説明

静電潜像現像用キャリア、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】長期間連続で使用しても、履歴現象による影響を受けることなく、安定したトナー量を静電潜像現像用担持体に供給することができ、かつ、トナースペントの堆積によるキャリア抵抗の増加を低減することができる静電潜像現像用キャリア、該静電潜像現像用キャリアを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置の提供。
【解決手段】本発明の静電潜像現像用キャリアは、磁性を有する芯粒子と該芯粒子を被覆する被覆層とを含み、形状係数SF−2が115〜150であり、嵩密度が1.8g/cm〜2.4g/cmである静電潜像現像用キャリアであって、前記芯粒子の形状係数SF−2が120〜160であり、前記芯粒子の算術平均表面粗さRaが0.5μm〜1.0μmであり、前記被覆層が樹脂及びフィラーを含有し、該樹脂100質量部に対して、該フィラーを50質量部〜500質量部の割合で含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像現像用キャリア、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を用いた複写機やプリンタの技術は、モノクロからフルカラーへの展開が急速になりつつあり、フルカラーの市場が拡大する傾向にある。フルカラー電子写真法によるカラー画像形成では、静電潜像担持体上に静電潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したイエロー、マゼンタ、シアンの3色のカラートナー又はそれに黒色を加えた4色のカラートナーを現像してトナー像を形成させた後、このトナー像を記録媒体に転写して定着させることにより行っている。
【0003】
このようなフルカラー電子写真方式による画像形成において、鮮明なフルカラー画像を得るためには、静電潜像担持体上のトナー量を静電潜像に忠実に保つ必要がある。静電潜像担持体上のトナー量が変動すると、記録媒体上で画像濃度、画像色調等が変動するからである。静電潜像担持体上のトナー量が変動する原因としては、トナー帯電量の変動などの要因もあるが、特に、ハイブリッド現像方式においては、トナー担持体上のトナー量の差が、次の現像時の画像上に濃度差として現れる所謂履歴現象(ゴースト現象)によることが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ハイブリッド現像方式において、履歴現象を解消する方法としては、前記静電潜像担持体上の静電潜像を現像した後にトナー担持体上の残トナーを一旦除去して、該トナー担持体の表面に新たなトナーを供給し、上述のようなトナー担持体上のトナー量の差を解消することが有効である。例えば、トナー担持体上の残トナーを現像後かつトナー再供給前にスクレーパーやトナー回収ロールにより掻きとることにより履歴現象を解消する方法が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。また、トナー担持体上の残トナーを電位差により磁気ロールに回収し、トナー担持体上のトナー量を安定させることにより履歴現象を解消する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。また、現像剤担持体とトナー担持体との間に、磁気ロールの磁束密度のピーク値の半値となる半値幅領域を広く設定し、現像担持体上のトナーの回収と供給の安定化を図ることにより履歴現象を解消する方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。更に、二成分現像剤用のキャリアとして非球形状のキャリアを使用して、磁気ブラシ先端のキャリアまで電荷注入し、現像剤担持体とトナー担持体との実質的な間隔を狭めて、トナー担持体への一回でのトナー供給量を増やし、トナー担持体上のトナー量が飽和するまで供給して、トナー担持体上のトナー量を一定に保つことにより履歴現象を解消する方法が提案されている(例えば、特許文献7参照)。
【0005】
上述した履歴現象は、ハイブリッド現像方式に特有の課題であるとされているが、二成分現像方式においても、現像剤を長期間使用すると、現像能力が低下して、画像濃度が減少する履歴現象が生じることが報告されている(例えば、特許文献8参照)。
【0006】
二成分現像方式における履歴現象は、二成分現像剤の剥離が正常に行われないことに起因する。現像剤の剥離は、現像スリーブ内のマグネットを奇数個とし現像スリーブの回転軸よりも下側の位置に同極のマグネット対を設けて磁力が殆どゼロとなる剥離領域を作り、その領域で重力を用いて現像後の現像剤を自然落下させることにより行う。しかし、直前画像でのトナー消費量時にキャリアにカウンターチャージが発生することで、キャリアと現像剤担持体との間に鏡像力が発生し、現像剤が正常に離れない。そのため、トナー消費によりトナー濃度の低下した現像剤が再度現像領域に搬送され、現像能力が低下する。即ち、スリーブ一周分は画像濃度が正常であるのに対し、二周目以降は、画像濃度が薄くなるという問題である。
【0007】
二成分現像方式における履歴現象を解消する方法として、例えば、内部にマグネットを有した汲上ロールを現像スリーブ上の剥離領域付近に配置し、その磁力をもって現像後の現像剤の剥離を行う方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。剥離された現像剤は、別の汲上ロールによって汲み上げられた後、スクリューを有した現像剤攪拌室に搬送され、トナー濃度の再調整とトナーの帯電が行われる。
【0008】
しかしながら、上記提案によっても、長期間連続使用すると、履歴現象による影響を受けるため、安定したトナー量を静電潜像現像担持体に供給することできないという問題がある。また、上記提案によっては、二成分現像方式に特有の課題であるトナースペントの堆積によるキャリア抵抗の増加を低減することができないという問題がある。そのため、このような問題を同時に解決することが強く望まれているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。本発明は、長期間連続で使用しても、履歴現象による影響を受けることなく、安定したトナー量を静電潜像現像用担持体に供給することができ、かつ、トナースペントの堆積によるキャリア抵抗の増加を低減することができる静電潜像現像用キャリア、該静電潜像現像用キャリアを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明が課題とする履歴現象は、上記履歴現象における発生メカニズムと異なる。
本発明におけるゴースト現象の発生メカニズムは、詳細は明らかではないが以下のように考えている。直前の画像履歴に応じ現像剤担持体上へトナーが付着し、現像剤担持体上に付着したトナーが持つ電位に応じ、次画像のトナー現像量が変動する。つまり、直前の画像履歴によって次画像のトナー現像量が変動することに起因すると考えている。
より詳細に述べると、非画像部では、画像部とは逆に、静電潜像担持体から現像スリーブ方向へトナーが移動するポテンシャルが形成されるため、トナーが現像剤担持体上へ直接付着してしまう(現像剤担持体上へのトナー付着が発生する。)。このように現像剤担持体上にトナーが付着した状態で、次回現像時に画像部を現像する場合、現像担持体上へ直接付着したトナーは帯電しているため、現像剤担持体上のトナーによる電位分だけ現像ポテンシャルが嵩上げされ、トナー現像量が増加してしまう。
また、現像剤担持体上へ直接付着したトナーは、現像時に消費されるため、付着しているトナー量は一定ではなく、直前画像の履歴により変動する。
即ち、直前に、非画像部や用紙と用紙の間隔部がある場合は、その後の画像部の現像には、上述の現像ポテンシャルの嵩上げが起こり、その後の画像濃度は高くなる。一方、直前画像が画像面積の多い画像の場合には、現像剤担持体上に直接付着したトナーは、直前画像を現像した際に消費され、上述の現像ポテンシャルの嵩上げの効果は少なくなるため、その後の画像濃度は高くならない。
以上のように、本発明が課題とする履歴現象は、直前画像の影響により現像剤担持体上のトナー付着量が変動し、その変動の影響を受け、次画像の濃度変動が現れる現象である。
【0011】
本発明者らは、前記目的を解決すべく、鋭意検討した結果、本発明の構成を満たす静電潜像現像用キャリアを用いることにより、長期間連続で使用しても、履歴現象による影響を受けることなく、安定したトナー量を静電潜像現像用担持体に供給することができ、かつ、トナースペントの堆積によるキャリア抵抗の増加を低減することができることを知見し、本発明の完成に至った。
【0012】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、
本発明の静電潜像現像用キャリアは、磁性を有する芯粒子と、該芯粒子を被覆する被覆層とを含み、形状係数SF−2が、115〜150であり、嵩密度が、1.8g/cm〜2.4g/cmである静電潜像現像用キャリアであって、前記芯粒子の形状係数SF−2が、120〜160であり、前記芯粒子の算術平均表面粗さRaが、0.5μm〜1.0μmであり、前記被覆層が、樹脂及びフィラーを含有し、該樹脂100質量部に対して、該フィラーを50質量部〜500質量部の割合で含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来における諸問題を解決でき、長期間連続で使用しても、履歴現象による影響を受けることなく、安定したトナー量を静電潜像現像用担持体に供給することができ、かつ、トナースペントの堆積によるキャリア抵抗の増加を低減することができる静電潜像現像用キャリア、該静電潜像現像用キャリアを用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明のプロセスカートリッジの一例を表す図である。
【図2】図2は、本発明の画像形成装置の一例を表す図である。
【図3】図3は、本発明の静電潜像現像用キャリアの電気抵抗率の測定方法の一例を表す図である。
【図4】図4は、本発明の静電潜像現像用キャリアの電気抵抗率の測定に用いる抵抗測定セルの一例を表す斜視図である。
【図5】図5は、縦帯チャートにおける正常な画像、及び異常画像の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(静電潜像現像用キャリア)
本発明の静電潜像現像用キャリアは、芯粒子と、該芯粒子を被覆する被覆層とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0016】
<芯粒子>
前記芯粒子としては、磁性を有する芯粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、コバルト等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;各種合金、化合物等の磁性体を樹脂中に分散させた樹脂粒子などが挙げられる。これらの中でも、環境面への配慮の点で、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライトなどが好ましい。
【0017】
−芯粒子の形状係数SF−1−
前記芯粒子は、形状係数SF−1により規定される。
前記SF−1は、粒子の丸さの度合いを規定する。
前記SF−1の値が大きくなると、粒子の形状が円(球形)から離れる。
【0018】
前記芯粒子の形状係数SF−1としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
前記芯粒子の形状係数SF−1の測定は、走査電子顕微鏡(例えば、FE−SEM(S−800)、日立製作所社製)を用いて300倍に拡大した前記芯粒子の粒子像を、100個無作為にサンプリングし、得られた画像情報を画像解析装置(例えば、Luzex AP、ニレコ社製)により解析し、下記式(1)を用いて算出することにより行った。
SF−1=(L/A)×(π/4)×100 ・・・(1)
ただし、前記式(1)中、Lは、粒子の絶対最大長(外接円の長さ)を表し、Aは、粒子の投影面積を表す。
【0020】
−芯粒子の形状係数SF−2−
前記芯粒子は、形状係数SF−2により規定される。
前記SF−2は、粒子の凹凸の度合いを規定する。
前記SF−2の値が大きくなると、粒子の表面の凹凸の起伏が激しくなる。
