説明

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、静電荷像現像用トナーの製造方法及び画像形成装置

【課題】針葉樹等を原料として製造された紙繊維が太い紙種を用いても、出力画像の光沢ムラを悪化させない静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、静電荷像現像用トナーの製造方法及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】静電荷像現像用トナーであって、結着樹脂、離型剤、黒色着色剤、メチルグリシン二酢酸及びアルミニウム元素を含み、前記メチルグリシン二酢酸の含有率が5から500ppmであり、前記アルミニウム元素の含有量が蛍光X線による全元素分析において0.07から0.18%となっている。この静電荷像現像用トナーとキャリアとから静電荷像現像用現像剤が構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、静電荷像現像用トナーの製造方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」という場合がある)を含む現像剤で静電荷像を現像し、転写、定着工程を経て静電荷像が可視化される。
【0003】
上記トナーの製造方法としては、例えば湿式製法である乳化凝集法があり、結着樹脂、着色剤等を分散させた混合分散液から凝集工程等を経てトナーの微粒子を製造する。このような湿式製法で作製されたトナーは、トナー形状が滑らかであり、現像性、転写性が向上する。
【0004】
湿式製法トナーは、スチレンアクリル共重合樹脂を用いた製法と、ポリエステル樹脂を用いた製法に大別される。スチレンアクリル共重合樹脂は、重合反応のしやすさから、画像表面光沢(グロス)を下げるために高分子量が必要となる白黒トナーに主として使用される。ポリエステル樹脂は、樹脂自体のシャープメルト性から、画像表面光沢を上げられるため、カラートナーに用いられている。
【0005】
近年、省エネ性能への要求から、白黒機においても、シャープメルト性が高いポリエステル樹脂を用いる検討がなされているが、ポリエステル樹脂は、画像表面の光沢を下げるために樹脂を高分子量化すると、有機溶剤への溶解性が著しく悪化するため、湿式製法では製造が難しくなるという問題がある。そのため、比較的低分子量のポリエステル樹脂をアルミニウム等の金属イオンで架橋して、高温での粘弾性を高める方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
金属イオンで架橋する際には、キレート剤を添加してトナー粒径や架橋の程度を制御することが行われる。例えば下記特許文献2には、スルホン化ポリエステル樹脂、凝集剤及び錯化剤を添加する製造方法が開示されており、錯化剤により遊離凝集剤を錯化し、粒径成長を抑制している。錯化剤の例として、メチルグリシン二酢酸が使用されている。
【0007】
また、下記特許文献3には、結着樹脂にスチレンアクリル樹脂を使用し、メチルグリシン二酢酸等のキレート剤を含むトナーが開示されている。キレート剤が、低分子量樹脂粒子と水素結合して低分子量樹脂粒子同士の凝集を抑制し、高分子量樹脂粒子との凝集性を高めることで均一な凝集を実現し、ハーフトーン濃度ムラを抑制している。
【0008】
また、下記特許文献4には、結着樹脂にポリエステル樹脂を使用し、金属イオンとキレート剤を用いた透明トナーが開示されている。金属イオンをキレート剤にトラップさせて樹脂の粘性を低下させている。
【0009】
以上の各先行技術は、高速、省エネ、低グロストナーを実現することを目的の一つとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−107769号公報
【特許文献2】特開2006−285251号公報
【特許文献3】特開2010−66709号公報
【特許文献4】特開2008−129410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、針葉樹等を原料として製造された紙繊維が太い紙種を用いても、出力画像の光沢ムラを悪化させない静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、静電荷像現像用トナーの製造方法及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の静電荷像現像用トナーの発明は、結着樹脂、離型剤、黒色着色剤、メチルグリシン二酢酸及びアルミニウム元素を含み、前記メチルグリシン二酢酸の含有率が5から500ppmであり、前記アルミニウム元素の含有量が蛍光X線による全元素分析において0.07から0.18%であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記静電荷像現像用トナーが、イオンクロマトグラフィーによる分析において、アンモニアをNHイオンとして0.05mg/l以上、0.6mg/l以下含有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記結着樹脂が、アルキル側鎖を有するモノマーを重合単位として有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載のトナーカートリッジの発明は、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーが収納され、前記画像形成装置に着脱可能に構成されたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載のプロセスカートリッジの発明は、請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤が収容された現像手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の画像形成装置の発明は、像保持体と、前記像保持体の表面に静電荷像を形成させる静電荷像形成手段と、請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤により前記静電荷像を現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記像保持体上に形成された前記トナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上に転写された前記トナー画像を定着する定着手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法の発明は、少なくとも体積平均粒径が1μm以下であり、非晶性ポリエステルを含む結着樹脂粒子の分散液と着色剤粒子の分散液と離型剤粒子分散液とを混合する混合工程と、アルミニウムイオンを含む凝集剤を添加して前記結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させる凝集工程と、前記凝集工程の後に、メチルグリシン二酢酸を加え、前記結着樹脂粒子の主成分である結着樹脂の融点以上の温度で凝集粒子を合一させる合一工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、本構成を有しない場合に較べて、メチルグリシン二酢酸によりトナーに適量のアルミニウムを残すことができ、形成された出力画像の光沢ムラを抑制することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、本構成を有しない場合に較べて、ナトリウムイオンが結着樹脂に吸着、結合することを抑制してトナーの可塑化を抑制できる。
【0022】
請求項3の発明によれば、アルキル側鎖によりナトリウムイオンが結着樹脂に吸着、結合することを抑制でき、トナーの可塑化を抑制できる。
【0023】
請求項4の発明によれば、形成された出力画像の光沢ムラを抑制することができる静電荷像現像用現像剤を提供できる。
【0024】
請求項5の発明によれば、形成された出力画像の光沢ムラを抑制することができる静電荷像現像用トナーが収納されたトナーカートリッジを提供できる。
【0025】
請求項6の発明によれば、形成された出力画像の光沢ムラを抑制することができる静電荷像現像用現像剤を供給できるプロセスカートリッジを提供できる。
【0026】
請求項7の発明によれば、形成された出力画像の光沢ムラを抑制することができる画像形成装置を提供できる。
【0027】
請求項8の発明によれば、形成された出力画像の光沢ムラを抑制することができる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態にかかる画像形成装置の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
【0030】
[静電潜像現像用トナー]
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」という場合がある)は、結着樹脂、離型剤、黒色着色剤、メチルグリシン二酢酸及びアルミニウム元素を含み、前記メチルグリシン二酢酸の含有率が5から500ppmであり、前記アルミニウム元素の含有量が蛍光X線による全元素分析において0.07から0.18%であることを特徴とする。
【0031】
ここで、上記結着樹脂は、少なくとも後述する非晶性ポリエステル樹脂を含んでおり、結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。結着樹脂としては、アルキル側鎖を有するモノマーを重合単位として有するものが好適である。
【0032】
一般に、乳化凝集法等の湿式製法で作製されたポリエステルトナーは親水性が高いため、水中のイオン、特に強アルカリであるナトリウムイオンを吸着して可塑化(軟化)しやすい。吸着部位は、ポリエステル樹脂の親水部、エステル結合部、カルボン酸、及びスルホン酸である。特にスルホン酸とカルボン酸を同時に有するポリエステルでは、スルホン酸とカルボン酸の解離定数の違いから、いずれかの酸にナトリウムが残留しやすい。このように、従来の湿式製法ポリエステルトナーは可塑しやすい状態にあったため、定着圧力が高い部分で光沢が高くなってしまう。そこで、上述したように結着樹脂がアルキル側鎖を有するモノマーを重合単位として有するポリエステル樹脂の場合、アルキル側鎖がエステル部を遮蔽することにより、ナトリウムの吸着、結合を抑制でき、トナーの可塑化を抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態にかかる静電荷像現像用トナーは、イオンクロマトグラフィーによる分析において、アンモニアをNHイオン(アンモニウムイオン)として0.05mg/l以上、0.6mg/l以下含有するのが好ましい。NHイオンを含むことにより、カルボン酸−アンモニア相互作用をあらかじめ形成し、トナー製造工程においてカルボン酸−ナトリウム相互作用の形成を抑制することができる。この結果、上記ナトリウムイオンに起因するトナーの可塑化(軟化)を抑制することができ、形成される画像の光沢が高くなりすぎることを抑制できる。ここで、NHイオンとして0.05mg/l未満であると、トナーの可塑が進むため画像の光沢ムラが悪化する。また、0.6mg/lを超えるとイオンのもつ吸湿性のため帯電量が低下する。
【0034】
以下、トナーを構成する各成分について詳細に説明する。
【0035】
<結着樹脂>
本実施形態にかかる結着樹脂は、少なくとも非晶性ポリエステル樹脂を含み、結晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。以下、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂について、それぞれ詳細に説明する。なお、説明の便宜のため、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂の順序で説明する。
【0036】
−結晶性ポリエステル樹脂−
結晶性ポリエステル樹脂を構成する重合性単量体成分としては、結晶構造を容易に形成するため、芳香族成分を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族成分を有する重合性単量体が望ましい。さらに、結晶性を損なわないために、構成される重合性単量体由来成分は、重合体中、単一種で各々30モル%以上であることが望ましい。結晶性ポリエステル樹脂においては、構成成分として2種以上の重合性単量体が必須であるが、各必須構成重合性単量体種において同上の構成(30モル%以上)であることが望ましい。
【0037】
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50から100℃の範囲にあることが好ましく、55から90℃の範囲にあることがより望ましく、60から85℃の範囲にあることがさらに望ましい。融解温度が50℃を下回ると、保管トナーにブロッキングが生じるなどのトナー保管性の低下や、定着後の定着画像の保管性の低下(定着画像が背景部、紙の裏側および画像部同士張り付いてしまう、所謂ドキュメントオフセットや塩化ビニルシートに画像が移ってしまうビニルオフセット等の問題)が生じる場合がある。また、融解温度が100℃を超える場合には、十分な低温定着性が得られない場合がある。
【0038】
なお、上記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求めることができる。
【0039】
本実施形態において「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。また、「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造であるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50質量%以下である。
【0040】
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、結晶性ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0041】
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸(ドデセニルコハク酸等)、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、及びフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
【0042】
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が2から20である直鎖型脂肪族ジオールがより望ましい。脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融解温度が降下してしまう場合がある。また、主鎖部分の炭素数が20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。主鎖部分の炭素数としては14以下であることがより望ましい。
【0044】
結晶性ポリエステル樹脂の合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが望ましい。
【0045】
また、多価アルコール成分として3価以上のアルコールも使用することができ、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
多価アルコール成分のうち、上記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、より望ましくは90モル%以上である。脂肪族ジオールの含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融解温度が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。
【0047】
なお、必要に応じて酸価や水酸基価の調製等の目的で、多価カルボン酸や多価アルコールを合成の最終段階で添加してもよい。多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類等が挙げられる。
【0048】
上記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度を170から230℃として行われ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
【0049】
重合性単量体が、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い重合性単量体とその重合性単量体と重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0050】
上記ポリエステル樹脂の製造の際に使用される触媒としては、例えば、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物、亜リン酸化合物、リン酸化合物及びアミン化合物等が挙げられる。
【0051】
結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、3.0から30.0mgKOH/gの範囲であることが望ましく、6.0から25.0mgKOH/gの範囲にあることがより望ましく、8.0から20.0mgKOH/gの範囲にあることがさらに望ましい。
【0052】
酸価が3.0mgKOH/gよりも低いと水中への分散性が低下するため、湿式製法での乳化粒子の作製が困難となる場合がある。また凝集の際における乳化粒子としての安定性が著しく低下するため、効率的なトナーの作製が困難になる場合がある。一方、酸価が30.0mgKOH/gを超えると、トナーとしての吸湿性が増してしまい、トナーがその通常おかれている環境の影響を受けやすくなることがある。
【0053】
また、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6000から35000であることが望ましい。重量平均分子量(Mw)が、6000未満であると、定着の際にトナーが紙等の記録媒体の表面へしみ込んで定着ムラを生じたり、定着画像の折り曲げ耐性に対する強度が低下したりする場合がある。また、重量平均分子量(Mw)が35000を超えると、溶融時の粘度が高くなりすぎて定着に適当な粘度まで至るための温度が高くなることがあり、結果として低温定着性が損なわれる場合がある。上記重量平均分子量の測定方法は後述する。
【0054】
−非晶性ポリエステル樹脂−
本実施形態において望ましく用いられる非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものが挙げられる。
【0055】
ここで、非晶性ポリエステル樹脂の合成に用いる多価カルボン酸としては、結晶性ポリエステル樹脂に関して挙げた種々のジカルボン酸を同様に用いることができる。また、多価アルコールとしても、結晶性ポリエステル樹脂の合成に用いる種々のジオールを用いることができるが、結晶性ポリエステル樹脂に関して挙げた脂肪族ジオールに加えて、ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物や水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等を用いることができる。さらに、トナーの製造性・耐熱性・透明性を向上させるため、ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物や水素添加ビスフェノールAを用いることが特に好ましい。また、多価カルボン酸、多価アルコールとも複数の成分を含んでもよく、特に、ビスフェノールAはアルキル系離型剤と特に相溶しづらいため、トナー粒子中の離型剤の位置制御がしやすく、離型剤の染み出しを制御することにより、オフセット(トナー画像の一部が定着ロールに付着し取り去られる現象)を抑制しやすい。なお、上記ジオールに加えて、ダイマージオールを使用してもよい。
【0056】
