説明

静電容量型圧力センサ

【課題】固定電極や封止ガラスなどの集合体であるセンサ本体の熱膨張率及びフランジ部などの固定用部材の熱膨張率により生じる熱応力によって、ダイアフラムが変形することを防止する。
【解決手段】固定電極21が固定されたセンサ本体2と、センサ本体2との間で密閉空間を形成するダイアフラム構造体3と、ダイアフラム構造体3の受圧部を囲むように接合されて受圧部に流体を導く固定用部材4とを備え、ダイアフラム構造体3が、平板状のダイアフラム本体31と、ダイアフラム本体31の周縁部両側に設けられた熱膨張率が既知である第1のリング部材32及び第2のリング部材33とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力により変位するダイアフラムと固定電極との間の静電容量の変化を検出して圧力を測定する静電容量型圧力センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の静電容量型圧力センサとしては、例えば特許文献1や図3に示すように、固定電極が封止ガラスによって固定されたセンサ本体の一端に形成された凹部の開口周縁部にダイアフラムが溶接により接合されている。
【0003】
また、特許文献1には図示されていないが、センサ本体に溶接されたダイアフラムの受圧面側の周縁部には、図3に示すように、被測定流路を形成する流路形成部材に取り付けられて、受圧面に流体を導くフランジ部が溶接により接合されている。このように構成された静電容量型圧力センサは、フランジ部に設けられた導入口を介してダイアフラム側に流体が流れ込むことによってダイアフラムが当該流体の圧力によって変位する。
【0004】
しかしながら、上記のように構成されたものでは、センサ本体にダイアフラムを溶接する際に、センサ本体の熱膨張率及びダイアフラムの熱膨張率が異なることによって膨張量が異なり、溶接後においてダイアフラム及びセンサ本体の間に生じる熱応力によって変形してしまうという問題がある。ここで両者の熱膨張率を考慮して溶接することが考えられるが、ダイアフラムは単一材料からなり熱膨張率が既知であるが、センサ本体は固定電極及び封止ガラス等の集合体であるため、熱膨張率が画一的に定まるものではない。そうすると、溶接時にそれらの熱膨張率を考慮して溶接することは極めて難しい。
【0005】
また、センサ本体に溶接されたダイアフラムにフランジ部を溶接する場合も同様に、両者の熱膨張率の違いにより、ダイアフラム及びフランジ部の間に生じる熱応力によって変形してしまうという問題がある。ここでも両者の熱膨張率を考慮して溶接することが考えられるが、センサ本体に溶接されたダイアフラムの熱膨張率はそれ単体の熱膨張率とは異なっており、溶接時にそれらの熱膨張率を考慮して溶接することは極めて難しい。
【0006】
上記では、センサ本体にダイアフラムを溶接した後に、当該ダイアフラムにフランジ部を溶接する場合について記載したが、フランジ部にダイアフラムを溶接した後に当該ダイアフラムにセンサ本体を溶接する場合にも同様の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−300336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、センサ本体の熱膨張率及び固定用部材の熱膨張率により生じる熱応力によって、ダイアフラムが変形することを防止することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る静電容量型圧力センサは、圧力により変位するダイアフラムと固定電極との間の静電容量の変化を検出して圧力を測定する静電容量型圧力センサであって、前記固定電極が一端側に露出するように固定されたセンサ本体と、前記センサ本体の一端側において当該センサ本体との間で密閉空間を形成するように接合されるダイアフラム構造体と、前記ダイアフラム構造体の受圧部を囲むように当該ダイアフラム構造体に接合され、被測定流路を形成する流路形成部材に取り付けられて、前記受圧部に流体を導く固定用部材とを備え、前記ダイアフラム構造体が、前記ダイアフラムを形成する平板状のダイアフラム本体と、前記ダイアフラム本体における電極側周縁部に接合され、前記センサ本体の一端側に接続される熱膨張率が既知の第1のリング部材と、前記ダイアフラム本体における受圧側周縁部に接合され、前記固定用部材に接続される熱膨張率が既知の第2のリング部材とを有することを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、ダイアフラムを形成するダイアフラム本体を熱膨張率が既知である第1のリング部材を介してセンサ本体に接合しているので、センサ本体の熱膨張率によりダイアフラムに生じる熱応力を低減することができる。