説明

静電気消滅の改善をした流体によるからみ合い処理をした濾材及び方法

本発明は静電気の電荷の消滅時間を改善するための導電性のスクリムを含む濾材に向けられている。さらに、本発明はそのような濾材の製作方法に向けられていて、流体によるからみ合い処理によって形成することにより、機械的ニードル挿入の悪影響を避け、その一方で性能を制限する要因を持たずに必要な強度特性を有する濾材を提供することに向けられている。さらに、本発明の濾材はコスト効果の高い使用にとって非常に望ましい均一性を示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に濾材として不織布を用いたものに関する、より特定すれば、導電性スクリム(scrim)を含む流体によるからみ合い処理をした不織布を含んで成る濾材及び小孔のある面を用いることにより濾材を製作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスのような流体の濾過には、環境への夾雑物の導入を、又は、関連プロセスへ循環して戻るのを制限するために、ガス流から典型的に粒子又は異種の夾雑物を除去することを必要とする。流体の流れから好ましくない汚染物質を大量に除去するために濾過に利用できる表面積を最大限にする一方で、使用期間を長くし、表面の歪みを最小限にするためにフィルターによる使用時の差圧をできるだけ小さくすることが通常望ましい。
【0003】
ある形式の濾過は典型的に阻止と呼ばれる。即ち、濾材は本質的に濾材固有の孔寸法より大きな粒子を機械的に捕捉するふるいとして機能する。濾材内の開口部により、流体の流れから大きな粒子を除去して、お互いの上側に蓄積した粒子がフィルター・ケーキ(filter cake)を生じて、それより小さな粒子を除去する。
【0004】
より特定すれば、いわゆる「バグハウス・フィルター(baghouse filter)」では、流れが濾材を通るので、ガス流から粒子材料が除去される。典型的な応用例では、濾材は一般的にスリーブ(sleeve)状の筒形状を有していて、スリーブの外面上に濾過される粒子を堆積するようにガス流を配置している。この種の応用例では、パルス(pulse)状逆流を濾材に加えることにより濾材を定期的に清浄にする。逆流は濾過された粒子材料をスリーブの外面から離して、バグハウス・フィルター構造の下部に捕集する。引用によりここに包含される特許文献1は、バグハウス・フィルター構造と従来技術のフィルター積層体を示している。
【0005】
これまでは、不織布が濾材の製造に有利に用いられてきた。一般に、この種の用途に用いられる不織布は機械的ニードル・パンチ(needle punch)法、時として「ニードル・フェルティング(needle−felting)」とも呼ばれる方法により、からみ合わせて、一体にされている。この方法は、繊維質ウエッブ(web)構造体を通して、とげ付きニードル(needle)の挿入と引き抜きを繰返す。この種の処理は繊維質構造体を一体化して、その完全さに役立つけれども、とげ付きニードルが必然的に多数の構成繊維を切断し、繊維質構造体内に好ましくない孔を生じて、フィルターの完全さを損ない、有効な濾過を阻害することがある。さらに、ニードル・パンチ加工は得られる繊維体の強度を低下させることがあり、フィルター用に十分な強度を示すために、不織布の坪量を高くする必要がある。
【0006】
特許文献2は流体によるからみ合い処理をした不織布を開示していて、これは重負荷のガス・フィルターとして使用しうる。しかしながら、この濾材は収縮操作を受けることができない。示されている繊維体を収縮操作に曝すことは、濾材の物理的性能に悪影響を与えると考えられる。
【0007】
さらに、一部の濾過装置はフィルター構造体内に、又は、それに直接接触して、ワイヤ・グリッド(wire grid)又は網目を用いていて、その結果濾過装置が静電気に非常に帯電しやすくなる。石炭粒子の濾過のような悪い環境内で金属ワイヤを含む濾過装置を用いることは、揮発状態で発火する怖れがある。
【0008】
