説明

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

【課題】色筋の発生を抑制した静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【解決手段】トナー粒子と、平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2より大きい外添剤と、を有する静電荷像現像用トナーを適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも結着樹脂、着色剤からなるトナー母体粒子に無機微粒子を外添させてなる画像形成用トナーであって、前記トナー母体粒子に、粒度分布における体積分布の変動係数が50%以下の無機微粒子を湿式処理により付着してなることを特徴とする画像形成用トナーが提案されている。
【0003】
特許文献2には、少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体とし、分級により粗粒子と微粒子を除去してなる静電荷像現像用トナーにおいて、外添剤として、真円度1.00〜1.30、平均一次粒子径0.05〜0.45μm、一次粒子径の標準偏差/平均値の比0.25以下の無機微粒子が添加されてなることを特徴とする静電荷像現像用トナーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−266557号公報
【特許文献2】特開2007−199579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、色筋の発生を抑制した静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、トナー粒子と、平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2より大きい外添剤と、を有する静電荷像現像用トナーである。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記外添剤の平均円形度が0.5以上である請求項1に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤である。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーを収納し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項3に記載の静電荷像現像剤を収納し、像保持体の表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0011】
請求項6に係る発明は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、請求項3に記載の静電荷像現像剤を収納し、前記静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記像保持体の表面をクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置。
【0012】
請求項7に係る発明は、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、前記像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、請求項3に記載の静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記像保持体の表面をクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2より大きい外添剤を有さない場合に比べ、色筋の発生が抑制された静電荷像現像用トナーが得られる。
請求項2に係る発明によれば、外添剤の平均円形度が0.5未満である場合に比べ、色筋の発生が抑制された静電荷像現像用トナーが得られる。
請求項3に係る発明によれば、平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2以下の外添剤を有する静電荷像現像用トナーを適用する場合に比べ、色筋の発生が抑制された静電荷像現像剤が得られる。
【0014】
請求項4,5,6,7に係る発明によれば、平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2以下の外添剤を有する静電荷像現像用トナーを適用する場合に比べ、色筋の発生が抑制されたトナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
【0017】
[静電荷像現像用トナー]
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称する場合がある)は、トナー粒子と、平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2より大きい外添剤と、を有する。
【0018】
本実施形態に係るトナーは、上記の構成をとることにより、色筋の発生を抑制する。
この理由は、定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
【0019】
まず、従来、機械的な負荷により、外添剤がトナー粒子へ埋没することを抑制する目的で、外添剤として、球状の大径外添剤が用いられている。しかしトナーの外添剤として使用されてきた、円形度が1.0に近い球状の外添剤は、クリーニングブレードをすり抜けやすく、色筋が発生する原因となっている。
一方で、外添剤を異形状にした場合、クリーニングブレードに対する掻き取り性が向上することから外添剤のすり抜けは抑制されやすい。
しかし、異形状の外添剤は、同パターン画像を連続して形成すると、クリーニングブレードと像保持体との接する部分のうち、画像部ではトナー粒子及び外添剤が滞留するのに対し、非画像部では、トナー粒子及び外添剤が滞留し難い状態で画像出力が続くこととなる。
このため、クリーニングブレードと像保持体とが接した部分には、像保持体の軸方向において、トナー粒子又は外添剤が存在する領域が偏在しやすくなり、その結果、局所的に摩擦係数が上昇する領域が発生し、色筋が発生しやすくなる。
この色筋は、特に低温低湿下(例えば、10℃、10%RH)で、低画像密度(低エリアカバレッジ)で、同パターン画像を連続して形成した場合に、顕著に発生しやすい。
【0020】
これに対して、本実施形態に係るトナーにおいては、平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2より大きい外添剤、つまり、異形で、かつ、円形度の分布が広い外添剤を適用する。
ここで、円形度の分布が広い外添剤とは、異形の度合いが幅広い外添剤をいい、具体的には、異形の度合いが大きいものから小さいものまで存在する外添剤であることをいう。
【0021】
外添剤は、円形度の分布を広くすることで、クリーニングブレードに滞留しにくく非画像部まで移動する外添剤(異形の度合いが小さい外添剤)から、クリーニングブレードに滞留しやすく移動しにくい外添剤(異形の度合いが大きい外添剤)までを含むこととなる。