上記非晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、重量平均分子量(Mw)が15000以上140000以下の範囲、数平均分子量Mnが4000以上12000以下の範囲が好ましい。ただし、トナーとしては、上記範囲の非晶性ポリエステル樹脂を1種、または2種以上組み合わせて、重量平均分子量(Mw)が25000以上、80000以下の範囲にあることが好ましい。上記範囲であると、低温定着性、画像保存性、定着グロスを両立することが容易となる。
【0057】
上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50から80℃の範囲であることが望ましい。Tgが50℃より低いと、トナーの保存性や定着画像の保存性が低下する場合がある。また80℃より高いと、従来に比べ低温で定着されなくなる場合がある。なお、非晶性ポリエステル樹脂のTgは50から65℃であることがより望ましい。
【0058】
また、上記非晶性ポリエステル樹脂の製造は、上記結晶性ポリエステル樹脂の場合に準じて行われる。
【0059】
上記結着樹脂は、テトラヒドロフランに可溶であることが好ましい。ここで、テトラヒドロフランに可溶とは、結着樹脂1gを、テトラヒドロフラン10mlに加え、25℃において超音波分散器にて5分間分散させたとき、テトロヒドロフランに溶解することを言う。
【0060】
<架橋剤及びキレート剤>
トナーには、凝集剤及び架橋剤としてアルミニウムが、キレート剤としてメチルグリシン二酢酸が含まれている。凝集剤として添加されるアルミニウム等の金属は、ポリエステル分子をイオン架橋して疑似高分子量化することができる。従って、アルミニウム等の添加により、紙等の媒体に形成される画像の光沢を制御することができる。トナー中のアルミニウムの含有量は、トナーの蛍光X線による全元素分析において0.07から0.18%である。アルミニウムの含有量が少なすぎると、トナーの弾性率が低下することにより画像の光沢ムラが悪化する。アルミニウム量が多すぎると弾性率が上昇することにより定着温度が上昇する。
【0061】
また、メチルグリシン二酢酸は、トナー中のアルミニウムの含有量を制御するために添加される。一般に、キレート剤は、金属イオンをキレートして水相へ排出する効果を有するが、メチルグリシン二酢酸は、このキレート剤として機能し、トナー製造中に添加されるアルミニウムの一部を水相へ排出して、トナー中に残存するアルミニウム量を制御する。この結果、上述したように結着樹脂であるポリエステルの架橋の程度を調整して、画像の光沢を制御できる。メチルグリシン二酢酸の含有率は、5から500ppmである。
【0062】
メチルグリシン二酢酸は、アルミニウムに対するキレート力が弱く、メチルグリシン二酢酸が2から3分子でアルミニウムをキレートする。このため、アルミニウムをキレートするには、ある濃度以上のメチルグリシン二酢酸が必要となり、トナー中で局所的にアルミニウムをキレートすることがなく、トナー全体に均一にアルミニウムを残すことができる。これは、メチルグリシン二酢酸がトナー製造工程での添加時に反応容器中にほぼ均一に分散してからキレート作用を発揮し、反応容器中で、最初に投入された部分のみで急速にキレート作用を発揮することがないからである。この結果、ポリエステルの架橋の程度をほぼ均一に調整しやすく、高温でのトナーの弾性率をより高くし、低光沢化することができる。
【0063】
また、上述したように、メチルグリシン二酢酸は、アルミニウムに対するキレート力が弱く、メチルグリシン二酢酸が2から3分子でアルミニウムをキレートすることから、メチルグリシン二酢酸濃度が低い状態では、メチルグリシン二酢酸はアルミニウムに吸着した状態で存在する。その結果、カルボン酸−アルミニウム相互作用をナトリウムによる攻撃からブロックするとともに、カルボン酸−アルミニウム相互作用自体を適度に抑制するため、トナーの弾性率が高くなりすぎず、定着性の低下を抑制できる。
【0064】
このような作用を持つメチルグリシン二酢酸をトナー中に5から500ppm含有することにより、ポリエステル樹脂とアルミニウムとのイオン架橋力を、定着に適した強さに抑制するものと考えられる。メチルグリシン二酢酸の含有量が少なすぎると、イオン架橋力そのものが強くなりすぎるため、トナーの弾性率が上昇し定着温度が上昇する。メチルグリシン二酢酸の含有量が多すぎると、イオン架橋力そのものが低下するため画像の光沢ムラが悪化する。
【0065】
トナーとしては、トナーの粘度10000Pa.sの時のtanδが0.5以上1.1以下であることが好ましい。この範囲にあると、トナーの弾性の効果により光沢差を抑制できる。tanδの値が低すぎると、トナーの弾性が強くなり、定着温度が上昇する。一方、tanδの値が高すぎると、光沢ムラを抑制しにくくなる。
【0066】
<着色剤>
トナーは、必要に応じて着色剤を含んでもよい。着色剤としては、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が望ましい。
【0067】
本実施形態において、着色剤として用いられる顔料は例えば以下のものが挙げられる。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。本実施形態では、特にカーボンブラックの添加量を増加させて画像濃度を高くするトナーを実現している。
【0068】
また、本実施形態では、上記黒色顔料(特にカーボンブラック)を添加した白黒トナーを中心に説明するが、他に黄色顔料として、例えば黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー93等が挙げられ、顔料分散性の点からC.I.ピグメントイエロー74が好ましい。黄色顔料としては、上記顔料の1種または2種以上を併せて使用することができる。
【0069】
橙色顔料としては赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジGG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンGK等が挙げられる。
【0070】
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
【0071】
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどが挙げられる。
【0072】
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
【0073】
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
【0074】
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
【0075】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
【0076】
また、必要に応じて着色剤として染料を用いることもできる。該染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。また、これらの単独、もしくは混合し、さらには固溶体の状態で使用できる。
【0077】
上記着色剤は、公知の方法で分散されるが、例えば回転せん断型ホモジナイザやボールミル、サンドミル、アトライタ等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
【0078】
また、これらの着色剤は、極性を有する界面活性剤を用い、上記ホモジナイザによって水系溶媒に分散されてもよい。
【0079】
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、トナー中での分散性などの観点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下の割合で添加されることが好ましい。
【0080】
<離型剤>
トナーは、必要に応じて離型剤を含んでもよい。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス類、ミツロウ等の動物系ワックス類、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス類、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等の高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルワックス類、ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、モノステアリン酸グリセリド、ジステアリン酸グリセリド、ペンタエリスリトールテトラベヘネート等の高級脂肪酸と単価または多価低級アルコールとのエステルワックス類、ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド等の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステルワックス類、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン高級脂肪酸エステルワックス類、コレステリルステアレート等のコレステロール高級脂肪酸エステルワックス類などが挙げられる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0081】
離型剤の融解温度は、50℃から100℃が望ましく、60℃から95℃がより望ましい。
【0082】
離型剤のトナー中の含有量は0.5から15質量%が望ましく、1.0から12質量%がより望ましい。離型剤の含有量が0.5質量%より少ないと、特にオイルレス定着において剥離不良となる場合がある。離型剤の含有量が15質量%より多いと、トナーの流動性が悪化する等、画質および画像形成の信頼性を低下させる場合がある。
【0083】
<その他の添加剤>
トナーは、上記成分以外にも、必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を含んでもよい。
【0084】
上記無機粒子や有機粒子は、せん断をかけながらトナー粒子表面に添加することが好ましい。
【0085】
また、上記内添剤としては、例えばフェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、マンガン、ニッケル等の金属、合金、またはこれら金属を含有する化合物などの磁性体などが挙げられ、トナー特性としての帯電性を阻害しない程度の量が使用される。
【0086】
また、上記帯電制御剤としては、特に制限はないが、特にカラートナーを用いた場合、無色または淡色のものが好ましく使用される。例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられるが、後述する凝集や融合・合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染の低減との観点から、水に溶解しにくい材料の方が好ましい。
【0087】
また、上記無機粒子としては、種々の目的のために添加されるが、トナーにおける粘弾性調整のために添加されてもよい。この粘弾性調整により、画像光沢度や紙への染み込みが調整される。無機粒子としては、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独または2種以上を組み合わせて使用してもよいが、発色性やOHP(オーバーヘッドプロジェクター)シートの透過性等透明性を損なわないという観点から、屈折率が結着樹脂よりも小さいシリカ粒子が好ましく用いられる。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
【0088】
上記無機粒子や有機粒子は、トナー表面に外添される外添剤であるが、具体的には以下のものが挙げられる。
【0089】
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ粒子や酸化チタン粒子が望ましく、疎水化処理(表面処理)された粒子が特に望ましい。
【0090】
無機粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。上記無機粒子の1次粒径としては、1から200nmの範囲が望ましく、その添加量としては、トナー100質量部に対して、0.01から20質量部の範囲が望ましい。
【0091】
有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。また、これらのトナーに対する添加量は特に制限はないが、0.1質量%以上10質量%以下の範囲が好ましく、0.2質量%以上8質量%以下の範囲がより好ましい。
【0092】
<トナーの製造方法>
次に、トナーの製造方法について説明する。本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、特に制限されないが、トナー特性の制御性の容易さから、乳化凝集法(湿式製法)による製造方法が好ましい。
【0093】
以下、本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法について、乳化凝集法により詳細に説明する。
【0094】
本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも体積平均粒径が1μm以下であり、非晶性ポリエステルを含む結着樹脂粒子の分散液と着色剤粒子の分散液と離型剤粒子分散液とを混合する混合工程と、アルミニウムイオンを含む凝集剤を添加して上記結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させる凝集工程と、前記凝集工程の後に、メチルグリシン二酢酸を加え、前記結着樹脂粒子の主成分である結着樹脂の融点以上の温度で凝集粒子を合一させる合一工程と、を有することを特徴とする。
【0095】
すなわち上記製造方法は、一般には上述したポリエステル等の樹脂粒子の分散液(乳化液)を準備し、これにイオン性界面活性剤に分散した着色剤粒子分散液と離型剤粒子分散液とを混合し、これに凝集剤を加えて攪拌することにより凝集を生じさせ、トナー径に相当する凝集粒子を形成し、その後メチルグリシン二酢酸を加え、樹脂のガラス転移温度以上に加熱することにより凝集粒子を融合・合一し、洗浄、乾燥してトナーを得る方法で、トナー形状は不定形から球状まで製造しうる。
【0096】
なお、上記結着樹脂粒子分散液には、アンモニア水溶液を添加しておくのが好適である。これにより、トナー粒子中にアンモニアを含有させることができる。上記アンモニア水の添加量は、トナー中に含有されるNHイオンが0.05mg/l以上、0.6mg/l以下の範囲となるように調整する。
【0097】
また、上記製造方法は、原料分散液を一括して混合し、これらを凝集させ融合する方法であるが、凝集工程の初期の段階で極性のイオン性分散剤の量のバランスを予めずらしておき、例えば、少なくともアルミニウムを含む無機金属塩、もしくは少なくともアルミニウムを含む重合体を用いてこれをイオン的に中和し、ガラス転移温度以下でコア凝集粒子を形成し、安定した後、さらに必要に応じてコア凝集粒子又は追加粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度または溶融温度以下の高い温度でわずかに加熱することにより安定化させた後、必要に応じて、第2段階として上記のバランスのずれを補填する極性、量の粒子分散液を添加し、さらに必要に応じてコア凝集粒子または追加粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度以下の高い温度でわずかに加熱することにより安定化させた後、メチルグリシン二酢酸を加えてガラス転移温度以上に加熱して第2段階で加えた粒子をコア凝集粒子の表面に付着させたまま融合・合一させてもよい。以下、順を追って説明する。
【0098】
樹脂粒子分散液は、水系媒体と、樹脂及び必要に応じて着色剤と離型剤とを含む混合液(ポリマー液)と、を混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。その際、樹脂の軟化点以上の温度に加熱することで、ポリマー液の粘性を下げて粒子分散体を形成する。
【0099】
樹脂粒子分散液を形成する際に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
【0100】
本実施形態における、樹脂粒子分散液、後述する着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液、およびその他の成分における分散媒としては、例えば水系媒体などが挙げられる。
【0101】
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0102】
また、上記各分散液の分散安定を目的として界面活性剤を用いてもよい。上記界面活性剤としては、例えば硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤がより好ましい。
【0103】
本実施形態におけるトナーにおいては、一般的にはアニオン系界面活性剤は分散力が強く、樹脂粒子、着色剤の分散に優れているため、離型剤を分散させるための界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤を用いることが有利である。
【0104】
アニオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類、オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類、ラウリルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプロピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネートなどのアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム類などが挙げられる。
【0105】
カチオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類などが挙げられる。
【0106】
非イオン系界面活性剤は、上記アニオン系界面活性剤またはカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。
【0107】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類などが挙げられる。
【0108】
上記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。また、界面活性剤の各分散液中における含有量としては、一般的には少量であり、具体的には0.01質量%以上1質量%以下の範囲であり、より好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下の範囲であり、更に好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲である。含有量が0.01質量%未満であると、樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、離型剤分散液等の各分散液が不安定になり、そのため凝集を生じたり、また凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生じる等の問題が生じる場合があり、また1質量%を越えると、粒子の粒度分布が広くなったり、また、粒子径の制御が困難になる等の理由から好ましくない。一般的には粒子径の大きい懸濁重合トナー分散物は、界面活性剤の使用量は少量でも安定である。
【0109】
また、常温(25℃)で固体の水性ポリマー等も用いうる。具体的には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系化合物、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デンプン、アラビアゴム等が使用される。
【0110】
本実施形態における樹脂粒子分散液の樹脂粒子粒径は、体積平均粒径で1μm以下であり、好ましくは100nm以上300nm以下の範囲である。体積平均粒径が1μmを越えると、凝集融合して得るトナー粒子の粒度分布が広くなったり、遊離粒子が発生してトナーの性能や信頼性が低下する場合がある。なお、100nm未満ではトナーを凝集成長させるのに時間を要し工業的には適さない場合があり、300nmを超えると、離型剤及び着色剤の分散が不均一となると共にトナー表面性の制御が困難になる場合がある。