本発明は静電気の消滅時間を改善するために導電性スクリムを含んで成る濾材を目指している。さらに、本発明はそのような濾材の製作法を目指していて、その濾材は流体によるからみ合い処理で形成されるので、機械的ニードル挿入の悪影響を避けて、性能の制限要因を持たずに、必要な強度特性を持つ濾材を提供する。さらに、本発明の濾材はコスト効果の高い利用をするのに非常に好ましい均一性を持つことが示されている。
【特許文献1】米国特許第4,983,434号明細書
【特許文献2】米国特許第4,556,601号明細書
【特許文献3】米国特許第3,485,706号明細書
【特許文献4】米国特許第5,098,764号明細書
【特許文献5】米国特許第5,244,711号明細書
【特許文献6】米国特許第5,822,823号明細書
【特許文献6】米国特許第5,827,597号明細書
【特許文献7】米国特許第6,191,211号明細書
【特許文献8】米国特許第6,264,864号明細書
【特許文献9】米国特許第4,381,326号明細書
【特許文献10】米国特許第4,329,309号明細書
【特許文献11】米国特許第5,678,379号明細書
【特許文献12】米国特許第6,114,017号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づいて形成された濾材は流体によるからみ合い処理によって、約6オンス/平方ヤード以下の坪量を有し、大部分がポリエステルのステープル(staple)長繊維を含んでなる。その濾材は少なくとも約198ポンド/平方インチのMullen破裂強度を示し、機械方向と幅方向の縮みは約3%未満、好ましくは約2%未満である。その濾材は、少なくとも約52ポンド/インチの機械方向の引張り強度及び少なくとも約55ポンド/インチの幅方向の引張り強度を示す。
【0010】
この濾材は、大部分がステープル長のポリエステル繊維を含んで成る前駆体ウエッブを用意し、その前駆体ウエッブを導電性スクリムに貼り付けることにより形成される。その前駆体ウエッブはその導電性スクリムと共に小孔のある面に並列配置する。そして、流体によるからみ合い処理によって、本濾材を不織布の積層繊維体の形に形成する。さらに、本方法は小孔のある面を用意することを含み、その面が形成すべき濾材の濾過能力を高めるために反復パターンを与える構造としうる。
【0011】
濾材の流体によるからみ合い処理の後でヒートセット(heat setting)をすることは本発明の範囲内になる。前駆体ウエッブ内に溶融可能な繊維を含めることにより濾材のヒートセットにより濾材の熱接着が好ましく行なわれるので、材料の強度特性を改善しうる。
【0012】
本発明の他の特徴と利点は以下の詳細説明、添付図面及び添付請求項から容易に明らかになる。
【0013】
本発明は種々の形で実施できるけれども、好ましい実施態様を図面で、又、以後の説明で示している。これらの開示は本発明の例示と見なし、示された特定の実施態様に本発明を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0014】
ここに示す本発明は、以下に示す流体によるからみ合い処理をした不織布の利用を含み、ニードル加工をしたフェルトが現在使用されている全ての用途で、ニードル加工をしたフェルトの直接的な置き換えになっている。これらの用途には、バグハウス・ステーション(baghouse station)に代表されるようなエア・ハンドリング(air handling)で用いられている筒状及びシート(sheet)状での空気濾過及び液体濾過システム、及び、自動変速機用流体フィルター、及び、ニードル加工をしたフェルトを用いる他の特別な用途が含まれる。さらに、本発明の流体によるからみ合い処理をした濾材には濾過装置に蓄積し得る静電気の電荷を消散させるのに役立つように導電性スクリムが含まれる。
【0015】
図1を特に参照すると、不織布を形成するための本発明の方法を実施する装置が示されている。不織布は経済的製造を促進するために選択された繊維を含んでいる繊維質のマトリックス(matrix)から形成される。好ましくは繊維質のマトリックスは毛羽だてられた後で、縦横交互重ねをしてPと示した前駆体ウエッブを形成する。
