説明

静電容量素子、及び共振回路

【課題】静電容量素子において、焼成時に発生する残留応力を利用することで誘電率を向上させ、静電容量を増大する。
【解決手段】容量素子(可変容量素子1)は、誘電体層と、誘電体層を挟んで形成される少なくとも一対の内部電極10とを備える容量素子本体2と、容量素子本体2の側面に形成され、内部電極10に電気的に接続される外部端子3,4とを備える。そして、誘電体層5及び内部電極の線膨張係数の違いに起因して発生する応力が、誘電体層5と誘電体層5を挟む一対の内部電極10とで構成されるコンデンサCの中心に集中するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量素子及び、その静電容量素子を備える共振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、高信頼性化に伴い、その電子機器に用いられる電子部品として小型化された容量素子の開発が求められている。そして、容量素子の小型化、及び高容量化を可能とするために、誘電体層と内部電極とが交互に積層された静電容量素子が提案されている。
【0003】
一方、本願発明者らは、複数の内部電極を積層して形成した容量素子において、応力制御部として静電容量を形成する容量素子本体には無関係な内部電極を設け、焼成時に生じる残留応力によって電気的特性を向上させる技術を提案している(特許文献1)。特許文献1に記載の技術では、容量素子本体の上下に内部電極を積層させて形成した応力制御部を設けることで、容量素子の焼成時における誘電体層の収縮に起因した内部応力を容量素子本体の誘電体層に発生させることができる。この結果、容量素子本体の誘電体層の比誘電率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献2】WO2011/013658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、内部電極を積層して形成された容量素子では、焼成時において発生する残留応力を利用することで誘電率を向上させ、静電容量を増大させることができる。このため、この残留応力をさらに増大させることができれば、静電容量素子のより一層の小型化を図ることができる。
【0006】
上述の点に鑑み、本開示は、静電容量素子において、電気的特性を向上させることを目的とする。また、その静電容量素子を用いることにより、信頼性に優れた共振回路を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の静電容量素子は、誘電体層と、誘電体層を挟んで形成される少なくとも一対の内部電極とを備える容量素子本体と、前記容量素子本体の側面に形成され、内部電極に電気的に接続される外部端子とを備える。そして、誘電体層及び内部電極の線膨張係数の違いに起因して発生する応力が、誘電体層と誘電体層を挟む一対の内部電極とで構成されるコンデンサの中心に集中するように構成されている。
【0008】
本開示の静電容量素子では、コンデンサの中心に応力(残留)が集中して発生するため、単位体積当たりの静電容量が増加する。
【0009】
本開示の共振回路は、上記静電容量素子を含む共振コンデンサと、共振コンデンサに接続された共振コイルとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、静電容量素子内の残留応力が増大し、これにより、電気的特性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1Aは、本開示の第1の実施形態に係る可変容量素子の斜視図であり、図1Bは、その可変容量素子の断面構成図である。
【図2】本開示の第1の実施形態に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図3】本開示の第1の実施形態に係る可変容量素子に形成される2つの内部電極を上面から透過して見た平面図である。
【図4】比較例1に係る可変容量素子の内部電極の平面構成図である。
【図5】比較例2に係る可変容量素子の内部電極の平面構成図である。
【図6】変形例1−1に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図7】変形例1−2に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図8】変形例1−3に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図9】変形例1−4に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図10】本開示の第2の実施形態に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図11】変形例2−1に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図12】変形例2−2に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図13】本開示の第3の実施形態に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である
【図14】変形例3−1に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図15】変形例3−2に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図16】変形例3−3に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図17】本開示の第4の実施形態に係る可変容量素子の外観斜視図である。
【図18】変形例4−1に係る可変容量素子の外観斜視図である。
【図19】変形例4−2に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図20】変形例4−3に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図21】変形例4−4に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図22】変形例4−5に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図23】変形例4−6に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図24】変形例4−7に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図25】変形例4−8に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図26】本開示の第5の実施形態に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図27】変形例5−1に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図28】変形例5−1に係る可変容量素子の2つの内部電極を上面から透過して見た平面図である。
【図29】変形例5−2に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図30】変形例5−3に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図31】本開示の第6の実施形態に係る可変容量素子の外観斜視図である。
【図32】本開示の第6の実施形態に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【図33】本開示の第6の実施形態に係る可変容量素子本体を上面から透過して見たときの図である。
【図34】変形例6−1に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図35】変形例6−2に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。
【図36】図36Aは、本開示の第7の実施形態に係る可変容量素子の概略斜視図であり、図36Bは、その可変容量素子の断面構成図である。
【図37】第7の実施形態に係る可変容量素子本体を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。
【図38】図38Aは第1内部電極88を上面から見たときの平面構成図であり、図38Bは、第1内部電極88を一方の側面から見たときの構成図である。
【図39】図39Aは第2内部電極89を上面から見たときの平面構成図であり、図39Bは第2内部電極89を一方の側面から見たときの構成図である。
【図40】図40Aは、第4内部電極91を上面から見たときの平面構成図であり、図40Bは第4内部電極91を一方の側面から見たときの構成図である。
【図41】第7の実施形態に係る可変容量素子を組み込んだ電圧制御回路の回路構成図である。
【図42】変形例7−1に係る可変容量素子の可変容量素子本体を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。
【図43】変形例7−2に係る可変容量素子の可変容量素子本体を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。
【図44】図44Aは、本開示の第8の実施形態に係る可変容量素子の概略斜視図であり、図44Bは、その可変容量素子の断面構成図である。
【図45】本開示の第8の実施形態に係る可変容量素子本体を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。
【図46】図46Aは第1内部電極123を上面から見たときの平面構成図であり、図46Bは、第1内部電極123を一方の側面から見たときの構成図である。
【図47】図47Aは第2内部電極124を上面から見たときの平面構成図であり、図47Bは第2内部電極124を一方の側面から見たときの構成図である。
【図48】図48Aは、第4内部電極126を上面から見たときの平面構成図であり、図48Bは第4内部電極126を一方の側面から見たときの構成図である。
【図49】本開示の第8の実施形態に係る可変容量素子の第1内部電極〜第6内部電極を上面から透過して見た場合の構成図である。
【図50】第8の実施形態に係る可変容量素子を組み込んだ電圧制御回路の回路構成図である。
【図51】変形例8−1に係る可変容量素子の可変容量素子本体を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。
【図52】図52Aは、本開示の第9の実施形態に係る可変容量素子の概略斜視図であり、図52Bは、その可変容量素子の断面構成図である。
【図53】本開示の第9の実施形態に係る可変容量素子本体を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。
【図54】図54Aは第1内部電極144を上面から見たときの平面構成図であり、図53Bは、第1内部電極144を一方の側面から見たときの構成図である。
【図55】本開示の第9の実施形態に係る可変容量素子の第1内部電極〜第6内部電極を上面から透過して見た場合の構成図である
【図56】第9の実施形態に係る可変容量素子を組み込んだ電圧制御回路の回路構成図である。
【図57】変形例9−1に係る可変容量素子の可変容量素子本体を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。
【図58】本開示の第10の実施形態に係る共振回路を用いた非接触ICカードの受信系回路部のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の実施形態に係る静電容量素子及びそれを備える共振回路の一例を、図面を参照しながら説明する。本開示の実施形態は以下の順で説明する。また、以下に説明する実施形態では、印加電圧によって容量値が変化する可変容量素子を例として説明する。なお、本開示は以下の例に限定されるものではない。
1.第1の実施形態:容量を構成する電極本体の対称性を高めた可変容量素子
2.第2の実施形態:内部電極の対称性を擬似的に高めた可変容量素子
3.第3の実施形態:フローティング電極を設けて対称性を高めた可変容量素子
4.第4の実施形態:可変容量素子本体の外形の対称性を高めた可変容量素子
5.第5の実施形態:可変容量素子本体の外形と容量を構成する電極本体を同一形状とした可変容量素子
6.第6の実施形態:1つの内部電極において接続電極を複数形成した可変容量素子
7.第7の実施形態:内部電極の積層方向に直列接続された複数のコンデンサを構成した可変容量素子(その1)
8.第8の実施形態:内部電極の積層方向に直列接続された複数のコンデンサを構成した可変容量素子(その2)
9.第9の実施形態:内部電極の積層方向に直列接続された複数のコンデンサを構成した可変容量素子(その3)
10.第10の実施形態:可変容量素子を組み込んだ共振回路
【0013】
〈1.第1の実施形態〉
[可変容量素子の構成]
まず、本開示の第1の実施形態に係る可変容量素子について説明する。図1Aは、本実施形態例に係る可変容量素子の斜視図であり、図1Bは本実施形態に係る可変容量素子の断面構成図である。また、図2は、本実施形態例の可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。図1A及び図2では、内部電極及び誘電体層の重心を通る線を破線で示す。なお、以下の図面においても同様とする。
【0014】
図1Aに示すように、本実施形態例の可変容量素子1は、直方体部材で構成された可変容量素子本体2と、2つの外部端子3,4とで構成されている。
【0015】
可変容量素子本体2は、図1Bに示すように、誘電体層5を介して積層された2つの内部電極10で構成されており、2つの内部電極10の下層には下部誘電体層6が積層され、上層には上部誘電体層7が積層されている。すなわち、本実施形態例では、下部誘電体層6及び上部誘電体層7により、内部電極10の表面が露出しない構成とされている。この可変容量素子本体2は、一方の面に内部電極10を構成する導電層が形成されたシート状の誘電体層5が積層された構造とされており、シート状に形成された各誘電体層5は、内部電極10が形成される平面の形状が長方形とされている。
【0016】
本実施形態例では、印加電圧に応じて容量が変化する可変容量素子1を構成するため、誘電体層5は強誘電体材料で構成されている。そのような強誘電体材料としては、具体的には、イオン分極を生じる誘電体材料を用いることができる。イオン分極を生じる強誘電体材料は、イオン結晶材料からなり、プラスのイオンとマイナスのイオンの原子が変位することで電気的に分極する強誘電体材料である。このイオン分極を生じる強誘電体材料は、一般に、所定の2つの元素をA及びBとすると、化学式ABO(Oは酸素元素)で表され、ペロブスカイト構造を有する。このような強誘電体材料としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、チタン酸鉛(PbTiO)等があげられる。また、誘電体層5の形成材料として、チタン酸鉛(PbTiO)にジルコン酸鉛(PbZrO)を混ぜ合わせたPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を用いてもよい。
【0017】
また、強誘電体材料として、電子分極を生じる強誘電体材料を用いてもよい。この強誘電体材料では、プラスの電荷に偏った部分と、マイナスの電荷に偏った部分とに分かれて電気双極子モーメントが生じ、分極が生じる。そのような材料として、従来、Fe2+の電荷面と、Fe3+の電荷面の形成により、分極を形成して強誘電体的特性を示す希土類鉄酸化物が報告されている。この系においては、希土類元素をREとし、鉄族元素をTMとしたときに、分子式(RE)・(TM)・O(O:酸素元素)で表される材料が高誘電率を有することが報告されている。なお、希土類元素としては、例えば、Y、Er、Yb、Lu(特にYと重希土類元素)が挙げられ、鉄族元素としては、例えば、Fe、Co、Ni(特にFe)が挙げられる。また、(RE)・(TM)・Oとしては、例えば、ErFe、LuFe、YFeが挙げられる。
【0018】
内部電極10は、図2に示すように、円形状の電極本体8と、その電極本体8に接続され、端部が可変容量素子本体2の側面に露出するように形成された接続電極9とで構成されている。また、内部電極10の電極本体8の重心は、シート状に形成された誘電体層5の中心に位置するように形成されている。内部電極10は、例えば金属微粉末(Pd、Pd/Ag、Ni等)を含む導電ペーストを用いて形成することができる。なお、本実施形態例では、2つの内部電極10は同じ材料で形成する。ただし、本開示はこれに限定されず、例えば用途等に応じて、異なる材料で形成された内部電極10を積層する構成としてもよい。
【0019】