また、ダイアフラム本体を熱膨張率が既知である第2のリング部材を介して固定用部材に接合しているので、固定用部材の熱膨張率によりダイアフラムに生じる熱応力を低減することができる。したがって、センサ本体及び固定用部材の熱膨張率により生じる熱応力によってダイアフラムが変形することを防止することができる。さらに、熱膨張率が既知の第1のリング部材及び第2のリング部材にダイアフラム本体を接合することから、ダイアフラムに所望の張力を与えることができるようになる。その上、ダイアフラムを薄型化するにつれて、センサ本体及び固定用部材に直接ダイアフラム本体を溶接することが難しくなるが、例えばダイアフラムに第1のリング部材及び第2のリング部材を接合してダイアフラム構造体を製造した後に、そのダイアフラム構造体をセンサ本体及び固定用部材に接合することによって、センサの組み立てを容易にすることが可能である。このとき、ダイアフラム本体に第1のリング部材及び第2のリング部材を接合することによってダイアフラム構造体の強度を増すことができ、ダイアフラム本体の変形を抑えながら接合することができる。
【0011】
第1のリング部材及び第2のリング部材の熱膨張率が既知であることから、ダイアフラム本体の熱膨張率との違いを積極的に利用して、静電容量型圧力センサの測定レンジ又は測定精度を調整可能にするためには、前記第1のリング部材の熱膨張率、前記第2のリング部材の熱膨張率及び前記ダイアフラム本体の熱膨張率により、前記ダイアフラムの張力が調整されていることが望ましい。つまり、前記第1のリング部材の熱膨張率、前記第2のリング部材の熱膨張率及び前記ダイアフラム本体の熱膨張率により、センサの測定レンジが可変となるように構成されている。
【0012】
例えば、第1のリング部材の熱膨張率及び第2のリング部材の熱膨張率を、ダイアフラム本体の熱膨張率よりも小さくすることによって、組み立て時のダイアフラムの張力が大きくなり、センサの測定レンジを大きくすることができる。一方で、第1のリング部材の熱膨張率及び第2のリング部材の熱膨張率を、ダイアフラム本体の熱膨張率よりも大きくすることによって、組み立て時のダイアフラムの張力が小さくなり、センサの測定レンジを小さくする(または高精度化する)ことができる。
【0013】
前記第1のリング部材の熱膨張率と前記第2のリング部材の熱膨張率とが略同一であれば、センサ本体の熱膨張率又は固定用部材の熱膨張率に関わらず、ダイアフラム本体に生じる変形を可及的に低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、センサ本体の熱膨張率及び固定用部材の熱膨張率により生じる熱応力によって、ダイアフラムが変形することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る静電容量型圧力センサの模式的構成図である。
【図2】同実施形態のダイアフラム構造体を主として示す断面図である。
【図3】従来の静電容量型圧力センサの模式的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る静電容量型圧力センサの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の静電容量型圧力センサ100は、全圧真空計の絶対圧計測型に該当する静電容量型ダイアフラム真空計であり、圧力により変位するダイアフラムと固定電極21との間の静電容量の変位量を検出して、その変位量を圧力に換算して圧力を測定するものである。なお、圧力に換算される静電容量は、ダイアフラムと固定電極21との距離に反比例する。
【0018】
具体的にこのものは、図1に示すように、センサ本体2と、センサ本体2に接合されるダイアフラム構造体3と、ダイアフラム構造体3に接合される固定用部材4とを備えている。
【0019】
センサ本体2は、固定電極21が一端側である下端部に露出するように固定されたものであり、固定電極21と、当該固定電極21が挿入して固定される本体ボディ22と、固定電極21及び本体ボディ22の間に介在して設けられて、それらを気密に封止して本体ボディ22に対して固定電極21を固定する封止ガラス等の封止部材23とを備えている。なお、本体ボディ22は、耐食性を有するステンレス鋼により形成されている。
【0020】
