説明

静電潜像現像用トナー

【課題】かぶりの発生を抑制でき、長期間にわたって印刷する場合の画像濃度の低下や現像器の汚染による画像不良の発生を抑制できる静電潜像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子の表面に、無機微粉末とスチレンアクリル系樹脂からなる樹脂微粉末とを付着させ、樹脂微粉末のトナーからの脱離指数を30以下とする。樹脂微粉末の含有量は、静電潜像現像用トナー100質量部に対して0.3〜5質量部が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真法、静電記録法等の画像形成方法においては、静電潜像担持体(感光体)の表面をコロナ放電等により帯電させた後、レーザー等により露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、さらにこのトナー像を記録媒体に転写して高品質な画像を得ている。通常トナー像の形成に使用するトナーには熱可塑性樹脂等の結着樹脂に、着色剤、電荷制御剤、離型剤、等を混合して混練、粉砕、分級を行い平均粒径5〜15μmのトナー粒子としたものが用いられる。そしてトナーに流動性を付与したり、トナーの帯電量の制御を行ったり、転写されずに感光体上に残留したトナーのクリーニング性を向上させたりする目的で、シリカや酸化チタン等の無機微粉末、無機金属微粉末がトナーに外添されている。
【0003】
近年、このような画像形成方法において用いられるトナーにおいて、無機微粉末に加え、樹脂微粉末をトナー表面に付着させたものが使用されている。樹脂微粉末は、トナーの結着樹脂と帯電系列が近く、トナーの帯電不良を抑制する効果があるため、かかるトナーを使用すると、かぶりの発生や、画像形成装置内でのトナーの飛散を抑制することが可能である。
【0004】
無機微粉末と樹脂微粉末とを外添剤として用いたトナーとしては、例えば、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を平均一次粒子径が6〜20nmの無機微粉末の存在下で粉砕して得られる体積中位粒径が3〜8μmのトナー母粒子に、平均一次粒子径が25〜60nmのシリカと、樹脂微粉末とを外添して得られる、BET比表面積が1.5〜3.5m/gのカラートナーが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−328324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のトナーを用いる場合、必ずしも、かぶりの発生を抑制できるわけではない。また、特許文献1のトナーは、印字率の低い印刷が長時間にわたって行われ、現像装置内でトナーが長時間撹拌されることにより、トナーの表面から樹脂微粉末が剥離する場合がある。この場合、画像濃度の低下や、樹脂微粉末による現像器(現像スリーブ)の汚染による画像不良が発生しやすくなる。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、かぶりの発生を抑制でき、長期間にわたって印刷する場合の画像濃度の低下や現像器の汚染による画像不良の発生を抑制できる静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子の表面に無機微粉末と樹脂微粉末とが付着しており、樹脂微粉末がスチレンアクリル系樹脂であり、樹脂微粉末のトナーからの脱離指数が30以下である静電潜像現像用トナーを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
(1) 少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子の表面に無機微粉末と樹脂微粉末とが付着しており、
前記樹脂微粉末がスチレンアクリル系樹脂であり、
下記1)〜8)の工程により測定される、前記樹脂微粉末のトナーからの脱離指数が30以下である、静電潜像現像用トナー。
1)濃度7質量%のアニオン系界面活性剤水溶液と、蒸留水とを体積比1:1で混合した界面活性剤溶液100ml中にトナー1gを加えて、トナーを含む界面活性剤溶液を調製する工程、
2)前記トナーを含む界面活性剤溶液に、周波数35kHz、出力100Wで30分超音波を照射してトナー分散液(1液)を得る工程、
3)前記1液を3時間静置してトナーを沈殿させる工程、
4)沈殿したトナーを浮遊させないように前記1液から上澄み液を除く工程、
5)上澄み液が除かれた前記1液中の沈殿に、前記界面活性剤溶液100mlを加える工程、
6)沈殿したトナーを含む界面活性剤溶液に前記1液の調製と同条件にて超音波を5分間照射してトナーを分散させてトナー分散液(2液)を調製する工程、
7)前記1液、及び前記2液について、紫外可視分光光度計により透過率を測定し、波長400〜650nmの範囲における透過率の積分値から、波長400〜650nmにおける透過率の平均値を求める工程、及び
8)得られた1液、及び2液の波長400〜650nmにおける透過率の平均値から、下式:
脱離指数=(2液の透過率平均値/1液の透過率平均値−1)×100
により、トナーからの樹脂微粉末の脱離指数を算出する工程。
【0010】
(2) 前記樹脂微粉末の含有量が、静電潜像現像用トナー100質量部に対して0.3〜5質量部である、(1)記載の静電潜像現像用トナー。
【0011】
(3) 前記樹脂微粉末の含有量が、静電潜像現像用トナー100質量部に対して0.5〜2質量部である、(2)記載の静電潜像現像用トナー。
【0012】
(4) 前記樹脂微粉末の平均一次粒子径が30〜300nmである、(1)〜(3)何れか記載の静電潜像現像用トナー。
【0013】
(5) 前記無機微粉末が、シリカ、酸化チタン、及びこれらの混合物からなる群より選択される、(1)〜(4)何れか記載の静電潜像現像用トナー。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、かぶりの発生を抑制でき、長期間にわたって印刷する場合の画像濃度の低下や現像器の汚染による画像不良の発生を抑制できる静電潜像現像用トナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、スチレンアクリル系樹脂微粉末の、波長400〜650nmにおける透過スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
