Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
静電容量型隔膜真空計及び真空処理装置
説明

静電容量型隔膜真空計及び真空処理装置

【課題】 静電容量型隔膜真空計が設置される測定環境、すなわち大気圧及び温度変動に対する静電容量型隔膜真空計の出力変動を低減させ、より高精度で再現性よく圧力を測定すること。
【解決手段】 圧力が測定される内部領域に面して配置されるダイヤフラムと、このダイヤフラムと対向して配置される検出電極とを有し、ダイヤフラムと検出電極との間に生じる静電容量の変化量を測定することで内部領域の圧力を測定する静電容量型隔膜真空計は、静電容量型隔膜真空計が設置されている外部の温度を測定する温度測定部と気圧を測定する気圧測定部とを備え、この測定結果に基づき、ダイヤフラムと検出電極との間に生じる静電容量の変化量を補正して、内部領域の圧力として出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型隔膜真空計及び真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量型隔膜真空計は、高精度の測定が可能でかつマイクロマシン(MEMS)技術を用いて大量生産が可能であることから真空処理装置等の圧力センサとして広く用いられている。
【0003】
静電容量型隔膜真空計は、真空中に、ダイヤフラムとダイヤフラムと対向して配置される検出電極とが配置され、ダイヤフラムと検出電極との静電容量の変化量を測定することで圧力を測定する装置である。
【0004】
図3は、従来技術として、特許文献1に開示される静電容量型隔膜真空計を示す模式断面図である。
【0005】
図3に示すように、この静電容量型隔膜真空計は、ガラス等からなる絶縁基板1にその内部を貫通するように導電性配線4が形成されている。
【0006】
真空雰囲気中で接合された絶縁性基板1と導電性基板2とによって、これらの内側に形成された基準圧力室5は、真空封止された閉空間を形成している。
【0007】
この基準圧力室5内には、例えば、ガスを吸着除去する非蒸発型ゲッタ6が配置され、内部は高真空に維持されている。
【0008】
そして、真空処理装置9の内部に連通する領域10を通して気体圧力がダイヤフラム3に加わると、気体圧力と基準圧力室5との圧力差に応じてダイヤフラム3は、検出電極7の方向に変位する。
【0009】
これにより検出電極7とダイヤフラム3との間の静電容量は増加する。静電容量の増加量の情報は導電性配線4及び電極パッド11を通して、電気回路12に入力される。電気回路12は、入力された静電容量の変化量の情報を電圧に変換・増幅するために信号処理を行い、電気回路12により処理された信号が電気出力端子13から真空処理装置9の内部の圧力として出力される。
【0010】
なお、参照電極8は、環境温度の変動等によって圧力センサが機械的に歪み、その結果、静電容量が変化して発生する測定誤差を補正するために用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−255225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の静電容量型隔膜真空計では、絶縁性基板1が接着されている導電性基板2との熱膨張係数の違いにより発生する歪みはその製造方法から避けることができなかった。また、絶縁性基板1と導電性基板2を接着して形成される基準圧力室5は大気圧を受けて歪みを生じているため、圧力測定の精度を高めるためには、それらによる圧力測定誤差の解決が望まれていた。
【0013】
ここで、環境温度により絶縁性基板1と導電性基板2との熱膨張係数の違いにより発生する歪みと、大気圧による歪みとの外部からの要因を圧力変動要因という。
【0014】
上記したように、参照電極8を設けて、圧力変動要因のうち周辺の温度変動に起因する測定誤差は低減を図られていたものの、高精度の圧力測定を行うには大気圧を含めた圧力変動要因をより小さくする必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明は、静電容量型隔膜真空計において、より高精度な圧力測定を行うために、大気圧を含めた圧力変動要因をより小さくすることを目的とする。
【0016】
上記の目的を達成する本発明に係る静電容量型隔膜真空計は、圧力が測定される内部領域に面して配置されるダイヤフラムと該ダイヤフラムと対向して配置される検出電極とを有し、該ダイヤフラムと検出電極との間に生じる静電容量の変化量を測定することで前記内部領域の圧力を測定する静電容量型隔膜真空計において、
前記静電容量型隔膜真空計が設置されている外部の環境温度を測定するための温度測定手段と、
前記静電容量型隔膜真空計が設置されている外部の環境気圧を測定する気圧測定手段と、
前記環境温度と、前記環境気圧と、予め測定され記憶手段に格納されている複数の静電容量の情報のうち少なくとも一つの情報と、から前記静電容量型隔膜真空計が設置されている外部環境に対応した静電容量の情報を補間演算する演算手段と、
前記測定された静電容量と、前記補間演算された静電容量とを比較して、当該比較の結果に基づいて前記測定された静電容量を補正する静電容量補正手段と、
予め測定され前記記憶手段に格納されている電圧と圧力とを対応付けるための出力特性を、前記環境気圧に基づいて補正する出力特性補正手段と、を備え、
前記静電容量補正手段は、補正された前記静電容量に基づく電圧を演算し、