これら2つの内部電極10は誘電体層5を介して積層され、電極本体8の各辺、及び重心が積層方向に重なるように積層されている。また、各内部電極10を構成するそれぞれの接続電極9は、互いに対向する位置となるように配置される。すなわち、一方の内部電極10は、他方の内部電極10を電極面に垂直な軸を中心に180度回転させた構成とされており、可変容量素子本体2では、対向する側面に接続電極9が露出されている。
【0020】
外部端子3,4は、可変容量素子本体2の側面に形成され、露出したそれぞれの接続電極9に電気的に接続されるように形成されている。すなわち、本実施形態例では、2つの外部端子3,4は可変容量素子本体2の対向する2辺に形成されている。また、2つの外部端子3,4は、それぞれ内部電極10の積層方向において可変容量素子本体2の側面を被覆すると共に、可変容量素子本体2の上面及び下面に張り出すように形成されている。
【0021】
以上の構成により、本実施形態例では、対向する2つの電極本体8間でコンデンサCが形成される。そして、2つの外部端子3,4間に所望の電圧を印加することにより、電極本体8間の誘電体層5の比誘電率が可変される。
【0022】
[製造方法]
以上の構成を有する可変容量素子1の製造方法の一例を説明する。まず、所望の誘電体材料からなる誘電体シートを用意する。誘電体シートは、可変容量素子本体2において各誘電体層5を構成するものであり、例えば厚さ約2.5μmとされている。これらの誘電体シートは、ペースト状にした誘電体材料をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に所望の厚さに塗布して形成することができる。また、図2に示した内部電極10の形成領域に対応する領域が開口されたマスクを用意する。
【0023】
次に、例えば、Pt、Pd、Pd/Ag、Ni、Ni合金等の金属微粉末をペースト化した導電ペーストを調整する。そして、その導電ペーストを、前段で用意したそれぞれのマスクを介して誘電体シートの一方の表面に塗布(シルク印刷)する。これにより、一方の表面に内部電極10が形成された誘電体シートを作成する。このとき、各電極の電極本体8の中心(重心)が誘電体シートの中心に一致するように形成する。
【0024】
そして、内部電極10が形成されたそれぞれの誘電体シートを、各電極が印刷された面の向きを揃えて、所望の順番に積層する。このとき、2つの内部電極10の電極本体の各辺、及び中心が積層方向に重なるように積層する。さらに、この積層体の上下に、電極が印刷されていない誘電体シートを積層させて圧着する。
【0025】
そして、圧着した部材を還元性の雰囲気中で高温焼成して、誘電体シートと導電ペーストで形成された各電極とを一体化する。これにより、可変容量素子本体2が作製される。その後、可変容量素子本体2の側面の所定位置に、2つの外部端子3,4を取り付ける。本実施形態例では、このようにして可変容量素子1を作製する。
【0026】
ところで、本実施形態例の可変容量素子1では、誘電体材料と電極材料の焼結時の収縮率の違いにより残留応力(圧縮応力)が発生する。この残留応力は、各層において電極材料及び誘電体材料が収縮する方向に発生する。一方、本実施形態例の可変容量素子1では、コンデンサCを構成する2つの電極本体8が同一形状とされ、各辺、及び中心が内部電極10の積層方向に重なるように積層されている。さらに、電極本体8は、その中心が誘電体層5の中心に一致するように形成されている。このため、本実施形態例の可変容量素子1では、各内部電極10及び誘電体層5がそれらの中心に向かって収縮する。これにより、焼結時において発生する残留応力を、2つの内部電極10で形成されるコンデンサCの中心に集中して発生させることができる。
【0027】
さらに、本実施形態例の可変容量素子1では、コンデンサCを形成する電極本体8が円形状に形成されている。これにより、焼成時に発生する残留応力をより中心に向かって集中的に発生させることができる。図3は、本実施形態例の可変容量素子1に形成される2つの内部電極10を上面から透過して見た平面図である。また、図3において、下層の内部電極10に発生する残留応力の方向及び大きさを矢印aで示し、上層の内部電極10に発生する残留応力の方向及び大きさを矢印bで示す。
【0028】
また、図4に、比較例1に係る可変容量素子の内部電極406の平面構成を示し、図5に、比較例2に係る可変容量素子の内部電極403の平面構成を示す。比較例1及び比較例2では、コンデンサを形成する電極本体の形状のみを本実施形態例の可変容量素子1と異ならせたものである。比較例1では、図4に示すように、電極本体404の形状を長方形状としており、比較例2では、図5に示すように、電極本体401の形状を正方形状としている。また、図4において、焼成時に発生する残留応力の発生する方向、及び大きさを矢印cで示し、図5において、焼成時に発生する残留応力の発生する方向、及び大きさを矢印dで示す。
【0029】
比較例1では、図4に示すように内部電極406の電極本体404の形状が長方形状とされている。このため、焼成時に発生する残留応力は矢印cで示すように、電極本体404の長辺方向から発生する残留応力と、短辺方向から発生する残留応力とで、その大きさが異なる。また、電極本体404は電極面内の対称性が低い形状であるため残留応力の重心に向かう成分が少ない。さらに、接続電極9が形成される側に発生する残留応力の大きさを加味すると、内部電極406内で発生する残留応力の大きさや、発生する方向がばらばらになる。
【0030】
また、比較例2では、図5に示すように、内部電極403の電極本体401の形状が正方形状とされている。このため、焼成時に発生する残留応力は矢印dで示すように、接続電極9が形成される側に発生する残留応力の影響を受け、内部電極403内で発生する残留応力が面内で偏り、接続電極9側で大きくなる。また、電極本体404は電極面内における対称性が低い形状であるため残留応力の重心に向かう成分が小さい。
【0031】
一方、本実施形態例では、内部電極10の電極本体8の形状が円形状とされている。このため、面内の対称性が高い形状であり、焼成時に発生する残留応力(圧縮応力)は電極本体8の辺から重心に向かって発生する。また、接続電極9が形成される側に発生する残留応力の大きさを加味すると、接続電極9が形成される側から中心方向に向けて発生する残留応力が大きくなる。しかしながら、電極本体8の形状が円形状に形成されているため残留応力の変化が内部電極10内で緩やかであり、接続電極9が形成された側に発生する残留応力も、電極本体8の重心に向かって発生する。
【0032】
この結果、内部電極10の容量をなす電極本体8の中心に向かって残留応力が集中するため、内部電極10の積層方向(電界方向)の引張応力をより増加させることができる。これにより、コンデンサにおける単位体積あたりの静電容量の増加や、可変率の増加など、電気的特性を向上させることができる。
【0033】
本実施形態例では、内部電極10の電極本体8の形状を円形状に形成したが、電極本体8の重心を通り電極面に水平な軸に対する対称性が高い形状であれば同様の効果を得ることができる。ところで、電極本体8の重心を通り、かつ電極面に水平な軸は無数に存在するが、ここでいう「対称性が高い」とは、より小さな回転角度でもとの電極形状に重なる(若しくはほぼ重なる)ことができる電極形状であることを意味する。本実施形態例では、対称性が高い電極本体8の形状として、正五角形の場合は72度の回転でもとの電極形状と重なり、回転対称性が高いといえる。よって、任意の形状でも72度以下の回転でもとの有する形状となることが好ましい。線対称性か回転対称性かのどちらか一方において対称性が高い形状であればよいが、両方の対称性が高い形状であることがより好ましい。
以下に、本実施形態例の可変容量素子の変形例を示す。
【0034】
[変形例1−1]
図6に、変形例1−1に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成を示す。図6において、図2に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
変形例1−1に係る可変容量素子では、内部電極12の電極本体11が楕円形状とされている。変形例1−1では、楕円形状の長径方向を誘電体層5の長軸方向とし、短径方向を誘電体層5の短軸方向として構成している。
【0035】
変形例1−1においても、図示を省略するが、図6に示す内部電極12を、電極本体11の辺と中心とが積層方向に重なるように2層積層し、それぞれの接続電極9が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体を構成する。そして、可変容量素子本体の長軸方向のほぼ中心に露出したそれぞれの接続電極9に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例1−3の可変容量素子が形成される。変形例1−1では、積層された一対の電極本体11によりコンデンサが構成される。
【0036】
変形例1−1では、コンデンサを構成する電極本体11が、電極本体11の重心を通り電極面に水平な軸に対して対称性の高い楕円形状とされる。このため、内部電極12の面内で発生する残留応力を重心に集中させることができ、本実施形態例と同様の効果を得ることができる。
【0037】
[変形例1−2]
図7に、変形例1−2に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成を示す。図7において、図2に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
変形例1−2に係る可変容量素子では、内部電極14の電極本体13が楕円形状とされている。変形例2では、楕円形状の長径方向を誘電体層5の短軸方向とし、短径方向を誘電体層5の長軸方向として構成している。
【0038】
変形例1−2においても、図示を省略するが、図7に示す内部電極14を、電極本体13の辺と中心とが積層方向に重なるように2層積層し、それぞれの接続電極9が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体を構成する。そして、可変容量素子本体の長軸方向のほぼ中心に露出したそれぞれの接続電極9に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例1−2の可変容量素子が形成される。変形例1−2では、積層された一対の電極本体13によりコンデンサが構成される。
【0039】
変形例1−2では、コンデンサを構成する電極本体13が、電極本体13の重心を通り電極面に水平な軸に対して対称性の高い楕円形状とされる。このため、内部電極14の面内で発生する残留応力を中心に集中させることができ、本実施形態例と同様の効果を得ることができる。
【0040】
[変形例1−3]
図8に、変形例1−3に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成を示す。図8において、図2に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
変形例1−3に係る可変容量素子では、内部電極16の電極本体15が正六角形とされており、誘電体層5の中心を通る短軸方向の直線上に正六角形の2つの頂点が重なるように構成されている。
【0041】
変形例1−3においても、図示を省略するが、図8に示す内部電極16を、電極本体15の各辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層し、それぞれの接続電極9が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体を構成する。そして、可変容量素子本体の長軸方向のほぼ中心に露出したそれぞれの接続電極9に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例1−3の可変容量素子が形成される。変形例1−3では、積層された一対の電極本体15によりコンデンサが構成される。
【0042】
変形例1−3では、コンデンサを構成する電極本体15が、電極本体15の重心を通り電極面に水平な軸に対して対称性の高い正六角形状とされる。このため、内部電極16の面内で発生する残留応力を中心に集中させることができ、本実施形態例と同様の効果を得ることができる。
【0043】
[変形例1−4]
図9に、変形例1−4に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成を示す。図9において、図2に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
変形例1−4に係る可変容量素子では、内部電極18の電極本体17が正六角形とされており、誘電体層5の中心を通る長軸方向の直線上に正六角形の2つの頂点が重なるように構成されている。
【0044】
変形例1−4においても、図示を省略するが、図9に示す内部電極18を、電極本体17の各辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層し、それぞれの接続電極9が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体を構成する。そして、可変容量素子本体の長軸方向のほぼ中心に露出したそれぞれの接続電極9に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例1−4の可変容量素子が形成される。変形例1−4では、積層された一対の電極本体17によりコンデンサが構成される。
【0045】
変形例1−4では、コンデンサを構成する電極本体17が、電極本体17の重心を通り電極面に水平な軸に対して対称性の高い正六角形状とされる。このため、内部電極18の面内で発生する残留応力を中心に集中させることができ、本実施形態例と同様の効果を得ることができる。
【0046】
ところで、変形例1−3及び1−4では、電極本体の形状を正六角形としたが、五角形以上の正多角形であれば本実施形態と同様の効果を得ることができ、より円形状に近い形状であればより高い効果が得られる。以上のように、コンデンサを構成する電極本体の形状を五角形以上の正多角形状、円形状、若しくは楕円形状とすることで、電極本体が正方形の場合と比較して、発生する残留応力をより電極本体の重心に集中させることができる。
【0047】
〈2.第2の実施形態〉
次に、本開示の第2の実施形態に係る可変容量素子について説明する。本実施形態例では、内部電極を構成する接続電極のみが第1の実施形態と異なる例であり、その外形や、断面構成は図1A及び図1Bに示す第1の実施形態に係る可変容量素子と同様であるから図示を省略する。
図10は、本実施形態例の可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。図10において、図2に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0048】
図10に示すように、本実施形態例の可変容量素子では、内部電極20は、円形状の電極本体8と、電極本体8の辺に接続され、可変容量素子本体の側面に露出されて外部端子に接続される接続電極19で構成される。そして、接続電極19は、可変容量素子本体の焼結時において接続電極19周辺に発生する残留応力が、電極本体8部分に発生する残留応力に影響を及ぼさない程度の大きさに形成されている。したがって、接続電極19の面積は電極本体8の面積よりも十分に小さく形成され、本実施形態例では、接続電極19の外部端子に接続される端部の幅を、電極本体8の直径よりも十分に小さく形成している。
【0049】
ここで、接続電極19周辺に発生する残留応力が、電極本体8部分に発生する残留応力に影響を及ぼさない程度とするため、接続電極19の外部端子に接続される端部の幅は、例えば、電極本体8の直径の4分の1以下に設定するのが好ましい。
【0050】
本実施形態例においても、図示を省略するが、図10に示す内部電極20を、電極本体8の辺と重心とが積層方向に重なるように積層し、積層された内部電極20を構成するそれぞれの接続電極19が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体を構成する。そして、可変容量素子本体の長軸方向のほぼ中心に露出したそれぞれの接続電極19に電気的に接続する外部端子を設けることで本実施形態例の可変容量素子が形成される。本実施形態例では、積層された一対の電極本体8によりコンデンサが構成される。
【0051】
本実施形態例では、接続電極19の幅(面積)を小さくすることにより、接続電極19を含めた内部電極20の形状の対称性を擬似的に高くすることができる。なお、ここでいう「対称性」は、第1の実施形態と同様に、電極本体8の重心を通り電極面に水平な軸に対する対称性を意味するものとする。
【0052】
[変形例2−1]
図11に、変形例2−1に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成を示す。図11において、図10に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
変形例2−1に係る可変容量素子では、内部電極22の電極本体21が正方形とされている。変形例2−1においても、接続電極19の面積は、電極本体21の面積に比較して十分小さく形成されており、また、接続電極19の幅は正方形の幅に比較して十分小さく形成されている。変形例2−1では、接続電極19周辺に発生する残留応力が、電極本体21部分に発生する残留応力に影響を及ぼさない程度とするため、接続電極19の外部端子に接続される端部の幅は電極本体21の最大幅の・・分の1以下に設定するのが好ましい。