【0017】
本発明の静電潜像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)は、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子の表面に、無機微粉末とスチレンアクリル系樹脂からなる樹脂微粉末とを付着させ、樹脂微粉末のトナーからの脱離指数を30以下としたものである。トナー母粒子は、少なくとも、結着樹脂と着色剤とを含み、所望により、離型剤、電荷制御剤、磁性粉等を含んでいてもよい。また、本発明のトナーは、キャリアと混合して2成分現像剤として用いることもできる。以下、本発明の静電潜像現像用トナーの必須、又は任意の成分である、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤、磁性粉、樹脂微粉末、及び無機微粉末と、静電潜像現像用トナーの製造方法と、本発明のトナーを2成分現像剤として用いる場合に使用するキャリアとについて、順に説明する。
【0018】
〔結着樹脂〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂中に、着色剤と、必要に応じ、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉等の成分とが配合されたトナー母粒子の表面に、無機微粉末とスチレンアクリル系樹脂からなる樹脂微粉末とが付着したものである。トナー母粒子に含まれる結着樹脂は、従来からトナー粒子の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナー中の着色剤に対する分散性、トナーの帯電性、用紙に対する定着性の面から、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂が好ましい。以下、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂について説明する。
【0019】
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体である。スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン等が挙げられる。アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0020】
ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合によって得られるものを使用することができる。ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のアルコール成分やカルボン酸成分が挙げられる。
【0021】
2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が挙げられる。
【0022】
2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキル又はアルケニルコハク酸等の2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
【0023】
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合の、ポリエステル樹脂の軟化点は、80〜150℃であることが好ましく、90〜140℃がより好ましい。
【0024】
結着樹脂としては、定着性が良好であることから熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂単独で使用するだけでなく、熱可塑性樹脂に架橋剤や熱硬化性樹脂を添加することができる。結着樹脂内に一部架橋構造を導入することにより、定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性、形態保持性、耐久性等を向上させることができる。
【0025】
熱可塑性樹脂と共に使用できる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂やシアネート系樹脂が好ましい。好適な熱硬化性樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用できる。
【0026】
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、50〜65℃が好ましく、50〜60℃がより好ましい。結着樹脂のガラス転移点が低すぎる場合、画像形成装置の現像部の内部でトナー同士が融着したり、保存安定性の低下により、トナー容器の輸送時や倉庫等での保管時にトナー同士が一部融着したりする場合がある。また、ガラス転移点が高すぎる場合、結着樹脂の強度が低下し、潜像担持体(感光体)にトナーが付着しやすい。ガラス転移点が高すぎる場合、トナーの低温定着性が低下する傾向がある。
【0027】
なお、結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置としてセイコーインスツルメンツ株式会社製示差走査熱量計DSC−6200を用い、吸熱曲線を測定することで求めることができる。測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25〜200℃、昇温速度10℃/minで常温常湿下にて測定して得られた吸熱曲線よりガラス転移点を求めることができる。
【0028】
〔着色剤〕