【0021】
前記芯粒子の形状係数SF−2としては、120〜160であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状係数SF−2が、120未満であると、前記芯粒子の凸部が被覆されやすくなり、局所的な低抵抗が形成しづらくなることがある。また、前記形状係数SF−2が、160を超えると、前記芯粒子中の空隙が多くなり、前記芯粒子の強度が弱くなるだけでなく、長期間現像装置内で使用した際に、前記芯粒子の露出が多く、初期抵抗値と使用後の抵抗値の変化が大きくなり、静電潜像担持体上のトナー量、トナー像の形成のされ方が変動し、画像濃度が変動することがある。
【0022】
前記芯粒子の形状係数SF−2の測定は、走査電子顕微鏡(例えば、FE−SEM(S−800)、日立製作所社製)を用いて300倍に拡大した芯粒子の粒子像を、100個無作為にサンプリングし、得られた画像情報を画像解析装置(例えば、Luzex AP、ニレコ社製)により解析し、下記式(2)を用いて算出することにより行った。
SF−2=(P/A)×(1/4π)×100 ・・・(2)
ただし、前記式(2)中、Pは、芯粒子の周囲長を表し、Aは、芯粒子の投影面積を表す。
【0023】
−芯粒子の算術平均表面粗さRa−
前記芯粒子の算術平均表面粗さRaは、前記芯粒子の表面粗さを規定する。
前記芯粒子の算術平均表面粗さRaを規定する意味としては、球形から大きく外れた異型化の芯粒子であって、前記形状係数SF−2が120〜160の範囲となる芯粒子を用いると、前記キャリアの付着が多くなるため、本発明の対象とならないからである。
前記芯粒子の算術平均表面粗さRaとしては、0.5μm〜1.0μmであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.6μm〜0.9μmが好ましい。
【0024】
前記芯粒子の算術平均表面粗さRaの測定は、光学顕微鏡(例えば、OPTELICS C130、LASERTEC社製)を使用して、対物レンズ倍率50倍に設定し、解像度0.20μmで画像を取り込んだ後、前記芯粒子の頂点部を中心にして観察エリアを10μm×10μmとし、前記芯粒子数100個の表面粗さRaの平均値を測定することにより行った。
【0025】
−芯粒子のグレイン径−
前記芯粒子のグレイン径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜8μmが好ましい。
【0026】
−芯粒子のBET比表面積−
前記芯粒子のBET比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.09m/g〜0.40m/gが好ましい。
【0027】
−芯粒子の重量平均粒径Dw−
前記芯粒子の重量平均粒径Dwは、レーザー回折乃至散乱法によって求めた前記芯粒子の粒度分布における積算値50%での粒径をいう。前記芯粒子の重量平均粒径Dwとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜80μmが好ましい。
【0028】
前記芯粒子の重量平均粒径Dwの測定は、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)をマイクロトラック粒度分布計(HRA9320−X100、Honewell社製)を用いて下記に記載の条件にて測定し、下記式(3)を用いて算出した。なお、各チャネルは、粒径分布図における粒径範囲を測定幅単位に分割するための長さを表し、前記代表粒径は、各チャネルに保存する粒子粒径の下限値を採用した。
Dw={1/Σ(nD)}×{Σ(nD)} ・・・(3)
ただし、前記式(3)中、Dは、各チャネルに存在する芯粒子の代表粒径(μm)を表し、nは、各チャネルに存在する芯粒子の総数を表す。
[測定条件]
[1]粒径範囲:100μm〜8μm
[2]チャネル長さ(チャネル幅):2μm
[3]チャネル数:46
[4]屈折率:2.42
【0029】
<被覆層>
前記被覆層は、樹脂、及びフィラーを含有する被覆層形成溶液により形成される。
前記被覆層としては、前記樹脂100質量部に対して、前記フィラーを50質量部〜500質量部の割合で含有する被覆層であれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、前記樹脂100質量部に対して、前記フィラーを100質量部〜300質量部の割合で含有する被覆層が好ましい。前記フィラーの含有量が、50質量部未満であると、前記被覆層が削れることがあり、500質量部を超えると、前記キャリアの表面に出てくる樹脂の割合が相対的に小さくなり、トナーがキャリア表面にスペントし易くなることがある。一方、前記含有量が、前記好ましい範囲であると、現像機で長期間使用した際に、被覆層が削れにくい点で有利である。
【0030】
前記被覆層の厚みとしては、薄すぎると、現像機内での攪拌で容易に前記芯粒子の表面が露出してしまい、抵抗値の変化が大きくなることがあり、厚すぎると、前記芯粒子の凸部が露出せず、局所的な低抵抗状態を形成することが難しくなってしまう。前記被覆層の厚みは、前記樹脂の前記芯粒子に対する含有量により制御することができる。前記樹脂の前記芯粒子に対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、被覆層の厚みにより局所的な低抵抗状態を形成することができる点で、0.5質量%〜3.0質量%が好ましい。
【0031】
−樹脂−
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が好ましい。
【0032】
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シランカップリング剤及びシリコーン樹脂を含有する混合物の硬化物を含む樹脂が好ましい。
【0033】
−−シリコーン樹脂−−
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも下記一般式(A)で表されるA部分、及び下記一般式(B)で表されるB部分を含む共重合体を加水分解し、シラノール基を生成して縮合することにより得られる架橋物を含有する樹脂が好ましい。
【化1】

ただし、前記一般式(A)中、Rは、水素原子、及びメチル基のいずれかを表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、mは、1〜8の整数を表し、Xは、前記共重合体におけるモル比を表し、10モル%〜90モル%を表す。
【化2】

ただし、前記一般式(B)中、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素原子数1〜8のアルキル基及び炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかを表し、mは、1〜8の整数を表し、Yは、前記共重合体におけるモル比を表し、10モル%〜90モル%を表す。
【0034】
−−シランカップリング剤−−
前記シランカップリング剤は、前記フィラーを安定して分散させることができる。
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、r−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−r−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、r−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、r−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、r−クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、r−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、r−クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記シランカップリング剤の市販品としては、例えば、AY43−059、SR6020、SZ6023、SH6020、SH6026、SZ6032、SZ6050、AY43−310M、SZ6030、SH6040、AY43−026、AY43−031、sh6062、Z−6911、sz6300、sz6075、sz6079、sz6083、sz6070、sz6072、Z−6721、AY43−004、Z−6187、AY43−021、AY43−043、AY43−040、AY43−047、Z−6265、AY43−204M、AY43−048、Z−6403、AY43−206M、AY43−206E、Z6341、AY43−210MC、AY43−083、AY43−101、AY43−013、AY43−158E、Z−6920、Z−6940(いずれも、東レ・ダウコーニング社製)などが挙げられる。
【0036】
前記シランカップリング剤の添加量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、前記樹脂に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましい。前記添加量が、0.1質量%未満であると、前記芯粒子、前記フィラー、及び前記樹脂の接着性が低下し、長期間の使用中に被覆層が脱落することがあり、10質量%を超えると、長期間使用中に、トナーのフィルミングが発生することがある。
【0037】
−フィラー−
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性フィラー、非導電性フィラーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記被覆層に、導電性フィラー及び非導電性フィラーを含有させることが好ましい。
【0038】
前記導電性フィラーは、粉体比抵抗値が100Ω・cm以下のフィラーを指す。
前記非導電性フィラーは、粉体比抵抗値が100Ω・cmを超えるフィラーを指す。
前記フィラーの粉体比抵抗値の測定は、粉体抵抗測定システム(MCP−PD51、ダイアインスツルメンツ社製)及び抵抗率計(4端子4探針方式、ロレスタ−GP、三菱化学アナリテック社製)を使用して、試料1.0g、電極間隔3mm、試料半径10.0mm、荷重20kNの条件にて測定することにより行った。
【0039】
−−導電性フィラー−−
前記導電性フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム等の基体に二酸化スズや酸化インジウムを層として形成する導電性フィラー;カーボンブラックを用いて形成する導電性フィラーなどが挙げられる。これらの中でも、酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウムを含有する導電性フィラーが好ましい。
【0040】
−−非導電性フィラー−−
前記非導電性のフィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、二酸化珪素、酸化ジルコニウム等を用いて形成する非導電性フィラーなどが挙げられる。これらの中でも、酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸バリウムを含有する非導電性フィラーが好ましい。
【0041】
−−フィラーの個数平均粒径−−
前記フィラーの個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記被覆層に含有される樹脂の表面からフィラーが出やすくなり、部分的な低抵抗を作りやすく、キャリア表面のスペント物を掻き取り易く、耐摩耗性に優れる点で、50nm〜800nmが好ましく、200nm〜700nmがより好ましい。前記フィラーの個数平均粒径の測定は、走査電子顕微鏡(例えば、FE−SEM(S−800)、日立製作所社製)を用いて10,000倍に拡大したフィラーの粒子像を100個無作為にサンプリングして粒径を測定し、その個数平均粒径を用いた。
【0042】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記被覆層に、触媒を含有させることが好ましく、溶剤、硬化剤などを含有させてもよい。
【0043】
−触媒−
