説明

静電容量式センサシートおよび入力装置

【課題】薄型化が可能な構造を有しつつ、操作部を好適に照明することができる静電容量式センサシートを提供する。
【解決手段】本発明の静電容量式センサシート30は、光透過性を有し、自身の内部に入射された光を導光可能な基材31と、少なくとも一部が光透過性を有するように形成され、基材31の面上に設けられた静電容量式のセンサパターン部33と、基材31の面上に設けられ、基材31の内部の光を基材31の外部に出射させる出光パターン32とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式センサシートおよびこれを備える入力装置、より詳しくは、使用者が操作する操作部を照明することが可能な入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が操作部に触れたり、操作部を押圧したりして入力を行う入力装置は、携帯電話を始めとする様々な電子機器に使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
このような入力装置においては、搭載される機器の意匠性を高めたり、暗い場所での操作性を高めたりするため、操作部の一部を照明することが行われている。
【0003】
操作部の照明方法としてはいくつかあるが、電子機器の内部にLED等の光源部材を配置して照明する方法や、当該光源部材から出射された光をライトガイド等の導光部材に導入し、所望の広さの領域に広げてから操作部に向けて照明光を出向させる方法などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−351606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の照明方法のうち、導光部材を使用する方法は、比較的少ない数の光源部材で比較的広い領域を照明することができるという利点がある。
しかしながら、入力装置のうち、静電容量式の入力装置においては、使用者が操作部に触れたことを検出する静電容量式センサシート(以下、単に「センサシート」と称する。)が必要となる。このような入力装置で、導光部材を使用した照明を行おうとすると、センサシートと導光部材との2つの部材を重ねる必要があり、入力装置の薄型化や小型化の障害となるという問題がある。
【0006】
携帯電話等の電子機器においては、更なる薄型化、小型化が要請されており、入力装置についても、この要請に応えつつ操作部を照明可能な構造が求められている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、薄型化が可能な構造を有しつつ、操作部を好適に照明することができる静電容量式センサシートおよび入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様である静電容量式センサシートは、光透過性を有し、自身の内部に入射された光を導光可能な基材と、少なくとも一部が光透過性を有するように形成され、前記基材の面上に設けられた静電容量式のセンサパターン部と、前記基材の面上に設けられ、前記基材の内部の光を前記基材の外部に出射させる出光パターンとを備えることを特徴とする。
【0009】
前記出光パターンは、導電性を有する材料を用いて形成され、透明、半透明、白色、および金属色のいずれかの色彩を有してもよい。
【0010】
本発明の第2の態様である入力装置は、本発明の静電容量式センサシートと、光透過性が相対的に高い高透過部と、前記高透過部よりも光透過性が低い低透過部とを有する操作部と、前記基材の内部に向けて光を出射する光源部材とを備え、前記基材の外部に出射された前記光が前記高透過部を透過することにより前記操作部が照明されることを特徴とする。
【0011】
本発明の入力装置は、前記基材の、前記操作部に対向する第一面上に設けられた照光スペーサをさらに備えてもよい。また、前記基材の、前記第一面と反対側の第二面側に設けられた第二スペーサをさらに備えてもよい。
また、前記操作部が複数のキー部を有し、前記出光パターンが前記静電容量式センサシートの厚さ方向に見たときに、前記キー部と重なる領域に形成されてもよい。
【0012】