静電潜像現像用トナーに含まれる着色剤は、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。トナーに添加する好適な着色剤の具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等の黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等の赤色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等の白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等の体質顔料が挙げられる。これらの着色剤は、トナーを所望の色相に調整する目的等で2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0029】
着色剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的には、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。
【0030】
〔電荷制御剤〕
電荷制御剤は、トナーの帯電レベルや、所定の帯電レベルにトナーを短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
【0031】
電荷制御剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来よりトナーに使用されている電荷制御剤から適宜選択できる。正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディーブラック3RL等のアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの正帯電性の電荷制御剤の中では、より迅速な立ち上がり性が得られる点で、ニグロシン化合物が特に好ましい。これらの正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
【0032】
4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を官能基として有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの樹脂の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、オリゴマーであってもポリマーであってもよい。
【0033】
正帯電性の電荷制御剤として使用できる樹脂の中では、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる点から、4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂がより好ましい。4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂において、スチレン単位と共重合させる好ましいアクリル系コモノマーの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0034】
また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキル(メタ)アクリルアミド、又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ジアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としてはジメチルメタクリルアミドが挙げられ、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが挙げられる。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
【0035】
負帯電性の電荷制御剤の具体例としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物等が挙げられる。有機金属錯体、及びキレート化合物としては、アルミニウムアセチルアセトナートや鉄(II)アセチルアセトナート等のアセチルアセトン金属錯体、及び、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム等のサリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩がより好ましい。これらの負帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
【0036】
正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、典型的には、トナー全量を100質量部とした場合に、1.5〜15質量部が好ましく、2.0〜8.0質量部がより好ましく、3.0〜7.0質量部が特に好ましい。電荷制御剤の使用量が過少である場合、所定の極性にトナーを安定して帯電させ難いため、画像濃度の低下や、画像濃度の維持性が低下しやすくなる(画像濃度を長期にわたって維持することが困難になる)。また、かかる場合、電荷制御剤が均一に分散し難く、かぶりや潜像担持部の汚染が起こりやすくなる。電荷制御剤の使用量が過多である場合、耐環境性の悪化による、高温高湿下での帯電不良、及び画像不良や、潜像担持部の汚染等が起こりやすくなる。
【0037】
〔離型剤〕
静電潜像現像用トナーは、定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、離型剤を含んでいてもよい。トナーに添加する離型剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。離型剤としてはワックスが好ましく、ワックスの例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等が挙げられる。これらのワックスは2種以上を組み合わせて使用できる。かかる離型剤をトナーに添加することにより、オフセットや像スミアリング(画像をこすった際の画像周囲の汚れ)の発生をより効率的に抑制することができる。