前記触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒などが挙げられ、具体的には、これらのアセチルアセトナト錯体、アルキルアセトアセタト錯体、サリチルアルデヒダト錯体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シラノール基の縮合反応を促進する効果が大きく、且つ触媒が失活しにくい点で、チタン系触媒が好ましく、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)がより好ましい。
【0044】
<静電潜像現像用キャリアの製造方法>
前記静電潜像現像用キャリアの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、流動床型コーティング装置を使用して、前記芯粒子の表面に、前記樹脂及び前記フィラーを含有する被覆層形成溶液を塗布することにより製造する方法が好ましい。なお、前記被覆層形成溶液を塗布する際に、前記被覆層に含有される樹脂の縮合を進めてもよいし、前記被覆層形成溶液を塗布した後に、前記被覆層に含有される樹脂の縮合を進めてもよい。前記樹脂の縮合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記被覆層形成溶液に、熱、光等を付与して樹脂を縮合する方法などが挙げられる。
【0045】
−静電潜像現像用キャリアの形状係数SF−2−
前記静電潜像現像用キャリアは、形状係数SF−2により規定される。
前記SF−2は、粒子の凹凸の度合いを規定する。
前記SF−2の値が大きくなると、粒子の表面の凹凸の起伏が激しくなる。
【0046】
前記静電潜像現像用キャリアの形状係数SF−2としては、115〜150であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯粒子の凹凸をある程度残して被覆できる点で、120〜145が好ましい。
【0047】
前記静電潜像現像用キャリアの形状係数SF−2の測定は、走査電子顕微鏡(例えば、FE−SEM(S−800)、日立製作所社製)を用いて300倍に拡大した静電潜像現像用キャリアの粒子像を100個無作為にサンプリングし、得られた画像情報を画像解析装置(例えば、Luzex AP、ニレコ社製)により解析し、下記式(4)を用いて算出することにより行った。
SF−2=(P/A)×(1/4π)×100 ・・・(4)
ただし、前記式(4)中、Pは、キャリアの周囲長を表し、Aは、キャリアの投影面積を表す。
【0048】
−静電潜像現像用キャリアの嵩密度−
前記静電潜像現像用キャリアの嵩密度としては、嵩密度が、1.8g/cm〜2.4g/cmであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記嵩密度が、1.8g/cm未満であると、キャリアが静電潜像担持体に付着するいわゆるキャリア付着を生じやすくなり、2.4g/cmを超えると、現像機内での攪拌ストレスが大きくなり、静電潜像現像用キャリアの抵抗変化が大きくなることがある。
【0049】
前記静電潜像現像用キャリアの嵩密度の測定は、オリフィス径φ3mmのロートから25cmの容器に、高さ25mmから落下させて行った。
【0050】
−静電潜像現像用キャリアのBET比表面積−
前記静電潜像現像用キャリアのBET比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2.5m/g〜6.0m/gが好ましい。
【0051】
−静電潜像現像用キャリアの重量平均粒径Dw−
前記静電潜像現像用キャリアの重量平均粒径Dwは、レーザー回折・散乱法によって求めた前記芯粒子の粒度分布における積算値50%での粒径をいう。前記静電潜像現像用キャリアの重量平均粒径Dwとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜80μmが好ましい。
【0052】
前記静電潜像現像用キャリアの重量平均粒径Dwの測定は、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)をマイクロトラック粒度分布計(HRA9320−X100、Honewell社製)を用いて下記に記載の条件にて測定し、下記式(5)を用いて算出した。なお、各チャネルは、粒径分布図における粒径範囲を測定幅単位に分割するための長さを表し、前記代表粒径は、各チャネルに保存する粒子粒径の下限値を採用した。
Dw={1/Σ(nD)}×{Σ(nD)} ・・・(5)
ただし、前記式(5)中、Dは、各チャネルに存在するキャリアの代表粒径(μm)を表し、nは、各チャネルに存在するキャリアの総数を表す。
[測定条件]
[1]粒径範囲:100μm〜8μm
[2]チャネル長さ(チャネル幅):2μm
[3]チャネル数:46
[4]屈折率:2.42
【0053】
<効果>
本発明の静電潜像現像用キャリアは、長期間連続で使用しても、履歴現象による影響を受けることなく、安定したトナー量を静電潜像現像用担持体に供給することができ、かつ、トナースペントの堆積によるキャリア抵抗の増加を低減することができるため、下記に記載する現像剤として好適に使用することができる。
【0054】
(現像剤)
前記現像剤は、上述した本発明の静電潜像現像用キャリア、及びトナーを含む。
【0055】
<トナー>
前記トナーは、バインダー樹脂、帯電制御剤、及び離型剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0056】
−バインダー樹脂−
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体などのスチレン系バインダー樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなどのアクリル系バインダー樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トナーの保存時の安定性を確保しつつ、より溶融粘度を低下させることができる点で、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0057】
−−ポリエステル樹脂−−
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応により得られる樹脂などが挙げられ、結晶性ポリエステル樹脂と併用して使用してもよい。
【0058】
−−−アルコール成分−−−
前記アルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーAなどのエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和若しくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体、その他の2価のアルコール単位体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の高アルコール単量体などが挙げられる。
【0059】
−−−カルボン酸成分−−−
前記カルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和若しくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸との二量体酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これら酸の無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体などが挙げられる。
【0060】
−−−結晶性ポリエステル樹脂−−−
前記結晶性ポリエステル樹脂は、低温でのトナー定着、低温での画像光沢性の向上のために添加される樹脂であり、ガラス転移温度で結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融粘度が低下し、紙などの記録媒体への定着機能を発現する樹脂である。
【0061】
前記結晶性ポリエステル樹脂は、軟化点と示差走査熱量計(DSC)における吸熱の最高ピーク温度との比、即ち軟化点/吸熱の最高ピーク温度で定義される結晶性指数によって表される。前記結晶性指数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.6〜1.5が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。
【0062】
前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、前記ポリエステル樹脂100質量部に対して、1質量部〜35質量部が好ましく、1質量部〜25質量部がより好ましい。前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が35質量部を超えると、像担持体表面にフィルミングが発生しやすくなり、保存安定性が悪化することがある。
【0063】
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤は、トナーの摩擦帯電性を充分に制御する目的で使用する。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸及びその誘導体の金属塩、ナフトエ塩、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体アミノ化合物;第4級アンモニウム化合物、有機染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ブラック以外のカラートナーを使用する場合は、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等の白色又は透明色の帯電制御剤が好ましい。
【0064】
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0065】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、磁性体、着色剤などが挙げられる。
【0066】
−−添加剤−−
前記添加剤は、トナーに充分な流動性を付与し、良好な画像を得るために添加される。
前記添加剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、研磨剤、潤滑剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤などが挙げられ、具体的には、疎水化された炭化ケイ素等の素有機樹脂微粒子;ステアリン酸亜鉛、酸化セリウム、疎水性シリカ、疎水性二酸化チタン等の金属微粒子;金属石鹸、フッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トナーに充分な流動性を付与することができる点で、疎水性シリカが好ましい。
【0067】
−−磁性体−−
磁性体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、コバルト等の強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライト等の磁性体などが挙げられる。
【0068】
−−着色剤−−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄黒、群青、カーボンブラック、ランプブラック、ハンザイエローG、ローダミン6Gレーキ、キナクリドン、ベンジジンイエロー、クロムイエロー、ローズベンガル、カルコオイルブルー、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、モノアゾ系顔料、トリアリルメタン系染料、ニグロシン染料、ジスアゾ系染料、染顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
<<トナーの製造方法>>
前記トナーの製造方法としては、前記バインダー樹脂中に、前記帯電制御剤、前記離型剤、前記その他の成分等を含有させ、従来公知の重合法、造粒法等により、不定形、球径等のトナーを製造する方法などが挙げられる。
【0070】
前記トナーの製造方法により製造されるトナーとしては、磁性トナー、非磁性トナーであってもよく、カラートナー、透明トナーであってもよい。