【0053】
変形例2−1においても、図示を省略するが、図11に示す内部電極22を電極本体21の辺と重心とが積層方向に重なるように積層し、それぞれの接続電極19が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体を構成する。そして、可変容量素子本体の長軸方向のほぼ中心に露出したそれぞれの接続電極19に電気的に接続する外部端子を設けることで本実施形態例の可変容量素子が形成される。本実施形態例では、積層された一対の電極本体21によりコンデンサが構成される。
【0054】
このような変形例2−1においても、接続電極19の面積を小さくすることで、内部電極22の対称性を擬似的に高めることができる。すなわち、接続電極の幅が電極本体の幅とほぼ同じに構成された比較例2に比較して、内部電極22自体の対称性が高くなる。このため、内部電極22の面内で発生する残留応力を内部電極22の各頂点から中心に集中させることができるため、本実施形態例と同様の効果を得ることができる。
【0055】
ところで、第2の実施形態例及び変形例2−1では、電極本体の形状を円形及び正方形としたが、五角形以上の正多角形、又は楕円形状であっても同様の効果を得ることができる。その場合にも、接続電極の幅を電極本体の幅よりも十分に小さく形成することで、電極本体の重心を通り、電極面に水平な軸に対する対称性を高くすることができる形状であれば同様の効果を得ることができる。
【0056】
[変形例2−2]
図12に、変形例2−2に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成を示す。図12において、図10に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
図10に示した可変容量素子の内部電極20では、接続電極19が可変容量素子本体の長軸方向の側面のほぼ中心に露出するように形成されていた。それに対して、変形例2−2では、内部電極24を構成する接続電極23が可変容量素子本体の長軸方向の側面の中心から外れた位置に露出するように形成されている。
【0057】
そして、変形例2−2では、図12に示すように、内部電極24を構成する接続電極23を電極本体8の重心を通る軸上に配置している。
変形例2−2に示すように、接続電極23を、コンデンサを構成する電極本体8の重心を通る軸上に配置することにより、残留応力の対称性をそれほど損なうことなく、外部端子の設計の自由度を高めることができる。
その他、第1の実施形態、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
〈3.第3の実施形態〉
次に、本開示の第3の実施形態に係る可変容量素子について説明する。本実施形態例では、内部電極の構成のみが第1の実施形態と異なる例であり、その外形や、断面構成は図1A及び図1Bに示す第1の実施形態に係る可変容量素子と同様であるから図示を省略する。
図13は、本実施形態例の可変容量素子を構成する内部電極28の平面構成図である。図13において、図2に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0059】
図13に示すように、本実施形態例の可変容量素子では、内部電極28は、正方形状の電極本体25と、電極本体25の辺に接続され、可変容量素子本体の側面に露出されて外部端子に接続される接続電極26と、フローティング電極27とで構成されている。
【0060】
電極本体25は、誘電体層5のほぼ中心に形成され、正方形状の中心が誘電体層5の中心に一致するように形成されている。
接続電極26は、電極本体25の一方の辺に接続され、端部が容量素子本体の側面に露出するように形成されている。
【0061】
フローティング電極27は、電極本体25を挟んで接続電極26と反対側の領域に形成されている。また、フローティング電極27は、接続電極26とほぼ同一形状とされ、電極本体25の重心を通る軸に対して接続電極26とほぼ対称となるように形成されている。ただし、フローティング電極27は、電極本体25に接続されておらず、可変容量素子本体の側面に露出しないように形成されている。したがって、可変容量素子の駆動時において、フローティング電極27には外部から電位が供給されない。
【0062】
本実施形態例においても、図示を省略するが、図13に示す内部電極28を、電極本体25の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層し、それぞれの接続電極26が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体を構成する。そして、可変容量素子本体の長軸方向のほぼ中心に露出したそれぞれの接続電極26に電気的に接続する外部端子を設けることで本実施形態例の可変容量素子が形成される。本実施形態例では、積層された一対の電極本体25によりコンデンサが構成される。
【0063】
本実施形態例では、電極本体25を挟んで接続電極26に対称となるようにフローティング電極27を設けることで、内部電極全体の対称性を高めることができる。これにより、焼成時の収縮に伴って発生する残留応力を中心に集中させ、面内で均一にすることができる。この結果、電気的特性を向上させることができる。
その他、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】
[変形例3−1]
図14に、変形例3−1に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成を示す。図14において、図13に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
変形例3−1に係る可変容量素子では、内部電極32の電極本体29の形状が第3の実施形態と異なる例である。
【0065】
内部電極32は、円形状の電極本体29と、電極本体29の辺に接続され、可変容量素子本体の側面に露出されて外部端子に接続される接続電極30と、フローティング電極31とで構成されている。
【0066】
電極本体29は、誘電体層5のほぼ中心に形成され、電極本体29の重心が誘電体層5の中心に一致するように形成されている。
接続電極30は、電極本体29の一方の辺に接続され、端部が容量素子本体の側面に露出するように形成されている。
【0067】
フローティング電極31は、電極本体29を挟んで接続電極30と反対側の領域に形成されている。また、フローティング電極31は、接続電極30とほぼ同一形状とされ、電極本体29の重心を通る軸に対して接続電極30と対称となるように形成されている。ただし、フローティング電極31は、電極本体29に接続されておらず、可変容量素子本体の側面に露出しないように形成されている。したがって、可変容量素子の駆動時において、フローティング電極31には外部から電位が供給されない。
【0068】
変形例3−1においても、図示を省略するが、図14に示す内部電極32を、電極本体29の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層し、それぞれの接続電極30が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体を構成する。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極30に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例3−1の可変容量素子が形成される。変形例3−1では、積層された一対の電極本体29によりコンデンサが構成される。
【0069】
このような変形例3−1においても、電極本体29を挟んで接続電極30に対称となるようにフローティング電極31が設けられる。このため、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、変形例3−1では、コンデンサを構成する電極本体29が円形とされるため、面内に発生する残留応力をより中心に集中させることができる。
【0070】
[変形例3−2]
図15に、変形例3−2に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成を示す。図15において、図13に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
変形例3−2では、内部電極35は、正方形状の電極本体25と、電極本体25の辺に接続され、可変容量素子本体の側面に露出されて外部端子に接続される接続電極33と、2つのフローティング電極27,34とで構成されている。接続電極33は、その幅が電極本体25の幅に比較して十分に細く形成されている。また、2つのフローティング電極27,34は、接続電極33及び電極本体25を挟む両領域に形成され、電極本体25の重心を通る軸に対して対称に形成されている。
【0071】
変形例3−2においても、図示を省略するが、図15に示す内部電極35を、電極本体25の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層し、それぞれの接続電極33が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体を構成する。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極33に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例3−2の可変容量素子が形成される。変形例3−2では、積層された一対の電極本体25によりコンデンサが構成される。
【0072】
変形例3−2では、接続電極33の幅が電極本体25の幅に比較して十部に小さく形成されるので、接続電極33部分に発生する残留応力を小さくすることができる。さらに、変形例3−2では、容量を形成しないフローティング電極27,34を、電極本体25を挟む両領域に対称的に形成することにより、コンデンサの中心に発生する残留応力を大きくすることができる。したがって、可変容量素子の電気的特性を向上させることができる。その他、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
[変形例3−3]
図16に、変形例3−3に係る可変容量素子を構成する内部電極の平面構成を示す。図において、図14に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
変形例3−3では、内部電極38は、円形状の電極本体29と、電極本体29の辺に接続され、可変容量素子本体の側面に露出されて外部端子に接続される接続電極36と、2つのフローティング電極31,37とで構成されている。接続電極36は、その幅が電極本体29の直径に比較して十分に細く形成されている。また、2つのフローティング電極31,37は、接続電極36及び電極本体29を挟む両領域に形成され、電極本体29の重心を通る軸に対して対称に形成されている。
【0074】
変形例3−3においても、図示を省略するが、図16に示す内部電極38を、電極本体29の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層し、それぞれの接続電極36が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体を構成する。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極36に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例3−3の可変容量素子が形成される。変形例3−3では、積層された一対の電極本体29によりコンデンサが構成される。
【0075】
変形例3−3では、接続電極36の幅が電極本体29の幅に比較して十部に小さく形成されるので、接続電極36部分に発生する残留応力を小さくすることができる。さらに、変形例3−3では、容量を形成しないフローティング電極31,37を、電極本体29を挟む両領域に対称的に形成することにより、コンデンサの中心に発生する残留応力を大きくすることができる。したがって、可変容量素子の電気的特性を向上させることができる。その他、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
〈4.第4の実施形態〉
次に、本開示の第4の実施形態に係る可変容量素子について説明する。本実施形態例では、可変容量素子本体の形状が第1の実施形態と異なる例であり、内部電極の形状や、断面構成は図に示す第1の実施形態に係る可変容量素子と同様であるから図示を省略する。
図17は、本実施形態例の可変容量素子の外観斜視図である。
【0077】
図17に示すように、本実施形態例の可変容量素子40は、可変容量素子本体41と、2つの外部端子42,43とで構成されている。そして、可変容量素子本体41は、内部電極が形成される面に平行な平面形状が正方形状となるような直方体(又は立方体)で構成されている。すなわち、本実施形態例では、図17に示すように、内部電極が形成される面に平行な平面が、横幅W、縦幅Wとされた正方形状とされている。
【0078】
本実施形態例の可変容量素子40では、内部電極が形成される面が正方形状とされるため、可変容量素子本体41の形状の対称性が高められる。可変容量素子本体41の焼成時において発生する残留応力は電極材料と誘電体材料の収縮率(線膨張係数)の違いで発生する。したがって、内部電極の対称性を向上させると共に、可変容量素子本体41の外形の対称性を向上させることでも、残留応力を中心に向かってより集中させることができる。これにより、内部電極で形成されるコンデンサの電気的特性を向上させることができる。
その他、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
[変形例4−1]
図18は、変形例4−1に係る可変容量素子の外観斜視図である。変形例4−1では、可変容量素子本体の形状が第1の実施形態と異なる例であり、内部電極の形状や、断面構成は図に示す第1の実施形態に係る可変容量素子と同様であるから図示を省略する。
【0080】
変形例4−1に係る可変容量素子44では、図18に示すように、可変容量素子本体45と、2つの外部端子46,47とで構成されている。そして、可変容量素子本体45は、内部電極が形成される面に平行な平面形状が円形状となるような円柱形状で構成されている。
【0081】
変形例4−1では、可変容量素子本体45の外形が円柱状に形成されるため、内部電極の電極本体の中心を通る積層方向の直線に対する可変容量素子本体45の外形の対称性が高められる。これにより、可変容量素子本体45内部で発生する残留応力をより増大させることができ、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
[変形例4−2]
図19に、変形例4−2に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。変形例4−2に係る可変容量素子では、内部電極51は、正方形とされた電極本体49と、その電極本体49の一辺に接続され、端部が容量素子本体の側面に露出するように形成された接続電極50とで構成されている。また、可変容量素子本体の内部電極51が形成される平面形状、すなわち誘電体層48の平面形状は楕円形状とされており、内部電極51を構成する接続電極50は、楕円形状の誘電体層48の短径方向に形成されている。
【0083】
変形例4−2においても、図示を省略するが、図19に示す内部電極51が、電極本体49の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層され、それぞれの接続電極50が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極50に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例4−2の可変容量素子が形成される。変形例4−2では、積層された一対の電極本体49によりコンデンサが構成される。
【0084】
変形例4−2では、可変容量素子本体の外形が、断面楕円形状とされた柱状に形成されるため、可変容量素子本体の外形の対称性を高めることができ、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
[変形例4−3]
図20に、変形例4−3に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。変形例4−3に係る可変容量素子では、内部電極51は、変形例4−2と同様とされる。また、可変容量素子本体の内部電極51が形成される平面形状、すなわち誘電体層52は楕円形状とされており、内部電極51を構成する接続電極50は、楕円形状の誘電体層52の長径方向に形成されている。
【0086】