【0038】
離型剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的な離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜5質量部が好ましい。離型剤の使用量が過少である場合、オフセットや像スミアリングの発生の抑制について所望の効果が得られない場合があり、離型剤の使用量が過多である場合、トナー同士の融着によって保存安定性が低下する場合がある。
【0039】
〔磁性粉〕
静電潜像現像用トナーは、所望により、結着樹脂中に磁性粉を配合することができる。トナーに配合する磁性粉の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。好適な磁性粉の例としては、フェライト、マグネタイト等の鉄;コバルト、ニッケル等の強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理等の強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
【0040】
磁性粉の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されない。具体的な磁性粉の粒子径は、0.1〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。かかる範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
【0041】
磁性粉は、結着樹脂中での分散性を改良する目的等で、チタン系カップリング剤やシラン系カップリング剤等の表面処理剤により表面処理されたものを使用できる。
【0042】
磁性粉の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的な磁性粉の使用量は、トナーを1成分現像剤として使用する場合、トナー全量を100質量部とした場合に、35〜60質量部が好ましく、40〜60質量部がより好ましい。磁性粉の使用量が過多である場合、長期間にわたり印刷する場合に画像濃度が低下しやすかったり、定着性が極度に低下したりする場合がある。磁性粉の使用量が過少である場合、かぶりが発生しやすかったり、長期間にわたり印刷する場合に画像濃度が低下しやすかったりする場合がある。また、トナーを2成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量を100質量部とした場合に、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0043】
〔樹脂微粉末〕
本発明では、外添剤としてスチレンアクリル系樹脂からなる樹脂微粉末を用いる。スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系単量体とアクリル系単量体とを含む単量体を付加重合させることにより調製できる。外添剤としてスチレンアクリル系樹脂からなる樹脂微粉末を用いることにより、低濃度の印刷を長期間に行う場合でも、画像濃度の低下や現像器の汚染が起こりにくく、かぶりを抑制しやすい。
【0044】
スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン等が挙げられる。アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0045】
スチレンアクリル系樹脂を製造する際、本発明の目的を阻害しない範囲で、スチレン系単量体、及びアクリル系単量体以外の、1以上の不飽和結合を有する単量体を用いることができる。スチレン系単量体、及びアクリル系単量体以外の単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物である。また、所望により、多官能の単量体として、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物を共重合させることもできる。
【0046】
スチレンアクリル系樹脂の製造方法は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されず、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等任意の方法を選択できる。これらの製造方法の中では、粒子径のそろった樹脂微粉末の調製が容易であることから、乳化重合法が好ましい。
【0047】
スチレンアクリル系樹脂を製造する際に使用できる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過酸化アセチル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の公知の重合開始剤を使用できる。これらの重合開始剤の使用量は、単量体の総量に対して0.1〜15質量%が好ましい。
【0048】
樹脂微粉末を乳化重合により製造する場合、乳化剤(界面活性剤)を使用して重合してもよく、無乳化剤(ソープフリー)系で重合してもよい。乳化重合に使用できる界面活性剤は、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0049】
カチオン系界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。アニオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム等の脂肪酸石けんや、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩類が挙げられる。ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
【0050】
樹脂微粉末の平均一次粒子径は、30〜300nmが好ましく、50〜150nmがより好ましい。樹脂微粉末の平均一次粒子径は、重合条件の調整や、公知の粉砕方法、分級方法等により調整することができる。樹脂微粉末の平均一次粒子径は、レーザー回折散乱式粒子径測定装置により測定できる。レーザー回折散乱式粒子径測定装置としては、例えば、LA−950(株式会社堀場製作所製)により測定できる。
