光手段の一例である無機EL層が一体に形成されている。実施例1の静電容量型入力装置は、静電容量検出層と発光手段とを別体に設ける場合と比較して、部品としての取扱い性が向上する。また、静電容量検出層と発光手段とを別体に設けた場合と比較して、実施例1の静電容量型入力装置は薄型化が達成される。
【0030】
図3A、3Bに示すように、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dは、絶縁層7の表面上に形成され、同一の層に形成されている。図3Aに示すように、レジスト30は、主経路部11a1と、連結電極40との間の絶縁性を確保するための機能を有している。レジスト30は、主経路部11a1を覆うように形成されている。連結電極40は、導電性を有しており、分岐路部23b1と分岐路部23b2とを接続している。
【0031】
導電層5は、接触の検出精度の向上させる機能を有している。図3A、3Bに示すように、導電層5は、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dが形成されている層よりも、正面側、即ち、ユーザの指が接触する側に形成されている。導電層5は、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dの何れにも接触していない。図3A、3Bに示すように、導電層5と、第1電極10a、第2電極20bとの間には絶縁層7が形成されている。
【0032】
ユーザの指Fが導電層5と重なるように触れることにより、指Fと導電層5との間に静電容量が生じる。これに伴って、導電層5と第1電極10a、第2電極20bとの間に静電容量が生じる。これにより、検出精度が向上する。例えば、導電層5が設けられていない場合、ユーザの指Fが、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dのいずれにも重ならない場合、ユーザの指Fと第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dのいずれとの間にも十分な静電容量が生じずに、接触位置を検出できない恐れがある。導電層5が設けられていないと、例えば開口部10a5内の領域のみを触れた場合には、接触位置を検出できないおそれがある。しかしながら、導電層5が開口部10a5や指標部3aと重なるように設けられているので、上記のような検出精度の低下が防止されている。
【0033】
ここで、従来の静電容量型入力装置に採用される電極の形状について説明する。図4は、従来の静電容量型入力装置に採用される電極の形状の説明図である。図4に示すように、従来の静電容量型入力装置では、Y方向に延びた電極10xと、X方向に延びた電極20xとを有している。図4には一列しか示していないが、複数の電極10xが、X方向に並んでいる。同様に、複数の電極20xがY方向に並ぶ。電極10xは、Y方向に直線状に延びた主経路部11x1、11x2、11x3を有している。主経路部11x1と主経路部11x2との間には、主経路部11x1、11x2よりも面積が大きいパッド部15x1、主経路部11x2と主経路部11x3との間には、主経路部11x2、11x3よりも面積が大きいパッド部15x2が形成されている。パッド部15x1、15x2は、それぞれ平行四辺形状である。同様に、電極20xは、主経路部21x1と主経路部21x2との間にパッド部25x1が形成され、主経路部21x2と主経路部21x3との間にパッド部25x2が形成されている。
【0034】
このように、従来の静電容量型入力装置において、電極10x、20xはそれぞれ複数のパッド部を有し、この複数のパッド部がユーザが触れる操作領域の略全面を覆うように形成されている。即ち、電極10x、20xは、ユーザが触れる操作領域の略全面を覆うように形成されている。このため、これら電極10x、20xの背面側に発光手段を配置した場合、発光手段からの光が電極10x、20xにより妨げられるおそれがある。この点を考慮して、従来の静電容量型入力装置においては、電極10x、20xに透明な電極が採用されている。しかしながら、電極10x、20xとして透明な電極しか採用できないため、電極10x、20xの材料の選択が制限される。即ち、コストや抵抗値等の特性を考慮して広範囲の材料の中から、電極に適した材料を選択することが困難であった。
【0035】
本実施例の静電容量型入力装置は、図1、図2に例示したように、第1電極10aは、開口部10a5を有している。これにより、従来の静電容量型入力装置と異なり、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dは、静電容量型入力装置の操作領域の全面を覆っていはいない。このため、発光層53からの光は、開口部10a5を透過する。換言すれば、分岐路部12a、13aとの間を光が透過する。これにより、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dに透明以外の電極を採用した場合であっても、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dの背面側から正面側に向かって光の透過を確保することができる。これにより、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dの材料の選択の自由度が向上する。
【0036】
