説明

静電容量式圧力センサ装置

【課題】高温用として使用可能でありながらも小型化や組立易さを改善でき且つトータルコストを削減できるといった優れた静電容量式圧力センサ装置を提供する。
【解決手段】ガスの圧力を感知する静電容量式のセンサ2と、このセンサ2を加熱するヒータHと、センサ2の値から外部のチャンバのガスの圧力を表す出力信号を発生する回路部3と、センサ2およびヒータHを収容するセンサ収容部4aと、回路部3を収容する回路収容部4bと、これら各収容部を間仕切り且つヒータHで発生した熱が回路収容部4bに伝熱することを防止する伝熱防止部4cとを備えるケース4と、センサ2と回路部3とを電気的に接続するとともに、センサ2と回路部3とを安定支持する構造体としての機能および伝熱防止部4cと少なくとも同程度に各収容部間の伝熱を防止する伝熱防止体としての機能のうち少なくともいずれか一方の機能を有するコネクタ5とを具備して成るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空度(ガス圧力)に応じて変形するダイヤフラムと固定電極との間に発生する静電容量の変化から真空度を測定する静電容量式圧力センサ装置に係わり、特にセンサ部分を高温に温調した、高温用の静電容量式圧力センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体を製造するプラズマエッチング装置やスパッタ装置等の製造装置において、真空チャンバの真空度を測定するために静電容量式圧力センサ装置が用いられるが、ガスの種類によっては、ダイヤフラム面への凝着によってその撓み量が変化しセンサ部分が誤動作するため、これを防止すべく、センサ部分が高温となるように構成したものが提供されている。
【0003】
具体的にこの種の静電容量式圧力センサ装置は、例えば、上下に分離して成り且つ熱絶縁性の部材で連結した下側ケースおよび上側ケースを具備して成る。そして、下側ケースには、熱シェルと、この熱シェルの中に配して成り且つ真空チャンバに接続する接続ポート内に存在するガスの圧力を感知するセンサと、この圧力センサを所定の動作温度まで加熱するヒータとを設ける一方、上側ケースには、センサの出力端子の間のキャパシタンスの値を感知して、該キャパシタンスから接続ポートにおけるガスの圧力を表す出力信号を発生する回路部を設けた上で、これら上下のケース間には、熱伝導率の高い薄板状の輻射フィンを設けることにより、ヒータで発生した熱が、回路部に伝熱することを防止するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2000−515967(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の構成では、センサと回路部とを熱が伝わり難くするために上側ケースと下側ケースとを別体として、さらにその間を空間としているため、装置が大型化し取付スペース、組立の作業性並びにコスト高が問題となっている。
【0005】
そこで本発明は、高温用として使用可能でありながらも小型化や組立易さを改善でき且つトータルコストを削減できるといった優れた静電容量式圧力センサ装置を提供することをその主たる課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る静電容量式圧力センサ装置は、外部のチャンバのガスの圧力を感知する静電容量式のセンサと、このセンサを所定の動作温度に加熱するヒータと、前記センサで感知したキャパシタンスの値から外部のチャンバのガスの圧力を表す出力信号を発生する回路部と、前記センサおよび前記ヒータを収容するセンサ収容部と、前記回路部を収容する回路収容部と、これら各収容部を間仕切り且つ前記ヒータで発生した熱が前記回路収容部に伝熱することを防止する伝熱防止部とを備えるケースと、前記センサと前記回路部とを電気的に接続するとともに、前記センサと前記回路部とを安定支持する構造体としての機能および前記伝熱防止部と少なくとも同程度に各収容部間の伝熱を防止する伝熱防止体としての機能のうち少なくともいずれか一方の機能を有するコネクタとを具備して成ることを特徴とする。