また、本発明の入力装置においては、前記センサパターン部は、第1の方向に延びる複数の第1軸検知パターンと、第1の方向と異なる第2の方向に延び、前記第1軸検知パターンと、非導通状態を保持して交差する複数の第2軸検知パターンとを有し、前記静電容量式センサシートと前記操作部との間を埋めるように配置され、前記基材よりも小さい屈折率を有する導光補助スペーサをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の静電容量式センサシートおよび入力装置によれば、薄型化が可能な構造を有しつつ、操作部を好適に照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の入力装置を示す模式図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】(a)は、同入力装置のセンサシートを示す部分拡大平面図であり、(b)は、同センサシートのセンサパターン部を示す拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態の入力装置を備える携帯電話を示す図である。
【図5】(a)は、同入力装置のセンサシートを示す平面図であり、(b)は(a)のC−C線における断面図である。
【図6】図4のB−B線における断面図である。
【図7】本発明の変形例に係る入力装置の、キー部における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1実施形態について、図1から図3を参照して説明する。図1は、本実施形態の入力装置1を模式的に示す図であり、図2は、図1のA−A線における断面図である。入力装置1は、電子機器等に接続されて、あるいは電子機器等に組み込まれる等して使用されるものであり、図1および図2に示すように、使用者が入力時に指で触れる操作部10と、外面に操作部10が設けられた外装体20と、外装体20の内部に配置された本発明のセンサシート30(図2参照)とを備えている。
外装体20は、樹脂や金属等で略箱状に形成されており、入力装置1の外形をなす。
【0016】
操作部10は、外装体20の上面に設けられており、複数のキー部11を有する。各々のキー部11は、枠11Aに囲まれており、使用者が指で枠11A内の領域に触れることにより、当該枠内に記載された記号や数字等を接続された電子機器等に入力することができる。
【0017】
図2に示すように、操作部10は、外装体20の一部をなすパネル基材12と、パネル部材12の内面側に形成された加飾層13とを備えている。
パネル部材12は、樹脂等で形成された、光透過性を有するフィルム状または板状の部材である。加飾層13は、透光部13Aと、透光部13Aよりも光透過性が低い遮光部13Bとを有する。本実施形態においては、操作部10のうち、キー部11の枠11A外の領域および枠11A内の数字や記号に対応する領域に遮光部13Bが形成されている。これにより、操作部10は、光透過性が相対的に高い高透過部と、高透過部よりも光透過性の低い低透過部とが形成されている。
したがって、後述するように外装体20の内部から操作部10に向かって照明光が出射されると、高透過部と低透過部とのコントラストにより、数字や記号を視認可能に浮かび上がらせて各キー部11の領域が暗所でも視認性良く照明される。
【0018】
加飾層13は、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷、グラビア印刷等の各種印刷や塗装、レーザーエッチング等により形成することができる。耐摩耗性の観点からは、加飾層13は、本実施形態のように、パネル部材12の内面側に設けるのが好ましいが、使用者が触れる外面側に設けられてもよい。この場合は、加飾層の上側にさらに光透過性を有する保護層等を設けるのが好ましい。
加飾層13において、透光部13Aおよび遮光部13Bの具体的態様は、入力装置や当該入力装置が組み込まれる電子機器等の意匠等にもとづいて適宜設定することができる。例えば、透光部13Aに適宜色彩を付与して、操作部を所望の色彩に照明させたり、各枠11Aおよび文字や記号等を明るく光らせるようにしたりしてもよい。さらに、例えばパネル基材12を有色の部材とし、キー部11に相当する部分をくり抜いてより光透過性が高い部材を取り付けることにより、パネル部材12に直接加飾層13を設けてもよい。このように、操作部10は、高透過部および低透過部を有する構成であれば、その具体的態様に特に制限はない。
【0019】
センサシート30は、静電容量の変化を利用して使用者がキー部11に触れたことを検知するものであり、図2に示すように、外装体20の内部であって、加飾層13の下方に配置されている。
図3(a)は、センサシート30の部分拡大平面図である。センサシート30は、光透過性を有する透明な基材31と、基材31の面上に設けられた出光パターン32およびセンサパターン部33とを有する。