【0016】
図1は本発明に基づく不織布を形成するための流体によるからみ合い処理装置を示している。装置にはフラット・ベッド(flat bed)型からみ合い処理装置12の形で小孔形成面が含まれ、その上に、予備的からみ合い処理のために前駆体ウエッブPが配置される。そして、前駆体ウエッブPは順番にからみ合い処理用マニフォールド(manifold)14を通過し、それにより前駆体ウエッブが高圧水噴射16を受ける。このプロセスは当該分野の技術者に良く知られていて、引用によりここに包含される特許文献3に一般的に教示されている。
【0017】
さらに、図1のからみ合い処理装置には、イメージ(image)処理及びパターン(pattern)処理のドラム18が含まれ、それは新しくからみ合い処理をされた前駆体ウエッブのイメージ処理及びパターン処理を行なうための小孔のある面を含んで成っている。予備的からみ合い処理の後で、前駆体ウエッブはガイド・ローラー20に従ってイメージ伝達装置18に向かい、ここでイメージ及び(又は)パターンが装置の小孔を形成する面の上の繊維に適用される。繊維のウエッブが小孔のある面18に並列配置される。そして、マニフォールド22からの高圧水が、小孔のある面18から半径方向外側に間隔を置いてあるジェットから外側を向いている面に送られる。小孔のある面18とマニフォールド22が特許文献4、5、6、7の教示に基づいて形成され、操作される。これらの文献は引用によりここに包含される。後で説明するように対象となる不織布を濾材で使用しやすいように、前駆体ウエッブPが流体処理に適当なイメージ及び(又は)パターンを与えることが好ましい。からみ合い処理された繊維を24で真空脱水して、乾燥缶26の上で高温乾燥できる。
【0018】
本発明の濾材は電荷を消滅するのに必要な時間を減らす為に導電性スクリムを含んでいる。適当なスクリムには、フィルム(film)又はスパンボンド(spunbond)の材料のような種々の導電性材料が含まれる。スパンボンド繊維は典型的に、複数の連続的熱可塑性フィラメント(filament)を生じる紡糸口金機構を通して熱可塑性樹脂を押出すことにより形成される連続的フィラメントを含んでいる。そして、そのフィラメントは急冷され、延伸され、集められて不織布のウエッブを形成する。流体によるからみ合い処理をした濾材の導電性スクリムにより、そのようなスクリム層が無いフィルターよりも静電気消滅時間が15%低減する。
【0019】
バグハウス・フィルターの構造は典型的に流体の流れから粒状物質を濾過する必要がある産業用で用いられている。流体の流れがフィルター・チャンバー(filter chamber)に入り、その中には1以上の一般的に筒型のスリーブ状フィルター・バッグ(filter bag)が配置されている。ガスは、濾材の両側の圧力差を生じることにより、フィルター・バッグの外面から通過して、ガスの流れから粒状物質を除去して、その物質が濾材に止まる。ガスの流れがバグハウス・フィルターに帯電を生じさせ、導電性スクリムが静電気の作用の形成を迅速に消滅させる。典型的に、各フィルター・バッグに流体をパルス状の逆流で定期的に送ることにより、粒状物質をフィルター・バッグの外面から引き離す。ここで、その粒状物質は典型的にフィルター・ケーキと呼ばれ、各フィルター・バッグの外面から引き離されて構造体の下部に捕集される。
【0020】
本発明の原理に基づくバグハウスの濾材は図2に示されたフィルター・バッグのような構造としうる。そのような用途に対して、濾材は平面的シートとして形成され、開放端の筒を形成するように両端を接合する。そして、図2に示すように、その筒の一端を閉じてスリーブ状のバッグを形成する。他の用途の場合、濾材は平面形状又は開放端の筒状で用いることができる。
【0021】