すなわち、外添剤の平均円形度を0.9以下の異形状とすることでクリーニングブレードでのすり抜けを抑制した上で、クリーニングブレードと像保持体とが接した部分において、画像部から非画像部へ一部の外添剤が移動してくるため、クリーニングブレードと像保持体とが接した部分には像保持体の軸方向において、外添剤が偏在することなく、滞留しやすくなると考えられる。その結果、クリーニングブレードと像保持体との接する部分の像保持体の軸方向において局所的に摩擦係数が上昇する領域が発生することが抑制されると考えられる。
【0022】
以上から、本実施形態に係るトナーでは、色筋の発生が抑制されると考えられる。
【0023】
なお、本実施形態に係るトナーでは、クリーニングブレードと像保持体との接する部分において、局所的に摩擦係数が上昇する領域が発生することを抑制することにより、異音やクリーニングブレードの傷、クリーニングブレードのめくれの発生も抑制されると考えられる。
【0024】
以下、本実施形態に係るトナーを詳細に説明する。
【0025】
[外添剤]
まず、外添剤について説明する。
外添剤としては、平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2より大きいものを適用する。
【0026】
(平均粒径)
外添剤の平均粒径は、70nm以上400nm以下であり、100nm以上300nm以下であることがよく、望ましくは120nm以上200nm以下である。
外添剤の平均粒径が400nmより小さいと、経時での脱離が抑制され、トナー粒子に付着し易くなり、また、クリーニングブレードのすり抜けが抑制される。
一方、平均粒径が70nm以上であると、外添剤はトナー粒子へ埋没しにくくなる。
【0027】
外添剤の平均粒径は、トナー粒子表面を観察し、100個の外添剤(粒子)について観察し、観察したトナー粒子表面の画像を画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事株式会社)を用いて解析することで、算出した。外添剤の平均粒径とは一次粒子の画像解析によって得られた円相当径の累積頻度における50%径(D50v)を意味する。 、
【0028】
(平均円形度)
外添剤の平均円形度は、0.9以下であり、0.85以下であることがよく、さらに、0.80以下であることが望ましい。外添剤の平均円形度が0.9以下であると、外添剤の形状が異形状となり、球状でなくなっていくため、クリーニングブレードにおけるすり抜けが抑制されて、色筋の発生が抑制されると考えられる。
一方で、外添剤の平均円形度は、0.5以上であることがよく、0.60以上であることがより望ましく、さらに、0.65以上であることが望ましい。平均円形度が0.5以上であると、外添剤のアスペクト比が小さい形状となり、機械的負荷が加わった時でも外添剤が欠損しにくくなる。そのため、例えば、クリーニングブレードと像保持体との接する部分から欠損した外添剤が抜け、そこに、外添剤に比べて硬度が低くクリーニングブレードによる圧力に弱いトナー粒子が入り込む結果、トナー粒子がクリーニングブレードに潰されて色筋が発生する、といった現象が抑制されると考えられる。
なお、外添剤は、平均円形度が0.5以上の場合に、製造が容易となる。
【0029】
平均円形度の測定は、100個の外添剤について40000倍で観察し、観察したトナー粒子表面の画像を画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事株式会社)を用いて画像解析することにより行う。
解析された画像から円相当径周囲長及び周囲長を求めた上で、下記式に従って各々の外添剤の円形度を求め、それらを平均して求める(平均粒径の算出と同様)。
円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(Aπ)1/2]/PM
【0030】
上式において、Aは外添剤の投影面積、PMは外添剤の周囲長を表す。
円形度は、1.0の場合は真球であり、数値が低いほど外周に凹凸があり、異形の度合いが高くなる。
【0031】
(円形度の標準偏差)
外添剤の円形度の標準偏差は、0.2より大きいが、0.22以上がより望ましい。ここで、円形度の分布は広いほどよいと考えられるので、円形度の標準偏差は、大きいほど望ましいが、各円形度を持った粒子の存在割合が大きく偏ってしまうため、上限は0.3であることがよい。
外添剤の円形度の標準偏差は、0.2より大きくすることにより、色筋の発生が抑制されると考えられる。
【0032】
外添剤の円形度の標準偏差は前述の各々の外添剤の円形度から算出する。具体的には得られた一次粒子の円形度に対して、各粒子の円形度と平均円形度との差の2乗和を求めて全粒子数で割り、その値の平方根を取ったものとして算出される。
【0033】
(材料)
外添剤の材料としては、本実施形態に係るトナーによる効果は、平均粒径、平均円形度及び円形度の標準偏差によって機械的に奏されるものであることから、上記の平均粒径、平均円形度、及び円形度の標準偏差を満たす外添剤であれば、材料は特に限定されず、公知の材料が適用される。以下では、適用され得る外添剤の材料について説明する。
【0034】
外添剤としては、無機粒子、有機粒子等、周知のものが挙げられる。無機粒子としては、具体的には、例えば、シリカ(例えば、フュームドシリカ、ゾルゲルシリカ等)、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化鉄等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子があげられ、有機粒子としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。
【0035】
(外添剤の作製方法)
外添剤の作製方法の一例としては、ゾルゲル法が挙げられる。
以下、ゾルゲル法による外添剤の作製方法を「ゾルゲルシリカの製造方法」と称して説明する。
【0036】
ゾルゲルシリカの製造方法は、アルコールを含む溶媒中に、0.6mol/L以上0.87mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程(以下、「アルカリ触媒溶液準備工程」と称することがある)と、前記アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランを供給すると共に、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対して0.1mol以上0.4mol以下でアルカリ触媒を供給する工程(以下、「粒子生成工程」と称することがある)と、を有する。
【0037】
つまり、この製造方法では、上記濃度のアルカリ触媒が含まれるアルコールの存在下に、原料であるテトラアルコキシシランと、別途、触媒であるアルカリ触媒と、をそれぞれ上記関係で供給しつつ、テトラアルコキシシランを反応させて、シラン粒子を生成する方法である。
本ゾルゲルシリカの製造方法では、上記手法により、粗大凝集物の発生が少なく、円形度の低いゾルゲルシリカが得られる。この理由は、定かではないが以下の理由によるものと考えられる。
【0038】
まず、アルコールを含む溶媒中にアルカリ触媒が含まれる、アルカリ触媒溶液を準備し、この溶液中にテトラアルコキシシランとアルカリ触媒とをそれぞれ供給すると、アルカリ触媒溶液中に供給されたテトラアルコキシシランが反応して、核粒子が生成される。このとき、アルカリ触媒溶液中のアルカリ触媒濃度が上記範囲にあると、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、円形度の低い核粒子が生成すると考えられる。これは、アルカリ触媒は、触媒作用の他に、生成される核粒子の表面に配位し、核粒子の形状、分散安定性に寄与するが、その量が上記範囲内であると、アルカリ触媒が核粒子の表面を均一に覆わないため(つまりアルカリ触媒が核粒子の表面に偏在して付着するため)、核粒子の分散安定性は保持するものの、核粒子の表面張力及び化学的親和性に部分的な偏りが生じ、円形度の低い核粒子が生成されると考えられるためである。