【0111】
上記凝集工程においては、互いに混合された樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、及び離型剤分散液中の各粒子が凝集して凝集粒子を形成する。該凝集粒子はヘテロ凝集等により形成され、該凝集粒子の安定化、粒度/粒度分布制御を目的として、上記凝集粒子とは極性が異なるイオン性界面活性剤や、金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物が添加される。
【0112】
また、上述したように、プロセスは一括で混合し、凝集することによりなされるものであっても、凝集工程において、初期の各極性のイオン性分散剤の量のバランスを予めずらしておき、該イオン性界面活性剤や、金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物を用いてこれをイオン的に中和し、ガラス転移温度以下で第1段階の母体凝集を形成、安定化させた後、第2段階としてバランスのずれを補填する極性、量の分散剤で処理された樹脂粒子分散液を添加し、被覆した後、さらに必要に応じ母体または追加粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度以下で加熱してより高い温度で安定化させたのち、ガラス転移温度以上に加熱することにより凝集形成の第2段階で加えた粒子を母体凝集粒子の表面に付着させた状態(付着粒子)で合一させたものでもよい。更にこの凝集の段階的操作は複数回くり返し実施してもよい。
【0113】
本実施形態にかかる静電荷像現像用トナーの製造方法では、凝集工程においてpH変化により凝集を発生させ、粒子を調製することができる。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、またはより狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得るため、凝集剤を添加する。
【0114】
上記凝集剤としては、特に制限されないが、凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、洗浄時の除去を考慮し、無機酸の金属塩が用いられる。具体的には塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩などが挙げられるが、本実施形態では、最終的なトナー粒子の定着時の粘度をコントロールする観点から、アルミニウムを含む凝集剤(例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン等)が用いられる。
【0115】
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であって、アルミニウム等の三価の場合は0.5質量%以下程度である。凝集剤の量は少ない方が好ましいため、価数の多い化合物を用いることが好ましい。
【0116】
凝集工程を経た後には、付着工程を実施することが好ましい。付着工程では、凝集工程を経て形成された凝集粒子の表面に、樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する。これにより、いわゆるコア層とこのコア層を被覆する被覆層とにより構成されるコア/シェル構造を有するトナーが得られる。
【0117】
被覆層(シェル層)の形成は、凝集工程において凝集粒子(コア粒子)を形成した分散液中に、通常、非晶性ポリエステル樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液を追添加することにより行う。
【0118】
なお、一般的に付着工程は、離型剤と共に結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂が主成分として含まれる所謂コア/シェル構造を有するトナーを作製する場合に用いられ、その主たる目的は、コア層に含まれる離型剤のトナー表面への露出の抑制や、コア層単体では不十分なトナー粒子の強度を補うことにある。
【0119】
本実施形態におけるトナーの粘弾性制御手段としては、上記凝集工程において使用されるポリ塩化アルミニウムや硫酸アルミニウムなどアルミニウム含有凝集剤の添加量を調整し、トナー中のアルミニウム含有量を制御する方法や、合一工程において、キレート剤を適量投入し、アルミニウムイオンを捕縛し、錯塩を除去する方法が好ましい。本実施形態では、上記キレート剤としてメチルグリシン二酢酸を使用するのが好適である。
【0120】
上記凝集工程、もしくは凝集工程ならびに付着工程を実施した後、合一工程にて凝集粒子の合一を行う。合一工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、凝集粒子の懸濁液のpHを5以上10以下の範囲にすることにより、凝集の進行を止め、溶液中にて、この凝集粒子中に含まれる結晶性樹脂の溶融温度のうち最も高い温度以上、または非晶性樹脂粒子(シェル層構成樹脂を含む)のガラス転移温度(樹脂の種類が2種類以上の場合は最も高いガラス点移温度を有する樹脂のガラス転移温度)に加熱し、融合・合一することによりトナー粒子を得る。なお、上記メチルグリシン二酢酸は、合一工程の前に添加する。
【0121】
合一工程における加熱温度としては、上記樹脂のガラス転移温度以上であれば問題はない。好ましくは上記樹脂のガラス転移温度+10℃以上、より好ましくは+15℃以上で行うことで、融合・合一を進行させることができる。
【0122】
また加熱時間としては、合一が為される程度行えばよく、0.2時間以上10時間以下行えばよい。その後、上記樹脂のガラス転移温度以下まで降温して、粒子を固化する際、降温速度によって粒子形状及び表面性が変化する場合がある。例えば、早い速度で降温した場合には球状化及び表面が平滑化しやすく、逆にゆっくり降温した場合は、粒子形状が不定形化し、粒子表面に凹凸が生じやすい。そのため、少なくとも0.5℃/分以上の速度で、好ましくは1.0℃/分以上の速度で降温するのが好ましい。
【0123】
上記凝集工程および合一工程終了後、合一粒子としてトナーが得られる。合一して得た合一粒子(トナー)は、後述するように、ろ過などの固液分離工程を経て洗浄を行うことが必要である。
【0124】
上記洗浄工程の後、固液分離工程、乾燥工程を経て本実施形態のトナー粒子を得る。固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
【0125】
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、以上述べたようにしてトナー粒子(母粒子)を作製し、このトナー粒子に上記無機粒子等を添加し、ヘンシェルミキサー、サンプルミル等で混合して製造しうる。
【0126】
[静電荷像現像用現像剤]
本実施形態の静電荷像現像用現像剤は、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含有する以外は特に制限はなく、目的に応じた成分組成をとりうる。本実施形態の静電荷像現像用現像剤は、静電荷像現像用トナーを単独で用いると一成分系の静電荷像現像用現像剤となり、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像用現像剤となる。
【0127】
例えば、二成分系の場合、使用するキャリアとしては特に制限はなく、それ自体公知のキャリアを使用することができる。例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアが挙げられる。
【0128】
キャリアの具体例としては、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。該キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は30μm以上200μm以下の範囲である。
【0129】
上記樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロぺニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマーなどの単独重合体、または2種類以上のモノマーからなる共重合体、さらに、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0130】
これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。
【0131】
被覆樹脂の被覆量としては、上記核体粒子100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の範囲が好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲がより好ましい。
【0132】
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどが使用され、上記被覆樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどが使用される。
【0133】
上記二成分系の静電荷像現像用現像剤における本実施形態の静電荷像現像用トナーとキャリアとの混合比(質量比)は特に制限はなく、目的に応じて選択されるが、トナー:キャリア=1:100から30:100程度の範囲が望ましく、3:100から20:100程度の範囲がより望ましい。
【0134】
[画像形成装置]
次に、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーを用いた画像形成装置について説明する。
【0135】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、この像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、像保持体上に形成された静電荷像を、静電荷像現像用現像剤によりトナー画像として現像する現像手段と、上記像保持体上に形成されたトナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、上記被転写体上に転写されたトナー画像を定着する定着手段とを有し、上記現像剤として本実施形態に係る静電荷像現像用現像剤を用いるものである。また、本実施形態にかかる画像形成装置は、上記手段以外の手段、例えば像保持体を帯電する帯電手段、像保持体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段等を含むものであってもよい。以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0136】
なお、この画像形成装置において、例えば上記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジは、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態に係る静電荷像現像用現像剤を収容する構成となっている。
【0137】
本実施形態にかかる画像形成装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。画像形成装置1は、帯電部10と、露光部12と、像保持体である電子写真感光体14と、現像部16と、転写部18と、クリーニング部20と、定着部22とを備えている。
【0138】
画像形成装置1において、電子写真感光体14の周囲には、電子写真感光体14の表面を帯電する帯電手段である帯電部10と、帯電された電子写真感光体14を露光し画像情報に応じて静電荷像(静電潜像)を形成する静電荷像形成手段である露光部12と、静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段である現像部16と、電子写真感光体14の表面に形成されたトナー画像を被転写体24の表面に転写する転写手段である転写部18と、転写後の電子写真感光体14表面上に残存したトナーを除去するクリーニング手段であるクリーニング部20とがこの順で配置されている。また、被転写体24に転写されたトナー画像を定着する定着手段である定着部22が、図1における転写部18の左側に配置されている。
【0139】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。まず、帯電部10により電子写真感光体14の表面が均一に帯電される(帯電工程)。次に、露光部12により電子写真感光体14の表面に光が当てられ、光の当てられた部分の帯電電荷が除去され、画像情報に応じて静電荷像(静電潜像)が形成される(静電荷像形成工程)。その後、静電荷像が現像部16により現像され、電子写真感光体14の表面にトナー画像が形成される(現像工程)。例えば、電子写真感光体14として有機感光体を用い、露光部12としてレーザビーム光を用いたデジタル式電子写真複写機の場合、電子写真感光体14の表面は、帯電部10により負電荷を付与され、レーザビーム光によりドット状にデジタル潜像が形成され、レーザビーム光の当たった部分に現像部16でトナーを付与され可視像化される。この場合、現像部16にはマイナスのバイアスが印加されている。次に転写部18で、用紙等の被転写体24がこのトナー画像に重ねられ、被転写体24の裏側からトナーとは逆極性の電荷が被転写体24に与えられ、静電気力によりトナー画像が被転写体24に転写される(転写工程)。転写されたトナー画像は、定着部22において定着部材により熱及び圧力が加えられ、被転写体24に融着されて定着される(定着工程)。一方、転写されずに電子写真感光体14の表面に残存したトナーはクリーニング部20で除去される(クリーニング工程)。この帯電からクリーニングに至る一連のプロセスで一回のサイクルが終了する。なお、図1において、転写部18で用紙等の被転写体24に直接トナー画像が転写されているが、中間転写体等の転写体を介して転写されても良い。
【0140】
以下、図1の画像形成装置1における帯電手段、像保持体、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、定着手段について説明する。
【0141】
(帯電手段)
帯電手段である帯電部10としては、例えばコロトロンなどの帯電器が用いられるが、導電性又は半導電性の帯電ロールを用いても良い。導電性又は半導電性の帯電ロールを用いた接触型帯電器は、電子写真感光体14に対し、直流電流を印加するか、交流電流を重畳させて印加してもよい。例えばこのような帯電部10により、電子写真感光体14との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることにより電子写真感光体14表面を帯電させる。なお、通常は、−300〜−1000Vに帯電される。また前記の導電性又は半導電性の帯電ロールは単層構造あるいは多重構造でも良い。また、帯電ロールの表面をクリーニングする機構を設けてもよい。
【0142】
(像保持体)
像保持体は、少なくとも静電荷像(静電潜像)が形成される機能を有する。像保持体としては、電子写真感光体14が好適に挙げられる。電子写真感光体14は、円筒状の導電性の基体外周面に有機感光体等を含む塗膜を有する。塗膜は、基体上に、必要に応じて下引き層、及び、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを含む感光層がこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。
【0143】
(露光手段)
露光手段である露光部12としては、特に制限はなく、例えば、像保持体表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できる光学系機器等が挙げられる。
【0144】
(現像手段)
現像手段である現像部16は、像保持体上に形成された静電荷像をトナーを含む現像剤により現像してトナー画像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、静電荷像現像用トナーをブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体14に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。電子写真感光体14には、通常直流電圧が使用されるが、更に交流電圧を重畳させて使用してもよい。
【0145】
(転写手段)
転写手段である転写部18としては、例えば、図1に示すような被転写体24の裏側からトナーとは逆極性の電荷を被転写体24に与え、静電気力によりトナー画像を被転写体24に転写するもの、あるいは被転写体24の表面に被転写体24を介して直接接触して転写する導電性又は半導電性のロール等を用いた転写ロール及び転写ロール押圧装置を用いることができる。転写ロールには、像保持体に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロールは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定することができる。また、低コスト化のため、転写ロールとして単層の発泡ロール等が好適に用いられる。転写方式としては、紙等の被転写体24に直接転写する方式でも、中間転写体を介して被転写体24に転写する方式でもよい。
【0146】
中間転写体としては、公知の中間転写体を用いることができる。中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。
【0147】
(クリーニング手段)
クリーニング手段であるクリーニング部20については、像保持体上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式、ブラシクリーニング方式、ロールクリーニング方式を採用したもの等、適宜選定して差し支えない。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。中でも、耐摩耗性に優れていることから、特にポリウレタン弾性体を用いることが好ましい。但し、転写効率の高いトナーを使用する場合にはクリーニング部20を使用しない態様もありえる。
【0148】
(定着手段)
定着手段(画像定着装置)である定着部22としては、被転写体24に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであり、定着部材を具備する。
【0149】
(被転写体)
トナー画像を転写する被転写体(用紙)24としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0150】
なお、図1の例では、電子写真感光体14が一つ描かれているが、これに限定されるものではない。例えば、帯電部10と、露光部12と、電子写真感光体14と、現像部16と、転写部18と、クリーニング部20を各4機ずつ設け、C,M,Y,Kの各色のトナー画像を上記中間転写体に転写した後、被転写体上にカラー画像を転写して定着させる4連タンデム方式としてもよい。
【0151】
また、電子写真感光体14とともに、帯電部10、現像部16、クリーニング部20を一体化して、画像形成装置1本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを構成してもよい。
【0152】
また、本実施形態に係る画像形成装置1には、画像形成装置1に着脱され、少なくとも、上記画像形成装置1内に設けられた現像部16に供給するためのトナーを収納するトナーカートリッジを設けるのが好適である。この場合のトナーは、既述した本実施形態に係るトナーを使用する。なお、本実施形態に係るトナーカートリッジには、少なくともトナーが収容されていればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば静電荷像現像用現像剤が収容されていてもよい。
【0153】
従って、トナーカートリッジが着脱されうる構成を有する画像形成装置1においては、本実施形態に係るトナーを収納したトナーカートリッジを利用することにより、本実施形態に係るトナーを容易に現像手段に供給しうる。
【実施例】
【0154】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、単に「部」、「%」とあるのは全て質量基準である。