バグハウスの濾過以外の他の可能な濾過の用途にはHVAC濾過が含まれる。その場合、濾材付きフレーム(frame)を空気の流路内に配置して、空気が室内に戻る前に空気から塵埃のような粒子を除去する。食品及び飲料の濾過は別の用途である。その場合、流体から汚染物質を除去するために、流体が飲料製造物質に接触する前と後にフィルターを置ける。凝集濾過は、ディーゼル・エンジン及び船舶用で用いるような別の用途である。凝集濾材は、液体炭化水素ポンプの上流側又は下流側に配置したフレーム又はハウジング(housing)内で普通に用いられる。さらに、別の可能な濾過の用途には、真空濾過装置、ミスト(mist)除去、タービン吸気濾過、乗用車及びトラックの変速機と吸気の濾過、冷却材の濾過、医療及び医薬品の濾過を含む化学的濾過、発電の濾過、オフィス機器の濾過、製紙機械の濾過用だけでなく布入りフェルト及び排水膜の濾過が含まれる。
【0022】
本発明の原理に基づく濾材は、引用によりここに組込まれてる特許文献5に開示されているように小孔のある面上での流体によるからみ合い処理により形成される。小孔のある面の個々の構造により、その繊維質の材料が繊維の面内に反復パターンを伝えるか、又は、反復パターンが繊維の面から突出する。典型的に本発明を実施するための小孔のある面にはスクリーン(screen)のような網目のある面又は顕著な三次元形態を有するイメージ伝達装置が含まれ、それにより、流体によるからみ合い処理のために繊維質の材料に向けられた高圧液体(水)の流れが小孔のある面を通過できる。
【0023】
本発明に基づく濾材の形成は、形成すべき濾材の坪量に対応する坪量を有するように選択された大部分がステープル長のポリエステル繊維の前駆体ウエッブを用意することにより行なわれる。その前駆体ウエッブは導電性スクリムと向かい合って配置され、不織布の濾材を形成するために流体によるからみ合い処理が行なわれる。さらに、前記の流体によるからみ合い処理をされた濾材は三次元イメージ伝達装置の上に送られて、その繊維内にパターン又はイメージが伝えられる。さらに、導電性スパンボンドのスクリムを前駆体ウエッブ上に直接押出して、軽く予備的からみ合い処理をして、その後に三次元イメージ伝達装置上で流体によるからみ合い処理を行なうことができることも意図される。本発明に基づくと、本濾材は約6オンス/平方ヤード以下の坪量を有することが好ましく、それにより、流体によるからみ合い処理による効率的加工を容易にし、濾材を形成するための繊維質の材料のコスト効果の高い利用を行なえる。
【0024】
本濾材を形成するための前駆体ウエッブの組成により、その材料の強度と完全さを望ましく高められる。シース・ファイバー(sheath fiber)又はポリエステル、ポリアミド及び(又は)ポリオレフィンを含む二成分熱可塑性樹脂のような溶融可能な繊維を組込むことにより、材料のヒートセットとその後の流体によるからみ合い処理の間に繊維構造体の熱接着を行なうことが可能である。さらに、特定の溶融可能繊維が存在しない場合でも、材料のヒートセットにより、濾過特性を改善するために不織布の強度と多孔性を好ましく高め得ることが見いだされている。
【0025】
さらに、前駆体ウエッブが同一又は異なる組成を有して、耐久性のあるステープル長繊維を含んでいることも本発明の範囲内になる。耐久性のあるステープル長繊維が、天然又は合成の組成物から、又、繊維の長さが均一又は混在状態のものから選択される。適当な天然繊維には、木綿、木材パルプ(pulp)、ビスコース・レーヨン(viscose rayon)、フラックス(flax)、麻、ケナフ(kenaf)が含まれるが、それに限定されない。特に好ましい天然繊維にはポリアセトニトリル(polyacetonitril)及び炭素繊維だけでなく、ガラスのような珪酸塩が含まれる。
【0026】
合成繊維は、全体的又は部分的に混合しうるが、アクリル(acrylic)及びポリカーボネート(polycarbonate)を含む熱可塑性及び熱硬化性のポリマー(polymer)が含まれる。
【0027】