【0039】
そして、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給をそれぞれ続けていくと、テトラアルコキシシランの反応により、生成した核粒子が成長し、シラン粒子が得られる。ここで、このテトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給を、その供給量を上記関係で維持しつつ行うことで、2次凝集物等の粗大凝集物の生成を抑制しつつ、円形度の低い核粒子がその異形性を保ったまま粒子成長し、結果、円形度の低いゾルゲルシリカが生成されると考えられる。これは、このテトラアルコキシシランとアルカリ触媒との供給量を上記関係とすることで、核粒子の分散を保持しつつも、核粒子表面における張力と化学的親和性の部分的な偏りが保持されることから、異形性を保ちながらの核粒子の粒子成長が生じると考えられるためである。
【0040】
以上から、本ゾルゲルシリカの製造方法では、粗大凝集物の発生が少なく、円形度の低いゾルゲルシリカが得られると考えられる。
【0041】
ここで、テトラアルコキシシランの供給量は、ゾルゲルシリカの粒度分布や円形度に関係すると考えられる。テトラアルコキシシランの供給量を、0.0055mol/(mol・min)以上0.009mol/(mol・min)以下とすることで、粒子成長段階におけるテトラアルコキシシランと核粒子との接触確率を下げ、テトラアルコキシシランが核粒子に偏りなく供給される前に、テトラアルコキシシランと核粒子との反応を生じさせ得ると考えられる。つまり、テトラアルコキシシランと核粒子との反応が偏ると考えられる。そのため、核粒子へのテトラアルコキシシランの供給の偏在化を助長し、粒子成長のバラツキをもたらすと考えられる。
その結果、ゾルゲルシリカの平均円形度は0.9以下であり、かつ、異形の度合いが幅広い円形度の標準偏差が0.2より大きいゾルゲルシリカを製造し得ると考えられる。
なお、ゾルゲルシリカの平均粒径は、テトラアルコキシシランの総供給量に依存すると考えられる。
【0042】
また、本ゾルゲルシリカの製造方法では、異形状の核粒子を生成させ、この異形状を保ったまま核粒子を成長させてゾルゲルシリカが生成されると考えられることから、機械的負荷に対する形状安定性が高い異形状のゾルゲルシリカが得られると考えられる。
つまり、本ゾルゲルシリカの製造方法では、生成した異形状の核粒子が異形状を保ったまま粒子成長され、ゾルゲルシリカが得られると考えられることから、機械的負荷に強く、壊れ難いゾルゲルシリカが得られると考えられる。
【0043】
また、本ゾルゲルシリカの製造方法では、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランとアルカリ触媒とをそれぞれ供給することで、テトラアルコキシシランの反応を生じさせて、粒子生成を行っていることから、従来のゾルゲル法による異形シリカ粒子を製造する場合に比べ、総使用アルカリ触媒量が少なくなり、その結果、アルカリ触媒の除去工程の省略も実現される。これは、特に、高純度が求められる製品にゾルゲルシリカを適用する場合に有利である。
【0044】
次に、アルカリ触媒溶液準備工程について説明する。
アルカリ触媒溶液準備工程は、アルコールを含む溶媒を準備し、これにアルカリ触媒を添加して、アルカリ触媒溶液を準備する。
【0045】
アルコールを含む溶媒は、アルコール単独の溶媒であってもよいし、必要に応じて水、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の他の溶媒との混合溶媒であってもよい。
混合溶媒の場合、アルコールの他の溶媒に対する量は80質量%以上(望ましくは90質量%以上)であることがよい。
なお、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
【0046】
一方、アルカリ触媒としては、テトラアルコキシシランの反応(加水分解反応、縮合反応)を促進させるための触媒であり、例えば、アンモニア、尿素、モノアミン、四級アンモニウム塩等の塩基性触媒が挙げられ、特にアンモニアが望ましい。
【0047】
アルカリ触媒の濃度(含有量)は、0.6mol/L以上0.87mol/Lであり、望ましくは0.63mol/L以上0.78mol/Lであり、より望ましくは0.66mol/L以上0.75mol/Lである。
アルカリ触媒の濃度が、0.6mol/Lより少ないと、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成されたり、ゲル化状となったりして、粒度分布が悪化することがある。
一方、アルカリ触媒の濃度が、0.87mol/Lより多いと、生成した核粒子の安定性が過大となり、真球状の核粒子が生成され、平均円形度が0.90以下の異形状の核粒子を得ることが困難となる。
なお、アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルカリ触媒+アルコールを含む溶媒)に対する濃度である。
なお、アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルカリ触媒+アルコールを含む溶媒)に対する濃度である。
【0048】
粒子生成工程について説明する。
粒子生成工程は、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランと、アルカリ触媒と、をそれぞれ供給し、当該アルカリ触媒溶液中で、テトラアルコキシシランを反応(加水分解反応、縮合反応)させて、本ゾルゲルシリカを生成する工程である。
この粒子生成工程では、テトラアルコキシシランの供給初期に、テトラアルコキシシランの反応により、核粒子が生成した後(核粒子生成段階)、この核粒子の成長を経て(核粒子成長段階)、本ゾルゲルシリカが生成する。
【0049】
アルカリ触媒溶液中に供給するテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられるが、反応速度の制御性や得られるゾルゲルシリカの形状、粒径、粒度分布等の点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランがよい。
【0050】
テトラアルコキシシランの供給量は、アルカリ触媒溶液中のアルコールに対して、0.0055mol/(mol・min)以上0.009mol/(mol・min)以下とする。
これは、アルカリ触媒溶液を準備する工程で用いたアルコール1molに対して、1分間当たり0.0055mol以上0.009mol以下の供給量でテトラアルコキシシランを供給することを意味する。
テトラアルコキシシランの供給量を上記範囲とすることで、平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2より大きいゾルゲルシリカが生成され易くなる。
