説明

静電気トラブル及びスキミング防止用磁気カードホルダー

【技術課題】財布や名刺入れ、カード入れに収納して携帯しやすく、静電気トラブル及びスキミング被害防止に有効なカードホルダーを提供する。
【解決手段】収納するカード2の横幅と同一にカットされた帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能を有するテープを横幅方向に対して直角方向に2つ折りすることにより偏平に形成し、かつこの2つ折りにしたテープの先端に沿って、収納するカード2の縦幅が入るスペースを残してヒートシール3を行うことにより、ホルダー1の左右方向にカード2の出し入れ口4a、4bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の磁気カード、ICカード、非接触カード等を財布又は名刺入れ、カード入れ等に収納したときに、静電気トラブルの発生を防止し、併せてスキミング被害を防護する機能を有し、更に地球環境の保護に配慮し、且つ紛失や盗難時にカードの位置情報をGPSシステムで探査でき、携帯に際しては財布や名刺入れ、カード入れにホルダーごと収容することができる磁気カードホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、キャッシュカードやICカードあるいは非接触カード等のように、磁気データを記録したカードにおいて静電気トラブル及びスキミングトラブルが多く発生している。
この防護策として、静電気トラブルについては、本件出願人は特願2007‐34189号として提案しており、スキミング防護策としては、次のようなものが提案されている。
・特開2006‐181327号
この内容は、「非接触型のスキミング機器から、財布やカード入れに収納してい るクレジットカードやキャッシュカードなどのカード類の不正スキミングを防止す る方法であって、財布やカード入れなどに挿入、貼り付けて使用し易いように、折 り曲げたり、切断し易いようにシールド材を分離させてコーティングする方法であ り、スキミング防止に有効なシールド素材として、金、銀、銅、鉄、ステンレス、 鉛、真鍮などの金属を金箔などのように薄くした金属箔に、薄いプラスチックフィ ルムなどで挟み合わせ」たものである。
・実用新案登録第3123827号
この内容は、「磁気カード類に対する簡易なスキミング防止を施した極めて安価 なコストで製造でき、例えば金融機関等がサービス促進用として配布するのに好適 なように広告表示部を備えたスキミング防止を施したカード入れとして、縦辺、横 辺のいずれの1辺又は2辺に開口を有した袋状に形成されて磁気カード類を収納す るようにした収納部と、その表面部か裏面部の両面又はいずれかの一面に施されて 磁気カード類に対するスキミング防止可能なステンレス材等の磁気防止素材、磁気 遮断素材、電磁波遮断材からなる磁気遮断面と、表面部をはじめとするいずれかの 面に形成した広告表示部とを有して構成した」内容である。
・特開2006‐288989号
この内容は、「ハンディースキマーによる外部からのカード情報のスキミングを 防御するために、カード入れ付き財布の表地と裏地との間にアルミ箔を設けた」内 容である。
・特開2006‐223818号
この内容は、「財布に入れたクレジットカードやキャッシュカードは、特殊な読 取装置を用いることで外部から機密情報を盗まれるという問題を防止するために、 スキミング信号を通さない金属板に着目し、財布の中のクレジットカードを覆うよ うに金属板を装着することで、スキミング装置の読み取り信号を遮断する」内容で ある。
・特開2006‐212380号
この内容は、「財布の中に入れたキャッシュカードのデータをスキミングされな いように、財布の一部にアルミを除く金属の材質を設けたスキミング防止するため に、財布本体の外側部分に、アルミを除く金属の材質を設けた」内容である。
・特開2005‐279975号
この内容は、「旅券冊子、免許証、預金通帳、住基カード等の個人の身分を証明 する際に用いられる非接触型ICを搭載した冊子に関し、特に冊子の非接触型IC に記録された個人情報を不正取得するスキミングを防止し、個人情報の保護を行う ために、電磁波を遮断する又は吸収する若しくは干渉する性質を有する導電性材料 を内添、積層、印刷、塗工等により、シートに付与したものを冊子の頁とした又は 取り外し可能に備えたスキミング防止冊子及び挿入部材であって、非接触型ICを 搭載した冊子の新規の発行時又は適時に付与することができ、破損や故障によりス キミング防止機能が低下した際は、該部材だけを交換すれば非接触型ICを搭載し た冊子は再発行することなく再び使用することができる」内容である。
【特許文献1】特開2006‐181327号公報
【特許文献2】実用新案登録第3123827号公報
【特許文献3】特開2006‐288989号公報