分散性熱可塑性樹脂と混合するのに適当な熱可塑性ポリマーにはポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルが含まれる。アルファ及びパラ−アラミドのような熱可塑性アラミド及びメラミンは、熱安定性が高いので、特に利点がある。さらに、熱可塑性ポリマーは、ホモ重合体、共重合体、共役結合及び溶融添加物又は界面活性剤を組込んだ熱可塑性ポリマーも含めた他の誘導体から選択される。
【0028】
積層型濾過構造を形成するために、濾材が追加の繊維層を含んで成ることも本発明の範囲内になる。追加の層には天然、合成の繊維又はその組合わせから成る繊維を含むが、それに限定されない。適当な天然繊維には木綿、木材パルプ及びビスコース・レーヨンが含まれるが、それに限定されない。合成繊維は全体として又は部分的に混合しうるが、熱可塑性及び熱硬化性のポリマーが含まれる。さらに、その熱可塑性ポリマーはホモ重合体、共重合体、共役結合及び溶融添加物又は界面活性剤を組込んだ熱可塑性ポリマーも含めた他の誘導体から選択される。
【0029】
さらに、積層型濾過構造を形成するためにフィルム層を追加しうる。種々のフィルム層には、鋳造フィルム、押出しフィルム、網状フィルムが含まれる。
【0030】
押出しフィルムは以下の代表的な直接押出しフィルム・プロセスに基づいて形成できる。混合用及び添加用貯槽は少なくとも2個のホッパー・ローダー(hopper loaders)を含んで成り、2台の可変速オーガー(auger)に供給する。可変速オーガーは設定量のポリマー・チップ(polymer chip)を混合ホッパーに送る。混合ホッパーには混合プロペラが含まれ、ポリマー又はポリマー混合体をさらに均一にする。ポリマー・チップをマルチゾーン(multi−zone)押出し機に供給する。マルチゾーン押出し機による混合と押出しで、ポリマー・コンパウンド(polymer compound)は加熱ポリマー配管を経由して、スクリーン・チェンジャー(screen changer)を通って運ばれる。スクリーン・チェンジャーの中で、種々のスクリーン・メッシュ(screen mesh)を有するブレーカー・プレート(breaker plates)を用いて固体又は半溶融のポリマー・チップその他の微細な破片を保持する。そして、ポリマーは溶融ポンプを経由して結合ブロック(block)に供給される。その結合ブロックは多層フィルムを押し出せる。そのフィルム層は上記のと同じ組成物であるか又は異なる系から供給される。その結合ブロックは押出しダイ(die)に接続している。そのダイは頭上方向に配置されているので、押出された溶融フィルムはニップ・ロール(nip roll)と鋳造ロールの間の間隙で堆積される。
【0031】
本発明の濾材が押出されたフィルム層を受けるとき、基盤材料源が引張り力を制御した巻き戻し装置にロール形状で供給される。その基盤層が巻き戻されて、ニップ・ロール上を移動する。押出しダイから押出された溶融フィルムが、ニップ・ロールと鋳造ロールの間の間隙位置で基盤材料上に堆積される。新しく形成された基盤層とフィルム複合体は、次いでストリッパー・ロール(stripper roll)により鋳造ロールから取り外されて、新しいロール上に巻かれる。
【0032】
モノリシック(monolithic)及びミクロポーラス(microporous)のフィルム又は網状フィルムのような通気性フィルムも積層型濾過構造内で使用できる。モノリシック・フィルムは特許文献7に示されていて、又、ミクロポーラス・フィルムは特許文献8に示されていて、両文献とも引用によりここに組込まれる。これらはそのような呼吸可能なバリア・フィルム(barrier films)を形成するメカニズム(mechanisms)を示している。特許文献9、10に示すような網状フィルムがマクロポーラス(macroporous)・フィルムの代表である。
【0033】