【0007】
このようなものによれば、伝熱防止部によって、センサ収容部から回路収容部に向かう伝熱と対流と熱輻射とを防止して、回路部の誤動作を防止することができ、電子部品の長寿命化にも資する。また、センサ収容部と回路収容部とを伝熱防止部で仕切ることでそれら収容部を離間させることなく共通のケース内に設けているため、当該装置のコンパクト化を図ることができる上、組み立て易さも改善することができ、さらには、トータルコストの削減を行うことができる。
【0008】
すなわち、高温用として使用可能でありながらも小型化や組立易さを改善でき且つトータルコストを削減できるといった優れた静電容量式圧力センサ装置を提供することができる。
【0009】
なお、前記コネクタが、略筒状を成しシールド材として用いる外側導体とこの外側導体の内部空間内に配され信号ラインとして用いる内側導体とを具備し、これら各導体の両方を、前記構造体としての機能を有するように構成しているのであれば、外側導体と内側導体との間の距離を一定とすることができる。したがって、その間にある静電容量も変化しないので、回路部の誤動作を好適に防止するに資する。
【0010】
前記外側導体の回路部側または前記内側導体の回路部側を、漸次先細形状に形成しているのであれば、センサから回路部への伝熱を、その先端形状によって効果的に防止することができる。
【0011】
前記外側導体の周壁に、内側導体で輻射される熱が外側導体の外部空間へ放熱されることを促す放熱促進孔を設けているのであれば、内側導体を介してセンサから回路部に伝熱する熱が、放熱促進孔から放熱されるため、センサ側の熱が回路部側に伝熱することを、効果的に防止することができる。
【0012】
前記コネクタの主要部に、ステンレス材を用いているのであれば、例えば銅製のものに比べ熱伝導率が低いので、センサから回路部への伝熱を、効果的に防止することができる。
【0013】
前記コネクタが、放熱用フィンを具備して成るのであれば、より大きな放熱効果を得られるので、コネクタの全体長を短くすることができ、装置のコンパクト化に資する。
【0014】
本発明のコネクタの望ましい態様としては、該コネクタが、前記ケースの構造体としての機能を発揮するように構成していることが好ましい。
【0015】
前記センサ収容部が、前記ケースの周壁である外側ケースから内側へオフセットさせた位置に設けた内側ケース内に形成して成るものであれば、外側ケースと内側ケースとの二重構造によって、ヒータで発生した熱が外部へ伝熱することを効果的に防止することができる。
【0016】
前記内側ケースの外側に輻射される輻射熱を減らすには、この内側ケースを、光沢のある金属にて形成していることが望ましい。
【0017】
前記外側ケースの周壁に、外側ケースと内側ケースとの間に形成される内部空間にある空気と、外側ケースの外部空間にある空気との対流を促すセンサ側対流促進孔を設けているのであれば、内側ケースの表面を、センサ側対流促進孔から流出入する空気を利用して冷却することができる。
【0018】
前記回路収容部を形成する周壁に、当該回路収容部の内部空間にある空気と、当該回路収容部の外部空間にある空気との対流を促す回路側対流促進孔を設けているのであれば、回路収容部内に露出するコネクタの表面および回路部の表面を、回路側対流促進孔から流出入する空気を利用して冷却することができる。
【0019】
前記回路部が、前記センサに接離する方向に空気層を介して複数段に配して成る複数の基板を具備して成るのであれば、例えば、複数の基板のうち、センサ収容部から遠い位置にある基板に、比較的耐熱性の低い部品を配置すれば、その部品の長寿命化に資する。
【発明の効果】
【0020】
このように本発明に係る静電容量式圧力センサ装置は、伝熱防止部によって、センサ収容部から回路収容部に向かう伝熱と対流と熱輻射とを防止して、回路部の誤動作を防止することができ、電子部品の長寿命化にも資する。また、センサ収容部と回路収容部とを伝熱防止部で仕切ることでそれら収容部を離間させることなく共通のケース内に設けているため、当該装置のコンパクト化を図ることができる上、組み立て易さも改善することができ、さらには、トータルコストの削減を行うことができる。
【0021】
すなわち、高温用として使用可能でありながらも小型化や組立易さを改善でき且つトータルコストを削減できるといった優れた静電容量式圧力センサ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態の静電容量式圧力センサ装置Aは、例えば、半導体を製造するプラズマエッチング装置やスパッタ装置等の製造装置において、図示しない真空チャンバ(本発明の「外部のチャンバ」に相当)の真空度を測定するために用いられるものであって、図1に示すように、真空チャンバと接続する接続ポート1と、この接続ポート1を利用して真空チャンバのガスの圧力を感知する静電容量式のセンサ2と、このセンサ2を所定の動作温度まで加熱するヒータHと、前記センサ2で感知したキャパシタンスの値から真空チャンバのガスの圧力を表す出力信号を発生する回路部3と、前記センサ2および前記ヒータHを収容するセンサ収容部4aと、前記回路部3を収容する回路収容部4bと、これら各収容部を間仕切り且つ前記ヒータHで発生した熱が前記回路収容部4bに伝熱することを防止する伝熱防止部4cとを備えるケース4と、前記センサ2と前記回路部3とを電気的に接続するとともに、前記センサ2と前記回路部3とを安定支持する構造体としての機能および前記伝熱防止部4cと少なくとも同程度に各収容部間の伝熱を防止する伝熱防止体としての機能の両方の機能を有するコネクタ5とを具備して成るものである。以下、具体的に各部を説明するが、説明の便宜上、この静電容量式圧力センサ装置Aの上下を、接続ポート1を備える側を下側、後述するコネクタ4pを備える側を上側として説明を進める。
【0024】
接続ポート1は、真空チャンバと着脱可能な接続部(図示せず)を先端に備えた略円筒状のものであって、本実施形態では、ステンレス製のものとしているが、これに限られるものではない。
【0025】
センサ2は、図2に示すように、張力を加えた薄いメタル製のダイヤフラム2aで仕切られた、高真空に保たれて成る基準室2bと、前記接続ポート1に接続されて成る真空計測室2cとを具備し、真空計測室2c側の圧力によってダイヤフラム2aが変位した際に生じる、ダイヤフラム2aと基準室2b内に設けた固定電極2dとの間dの静電容量の変動を、キャパシタンスの値を示す圧力信号(電気信号)に変換して出力するように構成したものである。
【0026】
ヒータHは、センサ2を所定の動作温度である200℃付近となるように加熱するものである。なお、この動作温度は、図示しない温調部によって、調整可能に構成している。
【0027】
回路部3は、3枚の基板31a〜31c(以下、基板31と総称する)を具備し、これら基板31を、センサ2に接離する方向に所定間隔離間させて、空気層を挟み込んだ複数段となるように配している。そして、本実施形態では、これら複数の基板31のうち、センサ収容部4aから遠い位置にある基板31aに、比較的耐熱性の低い部品を配置するようにしているが、実施態様に応じて適宜変更可能である。
【0028】
ケース4は、外側ケース41と、この外側ケース41から内側へオフセットさせた位置に設けた内側ケース42と、これら外側ケース41と内側ケース42とを間仕切る位置に配した伝熱防止部4cと、この伝熱防止部4cの回路部3側に取り付けた回路部3を支持するための一対の支持部材43とを具備するものである。
【0029】
外側ケース41は、断面視略部分円弧状の部分411aと直線上の部分411bとをそれぞれ2箇所に有し全体としては略円筒状を成す外側ケース周壁411と、この外側ケース周壁411の上下両端部をそれぞれ閉塞する外側ケース頂壁412および外側ケース底壁413とを具備し、これら各部をステンレス材により一体に形成して成る。
【0030】
そして、外側ケース周壁411の下端側および外側ケース底壁413には、外側ケース41と内側ケース42との間に形成される内部空間にある空気と、外側ケース41の外部空間にある空気との対流を促す複数のセンサ側対流促進孔41xをそれぞれ設けている。また、外側ケース周壁411の上端側(本発明の「回路収容部4bを形成する周壁」に相当)には、回路収容部4bの内部空間にある空気と、回路収容部4bの外部空間にある空気との対流を促す回路側対流促進孔41yを設けている。なお、本実施形態では、この各促進孔41x、41yの形状を、長孔状としているが、例えば丸孔とする等、これに限られるものではない。さらに、外側ケース頂壁412には、回路部3に接続されるコネクタ4p及び回路部3の調整用操作部4qを設け、外側ケース底壁413の略中央部には、接続ポート1を挿通する外側ポート挿通孔41zを設けている。
【0031】
内側ケース42は、略円筒状を成す内側ケース周壁421と、この内側ケース周壁421の上下両端部をそれぞれ閉塞する内側ケース頂壁422および内側ケース底壁423とを具備し、これら各部を光沢のある金属であるステンレス材により一体に形成して成る。そして、内側ケース頂壁422には、コネクタ5を挿通するためのコネクタ挿通孔42xを設け、内側ケース底壁423の略中央部には、接続ポート1を挿通する内側ポート挿通孔42yを設けている。また、本実施形態では、内側ケース42の内部空間に、例えばシリコンスポンジなどの断熱材4Dを配している。
【0032】
伝熱防止部4cは、薄板状のものであって、本実施形態では、ステンレス製のものとしている。そして、中央部には厚み方向に貫通しコネクタ5を挿通可能な貫通孔4c1を設けている。
【0033】
支持部材43は、断面視略コ字状を有するものであって、本実施形態では、金属製のものとしている。
【0034】
コネクタ5は、図3、図4に示すように、上端側を、ケース4に間接的に支持させた回路部3に取り付ける一方、下端側を、ケース4に間接的に支持させたセンサ2に取り付けることで、このコネクタ5が、ケース4の構造体としての機能を発揮するように構成しているものであって、センサ2−回路部3間の信号ラインとして用いられ略一直線上に配されて成る回路部側中心コンタクト体511(本発明の「内側導体」に相当)及びセンサ側中心コンタクト体512と、これら両コンタクト体511、512(以下、「コンタクト体51」と総称する)のシールド材として外側を覆うように配される回路部側シェル体521(本発明の「外側導体」に相当)及びセンサ側シェル体522と、コンタクト体51と両シェル体521、522(以下、「シェル体52」と総称する)との間に配される3つのインシュレータ531〜533(以下、「インシュレータ53」と総称する)と、センサ側シェル体522のセンサ2側に設けた対センサ2接続用のバネリング54とを具備して成る。より具体的に各部を説明する。
【0035】
回路部側中心コンタクト体511は、ステンレス材により形成した略中実軸形状のものであって、回路部3側を伝熱防止のために漸次先細形状に構成し、センサ2側をセンサ側中心コンタクト体512との接続のために先細形状に構成している。
【0036】
センサ側中心コンタクト体512は、ベリ銅により形成した略中実軸形状のものであって、回路部3側に、回路部側中心コンタクト体511のセンサ側端部511bを嵌入保持する第1嵌入部512aを備えている。
【0037】
回路部側シェル体521は、ステンレス材により形成した略円筒形状のものであって、回路部3側を伝熱防止のために漸次先細形状に構成している。そして、この回路部側シェル体521の周壁に、回路部側中心コンタクト体511で輻射される熱が回路部側シェル体521の外部空間へ放熱されることを促す放熱促進孔521xを設けている。なお、本実施形態では、この放熱促進孔521xの形状を、長孔状としているが、例えば丸孔とする等、これに限られるものではない。
【0038】
センサ側シェル体522は、リン青銅により形成した略円筒形状のものであって、回路部3側に、回路部側シェル体521のセンサ側端部521bを嵌入保持する第2嵌入部522aを備えている。
【0039】
インシュレータ531〜533は、それぞれ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)により形成したものである。
【0040】
バネリング54は、ベリ銅により形成した略円筒形状のものである。
【0041】
次に上記構成の静電容量式圧力センサ装置Aの動作について説明する。
【0042】
まず、センサ2を動作温度である200℃近傍となるようにヒータHで加熱する。
【0043】
すると、ヒータHで暖められたセンサ2は、コネクタ5と接続されているため、センサ2の熱がコネクタ5に伝わっていく(以下、「コネクタ5方向への伝熱経路」と称する)。また、ヒータHの熱は、その近傍に配した断熱材4Dで一部断熱されるが、残りの熱が内側ケース42へと伝わっていく(以下、「内側ケース42方向への伝熱経路」と称する)。
【0044】
コネクタ5方向への伝熱経路で伝わる熱は、さらに、コネクタ5を介して回路部3に伝わろうとする。しかしながら、コネクタ5には、その主要部である回路部側中心コンタクト体511および回路部側シェル体521に、ステンレス材を用いている上、それぞれの回路部3側を、漸次先細形状に構成しているため、ここで良好な断熱効果を得られる。また、回路部側中心コンタクト体511が、熱を輻射した場合でも、その熱は、回路部側シェル体521に設けた放熱促進孔521xから回路収容部4bに放熱される。そしてさらに、この回路収容部4b内は、回路側対流促進孔41yから出入りする空気によって冷却される。したがって、コネクタ5方向への伝熱経路で伝わる熱は、その経路途中で良好に断熱されることとなる。
【0045】
一方、内側ケース42方向への伝熱経路で、内側ケース42に伝わる熱は、該内側ケース42の光沢な内側面で反射し、外部に輻射されることを防止される。また、暖められた内側ケース42は、センサ側対流促進孔41xから出入りする空気によって冷却される。また、内側ケース42の上面側から回路部3側に伝わろうとする熱は、伝熱防止部4cによって断熱される。
【0046】
このように、センサ2を動作温度である200℃近傍となるようにヒータHで加熱しても、各伝熱経路を介して伝わる熱は、その経路途中で良好に放熱または断熱され、回路部3近傍の温度を70度以下とし、ケース4の表面温度を50度以下とすることができる。
【0047】
したがって、このような静電容量式圧力センサ装置Aによれば、伝熱防止部4cによって、センサ収容部4aから回路収容部4bに向かう伝熱と対流と熱輻射とを防止して、回路部3の誤動作を防止することができ、電子部品の長寿命化にも資する。また、センサ収容部4aと回路収容部4bとを伝熱防止部4cで仕切ることでそれら収容部4a、4bを離間させることなく共通のケース4内に設けているため、当該装置のコンパクト化を図ることができる上、組み立て易さも改善することができ、さらには、トータルコストの削減を行うことができる。
【0048】
すなわち、高温用として使用可能でありながらも小型化や組立易さを改善でき且つトータルコストを削減できるといった優れた静電容量式圧力センサ装置Aを提供することができる。
【0049】
また、前記コネクタ5が、略円筒状を成しシールド材として用いる回路部側シェル体521とこの回路部側シェル体521の内部空間内に配され信号ラインとして用いる回路部側中心コンタクト体511とを具備し、これら各導体の両方を、前記構造体としての機能を有するように構成しているので、回路部側シェル体521と回路部側中心コンタクト体511との間の距離を一定とすることができる。したがって、その間にある空気の持っている静電容量も変化しないので、回路部3の誤動作を好適に防止するに資する。
【0050】
また、前記回路部側シェル体521の回路部3側および前記回路部側中心コンタクト体511の回路部3側を、漸次先細形状に形成しているので、センサ2から回路部3への伝熱を、その先端形状によって効果的に防止することができる。
【0051】
また、前記回路部側シェル体521の周壁に、回路部側中心コンタクト体511で輻射される熱が回路部側シェル体521の外部空間へ放熱されることを促す放熱促進孔521xを設けているため、回路部側中心コンタクト体511を介してセンサ2から回路部3に伝熱する熱が、放熱促進孔521xから放熱されるため、センサ2側の熱が回路部3側に伝熱することを、効果的に防止することができる。
【0052】
また、前記コネクタ5の主要部に、ステンレス材を用いているため、例えば銅製のものに比べ熱伝導率が低いので、センサ2から回路部3への伝熱を、効果的に防止することができる。
【0053】
また、前記コネクタ5のセンサ2側端部に、リン青銅を用いているため、例えば、当該センサ2側端部をステンレス材で形成したものと比べ、センサ2への取付部分の加工を、容易に行えるため、センサ2の選定などの設計自由度が大きくなる。なお、より高い伝熱防止効果を得るには、コネクタ5全体をステンレス材としてもよい。
【0054】
また、前記センサ収容部4aが、前記ケース4の周壁である外側ケース41から内側へオフセットさせた位置に設けた内側ケース42内に形成して成るものであるので、外側ケース41と内側ケース42との二重構造によって、ヒータHで発生した熱が外部へ伝熱することを効果的に防止することができる。
【0055】
また、内側ケース42を、光沢のある金属であるステンレス材にて形成しているので、内側ケース42の外側に輻射される輻射熱を減らすことができる。
【0056】
また、前記外側ケース41の周壁に、外側ケース41と内側ケース42との間に形成される内部空間にある空気と、外側ケース41の外部空間にある空気との対流を促すセンサ側対流促進孔41xを設けているので、内側ケース42の表面を、センサ側対流促進孔41xから流出入する空気を利用して冷却することができる。
【0057】
また、前記回路収容部4bを形成する周壁に、当該回路収容部4bの内部空間にある空気と、当該回路収容部4bの外部空間にある空気との対流を促す回路側対流促進孔41yを設けているので、回路収容部4b内に露出するコネクタ5の表面および回路部3の表面を、回路側対流促進孔41yから流出入する空気を利用して冷却することができる。
【0058】
また、前記回路部3が、前記センサ2に接離する方向に空気層を介して複数段に配して成る複数の基板31aを具備して成るので、例えば、複数の基板31のうち、センサ収容部4aから遠い位置にある基板31aに、比較的耐熱性の低い部品を配置して、その部品の長寿命化に資するようにすることも容易にできる。
【0059】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0060】
例えば、伝熱防止部4cをステンレス製としているが、例えば、樹脂製とするなど、適宜な材料を用いることができる。
【0061】
また、コンタクト体とシェル体との間に形成される空間に、熱伝導部材(例えば、シリコンスポンジなど)を入れた構成とすることができる。このように構成すれば、例えば、コンタクト体に銅線を用いることができるなど、コンタクト体を、本実施形態のものよりも細く可撓性を有するものとすることができる。
【0062】
また、回路部側シェル体521を、略円筒形状のものとしているが、例えば、略角筒状のものとするなど、形状は実施態様に応じて適宜変更可能である。
【0063】
また、コネクタ5に、放熱用フィンを設けても良い。このように構成すれば、より大きな放熱効果を得られるので、コネクタ5の全体長を短くすることができ、装置のコンパクト化に資する。
【0064】
また、外側ケース41の各部をステンレス材により一体に形成しているが、例えば、外側ケース底壁413の接続ポート1と接触する部分に、比較的熱伝導率の低いステンレス製のブッシュを用い、その他の部分を比較的熱伝導率の高いアルミなどで構成しても良い。
【0065】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る静電容量式圧力センサ装置を示す構造断面図、平面図及び側面図。
【図2】同実施形態におけるセンサの動作原理を説明するための図。
【図3】同実施形態におけるコネクタの正面図。
【図4】同実施形態におけるコネクタの構造断面図。
【符号の説明】
【0067】
A・・・・・・・・・・・・静電容量式圧力センサ装置
H・・・・・・・・・・・・ヒータ
2・・・・・・・・・・・・センサ
3・・・・・・・・・・・・回路部
4・・・・・・・・・・・・ケース
4a・・・・・・・・・・・センサ収容部
4b・・・・・・・・・・・回路収容部
4c・・・・・・・・・・・伝熱防止部
5・・・・・・・・・・・・コネクタ
31(31a〜31c)・・・基板
41・・・・・・・・・・・外側ケース
41x・・・・・・・・・・センサ側対流促進孔
41y・・・・・・・・・・回路側対流促進孔
42・・・・・・・・・・・内側ケース
511・・・・・・・・・・内側導体(回路部側中心コンタクト体)
521・・・・・・・・・・外側導体(回路部側シェル体)
521x・・・・・・・・・放熱促進孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部のチャンバのガスの圧力を感知する静電容量式のセンサと、
このセンサを所定の動作温度に加熱するヒータと、
前記センサで感知したキャパシタンスの値から外部のチャンバのガスの圧力を表す出力信号を発生する回路部と、
前記センサおよび前記ヒータを収容するセンサ収容部と、前記回路部を収容する回路収容部と、これら各収容部を間仕切り且つ前記ヒータで発生した熱が前記回路収容部に伝熱することを防止する伝熱防止部とを備えるケースと、
前記センサと前記回路部とを電気的に接続するとともに、前記センサと前記回路部とを安定支持する構造体としての機能および前記伝熱防止部と少なくとも同程度に各収容部間の伝熱を防止する伝熱防止体としての機能のうち少なくともいずれか一方の機能を有するコネクタとを具備して成ることを特徴とする静電容量式圧力センサ装置。
【請求項2】
前記コネクタが、略筒状を成しシールド材として用いる外側導体とこの外側導体の内部空間内に配され信号ラインとして用いる内側導体とを具備し、これら各導体の両方を、前記構造体としての機能を有するように構成していることを特徴とする請求項1記載の静電容量式圧力センサ装置。
【請求項3】
前記外側導体の回路部側または前記内側導体の回路部側を、漸次先細形状に形成していることを特徴とする請求項2記載の静電容量式圧力センサ装置。
【請求項4】
前記外側導体の周壁に、内側導体で輻射される熱が外側導体の外部空間へ放熱されることを促す放熱促進孔を設けていることを特徴とする請求項2または3記載の静電容量式圧力センサ装置。
【請求項5】
前記コネクタの主要部に、ステンレス材を用いていることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の静電容量式圧力センサ装置。
【請求項6】
前記コネクタが、放熱用フィンを具備して成ることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の静電容量式圧力センサ装置。
【請求項7】
前記コネクタが、前記ケースの構造体としての機能を発揮するように構成していることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の静電容量式圧力センサ装置。
【請求項8】
前記センサ収容部が、前記ケースの周壁である外側ケースから内側へオフセットさせた位置に設けた内側ケース内に形成して成るものであることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の静電容量式圧力センサ装置。
【請求項9】
前記内側ケースを、光沢のある金属にて形成していることを特徴とする請求項8記載の静電容量式圧力センサ装置。
【請求項10】
前記外側ケースの周壁に、外側ケースと内側ケースとの間に形成される内部空間にある空気と、外側ケースの外部空間にある空気との対流を促すセンサ側対流促進孔を設けていることを特徴とする請求項8または9記載の静電容量式圧力センサ装置。
【請求項11】
前記回路収容部を形成する周壁に、当該回路収容部の内部空間にある空気と、当該回路収容部の外部空間にある空気との対流を促す回路側対流促進孔を設けていることを特徴とする請求項1乃至10いずれか記載の静電容量式圧力センサ装置。
【請求項12】
前記回路部が、前記センサに接離する方向に空気層を介して複数段に配して成る複数の基板を具備して成ることを特徴とする請求項1乃至11いずれか記載の静電容量式圧力センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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