前記磁性トナーは、前記磁性体を含むトナーである。
前記非磁性トナーは、前記磁性体を含まないトナーである。
前記カラートナーは、前記着色剤を含むトナーである。
前記透明トナーは、前記着色剤を含まないトナーである。
【0071】
−トナーの重量平均粒径Dw−
前記トナーの重量平均粒径Dwは、レーザー回折・散乱法によって求めた前記芯粒子の粒度分布における積算値50%での粒径をいう。前記トナーの重量平均粒径Dwとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3.0μm〜9.0μmが好ましく、3.0μm〜6.0μmがより好ましい。
前記トナーの重量平均粒径Dwの測定は、コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
【0072】
<現像剤の製造方法>
前記現像剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像現像用キャリアと、前記トナーとを混合して、タービュラーミキサーにより攪拌することにより製造する方法などが挙げられる。
【0073】
(現像剤入り容器)
前記現像剤入り容器は、上述した本発明の静電潜像現像用キャリア及びトナーを含む現像剤を容器中に収容してなる。
前記現像剤入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述するプロセス
カートリッジに着脱可能に取り付けて現像剤の補給に好適に使用することができる。
【0074】
前記現像剤入り容器としては、特に制限はなく、目的に応じて従来公知の容器を使用することができ、例えば、容器本体、及びキャップを有する。
【0075】
前記容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などにつき、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記大きさとしては、寸法精度がよいものが好ましく、前記形状としては、円筒状が好ましく、前記構造としては、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有する構造が好ましく、前記材質としては、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂などが好ましい。
【0076】
前記キャップとしては、その大きさ、形状、構造、材質などにつき、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0077】
(補給用現像剤)
前記補給用現像剤は、上述した本発明の静電潜像現像用キャリアと、前記トナーとを含む。また、前記補給用現像剤は、現像装置内の余剰の現像剤を排出しながら画像形成を行う画像形成装置に適用することができる。また、前記補給用現像剤を用いる現像装置は、極めて長期に渡って安定した画像品質が得ることができる。即ち、前記補給用現像剤を用いた画像形成装置は、現像装置内の劣化したキャリアと、補給用現像剤中の劣化していないキャリアを入れ替え、長期間に渡って帯電量を安定に保つことができるため、安定した画像を得ることができる。本方式は、特に高画像面積印字時に有効である。高画像面積印字時の劣化は、キャリアへのトナースペントによるキャリア帯電能力低下が主なキャリアの劣化であるが、本方式を用いることで、高画像面積時には、キャリア補給量も多くなるため、劣化したキャリアが入れ替わる頻度が高くなる。
【0078】
前記補給用現像剤は、前記静電潜像現像用キャリア1質量部に対して、前記トナーを2〜50質量部の割合で含有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナーを5質量部〜20質量部含むことが好ましい。前記静電潜像現像剤用キャリア1質量部に対して、前記トナーが2質量部未満の割合で含有する場合には、補給キャリア量が多すぎ、キャリア供給過多となり現像装置中のキャリア濃度が高くなりすぎるため、トナーの帯電量が増加しやすいことがある。また、トナーの帯電量が上がることにより、現像能力が下がり画像濃度が低下してしまうことがある。前記静電潜像現像剤用キャリア1質量部に対して、前記トナーが50質量部を超える割合で含有する場合は、補給用現像剤中のキャリアの割合が少なくなるため、画像形成装置中のキャリアの入れ替わりが少なくなり、キャリア劣化に対する効果が期待できなくなることがある。
【0079】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、上述した本発明の静電潜像現像用キャリア及びトナーを含む現像剤を用いて現像する手段とが、一体に支持されるように形成される。
【0080】
本発明のプロセスカートリッジの実施形態について、図1を用いて説明する。
図1に示されるように、プロセスカートリッジ10は、静電潜像担持体11、該静電潜像担持体を帯電する帯電装置12、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を本発明の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像装置13、及び該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写した後、該静電潜像担持体上に残留したトナーを除去するクリーニング装置14を有し、複写機、プリンタ等の画像形成装置の本体に対して着脱可能である。
【0081】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、上述した本発明の静電潜像現像用キャリア及びトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する手段と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する手段と、前記録媒体に転写されたトナー像を定着させる手段とを含む。前記トナー像を形成する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁気ブラシが形成された現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する手段が好ましい。
【0082】
前記画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、上述した本発明の静電潜像現像用キャリア及びトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する工程と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、前記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを含む。前記トナー像を形成する工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁気ブラシが形成された現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する工程が好ましい。
【0083】
本発明の画像形成装置の実施形態について、図2を用いて説明する。
図2に示されるように、まず、静電潜像担持体20が所定の周速度で回転駆動され、帯電装置32により、静電潜像担持体20の周面が正又は負の所定電位に均一に帯電される。次に、露光装置33により静電潜像担持体20の周面が露光され、静電潜像が順次形成される。更に、静電潜像担持体20の周面に形成された静電潜像は、現像装置40により、本発明の静電潜像現像用キャリア及びトナーを含む現像剤を用いて現像され、トナー像が形成される。次に、静電潜像担持体20の周面に形成されたトナー像は、静電潜像担持体20の回転と同期され、給紙部から静電潜像担持体20と転写装置50との間に給紙された転写紙に、順次転写される。更に、トナー像が転写された転写紙は、静電潜像担持体20の周面から分離されて定着装置に導入されて定着された後、複写物(コピー)として、画像形成装置100の外部へプリントアウトされる。一方、トナー像が転写された後の静電潜像担持体20の表面は、クリーニング装置60により、残留したトナーが除去されて清浄化された後、除電装置70により除電され、繰り返し画像形成に使用される。
【実施例】
【0084】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、実施例及び比較例において測定された芯粒子の形状係数SF−1形状係数SF−2、重量平均粒径及び算術平均表面粗さRa、フィラーの個数平均粒径及び粉体比抵抗値、キャリアの形状係数SF−2及び嵩密度、並びにトナーの平均粒径は、上述した測定方法により測定して得られた値である。
【0085】
(芯粒子製造例1:芯粒子1の製造)
MnCO、Mg(OH)、及びFe粉を秤量し、混合して混合粉を得た。この混合粉を加熱炉にて900℃、3時間、大気雰囲気下で仮焼成し、得られた仮焼成物を冷却後、粉砕して平均粒径7μmの粉体とした。この粉体に、分散剤(1質量%)及び水を加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1,250℃、5時間焼成した。得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、重量平均粒径約35μmの[芯粒子1](球形フェライト粒子)を得た。この[芯粒子1]の成分分析を行ったところ、MnO(46.2mol%)、MgO(0.7mol%)、Fe(53mol%)であった。また、[芯粒子1]のSF−1は140、SF−2は145、Raは0.7μmであった。
【0086】
(芯粒子製造例2:芯粒子2の製造)
芯粒子製造例1と同様に、混合粉を仮焼成して得られた仮焼物を、冷却後、粉砕して平均粒径3μmの粉体とした。この粉体に、分散剤(1質量%)及び水を加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1,200℃、5時間焼成した。得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、重量平均粒径約35μmの[芯粒子2](球形フェライト粒子)を得た。この[芯粒子2]のSF−1は130、SF−2は152、Raは0.93μmであった。
【0087】
(芯粒子製造例3:芯粒子3の製造)
芯粒子製造例1と同様に、混合粉を仮焼成して得られた仮焼物を、冷却後、粉砕して平均粒径1μmの粉体とした。この粉体に、分散剤(1質量%)及び水を加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1,300℃、5時間焼成した。得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、重量平均粒径約35μmの[芯粒子3](球形フェライト粒子)を得た。この[芯粒子3]のSF−1は125、SF−2は119、Raは0.45μmであった。
【0088】
(芯粒子製造例4:芯粒子4の製造)
芯粒子製造例1と同様に、混合粉を仮焼成して得られた仮焼物を、冷却後、粉砕して平均粒径1μmの粉体とした。この粉体に、分散剤(1質量%)及び水を加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1,050℃、5時間焼成した。得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、重量平均粒径約35μmの[芯粒子4](球形フェライト粒子)を得た。この[芯粒子4]のSF−1は130、SF−2は125、Raは0.75μmであった。
【0089】
(芯粒子製造例5:芯粒子5の製造)
MnCO、Mg(OH)、Fe、及びSrCO粉を秤量し、混合して混合粉を得た。この混合粉を、加熱炉にて850℃、1時間、大気雰囲気下で仮焼し、得られた仮焼物を冷却後、粉砕して平均粒径3μm以下の粉体とした。この粉体に、分散剤(1質量%)及び水を加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1,120℃、4時間焼成した。得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、重量平均粒径約35μmの[芯粒子5](球形フェライト粒子)を得た。この[芯粒子5]の成分分析を行ったところ、MnO(40.0mol%)、MgO(10.0mol%)、Fe(50.0mol%)、SrO(0.4mol%)であった。また、[芯粒子5]のSF−1は145、SF−2は155、Raは0.85μmであった。