【0155】
<イオン含有量の測定方法>
トナー中のNaイオン量及びNHイオン量は、以下のようにして測定した。
【0156】
まず、測定対象となるトナー(外添トナーではなく、いわゆるトナー粒子)0.5gを秤量し、トナー固形分量に対し20%に相当する0.1gのノニオン系界面活性剤(三洋化成社製ノニポール10)を添加したイオン交換水100gに分散させ、30±1℃に制御された恒温槽で超音波分散器にて30分間分散した。
【0157】
超音波分散後の液を、吸引ろ過により固液分離して固形トナーを除去し、得られたろ液を、イオンクロマトグラフ法で測定した。当該イオンクロマトグラフ法には、日本ダイオネクス社製ICS−2000を用い、以下の条件で分析した。
陽イオン分離カラム :日本ダイオネクス社製、IonPacCS12A
陽イオンガードカラム:日本ダイオネクス社製、IonPacCG12A
溶離液 :メタンスルフォン酸20mM(mmol/l)
流速 :1ml/分
温度 :35℃
検出法 :電気伝導度法(サプレッサ式)
【0158】
<アルミニウム含有量の測定>
トナー中のアルミニウム含有量は、以下の方法により測定した。すなわち、蛍光X線解析装置(島津製作所社製、XRF−1500)を使用し、試料として0.3gのトナーを直径10mmの円筒状に成型し、管電圧40kV、管電流70mA、測定面積10mmφ、測定時間15分の条件で全元素分析することにより得られたnet強度から元素質量を考慮して質量基準の組成比を算出し、アルミニウム量を求めた。
【0159】
<メチルグリシン二酢酸含有量の測定方法>
以下の手順にて、トナー中のメチルグリシン二酢酸の含有量を測定する。
(1)トナー0.1g、20%界面活性剤(テイカパワー)0.1g、0.5M(mol/l)NaOH水溶液50mLを、28℃で2時間ボールミルを用いて混合・攪拌を行う。
(2)その後、(1)を、遠心分離機を用いて2000rpm、30分間分離を行う。
(3)(2)で得られた上澄み液をJIS規格5Aの濾紙を用い、固液分離を行う。
(4)(3)で得られた濾液8.5mL、酢酸緩衝溶液1.0mL(1M酢酸20.0mLと1M酢酸ナトリウム30.0mL、イオン交換水100mLを十分に混合したもの)を十分に混合を行う。
(5)(4)で得られたサンプルを、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて、下記の条件により含有量の測定を実施した。
分析装置 :株式会社日立ハイテクノロジーズ製LaChromElite L 2000シリーズ
カラム :HITACHI GL W520 S(Φ7.8mm×300mm)
検出器 :L 2455形ダイオードアレイ検出器
測定波長 :UV190 400nm、定量波長:UV284nm
移動相 :50mMリン酸水素2カリウム
送液速度 :1.0mL/min
サンプル注入量:10μL
カラム温度 :50℃
上記分散液中に含まれるメチルグリシン二酢酸の含有量(ppm)=上記HPLCによるメチルグリシン二酢酸の検出量(ppm)×(50÷8.5)
【0160】
<酸価の測定>
酸価AVは、JIS K0070に従って中和滴定法により測定した。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(アセトン/トルエン混合液)160ml、及び指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が完全に溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いた時を終点とした。
【0161】
酸価をA、試料量をSg、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をBml、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとしたとき、
A=(B×f×5.611)/S
として算出した。
【0162】
<ガラス転移温度及び融解温度の測定方法>
ガラス転移温度及び融解温度は、ASTMD3418−8に準拠した示差走査熱量測定により行った。この測定は、以下のように行った。
【0163】
すなわち、まず自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−50型)に測定対象となる物質をセットし、冷却媒体として液体窒素をセットし、10℃/分の昇温速度で0℃から150℃まで加熱して(1回目の昇温過程)温度(℃)と熱量(mW)との関係を求め、次に、−10℃/分の降温速度で0℃まで冷却し、再度これを10℃/分の昇温速度で150℃まで加熱して(2回目の昇温過程)データを採取した。なお、0℃及び150℃にてそれぞれ10分間ずつホールドした。
【0164】
測定装置の検出部の温度補正にはインジウムと亜鉛との混合物の融解温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。試料はアルミニウム製パンに入れ、サンプルの入ったアルミニウム製パンと対照用の空のアルミニウム製パンとをセットした。
【0165】
トナーのガラス転移温度は、1回目の昇温過程で得られたDSC曲線の吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度をもってガラス転移温度とした。
【0166】
非晶性樹脂のガラス転移温度は、2回目の昇温過程で得られたDSC曲線の吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度をもってガラス転移温度とした。
【0167】
結晶性樹脂の融点は、2回目の昇温過程で得られたDSC曲線において、吸熱量が25J/g以上であるピークのうち、最大のピーク温度を融点とした。
【0168】
<質量平均分子量(Mw)の測定>
ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)(ポリスチレン換算)は、GPC装置として、東ソー株式会社製HLC−8120GPC、SC−8020装置を用い、カラムはTSKgei,SuperHM−H(6.0mmID×15cm×2)を用い、溶離液として和光純薬社製クロマトグラフ用THF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/分、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、検量線はA−500、F−1、F−10、F−80、F−380、A−2500、F−4、F−40、F−128、F−700の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
【0169】
<1/2降下温度の測定>
ポリエステル樹脂のフローテスター1/2降下温度は、フローテスター(島津社製:CFT−500C)を用いて、サンプル量:1.05g、サンプル直径:1mm、予熱:65℃で300秒、荷重:10kg、ダイサイズ:直径0.5mm、昇温速度:1.0℃/分の条件下で測定され、プランジャーの降下量をプロットした時、試料の半分が流出した時の温度を、1/2降下温度と定義する。
【0170】
<トナーの粘度10000Pa.sの時のtanδの測定>
トナーの粘度10000Pa.sの時のtanδは、レオメトリックス社製のレオメーター、商品名「ARES」(RHIOSシステム ver6.4.4)を用いた。直径8mmのパラレルプレートを用い、あらかじめホットプレート上で100℃から150℃の間の温度で溶融させ直径8mm、厚さ4mmに成型したトナーをパラレルプレートの間に挟み、正弦波振動により測定を行った。周波数は6.28rad/sとし、30℃から180℃の範囲で毎分2℃温度を上昇させながら、動的粘弾性を測定した。歪みは初期値を0.005%とした後は、最大5%の自動測定モードによって変化させ測定し、得られたデータから、複素粘度(貯蔵弾性率と損失弾性率の2乗和の平方根を測定周波数で除した値)が10000Pa.sになる時のtanδ(損失弾性率を貯蔵弾性率で除した値)を求めた。
【0171】
<形状係数SF1の算出>
トナーの形状係数の測定は、FPIA−3000(シスメックス株式会社)を用いて行った。測定のためのトナー分散液は以下のようにして作製した。まず100mlビーカーにイオン交換水を30ml入れ、これに分散剤として界面活性剤(和光純薬社製:コンタミノン)を2滴滴下した。この液中にトナーを20mg入れ、超音波分散により3分間分散して分散液を調製した。
【0172】
得られたトナー分散液について、FPIA−3000を用い、測定個数4500個を測定して、形状係数を算出した。
【0173】
<トナー体積平均粒子径/粒度分布の測定方法>
マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)測定装置を用いて、トナー粒子の体積平均粒子径を測定した。電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
【0174】
測定された粒度分布について、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、個数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、体積について累積16%となる粒径をD16v、個数について累積16%となる粒径をD16p、体積について累積50%となる粒径をD50v、個数について累積50%となる粒径をD50p、体積について累積84%となる粒径をD84v、個数について累積84%となる粒径をD84pと定義する。
【0175】
これらの測定値を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2より、個数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2より、下個数平均粒度分布指標(GSDp下)は(D50p/D16p)1/2より算出した。
【0176】
<定着特性の評価>
後述する各トナーをそれぞれ使用した静電荷像現像用現像剤を、定着器を取り出したカラー複写機DocuCentreColor500(富士ゼロックス社製)の現像器に充填した。トナー載り量が0.50mg/cmとなるように調整して未定着画像を出力した。なお出力画像は50mm×50mmの画像密度が100%となるソリッド画像で、用紙は「C2r」(富士ゼロックス社製)を用いた。
【0177】
画像の定着は、カラー複写機DocuCentreColor500(富士ゼロックス社製)から取り出した定着器を、定着器のロール温度を変更できるように改造し、定着器の用紙搬送速度は200mm/秒として、この条件で上記未定着画像を定着器の温度を100℃から210℃まで5℃ずつ適宜変えて定着し定着画像を得た。
【0178】
最低定着温度(低温オフセットが発生しない最低温度であり、この値が低い程低温定着性が良好なことを表す。)より高い温度においてオフセットが発生するホットオフセット温度(以下HOT)を評価した。
【0179】
また、上記装置により、坪量が異なる2種類の用紙、「C2r」(富士ゼロックス社製)と「Business 4200 Paper」(XEROX社製)に、上記「C2r」用紙を用いて評価した最低定着温度プラス25℃の定着温度で画像を定着させ、それぞれの画像の光沢の差を評価した。光沢は、グロスメーターGM−26D(村上色彩技術研究所製)を用い、サンプルへの入射光角度を75度とする条件で測定した。
【0180】
後述する表1では、上記薄紙(C2r)と厚紙(Business 4200 Paper)を使用した場合の光沢の差が、1.5度未満の場合を☆で表し、1.5度以上2.5度未満の場合を◎で表し、2.5度以上3.5度未満の場合を○で表し、3.5度以上5.0度未満の場合を△で表し、5.0度以上の場合を×で表している。
【0181】
<着色剤分散液(PDK1)の調製>
・カーボンブラック(キャボットジャパン株式会社製、REAGAL330) :200質量部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンSC) :33質量部(有効成分60質量%、着色剤に対して10質量%)
・イオン交換水 :750質量部
【0182】
上記成分をすべて投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3程度になる大きさのステンレス容器に、上記アニオン系界面活性剤と、イオン交換水のうち280質量部を入れ、温度40度に加温しながら充分に界面活性剤を溶解させた後、上記カーボンブラックを投入し、攪拌機を用いて濡れていない顔料がなくなるまで攪拌した後、残りのイオン交換水を加え、さらに撹拌して充分に脱泡させた。
【0183】
脱泡後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5000rpmで10分間分散した後、攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。脱泡後、再度ホモジナイザーを用いて、6000rpmで10分間分散した後、攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した。
【0184】
脱泡後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(株式会社スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して25パス相当行った。
【0185】
得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて、固形分濃度を15質量%に調整し、着色剤分散液(PDK1)を得た。この着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは、110nmであった。なお、該体積平均粒径D50vはマイクロトラックにて5回測定した内の、最大値と最小値を除いた3回の測定値の平均値を用いた。
【0186】
<離型剤分散液(DW1)の調製>
・炭化水素系ワックス(日本精鑞株式会社製、商品名:FNP0090、融解温度Tw=90.2℃) :270質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンRK、有効成分量:60質量%) :13.5質量部(有効成分として、離型剤に対して3.0質量%)
・イオン交換水 :700質量部
【0187】
上記成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤分散液を得た。この離型剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは220nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20.0質量%になるように調整し、離型剤分散液(DW1)を得た。
【0188】
<非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)の合成>
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、表1の組成(モル%)に従ってモノマーを投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、ジオクタン酸スズを上記モノマー成分の合計量に対して0.3質量%に相当する量を投入した。窒素ガス気流下、約180℃で約6時間撹拌反応させた後、温度をさらに約220℃まで1時間かけて昇温し、約7.0時間撹拌反応させ、さらに、温度を235℃に上げて、反応容器内を10.0mmHg(1.33kPa)まで減圧し、所望の分子量になった時点で反応を終了した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)の物性を表1に示した。
【0189】
<非晶性ポリエステル樹脂(PES−A2)の合成>
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、表1の組成に従って、無水トリメリット酸以外のモノマーを投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、ジオクタン酸スズを上記モノマー成分の合計量に対して0.3質量%に相当する量を投入した。窒素ガス気流下、約180℃で約6時間撹拌反応させた後、温度をさらに約235℃まで1時間かけて昇温し、約3時間反応させ、温度を220℃まで冷却し、反応容器内を10.0mmHg(1.33kPa)まで減圧し、約1時間撹拌反応させた。常圧に戻した後、表1の無水トリメリット酸を加え反応させ、所望の分子量になった時点で反応を終了した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(PES−A2)の物性を表1に示した。
【0190】
<非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3)の合成>
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、表1の組成に従って、ドデセニルコハク酸以外のモノマーを投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、ジオクタン酸スズを上記モノマー成分の合計量に対して0.3質量%に相当する量を投入した。窒素ガス気流下、約180℃で約6時間撹拌反応させた後、温度をさらに約235℃まで1時間かけて昇温し、約3時間反応させ、温度を220℃まで冷却し、反応容器内を10.0mmHg(1.33kPa)まで減圧し、約1時間撹拌反応させた。常圧に戻した後、表1のドデセニルコハク酸を加え反応させ、所望の分子量になった時点で反応を終了した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3)の物性を表1に示した。
【0191】
<非晶性ポリエステル樹脂(PES−A4)の合成>
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、表1の組成に従って、ドデセニルコハク酸と無水トリメリット酸以外のモノマーを投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、ジオクタン酸スズを上記モノマー成分の合計量に対して0.3質量%に相当する量を投入した。窒素ガス気流下、約180℃で約6時間撹拌反応させた後、温度をさらに約235℃まで1時間かけて昇温し、約3時間反応させ、温度を220℃まで冷却し、反応容器内を10.0mmHg(1.33kPa)まで減圧し、約1時間撹拌反応させた。常圧に戻した後、表1のドデセニルコハク酸を加え、約2時間反応させた後、無水トリメリット酸を加え、さらに反応させ、所望の分子量になった時点で反応を終了した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(PES−A4)の物性を表1に示した。
【0192】
<非晶性ポリエステル樹脂(PES−A5)の合成>
表1の組成に従ってモノマーを投入し、非晶性ポリエステル樹脂(PES−A4)の合成と同様の操作にて合成した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(PES−A5)の物性を表1に示した。
【0193】
<非晶性ポリエステル樹脂(PES−A6)の合成>
表1の組成に従ってモノマーを投入し、非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)の合成と同様の操作にて合成した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(PES−A6)の物性を表1に示した。
【0194】
<結晶性ポリエステル樹脂(PES−C1)の合成>
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、表1の組成に従ってモノマーを投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、チタンテトラブトキサイド(試薬)を上記モノマー成分100質量部に対して0.3質量%に相当する量を投入した。窒素ガス気流下、170℃で3時間攪拌反応させた後、温度をさらに210℃まで1時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、所望の分子量になった時点で反応を終了した。得られた結晶性ポリエステル樹脂(PES−C1)の物性を表1に示した。