【特許文献4】特開2006‐223818号公報
【特許文献5】特開2006‐212380号公報
【特許文献6】特開2005‐279975号公報
【0003】
しかし、上記スキミング防止技術の場合、確かにスキミング防止効果は期待できるが 、形態上カード全般に適用できないと共に、通常カードは財布や名刺入れ、あるいはカ ード入れに入れて携帯するため、これらの入れ物に対して大きかったりして収納できな いという欠点がある。
また、地球環境や製作過程での作業環境及び紛失や盗難時の対策についても配慮して いない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の目的は、あらゆる磁気カードにおいて、静電気トラブル及びスキミングトラブルからカード内の情報を防護するカードホルダーを提供することである。
更に、第2の目的は、規格化された財布や名刺入れ、カード入れ等にそのまま収納して携帯できるカードホルダーを提供することである。
更に、第3の目的は、地球環境及び製作時の作業環境に配慮したカードホルダーを提供することである。
更に、第4の目的は、カードを紛失したり、盗難に遭遇したときに、このカードの在る場所を直ちに追跡あるいは発見できるカードホルダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明においては、磁気カードホルダーにおいて、収納する横長のカードの横幅と同一にカットされた帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能を有するテープを横幅方向に対して直角方向に2つ折りすることにより偏平に形成し、かつこの2つ折りにしたテープの先端に沿って、収納するカードの縦幅が入るスペースを残してヒートシールを行うことにより、ホルダーの左右方向にカードの出し入れ口を形成して成ることを特徴とするものである。
【0006】
更に、請求項2に記載の発明においては、磁気カードホルダーにおいて、収納する縦長のカードの横幅と同一にカットされた帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能を有するテープを横幅方向に対して直角方向に2つ折りすることにより偏平に形成し、かつこの2つ折りにしたテープの先端に沿って、収納するカードの縦幅が入るスペースを残してヒートシールを行うことにより、ホルダーの左右方向にカードの出し入れ口を形成して成ることを特徴とするものである。
【0007】
更に、請求項3に記載の発明においては、磁気カードホルダーにおいて、収納する横長のカードの横幅と同一にカットされた帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能を有する2枚のフィルムを重ね合わせて偏平に形成し、この重ね合わせた2枚のフィルムにおいてカードの縦幅が入るスペースを残して上下辺に沿ってそれぞれヒートシールを行うことにより、ホルダーの左右方向にカードの出し入れ口を形成して成ることを特徴とするものである。
【0008】
更に、請求項4に記載の発明においては、磁気カードホルダーにおいて、収納する縦長のカードの横幅と同一にカットされた帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能を有する2枚のフィルムを重ね合わせて偏平に形成し、この重ね合わせた2枚のフィルムにおいて、カードの縦幅が入るスペースを残して上下辺に沿ってそれぞれヒートシールを行うことにより、ホルダーの左右方向にカードの出し入れ口を形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
更に、請求項5に記載の発明においては、請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気カードホルダーにおいて、上記テープ又はフィルムにおける帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能とは、帯電防止剤をコーティング又は練り込んだプラスチックフィルム又は接着剤又は中間に導電性材料を挟む、又はコーティングする、又は蒸着する方法により形成された静電気を除去又は電磁波を遮断又は吸収する層を形成した複合フィルムであることを特徴とするものである。
【0010】
更に、請求項6に記載の発明においては、請求項5に記載の磁気カードホルダーにおいて、上記テープ又はフィルムは、無溶剤型ラミネーション技術により複合されていることを特徴とするものである。
この発明により、環境に優しいカードホルダーを提供できる。
【0011】
更に、請求項7に記載の発明においては、請求項1〜6の何れか1項に記載の磁気カードホルダーにおいて、上記ホルダーには、水性インキを用いて印刷が施されていることを特徴とするものである。