【0020】
基材31は、光透過性を有し、自身の内部に入射された光を面方向に導光可能なシート状または板状の部材である。基材31は、センサパターン部33の基板として機能するとともに、自身の周囲に配置されたLED(光源部材)2から出射された照明光を照明部に導く導光部材としても機能する。このため、基材31としては、光学特性に優れた、ポリカーボネート、アクリル系樹脂等の硬質材料や、熱可塑性ポリウレタン、熱硬化性ポリウレタン、シリコーンゴム等の弾性材料からなるものを好適に用いることができる。
携帯電話等のように、比較的小型の電子機器であれば、概ね0.1ミリメートル(mm)以上、好ましくは0.2mmから0.3mm程度の厚みで光源部材の光を操作部全体に導光することができる。操作部がより大きい場合は、光源部材の数を増やしたり、基材31の厚みを増したりすることにより対応できる。
【0021】
出光パターン32は、規則的または不規則的に配置された多数のドットからなる。出光パターン32は、各キー部の枠内の領域と同一(略同一を含む。以下同じ。)の大きさおよび形状、配列に形成されている。ドットの径としては、0.05mmから0.5mm程度が好ましい。ドット径がこれより大きくなると、操作部10が照明されるときに操作部10の上側から視認されやすくなり、入力装置等の意匠性を損なう場合がある。
出光パターン32は、基材31のどちら側の面に設けてもよいが、本実施形態のように加飾層13に対向配置される面に形成する場合は、比較的光透過性の高い材料を使用して、透明、半透明、白色等の色彩を有するように形成すると、操作部10を照明する光の妨げになりにくく、好ましい。
【0022】
出光パターン32の材料としては、拡散性の良好な酸化チタン等の白色顔料、ガラスビーズインク、メジウムインク等を用いることができる。また、金、銀、銅等の金属フィラーを分散させたインクを用いて出光パターン32に導電性を付与してもよい。このようなインクは、バインダーに金属フィラーの粒子が分散されているため、透明、半透明、薄い白色、若しくは金属色を呈し、好適に使用できる。本実施形態では、銀インクを用いて出光パターン32を形成している。
【0023】
図3(b)は、センサパターン部33の拡大図である。センサパターン部33は、図3(a)および図3(b)に示すように、各キー部11に対応させて設けられた透明電極33Aと、透明電極33Aと入力を検知するICチップ35とを接続するリード33Bとを備えている。
【0024】
透明電極33Aは、各キー部に対応させた形状に形成された出光パターン32を被覆するように形成されている。透明電極33Aは、ITO(酸化インジウムスズ)やポリチオフェン、ポリアニリン等の透明性を有する導電性ポリマー等の光透過性を有する導電性材料を用いて、印刷や塗布等により形成されている。例えば、ポリチオフェン系の導電性インク(例えば、信越ポリマー(株)製、製品名SEPLEGYDA(登録商標)、型番OC−SC101)等を好適に用いることができる。
このほか、若干透明性は劣るが、金属細線、導電性インクからなる微細なメッシュパターンや金、銀、銅、ITO等の金属材料や金属酸化物を含む薄膜、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブを含有したインク等を使用して透明電極33Aが形成されてもよい。
【0025】
リード33Bは、透明電極33Aと電気的に接続されるように基材31の面上に形成されている。リード33Bの材料としては、透明電極33Aと同様の材料を用いることができる。
リード33Bのうち、特に低透過部に対応した箇所に配置されるものについては、銀インク、カーボンインク、金属膜等の光透過性が低いが導電性の高い材料で形成することが好ましい。このようにすると、センタパターン部33全体としての導電性を高めることができ、センサシート30の検出感度を向上することができる。
出光パターン32およびリード33Bを、例えば銀インク等の同一材料で形成すると、これらの構成を同一工程で作製することができる。このようにすると、センサシート30の製造工程が削減されるとともに、センサシート30の検出感度も向上され、好ましい。
【0026】
上記のように構成されたセンサシート30は、図2に示すように、センサパターン部33を加飾層13に対向させ、かつセンサシート30の厚さ方向に見た平面視において出光パターン32および透明電極33Aが各キー部11と重なるように配置されている。センサパターン部33が設けられて操作部10に対向するセンサシート30の上面(第一面)には、透明電極33Aおよび出光パターン32が形成された領域、すなわち各キー部11に対応した領域にのみスペーサ(照光スペーサ)36が配置されている。