【0195】
<結晶性ポリエステル樹脂(PES−C2)の合成>
表1の組成に従ってモノマーを投入し、結晶性ポリエステル樹脂(PES−C1)の合成と同様の操作にて、結晶性ポリエステル樹脂(PES−C2)を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂(PES−C2)の物性を表1に示した。
【0196】
【表1】

【0197】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180質量部とイソプロピルアルコール80質量部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)を300質量部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の1質量部と5質量%水酸化ナトリウム水溶液の47質量部との混合液を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0198】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは150nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1)とした。
【0199】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2)の調製>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1)の調製において、非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)を非晶性ポリエステル樹脂(PES−A2)へ変更した以外は同様の操作にて、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2)を得た。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは110nmであった。
【0200】
(実施例1)
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1)を160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2)を160質量部
【0201】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1A)を得た。
【0202】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA1A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.2質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0203】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA1A)を調製した。
【0204】
<トナー(TNA1A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1) :380質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2) :380質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :650質量部
【0205】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA1A)を全量添加して6分間分散した。
【0206】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1A)の全てを60分間かけて投入した。
【0207】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1A)を投入した後、EDTA(キレスト株式会社製、キレスト40、有効成分40質量%)3質量部とメチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)1.3質量部を、それぞれ5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液でpHを9.0にした。
【0208】
その後、昇温5℃ごとに1質量%水酸化ナトリウム水溶液でpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0209】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーに、硝酸を加えてpH6.0に調整した後、トナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0210】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA1A)を得た。
【0211】
得られたトナー(TNA1A)は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数SF1が0.965であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0212】
<樹脂被覆キャリア(C)の調製>
・Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(平均粒径40μm):100質量部
・トルエン :14質量部
・シクロヘキシルメタアクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(共重合重量比99:1、Mw80000) :2.0質量部
・カーボンブラック(VXC72:キャボット製) :0.12質量部
【0213】
フェライト粒子を除く上記成分及びガラスビーズ(φ1mm、トルエンと同量)を、関西ペイント株式会社製サンドミルを用いて1200rpmで30分間攪拌し、樹脂被覆層形成用溶液を得た。さらに、この樹脂被覆層形成用溶液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、減圧し、トルエンを留去して乾燥することにより、樹脂被覆キャリア(C)を調製した。
【0214】
<現像剤(DTNA1A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA1A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA1A)を調製した。
【0215】
(実施例2)
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2) :160質量部
【0216】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2A)を得た。
【0217】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA2A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.2質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0218】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA2A)を調製した。
【0219】
<トナー(TN2A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1) :380質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2) :380質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :650質量部
【0220】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA2A)を全量添加して6分間分散した。
【0221】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2A)の全てを30分間かけて投入した。
【0222】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、メチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)12.5質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液でpHを9.2にした。
【0223】
その後、昇温5℃ごとに1質量%水酸化ナトリウム水溶液でpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0224】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0225】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA2A)を得た。
【0226】
得られたトナー(TNA2A)は、体積平均粒径D50vが6.1μm、形状係数SF1が0.967であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0227】
<現像剤(DTN2A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA2A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTN2A)を調製した。
【0228】
(実施例3)
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A3A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2) :160質量部
【0229】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A3A)を得た。
【0230】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA3A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.6質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0231】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA3A)を調製した。
【0232】
<トナー(TNA3A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1) :380質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2) :380質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :650質量部
【0233】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン(株)製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA3A)を全量添加して6分間分散した。
【0234】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A3A)の全てを30分間かけて投入した。
【0235】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A3A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、EDTA(キレスト株式会社製、キレスト40、有効成分40質量%)1.3質量部とメチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)1.1質量部を、それぞれ5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を100質量部添加した。
【0236】
その後、昇温5℃ごとに5質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0237】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーに、硝酸を加えてpH6.0に調整した後、トナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0238】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA3A)を得た。
【0239】
得られたトナー(TNA3A)は、体積平均粒径D50vが6.3μm、形状係数SF1が0.965であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0240】
<現像剤(DTNA3A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA3A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA3A)を調製した。
【0241】
(実施例4)
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A4A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2) :160質量部
【0242】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A4A)を得た。
【0243】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA4A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.6質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0244】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA4A)を調製した。
【0245】
<トナー(TNA4A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1) :380質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2) :380質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :650質量部
【0246】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA4A)を全量添加して6分間分散した。
【0247】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A4A)の全てを30分間かけて投入した。
【0248】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A4A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、メチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)12.0質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を100質量部添加した。
【0249】
その後、昇温5℃ごとに3質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0250】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0251】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA4A)を得た。
【0252】
得られたトナー(TNA4A)は、体積平均粒径D50vが6.3μm、形状係数SF1が0.965であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0253】
<現像剤(DTNA4A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA4A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA4A)を調製した。
【0254】
(実施例5)
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A5A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2) :160質量部
【0255】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A5A)を得た。
【0256】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA5A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.4質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0257】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA5A)を調製した。
【0258】
<トナー(TNA5A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A1) :380質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A2) :380質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :650質量部
【0259】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA5A)を全量添加して6分間分散した。
【0260】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A5A)の全てを30分間かけて投入した。
【0261】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A5A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、メチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)9.0質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を120質量部添加した。
【0262】
その後、昇温5℃ごとに4質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0263】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0264】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA5A)を得た。
【0265】
得られたトナー(TNA5A)は、体積平均粒径D50vが6.3μm、形状係数SF1が0.965であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0266】
<現像剤(DTNA5A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA5A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA5A)を調製した。
【0267】
(実施例6)