固定電極21は、金、白金又はチタン等の簡単に腐食しない金属からなる導体から形成されるものである。本実施形態の固定電極21は、本体ボディ22に形成された電極固定孔221に挿入されるため、概略円柱形状をなす。また、固定電極21の後端部には、静電容量の変化を検出するためのリード線(不図示)が接続されている。このリード線は、センサ本体2の例えば上部に形成された出力端子に接続されている。なお、この出力端子は、静電容量の変化量を圧力信号に変換する演算部(図示しない)が接続される。
【0021】
ダイアフラム構造体3は、センサ本体2の一端側である下端部において、当該センサ本体2との間で密閉空間を形成するように接合されるものである。
【0022】
具体的にダイアフラム構造体3は、図2に示すように、ダイアフラム301を形成する平板状のダイアフラム本体31と、当該ダイアフラム本体31における電極側周縁部31aに設けられる第1のリング部材32と、ダイアフラム本体31における受圧側周縁部31bに設けられる第2のリング部材33とを有している。
【0023】
ダイアフラム本体31は、固定電極21のダイアフラム301側を向く端面である一端面とともにコンデンサを構成する円板形状をなすものである。このダイアフラム本体31は、外部の微小な圧力変化により弾性変形するものであり、耐食性及び耐熱性に優れた金属薄板である。本実施形態のダイアフラム本体31は、主成分をニッケル、コバルトとし、タングステン、モリブデン、チタン、クロム等を含むニッケル−コバルト合金から形成された薄板である。膜の厚みは、外部の圧力変化に対する感度を上げるために例えば数十μmである。なお、ダイアフラム本体31は、主成分をニッケルとし、鉄、クロム、ニオブ等を含むニッケル合金から形成された薄板としても良い。
【0024】
第1のリング部材32は、ダイアフラム本体31の電極側周縁部31aにおいて、ダイアフラム本体31と同心円状に設けられるものであり、ダイアフラム本体31の外径と概略同一外径を有する円環形状をなすものである。この第1のリング部材32の一端面(図2では下面)はダイアフラム本体31の電極側周縁部31aに溶接により接合される。また第1のリング部材32におけるダイアフラム本体31接合面とは反対側の面(図2では上面)が、センサ本体2の本体ボディ22の一端面周縁部において、固定電極21と同心円状に溶接により接合される。この第1のリング部材32は、耐食及び耐熱性に優れ、導電性を有し、熱膨張率が既知の金属から形成されており、本実施形態では主成分をニッケルとし、鉄、クロム、ニオブ等を含むニッケル合金により形成されている。
【0025】
第2のリング部材33は、ダイアフラム本体31の受圧側周縁部31bにおいて、ダイアフラム本体31と同心円状に設けられるものであり、ダイアフラム本体31の外径と概略同一外径を有する円環形状をなすものである。この第2のリング部材33の一端面(図2では上面)はダイアフラム本体31の受圧側周縁部31bに溶接により接合される。また第2のリング部材33におけるダイアフラム本体31接合面とは反対側の面(図2では下面)が固定用部材4の円筒部42の端面に溶接により接合される。この第2のリング部材33は、第1のリング部材32と同様、耐食及び耐熱性に優れ、導電性を有し、熱膨張率が既知の金属から形成されており、本実施形態では主成分をニッケルとし、鉄、クロム、ニオブ等を含むニッケル合金により形成されている。
【0026】
固定用部材4は、ダイアフラム構造体3の受圧部(ダイアフラム301の受圧面301a)を囲むように設けられ、被測定流路Lを形成する流路形成部材200に取り付けられて、受圧部301aに流体を導くものである。この固定用部材4は、流路形成部材200に固定され、被測定流路Lに連通する連通路411が形成されたフランジ部41と、当該フランジ部41の連通路411の開口を囲むように形成された円筒部42とを有する。そして、この円筒部42の上端面に、前記第2のリング部材33が溶接により接合される。なお、固定用部材4は、耐食及び耐熱性を有するステンレス鋼により形成されている。
【0027】
しかして本実施形態の静電容量型圧力センサ100は、センサ本体2の熱膨張率及び固定用部材4の熱膨張率とダイアフラム本体31の熱膨張率が異なるものであり、第1のリング部材32の熱膨張率と第2のリング部材33の熱膨張率とを同一としている。具体的には、第1のリング部材32と第2のリング部材33とを同一の材料から形成することによって、両者の熱膨張率を同一としている。
【0028】