【0027】
スペーサ36は、光透過性の高い材料で形成されており、アクリル系の粘着テープ等を好適に用いることができる。操作部を照明する照明光の操作部10への出射にあたっては、できるだけ材料の界面は少ない方がよいため、粘着テープをスペーサ36として使用する場合は、基材を有さない基材レスの粘着テープがより好ましい。上述したアクリル系の粘着剤からなるものであれば、透明度を始めとする光学特性が良好であるとともに、充分な接着力が得られる。
【0028】
透明電極33Aと操作部10とがスペーサ36を介して接続されることにより、出光パターン32と加飾層13との間は、良好な光透過性を有し、かつ可能な限り空気が排除された状態となっている。一方、各キー部11に対応しない領域においては、スペーサ36により、センサシート30と加飾層13との間に空気層A1が形成されている。
【0029】
センサシート30の下面(第二面)側には、第二スペーサ37が配置されており、センサシート30の下面側において、第二スペーサ37により空気層A1が確保されている。第二スペーサ37は、スペーサ36同様、光透過性を有するものでもよいし、光を透過しない材料で形成されてもよいが、第二スペーサ37の形成面積が大きくなると、第二スペーサ37を介してセンサシート30外に光が逃げたり、第二スペーサ37に光が吸収されたりするので、第二スペーサ37の形成面積は空気層A1を確保可能な範囲でできるだけ小さく設定されるのが好ましい。
光の損失を抑える観点からは、光の吸収の少ない材料、屈折率の小さい材料、もしくは金属、白色PET(ポリエチレンテレフタレート)等の反射材で第二スペーサ37が形成されるのが好ましい。
光源部材としてのLED2は、平面視においてセンサシート30の周縁付近に配置されており、基材31の側面に照明光を出射することができる。LED2の配置位置や個数は、適宜設定されてよい。
【0030】
上記のように構成された入力装置1の使用時の動作について説明する。
使用者が、入力しようとする数字または記号に対応したキー部11に触れると、公知の原理により当該キー部に対応した透明電極33Aと使用者の体との間に生じる静電容量が変化する。静電容量の変化はセンサパターン部33によりICチップ35に伝達され、当該キー部に触れたことが検出される。
【0031】
LED2は、所定の条件(例えばキー部11のいずれかにおいて接触が検知された等)により発光し、操作部10を照明する照明光を出射する。出射した照明光の一部は、基材31の側面から基材31の内部に入射し、光ファイバにおける伝送と同様に、反射を繰り返しながら基材31の内部を進む。
【0032】
基材31の内部を進む照明光が、基材31のうち平面視において出光パターン32と重なる領域に到達すると、出光パターン32によって反射角度が変化する。このうち、上方に向かう照明光は、スペーサ36内を伝搬し、加飾層13を透過して操作部10の上方に進む。こうして操作部10が所望の態様に照明される。
【0033】
本実施形態の入力装置1によれば、センサパターン部33と、出光パターン32とが単一の基材31に形成された本発明のセンサシート30を備えるため、1枚のセンサシート30が、静電容量式センサと、LED2から発せられる照明光の一部を操作部10に導く導光部材との2つの機能を発揮する。したがって、センサシートと導光部材とが別々の基材を有する場合のように2枚のシート状部材を重ねる必要がないため、より薄型化が可能な構造を有しつつ、操作部を好適に照明することができる入力装置を構成することができる。
【0034】
また、センサパターン部33のうち、照明されるキー部11と平面視において重なる透明電極33Aは、光透過性を有する。このため、照明光を妨げることなくセンサパターン部33を操作部10のより近くに配置することができ、検出感度の向上と良好な照明性能とを両立させることができる。
【0035】
また、センサシート30のうち各キー部11に対応する領域と操作部10とは、スペーサ36を介して空気がほとんど介在しない状態で接続されているため、スペーサ36を介して操作部10が良好に照明されるとともに、各キー部11に対する接触をセンサシート30で良好に検知することができる。
【0036】
