説明

静電容量検出スイッチ及び電子機器の制御方法

【課題】 簡易な構成で多機能を得ることができる静電容量検出スイッチ及び電子機器の制御方法を提供する。
【解決手段】 基板2の導電パターン3に、絶縁性を有する弾性変形可能な誘電操作体であるキーパッド5を実装し、このキーパッド5に指を接触させてキャパシタを形成し、静電容量の変化を検出する静電容量検出スイッチ1で、キーパッド5を、基板2の導電パターン3に実装される取付部6と、この取付部6から傾斜して起立する変形可能な脚部7と、この脚部7に形成されて基板2の導電パターン3に間隙をおいて接触可能に対向する被操作部8とから形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ装置、家電製品、携帯電話等の携帯機器、通信機器等に使用される静電容量検出スイッチ及び電子機器の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ装置のケースには被写体の撮影のため、シャッターボタンが出没可能に取り付けられるが、このシャッターボタンは、指で強く全押しして操作されることにより、動作して回路をON‐OFFする(特許文献1、2、3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009‐282541号公報
【特許文献2】特開2009‐130689号公報
【特許文献3】特開2007‐49371号公報
【特許文献4】特開2004‐7221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来におけるデジタルカメラ装置は、以上のように構成され、シャッターボタンが指で単に全押しして押圧操作されることで動作するに止まるので、簡易な構成でシャッターボタンに多機能を付与することができないという問題がある。例えば、従来のシャッターボタンは、押圧操作することなく、触れる場合に、ピントの調整を開始したり、待機状態に移行することが困難である。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、簡易な構成で多機能を得ることができる静電容量検出スイッチ及び電子機器の制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては上記課題を解決するため、基板に誘電操作体を設け、この誘電操作体に導電体を接触させてキャパシタを形成し、静電容量の変化を検出するものであって、
誘電操作体は、基板の導電パターンに設けられるとともに、基板の導電パターンに被操作部を間隙をおいて接触可能に対向させ、この被操作部を基板の導電パターンに接触させて導電パターンとの接触面積を拡大させることにより静電容量を変化させることを特徴としている。
【0007】
なお、誘電操作体を、弾性変形可能なキーパッドとし、このキーパッドには、基板の導電パターンに設けられる取付部と、この取付部から起立する変形可能な脚部と、この脚部に形成されて基板の導電パターンに間隙をおいて接触可能に対向する被操作部とを含むことができる。
また、基板、導電パターン、キーパッドに光源からの光線を透過する光透過性をそれぞれ付与しても良い。
【0008】
また、基板に、キーパッドを被覆保護する保護ケースを取り付け、この保護ケースには、キーパッド用の嵌合孔を設け、キーパッドの被操作部には、保護ケースの嵌合孔から露出する操作用のキートップを取り付けることができる。
また、保護ケースの嵌合孔の周縁部に係合片を形成し、キーパッドのキートップの周縁部には嵌合孔の係合片に干渉する被係合片を形成することができる。
【0009】
また、本発明においては上記課題を解決するため、電子機器に請求項1ないし4いずれかに記載の静電容量検出スイッチを設置し、この静電容量検出スイッチが検出する静電容量値により電子機器を制御装置で制御する電子機器の制御方法であって、
制御装置は、静電容量検出スイッチが検出した静電容量値がしきい値を越えたか否かを判定し、検出した静電容量値がしきい値を越えた場合には、電子機器を通常状態から特別状態に移行させることを特徴としている。
【0010】