第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dの材料として、例えば銀ペーストを採用できる。銀ペーストは、ITOよりもコストが安い。また、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dの材料としてITOを採用すると、蒸着工程やエッチング工程が必要となる。従って、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dの材料として例えば銀ペーストを採用して、スクリーン印刷工法を行なうことにより、ITOを採用した場合と比較しコストを抑えることができる。また銀は、ITOよりも抵抗値も低い。これにより抵抗値の低い第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dを形成できるので、検出精度が向上する。
【0037】
実施例1の静電容量型入力装置は、複数の導電層5を採用している。導電層5は透明であるが、複数の導電層5は、静電容量型入力装置の操作領域の全面を覆うように設けられているわけではない。従って、例えば導電層5をITOにより形成した場合であっても、従来の静電容量型入力装置のようにITOにより電極を形成した場合と比較し、製造コストを抑制できる。このように、実施例1の静電容量型入力装置は、できる限り製造コストを抑制しつつ検出精度も確保している。また、導電層5は透明であるので光の透過を妨げることはない。
【0038】
実施例1の静電容量型入力装置の製造方法について説明する。
実施例1の静電容量型入力装置は、大半の工程においてスクリーン印刷により製造する。図5A、5B、6A、6B、7A、7Bは、実施例1の静電容量型入力装置の製造方法の説明図である。図5A、5B、6A、6B、7A、7Bにおいては、背面側を示している。
【0039】
図5Aに示すように、スクリーン印刷により、ベース板1の背面側に装飾層3を形成する。ベース板1は、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム製であり厚みは約25〜200μmである。尚、ベース板1は、ポリカーボネートや、アクリル系、ポリイミド系であってもよい。ベース板1は、光透過性を有していればよい。ベース板1は可撓性を有しているが、可撓性を有していなくてもよい。装飾層3は、例えばポリエステル系樹脂製であり厚みは約5〜50μmである。装飾層3は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル製であってもよい。尚、静電容量型入力装置を製造するにあたり、装飾層3を設けなくてもよい。
【0040】
次に、図5Bに示すように、装飾層3の背面側に導電層5を形成する。導電層5は、例えばPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)であり厚みは約1〜50μmである。導電層5は、ポリチオフェン系等の有機導電性インク、ITO分散インク、カーボンナノチューブ分散インク等により形成してもよい。
【0041】
次に、導電層5を覆うように、装飾層3、導電層5の背面側に絶縁層7をスクリーン印刷により形成する。絶縁層7は、例えばポリエステル系樹脂製であり厚みは約5〜50μmである。絶縁層7は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル製であってもよい。
【0042】
次に、図6Aに示すように、絶縁層7の背面側に第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dをスクリーン印刷により形成する。第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dは、例えば銀インク(銀フィラをバインダに混ぜたもの)により形成し、厚みは約5〜50μmである。第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dは、その他、ITO分散インク、カーボン、銀カーボンインク、金インク等により形成してもよい。
【0043】
次に、図6Bに示すように、第1電極10a〜10cの背面側の一部にレジスト30をスクリーン印刷により形成する。レジスト30は、例えばポリエステル系樹脂製であり厚みは約5〜50μmである。レジスト30は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン製であってもよい。
【0044】
次に、図7Aに示すように、レジスト30の背面側、及び第2電極20a〜20dの背面側の一部に、連結電極40をスクリーン印刷により形成する。連結電極40は、例えば銀インク(銀フィラをバインダに混ぜたもの)により形成し、厚みは約5〜50μmである。連結電極40は、ITO分散インク、カーボン、銀カーボンインク、金インク等により形成してもよい。
【0045】
次に、絶縁層7、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20d、連結電極40の背面側を覆うように、絶縁層50をスクリーン印刷により形成する。絶縁層50は、例えばポリエステル系樹脂製であり厚みは約5〜50μmである。絶縁層50は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル製であってもよい。
【0046】
次に、図7Bに示すように、絶縁層50の背面側に、透明電極層51をスクリーン印刷により形成する。透明電極層51は、例えばPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)製であり厚みは約1〜30μmである。透明電極層51は、ポリチオフェン系の導電性インク、ITO分散インク、カーボンナノチューブ分散インクにより形成してもよい。透明電極層51は、無機EL用の電極として機能する。尚、図7Bにおいては、絶縁層50は省略してある。