なお、ゾルゲルシリカの粒径については、テトラアルコキシシランの種類や、反応条件にもよるが、粒子生成の反応に用いるテトラアルコキシシランの総供給量を、例えばゾルゲルシリカ分散液1Lに対し0.756mol以上とすることで、粒径が70nm以上の一次粒子が得られ、ゾルゲルシリカ分散液1Lに対し4.4mol以下とすることで、粒径が400nm以下の一次粒子が得られる。
【0051】
テトラアルコキシシランの供給量が、0.0055mol/(mol・min)より少ないと、比較的、分布がシャープなシリカを作成しやすい
一方で、テトラアルコキシシランの供給量が、0.009mol/(mol・min)以上であると、反応に対する供給量が過剰となり反応系がゲル化しやすく核粒子形成や粒子成長を阻害しやすい。
【0052】
テトラアルコキシシランの供給量は、0.006mol/(mol・min)以上0.0085mol/(mol・min)以下がよく、より望ましくは、より望ましくは、0.006mol/(mol・min)以上0.008mol/(mol・min)以下である。
【0053】
一方、アルカリ触媒溶液中に供給するアルカリ触媒は、上記例示したものが挙げられる。この供給するアルカリ触媒は、アルカリ触媒溶液中に予め含まれるアルカリ触媒と同じ種類のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよいが、同じ種類のものであることがよい。
【0054】
アルカリ触媒の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1mol当たりに対して0.1mol以上0.4mol以下とし、望ましくは0.14mol以上0.35mol以下、より望ましくは0.18mol以上0.30mol以下である。
アルカリ触媒の供給量が、0.1molより少ないと、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が不安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成さたり、ゲル化状となったりして、粒度分布が悪化することがある。
一方、アルカリ触媒の供給量が、0.4molより多いと、生成した核粒子の安定性が過大となり、核粒子生成段階で円形度の低い核粒子が生成されても、その核粒子成長段階で核粒子が球状に成長し、円形度の低いゾルゲルシリカが得られない場合がある。
【0055】
ここで、粒子生成工程において、アルカリ触媒溶液中に、テトラアルコキシシランと、アルカリ触媒と、をそれぞれ供給するが、この供給方法は、連続して供給する方式であってもよいし、間欠的に供給する方式であってもよい。
【0056】
また、粒子生成工程において、アルカリ触媒溶液中の温度(供給時の温度)は、例えば、5℃以上50℃以下であることがよく、望ましくは15℃以上40℃以下の範囲である。
【0057】
以上の工程を経て、ゾルゲルシリカが得られる。この状態で、得られるゾルゲルシリカは、分散液の状態で得られるが、溶媒を除去してゾルゲルシリカの粉体として取り出す。
【0058】
ゾルゲルシリカ分散液の溶媒除去方法としては、1)濾過、遠心分離、蒸留などにより溶媒を除去した後、真空乾燥機、棚段乾燥機などにより乾燥する方法、2)流動層乾燥機、スプレードライヤーなどによりスラリーを直接乾燥する方法など、公知の方法が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、望ましくは200℃以下である。200℃より高いとゾルゲルシリカ表面に残存するシラノール基の縮合による一次粒子同士の結合や粗大粒子の発生が起こり易くなる。
乾燥されたゾルゲルシリカは、必要に応じて解砕、篩分により、粗大粒子や凝集物の除去を行うことがよい。解砕方法は、特に限定されないが、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、ピンミルなどの乾式粉砕装置により行う。篩分方法は、例えば、振動篩、風力篩分機など公知のものにより行う。
【0059】
本ゾルゲルシリカの製造方法により得られるゾルゲルシリカは、疎水化処理剤によりゾルゲルシリカの表面を疎水化処理して用いていてもよい。
疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を有する公知の有機珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラザン化合物(例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどのシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等)等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種で用いてもよいし、複数種用いてもよい。
これら疎水化処理剤の中でも、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチル基を有する有機珪素化合物が好適である。
【0060】
疎水化処理剤の使用量は、特に限定はされないが、疎水化の効果を得るためには、例えば、ゾルゲルシリカに対し、1質量%以上100質量%以下、望ましくは5質量%以上80質量%以下である。
【0061】
疎水化処理剤による疎水化処理が施された疎水性ゾルゲルシリカ分散液を得る方法としては、例えば、ゾルゲルシリカ分散液に疎水化処理剤を必要量添加し、攪拌下において30℃以上80℃以下の温度範囲で反応させることで、ゾルゲルシリカに疎水化処理を施し、疎水性ゾルゲルシリカ分散液を得る方法が挙げられる。この反応温度が30℃より低温では疎水化反応が進行し難く、80℃を越えた温度では疎水化処理剤の自己縮合による分散液のゲル化やゾルゲルシリカ同士の凝集などが起り易くなることがある。
【0062】
一方、粉体の疎水性ゾルゲルシリカを得る方法としては、上記方法で疎水性ゾルゲルシリカ分散液を得た後、上記方法で乾燥して疎水性ゾルゲルシリカの粉体を得る方法、ゾルゲルシリカ分散液を乾燥して親水性ゾルゲルシリカの粉体を得た後、疎水化処理剤を添加して疎水化処理を施し、疎水性ゾルゲルシリカの粉体を得る方法、疎水性ゾルゲルシリカ分散液を得た後、乾燥して疎水性ゾルゲルシリカの粉体を得た後、更に疎水化処理剤を添加して疎水化処理を施し、疎水性ゾルゲルシリカの粉体を得る方法等が挙げられる。
【0063】
ここで、粉体のゾルゲルシリカを疎水化処理する方法としては、ヘンシェルミキサーや流動床などの処理槽内で粉体の親水性ゾルゲルシリカを攪拌し、そこに疎水化処理剤を加え、処理槽内を加熱することで疎水化処理剤をガス化して粉体のゾルゲルシリカの表面のシラノール基と反応させる方法が挙げられる。処理温度は、特に限定されないが、例えば、80℃以上300℃以下がよく、望ましくは120℃以上200℃以下である。
【0064】
上記本ゾルゲルシリカの製造方法により、平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2より大きい外添剤、つまり、小径で、異形で、かつ、円形度の分布が広い外添剤が得られる。
【0065】
以上で説明した外添剤は、後述のトナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上5.0質量部以下で添加することが望ましく、より望ましくは0.7質量部以上24.0質量部以下であり、さらに望ましくは0.9質量部以上3.5質量部以下である。
【0066】
[トナー粒子]
次に、トナー粒子について説明する。