【0051】
樹脂微粉末の使用量は、後述する方法により測定される脱離指数が30以下となる限り特に限定されない。典型的には、トナーの質量を100質量部とした場合に、0.3〜5質量部が好ましく、0.5〜2質量部がより好ましい。樹脂微粉末の使用量が過少である場合、かぶりが発生しやすくなる。樹脂微粉末の使用量が過多である場合、樹脂微粉末の脱離指数が高くなりやすく、現像器(現像スリーブ)の汚染による画像不良が起こりやすくなる。
【0052】
〔無機微粉末〕
本発明では外添剤として樹脂微粉末の他に無機微粉末を用いる。外添剤として用いる無機微粉末の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナー用の外添剤として使用されているから無機微粉末から適宜選択できる。好適な無機微粉末の具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物が挙げられる。これらの無機微粉末は、2種以上を組み合わせて使用できる。
【0053】
これらの無機微粉末の中では、トナーの流動性及び保存安定性の点からはシリカが好ましく、潜像担持部の表面のクリーニング性の点からは酸化チタンが好ましい。このため、無機微粉末として、シリカ、酸化チタン、及びこれらの混合物からなる群より選択されるものを用いるのが好ましい。
【0054】
無機微粉末の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、典型的には0.01〜1.0μmが好ましい。
【0055】
無機微粉末の体積固有の抵抗値は、無機微粉末の表面に酸化スズ及び酸化アンチモンからなる被覆層を形成し、被覆層の厚さや、酸化スズと酸化アンチモンとの比率を変えることにより調整できる。
【0056】
無機微粉末の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。無機微粉末の使用量は、典型的には、外添処理前のトナー粒子100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。無機微粉末の使用量が過少であると、トナーの疎水性が低下しやすい。その結果、高温高湿環境下において空気中の水分子の影響を受けやすくなり、トナーの帯電量の極端な低下、画像濃度の低下、及びトナーの流動性の低下等の問題が起こりやすくなる。また、無機微粉末の使用量が過多であると、トナーの過度のチャージアップにより画像濃度低下を招くおそれがある。
【0057】
無機微粉末は、疎水化処理剤により表面を処理したものを用いることができる。疎水化処理剤としては、例えば、アミノシランカップリング剤を用いることができる。アミノシランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。疎水化効果を補う為に、アミノシランカップリング剤と、アミノシランカップリング剤以外の疎水化処理剤とを併用できる。アミノシランカップリング剤以外の疎水化処理剤としては、疎水化効果、及びトナーの流動性の改良効果に優れることから、ヘキサメチルジシラザンを用いるのが好ましい。
【0058】
シリコーンオイルもまた、無機微粉末の疎水化処理剤として使用できる。シリコーンオイルの種類は、所望の疎水化効果が得られる限り、特に限定されず、従来から疎水化処理剤として用いられている種々のシリコーンオイルを使用できる。シリコーンオイルとしては、直鎖シロキサン構造を有するものが好ましく、非反応性シリコーンオイル、反応性シリコーンオイルの何れも使用できる。シリコーンオイルの具体例としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロロフェニルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、クロロシリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、アセトキシ基含有シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0059】
無機微粉末の疎水化処理の方法としては、無機微粉末を高速で撹拌しながら、疎水化処理剤であるアミノシラン、シリコーンオイル等を滴下又は噴霧する方法、撹拌されている疎水化処理剤の有機溶剤溶液中に無機微粉末を添加する方法が挙げられる。疎水化処理後に加熱することにより疎水化処理された無機微粉末が得られる。疎水化処理剤を滴下又は噴霧する場合、疎水化処理剤は、そのまま、又は、有機溶剤等により希釈して用いることができる。
【0060】
〔静電潜像現像用トナーの製造方法〕
静電潜像現像用トナーは、トナー母粒子の表面に、外添剤として前述の樹脂微粉末と無機微粉末とを付着させることにより製造される。
【0061】
静電潜像現像用トナーにおけるトナー母粒子は、結着樹脂に、着色剤と、必要に応じて、離型剤、電荷制御剤、磁性粉等の任意の成分とを配合した後に、粉砕・分級により所望の粒子径に調整して得られる。
【0062】
結着樹脂に、着色剤、離型剤、電荷制御剤、磁性粉等の成分を配合してトナー母粒子を製造する方法は、結着樹脂中にこれらの成分を良好に分散できる限り特に限定されない。トナー母粒子の好適な製造方法の具体例としては、結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤、磁性粉等の成分とを混合機等により混合した後、一軸又は二軸押出機等の混練機により結着樹脂と結着樹脂に配合される成分とを溶融混練し、冷却された混練物を粉砕・分級する方法が挙げられる。トナー母粒子の平均粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、一般的には5〜10μmが好ましい。
【0063】