なお、制御装置は、誘電操作体に導電体が接触することにより、静電容量検出スイッチが検出した静電容量値が第一のしきい値を越えたか否かを判定し、静電容量値が第一のしきい値を越えた場合には、電子機器を通常状態から特別状態に移行させる機能と、
基板の導電パターンに変形した誘電操作体の被操作部が接触することにより、静電容量検出スイッチが検出した静電容量値が第二のしきい値を越えたか否かを判定し、静電容量値が第二のしきい値を越えた場合には、電子機器を通常状態に移行させる機能とを含むことができる。
【0011】
また、制御装置は、誘電操作体に導電体が接触することにより、静電容量検出スイッチが検出した静電容量値が第一のしきい値を越えたか否かを判定し、静電容量値が第一のしきい値を越えた場合には、電子機器を通常状態から特別状態に移行させる機能と、
基板の導電パターンに変形した誘電操作体の被操作部が接触することにより、静電容量検出スイッチが検出した静電容量値が第二のしきい値を越えたか否かを判定し、静電容量値が第二のしきい値を越えた場合には、電子機器を通常状態から他の特別状態に移行させる機能とを含むことができる。
【0012】
ここで、特許請求の範囲における誘電操作体やキーパッドは、単数複数を特に問うものではない。この誘電操作体やキーパッドは、キャパシタ形成の観点から、少なくとも一部(例えば表面、上部、中央部、下部等)が絶縁性であることが好ましい。キーパッドの被操作部は、各種の柱形や半球形、断面略板形や凸字形等とすることができ、絶縁性や導電性を問うものではない。また、電子機器には、少なくともデジタルカメラ装置、家電製品、ゲーム機器、表示装置、携帯電話等の携帯機器、通信機器等が含まれる。静電容量検出スイッチが検出する静電容量値は、アナログ信号でも良いし、デジタル信号でも良い。
【0013】
制御装置には、マイコン等の各種のコンピュータが含まれる。しきい値は、単数複数を特に問うものではない。さらに、電子機器の特別状態は、特に限定されるものではないが、例えばデジタルカメラ装置のピントの調整する状態や待機状態、表示装置の画像を調整する状態、携帯機器の表示画面や操作キーを発光させる状態等が該当する。
【0014】
本発明によれば、静電容量検出スイッチの誘電体である誘電操作体やそのキーパッドに導電体が触れると、導電パターン、誘電操作体、導電体がキャパシタを形成し、静電容量値が変化する。この際、制御装置は、静電容量検出スイッチが検出した静電容量値がしきい値を越えたか否かを判定し、静電容量値がしきい値を越えた場合には、電子機器を通常状態から特別状態に移行させる。
その後、誘電操作体がさらに深く押して操作されると、導電パターンに誘電操作体の被操作部が接触変形して面接触し、導電パターンに対する誘電操作体の接触面積が拡大して静電容量値をさらに変化・増大させる。
【0015】
このように本発明によれば、少なくとも誘電操作体に導電体が触れた場合と、誘電操作体を押圧操作した場合との2段階で静電容量の変化を検出してその検出値を活用することができるので、簡易な構成でスイッチに多機能を付与することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、静電容量検出スイッチが検出した静電容量値がしきい値を越えたか否かを判定し、検出した静電容量値がしきい値を越えた場合には、電子機器を通常状態から特別状態に移行させるので、簡易な構成で多機能を得ることができるという効果がある。
【0017】
また、基板に、誘電操作体であるキーパッドを被覆保護する保護ケースを取り付け、この保護ケースには、キーパッド用の嵌合孔を設け、キーパッドの被操作部には、保護ケースの嵌合孔から露出する操作用のキートップを取り付ければ、キートップの活用により良好なクリック感を得ることができる。
さらに、保護ケースの嵌合孔の周縁部に係合片を形成し、キーパッドのキートップの周縁部には嵌合孔の係合片に干渉する被係合片を形成すれば、キートップの抜けや脱落等を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る静電容量検出スイッチ及び電子機器の制御方法の実施形態を模式的に示す部分断面全体図である。
【図2】本発明に係る静電容量検出スイッチの制御方法の実施形態を模式的に示す断面斜視図である。