さらに、センサシート30の厚さ方向両側にスペーサ36および第二スペーサ37がそれぞれ配置されているため、センサシート30の厚さ方向両側に、基材31と屈折率の大きく異なる空気層A1が確保されている。そのため、平面視においてキー部11と重なる領域以外の領域では、基材31の外部に出射されてロスとなる照明光が少ない。その結果効率よく照明光を操作部10に導くことができ、少ない光源部材でも良好に操作部を照明することができる。
【0037】
さらに、出光パターン32が銀インクで形成されており、導電性を有するため、導電性はあるものの金属等に比べると抵抗値が高い透明電極33Aの抵抗値が出光パターン32により補償される。したがって、センサパターン部33の電気抵抗値を下げ、センサシート30の検出感度を上げることができる。
【0038】
加えて、センサシート30は、従来行われている製造プロセスを利用して製造することができ、特別な工程を必要としないので、安価に、かつ容易に製造することができる。
【0039】
本実施形態においては、基材31の面上に形成された出光パターン32が透明電極33Aで被覆された例を説明したが、これに代えて、まず透明電極33Aが基材31の面上に形成され、その上に出光パターン32を形成することにより、出光パターンおよび透明電極を基材の面上に形成してもよい。
【0040】
また、スペーサ36が操作部10と別体に形成され、操作部10に貼り付けて取り付けられる例を説明したが、これに代えて、例えば熱可塑性樹脂を用いてパネル部材12とスペーサ36とを一体に成形してから、内面側に加飾層を設けてもよいし、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を用いた射出成形により、加飾層の一部を覆うようにスペーサを操作部側に形成してもよい。
また、実際に製造するのは容易ではないが、操作部に近づくにつれてセンサシートの面方向における寸法が徐々に小さくなるようにテーパー状にスペーサ36を形成すると、さらに照明光の損失を少なくして効率よく操作部を照明することができる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態について、図4から図6を参照して説明する。本実施形態の入力装置41と、第1実施形態の入力装置1との異なるところは、センサシートの構造および配置態様である。なお、以降の説明において、既に説明したものと同様の構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
図4は、本実施形態の入力装置41を備える電子機器である携帯電話100を示す図である。携帯電話100は、表示画面102を有する表示部101と、操作部50を有する本体部103とを備えている。表示画面102は、液晶ディスプレイ(LCD)等の公知の構成を備え、表示部101は図示しないヒンジを介して本体部103と折り畳み可能に接続されている。
【0043】
本体部103は、薄い箱型の外装体42を有し、入力装置41は一部外装体42の内部に収容されている。操作部50は、外装体42のうち、携帯電話100が折り畳まれたときに表示画面102と対向する面に設けられている。
【0044】
操作部50は複数のキー部51を有し、第1実施形態の入力装置1同様、キー部51による入力が可能である。加えて、操作部50のうち、破線で囲んだ一部の領域R1は、静電容量式のタッチパネルとしても機能する。したがって、使用者が領域R1内の操作部表面に指等で触れながら操作部表面上を移動させると、表示画面102に表示されたカーソル105等を指等の軌跡と同様に動かすような入力を行うことができる。
【0045】
図5(a)は、本実施形態のセンサシート60及びLED2を示す平面図である。センサシート60は、センサシート30と同様の基材31を備えるが、センサパターン部62は、上述した静電容量式のタッチパネルとして機能するよう、図5(a)における左右(第1の方向)に延びる複数の第1軸検知パターン63と、図5(a)における上下(第2の方向)に延びる複数の第2軸検知パターン64とを有する。第1軸検知パターン63および第2軸検知パターン64は、透明電極33Aと同様の材料からなる透明電極であり、センサパターン部62は、それぞれ平行に並んだ第1軸検知パターン63と第2軸検知パターン64とが直交するように格子状に配置されて形成されている。
【0046】
第1軸検知パターン63と第2軸検知パターン64との間には、図5(b)に断面図で示すように、両者が電気的に非導通の状態を保持するよう、光透過性の高い絶縁層65が設けられている。絶縁層65を形成するのに代えて、第1軸検知パターン63と第2軸検知パターン64とが交差する部位にジャンパ部を設けてもよいし、第1軸検知パターン63と第2軸検知パターン64とを、それぞれ基材31の一方の面と反対側の他方の面とに形成することにより非導通の状態が保持されてもよい。