【0090】
(芯粒子製造例6:芯粒子6の製造)
芯粒子製造例4と同様に、混合粉を仮焼成して得られた仮焼物を冷却して粉砕し、平均粒径1μmの粉体とした。この粉体に、分散剤(1質量%)及び水を加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1,180℃、4時間焼成した。得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、重量平均粒径約35μmの[芯粒子6](球形フェライト粒子)を得た。また、[芯粒子6]のSF−1は135、SF−2は122、Raは0.63μmであった。
【0091】
(芯粒子製造例7:芯粒子7の製造)
芯粒子製造例4と同様に、混合粉を仮焼成して得られた仮焼成物を冷却して粉砕し、平均粒径1μmの粉体とした。この粉体に、分散剤(1質量%)及び水を加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1,080℃、4時間焼成した。得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、重量平均粒径約35μmの[芯粒子7](球形フェライト粒子)を得た。また、[芯粒子7]のSF−1は150、SF−2は165、Raは1.03μmであった。
【0092】
(芯粒子製造例8:芯粒子8の製造)
MnCO、Mg(OH)、Fe、及びCaCO粉を秤量し、混合して混合粉を得た。この混合粉を加熱炉にて850℃、1時間、大気雰囲気下で仮焼成し、得られた仮焼物を冷却後、粉砕して平均粒径3μm以下の粉体とした。この粉体に、分散剤(1質量%)及び水を加えてスラリーとし、このスラリーをスプレードライヤに供給して造粒し、平均粒径約40μmの造粒物を得た。この造粒物を焼成炉に装填し、窒素雰囲気下で、1,200℃、5時間焼成した。得られた焼成物を解砕機で解砕した後、篩い分けにより粒度調整を行い、重量平均粒径約35μmの[芯粒子8](球形フェライト粒子)を得た。この[芯粒子7]の成分分析を行ったところ、MnO(44.3mol%)、MgO(0.7mol%)、Fe(53mol%)、CaO(2.0mol%)であった。また、[芯粒子8]のSF−1は130、SF−2は140、Raは0.68μmであった。
【0093】
(フィラー製造例1:導電性フィラー1の製造)
酸化アルミニウム(AKP−30、住友化学社製)100gを水1Lに分散させ懸濁液とし、70℃に加温した。次いで、この懸濁液のpHが7〜8となるよう、塩化第二錫100g及び五酸化リン3gを2N塩酸1Lに溶かした溶液、並びに12質量%アンモニア水を2時間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。そして、この乾燥粉末を窒素気流中で500℃、1時間にて処理し、[導電性フィラー1]を得た。得られた[導電性フィラー1]は、個数平均粒径400nm、粉体比抵抗値50Ω・cmであった。
【0094】
(フィラー製造例2:非導電性フィラー2の製造)
酸化アルミニウム(AKP−30、住友化学社製)100gを水1Lに分散させ懸濁液とし、70℃に加温した。次いで、この懸濁液のpHが7〜8となるよう、塩化第二錫10g及び五酸化リン0.30gを2N塩酸100mLに溶かした溶液、並びに12質量%アンモニア水を12分間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。そして、この乾燥粉末を窒素気流中で500℃、1時間にて処理し、[非導電性フィラー2]を得た。得られた[非導電性フィラー2]は、個数平均粒径300nm、粉体比抵抗値1,200Ω・cmであった。
【0095】
(フィラー製造例3:導電性フィラー3の製造)
酸化アルミニウム(AKP−30、住友化学社製)100gを水1Lに分散させ懸濁液とし、70℃に加温した。次いで、この懸濁液のpHが7〜8となるよう、塩化第二錫150g及び五酸化リン4.5gを2N塩酸1.5Lに溶かした溶液、並びに12質量%アンモニア水を3時間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。そして、この乾燥粉末を窒素気流中で500℃、1時間にて処理し、[導電性フィラー3]を得た。得られた[導電性フィラー3]は、個数平均粒径600nmで、粉体比抵抗値10Ω・cmであった。
【0096】
(フィラー製造例4:導電性フィラー4の製造)
酸化アルミニウム(AKP−30、住友化学社製)100gを水1Lに分散させ懸濁液とし、70℃に加温した。次いで、この懸濁液のpHが7〜8となるよう、塩化第二錫11.6gを2N塩酸1Lに溶かした溶液、及び12質量%アンモニア水を40分間かけて滴下し、更に、塩化インジウム36.7g、及び塩化第二スズ5.4gを2N塩酸450mLに溶かした溶液、並びに12質量%アンモニア水を1時間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。そして、この乾燥粉末を窒素気流中で500℃、1時間にて処理し、[導電性フィラー4]を得た。得られた[導電性フィラー4]は、個数平均粒径300nm、粉体比抵抗値4Ω・cmであった。
【0097】
(フィラー製造例5:導電性フィラー5の製造)
ルチル型酸化チタン(KR−310、チタン工業社製)100gを水1Lに分散させ懸濁液とし、70℃に加温した。次いで、この懸濁液のpHが7〜8となるよう、塩化第二錫100g及び五酸化リン3gを2N塩酸1Lに溶かした溶液、並びに12質量%アンモニア水を2時間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。そして、この乾燥粉末を窒素気流中で500℃、1時間にて処理し、[導電性フィラー5]を得た。得られた[導電性フィラー5]は、個数平均粒径450nm、粉体比抵抗値40Ω・cmであった。
【0098】
(樹脂合成例1:樹脂1の合成)
撹拌機付きフラスコにトルエン300gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いで、これに、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(サイラプレーンTM−0701T、チッソ社製)84.4g(200mmol)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン39g(150mmol)、メタクリル酸メチル65.0g(650mmol)、及び2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3mmol)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3mmol)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g、3.3mmol)、90℃〜100℃で3時間、混合してラジカル共重合させて[樹脂1]を得た。得られた[樹脂1]は、重量平均分子量33,000であった。次いで、この[樹脂1]の不揮発分が25質量%となるようトルエンで希釈した。このようにして得られた[樹脂1]の25質量%溶液の粘度は8.8mm/sであり、比重は0.91であった。
【0099】
(樹脂合成例2:樹脂2の合成)
樹脂合成例1において、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランを、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン37.2g(150mmol)に変えたこと以外は、樹脂合成例1と同様にして、ラジカル共重合させて[樹脂2]を得た。得られた[樹脂2]は、重量平均分子量34,000であった。次いで、この[樹脂2]の不揮発分が25質量%となるようトルエンで希釈した。このようにして得られた[樹脂2]の25質量%溶液の粘度は8.7mm/sであり、比重は0.91であった。
【0100】
(実施例1:静電潜像現像用キャリアAの製造)
静電潜像現像用キャリアAの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液A](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液A]を[芯粒子1]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアA]を得た。[キャリアA]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Aの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 80質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー1(フィラー製造例1) ・・・ 56質量部
・触媒 ・・・ 4質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.6質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0101】
(実施例2:静電潜像現像用キャリアBの製造)
静電潜像現像用キャリアBの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液B](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液B]を[芯粒子1]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアB]を得た。[キャリアB]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Bの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 44質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー4(フィラー製造例4) ・・・ 22質量部
・触媒 ・・・ 2質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.3質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0102】
(実施例3:静電潜像現像用キャリアCの製造)
静電潜像現像用キャリアCの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液C](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液C]を[芯粒子1]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアC]を得た。[キャリアC]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Cの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 30質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・被覆層用樹脂(樹脂合成例1の樹脂1、固形分25質量%) ・・・ 30質量部
・導電性フィラー4(フィラー製造例4) ・・・ 15質量部
・触媒 ・・・ 3質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.5質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0103】
(実施例4:静電潜像現像用キャリアDの製造)