【図3】本発明に係る電子機器の制御方法の実施形態における静電容量値の変化を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明に係る静電容量検出スイッチの第2の実施形態を模式的に示す断面斜視図である。
【図5】本発明に係る静電容量検出スイッチの第3の実施形態を模式的に示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明すると、本実施形態における電子機器の制御方法は、図1ないし図3に示すように、電子機器であるデジタルカメラ装置にシャッターボタンとして多段の静電容量検出スイッチ1を設置し、この多段の静電容量検出スイッチ1が検出する静電容量値によりデジタルカメラ装置をその制御装置20で制御する制御方法で、静電容量検出スイッチ1の検出した静電容量値がしきい値を越えた場合に、デジタルカメラ装置を通常状態から特別状態に移行させるようにしている。
【0020】
デジタルカメラ装置は、撮像素子で撮影した画像をデジタルデータとして記録するカメラ装置で、図示しないCCDや制御装置20等を内蔵するケースを備え、このケースの上部側方に、押圧操作可能なシャッターボタンとして多段の静電容量検出スイッチ1が出没可能に設置される。
【0021】
静電容量検出スイッチ1は、基板2の導電パターン3に実装される弾性変形可能な絶縁性の誘電操作体であるキーパッド5を備え、このキーパッド5に指が接触することによりキャパシタを形成し、静電容量の変化を検出するよう機能する。
【0022】
基板2は、図1や図2に示すように、例えばアクリル板、プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等からなり、表面に電極となる平坦な導電パターン3が平面円形に薄くスクリーン印刷法、メッキ法、エッチング法等により形成されており、この導電パターン3から伸びる導電ラインが入力端子4を介して制御装置20に接続される。導電パターン3の材料としては、例えば金属、カーボン、ITO、銀ペースト、金属細線、金属粒子、透明の導電高分子材料等があげられる。
【0023】
キーパッド5は、特に限定されるものではないが、例えば良好なクリック感を得られる絶縁性のシリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM、熱可塑性エラストマー等を含有する成形材料を使用して成形され、ショアA硬度で40〜70°程度の硬さとされる。シリコーンゴムが成形材料として使用される場合、酸化亜鉛を含有しない通常誘電率タイプ、酸化亜鉛の含有量が28%程度の中誘電率タイプ、酸化亜鉛の含有量が56%程度の高誘電率タイプ等が選択的に使用されるが、しきい値を容易に設定したい場合には、高誘電率タイプのシリコーンゴムが選択される。
【0024】
キーパッド5は、図1や図2に示すように、基板2の導電パターン3の表面周縁部に沿うよう実装される平面リング形の取付部6と、この取付部6から傾斜して弾性変形可能に起立する中空円錐台形の脚部7と、この脚部7の上端部に一体形成されて基板2の導電パターン3に間隙をおいて接離可能に対向する被操作部8とを備え、押しボタンタイプのシャッターボタンとして機能する。
【0025】
脚部7は、座屈により良好なクリック感を発生させる観点から徐々に傾くよう傾斜して形成される。また、被操作部8は、円柱形に形成されてその下面には、下方の導電パターン3に接触可能な平面円形の突部9が一体形成され、上方から指で接触操作されたり、強く押圧操作される。突部9は、検出感度を向上させる観点から可能な限り拡径に形成され、導電パターン3方向に突出する。被操作部8の高さは、検出精度向上の観点から低い方が好ましいが、高い場合には、高誘電率タイプのシリコーンゴムが成形材料に使用されることが望ましい。
【0026】
制御装置20は、図1に示すように、演算処理機能を有するCPU21、アナログ信号をデジタル信号に変換する必要なA/Dコンバータ22、ROM23、RAM24、その他の電子部品が実装され、導電パターン3の導電ラインに入力端子4を介して接続される。ROM23には、所定のプログラムが記憶され、RAM24には、例えば電源を投入してから現在に至るまでの撮影内容の経時的な記録、すなわち撮影の履歴等が記憶される。このような構成の制御装置20は、CPU21がRAM24を作業領域としてROM23に記憶された所定のプログラムを読み込むことにより、コンピュータとして所定の機能を実現する。