前記出力特性補正手段は、補正された前記出力特性に基づいて、前記静電容量補正手段により演算された前記電圧に対応する圧力を前記内部領域の圧力として出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、静電容量型隔膜真空計が設置される測定環境、すなわち大気圧及び温度変動に対して、静電容量型隔膜真空計の出力変動を低減させ、より高精度で再現性よく圧力を測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の一実施形態としての静電容量型隔膜真空計を示す模式断面図である。
【図1B】電気回路120の回路構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態としての静電容量型隔膜真空計の出力電圧−圧力特性の気圧依存性を示す図である。
【図3】従来技術として、特許文献1に開示される静電容量型隔膜真空計を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。
【0020】
(静電容量型隔膜真空計)
図1Aは、本発明の一実施形態としての静電容量型隔膜真空計を示す模式断面図である。また、図1Bは、本発明の実施形態にかかる静電容量型隔膜真空計の電気回路120の回路構成を示す図である。
【0021】
図1Aに示すように、本実施の形態の静電容量型隔膜真空計100は、絶縁基板1と、導電性基板2と、ダイヤフラム3と、導電性配線4と、基準圧力室5と、ゲッタ6と、検出電極7と、参照電極8と、を備えている。導電性基板2及びダイヤフラム3は、真空処理装置9の真空室に連通する内部領域10に面した状態で配置されている。
【0022】
また、静電容量型隔膜真空計100は、電極パッド11と、電気回路120と、電気出力端子13と、気圧測定部14と、温度測定部15と、ケース16と、を備えている。気圧測定部14は、例えば、圧力センサなどを含み、真空処理装置9が設置されている周辺環境の気圧(環境気圧)を測定する。ここで、測定されたデータを環境気圧データという。また、温度測定部15は、例えば、温度センサなどを含み、真空処理装置9が設置されている周辺環境の温度(環境温度)を測定する。ここで、測定されたデータを環境温度データという。
【0023】
図1Aの例では、温度測定部15はケース16に接した状態で配置されているが、この例に限定されず、真空処理装置9の周辺環境の温度(環境温度)を測定できる位置であればよい。気圧測定部14と温度測定部15との検出結果は、電気回路120に入力される。
【0024】
ダイヤフラム3を介して検出された内部領域10の圧力の測定値は、環境気圧と環境温度とのうち少なくとも一方の影響により変動する。気圧測定部14と温度測定部15とは、内部領域10内の圧力の変動要因を検出するための圧力変動要因検出手段として機能する。
【0025】
電気回路120は、演算部121と、補正部122と、記憶部124とを備える。演算部121は、測定結果の演算処理や予め測定されたデータの補間処理を行うことが可能である。補正部122は、気圧測定部14の測定結果に基づいて内部領域10の圧力の測定値を環境気圧に対応して補正することが可能である。また、補正部122は、温度測定部15の測定結果に基づいて内部領域10の圧力の測定値を環境温度に対応して補正することが可能である。ここでは、これらの補正が、温度測定部15の測定結果によるものから行われるが、並列に補正処理が行われても、又、圧力測定部14の測定結果によるものから行われてもかまわない。記憶部124には、予め設定された環境温度と環境圧力に応じた測定条件として、ダイヤフラム3と検出電極3との間の静電容量の測定データが格納されている。
【0026】
例えば、ある一定の環境温度としてT1を測定温度とした場合に、以下に示すように測定温度T1の一定条件の下で、圧力P11〜Pn1に対応する静電容量C11〜Cn1の測定データが予め記憶部124に格納される。
【0027】
圧力 :P11 P21 P31・・・・・・Pn1
静電容量:C11 C21 C31・・・・・・Cn1
同様に、測定温度をT2とした場合に、以下に示すように圧力P12〜Pn2に対応する静電容量C12〜Cn2の測定データが予め記憶部124に格納される。このようなT1、T2を、例えば、0℃から50℃までの間を5℃おきにサンプリングし、それらの環境温度での圧力と静電容量のデータを複数パターン、記憶部124に格納しておくことが可能である。また、記憶部124には、環境温度及び環境気圧に対応するデータとして、予め測定された圧力を出力電圧に換算してデータが格納されている。
【0028】
すなわち、真空処理装置9の内部に連通する内部領域10の圧力に応じてダイヤフラム3は変位し、ダイヤフラム3は検出電極7、参照電極8に接近すると、検出電極7及び参照電極8とダイヤフラム3との間の静電容量は増加する。この静電容量の変化量は導電性配線4及び電極パッド11を通して、電気回路120に入力される。検出電極7の検出結果と参照電極8の検出結果とが電気回路120に並列的に入力される。
【0029】
導電性配線4及び電極パッド11を通して入力された静電容量(検出静電容量)は、温度測定部15及び気圧測定部14からの情報(測定結果)による補正前の静電容量の変化量を示すものである。
【0030】
気圧測定部14と温度測定部15の測定結果が電気回路120に入力されると、演算部121は、記憶部124に予め格納されている環境温度データを参照し、該当する条件の測定データ(静電容量)から圧力を求める。
【0031】