変形例4−3においても、図示を省略するが、図20に示す内部電極51が、電極本体49の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層され、それぞれの接続電極50が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極50に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例4−3の可変容量素子が形成される。変形例4−3では、積層された一対の電極本体49によりコンデンサが構成される。
【0087】
変形例4−3では、可変容量素子本体の外形が、断面楕円形状とされた柱状に形成されるため、可変容量素子本体の外形の対称性を高めることができ、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
[変形例4−4]
図21に、変形例4−4に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。変形例4−4に係る可変容量素子では、内部電極51は、変形例4−2と同様とされる。また、可変容量素子本体の内部電極51が形成される平面形状、すなわち誘電体層53は角丸長方形状(小判型)とされており、内部電極51を構成する接続電極50は、角丸長方形状の誘電体層53の長軸方向に形成されている。
【0089】
変形例4−4においても、図示を省略するが、図21に示す内部電極51が、電極本体49の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層され、それぞれの接続電極50が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極50に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例4−4の可変容量素子が形成される。変形例4−4では、積層された一対の電極本体49によりコンデンサが構成される。
【0090】
変形例4−4では、可変容量素子本体の外形が、断面小判型とされた柱状に形成されるため、可変容量素子本体の外形の対称性を高めることができ、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0091】
[変形例4−5]
図22に、変形例4−5に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。変形例4−5に係る可変容量素子では、内部電極51は、変形例4−2と同様とされる。また、可変容量素子本体の内部電極が形成される平面形状、すなわち誘電体層は正方形状の一辺の両側に位置する2つの角部がアール状に形成された四角形状に形成されている。
【0092】
変形例4−5においても、図示を省略するが、図22に示す内部電極が、電極本体の辺と重心とが積層方向に重なるように積層され、積層された内部電極を構成するそれぞれの接続電極が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例4−5の可変容量素子が形成される。変形例4−5では、積層された正方形状の電極本体によりコンデンサが構成される。
【0093】
変形例4−5では、可変容量素子本体の外形が、一方の角部がアール状とされた角柱状に形成されるため、誘電体層の平面形状、そして可変容量素子本体の対称性を高めることができ、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
[変形例4−6]
図23に、変形例4−6に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。変形例4−6に係る可変容量素子では、内部電極51は、変形例4−2と同様とされる。また、可変容量素子本体の内部電極51が形成される平面形状、すなわち誘電体層55は正方形状の4つの角部がアール状とされた角丸正方形状に形成されている。
【0095】
変形例4−6においても、図示を省略するが、図23に示す内部電極51が、電極本体49の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層され、それぞれの接続電極50が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極50に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例4−6の可変容量素子が形成される。変形例4−6では、積層された一対の電極本体49によりコンデンサが構成される。
【0096】
変形例4−6では、可変容量素子本体の外形が、断面が角丸正方形状とされた柱状に形成されるため、可変容量素子本体の対称性を高めることができ、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
[変形例4−7]
図24に、変形例4−7に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。変形例4−7に係る可変容量素子では、内部電極51は、変形例4−2と同様とされる。また、可変容量素子本体の内部電極51が形成される平面形状、すなわち誘電体層56は八角形状に形成されている。
【0098】
変形例4−7においても、図示を省略するが、図24に示す内部電極51が、電極本体の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層され、それぞれの接続電極50が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極50に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例4−7の可変容量素子が形成される。変形例4−7では、積層された一対の電極本体49によりコンデンサが構成される。
【0099】
変形例4−7では、可変容量素子本体の外形が、断面八角形状とされた柱状に形成されるため、可変容量素子本体の外形の対称性を高めることができ、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
[変形例4−8]
図25に、変形例4−8に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。変形例4−8に係る可変容量素子では、内部電極51は、変形例4−2と同様とされる。また、可変容量素子本体の内部電極51が形成される平面形状、すなわち誘電体層57は正六角形状に形成されている。
【0101】
変形例4−8においても、図示を省略するが、図25に示す内部電極51が、電極本体49の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層され、それぞれの接続電極50が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極50に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例4−8の可変容量素子が形成される。変形例4−8では、積層された一対の電極本体49によりコンデンサが構成される。
【0102】
変形例4−8では、可変容量素子本体の外形が、断面正六角形状とされた柱状に形成されるため、可変容量素子本体の外形の対称性を高めることができ、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0103】
〈5.第5の実施形態〉
次に、本開示の第5の実施形態に係る可変容量素子について説明する。図26は、本実施形態例の可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成図である。本実施形態例では、可変容量素子本体の外形が第1の実施形態と異なる例である。図26において、図2に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0104】
本実施形態例の可変容量素子では、内部電極10は、円形状とされた電極本体8と、その電極本体8の一辺に接続され、端部が容量素子本体の側面に露出するように形成された接続電極9とで構成されている。また、可変容量素子本体の内部電極10が形成される平面形状、すなわち誘電体層58は円形状に形成されている。そして、内部電極10の電極本体8の重心が、誘電体層58の中心に位置するように形成されている。
【0105】
本実施形態例においても、図示を省略するが、図26に示す内部電極10が、電極本体8の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層され、それぞれの接続電極9が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極9に電気的に接続する外部端子を設けることで本実施形態例の可変容量素子が形成される。本実施形態例では、積層された一対の電極本体8によりコンデンサが構成される。
【0106】
本実施形態例では、内部電極10の容量を構成する電極本体8の形状と、誘電体層58の平面形状が同一形状とされているため、電極本体8及び可変容量素子本体の外形の対称性が高められる。これにより、可変容量素子本体の焼成時において発生する残留応力を中心方向により集中させることができ、一対の電極本体8で構成されるコンデンサの電気的特性を向上させることができる。
その他、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
[変形例5−1]
図27に、変形例5−1に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。図27において、図26に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。変形例5−1に係る可変容量素子では、内部電極20は、第2の実施形態の内部電極20と同様の構成とされている。
【0108】
変形例5−1においても、図示を省略するが、図27に示す内部電極が、電極本体8の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層され、それぞれの接続電極19が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極19に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例5−1の可変容量素子が形成される。変形例5−1では、積層された一対の電極本体8によりコンデンサが構成される。
【0109】
変形例5−1では、内部電極20において、電極本体8に接続される接続電極19の面積が電極本体8に比較して十分小さく形成される。このため、誘電体層58と、内部電極20との形状をより相似の関係に近づけることができる。
【0110】
図28は、変形例5−1に係る可変容量素子の2つの内部電極20を上面から透過して見た平面図である。また、図28において、下層の内部電極20に発生する残留応力を矢印eで示し、上層の内部電極20に発生する残留応力を矢印fで示す。
【0111】
図28に示すように、変形例5−1では、接続電極19の面積が電極本体8の面積よりも十分に小さく形成されるため、接続電極19部分における残留応力への寄与が小さくなる。このため、接続電極9の幅が電極本体8の直径とほぼ同じに形成された第1の実施形態に係る内部電極10に比較して、電極本体8の中心に向かって発生する残留応力が全面で均等となる。この結果、内部電極20の積層方向(電界方向)における引張応力がより増加し、コンデンサの電気的特性が向上する。
【0112】
さらに、変形例5−1では、内部電極20の容量を構成する電極本体8の形状と、誘電体層58の平面形状が同一形状とされているため、電極本体8及び可変容量素子本体の外形の対称性が高められ、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0113】
[変形例5−2]
図29に、変形例5−2に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。変形例5−2では、内部電極51は、正方形状とされた電極本体49と、その電極本体49の一辺に接続され、端部が容量素子本体の側面に露出するように形成された接続電極50とで構成されている。また、可変容量素子本体の内部電極51が形成される平面形状、すなわち誘電体層59の平面形状は正方形状とされている。そして、内部電極51の電極本体49の重心が、誘電体層59の中心に位置するように形成されている。
【0114】
変形例5−2においても、図示を省略するが、図29に示す内部電極51が、電極本体49の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層され、それぞれの接続電極50が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例5−2の可変容量素子が形成される。変形例5−2では、積層された一対の電極本体49によりコンデンサが構成される。
【0115】
変形例5−2では、内部電極51の容量を構成する電極本体49の形状と、誘電体層59の平面形状が同一形状とされているため、電極本体49及び可変容量素子本体の外形の対称性が高められ、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0116】
[変形例5−3]
図30に、変形例5−3に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。図30において、図29に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。変形例5−3に係る可変容量素子では、内部電極22は、図11に示した変形例2−1の内部電極22と同様の構成とされている。
【0117】
変形例5−3においても、図示を省略するが、図30に示す内部電極22が、電極本体21の辺と重心とが積層方向に重なるように2層積層され、それぞれの接続電極19が対向する側面に露出するようにして可変容量素子本体が構成される。そして、可変容量素子本体の側面に露出したそれぞれの接続電極19に電気的に接続する外部端子を設けることで変形例5−3の可変容量素子が形成される。変形例5−3では、積層された円形状の電極本体によりコンデンサが構成される
【0118】
変形例5−3では、内部電極22において、電極本体21に接続される接続電極19の面積が電極本体21に比較して十分小さく形成される。このため、誘電体層59と、内部電極22との形状をより相似の関係に近づけることができる。これにより、可変容量素子本体の焼成時において発生する残留応力を中心に向かってより集中させることができ、コンデンサの電気的特性を向上させることができる。
その他、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0119】
〈6.第6の実施形態〉 3端子
次に、本開示の第6の実施形態に係る可変容量素子について説明する。図31は、本実施形態例に係る可変容量素子の斜視図である。また、図32は、本実施形態例の可変容量素子を構成する内部電極の平面構成図である。
【0120】
図31に示すように、本実施形態例の可変容量素子は、直方体部材で構成された可変容量素子本体62と、それぞれ3つずつ形成される外部端子63a,63bとで構成されている。外部端子63a,63bは、可変容量素子本体の側面に互いに離間して設けられている。また、可変容量素子本体62では、図示を省略するが、図32に示す2つの内部電極67が積層された構成とされている。
【0121】
本実施形態例では、内部電極67は、図32に示すように、円形状の電極本体65と、電極本体65に接続され、電極本体65の円周方向に等間隔に形成された3つの接続電極66とで構成されている。また、誘電体層64は、内部電極67が形成される平面が長方形状とされている。
【0122】
そして、本実施形態例では、3つの接続電極66は、それぞれ、電極本体65の直径よりも細い帯状に形成され、可変容量素子本体62の側面に露出するように形成されている。また、図32に示す内部電極67と、図32に示す内部電極67を電極面に垂直な軸を中心として180度回転させた状態の内部電極67を積層した場合に、接続電極66が積層方向で重ならないように形成されている。
【0123】
本実施形態例では、図32に示す内部電極67と、図32に示す内部電極67を電極面に垂直な軸を中心として180度回転させた状態の内部電極67を積層することで可変容量素子本体を構成することができる。図33は、本実施形態例の可変容量素子本体62を上面から透過して見たときの図である。
【0124】
図33に示すように、積層された2つの内部電極32に形成される計6つの接続電極66は、それぞれ積層方向に重ならない。このため、本実施形態例では、積層する接続電極66間では容量が形成されず、積層方向に重なる電極本体65によりコンデンサが構成される。そして、本実施形態例の可変容量素子本体62の側面に露出した6つの接続電極66それぞれに接続される外部端子63a,63bを設けることで、本実施形態例の可変容量素子61が形成される。
【0125】