この発明により、環境に優しいカードホルダーを提供できる。
【0012】
更に、請求項8に記載の発明においては、請求項1〜7の何れか1項に記載の磁気カードホルダーにおいて、上記ホルダーには、GPSチップが付加されていて、紛失又は盗難時にGPSシステムによりカードを追跡してその所在を特定することができることを特徴とするものである。
この発明により、カードの紛失及び盗難時には、GPSシステムにより、直ちにその所在を突き止めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のように、カードホルダーにおいて、静電気トラブル及びスキミングトラブルを防止することができると共に、カードと同一幅に横幅又は縦幅がカットされているため、通常の財布や名刺入れ、カード入れ等にホルダーごとそのまま差し込んで携帯することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明が適用されるカードは、接触型、非接触型の双方を含み、内部に磁気データ記録部あるいは電磁波受信回路、送信回路等を搭載したすべてのカードが対象である。
このカードの大きさは、規格化された財布や名刺入れ等に設けられたカード入れ部に横又は縦に差し込んで収納することができる大きさのものが対象となる。
ホルダーは、帯電防止剤として、例えば「ボンディップ」(登録商標)が使用された除電効果のある単層又は複層のプラスチックフィルム又はプラスチックフィルムの間に導電性材料層を形成したもので製作される。この除電又は導電性材料としては、公知の帯電防止剤又はフィルム又はアルミニュウム箔が軽量であり、扱いも簡単であるが、勿論、その他の除電又は導電性材料としては、ステンレス、銀、銅、鉄、鉛等を例示できる。
積層する場合には、有機溶剤を用いないラミネート法を用いる。
【0015】
カードホルダーに印刷を施す際の印刷法としては、有機溶剤を用いないインキを用いたグラビア印刷が最適であるが、その他の印刷法で印刷を施し、ホルダーのデザインの向上を図ったり、用途に特性を持たせるようにする。
印刷には、水性インキを用いて環境に配慮し、この水性インキと前記溶剤型ラミネート剤を使用しないラミネート技術により、製作時の作業環境の保護と、廃棄処分されたカードホルダーにより地球環境を悪化させないように配慮する。
【0016】
カードは、個人情報も含めて紛失したときの被害は甚大であるが、一方、紛失しやすい特性もある。このことから、紛失時の対策が重要である。併せて、盗難対策も重要である。
この方法としては、カードの所在をGPSシステムを使用して追跡し、直ちに発見できるように、GPSチップをケースの一部に保持させておくと良い。
【実施例1】
【0017】
図1は、請求項1に記載のカードホルダーの形態を示すもので、このカードホルダー1は、横幅wは、カード2の横幅w1と同一の一枚のテープを中間Pで二つ折りになし、カード2の縦幅h1より外側において二つ折りの先端でヒートシール3を行うことにより、偏平に形成され、内部にカード2の出し入れ口4a、4b付の収容部4を形成した構成である。5は、カード2を引き出し易くするためにカットされたカード摘み口である。但し、このカード摘み口5は、出し入れ口4a、4bの双方又は片方又は無くても良いが、カード2の横幅w1とホルダー1の横幅wが同一であるとき、カード2をつまんで引き出し難いことを考慮して、在った方が良い。
【実施例2】
【0018】
本実施例2は、請求項2に記載のカードホルダーの形態を示すもので、この実施例は、カード2は縦幅h1が大きく、横幅w1が小さい、所謂縦長タイプのカード2を収納するためのホルダーであって、実施例1と同一の方法で作られている。
【実施例3】
【0019】
本実施例3は、請求項3に記載のカードホルダーの形態を示すもので、このカードホルダー1は、カード1の横幅w1と同一幅に横幅wがカットされた2枚のフィルム1a、1bを内部にカード1を収容する縦幅hを残して上下辺に沿って、ヒートシール3a、3bを行ったものである。
【実施例4】
【0020】
本実施例4は、請求項4に記載のカードホルダーの形態を示すもので、実施例3との違いは、カードホルダー1は、図4に示すように、縦長のカード2を入れるもので、横幅wはカード2の横幅w1と同一で、収容部4の縦幅hはカード2の縦幅h1が入る大きさで、この外の上下辺に沿ってヒートシール3、3aされたものである。
上記したホルダー1の積層構造は、図5に示すように、外層からPET#12/AL#9/NY#15/CPP#100から成り、無用剤型ラミネーターを用いてラミネートされたものである。
上記ホルダー1であって、表1に示す仕様のホルダー1内に非接触型ICカードを収納し、電磁波シールド特性及び耐静電気放電性について行った試験の結果を表2及び表3に示す。
【表1】

【表2】

【表3】