【0047】
次に、透明電極層51の背面側に発光層53をスクリーン印刷により形成する。発光層53は、例えば蛍光体粒子とフッ素系樹脂とにより形成され厚みは約5〜50μmである。発光層53は、蛍光体粒子とセルロース系樹脂により形成してもよい。蛍光体粒子とは、硫化亜鉛、又は硫化亜鉛に他の金属(銅など)をドープしたものを含む。
【0048】
次に、発光層53の背面側に誘電体層55をスクリーン印刷により形成する。誘電体層55は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)とフッ素系樹脂とにより形成され厚みは約5〜50μmである。誘電体層55は、チタン酸バリウム(BaTiO)とセルロース系樹脂により形成してもよい。誘電体層55は、高い誘電率を有している。
【0049】
次に、誘電体層55の背面側に背面電極層57をスクリーン印刷により形成する。背面電極層57は、例えばカーボンインク(カーボンフィラをバインダに混ぜたもの)により形成され厚みは約5〜50μmである。背面電極層57は、ITO分散インク、カーボン、銀カーボンインク、金インク等により形成してもよい。背面電極層57は、無機EL用の電極として機能する。
【0050】
次に、背面電極層57の背面側に保護層59をスクリーン印刷により形成する。保護層59は、例えばポリエステル系樹脂製であり厚みは約5〜50μmである。保護層59は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル製であってもよい。
【0051】
以上のように、静電容量型入力装置は、発光手段として機能する絶縁層50〜保護層59を含めて、スクリーン印刷により製造される。このように各層を同一の方法により製造することができるので、製造コストを抑えることができる。
【実施例2】
【0052】
実施例2の静電容量型入力装置について説明する。図8は、実施例2の静電容量型入力装置における指標部3a周辺の拡大図である。図8は、図2と対応している。図8に示すように、実施例2の静電容量型入力装置には導電層5は設けられていない。従って、開口部10a5内の部分にのみユーザの指が触れた場合には、接触位置を検出できないおそれがある。しかしながら、開口部10a5の大きさを小さくすることにより対応可能である。
【0053】
図9A、9Bは、実施例2の静電容量型入力装置の断面図である。図9Aは、図8のC−C断面図、図9Bは、図8のD−D断面図である。図9A、9Bに示すように、装飾層3の背面側には導電層5は形成されていない。このため、実施例2の静電容量型入力装置は、実施例1の静電容量型入力装置よりも薄く、低コストで形成されている。
【実施例3】
【0054】
実施例3の静電容量型入力装置について説明する。図10は、実施例3の静電容量型入力装置における指標部3a周辺の拡大図である。図10は、図2と対応している。図10に示すように、導電層5aは、第1電極10aの一部にのみ重なり、導電層5bは、第2電極20bの一部にのみ重なるように形成されている。尚、図10においては、導電層5a、5bをハッチングで示している。導電層5a、5bは分離しており導通していない。導電層5a、5bは、ベース板1の正面側から見て、指標部3a、開口部10a5と重なっている。導電層5a、5bは、それぞれ、開口部10a5の略半分と重なっている。換言すれば、導電層5a、5bは、分岐路部12a、13aとの間と略重なるように形成されている。導電層5a、5bは、光透過性の高い材料により形成されており、例えばPEDOTにより形成されている。
【0055】
導電層5aは、分岐路部12aの大部分と重なっており、分岐路部13aとは重なっていない。導電層5bは、分岐路部22b2、23b2の大部分と重なっており、分岐路部22b1、23b1とは重なっていない。分岐路部13aは、実施例1、2と異なり、途中で分断した分断部13acが形成されている。導電層5bは、分岐路部12a、13aに囲まれた内側の部分から、分断部13acの間を通過して、分岐路部13aの外側にある分岐路部23b2と重なるように形成されている。
【0056】
図11は、実施例3の静電容量型入力装置の断面図であり、図10のE−E断面図である。導電層5aは分岐路部12aを覆うように形成され、導電層5bは分岐路部23b2を覆うように形成されている。これにより、導電層5aは第1電極10aと導通しており、導電層5bは第2電極20bと導通している。装飾層3の背面側に第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dを形成した後、装飾層3、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dの背面側に、導電層5a、5bをスクリーン印刷により形成する。
【0057】
ユーザの指Fが導電層5a、5bとに重なるように触れることにより、指Fと導電層5a、5bとの間に静電容量が生じる。これにより、指Fが開口部10a5の間のみと重なるように触れた場合であっても、接触位置を検出することができる。
【0058】
実施例1と異なり、実施例3では、導電層5aと第1電極10aとの間に絶縁層は形成されておらず、導電層5bと第2電極20bとの間にも絶縁層は形成されていない。これにより、実施例3では、実施例1よりも薄型化が達成されている。
【実施例4】
【0059】