なお、各第1軸検知パターン63および各第2軸検知パターン64は、第1実施形態同様、リード33B等によってICチップ35に接続されているが、リード33BおよびICチップ35の図示は省略する。
【0047】
出光パターン66は、図5(b)に示すように、基材31において、センサパターン部62が設けられた第一面31Aと反対側の第二面31Bに形成されている。出光パターン66は、第1実施形態同様、領域R1内の各キー部51に対応する形状および配列に形成されているが、第1実施形態とは異なり、多数の微細な凹部67からなる。凹部67の基材31の面方向における寸法は、第1実施形態の出光パターン32におけるドットと同等でよい。また、凹部67の形状等に特に制限はなく、図5に示すように、底面が平坦な形状でもよいし、底面が球面等の曲面であってもよい。このような出光パターンは、微細な凸形状を多数有する金型の表面形状を基材31に転写したり、レーザーエッチングを利用したりすることにより容易に形成することができる。
【0048】
図6は、図4のB−B線における断面図である。なお、図6においては、構造を見やすくするため、センサシート60のセンサパターン部62および出光パターン66を省略して示している。
センサシート60は、センサパターン部62が形成された第一面31Aを操作部50に向けて配置されている。平面視において、各キー部51と重なる領域においては、センサシート60と加飾層52との間にスペーサ(照光スペーサ)36が配置されている。センサシート60と加飾層52との間において、スペーサ36が配置されていない領域には、センサシート60と操作部50との間を埋めるようにスペーサ(導光補助スペーサ)68が配置されている。スペーサ68はセンサシート60の基材31よりも屈折率の小さい材料からなり、基材31との屈折率差が大きいものがより好ましい。これにより、照明されない領域における光の損失を最小限に抑えることができる。また、スペーサ36およびスペーサ68が配置されているため、センサシート60の第一面31A側は、可能な限り空気が排除された状態となっている。
【0049】
操作部50のパネル基材53においては、各キー部51の領域が突出しており、キートップ54が形成されている。キートップ54の形状や形成方法には特に制限はなく、パネル基材53上に光硬化樹脂で形成したり、インクで厚盛り形成したりして形成することができる。そのほか、パネル基材53自体を、キートップ54を有する立体形状に成形してもよいし、別部材をパネル基材53に貼り付けてキートップ54を形成してもよい。さらに熱硬化性樹脂を用いたコンプレッション成形によりキートップ54を形成しても構わない。
【0050】
加飾層52は、第1実施形態の加飾層13同様、透光部52Aおよび遮光部52Bを備えるが、本実施形態においては、各キー部51の文字あるいは記号が照明されるように透光部52Aおよび遮光部52Bの形状等が設定されている。また、パネル基材53と加飾層52とは、公知の易接着処理を両面に施した樹脂製の接合フィルム43を介して接着されている。接合フィルムとしては、例えばPET製のものを好適に使用することができる。
【0051】
センサシート60の下方(第二面31B側)には、キー部51が押されたことを検知する押圧検知部55が各キー部51に1つずつ設けられている。押圧検知部55は、金属製のメタルドーム56と、環状の第1電極57、および第1電極57に囲まれるように配置された第2電極58を備えた公知の構成を有する。
【0052】
メタルドーム56は、粘着フィルム59に上面を覆われるようにして第1電極57および第2電極58が形成された基板に固定されている。粘着フィルム59には、PET等の樹脂からなる白色のフィルムが用いられている。
【0053】
センサシート60の下方に設けられた第二スペーサ69は、メタルドーム56の上方であって、平面視においてメタルドーム56の中心と略一致する位置に配置されている。第二スペーサ69は、第1実施形態の第二スペーサ37と同様の機能を有するほか、キー部51が押圧されたときに、メタルドーム56を座屈させてクリック感を発生させるための押圧子としても機能する。押圧子として機能させる観点からは、第二スペーサ69の横方向(センサシート60の面方向に平行な方向)における寸法が、平面視におけるメタルドーム56の径の60%以下、好ましくは40%以下に設定されると、明確なクリック感を得ることができる。第二スペーサ69の縦方向(センサシート60の厚さ方向に平行な方向)における寸法は、メタルドーム56のストローク(第2電極58等が形成された基板とメタルドーム56とのクリアランスの最大値)以上に設定されるのが好ましい。