トナー粒子は、少なくとも結着樹脂を含み、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他の内添剤とを含んでもよい。
【0067】
(結着樹脂)
結着樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体、さらにはこれらの混合物が挙げられる。また、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合樹脂、又は、これらと前記ビニル樹脂との混合物や、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。
【0068】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂は、例えば、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を、単独又は組み合わせて公知の方法により得られる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分との中から好適なものを選択して組合せ、例えば、エステル交換法又は重縮合法等、従来公知の方法を用いて合成することで得られる。
【0069】
スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びこれらの共重合樹脂を結着樹脂として使用する場合、重量平均分子量Mwが20,000以上100,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上30,000以下の範囲のものを使用することが好ましい。他方、ポリエステル樹脂を結着樹脂として使用する場合は、重量平均分子量Mwが5,000以上40,000以下、数平均分子量Mnが2,000以上10,000以下の範囲のものを使用することが好ましい。
重量平均分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作製した分子量校正曲線を使用して分子量を算出する。
【0070】
結着樹脂のガラス転移温度は、40℃以上80℃以下の範囲にあるのが望ましい。ガラス転移温度が上記範囲であることにより、最低定着温度が維持され易くなる。
ガラス転移温度は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求める。
【0071】
(着色剤)
着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料が挙げられる。
【0072】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0073】
着色剤の含有量としては、結着樹脂の全質量に対して、1質量%以上30質量%以下の範囲が望ましい。
【0074】
(離型剤)
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0075】
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが望ましく、60℃以上であることがより望ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが望ましく、100℃以下であることがより望ましい。
【0076】
離型剤の含有量は、1質量%以上15質量%以下が望ましく、2質量%以上12質量%以下がより望ましく、3質量%以上10質量%以下がさらにより望ましい。
【0077】
(その他の内添剤)
その他の内添剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等が挙げられる。
【0078】
(トナー粒子の特性)
次に、トナー粒子の特性について説明する。
トナー粒子の体積平均粒径は、3μm以上9μm以下の範囲であることが望ましく、3μm以上6μm以下の範囲であることがより望ましい。
【0079】
体積平均粒径の測定は、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行う。この際、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
【0080】
[トナーの製造方法]
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
まず、トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁造粒法、溶解懸濁法、溶解乳化凝集合一法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
【0081】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られたトナー粒子に、前記外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダーやヘンシェルミキサー、レディーゲミキサーなどによっておこなうことがよい。更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機などを使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0082】
[静電荷像現像剤]
静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0083】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア、樹脂分散型キャリア等が挙げられる。
【0084】
前記二成分現像剤における、本実施形態に係るトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が望ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより望ましい。
【0085】
[画像形成装置及び画像形成方法]
次に、本実施形態に係るトナーを用いた本実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収納すると共に、前記像保持体の表面に形成された前記静電荷像を該現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記像保持体の表面にクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、前記記録媒体のトナー像を定着する定着手段と、を備えて構成される。
【0086】
本実施形態に係る画像形成装置によれば、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記像保持体の表面にクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング工程と、前記記録媒体のトナー像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法が実施される。
【0087】