本実施形態例では、1つの電極本体65に接続される接続電極66の数を増やすことにより、入力される信号電圧に対する耐圧を向上させることができる。
また、本実施形態例では、コンデンサを形成する電極本体65を円形状とし、その電極本体65に接続される接続電極66を、等間隔の3方向に形成することにより、内部電極67の対称性を高めることができる。これにより、可変容量素子本体62の焼成時において発生する残留応力を中心に向かって集中させることができ、コンデンサの電気的特性を向上させることができる。
その他、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0126】
[変形例6−1]
図34に、変形例6−1に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。図34において、図32に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。変形例6−1では、内部電極70は、円形状の電極本体65と、電極本体65に接続され、電極本体65の円周方向に等間隔に形成された3つの接続電極69とで構成されている。また、誘電体層68は、内部電極70が形成される平面が正方形状とされ
【0127】
そして、変形例6−1では、3つの接続電極69は、電極本体65に接続される側から、可変容量素子本体の側面に露出される端部側にかけて幅広となるように形成されている。また、図34に示す内部電極70と、図34に示す内部電極70を電極面に垂直な軸を中心として180度回転させた状態の内部電極70を積層した場合に、接続電極69が積層方向で重ならないように形成する。
【0128】
変形例6−1では、図34に示す内部電極70と、図34に示す内部電極70を、電極面に垂直な軸を中心として180度回転させた状態の内部電極70を積層することで可変容量素子本体を構成することができる。こうすることで、積層される2つの内部電極70に形成される計6つの接続電極69は、それぞれ積層方向に重ならない側面に露出される。また、積層方向に形成される接続電極69は積層方向で重ならないため、積層する接続電極69間では容量が形成されない。そして、可変容量素子本体の側面に露出した6つの接続電極69それぞれに接続される外部端子を設けることで、変形例6−1の可変容量素子が形成される。
【0129】
変形例6−1では、接続電極69が、外部端子に接続される側に向けて幅広に形成されている。このため、第6の実施形態に係る可変容量素子61に比較してより耐圧を向上させることができる。その他、第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0130】
[変形例6−2]
図35に、変形例6−2に係る可変容量素子を構成する誘電体層及び内部電極の平面構成を示す。図35において、図32に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。変形例6−2では、第6の実施形態と、誘電体層の平面形状が異なる例である。
【0131】
変形例6−2では、誘電体層71の平面形状が正六角形とされている。そして、3つの接続電極66は、正六角形状の誘電体層71の一つおきの側面に露出するように形成されている。そして、変形例6−2においても、図35に示す内部電極67と、図35に示す内部電極67を電極面に垂直な軸を中心として180度回転させた状態の内部電極67を積層することで可変容量素子本体を構成することができる。また、可変容量素子本体の側面に露出した6つの接続電極66に接続される外部端子を設けることで、変形例6−2に係る可変容量素子が形成される。そして、このとき、可変容量素子本体は、断面が正六角形とされ柱状に形成される。
【0132】
変形例6−2に係る可変容量素子では、内部電極67及び可変容量素子本体の外形の対称性が高く、可変容量素子本体の焼成時において発生する残留応力をより増大させることができる他、第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0133】
以上の第1〜第6の実施形態に係る可変容量素子、及びそれらの変形例に係る可変容量素子では、積層する内部電極を同形状として説明した。しかしながら、本開示は、これに限定されず、それぞれ異なる形状の内部電極を組み合わせて積層した場合にも、残留応力の増大に起因した電気的特性の向上の効果が得られる。上述した第1〜第6の実施形態のように、積層される内部電極の電極本体を同一形状とした場合には、より一層の電気的特性の向上が図られる。
【0134】
以上の実施形態に係る内部電極の形状、及び誘電体層の平面形状の例を踏まえ、以下に、異なる形状の内部電極を組み合わせて積層することで得られる可変容量素子の構成について説明する。以下の実施形態では、内部電極の積層方向に直列接続された複数のコンデンサを備える可変容量素子を例に説明する。
【0135】
〈7.第7の実施形態〉
図36Aは、本開示の第7の実施形態に係る可変容量素子81の概略斜視図であり、図36Bは、可変容量素子81の断面構成図である。以下では、後述する内部電極の積層方向をz方向、積層方向に直交する可変容量素子81の一方向をx方向、積層方向に直交する可変容量素子81の他方向をy方向として説明する。また、可変容量素子81のxy面で構成される一方の面を「上面」、xy面で構成される他方の面を「下面」として説明する。また、可変容量素子1の上面及び下面に垂直な面を「側面」として説明する。
【0136】
図36Aに示すように、本実施形態例の可変容量素子1は、xy面が正方形とされた直方体部材で構成された可変容量素子本体82と6つの外部端子(以下、それぞれ第1外部端子83a〜第6外部端子83fという)とで構成されている。
【0137】
第1外部端子83aは、可変容量素子本体82のyz面で構成される一方の側面に形成され、第6外部端子83fは、可変容量素子本体82のyz面で構成される他方の側面に形成されている。第2外部端子83b及び第4外部端子83dは、可変容量素子本体82のxz面で構成される一方の側面に互いに離間して形成され、第3外部端子83c及び第5外部端子83eは、可変容量素子本体82のxz面で構成される他方の側面に互いに離間して形成されている。そして、xy面でみたとき、第2外部端子83bと第3外部端子83cが対角上に位置し、第4外部端子83dと第5外部端子83eが対角上に位置するように配置されている。
また、第1外部端子83a〜第6外部端子83fは、それぞれz方向において可変容量素子本体82の側面を被覆すると共に、可変容量素子本体82の上面及び下面に張り出すように形成されている。
【0138】
可変容量素子本体82は、図36Bに示すように、誘電体層85と、誘電体層85を介して積層された6つの内部電極88〜93とで構成されている。以下の説明では、便宜上、6つの内部電極を、それぞれ第1内部電極88〜第6内部電極93として説明する。本実施形態例の可変容量素子本体82は、第1内部電極88〜第6内部電極93が下面から上面にかけてこの順に積層された構成とされている。そして、第1内部電極88の下層に下部誘電体層86が積層され、第6内部電極93の上層に上部誘電体層87が積層された構成とされている。
【0139】
図37は、可変容量素子本体82を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。また、図38Aは第1内部電極88を上面から見たときの平面構成図であり、図38Bは、第1内部電極88を一方の側面から見たときの構成図である。また、図39Aは第2内部電極89を上面から見たときの平面構成図であり、図39Bは第2内部電極89を一方の側面から見たときの構成図である。また、図40Aは、第4内部電極91を上面から見たときの平面構成図であり、図40Bは第4内部電極91を一方の側面から見たときの構成図である。図37〜図40では、誘電体層85及び各内部電極の中心(重心)を通る線を破線で示している。
【0140】
図37に示すように、可変容量素子本体2は、一方の面に内部電極が形成されたシート状の誘電体層85が積層された構造とされている。このシート状に形成された各誘電体層85は、平面形状が正方形とされ、可変容量素子本体82では、内部電極が形成された側が上面を向くように、各誘電体層85が積層されている。
【0141】
また、本実施形態例では、第1内部電極88の下層、及び第6内部電極93の上層には、電極が形成されていない誘電体層85が複数層ずつ設けられており、この誘電体層85が下部誘電体層86と上部誘電体層87を構成している。この複数層の誘電体層85で構成された下部誘電体層86及び上部誘電体層87により、可変容量素子本体82の上面及び下面に電極が露出することを防ぐことができる。
【0142】
本実施形態例では、印加電圧に応じて容量が変化する可変容量素子1を構成するため、誘電体層85は強誘電体材料で構成されている。本実施形態例においても、第1の実施形態と同様の強誘電体材料を用いることができる。
【0143】
第1内部電極88は、図38A及び図38Bに示すように、電極本体94と接続電極95とで構成されている。電極本体94は平面形状が正方形状とされ、シート状に形成された誘電体層85の面積、すなわち、可変容量素子本体82のxy面の面積よりも小さく、可変容量素子本体82の側面に露出しないように形成されている。また、電極本体94は、その重心が、誘電体層85の中心に一致するように形成されている。
【0144】
接続電極95は、電極本体94のy方向に延びる一方の辺に接続するように形成されると共に、可変容量素子本体82の側面に露出するように形成されている。この接続電極95のx方向の幅は、電極本体94のx方向の幅と同じ幅に形成されている。可変容量素子本体82の側面に露出した接続電極95の端部は、第1外部端子83aに電気的に接続されている。
【0145】
第2内部電極89は、図39A及び図39Bに示すように、電極本体96と、接続電極97とで構成されている。電極本体96は第1内部電極88を構成する電極本体94と同じ大きさで、かつ同一形状とされ、その中心が誘電体層85の中心に一致するように形成されている。
【0146】
接続電極97は、電極本体96のx方向に延びる辺に接続するように形成されると共に、可変容量素子本体82の側面に露出するように形成されている。また、接続電極97のy方向の幅は電極本体96のy方向の幅よりも十分に小さく形成され、電極本体96のy方向の辺の一方の側の端部に接続して形成されている。可変容量素子本体82の側面に露出した接続電極97の端部は、第2外部端子83bに電気的に接続されている。
【0147】
第4内部電極91は、図40A及び図40Bに示すように、電極本体98と、接続電極99とで構成されている。電極本体98は第1内部電極88を構成する電極本体94と同じ大きさで、かつ同一形状とされ、その重心が誘電体層85の中心に一致するように形成されている。
【0148】
接続電極99は、電極本体98のy方向に延びる辺に接続するように形成されると共に、可変容量素子本体82の側面に露出するように形成されている。また、接続電極99のy方向の幅は電極本体98のy方向の幅よりも十分に小さく形成され、xy面でみたときに、第2内部電極89の接続電極97と離間して配置されるよう、電極本体98のy方向の辺の他方の側の端部に接続して形成されている。可変容量素子本体82の側面に露出した接続電極99の端部は、第4外部端子83dに電気的に接続されている。
【0149】
第3内部電極90は、図39Aに示す第2内部電極89を、電極面に垂直な軸を中心として180度回転させた構成とされ、第2内部電極89と同様の電極本体96及び接続電極97で構成されている。したがって、第3内部電極90の接続電極97は、xy面でみたときに、第2内部電極89の接続電極97と対角の位置に形成される。そして、可変容量素子本体82の側面に露出した第3内部電極90の接続電極97は、第3外部端子83cに電気的に接続される。
【0150】
第5内部電極92は、図40Aに示す第4内部電極91を、電極面に垂直な軸を中心として180度回転させた構成とされ、第4内部電極91と同様の電極本体98及び接続電極99で構成されている。したがって、第5内部電極92の接続電極99は、xy面でみたときに、第4内部電極91の接続電極99と対角の位置に形成される。そして、可変容量素子本体82の側面に露出した第5内部電極92の接続電極99は、第5外部端子83eに電気的に接続される。
【0151】
第6内部電極93は、図38Aに示す第1内部電極88を、電極面に垂直な軸を中心として180度回転させた構成とされ、第1内部電極88と同様の電極本体94及び接続電極95で構成されている。したがって、第6内部電極93の接続電極95は、xy面でみたときに、第1内部電極88の接続電極95と対向する位置に形成される。そして、可変容量素子本体82の側面に露出した第6内部電極93の接続電極95は、第6外部端子83fに電気的に接続される。
本実施形態例の第1内部電極88〜第6内部電極93は、第1の実施形態と同様の材料を用いて形成することができる。
【0152】
本実施形態例の可変容量素子81も、第1の実施形態と同様の製造工程で形成することができる。すなわち、各内部電極が形成された誘電体シートを、電極形成面が上面となるように積層して焼成処理することにより可変容量素子本体82を形成し、側面の所望の位置に外部端子を形成することで本実施形態例の可変容量素子81が作製される。そして、本実施形態例の可変容量素子81では、第1内部電極88と第6内部電極93、第2内部電極89と第3内部電極90、第4内部電極91と第5内部電極92とがそれぞれ同じ形状とされるため、それらは同一のマスクで形成することができる。
【0153】
次に、本実施形態例の可変容量素子81を用いた電圧制御回路の一例を説明する。図41にその電圧制御回路の回路構成を示す。図41に示す電圧制御回路200は、例えば、交流電源201と整流回路等の回路との間に設けられ、交流電源201から整流回路等の回路に入力される交流電圧(入力信号)を所定の電圧値に調整する。なお、図41中の第1外部端子83a〜第6外部端子83fは、図36中の第1外部端子83a〜第6外部端子83fに対応する。
【0154】
本実施形態例では、積層された第1内部電極88〜第6内部電極93は、それぞれ異なる外部端子(第1外部端子83a〜第6外部端子83f)に接続される。したがって、第1内部電極88と第2内部電極89間で第1コンデンサC1が形成される。また、第2内部電極89と第3内部電極90間で第2コンデンサC2が形成される。また、第3内部電極90と第4内部電極91間で第3コンデンサC3が形成される。また、第4内部電極91と第5内部電極92間で第4コンデンサC4が形成される。また、第5内部電極92と第6内部電極93間で第5コンデンサC5が形成される。そして、本実施形態例の可変容量素子81は、第1コンデンサC1〜第5コンデンサC5がこの順に直列接続した回路となる。
【0155】
本実施形態例では、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、及び第4コンデンサC4を可変容量コンデンサとして用い、第1コンデンサC1及び第5コンデンサC5を、DC除去用コンデンサとして用いる。それゆえ、可変容量素子81の第1外部端子83aは交流電源201の一方の出力端子に接続され、第6外部端子83fは交流電源201の他方の出力端子に接続される。すなわち、第1コンデンサC1〜第5コンデンサC5からなる直列回路は、交流電源201に対して並列に接続される。なお、図41には示さないが、交流電源201からの信号が入力される整流回路等の回路は、可変容量素子81の第1外部端子83a及び第6外部端子83f間に並列接続される。
【0156】
また、第2外部端子83b、第4外部端子83dをそれぞれDC除去用抵抗203,205を介して制御電源202の負極端子に接続する。さらに、第3外部端子83c及び第5外部端子83eを、それぞれDC除去用抵抗204,206を介して制御電源202の正極端子に接続する。すなわち、本実施形態例の可変容量素子81では、制御電源202は、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、及び第4コンデンサC4に対してそれぞれ並列に接続される。そして、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、及び第4コンデンサC4のそれぞれの容量は、制御電源202から入力される直流信号(制御信号)により調整される。
【0157】
なお、DC除去用コンデンサとして用いる第1コンデンサC1及び第5コンデンサC5並びに、3つのDC除去用抵抗は、制御電源202から流れる直流バイアス電流と、交流電源201からの交流電流との干渉による影響を抑制するために設けられる。なお、本実施形態例では、DC除去用抵抗の代わりに、DC除去用のインダクタンス(コイル)を用いても良い。
【0158】
本実施形態例では、各コンデンサを構成する内部電極の形状や、その内部電極に対する誘電体層の形状がそれぞれ対称性の高い形状とされている。したがって、可変容量素子81の容量可変率の向上や、静電容量の向上など、電気的特性の向上が図られる。
【0159】
[変形例7−1]
次に、変形例7−1に係る可変容量素子について説明する。変形例7−1の可変容量素子では、その外観構成、断面構成、及び回路構成は、第7の実施形態出示した図36A、図36B、及び図41と同様であるから、図示を省略し、重複説明を省略する。