なお、本実施例1において、印刷を行う場合には、PETの内面に行う。
【実施例5】
【0021】
本実施例5は、請求項7に記載したカードホルダーに関するもので、図6に示すように、ホルダー1のヒートシール部3に、GPSチップ20を保持させたものである。このGPSチップ20の作用により、GPSシステムを用いて、紛失したカードあるいは盗難に遭遇したカードを追跡し、その所在を直ちに発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1に記載した発明のカードホルダーの説明図
【図2】実施例2に記載した発明のカードホルダーの説明図
【図3】実施例3に記載した発明のカードホルダーの説明図
【図4】実施例4に記載した発明のカードホルダーの説明図
【図5】カードホルダーを形成する材質と積層構造の説明図
【図6】GPSチップを付加したカードホルダーの説明図
【符号の説明】
【0023】
1 カードホルダー
2 カード
3、3a、3b ヒートシール
20 GPSチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納する横長のカードの横幅と同一にカットされた帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能を有するテープを横幅方向に対して直角方向に2つ折りすることにより偏平に形成し、かつこの2つ折りにしたテープの先端に沿って、収納するカードの縦幅が入るスペースを残してヒートシールを行うことにより、ホルダーの左右方向にカードの出し入れ口を形成して成る磁気カードホルダー。
【請求項2】
収納する縦長のカードの横幅と同一にカットされた帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能を有するテープを横幅方向に対して直角方向に2つ折りすることにより偏平に形成し、かつこの2つ折りにしたテープの先端に沿って、収納するカードの縦幅が入るスペースを残してヒートシールを行うことにより、ホルダーの左右方向にカードの出し入れ口を形成して成る磁気カードホルダー。
【請求項3】
収納する横長のカードの横幅と同一にカットされた帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能を有する2枚のフィルムを重ね合わせて偏平に形成し、この重ね合わせた2枚のフィルムにおいてカードの縦幅が入るスペースを残して上下辺に沿ってそれぞれヒートシールを行うことにより、ホルダーの左右方向にカードの出し入れ口を形成して成る磁気カードホルダー。
【請求項4】
収納する縦長のカードの横幅と同一にカットされた帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能を有する2枚のフィルムを重ね合わせて偏平に形成し、この重ね合わせた2枚のフィルムにおいて、カードの縦幅が入るスペースを残して上下辺に沿ってそれぞれヒートシールを行うことにより、ホルダーの左右方向にカードの出し入れ口を形成して成る磁気カードホルダー。
【請求項5】
上記テープ又はフィルムにおける帯電防止又は電磁波を遮断又は吸収する機能とは、帯電防止剤をコーティング又は練り込んだプラスチックフィルム又は接着剤又は中間に導電性材料を挟む、又はコーティングする、又は蒸着する方法により形成された静電気を除去又は電磁波を遮断又は吸収する層を形成した複合フィルムであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気カードホルダー。
【請求項6】
上記テープ又はフィルムは、無溶剤型ラミネーション技術により複合されていることを特徴とする請求項5に記載の磁気カードホルダー。
【請求項7】
上記ホルダーには、水性インキを用いて印刷が施されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の磁気カードホルダー。
【請求項8】
上記ホルダーには、GPSチップが付加されていて、紛失又は盗難時にGPSシステムによりカードを追跡してその所在を特定することができることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の磁気カードホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−6083(P2009−6083A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172689(P2007−172689)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000237787)富士特殊紙業株式会社 (14)
【出願人】(503097646)株式会社山順 (5)
【Fターム(参考)】