外添剤をトナー母粒子の表面に付着させる方法は特に限定されず、従来知られる方法から適宜選択できる。具体的には、外添剤の粒子がトナー母粒子に埋め込まれないように処理条件を調整し、ヘンシェルミキサーやナウターミキサー等の混合機によって、外添剤による処理が行われる。
【0064】
なお、静電潜像現像用トナーの樹脂微粉末の脱離指数は30以下であるが、樹脂微粉末の脱離指数は、外添処理の条件を調整することにより調整できる。例えば、ヘンシェルミキサーやナウターミキサー等の混合機の撹拌装置の回転数を上げたり、処理時間を長くしたりすることにより脱離指数を低下させることができる。
【0065】
樹脂微粉末の脱離指数は、以下の方法に従って測定することができる。
<脱離指数測定方法>
アニオン系界面活性剤の濃度が7質量%である市販洗剤(花王株式会社製)と、蒸留水とを体積比1:1で混合した界面活性剤溶液100ml中にトナー1gを加えて、トナーを含む界面活性剤溶液を調製する。トナーを含む界面活性剤溶液に、超音波洗浄装置(UT−105S(シャープマニファクチャリングシステム株式会社製))により、周波数35kHz、出力100Wで30分超音波を照射してトナー分散液(1液)を得る。1液を3時間静置してトナーを沈殿させる。沈殿したトナーを浮遊させないように上澄み液を除いた後に、上述の界面活性剤溶液100mlを沈殿したトナーを含む上澄み液を除去した1液に加える。沈殿したトナーを含む界面活性剤溶液に1液の調製と同条件にて超音波を5分間照射してトナーを分散させてトナー分散液(2液)を調製する。1液、及び2液について、紫外可視分光光度計(UV−3100(株式会社島津製作所製))により透過率を測定し、波長400〜650nmの範囲における透過率の積分値から、波長400〜650nmにおける透過率の平均値を求める。得られた1液、及び2液の波長400〜650nmにおける透過率の平均値から、下式により、トナーからの樹脂微粉末の脱離指数を算出する。
【0066】
<脱離指数計算式>
脱離指数=(2液の透過率平均値/1液の透過率平均値−1)×100
【0067】
かかる測定方法によれば、1液を調製するための超音波照射により、もともとトナー粒子から遊離している樹脂微粉末のみならず、トナー粒子から容易に脱離する状態の樹脂微粉末も、トナー粒子から遊離した状態で1液中に分散する。そして、1液を3時間静置することにより、外添剤と比較して粒子径の大きなトナー粒子と、トナー粒子から遊離している比重の大きいシリカや酸化チタン等の無機微粉末とが沈降する。一方、トナーから脱離した樹脂微粉末は、粒子径、及び比重が小さいために1液の上澄み液中に浮遊し続ける。従って、1液の上澄み液を除去することにより、トナーから容易に脱離する樹脂微粉末が除去される。
【0068】
また、1液を調製する際の超音波照射により、容易にトナー粒子から脱離する無機微粉末は、ほぼ全量が脱離している。このため、2液の調製時の超音波処理によって、遊離している無機微粉末の量はほとんど変化しない。つまり、1液及び2液に含まれる、トナー粒子の量、及び遊離している無機微粉末の量とはほとんど変化しない。
【0069】
そして、図1に、脱離指数の測定に用いる界面活性剤100質量部中にスチレンアクリル系樹脂微粉末0.01質量部を分散させた場合の波長400〜650nmにおける透過率を示すが、図1によればスチレンアクリル系樹脂は、波長400〜650nmにおいて吸収を有することが分かる。このため、トナー粒子から脱離して遊離しているスチレンアクリル系樹脂からなる樹脂微粉末を含む1液は、樹脂微粉末を含まない2液よりも透過率が低くなる。また、1液中の樹脂微粉末の量が多ければ多いほど、1液の透過率は低くなる。従って、1液中の樹脂微粉末の量が多いほど、2液の透過率平均値/1液の透過率平均値の値が大きくなり、脱離指数の値も大きくなる。よって、上記式によりもとめられる脱離指数は、もともと遊離しているか、トナー粒子から容易に脱離する樹脂微粉末の、トナー1g当たりの含有量の指標となる。
【0070】
〔キャリア〕
静電潜像現像用トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いるのが好ましい。
【0071】
静電潜像現像用トナーを2成分現像剤とする場合の好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂により被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、コバルト等の粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、アルミニウム等との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金等の粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム等のセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩等の高誘電率物質の粒子、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリア等が挙げられる。
【0072】
キャリア芯材を被覆する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0073】
キャリアの粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、電子顕微鏡により測定される粒子径で、20〜120μmが好ましく、25〜80μmがより好ましい。
【0074】
キャリアの見掛け密度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。見掛け密度は、キャリアの組成や表面構造によって異なるが、典型的には、2.0〜2.5g/cmが好ましい。
【0075】
本発明の静電潜像現像用トナーを2成分現像剤として用いる場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%が好ましい。2成分現像剤におけるトナーの含有量をかかる範囲とすることにより、適度な画像濃度を維持し、トナー飛散の抑制によって画像形成装置内部の汚染や転写紙等へのトナーの付着を抑制できる。