静電潜像現像用キャリアDの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液D](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液D]を[芯粒子1]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアD]を得た。[キャリアD]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Dの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 64質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・被覆層用樹脂(樹脂合成例2の樹脂2、固形分25質量%) ・・・ 16質量部
・導電性フィラー4(フィラー製造例4) ・・・ 56質量部
・触媒 ・・・ 4質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.6質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0104】
(実施例5:静電潜像現像用キャリアEの製造)
静電潜像現像用キャリアEの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液E](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液E]を[芯粒子1]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアE]を得た。[キャリアE]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Eの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 42質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・被覆層用樹脂(樹脂合成例1の樹脂1、固形分25質量%) ・・・ 2質量部
・導電性フィラー3(フィラー製造例3) ・・・ 30質量部
・触媒 ・・・ 3質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.3質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0105】
(実施例6:静電潜像現像用キャリアFの製造)
静電潜像現像用キャリアFの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液F](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液F]を[芯粒子1]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアF]を得た。[キャリアF]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Fの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 74質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・被覆層用樹脂(樹脂合成例1の樹脂1、固形分25質量%) ・・・ 18質量部
・非導電性フィラー2(フィラー製造例2) ・・・ 50質量部
・導電性フィラー(硫酸バリウム含有) ・・・46.6質量部
(パストラン4310、三井金属鉱業社製)
(平均粒径150nm、体積固有抵抗12Ω・cm)
・触媒 ・・・ 4質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 7質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0106】
(実施例7:静電潜像現像用キャリアGの製造)
静電潜像現像用キャリアGの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液G](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液G]を[芯粒子1]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアG]を得た。[キャリアG]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Gの組成]
・被覆層用樹脂(樹脂合成例2の樹脂2、固形分25質量%) ・・・ 48質量部
・導電性フィラー1(フィラー製造例1) ・・・ 18質量部
・導電性フィラー(カーボンブラック) ・・・ 1質量部
(REGAL330、キャボット社製)
(平均粒径25nm、体積固有抵抗0.1Ω・cm)
・触媒 ・・・ 2質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.4質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0107】
(実施例8:静電潜像現像用キャリアHの製造)
静電潜像現像用キャリアHの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液H](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液H]を[芯粒子2]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアH]を得た。[キャリアH]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Hの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 60質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー4(フィラー製造例4) ・・・ 38質量部
・触媒 ・・・ 3質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.5質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0108】
(実施例9:静電潜像現像用キャリアIの製造)
静電潜像現像用キャリアIの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液I](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液I]を[芯粒子5]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアI]を得た。[キャリアI]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Iの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 24質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー(硫酸バリウム含有) ・・・ 7質量部
(パストラン4310、三井金属鉱業社製)
(平均粒径150nm、体積固有抵抗12Ω・cm)
・触媒 ・・・ 1質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.2質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0109】
(実施例10:静電潜像現像用キャリアJの製造)
静電潜像現像用キャリアJの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液J](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液J]を[芯粒子5]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアJ]を得た。[キャリアJ]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Jの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 112質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー4(フィラー製造例4) ・・・ 100質量部
・非導電性フィラー2(フィラー製造例2) ・・・34.4質量部
・触媒 ・・・ 6質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 1.0質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0110】
(実施例11:静電潜像現像用キャリアKの製造)
静電潜像現像用キャリアKの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液K](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液K]を[芯粒子5]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアK]を得た。[キャリアK]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Kの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 12質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・被覆層用樹脂(樹脂合成例2の樹脂2、固形分25質量%) ・・・ 48質量部
・導電性フィラー4(フィラー製造例4) ・・・ 38質量部
・触媒 ・・・ 1質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.5質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0111】
(実施例12:静電潜像現像用キャリアLの製造)
静電潜像現像用キャリアLの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液L](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液L]を[芯粒子5]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアL]を得た。[キャリアL]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Lの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 22質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・被覆層用樹脂(樹脂合成例1の樹脂1、固形分25質量%) ・・・ 22質量部
・導電性フィラー3(フィラー製造例3) ・・・ 22質量部
・触媒 ・・・ 2質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.3質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0112】
(実施例13:静電潜像現像用キャリアMの製造)
静電潜像現像用キャリアMの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液M](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液M]を[芯粒子5]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアM]を得た。[キャリアM]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Mの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 28質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・被覆層用樹脂(樹脂合成例2の樹脂2、固形分25質量%) ・・・ 28質量部
・導電性フィラー5(フィラー製造例5) ・・・ 15質量部