センサ本体2の熱膨張率(線膨張率)は、その主たる材質がステンレス鋼であるため、約16×10−6[1/℃]と考えられる。同様に固定用部材4の熱膨張率(線膨張率)は、約16×10−6[1/℃]である。また、ダイアフラム本体31の熱膨張率(線膨張率)は、ニッケル−コバルト合金により形成されているため、約12×10−6[1/℃]である。そして、第1のリング部材32及び第2のリング部材33は、ニッケル合金により形成されているため、約11.5×10−6[1/℃]である。このように第1のリング部材32及び第2のリング部材33の熱膨張率をセンサ本体2の熱膨張率及び固定用部材4の熱膨張率とダイアフラム本体31の熱膨張率との間の値としていることにより、ダイアフラム本体31の熱膨張率が、センサ本体2の熱膨張率及び固定用部材4の熱膨張率と違うことにより生じ得る熱応力を可及的に低減することができる。
【0029】
最後に静電容量型圧力センサ100の組み立て方法の一例について簡単に説明する。
【0030】
まず、本体ボディ22に形成された電極固定孔221に円筒形状をなすガラス材23とともに固定電極21を挿入する。そして、図示しない治具により本体ボディ22に対してガラス材23及び固定電極21を固定し、炉内で加熱してガラス材23を融解させて、本体ボディ22に固定電極21をガラス融着により固定する。
【0031】
一方、圧延加工により形成された金属薄板を切断することにより得られた円板状のダイアフラム本体31の一方の面に第1のリング部材32を、他方の面に第2のリング部材33を、それぞれ同心円状となるようにレーザ溶接、電子ビーム溶接又はアーク溶接等により溶接してダイアフラム構造体3を形成する。このとき、ダイアフラム本体31に溶接される第1のリング部材32及び第2のリング部材33は、熱膨張率が既知であり、当該熱膨張率を考慮した溶接が可能となり、ダイアフラム301の変形を低減することができるとともに、ダイアフラム301を所望の張力にすることが可能である。
【0032】
なお、ダイアフラム本体31の熱膨張率と第1のリング部材32の熱膨張率及び第2のリング部材33の熱膨張率と違いによりダイアフラム301の張力を調整することに加えて、ダイアフラム本体31に第1のリング部材32及び第2のリング部材33を接合するに際して、別途設けたハロゲンランプ等の加熱源によりダイアフラム本体31を加熱してダイアフラム本体31を膨張させることにより、接合時の第1のリング部材32及び第2のリング部材33とダイアフラム本体31との熱膨張量を調整して、接合後のダイアフラム301の張力を調整することもできる。
【0033】
その後、ダイアフラム構造体3の第1のリング部材32をセンサ本体2の一端側にレーザ溶接、電子ビーム溶接又はアーク溶接等により溶接して接合する。また、ダイアフラム構造体3の第2のリング部材33を固定用部材4の円筒部42にレーザ溶接、電子ビーム溶接又はアーク溶接等により溶接して接合する。このようにして、静電容量型圧力センサ100が組み立てられる。
【0034】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の静電容量型圧力センサ100によれば、ダイアフラム301を形成するダイアフラム本体31を熱膨張率が既知である第1のリング部材32を介してセンサ本体2に接続しているので、センサ本体2の熱膨張率によりダイアフラム本体31に生じる熱応力を低減することができる。また、ダイアフラム本体31を熱膨張率が既知である第2のリング部材33を介して固定用部材4に接続しているので、固定用部材4の熱膨張率によりダイアフラム本体31に生じる熱応力を低減することができる。したがって、センサ本体2及び固定用部材4の熱膨張率により生じる熱応力によってダイアフラム301が変形することを防止することができる。さらに、熱膨張率が既知の第1のリング部材32及び第2のリング部材33にダイアフラム本体31を接合することから、ダイアフラム301に所望の張力を与えることができるようになる。その上、ダイアフラム301を薄型化するにつれて、センサ本体2及び固定用部材4に直接ダイアフラム本体31を溶接することが難しくなるが、本発明のように第1のリング部材32及び第2のリング部材33により挟み込む構成にすることによって、センサ100の組み立てを容易にすることが可能である。
【0035】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0036】
例えば、前記実施形態の静電容量型圧力センサ100は、センサ本体2の本体ボディ22、第1のリング部材32、第2のリング部材33、ダイアフラム本体31、固定用部材4がそれぞれ異なる材質からなるものであったが、それらすべてを共通の材質(例えばステンレス鋼)により形成しても良い。このときもやはりダイアフラム本体31は第1のリング部材32及び第2のリング部材33に接合されるので、センサ本体2の熱膨張率を考慮する必要がなく、またセンサ本体2がダイアフラムに与える変形を低減することができる。