【0027】
所定の機能としては、図3に示すように、例えばしきい値である第一、第二のしきい値25・26をそれぞれ設定する機能、静電容量検出スイッチ1が検出した静電容量値が第一のしきい値25を越えたか否かを判定する機能、検出した静電容量値が第一のしきい値25を越えた場合にデジタルカメラ装置を通常状態から特別状態、例えばピントを調整する状態に移行させる機能、静電容量検出スイッチ1が検出した静電容量値が第二のしきい値26を越えたか否かを判定する機能、検出した静電容量値が第二のしきい値26を越えた場合にデジタルカメラ装置を撮像状態に移行させる機能等があげられる。
【0028】
上記構成において、デジタルカメラ装置の静電容量検出スイッチ1のキーパッド5に指が触れると、キャパシタの形成により静電容量値が変化して増大する。この際、デジタルカメラ装置の制御装置20は、静電容量検出スイッチ1が検出した静電容量値が第一のしきい値25を越えたか否かを判定し、静電容量値が第一のしきい値25を越えた場合には、デジタルカメラ装置を通常状態からピント調整開始状態に移行させる。
【0029】
デジタルカメラ装置のピント調整が終了し、静電容量検出スイッチ1が深く全押しして押圧操作されると、導電パターン3にキーパッド5が圧接変形して取付部6の他、被操作部8の突部9の端面をも面接触させ、導電パターン3に対するキーパッド5の接触面積が拡大して静電容量値をさらに変化・増大させる。
【0030】
この際、デジタルカメラ装置の制御装置20は、静電容量検出スイッチ1が検出した静電容量値が第二のしきい値26を越えたか否かを判定し、静電容量値が第二のしきい値26を越えた場合には、デジタルカメラ装置を撮像状態に移行させることとなる。また、キーパッド5の脚部7が座屈するので、良好なクリック感が発生し、この良好なクリック感の発生により、第二の操作が行われたことが明確になる。
【0031】
上記構成によれば、静電容量検出スイッチ1を押圧操作することなく、触れるだけで、ピントの調整を開始することができる。すなわち、本実施形態によれば、静電容量検出スイッチ1のキーパッド5に指が触れていない場合、キーパッド5に指が触れた場合、キーパッド5を押圧操作した場合の3段階で静電容量の変化を検出してその検出値を活用することができるので、簡易な構成でシャッターボタンに多機能を付与することができる。
【0032】
次に、図4は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、基板2の表面上に、キーパッド5を被覆保護する薄い保護ケース10を装着し、この保護ケース10の厚さ方向に、キーパッド5に嵌合する嵌合孔11を穿孔し、被操作部8の平坦な表面には、保護ケース10の嵌合孔11から突き出て露出する操作用の硬いキートップ12を接着するようにしている。
【0033】
基板2の表面と保護ケース10との間には、導電パターン3を包囲する別の電極パターン13が平面リング形あるいは枠形にスクーン印刷され、電極パターン13が制御装置20に入力端子4等を介して接続される。保護ケース10は、導電性でも良いし、絶縁性でも良いが、基板2との間に電極パターン13が導通状態に挟持され、この電極パターン13を延長して近接スイッチを得る場合には、導電性が付与される。また、キャパシタを形成したい場合には、絶縁性が付与される。
【0034】
キートップ12は、各種の金属材料や樹脂材料(例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等)により平面円形のボタン形に形成され、表面に文字、図形、記号等からなる操作用の模様が適宜印刷される。このキートップ12は、硬質であれば、導電性でも良いし、絶縁性でも良いが、絶縁性の場合には、薄型が良い。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0035】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、キートップ12が柔軟ではなく、硬質なので、実に良好なクリック感を得ることができるのは明らかである。また、基板2と保護ケース10との間に電極パターン13を介在して保護ケース10を誘電体とすれば、指の接触によりキャパシタを形成してキーパッド5用のライトを発光させること等が可能になる。