本実施形態に係る画像形成装置における画像の形成は、像保持体として電子写真感光体を利用した場合、例えば、以下のように行う。まず、電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により帯電した後、露光し、静電荷像を形成する。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電荷像にトナーを付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の記録媒体表面に転写される。さらに、記録媒体表面に転写されたトナー像は、定着装置により定着され、記録媒体に画像が形成される。
【0088】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ等)であってもよい。
トナーカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーを収納し、画像形成装置に脱着されるトナーカートリッジが好適に用いられる。
プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷現像用現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体の表面に形成された静電荷像を該静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に脱着されるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0089】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0090】
図1は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
【0091】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーが供給可能である。
【0092】
上述した第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0093】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去するクリーニングブレード6−1Yを有する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配置されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0094】
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0095】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
【0096】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む本実施形態に係る静電荷像現像剤が収納されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
【0097】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yのクリーニングブレード6−1Yで除去されて回収される。
【0098】
また、第2のユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
【0099】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0100】
この後、記録紙Pは定着装置(ロール状定着手段)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。
【0101】
トナー像を転写する被転写体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0102】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
【0103】
[プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ]
図2は、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、クリーニングブレード113−1を有する感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付け、レール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は被転写体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置に対して着脱自在としたものである。
【0104】
図2で示すプロセスカートリッジ200では、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせることが可能である。本実施形態のプロセスカートリッジでは、感光体107のほかには、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
【0105】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。本実施形態に係るトナーカートリッジは、静電荷像現像用トナーを収納し、画像形成装置に脱着されるトナーカートリッジである。
【0106】
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例】
【0107】
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお以下の説明において、特に断りがない限り、「部」「%」は全て「質量部」「質量%」を意味する。
【0108】
(トナー粒子1の作製)
−樹脂粒子分散液1の調製−
スチレン(和光純薬製):320部
nブチルアクリレート(和光純薬製):80部
βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製):9部
1’10デカンジオールジアクリレート(新中村化学製):1.5部
ドデカンチオール(和光純薬製):2.7部
【0109】
上記成分を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤ダウファックス(ダウケミカル社製)4部をイオン交換水550部に溶解した溶液を加えてフラスコ中で分散、乳化し10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、さらに、過硫酸アンモニウム6部を溶解したイオン交換水50部を投入した。次いでフラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながらオイルバスで70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、固形分量41%のアニオン性の樹脂粒子分散液1を得た。
【0110】
樹脂粒子分散液1中の樹脂粒子は、中心粒径が196nm、ガラス転移温度が51.5℃、重量平均分子量Mwが32400であった。
【0111】
−樹脂粒子分散液2の調製−
スチレン(和光純薬製):280部
nブチルアクリレート(和光純薬製):120部
βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製):9部
【0112】