【0160】
図42は、変形例7−1に係る可変容量素子の可変容量素子本体110を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。変形例7−1は、第4内部電極91及び第5内部電極92を、第2内部電極89及び第3内部電極90を製造するときに用いるマスクを用いて形成する例である。図42において、図37に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0161】
変形例7−1では、第4内部電極91は、図39Aに示した第2内部電極89を電極本体96の重心を通り、電極本体96の平面に水平なx方向の軸を中心として180度回転させた構成とされている。ずなわち、図39Aに示した第2内部電極89をx方向の軸を中心に裏返した構成とされている。したがって、第4内部電極91の接続電極97は、xy面でみたときに、第2内部電極89の接続電極97と離間して配置される。そして、第7の実施形態と同様、第4内部電極91の接続電極97には第4外部端子83dが接続される。
【0162】
第5内部電極92は、図39Aに示した第2内部電極89を電極本体96の重心を通るy方向の軸を中心として180度回転させ、かつ、電極本体96の重心を通るx方向のっ軸を中心として180度回転させた構成とされている。すなわち、変形例7−1の第5内部電極92は、第7の実施形態における第3内部電極90をy方向の軸を中心に裏返した構成とされている。そして、第7の実施形態と同様、第5内部電極92の接続電極97には、第5外部端子83eが接続される。
【0163】
変形例7−1では、第2内部電極89〜第4内部電極91を同一のマスクで形成し、各内部電極が形成されたシート状の誘電体層を、回転、及び/又は裏返しながら積層することで、図36と同様の可変容量素子81を形成することができる。具体的には、図42に示すように、第1内部電極88〜第3内部電極90は、その電極面が上面を向くように積層し、第4内部電極91〜第6内部電極93は、その電極面が下面を向くように積層する。また、第3内部電極90が形成された誘電体層85と第4内部電極91が形成された誘電体層85との間には、電極が形成されていない誘電体層85を挟むことで、第3内部電極90と第4内部電極91との間に誘電体層85を形成する。
【0164】
このように、同一マスクで形成した第2内部電極89〜第4内部電極91を回転、及び/又は裏返しながら積層させることで、それぞれの接続電極97が可変容量素子本体の側面の異なる位置に露出するように構成することができる。そして、これらの接続電極97にそれぞれの外部端子を接続することで、それぞれの内部電極に異なる電位を供給することができ、第7の実施形態と同様に、内部電極の積層方向に直列接続されたコンデンサを構成することができる。
【0165】
このように、変形例7−1では、第2内部電極89〜第5内部電極92を同一のマスクで形成することができるため、コストの低減が図られる。その他、第7の実施形態と同様の効果を得る。
【0166】
[変形例7−2]
次に、変形例7−2に係る可変容量素子について説明する。変形例7−2の可変容量素子は、その外観構成、断面構成、及び回路構成は、第7の実施形態出示した図36A、図36B、及び図41と同様であるから、図示を省略し、重複説明を省略する。
【0167】
図43は、変形例7−2に係る可変容量素子の可変容量素子本体111を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。変形例7−2では、第1内部電極88の下層及び第6内部電極93の上層に応力制御部100,101を設ける例である。図43において、図37に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0168】
図43に示すように、変形例7−2では、第1内部電極88の下層に、第1応力制御部100が形成され、第6内部電極93の上層に第2応力制御部101が形成されている。
第1応力制御部100は、誘電体層85を介して複数積層された第1内部電極88で構成され、第1応力制御部100を構成する第1内部電極88は、第1コンデンサC1を構成する第1内部電極88と同様、第1外部端子83aに接続されている。したがって、第1コンデンサC1を構成する第1内部電極88と第1応力制御部100を構成する第1内部電極88とは同電位とされるため、この電極間にコンデンサは形成されない。さらに、第1応力制御部100に形成される複数の第1内部電極88も同電位とされるため、第1応力制御部100ではコンデンサが形成されない。
【0169】
第2応力制御部101は、誘電体層85を介して複数積層された第6内部電極93で構成されて、第2応力制御部101を構成する第6内部電極93は、第5コンデンサC5を構成する第6内部電極93と同様、第6外部端子83fに接続されている。したがって、第5コンデンサC5を構成する第6内部電極93と、第2応力制御部101を構成する第6内部電極93とは同電位とされるため、この電極間にコンデンサは形成されない。さらに、第2応力制御部101に形成される複数の第6内部電極93も同電位とされるため、第2応力制御部101ではコンデンサが形成されない。
【0170】
変形例7−2の可変容量素子では、第1応力制御部100及び第2応力制御部101においても、電極材料と誘電体材料の焼成時の収縮率の違いにより、残留応力が発生している。したがって、第1応力制御部100及び第2応力制御部101により、残留応力が増えるため、応力制御部を形成しない場合に比較して、容量値の増加、及び容量可変率の増加を図ることができる。
その他、第7の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0171】
〈8.第8の実施形態〉
図44Aは、本開示の第8の実施形態に係る可変容量素子121の概略斜視図であり、図44Bは、可変容量素子121の断面構成図である。図44A及び図44Bにおいて、図36A及び図36Bに対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
【0172】
図44Aに示すように、本実施形態例の可変容量素子121は、xy面が正方形とされた直方体部材で構成された可変容量素子本体122と10個の外部端子(以下、それぞれ第1外部端子129a〜第10外部端子129jという)とで構成されている。
【0173】
第1外部端子129a〜第10外部端子129jは、可変容量素子本体122の4つの側面に互いに離間して配置されている。また、第1外部端子129aと第8外部端子129h、第2外部端子129bと第3外部端子129c、第9外部端子129iと第10外部端子129jは、それぞれ、xy面で見たときに対向する位置に配置されている。また、第4外部端子129dと第7外部端子129g、第5外部端子129eと第6外部端子fは、それぞれ、xy面で見たときに対向する位置に配置されている。
そして、第1外部端子129a〜第10外部端子129jは、それぞれz方向において可変容量素子本体122の側面を被覆すると共に、可変容量素子本体122の上面及び下面に張り出すように形成されている。
【0174】
可変容量素子本体122は、図44Bに示すように、誘電体層85と、誘電体層85を介して積層された6つの内部電極123〜128とで構成されている。以下の説明では、便宜上、3つの内部電極を、それぞれ第1内部電極123〜第6内部電極128として説明する。本実施形態例の可変容量素子本体122は、第1内部電極123〜第6内部電極128が下面から上面にかけてこの順に積層された構成とされている。
【0175】
図45は、可変容量素子本体122を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。また、図46Aは第1内部電極123を上面から見たときの平面構成図であり、図46Bは、第1内部電極123を一方の側面から見たときの構成図である。また、図47Aは第2内部電極124を上面から見たときの平面構成図であり、図47Bは第2内部電極124を一方の側面から見たときの構成図である。また、図48Aは、第4内部電極126を上面から見たときの平面構成図であり、図48Bは第4内部電極126を一方の側面から見たときの構成図である。図45〜図48では、誘電体層85及び各内部電極の中心(重心)を通る線を破線で示している。
【0176】
図45に示すように、可変容量素子本体122は、一方の面に内部電極が形成されたシート状の誘電体層85が積層された構造とされている。このシート状に形成された各誘電体層85は、平面形状が正方形とされ、可変容量素子本体122では、内部電極が形成された側が上面を向くように各誘電体層85が積層されている。
【0177】
第1内部電極123は、図46A及び図46Bに示すように、電極本体130と接続電極131とで構成されている。電極本体130は平面形状が円形状とされ、シート状に形成された誘電体層85の面積、すなわち、可変容量素子本体122のxy面の面積よりも小さく、可変容量素子本体122の側面に露出しないように形成されている。また、電極本体130は、その重心が、誘電体層85の中心に一致するように形成されている
【0178】
接続電極131は、電極本体130に接続され、電極本体130の円周方向に等間隔に3つ形成されている。また、それぞれの接続電極131は、円形状に形成された電極本体130の直径よりも小さい幅を有する帯状に形成されている。すなわち、本実施形態例における第1内部電極123は、図32に示した第6の実施形態に係る内部電極67の構成と同様の構成とされている。
【0179】
第1内部電極123を構成する3つの接続電極131は、それぞれ、可変容量素子本体122の側面に露出され、それぞれ異なる第1外部端子129a〜第3外部端子129cに接続される。
【0180】
第2内部電極124は、図47A及び図48Bに示すように、電極本体132と、接続電極133とで構成されている。電極本体132は第1内部電極123を構成する電極本体130と同じ大きさで、かつ同一形状とされ、その重心が誘電体層85の中心に一致するように形成されている。
【0181】
接続電極133は、電極本体132に接続され、電極本体132の重心(中心)を通る直線上に配置されている。そして、接続電極133は、可変容量素子本体122のxz面で構成される側面の中心から外れた位置に露出するように形成されている。また、接続電極133は、円形状に形成された電極本体132の直径よりも小さい幅を有する帯状に形成されている。すなわち、本実施形態例における第2内部電極124は、図12に示した変形例2−2に係る内部電極20と同様の構成とされている。そして、第2内部電極124を構成する接続電極133は、可変容量素子本体122のxz面で構成される一方の側面に露出され、その端部が第4外部端子129dに電気的に接続されている。
【0182】
第4内部電極126は、図48A及び図48Bに示すように、電極本体134と、接続電極135とで構成されている。電極本体134は第1内部電極123を構成する電極本体130と同じ大きさで、かつ同一形状とされ、その重心が誘電体層85の中心に一致するように形成されている。
【0183】
接続電極135は、電極本体134に接続され、電極本体134の重心(中心)を通る直線上に配置されている。そして、接続電極135は、可変容量素子本体122のxz面で構成される側面の中心から外れた位置に露出するように形成されている。また、接続電極135は、円形状に形成された電極本体134の直径よりも小さい幅を有する帯状に形成されている。すなわち、本実施形態例における第4内部電極126も、第2内部電極124と同様、図12に示した変形例2−2に係る内部電極20と同様の構成とされている。
【0184】
また、本実施形態例では、第4内部電極126の接続電極135は、電極本体134の重心を通るy方向の軸に対して第2内部電極124の接続電極133と線対称となるように形成されている。そして、第4内部電極126を構成する接続電極135は、可変容量素子本体122のxz面で構成される一方の側面に露出され、その端部が第6外部端子129fに電気的に接続されている。
【0185】
第3内部電極125は、図46Aに示す第2内部電極124を、電極本体132の重心を通るz方向の軸を中心として180度回転させた構成とされ、第2内部電極124と同様の電極本体132及び接続電極133で構成されている。したがって、第3内部電極125の接続電極133は、xy面でみたときに、第2内部電極124の接続電極133と対角の位置に形成される。そして、可変容量素子本体122の側面に露出した第3内部電極125の接続電極133は、第5外部端子129eに電気的に接続される。
【0186】
第5内部電極127は、図47Aに示す第4内部電極126を、電極本体134の重心を通るz方向の軸を中心として180度回転させた構成とされ、第4内部電極126と同様の電極本体134及び接続電極135で構成されている。したがって、第5内部電極127の接続電極135は、xy面でみたときに、第4内部電極126の接続電極135と対角の位置に形成される。そして、可変容量素子本体122の側面に露出した第5内部電極127の接続電極135は、第7外部端子129gに電気的に接続される。
【0187】
第6内部電極128は、図46Aに示す第1内部電極123を、電極本体130の重心を通るz方向の軸を中心として180度回転させた構成とされ、第1内部電極123と同様の電極本体130及び接続電極131で構成されている。したがって、第6内部電極128の3つの接続電極131は、xy面でみたときに、第1内部電極123の3つの接続電極131とそれぞれ対向する位置に形成される。そして、可変容量素子本体122の側面に露出した第6内部電極128の3つの接続電極131は、それぞれ、第8外部端子129h〜第10外部端子129jに電気的に接続される。
本実施形態例の第1内部電極123〜第6内部電極128は、第1の実施形態と同様の材料を用いて形成することができる。
【0188】
本実施形態例の可変容量素子121も、第1の実施形態と同様の製造工程で形成することができる。すなわち、各内部電極が形成された誘電体シートを、電極形成面が上面となるように積層して焼成処理することにより可変容量素子本体を形成し、側面の所望の位置に外部端子を形成することで本実施形態例の可変容量素子が作製される。そして、本実施形態例の可変容量素子121では、第1内部電極123と第6内部電極128、第2内部電極124と第3内部電極125、第4内部電極126と第5内部電極127とがそれぞれ同じ形状とされるため、同一のマスクで形成することができる。
【0189】
図49は、本実施形態例の可変容量素子121の第1内部電極123〜第6内部電極128を上面から透過して見た場合の構成図である。図49に示すように、本実施形態例では、第1内部電極123〜第6内部電極128における全ての接続電極が、積層方向に重ならないように配置されている。このため、積層する接続電極間では容量が形成されない。
【0190】
次に、本実施形態例の可変容量素子121を用いた電圧制御回路の一例を説明する。図50にその電圧制御回路207の回路構成を示す。図50において、図41に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0191】
本実施形態例では、積層された第1内部電極123〜第6内部電極128は、それぞれ異なる外部端子(第1外部端子129a〜第10外部端子129j)に接続される。したがって、第1内部電極123と第2内部電極124間で第1コンデンサC1が形成される。また、第2内部電極124と第3内部電極125間で第2コンデンサC2が形成される。また、第3内部電極125と第4内部電極126間で第3コンデンサC3が形成される。また、第4内部電極126と第5内部電極127間で第4コンデンサC4が形成される。また、第5内部電極127と第6内部電極128間で第5コンデンサC5が形成される。そして、本実施形態例の可変容量素子121は、第1コンデンサC1〜第5コンデンサC5がこの順に直列接続した回路となる。
【0192】
本実施形態例では、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、及び第4コンデンサC4を可変容量コンデンサとして用い、第1コンデンサC1及び第5コンデンサC5を、DC除去用コンデンサとして用いる。それゆえ、第1内部電極123に接続される第1外部端子129a〜第3外部端子129cは交流電源201の一方の出力端子に接続される。一方、第6内部電極128に接続される第8外部端子129h〜第10外部端子129jは交流電源201の他方の出力端子に接続される。
【0193】
また、第4外部端子129d、第6外部端子129fをそれぞれDC除去用抵抗203,205を介して制御電源202の負極端子に接続する。さらに、第5外部端子129e及び第7外部端子129gを、それぞれDC除去用抵抗204,206を介して制御電源202の正極端子に接続する。すなわち、本実施形態例の可変容量素子121では、制御電源202は、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、及び第4コンデンサC4に対してそれぞれ並列に接続される。そして、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、及び第4コンデンサC4のそれぞれの容量は、制御電源202から入力される直流信号(制御信号)により調整される。