選択肢として、ミクロ・デニール(micro−denier)及びナノ・デニール(nano−denier)の太さの繊維を含む連続フィラメントの繊維が積層型濾過構造に組込まれ得る。一般的に、連続フィラメントの不織布の繊維体形成にはスパンボンド・プロセスの実施が含まれる。スパンボンド・プロセスには紡糸口金又はダイスとして知られている板の中の多数の孔を通って圧力を受けて押出された溶融ポリマーを供給することが含まれる。得られた連続フィラメントは急冷され、スロット・ドロー(slot draw)システム、アテニュエーター・ガン(attenuator gun)又はGodetロールのようないくつかの方法のいずれかにより延伸される。連続フィラメントはワイヤ・メッシュ・コンベヤ・ベルト(wire mesh conveyor belt)のような移動する小孔のある面上で緩やかなウエッブとして集められる。多層の繊維体を形成する目的で、ライン(line)内で1個を超す紡糸口金を用いるとき、その後のウエッブは以前に形成されたウエッブの最上面の上に集められる。ウエッブは、次いで熱点接合のような、通常、加熱と圧力を含む手段により、少なくとも一時的に固定する。この手段を用いて、ウエッブ又はウエッブの層を2本の高温金属ロールの間を通す。一方のロールはエンボス(emboss)加工によるパターンを有し、希望の程度の点接合が加えられ、行なわれて、通常、全表面積の10%から40%のオーダーで接着される。
【0034】
適当なナノ・デニールの連続フィラメントによるバリア層は、ナノ・デニールのフィラメントを直接紡糸することにより、又は、基盤層の上に堆積する前にナノ・デニールのフィラメントに分割した多成分のフィラメントを形成することにより、形成できる。特許文献11、12(その両方が引用によりここに組込まれる)は、本発明を支持するのに用いられる直接紡糸プロセスを例示している。
【0035】
濾材内に特別形状のパターンを伝えるために、流体によるからみ合い処理の間に三次元イメージ伝達装置を用いることも本発明の範囲内である。それにより、濾材の濾過特性が、有効表面積の増加、フィルター・クリーニング(filter cleaning)の効率改善、デプス濾過性能の変更を含めて、さらに改善することができる。理解しうるように、これは従来のニードル・パンチ処理をした繊維体と比較して明確に有利である。ニードル・パンチ処理では通常機械的からみ合い処理に関連した意味のあるイメージ処理を行なえない。
【0036】
現在、100%ポリエステルのステープル長繊維の使用を、さらに、90%ポリエステル繊維に10%の溶融可能な.シース・ファイバーを組合わせた使用を用いることが想定されている。繊維の重量は約6オンス/平方ヤードを超えないように選択される。
【0037】
特に、流体によるからみ合い処理により本発明の濾材を形成することは、必要な強度特性、縮みに対する抵抗、改良された静電気消滅時間を有する濾材を好ましく提供することが見いだされている。本発明に基づいて形成された濾材は、鉱業、セメント、化学、鉄鋼、ユーティティ(utilities)のような産業、カーボン・ブラック(carbon black)を用いる作業に適用するのに適当である。本発明で開示された濾材は好ましくは、Mullen破裂強度が少なくとも約198ポンド/平方インチを、機械方向と幅方向の縮みが約3%未満、より好ましくは約2%未満を示す。好ましくは、濾材はASTM D461−93に基づいて、機械方向の引張り強度が少なくとも約52ポンド/インチ、幅方向の引張り強度が少なくとも約55ポンド/インチを示す。
【0038】
前述に基づき、本発明の真の精神及び新規のコンセプトの範囲から逸脱せずに多くの修正と変更を行なえる。ここで開示した特定の実施態様に限定されるようには意図されておらず、推定すべきでないことを理解されたい。開示は添付請求項により、請求項の範囲内に入る全ての修正をカバーすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】不織布を形成するための本発明の方法を実施する装置の略図である。
【図2】バグハウス・フィルターへの応用例の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電気消滅の改善をした濾材を製作する方法で、
大部分がステープル長の繊維を含んで成る前駆体ウエッブを用意すること、
導電性スクリムを用意すること、及び、
小孔のある面を用意すること、