上記成分を混合溶解したものに、アニオン性界面活性剤ダウファックス(ダウケミカル社製)1.5部をイオン交換水550部に溶解した溶液をフラスコ中で分散、乳化し10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、さらに、過硫酸アンモニウム0.4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。次いでフラスコ内の窒素置換を行った後、フラスコ内の溶液を攪拌しながらオイルバスで70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、固形分量42%のアニオン性の樹脂粒子分散液2を得た。
【0113】
樹脂粒子分散液2中の樹脂粒子は中心粒径が150nm、ガラス転移温度が53.2℃、重量平均分子量Mwが41000、数平均分子量Mnが25000であった。
【0114】
−着色剤粒子分散液1の調製−
C.I.Pigment Yellow74顔料:30部
アニオン性界面活性剤(日本油脂(株)製:ニュ−レックスR):2部
イオン交換水:220部
【0115】
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分予備分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:杉野マシン製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行い、着色剤粒子中心粒径が169nmで固形分が22.0%の着色剤粒子分散液1を得た。
【0116】
−離型剤粒子分散液1の調製−
パラフィンワックス HNP9(融解温度75℃:日本精鑞製):45部
カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5部
イオン交換水:200部
【0117】
上記成分を混合し100℃に加熱して、ウルトラタラックスT50(IKA製)にて分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離型剤粒子の中心粒径が196nm、固形分量が22.0%の離型剤粒子分散液1を得た。
【0118】
樹脂粒子分散液1:106部
樹脂粒子分散液2:36部
着色剤粒子分散液1:30部
離型剤粒子分散液1:91部
【0119】
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中においてウルトラタラックスT50(IKA製)で混合・分散した溶液を得た。
次いで、この溶液にポリ塩化アルミニウム0.4部を加えてコア凝集粒子を作製し、ウルトラタラックスを用いて分散操作を継続した。さらに加熱用オイルバスでフラスコ内の溶液を攪拌しながら49℃まで加熱し、49℃で60分保持した後、ここに樹脂粒子分散液1を36部追加し、コア/シェル凝集粒子を作製した。その後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶液のpHを5.6にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱し、5時間保持した後、冷却し、イエローのトナー粒子を得た。
【0120】
次に溶液中に分散した状態のトナー粒子を、濾過し、イオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3Lに再分散し、15分300rpmで攪拌・洗浄した。これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.01、電気伝導度9.8μS/cm、表面張力が71.1Nmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo5Aろ紙を用いて固液分離を行い、得られた固形物を、12時間かけて真空乾燥させた体積平均粒径6.4μmのトナー粒子を得た。
【0121】
(外添剤1の作製)
−アルカリ触媒溶液準備工程〔アルカリ触媒溶液(1)の調製〕−
金属製撹拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、及び、温度計を有した容積3Lのガラス製反応容器にメタノール300部、10%アンモニア水47.8部を入れ、攪拌混合して、アルカリ触媒溶液(1)を得た。このときのアルカリ触媒溶液(1)のアンモニア触媒量:NH量(NH〔mol〕/(アンモニア水+メタノール)〔L〕)は、0.72mol/Lであった。
【0122】
−粒子生成工程〔ゾルゲルシリカ分散液(1)の調製〕−
次に、アルカリ触媒溶液(1)の温度を25℃に調整し、アルカリ触媒溶液(1)を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液(1)を撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)400部と、触媒(NH)濃度が4.44%のアンモニア水260部とを、下記供給量で、同時に滴下を開始し、ゾルゲルシリカの分散液(ゾルゲルシリカ分散液(1))を得た。
【0123】
ここで、テトラメトキシシラン(TMOS)の供給量は、アルカリ触媒溶液(1)中のメタノール総mol数に対して、8.4g/min、すなわち、0.0059mol/(mol・min)とした。
また、4.44%アンモニア水の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量(0.0552mol/min)に対して、3.97g/minとした。これは、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1molに対して0.258mol/minに相当する。
【0124】
−ゾルゲルシリカの疎水化処理−
ゾルゲルシリカ分散液(1)200部(固形分13.985%)に、トリメチルシラン5.59部を添加して疎水化処理を行なった。その後、ホットプレートを用いて、65℃で加熱し、乾燥させることで、異形状の疎水性ゾルゲルシリカ(1)を生成した。
本疎水性ゾルゲルシリカ(1)を外添剤1とした。
【0125】
(外添剤2〜13の作製)
アルカリ触媒溶液準備工程において、メタノール量、10%アンモニア水量を表1に記載の量にした以外は外添剤1の作製と同様にしてアルカリ触媒溶液を調製した。NH量は表1の10%アンモニア水NH量の欄に記載した。
【0126】
次に、ゾルゲルシリカ分散液の調製において、上記のアルカリ触媒溶液を用い、アルカリ触媒溶液に添加するテトラメトキシシラン(TMOS)量及び供給量とアルカリ触媒溶液に添加するアンモニア水の触媒(NH)濃度、量及び供給量を表1に示す値に変更した以外は外添剤1の作製方法と同様にしてゾルゲルシリカ分散液を調製した。
そして、得られたゾルゲルシリカ分散液を用いて、外添剤1と同様にして、疎水化処理、乾燥を行い、異形状の疎水性ゾルゲルシリカ2〜13を生成した。
本ゾルゲルシリカ2〜13を外添剤2〜13とした。
【0127】
なお、アルカリ触媒溶液に添加するテトラメトキシシランについては、表1の全添加量TMOSの質量部欄に示す値に変更し、テトラメトキシシランの供給量を表1の供給量(g/min)TMOS欄に示す値に変更した。
アルカリ触媒溶液に添加するアンモニア水の触媒(NH)濃度は、表1に記載する全添加量、アンモニア水のNH濃度欄に示す値に変更し、アンモニア水量は、表1に記載する全添加量、アンモニア水の質量部欄に示す値に変更し、アンモニア水の供給量を表1の供給量(g/min)アンモニア水欄に示す値に変更した。