【0194】
本実施形態例では、第1内部電極123及び第6内部電極128にはそれぞれ3つの接続電極から交流電源の信号が入力される。したがって、交流電源から入力される信号に対する耐圧が向上する。
その他、第7の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態例の可変容量素子においても、第7の実施形態に係る変形例7−2と同様にして、応力制御部を設ける構成とすることができる。
【0195】
[変形例8−1]
次に、変形例8−1に係る可変容量素子について説明する。変形例8−1の可変容量素子では、その外観構成、断面構成、及び回路構成は、第8の実施形態で示した図44A、図44B、及び図50と同様であるから、図示を省略し、重複説明を省略する。
【0196】
図51は、変形例8−1に係る可変容量素子の可変容量素子本体140を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。変形例8−1は、第4内部電極126及び第5内部電極127を、第2内部電極124及び第3内部電極125を製造するときに用いるマスクを用いて形成する例である。図51において、図45に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0197】
変形例8−1では、第4内部電極126は、図47Aに示した第2内部電極124を電極本体132の重心を通るy方向の軸を中心として180度回転させた構成とされている。すなわち、第4内部電極126は、図47Aに示した第2内部電極124をy方向の軸を中心に裏返した構成とされている。したがって、第4内部電極126の接続電極133、xy面でみたときに、第2内部電極124の接続電極133と離間して配置される。そして、第8の実施形態と同様、第4内部電極126の接続電極133には第6外部端子129fが接続される。
【0198】
第5内部電極127は、図47Aに示した第2内部電極124を電極本体132の重心を通るy方向の軸を中心として180度回転させ、かつ、電極本体132の重心を通るz方向の軸を中心として180度回転させた構成とされている。すなわち、第5内部電極127は、第8の実施形態における第3内部電極125をy方向の軸を中心に裏返した構成とされている。そして、第8の実施形態と同様、第5内部電極127の接続電極133には第7外部端子129gが接続される。
【0199】
変形例8−1では、第2内部電極124〜第5内部電極127を同一のマスクで形成し、各内部電極が形成されたシート状の誘電体層を、回転、及び/又は裏返しながら積層することで、図44Bと同様の可変容量素子121を形成することができる。具体的には、図51に示すように、第1内部電極123〜第3内部電極125は、その電極面が上面を向くように積層し、第4内部電極126〜第6内部電極128は、その電極面が下面を向くように積層する。また、第3内部電極125が形成された誘電体層85と第4内部電極126が形成された誘電体層85との間には、電極が形成されていない誘電体層85を挟むことで、第3内部電極125と第4内部電極126との間に誘電体層85を形成する。
【0200】
このように、変形例8−1では、第2内部電極124〜第5内部電極127を同一のマスクで形成することができるため、コストの低減が図られる。その他、第8の実施形態と同様の効果を得る。
また、変形例8−1の可変容量素子においても、第7の実施形態に変形例7−2に係る可変容量素子のように、応力制御部を設ける例とすることができる。
【0201】
〈9.第9の実施形態〉
図52Aは、本開示の第9の実施形態に係る可変容量素子141の概略斜視図であり、図52Bは、可変容量素子141の断面構成図である。本実施形態例の可変容量素子141は、第1内部電極144及び第6内部電極149の構成のみが、第7の実施形態における可変容量素子121と異なる例である。図52A及び図52Bにおいて、図36A及び図36Bに対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
【0202】
図52Aに示すように、本実施形態例の可変容量素子141は、xy面が正方形とされた直方体部材で構成された可変容量素子本体142と8個の外部端子(以下、それぞれ第1外部端子143a〜第8外部端子143hという)とで構成されている。
【0203】
第1外部端子143a〜第8外部端子143hは、可変容量素子本体142の4つの側面に互いに離間して配置されている。また、第1外部端子143aと第2外部端子143bは、第3外部端子143cと第6外部端子143f、第4外部端子143dと第5外部端子143e、第7外部端子143gと第8外部端子143hは、xy面で見たときに対向する位置に配置されている。
そして、第1外部端子143a〜第8外部端子143hは、それぞれz方向において可変容量素子本体142の側面を被覆すると共に、可変容量素子本体142の上面及び下面に張り出すように形成されている。
【0204】
可変容量素子本体142は、図52Bに示すように、誘電体層85と、誘電体層85を介して積層された6つの内部電極とで構成されている。以下の説明では、便宜上、6つの内部電極を、それぞれ第1内部電極144〜第6内部電極149として説明する。本実施形態例の可変容量素子本体142は、第1内部電極144〜第6内部電極149が下面から上面にかけてこの順に積層された構成とされている。
【0205】
図53は、可変容量素子本体142を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。また、図54Aは第1内部電極144を上面から見たときの平面構成図であり、図53Bは、第1内部電極144を一方の側面から見たときの構成図である。
【0206】
第1内部電極144は、図54A及び図54Bに示すように、電極本体150と2つの接続電極151と、ダミー電極152とで構成されている。電極本体150は平面形状が円形状とされ、シート状に形成された誘電体層85の面積、すなわち、可変容量素子本体142のxy面の面積よりも小さく、可変容量素子本体142の側面に露出しないように形成されている。また、電極本体150は、その重心が、誘電体層85の中心に一致するように形成されている
【0207】
接続電極151とダミー電極152は、電極本体150の円周方向にほぼ等間隔に形成さている。また、2つの接続電極151は、可変容量素子本体142の対向する側面に露出するように形成されている。また、ダミー電極152は、可変容量素子本体142の側面に向かって形成され、側面に露出されないように形成されている。そして、これらの接続電極151及びダミー電極152は、電極本体150側から、可変容量素子本体142の側面側に向かって幅広となるように形成されている。そして、第1内部電極144を構成する2つの接続電極151のうち一方は、第1外部端子143aに接続され、他方は第2外部端子143bに接続される。
【0208】
第6内部電極149は、図54Aに示す第1内部電極144を、電極本体150の重心を通り、z方向の軸を中心として180度回転させた構成とされ、第1内部電極144と同様の電極本体150、接続電極151、及びダミー電極152で構成されている。そして、可変容量素子本体142の側面に露出した第6内部電極149の2つの接続電極151は、それぞれ、第7外部端子143g、第8外部端子hに電気的に接続される。
【0209】
そして、本実施形態例では、第2内部電極145〜第5内部電極148は、第7の実施形態における第2内部電極124〜第5内部電極127と同様の構成とされる。すなわち、第2内部電極145及び第3内部電極146は、図47A及び図47Bに示した第2内部電極124及び第3内部電極125と同様に電極本体132と接続電極133で構成される。また、第4内部電極147及び第5内部電極148は、図48A及び図48Bに示した電極本体134及び接続電極135で構成される。そして、これらの第2内部電極145〜第5内部電極148は、それぞれ、第3外部端子143c〜第6外部端子143fに接続される。
【0210】
本実施形態例の可変容量素子141も、第1の実施形態と同様の製造工程で形成することができる。すなわち、各内部電極が形成された誘電体シートを、電極形成面が上面となるように積層して焼成処理することにより可変容量素子本体142を形成し、側面の所望の位置に外部端子を形成することで本実施形態例の可変容量素子141が作製される。そして、本実施形態例の可変容量素子141では、第1内部電極144と第6内部電極149、第2内部電極145と第3内部電極146、第4内部電極147と第5内部電極148とがそれぞれ同じ形状とされるため、同一のマスクで形成することができる。
【0211】
図55は、本実施形態例の可変容量素子141の第1内部電極144〜第6内部電極149を上面から透過して見た場合の構成図である。図55に示すように、本実施形態例では、第1内部電極144〜第6内部電極149における全ての接続電極が、積層方向に重ならないように配置されている。このため、積層する接続電極間では容量が形成されない。
【0212】
次に、本実施形態例の可変容量素子141を用いた電圧制御回路の一例を説明する。図56にその電圧制御回路208の回路構成を示す。図56において、図41に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0213】
本実施形態例では、積層された第1内部電極144〜第6内部電極149は、それぞれ異なる外部端子(第1外部端子143a〜第8外部端子143h)に接続される。したがって、第1内部電極144と第2内部電極145間で第1コンデンサC1が形成される。また、第2内部電極145と第3内部電極146間で第2コンデンサC2が形成される。また、第3内部電極146と第4内部電極147間で第3コンデンサC3が形成される。また、第4内部電極147と第5内部電極148間で第4コンデンサC4が形成される。また、第5内部電極148と第6内部電極149間で第5コンデンサC5が形成される。そして、本実施形態例の可変容量素子141は、第1コンデンサC1〜第5コンデンサC5がこの順に直列接続した回路となる。
【0214】
本実施形態例では、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、及び第4コンデンサC4を可変容量コンデンサとして用い、第1コンデンサC1及び第5コンデンサC5を、DC除去用コンデンサとして用いる。それゆえ、第1内部電極144に接続される第1外部端子143a、第2外部端子143bは交流電源201の一方の出力端子に接続される。一方、第6内部電極149に接続される第7外部端子143g、第8外部端子143hは交流電源201の他方の出力端子に接続される。
【0215】
また、第3外部端子143c、第5外部端子143eをそれぞれDC除去用抵抗203,205を介して制御電源202の負極端子に接続する。さらに、第4外部端子143d及び第6外部端子143fを、それぞれDC除去用抵抗204,206を介して制御電源202の正極端子に接続する。すなわち、本実施形態例の可変容量素子141では、制御電源202は、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、及び第4コンデンサC4に対してそれぞれ並列に接続される。そして、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、及び第4コンデンサC4のそれぞれの容量は、制御電源202から入力される直流信号(制御信号)により調整される。
【0216】
本実施形態例では、第1内部電極144及び第6内部電極149にはそれぞれ2つの接続電極から交流電源の信号が入力される。したがって、交流電源から入力される信号に対する耐圧が向上する。また、本実施形態例では、第1内部電極144及び第6内部電極149において、接続電極151の外部端子に接続される側が幅広とされる。したがって、可変容量素子141において、耐圧をさらに向上させることができる。また、第1内部電極144及び第6内部電極149において、ダミー電極152を形成することで、内部電極の対称性を向上させ、残留応力の向上を図ることができる。
【0217】
本実施形態例では、ダミー電極152を設ける例としたが、第6の実施形態と同様、3つの接続電極を可変容量素子本体142の側面に露出するように設け、外部端子に接続してもよい。この場合には、交流電源に接続される外部電極の数が増えるため、さらに耐圧を向上させることができる。
また、本実施形態例に係る可変容量素子141においても、変形例7−2と同様にして、応力制御部を設ける構成としてもよい。
【0218】
[変形例9−1]
次に、変形例9−1に係る可変容量素子について説明する。変形例9−1の可変容量素子は、その外観構成、断面構成、及び回路構成は、第9の実施形態出示した図52A、図52B、図56と同様であるから、図示を省略し、重複説明を省略する。
【0219】
図57は、変形例9−1に係る可変容量素子の可変容量素子本体153を長辺方向の一方の側面から見たときの分解図である。変形例9−1は、第4内部電極147及び第5内部電極148を、第2内部電極145及び第3内部電極146を製造するときに用いるマスクを用いて形成する例である。図57において、図53に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0220】
変形例9−1では、第4内部電極147は、第2内部電極145を、電極本体132の重心を通るy方向の軸を中心として180度回転させた構成とされている。すなわち、第2内部電極145をy方向の軸を中心に裏返した構成とされている。したがって、第4内部電極147の接続電極133は、xy面でみたときに、第2内部電極145の接続電極133と同じ側面に配置され、互いに離間して配置される。そして、第9の実施形態と同様、第4内部電極147の接続電極133には第5外部端子143eが接続される。
【0221】
第5内部電極148は、第2内部電極145を電極本体132の重心を通るy方向の軸を中心として180度回転させ、かつ、電極本体132の重心を通るz方向の軸を中心として180度回転させた構成とされている。すなわち、第5内部電極148は、第8の実施形態における第3内部電極146をy方向の軸を中心に裏返した構成とされている。そして、第8の実施形態と同様、第5内部電極148の接続電極133には、第6外部端子143fが接続される。
【0222】
変形例9−1では、第2内部電極145〜第5内部電極148を同一のマスクで形成し、各内部電極が形成されたシート状の誘電体層85を、回転、及び又は裏返しながら積層することで、図52Bと同様の可変容量素子本体153を形成することができる。具体的には、図57に示すように、第1内部電極144〜第3内部電極146は、その電極面が上面を向くように積層し、第4内部電極147〜第6内部電極149、その電極面が下面を向くように積層する。また、第3内部電極146が形成された誘電体層85と第4内部電極147が形成された誘電体層85との間には、電極が形成されていない誘電体層85を挟むことで、第3内部電極146と第4内部電極147との間に誘電体層85を形成する。
【0223】
このように、変形例9−1では、第2内部電極145〜第5内部電極148を同一のマスクで形成することができるため、コストの低減が図られる。その他、第8の実施形態と同様の効果を得る。
また、変形例9−1に係る可変容量素子においても、変形例7−2と同様にして、応力制御部を設ける構成としてもよい。
【0224】
ところで、第1〜第9の実施形態例では、内部電極のそれぞれにおいて、接続電極の外部端子に接続される端部の幅を電極本体の幅よりも小さく形成したが適宜変更可能である。例えば、DC電圧のみが印加される電極については、接続電極における電気抵抗が高くても良いため、電極本体に対する接続電極の幅を小さく形成しても良いが、AC電流が流れる電極については、電気抵抗の観点から接続電極の幅を大きく形成した方が好ましい。また、残留応力が、応力制御部や多層に積層された電極で支配される場合には、最外側の電極の接続電極の幅は広くしてもよい。また、接続電極の電極抵抗を下げる方法としては、電極幅を広くするほか、長さを短くしたり、厚さを厚くしたりするなどの方法が挙げられるが、これらを組み合わせてより好ましい形態を採ることができる。
【0225】
また、上述した第1〜第9の実施形態では、容量素子として印加する電圧に応じて容量が変化する可変容量素子を例に挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。上記第1〜第9の実施形態で説明した構成は、入力信号の種類及びその信号レベルに関係なく容量がほとんど変化しない容量素子(以下、定容量素子という)に対しても同様に適用可能である。
【0226】
ただし、この場合には、誘電体層は比誘電率の低い常誘電体材料で形成される。常誘電体材料としては、例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、TiO、MgTiO、MgTiO、SrMgTiO、Ai、Ta等を用いることができる。このような定容量素子においても、上記第1の実施形態の可変容量素子と同様にして作製することができる。