・触媒 ・・・ 1質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.5質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0113】
(実施例14:静電潜像現像用キャリアNの製造)
静電潜像現像用キャリアNの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液N](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液N]を[芯粒子6]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアN]を得た。[キャリアN]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Nの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 35質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・被覆層用樹脂(樹脂合成例2の樹脂2、固形分25質量%) ・・・ 9質量部
・導電性フィラー1(フィラー製造例1) ・・・ 7質量部
・触媒 ・・・ 1質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.3質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0114】
(実施例15:静電潜像現像用キャリアOの製造)
静電潜像現像用キャリアOの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液O](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液O]を[芯粒子8]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、多機能混合装置ミキサーを用いて行った。具体的には、芯粒子温度が100℃となるよう加熱した[芯粒子8]及び[被覆層形成溶液J]を多機能混合装置ミキサー内に投入し、コート液が蒸発するまで、混合攪拌羽根を回転させて塗布、攪拌、及び乾燥を行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアO]を得た。[キャリアO]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Oの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 26質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・被覆層用樹脂(アクリル樹脂) ・・・ 2.5質量部
(ヒタロイド3001、日立化成工業株式会社製、固形分50質量%)
・被覆層用樹脂(ベンゾグアナミン系樹脂) ・・・ 5質量部
(マイコート106、三井サイテック社製、固形分77質量%)
・導電性フィラー3(フィラー製造例3) ・・・ 10質量部
・触媒 ・・・ 2質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.3質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0115】
(比較例1:静電潜像現像用キャリアPの製造)
静電潜像現像用キャリアPの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液P](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液P]を[芯粒子1]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアP]を得た。[キャリアP]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Pの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 16質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー3(フィラー製造例3) ・・・ 2質量部
・触媒 ・・・ 1質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.2質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0116】
(比較例2:静電潜像現像用キャリアQの製造)
静電潜像現像用キャリアQの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液Q](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液Q]を[芯粒子1]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアQ]を得た。[キャリアQ]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Qの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 120質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー1(フィラー製造例1) ・・・ 160質量部
・触媒 ・・・ 6質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 1.2質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0117】
(比較例3:静電潜像現像用キャリアRの製造)
静電潜像現像用キャリアRの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液R](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液R]を[芯粒子3]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアR]を得た。[キャリアR]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Rの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 40質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー(硫酸バリウム含有) ・・・ 20質量部
(パストラン4310、三井金属鉱業社製)
(平均粒径150nm、体積固有抵抗12Ω・cm)
・触媒 ・・・ 2質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.3質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0118】
(比較例4:静電潜像現像用キャリアSの製造)
静電潜像現像用キャリアSの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液S](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液S]を[芯粒子3]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアS]を得た。[キャリアS]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Sの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 68質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー3(フィラー製造例3) ・・・ 34質量部
・触媒 ・・・ 3質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.6質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0119】
(比較例5:静電潜像現像用キャリアTの製造)
静電潜像現像用キャリアTの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液T](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液T]を[芯粒子5]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアT]を得た。[キャリアT]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Tの組成]
・被覆層用樹脂(アクリル樹脂) ・・・ 35質量部
(ヒタロイド3001、日立化成工業株式会社製、固形分50質量%)
・被覆層用樹脂(ベンゾグアナミン系樹脂) ・・・ 10質量部
(マイコート106、三井サイテック社製、固形分77質量%)
・導電性フィラー4(フィラー製造例4) ・・・ 140質量部
・触媒(キャタリスト4040、三井サイテック社製) ・・・ 0.2質量部
・シランカップリング剤 ・・・ 0.8質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0120】
(比較例6:静電潜像現像用キャリアUの製造)
静電潜像現像用キャリアUの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液U](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液U]を[芯粒子6]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアU]を得た。[キャリアU]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Uの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 64質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー3(フィラー製造例3) ・・・ 56質量部
・触媒 ・・・ 6質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.6質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0121】
(比較例7:静電潜像現像用キャリアVの製造)
静電潜像現像用キャリアVの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液V](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液V]を[芯粒子7]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアV]を得た。[キャリアV]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Vの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 80質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー(カーボンブラック) ・・・ 2質量部
(REGAL330、キャボット社製)
(平均粒径25nm、体積固有抵抗0.1Ω・cm)
・触媒 ・・・ 4質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.6質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0122】
(比較例8:静電潜像現像用キャリアWの製造)
静電潜像現像用キャリアWの被覆層の形成のため、下記組成の[被覆層形成溶液W](固形分10質量%)を調製した。この[被覆層形成溶液W]を[芯粒子4]1,000質量部に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃で2時間焼成し、[キャリアW]を得た。[キャリアW]の特性を、表1に示す。