【0036】
次に、図5は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、保護ケース10の嵌合孔11の周縁部に係合片14を内方向に切り欠き形成し、キートップ12の周縁部には、嵌合孔11の係合片14に下方から接触干渉する平面リング形の被係合片15を突出形成するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0037】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、係合片14と被係合片15とが簡易な構成で係合してキートップ12の保護ケース10からの抜けや脱落等を防止するので、キーパッド5の被操作部8にキートップ12を敢えて接着する必要がなく、製造の円滑化、迅速化、容易化が大いに期待できる。
【0038】
なお、上記実施形態の基板2、導電パターン3、キーパッド5に、基板2の下方に位置するLEDからの光線を透過する光透過性をそれぞれ付与し、LEDを発光させて透明のキーパッド5の少なくとも一部を照明すれば、デジタルカメラ装置のデザインや美観を大幅に向上させることができる。また、基板2の導電パターン3を分割形成してその一部にキーパッド5の取付部6を取り付け、残部をキーパッド5の被操作部8に間隙をおいて接離可能に対向させ、かつ別の入力端子4に接続し、深く全押しして押圧操作された場合のプログラムや制御方法を簡易に変更しても良い。
【0039】
また、基板2の導電パターン3は、平坦でも良いし、櫛歯状等に形成しても良い。また、キーパッド5の脚部7を傾斜させるのではなく、取付部6の上面より脚部7を水平に延長してクリック感をなくし、薄型に形成しても良い。また、キーパッド5の被操作部8を、必要数の絶縁材料(例えば絶縁性エラストマー等)と導電材料(例えば導電性エラストマーや金属等)とを交互に積層配列したり、組み合わせる等して形成し、絶縁部分を薄くしたり、指との距離を変更(短縮)して静電容量を増大させることもできる。
【0040】
また、キーパッド5の被操作部8を、導電性の高い必要数の導電材料(例えば、金属や導電性エラストマー等)により形成してその最表面には模様等を備えた加飾層を薄く形成し、静電容量を増大させることもできる。例えば、キーパッド5を金属により形成すれば、基板2までの絶縁物で形成される距離が短くなるので、静電容量値が大きくなり、検出が容易となる。
【0041】
また、被操作部8の突部9は、曲面を備えた形、円錐形、二重リング形等としても良い。また、この突部9の接触面積の変化(微増)により、さらなるしきい値(例えば、第三、第四のしきい値等)を適宜設定することもできる。また、保護ケース10は、デジタルカメラ装置のケースの一部でも良いし、そうでなくても良い。さらに、制御装置20は、同様の機能が期待できるのであれば、構成を適宜変更することが可能である。
【0042】
〔実施例〕
次に、本発明の実施例を説明すると、3枚の基板の導電パターンに弾性変形可能なキーパッドをそれぞれ実装することにより、静電容量検出スイッチを製造し、各静電容量検出スイッチのキーパッドに指が触れていない場合、キーパッドに指が触れた場合、キーパッドを深く押圧操作した場合の3段階で静電容量に対応するカウント値の変化を検出して表1にまとめた。
【0043】
各基板としてはアクリル板を使用した。このアクリル板の表面には、透明の導電性高分子(信越ポリマー社製:商品名Seplegyda)を使用してφ12mmの平面円形の導電パターンを印刷した。
【0044】
複数のキーパッドは、酸化亜鉛を含有しないシリコーンゴム(信越化学工業社製:商品名KE951U)の通常誘電率タイプ、酸化亜鉛の含有量が28%のシリコーンゴムの中誘電率タイプ、酸化亜鉛の含有量が56%のシリコーンゴムの高誘電率タイプを用いてそれぞれ図1のように成形し、ショアA硬度50〜70°とした。各キーパッドの構成は、全体径をφ10.4mm、全高を3.9mm、取付部の厚さを2mm、被操作部の径をφ4.4mm、突部の径をφ3.4mm、取付部から突部の端面までの高さ(ストローク)を1.3mmとした。