【0054】
上記のように構成された携帯電話100の使用時における入力装置41の動作について説明する。
キー部51を用いた入力を行う場合、使用者は所望のキー部を押し込む。すると、センサシート60に設けられた第二スペーサ69が下方に移動し、メタルドーム56を押圧して座屈させる。これにより、クリック感が発生するともに、第1電極57と第2電極58とがメタルドーム56により導通されて、当該キー部が押されたことが検出される。
【0055】
操作部50をタッチパネルとして使用する場合、使用者は領域R1内の操作部表面を指等で触れつつ、所望の軌跡で指等を動かす。指等の位置(座標)は、静電容量の変化として、公知の原理によりセンサパターン部62で随時検知される。各キー部51間の領域等と平面視で重なる領域にはスペーサ68が配置されているため、センサシート60と操作部50との間には空気層がなく、センサシート全体で一様に安定した感度が得られ、センサパターン部62による検知が良好に行われる。
【0056】
LED2から出射された照明光の一部は、第1実施形態同様、基材31内を進んでいく。センサシート60と操作部50との間には空気層がないが、基材31よりも屈折率の小さいスペーサ68が配置されているため、光が基材31の外部に逃げにくく、好適に操作部50が照明される。
【0057】
本実施形態の入力装置41においても、第1実施形態同様、2枚のシート状部材を重ねる必要がないため、入力装置41組み込まれた携帯電話100等の電子機器をさらに薄型化することが可能な構造を有しつつ、操作部を好適に照明することができる。
また、センサシート60の第二面31B側に、白色の粘着フィルム59が配置されているので、第2面31Bから基材31外に出射された照明光の一部は、粘着フィルム59に反射されて再度基材31に入射される。したがって、照明効率をさらに向上させることができる。
【0058】
さらに、出光パターン66が第二面31B側に設けられているため、出光パターン66が操作部50の照明の妨げとならない。したがって、出光パターンの具体的設計の自由度を高くすることができる。
【0059】
本実施形態では、押圧検知部55にメタルドーム56が用いられる例を示したが、メタルドームに代えて、PET等の樹脂フィルムにカーボン、銀等の導電性インクによる印刷を施したポリドームが用いられてもよいし、クリック感を発生させる必要がなければ他の各種スイッチ機構が用いられてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、白色の粘着フィルム59によりメタルドーム56が固定される例を説明したが、金属光沢を有するミラーフィルムを用いた粘着フィルムが使用されてもよい。さらに、粘着フィルムの一部に孔を開ける等によりメタルドームの一部を露出させ、メタルドームの表面により第二面31Bから基材31外に出射された光の一部を反射させる構造としてもよい。
また、このようなミラーフィルムを用いた粘着フィルムは、センサシートの第二面側に配置されてもよい。
【0061】
さらに、本実施形態では、センサパターン部62を形成する第1軸検知パターン63および第2軸検知パターン64が直線状に形成された例を説明したが、これに代えて、例えば特開2009−9249号公報に記載された、いわゆるダイヤモンド形状のパターンが第1軸検知パターン6および第2軸検知パターンとして用いられてもよい。
【0062】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態の構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0063】
例えば、上述の各実施形態では、入力装置がセンサパターン部と出光パターンを有するセンサシートを備える例を説明したが、本発明の入力装置は必ずしもこのようなセンサシートを備えなくてもよい。以下に当該センサシートを備えない本発明の入力装置の変形例を説明する。