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A61)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180質量部とイソプロピルアルコール80質量部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)を300質量部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の8質量部と5質量%水酸化ナトリウム水溶液の15質量部との混合液を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0268】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは140nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A61)とした。
【0269】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A62)の調製>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A61)の調製において、非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)を非晶性ポリエステル樹脂(PES−A2)へ変更した以外は同様の操作にて、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A62)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A62)における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは100nmであった。
【0270】
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A6A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A61) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A62) :160質量部
【0271】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A6A)を得た。
【0272】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA6A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.2質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0273】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA6A)を調製した。
【0274】
<トナー(TNA6A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A61) :380質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A62) :380質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :650質量部
【0275】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA6A)を全量添加して6分間分散した。
【0276】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A6A)の全てを60分間かけて投入した。
【0277】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A6A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、メチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)9.0質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を120質量部添加した。
【0278】
その後、昇温5℃ごとに4質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0279】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0280】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間オーブン乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA6A)を得た。
【0281】
得られたトナー(TNA6A)は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数SF1が0.965であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0282】
<現像剤(DTNA6A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA6A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA6A)を調製した。
【0283】
(実施例7)
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A71)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180質量部とイソプロピルアルコール80質量部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)を300質量部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の15質量部を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0284】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1000質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは130nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A71)とした。
【0285】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A72)の調製>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A71)の調製において、非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)を非晶性ポリエステル樹脂(PES−A2)へ変更した以外は同様の操作にて、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A72)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A72)における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは100nmであった。
【0286】
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A7A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A71) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A72) :160質量部
【0287】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A7A)を得た。
【0288】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA7A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.2質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0289】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA7A)を調製した。
【0290】
<トナー(TNA7A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A71) :380質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A72) :380質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :650質量部
【0291】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA7A)を全量添加して6分間分散した。
【0292】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A7A)の全てを60分間かけて投入した。
【0293】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A7A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、メチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)9.0質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を120質量部添加した。
【0294】
その後、昇温5℃ごとに4質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0295】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0296】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間オーブン乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA7A)を得た。
【0297】
得られたトナー(TNA7A)は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数SF1が0.965であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0298】
<現像剤(DTNA7A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA7A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA7A)を調製した。
【0299】
(実施例8)
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A81)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180質量部とイソプロピルアルコール80質量部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3)を300質量部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液の50質量部を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0300】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1000質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは150nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A81)とした。
【0301】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A82)の調製>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A81)の調製において、非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3)を非晶性ポリエステル樹脂(PES−A4)へ変更した以外は同様の操作にて、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A82)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A82)における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは150nmであった。
【0302】
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A8A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A81) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A82) :160質量部
【0303】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A8A)を得た。
【0304】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA8A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.2質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0305】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA8A)を調製した。
【0306】
<トナー(TNA8A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A81) :380質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A82) :380質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :650質量部
【0307】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA8A)を全量添加して6分間分散した。
【0308】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A8A)の全てを60分間かけて投入した。
【0309】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A8A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、メチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)9.0質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を110質量部添加した。
【0310】
その後、昇温5℃ごとに4質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0311】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0312】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間オーブン乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA8A)を得た。
【0313】
得られたトナー(TNA8A)は、体積平均粒径D50vが5.9μm、形状係数SF1が0.964であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0314】
<現像剤(DTNA8A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA8A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA8A)を調製した。
【0315】
(実施例9)
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A91)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180質量部とイソプロピルアルコール80質量部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3)を300質量部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の8質量部と5質量%水酸化ナトリウム水溶液の15質量部との混合液を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0316】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1000質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは140nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A91)とした。
【0317】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A92)の調製>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A91)の調製において、非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3)を非晶性ポリエステル樹脂(PES−A4)へ変更した以外は同様の操作にて、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A92)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A92)における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは140nmであった。
【0318】
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−C9)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽にメチルエチルケトン180質量部とイソプロピルアルコール80質量部を投入し、これに結晶性ポリエステル樹脂(PES−C1)を300質量部投入して、液温を65℃に加温し、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の15質量部を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0319】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1000質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは170nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−C9)とした。
【0320】
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A9A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A91) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A92) :160質量部