【0227】
なお、本開示に好適な静電容量素子の容量C(F)は、使用する周波数f(Hz)にも依存する。本開示はインピーダンスZ(オーム)(Z=1/2πfc)が2オーム以上、好ましくは15オーム以上、更に好ましくは、100オーム以上となる容量C(F)である容量素子に好適である。
【0228】
〈10.第10の実施形態:共振回路〉
次に、本発明の第10の実施形態に係る共振回路について説明する。本実施形態例は本発明の容量素子を共振回路に適用した例であり、特に、第1の実施形態における可変容量素子1を適用した例を示す。また、本実施形態例では、共振回路を非接触ICカードに用いた例を示す。
【0229】
図58は、本実施形態例の共振回路を用いた非接触ICカード530の受信系回路部のブロック構成図である。なお、本実施形態例では、説明を簡略化するために、信号の送信系(変調系)回路部は省略している。送信系回路部の構成は、従来の非接触ICカード等と同様の構成である。
【0230】
非接触ICカードは、図58に示すように、受信部531(アンテナ)と、整流部532と、信号処理部533とを備える。
【0231】
受信部531は、共振コイル534及び共振コンデンサ535からなる共振回路で構成され、非接触ICカード530のR/W(不図示)から送信される信号をこの共振回路で受信する。なお、図58では、共振コイル534をそのインダクタンス成分534a(L)と抵抗成分534b(r:数オーム程度)とに分けて図示している。
【0232】
共振コンデンサ535は、容量Coのコンデンサ535aと、受信信号の電圧値(受信電圧値)に応じて容量Cvが変化する可変容量素子1とが並列に接続されている。すなわち、本実施形態では、従来のアンテナ(共振コイル534とコンデンサ535aとからなる共振回路)に可変容量素子1を並列接続した構成となる。
【0233】
コンデンサ535aは、従来のアンテナと同様に、常誘電体材料で形成されたコンデンサを用いる。常誘電体材料で形成されたコンデンサ535aは、比誘電率が低く、入力電圧の種類(交流または直流)及びその電圧値に関係なくその容量はほとんど変化しない。それゆえ、コンデンサ535aは、入力信号に対して非常に安定した特性を有する。従来のアンテナでは、アンテナの共振周波数がずれないようにするために、このような入力信号に対して安定性の高い常誘電体材料で形成されたコンデンサを用いる。
【0234】
なお、実際の回路上では、共振コイル534のインダクタンス成分Lのばらつきや信号処理部533内の集積回路の入力端子の寄生容量などによる受信部531の容量変動(数pF程度)が存在し、その変動量は非接触ICカード530毎に異なる。それゆえ、本実施形態では、これらの影響を抑制(補正)するために、コンデンサ535aの電極パターンをトリミングして容量Coを適宜調整している。
【0235】
整流部532は、整流用ダイオード536と整流用コンデンサ537とからなる半波整流回路で構成され、受信部531で受信した交流電圧を直流電圧に整流して出力する。
【0236】
信号処理部533は、主に半導体素子の集積回路(LSI:Large Scale Integration)で構成され、受信部531で受信した交流信号を復調する。信号処理部533内のLSIは整流部532から供給される直流電圧により駆動される。なお、LSIとしては、従来の非接触ICカードと同様のものを用いることができる。
【0237】
本実施形態例では、受信部に用いる可変容量素子1は積層される内部電極の中心(重心)が積層方向の直線上に配置されるため、より大きな残留応力が得られる。これにより、電気的特性が向上し、より低い電圧で大きな可変幅が得られる。また可変幅が大きくなる分共振コンデンサへの変化負担を減らせるため共振コンデンサの誘電体を厚くすれば耐圧が向上し、より大きなAC電圧を扱うことが可能となる。
【0238】
本実施形態例では、共振回路の可変容量素子として、第1の実施形態の可変容量素子1を用いる例としたが、第2〜第9の実施形態の可変容量素子を用いる例としてもよい。
【0239】
また、本開示は、以下の構成をとることができる。
【0240】
(1)
誘電体層と、
前記誘電体層を挟んで形成される少なくとも一対の内部電極とを備える容量素子本体と、
前記容量素子本体の側面に形成され、前記内部電極に電気的に接続される外部端子とを備え、
前記誘電体層及び前記内部電極の線膨張係数の違いに起因して発生する応力が、前記誘電体層と前記誘電体層を挟む一対の内部電極とで構成されるコンデンサの中心に集中するように構成された
静電容量素子。
【0241】
(2)
前記内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に前記外部端子に接続される接続電極とで構成され、
前記コンデンサを構成する少なくとも一方の内部電極の電極本体の平面形状が円形状とされている(1)に記載の静電容量素子。
【0242】
(3)
前記接続電極の前記外部端子に接続される端部の幅は前記電極本体の直径の4分の1以下とされている
(1)又は(2)に記載の静電容量素子。
【0243】
(4)
前記容量素子本体の前記内部電極が形成される面に平行な面の形状が、円形状とされている
(1)〜(3)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0244】
(5)
前記容量素子本体の外形が円柱形状とされている
(1)〜(4)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0245】
(6)
前記内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に外部端子に接続される接続電極とで構成され、
前記コンデンサを構成する少なくとも一方の内部電極の電極本体の平面形状が楕円形状とされている
(1)〜(5)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0246】
(7)
前記内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に外部端子に接続される接続電極とで構成され、
前記コンデンサを構成する少なくとも一方の内部電極の電極本体の平面形状が五角形以上の正多角形状とされている
(1)〜(5)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0247】
(8)
前記内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に外部端子に接続される接続電極と、前記電極本体及び前記外部端子に接続されないフローティング電極とで構成されている
(1)〜(7)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0248】
(9)
前記内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に前記外部端子に接続される複数の接続電極とを備る
(1)〜(7)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0249】
(10)
前記電極本体は円形状に形成され、前記複数の接続電極は前記電極本体の円周方向に等間隔に形成されている
(9)に記載の静電容量素子。
【0250】
(11)
前記容量素子本体の外形が円柱形状とされている
(1)〜(3)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0251】
(12)
前記容量素子本体の外形が断面正方形状の柱状とされている
(1)〜(3)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0252】
(13)
前記容量素子本体の外形が断面楕円形状の柱状とされている
(1)〜(3)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0253】
(14)
前記容量素子本体の外形が断面多角形状の柱状とされている
(1)〜(3)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0254】
(15)
前記容量素子本体の外形が断面正多角形状の柱状とされている
(1)〜(3)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0255】
(16)
前記容量素子本体の前記内部電極が形成される平面形状と、前記内部電極の電極本体の形状が同一形状とされている
(1)〜(15)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0256】
(17)
前記容量素子本体の前記内部電極が形成される平面形状と、前記内部電極の電極本体の形状が円形状とされている
(1)に記載の静電容量素子。
【0257】
(18)
前記内部電極は誘電体層を介して複数層積層され、前記複数の内部電極で形成される複数のコンデンサが前記内部電極の積層方向に直列接続される
(1)〜(17)のいずれかに記載の静電容量素子。
【0258】
(19)
積層される各内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に前記外部端子に接続される複数の接続電極とを備え、
各内部電極の電極本体は同一形状とされ、各内部電極の電極本体の重心が積層方向の直線上に配置されるように構成されている
(18)に記載の静電容量素子。
【0259】
(20)
誘電体層と、
前記誘電体層を挟んで形成される少なくとも一対の内部電極とを備える容量素子本体と、
前記容量素子本体の側面に形成され、前記内部電極に電気的に接続される外部端子とを備え、
前記誘電体層及び前記内部電極の線膨張係数の違いに起因して発生する応力が、前記誘電体層と前記誘電体層を挟む一対の内部電極とで構成されるコンデンサの中心に集中するように構成された
静電容量素子を含む共振コンデンサと、
前記共振コンデンサに接続された共振コイルと
を備える共振回路。
【符号の説明】
【0260】
1,40,44,61・・・可変容量素子、2,42,45,62・・・可変容量素子本体、3,4,42,46・・・外部端子、5,52,53,55,56,57,58,59,64,68,71,85・・・誘電体層、6,86・・・下部誘電体層、7,87・・・上部誘電体層、8,11,13,15,17,21,25,29・・・電極本体、9,19,23,26,30,33,36,50,66・・・接続電極、10,12,14,16,18,20,22,24,28,32,38,51,67,70・・・内部電極、27,31・・・フローティング電極、200,207,208・・・電圧制御回路、201・・・交流電源、202・・・制御電源、203,204・・・DC除去用抵抗、530・・・非接触ICカード、531・・・受信部、532・・・整流部、533・・・信号処理部、534・・・共振コイル、534a・・・インダクタンス成分、534b・・・抵抗成分、535・・・共振コンデンサ、535a・・・コンデンサ、536・・・整流用ダイオード、537・・・整流用コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と、
前記誘電体層を挟んで形成される少なくとも一対の内部電極とを備える容量素子本体と、
前記容量素子本体の側面に形成され、前記内部電極に電気的に接続される外部端子とを備え、
前記誘電体層及び前記内部電極の線膨張係数の違いに起因して発生する応力が、前記誘電体層と前記誘電体層を挟む一対の内部電極とで構成されるコンデンサの中心に集中するように構成された
静電容量素子。
【請求項2】
前記内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に前記外部端子に接続される接続電極とで構成され、
前記コンデンサを構成する少なくとも一方の内部電極の電極本体の平面形状が円形状とされている請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項3】
前記接続電極の前記外部端子に接続される端部の幅は前記電極本体の直径の4分の1以下とされている
請求項2に記載の静電容量素子。
【請求項4】
前記容量素子本体の前記内部電極が形成される面に平行な面の形状が、円形状とされている
請求項3に記載の静電容量素子。
【請求項5】
前記容量素子本体の外形が円柱形状とされている
請求項4に記載の静電容量素子。
【請求項6】
前記内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に外部端子に接続される接続電極とで構成され、
前記コンデンサを構成する少なくとも一方の内部電極の電極本体の平面形状が楕円形状とされている
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項7】
前記内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に外部端子に接続される接続電極とで構成され、
前記コンデンサを構成する少なくとも一方の内部電極の電極本体の平面形状が五角形以上の正多角形状とされている
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項8】
前記内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に外部端子に接続される接続電極と、前記電極本体及び前記外部端子に接続されないフローティング電極とで構成されている
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項9】
前記内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に前記外部端子に接続される複数の接続電極とを備る
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項10】
前記電極本体は円形状に形成され、前記複数の接続電極は前記電極本体の円周方向に等間隔に形成されている
請求項9に記載の静電容量素子。
【請求項11】
前記容量素子本体の外形が円柱形状とされている
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項12】
前記容量素子本体の外形が断面正方形状の柱状とされている
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項13】
前記容量素子本体の外形が断面楕円形状の柱状とされている
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項14】
前記容量素子本体の外形が断面多角形状の柱状とされている
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項15】
前記容量素子本体の外形が断面正多角形状の柱状とされている
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項16】
前記容量素子本体の前記内部電極が形成される平面形状と、前記内部電極の電極本体の形状が同一形状とされている
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項17】
前記容量素子本体の前記内部電極が形成される平面形状と、前記内部電極の電極本体の形状が円形状とされている
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項18】
前記内部電極は誘電体層を介して複数層積層され、前記複数の内部電極で形成される複数のコンデンサが前記内部電極の積層方向に直列接続される
請求項1に記載の静電容量素子。
【請求項19】
積層される各内部電極は、コンデンサを構成する電極本体と、前記電極本体に接続されると共に前記外部端子に接続される複数の接続電極とを備え、
各内部電極の電極本体は同一形状とされ、各内部電極の電極本体の重心が積層方向の直線上に配置されるように構成されている
請求項18に記載の静電容量素子。
【請求項20】
誘電体層と、
前記誘電体層を挟んで形成される少なくとも一対の内部電極とを備える容量素子本体と、
前記容量素子本体の側面に形成され、前記内部電極に電気的に接続される外部端子とを備え、
前記誘電体層及び前記内部電極の線膨張係数の違いに起因して発生する応力が、前記誘電体層と前記誘電体層を挟む一対の内部電極とで構成されるコンデンサの中心に集中するように構成された
静電容量素子を含む共振コンデンサと、
前記共振コンデンサに接続された共振コイルと
を備える共振回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【公開番号】特開2013−93362(P2013−93362A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232896(P2011−232896)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】