図7は、本発明の変形例の入力装置71のキー部72における断面図である。タッチパネルとして機能するセンサパターン部73は、光透過性の高い導電性インク等を用いて加飾層74上に直接形成されている。導光部材として機能する基材75には、上述のスペーサ36と同様に機能する上部スペーサ76と、上述の第二スペーサ69と同様に機能する下部スペーサ77とが一体成形により設けられている。上部スペーサ76の上面には、半球面状の多数の凹部78Aを有する出光パターン78が形成されている。出光パターン78は基材75の一体成形時に併せて形成可能である。基材75の材質としては、透明性を有するシリコーンゴム等を好適に用いることができる。
【0064】
本変形例の入力装置71においても、センサパターン部73を形成するための基板を省略することができ、より薄型化が可能な構成とすることができる。また、導光部材としての基材75の成形時に上部スペーサ76、下部スペーサ77、および出光パターン78をすべて設けることができるので、製造工程を簡略化できるとともに、構成も簡素とすることができる。
【0065】
このほか、例えば、第1実施形態の入力装置1では、キー部への入力をセンサシート30で検出していたため、押圧検知部を設ける必要はないが、この入力装置にクリック感を発生させるために、第1電極および第2電極を備えないメタルドーム又はポリドーム等が配置されてもよい。
【0066】
さらに、LED等の光源部材の上方や下方に遮光テープ等の遮光部材が配置されてもよい。このようにすると、基材31等の導光部材に入射されない光が意図しない箇所から入力装置の外部に漏れるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0067】
1、41 入力装置
2 LED(光源部材)
10、50 操作部
11、51 キー部
30、60 静電容量式センサシート
31 基材
31A 第一面
31B 第二面
32、66 出光パターン
33、62 センサパターン部
36 スペーサ(照光スペーサ)
37、69 第2スペーサ
68 スペーサ(導光補助スペーサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有し、自身の内部に入射された光を導光可能な基材と、
少なくとも一部が光透過性を有するように形成され、前記基材の面上に設けられた静電容量式のセンサパターン部と、
前記基材の面上に設けられ、前記基材の内部の光を前記基材の外部に出射させる出光パターンと、
を備えることを特徴とする静電容量式センサシート。
【請求項2】
前記出光パターンは、導電性を有する材料を用いて形成され、透明、半透明、白色、および金属色のいずれかの色彩を有することを特徴とする請求項1に記載の静電容量式センサシート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の静電容量式センサシートと、
光透過性が相対的に高い高透過部と、前記高透過部よりも光透過性が低い低透過部とを有する操作部と、
前記基材の内部に向けて光を出射する光源部材と、
を備え、
前記基材の外部に出射された前記光が前記高透過部を透過することにより前記操作部が照明されることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
前記基材の、前記操作部に対向する第一面上に設けられた照光スペーサをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記基材の、前記第一面と反対側の第二面側に設けられた第二スペーサをさらに備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記操作部は、複数のキー部を有し、
前記出光パターンは、前記静電容量式センサシートの厚さ方向に見たときに、前記キー部と重なる領域に形成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記センサパターン部は、第1の方向に延びる複数の第1軸検知パターンと、第1の方向と異なる第2の方向に延び、前記第1軸検知パターンと、非導通状態を保持して交差する複数の第2軸検知パターンとを有し、
前記静電容量式センサシートと前記操作部との間を埋めるように配置され、前記基材よりも小さい屈折率を有する導光補助スペーサをさらに備えることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−222226(P2011−222226A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88770(P2010−88770)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】