【0321】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A9A)を得た。
【0322】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA9A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.2質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0323】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA9A)を調製した。
【0324】
<トナー(TNA9A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A91) :350質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A92) :350質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−C9) :65質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :600質量部
【0325】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA9A)を全量添加して6分間分散した。
【0326】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A9A)の全てを60分間かけて投入した。
【0327】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A9A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、メチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)9.0質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を110質量部添加した。
【0328】
その後、昇温5℃ごとに4質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0329】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0330】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間オーブン乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA9A)を得た。
【0331】
得られたトナー(TNA9A)は、体積平均粒径D50vが5.9μm、形状係数SF1が0.964であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0332】
<現像剤(DTNA9A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、前記トナー(TNA9A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA9A)を調製した。
【0333】
(実施例10)
実施例9において、結晶性ポリエステル樹脂をPES−C1から、PES−C2へ変更した以外は同様の操作にて、トナー(TNA10A)を得た。
【0334】
得られたトナー(TNA10A)は、体積平均粒径D50vが6.1μm、形状係数SF1が0.967であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0335】
<現像剤(DTNA10A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA10A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA10A)を調整した。
【0336】
(実施例11)
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A111)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル250質量部とイソプロピルアルコール30質量部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂(PES−A6)を300質量部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の8質量部と5質量%水酸化ナトリウム水溶液の15質量部との混合液を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0337】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1000質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは120nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A111)とした。
【0338】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A112)の調製>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A92)の調製と同様の操作にて、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A112)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A112)における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは140nmであった。
【0339】
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−C11)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽にメチルエチルケトン180質量部とイソプロピルアルコール80質量部を投入し、これに結晶性ポリエステル樹脂(PES−C2)を300質量部投入して、液温を65℃に加温し、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の15質量部を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0340】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1000質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは170nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−C11)とした。
【0341】
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A11A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A111) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A112) :160質量部
【0342】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A11A)を得た。
【0343】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA11A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.2質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0344】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA11A)を調製した。
【0345】
<トナー(TNA11A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A111) :350質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A112) :350質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−C11) :65質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :600質量部
【0346】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA11A)を全量添加して6分間分散した。
【0347】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A11A)の全てを60分間かけて投入した。
【0348】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A11A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、メチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)9.0質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を130質量部添加した。
【0349】
その後、昇温5℃ごとに4質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0350】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0351】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間オーブン乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA11A)を得た。
【0352】
得られたトナー(TNA11A)は、体積平均粒径D50vが6.2μm、形状係数SF1が0.965であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0353】
<現像剤(DTNA11A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA11A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA11A)を調製した。
【0354】
(実施例12)
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A121)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180質量部とイソプロピルアルコール80質量部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3)を300質量部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の8質量部と5質量%水酸化ナトリウム水溶液の15質量部との混合液を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0355】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1000質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは140nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A121)とした。
【0356】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A122)の調製>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A121)の調製において、非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3)を非晶性ポリエステル樹脂(PES−A4)へ変更した以外は同様の操作にて、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A122)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A122)における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは140nmであった。
【0357】
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A12A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A121) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A122) :160質量部
【0358】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A12A)を得た。
【0359】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA12A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.2質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0360】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA12A)を調製した。
【0361】
<トナー(TNA12A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A121) :380質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A122) :380質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :600質量部
【0362】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA12A)を全量添加して6分間分散した。
【0363】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A12A)の全てを60分間かけて投入した。
【0364】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A12A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、メチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)9.0質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を110質量部添加した。
【0365】
その後、昇温5℃ごとに4質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0366】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0367】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間オーブン乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA12A)を得た。
【0368】
得られたトナー(TNA12A)は、体積平均粒径D50vが5.8μm、形状係数SF1が0.964であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0369】
<現像剤(DTNA12A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA12A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA12A)を調製した。
【0370】
(実施例13)
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A131)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180質量部とイソプロピルアルコール80質量部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3)を300質量部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の8質量部と5質量%水酸化ナトリウム水溶液の15質量部との混合液を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0371】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1000質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは140nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A131)とした。
【0372】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A132)の調製>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A131)の調製において、非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3)を非晶性ポリエステル樹脂(PES−A5)へ変更した以外は同様の操作にて、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A132)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A132)における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは120nmであった。
【0373】
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−C13)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽にメチルエチルケトン180質量部とイソプロピルアルコール80質量部を投入し、これに結晶性ポリエステル樹脂(PES−C1)を300質量部投入して、液温を65℃に加温し、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の15質量部を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0374】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1000質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは170nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−C13)とした。
【0375】
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A13A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A131) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A132) :160質量部