【0076】
以上説明した、本発明の静電潜像現像用トナーによれば、かぶりの発生を抑制でき、長期間にわたって印刷する場合の画像濃度の低下や現像器の汚染による画像不良の発生を抑制できる。このため、本発明の静電潜像現像用トナーは、種々の画像形成装置において好適に使用される。
【実施例】
【0077】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0078】
実施例、及び比較例において結着樹脂として使用するポリエステル樹脂を以下の処方に従い製造した。
【0079】
〔ポリエステル樹脂製造例〕
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1960g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物780g、ドデセニル無水コハク酸257g、テレフタル酸770、及び酸化ジブチル錫4gを反応容器に仕込んだ。窒素雰囲気下で235℃まで昇温し、同温度で8時間反応を行った後、8.3kPaに減圧して同温度で1時間反応を行った。次いで、反応生成物を180℃まで冷却した後、無水トリメリット酸を添加してポリエステル樹脂の酸価を所望の値に調整した。その後、10℃/時間の速度で210℃まで昇温し、同温度で反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
【0080】
〔実施例1〕
(トナー母粒子調製)
ポリエステル樹脂87質量部、離型剤(エステルワックスWEP−3:日油株式会社製)5質量部、正帯電性電荷制御剤(ボントロンP−51(4級アンモニウム塩):オリヱント化学工業株式会社製)3質量部、及びカーボンブラック(MA−100:三菱化学株式会社製)5質量部を、ヘンシェルミキサーにて混合した。得られた混合物を2軸押出機にて溶融混練した後に冷却し、ハンマーミルにて粗粉砕した。粗粉砕された粉体を機械式粉砕機にてさらに微粉砕した後に、気流式分級機により分級し、体積平均粒径7.0μmのトナー母粒子を得た。
【0081】
(トナー調製)
トナー母粒子、及び、トナー母粒子の質量に対して1.5質量%のシリカ(REA200(日本アエロジル株式会社製))と、0.5質量%の酸化チタン(ST−100(チタン工業株式会社製))と、1.0質量%の樹脂微粉末(FS−102、スチレンアクリル系樹脂(日本ペイント株式会社製)、平均一次粒子径100nm)とを、翼周速度40m/秒、混合時間15分、ジャケット冷却水温20℃の条件にてヘンシェルミキサーにより混合して、シリカと、酸化チタンと、樹脂微粉末とをトナー母粒子の表面に付着させてトナーを得た。得られたトナーの樹脂微粉末の脱離指数を下記方法に従って測定した。実施例1のトナーの樹脂微粉末の脱離指数を表1に記す。
【0082】
<脱離指数測定方法>
界面活性剤の濃度が7質量%である市販洗剤(花王株式会社製)と、蒸留水とを体積比1:1で混合した界面活性剤溶液中にトナー1gを加えて、トナーを含む界面活性剤溶液を得た。トナーを含む界面活性剤容器に、超音波洗浄装置(UT−105S)により、周波数35kHz、出力100Wで30分超音波を照射してトナー分散液(1液)を得た。1液を3時間静置してトナー沈殿させた。沈殿したトナーを浮遊させないように上澄み液を除いた後に、上述の界面活性剤溶液100mlを沈殿したトナーに加えた。沈殿したトナーを含む界面活性剤溶液に1液の調製と同条件にて超音波を5分間照射してトナーを分散させてトナー分散液(2液)を調製した。1液、及び2液について、紫外可視分光光度計(UV−3100(株式会社島津製作所製))により透過率を測定し、波長400〜650nmの範囲における透過率の積分値から、波長400〜650nmにおける透過率の平均値を求めた。得られた1液、及び2液の波長400〜650nmにおける透過率の平均値から、下式により、トナーからの樹脂微粉末の脱離指数を算出した。
【0083】
<脱離指数計算式>
脱離指数=(2液の透過率平均値/1液の透過率平均値−1)×100
【0084】
(2成分現像剤調製)
ページプリンター(FS−C5400DN(京セラミタ株式会社製))に使用される現像剤に使用されているキャリア(平均粒子径45μm)と、フェライトキャリアの質量に対して8質量%のトナーとを、ボールミルにて30分間混合して2成分現像剤を調製した。得られた2成分現像剤を用いて、下記方法に従って、実施例1のトナーの画像濃度、かぶりの発生、現像器の汚染について評価した。表1に実施例1の画像濃度、かぶりの発生、及び現像器の汚染の評価結果を記す。
【0085】
<画像濃度>
常温常湿環境(20℃、65%RH)にて、ページプリンター(FS−C5400DN(京セラミタ株式会社製))により画像評価パターンを印字して初期画像を得た。その後、常温常湿環境(20℃、65%RH)にて印字率0.1%で10万枚連続印字した後に、画像評価パターンを印字した。初期画像、及び10万枚印字後に印字された画像評価パターンにおけるソリッド画像の画像濃度を、反射濃度計(RD914、グレタグマクベス社製)により測定した。画像濃度1.30以上を○と判定し、画像濃度1.30未満を×と判定した。
【0086】
<かぶりの発生>
画像濃度評価において得た、初期、及び10万枚印字後の画像評価パターンが印字された用紙の、非画像部の画像濃度を反射濃度計(RD914、グレタグマクベス社製)により測定した。濃度0.010以下を○と判定し、濃度0.010超を×と判定した。
【0087】
<現像器の汚染>
画像濃度評価における、10万枚連続印字後に、現像器内のスリーブローラーへの付着物の付着量を目視により観察した。評価基準は以下の通りである。
○:付着物が観察されない。
△:わずかに付着物が観察される。
×:多量の付着物が観察される。
【0088】
〔実施例2、実施例3、及び比較例1〜3〕