【0128】
ここで、TMOSの供給量はアルカリ触媒溶液中のメタノール総mol数に対して、いくつかをそれぞれ表1の供給量(相対量)TMOS量に記載した。また、アンモニア水の供給量はテトラメトキシシランの1分間あたりに供給される総供給量の1molに対していくつかをそれぞれ表1の供給量(相対量)NH量に記載した。
【0129】
[実施例1]
<トナー1の作製>
ヘンシェルミキサーを用いて、外添剤1: 2.0部をトナー粒子1: 100部に添加し、トナー1を作製した。
【0130】
得られたトナー1について上述の方法で画像解析を行ったところ、外添剤(ゾルゲルシリカ)の平均粒径が75nm、平均円形度が0.77、円形度の標準偏差が0.21であった。
【0131】
<現像剤1の作製>
上記トナー1: 4部と下記キャリア: 96部とをV−ブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌し、目開き250μmのシーブで篩って現像剤1を作製した。
【0132】
(キャリア1の作製)
フェライト粒子(平均粒径:50μm): 100部
トルエン: 14部
スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:90/10): 2部
カーボンブラック(R330:キャボット社製): 0.2部
【0133】
まず、フェライト粒子以外の上記成分を10分間スターラーで撹拌させ、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れ、60℃で30分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリア1を作製した。
【0134】
<評価>
得られた現像剤について以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0135】
得られた現像剤を画像形成装置DocuCentre Color 400(富士ゼロックス社製)の現像機に収納した。前記画像形成装置の現像機の上部にOHPシートを貼り付け、10℃10%RH環境下(低温低湿環境)においてA4用紙上に画像濃度1%の画像を各々の環境下で1万枚ずつ印刷し、ブレードめくれ、異音の発生及び色筋の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0136】
(ブレードめくれの評価)
プリント初期(100枚目まで)におけるブレードめくれは、目視で観測を行い、評価した。評価基準は以下の通りである。
○:クリーニングブレードめくれは発生しなかった。
×:クリーニングブレードめくれが発生した。
【0137】
(異音の評価)
ブレードの異音(鳴き)については、初期(1枚以上10枚以下プリント後)及び1万枚印刷後において、未現像状態かつ194mm/sのプロセススピードで、像保持体を帯電させながら10分間回転させた。その後に、更に104mm/sのプロセススピードに切り替え、評価した。
評価基準は以下の通りである。G1、G2又はG3であれば、実用上は問題ない。
G1:異音等の発生はない。
G2:減速直後には軽微な鳴きが発生するが、数枚で消える(画像形成装置前面を開放し、耳を近づけることで聞こえる程度であり、通常状態では無視できるレベル)。
G3:軽微な鳴きが発生する(画像形成装置前面を開放し、耳を近づけることで聞こえる程度であり、通常状態では無視できるレベル)。
G4:減速時に鳴きが発生し、その後消えることがない(通常稼動時に聞こえる)。
【0138】
(色筋の評価)
色筋評価については、その後、画像濃度を80%とし、画像1千枚を形成し、評価を行った。
評価基準は以下の通りである。
○:色筋が発生せず、最後の評価まで良好な画質を得られている。
△:若干、色筋が発生しているが、目を凝らしてわかる程度であり許容レベル。
×:色筋による画質劣化が発生。
【0139】
[実施例2〜8、比較例1〜5]
実施例1の外添剤1を、下記表1に示す外添剤に代えた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を作製し、これらについて実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0140】
【表1】

【0141】
【表2】

【0142】
表2の結果より、本実施例1〜7においては、比較例に比べ、色筋、ブレードめくれ及び異音の発生が抑制される。
また、実施例8においては、比較例に比べ、色筋及び異音の発生が抑制される。
【符号の説明】
【0143】
1Y、1M、1C、1K、107 感光体(像保持体)
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体(像保持体)クリーニング装置(クリーニング手段)
6−1Y、6−1M、6−1C、6−1K クリーニングブレード
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ
28、115 定着装置
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
113 感光体クリーニング装置
113−1 クリーニングブレード
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
P、300 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子と、
平均粒径が70nm以上400nm以下であり、平均円形度が0.9以下であり、かつ、円形度の標準偏差が0.2より大きい外添剤と、
を有する静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記外添剤の平均円形度が0.5以上である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項5】
請求項3に記載の静電荷像現像剤を収納し、
像保持体の表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項6】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項3に記載の静電荷像現像剤を収納し、前記静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記像保持体の表面をクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
前記像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項3に記載の静電荷像現像剤により前記静電荷像を現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記像保持体の表面をクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング工程と、
前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−92692(P2013−92692A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235332(P2011−235332)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】