【0376】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A13A)を得た。
【0377】
<硫酸アルミニウム水溶液(SA13A)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.2質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0378】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液(SA13A)を調製した。
【0379】
<トナー(TNA13A)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A131) :350質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A132) :350質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−C13) :65質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :600質量部
【0380】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA13A)を全量添加して6分間分散した。
【0381】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A13A)の全てを60分間かけて投入した。
【0382】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−A13A)を投入した後、30分間撹拌混合した後、メチルグリシン二酢酸(BASF社、トリロンM、有効成分40質量%)9.0質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を110質量部添加した。
【0383】
その後、昇温5℃ごとに4質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0384】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0385】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間オーブン乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNA13A)を得た。
【0386】
得られたトナー(TNA13A)は、体積平均粒径D50vが5.9μm、形状係数SF1が0.963であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0387】
<現像剤(DTNA13A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNA13A)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNA13A)を調製した。
【0388】
(比較例1)
・非晶性ポリエステル樹脂(PES−A5) :1275質量部
・炭化水素系ワックス(日本精鑞株式会社製、商品名:FNP0090、融解温度Tw=90.2℃) :150質量部
・ カーボンブラック(キャボットジャパン株式会社製、REAGAL330) :75質量部
【0389】
上記成分を、混練、粉砕し、トナー粒子を得た。
【0390】
得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)0.9質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNB1B)を得た。得られたトナー(TNB1B)は、体積平均粒径D50vが7.3μm、形状係数SF1が0.938であった。
【0391】
<現像剤(DTNB1B)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNB1B)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNB1B)を調製した。
【0392】
(比較例2)
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B21)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180質量部とイソプロピルアルコール80質量部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)を300質量部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液の8質量部と5質量%水酸化ナトリウム水溶液の15質量部との混合液を5分間で滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分5質量部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
【0393】
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1000質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは150nmであった。その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製、Dowfax2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B21)とした。
【0394】
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B22)の調製>
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B21)の調製において、非晶性ポリエステル樹脂(PES−A1)を非晶性ポリエステル樹脂(PES−A2)へ変更した以外は同様の操作にて、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B22)を得た。この非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B22)における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは110nmであった。
【0395】
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B2B)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B21) :160質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B22) :160質量部
【0396】
上記成分を500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを4.0に調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B2B)を得た。
【0397】
<硫酸アルミニウム水溶液(SB2B)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム) :1.2質量部
・イオン交換水 :20質量部
【0398】
上記成分を30ml容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
【0399】
<トナー(TNB2B)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B21) :380質量部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B22) :380質量部
・離型剤分散液(DW1) :130質量部
・着色剤分散液(PDK1) :100質量部
・イオン交換水 :600質量部
【0400】
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、ボルテックスが生じない程度に撹拌しながら、温度25℃にて、1.0質量%硝酸を加えてpHを4.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン株式会社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SB2B)を全量添加して6分間分散した。
【0401】
その後、反応容器にマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌される状態が維持されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.1℃/分の昇温速度、45℃を超えてからは0.02℃/分の昇温速度で昇温しながら、10分ごとにマルチサイザーにて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B2B)の全てを60分間かけて投入した。
【0402】
追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(DA−B2B)を投入した後、30分間撹拌混合した後、EDTA(キレスト株式会社製、キレスト40、有効成分40質量%)10質量部を5分間で添加し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を60質量部添加した。
【0403】
その後、昇温5℃ごとに4質量部の1質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、昇温速度1℃/分で95℃まで昇温し、95℃で保持した。95℃到達後、10分毎に1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを0.05下げながら、FPIA−3000(シスメックス株式会社製)で形状係数を測定し、平均形状係数が0.964になった時点で、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
【0404】
冷却後のスラリーを、目開き20μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過し、固液分離した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで固液分離した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
【0405】
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間オーブン乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(TNB2B)を得た。
【0406】
得られたトナー(TNB2B)は、体積平均粒径D50vが5.8μm、形状係数SF1が0.964であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
【0407】
<現像剤(DTNB2B)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、上記トナー(TNB2B)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動篩いにより凝集体を除去して、現像剤(DTNB2B)を調製した。
【0408】
(まとめ)
表2には、以上の各トナーの特性及び各トナーを使用した現像剤の定着試験の評価結果が示される。
【0409】
【表2】

【0410】
表2において、各トナーは、混練粉砕法を採用した比較例1を除いて湿式製法(乳化凝集法)を採用した。
【0411】
また、実施例8〜13では、結着樹脂として使用した非晶性ポリエステル樹脂の原料(重合単位)に、アルキル側鎖を有するモノマー(ドデセニルコハク酸、またはダイマージオール)を使用している。また、実施例9〜11、13では、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂とともに結晶性ポリエステル樹脂を使用している。
【0412】
また、各トナー中のメチルグリシン二酢酸の残量(含有量)は、表2に示す通りであって、実施例1、3が本発明の範囲(5から500ppm)の下限付近の値となっており、実施例2、4が上限値となっており、他の実施例が上記範囲の中心付近の値となっている。なお、比較例1、2にはメチルグリシン二酢酸を添加していない。
【0413】
また、各トナー中のアルミニウム残量(含有量)は、表2に示す通りであって、実施例1、2が本発明の範囲(0.07から0.18%)の下限値となっており、実施例3、4が上記範囲の上限付近の値となっており、他の実施例は上記範囲の中心付近の値となっている。なお、比較例1にはアルミニウムを添加していない。
【0414】
また、各トナー中のアンモニア残量(アンモニウムイオンNHの含有量)は、実施例1〜5、8が、本発明の好ましい範囲(0.05mg/l以上、0.6mg/l以下)の下限を下回っているが、実施例7が上記範囲の上限値となっており、他の実施例は上記範囲の中心付近の値となっている。なお、比較例1にはアンモニアを添加していない。
【0415】
以上の各トナーを使用した現像剤の定着試験を行い、薄紙と厚紙との光沢差、最低定着温度およびHOT発生温度を評価した。
【0416】
表2に示されるように、トナー中のメチルグリシン二酢酸の残量またはトナー中のアルミニウム残量の一方(実施例2、3)または両方(実施例1)が下限値である場合にも、薄紙と厚紙に定着された画像の光沢の差の評価が○(2.5度以上3.5度未満)であった。
【0417】
また、実施例4では、トナー中のメチルグリシン二酢酸の残量及びアルミニウム残量が上記範囲の上限付近の値であり、実施例5では、いずれも上記範囲の中心付近の値となっており、光沢の差の評価が○(2.5度以上3.5度未満)であった。
【0418】
また、実施例6、7では、トナー中のメチルグリシン二酢酸の残量及びアルミニウム残量が上記範囲の中心付近の値であり、トナー中のアンモニア残量が上記範囲の中心付近の値から上限付近の値となっており、使用した結着樹脂(PES−A1+PES−A2)が実施例4、5と同様であったが、光沢の差の評価が◎(1.5度以上2.5度未満)となった、これは、トナー中のアンモニア残量が上記本発明の好ましい範囲の中心付近の値から上限付近の値となり、ナトリウムイオンの影響を抑制できたからと考えられる。また、実施例8は、トナー中のメチルグリシン二酢酸の残量及びアルミニウム残量は上記範囲の中心付近の値であるが、アンモニア残量が0となっている。この実施例8における光沢の差の評価が◎(1.5度以上2.5度未満)となっているのは、結着樹脂としてアルキル側鎖を有するモノマー(ドデセニルコハク酸)を使用した非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3+PES−A4)を使用しているため、ナトリウムイオンの影響を抑制できているからである。
【0419】
さらに、実施例9,10、12、13では、結着樹脂としてアルキル側鎖を有するモノマー(ドデセニルコハク酸)を使用した非晶性ポリエステル樹脂(PES−A3+PES−A4またはPES−A3+PES−A5)を使用しており、ナトリウムイオンの影響を抑制できている。また、分子量が高い非晶性ポリエステル樹脂PES−A4(Mw=95000、Mn=8200)、PES−A5(Mw=140000、Mn=10000)の使用の効果もあり、光沢の差の評価が☆(1.5度未満)となっている。
【0420】
また、実施例11では、結着樹脂としてアルキル側鎖を有するモノマー(ドデセニルコハク酸とダイマージオール)を使用した非晶性ポリエステル樹脂(PES−A4+PES−6)を使用しており、ナトリウムイオンの影響を抑制できている。このため、光沢の差の評価が☆(1.5度未満)となっている。
【0421】
一方、比較例1は、結着樹脂としてアルキル側鎖を有するモノマー(ドデセニルコハク酸)を使用した非晶性ポリエステル樹脂(PES−A5)を使用しており、その分子量も高い(Mw=140000、Mn=10000)が、光沢の差の評価が△(3.5度以上5.0度未満)となっている。これは、混練粉砕の製造方法では、混練中に高分子成分が切断されてしまうため、光沢差抑制の効果が十分に得られていないためである。このような高分子量の樹脂を用いると、定着温度が著しく上昇してしまい、低温定着性が得られない。
【0422】
また、比較例2では、実施例1〜7と同じ結着樹脂(PES−A1+PES−A2)を使用しているが、メチルグリシン二酢酸を使用しておらず、光沢の差の評価が×(5.0度以上)となった。
【0423】
結晶性樹脂を使用した実施例9、10、11、13では、結晶性樹脂を使用しない場合に比べ、最低定着温度を約20℃下げることができる。実施例8は、アンモニア量が0であったため、実施例9よりも、若干光沢差が悪くなっている。
【符号の説明】
【0424】
1 画像形成装置、10 帯電部、12 露光部、14 電子写真感光体、16 現像部、18 転写部、20 クリーニング部、22 定着部、24 被転写体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂、離型剤、黒色着色剤、メチルグリシン二酢酸及びアルミニウム元素を含み、前記メチルグリシン二酢酸の含有率が5から500ppmであり、前記アルミニウム元素の含有量が蛍光X線による全元素分析において0.07から0.18%であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
請求項1に記載の静電荷像現像用トナーが、イオンクロマトグラフィーによる分析において、アンモニアをNHイオンとして0.05mg/l以上、0.6mg/l以下含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂が、アルキル側鎖を有するモノマーを重合単位として有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【請求項5】
画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーが収納され、
前記画像形成装置に着脱可能に構成されたことを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項6】
請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤が収容された現像手段を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体の表面に静電荷像を形成させる静電荷像形成手段と、
請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤により前記静電荷像を現像してトナー画像を形成する現像手段と、
前記像保持体上に形成された前記トナー画像を被転写体上に転写する転写手段と、
前記被転写体上に転写された前記トナー画像を定着する定着手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
少なくとも体積平均粒径が1μm以下であり、非晶性ポリエステルを含む結着樹脂粒子の分散液と着色剤粒子の分散液と離型剤粒子分散液とを混合する混合工程と、
アルミニウムイオンを含む凝集剤を添加して前記結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させる凝集工程と、
前記凝集工程の後に、メチルグリシン二酢酸を加え、前記結着樹脂粒子の主成分である結着樹脂の融点以上の温度で凝集粒子を合一させる合一工程と、
を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−68901(P2013−68901A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209121(P2011−209121)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】