[被覆層形成溶液Wの組成]
・被覆層用樹脂(シリコーン樹脂) ・・・ 48質量部
(2官能又は3官能のモノマーから作製されたメチルシリコーンレジン)
(重量平均分子量15,000、固形分25質量%)
・導電性フィラー1(フィラー製造例1) ・・・ 10質量部
・触媒 ・・・ 2質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤 ・・・ 0.4質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン ・・・ 残部
【0123】
(現像剤の作製)
実施例及び比較例で得られた[キャリアA]〜[キャリアW](930質量部)、及び市販のデジタルフルカラープリンター(RICOH Pro C901、株式会社リコー社製)用のトナー(70質量部)を混合して、タービュラーミキサーを用いて81rpmで5分間攪拌し、評価用現像剤を作製した。また、補給用現像剤は、トナー濃度が10質量%となるように、前記キャリア及び前記トナーを用いて作製した。
【0124】
(評価)
実施例及び比較例で得られた静電潜像現像用キャリアを評価した。結果を表2に示す。
【0125】
<印字評価>
作製した各現像剤及び各補給現像剤を、市販のデジタルフルカラープリンター(RICOH Pro C901、株式会社リコー製)にセットし、画像面積8%の文字チャート(1文字の大きさ;2mm×2mm程度)を10万枚印字した後、更に20万枚印字した。
【0126】
<履歴現象による影響の評価>
履歴現象による影響を評価するために、印字評価において10万枚出力した後に、図5に示す縦帯チャートを印刷した。そして、スリーブ(トナー担持体)一周分(a)と一周後(b)の濃度差を測定することにより、直前画像履歴による影響を評価した。前記測定は、色彩値測定器(X−Rite938、X−Rite社製)を用いた。前記スリーブのセンター、リア、及びフロントを3箇所測定して得られた平均濃度差をΔIDとし、下記評価基準により評価した。なお、ΔIDの値が小さいほど、前回画像による履歴の影響が小さいことを示し、「◎:非常に良好」、「○:良好」、「△:許容」を合格とし、「×:実用上使用できないレベル」を不合格とした。
[評価基準]
◎: ΔID≦0.01
○:0.01<ΔID≦0.03
△:0.03<ΔID≦0.06
×:0.06<ΔID
【0127】
<トナースペント量の評価>
0枚印刷時の静電潜像現像用キャリア、及び印字評価において行った30万枚印刷時の現像剤における静電潜像現像用キャリアに付着したトナー成分を、メチルエチルケトンで抽出し、その差をトナースペント量とし、下記評価基準により評価した。なお、「◎:非常に良好」、「○:良好」、「△:許容」を合格とし、「×:実用上使用できないレベル」を不合格とした。
[評価基準]
◎: 0質量%以上0.03質量%未満
○:0.03質量%以上0.07質量%未満
△:0.07質量%以上0.15質量%未満
×:0.15質量%以上
【0128】
<静電潜像現像用キャリアの抵抗変化の評価>
0枚印刷時の現像剤における静電潜像現像用キャリアの抵抗値、印字評価において行った10万枚印刷時の現像剤における静電潜像現像用キャリアの抵抗値、及び印字評価において行った30万枚印刷時の現像剤における静電潜像現像用キャリアの抵抗値の差を測定し、経時に伴うキャリアの抵抗変化を評価した。図3に示すように、795メッシュの網を有するブローオフケージ7を用いて、現像剤からトナー5を吸引除去した静電潜像現像用キャリア3を用いて測定した。また、前記静電潜像現像用キャリアの抵抗値の測定は、図4に示すように、電極間距離2mm、表面積2cm×4cmの電極1a、1bを収容したフッ素樹脂製容器2からなるセルに静電潜像現像用キャリア3を充填し、両極間に1,000Vの直流電圧を印加して、ハイレジスタンスメーター(4329A+LJK 5HVLVWDQFH OHWHU、横川ヒューレットパッカード社製)にて直流抵抗を測定し、0枚印刷時とのΔLogRを算出した。なお、「◎:非常に良好」、「○:良好」、「△:許容」を合格とし、「×:実用上使用できないレベル」を不合格とした。
[評価基準]
◎: ΔLogR≦0.5
○:0.5<ΔLogR≦1.0
△:1.0<ΔLogR≦2.0
×:2.0<ΔLogR
【0129】
【表1】

【0130】
【表2】

【0131】
実施例1から15で製造した静電潜像現像用キャリアを用いた現像剤は、10万枚印刷後に実施したΔIDも小さく良好であった。また、実施例1から15で製造した静電潜像現像用キャリアを用いた現像剤は、0枚印刷時、10万枚、及び30万枚印刷時において、抵抗変化が少なく、更にトナースペント量も少なく、画像の変化が少なかった。
【0132】
一方、比較例2、3、4、6で製造した静電潜像現像用キャリアを用いた現像剤は、10万枚印刷後に実施したΔIDが大きく、直前画像履歴による影響が大きく、目視にて異常画像が確認された。また、比較例5で製造した静電潜像現像用キャリアを用いた現像剤は、トナースペント量が多く、帯電の低下に伴う地肌汚れ、機内トナー飛散、画像濃度の上昇が確認された。また、比較例1及び7で製造した静電潜像現像用キャリアは、0枚印刷時と、30万枚印刷時とで抵抗値の変化が大きく、細線へのトナー量の減少、画像濃度の上昇等、画像品質の変化が見られた。また、比較例8については、キャリア付着が多数発生し、画像上にも飛散したキャリアが付着し、画像の欠損が確認された。
【0133】
以上より、実施例1〜15で製造した静電潜像現像用キャリアを用いることにより、長期間連続で使用しても、履歴現象による影響を受けることなく、安定したトナー量を静電潜像現像用担持体に供給することができ、かつ、トナースペントの堆積によるキャリア抵抗の増加を低減できることがわかった。
【符号の説明】
【0134】
1a 電極
1b 電極
2 フッ素樹脂製容器
3 静電潜像現像用キャリア
5 トナー
7 ブローオフケージ
10 プロセスカートリッジ
11 静電潜像担持体
12 帯電装置
13 現像装置
14 クリーニング装置
20 静電潜像担持体
32 帯電装置
33 露光装置
40 現像装置
50 転写装置
60 クリーニング装置
70 除電装置
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0135】
【特許文献1】特開2007−25693号公報
【特許文献2】特許3356948号公報
【特許文献3】特開2005−157002号公報
【特許文献4】特開平11−231652号公報
【特許文献5】特開平07−072733号公報
【特許文献6】特開平07−128983号公報
【特許文献7】特開平07−092813号公報
【特許文献8】特開平11−065247号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を有する芯粒子と、該芯粒子を被覆する被覆層とを含み、形状係数SF−2が、115〜150であり、嵩密度が、1.8g/cm〜2.4g/cmである静電潜像現像用キャリアであって、
前記芯粒子の形状係数SF−2が、120〜160であり、
前記芯粒子の算術平均表面粗さRaが、0.5μm〜1.0μmであり、
前記被覆層が、樹脂及びフィラーを含有し、該樹脂100質量部に対して、該フィラーを50質量部〜500質量部の割合で含有することを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
【請求項2】
フィラーが、導電性フィラー、及び非導電性フィラーを少なくとも含有する請求項1に記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項3】
フィラーが、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び硫酸バリウムの少なくともいずれかを含有する請求項1から2のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項4】
フィラーの個数平均粒径が、50nm〜800nmである請求項1から3のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項5】
樹脂が、シリコーン樹脂を含有する請求項1から4のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項6】
樹脂が、シランカップリング剤、及びシリコーン樹脂を含有する混合物の硬化物を含む請求項1から5のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項7】
樹脂が、少なくとも下記一般式(A)で表されるA部分、及び下記一般式(B)で表されるB部分を含む共重合体を加水分解し、シラノール基を生成して縮合することにより得られる架橋物を含有する請求項1から6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【化1】

ただし、前記一般式(A)中、Rは、水素原子、及びメチル基のいずれかを表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、mは、1〜8の整数を表し、Xは、前記共重合体におけるモル比を表し、10モル%〜90モル%を表す。
【化2】

ただし、前記一般式(B)中、Rは、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素原子数1〜8のアルキル基及び炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかを表し、mは、1〜8の整数を表し、Yは、前記共重合体におけるモル比を表し、10モル%〜90モル%を表す。
【請求項8】
樹脂100質量部に対して、フィラーを100質量部〜300質量部の割合で含有する請求項1から7のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項9】
樹脂の芯粒子に対する含有量が、0.5質量%〜3.0質量%である請求項1から8のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項10】
被覆層が、流動床型コーティング装置を使用して芯粒子の表面に塗布される請求項1から9のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
【請求項11】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項1から10のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア、及びトナーを含む現像剤を用いて現像する手段とが、一体に支持されることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項12】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段と、
前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項1から10のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア、及びトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する手段と、
前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する手段と、
前記録媒体に転写されたトナー像を定着させる手段とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
トナー像を形成する手段が、磁気ブラシが形成された現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する手段である請求項12に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−57817(P2013−57817A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196277(P2011−196277)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】