演算部121は、記憶部124に格納した環境温度データで、該当する環境温度条件の測定データが無い場合は、格納されている環境温度データを利用した補間演算を行って環境温度データとし、この環境温度データに基づいて環境気圧に対応する圧力(環境気圧データ)を求める。
【0032】
さらに、気圧測定部14と温度測定部15の測定結果が電気回路120に入力されると、補正部122は、記憶部124に予め格納されている環境圧力と出力電圧とを対応づけるデータに基づき、図2に示すような出力電圧と環境圧力とを対応づける電圧と圧力の関係を算出する。図2は、本発明の一実施形態としての静電容量型隔膜真空計の出力電圧−圧力特性の気圧依存性を示す図である。
【0033】
環境気圧と出力電圧とを対応づけるデータは、複数の環境気圧(例えば、900hPa、950hPa、1000hPaなど)に応じて予め測定されて、記憶部124に格納されているものとする。
【0034】
演算部121は、気圧測定部14の測定結果に基づき記憶部124を参照して、外部環境の気圧(環境気圧)に対応する圧力と出力電圧との関係を求める。気圧測定部14の測定結果に対応したデータが記憶部124に格納されていない場合に、演算部121は、複数の環境気圧に対応して測定された環境圧力と出力電圧との関係から補間を行い、大気圧に対して出力電圧がゼロとなるゼロ点と、出力電圧に対応する圧力の感度(図2のα)を算出することもできる。補間処理により、外部の環境気圧に対応したゼロ点(基準点)と、圧力の感度(グラフの傾きを示す)とが算出され、出力電圧−圧力特性の気圧依存性を示すグラフが補正される(図2)。
【0035】
そして、補正された圧力を示す情報は、出力端子13から出力される。具体的には、環境温度として、例えば、25℃の一定条件の下で、気圧を900hPa、950hPa、1000hPaなどと変えることにより、本発明に係る静電容量型隔膜真空計の出力電圧と圧力の関係を明らかにして、環境気圧の違いにより電圧変動量がどのくらいあるかを実測しておいて、これを電気回路120上の記憶部124に予め記憶させておく。
【0036】
この結果、圧力が900hPa時、950hPa時、1000hPa時と変化しても、静電容量型隔膜真空計の大気圧の測定値に対する割合は0.05%以内であり、高精度の圧力測定が可能となった。
【0037】
絶縁性基板1が接着されている導電性基板2や、それらが支持されているケース16などの熱膨張係数が異なり、その結果、環境温度が変化すると絶縁性基板1に歪みが生じることになる。
【0038】
ケース16の近傍に、圧力センサ等の気圧測定部14と、温度センサ等の温度測定部15とが配置される。そして、それから得られる環境気圧や環境温度に関する情報に基づき、ダイヤフラム3と検出電極7との間の静電容量と、出力電圧と環境圧力との関係と、を対応づけるための補正を行うことを可能にしている。
【0039】
(真空処理装置)
また、本発明の実施形態にかかる真空処理装置9の真空容器には、静電容量型隔膜真空計100(図1A)が設けられている。静電容量型隔膜真空計100により、真空容器の内部(真空処理装置9の内部に連通する内部領域10)の圧力が検出される。静電容量型隔膜真空計100は真空処理装置9の一部を構成する。静電容量型隔膜真空計100により内部領域10の真空度を示す圧力が高精度に検出される。この検出結果に基づいて、真空処理装置9は、例えば、内部領域10と連通している真空室にプラズマを生成して、その中に配置された被処理物にCVDやPVDなどの処理を実行する。
【0040】
内部領域10の真空度を示す圧力が高精度に検出された状態で、処理を実行することが可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力が測定される内部領域に面して配置されるダイヤフラムと該ダイヤフラムと対向して配置される検出電極とを有し、該ダイヤフラムと検出電極との間に生じる静電容量の変化量を測定することで前記内部領域の圧力を測定する静電容量型隔膜真空計において、
前記静電容量型隔膜真空計が設置されている外部の環境温度を測定するための温度測定手段と、
前記静電容量型隔膜真空計が設置されている外部の環境気圧を測定する気圧測定手段と、
前記環境温度と、前記環境気圧と、予め測定され記憶手段に格納されている複数の静電容量の情報のうち少なくとも一つの情報と、から前記静電容量型隔膜真空計が設置されている外部環境に対応した静電容量の情報を補間演算する演算手段と、
前記測定された静電容量と、前記補間演算された静電容量とを比較して、当該比較の結果に基づいて前記測定された静電容量を補正する静電容量補正手段と、
予め測定され前記記憶手段に格納されている電圧と圧力とを対応付けるための出力特性を、前記環境気圧に基づいて補正する出力特性補正手段と、を備え、
前記静電容量補正手段は、補正された前記静電容量に対応する電圧を演算し、
前記出力特性補正手段は、補正された前記出力特性に基づいて、前記静電容量補正手段により演算された前記電圧に対応する圧力を前記内部領域の圧力として出力することを特徴とする静電容量型隔膜真空計。
【請求項2】
前記気圧測定手段は圧力センサを含み、温度測定手段は温度センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の静電容量型隔膜真空計。
【請求項3】
請求項1に記載の静電容量型隔膜真空計を具備している真空容器を有することを特徴とする真空処理装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate