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静電容量方式タッチパネル
説明

静電容量方式タッチパネル

【課題】入力操作面が大型化し、検出電極パターンやその配線パターンの抵抗値が変動しても、精度良く、入力操作位置を検出可能な静電容量方式タッチパネルを提供する。
【解決手段】入力操作面に配置される検出電極パターンの電位を、固定周波数fの交流検出信号で変化させ、固定電位の入力操作体に固定周波数fのコモンモード信号を相対的に発生させる。入力操作により入力操作体との浮遊容量Cmが増大する検出電極パターンから固定周波数fのコモンモード信号を検出し、検出した検出電極パターンの配設位置から入力操作位置を検出するので、入力操作面が大型化し検出電極パターンの内部抵抗rが増加しても、減衰することなく、コモンモード信号を検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁パネルの入力操作面への入力操作位置を、入力操作位置における浮遊容量の変化から検出する静電容量方式タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器のディスプレーに表示されたアイコンなどを指示入力するポインティングデバイスとして、指などの入力操作体を入力操作面へ接近させた位置での静電容量が変化することを利用して非接触で入力操作位置を検出し、これによりディスプレーの背面側に配置可能な静電容量方式タッチパネルが知られている。
【0003】
入力操作による静電容量の変化は、入力操作面に検出抵抗Rを直列に接続した検出電極パターンを配置し、検出電極パターンについての静電容量(浮遊容量)Cと検出抵抗Rの一側に所定の電圧Vccを加えて、時定数RCに依存する充電時間若しくは放電時間の変化から検出できる。
【0004】
しかしながら、入力操作面の大きさが例えば4インチ以上に拡大したタッチパネルでは、検出電極パターン自体やこれに接続される引き出し電極パターンの厚さや幅の製造誤差や温度変化に起因して個々の検出電極パターン毎の抵抗値が安定せず、時定数が設計値と異なることから入力操作を誤検出するという問題があった。そこで、従来、入力操作面が大型の静電容量式タッチパネルは、入力操作面の表面に均一抵抗層をむらなく形成し、入力操作位置の浮遊容量を介して操作者に流れる交流信号を入力操作面の四隅で検出し、四隅での信号レベルを比較して、入力操作位置を検出している(特許文献1)。
【0005】
また、上述の時定数の変化を利用して入力操作位置を検出する静電容量方式タッチパネルは、指を検出電極パターンへ接近させた際の浮遊容量が大きくても10pF程度であるので、1MΩの検出抵抗を直列に接続したとしても、時定数は、約10−5秒変化するだけであり、充電時間や放電時間の比較から直接検出電極パターンへの入力操作を検出することは、極めて困難であった。この問題を解決するために、より大きな容量のコンデンサを用意しておき、浮遊容量の充電電荷を繰り返しこのコンデンサへ移し、コンデンサの充電時間を比較するチャージトランスファー方式の静電容量検出方法が提案されている(特許文献2)。
【0006】
以下、チャージトランスファー方式の静電容量検出方法を、図8、図9を用いて説明する。図8に示すコンデンサC1は、容量の変化を検出しようとする小容量c1のコンデンサであり、例えば、操作者の指とパターンとの間に生じる微小浮遊容量のコンデンサである。コンデンサC1の一側が接地され、他側のSW1がON動作している間、充電電圧Vccで充電される。また、コンデンサC1と並列に、SW2を介してコンデンサC1の静電容量に対して充分に大きい容量c2のコンデンサC2が接続されている。
【0007】
このように構成された検出回路について、第1ステップで、SW1をON、SW2をOFFとして、コンデンサC1を充電電圧Vccで充電し、充電後、第2ステップで、SW1とSW2をともにOFFとする。この第2ステップでは、コンデンサC1の電圧V1は、Vccである。続いて、第3ステップで、SW1をOFF、SW2をONとし、コンデンサC1の充電電荷の一部をコンデンサC2へ移し、その後、第4ステップで、SW1とSW2を再びともにOFFとする。この第4ステップでは、コンデンサC1の電圧V1とコンデンサC2の電圧V2は等しくなる。
【0008】
第1ステップから第4ステップまでの処理をN回繰り返したときのコンデンサC2の電圧V2は、V2=Vcc×(1−c2/(c1+c2))で表され、充電電圧Vcc、コンデンサC2の容量c2が既知であるので、図7に示す充電電圧Vccの例えば1/2に設定したVrefまでコンデンサC2の電圧V2が達成する回数Nを求めれば、検出しようとするコンデンサC1の静電容量c1が得られる。
【0009】
図9に示すように、静電容量c1が増加する程、Vrefに達する繰り返し回数Nは短くなるので、検出電極パターンへの入力操作体の接近のみを検知できれば充分な静電容量方式タッチパネルでは、繰り返し回数のしきい値Nrefを例えば図中の300に設定し、このしきい値Nrefより短い繰り返し回数でVrefに達した場合に、入力操作の指が接近し10pF以上の浮遊容量が生じたものとして、検出電極パターンへの入力操作を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−76014号公報
【特許文献2】特開2006−78292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1により開示されている静電容量方式タッチパネルは、入力操作面の異なる2カ所以上の位置に入力操作体を接近させるいわゆるマルチタッチの入力操作位置を検出することができず、また、入力操作面が拡大するほど、四隅の信号レベルを比較するだけでは検出誤差が大きく、正確な入力操作位置を検出できないものであった。
【0012】
また、特許文献2に記載のチャージトランスファー方式の静電容量検出方法を用いた静電容量方式タッチパネルでは、検出電極パターン毎に二種類のスイッチSW1、SW2と充電手段及びスイッチSW1、SW2の制御手段が必要になるとともに、特許文献2に記載の例では、ステップ1からステップ4までの処理を300回ほど繰り返さないと、静電容量の変化を検出できず、入力操作を検出可能な時間内に検出しなければならないことから、各ステップでスイッチSW1、SW2を2μsecの周期で高速に切り替え制御している。また、タッチパネルの大型化に伴い、検出電極パターンも長くなるため、パターンの抵抗が大きくなり、図8のC1にて示される浮遊容量コンデンサとの時定数も大きくなり、その結果、ステップ1の間に浮遊容量コンデンサへの充電が不十分となり、入力操作を誤検出する場合もあった。
【0013】
この方式のタッチパネルでは、入力操作位置を二次元平面座標で検出する場合には、格子状に配置する多数の行検出電極パターンと多数の列検出電極パターンについてそれぞれステップ1からステップ4までの処理を隔離返して各スイッチSW1、SW2を同時に高速制御する必要があり、全体の構造が複雑化すると共に、短時間の入力操作の検出は極めて困難なものであった。
【0014】
従って、大面積の入力操作面への入力操作を、誤検出することなく、また、その入力操作位置を精度良く迅速に検出可能な静電容量方式タッチパネルが望まれているが、従来のいずれの静電容量方式タッチパネルであっても、これを実現することができなかった。
【0015】
更に、いずれの静電容量方式タッチパネルも、入力操作面に交流信号を印加したり、充放電工程が必要となるので、入力操作を待機する待機時間中にも電力を消費し、バッテリーの消耗が激しいことから携帯機器への搭載には不適であった。
【0016】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、入力操作面が大型化し、検出電極パターンやその配線パターンの抵抗値が変動しても、精度良く、入力操作位置を検出可能な静電容量方式タッチパネルを提供することを目的とする。
【0017】
また、検出電極パターン毎に高速で回路の開閉制御を行うことなく、多数の検出電極パターンについての入力操作を迅速に検出できる静電容量方式タッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の目的を達成するため、請求項1の静電容量方式タッチパネルは絶縁パネルの一面に互いに絶縁して配設される複数の検出電極パターンと、前記複数の検出電極パターンに接続し、入力操作体から出力されるコモンモード信号を、入力操作体との浮遊容量を介して検出電極パターンから検出する入力操作検出手段とを有し、1又は2以上の検出電極パターンからコモンモード信号を検出した際に、その検出電極パターンに入力操作体が接近し浮遊容量が増大したものとして、該検出電極パターンの配設位置から入力操作位置を検出する静電容量方式タッチパネルであって、固定電位の第1基準電圧とした第1基準電圧パターンに接続し、固定周波数fの交流検出信号を出力する発振回路と、前記発振回路の出力に接続し、交流検出信号の電位の第2基準電位とした第2基準電圧パターンとを備え、前記複数の検出電極パターンを直接若しくは間接的に第2基準電圧パターンに接続して、第2基準電位を基準とした電位とし、前記交流検出信号に相対する固定周波数fのコモンモード信号を入力操作体から出力させることを特徴とする。
【0019】
検出電極パターンの電位は、固定周波数fの交流検出信号と同位相の第2基準電圧を基準として変動するので、電位がほぼ変動しない指などの入力操作体の検出電極パターン側からみた電位は相対的に変動し、入力操作体から固定周波数fのコモンモード信号が出力される。
【0020】
コモンモード信号は、入力操作体が検出電極パターンに接近し、検出電極パターンの浮遊容量が増加するほどそのレベルが大きくなるので、検出電極パターンで検出する固定周波数fの信号レベルが所定のしきい値を越えたときにコモンモード信号を検出し、その検出電極パターンへの入力操作体が接近したものと判定し、その検出電極パターンの絶縁パネルの一面の配設位置から入力操作位置を検出する。
【0021】
請求項2の静電容量方式タッチパネルは、入力操作検出手段が、固有周波数fの帯域信号を通過させる帯域フィルタと、複数の検出電極パターンのいずれかの検出電極パターンを選択して帯域フィルタへ接続するマルチプレクサと、帯域フィルタの出力レベルからコモンモード信号を検出し、コモンモード信号を検出した際にマルチプレクサが選択接続した検出電極パターンの配設位置から入力操作位置を検出する入力判定部とを備え、発振回路は、第1基準電圧パターンが配線された第1回路基板に実装され、第1基準電位を基準とする電位で動作するとともに、
前記帯域フィルタと、マルチプレクサと、入力判定部とは、第2基準電圧パターンが配線された第2回路基板に実装され、第2基準電位を基準とする電位で動作することを特徴とする。
【0022】
帯域フィルタは、固有周波数fの帯域信号を通過させるので、他のコモンモードノイズが遮断され、帯域フィルタの出力レベルかコモンモード信号を正確に検出できる。
【0023】
帯域フィルタとマルチプレクサと入力判定部は、検出電極パターンと同位相の第2基準電位で変動するので、検出電極パターンと入力操作検出手段の各回路素子を分離せずに、同一回路基板上に形成することができる。
【0024】
請求項3の静電容量方式タッチパネルは、一面に検出電極パターンが配設された絶縁パネルの他面に、絶縁パネルの他面全体を覆い、第2基準電圧パターンに接続するシールド板が積層されていることを特徴とする。
【0025】
絶縁パネルの他面の全体が、検出電極パターンと同位相で変動するシールド板で覆われるので、各検出電極パターンは他面側がシールド板で遮蔽され、一面側の入力操作体から入力されるコモンモード信号以外のコモンモードノイズが検出電極パターンに侵入しない。
【0026】
請求項4の静電容量方式タッチパネルは、入力操作体が接近した検出電極パターンと入力操作体との間の浮遊容量をCm、検出電極パターンとシールド板間の浮遊容量をCp、検出電極パターンの内部抵抗をr、検出電極パターンの出力抵抗をRとして、交流検出信号の固定周波数fを、1/2π(Cm+Cp)(r+R)以上の周波数に設定することを特徴とする。
【0027】
検出電極パターンに入力されるコモンモード信号の入力電圧に対する電圧比(Vo/Vi)は、
【0028】
【数1】

【0029】
で表され、そのカットオフ周波数fcは、
【0030】
【数2】

【0031】
となることから、交流検出信号の固定周波数fを1/2π(Cm+Cp)(r+R)以上の周波数とすることにより、コモンモード信号が大きく減衰することなく検出電極パターン側で検出される。
【発明の効果】
【0032】
請求項1の発明によれば、入力操作体と検出電極パターンとの間の浮遊容量の変化を検出するために、浮遊容量を充電することなく、検出が容易な固定周波数fのコモンモード信号を入力操作体から出力させ、浮遊容量が大きくなりコモンモード信号を検出可能となった検出電極パターンの配設位置から入力操作位置を検出するので、簡単な回路で高速に入力操作位置を検出できる。
【0033】
コモンモード信号は、商用交流電源などに起因して検出電極パターンに入力されるコモンモードノイズを利用せず、自らの発振回路から出力する交流検出信号を利用して生成するので、乗用車内など商用交流電源線が配線されていない場所でも確実に入力操作位置を検出できる。
【0034】
また、コモンモード信号の周波数を発振回路から出力する交流検出信号の周波数fにより、任意に設定できるので、バンドパスフィルタなどを用いて簡単な回路でコモンモード信号のみを検出することができる。
【0035】
また、入力操作面が大型化し、検出電極パターンやその配線パターンの抵抗値が増大しても、検出電極パターンで検出するコモンモード信号レベルが大きく減少することはなく、大型のタッチパネルとしても入力操作位置を正確に検出できる。
【0036】
また、検出電極パターンの浮遊容量を充放電する過程がないので、低消費電力で入力操作を検出できる。
【0037】
請求項2の発明によれば、コモンモードノイズを除き、コモンモード信号の信号レベルのみを検出できるので、検出レベルを比較するだけの簡単な回路で正確に入力操作位置を検出できる。
【0038】
請求項3の発明によれば、コモンモードノイズがコモンモード信号に重畳しにくく、入力操作位置の検出精度が向上する。
【0039】
請求項4の発明によれば、コモンモード信号が大きく減衰することなく、検出電極パターンに伝達され、より精度よく入力操作位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態に係る静電容量方式タッチパネル1を示すブロック図である。
【図2】静電容量方式タッチパネル1のタッチパネル入力部21を示すブロック図である。
【図3】入力操作体50が接近した特定の検出電極パターン3について示す回路図である。
【図4】図3の等価回路図である。
【図5】検出電極パターン3から出力されるコモンモード信号の出力比(Vo/Vi)とコモンモード信号の周波数fとの関係を示すグラフである。
【図6】入力操作体50と検出電極パターン3のコモンモード信号の位相差φとコモンモード信号の周波数fとの関係を示すグラフである。
【図7】検出電極パターン3から出力されるコモンモード信号の出力比(Vo/Vi)と検出電極パターン3の内部抵抗rとコモンモード信号の周波数fとの関係を示すグラフである。
【図8】従来のチャージトランスファー方式の静電容量検出方法を示すブロック図である。
【図9】図8に示す静電容量検出方法による充電回数NとコンデンサC2の電圧V2との関係を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の一実施の形態に係る静電容量方式タッチパネル(以下、タッチパネルという)1を、図1乃至図7を用いて説明する。タッチパネル1は、図1に示すように、発振回路11と減算回路12等を構成する各素子が第1回路基板13に搭載された発振側回路部10と、タッチパネル入力部21、マルチプレクサ22、バンドパスフィルタ27、A/Dコンバータ23、CPU24等が第2回路基板25に搭載された検出側回路部20の2種類のモジュールに分けて構成されている。
【0042】
第1回路基板13には、接地レベルのグランドパターン14が配線され、第1回路基板13に搭載された発振回路11と減算回路12を構成する回路素子は、図示しない接地端子がグランドパターン14に電気接続し、接地レベルを低圧側電位とする図示しない定電圧電源から電圧を受けて動作している。
【0043】
発振回路11は、固定周波数fの交流検出信号Sを発振出力するもので、ここでは12kHzの周波数で振幅A(ピーク間の電圧Vp−pが12V)の交流検出信号Sを出力する。交流検出信号の周波数fを12kHzとした理由については後述する。
【0044】
発振回路11の出力は、減算回路12の反転入力端子と検出側回路部20の第2回路基板25に配線された第2基準電圧パターン26に接続している。これにより、上述12kHzの交流検出信号Sが減算回路12に反転入力されるとともに、第2基準電圧パターン26の電位は、12kHzの交流検出信号Sに従って変化する。
【0045】
減算回路12の他方の非反転入力端子は、検出側回路部20のCPU24の出力に接続し、その出力は、タッチパネル1からの出力から応答する命令を実行するホストPC等の処理装置30に接続している。CPU24は、後述する入力操作位置データを非反転入力端子へ出力するが、その出力には交流検出信号Sが重畳しているので、減算回路12で交流検出信号Sを相殺し、処理装置30が処理可能な出力とするものである。
【0046】
検出側回路部20の第2回路基板25に搭載されるマルチプレクサ22、A/Dコンバータ23、バンドパスフィルタ27、CPU24を構成する各回路素子は、図示しない低圧側端子が第2基準電圧パターン26に電気接続し、第2基準電圧パターン26の電位を低圧側電位とする図示しない第2定電圧電源から電圧を受けて動作している。
【0047】
検出側回路部20のタッチパネル入力部21は、第2回路基板25に取り付けられたガラス基板などの絶縁パネル2の表面が入力操作面2aとしたもので、図2に示すように、入力操作面2a上のX方向に沿って等間隔の位置に、30本のX側検出電極パターン3xと、X方向に直交するY方向に沿って等間隔の位置に17本のY側検出電極パターン3yが、それぞれITOなどの透明導電材料から線状に形成されている。X側検出電極パターン3xとY側検出電極パターン3yが交差する交差領域には図示しない絶縁インシュレータが配置され、入力操作面2aの全体では、互いが絶縁された複数の検出電極パターン3が網目状に配置されている。
【0048】
全ての検出電極パターン3は、それぞれ入力抵抗Rと0.5Vのバイアス電源5を介して第2基準電圧パターン26に電気接続するとともに、アナログマルチプレクサ22の切り替え入力端子に接続している。これにより、全ての検出電極パターン3の電位は交流検出信号Sの振幅で変化するので、足下などの一部が接地電位など定電位となっている操作者が操作する指などの操作体50の電位は、検出電極パターン3に対して相対的に交流検出信号Sの周波数fと振幅Aで変位し、操作体50から検出電極パターン3へ交流検出信号Sに相当するコモンモード信号Scが出力される。
【0049】
入力操作体50と検出電極パターン3との距離が十分に離れている場合には、両者の間の浮遊容量Cmが極めて小さく、入力操作体50から検出電極パターン3に到達するコモンモード信号ScのレベルVoは微少であり検出できないが、入力操作により入力操作体50が特定の検出電極パターン3へ接近すると、その間の浮遊容量Cmが増大して検出可能となり、タッチパネル1は、このコモンモード信号Scを検出した検出電極パターン3の入力操作面2a上での配設位置から入力操作位置を検出する。検出電極パターン3で検出されるコモンモード信号ScのレベルVoと浮遊容量Cmとの関係の詳細は後述する。
【0050】
検出電極パターン3が配線された絶縁パネル2の表面側は、透明プラスチックシート6で覆われ、また、背面側は、導電性の板材からなるシールド板4により覆われている。シールド板4は、第2基準電圧パターン26に電気接続し、これにより、絶縁パネル2の背面側から侵入しようとする他の電子部品からのノイズやコモンモードノイズは、シールド板4で遮断され、表面側に配設された検出電極パターン3まで到達しない。
【0051】
アナログマルチプレクサ22は、CPU24からの切り替え制御により、一定の走査周期で全ての検出電極パターン3を一本毎に図示しない増幅回路を介したバンドパスフィルタ27への接続に切り替える。本実施の形態では、20msecの一走査周期内に47本の検出電極パターン3の接続を切り替える。
【0052】
バンドパスフィルタ27は、コモンモード信号Scの周波数fを中心とする周波数帯域の信号を通過させるもので、バンドパスフィルタ27で、バイアス電源5による直流信号等の低周波成分と高周波成分がカットされ、コモンモードノイズ等が除かれたコモンモード信号Scのみが後段のA/Dコンバータ23へ出力される。
【0053】
A/Dコンバータ23は、コモンモード信号Scの固定周波数fの少なくとも2倍以上の周波数でサンプリングし、コモンモード信号Scのレベルを量子化する。本実施の形態では、12kHzの固定周波数fに対して約3倍の35kHzのサンプリング周波数でコモンモード信号Scのレベルを量子化してCPU24へ出力する。
【0054】
A/Dコンバータ23からCPU24に出力される量子化データは、その時にアナログマルチプレクサ22が選択接続した検出電極パターン3のコモンモード信号Scの検出レベルを表すので、CPU24では、その検出電極パターン3の接続期間中にA/Dコンバータ23から入力された量子化データの総和を所定の閾値と比較し、閾値以上である場合にコモンモード信号Scを検出したものと判定し、その検出電極パターン3の配設位置から入力操作位置を検出する。
【0055】
本実施の形態では、アナログマルチプレクサ22が1本の検出電極パターン3を選択接続する時間は、20/47msecであり、その間にA/Dコンバータ23は計算上15回コモンモード信号Scをサンプリングして量子化データを出力するが、検出電極パターン3間を切り替えた直後にバンドパスフィルタ27に入力されるコモンモード信号Scのレベルが安定しないで、CPU24では各検出電極パターン3に切り替えた直後から5回目までA/Dコンバータ23から入力された量子化データを無視し、6回目から15回目の量子化データの絶対値の総和を求めている。
【0056】
入力操作位置は、XY方向のいずれかで閾値を越えた検出電極パターンが複数ある場合には、その検出電極パターンの配設位置の中間を入力操作位置とする。また、検出電極パターン3毎の量子化データの総和を比較し、総和で案分した検出電極パターン3間の位置を入力操作位置としてもよい。
【0057】
CPU24は、このようにして、XY方向の各方向で検出した入力操作位置を上述の減算回路12を介して外部処理装置30へ出力し、外部処理装置30はこの入力操作位置に応じて所定の命令を実行する。
【0058】
次に、入力操作体である操作者の指50を接近させた検出電極パターン3のコモンモード信号ScのレベルVoと浮遊容量Cmとの関係について図3乃至図7を用いて説明する。図3は、操作者の指50を特定の検出電極パターン3へ接近させた入力操作状態を示す回路図であり、図4は、その等価回路図である。
【0059】
これらの図に示すように、指50と検出電極パターン3は、指50との間に数pFの浮遊容量Cmが、第2基準電圧パターン26に接続されたシールド板4との間に数10pFの浮遊容量Cpがそれぞれ発生している。一方、操作者の指50には、第2基準電圧パターン26の電位に対して相対的に交流検出信号Sの固定周波数fの12kHzでピーク間の電圧Vp−pが12Vのコモンモード信号Scが発生し、これを入力電圧Viと、マルチプレクサ22の切り替え入力端子と第2基準電圧パターン26間で検出するコモンモード信号Scの出力電圧をVo、その間の出力抵抗をR、検出電極パターン3の内部抵抗をrとすれば、
【0060】
【数3】

【0061】
【数4】

【0062】
【数5】

【0063】
【数6】

【0064】
の各関係が成り立つ。尚、(4)(5)式において、jは虚数単位、ωは角周波数である。
【0065】
(3)式乃至(6)式からi、i、iを消去し、伝達特性Vo/Viについて整理すれば、
【0066】
【数7】

【0067】
の関係が得られる。
【0068】
(1)式から伝達特性Vo/Viの絶対値|Vo/Vi|は、
【0069】
【数8】

【0070】
VoとViの位相差φは、
【0071】
【数9】

【0072】
となる。
【0073】
図4に示す回路は、ハイパスフィルターを構成し、(8)式からそのカットオフ周波数fcは、
【0074】
【数10】

【0075】
となるので、発振回路11で生成する交流検出信号Sの固定周波数fは、各回路定数から(2)式を用いて求めるカットオフ周波数fc以上の周波数とすることにより、検出電極パターン3において大きく減衰することなくコモンモード信号Scを検出できる。
【0076】
ここで、(7)式と(8)式とから算出したタッチパネル1の出力比(伝達特性Vo/Vi)と位相差φの周波数特性を図5、図6に示す。入力操作面2aの大きさが10インチ程度のタッチパネル1の指50と検出電極パターン3との浮遊容量Cmを3pF、シールド板4との浮遊容量Cpを50pF、検出電極パターン3の内部抵抗rを20kΩ、信号出力抵抗Rを1MΩとすると、(8)式から算定されるカットオフ周波数fcは約3kHzであり、図5、図6に示すように、10kHz以上となると位相差φがほぼなくなり、出力比Vo/Viは、−25dBで安定する。
【0077】
本実施の形態では、交流検出信号Sの固定周波数fを12kHzとし、その最大振幅Vが±6Vであるので、検出電極パターン3で検出されるコモンモード信号Scの最大振幅Voは、Vo=±6x10−25/20Vの±0.34Vとなる。検出電極パターン3の電位は、バイアス電源5により+0.5Vが加わっているので、アナログマルチプレクサ3では常に正の電位のコモンモード信号Scが検出される。このように、コモンモード信号Scを常に正極性とすることにより、その出力側の各回路での処理が容易となり、例えば、CPU24ではA/Dコンバータ23から出力されるレベルの絶対値を比較するだけで、コモンモード信号Sc検出の有無を判別できる。
【0078】
図7は、(7)式において、更に、検出電極パターン3の内部抵抗rを100Ωから10MΩまで変化させた際の出力比(Vo/Vi)と位相差φとの関係を示すグラフであり、図に示すように、出力比が−25dBで安定する周波数10kHz以上では、100kΩを越えると減衰が始まるので、各検出電極パターン3の内部抵抗rは100kΩ以下とすることが好ましい。上述のように、通常、入力操作面2aの大きさが10インチ程度の大きさで内部抵抗rは20kΩ程度とすることができるので、40乃至50インチの大画面の入力操作面2aとして各検出電極パターン3が長くなっても、その抵抗rの増加によりコモンモード信号ScのレベルViが減少することがない。
【0079】
上述の実施の形態では、検出電極パターン3、絶縁パネル2、シールド板4等を透明材料で形成して、入力操作面2aの下方に配置される液晶パネルなどの表示素子の表示を目し可能なようにしているが、必ずしもタッチパネルは、透明である必要はない。
【0080】
また、入力操作体が接近する入力操作面2aの入力操作位置を浮遊容量の変化から検出して出力するポインティングデバイスであれば、上述の構造に限らない。
【0081】
また、入力操作体50を操作者の指で説明したが、操作者が握る専用入力ペンなど操作者と別の操作体であってもよい。
【0082】
また、発振側回路部10の第1回路基板13に配線される第1基準電圧パターンは、接地電位のグランドパターンで説明したが接地電位に限らない。
【0083】
また、検出側回路部20の第2回路基板25に搭載されるマルチプレクサ22、A/Dコンバータ23、バンドパスフィルタ27、CPU24を構成する各回路素子についても、第2基準電圧パターン26の電位を基準として動作するものであれば、例えば、第2基準電圧パターン26の電位を高圧側端子とする定電圧電源から電圧を受けて動作するものであってもよい。
【0084】
また、各検出電極パターン3の電位を、交流検出信号Sのレベルである第2基準電圧とすれば、その出力側のマルチプレクサ22、A/Dコンバータ23、CPU24等の各回路素子の少なくとも一部は第1基準電圧パターンの電位を基準とする第1回路基板13側に搭載するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、大型の入力操作面を有する静電容量方式タッチパネルに適している。
【符号の説明】
【0086】
1 静電容量方式タッチパネル
2 絶縁パネル
2a 入力操作面
3 検出電極パターン
4 シールド板
11 発振回路
14 グランドパターン(第1基準電圧パターン)
22 アナログマルチプレクサ(マルチプレクサ)
24 CPU(入力判定部)
26 第2基準電圧パターン
27 バンドパスフィルタ(帯域フィルタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁パネルの一面に互いに絶縁して配設される複数の検出電極パターンと、前記複数の検出電極パターンに接続し、入力操作体から出力されるコモンモード信号を、入力操作体との浮遊容量を介して検出電極パターンから検出する入力操作検出手段とを有し、1又は2以上の検出電極パターンからコモンモード信号を検出した際に、その検出電極パターンに入力操作体が接近し浮遊容量が増大したものとして、該検出電極パターンの配設位置から入力操作位置を検出する静電容量方式タッチパネルであって、
固定電位の第1基準電位とした第1基準電圧パターンに接続し、固定周波数fの交流検出信号を出力する発振回路と、
前記発振回路の出力に接続し、交流検出信号の電位の第2基準電位とした第2基準電圧パターンとを備え、
前記複数の検出電極パターンを直接若しくは間接的に第2基準電圧パターンに接続して、第2基準電位を基準とした電位とし、
前記交流検出信号に相対する固定周波数fのコモンモード信号を入力操作体から出力させることを特徴とする静電容量方式タッチパネル。
【請求項2】
入力操作検出手段は、固有周波数fの帯域信号を通過させる帯域フィルタと、複数の検出電極パターンのいずれかの検出電極パターンを選択して帯域フィルタへ接続するマルチプレクサと、帯域フィルタの出力レベルからコモンモード信号を検出し、コモンモード信号を検出した際にマルチプレクサが選択接続した検出電極パターンの配設位置から入力操作位置を検出する入力判定部とを備え、
発振回路は、第1基準電圧パターンが配線された第1回路基板に実装され、第1基準電位を基準とする電位で動作するとともに、
前記帯域フィルタと、マルチプレクサと、入力判定部とは、第2基準電圧パターンが配線された第2回路基板に実装され、第2基準電位を基準とする電位で動作することを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項3】
一面に検出電極パターンが配設された絶縁パネルの他面に、絶縁パネルの他面全体を覆い、第2基準電圧パターンに接続するシールド板が積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電容量方式タッチパネル。
【請求項4】
入力操作体が接近した検出電極パターンと入力操作体との間の浮遊容量をCm、検出電極パターンとシールド板間の浮遊容量をCp、検出電極パターンの内部抵抗をr、検出電極パターンの出力抵抗をRとして、交流検出信号の固定周波数fを、1/2π(Cm+Cp)(r+R)以上の周波数に設定することを特徴とする請求項3に記載の静電容量方式タッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−215675(P2011−215675A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80196(P2010−80196)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】