【0045】
静電容量検出スイッチが出力する静電容量値の変化は、ノイズに強く、高い分解能が期待できるCSD(CapSense Sigma−Delte)方式(サイプレス社製:PsoC使用)により計測した。
【0046】
【表1】

【0047】
係る表1から、静電容量検出スイッチのキーパッドに指が触れていない場合、キーパッドに指が触れた場合、キーパッドを深く押圧操作した場合では、静電容量値がそれぞれ変化するのを確認することができた。
以上のことから、表2に示すしきい値を設定すれば、キーパッドに指が触れていない場合、キーパッドに指が触れた場合、キーパッドを深く押圧操作した場合をそれぞれ正確に検出することができるのが判明した。
【0048】
【表2】

【符号の説明】
【0049】
1 静電容量検出スイッチ
2 基板
3 導電パターン
5 キーパッド(誘電操作体)
6 取付部
7 脚部
8 被操作部
9 突部
10 保護ケース
11 嵌合孔
12 キートップ
14 係合片
15 被係合片
20 制御装置
21 CPU
25 第一のしきい値(しきい値)
26 第二のしきい値(しきい値)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に誘電操作体を設け、この誘電操作体に導電体を接触させてキャパシタを形成し、静電容量の変化を検出する静電容量検出スイッチであって、
誘電操作体は、基板の導電パターンに設けられるとともに、基板の導電パターンに被操作部を間隙をおいて接触可能に対向させ、この被操作部を基板の導電パターンに接触させて導電パターンとの接触面積を拡大させることにより静電容量を変化させることを特徴とする静電容量検出スイッチ。
【請求項2】
誘電操作体を、弾性変形可能なキーパッドとし、このキーパッドは、基板の導電パターンに設けられる取付部と、この取付部から起立する変形可能な脚部と、この脚部に形成されて基板の導電パターンに間隙をおいて接触可能に対向する被操作部とを含んでなる請求項1記載の静電容量検出スイッチ。
【請求項3】
基板に、キーパッドを被覆保護する保護ケースを取り付け、この保護ケースには、キーパッド用の嵌合孔を設け、キーパッドの被操作部には、保護ケースの嵌合孔から露出する操作用のキートップを取り付けた請求項2記載の静電容量検出スイッチ。
【請求項4】
保護ケースの嵌合孔の周縁部に係合片を形成し、キーパッドのキートップの周縁部には嵌合孔の係合片に干渉する被係合片を形成した請求項3記載の静電容量検出スイッチ。
【請求項5】
電子機器に請求項1ないし4いずれかに記載の静電容量検出スイッチを設置し、この静電容量検出スイッチが検出する静電容量値により電子機器を制御装置で制御する電子機器の制御方法であって、
制御装置は、静電容量検出スイッチが検出した静電容量値がしきい値を越えたか否かを判定し、検出した静電容量値がしきい値を越えた場合には、電子機器を通常状態から特別状態に移行させることを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項6】
制御装置は、誘電操作体に導電体が接触することにより、静電容量検出スイッチが検出した静電容量値が第一のしきい値を越えたか否かを判定し、静電容量値が第一のしきい値を越えた場合には、電子機器を通常状態から特別状態に移行させる機能と、
基板の導電パターンに変形した誘電操作体の被操作部が接触することにより、静電容量検出スイッチが検出した静電容量値が第二のしきい値を越えたか否かを判定し、静電容量値が第二のしきい値を越えた場合には、電子機器を通常状態に移行させる機能とを含んでなる請求項5記載の電子機器の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−175839(P2011−175839A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38649(P2010−38649)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】