前記小孔のある面の上に前記前駆体ウエッブと導電性スクリムを並列配置し、かつ、前記前駆体ウエッブと導電性スクリムに流体によるからみ合い処理をして、前記濾材を形成し、前記濾材が約6オンス/平方ヤードを超えない坪量を有し、Mullen破裂強度が少なくとも約198ポンド/平方インチ、機械方向と幅方向の縮みが約3%未満とすること、
の工程を含んで成る方法。
【請求項2】
三次元イメージ伝達装置を用意し、かつ、三次元イメージを伝えるために、前記からみ合い処理をされた前駆体ウエッブと導電性スクリムを前記三次元イメージ伝達装置の上に進めること、
を含んでなることを特徴とする請求項1記載の濾材を製作する方法。
【請求項3】
三次元イメージ伝達装置を用意し、かつ、三次元イメージを伝えるために、前記からみ合い処理をされた前駆体ウエッブと導電性スクリムを前記三次元イメージ伝達装置の上に進めること、
を含んでなることを特徴とする請求項2記載の濾材を製作する方法。
【請求項4】
静電気消滅の改善をした濾材を製作する方法で、
大部分がステープル長の繊維を含んで成る前駆体ウエッブを用意すること、
導電性重合体の溶融物を含むスクリムを用意すること、及び、
小孔のある面を用意すること、
三次元イメージ伝達装置を用意すること、
前記導電性重合体の溶融物を前記前駆体ウエッブの上に直接押出し、かつ、前記前駆体ウエッブと導電性スクリムに流体によるからみ合い処理をして、かつ、三次元イメージを伝えるために、前記からみ合い処理をした前駆体ウエッブと導電性スクリムを前記三次元イメージ伝達装置の上に進め、かつ、前記濾材が約6オンス/平方ヤードを超えない坪量を有し、Mullen破裂強度が少なくとも約198ポンド/平方インチ、機械方向と幅方向の縮みが約3%未満とすること、
の工程を含んで成る方法。
【請求項5】
前記流体によるからみ合い処理の工程の後に、前記濾材のヒートセットを含めることを特徴とする請求項1記載の濾材を製作する方法。
【請求項6】
前記前駆体ウエッブが溶融可能な繊維を含み、それにより、前記ヒートセット工程の間に前記濾材が熱的に接着されることを特徴とする請求項2に記載の濾材を製作する方法。
【請求項7】
流体によるからみ合い処理をされて、大部分がステープル長の繊維と導電性スクリムを含んで成り、約6オンス/平方ヤードを超えない坪量、Mullen破裂強度が少なくとも約198ポンド/平方インチ、機械方向と幅方向の縮みが約3%未満である濾材。
【請求項8】
流体によるからみ合い処理をされて、大部分がステープル長の繊維と導電性スクリムを含んで成り、約6オンス/平方ヤードを超えない坪量、Mullen破裂強度が少なくとも約198ポンド/平方インチ、機械方向と幅方向の縮みが約3%未満である積層した濾材構造。
【請求項9】
前記濾材が機械方向と幅方向の縮みが約2%未満を示すことを特徴とする請求項4記載の濾材。
【請求項10】
前記濾材が、少なくとも約52ポンド/インチの機械方向の引張り強度及び少なくとも約55ポンド/インチの幅方向の引張り強度を示すことを特徴とする請求項4記載の濾材。
【請求項11】
前記濾材がガスのフィルターであることを特徴とする請求項1記載の濾材。
【請求項12】
前記濾材が空気のフィルターであることを特徴とする請求項1記載の濾材。
【請求項13】
前記濾材が液体のフィルターであることを特徴とする請求項1記載の濾材。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−503696(P2006−503696A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546987(P2004−546987)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033393
【国際公開番号】WO2004/037372
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(503126326)ポリマー・グループ・インコーポレーテツド (5)
【Fターム(参考)】