実施例4の静電容量型入力装置について説明する。図12は、実施例4の静電容量型入力装置の断面図である。図12は、図3Bと対応している。ベース板1の正面側に、装飾層3、絶縁層7、導電層5、絶縁層8、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dが形成され、ベース板1の背面側に透明電極層51、発光層53、誘電体層55、背面電極層57、保護層59が形成されている。即ち、ベース板1の一方側に静電容量検出層が形成され、ベース板1の他方側に発光手段の一例である無機EL層を形成されている。この場合においては、ベース板1の一方側にスクリーン印刷等により静電容量検出層を形成し、その後にベース板1の他方側にスクリーン印刷等により無機EL層を形成してもよいし、先に無機EL層を形成してその後に静電容量検出層を形成してもよい。
【0060】
実施例4の静電容量型入力装置では、例えば、1の正面側に第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20d、絶縁層8、導電層5、絶縁層7、装飾層3の順にスクリーン印刷により形成する。その後に、ベース板1の背面側に、透明電極層51、発光層53、誘電体層55、背面電極層57、保護層59の順にスクリーン印刷により形成する。絶縁層8は、例えばポリエステル系樹脂製であり厚みは約5〜50μmである。絶縁層8は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル製であってもよい。
【実施例5】
【0061】
実施例5の静電容量型入力装置について説明する。図13は、実施例5の静電容量型入力装置の断面図である。図13は、図9Bと対応している。実施例5の静電容量型入力装置は、ベース板1の正面側に、装飾層3、絶縁層8、第1電極10a〜10c、第2電極20a〜20dが形成され、ベース板1の背面側に透明電極層51、発光層53、誘電体層55、背面電極層57、保護層59が形成されている。このように、ベース板1の正面側に静電容量検出層が形成され、ベース板1の他方側に無機EL層が形成されている。
【0062】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、変形・変更が可能である。
【0063】
静電容量型入力装置は、携帯電話、固定電話、電化製品のリモコン、電卓、キーボードやコントローラなどのコンピュータの入力支援装置、電子辞書やPDAなどの携帯装置、車載機器等の電子機器に採用可能である。
【0064】
発光手段として、発光源(LED等)からの光を静電容量型入力装置の背面側から正面側に案内する導光板や、液晶ディスプレイ等を採用してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 ベース板
3 装飾層
3a 指標部
5、5a、5b 導電層
7、8、50 絶縁層
10a〜10c 第1電極
10a5、20b5 開口部
11a1、11a2、21b1、21b2 主経路部
12a、13a、22b1、22b2、23b1、23b2 分岐路部
13ac 分断部
20a〜20d 第2電極
30 レジスト
40 接続電極
51 透明電極層
53 発光層
55 誘電体層
57 背面電極層
59 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有したベース板と、
前記ベース板に対して一方側に形成され、互いに交差する第1及び第2方向にそれぞれ延びた第1及び第2電極と、を備え、
前記第1電極は、開口部を含む、静電容量型入力装置。
【請求項2】
光透過性を有したベース板と、
前記ベース板に対して一方側に形成され、互いに交差する第1及び第2方向にそれぞれ延びた第1及び第2電極と、
基材部、前記基材部と光透過率が相違し模様が施された指標部、を有した装飾層と、を備え、
前記第1及び第2電極は、前記ベース板の正面から見て前記指標部から退避している、静電容量型入力装置。
【請求項3】
前記ベース板の正面から見て前記第1及び第2電極の双方と重なり前記開口部と重なり光透過性を有した導電部を備えた、請求項1の静電容量型入力装置。
【請求項4】
前記ベース板の正面から見て前記第1及び第2電極の双方と重なり前記指標部と重なり光透過性を有した導電部を備えた、請求項2の静電容量型入力装置。
【請求項5】
前記導電部と前記第1及び第2電極との間に形成された絶縁層を備えている、請求項1乃至4の何れかの静電容量型入力装置。
【請求項6】
前記導電部は、前記第1電極とは重なって直接接触しているが前記第2電極とは重なっていない第1導電部、前記第2電極とは重なって直接接触しているが前記第1電極とは重なっておらず前記第1導電部と分離した第2導電部、を含む、1乃至4の何れかの静電容量型入力装置。
【請求項7】
前記第1及び第2電極の背面側から正面側に光を照射する発光手段を備えている、請求項1乃至6の何れかの静電容量型入力装置。
【請求項8】
前記発光手段は、前記ベース板に一体に形成されている無機EL素子である事を特徴とする、請求項7の静電容量型入力装置。
【請求項9】
前記指標部に施された模様は、文字、数字、記号、及び図柄のうち少なくとも一つを含む、請求項2の静電容量型入力装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の静電容量型入力装置を備えたことを特徴とする電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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