トナーに対する外添剤の外添条件を、表1に記載の条件に変えることの他は、実施例1と同様にして、トナー母粒子、トナー、及び2成分現像剤を調製した。実施例2、実施例3、及び比較例1〜3のトナーについて、実施例1と同様に樹脂微粉末の脱離指数を測定した。また、実施例2、実施例3、及び比較例1〜3のトナーを含む2成分現像剤を用いて、実施例2、実施例3、及び比較例1〜3のトナーの画像濃度、かぶりの発生、及び現像器の汚染について評価した。実施例2、及び実施例3のトナーの評価結果を表1に記し、比較例1〜3のトナーの評価結果を表2に記す。
【0089】
〔実施例4、及び比較例4〕
樹脂微粉末を(スチレンアクリル系樹脂(日本ペイント株式会社製のサンプル品)、平均一次粒子径70nm)に変え、外添条件を、表1、又は表2に記載の条件に変えることの他は、実施例1と同様にして、トナー母粒子、トナー、及び2成分現像剤を調製した。実施例4、及び比較例4のトナーについて、実施例1と同様に樹脂微粉末の脱離指数を測定した。また、実施例4、及び比較例4のトナーを含む2成分現像剤を用いて、実施例4、及び比較例4のトナーの画像濃度、かぶりの発生、及び現像器の汚染について評価した。実施例4のトナーの評価結果を表1に記し、比較例4のトナーの評価結果を表2に記す。
【0090】
〔実施例5、及び比較例5〕
樹脂微粉末を(スチレンアクリル系樹脂(日本ペイント株式会社製のサンプル品)、平均一次粒子径150nm)に変え、外添条件を、表1、又は表2に記載の条件に変えることの他は、実施例1と同様にして、トナー母粒子、トナー、及び2成分現像剤を調製した。実施例5、及び比較例5のトナーについて、実施例1と同様に樹脂微粉末の脱離指数を測定した。また、実施例5、及び比較例5のトナーを含む2成分現像剤を用いて、実施例5、及び比較例5のトナーの画像濃度、かぶりの発生、及び現像器の汚染について評価した。実施例5のトナーの評価結果を表1に記し、比較例5のトナーの評価結果を表2に記す。
【0091】
〔比較例6〕
樹脂微粉末をポリエステル樹脂の微粉末((日本ペイント株式会社製のサンプル品)、平均一次粒子径250nm)に変え、外添条件を、表2に記載の条件に変えることの他は、実施例1と同様にして、トナー母粒子、トナー、及び2成分現像剤を調製した。比較例6のトナーについては、樹脂微粉末の素材がスチレンアクリル系樹脂でないため脱離指数を測定できなかった。また、比較例6のトナーを含む2成分現像剤を用いて、比較例6のトナーの画像濃度、かぶりの発生、及び現像器の汚染について評価した。比較例6のトナーの評価結果を表2に記す。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
例えば、実施例1と実施例2との比較から、同じ粒子径の樹脂微粉末を用いる場合、外添処理時の翼の周速度を速め、撹拌の強さを高めるほど、トナーにおける樹脂微粉末の脱離指数が下がることが分かる。また、実施例2と実施例3との比較から、翼の周速度が同一の場合、混合時間を長くするほど、トナーにおける樹脂微粉末の脱離指数が下がることが分かる。
【0095】
表1によれば、無機微粉末と樹脂微粉末とが外添され、樹脂微粉末の脱離指数が30以下である実施例1〜5のトナーは、かぶりの発生が抑制され、低濃度の印刷を長期間に行った後でも画像濃度の低下や現像器の汚染が起こりにくいことが分かる。
【0096】
表2によれば、比較例1〜5から、樹脂微粉末の脱離指数が30を超える場合、低濃度の印刷を長期間に行った後に画像濃度が低下し、現像器の汚染が起こりやすいことが分かる。また、比較例2〜5によれば、特に、樹脂微粉末の脱離指数が50を超えるような場合には、画像濃度の低下や、現像器の汚染に加え、かぶりが起こりやすいことが分かる。
【0097】
また、比較例6によれば、樹脂微粉末としてスチレンアクリル系樹脂微粉末ではなく、ポリエステル樹脂微粉末を用いる場合、低濃度の印刷を長期間に行った後に、画像濃度の低下や現像器の汚染が起こりやすいことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂と着色剤とを含むトナー母粒子の表面に無機微粉末と樹脂微粉末とが付着しており、
前記樹脂微粉末がスチレンアクリル系樹脂であり、
下記1)〜8)の工程により測定される、前記樹脂微粉末のトナーからの脱離指数が30以下である、静電潜像現像用トナー。
1)濃度7質量%のアニオン系界面活性剤水溶液と、蒸留水とを体積比1:1で混合した界面活性剤溶液100ml中にトナー1gを加えて、トナーを含む界面活性剤溶液を調製する工程、
2)前記トナーを含む界面活性剤溶液に、周波数35kHz、出力100Wで30分超音波を照射してトナー分散液(1液)を得る工程、
3)前記1液を3時間静置してトナーを沈殿させる工程、
4)沈殿したトナーを浮遊させないように前記1液から上澄み液を除く工程、
5)上澄み液が除かれた前記1液中の沈殿に、前記界面活性剤溶液100mlを加える工程、
6)沈殿したトナーを含む界面活性剤溶液に前記1液の調製と同条件にて超音波を5分間照射してトナーを分散させてトナー分散液(2液)を調製する工程、
7)前記1液、及び前記2液について、紫外可視分光光度計により透過率を測定し、波長400〜650nmの範囲における透過率の積分値から、波長400〜650nmにおける透過率の平均値を求める工程、及び
8)得られた1液、及び2液の波長400〜650nmにおける透過率の平均値から、下式:
脱離指数=(2液の透過率平均値/1液の透過率平均値−1)×100
により、トナーからの樹脂微粉末の脱離指数を算出する工程。
【請求項2】
前記樹脂微粉末の含有量が、静電潜像現像用トナー100質量部に対して0.3〜5質量部である、請求項1記載の静電潜像現像用トナー。
【請求項3】
前記樹脂微粉末の含有量が、静電潜像現像用トナー100質量部に対して0.5〜2質量部である、請求項2記載の静電潜像現像用トナー。
【請求項4】
前記樹脂微粉末の平均一次粒子径が30〜300nmである、請求項1〜3何れか記載の静電潜像現像用トナー。
【請求項5】
前記無機微粉末が、シリカ、酸化チタン、及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜4何れか記載の静電潜像現像用トナー。

【図1】
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