【0037】
また、第1のリング部材32の熱膨張率、第2のリング部材33の熱膨張率及びダイアフラム本体31の熱膨張率を選択することによって、ダイアフラム本体31からなるダイアフラムの張力を調整することもできる。前記実施形態の場合で言うと、第1のリング部材32及び第2のリング部材33の熱膨張率がダイアフラム本体31の熱膨張率よりも大きいことから、ダイアフラムの張力を小さくすることができ、測定レンジを小さくすること(高感度化すること)ができる。一方、第1のリング部材32及び第2のリング部材33の熱膨張率を、ダイアフラム本体31の熱膨張率よりも小さくすることにより、ダイアフラムの張力を大きくすることができ、測定レンジを大きくすることができる。
【0038】
さらに、前記実施形態の組み立て方法は、ダイアフラム構造体3を組み立てた後にセンサ本体2に溶接するものであったが、センサ本体2に第1のリング部材32を溶接した後に、当該第1のリング部材32にダイアフラム本体31を溶接し、その後、ダイアフラム本体31に第2のリング部材33を溶接し、当該第2のリング部材33に固定用部材4を溶接するように構成しても良い。また、固定用部材4に第2のリング部材33を溶接した後に、当該第2のリング部材33にダイアフラム本体31を溶接し、その後、ダイアフラム本体31に第1のリング部材32を溶接し、当該第1のリング部材32にセンサ本体2を溶接するように構成しても良い。
【0039】
その上、第1のリング部材の熱膨張率をセンサ本体の熱膨張率とダイアフラム本体の熱膨張率との間の値とすることも考えられる。これならば、センサ本体の熱膨張率とダイアフラム本体の熱膨張率との違いにより生じるダイアフラムの変形を可及的に低減することができる。同様にして、固定用部材の熱膨張率とダイアフラム本体の熱膨張率との違いにより生じるダイアフラムの変形を可及的に低減するためには、第2のリング部材の熱膨張率を、固定用部材の熱膨張率とダイアフラム本体の熱膨張率との間の値とすることが考えられる。
【0040】
前記実施形態では、ダイアフラム本体の熱膨張率と第1、第2のリング部材の熱膨張率とが異なる構成であったが、ダイアフラム本体の熱膨張率、第1のリング部材の熱膨張率及び第2のリング部材の熱膨張率とが略同一となるように構成しても良い。この構成により、ダイアフラム本体と第1、第2のリング部材との温度影響が同じとなり、ダイアフラム本体が第1、第2のリング部材から受ける熱応力によるひずみを可及的に小さくすることができる。これにより測定精度を向上させることができる。
【0041】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
100・・・静電容量型圧力センサ
2 ・・・センサ本体
21 ・・・固定電極
3 ・・・ダイアフラム構造体
301・・・ダイアフラム
31 ・・・ダイアフラム本体
32 ・・・第1のリング部材
33 ・・・第2のリング部材
4 ・・・固定用部材
L ・・・被測定流路
5 ・・・流路形成部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力により変位するダイアフラムと固定電極との間の静電容量の変化を検出して圧力を測定する静電容量型圧力センサであって、
前記固定電極が一端側に露出するように固定されたセンサ本体と、
前記センサ本体の一端側において当該センサ本体との間で密閉空間を形成するように接合されるダイアフラム構造体と、
前記ダイアフラム構造体の受圧部を囲むように当該ダイアフラム構造体に接合され、被測定流路を形成する流路形成部材に取り付けられて、前記受圧部に流体を導く固定用部材とを備え、
前記ダイアフラム構造体が、
前記ダイアフラムを形成する平板状のダイアフラム本体と、
前記ダイアフラム本体における電極側周縁部に接合され、前記センサ本体の一端側に接続される熱膨張率が既知の第1のリング部材と、
前記ダイアフラム本体における受圧側周縁部に接合され、前記固定用部材に接続される熱膨張率が既知の第2のリング部材とを有する静電容量型圧力センサ。
【請求項2】
前記第1のリング部材の熱膨張率、前記第2のリング部材の熱膨張率及び前記ダイアフラム本体の熱膨張率により、前記ダイアフラムの張力が調整されている請求項1記載の静電容量型圧力センサ。
【請求項3】
前記第1のリング部材の熱膨張率と前記第2のリング部材の熱膨張率とが略同一である請求項1又は2記載の静電容量型圧力センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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